モバP「ぽんこつアイドル二宮飛鳥」 (24)
モバP(以下P)「うちには二宮飛鳥というアイドルがいる」
P「ちょっと、いやかなり言動が痛いものの、見た目はクールな14歳の女の子だ」
P「だがしかし、それはあくまでパッと見での話にすぎない」
P「彼女の実態は意外とぽんこつなのだ」
P「今日はその一端をごらんいただきたいと思う」
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【ブラックコーヒー】
仕事終わり、事務所にて
P「お疲れ。何か飲むか?」
飛鳥「あぁ、それならコーヒーを頼むよ。ブラックでね」
P「またブラックか……苦いの嫌いなんだろ?」
飛鳥「嫌いじゃないよ。苦手なのは否定しないけど」
P「それって大体同じじゃないのか」
飛鳥「違うさ。ただ自分の舌に合うものだけを口にするのはつまらないから、時には刺激的な味を求めてしまう。まあ、ささやかな抵抗ということだね」キリッ
P「そ、そうか」
P「(なぜそこで軽くドヤ顔なのか……いや、待てよ)」
飛鳥「どうかしたのかい」キョトン
P「なんでもないぞ」
P「(と見せかけて、今日は飛鳥のコーヒーにこっそり砂糖を混ぜてみようと思う)」
P「(いつも苦いのばかりではコーヒーの旨さを理解できないままだからな。俺の優しさだ)」
P「ほい、コーヒー入ったぞ」
飛鳥「ありがとう」
P「………(さりげなく観察中)」
飛鳥「………」ジー
P「(覚悟を整えるかのようにマグカップを凝視しているな)」
飛鳥「……よし」グイッ
P「(思い切って飲んだ)」
飛鳥「………? 苦くない」クビカシゲ
P「(さすがに砂糖が入ってることに気づいたか。でもこれでコーヒーのよさを知ってもらえれば)」
飛鳥「………」クビカシゲ
飛鳥「……もしかして、舌が大人になった?」
P「(そっちかよ!)」ズテッ
飛鳥「まったく前触れがなかったけど、ようやくボクも苦味に適応したということか……生命の神秘、ヒトの可能性だね」ブツブツ
P「(なんか変な方向に勘違いし始めた。……というか砂糖4杯くらいぶっこんだんだけど! 気づかないのおかしいだろ!)」
飛鳥「♪」ニコニコ
P「あ、今の顔可愛い」
飛鳥「? P、何か言ったかい」
P「いや別に。思わず心の声が漏れただけだ」
飛鳥「……?」
P「その後も結局飛鳥が自力で気づけなかったので、飲み終わった後にネタバラシをした」
P「顔を真っ赤にしてプルプル震えていた飛鳥は、その日の間ずっと口を聞いてくれなかった」
P「でも夜に電話で謝ったら許してくれた。いい子だ」
アブチクP以外の飛鳥スレはレアだ、支援する
【お気に入りのポーズ】
P「以上がダークイルミネイトの次のライブの概要だ。何か質問とかあるか?」
飛鳥「特にはないかな。Pの説明はわかりやすいから」
蘭子「闇の福音を届けようぞ! (頑張って歌いましょう!)」
飛鳥「そうだね。2人の声を響かせよう」
P「その意気だ」
P「(とまあ、やる気があるのは非常によろしいのだが)」
P「(なぜいつもいつも飛鳥は壁際にもたれかかっているのだろう。腕組みながら)」
P「(今も俺が話を始めたらわざわざ部屋の真ん中から端まで移動していた)」
P「(いわゆるお気に入りのポーズというやつなのだろう)」
蘭子「フフフ……我が友よ、今こそ翼を重ね合わせ、飛翔の時を迎えましょう(ファンの人が増えるといいね、飛鳥ちゃん)」
P「(そして今日は、蘭子も飛鳥の真似をして壁際で腕組みをしている)」
蘭子「………」ボヨン
P「(14歳にして立派なバストを持つ蘭子が腕を組むと、豊満な胸が強調される形となる)」
飛鳥「………」ジトー
蘭子「?」キョトン
P「(羨ましそうな視線を送る飛鳥。かわいそうだが、蘭子と比べるとその胸元は寂しかった)」
飛鳥「んっ……しょっ」グイグイ
P「(必死に寄せてあげようとしているが、無駄な努力だと思う。物には限度というものがある)」
P「気にするな飛鳥。身体の一部で人間の価値は決まらない」
飛鳥「っ!?」カアァ
P「ほら可愛い」
>>5 ありがとうございます
【冬の屋上】
夕方、事務所にて
飛鳥「少し屋上で風に当たってくるよ」
P「屋上? この時期は寒いぞ」
飛鳥「かまわないさ。冷たい空気に当たっていると、今自分がここにいるという実感が湧いてくるんだ」
P「……まあ、飛鳥がいいならいいけど」
飛鳥「それじゃ、行ってくる」バタン
P「……寒いという感覚を強く感じることで、自分が確かに生きていると認識できるってことか。相変わらず難しいことを言うなあ」
15分後
P「あっ……仕事していたせいで今まで気づかなかったけど、あいつコート持って行ってないぞ。上着なしで冬の屋上とか耐えがたい寒さだと思うんだが、なぜ帰ってこない」
