モバP「今日はあの子の誕生日、が明けて」 (32)

P「うーん… うーん、うーん…?」

桃華「どうなさいましたかPちゃま。お気分がよろしくなくて?」

P「悪くはない… いや、すわりが悪いっちゃ悪いんだが」

桃華「まあ、でしたら代わりの椅子をご用意しましょう」

P「いや違う違う、座り心地の話じゃないんだ。そこはむしろいいくらいで」

桃華「桃華の部屋は落ち着きませんか?」

P「そんなわけじゃないんだが… なんかやけにいい匂いするなここ。薔薇だけじゃないよなこれ」

桃華「アロマを炊いておりますの。好みがわかりませんでしたので、美優さんのおすすめを」

P「ああ、三船さんの趣味アロマだっけ。いつもの桃華の香りも好きだけど、こういうのにすることもあるんだな」

桃華「ええ、いつも同じでは新鮮さが失われますもの。それとPちゃま、デリカシーがありませんわ」

P「えぇ、ダメか?」

桃華「ええ、いけません」


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P「そっか、すまない」

桃華「うふ、よろしくてよ。それでPちゃま、桃華の部屋はいかがです?」

P「どうって言われてもここで下手なこと言ったらまたデリカシーがないって言われるんじゃないか」

桃華「そこをうまくお返しするのが紳士の勤めですのよ。さあ、Pちゃま」

P「ちょっとくらいは見逃してくれよ… 天蓋つきのベッドって初めて見た」

桃華「Pちゃま、デリカシーがありませんわ」

P「ほらー!」

桃華「レディの寝台をしげしげと眺めるものではありません」

P「そうだな、すまない。あと思ったほど規格外の部屋じゃなかった」

桃華「そうですわね。本邸でしたらご期待に沿えたかもしれませんが」

P「こっちの方がいいよ。部屋が事務所みたいな広さでも落ち着かない」

桃華「このくらいの広さで、空いている部屋もありますのよ?」

P「前も言ったろ」

桃華「心変わりはいつでも受け付けておりますのよ」

P「その時はこっちからお願いするよ」

桃華「ええ、了解しました… ふぁ…」

P「なんだ、眠そうだな。もう寝るか?」

桃華「いいえ、まだです。今日はせっかく… あふ」

P「限界じゃないか」

桃華「そんなことはありません。嬉しい誤算なのですから、寝てなんていられません」

P「いや、時間になったら寝るよ? まだ時間はあるけど」

桃華「ええ、それにお二人… あふ…」

P「桃華があくびしてるのって新鮮だな」

桃華「Pちゃま、そこは気付かないことにするものですのよ。まったくデリカシーが… ふぁ、うぅー…」

P「そういうのも年相応でいいと思うぞ」

桃華「もうっ!」

桃華「Pちゃまは本当にデリカシーがありません!」

P「ぷりぷりするなよ可愛いなあ」

桃華「このタイミングで言うことではありません!」

P「枕を投げるな! これいい枕なんだろ」

桃華「ならクッションにいたします!」

P「だから止めろって」

桃華「知りません!」

P「あーもー、俺今拾えないんだからな。ちゃんと自分で戻せよ」

桃華「わかっております!」

桃華「ふぅ、ふぅ…」

P「息切れてるぞ」

桃華「知りませんっ」

P「あーもう悪かった悪かった。だからそのクッションをおろしてください」

桃華「もう、Pちゃまのデリカシーがありませんのは承知してますからいいですの」

P「これはデリカシーの問題じゃないだろ」

桃華「もう、Pちゃまは乙女心がわかっていないのは承知してますからいいですの」

P「それはずるいんじゃないかなー」

桃華「ふふ、でもこのようにしてPちゃまや… あふ… お話することなんてありませんでしたので、とても楽し… ふう…」

P「限界じゃないか… いいから今日は寝ろよ。明日の朝だって時間はあるんだから」

桃華「いいえ、夜更かしをすることに意味があるのです。ピロートークや枕投げが大事なのです」

