【デレマス×グラブル】凛「私はもう一度空に還りたい」 (15)

デレマス×グラブルSS
エイプリルフールイベントのアイドルジータちゃんを見てどうしても衝動を抑え切れなかった
凛×ジータ
デレマスの世界にジータちゃんが来る展開
自分の妄想を詰めこんでます

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私は時折、ふと思い出す夢がある。

例えば、小説を読んだ時。

例えば、過去に私たちが出演した映画を鑑賞した時。

例えば、なんとなく空を見上げたとき。

抜けるように青く、果てしない空に無数の島々が浮かぶ光景。

人々はその島と島を、騎空挺と呼ばれる不可思議な力で宙を飛ぶ乗り物で移動するのだ。

夢の中の私はアイドルではなく、騎空士――騎空挺を用いて空を巡る者の総称で、最も自由で最も危険な職業らしい。物知りな女騎士がそう言っていた――として騎空団に所属し、世界を飛び回る。

補足しておくと、騎空団というのは騎空士達が結成する一団の事で……これも受け売りに過ぎないのであまり突っ込まれても困るが、ざっくばらんに言えば人から依頼を受けたり、お宝を探したりするらしい。

とにかく、私は夢の中では騎空団と呼ばれる集団の一員で、グランサイファーと呼ばれる騎空挺で空を巡っていた。

立ち寄った島々は本当に幻想的で美しく、思い出す度にその時見た情景が脳裏に浮かんでくる。

深い森に覆われたルーマシー郡島、島の殆どを水に覆われた商業都市アウギュステ列島、いつも穏やかな風が吹き騎空士達で賑わうポート・ブリーズ群島。

挙げだせば、一晩中語ってもまだ足りないくらい色々なところを巡り、様々な依頼を受け、それらを解決してきた。

おつかいから、ペットの散歩、人探しに掃除に料理に配達に……魔物退治。

この夢の中では人に危害を加える危険な生物――魔物――があちこちの島や空に生息しており、それの退治を騎空団が引き受けることも多々あるのだ。

中には星晶獣なんて呼ばれる、本当の化け物みたいなのと戦った事も、まぁある。

依頼を解決した後は人々の笑顔に迎えられ、騎空団の仲間と食べて騒いで、私は頼まれて歌や踊りを披露する事もよくあった。

戸惑いながらも、楽しく充実した空での生活。

いつか元の世界、私がアイドルをやっている世界に帰ることを考えながら空を巡った日々。

いっそ、この世界で騎空士として生きるのも悪くないかも……なんていう思いがなかったといえば、少し嘘になる。

だから、目が覚めて全てほんの数分か、長くても数時間かで見た夢だったと知ったとき、ホッとしたと同時にいくばくかの寂しさと後悔を感じたのも事実である。

それは、もう空を巡る事ができないのかという事や、仲間達と会うこともないのかという思いもあった。

でも……一番は、きっと夢の中で私に夢を語ってくれた少女の事。

『空の果て、星の民が住まう伝説の地、そして父親が待つイスタルシアに行く事』

大人の大半が笑い飛ばすような話を、出会って間もない私に真剣に語ってくれた少女。

空の世界に来たばかりの時、魔物に襲われた私を助けて、一緒に行こうと誘ってくれた少女――ジータ――の夢。

私と変わらない年頃で、百戦錬磨の猛者達の団長を務める彼女と交わした約束を果たせなかった事に、夢と知りつつも私は後ろ髪を引かれるのだ。

約束は今でも、本当にはっきりと、優しく微笑みをたたえる瞳や炎に照らされてキラキラと輝く髪の一本一本、内容も一言一句違わず記憶に焼き付いている。

私は、彼女に思いを巡らせた時、どうしようもなくあの空へと還りたくなるのだ。

だから私は、なるべく思い出さないようにして日々を生きる。

あぁ、ほら。

記憶の中のジータが、私に語りかけてくる。

あの時と同じ優しい瞳で、宴会の熱気に当てられて少し上気した頬で、私を見つめながら

『星の島に辿りついたら、2人で――――』

今日はここまで
週1~2回は最低投下したいと思います
それではまた

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