P「……大方、宣言してから外に出てすぐに戻ってくるのが恥ずかしいんだろうな。いったい今どんな状態になっているのか」
ガチャ
飛鳥「やあ、ただいま」ブルブル
P「と思っていたらガタガタ震えながら帰ってきた」
飛鳥「うっかり上着を忘れてしまったけど、た、たまにはこういうのもわ、悪くないかな」ガタガタブルブル
P「ごめんな。俺がもっと早くに気づいていれば」ナデナデ
飛鳥「な、何を言っているんだいキミは? ボクは大丈夫……へくちっ」
P「くしゃみ可愛い」
【冷ややっこ】
社員食堂にて
飛鳥「………」ポロッ
P「(定食についてきた冷ややっこを箸でつかもうとするも形を崩してしまう飛鳥。絶賛悪戦苦闘中だ)」
飛鳥「………!」
P「(お、うまくいきそう)」
飛鳥「あっ」ポロー
P「(駄目でした)」
飛鳥「………」シュン
P「そう落ち込むなよ」
後日、再び食堂
飛鳥「練習してきた」ハシクイクイッ
P「おおー、うまいうまい。華麗なる箸さばきだ」
飛鳥「些細な壁でも、乗り越えると達成感があるものだね」シミジミ
P「じゃあ今度は俺の定食にある絹ごし豆腐に挑戦してみようか」ニッコリ
飛鳥「えっ」
P「飛鳥が今食べたのは木綿豆腐。絹ごしのほうが崩れやすいんだ」
5分後
飛鳥「………」ポロリ
P「がんばれー」
飛鳥「ぐぬぬ……」ポロポロ
P「やっぱ可愛い」
【魅力】
P「急に屋上に呼び出してどうしたんだ」
飛鳥「二人きりで話したいことがあってね」
P「聞こうか」
飛鳥「率直に尋ねるけど、ボクはアイドルとしてうまくやっていけるんだろうか」
P「いきなりだな。どうしてそう思う?」
飛鳥「前々から考えていたことさ。他のアイドル達と比べて、ボクには彼女達と並び立てるほどのモノがあるのかって」
P「………」
飛鳥「ボクをスカウトしたのはキミだ。だから教えてほしい。ボクの魅力とはなんなのかを」
P「率直に答えていいのか?」
飛鳥「あぁ。想像しうる最悪の返答でも、ボクは受け入れるよ」
P「ふむ」
P「じゃあ言うけど。一生懸命背伸びしている感じと絶妙なぽんこつ具合がマッチしてすごい魅力的だぞ、飛鳥は」
飛鳥「……え? ぽんこつ?」ボーゼン
P「というかいちいち可愛いんだよなあ。うんうん、ぽんこつバンザイ」
飛鳥「ま、待ってくれ。少し、いやかなり混乱している。ボクがぽんこつというのはいったい」アセアセ
P「だってカッコつけようとしてカッコつけきれてないし。巨乳に対抗しようと頑張ったり、たまにおっちょこちょいだったり。相当キュートだと思っている」
飛鳥「きゅっ、キュート……じょ、冗談がきちゅっ!?」
P「たまにそうやって舌を噛むのも魅力のひとつだな」
飛鳥「……ぐっ」シタカンデナミダメ
P「さあ認めろ。自分がちょっぴりぽんこつ系な中二病アイドルだということを!」ドン!
飛鳥「……理解(わか)った、認めよう。どうやらいつの間にか、キミにはありのままを曝け出してしまっていたらしい」
P「いいことだ。アイドルとプロデューサーの間における信頼の証だな」
飛鳥「まあ、納得はするさ。でもその代わり、責任はとってもらわないとね」ニヤリ
P「?」
P「(ゆっくりと近づいてくる飛鳥。それを眺めているうちに、彼女は目を閉じて顔を突き出してきた)」
P「(それはまるで、恋人同士が行うような)」
P「って、お前まさか」
飛鳥「どうせなら、全部曝け出してしまうのも悪くないと思ってね」
P「ま、待て! それはまずい、関係的にすごくまずい! だから唇を引っこめて」
飛鳥「……なんて、嘘だよ」ニッコリ
P「なっ……なんだ、冗談か」ホッ
飛鳥「ボクもこれで女だ。そう簡単にファーストキスを捧げたりはしな――あ」
ガッ←飛鳥が床のへこみにつまづく音
ぐらっ←バランスを崩した飛鳥がPに向かって倒れてくる音
ぼすっ←Pがとっさに飛鳥を抱きとめる音
チュッ←勢い余って二人の唇が触れあう音
P「 」
飛鳥「 」
P「………あ」アゼンボーゼン
飛鳥「あ、あぁ……!」カアァ
P「い、今のは事故だからお互い忘れるということで」
飛鳥「~~~っ!!」←ダッシュ一番で屋上を去る
P「………」
P「あ、あのぽんこつ~~!! めちゃくちゃドキッとしちゃったじゃないか! アイドルとプロデューサーなのに!」
P「……可愛すぎるだろ」
P「以上がうちの飛鳥の可愛らしいぽんこつ記録の一部である」
P「最後の事件以来、数日間飛鳥が俺の顔を直視できなくなったということについては、また別の話ということで」
P「機会があれば、他のぽんこつ記録とともに語ろうじゃないか」
おしまい
短いですがこれで終わりです
お付き合いいただきありがとうございました
総選挙は飛鳥に全ぶっぱする予定です
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