P「ピロートークって桃華が考えてるのとは多分違うからな。それ人前で絶対言うなよ。それに枕はさっき投げたろ」

桃華「レディの嗜みですから問題ありませんの… ふぅ」

P「レディは早く寝るもんだぞ」

桃華「でしたら桃華は悪い子になりますの… あふ」

P「うちにこれ以上悪い子を増やす余裕はありません」

桃華「なら魔性の女性ですわ。夜の街を往き、道行く男性を骨抜きにし、国を傾けるのです」

P「もう何言ってるか分かってないだろ。寝なさい」

桃華「むぅ… いけません、今日の桃華は大人のレディなのです」

P「これからみっつ数えたら桃華はぐっすりと眠るようになるー、いーち」

桃華「いけません、いけませんわ」

P「にー、あー、でもできれば寝る前にこれどうにかしてくれると嬉しいんだけど」

桃華「わたくしと2人きりの間は絶対にダメと言われてますの」

P「それじゃおやすみ、さーん」

桃華「あふぅ」パタリ

P「おおう、マジで寝た… ホントに眠かったんだな…」

P「うん、お泊りにしても夜更かしはよくないしな。うん、それはいいんだけど」

P「これ、どうにかして欲しかったなあ…」



ガチャ

梨沙「ただいまー、ってあれ、桃華寝てる?」

加奈「遅くなりましたプロデューサー!」

P「お帰り2人とも。あのさあ、いい加減これどうにかしろよ」

加奈「ってああ! 桃華ちゃん、ベッドから落ちちゃいそう!」

P「聞けよ!」

梨沙「聞いてるけど嫌。はいこれアンタの」

P「嫌って。俺が今カップ持てるように思うか?」

梨沙「思うけど」

P「それを口に運べると思うか?」

梨沙「思わないけど」

P「おい!」

加奈「あっ、ストローありますよストロー! 長いの探してきました!」

P「嬉しいけど気を使って欲しいのはそこじゃないんだよな!」

P「なあ、俺の今の体勢をさ、なんていうと思う?」

梨沙「知らないけど、そうね。アタシの知識の中だと近いのはあるんだけどあってるかしら」

加奈「えっと…」

P「多分俺と同じ想像してるから大丈夫だ。言ってみ、加奈も。せーの」




梨沙・P「「電気椅子」」
加奈「ベ、ベルギム・E・O」




P「ほらみろよ! って加奈!?」

加奈「すいません! 愛染隊長と迷ったんですけど!」

P「そこじゃないよ! というか結構漫画読んでるんだなお前」

加奈「事務所によく置いてあるので。面白いです!」

P「ああいや、今はそこは問題じゃない。問題なのは俺達の中に共通認識があって、なんで俺がこんな体勢を取らされているかだ」

梨沙「事務所の漫画って誰が持ってきてるの?」

P「ええい、そんなところに食いつくんじゃない! 今は俺のこの電気椅子スタイルについてだよ!」

梨沙「何が不満なのよ」

P「不満しかないわ。なんで俺は椅子の肘掛と足に四肢拘束されてんの?」

梨沙「四肢? ああ、手足? もっとわかりやすく言いなさいよ」

P「善処しよう。それで?」

梨沙「なんでってそれがアンタが桃華の部屋に入る条件だったんだから仕方ないじゃない」

P「仕方ない要素が無いだろ!」

加奈「プロデューサー、桃華ちゃんが起きちゃいます! 少し静かにしてください」

P「え、あ、はい、すいません」

梨沙「まあ話を戻すけど。というかアンタ自称妹に怒られてるんじゃないわよ」

加奈「自称妹って!」

P「怒ってたの俺だったんだけどなー…?」

梨沙「女々しいこと言ってんじゃないの。事情があるのよ」

P「だからその事情を聞かせてくれって言ってるだろ。これが女々しさだなんて認めない」

梨沙「なんでアタシたちがここに泊まることになったかは言ったわよね」

P「櫻井さんに急用が入ったからだよな」

梨沙「そうね」

P「櫻井家でのお祝いライブが終わったあと事務所のメンバーで身内のパーティを開いた。櫻井さんが急用で外出した。誕生日なのに桃華一人じゃ寂しかろうって事でお前らは泊まってく事にした。帰る直前で俺も呼び止められた」

