フェイト「夜のドライブ」 (21)
※vividアニメ始まった記念に昔書いたSSを掘り起こしてきた次第。
※短いです。なのフェイです。そういうのちょっと……という方は閲覧注意です。
三月某日 23:28
フェイトカーにて
なのは「……うん……そう……分かった。今日は本当にありがとう。……うん。じゃあまた後でね」
ピッ
フェイト「はやて?」
なのは「うん。ヴィヴィオはもう寝ちゃったって」
フェイト「だよね……はやてには悪いことしちゃったかなぁ。折角のオフなのにヴィヴィオ預けちゃって」
なのは「あぁ、そのことに関しては――」
はやて『困った時はお互い様やよ。それに私らもヴィヴィオちゃんといっぺんいっぱいお話したかったところやしな。ある意味こっちからもお礼言わなな。ふふっ』
なのは「だってさ」
フェイト「そう……なら、一安心……かな?」
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1428093721
なのは「とりあえず迎えに行こっか。明日もヴィヴィオ、学校だしね」
フェイト「了解。……それにしてもこんな時間になるなんて……」
なのは「十一時半、か。想像以上に捜査に手間取っちゃったなぁ。フェイトちゃんは会議だっけ?」
フェイト「うん。執務官の集まり。全くあの件は先週片付いたって言われたのに……」
なのは「どっちも大変だねぇ」
フェイト「……はやて、他に何か言ってた?」
なのは「へ? 何が?」
フェイト「いや、ヴィヴィオのこと……前日になって三人で出掛ける約束破っちゃったし……」
なのは「まぁ仕方ないよ。急に入った任務と会議だったんだし」
フェイト「……私達のこと、怒ってるかな……」
なのは「……まぁぶっちゃけわりと愚痴ってたみたいだけど」
フェイト「やっぱり……」
なのは「あ、それでも最終的には理解してくれてたみたいだよ。『自分のためになのはママとフェイトママは一生懸命働いてくれてるんだから、あんまり我が儘言って二人を困らせたくない』とか何とか」
フェイト「ヴィヴィオ……」
なのは「我らながら良く出来た子どもだよねー」
フェイト「なんか逆に更に罪悪感が増してきた」
なのは「え」
フェイト「あんな小さい子にまで気を遣われるなんて……」
なのは「あ、あんまり気にしない方がいいよ? そもそもはフェイトちゃんのせいじゃないんだし」
フェイト「それでも久しぶりに三人一緒にいれる日曜日だったんだよ? はぁ……次家でゆっくり出来る日曜日なんていつ来るのか……」
なのは「え? 今そんな忙しいの?」
フェイト「あーまぁちょうど年度の変わり目だから色々と……ティアナも色々手伝ってくれてるんだけど、なんか機動六課に出向する前とは忙しさが段違いなんだよ……」
なのは「三月中は厳しい感じ?」
フェイト「いや、最終週の日曜日は休み取る。絶対。て言うかそもそも有給溜まってるのに使う日がないっておかしいと思うんだよね。こういうのアレでしょ? ブラッ――」
なのは「……それ以上言わない方がいいと思う」
フェイト「え? そうなの?」
なのは「とにかく、体壊さないようにね?」
フェイト「大丈夫大丈夫。これでも体は丈夫だから」
なのは「そーれーでーも。体が資本なんだから。本当に疲れてるんだったら、遠慮なく言うんだよ?」
フェイト「わ、分かってるよ。……なのはだって無茶しちゃダメだからね。今度またなのはに何かあったら……私……私…………」
なのは「フェイトちゃん、信号青」
フェイト「え? あ、はい」
なのは「もう……まぁでもフェイトちゃんの気持ちもよく分かるよ」
フェイト「えっ?」
なのは「もし自分が反対の立場だったら、今度こそ絶対無茶してほしくないって思うもん。過剰に心配しちゃう気持ち、本当によく分かる」
