穂乃果「最近さ……」 (802)
◇鬱展開注意
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428392647
「最近、嫌なニュース多いよねぇ…」
土砂降りの雨の日。
穂乃果たちは部室に集まって練習メニューや新曲の相談などをしていた。
それが一息ついて、部室のパソコンでネットを見ていた時に目に飛び込んできたニュースの記事に心を曇らせる。
「スクールアイドル通り魔事件、ですか…」
海未ちゃんも、落ち込んだ様子で呟く。
「そう、なんか多いよねここ最近」
「確かに最近多いよね。スクールアイドルばっかり襲われる事件…」
ことりちゃんも少し怯えた表情で同意する。
土砂降りの雨の日。
いつもなら場所が広くなった部室で練習するんだけど、連日続いている事件のせいで穂乃果たちは何だか元気が出ない。
「つい1ヶ月前に最初の事件……福岡のスクールアイドルが襲われてからもう5回目だよね。ちょっと怖いな…」
「大丈夫だよ、かよちん!かよちんに何かあったら絶対凛が助けるから!!」
「こら、凛。凛だって女の子なんだから男相手に敵うわけないじゃない。そもそも凛に何かあったらどうするのよ」
「そ、それはぁ〜……うう…真姫ちゃぁん…」
「はぁ……それより、にこちゃんはどうしてさっきから何も喋らないの?何かあったの?」
違和感を感じて真姫ちゃんはにこちゃんを見る。
いつも元気なにこちゃんは今日、何故かずっと黙って俯いていた。
「にこ、具合が悪いのですか?なら保健室に…」
「………ねぇ」
「?どうしました?」
「にこ、ストーカーにあってるかもしれない」
途中からで申し訳ないですが
以下の文から台本形式で書いていきます
真姫「!?にこちゃんそれどういうこと!?」
凛「ま、真姫ちゃん落ち着くにゃ」
海未「にこ、説明してもらえますか……!?」
にこ「最近……練習、終わるの割と遅いじゃない?それからスーパー寄って買い物して家に帰ると遅くなっちゃうからってちょっと人通りの少ない近道を通ってたの。
3日目ぐらいからね、にこの後ろで足音が聞こえて。
最初は普通の通行人だと思ってたんだけど、可笑しいのよ。
にこが歩くとその足音は聞こえるんだけど止まると足音も止まるの。
それが怖くてもうあの道は使ってないわ。
でも、でもね、昨日ポストに入ってたの、これが…」
そう言って震える手でにこちゃんが鞄から取り出した小さな白い紙にはたった一言、赤文字で小さく
『 見 つ け た 』
と書いてあった。
真姫「な、なによこれ……気持ち悪い…」
ことり「ポストに入ってたってことは……、っ!!!」
にこ「そうよ、……にこの家は相手に知られている。
……にこはいいわ。でも、っ、こころたちが危ない目にあうんじゃないかと思うと……!!」
ガタンッ
穂乃果「今日はもう、止めよう」
海未「……穂乃果?…そう、ですね。にこの安全を考えなくては」
花陽「なら、みんなで一緒に帰ろう?それなら少しは安全じゃないかな……」
ことり「そうね。絵里ちゃんと希ちゃんはまだ生徒会室かな」
穂乃果「私、事情話してくる」
…生徒会室…
絵里「希……やっぱりしっかり話すべきじゃないかしら」
希「最近起きてるスクールアイドルが襲われてる事件のこと?」
絵里「そう。……ここ最近多いと思わない?いつ身近に起こるかわからないもの。理事長と話し合って事前に防ぐことぐらいしておかないと大変なことになる気がして」
希「そうやね。ウチもそれでいいと思う。……っと、はい、これ出来たよ。これで終わりやんなー?」
絵里「ええ、ありがとう希。助かったわ」
希「ええんよ、ウチやって副会長なんやし?ほなみんなのとこにいこか」
コンコン
ガチャ
穂乃果「絵里ちゃん、希ちゃん今、いい?」
絵里「?どうしたの穂乃果。何かあった?」
希「顔色よくないよ大丈夫…?」
穂乃果「……あのね。…にこちゃんが、ストーカーにあってるかもしれないんだって」
希「……にこっちが?」
絵里「っ、どういうこと…!?」
穂乃果「人通りの少ない道を歩いてたらずっと誰かにつけられてる感じがしたんだって。……それと」
ガサッ
絵里「……なに、これ…」
希「見つけた……って」
穂乃果「昨日にこちゃんの家のポストに入ってたんだって」
絵里「…っ!?…穂乃果、今日はもう、」
穂乃果「うん、今日は練習無しにしてみんなで帰ろうって話したの。2人ともいいよね?」
希「せやな……ウチらもちょうど終わったとこやし、みんなでにこっち送って帰ろうか」
絵里「そうね。今準備するわ待ってて」
穂乃果「……うん」
希「……穂乃果ちゃん。にこっちのことは穂乃果ちゃんのせいなんかじゃないから。あんま落ち込まんといて。な?」
絵里「そうよ。それよりこれからのことを話しましょう。何かあってからじゃ遅いわ」
…校門前…
海未「にこ、大丈夫ですか…?…っ、すみません、大丈夫なわけ…無いですよね…」
にこ「ありがとう海未。大丈夫よ。にこが怯えてちゃこころたちを守れないもの。しっかりしないとね」
ことり「にこちゃん……手、震えてるよ。握ってあげるね」
にこ「ことり……ありがとう…」
真姫「……」
凛「…真姫ちゃん」
真姫「…分かってるわ……何もできない自分が悔しいだけよ」
絵里「おまたせ、みんな」
花陽「絵里ちゃん、希ちゃん…」
希「ほーら、にこっちよしよし。遅くなってごめんね。じゃあみんなで帰ろっか」
にこ「子供扱いしないでよ!………ありがとう…」
穂乃果「………。」
絵里「明日、希と一緒に理事長と話し合うわ」
海未「その方がいいですね。これでは安心して生活できそうにないですし」
〜〜♪
花陽「っ、ご、ごめんなさい!」
真姫「こんな時に何よ……」
花陽「……っ!?!?」
凛「…かよちん?」
希「花陽ちゃんどうしたん?」
花陽「あ……A-RISEが……」
ことり「A-RISEがどうかしたの?」
花陽「A-RISEの……ツバサ、さんが、何者かに刃物で切りつけられたそうです……っ」
◎注意
冒頭にも書きましたが鬱展開のために閲覧注意です
簡単に言えばμ’sがボロボロになっていくお話です。
死んだりはしません。
念のため言及しますが、ラブライブ及びμ’sメンバーが嫌いとかそういう気持ちは全くありません。
とあるスレで見たスクールアイドルのプライバシーの話題を掘り下げたSSを書きたいと思って書いているものです。
長々と失礼いたしました。
閲覧の際はご遠慮くださいね。
絵里「そ、れっ…て」
凛「ここらへんに…犯人がいるってこと…?」
にこ「…っ!!こころたちが…!」
ダッ
海未「にこ!!!1人で行っては危険です!」
希「にこっち!待って!」
穂乃果「……。」
ことり「穂乃果ちゃんっ!?」
穂乃果「!!ご、ごめん、行こうっ」
にこ「(この街にもスクールアイドルを襲ってる犯人がいるってことは…っ、にこの家が知られてるってことは……!
お願い、こころ、ここあ、虎太郎っ…
無事でいて…!)」
ハッピーエンドなら何だって許せる
>>15
見方によっては報われますが万人受けするハッピーエンドではない胸糞展開です、とだけ…
…にこの家…
にこ「はぁ……はぁっ……た、ただいま…っ」
ここあ「にこにーおかえりー!」
虎太郎「おかえりー」
にこ「なんにもなかった……!?」
ここあ「?」
にこ「何もなかった……のよね、…あれ、ここあ……こころは……?」
ここあ「……。」
虎太郎「……。」
にこ「……ここあ?」
ここあ「…買い物に!いった!」
にこ「ひとりで!?」
ここあ「う、うん」
にこ「…にこ、ちょっとこころを迎えに行ってくるわね。家で待ってて。一歩も出ちゃダメよ」
ここあ「……分かった」
ガチャ
バタンッ
ここあ「…………こころ」
にこ「全く……この危ない時だってのに、こころは何を買いにスーパーまで…。
いつもこころは1人で出歩くんだから…一回ちゃんと言っておかないとダメよね……」
こころ「…お姉さま?」
にこ「ひゃあ!?」
こころ「あっ…!ごめんなさい!びっくりさせてしまいました……」
にこ「だ、大丈夫よ!それより、こころは大丈夫?変な人に会ったりしてない?」
こころ「誰にも会いませんでしたわ。いつも通りですよ」
にこ「最近物騒な事件が多いから、あまり1人で出歩いちゃダメよ。いい?」
こころ「はい。すみませんお姉さま。」
にこ「ううん、こころは悪くないわ。……それより、どうしてスーパーに?」
こころ「ふふっ、それはですねお姉さま!これですっ!!じゃーん!」
にこ「い、いちご!?」
こころ「お小遣いをここあと少しずつ貯めていたんです!いつもお姉さまに買ってもらってばっかりだから……その、私たちからお姉さまへのプレゼントです。
こんなものしか用意できなくてごめんなさい…」
にこ「……こころ…、っ、ありがとう……!本当にあんたたちは最高のにこの妹弟だわ……!」
こころ「……えへへ、嬉しいです!!さぁ、帰っていちごパーティしましょうお姉さま」
にこ「任せて。今日も愛情のこもった夕飯を作るからね!」
花陽「に、にこちゃーんっ!」
にこ「花陽…!みんな!……ご、ごめんなさい、せっかく送ってくれたのに1人で暴走して……」
希「いいっていいって。何もなかったならそれで十分よ。ね、みんな」
絵里「そうね。安心したわ。妹さんたちは大丈夫?」
にこ「えぇ。2人は家にいるわ。みんな、わざわざありがとう」
海未「気にすることはありませんよ。ですが、いつ何が起こるかわかりませんからね…用心しなくては…」
ことり「暫くはみんなで一緒に帰ったほうがいいかもね…」
真姫「私は別に大丈夫だけど」
凛「真姫ちゃんは、凛とかよちんと帰るのー!」
穂乃果「……。」
にこ「……大丈夫よ、穂乃果」
穂乃果「……!…にこちゃん」
にこ「あんたが気に病む必要なんかこれっぽっちもないのよ。
落ち込んでる暇があるならいつも通り元気でいなさい。その方が安心するわ、にこもみんなも。」
穂乃果「う、うん……ごめんね。みんなに何かあったら…って思ったら、その…」
絵里「そうならないためにも、明日から対策を練りましょう?理事長とも話し合うことにして」
穂乃果「そう、だね。ありがとうみんな…!」
にこ「……じゃあ、ここあと虎太郎が家で待ってるから、にこはもう帰るわ」
ことり「うん、気をつけてね?」
凛「子供と間違えられて誘拐されないようににゃー」
にこ「さりげなくディスってんじゃないわよ!
じゃあ、また明日ね」
穂乃果「うん、ばいばい!」
…次の日・部室…
穂乃果「にこちゃんっ、昨日は大丈夫だった?」
にこ「えぇ、特に何もなかったわ。やっぱり気にしすぎだったのかも」
花陽「でもでも、何かあってからじゃ遅いし…」
真姫「まぁ、警戒しておくに越したことはないんじゃない?」
海未「今、絵里と希が理事長と話し合っていると思いますが…私達でも何か対策を考えませんか?」
ことり「そうだね。みんなで意見を出し合おっ」
凛「んーとりあえず、昨日のこともあるし同じ方向の人は一緒に帰るといいと思うにゃ」
穂乃果「でも、そうなると希ちゃんとにこちゃんがバラけちゃうから……学年ごとに分かれようか?」
海未「それなら安心ですね、3人ずつですし」
花陽「あとは、常に誰かに連絡を取れる状況にしていた方がいいと思います…」
にこ「防犯ブザーとか持ってた方がいいかしらね」
穂乃果「それいい!みんなでお揃いの買おうよ!」
海未「全く…穂乃果?これは楽しいことではないのですよ?」
穂乃果「ご、ごめぇん……」
ことり「でも持っておいてもいいんじゃないかな♪」
真姫「まぁ、私はどっちでもいいけど。」
凛「じゃあ、今日みんなで買いに行くにゃ〜」
…理事長室…
絵里「どうしようもない、って……そんな!それじゃ私達の安全はどうなるんですか!」
希「学校側で何か対策はできないんですか?」
理事長「何かしたいのは山々なのだけれど、学校という手前、警備をつけたりは出来ないの。
スクールアイドルとはいえ、学校側からすれば一生徒に過ぎない。
貴女たちだけ特別扱いしてSPをつけたとして、万が一他の生徒に何かあったりしたら保護者への顔の向けようがないのよ。
だからって全生徒に対して警備をつけるのは不可能であり、何か起こる前では警察も動いてはくれない。
現状では自分の身は自分で守るしかないの。
……分かってくれるかしら。」
絵里「……っ」
希「…えりち、」
絵里「それが、理事長の考えですか…」
理事長「私だけの考えではないわ。学校内の先生たちと話し合って出された答えよ」
絵里「……わかりました。失礼します」
希「えりち!」
理事長「……。」
希「理事長……、何とか、何とかならないんですか!わたし、みんなが傷ついたり何かされたりしたら耐えられません!
せっかく、せっかく出来た大切な友達なのに…」
理事長「っ、分かってるわ……!」
希「…!」
理事長「私もいろいろ掛け合ったわ。
でも、上の人間は何も聞いてくれなかった…っ
どうしようも、なかったんです…!
私だって何か出来るならそうしたい、全生徒を守りたい…!」
希「な、泣かないで下さい理事長…!すみません自分勝手なことばかり言って…」
理事長「いえ……私こそごめんなさい…恥ずかしいところをみせてしまいましたね…」
希「そんな……理事長の本当の気持ちを聞けただけで十分です。ありがとうございます。…失礼します」
バタン
理事長「…………せめて、ことりだけは。」
…部室…
絵里「…と、いうわけよ」
穂乃果「そんな……」
真姫「…まぁ、学校らしいといえばそうなのかもね」
穂乃果「でも、何かしてくれてもいいじゃん!」
希「理事長もかけあってくれたみたいなんやけど、上手くいかなかったらしくて」
絵里「そんなこと言ってたかしら」
希「えりちが出て行った後にね」
ことり「ごめんね、みんな……」
にこ「ことりが謝ることじゃないでしょ。とにかく、今日もみんなで帰りましょ」
海未「練習もなるべく早く切り上げて明るいうちに帰れるようにしたほうがいいですね」
凛「なんかつまんないにゃー……」
花陽「仕方ないよ凛ちゃん。早く事件が解決するといいよね…」
穂乃果「じゃあ、帰ろっか。みんなでお揃いの防犯ブザー買って帰ろう!」
希「いいやん!お揃い嬉しー♪」
絵里「もう、希ったら。玩具買いに行くわけじゃないのよー?」
……1週間後……
穂乃果「んー!最近何もなくて平和だねぇ!」
海未「そうですね。あの事件の話もめっきり聞かなくなりました。」
ことり「福岡の方の事件の犯人は捕まったみたいだしとりあえず一安心なのかなあ」
花陽「ツバサさんも幸い深い傷ではなく今日から完全に復帰らしいですよ」
凛「じゃあ今日から今まで通りに戻れるのかにゃ!」
真姫「結局防犯ブザーは使わなかったけど。」
希「まぁまぁ、いいやん!お揃いやし♪」
絵里「希はえらくお気に入りねぇ」
穂乃果「にこちゃんは、最近変なことない?」
にこ「えぇ、まぁ特にはないわね。ただ……」
ことり「ただ?」
にこ「こころの帰りが異常に遅い時があるのよねぇ」
希「友達と遊んでるとかやないん?」
にこ「そうなのかしらね。今までこんなことなかったからちょっと心配なのよ」
真姫「あんまり気にすることないんじゃない?」
~~♪
穂乃果「だれー?」
にこ「あ、にこだわ。…………学校?」
ピッ
にこ「もしもし……はい、お世話になっております。はい、はい……え?今日はちゃんと家を出たはずですが……
…え?
こころが、学校に来てないって…どういうことですか……っ!?」
にこ「……っ、わ、わかりました、探してみます。あの、母の方には……はい、お願いします…いつもすみません……はい……」
ピッ
穂乃果「にこ、ちゃ……」
にこ「ここ1週間……ほぼ、毎日学校に行ってなかったらしいわ……。行ってても途中で帰ったりしてたみたい。
……っ、なんで」
海未「あの、にこ……すみません。学校側は、その…そういった話はまずご両親の方に話さないのですか?」
にこ「ママがいつもこっちにいるとは限らないし、出来るだけ負担はかけたくないのよ。
ただでさえ、こうしてにこたちが生きていけるだけのお金を稼いでくれてるっていうのに。
だからいつも面談とかじゃない限り、連絡はにこの方にしてもらうようにしてるの。
ごめん、みんな。にこはこころを探しに行かなきゃ」
穂乃果「なら、みんなで探そう!」
絵里「そうね。9人もいればすぐ見つかると思うわ」
にこ「みんな……ありがとう」
にこ「こころーー!!!」
穂乃果「こころちゃーん!!」
真姫「こころちゃーん!」
凛「どこにいるにゃー!!こころちゃーん!」
こころ「お……ねえ…さ、ま」
にこ「っ、こころ!?!」
ここあ「っ……にこにー…」
にこ「ここあまで……!
あんたたち今までどこで何してたのよ!!?」
希「ま、まぁまぁにこっち!見つかったんやからええやん…!」
凛「見つかってよかったにゃ……!」
真姫「……ちょっと待って。
どうして2人ともそんなにあちこちに傷がついてるの?
服もあちこちほつれてるし…どこに行ってたの?」
こころ「そ、それ……は、」
ここあ「公園で、遊んでて……」
にこ「……学校を、さぼってまで?」
こころあ「「……!」」ビクッ
ことり「に、にこちゃん!!!にこちゃん大変なの…!虎太郎くんが…っ」
にこ「え……?」
こころあ「「……っ!!」」
今日はここまでです
にこ「こ……虎太郎…どうしたのよ…その腕の傷…」
ことり「あっちの方でうずくまってたの…とりあえず簡単な止血したけど…」
ここあ「そ、それは、虎太郎が転んで…」
にこ「ここあは黙っててっ!!」
ここあ「……!」
にこ「ねぇ、それ誰にやられたの!?誰かにやられたんでしょう!?」
虎太郎「………」
にこ「ねぇ、なんで黙ってるのよ……何か言いなさいよ!!!
こころも!ここあも……っ!虎太郎も!!
なんで、なんで何も言わないのよぉ……っ!」
真姫「に、にこちゃん落ち着いて……!まず3人を落ち着かせないと、」
にこ「こんな状況で落ち着けって!?無理よ!!余計な口挟まないで!」
真姫「っ!」ビクッ
こころ「……ごめん、なさい」
ここあ「…っ、こころ、あの話は内緒にしようって……!」
こころ「でも!…でも、ここまで来てお姉さまにこのまま何も話さないわけいきません…っ」
ここあ「そう……だよね…虎太郎も、いい…よね?」
虎太郎「…。」コクン
こころ「お姉さま…今まで黙っていてごめんなさい。今日までのこと、全部話します…」
……1週間前……
ここあ「やっとお金貯まったね!」
こころ「はいっ、これでいちごが買えます!」
ここあ「にこにー喜んでくれるかなあ」
こころ「きっと喜んでくれますよ!ね、虎太郎!」
虎太郎「よろこぶー」
ここあ「えへへ、にこにーびっくりするだろうなあ!早く買って帰らないとね」
こころ「そうですね、もう少しで練習も終わる頃でしょうし…………、……?」
『みーつけた。』
こころ「…あ、あの……?そこ、避けてくれると嬉しいのですが…」
ここあ「スーパーにいちご買いに行かなきゃいけないの」
虎太郎「いちごー」
『お嬢ちゃんたちさあ、スクールアイドルμ’sの矢澤にこって知ってるよね?』
ここあ「にこにー……?」
こころ「矢澤にこは……私達の姉ですが何か…」
『やっぱり!ねぇ、お兄さんがイチゴ買ってあげようか。』
ここあ「……え?」
『お兄さんの後に付いてきてくれたらいくらでも好きなもの買ってあげるよ、どう?』
こころ「……ここあ、行きましょう」
ここあ「うん。
お兄さん、ごめんね、いちごはにこにーの為にここあたちが自分で貯めたお金で買わなきゃ意味ないの。……こころ、行こっ」
『へぇ……』
ドカッ
虎太郎「…っ!…ぅ」
こころ「……!虎太郎……!!!!」
ここあ「ちょっと!!虎太郎に何するんだよ!」
こころ「虎太郎、大丈夫……!?」
『ちょーっと蹴飛ばしたぐらいで大袈裟だねぇお嬢ちゃんたち。
でも。
お嬢ちゃんたちが俺に付いてきてくれなかったらこの何倍も酷いことお姉ちゃんにしちゃおうかな〜?』
ここあ「に、にこにーに……!?やだ!!そんなのやだあ!!」
こころ「何が、目的なんですか……!」
『それはここじゃ教えられないかな〜、お姉ちゃんを守りたかったら来てくれた方が無難だと思うけどね。』
こころ「……っ、…ここあ、」
ここあ「……?」
こころ「虎太郎と一緒に家に帰ってください」
ここあ「!?な、何言ってんのこころ!?それじゃあこころが…!」
こころ「虎太郎を今守れるのはここあしかいません!いいですかここあ、虎太郎。このことはお姉さまには絶対内緒ですよ。
私だけがスーパーにいちごを買いに来たことにしてください。
お姉さまに心配をかけてはいけませんよ」
ここあ「でも……でも…」
こころ「ここあ!!」
ここあ「……っ!は、早く帰ってきてね……っ」
ダッ
『……じゃあ、行こうか。
こころちゃん。』
こころ「……はい」
……倉庫……
『さ、入って入ってこころちゃん』
こころ「…こんなところで何をするつもりですか」
『まぁまぁ、そんな警戒しないで。お兄さんとちょっと楽しいことでもしようよ』
こころ「楽しい…こと……?」
『そうそう、ね、こころちゃんこれなーんだ?』
こころ「……は…り…」
『ピンポーン、これは針。裁縫とかに使う普通のマチ針だよ。
これをどうすると思う?』
こころ「……?……!やっ…!?」
『はい、暴れない暴れない。
そんなに痛いことはしないから、ね?』
こころ「やめてください!!!!」
『お姉ちゃんがどうなってもいいの?』
こころ「……っ!」
『いい子だねこころちゃん。
でも次言うこと聞けなかったらこの針でどこを刺すか分からないからね?
もしかしたらもーっと太い針でお姉ちゃんのこと刺しちゃうかも』
こころ「そ、それだけはやめてください!!お願いします、お姉さまだけは……!」
『あははっ、こころちゃんはホーントいい子だねえ
じゃあ、明日から毎日午後13時半にここに来てくれるかな?』
こころ「そんな、学校があります……!」
『学校なんてサボっちゃえばいーじゃん。
それともお姉ちゃんのことより学校の方が心配?』
こころ「……っ、わ、わかりました…」
『うん、いい子だね。よし、じゃあ今日は終わり。
ここまで一人で来たお礼に、はいどうぞ』
こころ「……いちご」
『それを持って今日は帰りな。ちょうどお姉ちゃんが近くに迎えに来てるみたいだし』
こころ「……!」
『じゃあ、こころちゃん。"また明日"ね』
…次の日…
ガラ……
『おー!こころちゃんいらっしゃーい。』
こころ「…はい」
『そんな沈んだ顔しないで。
それより昨日のこと、お姉ちゃんに話したりしてないよね?話したりしてたらー……』
こころ「しっ、してません!!!してませんから!」
『そっ、ならよかった。
じゃあ今日は服を脱いでもらおうかな』
こころ「……えっ…」
『?意味がわからなかった?
服を脱いで裸になってくれる?』
こころ「……っ」ガタガタ
『そんなに震えないで。
大丈夫、ちょーっと写真撮るだけだから、ね
こころちゃんが逆らった時用にいつでもばら撒けるように』
こころ「いっ、嫌です!そんな…!」
『…………』
ブスッ
こころ「……っ!!??!っ、あ…ぁ…」
『どう?針を体に勢いよく刺されたのなんて初めてでしょ?痛い?』
こころ「っ…、ぁ…」
『そんなに痛かった?ははっ、ごめんね?
ほら、こころちゃん。言うこと聞いてくれるよね?」
こころ「……っ、っ…ぅ…」
プチン…プチン……
バサッ…
『ほらほら、泣かない泣かない。可愛いよ、こころちゃん』
カシャッ
『こっち向いて。…そう、笑って』
パシャッ
カシャッ
こころ「………………。」
……1週間後……
『いらっしゃーい、こころちゃん。
あれ、今日も元気ないね?昨日遊んだのが響いちゃったのかな?』
こころ「……」ガタガタ
『まぁまぁ安心してよ。今日は殴ったり蹴ったりそんなこと一切しないからさ』
こころ「……」ホッ…
『公園にここあちゃんと虎太郎くんを呼んでるよ。行こうか』
こころ「……っ!!!!」
……公園……
こころ「んんんん!!!んん!!!!!!」
『こころちゃんちょーっと煩いなあ?口塞いでるんだからもう少し静かにしてくれてもいいんじゃない?』
こころ「んんん!!んぐっ、ふうう!!!」
『ここあちゃんとこれから遊ぶんだから邪魔しないでね?……まぁ、その手足縛られた状態じゃ無理だと思うけど』
ここあ「……っ」
『じゃあ、ここあちゃん。あーそぼ?』
ドスッ
ここあ「ーーーーー!」
『やっぱり女の子は軽くて柔らかくていいねえ、蹴り甲斐がある』
ここあ「げほっ……かは…ぅえ……」
こころ「んんんん!!!んーーー!!!」
『こころちゃん、ちょっと黙ろう、ね』
ドカッ!
こころ「ーーー」
『あははっ、可愛いよ2人とも。こんなところお姉ちゃんが見たら発狂しちゃうかもね』
こころあ「「……!」」
虎太郎「……」
『じゃあ最後に……、!?!?いっ!?』
ここあ「虎太郎!!!!」
『……チッ。ガキのくせに俺の足に噛み付いてんじゃねぇよ…』
カチャ…
ここあ「……!?だ!だめ!!!やめて!!!虎太郎!逃げて!やめてええええ!!!」
ザクッ
虎太郎「……!」
ドサ…
ここあ「……ぁ……あ…こ、たろ…」
こころ「ーーーーーー!!!!」
『腕にちょっと刺しただけだっつーの。死にゃしねーから安心しろ。
……っと、ほら、お前らの"お姉さま"のお出ましだ。さっさと行きな。』
こころ「……っ、ぷはっ……、げほっ…ごほ……っこ、こんなことして、許されると思ってるんですか……!?」
『……こころちゃん、これ、なーんだ?』
こころ「……!!!!」
『ばら撒かれて困るのは誰かな?きっと世間に色眼鏡で見られるよね。君のお姉さまも例外じゃない。
そんなんでスクールアイドルなんてやっていけるかなあ?ね、こころちゃんどう思う?』
こころ「……ぁ…」
『俺の目的はね、μ’sを再起不能にして、A-RISEに絶対勝利の道を歩んでもらうことなんだ。
つまりμ’sが邪魔なわけ。』
こころ「で、でもこの間A-RISEは……」
『うん、刺されたねえ。…誰かは知らないけど』
「こころーー!!」
「こころちゃーーん!!」
『ほら、みんなが呼んでるよ?
この写真は近々君の元に返すよ。
じゃあまたね、こころちゃん。』
にこ「………………ぁ」
にこ「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
少しの胸糞はまだいいとして最後犯人が勝ち逃げなんて展開はやめてくれよ…
少なくとも俺にとって一番の胸糞はそういう展開
にこ「な、なんで!!!!!どうしてあんたたちがこんな目に!!!!!!
あああああああ!!!!!!ごめんなさい!!ごめんなさい!!
にこが!にこが!!スクールアイドルなんて!μ’sなんてやってるせいで!!!!
全部にこのせいだ!!!!!にこが!!!生きてるから!!!!外を歩いてるから!!!
ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!!!!!
ああああああああああああああ!!!!!!
にこなんていなければよかったのに!!!!
そうすればこころたちはこんな目に遭わなかったのに!!!!!!!
ごめんなさい!!!!!ごめんなさい!!!!!」
希「にこっち!!にこっち落ち着いて!!!!にこっち!!!!」
にこ「近づかないで!!!!!!あんたたちといたらまた妹たちが狙われるわ!!!
もうμ’sなんてやめる!!!!アイドルになんて妹たちを傷つけてまでなるものじゃない!!!!!
こんなことまでしてなる資格なんてない!!!!
もう私たちに関わらないで!!!!」
真姫「に、にこちゃ…っ」
にこ「もう無理もう無理もう無理もう無理ああああああああああああああ!!!!!!!!関わらないで近づかないで!!!!」
こころ「ご、ごめんなさいみなさんっ……今日は家に帰らせてください……!!さようなら!ここあ、虎太郎…立てる…?」
ここあ「うん……」
穂乃果「…………なんで」
>>50
犯人が勝ち逃げすることはありません。
つまり、誰かが……?
凛「……なに、これ」
絵里「……」
真姫「にこちゃんは、もう、μ’sに戻ってこないってこと……?」
海未「こんな……こんなことがあっていいのですか……っ!!」
ことり「警察…!警察に話そうよ!それで犯人を、」
希「無理や」
ことり「ど、どうして……」
希「……今は、無理や…にこっちは誰のことも信用できんくなってしまってる。
きっとにこっちはもう、あの家からは出てこない…」
花陽「そんな…そんなのって……」
穂乃果「……っ…なんで、なんでよ……なんでよぉ……っ」
海未「穂乃果……っ」
穂乃果「にこちゃんたちが何をしたの!私たちが何をしたっていうの!!!なんで!なんでよ!!!
もう、こんなことやめよう!?誰かが傷つくならμ’sなんてやっても意味ないよ!!!もう解散にしよう!?ねぇ!それでーーー」
パァンッ
穂乃果「ーーーえ、り…ちゃ」
絵里「頭を冷やしなさい。今日はもう帰るわよ」
真姫「まっ、待ってよ絵里、そんなのいくらなんでも……」
絵里「帰るって言ってるでしょ!!!」
真姫「!」ビク
海未「……今日は、落ち着く時間が必要かもしれません…とりあえずここにいても意味はないですし、絵里の言う通り帰りましょう…」
『……矢澤にこ、脱落。っと。
ははっ、大した姉妹愛だったねぇ感激するわ。
……次は……あの子かな。』
【 μ’s……残り8人 】
絵里「……大丈夫?希」
希「大丈夫なわけ、ないやん……えりちやってそうやろ?無理してみんなまとめてたんやろ?」
絵里「誰かが、やらなきゃいけなかったことよ…」
希「……今日、家に泊まって行かへん?」
絵里「…………ごめんなさい。そうしたいのは山々なのだけれど…亜里沙が心配だから…」
希「にこっちのことがあったばっかりやもんね。えりちも、気をつけてな?……送ってくれてありがとう」
絵里「えぇ、ありがとう希。希も気をつけて。また明日」
希「うん、また明日」
キィ……バタン……
ガサ……
希「………今日も、来てる」
【 1人は寂しい?】
希「……ほっといてよ、毎日毎日これだけ。
本当…なんの嫌がらせなんよ、もう…。」
ーにこちゃんの家のポストに「見つけた」って書いた紙が……ー
希「……まさかね。」
希「寂しくないわけ、ないやん」
希「あんなことがあって……にこっちも大変なことになったのに、えりちに自分が寂しいからっていう理由で傍にいてほしいなんて…そんなのただの我儘、だよね」
希「えりちには、亜里沙ちゃんだっている……ウチには入り込めない大切な人がいるんやし」
ピンポーン
希「!だ、誰……?」
希「どなたですか……?」
??「私よ」
希「!!」
ガチャッ
希「えりち……!帰ったはずじゃ…」
絵里「えぇ、帰ったわよ?亜里沙の様子を見るために……と、泊まりの準備をするために、ね」
希「えりち……」
絵里「亜里沙は全然元気だったから、今日は家の外に出ないように言って来たわ。
だから大丈夫よ、希、泣かないで」
希「う、ウチ……泣いてなんか……」
絵里「もう、意地っ張りなんだから。よしよし」
希「……っぅ……ぐすっ…」
絵里「今日は一緒にいてあげるから。ね?」
希「うん、うん…ありがとう…っ」
絵里「……ん?」
ガサッ
希「あっ」
絵里「希……これ、何?」
希「……ここ最近毎日ポストに入ってて…。
いつも文章は【1人は寂しい?】なんやけど、なんか気味悪いやんな…」
絵里「それ、まさかにこの……」
希「…分からん。絶対違うとは…言えない」
絵里「希、警察に行きましょう」
希「で、でも、」
絵里「にこのことで分かったでしょう?大丈夫だと思ってても裏では何が起こってるか分からないのよ。
希にも何かあったら私……っ」
希「大丈夫やでえりち。こんなのただの嫌がらせやろうし。…それに、お父さんとお母さんに迷惑かけるわけにはいかんもん。」
絵里「希……あなたはもっと我儘いっていいのよ?」
希「我儘ならいつも言ってるやん?」
絵里「もっとよ。…ねぇ、何かないの?私にも希のために何かさせて」
希「……じゃあ…」
希「ウチに、何か……もし、何かあったらずっと傍にいてくれる……?」
絵里「……。」
希「ご、ごめん!やっぱり今の無しにしよっ
んー、なんか美味しいもの食べにいきたいかなー!」
絵里「希」
ぎゅっ…
希「っえ、り」
絵里「約束するわ。絶対……絶対、あなたに何かあったらずっとそばに居る」
希「あり、がと……ウチも、えりちに何かあったら、ずっと傍にいる……」
絵里「ふふっ……本当希は甘えんぼさんね」
希「えりちもやん?」
絵里「私達似てるのかもしれないわね」
希「そうかもなあ」
絵里「……明日も早いし、さっさとご飯食べてお風呂入って寝ちゃいましょうか」
希「新婚さんみたいやね?」
絵里「もう、ばか」
……にこ家……
にこ「…………」
こころ「すーすー……」
ここあ「すー……」
虎太郎「……ぐぅ」
にこ「……この子達には、何の罪もないのに。」
にこ「やっぱり……このままじゃ、いけない、っ」
ピッピッ…ピ……
〜〜〜♪
にこ「ひっ!?!?」ビクッ
にこ「だ、誰よ……公衆電話…?」
ピッ
にこ「もしも……」
『にこちゃーん、元気?』
にこ「……誰よ、あんた」
『まぁまぁ、そんなに怒らないで。ほら、にっこにっこにー!だよ。』
にこ「……(なにこれ悪戯?…まぁいいわさっさと切…)」
『警察に連絡なんてしたらどうなるか分かってるよね?』
にこ「!!!!あ、あんたまさか、」
『にこちゃんのせいで、妹ちゃんたちがあんな目に遭うなんて可哀想だなー。ね、そう思わない?
あ、そうだ。
にこちゃんにお土産持ってきたんだよ。
はい、どーぞ!』
ガタンッ
にこ「!?(玄関!?)」
ダッ
ガチャッ
にこ「どこに…っ!!!」
にこ「……い、ない…?」
『にこちゃん焦りすぎー。裸足のまんま外に飛び出すなんて、アイドルがすることじゃないね、あははっ』
にこ「!!(近くにいるの!?)」
『あー探しても無駄無駄。ねぇ、にこちゃん。
ひとつだけ提案があるんだけど、まず家のポストに入ってる俺からのプレゼントを見てくれないかな?』
にこ「……っ」
ガタン…ガサ……
にこ「……!!!!!こ、れ……っ、ぁ…」
『どう?よく撮れてるでしょ、こころちゃんのヌード写真。
今は一枚しか見せられないけど、これからのにこちゃんの行動次第でたーくさん見ることができるよ。
それも、"たくさんの人"が、ね。』
にこ「……何が、望みよ……っ」
『やだなあ、自分で言ってたじゃないか。
μ’sなんてやめる!って。それを実行してくれたらいいんだよ』
にこ「っ、」
『あれー?妹ちゃんたちあんな目に遭わせといてまだみんなを笑顔にさせるアイドルになんてなりたいなんて考えてる?』
にこ「やめて、やるわよ……μ’sなんて……っ」
『それでこそ音ノ木坂学院アイドル研究部の部長さんだね、……退部おめでとうにこちゃん!』
にこ「それで、もうこころの写真はばら撒かないでくれるのよね……?」
『うん、そうだね。まぁもしこれからもμ’sのみんなと関わろうなんて思ってたら話は別だけど』
にこ「みんなと友達をやめろっていうの!?」
『妹たちと友達。にこちゃんにとって大事なのはどっちかな?すぐ答えは出ると思うけど』
にこ「……」
『賢明な判断をよろしくね。"元"スクールアイドルμ’sの矢澤にこさん』
…………ツーツー
にこ「にこが……こころたちを守らなきゃ……にこが……にこしかないないんだから……学校に行ってる暇なんて、ない。スクールアイドルやってる時間なんてないの。
これは3人を守れなかったにこへの罰よ。
当たり前じゃない……当たり前…」
……次の日……
絵里「ど、ゆことですか理事長」
希「嘘、ですよね……?」
理事長「非常に……残念ですが…」
絵里「本当……なんですか…」
理事長「えぇ……矢澤さんは、今日付けで音ノ木坂学院を自主退学しました」
希「……っ、こんな、ことって……!」
…部室…
凛「う…そ、だよね?」
穂乃果「ちょっと……待ってよ…」
海未「にこが…自主退学……?」
真姫「……ちょっと、何言ってるのよ。
そんなの冗談よね?」
希「冗談やったらウチやってそう信じたい!!でも嘘やないんよ!にこっちはもうここには一生戻ってこないんよ……っ」
凛「嘘。」
絵里「……っ凛、」
凛「嘘だよ!!!にこちゃんは誰よりアイドルになりたかったんだよ!?
スクールアイドルはアイドルへの一歩だったんだよ?
なのに学校辞めるなんておかしいよ!!
みんなを笑顔にさせるアイドルになるにこちゃんが、こんな簡単に諦めるわけない……っ!!」
花陽「なんで、なんでこんなことにぃ……っ」
ことり「にこちゃん…」
真姫「……昨日、にこちゃんから変な電話が来たの」
穂乃果「……なんて?」
真姫「"今まで夢を見させてくれてありがとう、楽しかった。きっとみんななら世界一……ううん、宇宙一のアイドルになれるわ。
だからにこが居なくても、頑張りなさいよ"って…
そんなの、そんなのにこちゃんがいなかったら意味ないのに……っ」
穂乃果「……目指そう」
絵里「穂乃果?」
穂乃果「何が何でも、ラブライブ勝ち残ろう。いつでもにこちゃんが帰ってきて大丈夫なようにしよう。
絶対絶対、優勝しよう……っ」
海未「……穂乃果…、そう、ですね…頑張って気持ちを切り替えましょう……
このままではいけません……!」
凛「うんっ……にこちゃんが、寂しくて寂しくて帰って来ちゃっても大丈夫なように居場所を作っておくにゃ!!」
真姫「にこちゃんセンターの曲……今から作っておくわ…!」
花陽「わたしもアイドルのこともっともっと勉強します……っ」
ことり「ことりも、とっておきのにこちゃんの衣装!すーーっごく可愛い衣装作っちゃうんだからっ」
絵里「みんな……」
希「……落ち込んでる暇は、ないようやね」
絵里「そうね、……頑張りましょう、みんな!!」
……希家……
希「……にこっち。なんでいなくなっちゃったん…」
希「会いたい……けど、今は逆効果やんな。
また、9人で笑い合える日が来たらいいな…」
ガタン!
希「っ!?誰……!?」
希「……!また……この紙……」
【 1人は寂しい? 】
希「寂しい、よ……決まってるやん……
……ん?まだ何か書いて…」
【 2人なら寂しくないね。 】
希「2人……?……んー…まぁ、確かに2人なら寂しくないやろうな。
ルームシェアってやつ?……えりちとだったら幸せやろうなあ」
〜♪
希「あっ、噂をすればえりちやん…」
ピッ
絵里『もしもし、希?』
希「えりち?どうしたん?」
絵里『にこのことなんだけど』
希「にこっち?」
絵里『そう。今日ちょっと気になってたの。
自主退学の場合、保護者の連名による退学届けが必要になるわ。
そして、退学になるにはその為の審議が必要になるの。
……昨日の今日でいくらなんでも早すぎると思わない?』
希「でも、にこっちはもう退学ってことになってるんやろ?」
絵里『そうなのよ……それがおかしいと思って…』
希「……脅されてる、とか?」
絵里『まさか。その時点で逆探知で犯人が捕まるわよ』
希「そうやんなあ……んー……わからん…ごめん」
絵里『そうよね……ごめんなさい、夜遅くに変な話をして』
希「いいんよ、えりちの声きけて嬉しかったし。じゃあまた明日」
絵里『えぇ、また明日』
希「保護者の連名……。にこっち、お母さんに全部正直に話したんやろか…」
希「あんな状態やったし、お母さんが気にかけて全部分かったのかもしれんよね。
そしたら、こころちゃんとここあちゃんの証言を元に犯人も捕まるやろうし……」
希「いい方に運命が傾くといいなあ。μ’sは9人揃ってこそなんや。一人欠けたら意味ない。」
希「……眠くなってきちゃったかな、そろそろ寝ーーー」
ドンドンドンドン!!!!
希「ひ……っ!?」ビクッ
希「な、なに……?誰……っ!?」
希「(ふ、不審者!?……まさか、にこっちの…?)」
ドンドンドンドン!
ドンドンドンドン!!!
希「……ぁ」ガタガタ
『あ、間違えた……』
希「……?……あ、れ?(いなく、なった?)」
シーン……
希「酔っ払った男の人……だったのかな……
びっくりしたあ……」
希「怖かった……な……はぁ……」
希「(あれ……でも、この階に住んでる男の人いたっけ…?
引っ越してきたのかな……)」
…次の日…
希「ふぁ……」
絵里「どうしたの、希?寝不足?」
希「そんなとこ……(昨日のこと、えりちには話さんほういいよね、心配かけるし)」
絵里「いろいろあったものね…寝付けないのも無理ないわ」
希「えりちは大丈夫?寝不足?」
絵里「ちょっとだけね」
希「無理せんでな?」
絵里「希こそ」
希「…………」
絵里「にこがいないと……静かよね」
希「……うん」
…部室…
凛「にこちゃんがいないと静かだにゃ……」
花陽「さみしいね…」
海未「2人とも。寂しがってる暇はありませんよ。
今日から新曲を練習しますからね!」
凛「えぇえ!?新曲!?」
穂乃果「センターは!?」
海未「にこですよ!しっかりサポート出来るように皆さんきちんと練習して下さいね!」
ことり「真姫ちゃんすごいっ、1日で作っちゃったんだね♪」
真姫「ま、まぁ私が本気になればこんなものよ!」
希「にこっちも大喜びやね!」
絵里「ええ!じゃあ気合いれていきましょうか」
穂乃果「うんっ!!いくよ、みんな!」
8人「「にっこにっこにー!!!」」
……希家……
希「(……寝れない)」
ごろん…
希「(……明日は、休みかあ。
練習もお休みやし……どこか出掛けようかな?)」
ごろん…
希「(そういえば、あの変な紙も【2人なら寂しくないね。】ってやつから来てないし…やっぱり悪戯だったんかなー)」
希「(んー……なんか、安心したら…眠……く……)」
希「……すー、、」
ピンポーン
希「……んん」
ピンポーン
希「……?ん…もう朝…」
『宅配便でーーす』
希「(宅配便……お母さんかな……)はぁい…」
ガチャ
希「ふぁ……今、判子を……」
『 みーつけた。 』
バタンッ
…………ガチャッ
希「……!?んん!んんっー!?」
『こらこら、静かにしてなきゃダメだよ希ちゃん』
希「(息が……!息ができない!!)」
『ちゃんと相手を確認してから出ないとね?
じゃないと、ほら。こんな簡単に捕まっちゃう、よっ!』
ドサッ
希「ーーーー!っかは…っ、ごほっ、げほっ…!
あ、あなたは……っ!?」
『好きなように呼んでくれていいよ?
さ、希ちゃん。一緒にたーっくさん遊ぼうね』
希「やっ……!!!!っ!んぐっ!!」
『あーあーもう、ダメだよ煩くしちゃあ。大人しくしてくれないと。……死にたいの?』
希「…!?(包丁!?や、やだ……っ殺されたくない!!嫌だ!!!えりち!えりち助けて……!)」
『ちなみに希ちゃんの最愛の絵里ちゃんは今日妹の亜里沙ちゃんと隣町で買い物みたいだからここにくるとしたら少なくとも夕方じゃないかな?』
希「ーーーーー」
『あははっ!その絶望した顔かーわい!もっと見せてよ。おかしくなるぐらい、ね?』
希「……なん、で…こん……な…ひ、ど…」
『…じゃあ希ちゃん。大人の遊びをたーっぷり教えてあげるよ。
まず、これ飲んでもらおうかな』
希「……!?んん!?」
『変な薬じゃないよ。ピルっていうの、分かるよね?
中出ししても妊娠しないように出来る薬だよ』
希「なかだ……し…っ、て……ま、さか」
『あははっ、分かっちゃった?
ねぇ、希ちゃんって処女?あはっ、嬉しいなー
そしたら俺が希ちゃんの"初めての男"だね』
希「や……め、……おね、が……ぐっ!」
『騒がれると面倒だから、口にタオル詰め込むね。
あとはこうして手を縛って……と。
……もっと抵抗するかと思ったけど、それどころじゃないかな?』
希「ーーー!……!」ガタガタ
『じゃあ、いくよ。希ちゃん』
ググッ……ブチィッ
希「ーーーーーーーー!!!!!!!!!」
希「ーーー!!!〜〜〜!!!!」
『あははっ、やっぱり処女だったんだねえ希ちゃん。
純粋だなあ、俺好きだよ全く汚れてない子。
……汚し甲斐があるじゃん?』
グッ……ググッ……
希「(痛い!痛い痛い痛い!!!!嫌だ助けて!助けて助けて!!!!誰か!助けて……!!!)
……っんんんっ!?」ビクッ
『……へぇ。希ちゃん気持ちいいの?濡れてきたけど』
希「!?んんん!!んんんん!!!(違う!違う違う違う!!!気持ちよくなんかない!!痛い!苦しい……っ!)」
『希ちゃんって胸大きいよねー。揉んでも、ふわふわして気持ちいいし。
ねぇ何食べたらこんなに大きくなるの?』
希「ーーー!!!んんん!!」
『…あっ、ねえねえ希ちゃん!』
希「……?」
『希ちゃんってファーストキスまだだよね?』
希「……!」
『やっぱり。じゃあしてあげるね。ファーストキス』
希「!?んぐっ!!んん!!!んんんん!!!」
『処女奪われたのにファーストキス守るとか面白いなあ希ちゃんは。でもね、そーゆー態度は余計煽りになるってこと、覚えておいたほうがいいよ……』
希「………!」
ちゅっ…くちゅ……
希「ん!んんんっ……!ぁ……っは…んん!!」
『……はい、ごちそうさま』
希「……っく……ひ…っぅ……」
『あ、ねぇ希ちゃんこれ何?みんなの写真?』
希「そ、れは……やめ……っ」
『へぇ、大事なものなんだ?
こんなの飾っちゃって希ちゃんも女の子だねぇ』
希「さわら、な……いで……!」
『……無駄だよ。だってμ’sはなくなるんだから』
希「なくな……る…?」
『そう。μ’sは存在してはいけない。だから、これも…』
カチカチ……
ボウッ
希「まっ……!!!」
『灰になるんだよ、全部』
希「……っ!やめて!!!やめてよ!!!!燃やさないで!それは大切な写真なの!ウチの大事な!大事な……っ!」
『じゃあ次はこれも燃やそうか?』
希「やめてええええっ!!!ウチのタロットカードにさわらないで!!!!!やだ!いやだあああっ!!!」
パラパラ……
希「ーーーーーー……」
『希ちゃんって強いねえ。……もっといろいろしたくなっちゃうな』
希「……も、やめ……て、よぉ……っ」
『俺が飽きるまで付き合ってよ。それぐらい強い希ちゃんなら余裕だよね?
ほらタオル噛んで、これからもっと遊ぶんだから』
希「い……や…、んぐ……っんんんんん!!!!!!」
希「……………………」
『お疲れ様、希ちゃん。
すーっごく楽しかったね、ありがと。
俺に汚された体でまだアイドル続ける気ならそれでもいいと思うけど、この全身キスマークだらけの体が世間に公表されたらきっとビッチアイドルとしてμ’sも有名になるかもね』
希「………………」
『ショックで何も喋れないかあ、そっかそっか。
ねぇ、希ちゃん。いいこと教えてあげるよ。
絵里ちゃんならきっと、"何があっても"、"どんな時でも"君の味方になって傍にいてくれるよ。
1人なら寂しくても、
2人で堕ちちゃえば寂しくないんじゃないかな?
じゃあ、またね。"元"スクールアイドルμ’sの東條希さん。』
バタンッ
希「え……り」
希「えりち、なら……ウチの、そばに……」
ピッ……
絵里「……な、によ……これ……」
希「え、り……」
絵里「希……!!希、しっかりして!!……っ誰にやられたの!?こんな、こんな酷いこと……!」
希「えりち……えりちは、ずっとずっと傍にいてくれるんよね……?
ウチのこと1人になんかしないよね……?
2人なら……寂しくないよね?」
絵里「当たり前でしょ……!こんな状態のあなたを1人になんてしない!
希が望むならずっとずっと傍にいるわ!!!
1人になんてしない……!」
希「よかった……。これで、ずっと一緒……」
絵里「と、とりあえず警察に電話……」
希「えりち……やめて…?誰に電話する気?」
絵里「えっ…?」
希「ウチがいるのになんで携帯なんかもってるの?
1人にしないって言ったやんな……?」
絵里「え、えぇ……でも、希このままじゃ、」
希「いいのっ……!ウチにはえりちがいたらそれでいい!!……えりちは違うん!?」
絵里「(……いろいろあって混乱してるのかしら…連絡はまた後にしましょ…)
ううん、ごめんね希。
私も希がいたらそれで十分よ」
希「……ふふっ、えりち大好き」
絵里「私もよ、希」
希「ねぇ、えりち」
絵里「なぁに希」
希「どこにも行かないでね?」
絵里「分かったわ、行かない」
希「ねぇ、えりち」
絵里「ん?」
希「キスして?」
絵里「えっ……?」
希「だめ?」
絵里「え、いや、その……でも私達、」
希「…汚いから?」
絵里「のぞ、み?」
希「ウチが汚いからしたくないんやろ!?汚れてるって思ってるんやろ!?」
絵里「ち、違うわ……!希、落ち着いて…!」
希「えりちはウチのこと好きじゃないん!?」
絵里「す、好きよ!大好き……だけど…!」
希「なら、出来るやろ!?
ねえ……っ、してよ!ウチのこと大事ならしてよ!!」
絵里「……っ…」
希「…………もういい」
絵里「…希……?どこ、に…」
希「……えりちにさえ好かれてないウチなんかいる意味ないもんな……
もっと早くこうしたらよかった……あは…」
絵里「の、希……待ってよ……冗談でしょ…?」
希「冗談……?これが冗談に見えるの……?」
絵里「……っ、や、やめて……」
希「そうや、ウチは誰にも愛されてなんかなかったんや……あははっ…今までどうして気づかなかったんやろ……」
絵里「希、危ないから……っ、お願い、その包丁を捨てて……!」
希「死んだら楽になると思うんよ……今よりはきっと幸せになれる……
えりちがいない世界なんかウチいらんもん。
やからーー……」
絵里「やめてええええええっ!!!!」
バシンッ……ゴトッ
希「……なんで、止めるん…?」
絵里「いなくなって欲しくないからよ!!!お願いだからバカなことしないで!
私でいいならいくらでも傍にいるわ!希がしてほしいことなんでもする!!
だから!だから自分から死ぬなんてそんな悲しいことしないで……!」
希「ウチ……生きてていいん……?
えりちは、こんなウチを愛してくれるん…?」
絵里「えぇ……愛してるわ、希……っ」
『東條希、絢瀬絵里……も脱落かな。
依存ってのは怖いねー、共依存なら尚更。
ね、"2人なら寂しくないよね"?
あははっ
嘘の恋人ごっこってそんなに楽しいかなー?
結局自分が何を大切にしてるかもわからずにただ堕落していく。
面白いねえ……ははっ』
【 μ’s……残り6人 】
とりあえず本日はここまでですー。
お付き合いいただいてありがとうございました!
次はちょっと気の弱そうなあの子かな……
おつです
かよちん逃げて!
ところで主さん……
心が痛くならないかい……?
なんか簡単に精神崩壊してるような感じするなぁ
とりあえず乙
>>96
ありがとうございます!
正直いつもはシリアスながらもハッピーハッピーエンドのSSを書いていたので、今回のSSは割と心にきますね……
書くなら中途半端ではだめだ!となるべく濃密に書かせていただいております…
…………………
他のSSが気になる方は
穂乃果「忘れちゃうなんてひどいよ」
花陽「自分にできること」
などを読んでみてください♪
口直しにはなるかも……?
>>97
なるべく順序を踏まえて精神崩壊への描写を書いているつもりなのですがやはり陳腐に見てしまいますかね……
もっと段階を踏めるように頑張りますね
…次の日…
絵里「ん……朝…?……希は…まだ寝てるわね。
今のうちに準備でもしちゃおうかしら。…起こさないように…」
そっ……
希「……!い、いやあああああ!!!」
絵里「!?の、希!?」
希「行かないで!えりち、行かないで!!!1人にしないで……!」
絵里「希落ち着いて!私はどこにも行かないわ!ここにいるから……!」
希「本当に?本当にどこにも行かない?」
絵里「えぇ、だから安心して」
希「よかった…」
絵里「じゃあ、私は着替えるわね」
希「えっ?」
絵里「え?」
希「なんで制服に着替えるん?」
絵里「なんでって……今日は月曜日よ?学校に行くんだから制服に着替えるのは当たり前で……」
希「なんで学校にいくん?」
絵里「……希?」
希「えりち……ウチを1人にするの……?」
絵里「で、でも、学校に行かないと……希に休んだ分の勉強も教えたいし、何よりμ’sの…」
希「えりちはウチよりμ’sのことの方が大事なん?」
絵里「そんなこと言わないでよ……比べられないわ。どっちも同じぐらい大切なのに、」
希「…そう」
絵里「(わかってくれた……?)
ごめんね、今日はゆっくり休ん……」
ドサッッ
絵里「ーーー!んっ……!?」
希「……んっ…ふ、……ちゅ、…あはっえりちの唇おいしい」
絵里「の、希……!やめて!私、学校……に、んんっ」
希「……行かせない」
絵里「の、ぞみ、」
希「えりちはウチの望むことなんでもしてくれるんやろ?ずっとずっと傍にいてくれるんやろ?
昨日約束したやんな?
それともえりちは約束簡単に破っちゃう人だったの?」
絵里「ち、が……っ」
希「行かせないよ……えりちはずっとここにいるの。
ウチのそばに……ずっと……」
ガリッ…!
絵里「いぃっ……!?!?」
希「ん……、えりちの血……美味しい……」
絵里「や、めて……こんなの間違ってるわ……!希、目を覚まして、こんなの希じゃない……っ」
希「…じゃあ、どんな"希"がウチなの?」
絵里「希は……っ、優しくて、いつも人のことばっかり考えて、寂しがりで甘えたなのに意地っ張りで!
私はっ、そんな希が大好きなの…!
お願いだから戻って……!いつもの希に戻ってよ…っ」
希「……ふぅん」
絵里「っく……ひっ……ぅ…」
希「じゃあ今のウチは泣くほど嫌いなんだ」
絵里「そんなこと言ってないでしょ……っ、ただ私は前の希に、」
希「勝手なこと言わないで!!!」
絵里「……っ」
希「…ウチはっ、もう無理なの!何もないの!
えりちしか必要ないの!!
えりちがいれば他に何も要らない、えりちがいなきゃ生きていけない……っ」
絵里「希……」
希「前の自分に戻れるならそうしたいよ!でも、もうどうしたらいいか分からんの……っ」
絵里「(……希には、私しかいない…。
私がいなければ希は生きていけない…。
私がいなければ希はこのままどんどんダメになってしまう。
私が希の傍にずっと居なければ…
希を助けてあげられるのは、私しかいないんだ)」
希「えり…ち、」
絵里「今日は、このままゆっくりしましょうか」
希「!!……うんっ!えりち大好き……!」
絵里「えぇ、私もよ。愛してるわ、希」
絵里「(私が希を支えなければ…)」
…部室…
穂乃果「えっ……絵里ちゃんと希ちゃんが、休み?」
海未「えぇ……今日は2人とも学校に来てないそうです」
花陽「何かあったのかなあ……」
凛「……」
ことり「凛ちゃん?」
凛「ねぇ、真姫ちゃん、」
真姫「何よ、真剣な顔して」
凛「凛ずっと気になってたんだけどね。
……どうして、にこちゃんは真姫ちゃんだけに電話したの?」
真姫「…!た、たまたまでしょっ?そんなのいちいち気にしてどうするのよ」
海未「実は私も気になっていました……。
普通、全員にとまではいかなくとも、連絡するならば希か絵里……もしくは穂乃果ではないのでしょうか。」
ことり「それは考えすぎじゃ……」
真姫「……ごめんなさい!!
本当は……"にこちゃん"から、電話なんて…本当は来てないの……っ」
凛「……嘘、ついたの?真姫ちゃん」
真姫「ち、違う!嘘、じゃないの!!確かにあれはにこちゃんの言葉だった!
でも、"にこちゃん"からの電話じゃなかったの…!」
花陽「真姫ちゃん……
ちょっと、分からないよ……」
穂乃果「……犯人」
真姫「!!」
穂乃果「犯人、だったんでしょ?」
真姫「……ぁ…」
穂乃果「……脅されてたんだよ、にこちゃん
きっと無理やり退学させられんだ」
真姫「ま、待ってよいくらなんでもそんなことできるわけ…」
海未「そうですよ……!だいたい、自主退学申請には保護者の連名が必要ですし、学校側の審議も必要ですよ!」
花陽「でも……にこちゃんが退学したのって」
凛「あの……次の日…」
ことり「いくらなんでも、早すぎる…」、
穂乃果「……おかしい」
ダッ
海未「穂乃果!?」
ことり「穂乃果ちゃん!」
ダッ…!
真姫「…………。」
*…*…*…*
真姫「にこちゃん……あんなことになって…、
もう…μ’sには戻ってきてくれないのかしら…」
〜〜♪
真姫「全くもう……誰よ、こんな時に、っ!?に、にこちゃん!?」
ピッ
真姫「にこちゃん!?大丈夫なの!?」
『ハロー真姫ちゃん。ご機嫌いかがかな?』
真姫「あ、あなた誰よ!?にこちゃんはどこなの!?」
『まぁまぁ落ち着いてよ。
にこちゃんなら今の俺の横で退学届を書いてるよ』
真姫「退学……っ!?」
『そう。にこちゃんは明日付けで音ノ木坂学院を退学しまーす。』
真姫「な、何言ってるのよ…、…!あ、なたまさか、」
『察しがいいねえ真姫ちゃん。』
真姫「あなたがこころちゃんたちを……っ!!」
『うんうん、こころちゃんは本当にいい子だよねぇ。
お陰ですっごく助かったよ。
こころちゃんのランドセルに入ってたにこちゃんの携帯番号の紙。』
真姫「……っ!」
『今のこの電話はにこちゃんの携帯からかけてるからね。逆探知しようとしても無駄だよ。
そして、これでμ’s全員の携帯番号、住所も知った。
にこちゃんって律儀だよねぇ……全員分の住所ちゃーんと登録してるんだから。
ねぇ、真姫ちゃん。君に選ばせてあげるよ。
にこちゃんが退学するのと、
μ’sのみんながズタズタに傷つくの、どっちがいい?』
真姫「……!そ、そんなのどっちも嫌よ!!」
『真姫ちゃんは欲張りだなあ。"どっちか"、だよ』
真姫「そ、そんな、」
『たった1人の為に君の居場所を捨てるか、
自分の居場所の為に、大事な人を捨てるか。
君はきっとこんなこと誰にも相談できないはずだよ。
相談したところで、なーんの意味もない。』
真姫「ど、どうして、」
『どうして?あははっ、それ聞いちゃうの?
俺知ってるんだよね。ほら、この間の部活で。
君は寝ているにこちゃんに
"何をした"のかな?』
真姫「ーーーーー!!!な、なんで知っ…」
『見られてないとでも思った?