加奈「そうですね」

梨沙「うん」

P「…」

梨沙「…」

加奈「…」

P「で?」

梨沙「以上だけど」

P「おい」

P「そこじゃないだろ! そうじゃないだろ! そこまでは俺も知ってるよ!」

加奈「プロデューサー、声」

P「ああもうすいません!」

梨沙「仕方ないじゃない」

加奈「つい頼っちゃいました。ごめんなさい」

P「違うぞ加奈。お兄ちゃん頼られるのは嬉しいんだけど頼り方がちょっと違うんじゃないかと言いたいんだ」

梨沙「自分のことお兄ちゃんって…」

P「お前の目は本当に雄弁だな。目で殺されそうだよ」

加奈「使い方間違ってます」

梨沙「本当は今日は家族で過ごすみたいだったんだけどね。どうしても桃華以外は外せない用事ができちゃったみたいで」

P「それをたまたまお前らが聞いたと」

梨沙「桃華もついてくつもりだったみたいだけどせっかくの誕生日にどう見ても面倒事に連れてくのはって話だし、でも一人で置いてくのもアレだし」

P「うん」

梨沙「でも桃華のパパがこんな家に女の子3人じゃ不安だって言うから、部下の人連れてこようって話になったのよ」

P「うん」

梨沙「でも加奈が桃華は誕生日なのにそれじゃ落ち着かないでしょうってアンタ連れてこようって言って」

P「あー… もうわかった。聞くけどさ、最後まで聞くけど。ああもう加奈、桃華のこと撫でてないでこっち参加しなさい」

梨沙「で、桃華のパパにアンタってどんな人か聞かれたから」

P「あーほらやっぱりそうだよ、わかってたよ」

梨沙「ロリコンだけどいい人って言ったら桃華の部屋に入れる時はこの椅子座らせて手足を括り付けなさいって」

P「ほらーーー!」

加奈「プロデューサー、うるさいです」

梨沙「止むに止まれぬ事情があったの。これは不幸な事故ね」

P「止むに止まれぬでもなんでもない上どう考えてもお前の一言が原因だよ馬鹿野郎」

梨沙「馬鹿野郎って何よ!」

P「うるせーバカ! ホントバカ! バーカ!」

梨沙「誰がバカよバカ! バカって言った方がバカに決まってるし! バカじゃないの!」

加奈「プロデューサー、女の子に向かってバカバカ言っちゃダメです!」

P「このマセガキ!」

梨沙「マセガキって言うなー!」

加奈「それならいいかな?」

梨沙「よくないわよ!」

梨沙「アタシ達だってそりゃ大人組に相談しようとしたわよ。でも二次会に突入してたし桃華がそれは悪いって言うし」

P「お前らの気遣いは尊いと思うよ? でもその気遣いを少しでも俺に向けてくれるともっとよかったと思うんだ」

梨沙「でも手足括り付けろなんていわれると思わないじゃない?」

P「そこだよな! そうだよな !娘の担当プロデューサーなんだけどなあ!」

梨沙「桃華がアンタじゃないと嫌って言ってたら折れたしその程度には信頼されてるんじゃないの」

P「これを信頼とは言わない…! 的場さんなら自分のベッドでも梨沙のベッドでも好きに使っていいって言ってくれたはずだ…!」

梨沙「だからなんでアンタはパパとそんなに親しくなってんのよ! それにアタシのベッドとか言うなキモい! あと加奈、アタシの頭撫でるの止めなさい!」

加奈「えへへ、梨沙ちゃんの頭がちょうどいい位置にあるからつい」

P「お前らはお前らで和んでるよなあ!」

加奈「えへ☆」

P「お前明日の朝は覚悟しとけよ…!」

梨沙「そんな格好で言われても鼻で笑っちゃうんだけど」

加奈「大丈夫だからね梨沙ちゃん、お姉ちゃんが守ってあげる」

P「お兄ちゃんも守って欲しかったなー…」

加奈「えっと、じゃあ… お兄ちゃんは今度守ってあげます」

P「わーい… いやマジで今守ってくれないかな」

梨沙「じゃあ今日の主賓も寝ちゃったし、アンタも納得言ったことでしょうし、そろそろお開きにするわよ。それじゃベッド行くから」

P「えっ」

梨沙「えっ、てなによ」

P「いや納得いってないし。いやこれ。椅子。解除」

梨沙「なんで片言なのよ」

加奈「朝の6時に解除されるようになってるみたいです」

P「えっ」

加奈「えっ?」

P「トイレ行きたくなったらどうすんの俺」

梨沙「我慢したら?」

P「マジ?」

梨沙「マジ」

加奈「マジです」

P「女の子3人じゃ不安だからって話じゃなかったのかよ」

加奈「プロデューサーがいてくれると心強いです」

P「加奈は可愛いな。でも今はそういう話じゃない」

梨沙「言われて見れば完全に目的を見失ってるわね」

P「だよなあ。これ解除ボタンとかあんだろ?」

梨沙「あるかもしれないけどアタシは聞いてないわね」

加奈「私も知りません」

P「嘘だろ…」

梨沙「マジ」

加奈「マジです」

P「マジかああああああああああああああ!」

梨沙「るっさい!」

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P「と、去年桃華が寝た後はこんな感じだったな… この後30分くらい押し問答してた」

桃華「まあ、わたくしが寝た後にそのような楽しそうな事が」

P「いや楽しくないからな。座り心地が異常にいいとはいえ楽しいもんじゃないぞアレは」

桃華「ちなみにあの椅子、緊急解除ボタンありますわよ」

P「そうか、桃華を寝かせたのが敗因だったか…」

桃華「まったくですわ。それなのにPちゃまは桃華を子供扱いして」

P「すごい眠そうだったじゃないか…」

桃華「眠くなどありませんでした。桃華はPちゃまの手練手管に篭絡してしまっただけなのです」

P「人聞き悪いなあ!」

桃華「うふ、今年も桃華の誕生日を共に過ごしてくれてありがとうございました。それも二人きりで。Pちゃまには感謝しておりますの」

P「ああ、俺も嬉しいよ。何より拘束がなくなったのが嬉しい」

桃華「桃華のベッドはいかがです?」

P「すげーふかふか。超いいにおいする。手を伸ばせば桃華に届く距離にいると嬉しくなるな」

桃華「Pちゃまは相変わらずデリカシーがありませんこと… もう、そのようなことではいけませんわ」

P「去年は手を伸ばすことすら出来なかったからな… 櫻井さんにもこの一年で多少は信頼されたんだと思うと嬉しいよ」

桃華「えっ?」

P「えっ?」

桃華「あっ、そういえば…」

P「えっ?」

桃華「いえ、なんでもございません。お気になさらないで?」

P「待て待て待て待て! そこすごい気になるところだから! 今何を言いよどんだ!」

桃華「さて、そろそろ食事のお時間ですわ。着替えますのでPちゃまも隣の部屋でお着替え下さいまし」

P「いや待て待て待て、ちょっと待とう!」

桃華「んもう! Pちゃまはデリカシーがありません! お話の続きは食事の時になさいましょう」

P「えっ、あっ、押すな押すな。わかったよ出てくから! じゃあダイニングでな!」バタン









桃華「おはようございますわ!」

桃華パパ「おはよう、桃華」

桃華「まあ、お父様! 今日はご予定はよろしいのですの? 昨夜はとてもお忙しそうでしたが」

桃華パパ「何、愛しい娘の為なら多少の無茶もするさ。去年も今年も誕生日当日に落ち着いて祝うことが出来なかったからね。改めましておめでとう、桃華」

桃華「ありがとうございますわ! ところでお父様、Pちゃまをお見かけになりませんでした? こちらでお待ちのはずでしたのに」

桃華パパ「ああ、彼なら先程急用が入ったとの事で急いで帰ったよ。急用とは言っていたが私に気を使ったんだろうな。悪い事をした」

桃華「もう、せっかくの機会なのですからお父様とゆっくりお話いただきたかったのに」

桃華パパ「そう言うものではない。今日のところは彼の気遣いに甘えよう。それに、彼と話す機会もこれからいくらでもあるだろう」

桃華「まあ! そういっていただけるのは嬉しいですが、お父様もお忙しいのではなくて?」

桃華パパ「娘のためなら忙しいことなど苦でもないよ。ところで昨日、P君とどのように過ごしたんだい?」

桃華「ええ! Pちゃまはとても優しかったですわ! それからピロートークが楽しいですの! それと~~~」

以上です。桃華ちゃま誕生日おめでとうございました

前半部分は諸事情でお蔵入りになった去年の誕生日SSがベースになります、のでロゼ・マドモアゼルより時系列が前になります
ハッピーエンドが好きです

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