フェイト「なのは……」
なのは「――あの時は本当にみんなに迷惑かけちゃったし……それよりも、何と言うか、自分が全部守るんだーって変に張り切っちゃってたんだよね。今思えば、それってすごい失礼なこと。みんなを対等に見ていながらも、実力の上では自分より下に置いた考え方なんだから。もっとみんなを信じるべきなのに、あの時の私はそれが見えてなかった。私は、そうして弱さを隠そうとしてたのかもしれない」
フェイト「そんなことないよ。実際なのはは強いよ。……て言うかこれ以上強くなってどうするのかと(ボソッ」
なのは「うん? 何?」
フェイト「あっ何でもないです」
なのは「フェイトちゃん、最近模擬戦してなかったよね? 明日お昼時間ある?」
フェイト「すいません。ほんとすいません」
なのは「…………」
フェイト「…………」
なのは「……あははっ」
フェイト「ふふっ……」
なのは「なんか今更だけど、こうやって二人でドライブするのなんて、それこそ久しぶりだよねぇ」
フェイト「まぁ確かに……お互い忙しいから、あんまりこういう時間取れないよね」
なのは「それに夜のドライブっていうのが、なんか良い感じ」
フェイト「ふふっ、大人ならではの特権ってやつかな」
なのは「こういうのも、たまにはいいかもしれないね」
フェイト「まぁ、ね。やっぱりなのはと二人の時が一番落ち着くし……一緒にいててすごく安心するって言うか……」
なのは「えっ?」
フェイト「えっ? ――あっ!」
なのは「フェイトちゃん……」
フェイト「え、と、違うんだよ?」
なのは「違うって何が?」
フェイト「その、そういう意味じゃなくて! あのその――」
なのは「っ! フェイトちゃん! 前! 前! 車線ギリギリ!」
フェイト「っ!? あわわっ!」
キィィィィィッ!
フェイト「はぁ……はぁ……はぁ……」
なのは「…………動揺しすぎ」
フェイト「ごめんなさい……」
なのは「……たまにフェイトちゃんって積極的なのか奥手なのか分からない時があるよね」
フェイト「お恥ずかしい……」
なのは「――私はそうだけどね」
フェイト「な、何が?」
なのは「私はフェイトちゃんと一緒にいる時間が、何よりも大切だと思ってるよ?」
フェイト「な、なななななのは!?」
なのは「もちろん、今はヴィヴィオも入れて三人だけどね。でもヴィヴィオが邪魔ってわけじゃないよ? 今ヴィヴィオがいるからこそ、一緒にヴィヴィオを育てていくフェイトちゃんとは、もっと深いところで繋がりたいなって、そう思うの」
フェイト「あー……うー……」
なのは「フェイトちゃんも、そう思わない?」
フェイト「えー…………はい、そう思い……ます」
なのは「…………」
フェイト「な、なのは? なんかちょっと目が据わってない?」
なのは「……そう言えばさ、フェイトちゃんの方からちゃんとした言葉でそういうこと言ってもらったことないよね」
フェイト「ふぇっ!?」
なのは「一緒に暮らし始めて結構経つけど、そろそろいいんじゃないの?」
フェイト「そろそろいい、とは……?」
なのは「……あんまり待たせないでほしいの」
フェイト「あのー…………何がでしょうか……」
なのは「……………………(ジトー」
フェイト「……………………(ゴクリ」
なのは「…………本気で言ってるの?」
フェイト「うぐっ……あの、今運転中だから……」
なのは「じゃあ帰ったら楽しみにしてるね」
フェイト「えと……ほら、明日も早いし、帰ったら――」
なのは「寝かさないから」
フェイト「え?」
なのは「今のうちから甘~い言葉考えておいてね。期待しとくから」
フェイト「え? えぇ?」
なのは「フェイトちゃんが悪いんだよ? 私のこと好き好きオーラだしときながら、まだ一回も愛してるって言ってくれたことないよね?」