やっぱり真姫ちゃんはにこちゃんのことがダイスキなんだね!
世間で"にこまき"なんて騒がれてるだけあるね』
真姫「に、にこちゃんには……言わないで……お願い、嫌われたくな……」
『なら、選んでよ。
どっちの方法が"にこちゃんにとっての幸せ"なのか』
真姫「わ、たしは、」
『あぁ、それともう一つ。
にこちゃんが退学しなかったその時は。
こころちゃんのヌード写真と一緒に、君が犯した部活での情事の写真も一緒にばら撒いてあげるよ』
真姫「そ、そんな」
『さぁ、真姫ちゃん。どっちを選ぶ?』
真姫「……っに、こちゃんを……退学、させてくださ…い……」
『あはははっ!!うん、さっすが真姫ちゃん!
俺の見込んだ通りの答えだよ!』
真姫「……っ」ギリ…
『じゃあそんな優秀な真姫ちゃんにひとつプレゼントをあげる。』
真姫「プレゼント……?」
『1分間だけ、にこちゃんと電話を変わってあげる。
その間好きなことを話すといい。
……はい、にこちゃん。』
にこ『真姫……っ!!!』
真姫「にこ、ちゃん、にこちゃん!無事なの!?ねぇ、今どこに、」
にこ『真姫、今までこんな不甲斐ない私を慕ってくれてありがと。
真姫は本当に面倒で意地っ張りで……ふふっ、でもにこは真姫のこと大好きだったわ』
真姫「そ、そんなの私もよ!ねぇ、にこちゃんこれで終わりなんかじゃないよね?
また会えるよね!?」
にこ『えぇ。いつか必ず。
……真姫、最後のお願い聞いてくれる?
みんなに伝えて。
"今まで夢を見させてくれてありがとう、楽しかった。きっとみんななら世界一……ううん、宇宙一のアイドルになれるわ。
だからにこが居なくても、頑張りなさいよ"って… 』
真姫「えぇ、分かったわ……絶対伝える!!約束するわ……!」
にこ『にこが学校からいなくなるからって死ぬわけじゃないんだからいつかまた会えるわ。
だから、その時までまたね、真姫ちゃん…』
プツッ
ツー……ツー……
真姫「にこちゃん……っ!!!ぅ…あ……うわああああああん!!!!」
*…*…*…*
真姫「……ごめん、ね…にこちゃん……」
……理事長室……
理事長「ですから、それに答えることはできません。
あくまであちらの事情であり、それは例え貴女達であっても簡単に話していいものではないのよ。」
海未「でも、いくらなんでも対応が早すぎるのではないですか?」
理事長「……精神状態」
穂乃果「……?」
理事長「矢澤さんの精神状態が学校生活に支障をきたすと医師から診断され、本人とそのご家族が退学を望んだ……と言えば分かるかしら?」
穂乃果「………にこちゃんが、自分から辞めるはずないです」
理事長「貴女達には、もう関係のないことです。
話が済んだのならもう席を外してもらえますか?」
ことり「お母さん、そんな言い方……!」
理事長「もう貴女達に話すことは何もないわ」
穂乃果「……失礼します」
バタン
海未「……医師の診断であれば仕方ないのではないでしょうか」
ことり「お母さんも、にこちゃんのこと引き止めてくれたんだと思う……でも、上手くいかなかったんだよ……きっと…」
穂乃果「………そう、だね」
海未「絵里と希もいないですし、今日はこのままみんなで帰りましょう」
穂乃果「あっ、私希ちゃんの家に寄ってから帰るよ。心配だし、…聞きたいこともあるし!」
ことり「ついていこうか?」
穂乃果「ううん、大丈夫っ!じゃあ2人ともまた明日ね!ばいばーいっ」
海未「ええ、また明日。」
ことり「気をつけてね〜」
今日はここまでです〜
らぶらぶ甘々なものが書きたい病……
穂乃果「…………」
ーー亜里沙『お姉ちゃん、昨日は希さんの家に泊まりに行きました!そのまま学校に行くって言ってましたよ』
穂乃果「そうなんだ、ありがとう亜里沙ちゃん」ーーー
穂乃果「……2人でサボっちゃった…とか?
あの2人が連絡も無しにそんなことするかなあ」
穂乃果「とりあえず、2人は希ちゃんの家にいるってことだよね
……この胸騒ぎが、ただの見当違いだったらいいんだけど、な」
……希家……
ピンポーーン
穂乃果「……?」
ピンポーーン
穂乃果「物音がしない……?どこか出かけたのかな?」
穂乃果「絵里ちゃんー?希ちゃんー?」
ピンポーーン
『いやああああああああああ!!!!!!』
穂乃果「!?の、希ちゃん!?」
『希、落ち着いて……!ああ、もう!なんでよ!せっかく落ち着いてたっていうのに……!』
穂乃果「絵里……ちゃん?」
ガチャッ
穂乃果「!!絵里ちゃん、今日はどうし、」
絵里「帰って!!!!」
穂乃果「…えっ?」
絵里「迷惑なのよ!1日休んだぐらいで家まで来ないでくれる?
私と希は大丈夫だからさっさと帰って!」
穂乃果「ま、待ってよ絵里ちゃ」
バタンッッ!!
穂乃果「な、なんで……?」
希「だ、誰だったの……っ?」
絵里「穂乃果よ」
希「ほのか、ちゃん」
絵里「ごめんね、離れたりして」
希「ううん、大丈夫。ありがとうえりち」
絵里「ええ。(……また、同じことが起きたら厄介だわ。穂乃果に言っておかないと…。
でも、穂乃果はもういないだろうし、希は……離れられる状況じゃないわよね。
……そうだ)」
絵里「ねぇ、希、喉渇かない?」
希「んー……渇いた、かな?」
絵里「よかった。私も渇いたところだったの。お茶の準備してきていいかしら?」
希「うん、ええよ。美味しいの期待してるね」
絵里「えぇ、まかせて」
絵里「(……ここ最近眠れなかった時に飲んでた睡眠薬があってよかったわ)」
ポチャン…
絵里「はい、希」
希「えへへ、ありがとうえりち。飲んでもいい?」
絵里「えぇ。」
希「ごくっ……ん、今日はちょっと甘いね?」
絵里「えぇ、甘味は疲れに効くらしいから希に疲れを癒して欲しくて」
希「そこまで考えてくれたんやね、嬉しい」
絵里「希のためだもの、当然よ。……さ、疲れてるでしょうし、一緒に寝ましょ?」
希「うんっ。ちょうど眠くなってきてたん。おやすみ、えりち」
絵里「えぇ、おやすみ希」
希「……すー……」
絵里「…これで暫くは起きないわね」
ピッ……
【 to:穂乃果
公園で少し話をしたいの。来てくれるかしら】
……公園……
穂乃果「…希ちゃんのあの悲鳴、なんだったんだろう…?あんな声聞いたことない…」
穂乃果「絵里ちゃんも人が変わったみたいに荒れてて…いつも綺麗な髪はぼさぼさだったし、目の下に隈が出来てたし…
昨日のお休みに本当に何があったんだろう…」
穂乃果「まさか、希ちゃんと絵里ちゃんも誰かに…!
や、やっぱり放っておけないよ!何かあったなら2人であんなところにいたら危険……っ」
ダッ
ーピタッ…
穂乃果「……でも。」
穂乃果「行ったらきっとまた追い払われるのかな…
なんで……
にこちゃんは退学しちゃって、
真姫ちゃんは犯人と電話したこと隠してて、
理事長も絶対何か隠してるし、希ちゃんと絵里ちゃんもあんな風になって……
μ’sって……なんだっけ……
9人の歌の女神じゃなかったの?
…ううん、諦めるのは早いよね。
きっとこころちゃん達が警察に話して、明日にでも犯人捕まるよ!うんうん!
だから、……だから大丈夫。
μ’sは消えたりしない…
絶対ラブライブで優勝するんだから」
〜〜♪
穂乃果「……メール。絵里ちゃんから?」
…
……
………
絵里「ごめんなさい、呼び出したりして」
穂乃果「ううん、大丈夫だよっ!穂乃果も聞きたいことあったから……。それでね、絵里ちゃん達今日はどうしてーー……」
バサッ
絵里「これを渡しにきたの、それだけよ」
穂乃果「……ま、待って…?嘘、だよね?だって……だってこれ、"退部届"だよ……?
しかもこれ2つ……絵里ちゃんと、希、ちゃん…
ど、どうして…?!」
絵里「ーー昨日、希がレイプされたわ」
穂乃果「れ……い、ぷ」
絵里「前から不審な手紙がポストに投函されたり、夜中にドアを何回も叩かれたりしていたらしいの。
昨日、宅配便を装った男が希の家に入り込んで希を襲った。
私は昨日亜里沙と隣町で買い物をして、それからたまたま希の家に寄ったのよ。
…その時にはもう」
穂乃果「ま、まさかその男って」
絵里「えぇ、恐らくにこの時と同一人物でしょうね」
穂乃果「え、絵里ちゃん、ちょっと待ってよ。警察には言ったの?」
絵里「行くわけないじゃない」
穂乃果「どうして……!?希ちゃんは、犯人の顔分かるはずだよね!?
ならちゃんと話せば警察も動いてくれると思うし犯人も、」
絵里「いい加減なこと言わないでくれる?」
穂乃果「え……」
絵里「警察に証言する?ねぇ、穂乃果。あなたは随分それを簡単に言うけど、自分がされたことを事細かに証言しなければならないのよ。
赤の他人に根掘り葉掘りその時の状況を聞かれるの。
それがどれだけ希の心を傷つけるか分かる?」
穂乃果「で、でもこのままじゃ、また被害が、」
絵里「穂乃果はズタズタに傷ついた希よりまだ無傷のメンバーの方が心配なのね」
穂乃果「ち、違うよ!!でも……!」
絵里「私は無傷な他のメンバーより、希の方が大事。
ずっと傍にいるって約束したもの」
穂乃果「もしかして今日学校に来なかったのは…」
絵里「希が行かないでって言ったから、当然でしょ?
大切な希を泣かせてまで私にはやりたいことなんてないもの」
穂乃果「それ、おかしいよ……そんなの希ちゃんの為にならないよ!!
ねぇ、にこちゃんが帰ってきた時安心して9人で踊れるように頑張ろうって言ったばっかりだよね?
絵里ちゃんがいなくなったら誰がダンス見てくれるの!
希ちゃんがいなくなったら、誰がμ’sのみんなのこと優しく見守ってくれるの!
μ’sは9人でμ’sなんだよっ!?
1人でも欠けたら意味ないんだよ!?
ねぇ、ねぇっ
考え直してよ絵里ちゃん……っ
希ちゃんを説得してよぉっ!!!」
絵里「……無理よ」
穂乃果「……っ」
絵里「私、思ったの。μ’sになんか入らなければよかった、って。」
穂乃果「ど、して……」
絵里「μ’sに入ったから希はあんな目に遭ったのよ。
入らなければきっとまだ笑顔で暮らせていたはずだわ」
穂乃果「μ’sは悪くないよ!!悪いのは犯人で……っ」
絵里「だから辞めるって言ってるのよ。
もう貴女たちには関わりたくないの、大事な希をこれ以上傷つけないためにね」
穂乃果「だからってそんな、閉じこもったって何も変わらない…!」
絵里「……希がどんな気持ちで襲われたかも知らないくせに」
穂乃果「っ、」
絵里「何も出来ないくせに偉そうなこと言わないで。
希は私がいないと生きていけないの、私がいないとダメなのよ。
……そろそろ希が起きるから帰るわ」
穂乃果「ま、待ってよ絵里ちゃんっ!!!お願い、考え直してよ!
約束したじゃん……っ、ラブライブ優勝しようって!
あの時の気持ちは嘘だったの!?ねぇ!!!」
絵里「……さようなら、穂乃果。μ’sの活躍、祈ってるわ」
放っておけば他のメンバーにも被害が広がるかもと思ったら通報しそうなもんだけどな
それとピルは飲んですぐ効果が出るようなものではないけどそこはわざとだろうか
入らなきゃよかったって
入るように仕向けたのは他でもない希なんだが…
今は希>μ'sだから仕方ない
>>131
レイプ被害やコンドームが破れていた時などに使われる緊急用のアフターピルの服用だとお考えいただければ、と思います。
通常の低容量のピルと比べて即効性は高いですが激しい吐き気や頭痛などの副作用があり、生理不順なども起こすリスクの高い薬です。
>>132,>>133
そうですね……
そんな単純なことにさえ気をかけられないほど絵里の頭の中は希で埋まっているということです
ID変わってるが主か……
>>135
主です!
IDってころころ変わるんですね…なんでだろう…
穂乃果「っぅ……ぐ……っ、ぅえ…ぐすっ…」
穂乃果「なんで、なんでこんなことに……穂乃果たちが何をしたっていうの……なんで穂乃果たちなの……っ」
穂乃果「にこちゃんと絵里ちゃんと希ちゃんを返してよぉ…っ…!」
穂乃果「……っ、泣いちゃ、だめ、っ
守らないと、μ’s……守って、また…みんなで……っ」
穂乃果「絶対、絶対消させたりしないんだから…!」
…
………
……………
凛「じゃあ、かよちんまたねーっ、また明日にゃ!」
花陽「うんっ、凛ちゃんまた明日!」
花陽「ただいまー……ん?ポストから手紙が出て……
"小泉花陽様"……花陽に?」
花陽「差出人は……書いてないや。誰からだろう…」
携帯から投稿してるので
Wi-Fiとか4Gとかの関係でID変わってるのかもしれないですね……
混乱させてしまってる方いたらすみません
酉つけたらどうかしら……
あとやりすぎはアカンぞ……
何事もほどほどにやで
>>142
ありがとうございます!
酉つけさせてもらいました。
物理的な残酷な描写は……もう、数少ないと思います
IDころころ変わっちゃうので
酉つけさせてもらいました。
よろしくお願いします。
花陽「な……に、これ……嘘……だよね、?」
花陽「け、警察……!警察に電話…」
花陽「…………ただの、悪戯…なのかな」
花陽「ううん、そんなわけない。きっと悪質なものだよ
……あれ、でも、これって」
【きょうのよる 8じに こうえんにきてね
こなかったら あなたのたいせつな人がきずつきます】
花陽「子供の字、だよね…人、以外平仮名だし、小学校低学年なのかな。間違ってきっとうちのポストに入れちゃったんだね。………。」
花陽「…………今は、7時半」
ダッ
……公園……
花陽「(……なんで、公園に来てるんだろう花陽。
悪戯だって分かってるんだから別にこなくていいのに…。
……もうすぐ8時。…何かありそうな気配もないし帰ろうかな。)」
花陽「やっぱり、ただの思い違いでー」
『 みーーつけた 。 』
花陽「ぴゃぁっ!?」
『ははっ、随分可愛い驚き方だね。
あんな小学生が書いたような手紙信じてここに来ちゃったんだ?
やっぱり花陽ちゃんは純粋だなあ』
花陽「……ぁ……あ…」
『何をそんなに怖がってるの?俺"まだ"なーんにもしてないのに。』
花陽「あ、あなたが、あの手紙を……?」
『んー?書いたのは俺じゃないよ。花陽ちゃんの"元"先輩の妹ちゃん。』
花陽「あなたが、犯人…だったんですね……」
『そ、よーーく顔を覚えておくといいよ。
警察に証言できるように、ね。』
花陽「今の言葉……忘れないでくださいね…絶対、絶対あなたには罪を償ってもらいますから…!」
『おっ、花陽ちゃん強いねーやる気だねぇ、
いつももじもじしてダレカタスケテーなんて言ってるかと思ったら』
花陽「わ、わたしだって、やる時はやるんです…!甘く見ないでくださいっ……
い、今警察に電話しますから!!そこを動かないでください」
『そんなお咎めで動かない奴はいないと思うけど……まぁ、いいか。はい、花陽ちゃん。素敵な君にプレゼントだよ。』
〜♪
花陽「……にこちゃんから、メール…?……な、なんであなたが、にこちゃんの携帯を」
『まぁまぁ、まずその画像を見てみてよ』
花陽「……、」
花陽「ーーーーーーーー!!!」
ガシャンッ
花陽「り、……りん、ちゃ……ん」
『あははは!!!花陽ちゃんさあ、あの手紙なんかおかしいなって思わなかったの?
俺ちょっとしくじったなーなんて思ったんだよね。
ほら、宛先漢字で書いちゃってさ。慌てて本文平仮名でここあちゃんに書いてもらったんだけどさ』
花陽「…………」
『君のたいせつな"人"はその写真に写ってる女の子でしょ?』
花陽「……りん、ちゃん……っ」
ガッ
『おぉっ、と!怖いなあ花陽ちゃん。いくらなんでもそんなに睨んで胸ぐら掴まれたらお兄さん縮こまっちゃうよ』
花陽「ふざけたこと言わないで!!!凛ちゃんをどうしたの!!!!凛ちゃんはどこなの!!!!」
『はいはい、とりあえず落ち着いて、ね』
ドサッ
花陽「きゃっ……!?い、った……」
『花陽ちゃんがあのミスを不審に思って警察に話したり、今日公園に来なかった時点で君の親友……星空凛ちゃんは、どうなるかわからなかったけど、』
花陽「っ!」
『君がちゃーんとここに来てくれたから、チャンスをあげるよ』
花陽「ちゃ、んす……凛ちゃんを解放してくれるの!?」
『うん、もちろん。花陽ちゃんが俺の言う通りにしてくれるならねー』
花陽「は、花陽はどうなっても、いいです……っ
だから凛ちゃんを、」
『本当に?』
花陽「えっ……」
『本当に自分がどうなってもいい?』
花陽「あ……っ」ガタガタ
『震えてるね。そんなんじゃやっぱ花陽ちゃんには無理かなー。諦めて真姫ちゃんに……』
花陽「っで、出来ますっ!!!凛ちゃんは、花陽の1番の友達だもんっ……!誰より凛ちゃんのこと大事なんです!!
だから、花陽が犠牲になります!写真の中の凛ちゃんみたいに手足縛られてガムテープで口を塞がれたっていいです!だから、だから!!!』
パチパチパチパチ……
花陽「……っ?」
『合格だよ花陽ちゃん。いやあ、感動しちゃったなあ。
やっぱり、花陽ちゃんが適任だね、選んで良かった!』
花陽「あ、あの……?」
『花陽ちゃんにやってもらうことはひとつだけだから安心して?』
花陽「何を、すれば……」
『凛ちゃんの心を花陽ちゃんの言葉でズタズタに傷つけてμ’sを辞めさせて?』
花陽「ーーーーーー」
『簡単でしょ?ね?』
花陽「そ、そんな、こと花陽にはできな」
『あーーできないとか言っちゃう?
あんなに啖呵切っといてそれかあ、残念だなあ。
……じゃあ、星空凛はどうなってもいいんだね?』
花陽「ーー!!!ちが……!」
『だって、花陽ちゃんは俺の言ったことが出来そうにないんでしょ?
じゃあ俺も花陽ちゃんのお願いは聞けないなあ。
警察に今から電話かける?
いいよ?ならこっちも今から電話かけて凛ちゃんのところにいる仲間に連絡を取る。
あぁ、心配しなくていいよ、殺しはしない。
ただ一生地面を歩けなくなるかもしれないけど、ね』
花陽「……!」
『さぁ、もう君が出す答えはひとつじゃないかな?』
花陽「……っ、そう、したら、凛ちゃんには手を出さないでくれますか……っ?」
『うん、もちろん。俺約束は守るタイプだし?』
花陽「わかり、ました……っ」
『実行する時はちゃんと録音しておいてね、そして明後日の8時にここに来て証拠を見せてよ』
花陽「あ、明後日……っ!?」
『来なかった場合も……分かるよね?
いい報告を待ってるよ、か・よ・ち・ん』
花陽「ーーーー……」
とりあえずここまで!
20時ごろからまたぼちぼち再開します〜!
この後は凛ちゃんの心を花陽ちゃんが徹底的に打ちのめすのでご注意ください……
>>1がべらべらうるさいのが今のところ最大の欠点だな
>>160
すみません……
100以上SSが続いたのは初めてだったので少々テンションが上がって話し過ぎてしまいました…
以後気をつけます
不快な思いをさせてしまってすみません
…次の日…
花陽「(無理、だよ……凛ちゃんに酷いこと言うなんて、μ’sをやめさせるなんて…っ!でも、でもそうしないと凛ちゃんが……)」
凛「かーよちん?」
花陽「ぴゃぁ!」
凛「今日一日中ぼーっとしてたよ?どうしたの?」
花陽「う、ううん、なんでもないよ凛ちゃん」
凛「かよちんはー凛の1番の友達なんだから、何かあったらちゃんと言うんだよ?」
花陽「う、うん……」
凛「ほらほら帰るにゃー」
花陽「(このあったかい手も……今日で最後かもしれない、明日からもう口も聞いてくれないかもしれない……
でも、花陽は……凛ちゃんをやっぱり助けたい…!)」
凛「かーよちん?どうしたにゃ?」
花陽「う、家に寄っていかない……?話が、あるの」
……花陽の家……
凛「かよちん、どうしたの話って?」
花陽「凛ちゃん、」
凛「……?」
花陽「…今から言うことは、"全部本当"のことだからね」
凛「?うん!かよちんは嘘つかないもんねーっ
凛知ってるよ、かよちんは優しいから嘘つけないもん」
花陽「ふふ……ありがとう、凛ちゃん」
凛「うんうん!で、話って?」
花陽「…………凛ちゃん」
凛「もう、なーにー?焦らさないで早く言って…」
花陽「μ’sを辞めてくれないかな」
凛「……え?」
凛「か、かよちん?どうしたの、今日エイプリルフールじゃないよ?」
花陽「最初に言ったでしょ?全部本当のことだよって。
今まで凛ちゃんと仲良しこよしはもう疲れたの。」
凛「ねぇ待ってよかよちん……なんの冗談…?」
花陽「冗談じゃないって言ってるでしょ!!」
凛「っ!?」ビク
花陽「今までずっと幼なじみだから仲良くしてあげてたけど、もう一緒にいなくてもいいかなあって。
にゃーにゃー言う子の隣にいても恥ずかしいだけだし」
凛「……っ」
花陽「凛ちゃん、昔からずっと花陽より泣き虫だよね。
そういうとこ、嫌いだなあ。
もしかしたらμ’sで1番の泣き虫なんじゃない?」
凛「そ、そんなこと……」
花陽「だいたい、凛ちゃん、アイドル向いてないのになんでμ’s入ったの?」
凛「……っ!!そ、それはかよちんが……っ」
花陽「あー、そうだったね。そういえば、花陽が勇気出なかった時凛ちゃんのこと誘った気がするよ。
でも、それで本気になっちゃったの?」
凛「か、かよ……」
花陽「まぁ、髪も短くて男の子みたいな凛ちゃんの隣にいると少しは花陽の方が可愛く見えるかなー?と思って誘っただけなんだけどね」
凛「そ、そんなこと、思ってたの……?
り、凛は、ずっとかよちんのこと、好きで……
だからずっと一緒にいたくて…
でも、それがかよちんは嫌、だったの?迷惑だったの?
凛のこと、ずっとうざいって思ってたの……?」
花陽「……うん。それに、花陽は真姫ちゃんと2人でいる方が落ち着くんだあ。
だから、凛ちゃんがちょっと邪魔かなって思ってたの。」
凛「凛が、邪魔……?」
花陽「だって、いつも花陽の隣にいるんだもん。
真姫ちゃんの前じゃ言えないからずっと困ってたんだよ」
凛「で、でも!凛は、μ’sのみんなのこと大好きだし…もちろん、かよちんのことも大好きだから、μ’s辞めたくないよ……
確かに、凛は髪も短いしみんなみたいに女の子らしくないしスカートも似合わないかもしれないけど、でも、凛はμ’s続けたい…!」
花陽「…そうなんだ。じゃあ花陽がμ’s辞めるね」
凛「えっ……」
花陽「うん、最初からこうすればよかった。
そしたら凛ちゃんとも離れられるし、なんで考えつかなかったんだろうね?」
凛「だ、だめだよ!かよちんずっとアイドルに憧れてたじゃん!
せっかく掴んだチャンスなのに自分からやめちゃうなんて……」
花陽「だって凛ちゃんと同じ空間に居たくないんだもん。
同じステージで踊るとか歌うとかやだなぁ」
凛「かよちん……」
花陽「(だめ、泣いちゃ……だめ……っ)
……っじゃあ、花陽明日μ’s辞めますって穂乃果ちゃんに言いに行くから。
話はこれだけ。ごめんね?もう帰っていいよ」
凛「ま、待って……!」
花陽「……っ」
凛「り、凛が、凛がμ’sやめるよ…」
花陽「…いいの?」
凛「う、うん……かよちんの、言う通りだよ
髪も短くて女の子らしくない凛なんかアイドル向いてないよね
誰よりアイドル好きだったかよちんが言うんだもん
かよちん、ごめんね?
凛のせいで、いっぱい嫌な思いさせちゃって…
にゃーって言うの、昔……かよちんは覚えてないかもしれないけど、寒さに凍えてた猫をかよちんと助けた時から癖になっちゃってて…
ごめんね、恥ずかしかった、よね……
凛何にも知らなかったよ…おかしいよね、凛かよちんとずっと友達だったのに……
いつの間にか嫌われちゃってたなんて…」
花陽「……っ」
凛「か、かよちんなら!かよちんなら絶対絶対可愛くて素敵なアイドルになれるよ!!
だから……応援は、しててもいいかな……」
花陽「……勝手にしたらいいと思うよ」
凛「っ……そ、そうだよね!かよちんはもう凛のこと嫌いだったんだよね!
ごめんね、かよちん、もうかよちんにはなるべく関わらないようにするから……に、苦手な英語もちゃんとやるし、宿題も、忘れずにやるし、
にゃーって口癖も、なお、す……し、それ…から…か、髪も、伸ばそうかな…っ…?
ご、めん……ねっ……く、ひっ……ごめん、ね、
かよちん…気づかなくて、ごめ……っこんなことで、すぐ、泣いちゃって……ごめ……」
花陽「……っ、ぅ……っく、も、もう出て行ってくれないかな。いつまでもここに居られると迷惑なの」
凛「ーーっ、う、うん、そう……だよね、ごめんね、かよちん、ごめん……また、明日……はないよね、元気でね、かよちん
今までありがとう……っ」
バタンッ
ピッ……
【録音完了しました】
花陽「っ……ご、めんね……っごめんね、凛ちゃんっ……!!!ぅあ……うわあああああん!!!!!」
花陽「凛ちゃんは花陽の一番の友達だよ!!!
凛ちゃんは可愛いよ!誰より可愛いよ!!
髪が短くてもっ、スカート似合わないって周りが思ってたとしても、花陽は似合うと思ってた!
凛ちゃんの口癖の理由だって覚えてたよ!忘れるわけないよ……っ!
ごめんね!ごめんね凛ちゃん……っ
花陽が強くないせいで…!
これからもずっと凛ちゃんと一緒にμ’sやりたかったよぉ……っ」
〜〜♪
花陽「……にこ、ちゃん……じゃない…」
ピッ
『無事終わったみたいだね。明後日までって言ってたのに、まさか今日やってくれるなんてびっくりだな〜。』
花陽「…………」
『今日の8時に。待ってるよ』
花陽「………………」
ツー…ツー…
……公園……
ピッ
『うん、よく録れてる、ありがとう花陽ちゃん♪』
花陽「これで……凛ちゃんには、何もしないでくれるんですよね……」
『そうだよ。でも、その前に頑張った花陽ちゃんに免じて特別に種明かししようかな』
花陽「…………?」
『この画像を見てごらん』
花陽「……これ、昨日も」
『よーく見てみて?』
花陽「……違う、人…」
『そう、ショートカットの女の人だけど、星空凛ではない。
これはね、ただのありふれたアダルトビデオのワンシーンだよ』
花陽「……それがどうかしたんですか?」
『そして、これが昨日見せた画像』
花陽「……っ、凛ちゃん……アダルトビデオの、真似事ですか……っ?そんなことの為に凛ちゃんを、」
『ストーップ、ストーップ。花陽ちゃん、凛ちゃんの顔のところをよーーーく見てごらん』
花陽「顔……?……?
首、がなんか……おかしい…?繋ぎ合わせたような……、…………!!!!」
『気付いた?これはね、花陽ちゃん。
"合成"
ーーいわゆる"コラ画像"、だよ』
花陽「合……成…」
『つまり君が助けたかった凛ちゃんは、昨日何もされていないんだよ。よかったね、花陽ちゃん』
花陽「騙したんですか……っ!?こんな、こんな画像まで作って……!
花陽は……あなたに踊らされていたんですか…っ」
『俺を犯人だと分かっていたのにも関わらず、何もかもを信じて言う通りに実行した花陽ちゃんが悪いよねえ?
だめだよ花陽ちゃん。
世の中には汚い大人がたーーくさんいるんだから。』
花陽「……ぁ…」
『凛ちゃんの態度、おかしいと思わなかったの?
普通昨日何かされてたら"1番の友達"に相談するんじゃないかなあ。
それがなかったってことは、何にもなかったってことに花陽ちゃんは"1番の友達"なのにどうして気づかなかったの?
自分のことしか考えてなかったからじゃないの?』
花陽「ち、違います……っ、わたしは凛ちゃんを助けようと思って……!」
『その結果、星空凛は"1番の友達"だと思っていた花陽ちゃんに心をズタズタにされ精神を病み、手首を切ることで自殺を図り病院に搬送されたけどね。
幸い一命はとりとめたみたいだけど、目は虚ろで何も話そうとはしないらしいよ』
花陽「ーーーーーーーーー」
『ねぇ、花陽ちゃん、どう?
なーんの罪もない"1番の友達"を自殺まで追い詰めた気分は?』
花陽「い、いや……いや……っ、こ、こんな、こんなはずじゃ、わたしは、ただ凛ちゃんを、助けたくて、でもそれが嘘で……っ、たくさん、酷いこと言って傷つけて
凛ちゃんが、死のうとするまで、追い詰めて……わ、たし、わたし……っ」
『μ’sのみんなが、凛ちゃんの自殺未遂の原因が花陽ちゃんだって知ったらどう思うかなあ』
花陽「あ……っ、あ、ぁ……」
『そしたら、俺のことでも話してあれは全部嘘でした、ごめんなさいって言う?
そんな人殺し未遂の話、誰が信じてくれるんだろうねぇ』
花陽「ごめんなさい……ごめんなさい……っ……!!」
『凛ちゃんが生きててよかったねえ、花陽ちゃん。
ねぇ、こーんな酷いことを"1番の友達"にしておいて、まだμ’sやってたいって思うの?』
花陽「思いません……っ!!!凛ちゃんが、こんなことになったのは、花陽のせいだから……っ、責任とってμ’sは辞めます……っぅ……あ……ぐすっ……うあああああああああ!!!!!!!」
『……退部おめでとう、"元"スクールアイドルμ’sの小泉花陽さん』
『小泉花陽、星空凛……脱落。
大切すぎて逆に盲目になってしまったパターンだね。
……自殺しようとしたのは予想外だったけど。
信頼は時として大きな足枷になる。
……それは、親子でも然り。
そろそろあの人が動く頃かな、あははっ』
……少し前の凛Sideのお話……
凛「(今日、かよちん元気ない……何かあったのかな…)」
凛「かーよちんっ」
花陽「凛ちゃん!……凛ちゃん……っ」
凛「わ!?かよちんどうしたにゃ!……泣いてるの!?」
花陽「凛ちゃん何もされてないっ!?怪我はない!?」
凛「う、うん?よくわかんないけど、凛は元気だよ、ほらっ」ニコ
花陽「……っ(きっと……凛ちゃん無理してる。昨日あんなことがあったのに、花陽が知らないからって無理して元気に見せてるんだ……)」
凛「…?」
花陽「(ごめんね、凛ちゃん、絶対守るから……)」
>>165へ
>>171の後
凛「…………かよちん」
凛「(かよちんは、凛の……1番の友達だった……少なくとも凛はそう思ってた。
でも、今日、かよちんは凛のこと……
凛はいつの間にあんなに嫌われてたんだろう)」
凛「かよちんは、優しいからずっと我慢してたのかな」
凛「凛のこの、口癖も……性格、も」
凛「凛は、かよちんのこと……大好きなのに……」
凛「(あんなに冷たい声で、瞳で……拒絶されたのは初めてだった。
怒っているわけじゃない、でも冗談でもない。
本当の本当に、"本当"のこと…
あんなかよちんを見るのも、初めてで
ーー凛の全部が否定された気がした)」
凛「凛は、こっちのかよちんも……好き…………だよ…」
凛「(例えどんなに悪口を言われたって、
関わりたくないって言われたって。
それでもそばにいたかった。
それでも隣で笑っていたかった。
だって、1番の友達なんだもん。
凛にとってはすごく大切な人だった。
でも、凛は邪魔者みたいだから。
関わらないって言っても、
1クラスしかないんだから嫌でも顔をあわせる。
きっと真姫ちゃんだって黙ってない。
μ’sのみんなだって凛たちが喧嘩したって知ったら……)」
凛「どうすれば、いいのかな……。…………、……あ」
コツン…
凛「剃刀……新しくしようとしてたんだっけ」
ーーー花陽「凛ちゃん、この剃刀切れると凄く痛いから気をつけてね?」
凛「凛はかよちんみたいにおっちょこちょいじゃないから、間違って切ったりしないにゃー」
花陽「もう凛ちゃんの意地悪」ーーーー
凛「………………」
ツー……
凛「……っ!!!!いっ…!」
カシャン
凛「(指……少し切っただけなのに、こんなに、血が…)」
凛「血……」
凛「いなく、なればいいのかな」
凛「そうだよ……凛がいなくなればいいんだ。
そしたら、かよちんは凛に関わることもないし、μ’sにずっといれる。
仲直りを強制されることもない。
かよちんに迷惑なんてかからない……
そうだ、そうだよ!なんで凛気付かなかったのかな?
もっと早くこうすればよかった!あははっ」
ツー…
凛「こんなんじゃ、全然足りない……もっと、もっと血が出ないと……」
ズブッ、ズブッ
凛「ーーーーーーー!いっ、痛い……っ痛い……けどっ……で、でも、これで、これで少しはかよちんの役に……立て……る、……?目の、前が暗……」
ドサ……
凛「(…もし、もしまた生まれ変われたら。
今度はちゃんと好かれるような…かよちんの1番の友達になれるような、そんな人になりたいな…
ねぇ……神様、お願い
凛、いい子になるから。)」
凛「花…陽ちゃん……」
凛「……だいすき」
……次の日、部室……
海未「どういうことですか!!!!」
バンッッ
穂乃果「……っ」ビクッ
ことり「海未ちゃん落ち着いて……いくらなんでもテーブルを叩くのは、」
海未「にこの自主退学に引き続いて、絵里と希が退部!
凛は自殺未遂で入院、そのせいなのか花陽とも連絡がつきません……っ」
穂乃果「……なんで、凛ちゃんが……自殺、なんて」
真姫「何があったのか本当に分からないのよ……花陽とは私も連絡がつかないし、凛は話せる状況じゃないし…
希とエリーは……わからないけど……」
穂乃果「絵里ちゃんと、希ちゃんは……」
海未「穂乃果何か知ってるのですか?」
穂乃果「……っ、ううん、知らない…」
海未「穂乃果?」
穂乃果「(今言って、警察に言われたとして……その警察が希ちゃんの家に行って何もかも聞かれたら……希ちゃんも、自殺、するかもしれない……)
本当に何も知らないんだ、ごめんね」
海未「そうですか……」
ことり「……ねぇ」
ことり「もう……みんなで休もう?」
穂乃果「……ことりちゃん?」
ことり「私、もう怯えるの嫌だよ。どうにかしてことりたちだけでも助けられる方法を探してー……」
パンッッ
海未「……!」
真姫「ちょ……ちょっと…」
穂乃果「……が、」
ことり「ほ、のかちゃ、痛い……よ…」
穂乃果「…みんなが苦しんでるのに、ことりちゃんは自分のことしか考えられないの……!?」
ことり「で、でも、このままじゃことりたちも狙われ……」
穂乃果「いなくなった5人を救おうとは思わないの!?」
海未「穂乃果、いくらなんでもそれはことりに怒るのは理不尽ですよ!!」
真姫「そうよ!今は自分の身を守る方に徹したほうがいいわ…!」
ことり「…………」
穂乃果「……聞いたよ」
ことり「…!」
穂乃果「ことりちゃん、海外で暫く暮らすんでしょ?
昨日お母さんがことりちゃんのお母さんと話してるの聞いちゃった」
海未「ほ、本当なのですかことり、」
ことり「……」コクン
穂乃果「自分だけ、逃げるんだ」
ことり「そういうわけじゃ、ないよ……ただ、今の状況を知ったお母さんの知り合いがほとぼりが冷めるまであっちで暮らさないか、って……」
真姫「……良策かもしれないわね。」
海未「えぇ、その方が確実に安全ではありますし」
穂乃果「(……分かってる……ことりちゃんは、悪くない。
ことりちゃんにこんなこと言って、傷つけることを怖がって希ちゃんのこと誰にも言わない穂乃果もズルい……分かってる……)」
ことり「ごめんね……穂乃果ちゃん……」
穂乃果「いつ、いくの……」
ことり「今週末には……もう…」
穂乃果「そっか……、…帰ってくるんだよね?」
ことり「うん……平和に、なったら…」
穂乃果「……分かった」
ことり「ありがとう……穂乃果ちゃん」
ことり「………………」
…数日前…
ことり「お母さんっ……」
理事長「どうしたのことり」
ことり「やっぱりおかしいよ、にこちゃんの退学申請…!
医師の診断だっていうけど、あの日はもう夜だったし診断書書いてもらえるところなんかないよ!?
ねぇ、お母さんなにを隠してるの!?
どうしてにこちゃんを退学にしたの?!」
理事長「…………あなたを、守るためよ」
ことり「まも、る?」
理事長「……矢澤さんが退学になる前の日、理事長室にある電話がかかってきたわ」
…
……
………
プルルルル
ガチャ
理事長「はい、……どなたからですか?えっ、名のならなかった?……分かりました、代わりましょう」
理事長「お待たせいたしました。音ノ木坂学院ー」
『こんにちは、理事長先生』
理事長「……?どなたですか?悪戯ならば切らせていただきますが」
『南ことり。』
理事長「……!」
『あなたのお子さんですよね?』
理事長「え、えぇ……」
『最近起こっているスクールアイドルが狙われている事件をご存知ですか?』
理事長「えぇ、その話題で本校も持ちきりですから」
『今日から、そちらの高校のスクールアイドル、μ’sのメンバーを1人1人減らさせていただきます』
理事長「……仰っている意味がよくわかりませんが」
『では言い方を変えましょう。そちらの高校から9人の生徒が様々な理由で学校に行くことができなくなります』
『μ’s1人1人の心をズタズタに傷つけ、学校生活に支障をきたす程まで精神を崩壊させます』
理事長「何故、そんなことを……!」
『明日、1人目の脱落者矢澤にこが退学申請書を出しに来るでしょう。
もちろん、保証人欄には連名が書いてあります。
理事長にして頂くことはただひとつ、
同封されている診断書を元に"学校生活に支障をきたすほどの精神疾患となった矢澤にこ"の診断書を作成してください。』
理事長「す、するわけないでしょう……!バカバカしい、もう電話は切らせていただきます!」
『……来週、あなたは家を必ず空けなければ行けない日がありますね?』
理事長「!」
『学校の先生方と一泊二日の研修旅行でしたか、いいですねえ』
理事長「何故それをあなたが知っているのですか…!」
『……その間、娘さんに何をされても文句は言えませんね』
理事長「…………」
『たった1人の愛おしい娘さんを守りたいと思うなら、残り8人の排除作業に協力して頂くことが条件です』
理事長「……言いたいことはそれだけですか?
今から警察を呼ばせてもらいますね」
『えぇ、いいですよ。その方がやり甲斐がある。
ちょっとそのままきいていて下さいね』
理事長「……?なにをー…」
『い、いやああああ!!!!!理事長!!理事長助けてください!!殺さないで!殺さないで……!』
理事長「や、矢澤さん!?!」
『……聞こえましたか、とーっても可愛い彼女の悲鳴。
警察を呼んでも構いませんよ。
ただ、その瞬間手元のナイフでこの子の首を掻き切ります』
理事長「………っ」
『さぁ理事長先生。矢澤さんを救うには診断書を偽造するしか方法はない。
そして、その方法を実行していただけるなら、
俺はあなたの娘……南ことりさんにだけは絶対に手を出さないと約束しましょう。』
理事長「絶対、ですね……」
『えぇ。俺は約束だけはきちんと守りますから』
理事長「………………引き受けましょう」
『……今のやりとり、きちんと録音させて頂きました。
ストライキなどをされた場合は俺の方の約束も帳消しになりますのでご了承ください。
これで、俺とあなたは共犯です。
お互い悔いのないように過ごしましょうね、理事長先生』
プツ……
ツー……ツー……
理事長「……っ」ギリ…
理事長「…………せめて、ことりだけは。」
…
……
………
ことり「嘘……だよね…?お母さん」
理事長「……」
ことり「そんな、そんなの、お母さんがにこちゃんを辞めさせたようなものじゃない……!」
理事長「ならあのまま矢澤が喉を掻き切られるのを電話越しで聞いてればよかったのかしら?」
ことり「っで、でも!警察に電話とか!いくらでも出来ることはあったでしょ!?
お母さんは大人でしょ!?
私達ならまだしも、なんで、なんで大人なお母さんまで犯人の言うことを聞いてるの!!!」
理事長「……っ」
ぎゅっ……
ことり「お、お母さ」
理事長「間違ったことをしてるのはわかってるわ!!!でも、犯人の言うことを聞いてでもあなたを守りたかった……!
理事長としてより、母親としての気持ちを優先させた結果なのよ!!」
ことり「じゃあ、ことりは、みんなが傷ついていくのをただ見てないといけないの……?」
理事長「……ことり、暫くお母さんの知り合いのところで暮らしなさい」
ことり「それって……日本じゃないよね…?」
理事長「えぇ……でも、ここよりは遥かに安全だもの。
全てが終わったらまた帰って来ればいいわ。
ね、お願いことり。
お母さんの言うことをきいて。
あなたを守りたいの」
ことり「…………、うん…分かった」
……西木野総合病院……
ガラッ
真姫「凛、調子はどう?」
凛「……」
真姫「…きょ、今日、天気よくて気持ちよかったわね」
凛「……」
真姫「な、何か食べる?りんごとかだったら私にも剥け…」
凛「無理しなくてもいいよ、真姫ちゃん」
真姫「凛…」
凛「……大丈夫だから」
真姫「は、早く元気になりなさいよね!みんな心配してるんだから…
元気になったら、またみんなで歌いましょう?
凛のパート今回すごくいい感じにできたの、だから、」
凛「真姫ちゃん、もう凛はμ’sには戻らないよ」
真姫「…え……?」
凛「……みんなに言っておいて」
真姫「ど、どういうこと?ねぇ、ちょっと凛…」
凛「帰ってくれるかな」
真姫「で、でも、凛」
凛「…帰って」
真姫「わ、分かったわ……また、来るから…ゆっくり休んでね」
ガラ……パタン……
真姫「……凛…?」
真姫「……何が、あったっていうのよ」
真姫「花陽にも連絡つかないし」
真姫「エリーと希は学校にこないし……」
真姫「……にこちゃんの事件と関係があるのかも」
真姫「とりあえず、花陽の話を聞きたいわね。
……家に行ってみようかしら。休んだ分の授業のノートも渡したいし…」
真姫「……ここよね」
ピンポーン
真姫「あら……?留守、なのかしら……。」
〜♪
真姫「?…花陽から?」
【 from:花陽
帰って。 】
真姫「えっ……」
真姫「は、花陽は家にいるってこと……?」
【 to:花陽
ちょっと話したいことがあるし、授業のノートも渡したいのよ。
少しでいいから会えないかしら。】
〜♪
【 from:花陽
もう誰とも関わりたくないの。
それに、花陽はμ’sを辞めるつもりだから。】
真姫「花陽まで、μ’sを辞める……?」
【 to:花陽
凛のこと気にしてるの?
きっとすぐ良くなるわよ。
それに、花陽のせいじゃないんだからそんなに思いつめなくてもいいじゃない。
もしかして花陽には何か心当たりがあるの?
凛、何にも話してくれなくて……】
真姫「…返事、来なくなっちゃったわ」
真姫「気に触ること、書いちゃったのかしら…
それより、どうして花陽までμ’sを辞めるなんて…
理由も教えてくれないし、分からないことだらけだわ」
真姫「……私、嫌われてるのかしら」
真姫「…だから、2人とも避けて、」
真姫「そんなこと……ない、はず…」
真姫「(……絶対ない、って言えないのが悔しい)」
真姫「…とりあえず明日穂乃果たちに話さなきゃ」
……海未の家……
海未「はっ!!!!」
海未母「精が出ますね海未さん。いいことです。」
海未「あ、ありがとうございます!」
海未「(5人がいなくなった今、穂乃果やことり…真姫を守るのは私しかいない…
鍛えに鍛えていつ犯人が襲ってきても、せめてすぐ捕まるなんて情けないことにはならないようにしなくては……)」
海未「(ことりが一時的に日本を発つまであと4日……その間に何もなければいいのですが……)」
海未「……ふぅ」
海未「(穂乃果は絵里と希のことを知っているのでしょうが……穂乃果が相談をしないということはまだ話したくないのかもしれないですね…)」
海未「……少し、気晴らしに散歩でもしますか」
『……ちゃん』
海未「?」
『海……未……ちゃん……』
海未「……私を、呼んでいる?」
体調でも崩してたのかな
海未「……空耳、ですよね。少し……穂乃果とことりの声のような気がしましたが、こんな遅い時間にましてや、今の時期に出歩くことなんてしないでしょうし…」
海未「しかし、気味が悪いですね……おとなしくもう帰りますか…」
『海未ちゃん!』
海未「っ、穂乃果!?」
『海未ちゃん!』
海未「ことり……!?」
穂乃果『海未ちゃん!』
ことり『海未ちゃん!』
海未「ど、どこにいるのですか2人とも……こんな遅くにタチが悪いですよ……!帰らなくては2人の安全が、」
穂乃果『海未ちゃん!』
海未「後ろ?!」
海未「…あれ……誰も、いない……?」
海未「じゃあ、あの、声は……」
海未「……っ」ゾクッ
海未「か、帰らなくては、」
海未「……ほ、穂乃果!ことり!私はもう帰りますからね!2人とも明日は覚えて……」
『みーーつけた。』
海未「……?あ、あの…?」
穂乃果『海未ちゃん!』
ことり『海未ちゃん!』
海未「そ、それは……!」
『そう、俺の携帯をスピーカーモードにして流してたものだよ』
海未「盗聴とはなんと失礼な……!」
『あはは、そんなに怒らないでよ海未ちゃん』
海未「まさかとは思いますが……貴方が……」
『うん、多分当たってると思うよ?』
海未「ーーっ!……これまでの行い、許すわけには行きません。私と一緒に警察へ行きましょう。今なら……本望ではありませんがら自首で罪は軽くなるのではないですか?」
『へぇ、海未ちゃん優しいんだねえ。じゃあさ、こうしない?』
海未「なんですか」
『俺とちょっと勝負してよ』
海未「勝負……?」
『そうそう。寸止めでもいいからさ、俺から一本取ったら海未ちゃんの言う通り警察でもなんでも行って自首するわ。』
海未「それは……本当ですね」
『俺は嘘はつかないからね。それと、海未ちゃんは女の子だから、ハンデつけないとね……んー……俺は右手だけ使えれば十分かな』
海未「!?み、右手……だけ……?」
『うん、右手すらいらないかもーあはは』
海未「……っ、今の言葉、忘れないでくださいね。女だからと見くびっては痛い目にあいますよ」ギリッ
海未「(今まで……ずっと培ってきたものがある…最近は特に稽古を重ねてきた!こんな通りすがりの男なんかに、負けるはずがない……っ!)
はっ!!!!!」
『…………ふっ、』
海未「なっ……!?(避けられた!?)」
『海未ちゃん遅いよー、はい、一本!っと』
海未「……!!」
ペタン……
海未「わ、私が……負け、た……?」
『海未ちゃんは、所詮女の子。稽古をいくらしたところで男には敵わない。
まぁ、急所とか狙われたら別かもしれないけど、正面から真っ向に勝負を挑まれたら、正統派の海未ちゃんはそんなズルいことできないもんねー?』
海未「っ……もう一度、です……」
『何度やったって同じだよ。君は俺には勝てない。
そして、君は幼なじみ2人を守ることは出来ないんだよ』
海未「そ、んなことは」
『なんでか分かる?弱いんだよ海未ちゃんは。』
海未「よ、わい」
『そう。海未ちゃんは弱い。弱いんだよ。すーっごく。どこが弱いかって、自分の力を過信して穂乃果ちゃんとことりちゃんを守る!なんて自負してるところだよ。
結果はこの有様。
これじゃあ穂乃果ちゃんとことりちゃんもこんな風になるわけだよね〜』
海未「……え…」
海未「これ、は……この、画像、は」
海未「ほ……のか、と、こと、り……?」
海未「嘘、ですよね……?いつの間に2人が、だって、今日は私たち一緒に帰ってきて……」
『助けたい?2人を』
海未「た、助けたいに決まってるじゃないですか!!舐めているのですか!?
今すぐ二人を解放しなさい!!!」
『……っふ、』
海未「っ?!」
『ふはっ、あははっ、あはははははは!!!』
海未「な!何がおかしいのですか!?」
『海未ちゃんよーく見てみなよ、あははっ』
海未「何がですか……っ、何度見ても同じで……、……!……これ、は!」
海未「人形……!?」
『そう!人形なんだよ海未ちゃん。手が込んでるでしょ?
あははっ、それにしても海未ちゃんは冷静に見えて本当にすぐ熱くなるなあ』
海未「……本物のようにウィッグを被せて、手や足を縛っていたら見間違うのも当然ではないですか……っ」
『ねぇ?今どんな気分?悔しい?悔しいよねぇ!
だって海未ちゃんは普段感情を表に出さない"クールビューティー"なんだから」
海未「さっきから人の事をからかってばかり……いい加減にしてくれませんか」
『……ラブアローシュート』
海未「!」ビク
『あの技?可愛いね、どこで考えたの?』
海未「な、何故それを、」
『顔真っ赤にしちゃって……かわいいなあ海未ちゃん。
俺、海未ちゃんみたいな女の子大好きだよ?
汚したくなるから、ね』
グッ
海未「!?!?んぐっ!?んんん!?んん!!!ん、……!…!………」
ドサッ……
『大丈夫、殺しはしない。
……無力なお姫様にはちょっと眠っててもらうだけだ』
……倉庫……
海未「ん……、っ!?」
『あ、目が覚めたかな?海未ちゃんおはよー。よく眠れた?』
海未「こ、ここは……、!?これはなんですか!?あなたは一体何を……!」
『まぁまぁ、その手足の縄はきっと海未ちゃんじゃほどけないから大人しくしといた方いいと思うよ。』
海未「……っ、こんなところに連れてきて!何をしようと言うのですか!?」
『それなんだけどね、海未ちゃん。
俺は君に全ての種明かしをしようと思う。』
海未「種……明かし……?」
『そう。矢澤にこ退学のことや、東條希と絢瀬絵里の退部、星空凛の自殺未遂、小泉花陽の登校拒否、そして……南ことりの海外逃亡。
ききたい?海未ちゃん。」
海未「あなたが……!全部!あなたがやったのですか!?あなたが私達をバラバラにしたのですか!?」
『…ただし、交換条件を出させてもらう』
海未「なんですか……!!全てを知れるなら私はなんだって、」
『高坂雪穂をここに連れてくること。それが条件だ』
海未「雪……穂、を…?」
『それが俺から全てを聞くただ一つの条件。
最初に断言しておこう、俺は嘘はつかない。
海未ちゃんがここに高坂雪穂を連れて来たなら俺は全ての真実を話す。
それをきいたら海未ちゃんは穂乃果ちゃんにでも警察にでも行って俺を捕まえればいい。』
海未「つ、連れてきた雪穂には、何をするつもりですか……!」
『ーー[ピーーー]』
海未「!?!あ、あなたは……!!!」
『……っていうのは冗談として、そうだなあ、どうしよっか海未ちゃん。』
海未「…………」
『高坂雪穂は姉思いだからね。きっと穂乃果ちゃんを守るためならなんだってすると思うよ。』
海未「……」
『そう……"なんでも"ね。
それが自殺でも、他殺でも。』
海未「っ……雪穂がそんなことするはずありません!!」
『はは、どうだか。相当なシスコンだからねぇ…
いっそこと雪穂ちゃんを洗脳して穂乃果ちゃんを壊すっていう手もあるけど……それはそれでちょっと面倒だなあ』
海未「あなたは……あなたは人間じゃない……!」
海未「雪……穂、を…?」
『それが俺から全てを聞くただ一つの条件。
最初に断言しておこう、俺は嘘はつかない。
海未ちゃんがここに高坂雪穂を連れて来たなら俺は全ての真実を話す。
それをきいたら海未ちゃんは穂乃果ちゃんにでも警察にでも行って俺を捕まえればいい。』
海未「つ、連れてきた雪穂には、何をするつもりですか……!」
『ーー殺す』
海未「!?!あ、あなたは……!!!」
『……っていうのは冗談として、そうだなあ、どうしよっか海未ちゃん。』
海未「…………」
『高坂雪穂は姉思いだからね。きっと穂乃果ちゃんを守るためならなんだってすると思うよ。』
海未「……」
『そう……"なんでも"ね。
それが自殺でも、他殺でも。』
海未「っ……雪穂がそんなことするはずありません!!」
『はは、どうだか。相当なシスコンだからねぇ…
いっそこと雪穂ちゃんを洗脳して穂乃果ちゃんを壊すっていう手もあるけど……それはそれでちょっと面倒だなあ』
海未「あなたは……あなたは人間じゃない……!」
『ああそうだ!これがあったよ海未ちゃん』
カチャ……
海未「そ、それは……首輪……?」
『そう、これは首輪。ただしセキュリティーキーが必要で自分じゃ外せない。
そして何より……これには、盗聴機能と、盗撮機能が付いている。』
海未「何故そんなものを……っ!」
『俺が作ったんじゃないよ?やだなーこんな悪趣味してないって。
下手な話これ犬につけて散歩させれば盗撮し放題だからね、嫌な世の中になったもんだなあ』
海未「あなたがそれを言うのですか……!」
『さて、本題です。これを今から海未ちゃんの首につけます。』
海未「!や、やめてください!!!」
『心配しないで海未ちゃん、鏡とかで映さない限り海未ちゃんの裸とかは見れないよ』
海未「……っ」
『でも……そうだなあ、"誰か"と一緒にいたり"誰か"と話したりしてたら、ぜーんぶ分かっちゃうね』
海未「…………ぁ…」
『あ、でも"誰にも"会わなければいい話だよ。よかったね海未ちゃん。』
『ーーーさぁ、海未ちゃんどうする?』
海未「どう、する……って……」
『高坂雪穂という人質を連れて来れば君のこれから安全は保障する。もちろんこの後は誰にも手を出さないし、この首輪を使うこともない。
さぁどうする?
人の命を差し出して自分を守るか。
自分の生活を犠牲にしてみんなを守るか。』
海未「……っ…」
『もうずっと誰にも会えないわけじゃないよ?この首輪は、付けてから3ヶ月後には自然にとれるし、それまでのデータも全消しされる。』
海未「それじゃあ……!」
『ただし、それまでに録画、録音されたデータは全てこっちのパソコンに送られてくるからデータは残ることになるけど。』
海未「そ、それでもきっと穂乃果たちは分かってくれ…」
『ほんとに?』
海未「っ!」
『常に盗撮や盗聴されてる立場にいることになるのにそんな悠長に対応できると思う?
何も言わないまま首輪をつけていたって、どうせいつかはバレるよね?』
海未「……っ」
『海未ちゃん、データは時としてお金になるんだよ。
分かりやすく言うと……例えば穂乃果ちゃんと海未ちゃんが一緒にお風呂に入ったとする。
当然海未ちゃんが近くにいればそのデータはこっちのパソコンに残る。
そのデータをネットで拡散させる。
そうすると今の時代あっという間に広がる。
当然誰かが気付いて教えるだろう。
そしたら今度は犯人探しになるよね。
……もう、分かるかな?』
海未「……あなたは…最低、です……」
『さぁ、海未ちゃんどうする?高坂雪穂を連れてきて真実を知るか、この首輪をつけて引きこもるか』
海未「っ…首、輪…を……つけて、下さい…………」
『…仰せのままに』
……カチ
ピーー
『退部おめでとう、"元"スクールアイドルμ’sの園田海未さん』
……次の日……
穂乃果「……なんで海未ちゃんも休みなの」
穂乃果「つまんない……この部室こんなに広かったっけ」
穂乃果「にこちゃんはもう学校にいないし、絵里ちゃんと希ちゃんと花陽ちゃんは来てないし、凛ちゃんは入院中でしょ?
ことりちゃんは引っ越しの準備だし、海未ちゃんは……なんか、体調崩したみたいだし。
あとは……」
がチャッ
真姫「穂乃果、遅くなってごめん……!」
穂乃果「真姫ちゃん……!」
真姫「あ、あれ……みんなは」
穂乃果「……今日は2人、だけ」
真姫「……そう」
真姫「……静かね」
穂乃果「…うん」
真姫「穂乃果、」
穂乃果「うん?」
真姫「こんな時に……言うのも、どうかだと思うのだけれど……花陽と凛……μ’sを辞めるって…」
穂乃果「…………そう」
真姫「そう、って……悲しく、ないの」
穂乃果「悲しいよ。すっごく悲しいし、悔しい。
……でも、穂乃果多分こうなるんだろうなって思ってたよ。
だって、もう、ここにいるの、2人……だけ、…でっ」
真姫「ごめんなさい……辛い、話しして……」
穂乃果「真姫ちゃんは、悪くない……っ、海未ちゃんに連絡がつかないの、家に行っても体調を崩しただけだから大丈夫、の一点張りなんだよ。
昨日まで普通に帰ってたのにだよっ?」
真姫「……穂乃果」
穂乃果「……?」
真姫「被害にあってるのは……この学校でμ’sのメンバーだけよね?」
穂乃果「多分……そう、だと思う」
真姫「……分かった。穂乃果、もう泣かないで。穂乃果には笑っててほしいのよ。」
穂乃果「真姫ちゃん……?」
真姫「心配しないで、穂乃果。」
真姫「私がなんとかする。」
*本日はここまで
(更新遅くなってすみません……体調を心配してくださった方もありがとうございます。)
おつです
そういう事ね……
あれ……体大丈夫ですか?
…
……
………
真姫「……。よし。」
真姫「(μ’s、は。)」
真姫「(数少ない私の居場所で。……自分が自分らしくいられる場所で。
いろんな人がいて、いろんなことがあって、楽しくて、何より大切な……私の宝物。)」
真姫「(だから……このまま、μ’sがなくなるなんて、にこちゃんが帰ってこないまま終わるなんて、絶対に嫌。)」
真姫「(何が何でも、取り戻す。……何があっても、私の…ううん、みんなの……9人の居場所を守る…!)」
真姫「……こんなものかしら。薄着のワンピースにカーディガン。
…無防備感を出すためにイヤホンもしておきましょうか」
真姫「……絶対に、捕まえる」
真姫「なるべく人通りの少ない道を歩いた方がいいわね」
真姫「……(だめ、手……震えないで。怖くない、こんなのμ’sがなくなる恐怖に比べたら全然怖くない!)」
真姫「(もし、もし捕まったら、何をされるのかしら……きっと、ただでは帰られないわよね…)」
真姫「(……殺される?)」ゾクッ
真姫「(だ、だめよ、こんなこと考えちゃ。わたしが捕まえるんだから、見つけたらここに隠し持ってるスタンガンで……)」
真姫「(入学したての時はパパの大きなお世話だと思ってたけど、今はこの上なく役に立ちそう……ありがとう、パパ)」
真姫「(それにしても出てこないわね……、ストーカーってこんなに上手に隠れるものなのかしら)」
真姫「(私のことをストーカーする人なんていなかったりして……)」
真姫「(な、なにがっかりしてるのよ!狙われないことはいいことじゃない!あーもう!早く出てきなさいよーっ!)」
真姫「(もうすぐで大通りに出ちゃうじゃない……今日はもう無理なのかしら……あら、向かいから男の人が…)」
真姫「(まぁでも、ストーカーは後ろから来るものよね、普通にこのまま通り過ぎれば……)」
ポン
真姫「ひ……!?」
『……みーつけた。』
真姫「…!な、なによ……なんか用?
(ふ、普通に正面から来てびっくりしたわ……!落ち着いて、落ち着いて…冷静にならなきゃ)」
『すごいなあ真姫ちゃん。自分を囮に使うなんて』
真姫「!!(バレてる……!どうして!?)」
『そこまでして俺のこと捕まえたかったんだー?
……もし、何かされたらどうするつもりだったの?」
真姫「そ、その時はその時よ!」
『そこに隠してるスタンガンでも使う?』
真姫「……っ!?」
『やっぱりスタンガン持ってたんだ!ちょっとカマかけただけなのに、真姫ちゃんは分かりやすいなー』
真姫「な、何よ馬鹿にして……!私だってやれば出来るんだから!観念なさい!!」
『おー女の子がスタンガン持ってるなんて新鮮でいいね』
真姫「……私を捕まえようとしたこと、後悔してあげるわ……!えいっ……!」
『無駄だよ、真姫ちゃん』
ガシャン!
真姫「……っ!?(スタンガンが……!)」
『ほら、真姫ちゃんの両手首なんて俺の片手で抑えられる。
真姫ちゃんさあ、女と男の力の差体験したことないでしょ、経験が浅すぎるねえ。
海未ちゃんといーっしょ』
真姫「う、海未にも何かしたっていうの!?」
『それにね、真姫ちゃん。勝負事は熱くなっちゃ負けだよ。それを覚えておいたらいい。』
真姫「は、離しなさいよ……!」
『はい、どーぞ?』
パッ
真姫「……え?」
真姫「(こ、こんなあっさり……?)』
『何?このまま離さずに連れ去って欲しかった?』
真姫「そ!そんなわけないでしょ!!何を企んでいるのよ!?」
『なーんにも?俺は"真姫ちゃんには"何もしないって決めてるし』
真姫「……嘘くさいわね」
『俺は嘘はつかないけどね。
本当だよ?"真姫ちゃんには"何にもしない。』
真姫「……(顔は覚えた、レコーダーもポケットの中で動いてる…正常に録音されてるはず……後は今から電話して、ここに警察を呼べば……って、あれ……!?いない!?
いつの間にあんな遠くに!?!?)」
『考え出したら周りが見えないのあまり良くないかもよ、真姫ちゃん?
また、明日でも明後日でも捕まえにおいで。今の時間帯、必ず俺はここを通る。じゃあね真姫ちゃん』
真姫「ま!待ちなさいよ!!!」
真姫「っ……逃した……っ最悪……!!」
…次の日…
真姫「ふぁ……」
真姫「……あまりよく眠れなかったわ…」
真姫「…今日こそ、犯人を捕まえなくちゃね」
真姫ママ「おはよう真姫ちゃん、よく眠れた?」
真姫「おはようママ。……えぇ、まぁまぁね」
真姫ママ「ねぇ、真姫ちゃん」
真姫「なぁに?」
真姫ママ「真姫ちゃん、家の電話番号誰かに教えたりしてないかしら」
真姫「うちの?…教えた覚えはないけれど。どうしたの?誰かから連絡きたとか?」
真姫ママ「いえ……昨日の夜無言電話が何回も来て、ちょっと迷惑だったのよ。
でも、真姫ちゃんのお友達がそんなことするわけないわよね、ごめんなさいね。」
真姫「……無言電話?」
真姫ママ「やぁね、悪戯かしら」
真姫「(そういえば……にこちゃんに教えたかもしれないけど……にこちゃんが悪戯なんてするわけないわよね)」
……部室……
真姫「ほ、穂乃果!」
穂乃果「真姫ちゃんどうしたの?」
真姫「これ……聞いて、昨日、私犯人を捕まえようとしたの。…失敗したけれど」
穂乃果「……ボイスレコーダー…」
・
・
・
真姫「……と、いうわけよ」
穂乃果「……海未ちゃん、も…何かされたんだ」
真姫「みたいね……」
穂乃果「……真姫ちゃんは?」
真姫「えっ?」
穂乃果「真姫ちゃんは何もされてないの?」
真姫「えぇ……何も、されてないわ。心配してくれてるの?」
穂乃果「そうだよね。だって真姫ちゃんと犯人共犯なんだもんね」
真姫「……ほの、か?何言って、」
穂乃果「犯人が言ってるじゃん、"真姫ちゃんには何もしない"って。」
真姫「そ、それは、」
穂乃果「みんな酷いことされてるのに、それで学校にも来れてないのに、真姫ちゃんだってμ’sの1人なのに、なんで、なんで、"真姫ちゃんには何もしない"の?」
真姫「わ、分からないわよ……」
穂乃果「ねぇ、どうしてμ’sばっかりなの?なんでみんなを傷つけたの?」
真姫「穂乃果、私じゃないわよ……」
穂乃果「……」
真姫「本当よ、穂乃果、ねぇ信じてよ……!」
穂乃果「…………」
真姫「……っ穂乃果、……分かったわ、今日、絶対に捕まえて見せるから。だから、捕まえたら……信じてよね」
バタン
穂乃果「…………何、言ってるんだろ」
穂乃果「真姫ちゃんが、そんなこと……するわけ、ないじゃん……」
穂乃果「もうやだよ…………」
……路地裏……
真姫「今日こそ、捕まえなきゃ……」
真姫「……疑われたのはショックだった、けど」
『どうしたの、浮かない顔して。穂乃果ちゃんに俺と共犯だって疑われた?』
真姫「……っ!?べ、別にそんなことないわ!」
『なーんだ。昨日、ボイスレコーダー使ってたから今日それ穂乃果ちゃんに聞かせて誤解されたのかと思ったけど』
真姫「…………」
『ねぇ、真姫ちゃんはμ’s好き?』
真姫「…何でそんなこと聞くのよ」
『そうだよね、真姫ちゃんの居場所だもんね。大切な場所だよね。』
真姫「私は何も言ってないわよ!」
『じゃあピアノを弾くことは好き?』
真姫「…まぁ、ね」
『……じゃあ、好きなことだけして勉強に身が入らずに成績が思わしくないのを両親に隠してるのはどんな気分?』
真姫「ーーーーー!!!」
『入学当初と比べたら、まぁ今でも順位で見るとかなり健闘してるしけど……かなーり下がったよね。
医学部志望でしょ?君、その今の成績で入れるの?』
真姫「あ、あなたに関係ないでしょ!?」
『あーわかった!医学部にμ’sっていうブランドで入学するんだ?あ、それとも西木野総合病院のコネでも使う?』
真姫「……ふざけないで……!!!」
『おっと、いきなり殴ろうとするなんて怖いなあ真姫ちゃん」
真姫「あなたに何がわかるっていうのよ!!!人を傷つけることしか脳のないあなたに!!どうせあなたニートなんでしょ!?
ははっ、だから簡単にそんなこと言えるんだわ!」
『……きっと今ごろ、君の両親はがっかりしてるだろうなあ。
君のがくっと下がった成績に。』
真姫「今……ごろ……?」
『今日真姫ちゃんが家を出た後、君の家のポストに君の成績表を入れておいたよ』
真姫「ーーーーーーー」
『……人はね、好きなことだけして成功できる人はごく僅かなんだよ真姫ちゃん。』
真姫「っ、っ!」
『さよなら、"元"スクールアイドルμ’sの西木野真姫さん』
……真姫の家……
真姫ママ「……説明してちょうだい」
真姫「……」
真姫ママ「……真姫ちゃん。」
真姫「こ、今回だけよ!次からちゃんとやるから……っ!!」
真姫ママ「文武両道もできない子だったなんて……ピアノなんて習わせるんじゃなかったわ…」
真姫「……!」
真姫ママ「……あなたからも何か言ってください」
真姫「……パパ、私、」
真姫パパ「アイドルなんて辞めなさい」
真姫「!!!い、嫌よ!私は……!」
真姫パパ「聞けばこの間音ノ木坂で自殺未遂した子は君のグループのメンバーだそうじゃないか。
それだけじゃない、9人のうち1人は退学、4人は登校すらしていないと聞く。
もうすぐ南理事長の娘さんも海外留学だそうだ。」
真姫ママ「あら、なら辞めるいい機会じゃない!
これを機に勉強に専念しましょう真姫ちゃん」
真姫「待っ……!待ってよ2人とも!!私は辞めたくない!」
パシンッ
真姫「……っ、パ…パ……」
真姫パパ「ピアノでも一位になれなかった挙句、勉強でも一位になれないお前に、好きなことをやる資格はない」
真姫「そん……な」
真姫ママ「……登校拒否なんて、なんて情けないのかしら。
そんな人たちだから家に無言電話なんてくるんだわ。
嫌ね、妬みかしら」
真姫「みんなはそんなことしないわ!!!」
真姫ママ「さ、真姫ちゃんお勉強しましょ?」
真姫パパ「明日にでも家と別荘のピアノは売ることにしよう」
真姫「嘘、やめて……!」
真姫ママ「よかったわね、真姫ちゃん、これで将来は安定だわ!」
…次の日…
穂乃果「……」
真姫「ごめん、なさい……ほんと、にごめ…勉強、しなきゃ、いけなくて……っ、」
穂乃果「………もう、いいよ。勉強、頑張って…ね、真姫ちゃん」
真姫「……っ、ごめん…っ」
バタン
穂乃果「…………ひとりに、なっちゃった」
穂乃果「あは…ここ、こんなに、広かったかな…」
穂乃果「きっと、真姫ちゃんも、犯人に」
穂乃果「許さない」
……穂乃果の家……
穂乃果「きっと、次は穂乃果なんだと思う」
穂乃果「絶対に捕まえる。……でも、」
穂乃果「もう…μ’sは」
穂乃果「…………」
コンコン
雪穂「お姉ちゃんー?ご飯だよー」
穂乃果「……」
雪穂「お姉ちゃん?寝てるのー?」
雪穂「なんだ、起きてるじゃん!返事ぐらいしてよねー」
穂乃果「…ねぇ、雪穂」
雪穂「ん?なーに?」
穂乃果「お願いが、あるの。」
雪穂「……お姉ちゃん?」
『よく分かったねぇ、俺がにこちゃんの携帯を持ってるって。犯人当てにメール送ってくるなんて驚いたなあ』
穂乃果「……真姫ちゃんが言ってた。家に無言電話がくるって。にこちゃんにしか、番号教えてないのに、って」
『うんうん、さすがμ’sのリーダーだねえ。で、どう?だーれもいない部室は?』
穂乃果「……あなたが、やったんでしょう全部」
『全部って?』
穂乃果「にこちゃんの退学も、凛ちゃんの自殺未遂も……!みんなの登校拒否も!!ことりちゃんの留学だってあなたなんでしょ!?
どうしてこんなことするの!どうしてみんなのこと傷つけたの!!ねぇ!どうしてよ!!!」
『滑稽だなあ穂乃果ちゃん。君は本当に"1人じゃ何も出来ない"んだね』
穂乃果「……そんなこと」
『練習メニューと作詞は海未ちゃん、作曲や別荘の手配は真姫ちゃん、ダンス監督は絵里ちゃん、衣装はことりちゃん。
にこちゃんと花陽ちゃんはアイドル情勢に詳しいから頼りになるよね。凛ちゃんは、身体能力がすごく高くて目を引くパフォーマンスをする。彼女はμ’sの中で1番女の子らしいと思うな。
希ちゃんはいつもみんなのことを見ていてメンタルケアの部分で大きく役立ってる。
……じゃあ君は?君は、何をしてるの?」
穂乃果「…穂乃果は」
『カリスマ性があるのは客観的に見た話。でも、君は普段の練習、生活でなんの役に立ってる?
いつもおかしげな方向に周りを見ずに突っ走り、他人や仲間に迷惑をかける。
君のその傲慢な部分が前回のラブライブ辞退の原因なんじゃないのかな?
自分で勝手に辞めて、結局勝手に戻ってきてさ。
周りの人間をどれだけ振り回したら気が済むんだ?
いつまでも穂乃果ちゃんの我が儘に付き合ってられる友達は本当にいるの?』
穂乃果「そ、それは……それは、自分でも、分かって」
『第一、リーダーとして本当に信用されてたら矢澤にこにも、絢瀬絵里にも、小泉花陽にも星空凛にも相談されていたはずだよね?』
穂乃果「……っ!」
『ましてや、園田海未や南ことりは幼なじみだというのに2人とも穂乃果ちゃんにはなんの相談もなしにμ’sを辞めた。
これがどういうことか分かるかな?
リーダー失格なんだよ、穂乃果ちゃんは。』
穂乃果「もう、やめ……」
『確かに穂乃果ちゃんはすごいよ。廃校阻止のためにアイドルグループ作ってここまでのし上がれるほどの実力をつけたそのリーダーなんだから。
慕われてはいるんだろうねきっと。
でも、それだけ。どんなにメンバーに慕われていようとその中に君を1番に考えられる人間はいない。』
『妹弟のために全ての夢を諦めた矢澤にこ、心から愛してる絢瀬絵里を泥沼に引きずり込んだ東條希、親友の為に心を壊した小泉花陽と星空凛。
娘だけの為に他の犠牲を厭わなかった理事長とその想いに従った南ことり。
μ’sという自分の居場所を守ろうとした西木野真姫。
……あぁ、園田海未だけはもしかしたら君のことを考えていたかもしれない』
穂乃果「う、みちゃん」
『まぁ、でもそんな海未ちゃんに君は今日罵声を浴びせたみたいだけど。
酷いよねぇ、自分を守ってもらってることを知らずに"どうして海未ちゃんまで逃げるの、もうμ’sは穂乃果しかいないんだよ。"なんて。』
穂乃果「ぁ……あ…」
『さぁ行こうか穂乃果ちゃん。君には特別にタネばらしをしてあげる』
……倉庫……
『まず、最初に言っておこう。ここは圏外だ。電話なんてあるわけもない。そして君はこうして手足を縛られている。……逃げることは不可能だよ』
穂乃果「……」
『君をここで壊したら、俺はどこか遠いところへ行こうと思う。どうしても捕まえたかったら探すといい。
それで、μ’sが元通りになるなら、ね』
穂乃果「……早く、話してよ」
『はいはい。せっかちなお姫様だなー。
とりあえずじゃあ動機からいこうか。俺はもともとはUTXの卒業生。
まぁ当然A-RISEを応援してた。
前回のラブライブでも彼女たちは最後まで一生懸命輝いていた。あれは感動だったね。
そして今回のラブライブ。もちろん俺はA-RISEを応援している。だがそこに、前回とは違う邪魔者が入ってきた。
それが君たち、μ’sだよ。』
穂乃果「……」
『最初は邪魔だな、ぐらいにしか思ってなかった。でも1ヶ月ぐらい前に、スクールアイドル通り魔事件を耳にして閃いたんだ。
μ’sを自分の手で潰せば、いいやってね。
そうすれば少なくともA-RISEは予選を突破できる。
ただそれだけの理由だよ。』
穂乃果「…………そんなので、優勝したってA-RISEは喜ばない」
『喜ぶさ。だって事実を"知らない"んだから』
穂乃果「……っ、最低」
『矢澤にこのことは穂乃果ちゃんもこころちゃんたちから聞いて知ってるだろうし……何が聞きたい?』
穂乃果「……理事長も、脅してたのね」
『脅してたなんてひどいなあ、取り引きをしたまでだよ。"南ことりには手を出さない"と。
その代わり矢澤にこの退学手続き書類を偽造してもらい、独自に動いてもらった。それだけだ』
穂乃果「希ちゃんを、襲ったのも」
『もちろん俺だよ。にこちゃんから"貰った"携帯が役に立ったよ。律儀に全員の住所を入れてるからね。家の特定は容易かった。
まぁ、別にレイプまでする気はなかったんだけど、誰かに依存しないと生きていけなくなるほどの精神状態にする必要があったからさ。
一歩間違えば絢瀬絵里と一緒に死のうとするんじゃないかな』
穂乃果「…どうして、花陽ちゃんは来なくなったの
どうして凛ちゃんは自殺未遂なんてしたの」
『簡単なことさ。星空凛が拘束されている画像で小泉花陽を脅し、これ以上被害を大きくしたくなかったら自らの行動で星空凛にμ’sを辞めさせろって言ったんだ。
当然星空凛はそれを知らずに、小泉花陽の言葉を間に受け傷つき手首を切り搬送された。
その後に自殺未遂の件を知り、脅しに使った画像は、アダルトビデオの画像に星空凛の画像を合成したものだと種明かしされた小泉花陽の心も壊れた、というわけ』
穂乃果「……っ…海未、ちゃん、はっ」
『あははっ、海未ちゃんはすごく頑張ってたよ?まず俺から幼なじみを守ろうと日々の練習に重ねさらに稽古を積んでいた。
そして俺におびき出され、男の女の実力の差を知り絶望したところで今の穂乃果ちゃんと同じところに縛られた。
そこから取り引きをしたんだよ。
海未ちゃんに全部教えてもいい、そのかわりに高坂雪穂をここに連れてこい、って。』
穂乃果「ーーー!!ゆ…雪、穂!?
雪穂にも何かしたのぉっ!?」
『まぁ最後まで聞いてよ。当然海未ちゃんはその条件を飲まなかった。だから君の妹にはなんの手も出していないよ。
そのまま海未ちゃんはある首輪をつけられた。
3ヶ月外れない、盗撮と盗聴に特化した首輪を、ね。』
穂乃果「じゃ、じゃあ海未ちゃんが家を出てこなかったのって、」
『そう、周りの人間を守るためだよ穂乃果ちゃん』
穂乃果「…わ、わたし、わたし海未ちゃんに酷いこと…」
『西木野真姫も俺を捕まえようと自らを囮にしてわざわざ人通りを少ない道を1人で薄着で歩いてた。
人気のスクールアイドルがリスク高いことするよねぇ。
それだけ彼女にとってはμ’sは守りたい自分の居場所だった。
最も、俺が彼女の家のポストに投函した彼女の成績表によって両親の制圧が加わり勉強しかできなくなってしまったけれどね』
穂乃果「ほ、穂乃果、真姫ちゃんに共犯なんでしょって…言っちゃった……何にも、知らなかった……」
『あははっ、俺と真姫ちゃんが共犯かあ。……μ’s大好きな彼女には出来ないだろうなあ』
穂乃果「……っぅ……ぐす……」
『さて、……どうする穂乃果ちゃん』
穂乃果「……?」
『ここで、大人の遊びでもする?』
穂乃果「…………別に、いいです」
『いいんだ?大人の遊びって何かわからないわけじゃないでしょ?希ちゃんにしたようなことだよ』
穂乃果「もう……いいです。もう、μ’sは元には戻らないし…」
『ふーん……つまんねぇの。もーちょっと頑張ってくれるかと思ったのになー。ま、いっか。』
穂乃果「っ!あ、あの!」
『ん?』
穂乃果「目にまつげが入っちゃて凄く痛くて……!ちょっと目見てもらえませんか……」
『はいはい。全く、手のかかる子だ……。よっ……んー?特になんともなってないけど……、』
グサッ
『…………は?……かはっ!?』
ドサッ
穂乃果「……許さない」
穂乃果「許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さないユルさナい、ユルサナい、ゆるさナい……許さない……っ!!!!」
グサッ
穂乃果「お前のせいで!!!!お前の勝手な独りよがりのせいで!!!
穂乃果たちは!!!」
グサッ
穂乃果「返して!返してよ!!!みんなを返して!!!幸せだった頃のμ’sを返してよおおおおっ!!!!!」
グサッ
『な、……ん、で』
穂乃果「ずっと隠してたの!!少しずつロープを切ってたんだよ!分かんなかったでしょ!?分かんなかったよねぇ!そうだよねえ!!!」
グサッグサッ
穂乃果「ぅ……っうあ、」
グサッ
穂乃果「うわああああああああああああ!!!!!!!!!!」
グサッ……
穂乃果「……っ、は、はは……あははっ……は…」
雪穂「……お姉ちゃん」
穂乃果「雪、穂……」
雪穂「本当に、殺してよかったの……」
穂乃果「……だって、この人捕まっても何年かすれば出てくるんでしょ?なのに穂乃果たちはずっと苦しんでなきゃいけないんでしょ?
みんなの為に[ピーーー]しかなかったんだよ。もうそれぐらいしか穂乃果ができることはなかった……っ」
雪穂「…………もうすぐ、警察くるから」
穂乃果「ありがとう……雪穂、お願い、きいてくれて。」
雪穂「驚いたよ。いきなり"今夜人を[ピーーー]から時間が来たら警察を呼んで"なんて……」
穂乃果「……こんな、お姉ちゃんでごめんね」
雪穂「……っ、私は、お姉ちゃんの味方だから、」
穂乃果「……うん」
雪穂「……お姉ちゃ」
穂乃果「雪穂、ありがとう。家に帰って?」
雪穂「で、でも」
穂乃果「お願い」
雪穂「……わかった、っ」
ガシャン……
穂乃果「…………本当は」
穂乃果「……っ、は、はは……あははっ……は…」
雪穂「……お姉ちゃん」
穂乃果「雪、穂……」
雪穂「本当に、殺してよかったの……」
穂乃果「……だって、この人捕まっても何年かすれば出てくるんでしょ?なのに穂乃果たちはずっと苦しんでなきゃいけないんでしょ?
みんなの為に殺すしかなかったんだよ。もうそれぐらいしか穂乃果ができることはなかった……っ」
雪穂「…………もうすぐ、警察くるから」
穂乃果「ありがとう……雪穂、お願い、きいてくれて。」
雪穂「驚いたよ。いきなり"今夜人を殺すから時間が来たら警察を呼んで"なんて……」
穂乃果「……こんな、お姉ちゃんでごめんね」
雪穂「……っ、私は、お姉ちゃんの味方だから、」
穂乃果「……うん」
雪穂「……お姉ちゃ」
穂乃果「雪穂、ありがとう。家に帰って?」
雪穂「で、でも」
穂乃果「お願い」
雪穂「……わかった、っ」
ガシャン……
穂乃果「…………本当は」
本当は。
穂乃果がみんなを助けたかった。
にこちゃんを支えて、
理事長の間違いを悟して
希ちゃんを抱き締めて、
絵里ちゃんに一人で頑張らなくていいよって言いたかった。
花陽ちゃんに、その心は素敵だよって
凛ちゃんに信じる力を取り戻してもらいたかった。
ことりちゃんに戦う勇気をあげて、
海未ちゃんの肩の力を抜かせて、
真姫ちゃんの悩みをきいてあげて…
穂乃果が。
穂乃果が、やらなきゃいけないことだった。
みんなの心が壊れる前に、
誰よりμ’sを始めた穂乃果が気付かなきゃいけなかった。
だから、1番罰を受けなきゃいけないのは穂乃果。
何回刺しても足りない。
どれだけ刺しても足りない。
だってもうそれはただの塊。
塊が起こした事実は消えない。
穂乃果の罪だって消えない。
死ぬ事が、
穂乃果がいなくなることがみんなの救いになるなんて思わない。
でも、穂乃果ももう限界だよ。
だって誰もいない。
だってμ’sがいない。
穂乃果が頑張る理由がどこにもないの。
ごめんね、こんなに弱いリーダーで。
ごめんね、何も出来なくて。
ごめんね、結局殺すことしかできなくて。
ごめんね、みんな。
ごめんね、逃げることしかできなくて。
穂乃果「……ここで、もう全部終わりに、」
穂乃果「……みんな」
穂乃果「海未ちゃん……いつも穂乃果のこと思って叱ってくれてありがとう…頑張ってる海未ちゃんかっこよくて…海未ちゃんの作る詩も、すごく、好き…で…」
穂乃果「ことりちゃん、いつも穂乃果の味方してくれたよね。ことりちゃんの作る衣装可愛くって切るのすごく楽しかったよ。ことりちゃんすごく女の子らしくて、優しくて……」
穂乃果「花陽ちゃん……アイドルの夢、叶えてあげられなくてごめんね…一人で背負わせてごめん…花陽ちゃんの心はすっごく綺麗だよ、頑張り屋さんな花陽ちゃん……」
穂乃果「凛ちゃん、人懐こくて元気で、妹みたいな存在だったなあ……神は短かったけど、μ’sの誰より乙女で可愛かった凛ちゃん……」
穂乃果「意地っ張りで素直じゃない真姫ちゃんがμ’s守るためにいろいろ頑張ってくれてたんだね……嬉しいなあ…
真姫ちゃんの作る曲、本当に大好きだよ……あの時リラックスできるようにって弾いてくれたCD今でも聴いてるよ…」
穂乃果「にこちゃん、ごめんね、本当に何もできなくてごめんね。穂乃果の中でにこちゃんはどんなアイドルよりアイドルだよ。スーパーアイドル通り越してもう宇宙No. 1だよ。
にこちゃん……またアイドル目指して欲しいなあ…」
穂乃果「絵里ちゃん、……絵里ちゃん、一人で頑張らせてごめんね。あんなに思い詰めた絵里ちゃん初めてだったよ。
もっとちゃんと話し聞いてあげたらよかった……
お姉さんだけど少し抜けてて可愛い絵里ちゃん…本当の意味で希ちゃんと幸せになってほしいよ」
穂乃果「希ちゃん……痛かったよね、怖かったよね、……助けてあげられなくてごめんね。穂乃果何にもできなかった。希ちゃんのこと大事なのに……本当にごめんね…
いつもみんなのことみてくれる希ちゃん尊敬してたよ。もっとたくさんお話したかったなあ…」
穂乃果「……いち」
穂乃果「…………に」
穂乃果「さん…」
穂乃果「…よん」
穂乃果「…。……ご」
穂乃果「ろ……く」
穂乃果「……っなな」
穂乃果「はち……」
穂乃果「……きゅ…ぅ」
穂乃果「みゅーず……っ、みゅー……じっく、すた…と」
穂乃果「〜っ……ぅ、う…ぇぐ……っ」
穂乃果「……っ、ばい、ばい…みんな」
穂乃果「……っ」
グッ……!
穂乃果「……?あ、…れ?……!?!?お母、さん…!?」
穂乃果母「この馬鹿穂乃果!!!なんでもかんでも一人で背負ってるんじゃないわよ!!!!」
穂乃果「お、お母さん離して……っ、手、切れてる…血が!」
穂乃果母「こんなのあんたの痛みに比べたらどうってことないわよ……穂乃果、こんなことのために命を捨てるなんてお母さんが許さない。
お腹を痛めてあんたを産んだお母さんが許さない!!」
カラン……
雪穂「もう、包丁はお姉ちゃんには必要ないよ」
穂乃果「ゆ、きほ……なんで、」
雪穂「何も知らない人に、お姉ちゃんを犯罪者扱いされたくなかったから……かな。
証拠もほら、ボイスレコーダーでちゃんと録ってあるし?
……あのまま普通に家にいれるわけないよ。
お父さんは外で警察と話してる」
穂乃果「で、も……でも穂乃果は」
穂乃果母「穂乃果。確かにあんたは人を1人自分の手で殺してしまった。それはこの先一生背負っていかなきゃならない罪よ。
でもね、穂乃果。それが全部間違いだとはお母さんは言わない。
だから、償いなさい。人を殺した罪を。
だけど、誇りなさい。あなたの仲間を想う気持ちを」
穂乃果「……お母さん」
穂乃果母「待ってるから。……いつでも帰ってきていいように。
たとえ人殺しの家族だと言われてもお母さんもお父さんも、雪穂だって戦う。あなたを恥じたりはしない。
だから、生きなさい。
だれより誇りを持って生きなさい。」
穂乃果「……っ、ご、ごめん、なさい……っ!こんな、こんな娘でごめんなさいぃ……っう、ぁ、うああああああああああん!!!!!」
《先ほど入ったニュースです……今日……で……が……》
ゴトッ……
こころ「お、お姉さま、コップ落ちましたよ?」
ここあ「残り少なくてよかったねー……にこにー?」
にこ「う……嘘、でしょ……」
にこ「穂乃果が、……あいつを殺した……?!」
にこ「…………」
にこ「こころ、ここあ、虎太郎」
こころ「はい?」
ここあ「どうしたのにこにー」
虎太郎「?」
にこ「……もう逃げないわ。…今更かもしれないけど、やっぱりにこはアイドルやりたいもの。」
こころ「わたしも、またお姉さまがキラキラしてるところ見たいです!」
ここあ「わたしも!」
虎太郎「みゅーずー」
にこ「……ありがとう、3人とも…」
にこ「じゃあ、行かないとね。」
……希の家……
絵里「……希」
希「なぁん?」
絵里「このままで、いいのかしら私達」
希「まだそんなこと言ってるん?えりちにはウチがいたらいーの。ね?」
絵里「……そうね…」
ピンポーン
希「……ひっ…!?」
絵里「だ、誰よ!?」
ガチャッ
絵里「にこ……!」
にこ「久しぶり、ね。入るわよ」
絵里「ど、どうしてここに、」
希「だ、誰……っ……!…に、にこっち…」
にこ「希、テレビ、見れる?」
希「う、うん小さいのだけど……でもどうして…」
ピッ…
《最新のニュースをおしらせします…………》
希「ニュース……?……!!!あ……!あ…!」
にこ「……あんたもこいつにやられたのね」
絵里「の、希まさか」
希「こ、こいつ……!こいつが……っ!!!」
にこ「今日……そいつは殺されたわ」
希「……え…?」
にこ「そいつは、穂乃果の手によって殺された」
絵里「ま、待ってよにこ……そんなのどこにも書いてないじゃない。第一未成年の殺人は名前が出ないのよ?穂乃果なわけ……」
にこ「……にこにはわかるの。殺したのは穂乃果。
あの子が全部1人でやったことよ。私たちのためにね。」
希「……穂乃果ちゃん」
にこ「ねぇ、希……今すぐ立ち直れなんて、言わないわ。
でも、でもせめて私たちを少しだけ信じてほしい。
このまま、穂乃果だけを苦しめたくない……」
絵里「……ここまで、1人で…。……私、間違ってたのかもしれない…ただ、希をダメにしてたのかもしれない……
希、きいて。私はあなたのことちゃんと愛してるわ。
でもきっとこのままここに閉じこもってちゃいけない。
辛い時にはそばにいるわ。
もう一度歩いてみない?もう一度だけ、せめてμ’sのみんなだけでも信じてみない…?」
希「にこっち……えりち……。……そう、やんな。穂乃果ちゃんの、ために…頑張らんと…。
また、みんなで笑い合えるんかな…」
絵里「えぇ、きっと必ず。」
にこ「ありがとう、2人とも…じゃあ次は花陽のところだけど……」
希「ウチもいく……!」
絵里「私も行くわ」
にこ「…えぇ、3人で行きましょう!」
……花陽の家……
にこ「……それにしても、希の立ち直りが早くてちょっとびっくりしたわ」
希「あはは……ちょっとだけ、ね。このままでいいんかな、ってウチも思ってたん。
考えないようにしても、μ’sのみんなのこと考えてる自分がいて。
……でも当たり前やんな。だってウチμ’sのことが、μ’sのみんなのことがだーいすきなんやもん…簡単に忘れられたりしないよ」
にこ「私もよ。…っとここよね。」
ピンポーン
絵里「……留守かしら」
にこ「…いや、これは居留守ね、ほら、上を見てみなさい」
希「上……?あっ、花陽ちゃんがこっちみて…」
にこ「絵里、ちょっと携帯貸して。私のはその……とられちゃったから」
絵里「構わないわ、はい」
プルルルル……
ガチャ
にこ「花陽?」
花陽『にこちゃん、久しぶりだね……』
にこ「花陽、ニュースみた?」
花陽『うん……殺されちゃったんだってね』
にこ「花陽、きっとあんたもあいつに何かされたのよね?」
花陽『…………』
にこ「言いたくなければ言わなくてもいいわ。でもこれだけ言わせて?μ’s全員、あいつに傷つけられてる。
……こんな言い方は良くないけれど、私たちは仲間よ」
花陽『…………。……あがって?』
にこ「……ありがとう、花陽」
花陽「ほ、穂乃果ちゃんが……?嘘……」
にこ「あくまで私の推測ではあるけれど……穂乃果しかいないと思うの」
絵里「にこからそれを聞いたら、私たちもいつまでも殻に閉じこもってちゃいけないな、って…」
花陽「……花陽は、無理だよ」
希「どうして…?」
花陽「だって花陽はみんなと違う……花陽は凛ちゃんのこと、自殺に追い込んだの……酷いこと言って傷つけたの……っ」
にこ「……花陽」
花陽「無理だよ……!今更どんな顔して凛ちゃんに会ったらいいの?凛ちゃんだって、こんな最低な花陽のこと許してくれるわけないよ!」
ぎゅうっ……
花陽「の、ぞみちゃ……」
希「……ウチな、もうこの世界にえりち以外いなくていいと思ってたん」
絵里「……」
希「でもな、にこっちに会って、こうやって花陽ちゃんに会ったらみんなに会いたくなっちゃった。
……おかしいよね、でもウチみんなのことやっぱり好きなん。
花陽ちゃんは?花陽ちゃんは凛ちゃんのこと好き?」
花陽「うん、うん……っ大好きだよぉっ……だって花陽の1番の友達なんだもん……!!」
希「じゃあその気持ち、凛ちゃんに伝えに行こう?
きっとね、凛ちゃんも今頃花陽ちゃんに会いたがってるよ」
にこ「親友なんだったら……そんな簡単に崩れたりしないわ」
絵里「心が不安定になっていただけよ……みんな」
にこ「さぁ、凛のところにいきましょ」
花陽「うん……っ!」
……西木野総合病院……
凛「……かよちん」
凛「元気、かなあ……」
『ここやんなあ?』
『ううう……緊張感するよぉ……』
『ちょっと何固まってんのよ!あんたが一番最初に入るんだからね!?』
『じゃあ開けるわよ、せーの』
ガラッ…
花陽「凛ちゃん……っ!!!」
凛「え…?」
ぎゅうっ…!
凛「えっ……え!?かよちん……!?」
花陽「凛ちゃんごめんなさい……っ!!花陽、弱くて!あんな写真に騙されて凛ちゃんのことたくさん傷つけた!
凛ちゃんに言ったこと全部嘘なの……!
本当は好き!凛ちゃんのこと大好き…!!!
本当にごめんねぇ……っ」
凛「……かよちん」
花陽「ぅっ……ぐすっ……ひっ」
凛「わかってたよ、嘘だって。」
花陽「え……?」
凛「凛たちいつから一緒にいると思ってるの?
かよちんのことなんかなーんでも分かっちゃうんだよ」
花陽「凛ちゃ…」
凛「……だから、悲しかった。なんで凛に何も言ってくれないんだろうって。かよちんに凛は必要ないのかなって。
そしたら、自分がどうしたらいいかわからなくなっちゃって……えへへ」
花陽「……っ、ごめんね、凛ちゃんのこと守りたくて、花陽1人で空回りしてた……っ
凛ちゃんこれからも花陽そばにいてっ…花陽には凛ちゃんが必要なの…」
凛「なーに言ってんの」
花陽「……!」
凛「そんなの、当たり前にゃ。」
花陽「凛ちゃん……っ!!だーいすき……っ!!」
凛「凛もかよちんのことだーいすきにゃ!」
にこ「……泣いてんじゃないわよ」
希「だってなんか自分のことのように嬉しくて……うう…」
絵里「下手な映画より感動するわね……ずずっ」
にこ「はぁ……全く……。…さ、真姫ちゃんのところいくわよ。
凛。また来るから早く退院しなさいよね!」
凛「わかったにゃ!」
ガラ…
《……先ほどのニュースに誤りがありました。被害を受けた男性は亡くなっておらず、現在病院で緊急措置を受けている模様です。失礼いたしました…先ほどの……》
にこ「……!」ピク
凛「にこちゃん?」
にこ「凛……それ…」
凛「?ラジオだよ?」
にこ「そうじゃなくて……その、ラジオ、今……」
《幸い被害者の男性は刃物などに強い防刃衣服を着用しており、失血による軽いショック状態ではあるものの、命に別状はないとのことです。
男性を襲った人物はその場に居合わせた16歳の無職少女である可能性が高いとして詳しい状況や原因などの確認を現在行っていますーー……》
希「……う、そ」
花陽「しんで……ない…?」
にこ「あいつ、は……刺されるのを予測してたってこと…?」
絵里「……穂乃果」
凛「?、?、どうしたのみんな……?」
にこ「……っ、殺してやる…!にこが……!!にこが今度こそ殺してやる……っ」
希「に、にこっち!突っ走ったらあかん……!」
ガラッ
ドン!!
にこ「きゃぁ!?」
??「な、なに!?痛いじゃない!……って」
にこ「……!真姫ちゃん……!!」
真姫「…みんな……!?」
ことりちゃんの作った衣装可愛くって切るの楽しかったよ
衣装切り刻んだのかと思ったわ
希「真姫ちゃんも……この、ニュースを?」
真姫「えぇ……おそらく、穂乃果だと思って。……生きてた、みたいだけど」
凛「ねぇ、みんなどうしたの?凛だけ話についていけてない気がするにゃ……」
花陽「凛ちゃん、ごめんね。んー……簡単に言うと、みんなこの男の人に苦しめられて……多分だけど、穂乃果ちゃんが刺しちゃったんだと思う」
凛「穂乃果ちゃんが……じゃ、じゃあこころちゃん達の言ってた男の人って、」
にこ「……そうよ」
凛「ひ、ひどい……かよちんも何かされたの?」
花陽「私は……」
凛「もしかして、凛に嘘のこといっぱい言ったの、この人から凛のこと守るためだったの?」
花陽「……うん…そう、かな。でも、結果的に凛ちゃんを傷つけー」
凛「かよちんのばかっ!!!なんでそんな危ないことするの!?なんで相談してくれなかったの!?」
花陽「で、でも、相談したら凛ちゃんが、」
凛「そんなの関係ないよ!!凛たち友達でしょっ!?
かよちんが悲しかったら凛だって悲しいんだよ!?
……本当に、ばかだよ……」
花陽「ごめんね……」
凛「生きてて……よかった……」
花陽「それは、お互い様だよ。凛ちゃん、……生きててくれて、ありがとう」
凛「えへへ……」
真姫「……そんなことがあったのね」
花陽「ごめんね真姫ちゃん」
真姫「ううん…、でも、私も相談…して欲しかったかな。その……友達、なんだし」
花陽「うん、そうだね。今度からそうする」
凛「うん、凛も!凛も真姫ちゃんだーいすきだから!」
真姫「2人とも…、もう、……あんまり心配かけさせないでよね」
>>297
今誤字に気づきました……
全然違う意味になっちゃいますね、すみません
切る→着るです
希「でも……どうしたら、ええんやろ」
絵里「とにかく今は穂乃果が心配だわ」
にこ「……海未とことりは?」
真姫「海未もきっと犯人に苦しめられた。……ことりは、留学したわ」
花陽「……理事長」
真姫「?」
花陽「きっと、理事長が関係してるんじゃないかな。
このタイミングでこんな早く……それも一度取り消した留学なんて、」
絵里「そういえば……にこの退学手続きも異様に早かったわよね」
にこ「(もしかして、あの時の電話の相手は……!)」
希「真姫ちゃんは、お家大丈夫なん?」
真姫「えぇ……。全部、話してきたから。…それで成績のことが許されたわけじゃないけど、また1から努力するわよ」
希「真姫ちゃんなら絶対やれる、大丈夫やで」
真姫「ありがとう、希。」
にこ「とりあえず、海未のところに行って理事長に話を聞きに行きましょう」
凛「ご、ごめんねみんな……凛、何の役にも立てなくて……着いていくことも出来ないし…」
にこ「何言ってんのよ!……元気になってくれたらそれでいいの」
絵里「そうよ。とにかく早く退院しないとね?」
凛「うん、頑張るにゃ」
真姫「じゃあ、海未に会いに行きましょうか」
……穂むら……
穂乃果母「……今の話、本当なの」
理事長「…………はい」
穂乃果母「自分が、何をしたか分かってるの」
理事長「…わかってる、つもりよ」
穂乃果母「どの口がそれを言うのよ……!あなたは!教師として……いいえ、人間として、許されないことをしたのよ!?」
理事長「けれど、あのままではことりが……!」
穂乃果母「ねぇ、なんでもっと冷静になれなかったのよ……あなたが家にいない間にことりちゃんに何かあったら警察は動くわ。
それに、ことりちゃんを私の家に預けることだってできたじゃないっ…
なんで、なんでよく考えてくれなかったの……!」
理事長「本当に……申し訳、ないと思ってるわ…」
穂乃果母「もし電話が来た時に誰かに相談して、犯人を特定できていたら…矢澤さんだって立ち直せて、誰も傷つかなかったかもしれないのに……
穂乃果だって、殺人を犯して自殺に追い込まれることはなかったかもしれないのに!!」
理事長「穂乃果ちゃんには、本当に何と言っていいか…」
穂乃果母「……死んでなかったのよ、犯人」
理事長「……えぇ」
穂乃果母「私が殺してやりたいぐらいだわ。」
理事長「刑が、軽くなることを祈るばかりです……」
穂乃果母「……なんで、穂乃果が、」
理事長「……っごめんなさい…」
穂乃果母「……分かってるわ…あなただって、きっとずっと自分を責めてきたんでしょう。……目を見ればわかるわ」
理事長「……私の、せいですから。私が冷静になっていれば…もう少し考えられていたら…」
穂乃果母「悔やんだって、もう何も帰ってこないわ…。…今の話、ちゃんとあちらでも話して貰えますよね」
理事長「……えぇ、せめてもの、罪滅ぼしです」
……海未の家……
海未『帰ってください、私は誰とも会いたくありません』
花陽「……海未ちゃん」
絵里「海未……辛いのは、わかるわ…でも、穂乃果が今私たちのために1人で苦しんでるのよ…」
海未『……っ、私には、皆さんに会う資格などないのです。それに、この体では……』
希「……どういうこと?」
海未『首輪が……付いているんです、セキュリティーキーがなければ外れないそうで、…盗撮用のカメラと盗聴用のマイクが付いていて、データは男の人の方に……」
にこ「……分かった。海未、にこだけあがらせてちょうだい」
海未『じ、自分が何を言っているのか分かってるのですか!?にこのプライバシーが、』
にこ「お望みなら服だって脱いでやるわよ。……お願い、海未。確かめたいことがあるの」
海未『……わかりました。では、にこだけ…お願いします』
にこ「……待ってて、大丈夫だから」
真姫「えぇ、信じてるわ」
海未「……にこ」
にこ「海未……あんた、ちゃんと食べて寝てるの?そんなにやせ細って……ボロボロじゃない…!」
海未「怖いんです、監視されてると思うと……怖くて…」
にこ「……その首輪とやらを見せてくれるかしら」
海未「本当に、いいのですか?」
にこ「えぇ大丈夫よ」
海未「……これ、です」
にこ「………………やっぱり」
海未「…にこ?」
にこ「よくできてるけど……これ玩具よ。偽物。」
海未「……え?」
にこ「ニュアンスとしては……そうね、携帯ショップに展示してある携帯の模型みたいなものかしらね」
海未「これが……偽物…」
にこ「えぇ、つまり……、ぐっ…」
バキィッ
海未「……!」
にこ「こうしても、問題わないわけよ」
海未「ど、どうして分かったのですか?」
にこ「……何となく、かな。あいつは証拠になるようなことは残さないと思ったのよ」
海未「……にこ……、ありがとう、ございます…」
にこ「いいえ、お安い御用よこんなの。……全員あげてもらって大丈夫かしら」
海未「えぇ……構いません」
今日はここまで
海未「……嘘、ですよね?」
希「……嘘や、ないんよ」
海未「証拠は……あるのですか。穂乃果が、……穂乃果が殺人を図ったという証拠は!!」
にこ「……ないわ。でも…海未だって分かるはずよ。
そうできるのは、穂乃果しかいないってこと」
海未「で、ですが、穂乃果が人殺しなど、」
花陽「じゃあ、海未ちゃんは、あの人がわたしたちにしたことを忘れて、のうのうと生きていて欲しかったの?」
海未「…そういうわけでは、」
花陽「じゃあどういうわけなの?確かに、人を[ピーーー]ことは悪いことだよ。……だけど!だけど、あの人が死ぬって聞いて海未ちゃんはホッとしないの!?少しでもよかった、って思わないの!?」
海未「……!」
真姫「花陽、ちょっと落ち着きなさい……」
花陽「……そんなの偽善者だよ」
真姫「は、花陽、」
花陽「あの人がしたことを分かってて!それを死ぬほど恨んでて!それでもあの人を殺そうとした穂乃果ちゃんが悪いの!?」
希「……正直、」
花陽「……」
希「正直、ウチらの中の……えりちと凛ちゃんとことりちゃんはちょっと違うけど…被害を受けたにこっち、ウチ、花陽ちゃん、海未ちゃん、真姫ちゃんの誰かがこうしてれば、罪なんて感じなかったんやないかな……」
絵里「……希、」
希「穂乃果ちゃんには、ウチらが苦しめられたっていう事実しかないんよ。
ウチらの肩代わりをしたにすぎないんよ。
……例えば、ウチが、あの人に襲われたウチが殺していれば、それは正当防衛でウチらが勝てたんかもしれん。
けど、悪い言い方をすれば、穂乃果ちゃんは部外者なんよ。……ウチらは遅すぎたん。
こうして集まって話し合うのが遅すぎたんよ……」
真姫「結局……全ての罪を穂乃果になすりつけてしまった……それも、最悪の形で…」
海未「……嘘、ですよね?」
希「……嘘や、ないんよ」
海未「証拠は……あるのですか。穂乃果が、……穂乃果が殺人を図ったという証拠は!!」
にこ「……ないわ。でも…海未だって分かるはずよ。
そうできるのは、穂乃果しかいないってこと」
海未「で、ですが、穂乃果が人殺しなど、」
花陽「じゃあ、海未ちゃんは、あの人がわたしたちにしたことを忘れて、のうのうと生きていて欲しかったの?」
海未「…そういうわけでは、」
花陽「じゃあどういうわけなの?確かに、人を殺すことは悪いことだよ。……だけど!だけど、あの人が死ぬって聞いて海未ちゃんはホッとしないの!?少しでもよかった、って思わないの!?」
海未「……!」
真姫「花陽、ちょっと落ち着きなさい……」
花陽「……そんなの偽善者だよ」
真姫「は、花陽、」
花陽「あの人がしたことを分かってて!それを死ぬほど恨んでて!それでもあの人を殺そうとした穂乃果ちゃんが悪いの!?」
希「……正直、」
花陽「……」
希「正直、ウチらの中の……えりちと凛ちゃんとことりちゃんはちょっと違うけど…被害を受けたにこっち、ウチ、花陽ちゃん、海未ちゃん、真姫ちゃんの誰かがこうしてれば、罪なんて感じなかったんやないかな……」
絵里「……希、」
希「穂乃果ちゃんには、ウチらが苦しめられたっていう事実しかないんよ。
ウチらの肩代わりをしたにすぎないんよ。
……例えば、ウチが、あの人に襲われたウチが殺していれば、それは正当防衛でウチらが勝てたんかもしれん。
けど、悪い言い方をすれば、穂乃果ちゃんは部外者なんよ。……ウチらは遅すぎたん。
こうして集まって話し合うのが遅すぎたんよ……」
真姫「結局……全ての罪を穂乃果になすりつけてしまった……それも、最悪の形で…」
にこ「……っ、ごめん…にこが、一番最初に警察に言っていれば……!」
海未「……仕方ないですよ、脅されていたんでしょう?」
にこ「でも……っ」
絵里「今更悔いたって仕方ないわ、今すべきことを……穂乃果の罪を軽減する方法を考えましょう」
にこ「そう……ね…」
希「んー…と、どうしようか……とりあえず、警察、に行ったほうがいいんかな」
花陽「理事長の話も気になるけど、どこにいるかわからないもんね…」
絵里「じゃあ、とりあえず警察にいきましょう」
にこ「……さっき、」
希「?ん?」
にこ「さっき……16歳無職の、ってラジオで言ってた…」
希「それがどうかしたん?」
にこ「高校生に……無職なんて言葉使うかしら。
もしかしたらもう穂乃果は学校を…」
真姫「……そう言われれば、普通なら…学生、というはずだものね」
海未「手遅れになる前に急ぎましょう…!」
……穂むら前……
海未「あっ……」
雪穂「……皆さん、…どうしたんですか、揃って」
絵里「私達は、その」
雪穂「……今更、自分たちがされたことを説明しにきたんですか?」
希「ーーっ!」
雪穂「遅い、ですよ……、こんなこと、言ったらダメだって分かってるんですけど…でも、どうしてもっと早く行動してくれなかったんですか。
どうして、姉が手を汚す前に動いてくれなかったんですか……っ」
にこ「……ごめん、なさい」
雪穂「私に謝ってどうするんですか!?
姉はもう手を下してしまったんですよ?!!
ずるい、です……姉が、ここまでやって、初めて動くなんて…っ、皆さんは!姉を、姉の優しさを利用しただけじゃないですかぁっ…!!
あなたたちだって姉を追い詰めてたんです…!!ずるい…!本当にずるいです……っ」
真姫「……穂乃果、は学校やめたのね」
雪穂「……辞めましたよ、当たり前じゃないですか…」
真姫「……そう…………もう、μ’sが学校に揃うことは、ないのね……、っ、」
雪穂「姉は…、…お姉ちゃんは、死のうと、したんです」
海未「……!」
雪穂「あの人を刺した後、自分を刺してこの世から消えようとしました。……間一髪のところで母が助けましたが…」
花陽「ほ、穂乃果ちゃんは、今……」
雪穂「姉なら今、病院に居ます。精神の決壊が目立って…多分皆さんは会えないでしょうが」
希「やっぱり……ウチらの、せいやんな」
雪穂「……悪いのは、あの人です。でも……ごめんなさい。……私は、高坂穂乃果の妹として…あなたたちのことも恨んでいます」
絵里「…………」
雪穂「もう……姉にも、私達にも、関わらないでください。
あの人が皆さんを苦しめた証拠は、お姉ちゃんが犯人と話していた時に録音したものがあります。
証拠としてきちんと受け取られたら皆さんのところにも話を聞きに来るでしょうが…その時は姉の為にお願いします。
……それでは」
海未「っ、雪穂……っ!」
バタン…
にこ「……………雪穂ちゃんの、言う通りね。
…あはは…は…な、んで、…っ、なんでよぉ……っ…!」
真姫「今更悔やんだってどうしようもないのはわかってるけど……っ」
花陽「あの時、脅しに負けずに警察に話していたら…」
希「…………μ’sって…なんだったんやろ…」
海未「穂乃果……!穂乃果……っ!」
絵里「…………」
パンッ
にこ「!!」ビクッ
海未「え、り……?」
真姫「な、何よいきなり」
希「手叩いたらびっくりするやん……」
絵里「みんな、しっかりしなさい。私達はなんのためにここに来たの。なんのために集まったの。
穂乃果の罪を少しでも軽くするためでしょう?
……雪穂ちゃんの気持ちもわかるわ。
けれど、これはμ’sの問題でもあるのよ。
確かに私はみんなと違って本人から被害を受けたわけではないわ。…けれど、確かに苦しんだ。
戦わなきゃいけないのよ、
ここでこうやって塞ぎ込んでいたら何も変わらないの!
今から理事長に会いに行くわよ。
そして、もう一度話し合いましょう。
私達は穂乃果に助けられた。
今度は、私達が穂乃果を助ける番よ。
違うかしら?」
真姫「……違わない」
海未「そうです……穂乃果がここまで頑張ってくれたのを無駄にするわけにはいかない……」
にこ「私だってこころたちを苦しめたあいつをそのままにはしておけないわ…!」
花陽「花陽も凛ちゃんと、また一緒にいたいから…」
希「えりち……さすが、やなあ…」
絵里「さぁ、理事長のところに行きましょう!」
……ことりの家……
ピンポーン…
……ガチャ
理事長「…!…あなたたち…!」
にこ「…お久しぶりです、理事長。」
絵里「理事長にお話があって来ました。……よければあがらせていただけますか?」
理事長「……えぇ」
理事長「……それで、話というのは」
にこ「……私の退学手続きについてです。単刀直入に聞きます、私が退学する前の日、理事長は犯人と電話で話をしていましたよね?」
理事長「……っ!!」
にこ「私、隣で聞いていたんです。その時は気が動転していて、あまり記憶にないですが……犯人が電話の相手を理事長と呼んでいたこと……南ことり、という名前を話していたこと……それと、私の退学手続き書類を偽造する代わりにことりには手を出さないと言っていたことを微かに覚えています。
お願いです、理事長。本当のことを教えてください…
誰も…私達は理事長を責めたりしません!
だってみんな脅されて何もできなかったから……
だから、今度はなんとかしたいんです、
もう逃げたくないんです!お願いします理事長!!」
絵里「私からもお願いします…!」
海未「お願いします、理事長」
理事長「ま、待ってください……!顔を上げて下さい!」
理事長「……矢澤さんの、言う通りです。私はあの人とことりに手を出さないという条件で矢澤さんの退学手続きを不正に行いました。」
にこ「…………」
理事長「今思えば悔やんでも悔やみきれない……なんて馬鹿な選択をしたんだろうと思ってる……本当に申し訳ないことをしたと、思ってるわ…!
ごめんなさい矢澤さん……っ
私は、教師としての立場より母親としての感情を優先してしまった…
このことは、もうあちらには話しているし、通話履歴も理事長室の電話に残っている…せめて、それが有力な証拠になれば、と。
それと…今回の件で私は音ノ木坂学院の理事長を辞任することにしたわ。」
にこ「……こんなこと、言いたくないですけど」
理事長「……」
にこ「……ことりも、一緒に苦しんで欲しかったです。
何かされて欲しかったわけじゃない。……でも、やっぱり一緒に戦って欲しかった…!」
海未「…………ズルいと、思います。…ダメですよね幼馴染だというのにこんな不謹慎なことを思っては」
花陽「1人だけ、何も知らずに安全な場所にいるのは…ずるい、かな」
希「頭ではわかってます。1人でも被害がなくてよかったって思うべきだって…」
真姫「でも、逃げたと思わざるを得ない……」
絵里「……すみません、理事長。…賢明な判断だったとは思います。現にことりはμ’sの中ではかなりショックも少ないでしょう。……穂乃果のことも理事長は教えてないんですよね?」
理事長「……えぇ」
絵里「…………呼べませんか」
真姫「絵里、さすがにそれは、」
絵里「ことりも一緒に戦わせてくれませんか」
理事長「……それは、出来ないわ。」
絵里「……ズルいですね、理事長も、ことりも」
理事長「……そうね、でもあの子には幸せに生きて欲しいのよ」
花陽「……そんなの、今だけです」
理事長「小泉さん、」
花陽「いずれ、必ず知ることになると思います。
そしたらことりちゃんはきっと幸せではなくなる。
…自分が逃げたこと、その罪悪感を知ることになる。
ずっと隠しておくなんて不可能なんです。
……海外から連れてきてほしいなんて言いません、けれどせめて今の状況をことりちゃんに教えてあげてください……っ」
理事長「……っ…」
絵里「いずれ、知ることになるんです!なら!後から知るよりは今の方がー」
理事長「いい加減にしてください……!!!」
絵里「っ、!」
理事長「ことりは何も知らなくていいんです!このまま何も知らずに幸せになって欲しいんです!
それも1つの方法……、あなたたちのように被害を受けていない部外者が戦うべきではないんですよ!
ことりのことはもう忘れてください!放っておいてください……っ」
絵里「…………」
にこ「…………わかりました」
希「にこっち、」
にこ「理事長の言う通りもうことりのことは忘れて、"今後一切"関わりを持ちません。……それでいいんですよね?」
理事長「……」
にこ「はっきり、言ったらいいじゃないですか。……私達といたら今度はことりが危ない、って」
理事長「!!」
にこ「そんなの……私達が……、穂乃果が、1番分かってますよ……
お時間頂いてありがとうございました。
もう……関わりませんから。
みんな、行きましょう」
真姫「に、にこちゃん!」
花陽「……。」
海未「……正直、もっと力を貸していただけるかと期待していた自分が馬鹿のようです。」
絵里「……行きましょ」
バタン……
理事長「………………」
理事長「……ことり…」
ここまで
真姫「……なにが、正しくて、なにが間違っているのかわからないわ…」
希「……理事長の言い分も最もやと思う。そりゃあ自分の娘を危険に晒したくはないやろうし」
絵里「…………」
海未「絵里、どうしたのですか?」
絵里「……私って、この中で唯一被害を受けていないじゃない」
真姫「まあ……そうね」
絵里「顔も声もしらないわけ。……でも、きっと今の私は誰より偉そうな気がする。
……何も知らずにみんなにきついことを言ってる気がするの…」
にこ「確かに……絵里は部外者よね。にこみたいに家族を傷つけられてるわけでもなければ、希みたいに自分を傷つけられてるわけでもない。
花陽や真姫や海未ように脅されたわけでもない。
……はっきり言って絵里の言葉にはなんの説得力もないわ」
希「にこっち!?いくらなんでも、そんな言い方ないやん…!」
にこ「でも、だからこそ冷静になれる。……当事者のにこたちだけで話し合ったらきっと自分達の感情を優先して、憎しみだけで行動してしまう。
説得力はなかったとしても、冷静に……客観的に見れる立場の人が必要なのよ。
だから、こうして絵里がここにいて私達をまとめてくれているのは本当に有難いと思ってる」
絵里「にこ……」
真姫「そうね、ストッパーみたいなものかしら。」
花陽「うん、絵里ちゃんがいると、心強いよ」
海未「えぇ……本当に」
絵里「みんな……ありがとう……」
真姫「……ねぇ」
花陽「どうしたの?」
真姫「みんなで、殺さない?」
希「な、何言ってるん……?」
真姫「だってよく考えてみてよ…私達にしたことが分かって、逮捕されて……あの人は人を殺したわけじゃないから、きっと何年か後に必ず戻ってくる。
みんなは、いいの?
私達を、学校をめちゃくちゃにした人間が、どこかでまだ生きてるって……私なら耐えられないわ。」
真姫「本名も住所も割れてる。もしかしたら身内の名前や職業…仕事場さえ知ってるかもしれない。
そうなったらもう一家で引っ越しをして身を眩ませなければ、何も起こらないという確証はない」
真姫「私達はただのアイドルじゃない。"スクール"アイドルなの……本名とか個人情報を漏らすことが規制されている芸能人じゃないのよ…」
絵里「でも、だからって[ピーーー]っていうのはちょっと短絡すぎるわよ、もう少し考えて……」
真姫「絵里だって次は何かされるかもしれないのよ!
絵里ならまだしも、亜里沙ちゃんに何かあったら絵里は仕方ないで済むの!?」
絵里「そ、それは……」
にこ「私は……許すことはできない。また、こころたちに手を出されるのは、怖い……でも、人を[ピーーー]ことも……怖い」
海未「正当な理由があったとしても……人をこの手で殺めるのは…私も」
真姫「……………はぁ」
絵里「ま、真姫…?」
真姫「結局みんな、何にも変わってないじゃない。
所詮偽善者よね!見損なったわ」
にこ「なっ……!」
真姫「……ねぇ」
花陽「どうしたの?」
真姫「みんなで、殺さない?」
希「な、何言ってるん……?」
真姫「だってよく考えてみてよ…私達にしたことが分かって、逮捕されて……あの人は人を殺したわけじゃないから、きっと何年か後に必ず戻ってくる。
みんなは、いいの?
私達を、学校をめちゃくちゃにした人間が、どこかでまだ生きてるって……私なら耐えられないわ。」
真姫「本名も住所も割れてる。もしかしたら身内の名前や職業…仕事場さえ知ってるかもしれない。
そうなったらもう一家で引っ越しをして身を眩ませなければ、何も起こらないという確証はない」
真姫「私達はただのアイドルじゃない。"スクール"アイドルなの……本名とか個人情報を漏らすことが規制されている芸能人じゃないのよ…」
絵里「でも、だからって殺すっていうのはちょっと短絡すぎるわよ、もう少し考えて……」
真姫「絵里だって次は何かされるかもしれないのよ!
絵里ならまだしも、亜里沙ちゃんに何かあったら絵里は仕方ないで済むの!?」
絵里「そ、それは……」
にこ「私は……許すことはできない。また、こころたちに手を出されるのは、怖い……でも、人を殺すことも……怖い」
海未「正当な理由があったとしても……人をこの手で殺めるのは…私も」
真姫「……………はぁ」
絵里「ま、真姫…?」
真姫「結局みんな、何にも変わってないじゃない。
所詮偽善者よね!見損なったわ」
にこ「なっ……!」
真姫「……私は、殺せる。例え何を犠牲にしたとしても、間違ったことだとは思わない」
花陽「……」
真姫「周りになんと思われようが、犯罪者だと後指さされようが、関係ないわ。
…殺さないと気が済まないのよ。あの人が生きているだけで死にたくなるの」
花陽「……なら、死んだらいいんじゃないかな」
海未「花陽……!」
花陽「人を殺せば周りに迷惑がかかる。そんなに言うんだったら自殺でもしたらいいよ……私たちに強要しないで…真姫ちゃんだって、一人じゃ何も出来ない意気地なしじゃない…!」
絵里「っ!花陽、言い過ぎよ!!」
真姫「……ふぅん、そうね、私は意気地なしだわ。
でも私なら凛を自殺に追い込んだりはしなかった」
花陽「……っ!!」
絵里「や、やめなさい2人とも!どうして今仲間割れみたいなことをするのよ……!」
希「…………何も、変わってなかったんや」
絵里「え…?」
希「同じ境遇の人がいたことによって、安心しただけ…心の中じゃ何も変わってない、えりちの言葉だって届いてない。
もう、ウチらには憎しみしか残ってない…
あの人を殺してこの世から消すのか、自分がこの世から居なくなることでしか、もうウチらは救われない……」
海未「…………学校へ行けなくなったことによって、身内の目が変わりました。…何故お前はそうなんだ、と。そんな人間、園田家には必要ないと見切られました。
…今、全てを話したとして、今度は哀れみの目で私を見るでしょう。もう、元には戻れないんです、きっと」
真姫「私もよ。ピアノは捨てられ、もう家には勉強のものしか残ってない。
勉強するたびに思い出すのよあの人のこと。
……忘れて暮らすなんて、不可能だわ」
にこ「でも……犯罪者になったら、にこは……こころたちは…きっと学校でいじめられるわ…でも、でもこのままでいたらまた……!もうどうしたらいいのよ……!」
真姫「……いいわよ。私一人で殺しても」
海未「真姫……!」
希「そんな……そんなん、一人ですることじゃないやん」
真姫「なら希も手伝ってくれていいわ。……それとも一緒に死ぬ?」
希「……!」
絵里「もう……やめてよ……!死ぬとか、殺すとか、どうして平気で口にできるのよ…っ」
にこ「…みんなもう、とっくに壊れちゃってたんだ
もう、私たちが知ってるμ’sなんていない…」
絵里「私達が壊れてどうするのよ……っ!さっきまであんなにみんなでなんとかしようって言ったばかりじゃない!それなのに、」
真姫「……綺麗事、言わないで」
花陽「何年か後に、例えば穂乃果ちゃんが戻ってきた時……みんなで笑いあえるには、やっぱりあの人が、この世にいないほうがいい、と思う…」
絵里「目を覚ましてよ……!人を殺して、それを忘れて幸せになんてなれるわけないでしょう!?」
海未「第一……ズルいですよ、絵里とことりは何もされていないというのに…」
絵里「海未まで…っ」
海未「絵里に分かりますか?人質をとられた恐怖が、殺されるかもしれないという恐怖が!この憎しみが絵里には分かりますか!?」
絵里「そ、それは……」
にこ「………もう、嫌だ」
絵里「にこ……っ、にこは言ったわよね!?私は確かに説得力はないけどその分冷静になれるから必要だって…!」
にこ「……そうだ…私…こころとここあと虎太郎も連れて……そうだ、それがいい……みんなで死ねば…」
絵里「っ、にこ!?にこ、しっかりして!?」
にこ「みんなで……死ねば、幸せに……」
絵里「待ってよ、みんなどうして……!」
希「えりち、」
絵里「希!希はわかって…」
希「ウチ、死ぬならえりちとがええな…」
絵里「希……っ!!私は誰にも死んでほしくなんかないわよ!!もうあんな思いはしたくない!
どうして分かってくれないのよぉっ…!穂乃果がこんなこと望んでるわけないでしょ!?」
海未「そうでしょうか……」
絵里「えっ…」
海未「穂乃果はあの方を殺そうとした後、自分も死のうとしたんですよね?
なら、私達と考えは一緒なのではないでしょうか」
絵里「海未、どうしちゃったのよ……!普段の海未なら絶対そんなことは言わないわ!」
海未「変わってしまったんですよ、私達は、」
絵里「……っいい加減にして!!みんなで泥沼にハマってどうするのよ!いつまでこんなにズルズル引きずるの!
自殺なんてしたら犯人の思うツボじゃない!犯人に悔しい思いさせたいんだったら、堂々と生き抜かなきゃダメよ!絶対もっと別の方法があるはずだから……っ」
花陽「じゃあ絵里ちゃんはどうするべきだと思うの?」
絵里「わ、私は……」
花陽「ほら、言えないじゃない。当事者じゃないから、言えないじゃない……!絵里ちゃんには分からないよ!みんなもうどうしたらいいかわからないの!だから殺すか死ぬかしか考えられないの!」
絵里「……っ…」
花陽「……そこまで言うなら絵里ちゃんが殺してよ」
絵里「……!」
花陽「……嘘だよ」
絵里「(……知らない、こんなの。こんな冷たい目をした花陽は……ううん、花陽だけじゃない、みんな目が据わってる……誰も希望を持ってない…)」
絵里「(どうしたら……どうしたら、みんなが救われるの……?)」
ザバァッ
真姫「ー?!」
海未「冷た……っ!?」
花陽「上から水が降って……っ、?」
絵里「一体どこから……」
凛「いい加減に、してよ……!」
花陽「り、凛……ちゃ…病院、は」
凛「ワガママ言って外出許可貰ってきたの、嫌な予感がしたから。
みんなを見つけて陰でずっと黙って話聞いてたけどもう凛だって限界。
みんなどうしちゃったの、なんでそんな汚い考えしか出来ないの?
自分を傷つけられたら他の誰かを……大切な人でも傷つけてもいいの?
ねぇ、かよちん、
そんなに"部外者"の絵里ちゃんのこと責めるなら同じ"部外者"の凛にも同じこと言ってみてよ
凛のこと殺そうとしてみてよ……!」
花陽「そ、そんなのできないよ、」
凛「なんで出来ないの!?みんなズルイよ!!自分よりダメージが少ない人のこと見下してる!それじゃあただの不幸自慢だよ!!
どうして手を取り合おうとしないの!
どうして誰も穂乃果ちゃんのこと考えないの!
結局みんな自分がよかったらそれでいいんだよね!?
μ’sなんてそんなものだったんだ!!
凛だけみんなのこと信じてバカみたいだよね!
ねぇかよちん!凛バカだよね!?
あんなに傷つけられても凛はかよちんのことずっと信じてたよ!
謝ったんならさ!凛に少しでも悪いって思ったならさ!!
穂乃果ちゃんのために、μ’sみんなのために、ありのままの事実を警察に話すべきなんじゃないの!?
ここでこうして互いを貶しあってて何か変わるの!?
凛の知ってるμ’sのみんなはそんなことしないはずだよ……!!」
花陽「り、んちゃ……ん、」
真姫「……凛」
凛「凛は!凛は絵里ちゃんと同じで当事者じゃないし、犯人には何もされてないけど!でも凛だって出来ることぐらいあるはずだよ……凛はこれ以上誰かが死んだり誰かを殺したりするのは見たくないよ……っ」
絵里「……私も、そう。説得力がないのは分かってる、でも"死"以外の方法を考えたいのよ。
確かにこれから先、犯人は生きてまたこの世界に戻ってくるかもしれない。
でも、だからって今から逃げるのは間違ってると思う。
穂乃果が私達を守ろうとしてくれたように、私達は未来の自分たちを守らなきゃいけないのよ」
凛「当事者じゃないけど、凛だって絵里ちゃんだって、……穂乃果ちゃんだって、大切な人たちを苦しめられてすごく悔しくて辛い思いしてるよ。
それじゃあ理由にはならないのかな……」
海未「……行きましょう」
絵里「海未……!」
海未「早く、この気持ちから解放されたいのです。
これからのことは、…犯人が逮捕されてから考えます
それに……人が死ぬことで、笑って幸せになるような人間には、なりたくありません」
真姫「そうよね……とりあえず、逮捕されなきゃ…意味ないものね…。……もう一度、頑張ろうかな、私も」
花陽「……」
凛「かよちん、大丈夫。凛が、ついてるから」
花陽「凛ちゃん……どうして、そんな優しいの?
私、凛ちゃんにいっぱい酷いこと言った、いっぱい醜いところ見せたのに」
凛「友達、だからだよ。友達だから信じてるし、友達だから支えたいって思うの」
希「にこっち、やっぱりだめや……死んだりしたら、だめや…一緒にがんばろ?ウチと一緒に戦お?
にこっちはひとりじゃないよ、だから、ね?」
にこ「希……、ば、ばかね……当たり前、じゃない…」
絵里「(結局……みんな、答えが欲しかっただけなのよ。
どうしたら正解なのか、ずっと迷ってただけだったのよね。
……悩んで、見つけたと思ったら迷って。
でも、あの時とは違う、みんなの目に力が戻った。これなら、きっとー……)」
…
……
………
絵里「準備はいい?みんな、正直に話すのよ」
花陽「警察なんて始めてきたから緊張するよぉ……」
希「いろんなこと、根掘り葉掘り聞かれるかもしれん。
でも、負けないように頑張ろうな?」
海未「……えぇ。あんな人に負けたくはありませんから」
凛「凛も出来ることがあったら全力で頑張るから!」
真姫「……大丈夫よ、私達なら」
にこ「えぇ…もう同じ間違いは繰り返したくないもの。
……未来の自分たちのために、頑張らなきゃね」
絵里「じゃあ、行くわよ」
キィ……!
絵里「ーーすみません、今回の事件について話したいことがあるのですがよろしいですか?」
……西木野総合病院……
雪穂「お姉ちゃん、」
穂乃果「ゆ…」
雪穂「うん、雪穂だよ。どう?調子は」
穂乃果「……」
雪穂「あんまり変わらないかな?……今日はね、お姉ちゃんに良いニュース持ってきたよ」
穂乃果「……?」
雪穂「ラジオ、つけるね」
カチッ……
《では次のニュースです。先日の16歳の少女が男性を刺した事件ですが……被害者の男性が音ノ木坂学院のスクールアイドルグループのメンバーに対して脅迫やわいせつ行為を行っていたことが明らかになりました。
これにより男性を逮捕し、今回の事件に繋がる動機として更に詳しく調査する方針ですー……》
穂乃果「……!」
雪穂「そう、あの人だよ、お姉ちゃん。……もう、苦しまなくていいんだよ。私達は悪くないって、認められたんだよ……」
穂乃果「…………」コクコク
雪穂「……まだ、声出ないの?」
穂乃果「……」
雪穂「そっか……ゆっくり、休んでね、それでーー」
バンッッ
「穂乃果ちゃんっ……!!!」
穂乃果「……!」
雪穂「……何しに、きたんですか、ことりさん」
ことり「お、お母さんから事件の話聞いて!急いでこっちに戻ってきたの!
ねぇ、穂乃果ちゃん!人を刺したって本当!?」
雪穂「……っその話は今ここでする話ではないでしょう!」
穂乃果「……!っ、は、は……っ、は」
雪穂「!!っ、お姉ちゃん……!!!」
ことり「えっ……?ほのか、ちゃん……?」
雪穂「何突っ立ってるんですか!?ナースコール押してください!早く!!」
ことり「えっ……えっ、う、うん……!」
ビーーーッ!
『どうしました?!』
雪穂「呼吸困難です!早く来てください!!」
バタバタバタ……
「高坂さん!落ち着いて!」
「わかる?聞こえるかな、高坂さん!」
「ゆーっくり息してね!そう、ゆーっくり!大丈夫よーそう、吸って、吐いて、大丈夫よ」
ことり「どうしちゃった、の……穂乃果ちゃん……」
雪穂「……お姉ちゃんは、今ASD……急性ストレス障害なんです。……この症状が1ヶ月続けばPTSD…心的外傷後ストレス障害と診断されます。」
ことり「……ちょっと、難しい、かな…」
雪穂「トラウマがずっとついてまわるんです。簡単なことでフラッシュバックを起こしパニックに陥る……今、ことりさんがお姉ちゃんにかけた言葉はお姉ちゃんにとって……殺人行為です」
ことり「ご、ごめん、なさい……ことり知らなくて」
雪穂「それと、お姉ちゃんの声はストレスで今出ません。何か話したいことがあるならそこのスケッチブックで筆談をしてください」
ことり「う、うん……わかった…」
雪穂「……何にも知らないんですね」
ことり「……うん、あっちに、行っちゃったから」
雪穂「逃げたんですよね」
ことり「ち、違うよ……ただ、お母さんが、…そっちにいた方が安全だからって…」
雪穂「……逃げたんじゃないですか、母親に従って結局自分が助かる方へ逃げただけですよ」
ことり「そう……かもしれない、でも、ことりは…あんなお母さんを見て、それでもこっちにいることなんてできなかったよ…」
雪穂「1人だけ蚊帳の外ですね、ことりさん」
ことり「……っ」
雪穂「今日、今まで犯人がμ’sにしてきたことが明らかになりました。恐らくことりさん以外は全部知ってるでしょうね。
これからの行動もきっと、経験して、聞いて、全てを知ってるからこそできる行動をすると思います。
でもことりさんは何も知らない。
知ろうとしなかったんです。
自分から蚊帳の外に逃げたんですよ。
μ’sという輪からあなたは外れたんです」
ことり「……私が仲間はずれっていいたいのかな?」
雪穂「違うんですか?」
ことり「うん、そうかもしれないよね。でもさ、雪穂ちゃんだって私のこと何も知らないよね?なんでそんなに私が責められなきゃいけないのかな?」
雪穂「……ずるいからですよ…」ギリッ…
ことり「ずるい……?海外に留学したことが?」
雪穂「えぇ……1人だけ苦しまず、のうのうとこっちに戻ってきて……!
お姉ちゃんを一人にして!!もし、もしことりさんがいたらお姉ちゃんはこんなに壊れなかったかもしれないのに……!」
ことり「……あはっ」
雪穂「……!?」
ことり「ねぇ雪穂ちゃんそれ本当にいってる?あははっ、ことりが何にも苦しんでない?本当に言ってる?」
雪穂「だってそうじゃないですか!!犯人に何にもされずに、自分で手も下さずに!」
ことり「……それはさあ、
雪穂ちゃんもじゃないのかなあ」
雪穂「ーー!」
ことり「ずいぶん自分のこと棚に上げて話すんだねぇ?
ことりが何も知らない?そうだね、確かに全部は知らないよ。だってこっちにいなかったんだもん。
でも海未ちゃんのことは知ってるよ?海未ちゃんから相談受けてたもんことり。
ねぇ雪穂ちゃんは聞いてないの?
海未ちゃんが雪穂ちゃんのこと守って自分を犠牲にしたこと、聞いてないのかなぁ?」
ことり「ことりより事件のこと知ってるんでしょ?
じゃあそれも知ってるはずだよねっ?」
雪穂「知って…ます、けど……」
ことり「ふぅん……ズルいんだね雪穂ちゃんっ」
雪穂「……あなたに言われたくないです」
ことり「お姉ちゃんお姉ちゃんって……穂乃果ちゃんのこと大事なの分かるけどさぁ?
自分が助けてもらってることも忘れて他の人を蔑むのってどうかなぁってことりは思うよ?
その様子だと、みんなにもこういう風に言って穂乃果ちゃんに関わらないで、なんて言ったんでしょ?」
雪穂「……!」
ことり「雪穂ちゃん分かってないなぁ、穂乃果ちゃんを安心させないでどうするのー?
普通はみんなを連れてきて、穂乃果ちゃんにありがとうってごめんね、って言わせるべきなんじゃないのかなっ?」
雪穂「……」ギリ
ことり「…自分が助けられなかったことを人のせいにしないでほしいな♪」
雪穂「あなたには……お姉ちゃんは会わせない…っ」
ことり「そんなの無理だよ?だってことりたちは幼なじみなんだもん。優しい穂乃果ちゃんのことだからことりに会いたいっていうよ?」
雪穂「それでも、会わせない…!」
ことり「強情だなあ……」
雪穂「もう早く海外にでも、どこにでも行って…」
ことり「……雪穂ちゃんは恨む相手を間違ってるよ
なんでμ’sが悪いみたいな言い方してるのか、ことりにはよく分かんない。悪いのは犯人なのに。犯人がいなかったら穂乃果ちゃんだってこうはならなかったのに」
雪穂「……」
ことり「ねぇ、雪穂ちゃん。そんなに穂乃果ちゃんが大事なんだったらさ……」
ことり「犯人のこと殺しちゃったら?」
雪穂「は…?何言ってるんですか、」
ことり「だから、そんなに周りを憎むんだったらその原因の犯人をこの世から消しちゃえば?ってことだよ?」
雪穂「……頭おかしいんですか」
ことり「それって穂乃果ちゃんのこと?穂乃果ちゃんはそうして殺そうとしたんでしょっ?なら一緒のはずだよね?
犯人が生きてることは穂乃果ちゃん知ってるの?」
雪穂「知って、ますが」
ことり「だったら尚更だよ。殺そうとした人間がこの先何年も生きてるなんて穂乃果ちゃん耐えられるのかなあ?」
雪穂「っ、ことりさんは!なんでそんな楽観的なんですか!?」
ことり「……何もないからだよ」
雪穂「……?」
ことり「こっちには、もう何もないの。……私だって後悔してる。
どうしてみんなと戦わなかったのか、どうして自分のことだけ考えてたんだろうって。
でも自分のことを犠牲にしてまで守ってくれようとしたお母さんの思いを無駄にするわけにはいかなかった。
私だってわかってる…私だって……穂乃果ちゃんに凄くごめんね、って気持ちでいっぱいなんだよ……っ」
雪穂「だからって、なんで私に犯人を殺せなんて言ったんですか!!年下だからってなめてるんですか!?」
ことり「雪穂ちゃんなら……殺してくれると思ったから…」
雪穂「……どういう意味ですか」
ことり「みんなには……穂乃果ちゃん以上に大切な人がいる。それが、家族。…それを捨ててまで犯罪者にはきっとなれない。
でも、自分達を、仲間を苦しめた人が生きているのは嫌。
……だから」
雪穂「だから、お姉ちゃんを1番に思っている私なら殺せるだろうって?」
ことり「……」
雪穂「……ことりさんの中では、犯人が死ぬか、自分が犯人の手の届かないところに逃げるかしか選択肢がないんですね」
ことり「だってそれが一番最善だよ?」
雪穂「最善……最善、ですか」
ことり「じゃあ雪穂ちゃんはどうすればみんなが幸せになれると思うの?」
雪穂「それは……(…犯人が、いなくなること…犯人のいない世界に行くこと…)」
ことり「ね、ふたつしかないでしょっ?結局みんな自分が可愛いんだよね、誰かのためにリスクを背負って行動できるなんて穂乃果ちゃんぐらいじゃないかなあ。」
雪穂「……」
ことり「穂乃果ちゃんはすごいよね、自分がどうなるとかそういうことを考えないでただμ’sのためだけに殺そうとしたんだもん。
ことりにはできないかなあ」
雪穂「お姉ちゃんを貶してるんですか、バカにしてるんですか」
ことり「そんなことないよ!ただ純粋に凄いなあって思っただけで。ねぇ、雪穂ちゃんはどうするの?」
雪穂「(いつまで経っても話が一方通行だ……これじゃあ、拉致があかない…。)
私は……私は、お姉ちゃんが私に"犯人を殺してほしい"って言ったら、殺します。
誰よりお姉ちゃんの意見を尊重します」
ことり「そうなんだあ。…………つまなんない」
雪穂「は……?」
ことり「つまんない、って言ったの。殺してきてよさっさと。雪穂ちゃんしかもうまともな人いないんだから」
雪穂「……ことりさんの中では、犯人が死ぬか、自分が犯人の手の届かないところに逃げるかしか選択肢がないんですね」
ことり「だってそれが一番最善だよ?」
雪穂「最善……最善、ですか」
ことり「じゃあ雪穂ちゃんはどうすればみんなが幸せになれると思うの?」
雪穂「それは……(…犯人が、いなくなること…犯人のいない世界に行くこと…)」
ことり「ね、ふたつしかないでしょっ?結局みんな自分が可愛いんだよね、誰かのためにリスクを背負って行動できるなんて穂乃果ちゃんぐらいじゃないかなあ。」
雪穂「……」
ことり「穂乃果ちゃんはすごいよね、自分がどうなるとかそういうことを考えないでただμ’sのためだけに殺そうとしたんだもん。
ことりにはできないかなあ」
雪穂「お姉ちゃんを貶してるんですか、バカにしてるんですか」
ことり「そんなことないよ!ただ純粋に凄いなあって思っただけで。ねぇ、雪穂ちゃんはどうするの?」
雪穂「(いつまで経っても話が一方通行だ……これじゃあ、拉致があかない…。)
私は……私は、お姉ちゃんが私に"犯人を殺してほしい"って言ったら、殺します。
誰よりお姉ちゃんの意見を尊重します」
ことり「そうなんだあ。…………つまんない」
雪穂「は……?」
ことり「つまんない、って言ったの。殺してきてよさっさと。雪穂ちゃんしかもうまともな人いないんだから」
雪穂「あの、もういいですか。さっきから同じことばっかり……正直時間の無駄なんですけど」
ことり「なんでわかんないかなあ?みんなが幸せになるには犯人はこの世にいない方がいいの。そのためには、犯人を殺さなきゃいけないの。
みんなが幸せになるにはμ’sの誰かが殺しちゃダメなんだよ?」
雪穂「でも私は高坂穂乃果の妹です、部外者なわけじゃない…!」
ことり「じゃあ殺せるよね?μ’sの一員じゃなくて、犯人に恨みを持ってる雪穂ちゃんなら。」
雪穂「……」
ことり「穂乃果ちゃんに幸せになってほしくないの?
また前みたいに笑ってほしくない?」
雪穂「それとこれとは話がーー」
「そこまでよ、ことり」
ことり「……なんで」
絵里「凛を送ってきてたのよ。…戻ってきてたのね、さっきから雪穂ちゃんにあなたは何を言ってるの?中学生に人殺しをさせようなんて正気?」
ことり「じゃあ絵里ちゃんが殺してくれる?」
絵里「……一旦落ち着きましょう、あなたは何故犯人を殺すことに拘ってるの」
ことり「…話す必要あるかなあ?」
絵里「ええ。そんなに言うならことりが殺せばいいと思うけど、私は」
ことり「ことりが?それは嫌かな?だってことりが犯罪者になったらお母さんの立場なくなっちゃうもん。
………………もう、ないけど」
絵里「……ことり、私達に何か隠してることあるんじゃないかしら?」
ことり「どうしてそう思うの?」
絵里「さっきからずっと腕を抑えているから」
ことり「……っ!」
絵里「それにそこまで寒くもないのになんで分厚い長袖?何かを隠しているんでしょう?」
ことり「……絵里ちゃんには、関係ないよ」
絵里「あるわよ」
ことり「ない…っ」
絵里「………」
ことり「何黙って……、きゃあ!?」
絵里「……ありがとう雪穂ちゃん」
雪穂「いえいえ、ことりさんを押さえるぐらい簡単ですよ。」
絵里「手荒なことをしてごめんなさい。話してくれないなら見せてもらうまでよ」
ことり「……っ!!……お、」
絵里「何?」
ことり「お母さん、が」
絵里「理事長がどうかしたの?」
ことり「……お母さん、おかしくなっちゃった」
・
・
・
・
バタンッ
ことり「お母さん!!穂乃果ちゃんが犯人を刺したって聞いたんだけど……っ!」
理事長「ことり……帰ってきてたのね…ごめんなさい、迎えにも行かないで…」
ことり「お、お母さん……?なんでこんなに散らかって……顔色も悪いよ!ちゃんと寝てるの!?」
理事長「……大丈夫よ…」
ことり「お母さん……ちょっと休もう?片付けは私がしておくから……ほら、その手にもってる包丁も貸して…………って…包、丁…?」
理事長「ことり……一緒に死にましょうか」
ことり「ーーーー!?ま、待ってよお母さん!しっかりして!?」
理事長「もう全部失ったわ……あの人のせい…ううん、自分のせいよね……私があの時すぐに行動出来ていたら……」
ことり「お母さんは悪くない!!悪いのは犯人なんだよ!?」
理事長「ことりは本当にいい子に育ったわ……私の自慢の娘よ」
ことり「あ、ありがとうお母さん……」
理事長「だから、ね?一緒に……」
ことり「……っ!!」
理事長「あの人がいなければ、あの人が死んでくれれば、あの人が、あの人が、あの人……」
ことり「お母さん……っ」
理事長「ねぇことり」
ことり「……?」
理事長「たくさんの人の人生を狂わせた人間が普通に生きてるなんておかしいと思わない?」
ことり「そ、それはそうだけど、でも逮捕されたんだし、そこでちゃんと罪を償って……」
理事長「甘いわよ、あの人がちゃんと更生なんてするわけないわ」
ことり「でももうどうしようもできないよ…」
理事長「……死んでくれないかしら」
ことり「……っお母さ、」
理事長「そうよ、あの人が死ねば幸せになれる。そうだわ……ねぇことり殺しにいきましょう」
ことり「いい加減にしてお母さん!!!!人を殺してどうするの!?それこそ不幸になっちゃうよ!そんなことしたって誰も幸せになんかならないよ!!!!」
理事長「……そうかしら」
ことり「……そうだよ、みんな、優しいもん」
理事長「なら、一緒に死にましょうことり」
ドサッ
ことり「つっ……!?や、やめ、お母さ……やめて、やめて、やめて!お母さん!!目を覚まして!お母さん!!」
理事長「お母さんもすぐにいくから…」
ブンッ……
ことり「……っっ!!!!!!」
…ポタ……
ポタ……
理事長「…!ぁ……、……あぁ…あ」
ことり「お、か……ぁ、さ」
理事長「あああああああああああ!!!!!!ごめんなさい!!ことり!!!!!!私は何を!!!!」
ことり「大丈夫、だよ……切れたの、とっさに出た腕、だけだから……」
理事長「ごめんなさい、本当に、ごめんなさい……」
ことり「お母さん……」
ことり「……あんなお母さんを見たら、犯人はこの世にいちゃいけないって思った。
でも、ことりが殺したら本当に今度こそお母さんは壊れちゃうって、思った、から」
絵里「……だから雪穂に?」
ことり「雪穂ちゃんなら、きっとやってくれそうだなって、思ったから……」
雪穂「……!」
絵里「あなたね……!」
バチンッ
ことり「ーーーーっ」
絵里「……!」
雪穂「……え」
亜里沙「……最低ですね、ことりさん」
雪穂「あ、亜里沙どうしてここに、」
亜里沙「お姉ちゃんがいつまでたっても帰ってこないから心配で探しに来たの。ついでに穂乃果さんと雪穂にも会いたくて……、立ち聞きはよくなって分かってたけど全部聞いちゃった。雪穂ごめんね」
絵里「……ごめんなさい亜里沙」
亜里沙「大丈夫。……それよりことりさん。今の話本気で言ってるんですか?雪穂に…」
ことり「本気だよ。じゃなきゃ、こんな状況で言わない」
亜里沙「そうですか……」
亜里沙「……なら。」
亜里沙「わたしが殺します。」
雪穂「ーーーー!?」
絵里「亜里沙……あなた自分が何を言ってるかわかってるの……!?」
ことり「……」
亜里沙「確かに亜里沙は何にもされてない。友達を傷つけられたり家族を傷つけられたりしたわけじゃない。
でも、犯人のせいで亜里沙にとって憧れだった"音ノ木坂学院"の"μ’s"がなくなったことだけは絶対に許せないの。」
絵里「だからって……!……亜里沙、今日はもう帰りましょ?一旦家に帰って冷静にならないと、」
亜里沙「お姉ちゃんには今の亜里沙が冷静じゃないように見えるの?」
雪穂「だめだよ、そんなの!誰もそんなこと望んでない!」
亜里沙「……犯人が、生きているからみんなが不幸になる。これはきっとみんな思ってること。
でも、みんなそれぞれ事情があって踏み出せないでいる。
雪穂は、亜里沙が大好きな海未さんが守ってくれた人なんだからちゃんと恩返ししないとダメだよ?」
亜里沙「いいんです、亜里沙は。失うもの、なんにもないから。それでμ’sの皆さんが幸せになれるなら、それで!」
絵里「ふざけないで!!!それじゃあ私はどうなるのよぉっ!?」
亜里沙「……お姉ちゃん。亜里沙ね、お姉ちゃんが大好き。いつも、優しくて綺麗で強くて…μ’sに入ってからのお姉ちゃんは本当にキラキラしてて、だからもっとμ’sが好きになったの。
亜里沙も、少しだけμ’sの役に立つことがしたいんだ」
絵里「だからって、それが、人殺しだなんて、」
亜里沙「だれかに脅されたわけじゃない、自分の意思で行動したときちんと、伝えるつもりです。ことりさんもそれでいいですか?」
ことり「!わ、わたし、は、」
亜里沙「ことりさんだって、本心じゃなかったんですよね。雪穂に殺させよう、なんて。」
ことり「……本当に、殺す気、なの?」
亜里沙「はい。μ’sに亜里沙が出来る唯一のことですから」
ことり「……ごめんね」
亜里沙「謝らないでください。……分かってます、人としては許されないことをするってこと。
でもそれ以上に、こんな状態のμ’sに亜里沙にもできることがあったのが嬉しくて誇らしいんです。」
雪穂「……絶対に帰ってきて」
亜里沙「当たり前だよ、雪穂。大人になったら絶対にお酒一緒に飲もうね」
絵里「(なに、してるのよ私……こんなの、亜里沙を無理やり家に連れて帰って家から出さなきゃいい話じゃない……!なのに声も出ない、体も動かない。
だめよ、こんなの、こんなの……どうして、どうして、嘘よ、どうして……こんなのダメだって分かってるはずでしょ!?なのに、どうして!私が止めなきゃいけないのよ!無関係の亜里沙を犯罪者になんてさせたくない!!!
なのに、どうして?
……どうして、犯人が殺されることに安心してる私がいるの?)」
雪穂「いつ……なの。」
亜里沙「これから」
雪穂「これ……から……じゃあ、ここにきたのって」
亜里沙「うん、最初からそのつもりだったの」
ことり「亜里沙ちゃんは……分かってたの?誰も、殺せないって…」
亜里沙「なんとなく、ですけど。……ことりさん、お姉ちゃん、……亜里沙からひとつだけお願いしてもいいですか?」
ことり「なぁに?」
絵里「……」
亜里沙「きっと、亜里沙は罰を受けます。だからその罰を受けて…またここに戻ってきたら、亜里沙のためだけに、μ’sでライブをしてくれませんか?……こんなこと、未練がましいかもしれないけれど、亜里沙はやっぱりμ’sが好きだから!」
ことり「……っ、うん、約束……する、っ」
絵里「……」
亜里沙「お姉ちゃん……だめ、かな…」
絵里「……!だ、だめじゃないわ、何回だってライブしてあげる……何回、だって……、っ……」
亜里沙「泣かないでお姉ちゃん。……亜里沙は死ぬわけじゃないよ」
絵里「でも、でも……っ!!でもやっぱり亜里沙が殺すのは間違ってるわよ!」
亜里沙「ううん。……お姉ちゃんだってわかってるでしょ?亜里沙じゃなきゃ、躊躇いなく殺せないって」
絵里「……っ……待ってるから……っ、こんな、ダメなお姉ちゃんで、本当にごめんなさい…!」
雪穂「……亜里沙」
亜里沙「完全な逮捕は、状態が回復してからってニュースで言ってたからまだ、いるはずなの。……だから」
絵里「……っ」
亜里沙「お姉ちゃん…、離してくれないといけないよ」
絵里「嫌よ……っ、嫌!」
亜里沙「……、ごめんね、お姉ちゃん」
バチィッ
絵里「……っ!?ぁ……り、」
ドサッ……
ことり「!?絵里ちゃん!?」
亜里沙「大丈夫です、ちょっと気絶しただけですから…ごめんなさい……お姉ちゃん」
雪穂「亜里沙、そのスタンガンはどこから……」
亜里沙「……真姫さんに、お願いしたの。貸してくださいって」
ことり「真姫ちゃんは、知ってるんだ……でもどうして真姫ちゃんと連絡が取れたの?」
雪穂「亜里沙、あの時真姫さんの電話番号聞いてきたのって」
亜里沙「うん、ごめんね雪穂。……雪穂に頼んだんです、どうしても真姫さんに話したいことがあるからって」
ことり「雪穂ちゃんは、知ってたの?」
雪穂「……お姉ちゃんの携帯の電話帳を見て、亜里沙に伝えました。緊急だと、思ったから」
亜里沙「ごめんね、嘘ついて。……それから真姫さんと連絡をとって事情を話しました。」
・
・
・
真姫「……何を、言ってるの?」
亜里沙「わたしが、犯人を殺します。……だから、その。なにか凶器を貸してください……!」
真姫「あ、頭を上げてちょうだい!亜里沙ちゃん、自分が何を言ってるか分かってるの?人を殺すのよ?殺人犯になるのよ?」
亜里沙「構いません。μ’sを助けられるなら」
真姫「……っ、で、でも」
亜里沙「きっと、亜里沙にしかできないんです。だから真姫さん、お願いします…」
真姫「……っ…でも、よく私の家にこういうものがあるって知ってたわね」
亜里沙「……その、偏見かもしれないですけど、お金持ちだから怪しい人がたくさん来るのかなって思って…」
真姫「……そんなことないと思うけど。…ううん、私が知らないところでもしかしたらあるのかもしれないわね。…はい、まずはこれ」
亜里沙「これは……?」
真姫「スタンガンよ。電気で相手を痺れさせるの。
動きを一時的に封じることができるわ」
亜里沙「ハラショー……真姫さんも使ったことあるんですか?」
真姫「私は使おうとしたけど……失敗したわ」
亜里沙「ご、ごめんなさい……」
真姫「いいのよ。もう過ぎたことだし。……次に使う凶器だけど…ナイフは至近距離まで近づかないと難しいし女子中学生の力じゃ難しいかもしれないわね。
……じゃあ、これかしら」
亜里沙「……ピストル」
真姫「非常時の時のために家に置いてあるものよ。持って街を歩いてるだけでも罪になるから持ち運びには気をつけて。これなら病室の入口からでも届くはずよ。玉は……ちゃんと入ってるわね。
……もう一度聞くわ。
本当にいいの?後悔はしない?」
亜里沙「はい。絶対に後悔なんてしません。」
真姫「……分かったわ。成功を、祈ってる……それと」
亜里沙「?」
真姫「こんなこと、言うの……不謹慎だと思う。
でも…………ありがとう…」
亜里沙「……はいっ、ありがとうございます!」
・
・
・
雪穂「……そう、なんだ…」
亜里沙「亜里沙、もういくね。雪穂、ことりさんお姉ちゃんをお願いします」
雪穂「ついていくよ」
亜里沙「だめだよ雪穂。付いてきたら雪穂のこと嫌いになっちゃうよ?」
雪穂「……わかった」
亜里沙「また、いつか。……お姉ちゃん、ごめんね、だいすきだよ」
ちゅ…
絵里「……」
亜里沙「またね、雪穂!」
雪穂「うん、またね……また、……また、ね」
たったったっ…
ことり「……起きてるよね、絵里ちゃん」
絵里「……ええ」
ことり「……これで誰か幸せになるのかな」
絵里「……分からないわ」
雪穂「……。…なります。」
ことり「……」
雪穂「ならなきゃ、いけないです。亜里沙のために」
絵里「…………」
ーーパンッ……!パンッ!
『!?なんの音……!?』
『銃声!?どこから!?』
『きゃあああああ!!!!!!』
『こっち来て!早く!!!!』
『何してるの!?!?』
『みなさん落ち着いてください!!!』
絵里「………………亜里沙、ごめんなさい」
ー亜里沙sideー
たったったっ……
亜里沙「……泣いてたな、雪穂。」
亜里沙「ごめんね、お姉ちゃん。雪穂。」
亜里沙「でも、これでμ’sがまた元どおりになるなら…」
亜里沙「手、震えてる……当たり前だよね。大丈夫…大丈夫…。…あ……」
真姫「本当に……やるのね」
亜里沙「はい、……真姫さんはどうしてここに」
真姫「私と一緒に病室に入りましょう。見張りの人はとある事情で今席を外してる。」
亜里沙「とある事情……?」
真姫「差し入れた飲み物にね、ちょっと利尿と排便作用の強い薬を溶かしておいたの。5分は出てこないわ」
亜里沙「ハラショー……さすがお医者さん……」
真姫「……まぁね、でも逆に言えば5分ほどしか時間がないの。躊躇わずに撃てる?」
亜里沙「それは問題ないです。真姫さんは近くにいてくれるんですか?」
真姫「えぇ……あの人の最期を見届けたいから」
亜里沙「それなら亜里沙も心強いです。……行きましょう」
真姫「何が…あなたをそこまで……」
亜里沙「μ’sは…亜里沙にたくさんの気持ちをくれました。嬉しかったり、悲しかったり、楽しかったり。
キラキラした気持ちをたくさんくれたんです。
μ’sがいたから、今の亜里沙があるんです。
だからそのμ’sが誰かのせいでなくなるのは、本当に嫌だったから……許せないんです。
亜里沙のこの行動で、この先またμ’sが集まってくれるならそれだけで十分ですっ」
真姫「……強いのね、亜里沙ちゃん」
亜里沙「強くなんかないですよ。ただ、"何もされていないから"なんです。
亜里沙は"部外者"だから。だから、気持ちがぐるぐるしないだけなんです」
真姫「……そう。……着いたわ。心の準備はいい?開けるわよ?」
亜里沙「はい……!」
ガラ……
真姫「……寝てる」
亜里沙「最後に、お話したかったけど……仕方ないですね……。…ごめんなさい、 統堂さん……あなたのことは、許せないんです!」
ーパンッ……!
『……っ!?がっ……は…!っ!』
真姫「…っもう一回よ!」
ーパンッ…
『!!ぅ……』
……ドサッ
亜里沙「はぁ……はぁ……や、った……」
真姫「死んだ、のね……本当に…」
ガラッ!!
『一体何事ですか!?今の音は…っ…!?!?きゃ……!きゃああああああ!!!!!!誰か!誰か!!』
亜里沙「…これで……μ’sも、元どおりに…」
真姫「……本当に、これで、よかった…のよね…」
本日はここまで
……UTX学院……
ガチャ
ツバサ「……今日は学校は休校のはずだけど」
あんじゅ「練習も休みよ?」
英玲奈「……なら何故2人ともここに居るんだ」
ツバサ「落ち着かなくて、ね。……なんていうかその…私たちの居場所じゃないみたいな雰囲気よね」
あんじゅ「マスコミも煩いし、本当に勘弁してほしいわよね」
英玲奈「…………すまない。」
ツバサ「もう、英玲奈!謝るのは無しって言ったでしょ」
英玲奈「でも、でもあいつのせいで……」
ツバサ「だからって英玲奈のせいじゃないわ。……誰も英玲奈のせいなんて言わないわよ。
よりによって私たちの知ってる相手なんだし」
あんじゅ「……スクールアイドル、」
ツバサ「?スクールアイドルがどうしたの」
あんじゅ「もう、ここでスクールアイドル続けても意味ないんじゃないかしら」
英玲奈「あんじゅ……!」
ツバサ「正直、…そうよね。……μ’sをボロボロにした犯人がUTXの元生徒会長なんだもの。信用ガタ落ちってレベルじゃないわ。」
あんじゅ「わたしたちが、裏から手を回してμ’sを落としたっていうデマも広がってるしねぇ…」
ツバサ「一体、なんのためにここまでやってきたか分からないわよ本当に……」
英玲奈「……なぁ、ツバサ」
ツバサ「認めないわよ」
英玲奈「わ、私はまだ何も言ってな、」
ツバサ「どうせ自分が責任をとって全部辞めるっていうつもりなんでしょ。冗談じゃないわ!私たちはA-RISEなのよ。3人でひとつなの!」
英玲奈「そうは言ってもな……この状況じゃ、ラブライブが開催されるかも……。開催されたとしても、ファンのみんなが票を入れてくれるかどうか…」
ツバサ「それでもやるの。それでも、私たちはA-RISEとして、支えてくれてるみんなに最高のパフォーマンスを見せなきゃならないの。違う?」
あんじゅ「ツバサの言いたいことは痛いぐらいわかるけど……今は、ちょっと…」
ツバサ「そんなの、わかってるわよ……」
英玲奈「……」
〜〜♪
英玲奈「す、すまない、私だ」
ピッ
英玲奈「はい、もしもし………はい…、……え?」
ーガシャンッ!
あんじゅ「英玲奈?どうしたの?携帯落ちたわよ……、…英玲奈?」
ツバサ「……あんじゅ、これ、見て、」
あんじゅ「なんなの?ニュース?それより英玲奈が、……えっ…」
ツバサ「…………いつか、こうなるとは思ってたわよ」
あんじゅ「え、英玲奈……」
英玲奈「は、……はは」
あんじゅ「…!?ちょ、ちょっと英玲奈!危ないわ!ツバサ!」
ツバサ「う、うんっ……」
ガタン!
英玲奈「……」
あんじゅ「何してるの!窓から飛び降りようとするなんて!!死んじゃうわよ!?」
ツバサ「……あんじゅ、」
あんじゅ「やめてよ……そういうの、本当にやめて…英玲奈まで死なないでよ……」
英玲奈「…………ああ見えてさ」
ツバサ「……うん」
英玲奈「あぁ見えて、玲緒(れお)は優しかったんだよ」
ツバサ「……う、ん、分かってる…私だって、お世話になったから…」
英玲奈「なのに、なんでだろうな。なんでこんなことになって……なんで、玲緒は、なんで」
あんじゅ「英玲奈……」
英玲奈「おかしいな、玲緒が死んだのに……殺されたのに、涙なんか出てこない……私はこんなに心が冷たい人間だったんだな…」
ツバサ「……人間は、悲しすぎると…受け止めきれない悲しみに襲われると涙なんか出てこないのよ」
英玲奈「どうしてだろうな……殺したのはきっとμ’s関係の人間だと分かっていても、μ’sを恨むことはできないんだ……今まで玲緒がμ’sにしてきたことを考えたら、責められない……」
あんじゅ「……ばかね」
英玲奈「私、本当は知っていたんだ……玲緒がμ’sにやってきたこと、玲緒は誇らしげに私に話していたから全て知ってたんだ……なのに、私は止められなかった!私のせいなんだ!!!」
ツバサ「…………玲緒さんがしてたことを黙って見てただけ?それとも手を貸したりもしたの?」
英玲奈「手を貸したりはしていない。でも玲緒は毎日嬉しそうに『これでA-RISEの優勝は間違いない』って、言ってた……止めなければ、と思った時には、もう、遅かったんだ……!」
ツバサ「……私、ちょっと高坂さんと話をしてくるわ。
英玲奈、玲緒さんを殺したのは……誰?」
英玲奈「………分からない、けれど女子中学生だとは聞いた」
あんじゅ「μ’s関係の女子中学生……高坂穂乃果の妹、高坂雪穂か……絢瀬絵里の妹の絢瀬亜里沙ね」
ツバサ「……私の予想だと、絢瀬亜里沙ね」
あんじゅ「そうかしら……高坂雪穂の方が穂乃果さんが失敗してたこともあって辻褄は合いそうだけれど」
ツバサ「まぁいいわ、行けばわかることね。……英玲奈はどうする?ここにいる?一緒に行く?」
英玲奈「私は……」
ツバサ「英玲奈の好きなようにしたらいい、今から私が行くところは英玲奈にとっては辛いかもしれないし」
あんじゅ「どうする?わたしは英玲奈のそばにいるわよ」
英玲奈「……私も、……連れて行ってくれないか」
ツバサ「……わかったわ。行きましょう」
……西木野総合病院……
ツバサ「……ごめんなさい。」
穂乃果「……!…。…、」
ツバサ「……高坂さん、まさか声が…」
穂乃果「……」コク…
ガタン!
穂乃果「!?」
英玲奈「すまない!!本当に、本当にすまない……!私の兄が!!私の兄がμ’sを……!」
あんじゅ「英玲奈、いくらなんでも高坂さんの病室で土下座は、」
英玲奈「本当に、すまない……っ、なんと、お詫びしたら、いいか……」
穂乃果「……っ……」
ツバサ「……高坂さんは、知ってるの?その……英玲奈のお兄さんが…μ’s関係の女子中学生に殺されたこと…知ってたら、誰か教えて欲しいのだけど、」
穂乃果「……っ!?!?」
あんじゅ「その様子じゃ……知らないみたいね
ガラ……
雪穂「……!A-RISEの、皆さん……なんでここに、」
ツバサ「あら、ちょうどいいところに。……ねぇ、犯人を殺したのは貴女?それとも……絢瀬亜里沙?」
雪穂「ーーー!な、なんでそれを知って、」
英玲奈「……私の、兄だからだから」
雪穂「え……?う、嘘……です、よね……?」
英玲奈「嘘じゃない。犯人は……統堂玲緒は、私の兄だ」
雪穂「そ、そんな……」
ツバサ「……その様子だと、殺したのは絢瀬亜里沙ね」
穂乃果「…!」
穂乃果「……、……ぁ」
雪穂「お姉、ちゃ……?今、声が…、」
穂乃果「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああー!!!!!!!!!!!!!!」
雪穂「お姉ちゃん!?どうしたの、いきなり!?落ちついて!!!お姉ちゃん!!!」
穂乃果「あああ!!!!うわああああ!!!!!!」
雪穂「お姉ちゃん!!!!」
ツバサ「…………なんで、止めなかったの?と聞いているんじゃないかしら」
雪穂「……そんなこと、」
穂乃果「ああああ!!!!!」
雪穂「ま、待ってお姉ちゃん!そんなに掴んで揺さぶらないで!そうなの?そう言ってるの?!」
穂乃果「……っ」コクコク
雪穂「……止めれる、わけ、ないじゃん!だって、μ’sを、お姉ちゃんをここまで苦しめて!なのにこれからも犯人が生きてるなんて耐えられなかったんだよ!!
でも、誰も殺すなんて出来なかったの!だけど、だけど亜里沙が、あんな綺麗な目で、あんな綺麗な心で決心を決めてたの見たら、私も絵里さんも、ことりさんも安心しちゃって……っ
止めれるわけ、ないよ!!
私は、英玲奈さんのお兄さんだって知った今だって、犯人が死んだこと、亜里沙が殺そうとした時に止めなかったこと後悔なんてしてない!!!」
穂乃果「……ぁ……あ……」
ツバサ「……穂乃果さん、ゆっくり。ゆっくりでいいわ。
だから、貴女の今の気持ちを聞かせて。」
穂乃果「…ぶ…わ、………す…ぃ」
ツバサ「"全部忘れたい"……」
穂乃果「わ…………、が、み……た、か……の、せ……」
ツバサ「"私がμ’sをつくったから、私のせい"……」
穂乃果「……ぅに、……な、……ぃ」
ツバサ「"本当に、ごめんなさい"」
雪穂「……なんで、お姉ちゃんが謝るのよ。なんで、こんなに酷いことされてるのになんで自分のせいにするの!?」
英玲奈「私が……弱音を兄に吐いたりしなければよかったんだ……」
英玲奈「君たちμ’sが余りにも魅力的で、私も情けないけれど……不安になった。
UTXの看板を背負い、前回優勝のレッテルを貼られますます高まる期待に内心すごくプレッシャーだったんだ。
μ’sというライバルに果たして自分たちが勝てるのか……不安になった。その不安を、私は兄に話してしまった。
話を聞いた兄の反応は……今でも忘れられないぐらい、衝撃的だったよ。
見たこともない怖い顔で『じゃあμ’sがいなくなればいいんだな?』って聞いたんだ。
もちろん、私が言いたかったのはそうじゃない。
……ただ私は慰めて欲しかっただけなのかもしれない。
けれど兄の暴走はそこから始まってしまったんだ。
何度も止めようと思った。こんなことして、勝ったって全然嬉しくないって分かってたのに、あの顔で今度は敵意が自分に向けられたらどうしようと怖くなって、見て見ぬ振りをしてたんだ……
本当に、すまない……」
ツバサ「英玲奈、顔を上げて。……私も、謝らなきゃいけないことがあるから」
英玲奈「な、なんだ……?今ここで言わなきゃいけないことなのか?」
あんじゅ「ツバサ……わたしも知らないわよ」
ツバサ「2人とも…高坂さんたち……今まで黙っていてごめんなさい。私と……犯人…英玲奈のお兄さんは、恋人同士だった。」
英玲奈「なっ……!?」
ツバサ「それだけじゃない。……私と玲緒さんは…
共犯、だったのよ」
英玲奈「……は…?」
あんじゅ「共犯……って、ツバサ意味わかってる?」
ツバサ「えぇ……私は、…μ’sを潰すために玲緒さんと行動していたわ」
穂乃果「……!」
雪穂「……っ、最低すぎる……っ!!」
英玲奈「ま、待てよツバサ……なんでそんなこと、
そんなことお前がするわけないだろ!
玲緒に脅されてたんだよな?そうだよな!?」
あんじゅ「ツバサらしくないわよ……なんで、そんなことしたの……?本当にツバサがしたの?玲くんじゃないの?」
ツバサ「……そう言えばそうなのかもしれない。でも、私も英玲奈と同じ。……μ’sに勝てるか不安だった。
……μ’sには詩、曲、衣装のスペシャリストがいる。
加えて証明やカメラの技術を持つ生徒もいる。
私たちは、この人たちに勝てるのか、って純粋にプレッシャーだったわ。
自分をどう魅せればたくさんの人たちの心を掴めるのか分からずにただ、がむしゃらに努力した。
その結果練習で何度も、自分だけが暴走して力んだパフォーマンスになってしまった。
負けたくないって思えば思うほど、
負けるわけがないって信じれば信じるほど私は方向性を見失っていったの。
友達からも家族からも、もちろん学院の生徒たちや先生方からも"また優勝するんだよね"なんて言われて。
……そんな時、玲緒さんと久しぶりに会ったの。
玲緒さんは私達の2つ上。私達が1年生の頃のUTXの生徒会長だった。
一目でたくさんの人を魅了するくらいのカリスマ性の持ち主だった。もちろん、技術面でも驚くほど優れていた…私も例外なく惹かれたわ」
ー
ーーー
ーーーー
ツバサ「……今日も、2人に迷惑かけちゃった。……もう、時間がないのに…」
玲緒「?ツバサちゃん?」
ツバサ「ひゃ!?れ、玲緒さんっ!?」
玲緒「やっぱりツバサちゃんだ!どうしたのこんなところで?何かあった?」
ツバサ「い、いえ……なんでもないんです……」
玲緒「うーそ。悩んでます、って顔に書いてるよ。
俺じゃ英玲奈たちみたいに役に立たないかもしれないけど話ぐらいなら聞くよ?」
ツバサ「で、でも……玲緒さんの迷惑になるわけには、」
玲緒「俺が聞きたいからいいの。勉強に詰まっちゃってねー、誰かの話聞いて気分転換したい気分なんだ」
ツバサ「玲緒さんは……医学部でしたっけ。すごい…」
玲緒「ははっ、そうでもないよ?確かに勉強は大変だけどね。……いつか、人を笑顔にできる場所に立てたらなって思うから」
ツバサ「人を……笑顔に……」
玲緒「そういえば、また開催されるみたいだねラブライブ。A-RISEももちろん出るんだろ?」
ツバサ「はい……」
玲緒「もしかして、そのことで悩んでるのか?」
ツバサ「……自信が、なくなっちゃって。情けないけど」
玲緒「なんで?前回優勝のA-RISEが?気張らずにいつも通りやればいいんじゃないのか?」
ツバサ「それじゃダメなんです!!!」
玲緒「……と、いうと?」
ツバサ「お、大声出してすみません……それじゃ、ダメなんです…この地区に、優勝候補……ううん、むしろ私たちを破って優勝しそうなグループがいて……」
玲緒「そんなに凄い人達なのか?」
ツバサ「なんていうか、直感で分かったんです。
私たちはこの人達に負けるって。そしたらもう、焦って何もかもうまくいかなくなって……時間、ないのに……っ」
玲緒「そういえば英玲奈も、最近そんなこと言ってたな…そのグループって音ノ木坂のだっけ?廃校になりかけてたけど間一髪で免れたって聞いたな。スクールアイドルのおかげか?」
ツバサ「多分……そうだと思います…」
玲緒「あった、これか……μ’s……メンバーは…。……!」
ツバサ「……?誰か知り合いがいたんですか?」
玲緒「……いや、この西木野真姫って」
ツバサ「西木野総合病院長の一人娘だったと」
ツバサ「彼女がどうかしたんですか?」
玲緒「いやぁ、ちょっとこの間院長と話してたらさ、後ろにいたこの子が"チャラチャラして気持ち悪い"とか言ってきて……はは」
ツバサ「玲緒さんがチャラチャラ……してますかね…」
玲緒「多分この髪色……なのかな、地毛なんだけどね、元々明るい上にずっと水泳やってたからもっと明るくなっちゃって」
ツバサ「それにしても、西木野さんは平気で初対面の人にそんなこと言えるのね……信じられない」
玲緒「まあまあ、俺は怒ってないよ。それより、話戻そうか。ツバサちゃんは……その、μ’sが邪魔なのかな?はっきり言うと」
ツバサ「邪魔……っていうか、確かに張り合えるいいライバルでいられるとは思うわ。でも……あの人達と戦って、私達が勝てるビジョンが見えない…
どれだけ努力して、完璧なパフォーマンスをしたとしても勝てる気がしないんです。
それに、UTXでも私たちの他にμ’sを応援してる人たちだってたくさんいて……何のために頑張ってるんだろう、って……っく……ひっ……」
玲緒「……そっか、いろいろ抱えていたんだね」
ツバサ「ご、めんなさい、泣いたり…して……」
玲緒「いいよいいよ。ずっと我慢してたんだろ?たくさん泣きな」
ツバサ「う、ぁ……ぐすっ……ひっ……」
玲緒「よく一人でここまで悩んで頑張ってきたね。
誰にも言えずに辛かっただろう。
一度頂点に立ったスクールアイドル、ましてやツバサちゃんはリーダーだ。弱音なんて誰にも吐けないよな。
そんな中でライバルが出てきて、しかもそのライバルたちは自分たちよりずっとキラキラしてて。
それでもなお掛かるプレッシャーで逃げ出したくもなっただろう。
よく、頑張ったな」
ツバサ「……っう……うぁあああん!!」
ー
ーーー
ーーーーー
ツバサ「あの時、玲緒さんだけが私の気持ちを分かってくれた。壊れそうだった私の心を支えてくれた。
頭を大きな手で優しく撫でて宥めてくれた……それだけだったけど、私が玲緒さんを好きになるには十分な理由だったわ」
雪穂「そんなの、ただの逆恨みじゃないですか…!勝手な被害妄想してんじゃないですよ……貴女はしていいことと悪いことの区別もつけられなかったんですか!!!」
ツバサ「……貴女にスクールアイドルの何が分かるの?
たかが義務教育の中学生のくせに。
μ’sだってそうよ、部活動としてやっているスクールアイドルと学校の看板を背負ってPRするスクールアイドルとは全く重みも責任も違う。
今回は優勝できなかった、では済まないのよ。
実力不足としてA-RISEから蹴落とされ別の人がA-RISEへ加入するの。
自分が輝いていた場所が奪われるの。
その恐怖……少しでも考えたことある?」
雪穂「……っ」
ツバサ「分からないでしょうね、貴女には。上に立つということが、どいうことなのか。
上に立ち続けるということがどれ程難しくて気が滅入ることなのか。
追いかける方より追いかけられる方が辛くて厳しいのよ。
貴女たちはよかったでしょうね、高坂穂乃果さん。」
穂乃果「……っ!」
ツバサ「学校存続やA-RISE、優勝を目標としてただひたすら前に進めばいい。新たなファンを捕まえればいいだけだもの、気楽よね。
それに比べて私達はいかに学校の好感度を上げるか、どれだけ古参のファンの心を離さずに新たなファンの心を掴むかにかかってくるの。一度でも失敗すれば全てが崩れ信用をも失う。
ねぇ、それがどれだけ恐ろしいことか考えたことある?」
穂乃果「……」
ツバサ「英玲奈もあんじゅも解るはずよ。これがどれだけ大変なことなのか」
英玲奈「…………だからって」
あんじゅ「許されることじゃ、ないわ……」
ツバサ「えぇ、そうよ。私は許されないことをした。
それは分かってるわ。でも、μ’sはもう一時的かもしれないとはいえ再起不能でしょう?
なら、私の目的は達成できたのよ」
英玲奈「ま、待ってくれ、ツバサ…お前は通り魔に腕を刺されたよな?あれは……自分で刺したのか?それとも本当に…」
ツバサ「……あぁ、あれは、玲緒さんの作戦のうちの1つよ。」
英玲奈「……!」
ツバサ「もともと通り魔に関しては私たちとは別問題。
でも近くにスクールアイドルだけを狙う通り魔が出た、とニュースなれば当然μ’sにも影響がある。
そしてそのニュースはそこからの作戦でμ’sの心理状況を大きく左右する。
それを狙って玲緒さんにわざと少し切り傷をつけてもらって警察に走ったの。……なかなかの演技だったと思うわ」
あんじゅ「……ツバサ、ごめんなさい。
気づいて、あげられなくて……こんなになるまで、1人で頑張らせて……」
英玲奈「……っ、なんで、お前が謝るんだあんじゅ!顔をあげろっ!」
あんじゅ「……っ」
英玲奈「あんじゅ!!」
ツバサ「……いいのよ、許さなくても。
別に私は私の信念に従っただけ。
共犯の事実はきっといずれはバレる。
……玲緒さんだって、もうここにはいない」
英玲奈「ツバサは……玲緒の共犯って言ったよな…
何の手伝いをしてたんだ……?」
ツバサ「……人寄せよ。玲緒さんがμ’sメンバーに接触している時、その付近に人が近づかないようにわざと軽めに変装して人を集める。
あとは、小物を用意したり、μ’sや音ノ木の情報を集めたり、それぐらいよ。
でも立派な共犯でしょう?……役に立てて嬉しかったわ」
雪穂「……うまく利用されたんですね、ツバサさん」
ツバサ「……なんですって?」
雪穂「いい小間使いにされたってことです。本当に愛し合ってたって言えるんですか?」
ツバサ「言えるわよ」
雪穂「そうですかね、常識的に考えて本当に愛している恋人にそんな危険なお願いしますか?
元々2人の目的はラブライブでのA-RISEの優勝ですよね。
もしどっちかがミスしてそれが公になったら、A-RISEはもう信用どころの話じゃなくなると思うんですけど。
玲緒さんにとっては、妹である英玲奈さんに花をもたせたい一心だっただけで、そこにたまたま扱いやすそうな人がいたから使っただけじゃないんですか?」
ツバサ「……随分、言ってくれるじゃない」
雪穂「共犯でした、はい、そうですか。μ’sに勝てなそうで悩んで大変でしたね、分かってあげられなくてすみません。2人の愛は素晴らしいです……なんて、なるとでも?」
ツバサ「貴女の発言はいちいち癪に触るわね」
雪穂「それはどうも」
英玲奈「……ツバサ」
ツバサ「何?」
英玲奈「ずっと、渡すか迷っていた……こんなことにはならないだろうと思っていたから。
……玲緒は預言者か何かなのか…?」
ツバサ「言ってる意味がよくわからないのだけど」
英玲奈「"俺が何者かに殺されて、ツバサが全てを話した時に渡してほしい"と、託されたツバサ宛の手紙だ」
ツバサ「……本当に?」
英玲奈「あぁ……この宛先の字、玲緒の字だろ?」
ツバサ「うん……そうね、読ませてもらうわ」
ガサ……
ツバサ「……」
ツバサ「……ふふ、玲緒さんたら……」
ツバサ「…うん、私もよ…」
ツバサ「ふふ……」
ツバサ「やっぱり、私たちは愛し合ってたんじゃない。
こんな情熱的な手紙を書いてくれて……
……2枚目もある。」
ツバサ「……ぅ、そ」
ツバサ「なに、これ……なによ……なんなの……」
ツバサ「……こんなのって…っ!!?!」
バサバサッ
ツバサ「ぁ……あ……嘘、よ、玲緒さんが、こんな…」
雪穂「……何が書いてあるんですか?」
雪穂「とりあえず1枚目から……」
『ツバサへ。
この手紙を読んでる頃には、俺はもうツバサのそばにはいないんだと思う。
ごめんな、一人で突っ走って。
でもA-RISEをどうしても優勝させてあげたかった。
μ’sなんかより俺はずっとずっと君たちの方が素敵だと思うから。
だから、俺がいなくなっても泣かないで笑ってて。
俺はツバサちゃんの笑顔が大好きだから。
あ、もちろんツバサちゃんのこと大好きだよ?
大好きというか……愛してる。
もしも、もしもだけど。
もし、この世界が辛くて辛くて仕方なかったら迷わず俺のもとにおいで。
俺はいつだって君を待ってる』
雪穂「なにこれ、寒……鳥肌立ちますね……」
雪穂「で、肝心の2枚目は……」
ガサ
英玲奈「やめろ……っ、読むな!!!」
バサッ!
雪穂「……は?え?いきなりなんなんですか!!」
英玲奈「よ、読まないでくれお願いだ!!」
雪穂「はぁ?なんで英玲奈さんが怒るんですか、本当意味わからない……んーと?」
『さて、本題に移ろう。
ツバサ、この1ヶ月の疑似恋愛はどうだった?
本当ツバサは可愛いよ。可愛いぐらい騙されてくれた。
ねぇ本当に気づかなかった?
途中で英玲奈と僕が入れ替わってたことに。
気づかなかったとしたら、ツバサは俺のどこを好きだったんだろうね?
そんなの本当の愛っていうのかなあ。滑稽だねツバサ。
俺じゃない"玲緒"に好きだとか愛してるだとか言っていたんだよ。
もちろん、俺はツバサのこと全くこれっぽっちも愛してはいない。
上手く利用されてくれて助かったよ、ありがとう。
それと、ツバサとのセックスはビデオに撮ってとあるサイトに映像を公開してるから興味があったら見てみるといい。
今までありがとうツバサ。
本当に君は可愛い人だったよ。』
雪穂「……あの」
英玲奈「……っ」
雪穂「まっったく理解出来ないんですけど。」
英玲奈「わ、私は玲緒に成りすましてツバサと会っていたんだ……」
雪穂「ふぅん……で?ツバサさんはなんで気付かなかったんですか?男と女でしょう?」
ツバサ「……背格好が、声が、似てるから、二人とも」
雪穂「ははっ……そんなんだから貴女は利用されたんですよ。見分けつくでしょう普通。ましてや相手は自分の好きな人と、スクールアイドルとして共に活動してきた仲間ですよ?
……その依存具合はもはや病気ですよね。
それで愛し合ってたとか……そんなの騙されて当然ですよ
英玲奈さんも英玲奈さんですよね?
仲間を騙していて何とも思わなかったんですか?
ていうか、なんでそんなことしてたんですか?」
英玲奈「……私、は」
雪穂「だいたい、お姉ちゃんの病室で話すことじゃないですよね、迷惑極まりないです。さっさと話してどっかいってくれませんか」
英玲奈「……私は、……ツバサのことが好き…だったんだ」
ツバサ「……!」
英玲奈「だけど、女同士……ましてや一度頂点に立ったスクールアイドルだから、そんなこと言えるわけなくて……
ある日、玲緒に調子が悪いから1日だけでいい、玲緒に成りすましてツバサに会ってくれないかと頼まれた。
ツバサが玲緒に惹かれていることは分かってたよ。
……ツバサは分かりやすいから。
だからいつも玲緒が羨ましかった。
何度も男になりたいと思った。
ツバサに好きだと……愛してると言われたい、言いたい一心だったんだ…
ツバサが言った通り、私と玲緒は年が2つ離れているがよく似ている。
声もこれをもう少し低くした感じだ。
兄に成りすますのは私にとって難しいことじゃなかった。
髪もウィッグをかぶって誤魔化した。
1度だけ。
そう、決めていたけれど……"玲緒"に見せる顔があまりにも綺麗で、可愛くて。
……独り占めしたいと思ったから、それから何回も私は玲緒を演じた。
すまない、ツバサ!
でも私のこの気持ちは嘘じゃないんだ、騙していたわけじゃーーー」
バシンッ
英玲奈「……っ」
ツバサ「気持ち悪い」
英玲奈「……でも!私は!」
ツバサ「……私だけ、バカみたいじゃない。
英玲奈も、あんじゅも……」
英玲奈「あんじゅは関係な……」
ツバサ「…私、知ってたのよ。玲緒さんがあんじゅのこと好きなの……知ってた。」
あんじゅ「……ふふっ」
英玲奈「……あんじゅ?」
あんじゅ「黙って聞いてれば2人とも……ふふっ、
はぁ、面白い……でも、そろそろ私の前から消えて」
ツバサ「あ、あんじゅ?何言って、」
あんじゅ「目障りだから消えてって言ってるの。ずっと何も言わずに聞いてきたけどもう限界。
ツバサも英玲奈も子ども過ぎる……最低よ、2人とも。」
ツバサ「何言ってるのよ!悪いのは英玲奈で、」
あんじゅ「人のせいにしか出来なくて、そうしないと自我を保てないなんて……餓鬼ね。」
ツバサ「なっ!?」
あんじゅ「いい?玲くんが好きなのは私。玲くんが大事なのは私と英玲奈。
そして、玲くんに共犯にツバサを使わせたのも、私。
ツバサなんて所詮手駒だったのよ。
μ’sも私にとって邪魔だから、玲くんと話して潰そうって話になったのよ」
ツバサ「……私だけが、何も知らなかったっていうの」
あんじゅ「そうねー……だって気づかなかったじゃない?私は実際自分の手を汚すこともなかったし、玲くんとツバサは本当いい仕事してくれたわぁ」
あんじゅ「μ’sの皆さんも、私の予想以上にいろいろゴタゴタしてくれて面白かったわ!ありがとうね?」
雪穂「何のために……そんなこと……」
あんじゅ「んー……"退屈だったから"かしら。……ただ単にμ’sが邪魔だったからなのかも?」
英玲奈「犯人は私の兄だ...」ナンダッテー!?
ツバサ「実は犯人と恋人なの」ナンダッテー!?
英玲奈「ツバサと会っていたのは私だ」ナンダッテー!?
あんじゅ「でも本命は私よ」ナンダッテー!?
うーん……
英玲奈「犯人は私の兄だ...」ナンダッテー!?
ツバサ「実は犯人と恋人なの」ナンダッテー!?
英玲奈「ツバサと会っていたのは私だ」ナンダッテー!?
あんじゅ「でも本命は私よ」ナンダッテー!?
うーん……
ツバサ「…今までよく私たちとやってこれたわね、そんな嘘をついたままで」
あんじゅ「玲くんとの約束だったからね。A-RISEを優勝させる、って。それに英玲奈もツバサも分かってたでしょ?
たった1曲でずっとやってきて、その1曲でラブライブに優勝した、なんて。
流石にファンも飽きると思うけど?」
英玲奈「まさか、裏から手を回したっていうのか」
あんじゅ「だって2人とも新曲作る気なかったじゃない?
なら、優勝するためにやることはひとつよね」
雪穂「あの……話ややこしすぎるんですけど、なんなんですか?ここは暴露場じゃないんですよ。
てことは、なんですか?μ’sがこんだけ悩んだのは全部A-RISEの皆さんのとばっちりってことですか?
亜里沙の決心の行動も……あんじゅさんの手のひらで転がされていたってことですか?」
あんじゅ「そうなるのかしらね」
雪穂「最低ですね、本当」
あんじゅ「話はこれで終わりよ。……さよなら2人とも」
英玲奈「お、おいあんじゅ!!」
ツバサ「英玲奈、止めなくていいわよあんなやつ」
英玲奈「でも……!」
ツバサ「これだけ聞いてまだ英玲奈もあんじゅの味方するっていうなら私はもう知らないわ。A-RISEも抜ける」
英玲奈「なっ……!ラブライブはどうするんだよ!」
ツバサ「棄権するわ。こんな状態でできるわけないもの」
英玲奈「そんな……」
ツバサ「結局、玲緒さんのしたことも無駄になったわ……っ」
英玲奈「いくらなんでも、ちょっと許せない……な」
雪穂「じゃあ、復讐しましょうよ」
ツバサ「復讐……?」
雪穂「許せないなら復讐したらいいんですよ。同じ目に合わせたらいいじゃないですかあんじゅさんを」
英玲奈「いや、しかし、」
雪穂「英玲奈さんは甘いんですね。だからいろんな人に利用されるんですよ、わかんないんですか?」
英玲奈「……っ、わ、わかった、……そうだよな、もうあいつは仲間でもなんでもない…」
雪穂「手伝いますよ、復讐なら。……μ’sの皆さんも一緒にね」
穂乃果「……ぁ、」
雪穂「大丈夫だよ、お姉ちゃん。…殺したりはしないからさ」
穂乃果「……」
雪穂「どうしますか?決めるなら今のうちですよ」
ツバサ「ーーやるわ。」
英玲奈「……私も、」
雪穂「……決定ですね。途中で取り消しはなしですよ?」
穂乃果「…………」
雪穂「……私が出る幕じゃないのは百も承知だけど、お姉ちゃんを守りたい。仇を討ちたいの。…許してねお姉ちゃん」
穂乃果「……」コクン
雪穂「さぁ、では行きましょうか。私達の復讐劇の始まり、ですね」
◆あんじゅSide
あんじゅ「はぁ……は、っ、はぁっ…」
あんじゅ「誰も追いかけてはこない……か、そうよね…私が壊したんだものね…」
あんじゅ「……これで、よかったの?玲くん…
これで玲くんは救われた?
これで……私は玲くんの1番になれた?」
あんじゅ「……なんて、もう聞けないのに。バカよね、律儀に約束を守って」
……憎かった。
私より玲くんに愛されてるツバサが。
……憎かった。
無条件に玲くんの特別な存在でい続けられる英玲奈が。
全ては嫉妬。
嫉妬と羨みでここまでやってきた。
玲くんの1番になりたい一心で。
ただひたすらがむしゃらに言うことを聞いてきた。
あとどれだけ。
あとどれだけ自分を犠牲にしたら私は誰かの1番になれるんだろう。
今でも忘れない。
心の拠り所を探して、探して、探して。
やっと玲くんという居場所を見つけた時に降りかかった言葉。
"あんじゅは2番目が良く似合うね"
昔からそうだった。
どんなに頑張っても、何を頑張っても1番にはなれない。
そのうち、私は「1番」という言葉や立場欲しさに生きるようになった。
『ねぇ、あとどのくらいで玲くんの1番になれるの?』
『もう少しだよ、あと少し』
その言葉を信じて今日までやってきた。
正直ツバサより好かれてる自信はあった。
だってツバサって恋愛になると面倒なタイプだから。
私みたいに落ち着いて立ち振る舞いが出来たほうが、玲くんは好きだと思った。
なのに。
なのに、なのに。
いつだって玲くんは私の目の前で言うの。
『ツバサは本当に可愛い彼女なんだよ』って。
なにそれって思った。
そんなのわざわざ目の前で言わなくてもって。
だけど負けたくなかった。
奪い取りたかったの。
玲くんの「1番」は私なんだって。
そしてツバサに言いたかった。
玲くんにはあなたより大事な人がいるのよ、って。
別にツバサみたいに特別、玲くんが恋愛対象として好きってわけじゃなかった。
ただ、玲くんは1番に私を見つけてくれた人だったから。
誰も気づかない私の悩みを優しく受け止めてくれた人だったから。
……この人なら私を「1番」にしてくれると思ったから。
あの時から、私はずっとそれを信じてきた。
あの時……そう、あの日から。
ー
ーー
ーーーー
玲緒「おっ、久しぶりだねぇアンちゃん。」
あんじゅ「玲くん!久しぶりね。今帰り?」
玲緒「そうそう。今日も勉強漬けでさ〜未来の名医師は辛いよーなんつってね」
あんじゅ「とかいってまたトップクラスなんでしょ?
私知ってるわよー?」
玲緒「全然!いつも綱渡り状態だよ。癒しが欲しいなー、なんて。ははっ」
あんじゅ「癒し……」
玲緒「まぁ、癒しが本当に必要なのはアンちゃんの方かな?
大変そうじゃんA-RISE。強敵出現だって?」
あんじゅ「!う、うん……そうなの…みんな予想以上に戸惑ってて…」
玲緒「そうなんだ……」
あんじゅ「トップスクールアイドルがこんなこと言っても仕方ないのわかってるけれど、やっぱり不安なのよね」
玲緒「こら、アンちゃん!」
あんじゅ「!?ふぁ、ふぁへ……?」
玲緒「あははっ、な、何?って言ってる?はは、こんなふうにトップスクールアイドルA-RISEの優木あんじゅちゃんの頬っぺたむにーって出来る男なんて俺ぐらいだよなあ」
あんじゅ「ぷはっ、な、いきなり何っ?」
玲緒「……笑っててよ」
あんじゅ「……えっ」
玲緒「そうやって、笑っててよ。俺、アンちゃんの笑顔が一番好き」
あんじゅ「……"1番"?」
玲緒「うんそう。1番。誰の笑顔よりアンちゃんの素の笑顔が俺は好きだよ。」
あんじゅ「それは……英玲奈とツバサよりも?」
玲緒「うん、もちろん。」
あんじゅ「私が……1番……私が、1番」
玲緒「大丈夫、アンちゃん大丈夫だよ。誰かが必ず誰かの1番なんだ。
だから焦る必要なんてない。
アンちゃんはアンちゃんらしく、そのままでいて。」
あんじゅ「わ、私っ……!」
玲緒「ん?」
あんじゅ「わ、たし……は、私は、玲くんの何番め…かな…」
玲緒「……んー」
あんじゅ「ご、ごめんなさい、変な意味じゃなくて、その、……きゃぁ!?」
玲緒「何番目になりたいの?」
あんじゅ「れ、玲くん、顔近……!」
玲緒「ねぇ、アンちゃん。アンちゃんの中で俺は何番目?」
あんじゅ「…………め」
玲緒「聞こえない」
あんじゅ「い……ちばん、め」
玲緒「そうなんだ、嬉しいな。じゃあ俺も教えてあげる。
アンちゃんはね……」
あんじゅ「……っ」
玲緒「2番目。……アンちゃんは2番目が良く似合うよ」
あんじゅ「ーーーーー」
玲緒「?どうしたの?……1番目だと思った?」
あんじゅ「そ、そういうわけ、じゃ……っ、ぅ…」
玲緒「よしよし、泣かないで、ごめんね意地悪して。
でも、1番には出来ないんだよ……俺はツバサと付き合ってるから」
あんじゅ「……ツバサと?」
玲緒「そう。ツバサ可愛いんだよ。すぐ顔真っ赤にして、甘え上手でー……」
あんじゅ「私の方が、ツバサより良い彼女になると思うけれど」
玲緒「……そうかもね?」
あんじゅ「ツバサと付き合ってても、いいわ。
でも私とも付き合って。今は2番目でも、いつか絶対、私の方がツバサよりいいって言わせて見せるから……っ!」
玲緒「いいの?俺、ツバサにベタ惚れだよ?」
あんじゅ「いいっ!私のことも彼女にして!!私のことも抱きしめてキスして……っ」
玲緒「……分かった。アンちゃんがそれでいいなら」
ちゅっ
あんじゅ「…っ」
玲緒「緊張してる?……可愛い」
ちゅ……っ、くち……
あんじゅ「んんっ……ふ、ぁ…!」
玲緒「……1番に、してもいいよ。」
あんじゅ「…!して、くれるの…?」
玲緒「俺の手伝いをしてくれたら、だけど」
あんじゅ「する……っ!それで1番にしてくれるなら!」
玲緒「俺はね
スクールアイドルを廃止させたいんだ。」
あんじゅ「す……スクールアイドル、を、廃止…?
でも、それじゃあ……」
玲緒「そう、確かに今よりずっとどの学校も輝きは薄くなるだろう。
でも、考えてごらん。スクールアイドル程危険なものはない。
スクールアイドルとはいえ、見た目やパフォーマンスはアイドルに匹敵する。そのためにファンも大勢いる。
それはA-RISEだってそうだろう。
だが、所詮学校単位で行われている活動だ。
実名は割れているし、調べようによっては住所や連絡先も簡単に手に入る。
……たかが高校生がこんな危険な環境に足を踏み入れること、アンちゃんは考えたことあるか?
例えばそうだな。
熱狂的なファンが家まで押しかけてきて君を襲ったり、はたまたアンチが君の背後からナイフで切りつけるかもしれない。
……考えたことあるか?」
あんじゅ「……な、ぃ」
あんじゅ「そう。一旦落ち着いて考えればわかりそうなことも、学校側も本人たちも気づいていない。
それはスクールアイドルが普及してるから。
でもね、人間がみんないい人だとは限らないんだよ」
あんじゅ「……」
玲緒「だから、いかにスクールアイドルが危険かってことを本人たちに身をもって知ってもらいたい。
それを世間に知ってもらって、もう二度とスクールアイドルが普及しないようにしたいんだ。
……難しいことだとも、今の環境に逆らうことだとも分かっている。
それでも、アンちゃんは俺のことを手伝ってくれるのか?
君はスクールアイドルだ。
一歩間違えれば、自分の立場もなくなるかもしれない。
そんな危険な橋を渡ってまで、俺の手を取ってくれるか?」
あんじゅ「……、ツバサ、は…英玲奈は、知ってるの」
玲緒「それとなくは話しているし、2人にも少し手伝いはしてもらう予定ではいる。
けど、本当の目的と手段を話すのはアンちゃんにだけだよ。
アンちゃんだから、こうして頼んでる。」
あんじゅ「私が、いなきゃだめ…なのね?」
玲緒「情けない話…もし、アンちゃんがいなかったら、俺の計画は失敗してしまうかもしれない」
あんじゅ「……わかった。やるわ。…私、やる。……だって、玲くんの役に立ちたいもの」
玲緒「ありがとう……本当にありがとう…アンちゃんがいてくれてよかった、本当に…。アンちゃんだけだよ、俺の支えになってくれるのは」
あんじゅ「ふふっ……いつでも頼っていいのよ」
……それから、ずっと玲くんの側にいて、玲くんを手伝ってきた。
盗撮や盗聴。……事件勃発時のビデオ録画を担当していたからツバサとは会うことはなかった。
ターゲットは最大のライバルとなるはずだった、μ’s。
正直…自分と同じぐらいの歳の女の子たちが、たった1人の人の欲望のためにズタボロに傷ついていく様は見ていていい気分になるものじゃなかったし、何度も罪悪感に苛まれた。
でも。
誰かの変わらないはずだった"1番"が"1番"じゃ無くなる時、絆にヒビが入るその瞬間を目の前で見た時は言い表せない高揚感が私を包んだ。
自分が階段を上ってその人達を抜かしていくような感覚に陥ったりもした。
私は楽しんで見てたんだ。
誰かと誰かがぶつかって、壊れるところを。
嘆き悲しみ苦しんで沈んでいくところを。
隣にいる玲くんがクスッ、と笑って
『やっぱりアンちゃんに話してよかった』なんていうから私はもっと調子に乗った。
そして、ある日知ったんだ。
……この計画には、玲くんを含めた16人の命が掛けられてるいることに。
μ’sの9人はもちろん、私達A-RISEも例外ではない。
そして、μ’sメンバーの妹たち2人と、μ’sメンバーの1人の母親でもある音ノ木坂学院の理事長の計15人。
それはあらゆる方向から見出される"死"。
肉体的な自殺や他殺だけじゃない。
社会的や精神的な意味での死も含む。
ー逃げられない、と直感で感じた。
命を天秤に掛けられていると気付いたのは、もうとっくに終盤で。
それは、取り返しのつかないところまで来ていた。
泥沼に両足を突っ込んだまま何処にも行けずにただ立ち尽くしていた。
玲くんが殺される前の日、彼はお見舞いに行った私に笑顔で言った。
『自分がやってきたことは間違いじゃなかった』と。
…彼は、最初から分かっていた。
いずれ殺されることを。
それを見越しての計画だった。
手渡された紙に書かれた最後の"仕上げ"。
私だけに託された幕引き。
他の誰でもない"私だけ"が出来ること。
"私だけ"が最後まで玲くんの役に立てる、その喜びに心を踊らさずにはいられなかった。
ー「もしも自分が殺されたら」
そう題名が書かれた小さく折りたたまれた紙には、
ツバサと英玲奈を挑発し、A-RISEを解散まで追い込むこと。
そして、事実は一切周りに他言しないこと。
その2つが書かれていた。
"私だけ"が彼の行動の全てを知り、
"私だけ"が最後まで彼の支えになった。
その事実と彼が最後に言った言葉。
「これで、ツバサより君の方が少しだけ1番になれたかもしれないな」
その言葉を聞いた瞬間に、"良心"と言う名の糸はぷつん、と音を立てて切れた。
…スクールアイドルなんてもうどうでもいい。
目指すのは私の中の"1番"の人が実現させようとした夢。
彼の夢を果たすのが私の役目。
そうすれば、私が彼の1番になる。
誰よりも、私が。彼の、1番に。
そう、彼の。
私にとっての彼。
彼って、誰だっけ。
彼、バカね、彼っていうのは、統堂玲緒……玲くんのことなのに、忘れてたの?
玲くん、私1番になれた?
ねぇ、ねぇ、ねぇ?
玲くん、答えてよ。
私、私は、玲くんの為に、為に
あれ
私は誰の"1番"になりたかったんだっけ
誰が私を"1番"にしてくれるんだっけ
彼だよ。忘れないでよ。彼、だよ、
あれ、でも彼は
彼は、此処には、
あんじゅ「もう……いない、んじゃない」
あんじゅ「もう、私には、"1番"にしてくれるひとが、いないんじゃない……っ!」
あんじゅ「馬鹿だ、私!もう玲くんはこの世にいないのに!!本当に1番になれるかなんてわからないのに!どうして!どうして本当のこと言わなかったの!!!」
あんじゅ「私は2人を傷つけただけ……ただ、2人を…」
あんじゅ「玲くんの目的……、はは……は、そっか…
そうね、分かっちゃったわ……
玲くんは、ただ、英玲奈を守りたかっただけなのね」
あんじゅ「ツバサにかけた言葉も、私にかけた言葉も全部全部嘘。
本当のことは、本当のことは英玲奈にかけた言葉が全て。
簡単なことじゃない……あははは…どうして分からなかったのかしらね」
あんじゅ「もう、居場所は、ない。自分が壊したのよ、私が、
私が、
私が最初から死ねばよかったのかもしれない」
……公園……
雪穂「……と、言うわけです。」
希「……聞きたく、なかったわ」
真姫「黒幕が…A-RISEのメンバーだなんてね」
英玲奈「すまない……本当に、私達も気付かなくて」
海未「いえ、気付かなくて当然だと思いますし、そんなに気に病む必要は……」
絵里「さて……それじゃあ本題の復讐をするか否かだけども。
……私は、したい。亜里沙のこともあるし、正直許せない気持ちの方が大きいもの。」
花陽「私も……この怒りをどうしたらいいかわからないです…」
真姫「…同じことしてやりたいわね」
海未「罪を償っていただければそれでいいのですが…」
にこ「なに甘いこと言ってんのよ、目には目を、歯には歯をっていうでしょ。それじゃ足りないから2倍返しでもしてやろうかしら」
希「まぁまぁにこっち。抑えて、抑えて」
ことり「いいんじゃないかな、それでも♪
ことりはぁ、お母さんの分も一緒に痛い目にあわせたいかな」
雪穂「……決まり、みたいですね」
英玲奈「……あぁ」
雪穂「ツバサさん」
ツバサ「!な、なに?」
雪穂「全員一致で復讐希望です。いいですか?」
ツバサ「え、えぇ……いいわよ」
雪穂「じゃあ……ツバサさんと英玲奈さんは、ここに1時間後あんじゅさんを連れてきてください。」
英玲奈「ここに……か…?」
雪穂「えぇ。この近くに、例の倉庫がありますから。
好きなだけ復讐。できますよ」
ツバサ「ここに……私達があんじゅを…」
雪穂「大丈夫ですよ、殺しはしません」
ツバサ「当たり前でしょ…!」
雪穂「何ですか?びびってるんですか?……あんだけ酷いことされたのによくまだ擁護する気になれますね。そういうの偽善者っていうんですよ。
ただ単に怖いだけでしょう」
ツバサ「本当……貴女の言葉は頭にくるわね」
雪穂「光栄ですよ」
英玲奈「じゃあ……行こうか、ツバサ」
ツバサ「えぇ……」
雪穂「私達は先に倉庫で待っていますから、必ず1時間後に連れてきてくださいね。それでは」
英玲奈「…………ツバサ」
ツバサ「分かってる……これで、いいとは思わない
だって、仮にもずっとやってきた仲間よ
そんな仲間を売るなんてこと、」
英玲奈「…でも、このままっていうわけにもいかないだろう……とりあえず様子を見て、ヤバそうだったら外にあんじゅを避難させよう。
それでいいか?」
ツバサ「えぇ、そうしましょう」
……1時間後、倉庫……
ガチャ!
ガチャガチャッ!!
英玲奈「ちょ、ちょっと待ってくれ!!なんで私達まで縛られてるんだ!」
ツバサ「そうよ!!話が違うわ……!!」
雪穂「当たり前じゃないですか。途中で逃がされたりしたら困りますからね。
……ツバサさん、さっきから自分のこと棚にあげすぎじゃないですか?
ツバサさんも立派な共犯なこと、忘れてないですよね?」
ツバサ「……っ!」
希「……雪穂ちゃん目が据わっとる、あかんな…何するかわからんよこれ…」
にこ「やらせればいいじゃない。それだけのことをこいつらはしてきたのよ」
絵里「そうよ、今更かばう理由なんて無いわ」
希「そうかも、しれんけど……」
真姫「やりたくないなら、やらなくていいのよ」
希「……やりすぎは、あかんよ?」
海未「えぇ、頃合いを見てきちんと引きます」
雪穂「じゃあ、まずはこれ、です。皆さんに行き渡りましたか?」
花陽「これ……普通のマチ針、だね」
ことり「あー、ことり分かっちゃった♪
これこうやるんだよね、えいっ!」
ブスッ!!
ツバサ「ーいぃっ…!!!」
英玲奈「ツバサ!!」
ことり「まだまだ足りないよ〜?みんなが受けた苦しみはこんなものじゃない、よっ!」
ブスッ、ヅプッ!!
あんじゅ「っ……!ぅ!あぁ……っ!!」
にこ「痛い?痛いわよね!!こころたちはもーーっと痛かったのよ!!」
ツバサ「っあぁっ!!」
英玲奈「もうやめてくれ……!!!責任なら、私がとる!あいつの妹の私が……!」
ガンッ……!
英玲奈「ーーーっ!っか、はっ……」
雪穂「……煩い。黙って見ててくれませんか」
ツバサ「は、ぁ……はっ……」
雪穂「……マチ針はもういいです、」
海未「これからどうするのです?」
雪穂「そうですね……じゃあ、……脱いでください。」
ツバサ「ーーーえ?」
あんじゅ「ぬ、げ……って」
雪穂「はぁ……物分かり悪いですね。服を脱げって言ってるんです。なんなら脱がしましょうか?」
ツバサ「……っ」
バサ……
プチン、プチン……バサ……
花陽「……これからどうするの?」
雪穂「写真を撮ります。」
あんじゅ「ーーー!い、いや……!」
にこ「嫌じゃないわよ。そうやって、うちの妹たちも叫んだはずよ、あんたたちと同じようにね!」
パシャ……パシャッ
真姫「あら、絵里撮るの上手いじゃない」
絵里「まぁね、この怯えた目、すっごくいいわ」
希「な、そこらへんにしとこ……?な…?」
海未「希は復讐したくないのですか?」
希「そ、そういう訳やないけどこのやり方はなんか違う気がするんよ……」
海未「そうですか。なら、外でお茶でも飲んできたらどうですか?」
希「な!なんでそうなるん!?」
海未「こういうひとたちには、身をもって痛みを知ってもらわないとダメなんですよ」
希「みんな……みんな目を覚ましてよ!この人たちはあの男の人じゃないんよ!
みんなを苦しめたあの人やないんよ!!
この人たちを苦しめたってなんの意味もないんよ!
……なんで、なんで誰も聞いてくれへんの…!?
なんでよぉ……っ」
絵里「……希。無理よ、もう。」
希「無理やない!!こんなの、あの人がしてたことそのまま別の人にやってるだけやん!ウチらも変わらんよこんなの……っ!
ウチは参加しない!復讐なんてしないっ!!!
別の方法があるはずやから……っ、だから、みんなもうやめて……」
雪穂「……希さん。」
希「雪穂ちゃ……考え直してくれーー」
パンッッ
希「……た…………」
雪穂「いつまで寝ぼけたこと言ってるんですか?
復讐なんてしない?馬鹿なこと言わないでください。
貴女を襲うように仕向けたのは紛れもなくそこにいる女ですよ。……憎くないんですか、これでも。」
希「でも、でも、ウチ、」
雪穂「はぁ……これ。押してください、この機械のボタン」
希「な、なにこれ、これ押したら爆発とか、」
雪穂「するわけないです。いいから安心して押してください。"私達には"害はないですから。」
希「…………分かった…」
ポチ……
ビーー!!ビーー!!ビーー!!
希「!?な、な……!?」
花陽「さ、サイレン……!?」
にこ「なによ故障……?」
絵里「あれ……男の人が入ってきた……?」
雪穂「……お二人は統堂さんとの経験もあるみたいなのできっと大丈夫ですよね」
希「っ、ぁ……あ……ご、ごめ、ごめん、なさ…」
絵里「希、大丈夫だから。あなたは何も悪いことしてないのよ。ただ男を呼んだだけでしょ?」
希「でもっ……このままじゃ2人が男の人に……!」
あんじゅ「ぃ、いや……こないで、いや……っ!」
英玲奈「やめてくれ!!お願いだから!やめてくれええええええっ!!」
ツバサ「いやあああああああああああ!!!!!!!!!」
絵里「……いい眺めね。希の痛み、少しは味わえたかしらね」
希「…………」
雪穂「あーあ、やりなれてないんですか?
ちょーっと襲われたぐらいですぐ意識飛ばして……水でもかけます?死んじゃいますかね?」
海未「そのままでいいんじゃないですか?……あ」
雪穂「……どうしたんですか?」
海未「髪、切ってあげましょうよ」
花陽「髪……ハサミで?」
真姫「バッサリ切っちゃうといいわこの機会に」
英玲奈「や……め、……もう、やめ……っ」
にこ「この長くてくるくるの髪鬱陶しいわね、一思いにいっちゃいましょ」
ジャキッジャキッ
バサバサ
ことり「こっちのおでこちゃんはどうする〜?」
雪穂「あ、それなら……」
ヴーーーー
雪穂「これ、使いましょう。……バリカン、一回使ってみたかったんですよね」
花陽「そ、それは……ちょっと……」
雪穂「別にさっきから何もしない花陽さんには頼むわけないです。
…真姫さんやりますか?」
真姫「私?……そうね、面白そうだから、少しだけ…」
ヴィーーーガガガ
絵里「ハラショー面白いぐらい髪がなくなっていくわね!」
希「(知らない……こんなの、ウチが知ってるμ’sやない…)」
ここまで
英玲奈「……もう、十分だろ…やめてくれよ…私にも同じ苦しみを与えてくれよ…」
雪穂「ここまでにしましょうか、疲れましたし」
絵里「そうね、帰りましょうか」
海未「そうですね、この汚れた手を早く洗いたいです」
花陽「…………っ」
ことり「結局なぁんにもしないで見てるだけだったねっ、かよちゃんは!」
花陽「っ!わ、わた、し、は」
にこ「そういうの、ズルいと思うけどねにこは」
花陽「ご、ごめん……なさ、」
真姫「じゃあ、平手打ちでもしておけば?」
花陽「そ、そんな、」
ことり「それいいっ、ね、かよちゃん、やるよね?
だってかよちゃんもこの人のせいでたーくさん嫌な思いして、凛ちゃんのことも傷付けられたんだもん。
凛ちゃんの分も、仕返し……してあげないと、ね?」
花陽「……!そ、うだ…私だけじゃない、凛ちゃんも、苦しんだ……そうだ…凛ちゃんが傷ついたのはこの人達のせい…この人達が、花陽を騙したから…」
希「(……騙してたのは、あの男の人なのに…でも、もう花陽ちゃんにも、何言っても通じないんやろな……もう、ウチには…出来ることなんて、ない…)」
花陽「……っ!」
バシンッ!!
花陽「あなたたちのせいで!」
バシンッ
花陽「μ’sはバラバラになったんだよ……!!」
バシンッ!
花陽「消えてよ!今すぐ花陽たちの前から消えて!!」
バシンッ
ことり「わぉ♪」
絵里「花陽もやるときはやるじゃない」
花陽「はぁ……っ、はぁ…」
雪穂「行きましょう、皆さん」
海未「えぇ」
真姫「あっ、待って」
チャリ……
真姫「これ、うちの病院の屋上の合鍵よ。死にたくなったら何時でもいらっしゃい。貴女達ならいつでも歓迎するわ」
ツバサ「……っ、だ、れが…死ぬもん…ですか」
真姫「……まぁ、いいわ。一応置いておくから好きに使って」
真姫「待たせてごめん、行きましょ」
ことり「死に場所を作ってあげるなんて、真姫ちゃん優しいっ」
真姫「当然でしょ!私を誰だと思ってるの!」
雪穂「はい、英玲奈さん。後の2人は英玲奈さんが助けてあげてくださいね。では、お疲れ様でした」
キィ……
……バタン
英玲奈「2人とも!!大丈夫か……!?今解いて…」
ツバサ「……の、せいよ」
英玲奈「ツバサ?」
ツバサ「全部!全部あんたのせいよあんじゅ!!」
あんじゅ「……!」
ツバサ「あんたのせいで!あんたのせいで私の人生めちゃくちゃよ……!どうしてくれるの!?どう責任とってくれるのよ!!」
英玲奈「ツバサ!ちょっと落ち着い」
ツバサ「落ち着け!?無理よ!!!こんな坊主にされて落ち着けって!?馬鹿じゃないの!!なんで私がこんな目に遭わなきゃいけないのよ!それもこれも全部あんじゅのせいじゃない!
あんたなんていなきゃよかった!
A-RISEにあんたなんかいらなかった!!
今すぐ消えて!目障り!!
死んでよ!今すぐ死んでよ!死ねよ!!!!」
シュル…
あんじゅ「……ありがと、英玲奈。……そう、ね。
私が、全部悪かったの……ごめん、なさい。
でも、私……私、2人のこと好き、だったわ。
3人で、A-RISEやれてよかったと、思ってる…」
ツバサ「私はあんじゅと出会わなければよかったと思ってるわよ。」
あんじゅ「そう、よね。……わかってる。
この鍵……もらっていくわね、今までありがとう、2人とも。……本当に、ごめんなさい」
英玲奈「おい待て、まさか本当に死ぬ気じゃ、」
あんじゅ「……そんなことしないわよ。私、弱いから」
英玲奈「死ぬのだけは、やめてくれよ……?」
ツバサ「……さっさと、死んでくれた方がいいわ」
あんじゅ「またね……ツバサ、英玲奈。」
キィ…バタン
英玲奈「……あんじゅ…?」
……西木野総合病院……
ガラ……
穂乃果「……っ!?」
あんじゅ「ふふ……きちゃった。どう?ショートカット…似合う?……なんて。ごめんなさいね、面会時間…もうすぐで終わりなのに」
穂乃果「………」
あんじゅ「ねぇ、高坂さん。……今から私、独り言を言うわ。」
穂乃果「……」こく
あんじゅ「……嘘、だったのよ。ぜーんぶ、嘘。
私ね、いつも2番目の人間だったの。
勉強もスポーツも歌もダンスもカリスマ性も……愛されるのも、好かれるのもいつも2番目。
昔からずーーっと。
だから、夢だった。誰かの"1番"になれること。
玲くんは…多分、わかってたんだと思う。私の気持ち。
見透かされてたのかしらね。
だからきっと扱いやすかったんじゃないかな。
玲くんはね、英玲奈のことしか考えてなかったわ。
そしてきっと、英玲奈をツバサに重ねて、玲くんは疑似恋愛をしていた。
だから、あんな愛おしそうに、大事にツバサを想っていた。
……私の、ただの思い過ごしかもしれないけど。
冷静になればわかることだった、玲くんが英玲奈を"異性"として見てたことなんて。
裏から手を回した、って言ったでしょ?あれは嘘よ。
全部、実力。全部、私達の力で手に入れたもの。
でも、私達には頼る人が、心の内を見せられるいなかった。……そのせいで、こうなってしまったのかもしれないわね。
取り返しのつかないことをしてしまったと思ってる。
玲くんがしていることをいけないことだとわかってて加担して、楽しんでたことも事実よ。
μ’sの皆さんには、なんていえばいいのかわからないぐらい。
……こんなこと言っても遅いけど。
もし、私…もっと早くに貴女とこうして話せていれば、何か変わったのかな…なんて。
何度謝っても足りない。
でも、ね。
私……A-RISEのことも、英玲奈やツバサ……それに、μ’sのこと…大好き、だったわ」
あんじゅ「……途中から何言ってるのか自分でも分からなくなっちゃった。
聞いてくれてありがとう、高坂さん」
穂乃果「……」
あんじゅ「……良いのよ、今なら話しても」
穂乃果「……!!」
あんじゅ「本当は、話せるでしょ?…分かってたんだから」
穂乃果「……………………喋らなければ、誰も傷つかないと、思ってました」
あんじゅ「そうかも、しれないわね……特に貴女には妹さんがいるし」
穂乃果「雪穂は……ううん、雪穂だけじゃない。もう、μ’sは…みんなは、壊れてしまった。
後戻りできないほど、狂ってしまっているんです。
その髪も傷も、全部みんなにやられたんですよね」
あんじゅ「…………そうね」
穂乃果「……穂乃果が、あの時ちゃんと殺せていたらこんなにみんなが壊れることもなかった。
μ’sなんて、作らなかったら…誰も傷つかなかったかもしれない。全部、穂乃果のせいなんです…」
あんじゅ「…………そうかしら」
穂乃果「そうですよ……」
あんじゅ「……私、こんな結果だけど誰かの"1番"にはなれたような気がするの。あ、もちろん恨まれ役でね、ふふっ」
穂乃果「あんじゅさんは、それで……いいんですか」
あんじゅ「うん、もういいの。……もう、疲れちゃったし、ね。
ちょうどいいものも貰っちゃったし」
穂乃果「それって…」
あんじゅ「ここの屋上の鍵よ。西木野さんが用意してくれたの」
穂乃果「……それで、後悔はしませんか」
あんじゅ「えぇ。……もう、誰も悲しませたり苦しませたりしたくないから」
穂乃果「そう、ですか……」
あんじゅ「…私の独り言、付き合ってくれて本当にありがとう。
"最期"に話せたのが高坂さんで本当によかったわ。
いつか、また巡り会う時が来たら……その時はもっと楽しい話、たくさんしましょうね。」
穂乃果「っ、は……い、っ」
あんじゅ「本当に、ありがとう……"穂乃果ちゃん"」
ガラ…
バタン……
凛「はぁ〜っ、もう病院飽きたにゃー……でも、お母さんもお医者さんも、もうちょっとゆっくりしてなさいって言うし……あーっもう!凛はみんなが心配なのにーっ……」
ガシャガシャ
凛「たまには屋上で外の空気吸いたいよ…ずっと鍵かかってるし…飛び降り自殺防止なのは分かるけどー…そろそろ夜空を見たいっていうか…はぁ…」
凛「かよちん……大丈夫かなあ。みんなも、…変なことしなきゃいいけどなあ。
ここにいても仕方ないし…もう病室戻ろう」
あんじゅ「あっ……」
凛「あ、あれ…A-RISEの…どうしてここに?」
あんじゅ「μ’sの星空さんだ」
凛「は、はいっ、星空凛ですっ」
あんじゅ「ふふっ、可愛い。……ねぇ、屋上、行きたかったの?」
凛「あ……はい…でも、ほら鍵がかかってるから」
あんじゅ「あのね、私持ってるの鍵。……一緒にどう?」
凛「えぇっ!?な、なんで!?」
あんじゅ「わわっ、しー!しー!」
凛「むぐ……、な、なんで鍵、もってるですか…?」
あんじゅ「内緒♪ね、よかったら星空さんもこない?」
凛「は、はいっ……!やったぁ!」
キィ……
凛「わぁ……風が気持ちいー踊りたくなっちゃうにゃ」
あんじゅ「ふふ……元気になってよかった、星空さん」
凛「えへへ……ありがとうございます、凛元気だけが取り柄なのに、こんなことになっちゃってちょっと情けないっていうか…」
あんじゅ「そんなことないわよ、私より…ずっと強いと思う」
凛「うーん…」
あんじゅ「……ねぇ、星空さんは、さ。今回の事件どう思ってる…?」
凛「今回の……、……正直、許せないです。
μ’sもバラバラになっちゃったし、みんなすごく傷付いたみたいだし…。
でも、何より犯人に言いたいのは…なんで凛には何もしなかったのかってこと。
かよちんより、凛を苦しめて欲しかった…そしたら、もしかしたら凛が犯人を捕まえられていたかもしれない。
もしかしたら、かよちんもみんなもあんなふうにならなかったかもしれないって…そう、思います」
あんじゅ「……玲くんが見込んだ通りね。」
凛「え?」
あんじゅ「星空さん、私ね。今回の事件の共犯者なの」
凛「……えっ」
あんじゅ「失望、した?……私ね、犯人の統堂玲緒…英玲奈の兄なんだけど、その人の"1番"になりたかったの。だから、…言うことずっと聞いてた。
その人が望むことなんだってしてきた。
その結果が、これ。…笑っちゃうわよね。
みんなに嘘ついて、嫌われて。
自分で居場所を壊してるの。
こんな私いなくてもいいと思わない?」
凛「……思い……ません」
あんじゅ「……どうして?今の話聞いてた?私はμ’sのみんなのこと傷つける手伝いをしてたのよ?」
凛「それは分かってるっ!!
……分かってる、けど!こんなこと、μ’sのメンバーの凛が言っちゃいけないのも分かってるけどっ!
確かに、あんじゅさんがしたことは凛たちにとっては凄く凄く許せないです。同じ目に合わせてやりたい、って思うくらい…」
あんじゅ「……っ」
凛「でも、でも!だからって、死んでほしいなんて凛は思わない。
一回、自分で経験して分かったの……"死ぬ"ってどういうことなのか……あのね、死ぬって、ひとりぼっちになるってことなんだよ。
自分の世界から誰もいなくなっちゃうの。
暗くて、寂しくて…んん、よく言えないけど、でも自分で死のうとしたらだめだよ。
凛が言うことじゃないけど、でも凛が言わなきゃダメだと思うから…
寂しいの、もう嫌なんでしょ?
なら何回も何回も謝って、いつか許してもらってまたみんなで笑いあったほうが絶対良いにゃ。
少なくとも、凛は応援してるよ。
辛くて死んじゃいたくなった時は、またこうして凛に話して?
話聞くことぐらいしかできないけど……
でも1人で抱えちゃうよりはマシでしょ?」
あんじゅ「星空さん……」
凛「凛でいいよっ、凛もあんじゅちゃんって呼ぶにゃ!……いいかな?」
あんじゅ「う、うん……凛、ちゃん…!ありがと…う、私、私こんなに嬉しいこと言われたの初めてだわ…」
凛「……今まで誰も言ってくれなかったの?」
あんじゅ「……」コク
凛「そっかぁ、じゃあ凛があんじゅちゃんの本当のお友達になるよっ!」
あんじゅ「本当の……お友達……」
凛「うんっ、友達ってね、すごいんだよ。何があっても味方でいてくれるけど、ダメなところはちゃんとダメって言ってくれる。
自分にとって必要不可欠な存在だよ。
……確かに誰かの1番になるのって、すごく憧れるよね。
凛も1番ってあんまりとったことないから、いつも真姫ちゃんとか見てると凄いなぁって思うよ。
でも、凛気付いたんだ。
別に1番じゃなくてもいいやーって」
あんじゅ「そ、それは…凛ちゃんが優れてるから…」
凛「ううん、そんなことない!凛なんて運動が好きなことと元気しか取り柄ないもん。
こーんなに髪も短いし、スカートとか似合わないし…アイドルなんて本当向いてないんだ。
でもね、そんな凛のこと可愛いって言ってくれる人がいたの。
1人だけじゃない、何人も。
その人たちの中では凛なんて1番可愛い存在じゃないのは知ってる。
でも、凛の中では可愛いって言ってくれたその人たちの言葉が1番なんだにゃ。
要するにね、怖がらないで自分の中でたくさん1番を作ったほうがいいってこと!
誰かの1番になることだけ考えるより、自分の中で相手をいろんな角度から1番にするんだよ。
この人は自分の中で数学1番得意だなーとか、料理1番上手いなーとか、そんな小さな1番をたっくさん作るの!
そうするとね、気付くんだよ。
気づかないうちに自分も誰かの1番のひとつになれてることに。
1番は1つじゃないんだよ、あんじゅちゃん!」
あんじゅ「……すごい、のね凛ちゃんは。私……そんなこと考えたこともなかった…
私……私も、誰かの1番のひとつになれてたのかな…」
凛「うん、きっとなれてるよ。だって、凛あんじゅちゃんの笑顔みると元気でるもん!」
あんじゅ「……!!」
ー『そうやって、笑っててよ。俺、誰の笑顔よりアンちゃんの笑顔が一番好き』ー
あんじゅ「……っ、ぅ……あ、ぁ……っ」
凛「よしよし……今までずっと辛かったんだね。
もう大丈夫だよ、凛がいるよ。
……この鍵はもう必要ないよね、真姫ちゃんに凛から返しておくね」
あんじゅ「つら、かった……っ!ずっと、ずっと1人で……っ誰も私のこと見てくれなくて!ずっと…っ、ひとり、ぼっちだった……っ
ごめんなさい……!本当にごめんなさい!!
私……っ」
凛「時間は、かかるかもしれないけどきっといつかみんな許してくれるよ……
それに、本当に悪いのは人の気持ちを踏みにじった統堂さんだから…」
あんじゅ「……っ、ぅ、うわあああああん!!!」
凛「大丈夫、もう……大丈夫だよ。ね、あんじゅちゃ」
バンッッ!!!!
真姫「凛……何してるの?
ダメじゃない。そんなゴミと一緒にいちゃ」
ここまで
>英玲奈「……私は、……ツバサのことが好き…だったんだ」
>すまない、ツバサ!
でも私のこの気持ちは嘘じゃないんだ、騙していたわけじゃーーー」
バシンッ
英玲奈「……っ」
ツバサ「気持ち悪い」
ノーマルの女の子が女友達に告白された時ってこういう反応するんだな
やっぱり普通の女の子からしたら女同士って気持ち悪いんだろうな
凛「ま、真姫ちゃん……?どうしたにゃ、怖い顔して…」
真姫「凛がそんなゴミなんかと一緒にいるからでしょ?離れなさい」
凛「ゴミ……って、まさかあんじゅちゃんのこと言ってるの……?」
真姫「当たり前じゃない、あぁ、貴女凛のことも騙してたの?それとも今度は凛をターゲットにしようとしてたの?」
あんじゅ「ち、ちがっ……!」
真姫「どうだか。分かんないわよ?人を傷つけることしか能のない貴女だから、何しててもおかしくな」
凛「そんなこと言うなっ!!!!!」
真姫「!り、凛、でも、」
凛「真姫ちゃんなんでそんなこと言うの!?いくらなんでも酷すぎるよっ!!人をゴミ扱いするなんて…、凛の知ってる優しい真姫ちゃんはそんなことしない!!」
真姫「だけど、この人が何をしたかわかってるの!?
私たち全員こいつに苦しめられたのよ!?凛は許せるっていうの!」
凛「許せないよ!許せないけど!!言っていいことと悪いことがあるでしょ!?
あんじゅちゃんだってやりたくて凛たちを傷つけたわけじゃないんだよ!!悪いのは全部統堂さんなんだよ!?」
真姫「……。……分かったわ」
ぎゅぅっ
凛「!!真姫ちゃ……!」
真姫「……凛、こいつに洗脳されたのね。可哀想に。
今、目を覚まさせてあげるから…」
凛「……っ!?ま、待ってよ真姫ちゃん!凛、洗脳なんてされてない!!目を覚まさなきゃいけないのは真姫ちゃんの方だよ!」
真姫「こいつに何を言われたの?酷いことよね、きっと……こんな信者みたいになって……早く、手を打たないと……」
ピッ、ピッ、ピッ
真姫「……もしもし。えぇ、そうよ、うん、居るわ。
今すぐ病室に戻してくれないかしら。えぇ…すこし錯乱しているみたいだから安定剤も投与して…暴れる可能性があれば……うん、そう。よろしくね」
凛「ま、真姫…ちゃん……?何を……」
バタン!!
看護師「星空さん!!病室を抜け出してこんなところにいたの!?」
凛「っ!!か、看護師さん……で、でも凛はいま真姫ちゃんとあんじゅちゃんと話が、」
看護師「いいから!戻るわよ!!いつもいつもじっとしてないんだから……!」
凛「まっ、待ってください!凛は!!」
看護師「いいから!!」
凛「っ……!こんなの酷いよ真姫ちゃん!!
どうしてこんなことするの!?」
真姫「凛のためよ。分かって」
凛「分かんないよ!!あんじゅちゃんをこれ以上傷付けないで!凛、そんなことしたら許さないからね!?友達だってやめるんだから!!……っ真姫ちゃん!!」
真姫「……おやすみ、凛」
バタン!!
真姫「……さ、凛に何を話したのか教えてもらえるかしら」
あんじゅ「わ……私は、別に…何も、」
真姫「嘘ね。どうせ、優しい凛につけこんで弱いとこ見せて罪を軽くしようって魂胆でしょ?そんなの無駄よ。私が許さない。」
あんじゅ「私はそんなつもりで凛ちゃんと話してたわけじゃないわ!!」
真姫「"凛ちゃん"……ね。いつの間にそんなに仲良くなったのかしら。
やっぱり凛のこと洗脳してたのね」
あんじゅ「違うわ!私はただ、凛ちゃんに生きる希望をもらっただけよ!!」
真姫「……はぁ?」
あんじゅ「……っ?」
真姫「貴女、まだこの先も生きていくつもりなの?」
あんじゅ「えっ……?」
真姫「だって貴女死のうとしてここに、この鍵を使ってきたんでしょ?死にたかったんでしょ?なのに生きるの?意味わかんない」
あんじゅ「で、でもっ……でも…私は!罪を償いたいのよ!生きて、何回謝ってでも!!」
真姫「そんなの……っ!命をもって償ってくれた方がみんな嬉しいわよ!!」
あんじゅ「……っ!」
真姫「貴女のせいで何人の人が傷ついたと思ってるの!
甘ったれたこと言ってんじゃないわよ!私達は貴女に死んで欲しいの!わかる!?今すぐこの世からいなくなって欲しいのよ!!!」
あんじゅ「自分がしたことは分かってるわ!でもそれでも、償うために生きていきたいの!我が儘なのは分かってるけど、それでも死んで何もかもから逃げるなんてことはしたくないわ!!」
真姫「…………」
あんじゅ「はぁっ、はぁっ……それじゃ、だめ、なのかしら…っ」
バサッ
真姫「はい、これ」
あんじゅ「え……?」
真姫「貴女の遺書。書いてきてあげたわ」
あんじゅ「い、しょ……?」
あんじゅ「ま、待ってよ、私は死ぬ気なんて」
真姫「死ね、って言ってるのよ。みんなのために。
だいたい、貴女が生きてて誰が嬉しいの?
みんな貴女のせいで人生がめちゃくちゃなのよ。
うちの学校の理事長も辞任、μ’sメンバーもボロボロ、A-RISEだって解散目前じゃない。全部貴女のせいでよ?
私だってそうよ、貴女のせいでピアノはもう弾くことはできない。歌うことも踊ることも、自由な時間でさえ許されない。
それなのに生きて謝りたい?
謝って済むなら誰もこんなことしてないわよ。
貴女は生きてていい人間じゃないの、わかる?」
あんじゅ「ご、ごめ……なさ……」
真姫「ほら、ここにサイン…自分の名前書いて。」
あんじゅ「……っ」
真姫「遺書自体はちゃんと活字で打ってあげたから、あとはここに貴女が名前を書いて「私は自分の意思で死にます」って表明するだけでいいの。
そしたら、私は目の前で自殺する優木あんじゅを止めたかったのに止められなかった無力で可哀想な西木野真姫を演じてあげるから、ね?」
あんじゅ「……っ、嫌よ!わたし、死にたくない…っ」
真姫「……あら、そう。じゃあ、私が飛び降りるわ」
あんじゅ「っ!?」
真姫「どうせごねるだろうと思って自分用のも"手書き"で書いてきたわ。読む?」
あんじゅ「……」
ガサ……
真姫「まぁ、書いてあるのは貴女からの嫌がらせ…この事件で精神を病んで、どうしようもなくなって死ぬ選択肢しか選べなかった、ってこと。」
あんじゅ「……」
真姫「これを読んだら、私のパパやママ……μ’sのメンバー…あぁ、マスコミとかにも行き渡っちゃうかもしれないわね、そしたらみんなどう思うかしら?
それこそ、言われるかもしれないわよね。
"お前が死ねばよかったのに"って。」
あんじゅ「ーーー!」
真姫「選ばせてあげるわよ、私を死なせてそれでも茨の道を生きていくのか。それとも今ここで死んで楽になるのか。
大丈夫よ、ここから落ちたら即死だから。」
あんじゅ「ーー」
真姫「はぁ……分かったわ、よっ……と…」
がしゃん、がしゃん
あんじゅ「ーーっ!ま、待って!!何してるの!?」
真姫「はぁ?今私フェンス登ってるんだけど! 見て分からないの?」
あんじゅ「本気、なの……本気で…」
真姫「当たり前でしょ!?何回言わせるのよ!!」
あんじゅ「や、やめて……お願い…貴女が死んだら、凛ちゃんが……」
真姫「ここで凛の心配?笑えるわね。」
あんじゅ「……友達、だから」
真姫「……そう」
あんじゅ「……私が、死ねば解決するのよね?
全部、もと通りになるのよね?」
真姫「えぇ、多分ね」
あんじゅ「……分かったわ」
あんじゅ「みんなが、それで幸せになるなら」
凛「えへへ、抜け出してきちゃった。…だって心配だもんね。お説教なら明日からたっぷりうけますよーっと!」
ガチャ
凛「……ん?」
ガチャガチャッ
凛「鍵、かかってるにゃ……もう、お話は終わったのかな?
それならいいんだけど…
あぁ、もう、あんじゅちゃんと連絡先交換してればよかったにゃ!!もう、凛ってば肝心な時いつもいつもーーー」
『大変だ!!!!屋上から誰か飛び降りた!!!』
凛「…………え?」
凛「おく……じょ、う……?」
凛「え、嘘でしょ……?いやいや、違うよ、まさかそんな、ね?あんじゅちゃん、だって……そんな……
っ、真姫、ちゃん……っ!?」
ダッ
看護師「星空さん!?また病室抜け出して……!戻り」
凛「本当にごめんなさい看護師さん!!でも!凛の友達が飛び降りたかもしれないの!!だから今日だけ許して!!!」
看護師「星空さん!!!」
……屋上真下……
凛「……………………」
凛「……うそ、だよね?」
凛「ねぇ、……嘘でしょ?あんじゅちゃん、ねぇ…ねぇ、だってさ、ほら、凛と話したじゃん。
凛、死なないでって、言ったよね
何かあったら凛に言ってって……言ったよ、ね
なんで?
凛のこと信じられなかった?
凛じゃいけなかった?
凛、ちょっとしか話さなかったけど、でも
あんじゅちゃんのこと、友達って……思っ……
ぅ、う……うわあああああん!!!!!!
なんでなんでなんで!!!!!!
なんで飛び降りたの!?なんで!?!?
ねぇねぇねぇ!!!!へんじしてよ!!!
あんじゅちゃん!!!なんでこんなことしたの!?
凛許すよ!!!あんじゅちゃんのこと許すから!!!
μ’sのみんなにも許してもらえるように凛も一生懸命お願いするからぁ!!!!
っう……っあああああああああああ!!!」
真姫「凛!やったわよ、私みんなの仇とっ」
凛「ーーーーっ!!」
バシンッ!!
真姫「……っ!?り、凛……痛…」
凛「……何をしたの」
真姫「え…?」
凛「あんじゅちゃんに何をしたのか聞いてるの!!
なんでこんなことになったの!?真姫ちゃんその場にいたんだよね!?なんでとめなかったの!!!ねぇ!なんで!!!凛の友達だってわかってたよね!?!?ねぇ!!!!」
真姫「……別に、ちょっと挑発しただけよ。…飛び降りたのは自分の意思。私にはどうしようもできなかった、それだけ」
凛「嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!!
真姫ちゃんが飛び降りるように仕向けたんでしょ!?
だって、あんじゅちゃん凛と話してから生きて頑張るって何回も何回も謝って、許してもらえるまで頑張るって、辛い時には凛に頼るって話してたんだよ!!!
なのに、なんでこうなるの!?
真姫ちゃんが何かしたとしか思えないよ!!
ねぇ何したの!!!あんじゅちゃんになにをしたの!」
真姫「……ふふ」
凛「……っ…?」
真姫「ふふ、は、ははっ、あははははは!!!!」
凛「な、なんで笑うの真姫ちゃん……」
真姫「だって!あははっ、何で凛怒ってるの?
私はみんなの仇をとったのよ?みんなの思いを代弁してあいつに話しただけ!
そしたら、自分が死んで幸せになるならーってあっさり死んじゃった!あはは!いい気味よね!」
凛「……けんな」
真姫「なに?凛も、私のこと褒めてくれても……」
凛「ふざけんな!!!!!!!」
真姫「っ?!」
凛「ふざけんな…ふざけんな、ふざけんな!!!
真姫ちゃんがそんな人だとは思わなかったよ、信じてた凛がバカみたいじゃない!!!
凛は、凛は……っ!!
っ……真姫ちゃんは、人殺し、と一緒だよ……
統堂さんとやってることだって変わらないじゃん
凛には真姫ちゃんの気持ちわからない。
…もう、凛に、関わらないで。真姫ちゃんなんか大嫌い」
真姫「えっ……?ちょ、ちょっと待ってよ凛…なんで?
だって私、あいつが死ねばみんなが喜ぶと思って…っ
……は、花陽だって!
そうよ!μ’sのメンバーだってみんな、A-RISEのこと痛めつけたりしたんだから!!」
凛「……か、よちん…?」
真姫「そ、そうよ!みんなで倉庫に連れ込んで、…統堂英玲奈には何もしないで見させてただけだったけど。
針で刺したり、髪を切ったりバリカンで剃ったり、殴ったり蹴ったり……男の人呼んで、その、襲わせたり…
で、でも全部あいつらがμ’sにやってきたことでしょ?
当然といえば当然で、やられて当たり前っていうか、」
凛「…………はは」
真姫「……凛?」
凛「よーく、分かったよ……ねぇ真姫ちゃん。凛の声…誰にも届いてなかったんだね。
凛、言ったよね、みんなに怒ったよね?
これ以上誰かが死んだり殺したりするところは見たくないって、言ったよね!?ねぇ!?
あはは……本当に、バカだよ凛…
届くわけないのにね。そうだよね。
だって、もう凛が知ってるみんなじゃないんだもん
……平気で人を傷つけることができるのがμ’sなら、凛はもうμ’sなんて捨てる。
みんなと友達ではいられないよ。
かよちんと親友でもいられない。
こんなことされたって、全然嬉しくない
誰も幸せになんてなれない!!!
だって凛は!あんじゅちゃんが!!こうして死んじゃって、悲しすぎてどうにかなりそうなぐらい痛くて辛くて苦しい!!!
……幸せになんて、なれっこないよ…これからもずっと、本当の笑顔でなんて笑えないよ凛は…
ごめんね。
もう、病室戻るよ。
……ばいばい、真姫ちゃん」
真姫「凛……っ!!凛!!!
私、間違ってたの?間違ってたっていうの?これが正解じゃないの!?なんで……なんでなんで…なんでよ!!!!」
……病室……
凛「……こんなことになるなら、あの時凛も死んでたら、よかったな…
もう、遅いよね。
ごめん、ね…あんじゅちゃん……ごめんね……本当にごめんね……
力に、なれなくて…何も、できなくて……
凛、本当に無力だよね…こんな……っぅ…ぐす……ぅ、うわあああああんっ!!!」
コンコン
凛「っ、ぅ……ひっ……ぐす……だ、れ…?」
穂乃果「ごめんね、凛ちゃん。いきなりきて…」
凛「っ…ほ、のかちゃ……!」
穂乃果「……分かってる。何があったのか、分かってるから」
凛「っぅ、凛、凛なにもできなかったよぉ!!!
ごめんなさい!ごめんなさい!!!本当にごめんなさい!
凛!凛…っ!!ぅわああああんっ!!!」
穂乃果「……よしよし」
凛「もうみんなのこと信じられないよ!みんな、みんなおかしくなっちゃったよぉ!!!平気で人を傷つけて、殺して……っ、みんな、普通じゃないよ……っ」
穂乃果「うん……うん……」
凛「穂乃果ちゃんは、そんなことしないよね!?
確かに穂乃果ちゃんは犯人を刺しちゃったけど、やられたことをやり返すような……無実の人にそんなことするような人じゃないよね!?」
穂乃果「……分からない、穂乃果は。でも、……みんなのことはもっと、分からないの。
みんなは……人を傷つけることで自分を保ってる。自分より不幸な人を見て、自分はまだ大丈夫だって、思ってる。……もう、みんなは元には戻らない。
だから、決めたの。
μ’sを解散して、誰も知ってる人がいない所でひとりで生きて行くって。」
凛「……なんで、だろう。μ’s……解散するの、すごく悲しいはずなのに…安心してる…ごめんね、穂乃果ちゃん…」
穂乃果「ううん……穂乃果もごめん。…誰もいないところに行くなんて、逃げだってわかってるけど。
でも、もう壊れたみんなを見ているのは限界」
凛「うん……そう、だよね、それは…凛も…」
穂乃果「明日、みんなを穂乃果の病室に集めて全部話すよ…凛ちゃんも、来てくれる?」
凛「うん、分かった。凛も、ちゃんと行くよ」
穂乃果「ありがとう、じゃあ、また…明日ね。凛ちゃん」
凛「うん、また……明日」
パタン……
凛「また……明日、か……」
凛「無条件に明日が来るなんて……当たり前じゃ、ないんだね」
凛「ごめんね……本当に……」
凛「……凛も、そっちにいきたいよ」
……穂乃果・病室……
穂乃果母「……どういうこと?」
穂乃果「……退院して、全部片付いたら穂乃果は家を出て行きます、って言ったの」
穂乃果母「いや、ちょっと待ちなさいよ……穂乃果何考えてるの?」
雪穂「そ、そうだよお姉ちゃん!家にいた方が絶対安全だし、それに、」
穂乃果「雪穂は黙ってて」
雪穂「……っ」
穂乃果「穂乃果は、もう…ここにいたくない。穂むらにも…ごめんね、お母さん。ここは、どこにいても思い出があるの。だから、死にたくなるぐらい苦しくなるの。
それに……」
穂乃果母「……それに?」
穂乃果「……穂乃果は、雪穂と同じ家に居たくない」
雪穂「ーーー!?」
穂乃果母「ちょっ……穂乃果!?あなたいきなりそんな!何を言うの!雪穂があなたに何をしたのよ!」
雪穂「そ、そうだよお姉ちゃん、いくらなんでもそれは」
穂乃果「雪穂。穂乃果は知ってるよ。雪穂がA-RISEにしたこと。……お母さんの前で話した方がいいかな?ね、雪穂。」
雪穂「……っ!」
穂乃果母「ねぇ、どういうこと?……いきなり呼び出したかと思えば穂乃果は話せるようになってるし、雪穂は…何かあったの雪穂?あなたも何か被害を……」
穂乃果「雪穂は加害者だよ、お母さん」
雪穂「っ!お姉ちゃんっ……!?」
穂乃果母「え……?加害者……って、どういう、こと…?雪穂、あなたまさか……人を」
雪穂「こ、殺してないよ!!ただ、ちょっと仕返しっていうか、その、なんていうか……と、とにかく周りには迷惑かけてないし、本人たちも納得してたし、その……」
穂乃果母「……何を、したの」
雪穂「え、っと、それは、」
穂乃果母「何をしたのか聞いてるのよ……!まさか、あなた人としてあるまじき行為をしたんじゃないでしょうね!?えぇ!?雪穂!!ちゃんと答えなさい!!」
雪穂「で、でも!お姉ちゃんだって犯人を刺したじゃない!!私がやってることだって一緒だよ!」
穂乃果「……針で全身を刺したり、バリカンで女の子の髪を剃ったり殴ったり蹴ったりすることのどこが?
最終的には、雪穂が手配した男の人を使ってレイプさせたんだってね?
……ねぇ、これのどこが穂乃果と一緒なの雪穂。」
穂乃果母「……っ……!?」
雪穂「な、なんで知ってるのお姉ちゃん…っ!ま、まさか」
穂乃果「うん、……今日飛び降りたA-RISEのメンバーの1人の優木あんじゅちゃんが教えてくれたよ。
ごめんね雪穂、穂乃果たち……友達、だったの」
雪穂「で、でも!あんじゅさんのせいでμ’sはバラバラになっちゃったんだよ!当然の報いでしょ!?やったのだって私だけじゃないし、それに、」
穂乃果「本当に?」
雪穂「えっ…」
穂乃果「本当にあんじゅちゃんのせいなの?このこと全部、あんじゅちゃんがやるべくしてやったことだって言えるの?」
雪穂「あ、当たり前じゃん……じゃなきゃ、誰もあんじゅさんにこんなことしない……」
穂乃果「…はは…頭おかしいんじゃないの、雪穂」
雪穂「なっ……!?」
穂乃果「あんじゅちゃんのせい?…よく言うよ、あんじゅちゃんから本当のことも聞いてないくせに。
ねぇ、いつから悪いのはA-RISEになったの?
そりゃあ犯人は英玲奈さんのお兄さんだし、ツバサさんは恋人だったし、あんじゅちゃんだって犯人の事好きだった、それは事実だよ?
でも、だからってその3人が悪いの?
みんな犯人から騙されていいように扱われてたって知ってるよね?
なのに、犯人がもう死んでるからって
自分たちじゃどうにもできない怒りを見当違いの人にぶつけるのは間違ってるんじゃないの?
雪穂がやってることは、犯人と変わらないよ。
…それは凛ちゃんと穂乃果以外のμ’sのみんなも、そう。
自分の欲望のためだけに人を痛めつけてるただの異常者だよ。
……もう、雪穂をこの先妹として純粋に接することができる自信が穂乃果にはないの。
だから、お父さん、お母さん……雪穂。
我が儘な娘だってわかってる、大変なこともわかってる。
でも、ここにいたら穂乃果はダメになる。
だからどうか、どうか。
自分ひとりで見知らぬ土地で暮らしていくことを許してください。
お願いしますっ……!!」
穂乃果母「!!ちょ……っと、やめてよ、穂乃果、土下座、なんて……顔、あげてよ…!」
穂乃果「お願いします!お願いしますっ……!」
ここまで
雪穂「…いいよ、お姉ちゃんがそんなことしなくても。私が…家を出て行く。
そしたら、お姉ちゃんずっとここにいれるでしょ?
お姉ちゃんより、私の方が…ここにはいない方がいい」
穂乃果「それは、ダメだよ雪穂。
雪穂はまだ、中学生なんだもん。今年受験もあるし、何より亜里沙ちゃんや…他のμ’sのメンバーを支えてほしい。
ちゃんとお父さんとお母さんの側にいて、親孝行してほしい。
……こんなこと、こんな偉そうなこと、穂乃果が言えるわけじゃないけど、それでも雪穂にはここで逃げずに成長していってほしいの。」
雪穂「……っ、お姉ちゃんが、いなくなる必要ないじゃん!!だいたい、一人って…働きでもしなきゃ生活出来ないじゃん…高校中退で雇ってくれるところなんて今ないよ!?」
穂乃果母「ーーーーお金なら、出すわ」
穂乃果「……!」
穂乃果母「最初3ヶ月だけ、穂乃果には生活費の援助をするわ。…でもそこからは自分で働くなりバイトするなりして自力で生きていきなさい。
そして、成長した穂乃果をまたここに見せに来てちょうだい…っ
お母さんも、頑張るから!だから、絶対こんなことでくじけちゃダメよ!!
穂乃果も雪穂も、私たちの自慢の娘なの。
いくつになっても、何をしても私たちの最愛の娘には変わらないのよ。
だから、……行ってらっしゃい、穂乃果」
穂乃果「ぅ……ごめん、ね、ごめんねお母さん、お父さん、親不孝な娘でごめんねっ……!絶対、絶対いつかお母さんの前で胸張れるように、穂乃果頑張るから!!
だから、それまでちょっとの間…穂乃果に時間ください」
穂乃果母「娘の応援をしない母親がどこにいるのよ。
…いつでも頼っていいのよ?いつでも迷惑かけてきていいの。…待ってるから、ね?」
雪穂「わ、私も、受験勉強頑張るよ。またお姉ちゃんと会った時自慢できるように。
……謝ったって、済むことじゃないの分かってる。
お姉ちゃんを傷つけた犯人がどうしても許せなくて、でもその犯人はもう居なくて…ただ関係のあるA-RISEのみなさんを傷つけた…。
でも、なんでだろうね、全然心が晴れないんだよ。
…私、間違ったことしてたよね、本当にごめんなさい」
穂乃果「……分かるよ、雪穂の気持ちも。…だって、穂乃果だってこうして過ちを犯した。
友達を傷つけられて、どうしようもなく頭に血が上って…でも、穂乃果は後悔してないの。
ただ、みんなが壊れる前に何かしてあげたかった。
それだけが心残りだけど…」
雪穂「そんなこと、ない」
穂乃果「……」
雪穂「お姉ちゃんは…みんなの為に、頑張ったじゃん…
自分を犠牲にして、本当に1番悪い人をなんとかしようとしたじゃん…復讐にだって、全然参加しなかったし…」
穂乃果「…穂乃果は、弱いから。怖かったんだよね、みんなの中に入ることが。
…だから、話せるようになってからも話せないフリをしてた。そうしたら、穂乃果は何も言わなくていいから。
…何を言っても、誰にも通じないんだろうなって…思っちゃったから。」
雪穂「それでも、だよ。お姉ちゃんは最後まで…正しいことをしようとしてた」
穂乃果「……ありがとう、雪穂」
穂乃果母「さ、もう私たちは行きましょうか。……これからμ’sのみんなと話があるんでしょ?」
穂乃果「うん……ありがとう、お母さん」
穂乃果父「……」
穂乃果「……泣かないで、お父さん。こんな、娘でごめんね、ずっと…お父さんの背中、かっこいいなって思ってた。
正義感が溢れてて、いつも正しく見えて。
穂乃果はお父さんのこと、大好きだよ。
だから、穂乃果がもっともっと強くなって戻ってきたら、またみんなでご飯食べようね。
お父さんのほむまん、また食べさせてね」
穂乃果父「……」コクン
穂乃果母「……また、来るから。ね。」
雪穂「何かあったら抱え込まないで連絡してよね」
穂乃果「うんっ、ありがとう……またね」
……凛・病室……
花陽「……ね、どいうこと?凛ちゃん、」
凛「だから、もうかよちんとは友達やめるって言ったの」
花陽「ど、どうして……?どうして、そんないきなり」
凛「いきなりじゃないよ、凛は…ずっと考えてた」
花陽「なんで……?花陽、凛ちゃんに何かした?」
凛「……分かんないの?」
花陽「えっ…」
凛「本当に、分かんないの?」
花陽「な、何言ってるの凛ちゃん……分かんないに決まってるよ…」
凛「……そうなんだ。じゃあ、やっぱり無理だよ。
凛はもうかよちんのこと友達とは思えない」
花陽「だからなんで!?花陽には心当たりないよ!!
凛ちゃんどうしちゃったの!?」
凛「かよちんは…どうして、あんじゅちゃんが飛び降りたか知ってる?」
花陽「……!」
凛「……凛、知ってるよ。かよちんがA-RISEの人たちに何をしたのか」
花陽「で、でもあれは花陽だけじゃなくて、」
凛「みんながやってたら自分も人を傷つけていいの?
かよちんは……凛の、知ってる優しいかよちんはそんなことしない。
今のかよちんは、かよちんじゃないよ。
凛が、一番の友達だと思ってたかよちんじゃ、ない」
花陽「…………」
凛「分ったなら、もう穂乃果ちゃんのとこ行って。
凛も後から行くから」
花陽「…………凛ちゃんは?」
凛「跡から行くってば。かよちんと一緒には行きたくないの」
花陽「……そう」
ドサッ……!!
凛「……っ!?」
凛「か、よ…」
花陽「…凛ちゃんは、何にも知らないんだよ。
みんながどういう気持ちであんなことしてたのか、分かんないでしょ…」
凛「…分かんないよ。平気で人を傷つける人の気持ちなんて分かんないよ。…分かりたくもない」
花陽「……何も聞いてないからだよ、聞いてたら凛ちゃんだって同じことしてたよ」
凛「しない!!凛は絶対そんなことしない!!かよちん避けってよ!!」
花陽「…………たの」
凛「?」
花陽「じゃあ、どうすればよかったの!?!?
わ、私だって!花陽だってこんなの間違ってるって思ってた!
でも!傷つけられたのは事実だよ!!
凛ちゃんだって、あんなことがなかったら自殺未遂なんてしなかったでしょ!?」
凛「…………かよちん」
花陽「……っ」
凛「かよちんは…………ずるいよ」
花陽「ずる、い…?」
凛「確かに凛はかよちんの言葉を鵜呑みにして傷付いて手首を切った。…でも、それは凛が弱かったから。
凛が、かよちんのことを最後まで信じてあげられなかったからこうなったの。…誰のせいでもないよ。
かよちんの言う通りなのかもしれない。
犯人がいなかったら、それを手伝うA-RISEがいなかったらこうはなってなかったかもしれない。
責めたい気持ち、わかるよ。
たくさん、辛い思いしたから誰かのせいにしたくなるのもわかる。
でも、それじゃあ前に進めないよ。
かよちんは、"何もしてない"って、"誰のことも傷つけてない"って胸を張って言える?
…誰かのせいにしていい人なんてμ’sにはいないよ。
だって、みんな誰かに傷つけられた分、誰かを傷つけてるんだもん。…なのに自分は被害者だから何をしてもいい、なんて……ずるいよ」
花陽「そ、うかもしれないけど!!でも!花陽は凛ちゃんのこと、守りたくて……凛ちゃんを傷つけたの、許せなくて」
凛「かよちん。……凛を傷つけたのは、
ーーかよちんだよ」
花陽「……っ!!で、でも、」
凛「…言い訳ばっかり、だね。
頼んでないよ、凛は。
かよちんに凛の分も仕返ししてほしいなんて、凛は一言も言ってない。
同じ目に合わせてやりたいって、思ったことはあるよ。
でも、それじゃ何も変わらない。凛たちも加害者になるだけだもん。」
花陽「…………」
凛「だから、もうかよちんとは一緒にいれないよ。
…今は友達とさえ思えないから。
かよちんだけじゃない、μ’sのみんなのことも。」
花陽「……ゆ、るしてくれないの、」
凛「……」
花陽「っ、許してよ……花陽だってやりたくてやったわけじゃないよぉ…ねぇ凛ちゃんっ…!なんで友達やめるなんていうの!?一番の友達じゃなかったの!?信じてくれないの!?」
凛「もういい加減にしてよ!!!」
花陽「……っ!」
凛「やりたくてやったわけじゃないなら!間違ってるって思ってたなら!!なんでみんなのこと止めなかったの!?本当にずるいよねかよちんはさぁ!!」
花陽「……」
凛「凛は、この先1人でもいいよ。…みんなと馴れ合うぐらいなら、1人だっていい」
花陽「…………」
凛「ねぇ、かよちん、いい加減避けってって……、っぐ!?!?」
凛「……っか、は……!!ぁ、!?か、よ」
花陽「…なんで分かってくれないのかなあ」
凛「か、……く、るし…っ!ゃ、め」
花陽「ねぇ、凛ちゃん苦しい?苦しいよね、首絞められてるんだもんね」
凛「……!!っ!っ!!?」
花陽「他の人を傷つけてまで花陽は凛ちゃんのこと助けたかったんだよ。……なんで、分かってくれないの…花陽は、ずっと凛ちゃんが1番で、ずっと凛ちゃんに笑ってて欲しいって……
間違ってた、かなぁ?
花陽がしたのはそんなに悪いことなの?
ねぇ、凛ちゃんはさ、
花陽が犯人に殺されてても、何もしてくれないの?」
凛「……!……!」
花陽「安心して、凛ちゃん。すぐに花陽もそっちにいくから。
凛ちゃんが側にいないのは耐えられないよ。
ただでさえ、μ’sのみんなおかしくなっちゃったのに。
……許してくれるよね、だって花陽たちは一番の友達なんだもん。ね、凛ちゃんー……」
凛「………………」
「ーー何してるんですか!?!?」
花陽「……っ!!」
凛「!!!!!ひゅ、は、がはっ!!ごほっ、かは……っ!!っ!ごほごほっ……ぅ、う、はっ…!」
雪穂「お姉ちゃんから凛さんと花陽さんが遅いから迎えに行ってきてって連絡もらったから来てみたら……なんですか、これ
花陽さん、今凛さんの首締めてましたよね…?
殺人未遂なんじゃないですか?」
花陽「……だから、何?」
雪穂「……本当に犯罪者になる気ですか?」
花陽「もうこれぐらいしか、凛ちゃんと一緒に居られる方法が思いつかなかったの。…余計な口出ししないでもらえるかなぁ」
雪穂「そんなことして、一番悲しむのは凛さんだって、どうして気づかないんですか」
花陽「……」
凛「げほっ……ごほ……ゆ、きほちゃ……」
雪穂「!!凛さん!大丈夫ですか!?今、ナースコールを、」
凛「だ、いじょ……ぶ、それ、より……」
雪穂「そんな、本当に大丈夫なんですか!?」
凛「か、よち…ん……」
花陽「……!り、んちゃ、」
凛「……ごめ、んね」
花陽「…っ!?な、なんで凛ちゃんが謝るの!?
花陽は凛ちゃんの首締めたんだよ!?殺そうとしたんだよ!?!?」
凛「わ、かってる……でも、ごめ……ごほっ
かよちんが、凛の…ために、頑張ってくれてたの、わかってたよ……
でも、……でも凛、は
優しいかよちんが、すき、だったの…!
友達、やめたくなんて、ない
けど、このままじゃ、かよちんは凛に依存していくだけだから
だから、凛より、大切なもの……見つけて欲しいの
また、優しいかよちんに戻って、欲しい
お願い……かよちん…」
花陽「……っっ、な、んで…優しいのは凛ちゃんの方だよぉっ…!
花陽は、こんなに汚くて、こんなにずるくて!!
……っぅ、うわあああああああん!!!ごめんね!ごめんね凛ちゃん!!!!ごめんなさい!!!!
花陽、強くなるから!!絶対絶対もう凛ちゃんに嫌な思いさせないようにするからぁ!!」
凛「うん……待ってる、ね」
雪穂「……凛さんは、お姉ちゃんから聞いてるんですよね。
なら、もう休んでてください。後でまたみんなで来ますから」
凛「うん、ありがとう……」
……穂乃果・病室……
雪穂「遅くなってごめんねお姉ちゃん。凛さんはちょっと気分が優れないから休んでおくって」
花陽「……っ」
穂乃果「そっか……分かった。…みんな、わざわざ来てくれてありがとう。
それと……ツバサさんと英玲奈さんも、ありがとうございます。」
ツバサ「……なんで呼び出されたのか分からないけど」
英玲奈「何か、私達に言いたいことでもあるのか?」
穂乃果「……見届けて欲しいんです。…μ’sの末路を。」
ツバサ「……!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん……?」
にこ「μ’sの、末路ってなによ…」
穂乃果「……みんな、今日まで本当にありがとう。
この9人でいられたこと、みんなに会えたこと…本当に本当に奇跡だと思ってる。
みんなといられたから、ここまでやってこれたんだと思うし、これからもずっとみんなのことは忘れられないと思う」
真姫「……何が言いたいのよ?」
穂乃果「あはは…ごめんね。じゃあ、言うよ……
……っ、ご、ごめんね、言うよ。
ーーμ’sは今日をもって、"おしまい"にします。」
にこ「なっ……!?」
真姫「……そうだろう、とは、思ったわ」
ことり「…………うん、仕方、ないね」
穂乃果「それと、もうひとつ。……穂乃果はこの事件が落ち着いたら家を出て1人で遠いところで再出発します。」
海未「……!?は……!?」
絵里「1人で何処に行く気なのよ!?」
穂乃果「ま、まだそれは決めてないんだ……えへへ。
でも、誰も知ってる人がいないところで穂乃果はやりなおしたいんだ…」
海未「ま、待ってくださいよ……ことりだけじゃなく、穂乃果までここからいなくなるのですか!?そ、そんなの私は…!」
にこ「…………にこも。」
真姫「えっ…?」
にこ「にこも、…引っ越しすることになったわ」
ことり「……今回のことで?」
にこ「えぇ……今回のこと知った遠い田舎の親戚の人たちが落ち着くまでこっちに来ないかって。…ママもその方が楽になるっていうから、そっちについていこうと思って。
もう、妹たちに危ない目にはあわせたくないしね」
真姫「……そう。…いいんじゃない?」
希「ウチ……も、ウチもな、一人暮らしやめてお母さんとお父さんのところに戻ろうと、思ってる…」
絵里「……!!」
希「本当は、ずっとみんなと一緒にいたい。でも、…やっぱり怖いんよ、1人は。ずっとえりちに頼りっぱなしも、もう嫌なんや。
だから、…ここから、離れようと思ってる」
絵里「希まで……そんな……」
花陽「ことりちゃんは……また海外に?」
ことり「うん。今度は…ことりだけじゃなくて、お母さんも一緒に。…暫く、あっちにいると思うな」
海未「だとしたら、ここに残るのは……私と絵里と花陽と凛、真姫だけ…」
花陽「寂しく、なるね…」
絵里「……っ…」
穂乃果「すっきり、しましたか?
……ツバサさん、英玲奈さん」
ツバサ「……!」
穂乃果「これが…A-RISEが邪魔だと言っていたμ’sの最後です。見れて、すっきりしましたか?」
英玲奈「……っ」
穂乃果「私たちは……A-RISEと、正々堂々勝負、したかったな…なんて。もう、遅いけど」
ツバサ「…………」
穂乃果「……それと、これ。あんじゅさんからの、"本当のことが書かれた手紙"です。…英玲奈さんと2人で読んでください」
英玲奈「……あんじゅ、の?」
穂乃果「どうか、その手紙の中の言葉だけでも信じてあげてください。
最後まであんじゅさんは2人のこと、すっごく大切にしていましたから…」
ツバサ「……っ!!」
ガラッ、バタン!!
英玲奈「ツバサ!!!す、すまない、今日はその…呼んでくれてありがとう……こんなことを言うべきじゃないかもしれないが、私も…μ’sとは正々堂々と勝負したかった。
……μ’sの幸福を、祈っている。頑張ってくれ…
じゃあ、また」
バタン…
海未「……本当は、希だけじゃなくあの時みんな分かっていたはずです。
口に出さなかっただけで、『こんなことは間違っている』と…。少なくとも、私は…あんなことをしたというのに全く心が晴れませんでした…」
にこ「私だって、やった後罪悪感が凄かったわ。
……これじゃあ、こころたちに犯人がしたことと同じじゃない、ってね」
穂乃果「みんな…正しいことした、なんて思ってないんだよね。冷静に、なれなかっただけなんだよね…」
真姫「……私は、間違ったことしたなんて思ってなんかないわ」
穂乃果「えっ……」
真姫「何よ。何なのよみんなして!
すぐ、穂乃果の言葉に感化されて……今までだってそうよ、みんな人の言葉に流されて、それで楽なほうを選んでるだけじゃない!
分かればいいってものじゃないでしょ!?
だいたい、あの時倉庫で希が必死に止めてたの誰も聞かなかったくせに!」
希「……!!」
真姫「ふらふらして、流されて!たまには自分の意思で行動してみなさいよ!!
私は、悪いことしたとは思ってるわよ、でもあぁするしか気持ちを鎮める方法が見つからなかったからしょうがないと思ってる……
正しくないことをしてたなんて、最初から分かってたことでしょ!?
なのに、なんで穂乃果の言葉を聞いた途端手のひら返しするのよ……!」
絵里「そうやって、自分の罪を正当化して何になるっていうのよ!」
真姫「……っ!」
絵里「……もう、遅いのよ。自分のしたことを悔いて悔いて悔いて、歩き出すことしか私たちには出来ないの」
真姫「絵里は実際に死に関わってないからそんなこと言えるのよ!!!」
絵里「……どういうことよ」
真姫「わ、私は、私は……っ、あの日、屋上であの人が自分から死ぬように誘導した……っ!私が!私が優木あんじゅを殺したようなものなのよ!!!?
反省する、なんてそんなものじゃないわ!!
そんなことで許してもらえることじゃない!!」
にこ「……真姫、さっきから言ってることめちゃくちゃよ。何が言いたいのよ」
希「真姫ちゃんは……誰かに、責めてほしいんやろ?」
真姫「!!」
希「誰かに、真姫ちゃんがしたことは間違ってるって叱って欲しかったんやろ。
自分で間違ったことをしたって思ってても、それを許すことなんて到底出来ない。
なら一生許さないで欲しいのに、周りは『仕方なかった』で済ます。
それが、真姫ちゃんは嫌なんやろ?
でもな、真姫ちゃん。
それはウチらも、同じなんよ。
実はな、恨まれ続けたほうが楽なん。
何もかもに諦めがつくから。
だからこそ、ウチらは自分の罪を認めてまた歩き出さなきゃならない。
それがウチらの罪滅ぼし。」
海未「確かに、真姫のしたことは自殺教唆という立派な罪になるでしょうが…」
真姫「馬鹿なことをしたって、分かってる…
でも、もう謝れない。もう、いないのよ…」
凛「なら、その分真姫ちゃんが罪を背負って生きていくしかないよ」
ここまで
おつ
真姫ちゃんって犯人に酷い事されたから仕返しして当たり前的な事を言ってるけど
犯人に直接された事って親に成績下がったのバラされただけなんだよな
中盤凛「かよちんが嘘を言ってるのは知ってたけど悲しくて手首切った」
後半凛「かよちんの言葉を全部鵜呑みにして傷ついて手首切った」
感情がコロコロ変わるのは許容出来ても設定が変わっちゃうのはちょっとな
真姫「凛…!」
凛「凛は、真姫ちゃんのこと許さないよ。きっとこれからも許せない。あんじゅちゃんを殺したのは真姫ちゃん…ううん、みんなもだと思ってるから。
だから、真姫ちゃんは戦ってよ。
これからも戦ってよ。
逃げるなんて許さない、凛が許さないから。」
真姫「凛……」
凛「みんな、もう1度さ…話し合おうよ。
誰かの言葉に引っ張られて、その度感情がコロコロ変わって…そんなの、ダメだよ。
穂乃果ちゃんの言う通りに、じゃなくて
穂乃果ちゃんの言うことが絶対じゃなくて
だってみんな、いいの?
そんなにあっさりμ’sなくなっていいの?
凛は……μ’s無くなるの、嫌だよ。
でも、かよちんにも言ったけどみんなのこと許せない。
凛の友達を傷つけたみんなと一緒にはいられない。
だから凛は、辞める。
辞めるのにこんなこと、言うのおかしいけど、さ
凛はみんなの気持ち聞きたいよ。
なんでこんなことになったのか、これからどうしたいのか、聞きたい。
許せないけど、でも、このままじゃ嫌なの。
恨んでばっかりは嫌なの!」
ことり「………ことりは。ことりは、一番最初に逃げたから、みんなと一緒に嫌がらせしたりするなんて間違ってるってわかってた。
自分の手は汚したくないからって、雪穂ちゃんに酷いことも言ったよね…ごめんね、雪穂ちゃん。
…結果的に亜里沙ちゃんに罪を背負わせてしまったこと、本当に申し訳ないって、思ってる。
でも、お母さんのこと…やっぱり許せなくて。
ことりね、お母さんが理事長として働いてる姿を見てるのすっごく好きだったの。
堂々としてて、カッコよくて…。
でも、そんなお母さんはもう、いない。
もう前みたいに笑ってくれないの。
目を離せばいつ自殺するかもわからない。
お母さんは自分にとっての、生きてく意味を失ってしまった。
だから、だから……ことりは、お母さんの側にいたい。
何があっても守れるように、逃げないで強くなりたい。
穂乃果ちゃんに誘われて、海未ちゃんとμ’sを結成して、みんなと出会って…大好きなことに関わってきた。
ことりが作った衣装を笑顔で着てくれるみんなのこと、大好きだったよ。
本当は、μ’s……なくなってほしくないよ。
でも、今ことりがやりたいことは、μ’sの活動じゃない。
だから、ことりは海外に行く。
留学して、お母さんを安心させたい。
あっちにいって、もっともっと服のこと勉強する。
そしたら、また衣装を作るから、その時はみんなに着て欲しい…!
また、μ’sで、9人でライブをしたい…!
わがままで、自分勝手で、ごめんなさい。
これが…ことりの本当の気持ちです」
海未「私は……自分の力が到底及ばなかったことが悔しくてたまりませんでした。
日々、稽古で鍛えても男性相手では全く歯が立たなかった…!
それだけの事実なのに、今までの人生を全て否定されたような絶望を味わいました。
いつも、思っていたんです。
どんな時でも穂乃果とことりは私が守らなければいけないと。
なのに、私は何もできなかった…
それどころか、ただその怒りを関係がある人間にぶつけ、痛めつけて自分の方が力があるという優越感に浸っていました。
……人間として、失格なのはわかっています。
この事件が起こった時、まず何よりスクールアイドルを始めようと言った穂乃果を止めなかったことを後悔しました。
自惚れと分かっていますが、私が入らなかったら作詞もいないわけですし…こんな形にはなってなかったと思いまして。
μ’sなんて始めていなかったら、こんなことにはならなかったのにと、いつの間にか始まりを恨んでいました。
でも、考えたんです。
μ’sをやっていて……そりゃあ確かに大変だったことも沢山ありましたが、みんなと出会えて活動して後悔したことなんて一度たりともなかったと。
……今私は、園田家の後継者として尚一層の努力をしています。
学校のいけなくなった私を、家の人は最初は白い目で見ていましたが、事件のことを知り少し理解されたように思います。
μ’sは私の居場所でもありましたし、かけがえのない宝物です。
だからこそ、今は離れて本当の自分のあるべき姿を見つめ直したい。
そして、いつかまたみんなで笑いあいたい。
そのために、1度μ’sは解散するべきだと……私はそう思っています」
真姫「私は……正直、犯人にされたことは、どうでもいいのよ。
だって、成績が下がってたのは自分が勉強を怠っていたせいだもの。……いずれはバレていたことだし仕方ないと思ってる。
でも。
それ以上に許せなかったのは……私にとっての居場所を奪われたことよ。
情けないけれど、私には友達と呼べる人なんてほとんどいない。
高校も、あたりさわりなく適当に過ごしていくつもりだったわ。
けどあの日、ピアノを弾いているところを穂乃果に見つかって……μ’sの作曲をすることになって、メンバーにもなれて……こんなに素敵な人たちに巡り会えた。
自信を持って友達と呼べる人と出会えたの。
……それって、私にとっては奇跡だったのよ。
その人たちが傷つけられて、
唯一の居場所だったμ’sも無くなって……自分のせいだけど、作曲っていう存在意義さえ失った。
私、不安なの。
私から作曲をとったらμ’sにとってはお荷物になる存在なんじゃないかって。
それに……今回の事件のせいで、パパやママにみんなが非常識な人たちだと思われてしまったことがすごく悔しくて……
だから、A-RISEの人たちも私にとっては犯人と同じようなものだった。
……でも自殺を強要したのは、いくらなんでも間違ったことをしたって、取り返しのつかないことをしたって思ってる。
だから、その罪は償うわ。
今度は、誰かのひいたレールじゃなく、自分の意思で歩いていきたい。
将来の夢も……医者なのは、変わりないけど、でもなんとなく目指してた今までとは違う。
本当になりたい、って思うの。
……だから、こんな形だけど、解散してくれる穂乃果には感謝してる」
凛「凛は……もう、言いたいこと全部言っちゃった気がするにゃ…
えっと……
凛ばっかり、偉そうなことばっかり言っててごめんね。
本当は、本当はね。
こんなこと言ったら、怒られるかもだけど、凛も犯人に何かされたらよかったなあって思うよ。
そしたら、凛もみんなと一緒に悩めたし苦しめた。
かよちんの力にも少しはなれたかもしれない。
悔しいよ、すごく。
だって凛にはわからないことだらけなんだもん。
経験してないから、誰の言葉を聞いてもあんじゅちゃんを追い込んだ気持ちが分かんないもん。
だけど、あんじゅちゃんのことがあって……自分に何ができるのかなってずっと、考えてた。
その答えが今日、決まったの。
だから、だから、
いつかまたみんなに会いたい。
今はまだ気持ちの整理がついてなくて誰のことも信用できないけど……いつか大人になった時、またみんなとこうして会いたいよ。
そしてその時に、成長した凛のことも見てほしい。
……たくさん、ごめんね。
凛は、μ’sのみんなに会えてよかったと思ってる」
花陽「……花陽は……その、……っ、花陽は、弱虫な自分とさよならしたい!!ですっ……
凛ちゃんに言われて、気づいたの。
凛ちゃんのことを傷つけたのは、確かに犯人に騙されたせいもあるけど……凛ちゃんの言葉を信じられなかった自分のせいなんだって。
だって、凛ちゃん……何もなかった、って言ってたの。
花陽が信じてればこんなことにはならなかったかもしれない。
もっと、大きな声で抵抗してればあの時みんなのことも止められてたかもしれない。
今思うと後悔しか、ないよ。
頭の中いっぱいになって、暴走して…一番大事な人の命をも奪おうとした……
だから、もう、うじうじして、凛ちゃんと真姫ちゃんに付いていくだけの自分は嫌!
自分から行動して、前を向いて歩いていきたい。
……そして、また凛ちゃんの一番の友達になりたい。
そのためには、時間が必要だから……だから、μ’sは花陽も一旦お休みしたい…
花陽は…今の自分を変えたいから、μ’sの解散に賛成です。」
にこ「……にこは、もう学校辞めちゃってるからスクールアイドルでもないし……μ’sでも、ないのかもしれないけど。
正直こんなことで、μ’sが終わるなんて後悔しかないわ。
前回だってあと一歩だったのに、今回も…なんて。
でも、それでよかったのかもしれない。
にこたちにはまだ、努力しなきゃいけないことがたくさんあったんじゃないかって。
勉強とか、部活とか生徒会とか…そんなんじゃなくて、人間として、のね。
今思い返してみれば、冷静になれば犯人の言いなりになる必要なんかないところなんてたくさんあった。
焦って冷静さを欠いて、犯人の言うままに行動した結果がこれなのよ。
自分の弱さの結果が、これなの。
にこは……アイドルを諦めたくない。
一度掴みかけた夢を手放したくない。
だから、また新しい場所で1から始めるわ。
もちろん、みんなに会えたこと後悔なんかしてるわけないし、むしろ感謝してる。
いつか本当の意味でのトップアイドルになって、あんたたちのことギャフンと言わせてやるから覚悟しなさい!
……ありがとう、今まで。」
希「ウチは……何もできなかったのが、一番悔しい。
あの時、…襲われた時、えりちの言う通り、すぐ警察に話してれば被害だって食い止められてたと思う。
だから、本当にごめんなさい。
独りになるのが怖くて、世界中に自分しかいなくなるんじゃないかって怯えて、ずっとえりちに依存してた。
えりちの前で死のうとして困らせたりもした。
えりちの気持ち疑って頭ごなしに否定したりもした…
えりち、本当にごめんね。
ウチにとって、μ’sはこの9人だから。
この9人じゃなかったらμ’sじゃないから、みんながバラバラになるなら、解散って手もありやと思う。
でも、でもな。
『ばいばい』じゃないと思ってる。
また出会えるって、信じてる。
穂乃果ちゃんがどこか知らないところに行っちゃっても、にこっちが遠いところに行っちゃっても、ことりちゃんが海外に行っちゃっても。
凛ちゃんが、みんなのこと信じられなくなったとしても。
それでも、またウチらはこうやって集まって……いつか、またこうして出会って笑いあえるって信じてる。
だから、ウチも自分なりに頑張るよ。
お母さんとお父さんの側にいて、少しでもできることないか探してみる。
穂乃果ちゃん、
μ’sを作ってくれてありがとう。
ウチと、出会ってくれて…ありがとう」
絵里「私は、……私は、正直なんていったらいいかわからない。
……亜里沙が犯人を殺そうとした時、私はその場にいたの。なのに、犯人が死ぬってことに安心して亜里沙を止められなかった。
最初は、みんなで穂乃果の罪を軽くするためにって集まったはずなのに、いつの間にか……全然違う方を私達は見てた。
希や凛が止めてくれたのに、それさえ耳に入らずにただ感情任せに行動した…こんなの、犯人と一緒よね。
私なんて、何もされてないのにみんなと同じように復讐に加わって…本当は一番年上なんだからしっかりしてなきゃいけなかったのに。
本当に、ごめんなさい……。
私は、亜里沙が戻ってくるまでずっとここにいる。
…少しの間だけど学校のためにも生徒会長としてなんとかするつもりよ。
あんなに冷たく当たった私を、あの温かい手で導いてくれたあの日のこと、絶対忘れない。
……希。
あなたのために何もしてやれなかった自分が情けない。
力になれなかったこと、今でも後悔してる。
不甲斐なくて、ごめんなさい。
だけど、あなたの一番傍に少しの間でもいれたこと…幸せに、思ってる。
私も、みんなに会えてよかったわ。
それぞれの道を歩いて行ったとしても、きっとこの気持ちは変わらない。
……いつかまた、会いましょう。」
穂乃果「……な、んで…?おかしいよ、みんな…
なんで、みんな穂乃果のせいにしないの…?
なんでみんなμ’sなんてなきゃよかったっていわないの…?
穂乃果が、μ’sを作らなかったら
みんなを誘わなかったらこんなことにならなかったかもしれないんだよ?」
絵里「そうかもしれない。…でも、穂乃果がμ’sを作ってなかったら、出来なかったこと、学べなかったこと沢山あるのよ」
海未「こんなことになったとはいえ、みんな穂乃果に感謝してるんですよ。」
穂乃果「……本当、おかしいよ、みんな…」
にこ「こんな結果になっちゃったけど、本当は私たちみんな、穂乃果の罪を軽減させるために集まってたのよ。」
花陽「穂乃果ちゃんの意見に流されたんじゃない…私たちは私たちの意思で、解散を望みました」
真姫「穂乃果だから正解、なんてことないんだから。」
希「それにしても穂乃果ちゃんは本当ネガティブなったらとことんネガティブやなあ、ラブライブの時と変わってないやん?
自分ばっかりせめたらだめなんよ?わかってる?」
穂乃果「うぅ……ごめんね…」
ことり「……久しぶりにμ’sが揃った感じするね」
花陽「……でも、もう…」
凛「ばいばい、じゃないよ。またね、なんだよかよちん」
花陽「うん……そう、だけど…」
穂乃果「いつか……いつかさ、」
穂乃果「いつか……"μ’s"がみんなの思い出になって、
μ’sよりもっともっと大切なものができて、すれ違っても分からないくらいみんなが大人になったら。
そしたら、会いたいな、みんなに。
今は一緒にいるから、全然想像できないけど…
それでも、この事件のこと、自分たちがしてきたこと…全部、全部受け止めて、それでも自分の足で前に進んで。
μ’sじゃない何かがかけがえのない宝物になった時、その時に、"μ’s"としてみんなで集まろうっ
だから、少しの間だけ、離れ離れだけど……少し寂しくなるけど…また、こうしてみんなに会いたいから!」
凛「凛も賛成だにゃー!」
ことり「ことりも、それでいいと思うよっ」
海未「えぇ、その時が楽しみです」
穂乃果「じゃあ……最後に…もう一回だけ、あれ、やろうよ!にこちゃん!」
にこ「…うぇっ!?にこぉ!?……い、いつか、みんなを1番の笑顔にさせる人たちになるわよ!」
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
「「μ’s ミュージック、スタート!!」」
>>551から続きを書きます
・・・・・・7年後。
『先生〜今日の小テスト難しかったんだけどっ!』
『そうだよ先生のいじわる!』
「えぇー?勉強してたらさすがに、わかる問題だと思ってたんだけどなあ〜……そんなに難しかった?」
『難しかったよ?第一習ってない問題出てたし…』
「えぇ!嘘!?何問目!?」
『んーと…何問目だっけ……あ、そう!問3の5問目!
あれからなんか桁違いに問題難しくなってたよ?』
「えぇっ、ちょ、ちょっとまってね……問題見るから…!
えっと、問3の5問目……あぁっ!!これ3年生の問題だー!一緒に作ってたから問題ごちゃごちゃになってた……!
どうりで3年生の今回の小テスト満点者が多かったわけだ……」
『そんなことだろうと思ったよ、本当おっちょこちょいだよね、ほのっち!』
穂乃果「ほ、ほのっち……?」
生徒「みんなであだ名考えたんだよ!高坂穂乃果先生だからほのっち!まだまだ若いしいけてるあだ名でしょ?」
穂乃果「あ……あはは……」
生徒「じゃあ、部活行くからまたねほのっち!今度はテスト問題間違えないでよ〜!」
穂乃果「わ、わかった!間違えない!あ、2人とも!」
生徒「?」
穂乃果「部活、ファイトだよっ!」
生徒「うん、ファイトだよ!!」
バタバタバタ
穂乃果「……ふふ、元気だなぁ」
穂乃果「……高校二年生かあ。…もう…えっと、…7年前なんだぁ…7年前……うぅ…地味に痛い…年取りたくないよぉ……最近体のあちこちが痛いし…うぅ…」
生徒「……せんせー?」
穂乃果「わぁっ!!び、びっくりしたぁ、どうしたの?」
生徒「なんかぶつぶつ独り言いいながら廊下歩いてるんだもん、気になっちゃうよそりゃあ」
穂乃果「き、聞こえてた……!?」
生徒「聞こえてないよ!大丈夫、高坂先生まだ若いからっ!」
穂乃果「お、思いっきり聞こえてるじゃん〜…」
生徒「あははっ、ほんと高坂先生はからかうと面白いよねー、あっ、そうだ、先生これ知ってる?」
穂乃果「もう、先生をからかっちゃダメだよ!ん?なになに?」
生徒「あのね、いくよ?……にっこにっこにー!」
穂乃果「……っ!」
生徒「どう?どう?先生これ知ってる?」
穂乃果「……にこ、ちゃん」
生徒「……先生?」
穂乃果「あ!あぁ、ごめんね、どこかで見たことあるかも…テレビとかでやってる?」
生徒「ええっ!?先生、若いのにテレビみてないの!?」
穂乃果「あはは……最近忙しくてねー」
生徒「これね、今すごい人気のアイドルにこにーがやってる口癖なんだよ。歳は確か……高坂先生の1個上だったかな?でも、全然若いの!」
穂乃果「そうなんだ……すごいなぁ」
生徒「にこにーみてるとね、こっちまで笑顔になっちゃうんだ!にこにーは笑顔の魔法使いだねってみんなと話してるんだよ!」
穂乃果「ふふっ、そっかあ。私も今あなたのにっこにっこにー!見てすごく元気がわいてきたよ、ありがとう!」
生徒「いえいえっ、流行のことなら教えてあげるから、テストもうちょーっと優しくしてくれると嬉しいな、せんせっ!」
穂乃果「そ、それはできないかなぁ……?」
生徒「むぅー…あ、そういえば!明日からスクールカウンセラーの実習の先生が来るんだって!」
穂乃果「あー確かにそんなこと言ってたような…」
生徒「なんかね、なんかね!高坂先生にちょーっと似てた、かも?」
穂乃果「えぇ!?私に!?」
生徒「うん、雰囲気似てた!なんかすごく元気な人だったよ〜今まだ職員室にいるかもっ」
穂乃果「わかった、わざわざありがとうね?」
生徒「お安いご用ですよ〜、そ・れ・で、ちょーっとテストの問題を優しく」
穂乃果「しませんっ!」
生徒「高坂先生の鬼〜!」
バタバタ
穂乃果「あっ!!もう!鬼ってなに!?……海未ちゃんに比べたらまだまだ全然甘い方だよ!」
穂乃果「海未ちゃん……元気かなあ」
穂乃果「にこちゃんは、夢叶えたんだね……凄いなあ。
今日帰ったらテレビつけてみようっと」
ガラガラ
教師「今日も生徒に人気でしたね高坂先生。何度も生徒たちと話してるの見かけましたよー」
穂乃果「あはは……ちょっと甘く見られてる感じもしますけどねー。……そういえば、明日からスクールカウンセラーの実習の方が来るとか……」
教師「あっ、そうそう!活発そうな女性の方でねー。あっちので話ししてるよ。
……お、今ちょうど落ち着いたみたいだから、挨拶しておいで」
穂乃果「はいっ」
穂乃果「失礼します、2年1組の副担任をしております高坂穂乃果です。明日から宜しくお願いします!」
『えっ……穂乃果、ちゃん……?』
穂乃果「……!?」
生徒「むぅー…あ、そういえば!明日からスクールカウンセラーの実習の先生が来るんだって!」
穂乃果「あー確かにそんなこと言ってたような…」
生徒「なんかね、なんかね!高坂先生にちょーっと似てた、かも?」
穂乃果「えぇ!?私に!?」
生徒「うん、雰囲気似てた!なんかすごく元気な人だったよ〜今まだ職員室にいるかもっ」
穂乃果「わかった、わざわざありがとうね?」
生徒「お安いご用ですよ〜、そ・れ・で、ちょーっとテストの問題を優しく」
穂乃果「しませんっ!」
生徒「高坂先生の鬼〜!」
バタバタ
穂乃果「あっ!!もう!鬼ってなに!?……海未ちゃんに比べたらまだまだ全然甘い方だよ!」
穂乃果「海未ちゃん……元気かなあ」
穂乃果「にこちゃんは、夢叶えたんだね……凄いなあ。
今日帰ったらテレビつけてみようっと」
ガラガラ
教師「今日も生徒に人気でしたね高坂先生。何度も生徒たちと話してるの見かけましたよー」
穂乃果「あはは……ちょっと甘く見られてる感じもしますけどねー。……そういえば、明日からスクールカウンセラーの実習の方が来るとか……」
教師「あっ、そうそう!活発そうな女性の方でねー。あっちので話ししてるよ。
……お、今ちょうど落ち着いたみたいだから、挨拶しておいで」
穂乃果「はいっ」
穂乃果「失礼します、2年1組の副担任をしております高坂穂乃果です。明日から宜しくお願いします!」
『えっ……穂乃果、ちゃん……?』
穂乃果「……!?」
穂乃果「凛ちゃんっ!?えぇっ!?……っあ、す、すみませんっ…!」
凛「ほ、穂乃果ちゃんが……教師…副担任……世も末ですわ…」
穂乃果「な、なんでお嬢様言葉なんですか星空さん」
凛「ま、まぁまぁ。……明日から、よろしくお願いします高坂先生っ」
・
・
・
・
……居酒屋……
穂乃果「遅くなってごめんね……!今会議終わって!」
凛「いいよいいよー、凛もさっき来たところ!…それにしてもまさか、こんな田舎の高校で穂乃果ちゃんと会うなんて思わなかったよ〜びっくりだにゃ」
穂乃果「ぷっ……」
凛「えぇ!?なんで笑うの!凛なんか言った!?」
穂乃果「い、いや……ふふっ、だって一人称も語尾も変わってないなぁって…」
凛「はっ……気をつけてたのにー!もー気ぃ抜くとすぐ出ちゃうんだよ……最近は高校の時の知り合いなんて身近にいないから大丈夫だったけどぉ。
あ、これ穂乃果ちゃんの分のお通しね、このたこわさ美味しいよー」
穂乃果「へぇ、たこわさね……ん、確かに美味しいね!
凛ちゃんは何のむー?穂乃果は明日も仕事だからあんまり飲めないけど……」
凛「そんなの凛もじゃんー!最初の一杯だけにしようかなあ……んーレモンサワーにしよっ」
穂乃果「私カシスオレンジかなぁ、…すいませーん!」
『はーい』
凛「相変わらず穂乃果ちゃんの声はよく通るねぇ」
穂乃果「そう?わかんないや」
凛「それにしても、穂乃果ちゃんが教師なんて意外すぎて本当腰抜かすかと思ったよ……なんの教科教えてるの?」
穂乃果「そんなに?!意外かなー結構あってるかなーって思ってたんだけど…穂乃果は数学だよー」
凛「数学ぅ!?穂乃果ちゃん、高校の時赤点ギリギリだったじゃん!53点だったじゃん!!」
穂乃果「も、もともと穂乃果は理系なんだよ?!」
凛「もうびっくりなこと起きすぎて、逆にこれ夢じゃないかって思うよ……」
穂乃果「私だって、凛ちゃんがまさかスクールカウンセラーの実習でうちに来るなんて思わなかったよ…てっきり体動かす系かと思ってたのに」
凛「んー……やっぱりね、ほら。あの時のこと、どうしても忘れられなくてさ。
凛、あの時何もできなかったの本当に悔しかったんだよね。
あんじゅちゃんの自殺を止められなかったのも悔しかったけど、その前に凛の言葉にもっと説得力があったら、って思ってた。
あの日、みんなと話し合って……死にたいぐらい辛くて苦しんでる誰かの役に立ちたいって思って。
その時自分の担当医だった先生に気持ちを話して、進路の相談とか乗ってもらってたんだよ」
穂乃果「なんていうか……今思えば、夢みたいな高校生活だったなぁ……いろいろありすぎて」
凛「あーそれは、凛も思う。なんかこう、現実味なかったよね。アイドルとか。」
穂乃果「うん……スクールアイドルもあれからめっきり出てこなくなっちゃったし、学校側も禁止するところが増えたからね」
凛「……穂乃果ちゃんの学校にもいる?スクールアイドルやりたがってる人。」
穂乃果「んー、あんまり聞かないかなあ。昔流行った、ぐらいにしか思ってないんじゃない?……私、調べられたらアウトかもしれないけど…」
凛「だから、それ凛もじゃん……」
凛「でも、穂乃果ちゃん元気そうでよかった。大変だったんだよ、穂乃果ちゃんがいなくなった後!
主に海未ちゃんが。」
穂乃果「あ、あはは……ご迷惑おかけしました…」
凛「凛たちもそうだったけど…呆気ないぐらい事件のほとぼり冷めるの早かったよね。…てっきり穂乃果ちゃん牢屋に入るのかと思ってたよ、凛は」
穂乃果「それなら穂乃果、今教師してないよ…。
でもそうだよね、私もさぁ…人を刺したんだし逮捕っていうか少年院行く気になってたんだけど…」
凛「当時の環境と精神状態からかなり減刑されたんだっけ。で、結果的にやむを得なかったってことになったんだよね」
穂乃果「うん……本当、今思うとねぇ…」
凛「うんー……あっ、穂乃果ちゃん、見て!テレビ!」
『にっこにーにっこにーにっこにっこにー!』
『今日もみんなのにこにーが、あなたに笑顔をお届けしちゃうよっ』
穂乃果「…………」
凛「…………なんか、寒くないかにゃ」
穂乃果「久しぶりに聞いたなぁ、それ。…にこちゃん意外なぐらい変わってないね。」
凛「そうだねぇ…にこちゃんもう25だよね?四捨五入したらさんじゅ」
穂乃果「やめようその話」
凛「そ、そうだね…」
穂乃果「にこちゃん、本当のアイドルになっちゃったね」
凛「うん、素直にすごいと思う。…本当にアイドルが好きなんだろうなあ。あ、そういえばこころちゃんとここあちゃんも、この間にこちゃんとテレビにでてたの見たよ!そっくりだった!」
穂乃果「へぇ…!そうなんだ、ちょっと会ってみたいかも……虎太郎くんはどうなったんだろうね?」
凛「身長にこちゃんより大きかったよ」
穂乃果「え?」
凛「身長、にこちゃんより、大きかった、よ」
穂乃果「うっそ……あんなに小さかったのに…なんかすごくショックかも…」
凛「凛たちもそれだけ年をとっ」
穂乃果「やめようこの話」
凛「う、うん」
穂乃果「はー…みんな、今頃何やってるんだろ…」
凛「んー…凛も、あんまりみんなとは連絡とってないからなあ…あ、でも確か絵里ちゃんがーー」
『21時になりました。ニュースをお知らせいたします。』
穂乃果「!?」
凛「アナウンサーになったのは、知ってる」
穂乃果「な、なんかこうしてテレビ越しで見ると全然違う人っていうか…遠い人みたいだよ…」
凛「すごい人気のアナウンサーみたいだよ。…むしろ、なんでアナウンサーなんだろ…」
穂乃果「絵里ちゃん、確か将来の夢アナウンサーじゃなかったっけ」
凛「そうだったんだ、知らなかったよ。てっきり、ロシアに行ってるのかな〜なんて思ってた」
穂乃果「中継とかで行ってるのかも」
凛「そうかもね…」
穂乃果「凛ちゃんはさ、あの後花陽ちゃんと仲直りしたの?…っていうかμ’sのメンバーと」
凛「んー…なんか、最初の方はお互い周り気にして日常会話ぐらいはしてたんだけど…だんだん話さなくなっちゃった。
かよちんも、真姫ちゃんも凛もそれぞれやることがあって、あんまり集まったりもしなかったしね。」
穂乃果「みんなのこと信じられない、って言ってたけど」
凛「うん、今でもあの時のみんなの気持ち…全部はわからないよ。
でも、大学入って心理学とか勉強してたら、少しだけど見えてきたこともあって……上手く言えないけど、もうなんか、こんなことで壁作ってる凛もちょっとバカみたいだなって思ったよ。
まぁ、それに気づいたのは本当つい最近なんだけどね。
だから、今はみんなに会いたい…かな」
穂乃果「みんなの電話番号とか知らないの?穂乃果は全部消しちゃった…あはは」
凛「えーっ、じゃあ、凛と今交換してかないと。そうだなぁ、電話番号は全員の残してあるけどメアドとかはもうみんな変わっちゃってるだろうし…」
穂乃果「海未ちゃんあたりは変えてなさそうだけどね」
凛「あ、あともしかしたら希ちゃんも変えてないかも」
穂乃果「みんなの連絡待ってそうだもんねぇ……他の人たち…何してるんだろうなあ」
凛「そろそろ、みんなで集まりたいよね。」
穂乃果「それより、まずどこにいて何をしてるか知りたい」
凛「誰も穂乃果ちゃんが数学の先生してるなんて想像してないと思うよ」
穂乃果「そっくりそのまま返すよ……」
凛「あはは、とりあえず、明日からよろしくね穂乃果ちゃん」
穂乃果「うん、こちらこそ。学校でわかんないとこあったら教えるからね。
まず、購買のパンで一番美味しいのは……」
凛「そういうところは変わってないんだね…」
……次の日・某宅……
母「お昼ご飯はこれでお願いします、熱は38℃……昨日から下がらないままです。薬がないので午前中は病院に行ってくださると……あ、診察券と保険証は申告書と一緒にファイルに挟んであります」
男の子「ままーじかんーじかんー」
母「ああっ、本当!遅刻しちゃう!な、何かあったら連絡下さい!……ちゃんといい子でお留守番しててね?お姉さんの言うことよく聞くのよ」
男の子「わかった!いいこにしてる!」
母「ふふ……じゃあ、よろしくね」
花陽「はい、私が責任をもってお子さんをお預かりしますね。行ってらっしゃい、お母さん。」
バタン…
花陽「さぁ、じゃあちょっと早いけど病院行こっか?」
男の子「……」
花陽「……?」
男の子「……ぅ」
花陽「……よしよし、ママの前で泣かなかったね。
えらい、えらい。君は強い子だね」
男の子「うぅ……っ、さみ、しぃっ!ままーっ…」
花陽「うんうん、でも今日は私が傍にいるからね。
よしっ、病院行こっか。
今日は天気もいいし普段見れないレアなものが見れちゃうかもしれないよ?」
男の子「れあ……?」
花陽「うん!頑張ってる君に神様からのプレゼント。
じゃあ、プレゼントもらいに行こう!」
男の子「……!うんっ!」
……病院……
花陽「わー…今日も混んでるね…、大丈夫?そこに座ろっか」
男の子「プレゼント……なかった…」
花陽「きっと帰るときに貰えるよ。病院、頑張ろうね」
男の子「うん…………、ね、ねぇ…おねえさん」
花陽「ん?どうしたの?」
男の子「……ちゅーしゃ、…するの、かな」
花陽「んー…ご飯いっぱい食べたいなーって思う?」
男の子「うん!ままのつくったおべんとーはせかいいちおいしいから!」
花陽「ふふっ、じゃあ大丈夫だよ。ご飯ちゃんと食べれる子には注射はなーし」
男の子「ほんと!?わーいっ、ぼく、がんばる!」
花陽「よしよし、じゃあもう少し待ってよっか」
男の子「ねぇねぇ、おねえさん」
花陽「なぁに?」
男の子「あのせんせー、白いふくなのにかみがまっか」
花陽「……?看護師さんに赤い髪の人がいるってこと?」
男の子「うん」
花陽「んー?赤い髪って…………あっ」
真姫「花陽……?」
花陽「やっぱり、真姫ちゃんだ……!」
真姫「久しぶりね。えっと、……えっと、その子、は…まさか、花陽の……」
花陽「ち、ちがうよ!?花陽の子供じゃなくて、預からせてもらってるお子さんなの。」
真姫「預かってる?」
花陽「うん、私、今病児保育をしてる所に勤めてて。
子どもって37.5℃以上の熱を出すと保育園に行けないの。
でも、仕事を休めるお母さんなんてあんまりいなくて…。
だから、そんなお母さんの代わりに、お子さんを預かってお家で面倒を見てるんだ」
真姫「……そうなんだ。花陽らしいわね、合ってると思うわよ、その仕事。」
花陽「えへへ……ありがとう。真姫ちゃんは研修中?
てっきり西木野総合病院にいるのかと思ってた」
真姫「両親はそのつもりだったみたいだけど、せっかくの研修の機会だしたまには自分のところ以外で働いてみたくて。
将来的にはあっちに戻るけどね」
花陽「そうなんだ。…真姫ちゃんが担当してるのって、やっぱり脳外科とか?」
真姫「高校の時までは、そう思ってたんだけど…
あの事件があってから、少し考え方が変わって。
いけない、もうこんな時間!
花陽、あまり話せなくてごめんね。私もう行かなきゃ」
花陽「ううん、花陽こそ、話に付き合ってくれてありがとう。
……真姫ちゃんも、やっぱりお医者さんが一番似合うと思うよ。また、今度時間があったら会おうね」
真姫「えぇ、連絡するわ。それじゃ」
パタパタ……
花陽「真姫ちゃん……前よりよく笑うようになったなぁ…何かあったのかな」
男の子「おともだち……?」
花陽「うん。私の大切なお友達だよ。」
男の子「ぼくにもね、たいせつなおともだちいるよ!」
花陽「そっかぁ、じゃあその子のためにも早く元気にならなくちゃね!」
男の子「うんっ!」
花陽「いいこいいこ!」
男の子「えへへ」
『ーーーさん、ーーーさん3番診察室へどうぞ』
花陽「あっ、呼ばれたね。行こうか」
男の子「ほ、ほんとにちゅーしゃ、ないよね?」
花陽「だ、大丈夫だよ!」
男の子「う、うん……っ」
男の子「うわあああああん!!!!」
男の子「うええええん!!!おねーさんの嘘つきいいいい!!!!!!」
花陽「ご、ごめんねっ…!注射はしないと思ってたんだけど…!」
男の子「うわあああああん!!」
花陽「えっと、えっと……あ、そうだ!これ!神様からのプレゼント!!頑張ったから今渡しちゃうね!」
男の子「……!こ、これっ……」
花陽「四つ葉のクローバーだよ。いい子にしてる強い子にしか見つけられないんだって」
男の子「も、もらっていいの……!?ぼく、はじめてみた!」
花陽「うん、もちろん!」
男の子「ありがとう、おねーさんっ!!」
花陽「どういたしまして」
バタバタバタバタ……
ドンッ!!!
男の子「わぁっ!?」
女の子「きゃあ!ご、ごめんなさいっ!!」
男の子「いきなりぶつかってこないでよーっ!!」
女の子「ご、ごめんなさいっ!まきおねーちゃんのぴあの、ききたくて……いそいでて!」
花陽「……まき、お姉ちゃんのピアノ?」
女の子「はいっ!このはるからけんしゅーに来てるおねーちゃんなんですけど、ぴあのも、うたもとってもじょーずで!
いつもたのしませてもらってるんですっ
まきおねーちゃんがぴあのをひくのは、いつも、もくようびだから、こじいんからつれてきてもらってるんです!
よかったら、いっしょにききにいきませんか?」
男の子「ききたい!!おねえさん、いいよねっ?」
花陽「うん、私も聴きたいな」
女の子「じゃあ、こっちです!」
パタパタ……パタパタ……
『……あれ、いまのって……花陽ちゃん?』
・
・
・
・
・
〜♪
真姫「らーらーら、ららららららら」
真姫「ららら、ららら、らららららーら」
女の子「やっぱり、まきおねーちゃんのぴあの……すてき……」
パチパチ……パチパチ……
真姫「……ふぅ、また来週も楽しみにしててね」
女の子「はいっ……!わたし、まきおねーちゃんの大ふぁんですっ!!」
真姫「……嬉しい。ありがとう。……って花陽!?」
花陽「あ、あはは……」
ガコンッ
真姫「紅茶でよかった?」
花陽「うん……コーヒーはどうも苦手で…ありがとう、ジュース」
女の子「まきおねーちゃん、いちごみるく、ありがとうっ!」
真姫「ふふ…どういたしまして」
女の子「それなぁに?さっかーしてる……」
男の子「ミロだよっ!これのんで、つよくなるんだっ」
女の子「つよくなれるんだ…!すごいね!」
男の子「へっへーん!」
花陽「……小児科だったんだね、真姫ちゃん」
真姫「えぇ。…一番あり得ないと思ってたところだったけどね。
なんていうか…たまたま他のところの小児科に研修に行った時、子供達の笑顔を見て…守りたいな、って思ったの」
花陽「分かるよ、花陽も……そうだったから。」
真姫「あれからもう、7年も経つのね……凛は何してるのかしら」
花陽「全然連絡とってないからわからないなぁ…そろそろ集まりたいよね」
真姫「そうね、話したいこともあるし……って、花陽今あなた仕事中でしょ?こんなところで話してて大丈夫?」
花陽「うん、そろそろ戻らないとかも。…ちょっと名残惜しいけど、ね。」
真姫「そんなの、また連絡とったら済む話でしょ?
私は前と番号変わってないから」
花陽「わかった、じゃあ仕事が終わったら送るね!」
真姫「えぇ、待ってるわ」
花陽「じゃあまた!行こっか!」
男の子「うんっ!ばいばーい!」
女の子「ばいばーいっ!!」
バタン
真姫「……で、なんであなたはさっきからそこに隠れてるのよ、希。」
希「あっちゃーバレてた?」
真姫「バレてるも何も…毎週会ってるんだから気づくわよ…」
女の子「のんちゃんーっ!!」
希「おっと!びっくりしたなーもうっ、いきなり飛びついてくるなんて可愛すぎてこうだー!」
女の子「きゃははっ!のんちゃん、くすぐったいよーっ」
真姫「もう、希!ここ病院!」
希「あははっ、忘れてたよ、ごめんなあ」
真姫「もう……」
希「…花陽ちゃんも……立派になったなぁ…」
真姫「そうね、私の目をしっかりみて話してたし…おどおどすることもなかった。昔とは大違いだったわ。」
希「人って変わろうと思えば変われるんやね。真姫ちゃんも笑顔がだいぶ増えてきたし♪」
真姫「も、もう!からかわないで!」
希「からかってへんよ?可愛いなーって思ったから言っただけやんなー?」
女の子「なーっ?」
真姫「うぅ……。そ、それはそうと、どう?児童養護施設の方は」
希「んー……今は落ち着いとるよ。ただ、やっぱり親に虐待されてきた子はいろんな症状が出始めてる。
…虐待された子ってな、虐待されやすい行動をとるんよ。
極端に怯えたり、甘えたり…暴れまわったり。
そんな子たちを相手するのが今一番大変かな。
でも、やりがいはあるよ。
その子たちが先生、って笑顔でウチのこと呼んでくれる時が一番幸せや。」
真姫「私たちって……子どもの笑顔に弱いわよね」
希「まぁ、仕事が仕事やからなあ。…そのうち、みんなで集まろか。えりちとにこっちのテレビ組にはウチから連絡しとくで」
真姫「あの2人もすっかり有名人よね……テレビで見ない日はないわ…」
希「ちょっと寂しくなるね」
真姫「毎月集まって飲んでるくせに何言ってんのよ」
希「でもなぁ、あの2人といると芸能人オーラに潰されそうなん…地味にストレスよ?」
真姫「なんかわかる気がするわ……あー、これからレポートよ……もう帰りたい…」
希「ウチらはもう帰るけどなー?」
女の子「なーっ?」
真姫「いつもいつも憎たらしいわね……」
希「まぁまぁ、本当近いうちにみんなで集まろうな」
真姫「それには賛成だわ……帰ってスケジュール見ておく」
希「ウチも空いてる日あったら教えるわ。穂乃果ちゃんとことりちゃんは……海未ちゃんに聞けば分かりそうやな。」
真姫「海未は……多分番号変わってないだろうから、私から連絡しておくわ。」
希「ありがと、助かるわぁ」
真姫「いえいえ。」
希「じゃあ、そろそろ帰ろっか。ほら、真姫お姉ちゃんにばいばーいして」
女の子「まきおねーちゃん、ばいばーいっ!またらいしゅうね!」
真姫「えぇ、また来週、待ってるわ。」
……同刻・某楽屋……
にこ「はぁああっ、今日も疲れたー!!足が動かないー」
マネージャー「お疲れ様。これから雑誌のインタビューだけど…大丈夫?」
にこ「えぇ、大丈夫よ。……にこっ!…よし、まだ笑顔は崩れてないわね。えーっと……」
マネージャー「今回のインタビューは、今度のライブの衣装を全面的にバックアップしてくれる方との対談、ね。
今回、やっと衣装を手がけてくれてる方が直々に挨拶に来るそうよ」
にこ「ほんとっ!?はぁ……やっと話ができるのね…
いつもいつも、衣装の原案を見て、なんてにこのこと分かってるとびっきり可愛い衣装ばっかり思い浮かぶんだろうって思ってたのよね。
関係者に聞いても、教えられませんの一点張りだったし…
楽しみで仕方ないわ!」
マネージャー「あまり乗り気になりすぎて、ヘマをしないようにね?」
にこ「や、やだなぁマネージャー……にこはヘマなんてしたことないにこー」
マネージャー「……この間コードにひっかかってカメラに頭を突っ込んだ人は誰だったかしらー?」
にこ「ご、ごめんなさーい……」
マネージャー「ほら、じゃあさっさと行くわよ!」
にこ「は、はいっ!!」
ガチャッ
にこ「ごめんなさぁーいっ、お仕事が押しちゃって…!待ちましたかっ?(本当は迷ってただけだけど!!)」
インタビュアー「いえいえ!忙しいのに来ていただいてありがとうございます!ささ、こちらに…ちょっと写真を撮らせて頂いてもよろしいですか?」
にこ「は、はいっ、にっこにっこにーっ」
インタビュアー「ありがとうございます。では…今回は今度のライブでの衣装を全面的に手掛ける方との対談を録らせて頂く、ということですが…」
コンコン
インタビュアー「あっ、タイミングぴったりですね!
どうぞ、入ってくださいー」
『えへへっ、こんにちはぁ♪』
にこ「……っ!?!?!?」
ガタン!!
インタビュアー「に、にこにーさん……?」
にこ「こ、ことり……っ?!」
ことり「やだなぁにこちゃん、ミナリンスキーって呼んでください・」
にこ「…あぁ……そうね、あんたなら分かるはずだわ…
どうりでどストライクな衣装ばっかりだと思ったわよ」
インタビュアー「あ、あの、にこさん…?ミナリンスキーさん…?」
ことり「実は、私たち高校の時の部活が一緒だったんです♪」
インタビュアー「!?!?!?」
ガタン!!!!
インタビュアー「こ、これはいい特集になるぞ……!?」
・
・
・
インタビュアー「ーー以上で終わりになります、お疲れ様でした!」
にこ「お疲れ様でしたーっ」
ことり「おつかれさまでした♪」
バタン
にこ「……口止め、してたんでしょ。関係者に」
ことり「えへへ♪ びっくりするかなぁって」
にこ「当たり前でしょ…こちとら、あんたは海外にいると思ってんのよ…」
ことり「そういえば、今度のライブの応援コメンテーター絵里ちゃんなんだってねっ」
にこ「えぇ……素を出さないように今から練習しておくわ…」
ことり「…さっきちょっと出かかってたけどね」
にこ「……どうよ、海外は」
ことり「うーん……たくさん、勉強になったかな。
いろんなこと学んでいくうちに、ちょっと挫折しかけたこともあったけど、テレビつけたら偶然絵里ちゃんとにこちゃんが映ってて……」
にこ「(……いつのことだか思い出せないわ)」
ことり「夢を叶えた2人を見てたら……ことりも夢を叶えなきゃって、思ったんだ。
そこからは猛勉強して、気づいたらにこちゃんの衣装を作ってたよ♪」
にこ「いやいや、省きすぎでしょ?さすがにわかんなかったわよ過程」
ことり「…ねぇ、にこちゃん。さっきインタビューでも言ってたけど、ことりの作った服がにこちゃんの好みどストライクって本当?」
にこ「……本当よ。原案見て怖くなったぐらい。
出来上がった衣装を見たら震え上がったぐらいよ。
でもまぁ、ことりだったらいいのに、とは思ってたわ
こんなの作れるのことりぐらいしか知らなかったし」
ことり「そうなんだ……嬉しいっ」
にこ「それよりあんた、その……お母さんは大丈夫なの?」
ことり「うん……あれから、海外に行って、本当しばらくは大変だったよ。私もちょっと鬱になりかけたぐらいだもん。」
にこ「そりゃあ、環境が変わったらそうよね」
ことり「でも、ある日突然、お母さん"私にはやることがある"って立ち直ったみたいなの。
それからは早かったなあ。
今はあっちで日本語の教師をしてるよ。」
にこ「そう……よかった。なんだかんだ言ってずっと理事長のこと気になってたのよ。……ってもう理事長じゃないわよね、ごめん」
ことり「ふふ、お母さんに伝えておくね、きっと喜ぶよ。なんなら、サイン書いてくれてもいいよ?」
にこ「初めからそっちが目的なら言いなさいよ!」
ことり「あっ、ことりの分も!おねがぁいっ」
にこ「……分かったわよ。なんでかしらね、昔からの知り合いにサインを書くって軽く拷問な気がするわよ…」
ことり「えへへ♪」
にこ「あ、そういえば。今日私もうあがりで絵里と希に会うけどことりも来る?」
ことり「絵里ちゃんと希ちゃんがっ!?いきたいいきたい!!」
にこ「わっ、わかったから!分かったからまとわりついてこないでよ!暑い!暑いから!離れなさい!」
ことり「やーだ!ことりのおやつにするもーん」
にこ「意味わかんないわよ……」
ことり「あっ、じゃあ海未ちゃんも呼んでいいかな?
ちょうど会おうって約束してたの」
にこ「海未ねぇ……しばらく会ってないわ。会うの、楽しみね」
ことり「絵里ちゃんがこの間園田道場にロケに行ったって言ってたよ」
にこ「絵里は本当仕事選ばないわよね、芸能人の鏡だわ」
ことり「絵里ちゃん、反応が面白いから」
にこ「だからよくドッキリで特集組まれてるのね、
にこはあーゆーの無理だわ」
ことり「にこちゃんは仕掛け投げ倒しそうだもんね♪」
にこ「あんたの中の私どうなってんの?」
今日はここまで……
明日完結できれば、と思っています
よければ最後までお付き合いくださいませ
……居酒屋……
ことり「わぁ…日本の居酒屋ってなんだか落ち着くっ」
にこ「あぁ、そっかことりはこっちでお酒飲むの初めてなんだもんね」
ことり「うんっ、たまにこっちのお酒が恋しくなるよー
通販は高くてね……それより、にこちゃんの格好……その、なんていうか、庶民!って感じだね…」
にこ「悪い?私服でまでキラキラふわふわしたもの着てられないわよ。疲れるし…」
ことり「高校時代のにこちゃんなら絶対そんなこと言わなかったと思うなぁ」
にこ「てかみんな遅すぎじゃない?もう集合時間から5分も経ってるんだけど!」
ことり「さすが社会人は時間に厳しいねっ」
にこ「遅刻なんてしようものなら干されるわ……」
絵里「遅くなってごめんなさい!」
希「おー今日もにこっちは元気に伊達めがねっこやなぁ」
にこ「遅いわよ!って、え、そこにいるのって、」
真姫「レポート……前倒し、してきたわ……っ」
にこ「ま!真姫ちゃん!!!」
真姫「にこちゃんとことりと海未が来るって聞いて……死ぬ気ででかしてやったわ……レポート……!今日はとことん飲むわ…っ」
希「お医者さんの卵が急アルで搬送なんて情けないからほどほどにな」
ことり「みんな変わってないねぇ、でもちょっと老け」
にこ「それ以上言ったらぶん殴るわよ」
ことり「……はぁい」
絵里「真姫のレポート完成を待ってたらちょっと時間押しちゃってね……ごめんなさい。
それより海未は?まだ来てないの?」
ことり「海未ちゃんは稽古が終わって道場を閉めてからって言ってたから来るのはもうちょっと後だと思うな」
絵里「あら、そうなのね。じゃあ、先に私たちで入りましょうか」
にこ「早く早く〜にこもうお腹ぺこぺこーっ」
希「にこっち、そーゆーのいいから」
真姫「全く……年を考えなさいよね」
にこ「んなっ!?か、仮にもにこはアイドルなのよ!」
絵里「アナウンサー界のアイドルならここにもいるわよ!」
ことり「相変わらず絵里ちゃんは変なところでドヤ顔するなぁ……」
希「まぁまぁ、じゃあ入ろか」
ガヤガヤ……
ことり「すごーいっ、個室の居酒屋なんて初めて入ったよ!」
にこ「私はいつも個室だわ……」
絵里「えぇ、私も…そんな珍しいのかしらね」
真姫「まぁ、あんまり大勢じゃない限りは使わないかもしれないわね」
希「ウチは居酒屋自体あまりこーへんからなあ…」
にこ「みんな何飲むの?話すよりまず先に注文しちゃいましょ」
絵里「そうね、んー…じゃあ私は……ファジーネーブルにしようかしら」
希「えりちいっつもそれしか飲まないやん…たまには冒険してみたら?」
絵里「えぇ……でも、その、お酒!って感じのが苦手なのよね…じゃあカシスウーロンで」
希「冒険の範囲せまっ…ウチはカシスソーダにしよ、あんま次の日残せないし…子どもたちにお酒くさいって言われたくないしね」
にこ「じゃあにこはぁ、生、」
希「にこっち、それ前やって飲めなくなって放置したやろ!」
絵里「そうよ大人ぶるのはまだ早いわ!」
にこ「なによ!あんたたちだって飲めないじゃない!」
真姫「で、結局なににするのよ」
にこ「……ピーチフィズ」
ことり「かわいいっ♪」
にこ「…あんたたちは何にすんのよ、どーせあんたたちもビールなんてのめ」
真姫「あぁ、私生で」
ことり「ことりも生でお願いー」
真姫「やっぱり最初は生よね、これがなきゃ始まった気がしないわ」
ことり「うん、わかる、こう染みるよねぇ」
にこ「…………ねぇ」
絵里「私たち……年上よね…」
希「気にしたら、あかんよ……2人とも」
『かんぱーい!』
ことり「そういえば、さっき希ちゃん子どもたちって言ってたけど、今なんの仕事してるの?」
希「ウチ?ウチはなー児童養護施設で働いとるんよ。
虐待とか、引き取る身内がいないとかで親をなくした子どもたちを面倒見てるん。
聞き分けいい子もいるけど、大半が大人に対する不信感が大きい子ばっかりだから一筋縄じゃいかないことばっかりやけど、すごくやり甲斐はあるよ。充実してる。
子どもたちに必要とされてるんやなぁって思うと、もっと頑張らなきゃって…なんていうか軽くお母さんみたいになっとるよ」
ことり「へぇ…希ちゃんは、μ’sの時からみんなのお母さんって感じだったし、ぴったりだと思う!真姫ちゃんはやっぱりお医者さん目指してるんだね」
真姫「えぇ、まぁね」
にこ「頭の中身を捌いてあげるなんて言ってたけど」
真姫「ぶっ……!そ、それはもう忘れて……
今は…小児科医を目指してるわ。」
絵里「小児科医ってことは、真姫も子ども相手なのね」
希「真姫ちゃんは毎週病院で弾き語りのボランティアしてるんよ。
うちの施設の子と見に行ってるん」
にこ「へぇ、医者とピアノなんて真姫ちゃんのいいとこどりじゃない。」
真姫「確かに……ピアノを弾くことで子どもたちが笑顔になるのを見ると凄く…その、私も癒されるわ」
ことり「すっかり、真姫ちゃんも素直になったねぇ」
真姫「今までも素直だったわよ!あ、そういえば今日花陽にも会ったのよ、病院で。」
絵里「花陽と?」
真姫「えぇ、子どもを連れて病院に来てたわ」
にこ「…………は?」
ことり「え、そ、それって……」
絵里「花陽の……こど」
希「ストップストップ!!!真姫ちゃんそれ絶対誤解招こうとして言ってるやろ!」
真姫「ふふっ……ごめんなさい。私も最初誤解しちゃったから。
花陽は今、病児保育をしてるらしいわ」
ことり「病児保育?」
にこ「熱が出て保育園に行けなくなった子どもを親のかわりに、その子の家で面倒を見る仕事よ。保育園の出張版みたいな」
絵里「なんだかんだみんな子どもを相手にする職業についてるのねー…海未も海未だし」
希「海未ちゃんのとこ、今武道を教える道場だけじゃなく成績向上の為の園田塾まであるんだってね。凄く評判いいらしくてこの間テレビで取り上げられてたよ」
絵里「まぁそのレポは私だったんだけどね…凄く、なんていうか複雑な気分だったわ」
にこ「かしこまりすぎてて、こいつら何やってんのってテレビの前で突っ込んだわ」
ことり「園田塾も、海未ちゃんが直々に教えてるって聞いたよ」
にこ「思い出したくない記憶ね」
真姫「でもテレビで取り上げられてるってことは、成績向上は嘘じゃないわね」
絵里「……穂乃果と凛は今頃なにしてるのかしら」
ことり「私も穂乃果ちゃんのことは何にも知らないんだよ…海未ちゃんなら知ってそうだけど」
希「海未ちゃん早く来ないかな」
にこ「あーもう、早く来なさいよ海未ーっ」
海未「はい」
にこ「……ひぃ!?!?う、海未!?!?なんで後ろにいるのよ!相変わらず気配隠すの上手いわね!」
海未「遅くなってすみません……指導に熱が入ってしまいまして…」
ことり「いいよいいよ、ことりたちもさっき飲み始めたところだったから」
真姫「とりあえず海未は何飲む?」
海未「あ、では私は梅酒のお湯割りで…」
にこ「また凄いもの飲むわね」
真姫「すみませーん、梅酒のお湯割りひとつ」
『かしこまりましたー』
希「聞いたで海未ちゃん、かなり評判いいんやって?園田道場」
海未「は、はい。恥ずかしながら…その、何故か成功しまして…」
絵里「レポの時大変だったわよ、あらかじめ質問内容教えてるのに全然答えなくて」
海未「そ、それは!テレビに出るとなるとやはり恥ずかしくて…」
ことり「塾も海未ちゃんが教えてるんでしょ?大変じゃない?」
海未「えぇ、まぁ忙しくはありますが…充実しています。
教え子たちが日々成長しているのを見ると、微笑ましくなりますしね」
希「それ分かるわぁ」
真姫「同意ね」
海未「ことりはいつこっちに帰ってきたのですか?」
ことり「昨日だよー。今日、にこちゃんとの対談インタビューがあってね、それでこっちにきてたの」
真姫「対談……インタビュー……?」
にこ「そう、今度ツアーライブがあるんだけど、その時の衣装担当が」
ことり「私だったのー♪」
にこ「私も今日知ったのよ…危うくインタビュアーの前で素を出すところだったわ」
絵里「まぁ、でも私は知ってたわよ」
にこ「絵里ぃー!!この……絵里ぃ!!!」
真姫「ことりも服飾の仕事、順調みたいね」
ことり「うん♪ たまに詰まっちゃうんだけど、みんなのこと思い返すと不思議とアイデアがわいてくるんだよね。
まだ、予定の話なんだけど…こっちで私の作品の展示会やるかもしれないの、もしそうなったらぜひ見に来てほしいな」
にこ「ぅえっ、あんたそんなに有名なデザイナーなの」
海未「今、中高生に人気のミナリンスキーというブランドですよね。うちの教え子たちも、こぞって服やら小物やら集めていますよ」
希「伝説の秋葉メイドさんがデザイナー…売れるわけやんなあ…」
真姫「何かもう少し名前なかったわけ…?」
ことり「んー、他の名前も考えてはいたよ?
でもミナリンスキーにして活動してたら、μ’sのみんなにも私の成長、見つけられるかなって思って♪」
絵里「ハラショーよことり」
にこ「あんたクォーターのくせにそれしか言わないわよね」
海未「話を変えて申し訳ないのですが……先月亜里沙が戻ってきたと雪穂から聞きましたよ、絵里」
絵里「えぇ、戻ってきてるわよ」
にこ「…………」
ことり「……もう、あれから7年経ったもんね。」
希「あ、でも亜里沙ちゃんが少年院から出てきたのはあの事件から2年後やで?その後ロシアのお祖母様のところに行ってたんやろ?」
にこ「え、あ、なんだ、そうなの…にこはてっきり今までずっと牢屋に入ってたと」
真姫「亜里沙ちゃんは当時15歳だったから少年院に入ったのよ」
海未「亜里沙は、その…元気ですか?」
絵里「えぇ、元気にやってるわ。こっちに戻ってきてからは予備校に通ってる。あの子、警察官なりたいんですって」
真姫「警察官!?な、なんでまたそんな」
絵里「正しい人に正しい罰を与えるため、って言ってたわ。…ふふ、私なんかよりよっぽど立派よね」
海未「亜里沙は、その……私たちを恨んだりしていないでしょうか…。
私たちは亜里沙の人生をめちゃくちゃにしてしまったようなものですし、恨まれていても仕方ありませんが…」
絵里「そうねぇ……。ねぇ、今…みんなは自分が幸せだと思う?」
にこ「私は、幸せよ。だってずっと憧れてたアイドルになれたんだもの」
ことり「私もにこちゃんと同じかな、自分の目指していた場所に立てて、好きなことで頑張れてる…とっても幸せだよ」
真姫「予想すらしていなかった未来だったし大変だけど、それなりに充実してるし…幸せよ」
希「ウチも、この仕事につけてよかったって思う。
みんなの笑顔みてたら幸せになれるし、何より子どもたちに必要とされることが一番嬉しいしね」
海未「文武両道は時々弱音を吐いてしまいそうになるほど厳しいものですが……私も希と同じように教え子たちの笑顔を見るだけで幸せになれますね。…十分な幸せだと思います」
絵里「ふふ……だそうよ、亜里沙」
真姫「えっ?」
亜里沙「ハラショー!みなさん、お久しぶりですっ!」
雪穂「こ、こんばんは、みなさん」
海未「亜里沙!?雪穂まで!どうしてここに…」
亜里沙「お姉ちゃんから連絡もらったんです、よければ亜里沙たちも一緒にお話しないかって」
雪穂「私は亜里沙から連絡貰って……」
にこ「あ、あの……ちょっといい……?」
亜里沙「にこさんっ!テレビでみるよりずっとずっと可愛いです!!後でサインくださいっ!」
にこ「あ、あぁ……それは、いつでも大歓迎なんだけど、その」
亜里沙「?」
にこ「あんたたち……若いわね……」
真姫「そう?私のひとつ下じゃない」
にこ「いや3つよ?3つ…ああ…その綺麗な肌をにこにちょうだい……」
希「ないものねだりは見苦しいでにこっち」
亜里沙「……みなさん、幸せになれてるようで何よりです。
あの日、亜里沙がしたことはやっぱり間違ってませんでしたっ」
ことり「…私たちが今幸せなのは、亜里沙ちゃんのおかげなんだよ。本当に…ありがとう」
真姫「人を殺してくれてありがとうなんて……普通は言わないけど…それでも、亜里沙ちゃんには感謝してるわ」
亜里沙「えへへ…じゃあ、亜里沙もお酒飲みます!
雪穂は何飲む?」
雪穂「んー、わたしジンジャーエールでいいよ」
亜里沙「ええっ、せっかくみなさんもいるんだから飲もうよー」
雪穂「亜里沙に付き合って飲んでたら胃がもたないよ…」
亜里沙「いいからいいからっ」
雪穂「わ、わかったよー、じゃあゆずピーチサワーにするよ…」
亜里沙「わかった!すいませーん!ゆずピーチサワーひとつとレモンハイボールくださいっ」
『かしこまりましたー』
にこ「!?」
希「!?」
絵里「……あはは」
亜里沙「あっ、みなさん追加の飲み物どうします?
私注文しますよ!」
にこ「えっと、じゃあ……にこはぁ…あまおう苺サワーにしようかしら」
ことり「ことりは鏡月のアセロラかなあ」
真姫「私ジントニック」
希「ウチはー…んー、ベリーカルピススカッシュやな!」
にこ「あんたそれノンアルじゃない。逃げたわね」
絵里「私はカルーアミルクにするわ」
海未「私はカシスウーロンでお願いします」
亜里沙「わかりました、すみませーん!あまおう苺サワーと、鏡月のアセロラ…ぼ、ボトル?で、ジントニックと、ベリーカルピススカッシュ、あとは……カルーアミルクと、カシスウーロン、あと角ハイボールお願いしますっ」
『かしこまりましたー』
にこ「もう飲んだの!?!?」
絵里「亜里沙は……本当に、強いのよ、お酒…」
真姫「絵里と交換してあげてほしいぐらいね」
海未「花陽がいたら……日本酒を頼みそうですね」
ことり「日本酒飲みながらお米のこと熱弁しそうだね」
希「ちょっと聞いてみたいかもしれん」
亜里沙「あれ……そういえば…花陽さんと凛さんと穂乃果さんは、いないんですね…」
真姫「花陽は誘ったんだけど都合が悪かったらしくて、凛と穂乃果は連絡先知らないのよね。携帯変えちゃったのか番号に繋がらないし」
絵里「雪穂ちゃん、穂乃果と連絡とってたりする?」
雪穂「あぁ、はい!ちょうど今日お姉ちゃんから久しぶりに連絡が来て……凛さんと同じ職場で働くことになったって言ってました!」
真姫「え、凛と!?」
希「凛ちゃんと穂乃果ちゃんが同じ職場…?え、想像つかへん…」
雪穂「お姉ちゃんから聞いたんですけど、凛さんは明日からスクールカウンセラーの実習でお姉ちゃんの勤めてる学校で勤務するらしいです」
ことり「す、スクールカウンセラー……?」
にこ「凛、が……スクールカウンセラー…?」
海未「ゆ、雪穂…今私の聞き間違えでなければ…」
絵里「えぇ……お姉ちゃんの勤めてる学校って…それは、その、つまり」
雪穂「あれ、ご存じなかったですか?お姉ちゃん、今数学の教師をしてるんですよ」
「「「数学の教師いいいいいいいい!?!?!?」」」
にこ「え、えぇっ!?あり得ないんだけど!?あの穂乃果が教師!?しかも数学ぅ!?」
希「に、にこっちちょっと落ち着き!」
真姫「私、穂乃果が生徒にいじられてる姿しか想像できないんだけど……」
海未「私が泊り込みまでして必死に教えたのにも関わらず数学で53点しかとれなかった穂乃果が数学の教師……」
ことり「ふ、不思議なことってあるんだねっ」
雪穂「私もそのことを聞いたのは、お姉ちゃんが教師になってからのことだったので耳を疑いました…」
亜里沙「えっ、それじゃあ雪穂はずっと穂乃果さんと連絡とってなかったんだ」
雪穂「うん。…一応お母さんから連絡先は聞いてたんだけど、拒絶されたら怖いなって思ったら勇気出なくて自分からは連絡できなかったんだ。
だから、お姉ちゃんから連絡してきてくれた時は本当に嬉しかった」
真姫「まぁでも……案外合ってるのかもしれないわね」
絵里「えぇ、意外ではあるけど…もともとリーダー気質な子ではあったしね」
ことり「穂乃果ちゃんらしいといえば、穂乃果ちゃんらしいかな♪」
海未「穂乃果もですが……凛にも驚きましたね…」
希「凛ちゃんは、てっきりスポーツインストラクターとかになるかと思ってたなあ」
にこ「……もしかしたら、7年前穂乃果の病室で凛が決めたことって、これ、だったのかもしれないわね」
真姫「ほんと……なんだかんだ言って、みんな人を笑顔にする仕事についてるわよね」
絵里「私とことりとにこ以外の6人はほぼ子ども相手だしね」
雪穂「あの日バラバラになったはずなのに、結局こうしてみんなほとんど同じ場所に集まっていますし」
ことり「雪穂ちゃんは今大学生?」
雪穂「はい。凛さんと被っちゃうんですけど、主にチャイルド心理学を勉強しながら穂むらの手伝いをしています」
希「あー久しぶりに穂むらのお饅頭食べたいわぁ」
雪穂「いつでもお待ちしていますよ」
希「せやな、今度お邪魔させてもらうわ。うちの子達に美味しいもん食べさせてあげたいし」
海未「うちにはいつも常備ですよ!」
真姫「その唐突なドヤ顔やめなさいよ」
にこ「あーもうこんな時間か、早いわね」
絵里「次々と話が出てくるものねー」
真姫「まぁお互いのしてることも連絡先も分かったんだし、あとはまた9人で…ううん、11人で揃えたらいいわよね」
雪穂「お姉ちゃんに私から話しておきますよ。凛さんにも伝えてもらえるように」
希「さっすが雪穂ちゃん!頼りになるわあ」
にこ「ことりはいつまでこっちにいるのよ」
ことり「んー、まだ決めてないけど、とりあえずにこちゃんのツアーライブが終わるまではいるよ?」
にこ「ツアーライブって2ヶ月後よね……2ヶ月後…。
……ねぇ絵里」
絵里「な、なによ?」
にこ「ツアーライブって確か前座あったわよね」
絵里「えぇ……まぁ前座って言っても、その正直な話ただの場繋ぎだけれど」
にこ「ふっふっふっ……にこったらいいこと考えちゃったー☆」
真姫「ちょ、ちょっと待ってよ、まさか」
にこ「ええ!μ’sによる一夜限りの復活ライブよ!!!!」
海未「ほ、本気で言っているのですか!?」
絵里「そうよ!今さら変更なんて」
にこ「しゃーーらっぷ!にこを誰だと思ってるの!
天下のアイドル!にこにーなんだからっ!」
亜里沙「……!!本当にしてくれるんですか!ライブ!」
にこ「……まだ、正式に決まったわけじゃないし、穂乃果と凛にも話すらしてないけどね。
でも、ことりから聞いたのよ。
亜里沙ちゃんのお願い……叶えてあげないわけにはいかないでしょ?」
絵里「にこ……」
ことり「そうだね、ことりも…亜里沙ちゃんのためなら頑張りたいかも!」
真姫「…てことは、私作曲……!?」
海未「……既存曲では、だめですか……」
にこ「だめだめだめっ!一夜限りなのよ!?スペシャルなのよ!?オリジナルに決まってるじゃないのっ!」
海未「わ、わかりました……最高に特別な曲にしましょう、真姫!」
真姫「え、えぇ!レポートをドブに葬り去ってでも曲を作ってやるわ!」
希「真姫ちゃんそれは危ない綱渡りやで」
絵里「全く……仕方ないわね。付き合うわ」
亜里沙「みなさん……ありがとうございます……っ」
雪穂「よかったね、亜里沙!」
亜里沙「うんっ……!」
……某ラーメン屋……
凛「ライブぅ!?!?!?にこちゃんの前座で!?μ’sがぁ!?」
穂乃果「うんー……にこちゃんから直々に電話がきたよ…なんでも、この間みんなで集まったらしくてさぁ」
凛「ら、ライブ……どうしよう、凛…凛……!」
穂乃果「……あぁ、うん…穂乃果もだよ、…ほら、この二の腕…」
凛「……ぷにぷに…ぷにぷに」
穂乃果「無理でしょ2ヶ月後とか……っ」
凛「絶望的だにゃ……」
穂乃果「……でも、亜里沙ちゃんのお願いなら…叶えるしかないね」
凛「うん、そうだね。……衣装着るの、怖いけど」
穂乃果「来週GWで休みだから2人であっち戻ろっか。
穂乃果もみんなと飲みたいし」
凛「飲んでばっかいると大変なことになるよ穂乃果ちゃーん…」
穂乃果「全部のせ豚骨ラーメン食べてる凛ちゃんに言われたくないよーだ!」
凛「うぅっ……もう、穂乃果ちゃん!!」
今日はここまでです
あまり更新できなくてすみません…
すみません
私用でちょっと放置してました……
今日からまた書くのでよければお付き合いお願いします
凛「それにしても……ライブ、かぁ…」
穂乃果「どうしたの?」
凛「うん……なんていうか、ね。ライブ…するのはいいんだけど、ほら…凛たちって世間によく思われてないんじゃないかなって…」
穂乃果「……そうだね」
凛「穂乃果ちゃんのとこも…事件のあと…大変だったじゃん。真姫ちゃんの病院も一時期すごい大変だったし…」
穂乃果「あはは……本当、大変だったよ。軽くテロみたいな感じ。やっぱりこう…精神的にくるものがあるよね。お母さんもお父さんも、目の下に隈作って、それでも必死に和菓子を作って売ってきた。
だからかのかな、ある日いきなりいつも買ってくれてたお客さんが、『こんなことは間違ってる』って言ってくれて…。
『理由もなしに、高坂さんの娘さんはそんなことする人じゃない。』って。
それからかな、ぱったり何も来なくなって。
店に張り紙されたり、窓ガラス割られたり、風評被害を被ったり…いろいろあったけど、結局お客さんたちに支えてもらったよ」
凛「いい話だにゃー…」
穂乃果「私の親がこの2人でよかった、って思ったなあ」
凛「うんうん。でも、もしライブしたとして凛が心配なのはにこちゃんのことなんだ」
穂乃果「……わたしたちのせいで、めちゃくちゃには出来ないよね」
凛「うん……それが、すごく怖いの」
穂乃果「あーぁっ、考えないようにしてたんだけどなぁ…やっぱり7年なんてどうってことないね…」
凛「凛ももう平和に暮らしたいにゃー…」
穂乃果「……にゃー」
凛「あっ……」
穂乃果「…ファイトだよっ?」
凛「もう!穂乃果ちゃん!!」
……某楽屋……
にこ「……はぁ」
ことり「どうしたの?」
にこ「なんであんたがここにいんのよ」
ことり「衣装合わせに〜…えへへ」
にこ「えへへ、じゃないわよ!しかもなんでさも当たり前のように、にこの楽屋に入って来てんのよ!?スタッフはどうした!?」
ことり「……おねがぁいっ」
にこ「うっ……」
ことり「ってやったら入れてくれたよ♪」
にこ「ちっ…これだから脳トロは……」
ことり「脳…とろ……?」
にこ「まぁいいわ。で、話って何?」
ことり「え、だから衣装合わせに……」
にこ「違うでしょ、何か話があってきたの、分かってるんだから」
ことり「う、うん……さすが、にこちゃん……あの、ね」
にこ「何よ……早く言いなさいよ、私だって時間あるわけじゃないんだから……って、何携帯さわってんのよ」
ことり「ご、ごめんね、これ……見て欲しくて…」
にこ「ネット……?何よ、にこはスキャンダルになることなんて……、……は?」
ことり「…………」
にこ「なんで広まってんの……?」
ことり「わからないの……みんなが、ネットに書いたり他の人に言ってるなんて考えられないよねっ…?」
にこ「……あいつらはそんなことしないわ」
ことり「じゃあ、なんで……"μ’sの一夜限りのライブが行われる"って、広まってるのかな…」
にこ「……」
ことり「……にこちゃん?」
にこ「……居酒屋で、聞いたのかも。あの日。」
ことり「…!」
にこ「そこにたまたま、μ’sのファンがいて、いいことを聞いたと掲示板に書き込んだんじゃないかしら…」
ことり「……でも、」
にこ「えぇ…あまり、その…いい反応ではない、わね。
……"スクールアイドル騒動の主犯格グループμ’sが、元μ’sメンバーで現役アイドル矢澤にこのツアーライブで一夜限りのライブ予定!"…。
てか何よ、主犯格って。
にこたちが犯罪者みたいな言い方じゃない、最悪ね」
ことり「あの事件のせいでラブライブも中止になって、学校側でスクールアイドルを禁止したところも多かったから…私たちのこと、恨んでる人たちって結構いるみたい…」
にこ「だからって、それはにこたちのせいじゃないわ
でも、まずいわね…このままだと企画がそもそも通るかどうか…」
ことり「……せっかく、衣装考えたんだけどな」
にこ「ことりはそのまま衣装を作ってて。ライブは私が何が何でも実行してみせるわ」
ことり「で、でも…」
にこ「なに?費用の心配?大丈夫よ、いざとなったら溜まりに溜まった私の貯金から出すから」
ことり「そ、そうじゃなくて!それにそんなのだめだよお仕事なのに!……そうじゃ、なくて…失敗したら、って思うと……」
にこ「……怖い?」
ことり「……うん」
にこ「私も、怖いわ。ううん…今までだって、ずっと怖かった。あんなことがあったから、ステージに立つたびブーイング受けるんじゃないかってずっとビクビクしてた。
でも、握手会をした時…いろんな人が私を応援してくれたの。その時思ったわ、あぁ、にこが選んだ道は間違ってなかった、って。
…諦めずにここまできてよかったって。
あんなことがあって、μ’sを恨んでる人がいるのは分かる。
もし、にこが逆の立場ならふざけんな、って思ってたかもしれない。
でも、それでもどこかにμ’sのライブを心待ちにしてる人がきっといる。そして、その人の願いを叶えてあげられるのは、μ’sのみんなをステージに呼ぶことができるのは……にこだけなのよ」
ことり「にこちゃんは……もう一度μ’sみんなでステージに立ちたかったんだね」
にこ「当たり前でしょ。……私の居場所なんだもの。
それに…μ’sのこと悪く言ってる人たちを見返してやりたいって気持ちもあるし」
ことり「変わってないね、にこちゃんは。」
にこ「何それ嫌味?」
ことり「ち、ちがうよ〜今も昔も、夢を追い続けててかっこいいなって思ったんだよ」
にこ「まぁね。…あんたたちのおかげよ」
ことり「えへへ。……あ、海未ちゃんがね。本当にライブをするんだったら、園田道場を貸してくれるって」
にこ「ほんと?スタジオ代が浮くわね」
ことり「うん!しかも海未ちゃんのレッスン付き♪」
にこ「…………ああ」
ことり「えっと……あはは、海未ちゃん厳しいもんね。
あ、穂乃果ちゃんから連絡はきた?」
にこ「んーん、まだよ。今日あたりもう一回連絡してみようかしら。…そういえば、GWに凛とふたりでこっち来るって言ってたわよ」
ことり「えっ本当!?GWって来週だよね!またみんなで集まれるかな?」
にこ「そうね、みんなに声かけときましょ」
にこ「じゃあ、悪いんだけど私もう次の仕事があるから行くわね」
ことり「う、うん!わざわざごめんね」
にこ「いいわよ別に。あんたも頑張りなさいよ」
ことり「…!に、にこちゃん!」
にこ「?」
ことり「あっ……ありがとう…」
にこ「何よ今更。当たり前でしょ。じゃあね」
ことり「うん!また!」
パタン……
ことり「……ごめん、にこちゃん」
ことり「…………掲示板って、怖い…ね」
ことり「いいニュースになるかと、思ったのにな。
失敗…だったよ」
…GW・穂むら…
雪穂「あっ!!お姉ちゃん、おかえりーっ!!」
穂乃果「わわっ!雪穂!大きくなったね!?」
雪穂「そうかな?あ、でもお姉ちゃんよりは大きいかも!疲れたでしょ入って入って」
穂乃果「ゆ、雪穂が優しい……」
穂乃果母「おかえり、穂乃果」
穂乃果「お母さん!!ただいまっ、お父さんもただいま!」
穂乃果父「……」コクン
穂乃果母「長旅ご苦労様。新幹線で3時間だっけ?」
穂乃果「そうそう、肩凝っちゃったよー」
雪穂「ね、ね、お姉ちゃんお土産は?」
穂乃果「お土産目当て!?だから雪穂優しかったんだ…」
雪穂「おーみーやーげー」
穂乃果「も、もう急かさないでよ、はいっ」
雪穂「な、なにこれ?バター餅……?もろ、こし?
和菓子ばっかりじゃん!うち和菓子屋だよ!?
洋菓子は!?」
穂乃果「ええっ、そ、そうだけど…!つ、漬物もあるよ…?」
雪穂「嬉しいけど!漬物も嬉しいけど!ケーキとかクッキーとかそういう洋菓子はないの!?」
穂乃果母「雪穂、あんまり我が儘言わないの」
雪穂「で、でも……」
穂乃果「……雪穂には、これ。気にいるか、わかんないけど」
雪穂「えっ、こ、これ鏡?木……で出来てるの?あ、桜が掘られてる…」
穂乃果「あっちの方では桜の皮細工が有名なの。もちろん桜もすごく綺麗だよ。いつか、雪穂とお父さんとお母さんも連れて行きたいぐらい!」
穂乃果母「ふふっ、それはそうとあんた教師の方はどうなの?生徒に尻に敷かれてるんじゃないでしょうね」
雪穂「お姉ちゃんなめられそうだもんね……」
穂乃果「そ、そんなことないよ!ちゃんと先生してるもん!」
穂乃果母「でも、本当に元気そうでよかったわ。」
穂乃果「…うん、ずっと帰らなくてごめんね、お母さん」
穂乃果母「いいのよ、何処にいてもあんたが自分らしく聞いていけるなら」
雪穂「ね、ね、それよりにこさんから聞いたよ。μ’sの復活ライブするんでしょ?」
穂乃果「あ……あー…」
穂乃果母「あら、本当?私も見に行っちゃおうかしら。ね、お父さん」
穂乃果父「……」コクン
雪穂「私も亜里沙もすっごく楽しみにしてるからね」
穂乃果「……えっと」
雪穂「……?」
穂乃果母「まさかあんた出ないつもり?」
穂乃果「……その」
雪穂「えぇ?出なよ!こんなチャンス滅多にないよ?
それにμ’sのみなさんもすごいやる気だったし…」
穂乃果「うん……その、分かっては…いるんだけど」
穂乃果母「また、迷惑かけたらどうしようって?」
穂乃果「……っ、う、ん…また、何か起きて穂むらにもお父さんやお母さんにも迷惑かけたらって思うと…あんまり乗り気になれなくて……あはは」
穂乃果母「でも、あんたはやりたいんでしょ?」
穂乃果「そ、そうだけど…そうだけど……」
穂乃果母「お母さんたちはどれだけ迷惑かけられたってどうってことないわよ。やらないで後悔するよりなら、やって後悔しなさい。もしそれで何かあったなら、それはそれで仕方ないことよ」
雪穂「そうだよ、お姉ちゃん!私だってもう成人してるんだから、あの時と違うんだから、ね?」
穂乃果「うん………、…考えておくよ」
雪穂「お姉ちゃん……」
……穂乃果、自室……
穂乃果「……難しいよ」
穂乃果「だって、もう……だって……穂乃果だけじゃ、ないんだもん…」
穂乃果母「穂乃果ー海未ちゃんとことりちゃん迎えに来たわよー」
穂乃果「あっ、はーい!」
ことり「久しぶり、穂乃果ちゃんっ」
海未「お久しぶりです、穂乃果」
穂乃果「海未ちゃん!ことりちゃんっ!!」
ことり「わわっ!……えへへ、ことりもぎゅーっ」
海未「も、もう!苦しいですよ穂乃果、ことり!」
穂乃果「えへへっ、だって久しぶりだから!ぎゅー!」
雪穂「……ふふっ。お姉ちゃーん、そろそろ行かないと集合時間に遅れちゃうよ?」
穂乃果「あっ、本当だ…!あれ、雪穂はいかないの?」
雪穂「うん、また私は別の日に。今日はμ’sのみなさんで楽しんできて」
海未「お気遣いありがとうございます、雪穂」
穂乃果「じゃあ、いってくるね!」
雪穂「うん、行ってらっしゃいお姉ちゃん」
パタン
〜♪
雪穂「ん?……はい、もしもし、亜里沙どうしたの?
うん、…うん、知ってる…それでお姉ちゃんも多分……えっ?うん…え…それ、本当なの?わ、わかった。今からうち来れる?うん、うん、待ってるね。はーい」
雪穂「…………なんで?」
……居酒屋……
にこ「……ねぇ、今、なんて言ったの、穂乃果…もう一回言いなさいよ…」
穂乃果「……だから、私は……みんなと一緒にステージには、立てないって、言ったの。」
絵里「そんな、穂乃果どうして?こんな機会滅多にないのよ?」
ことり「そうだよ、穂乃果ちゃんっ…みんながこうして揃うのなんて今度はいつになるか…」
穂乃果「それは……分かってるよ」
希「…7年前のこと、気にしてるん?大丈夫やって、もうウチらも成人して3年以上経ってる。みんな、大人になったんよ。そんな簡単に昔みたいに……」
穂乃果「っ、そうじゃないっ!!」
真姫「……穂乃果?どうしたのよ。何か変よ」
穂乃果「……みんなは、…みんなは、さ。自分より大切なもの…あるよね?」
海未「何が言いたいのですか?」
穂乃果「私は…今の私は、自分より生徒たちの方が大切なの。何があっても守りたい子たちなの。
もし、ライブに出たとして…それを気に入らない人たちがいたとして…今度は生徒たちに何かされるかもしれない。
穂乃果に何かされるのはいいよ?
でも、生徒たちに手を出されたらって思うと、そんな迂闊に軽率な行動は出来ないよ……」
ことり「穂乃果ちゃん……」
花陽「……わたし、も…ちょっと考えてた。
にこちゃんからこうして誘ってもらって、みんな揃ってライブ出来るかもっていうのは本当に嬉しいよ?
でも、やっぱり7年前のこと思い出すと、怖い。
今度は自分じゃなくて、自分が大切にしてる人たちに何かされたらって思ったら…ちょっと考えちゃうよ」
希「……そんなこと言われたら、ウチもやん…
施設に放火されたりとかしたら…」
真姫「ちょ、ちょっとやめてよ希」
凛「……やっぱりよく考えるべきだよ。凛たちは"大人"なんだもん。ちゃんと、周りのこと考えないと」
海未「……確かに、やりたいからといってリスクを考えずに突っ走るのは、よくないですね」
ことり「で、でも、もうこんな機会ないかもしれないんだよ?本当に最後かもしれないんだよ?」
穂乃果「……人としても最後になるかもしれないよ」
ことり「でも……っ!」
ガタンッ
にこ「………………お願い」
希「に、にこっち!?何頭下げて……っ」
にこ「お願い、お願いしますっ……!」
穂乃果「にこちゃん……」
真姫「……どうして、そこまで」
にこ「昨日、新しいシングルのリリースイベントと握手会があったの。…その時、中学1年生ぐらいの女の子が、私の前で「にっこにっこにー!」ってしてくれたの。」
海未「やはりにこは若い世代に人気なのですね。ですが、それと何の関係が…?」
にこ「普通に、ありがとう嬉しいわって普通に会話して……そしたら、その女の子泣き出したの。」
花陽「どうして?」
にこ「……"μ’sのみなさんのライブが見たいです"って」
穂乃果「……!」
にこ「……『μ’sは…ずっと、私の憧れでした。キラキラしてて、いつも元気を貰っていました。7年前、その時は小さくてどうしてμ’sがいなくなったのかはよく分からなかったけど、とっても悲しかったのを覚えています。……私、もう一度憧れのμ’sのみなさんに会いたい。もう一度だけで、いいんです。』……って」
凛「……でも、やっぱりリスクが大きすぎるよ…」
にこ「その子だけじゃない、…ネットに書かれたデマかもしれないニュースを信じて『μ’sのライブ、本当に楽しみにしてます。』って言ってくれた人がたくさんいたわ。
現に私のファンの人たちだって、μ’sから知ってくれた人も少なくない。
……確かに、穂乃果の言う通りだと思うわ。
身内を傷つけられた私からしても、痛いほどよくわかる。
でも、ね。
みんなの言う"守りたい人たち"っていうのは、私からしたらファンのみんななのよ。
μ’sがライブに出るかもしれない、7年ぶりに全員揃ってライブをしてくれるかもしれない。
それだけのことで泣いてくれるファンの人たちがいるの。
私は……その気持ちを踏み躙りたくない。
お願い……、一生の、お願い。
私と一緒に、ステージに立ってください……っ!」
今から更新します
書き溜めはないので遅くなります
花陽「…………」
真姫「…………」
穂乃果「………無理だよ」
にこ「……っ!!」
ことり「穂乃果ちゃん…っ!」
穂乃果「無理、だよ…7年前のこと、忘れたの?」
にこ「わ、忘れてなんかないわよ!!忘れるわけないじゃない…!あんな、あんなこと!」
穂乃果「…なら、分かってくれるよね、もう一度同じこと繰り返すつもりなの?」
にこ「で、でも!でも……!」
真姫「……あんまり、世間の評判も良くないみたいだしね」
絵里「えぇ……」
にこ「そ、それはにこがなんとかするから!それに、わたしたちはμ’sなんだもの!悪口言ってるやつらなんか黙らせることぐらいできるでしょ!?」
凛「……もう7年も経ってるんだよ。あの時みたいに歌ったり踊ったりなんて出来ないよ」
希「にこっちの気持ちも、わかる。ウチやって、出来ることならまたみんなでステージに立ちたいし、そのつもりやった。……けど、そうよな。みんなには……もう、大切な他人が…命に代えてでも守りたい人がいる。……その人たちに危害が加えられる可能性があることを知ってては……出来ないよね。」
海未「私たちは……μ’sではありますが、もう"スクールアイドルのμ’s"ではありませんからね…」
穂乃果「……"μ’s"は、7年前のあの日に解散したんだよ。
もう、消えたの。…もう一度やり直す必要なんて、ないでしょ」
ことり「ーーーいい加減にしてっ!!!!!」
絵里「……ことり…?」
ことり「黙って聞いてればみんな自分勝手すぎるよ!!
あんなことがあっても、にこちゃんはずっとアイドルやってきたんだよ!?今のみんなみたいな気持ちをずっと抱えて1人でアイドルやってきたんだよ!?」
凛「そうかもしれないけど、でもそれはにこちゃんが自分でやるって決めたことでしょ?なら、当たり前じゃん」
花陽「り、凛ちゃん……」
凛「だってそうでしょ?そういう可能性があるの分かっててアイドル目指したなら、それは自分で決めた道なんだから。
同じように、穂乃果ちゃんも自分の意思でライブには出ないって決めたんでしょ?一緒じゃん」
にこ「……」
ことり「……違う。にこちゃんは、ただみんなとステージに立ちたいだけなんだよ。あの日みたいに、みんなで輝きたいだけなんだよ……!もう一度μ’sみんなで、9人みんなでアイドルをしたいだけなんだよ!!」
穂乃果「ことりちゃんはさ。自分が何もされてないからそんな危機感持てないんだよ」
ことり「……っ!」
穂乃果「ことりちゃんは、知らないんだよ。……当たり前だよねぇ、だって誰も事件のこと知らない海外なんて広ーいところに逃げちゃったんだもん。」
ことり「ほ、のかちゃ……」
穂乃果「……知らないよね、ことりちゃんは。あの事件の後、私たちが周りの人間にどういう目で見られていたか」
花陽「……っ」
真姫「っ!」
海未「……」
穂乃果「それはもう地獄だよ、家にいれば家を攻撃されるし、陰口なんて当たり前だったし。…自分のせいだって、何回も死のうかなって思ってたぐらいだよ。……あんな思い、もうしたくない。
ことりちゃんには、あるの?
そういうふうになって精神攻撃される覚悟、ある?」
ことり「……っ、わ、たし…」
ガタンッ!!!!
「そこまでですよ、ことりさん」
……少し前・穂むら……
雪穂「本当だ……全部、一致してる……」
亜里沙「疑っちゃいけないの、分かってたんだけど……あの日あの話を聞いてたのは私たちとμ’sの皆さんしかいないし、芸能人御用達の個室居酒屋だからそんなに外部に漏らすような人いるのかなぁって思って……
お姉ちゃんや、にこさんのブログ…あと、携帯変わってたら無駄なんだけど、μ’sの時のTwitterとかも調べてみたの。
それで、その書き込みと一致したのが…」
雪穂「ことりさん……なんだね…」
亜里沙「でも、亜里沙にはわからない。どうしてことりさんがこんなμ’sにとってマイナスになりそうなことを掲示板に書き込んだのか…」
雪穂「……"スクールアイドル騒動の主犯格グループμ’sが、元μ’sメンバーで現役アイドル矢澤にこのツアーライブで一夜限りのライブ予定!"…。
本当にこれことりさんが書いてるんだとしたら、絶対裏で何かがあるよね…」
亜里沙「まさか……7年前の復讐、とか…」
雪穂「あり得なくは、ない」
亜里沙「……私、μ’sのライブ見ることができるかもしれないの、すっごく嬉しい。…だけど、そのせいでまた皆さんが悲しむなら…そんなの、見たくない」
雪穂「それは、私もだよ。……とりあえず、ことりさんに事情を聞かないとね。このページコピーすればいいかな?」
亜里沙「うん。雪穂ありがとう。」
ガラッ
穂乃果母「あら、亜里沙ちゃんいらっしゃい」
亜里沙「こんばんは!お邪魔していますっ」
穂乃果母「いえいえ、ゆっくりしていってね」
雪穂「お母さんどこ行ってたの?」
穂乃果母「……あぁ……んーと、」
雪穂「?」
穂乃果母「2人は……ことりちゃんのお母さんのこと…知ってる?」
亜里沙「ことりさんの……お母さん?が、どうしたんですか?」
雪穂「あっちで日本語教師をしてるって聞いたよ?」
穂乃果母「っそ、それは誰に……?」
雪穂「ことりさんだけど……」
穂乃果母「…やっぱり本当のこと、話してないのね…」
亜里沙「本当の……こと……?」
穂乃果母「ううん、気にしないで。こっちの話よ。
ごめんなさいね邪魔して、ゆっくりしてって…」
雪穂「待って、お母さん。……教えて、くれないかな」
穂乃果母「…でも、ことりちゃんから直接聞いてないなら話すわけにはいかないわよ」
亜里沙「そ、そこをなんとか……!」
穂乃果母「んー……そう言われてもね……」
雪穂「こ、ことりさんが……μ’sがライブすること、ネットの掲示板で広げてるの…、もしかしたら、ことりさんのお母さんのことと何か関係があるかもしれない!
お母さんお願い!私、μ’sのステージ見たいの!
もう一度、みんなを笑顔にするμ’s、9人のライブを見たいの……!」
亜里沙「私からも、お願いしますっ……!μ’sには、今度は誰も傷つかないようなステージにしてほしいんです!!」
穂乃果母「あなたたち……。……はぁ、頑固なとこ…穂乃果とそっくりなんだから。
……ことりちゃんのお母さんね、蒸発したらしいのよ」
雪穂「蒸……発…?」
穂乃果母「えぇ。日本語教師をやってたのは本当みたい。
でもそれは3年前まで。……3年前のある日、『居るべき場所へ帰る』とだけ書いた手紙を残して行方が分からなくなってしまったらしいの。
……それから、ことりちゃんはずっとお母さんを探してたみたいで、いろんな国を回ったらしいわ。
そしてたまたま、仕事の関係で日本に来たのね。」
亜里沙「ってことは……掲示板に書いたのは…」
雪穂「少しでもことりさんのお母さんの目につくようにするため……?」
穂乃果母「今日、園田さんからその相談を受けたのよ。
……何もできない自分が歯がゆくてたまらないわ」
亜里沙「…………行こう、雪穂」
雪穂「うん、そうだね…探せば、もっといい案があるかもしれない。何より…μ’sのみんなに黙ってていいわけない、こんなこと」
亜里沙「雪穂のお母様、ありがとうございます…教えてくれて」
穂乃果母「…ううん。ことりちゃんのこと…よろしくね」
亜里沙「はいっ」
……居酒屋……
亜里沙「…そこまでですよ、ことりさん」
絵里「亜里沙?一体どうしたの…?」
海未「何か用事でもあるのですか?」
バサッ……
亜里沙「ことりさん、こんなことしてもことりさんのお母さんは絶対に喜びません」
ことり「……!!」
真姫「なによこれ……掲示板のコピー?…ってこれ、情報漏洩じゃない!……この2枚目って、ことりのブログ?なんでこの2枚が……」
花陽「真姫ちゃん、待って!それ、下の数字、」
ことり「や、やめて……やめて!!」
真姫「掲示板のとことりのブログのが一致……してる……?」
ことり「やめてってば!!!!!」
バンッッ!!!!
真姫「…………」
凛「……」
穂乃果「……そういうこと、ね」
ことり「…っ、ぁ……あ……っ」
にこ「…………こ、とり…?うそ、よね…?」
にこ「だ、って……ことり、今日…このこと私に相談しに来たじゃない…
……どういう、こと…?
ことりの、自作自演だったって、こと……?
にこが、μ’sでライブするっていったこと……馬鹿に、してたの……?」
ことり「違う!違うのにこちゃん!!!」
凛「……7年前と全然変わってないよことりちゃんは」
海未「……」
ことり「ちが……っ、違うの!話を聞いてよ!信じてよ、ねぇ!!!違うの!違うんだよ!!!」
希「何が、違うん……?こうなること、分かっててこんなこと書いたんやろ……?」
亜里沙「ーー探してるんですよね、お母さんを」
ことり「!!なっ……なんでそれ…っ!?」
絵里「えっ?だって理事……っごめんなさい、ことりのお母さんは海外で日本語教師をしてるって…」
雪穂「正しくは"3年前、海外で日本語教師をしていた"。…ですよね、ことりさん」
ことり「……っ」
海未「本当……なのですか…?お母様がいなくなったってこと、ですよね…?」
ことり「…………うん」
ことり「3年前、お母さんはいきなり私の前から居なくなったの。
"居るべき場所へ帰る"って書かれた紙切れだけを残して、お母さんは何処かへ消えてしまった。
生きてるかもわからない。
きっと、お母さんのことだから生きてるんだろうけど、どこにいるのか全然わからなくて…
自分なりにいろんなところを探したよ?
あちこちに捜索願いも貼って歩いた……それでも、お母さんは一向に見つからなかった。
そんな時にね、たまたまテレビにアイドルになったにこちゃんが映ってて……気付いたの。
お母さんが"居るべき場所"っていうのは、理事長だったあの頃のことなんじゃないかって。
でも、学校に行って簡単に見つかるわけないって分かってたから…私はその時の仕事を糧に、にこちゃんの衣装係を目指した。
……誰に近づいてもよかったんだけど、1番μ’sを揃えてくれそうな人…それも、たくさんの人の目に付く形で集まれる機会を作ってくれるのはにこちゃんしかいないと思ったから。
掲示板に書き込んだのは…事件のことをダシにすれば、たくさんの人が話題に取り上げてくれるって思ってたから…
ニュースにでもなれば、何処かでお母さんが見てるかもしれない。そしたら、お母さんは戻ってきてくれるかもしれない…って思って……
ただ、それだけ、だったの……!
ごめんなさいっ……!!」
真姫「……だから、あんな必死ににこちゃんの方を持ってたのね」
穂乃果「……どうしてもっと早く言わなかったの
ズルイよことりちゃんは!!ズルイよ!!それじゃあ後出しじゃんけんと一緒だよ!?」
にこ「……最初から、全部計算だったわけね…全部、最初から」
希「にこっち……」
にこ「ことりの気持ちは、分かったわ。できる限り協力する」
ことり「にこちゃん……」
にこ「でも、ライブの件は無かったことにさせて。
……私から話を振ったのに、ごめんなさい」
海未「……仕方ない、ですね」
花陽「うん……」
絵里「……」
亜里沙「亜里沙は、見たいです。μ’sのライブ」
にこ「……!」
亜里沙「確かに、7年前のことはトラウマかもしれません。
でも、だからって諦めて欲しくないです。
約束…したじゃないですか、亜里沙が戻ってきたらμ’sの皆さんでライブ、してくれるって!
もう、私たちは大人なんです。7年前とは違うんです!
自分の気持ちから逃げて、本当に大切な人を守ることができますか!?
μ’sが終わって7年の間、ずっとμ’sのこと忘れずに想っていてくれた人たちは…みなさんにとっての大切な人たちではないんですか!?
ありがとうって、伝えなくていいんですか!?
確かに、掲示板の怖さを知らずに書き込みをしたことりさんは浅はかだと思いますが…でも、そのお陰でたくさんの人が今、7年ぶりにμ’sに注目してるんです!
新しいステージを待ち望んでいるんです!
もう、チャンスは今しかないんです!」
にこ「亜里沙ちゃん……」
穂乃果「でもそれって、ステージでわざわざやらなきゃいけないの?…確かにことりちゃんのお母さんのことは心配だけど…」
真姫「亜里沙ちゃん……この数字って」
亜里沙「IPアドレスですよ。数字だけで特定するほどの技術は亜里沙にはありませんが、皆さんが見た通り、ことりさんのブログの書き込みと、掲示板の書き込みのIPアドレスが一致しています。」
凛「つまり同一人物ってことだね」
ことり「……ごめんね」
雪穂「…それで、どうするんですかみなさん」
絵里「どうする、って…」
雪穂「ライブ、するんですか?しないんですか?」
花陽「……」
雪穂「いい加減、決めてください…!」
にこ「……もう、いいわよ。諦めるから。無理強いしちゃ、悪いものね」
ことり「…………」
にこ「別の方法を、探しましょ?ことり」
ことり「……嫌」
花陽「ことりちゃ、」
ことり「わがままだって、わかってる!それでも、みんなこうして集まれたんだよ!?一度バラバラになったμ’sが集まれたんだよ!?
……そんな、簡単に諦めたくなんてないよ…」
にこ「亜里沙ちゃん……」
穂乃果「でもそれって、ステージでわざわざやらなきゃいけないの?…確かにことりちゃんのお母さんのことは心配だけど…」
真姫「亜里沙ちゃん……この数字って」
亜里沙「IPアドレスですよ。数字だけで特定するほどの技術は亜里沙にはありませんが、皆さんが見た通り、ことりさんのブログの書き込みと、掲示板の書き込みのIPアドレスが一致しています。」
凛「つまり同一人物ってことだね」
ことり「……ごめんね」
雪穂「…それで、どうするんですかみなさん」
絵里「どうする、って…」
雪穂「ライブ、するんですか?しないんですか?」
花陽「……」
雪穂「いい加減、決めてください…!」
にこ「……もう、いいわよ。諦めるから。無理強いしちゃ、悪いものね」
ことり「…………」
にこ「別の方法を、探しましょ?ことり」
ことり「……嫌」
花陽「ことりちゃ、」
ことり「わがままだって、わかってる!それでも、みんなこうして集まれたんだよ!?一度バラバラになったμ’sが集まれたんだよ!?
……そんな、簡単に諦めたくなんてないよ…」
「ーーーちょっといいかしら?」
穂乃果「えっ……」
絵里「なんで、ここに…」
ツバサ「……久しぶりね、μ’sのみなさん」
……公園……
ツバサ「ごめんなさいね、いきなり話に割って入ったりして。たまたま、知り合いと飲んでたら聞き覚えのある声がしたから気になったの」
穂乃果「何の用……ですか」
ツバサ「そんなに警戒しないで。危害を加える気は毛頭ないわ。」
ツバサ「単刀直入に言う。……μ’sに、私がプロデュースするライブで歌って欲しいの」
にこ「……っ!?!ツバサさんって、まさか…!」
ツバサ「あぁ…言ってなかったわね。今はアイドルのプロデュースをしているわ。
9人が歌って踊るには十分なステージは確保してある。
もちろん私がプロデューサーだからある程度のネームバリューはあるし宣伝効果は抜群。」
ことり「……!」
ツバサ「それに……」
花陽「それに…?」
ツバサ「あんじゅからの……お願い、だから」
凛「……!あんじゅちゃんのっ…?!」
ツバサ「…………7年前。高坂さんがあんじゅから預かった手紙を読んだわ」
ツバサ「手紙には、あの事件のこと…あんじゅの私たちに対する想い、スクールアイドルに対する想いが書いてあった。
最初は、冷静になれなかったせいでまた嘘ばっかり書いてるんだろうと思ったし、何度か破り棄てようともした。
でも、出来なかった。
気づいたら毎日毎日何度もその手紙を読んでた。
…当たり前よね。
だって私たちは仲間だったんだもの。
そんな簡単に心から嫌うなんて、最初から無理な話だったの。
だけどそれに気付くには余りにも遅すぎた。
失くしてから気付く大切さ、ってよく言うじゃない?
本当に、その通りよ。
私は、あんじゅがいなくなってから彼女の大切さを知ったの。
あんじゅがね。
手紙の最後に未来の私たちへ希望を託していたの。
私が今プロデュースをしているのも元はと言えば、あんじゅが手紙に『ツバサにはずっとアイドルに関わっていて欲しい』って書いていたのがきっかけ。
……そして、あなたたちμ’sには、
『叶うことならもう一度、元気と笑顔をくれるμ’sにステージで会いたい』
って書いてたの。
こんな事、言ったら媚び売ってるふうに思われるかもしれないけど……私たちは、確かにμ’sには負けたくないって思ってた。でもそれ以上に、私たちはあなたたちμ’sのことが好きだった。
出来ることなら、あんじゅだけじゃない…わたしも、μ’sのステージがもう一度みたい。
もう一度、9人で輝いて欲しいの」
穂乃果「凄く、嬉しいです。でも、……やっぱり、私たちは…無理です…
あの時のこと、忘れられませんっ…!」
真姫「……万が一また何かあったら、って思うと」
にこ「(きっと……私がやりたいって言っても、みんなは…)」
凛「……っごめん、みんな。凛……やりたい」
にこ「!凛……!」
海未「で、ですが凛はさっきまで……」
凛「う、うん…分かってる…こんな手のひら返し人のこと言えないよね?自分勝手なの、分かってるけど…。
あんじゅちゃんが、そんなこと思ってたんだって知ったら蔑ろには出来なくなっちゃって。
…その、凛は…あんじゅちゃんのこと友達だと、思ってるから…」
穂乃果「………」
雪穂「……本当は、やりたいんじゃないですか?
皆さんも……お姉ちゃんも。」
穂乃果「っ!」
雪穂「顔、見てればわかるよ。私はお姉ちゃんの妹なんだから。」
穂乃果「雪穂……でも…」
雪穂「ああっ、もう!いつまでぐちぐちしてるの!
もう後ろめたいことなんて何もないでしょ!?
お姉ちゃんたちは堂々と輝いてればいいんだよ!
やりたかったらやればいいじゃない!
もうみんな大人なんだから、無力じゃないでしょ!?
待ってる人たち、いるんだよ……
μ’sのステージ、楽しみにしてる人たくさんいるんだよ……!」
絵里「……雪穂ちゃんの、言う通りかもしれないわ」
穂乃果「……絵里ちゃんまで。なんでみんなそんな自分勝手なの?周りの人のこと、考えないの?
また同じことがあったらどうするつもり…」
絵里「穂乃果はやりたくないの?」
穂乃果「……」
絵里「私は、やりたい。みんなでこうして7年ぶりに集まって、こんなきっかけをつくってもらえて。
…無駄にしたくない。みんなの気持ちも、ここにいる私達の気持ちも。」
希「えりちの、言う通りやと思う。確かに、何かあったら…怖い。それはきっとみんな一緒。でも、にこっちは1人でここまでアイドルとして頑張ってきた。…ううん、にこっちだけじゃない、ウチらみんな、そう。
理不尽な事件に巻き込まれて、恨まれて傷ついて、ウチらも誰かを恨んで傷つけて…後ろ指さされたことだって少なくない。
だからこそ、だからこそもう一度やり直したい。
あの頃のようには上手く歌ったり踊ったりできないかもしれない。
それでも、それでもウチはμ’sが好きなん。
μ’sのみんなでもう一度あの時果たせなかったステージを作りたい。
悲しみに閉ざされたまま、泣いてるだけなんてμ’sには似合わない!
ウチは、また新しい一歩をμ’sとして踏み出したいんよ!」
凛「希ちゃん……」
真姫「……みんなと離れてる間、私は毎日のようにあの頃のライブ映像見てた。
あぁ、楽しかったなって。
本当にただそれだけなんだけど、楽しくて仕方なくて…生き甲斐って言ってもいいくらいだった。
みんなのことを考えたらいつのまにか曲を作っていたりもして……上手く言えないけど、その、私も…もう一度だけでいいから、みんなとステージに立ちたい。
小児科医の卵の子供達に歌う西木野真姫じゃなくて、μ’sとして…ファンのみんなの前で歌う西木野真姫として、もう一度歌いたい…!」
にこ「…真姫」
花陽「……わたしは、やっぱりまだ、怖い。でも、μ’sのこと…7年たった今でも、覚えてくれてるどころか、あんなことがあってもまだ好きでいてくれてる人たちがいるとしたら、わたしは少しでもその想いに応えたい、って思う。
……終わるなら、最後までアイドルとして、お客さんを…μ’sのファンの人たちを笑顔にして終わりたい…!」
凛「かよちん……。……さっきは、あんなこと言っちゃったけど、凛…にこちゃんのこと、すごいなって思ってる。
…本当に、すごいなって。
凛はずっとアイドルやっていこう、なんて怖くてできなかったと思う。
…1人で、ずっと不安だったんだよねにこちゃん。
今日こうしてみんなが、集まったの1番嬉しいのもきっとにこちゃんだよね。
みんなで、踊れるかもってなった時もにこちゃんが1番嬉しかったんだよね。
…だから、凛はあんじゅちゃんとにこちゃんのために歌うよ。
ありがとう、って。
本当にありがとうって。
だって、あんじゅちゃんがいなかったら凛はいつまで経っても子供のままで、誰の役にも立てずになんとなく過ごしてたと思うし、にこちゃんがいなかったらこの9人は揃わなかったと思うから。
ありがとう、にこちゃん」
にこ「なっ…!な、何言ってんの…っ!当たり前でしょ!?
私はアイドルが好きなの!!…でもね、それと同じぐらい…ううん、もしかしたらそれ以上にμ’sが好き。
だから、無理言ってでもどうしても実現させたかった。
とはいえ、強引すぎたわよね反省だわ。
…みんながいなかったら、私はきっと今頃アイドルをテレビでみて羨ましがってるだけだったわよ。
μ’sがいたから、私はもう一度夢を持てたの。
みんなに貰った夢だもの、簡単には諦めたりしたくなかっただけよ」
絵里「にこ…あんまり泣かせないでよ……」
にこ「なんであんたが泣くのよ!
泣きたいのはこっちよ!それより…海未は、どうなの?」
海未「……私は、」
海未「……私は、迷っています。確かに、μ’sのみんなでもう一度同じステージに立ちたい気持ちは強いです。……ですが、みんなの言う通り、また同じことが起きるかもしれない。
今度は自分だけでなく、園田という名に傷がつくかもしれない。
それを考えると怖いのです…。
どうすることが、自分たちにとって一番いいのか。
どうあれば、誰も傷つかずにいられるのか……私はそればかり考えていて……正直、自分でもなにが良策なのかわかりません……」
ことり「海未ちゃん……」
穂乃果「ーーーー誰も、傷つかないことをしたいなって思ったの。」
穂乃果「7年前、最初にラブライブを目指したとき。
わたしの勝手な考えと行動でμ’sがバラバラになっちゃったよね?
あの時、決めたの。
今度は誰も傷つかずに、笑顔にできるようなことがしたいなって。
だからこそ、その後にまたμ’sをやってこれてよかったって思う。
ねぇ、みんな……ツバサさん。
わたしたちはもう一度、ステージに立っていいんでしょうか。
あんなことがあったのに、またステージに立つことが許されるんでしょうか。
ステージに立ったとして、みんなはそれを受け入れてくれるのかな。
また、わたしたちと一緒に笑顔になってくれるのかな?
穂乃果は、怖いんだよ。
守りたい人たちもいる、だけどなにより、大好きなみんなと大好きな歌を歌ってステージに立った時にお客さんが誰もいなかったりしたり……誰も笑顔になれなかったら、本当に、本当につらい…!!
あの時は花陽ちゃんも凛ちゃんが客席に来てくれた、後からみんながあの場にいたことを知ったから救われたの。
でも、穂乃果は!
もうあんな思いはしたくないの!!
ステージに立ちたいよ!?
みんなで立ちたい!わたしだって、出来ることならずっとずっとあの頃みたいに歌いたいと思ってた!!!
でも、でも……っ!
……っ?」
ぎゅー…っ
「ーーーー大丈夫よ」
穂乃果「つ……ばさ、さ」
ツバサ「大丈夫……。だって、周りを見てみなさいよ。
貴女は……」
穂乃果「……!っぅ……ぁ、」
ツバサ「ーーーもう、"ひとり"なんかじゃないでしょう?」
穂乃果「う……っぁ、あぁ……うわぁぁあああん!!!!ごめんなさい!!!ごめんなさい!素直になれなくて!穂乃果もずっとずっとみんなと歌いたかったよお……っ!!!!」
絵里「……決まり、みたいね?」
にこ「ええ、忙しくなるわ!」
希「やっぱりこの9人でμ’sなんよ……よかった、ほんとに…」
にこ「もう、みんなめそめそ泣いてんじゃないわよ…もう……ほんと、ばか、じゃないの……?」
凛「鏡見た方がいいよにこちゃん」
にこ「これは汗よ」
真姫「目から汗が出るなんて異常だわ、今すぐうちの病院に行きましょう」
にこ「ひぇえ!う、嘘よ!みんな泣いてるからわたしだっていいじゃない!」
穂乃果「……それと、」
穂乃果「それと、ことりちゃんのお母さんも探そう」
ことり「……っ!ほのか、ちゃ」
穂乃果「今までたくさんお世話になったんだもん。
やっぱりこのまま放ってはおけないよ!
みんな、いいかなぁ?」
海未「えぇ、私も同じ気持ちですから」
花陽「困った時はお互い様、ですよねっ」
ことり「みんな……っ、ごめん、ね!わたし、ネットにあんなこと書いたのに……あり、がとう…ありがとう……っ」
ツバサ「……ふふっ。
それがね、一概にも悪い反響ではないのよ。
どっちかっていうと批判なんて少ないぐらい!
みんなμ’sのステージを心待ちにしてるのよ?」
穂乃果「そう、なんだ……そうなんだ……!
みんな、やろうっ…!もう一度、わたしたち、ステージに立とうっ!!」
希「いいやん!楽しいステージにしよう!」
真姫「曲ならもう出来てるわ」
にこ「早!?」
海未「歌詞も書きためてあります」
凛「こっちも仕事早いにゃ……」
ことり「わたしももうほぼ衣装は出来てるんだ♪」
花陽「さすがです……」
亜里沙「……一件落着、かなっ」
絵里「ええ、そうみたいね。本当に……ありがとう、ふたりとも。」
雪穂「いえいえ!私はお姉ちゃんに素直になってほしかっただけですから」
亜里沙「μ’sのステージ、また見れるの本当に本当に嬉しい!!ありがとう!!」
ツバサ「さぁ!今日から忙しくなるわよ!!なんたってステージは2週間後だからね!」
にこ「……胃が」
穂乃果「えへへ…じゃあ、みんな!ファイトだよっ!!
「「「「おーー!!!!」」」
一応次からラストスパートになる予定です…
更新不定期で申し訳ありません。
ご指摘通り、即興で書き進めておりますしレスで頂いた疑問点はなるべく本編で解決させようと組み込んで来ましたので話のほうも広がりすぎな部分もあると思います。
こんな形でも時間はかかってしまいますが、必ず完結させたいと思っておりますのでぜひ最後までお付き合いください。
生徒「ねぇ、ほのっちー」
穂乃果「んー?なぁに?」
生徒「ほのっちアイドルだったの?」
穂乃果「ぶふっ!?!?ど、どこでそれを!?!?
てかなにそれ!!写真!?!?」
生徒「この間たまたま関東のアイドルショップ行ったら、みゅーず…?が特集されてて、写真とかグッズとかいっぱいあって……、これほのっちだよね?
こっちは、この間きたスクールカウンセラーの星空先生だし…にこにーもいるし、アナウンサーの絢瀬絵里もいるし、テレビに出てた園田道場の人もいるし……ほのっち何者……?」
穂乃果「え、えぇっと……それはぁ……あはは…」
凛「そうだよーっ、わたしたちスクールアイドルだったんだあ」
生徒「スクール……アイドル……?学校でアイドルをしてたってこと?」
穂乃果「うん、そうなるかな?もともと私たちがいた学校が廃校寸前になっちゃって…それを阻止しようと私が始めたんだよね…」
凛「あの時の穂乃果ちゃんは強引だったにゃー」
生徒「(にゃー……?)」
穂乃果「……でも、それからいろいろあって、μ’sも解散したしもうアイドルはしてないよ」
生徒「えっ、でもまたライブするんでしょ?みんな見に行きたいって言ってたよ?」
穂乃果「……!?!?えぇ!?」
凛「……個人情報皆無」
生徒「でも東京なんて新幹線で3時間ぐらいかかるし、交通費だってバカならないし……、……!」
穂乃果「……?え?」
生徒「ねー、ほのっちー?」
穂乃果「ん?え?」
生徒「μ’sでうちの学校でもライブしてよ!!」
穂乃果・凛「「えええええええええええ!?!?!?」」
凛「さ、さすがにそれは……ねぇ……?」
穂乃果「そうだよ……無理ありすぎると思うよ?」
生徒2「おーーい!」
生徒「あっ!きたきたどうだった?」
生徒2「署名もかなり集まったし生徒会からの承認も貰ったよ!先生たちもOKだって!!」
生徒「本当!?よく先生たちに通ったね!!」
穂乃果「……まさか」
生徒2「うんっ!!先生たちもμ’sのファンだったみたいなんだよー!!」
穂乃果・凛「!?!?!?!?」
生徒「やったね、ほのっち!!!!」
穂乃果「いや、えっと、えぇ……!?」
生徒2「楽しみにしてるね、ほのっち、凛ちゃんっ!」
凛「せ、先生にちゃん付けは良くないって言ってるにゃ!……っは!」
生徒2「にゃー!!凛ちゃんかわいいっ」
凛「〜〜っ!!!も、もう行こう穂乃果ちゃん!抗議だよっ!」
穂乃果「いや、そんなファイトだよっ!みたいに言われても……」
ピンポンパンポーン
『高坂先生、星空先生、至急校長室までーーー』
穂乃果・凛「………………」
校長「……というわけなんだが、なんとかμ’sで我が校をステージにライブしてはくれないだろうか?」
凛「(嘘でしょ……)」
穂乃果「(本当に?え、ていうかなんのために?)」
校長「恥ずかしながら、私も含め職員共々μ’sのファンでな。だが、関東とは余りに離れてるために復活ライブには行けそうもなくて…」
穂乃果「あ、あはは……」
凛「……校長。私たちμ’sに何があって…何故解散せざるをおえなかったか、ご存知ですか?」
校長「……」
凛「生徒たちは知らなくて当然ですが、他の職員の方々もきっとご存知ですよね?……ご存知なら、その後に起こりうる自体も当然ご理解いただけると思うのですが」
穂乃果「……私たちμ’sは、スクールアイドルとして活動した結果、自分たちだけでなく周囲の個人情報をも流出し、多くの無関係の方を事件に巻き込んでしまいました。
もしここでライブするとなれば、生徒の皆さんに危害がないとは言い切れません。
正直、私たちは学校という場でライブをするのは反対です。
……気持ちは、すごく、すごく嬉しいのですが」
校長「……そうだね。私的混合してしまった。
学校のことを考えるべきだったな、すまない。
後で個人的にサインを貰ってもいいかな?」
穂乃果「はい!それはぜひっ」
校長「ありがとう。嬉しいよ」
校長「……というわけなんだが、なんとかμ’sで我が校をステージにライブしてはくれないだろうか?」
凛「(嘘でしょ……)」
穂乃果「(本当に?え、ていうかなんのために?)」
校長「恥ずかしながら、私も含め職員共々μ’sのファンでな。だが、関東とは余りに離れてるために復活ライブには行けそうもなくて…」
穂乃果「あ、あはは……」
凛「……校長。私たちμ’sに何があって…何故解散せざるをおえなかったか、ご存知ですか?」
校長「……」
凛「生徒たちは知らなくて当然ですが、他の職員の方々もきっとご存知ですよね?……ご存知なら、その後に起こりうる自体も当然ご理解いただけると思うのですが」
穂乃果「……私たちμ’sは、スクールアイドルとして活動した結果、自分たちだけでなく周囲の個人情報をも流出し、多くの無関係の方を事件に巻き込んでしまいました。
もしここでライブするとなれば、生徒の皆さんに危害がないとは言い切れません。
正直、私たちは学校という場でライブをするのは反対です。
……気持ちは、すごく、すごく嬉しいのですが」
校長「……そうだね。私的混合してしまった。
学校のことを考えるべきだったな、すまない。
後で個人的にサインを貰ってもいいかな?」
穂乃果「はい!それはぜひっ」
校長「ありがとう。嬉しいよ」
穂乃果「……ってことがあったんだあ」
にこ『まぁ、確かに難しいわよね…んー…』
穂乃果「だって新幹線で3時間近いよ?飛行機でも乗り継ぎしなきゃないし…それに」
にこ『ラストライブって言った以上、いくら自分が勤めてると言えど特別視は出来ない。…でしょ?』
穂乃果「……さすがにこちゃん。」
にこ『当然でしょ!部長よ、わたしは!』
穂乃果「元、だけどね」
にこ『う、うるさいわねっ』
穂乃果「……えへ」
にこ『ひとつだけ』
穂乃果「……?」
にこ『ひとつだけ、考えがあるわ』
穂乃果「それって……?」
……次の日・校長室……
穂乃果「……という案があるのですが、どうでしょうか…」
校長「映画館でのライブビューイング……か。」
穂乃果「現地の熱気には勝てないかもしれませんが、私たちの顔は現地よりしっかり見えますし、何より画面越しでも変わらない想いを届けることを約束します。」
校長「……その瞳」
穂乃果「え?」
校長「私は、君のその瞳がとても好きだった。
μ’sとして、高坂穂乃果さんとして、ひたむきに前に進んでいくその姿に何度も胸を打たれた。
あんな事件があって、なんの役にも立てず心苦しく思っていたが……まさかこんな田舎の学校で君と会えるとは思わなかったよ。
……ありがとう。」
穂乃果「……っ!そ、そんな……私なんて何も…」
校長「学校の長としてではなく、1人のファンとして君を応援している。
来週のパフォーマンス、楽しみにしてるよ」
穂乃果「は、はいっ……!!」
穂乃果「にこちゃんっ、あの話通ったよ!ありがとう!」
にこ『そう、よかったわ。…さすがツバサね』
穂乃果「ツバサさんがこの案を出してくれたの…?」
にこ『そうよ。も、もとは私が出したんだからね!』
穂乃果「うん、ありがとうにこちゃん」
にこ『それと……ライブビューイングは全国の映画館で中継されることになったわ』
穂乃果「ぜ……全国ぅ!?!?!?」
にこ『そ、全国。…わたしたちμ’sだもの、きっとたくさんの人が見てくれるわ』
穂乃果「にこちゃん……」
にこ『もう来週でしょ?そっちは大丈夫なの?ちゃんと練習してるんでしょうね?』
穂乃果「し、してるよぉ!凛ちゃんと2人で頑張ってるんだから!」
にこ『そう?……ふふっ』
穂乃果「……?」
にこ『ううん、なんでもない。穂乃果の歌、また聴けるんだなって思ったら楽しみで』
穂乃果「も、もう……褒めても何も出ないよ?
……でも、にこちゃんにそう言ってもらえるのは嬉しい、かな」
にこ『やけに素直ね』
穂乃果「にこちゃんもねっ」
にこ『にこはいつでも素直にこー☆』
穂乃果「ぅえへへ……お仕事がんばってね」
にこ『スルーしてんじゃないわよ!……ありがと、じゃあまたね』
穂乃果「うん、また!」
にこ『あっ』
穂乃果「え?」
プツッ
ツーツー
穂乃果「…あ…切っちゃった…」
穂乃果「……掛け直してこない」
穂乃果「……何だったんだろ?」
穂乃果「お疲れ様でした〜!」
「「お疲れ様ー」」
凛「あっ、穂乃果ちゃーん、今帰るとこ?」
穂乃果「うん!凛ちゃんも?」
凛「そうだよー!ちょっと待ってて、一緒に帰ろ?」
穂乃果「駐車場までだけどね……」
凛「もー本当に不便だよね、車ないと何にもできないんだもん」
穂乃果「仕方ないよ田舎だし」
凛「わかってるよー……ん?穂乃果ちゃん携帯鳴ってない?」
穂乃果「えっ?……あ、本当だ。……希ちゃん?」
ピッ
穂乃果「もしもーし?」
希『あっ、穂乃果ちゃん!あんなー今どこおる?』
穂乃果「今?今は……仕事終わって凛ちゃんとこれから帰るところだけど…」
希『お、じゃあちょうどいいやん♪』
穂乃果「何かあったの?」
希『んとな、そのまま○○駅まで来てくれへん?』
穂乃果「…………へ?」
……○○駅……
希「あ、きたきたー!って、車!?!?穂乃果ちゃん車乗れるん!?えっ、凛ちゃんも!?」
凛「希ちゃん驚きすぎだにゃー、ここに住んでたら一人一台車持ってないと生活できないんだよ」
希「未知の世界すぎるわ……なあ?花陽ちゃん」
花陽「ぴゃぁ!はっ、はいっ!!」
穂乃果「花陽ちゃんライスセンターに釘付けだね…」
花陽「あわよくば見学にいきたいです……」
穂乃果「多分無理だから、精米機に一緒に精米しに行こう?」
凛「はっ……お米買うの忘れてた」
希「(精米機……?)」
穂乃果「それより……どうしてここに?」
凛「凛もずっとそれ聞きたかったよ」
希「あれっ、にこっちからきいてない?
花陽ちゃんとたまたま長期休みがかぶったから、せっかくだし2人会いに行こうと思って!」
穂乃果「あぁ……なるほど」
凛「かよちんはお米狙いだよね」
花陽「う、うん……えへへ」
穂乃果「うーん……でもどうしようか?ここらへんの居酒屋遅くても2時には閉まっちゃうし…」
希「えっ、朝までやってないん?」
凛「やっててもきっと人が入らないんだよ」
花陽「シビア……」
穂乃果「んー……」
凛「あっ、じゃあさ穂乃果ちゃんの家で宅飲みしよ?
コンビニとかでいろいろ買って!」
希「それいいやん!賛成ー!」
穂乃果「えええっ!?!?片付けしてないよぉ!」
花陽「全然大丈夫だよっ、私はお米があれば……!」
凛「だって!凛は今お米切らしてるからやっぱり穂乃果ちゃんのお家でけってーい!」
穂乃果「うう……わかった」
希「そうと決まったら行こうっ」
凛「かよちんは凛の車に乗ってくー?」
花陽「う、うんっ!」
希「じゃあウチは穂乃果ちゃんとーっ」
穂乃果「初めて人を乗せるよ……」
希「だ、大丈夫なん……?」
穂乃果「しっかりつかまっててね……!」
希「や、やっぱりウチ凛ちゃんの……ってあぁ!もう行っちゃってる!?」
穂乃果「なーんてね、大丈夫大丈夫〜!もう初心者マークも外れてるし!」
希「な、なんだぁ……びっくりさせないでよ」
穂乃果「えへへ、じゃあ穂乃果たちも行こうか」
……穂乃果・アパート……
「「「「かんぱーい!」」」」
穂乃果「……ぷはぁっ、それにしてもよく来たねぇ…
お金も時間もかかって大変だったでしょ?」
希「うん、まさか往復で3万近いとは思わんかったわ…」
花陽「新幹線も長かったし、腰痛くなっちゃった」
凛「途中から電波通じなくてイライラしちゃうんだよねー新幹線」
穂乃果「それわかる……穂乃果思うんだけど、駅弁って凄い高いのにそこまで美味しくないよね」
花陽「あれは思い出なんだよ穂乃果ちゃん!」
希「えー?ウチは美味しいと思うけどなあ」
穂乃果「そうかなあ」
希「うん……それにしても、こっちきて一番びっくりしたのは桜が咲いてることやな」
花陽「あっ……わたしもそれ思ったよ。もうすぐGWなのに。」
穂乃果「あー…こっちは開花が今の時期なんだよね。
こっちの人は卒業式とか入学式に桜が咲くのなんて都市伝説なんじゃないかって言ってるよ」
凛「しかもだいたい初夏に咲くから、本当に咲いてる時間短いんだよねーこの間なんて1日で散っちゃった」
希「日本にはこんなところもあるんやなあ」
花陽「同じ国なのに違うところみたいだね」
希「……それはそうと…もうすぐライブやね」
穂乃果「……うん」
希「緊張してる?」
穂乃果「…正直。すごく楽しみだけど、その分怖いし緊張もしてる。
でも、乗り越えなきゃいけないよね。」
花陽「……大丈夫だよ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「花陽ちゃん……?」
花陽「みんな、同じだから。」
希「そう。ステージに立つのは穂乃果ちゃんだけじゃない、ウチら9人なんよ。
ウチらなら、この9人なら支えあっていける。
そうやろ?リーダーの穂乃果ちゃんなら、わかるやろ」
穂乃果「……うん、それがμ’s……なんだもんね」
希「花陽ちゃんとね、話してたんよ。
穂乃果ちゃんも凛ちゃんもすぐ頑張りすぎて辛いこと、苦しいこと抱えるから心配やね、って。
そんな話したら、2人に会いたくなっちゃって。
花陽ちゃんとここまで来たってわけなんよ」
凛「すごい行動力にゃ……」
穂乃果「みんなと離れてて穂乃果も不安だったけど、こうしてわたしたちのこと思ってくれてたんだね」
希「んーん、ウチらも不安だったから。
……もう一度ステージに立つってだけなのに、なんでこんなに感情がぐるぐるするんやろね」
穂乃果「……すき、だから」
希「え?」
穂乃果「きっと……好きだからだよ。穂乃果たちは歌うこと……踊ること……みんなの前で自分たちの、μ’sのパフォーマンスをすることが好きだから。
だから、楽しみで楽しみで、だけど不安になるんだと思う…!」
希「……ふふっ、そうやね。ウチもμ’sとしてステージに立つのが好き」
花陽「わたしも!」
凛「テンション上がるにゃー!」
穂乃果「来週が楽しみになってきちゃったね」
希「うん?ウチはもう何日も前から楽しみやで!」
穂乃果「わ、わたしだって楽しみだったもん」
希「……ねぇ、穂乃果ちゃん
ライブ……成功、させようね」
穂乃果「うんっ!」
ーーーーーーーーライブ当日。
ツバサ「……そろそろ出番よ。大丈夫?」
にこ「……っ」
穂乃果「にこちゃん」
にこ「な、なによ!緊張なんてしてるわけ……」
ぎゅぅっ
穂乃果「……ありがとう」
にこ「ーー!……っ、」
穂乃果「にこちゃんがいたから、またこうしてみんなで集まれた。
にこちゃんがいたから、こうして9人でステージに立てたの。
本当に……ありがとう」
にこ「……バカ……当たり前でしょ。
部長、なんだから」
穂乃果「成功……させようね」
にこ「ええ!」
希「……緊張、してる?」
絵里「かなり、ね」
希「いつもテレビに出てるのに?」
絵里「それとこれとじゃ全然違うわよ」
希「でも……いい顔してる」
絵里「えぇ。だって……楽しみ、だから」
希「……ウチもや」
花陽「あの時、凛ちゃんに友達ではいられないって言われて気付いたんだ。
本当の意味で自分がどれだけ弱かったのかって。
……私、あれから少しでも強くなれたかな」
凛「……なれたよ。……何があっても、いつまで経っても結局変わらなかった。かよちんは凛の1番の友達、ってこと。
あんなひどいこと言ったけど…また、友達でいてくれたら嬉しいな。」
花陽「当たり前、だよ……っ、ありがとう…」
凛「……かよちんは泣き虫だにゃ」
花陽「うん……凛ちゃんも、ね」
凛「だいすきだよ、かよちん」
花陽「わたしも、だいすき」
真姫「緊張……するわね」
海未「えぇ……いくつになっても、こういう場は緊張してしまいますね」
真姫「とかいって、ステージに経ったらお得意の投げキッス、するんでしょ?」
海未「なっ……!あ、あれは!無意識に!」
真姫「無意識に投げキッスなんて……海未って意外と小悪魔なのね」
海未「ち、ちがいますっ」
真姫「ふふ、冗談よ」
海未「もう……本番前にからかわないでください」
真姫「……ねぇ海未」
海未「なんですか?」
真姫「私……あなたの書いた詩、とても好きよ」
海未「……!」
真姫「素直で、繊細で、綺麗で、いじらしい。なのに大胆で、元気がもらえて……
……海未の素敵な詩に私は何度も救われたわ。
ありがとう。」
海未「……私も真姫の曲には何度も助けられましたよ。
真姫の曲だったから、アイデアが浮かんできたのです。
お礼を言うのはこっちの方ですよ。」
真姫「……ふふ」
海未「……真姫」
真姫「えぇ」
「「μ’sの歌を作ったのがあなたとでよかった」」
ことり「…………お母さん」
ことり「……見て、くれる…かな」
ことり「それとも、もう……」
穂乃果「……大丈夫。」
ことり「!穂乃果ちゃ」
穂乃果「絶対、見てくれてる。だって今のμ’sはこれから誰より輝くんだもん。
ことりちゃんのお母さんが見つけられないわけないよ!精一杯、自分たちができるステージをやろう!!」
ことり「うんっ…そうだね……!」
穂乃果「ねぇ、ことりちゃん。……こんな素敵な衣装、短時間に作ってくれてありがとう。
ことりちゃんが作った衣装、また着れたこと本当に本当に嬉しいよ」
ことり「……っ、うん……っ、わたしもうれしい!」
穂乃果「さぁ、時間だよっ!今夜だけのライブ……私たちμ’sの最後で最高のライブにしよう!!」
にこ「望むところよ!……みんな、いい?
今日みんなを1番の笑顔にするわよ!」
穂乃果「1!」
ことり「2!」
海未「3!」
真姫「4!」
凛「5!」
花陽「6!」
にこ「7!」
希「8!」
絵里「9!」
「「「「「「「「「μ’s ミュージック スタート!!」」」」」」」」」
μ’s
ミュージック スタート
μ’sーーーーーー
みゅーず ミューじっく スターと
今日みんナヲ
1番ノ笑がおにするわヨ !
最後
で
最 高のライ ぶ
μ’s みゅー
ず
『今日をもって』
『μ’sは』
『 お し ま い に し ま す 』
・・・・・・7年後。
雪穂「お姉ちゃん」
雪穂「お姉ちゃん」
雪穂「お姉ちゃん」
穂乃果「ーーーーーーーー」
雪穂「……お姉ちゃんは、さ。
今、どこにいるの?
どこで生きてるの?何が見えてるの?
ねぇ、お姉ちゃん!
もう7年も経ったよ!?
ねぇ!ねぇ!!お姉ちゃん!!!
起きてよ!起きてよ!!!
いつまで寝てるの!?!?いい加減起きてよ!
なんで……っ
なんでぇ……っ」
ガラ……
亜里沙「……雪穂」
雪穂「亜里沙……」
亜里沙「……今日で7年だね」
雪穂「うん……亜里沙、御墓参りは」
亜里沙「行ってきたよ。」
雪穂「……そっか。……ねぇ、亜里沙。」
亜里沙「……恨んでないよ、誰のことも。」
雪穂「うん」
亜里沙「穂乃果さんがお姉ちゃんを…μ’sの皆さんを殺したことは事実…だけど。
お姉ちゃんが、穂乃果さんを刺したことも事実。
…7年経った今でも穂乃果さんの意識が戻らないことも事実。」
雪穂「……お姉ちゃんは、もう戻ってこないのかな」
亜里沙「解らない……。でも、ね雪穂。
…穂乃果さんは、きっと夢、見てるんじゃないかな。
きっと凄く幸せな夢…」
雪穂「……またあのノートの話?」
亜里沙「うん、穂乃果さんが7年前…7年後のことを想像して書いた……幸せなμ’sの未来。
もう一度巡り合って、もう一度ライブをして、それぞれ9人が好きな道に進んで、未来を歩んでく…そんな幸せな未来。
あれを読んだから、今の亜里沙は警察官を目指してる。
雪穂もそうでしょ?」
雪穂「…うん。お姉ちゃんは、私にこうなって欲しかったのかなって思ったら…自然とその道を選んでた」
雪穂「学校の先生になって、みんなに慕われて…
もう一度ライブをして、それを全国の映画館で中継して……なんて、お姉ちゃんは本当に夢見すぎなんだから」
亜里沙「……雪穂」
雪穂「もう……叶わないんだよ?
だって、お姉ちゃんがみんなを殺しちゃったんだもん。
こんな夢みたいなお話書いた後に、
どうしてみんなを殺したの……?」
亜里沙「……夢だ、って知ってたんだよ」
雪穂「どういうこと?」
亜里沙「……雪穂は、見たんだよね?花陽さんが凛さんの首を絞めてるところ」
雪穂「……うん」
亜里沙「きっと、穂乃果さんは気付いてた。
μ’sがμ’sとしてこの先幸せになれないこと。
μ’sのメンバーがみんな狂い始めてること。」
雪穂「……」
亜里沙「穂乃果さんは、望んでた。
ノートに書いてたみたいに、ひとりひとりが想いを告げて、解散をすること。
全員じゃないにしろ、何人かがここを離れて新しい生活をすること。
またいつか会おうと約束して、9人が別れること」
雪穂「……でも、現実はそうじゃなかった」
亜里沙「……雪穂、もう7年も経ったよ。そろそろ、その時のこと…聞かせてくれないかな。
大丈夫。
わたし、穂乃果さんのことも雪穂のことも責めたり恨んだりしないから」
ここまで
ん?名前欄は同じだけど692までの書き込みと694からの書き込みのIDが違うから実は乗っ取りっていう落ちだったらいいなぁと
>>716
IDは家でWiFiが通じるところと通じないところ、ポケットWiFiとでコロコロ変わるので酉をつけました……
よって本人です
雪穂「……7年前のあの日」
……穂乃果・病室……
雪穂「遅くなってごめんねお姉ちゃん。凛さんはちょっと気分が優れないから休んでおくって」
花陽「……っ」
穂乃果「そっか……分かった。…みんな、わざわざ来てくれてありがとう。
それと……ツバサさんと英玲奈さんも、ありがとうございます。」
ツバサ「……なんで呼び出されたのか分からないけど」
英玲奈「何か、私達に言いたいことでもあるのか?」
穂乃果「……見届けて欲しいんです。…μ’sの末路を。」
ツバサ「……!」
ことり「ほ、穂乃果ちゃん……?」
にこ「μ’sの、末路ってなによ…」
穂乃果「……みんな、今日まで本当にありがとう。
この9人でいられたこと、みんなに会えたこと…本当に本当に奇跡だと思ってる。
みんなといられたから、ここまでやってこれたんだと思うし、これからもずっとみんなのことは忘れられないと思う」
真姫「……何が言いたいのよ?」
穂乃果「あはは…ごめんね。じゃあ、言うよ……
……っ、ご、ごめんね、言うよ。
μ’sは今日をもって、"おしまい"にします。」
真姫「は……?なん、で?ちょっと待ってよ穂乃果。
なんで解散なの?ねぇ」
穂乃果「……」
真姫「もう邪魔者はみんないないのよ?なんで…?これからじゃない!!」
絵里「真姫、落ち着きなさい!」
穂乃果「……花陽ちゃん」
花陽「は、いっ…」
穂乃果「凛ちゃんを連れてきてよ」
花陽「!」
穂乃果「……早く」
雪穂「お姉ちゃん!凛さんは気分が悪いから遅れてくるってさっき言っ…」
穂乃果「ねぇ、花陽ちゃん」
花陽「……」
穂乃果「……それ、なに?」
花陽「……っ!!」
穂乃果「答えてよ、花陽ちゃん。"それ"を使って凛ちゃんをどうしたの?」
花陽「……」
にこ「ちょ、ちょっと……なに…?花陽、その瓶は…」
真姫「……っ!?それ、青酸カリじゃない!!
なんで花陽がそんなもの持ってるのよ!?!?」
希「うそ……よね?まさか、それ凛ちゃんに飲ませたりなんてしてないよね!?ねぇ!?」
花陽「……あはっ」
ガシャーーーン!!!
真姫「っ!?な、何するのよ!?いきなり投げるなんて危ないじゃない!!」
花陽「うるさい」
海未「はな、よ……?」
花陽「うるさい……うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい…」
ことり「かよ、ちゃん……?」
にこ「どうしたのよ、花陽……」
花陽「死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死ね死にたい死にたい死ね死にたい死ね死にたい死にたい死にたい死にたい死ね死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい死にたい…」
穂乃果「…………」
絵里「真姫!ナースコール!!!早く!!!」
真姫「……わ、わかったわ!今……
……え……?」
……ドサ
絵里「え……?」
絵里「は、なよ……?なんで、倒れて、」
真姫「待って……何……?」
海未「花陽?……花陽?!花陽!」
ツバサ「何が……起きてるの……?」
花陽「……け」
ことり「なに!?かよちゃん、なに!?」
花陽「はな……よ、が……凛ちゃんを、殺せるわけ……ない、じゃ、ないですか……」
ガラ……
希「ぁ……っ……!」
花陽「ずっと、……ずっと、凛ちゃん、は、昔から、花陽のことを……助けてく…れる、たいせつな、お友達だから……
ごめん、ね ほの……かちゃ」
海未「ほの……か?」
凛「かよ……ちん、?どう……したの、なんで、寝て……」
花陽「あ……、……凛、ちゃん……
……だいすき、だよ」
凛「な、にが……?ねぇ……?」
花陽「」
凛「かよ……」
花陽「」
凛「ねぇ……起きてよ……?なんでこんなところに寝てるの?ねぇ……ねぇっ…
なんで……?凛が酷いこと、言ったから…?
もう、友達でいられないって…言ったから…?
だから、からかってるの?
怒ってるの?」
真姫「凛」
凛「でも、凛だってたくさん考えたんだよ
だけどやっぱり許せなくて……みんなのこと、怖くて…
それでもかよちんは特別だから、いつかまた本当に友達って言えるようになりたいから、凛……頑張ろうって……」
凛「いつまで……寝てるの……」
穂乃果「花陽ちゃんは寝てないよ、凛ちゃん」
凛「…………」
穂乃果「なぁに?言いたいことあるならいいなよ」
凛「……何をしたの」
穂乃果「何も」
凛「μ’sは解散するんじゃなかったの」
穂乃果「"おしまい"にするって、言ったでしょ?」
凛「かよちんをこんな風にしたのは穂乃果ちゃん?」
穂乃果「だれでもない、花陽ちゃん自身だよ」
凛「……凛が信じてきたものはなんだったの」
穂乃果「……」
凛「……真姫ちゃん」
真姫「っ」
凛「屋上の鍵、貸して」
真姫「ま、待ちなさいよ!!何するつもり!?」
凛「……だって、μ’sは今日でおしまいなんでしょ?
なら、最期まで凛は1番大切な人のそばにいる」
真姫「っ……わ、私は、どうなるの……?」
凛「……よく言うよ、あんじゅちゃんを屋上から飛び降りるように仕向けたのも、かよちんにこの薬品あげたのも真姫ちゃんのくせに」
真姫「……!!ちがっ…!」
凛「バレてないとでも思った?ねぇ?だってこんな薬品手に入れられるの真姫ちゃんぐらいだと思うんだけど」
真姫「だっ……だって、花陽が、ほしいって…」
凛「なんで、分からなかったの?それともわかってて渡したの?かよちんが、自殺するってわかっててそれを渡したの!?」
真姫「わ、わたしだって、止めたわよ!!でも、花陽が……っ!」
海未「……待ってください」
真姫「……?」
海未「穂乃果。」
穂乃果「なぁに、海未ちゃん」
海未「……っ、……真姫から薬品をもらって来いと花陽を誘導したのは……穂乃果、ではないですか?」
穂乃果「うん、そうだよ。」
凛「……っ!?!?」
凛「な、んで?ほのか、ちゃ…」
穂乃果「なんで…?なんでって、それ聞くの?」
凛「当たり前だよ、なんでかよちんにそんなこと言ったの…かよちんは優しいし、穂乃果ちゃんのこと好きだから言うこと聞くに決まってるじゃん…!!」
穂乃果「…っさいなあ」
凛「っ…」
海未「…みんな、とりあえずここを出ましょう。今の穂乃果は危険です」
ことり「穂乃果ちゃん…目を覚まして…っ」
絵里「……」
希「何してるんえりち!早く開けて!」
絵里「…あ、あぁ…わかっ…」
希「な、なん…眠く…」
真姫「穂乃果…っ!あなたまさか…!っ…」
穂乃果「おやすみ、みんな。」
穂乃果「いい夢を、見ようね」
絵里「穂乃果!穂乃果…っ!!どうしてこんなことするのよ!!」
海未「なんで私たちがこんなところに…!?穂乃果!!どうして!」
にこ「なんで私達が倉庫に閉じ込められてるのよ!これ外しなさいよ!手錠でつなぐなんて何考えてるのよ!?」
ことり「ねぇ穂乃果ちゃん!こんなことやめて!」
穂乃果「…やめて?」
ことり「ほ、のか…ちゃ」
穂乃果「やめてって、言ってみんなはやめたの?」
ことり「…!」
真姫「まって、A-RISEはどこに…、っきゃあああああ!?!?」
希「…っ嘘、やんな…?なぁ穂乃果ちゃ…」
穂乃果「いい夢、みようねみんな」
希「………!!!!うちらのことも[ピーーー]気なん!?」
絵里「やめてよ穂乃果…冗談でしょ、ねぇ…」
絵里「穂乃果!穂乃果…っ!!どうしてこんなことするのよ!!」
海未「なんで私たちがこんなところに…!?穂乃果!!どうして!」
にこ「なんで私達が倉庫に閉じ込められてるのよ!これ外しなさいよ!手錠でつなぐなんて何考えてるのよ!?」
ことり「ねぇ穂乃果ちゃん!こんなことやめて!」
穂乃果「…やめて?」
ことり「ほ、のか…ちゃ」
穂乃果「やめてって、言ってみんなはやめたの?」
ことり「…!」
真姫「まって、A-RISEはどこに…、っきゃあああああ!?!?」
希「…っ嘘、やんな…?なぁ穂乃果ちゃ…」
穂乃果「いい夢、みようねみんな」
希「………!!!!うちらのことも殺す気なん!?」
絵里「やめてよ穂乃果…冗談でしょ、ねぇ…」
穂乃果「冗談…そうだね、ぜーんぶ冗談にしちゃおうか?」
ことり「ほ、のか、ちゃ」
穂乃果「μ’sもスクールアイドルも全部夢だったんだよ、ね?」
絵里「何…言ってるのよ、夢な訳ないでしょ…」
海未「お願いです、穂乃果…!手錠をほどい…」
ガンッッ!!
海未「ーーーーー!」
穂乃果「煩いよ、いい加減さあ。」
希「海未ちゃん…っ!?ほ、穂乃果ちゃん!!!もうやめて!!もうええやろ!満足やろ!?自分の大切な人傷つけてどうするん!?」
絵里「そうよ!いくらなんでも海未を殴るなんて、穂乃果にはそんなことしてほしくない…!」
穂乃果「………」
にこ「ほ…のか…?」
穂乃果「…ねぇ、真姫ちゃん?」
真姫「…っ」
穂乃果「さっきからずっと黙ったままだけど、どうしたの?怖い?パパとママ呼ぼうか?」
真姫「…ばかに、してるの?」
穂乃果「してるよ。」
真姫「ーーっ!な、なんなのよ穂乃果…っ、そんなに私たちを苦しめて楽しい!?なんでこんなことするのよ!!だいたい、穂乃果は…ーーーーえ?」
穂乃果「はいこれ。使っていいよ、真姫ちゃん」
真姫「ど、ゆこと…?使って、いいよって、なに…?だってこれナイフじゃない…なにに使うっていうの…」
穂乃果「ねぇ真姫ちゃん」
真姫「…っ?」
穂乃果「隣に誰がいる?」
真姫「誰、って…にこちゃん、だけど、」
にこ「…!い、いや、」
絵里「穂乃果、まさかあなた、」
穂乃果「選ばせてあげる。自分を刺すか、にこちゃんを刺すか」
真姫「…………え」
海未「穂乃果ぁ!!!!!!やめなさい!一体何を考えているのですか!?!」
ことり「誰もそんなことできるわけないよ!!!目を覚まして穂乃果ちゃん!!!」
穂乃果「…A-RISEは、お互いを刺して死んだんだけどなあ」
にこ「ーーえっ…」
穂乃果「ふふ…はい、希ちゃん。」
希「…っ!い、嫌!!」
穂乃果「…なら絵里ちゃんに渡す?」
希「…!う、…ウチが、もらう…」
絵里「希…!だめよ!?絶対に自分を刺したりしたらだめだからね!?」
穂乃果「……」
ことり「…!」
穂乃果「はいっ、海未ちゃん、ことりちゃん!」
海未「…え?」
ことり「どうして…海未ちゃんも…?」
穂乃果「決まってるじゃん」
穂乃果「ーーー2人で穂乃果を刺してよ」
海未「私達で…」
ことり「穂乃果ちゃんを、刺す…?」
真姫「ちょ、ちょっと待ちなさいよ…何でそんなことになるのよ!大体そんなことしたらμ’sは終わりに…っ、…!」
にこ「ま、さか…穂乃果、あんたまさか…」
希「最初から、そのつもりでうちらを病院に集めたん…?」
絵里「嘘、よね、穂乃果…?そんなこと…、ほんとに、本当にあなたは最初から私たちを手にかける気で…?」
ことり「穂乃果ちゃん…っ」
海未「答えてください穂乃果!!!」
穂乃果「ーーーーーμ’sなんて最初から存在しなかったんだよ」
にこ「……え?」
穂乃果「もともとμ’sなんて結成しなかったの。それに、元から穂乃果に友達なんて誰もいなかったの。」
真姫「ほの…」
穂乃果「穂乃果にはもともと幼なじみなんていなかった」
海未「なっ…!?」
穂乃果「なかったことにするの全部。始めから存在なんてしてなかったことにするの。」
絵里「そんなこと、できるわけないでしょう…!いい加減目を覚ましなさい穂乃果!!そんなことしたって何も変わらないわ!起こった事実はどうしようもないことなのよ!!」
穂乃果「…変えられるよ。事実だとしても」
絵里「…なら、やってみなさいよ。そこまで言うなら、事実をなかったことにしてみなさい」
穂乃果「…」
希「…!えりち逃げて!!!!」
絵里「え?」
希「穂乃果ちゃんやめて!!!お願い!それだけはやめてぇええっ!!!」
グサッ
絵里「ーーーー……かはっ…!」
ドサ…
希「……え…り…」
穂乃果「…こうやって"真実"を知ってる人を消していけば、本当のことなんて誰もわからなくなる。μ’sはなかったことになるの。…それが穂乃果のやり方だよ、絵里ちゃん」
希「いや…いや…!えり…!いやぁああああ!!!!!
絵里!!絵里!!!目を開けて!!嘘やんな、こんな、こんなことで死んだりしないよね!?ねぇ!?」
絵里「………ょ」
希「絵里…っ!」
絵里「すき、よ…のぞみ……」
希「…っ!うちも、うちもすき!!愛してる…!もう喋らんでええから…っ」
絵里「し、あわせに…な…あなた、だけは…ーーーー」
希「…絵里ち?」
絵里「」
希「や…だ、やだ…!やだぁっ!!
えりちがいなきゃ幸せになんてなれないよ!!!
ねぇ目を開けてよぉ…っ!なんで、なんでぇっ…」
にこ「…希、」
希「……うちもいく」
海未「ーっ!待ってください希!!早まってはいけません!!!」
希「うるさい!!!!もうえりちは死んだん…もう、うちは、生きていけへん…無理や…」
穂乃果「…ごめん、ね、」
希「っ!!謝るぐらいなら最初から…っ!!!…!」
穂乃果「ごめんなさい…ごめんなさい…」
希「…もう、まともではいれないってこと。やんな」
穂乃果「…?」
希「…なんで、やろね。うち、この9人なら絶対幸せになれるって、そう思ってたのに…なんでかな…っ」
穂乃果「……μ’s、って希ちゃんがつけてくれたんだよね。
メンバーだってそう…希ちゃんがいなかったら何も始まらなかった。…ありがとう。ありがとう。……本当にごめんなさい…」
希「……ねぇ、穂乃果ちゃん」
穂乃果「…?」
希「ウチを刺して」
穂乃果「え…?」
にこ「希…!あんた何言って」
希「本当はこんなこと望んでないんやろ?こんなことしたくないんやろ?でも穂乃果ちゃんはμ’sのリーダーだから責任感じてるんやろ?……分かってる。μ’sはうちらだけのものにしたいもんね。
ほかの誰にも知られたくないうちらだけの……
…うちも、穂乃果ちゃんに殺されたら、えりちと同じ所に行ける気がするん」
穂乃果「……いいの、本当に」
希「ええよ。……ありがとう。穂乃果ちゃん。」
穂乃果「……ありがとう…」
グサ…
希「……これで、いっしょ…に…」
ドサッ
にこ「…な、に、してんのよ…起きなさいよ、起きなさいったら!!何こんな時に呑気に二人仲良く寝てるのよ!?」
真姫「にこちゃん、もう、絵里と希は…」
にこ「死んでない!!死んでなんかない!!!
ねぇ、起きなさいよ…!絵里も希もこんなことに負けないでよ!ねぇなんでっ…なんでいつもにこのこと置いていくのよ…同じ3年生じゃない…っ
なのになんでいつも2人でいっちゃうのよ…!!
起きなさいよぉっ!!!!」
ことり「もう……いやぁ…」
海未「頭が……おかしく、なりそうです…」
穂乃果「ごめんなさい…ごめんなさい……みんな…ごめんなさい……」
真姫「……穂乃果。」
穂乃果「……?」
真姫「私ね、今までずっと人と馴染むことが本当に苦手だったの」
穂乃果「うん…?」
真姫「でもあの日、あなたと出会ってから…あなたがわたしを見つけてくれた日から私の世界は変わった。
見たことのない世界で、何もかもがキラキラしてて…
一度諦めかけてた音楽を最高の形で続けられて…本当に、感謝してる。
きっと私、あなたに出会わなかったら死んだような生活を送ってたと思う」
穂乃果「真姫ちゃん…」
真姫「だから、そんなあなたが望むことならそれでいいって思うのよ。
……今ここであなたに殺されても。」
にこ「真姫…?」
真姫「今まで本当にありがとう穂乃果。こんな言葉じゃ足りないぐらい」
穂乃果「……っ」
にこ「待ってよ…なんで…
やめてよ!!なんで誰も止めないのよ!?
穂乃果ぁ!!!お願いだからもうこんなことやめてよ!!やめさせてよ!!なんでことりも海未も何も言わないのよ!真姫が殺されてもいいっていうの!?」
ことり「……っ」
海未「っ……」
にこ「なんで……なんでぇっ…!!」
真姫「いいのよ、にこちゃん。これで」
にこ「何がいいのよ!?いいわけないでしょ!?死ぬのことの何がいいっていうのよ冗談じゃないわよ!!」
真姫「……ありがとう、にこちゃん」
にこ「やめてよ……そういうの、やめてよ……」
穂乃果「……真姫ちゃんのピアノだいすきだったよ」
真姫「ええ、ありがとう。
わたしもあなたのみんなを笑顔にする歌声が大好きだった。」
穂乃果「……っ、真姫ちゃんが、作る曲本当に本当に大好きだった…!!」
真姫「当たり前でしょ?私を誰だと思ってるのよ」
穂乃果「真姫ちゃん……っ」
真姫「ええ。…もう、いいのよ穂乃果。
楽になって、いつもの太陽みたいな笑顔のあなたでいて」
穂乃果「…さよなら……っ」
グサ…
真姫「ーーーーー……」
ドサッ
真姫「(ありがとう……穂乃果)」
にこ「……狂ってる…。みんな、狂ってる…」
*凛Side
凛「……風が、冷たいねかよちん」
花陽「」
凛「……みんな今頃どうしてるかな」
花陽「」
凛「……ひとりぼっちだね、あはは」
花陽「……」
凛「え……?」
花陽「……ん…」
凛「か、よ…ちん…?かよちん…?」
花陽「あ……れ、ここ…は、……花陽…なんで…」
凛「かよちん……っ!!!!」
花陽「わ……!凛ちゃん…!」
凛「よかった……よかった……っ!!本当によかった…!!
ここはね、病院の屋上だよ
かよちんが死んじゃったと思って、凛も一緒に、って思って…」
花陽「だめだよ……それは、絶対にだめ」
凛「っ、かよちんには言われたくないよ!!
全部一人で抱え込んでたくせに!!
ほ、ほんとに、死んじゃったかと、思ったんだから
あれって、青酸カリって真姫ちゃんは言ってたけど…ちがったってこと……?」
花陽「みたい……だね…体は少しだるいけど、特に何もないし…すり替えられてたのかな。…だとしたら誰に……ーー…みんなは?」
凛「……わかんない。あれからずっとここにいたから」
花陽「みんなのところに行かなきゃ……」
凛「……もういいよあんな人たち、放っておこうよ…
穂乃果ちゃんだってもう何考えてるかわかんないし…」
花陽「それでもわたしたちはμ’s。……そうでしょ?」
凛「……うん。……いこっか、みんなのとこに」
このSSまとめへのコメント
被害の差が大き過ぎて、何でお前が偉そうに説教してるのってのが多いな
小学校低学年の子供痛めつけて裸撮って脅すだけでも殺されても当然と思われるレベル
それでも周囲はμ’s責めてるとかどんな報道のされかたしたんだよ
長くて途中までしか読めなかった
誰か犯人の正体と話の流れを簡潔に教えてくれませんか?
アライズのめんばーの兄(オリキャラ?)
何よりことりがウザすぎ
このまま進むのはちょっと…
作者にとってハッピーエンドとは一体何なのか
なんか話を畳むタイミングを逃したって感じだね
比重の測り方が脆い。測ってるものを見誤っている。穂乃果の言った言葉が軽くなりすぎてる…まだ期待はしてるがどうなるのかな?
ラブライブSSで後日談大人パートがこれだけ長いのも珍しい
最初に鬱展注意はされてるけど、最終的には再起の物語なのかな?
おれはおもしろいというか、少しは報われるんだよな!?と思って読んでる
早く続きが知りたい
キモチワルイ
穂乃果の仕返しの時点で終わらせてよかった気がする
A-RISEのくだりとか蛇足感
感動した
長すぎてオールしてしまったw
まだ続くのかな?けど、いい作品だと思います!
乙
いやいやそりゃねーだろって展開ばかりでつまらん
いくら何でも初っ端のにこがああなるのも無理あるしなぁ…
怒りに燃えて警察に行きましょうってなるわ
負のご都合主義は結構だけどももっと調理の仕方を考えて欲しい
長くしすぎじゃあないかこの話
読みにくい
おれは面白いと思うよ。ラブライバーの多くは愛するが故にほんわか系とかハッピーエンドとかシリアスしか認めないんだろうな。早く続き書いてほしい。
1ヶ月更新がない…
まさか…
真姫と海未さ、μ'sの歌を作ったのが貴女とでよかった。に凄く感動して泣いたのだけど。
夢だったのかよぉおおお………。
このSS内では凛は一番まともな子だな。
いい加減にしてよ。には本当りぃん!!!って泣きそうになったよ。
展開の論理性が破綻しててまともな知能が少しでもあれば読んでてキツくなるタイプ
再会endのままで良かったんじゃ...。
まぁここまで読んだなら最後まで見届けるで。
更新待ってるよー
そう考えたら、7年前に狂ってた方々が
社会でしかも当事者(関係者)にであって
あんな和解してるのもってなるよな…
何より長かったけど最後の方
途中で途切れてる感がすごいもったいない。
読んだ時間が…みたいな
更新待ってます!
正直何をテーマとしてるのか全くわからないけど、なんだか読み進めてるとドキドキしてるから更新待ってます
これもうわかんねぇな
まさかこれで終わり…?
だったら胸糞悪いわ
これで終わりじゃないですよね!?
続きが気になりすぎてハゲそうです、更新期待してます!!
面白いけど犯人とA-RISEの共犯辺りから
同じ物を何度も見せられてた
長いけど面白い
これは社会人のパターンは夢オチか
なんか残念
とても感動した
都築書いてくれよ
途中で泣いてしまった
続きお願いします。 この小説がこういうものだとはわかっていますがどうにかハッピーエンドに… そうじゃないとしても何かしら書いて欲しいです! お願いします!
続きあくしろよ
続きは!?
夜中まで起きて読んだけど、胸糞過ぎる…
あと失踪すんなし
もう訳がわからないよ。そして睡眠時間かえせ
希だけ重すぎる
ことりうざい
途中までよかったのになんでBADにするの?感動を返せ
最初のにこが警察行かないって時点で読むのやめたわ
ないない
続きはよ