フェイト「だ、だって……」
なのは「はーい言い訳はお家で聞きまーす」
フェイト「うぅぅ…………」
なのは「ははっ(あーフェイトちゃんいぢめるの楽しいなぁ……今運転中だからアレだけどそろそろ我慢できそうにないよぉ……)」
フェイト「な、何か言った……?」
なのは「なーんにも? ほら、安全運転安全運転」
フェイト「はぁ……了解……」
おまけ
一方八神家
シグナム「遅いですね、なのはとテスタロッサ」
はやて「久しぶりに二人きりやから目いっぱいイチャついとんねやろーあ、それポン」
シャマル「管理局内でも顔合わせたらイチャついてますけどね」
はやて「そのくせいじらしいねんなぁ、あの二人。はよ式でも挙げてまえばええのに。――もいっこポン」
シグナム「ここって同性婚は認められてるんですか?」
シャマル「もう二人で子ども育ててる時点で夫婦みたいなもんじゃない?」
はやて「せやなーどっちか言うたらなのはちゃんが妻でフェイトちゃんが夫ってとこか」
シャマル「確かにそんな感じですねーフェイトちゃん男装したらすごい似合いそう」
シグナム「そのわりには少しヘタれてるところがあるがな、テスタロッサは」
はやて「フェイトちゃんがヘタレなんは今に始まったことちゃうけどな。ほんまに結婚したらなのはちゃんの尻に敷かれてそうやわ」
ザフィーラ「――主はやて、ロンです」
はやて「ええええええダマテンかこの駄犬!」
シャマル「はやてちゃんしーっ! ヴィータちゃんとヴィヴィオが起きちゃいますよ!」
はやて「だって私のトイトイホードラ3が……しかも親やったのに……」
ザフィーラ「これも一つの戦略です」
シグナム「これでザフィーラが1位、主はやてが最下位ほぼ確定ですね」
はやて「ぐぬぬぬ……まだやまだ。こっから役満ブチ当てれば…………って今思うてんけど」
シャマル「?」
シグナム「どうかされましたか?」
はやて「なのはちゃんとフェイトちゃんの話ばっかりやったけど、私らの間で浮いた話って何もあらへんの?」
シグナム「浮いた話、とは……?」
はやて「いや、誰が誰と付き合ったり云々とか……」
シグナム「はぁ……」
はやて「……その様子やとなさそうやな……」
シャマル「……そう言うはやてちゃんは?」
はやて「…………もしかして、私らピンチ?」
シャマル「…………」
シグナム「…………」
はやて「まぁいざとなったらザフィーラがおるやん?」
ザフィーラ「…………」
はやて「……ちょっと? 何で黙ってんのん?」
シャマル「はやてちゃん、知らなかったんですか? ザフィーラって去年からフェイトちゃんのとこのアルフちゃんと――」
はやて「え゛?」
シグナム「その様子じゃ知らなかったみたいですね……」
はやて「いやいや、いやいやいやいや、ちょお待って待って、何でシャマルとシグナムが知ってて私が知らへんの?」
シグナム「さぁ……?」
はやて「……どういうことやろうな? これは」
ザフィーラ「いえ、その程度の些事、主の耳に入れるほどのものではないと……」
はやて「んー? そんだけか? ほんまにそんだけか?」
ザフィーラ「すいません。決して隠そうとしていたわけでは」
シャマル「でもあの時、はやてちゃんにいじられるのが嫌だから、絶対言わないでくれって私とシグナムに念押ししてたわよねー」
ザフィーラ「っ……シャマル……っ!」
はやて「――ザフィーラ」
ザフィーラ「……はい」
はやて「詳しく話、聞かせてもらおか」
おわり
はい。アニメ始まったのを期にまたなのフェイSSが増えてくれればいいなぁと思ってます。
ではHTML依頼出してきます。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません