グレッグ「エリア88~8人の戦鬼と8体の人形~」雛苺「3スレ目なの~!」 (438)

どうも、エリア88×ローゼンメイデンのクロスオーバーSSです。

―CAUTION!―
・このSSはエリア88×ローゼンメイデンのクロスオーバー二次創作です。
・このスレでの時系列は1980年代です。
・戦争の描写を含みます。
・ドールの皆さんはアリスゲームする代わりに戦闘機に乗ってドッグファイトやらかしちゃったりしてます。
・架空機も登場します。
・作者はヘタレなのであんま面白くないかもしれません。

以上の事を容認できる方のみの閲覧を推奨します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427637473

これは前スレです。

1スレ目
真「巻きますか、巻きませんか。」真「巻きますか、巻きませんか。」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1396333621/)

2スレ目
シン「エリア88~空駆ける薔薇乙女たち~」真紅「2スレ目なのだわ。」シン「エリア88~空駆ける薔薇乙女たち~」真紅「2スレ目なのだわ。」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1404830912/)

3スレ目
ミッキー「エリア88~砂の薔薇(デザート・ローズ)~」翠星石「3スレ目ですぅ。」ミッキー「エリア88~砂の薔薇(デザート・ローズ)~」翠星石「3スレ目ですぅ。」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1419343874/)

ゲイリー「…………!」

神崎「どうだい?度胆を抜かれただろう?」

ゲイリー「ええ…これは…ただの爆撃機じゃない…空を飛ぶ…要塞…。」

神崎「そうだ、これこそ我々に与えられた難攻不落の飛行要塞なのだよ。」

ゲイリーの脳裏を破壊と殺戮のイメージが過った。

神崎「では次にこの要塞の内部を見ようではないか。」

神崎はゲイリーを導いて爆撃機下部の搭乗用ハッチから内部に上っていった。

ゲイリー「!!!」


MISSION94 コンピューター・ゲーム

ゲイリーは機内に入った瞬間…

ゲイリー「…………。」

10年も昔に戻ったような気がした。

ゲイリー「意外ですね。こんな大きな機の内部がこれほど狭苦しいなんて。」

まるで初めて入ったかのように話すが、ゲイリーは1度B-52の機内を見たことがあった。

それはベトナム時代、空中給油の講習を受けた際にB-52の内部を見学した時だ。
圧迫感を覚える機内、張り巡らされたむき出しの配管やケーブル。
それを見た瞬間、自分は空母あるいは地下の要塞の中にでもいるかのように思えた。
だが各要員の為の戦闘機のような射出座席がその錯覚を消し去った。

神崎「本当のところ、これでも他のB-52よりも広々としているそうだよ。多くの物を取り外したり小型化したり、あるいは胴体部分に移動させたり…。」
神崎「それが君にも分かる部分がここだ。」

神崎はゲイリーを下のデッキへ案内した。

神崎「ここには旅客機で2人分の座席がある。通常のバッフでは1人で精一杯なのは知っているはずだ。」

ゲイリー「はい………。」

2人は下部デッキの航法士の座席に腰を降ろした。

ゲイリー「ここにあった航法と爆撃用の機器類は何処にいったのですか?」

ゲイリーは目の前のがらんとしたパネルを見つめて聞いた。区画全体から殆ど装置類が姿を消している。

あるのはレーダー航法士用の10インチのレーダースコープと左側に関連する装置、そしてその脇の小さなワープロのキーボードの付いた小型のビデオモニターだけだ。

神崎「世界一大きなビデオゲームさ。」

神崎は笑いながら言った。

神崎「簡単で分かりやすい航法を採っている。このメガフォートレスは航法にリンクレーザージャイロ使用のINS(慣性航法システム)とともにGPS(汎地球測位システム)を用いている。」

神崎「INSは人工衛星によって更新されているから航法にそのスコープは必要なくなる。ここではそれを航法用から索敵用に変更してある。」

神崎「レーダー航法士は全ての航法測位点とコンピューターサブルーチンの入った差し込み式のカートリッジを使用する。ジャイロは完全に調整されるまで3分を要し、それだけで1時間につき1/4の制度を示す。」
神崎「衛星システムは自動的に地球を周回している8個の空軍航法用衛星のうちの2つを捕え、5分間に1度の割合で位置を出してくる。その制度は毎回2、3フィートだ。」
神崎「航法士はさらにコンビネーションコンピューターとテレビモニター、それにコンピューター再プログラミング用のキーボードを持っている。」

神崎は10インチの攻撃用レーダースコープを指し示した。

神崎「オールドドッグは海軍のF-18ホーネットが搭載しているAPG-75攻撃用レーダーを積んでいる。これはあらゆる種類のスコーピオンに標的及び追尾データを入力できる。」
神崎「このレーダーには必要に応じて航法レーダーとしても使えるし、地形回避マッピングディスプレイとしても使える。」

ゲイリーは半ばもういいよという顔になっていた。

神崎「まだあるぞ。」

2人は梯子を上って上部デッキに入った。

ゲイリー「…特に変わってはいませんね。」

神崎「パイロットのお気には召さないかもしれんがね。仕事にも殆ど変化は無い。」
神崎「このメガフォートレスには燃料系統と電気関係パネルを自動的にモニターする能力があるから副操縦士が手を貸す必要は無くなっている。」
神崎「主な追加項目と言えば自動地形回避システムだろうか。これはTERCOM(地形等高線照合システム)を応用したものだ。」

神崎「我々としてはオールドドッグに出来るだけ地表近くを飛ばせるシステムを載せたかった。しかも敵に自分の位置を知らせるレーダー発信は使わずに。」
神崎「飛行予定地域の主立った地形と人工の障害物全てを既に入力されているコンピューターにINSとGPSが現在位置、進行方位、対地速度のデータを送り込む。」
神崎「このシステムが現代位置を出し、予定されている飛行経路ではどの高度だと安全かを判断する。そしてオートパイロットにその地形上の飛行高度をセットするわけだ。」
神崎「レーダーは時々断片的にこのシステムの補助的手段として使われるだけだから機の位置を露呈するエレクトロニクスの電波放射はほぼ回避される。」

2人は半ば歩き、半ば這うようにしてコクピット後部の防御要員コンパートメントに進んだ。

神崎「電子戦士官の持ち場にも殆ど変更は加えていない。機器類は多少特殊化、そして自動化された。銃手の持ち場は全く違う。」
神崎「8インチの火器管制レーダー、防御用ミサイルランチャーの管制装置と表示器、それに空中投下機雷ロケットの発射筒と前方射撃ミサイルの管制装置が備わっている。後部では忙しい人間ということだ。」

ゲイリー「何もかも既製のものでしょうね?」

ゲイリーがやっと口が利けるようになって訊ねた。

神崎「もしそうでなかったら君は気付いたはずだ。だが君には目新しいものは何も無かった。」

神崎はゲイリーを先導して搭乗口のラダーを降りて行った。2人1組の保安要員が入れ違いに機内に上り、神崎とゲイリーが見張られている間に内部を手早く検査した。
その保安要員が再び姿を見せると、2人の男はその場を離れてもよいことになった。神崎はゲイリーと並んで出口に向かった。

ゲイリー「1つ私の意見を言わせてもらいますが…。」
ゲイリー「私はここにくるよう指示された以外何もしていません。この爆撃機がどれだけ高性能でどれだけ新技術が盛り込まれていようとも私には関係ありません。」

神崎「よく分かっているとも、マック。」

ゲイリー「はい。お互いによく理解し合った所でお聞きしたいのですが…」

神崎「君をこのまま帰らせるわけにはいかないのだよ。」

神崎が遮った。

神崎「君に新しい指令を与える。これからこのメガフォートレスは試験飛行も兼ねてこのドリームランドからアンドルーズまで飛行する。君にはそこまでの護衛を頼みたい。」

ゲイリー「護衛?何故私なのですか?」
                               ・・・・
神崎「オールドドッグは元々アメリカ軍の所属だった。ちょっとした話し合いで我々の物になった。アメリカ領空内での一切の戦闘行為、通信妨害行為を禁じるという条件付きでね。」

ゲイリー「はあ…。」

話し合いと聞いたゲイリーは大体の想像ができた。

神崎「現在の我々プロジェクト4所属パイロットの中で特に優秀なのが君だったというのも理由の1つだ。旋回性能の悪いMiG-21でF-14とも対等に戦えるのは君ぐらいだ。」

ゲイリー「…………。」

ゲイリーはF-14という単語でふとミッキーを思い出した。

神崎「君の乗機となるF-18は既に準備が整っている。私もすぐ用意に取りかかろう。」

ゲイリー「用意?まさかこの機に?」

神崎「飛行機の性能を見てみたいのが心情でね。機長は私が務める。」

ゲイリー「機長!?総司令が自らですか!?」

神崎「不満かね?私はこう見えても元パイロットだぞ。」

ゲイリー「…………。」

キィィィィイイイイイイイン…

ゲイリーはF-18のコクピットにいた。彼の目にはいかにもこれから上がるぞと言わんばかりに滑走路へ向かうオールドドッグが映っていた。

ゲイリー『では先に行かせてもらいます。』

神崎「何時でもどうぞ。」

グオオオオオオォォォォォォ…

F-18は軽快な足取りで滑走路を離れ、基地の上空を旋回しながらオールドドッグの離陸を見守っていた。

管制『コントロールよりドッグ01フォックスへ。離陸を許可する。』

神崎「ドッグ01フォックス了解。」

ドッグ01フォックスとはメガフォートレスがアンドルーズ空軍基地まで飛行する際に与えられたコールサインである。

神崎「では行こうか。」グイ

神崎はスロットルを一杯まで引いた。

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨…

大きな音を立てて古犬はその重い腰を上げた。

ゴオオオオオオォォォォォォォ…

その日、神崎がオールドドッグに搭乗した瞬間から、アメリカ合衆国全域の基地が非常警戒態勢になったという。

はい、MISSION94完成です。
前スレが格納されてしまったので新しく立ち上げました。
雛苺が3スレ目と言っているのは前の3スレ目があまりにも短すぎたのでその続きという設定だからです。
決してタイトル入れる時に間違えたわk

「オールドドッグ」出撃せよ! ってわけだね。
「精度」と書くべきところが「制度」になってるのが気になるけど。

これより投下します。

キィィィィィィン…

1機のA-4が240km/hでエリア00に向かってくる。

キム「やっほーーーーーい!!」

ドピュッ!

作業員A「タッチダウン!」

セイレーン「ナイス・アプローチ!かっくいいよ王子様!」


MISSION95 一夜城

ガガガ…クォォォォ…カンカン…

その日、エリア00にいる全機体の総点検が昼夜を徹して行われた。

船員A「ジブラルタルを抜けます。」

金糸雀「うむ…。」

艦長「目標地点まであと4時間ですな。」

サキ「夜明け…か…当直士官を除いて少し休ませろ。夜明けと同時に仕事だ。昼までに大体の作業は終了してしまいたい。」

金糸雀「ラウンデル、作戦室にみんなを集合させるかしら。」

その後、パイロット一同は作戦室に集められた。

ワイワイ…ガヤガヤ…

サキ「この艦はさっきジブラルタルを抜けた…既に地中海に入っている。大体のことは先日話した作戦通り、日の出を待って目標の爆撃を行う。」
サキ「補足的な説明はラウンデルとカナリアがする。」

一同の前にラウンデルと金糸雀が立った。

ラウンデル「目標に対する爆撃は2班に分ける。対艦ミサイル使用のミッキー達は1班。最初に穴を開けろ。」
ラウンデル「A-4及びF-5使用。通常爆装のセラの班は精密爆撃をやってもらう。」

金糸雀「目標にはキムがヘリを連れて既にセンサーを設置しに行っている。日の出までには作業を終了するはずかしら。」

ラウンデル「各自時計合わせ。現在AM0:15…」

一同が自分の時計に注目する。

ラウンデル「5…4…3…2…1…0!よし。」

キム「目標到着!」

キイイイイイイイイイイイイン!

同じ頃、キムのハリアーと数機のSH-3が基地建設予定地上空で滞空していた。

キム「上空援護する!」

ヘリ『了解!』

ババババババババババ…

作業員B「よし…300m間隔でセンサーを設置しろ!」

作業員C「急げっ!」

ウイーーーーーン…

ヘリから吊るされた作業員が丁寧かつ迅速に岸壁にセンサーを設置していく。

そして夜明け…

サキ「夜明けだ…。」

ブリッジを淡く柔らかい朱に染める。

ラウンデル「感傷的と笑われましょうが…戦いの始まる日の夜明けは血の色に見えますな…。」

サキ「そうだな…。」

一同はただ昇りゆく日を見つめていた。

金糸雀「人が生を受けて一生を終えるまでに何回の夜明けを見ることが出来るか…己が見るのか運命が見させるのか…。」

ラウンデル「…………。」

サキ「フライトデッキ!発進用意!」

グオオオオオオオオオオオオ!

ミッキーと翠星石の乗るF-14がカタパルトに設置された。機体にはAIM-54フェニックスミサイルが6基装備されている。

ミッキー「発艦指揮所!用意よし!出るぜ!」

作業員D「離艦出力最大!」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨…

うなり声を上げるエンジンの振動が甲板に伝わる。

作業員E「Catapult pressure maximum!(カタパルト出力最大!)」

作業員F「OK! Mickey, Good Luck!」

作業員G「GO!」ピッ

ドギャアアアアアアアアアアア!

作業員F「1番機発進!」

グオオオオオォォォォォォ…

作業員F「2番射出用意!」

作業員E「カタパルトシャトル戻ります!」

艦長「いよいよ任務開始ですな…。」

金糸雀「ええ…マッコイがどうやって手に入れたのかは定かではないけれど…。」

甲板には蒼星石の乗るF-15が出ていた。本来は陸上機であるF-15だが、蒼星石の乗っている機体はAIM-54の運用能力や主翼の折りたたみ機構、着艦フックなどを有する新しい派生型なのだ。

サキ「F-15N「スーパーストライクイーグル」…まったく、実現していればF-14やF-18なんか不要になる代物を…。」

金糸雀「まあご褒美ということであげてもいいんじゃないかしら?」

ラウンデル「確かに、彼女の対地、対空戦闘での撃墜数はトップ5に入りますし、こちらとしては高価でも高性能の機体を欲するところですしね。」

サキ「ソウセイセキ、君はミッキーの指示に従って行動しろ。」

蒼星石『了解!』

キイイイイイイイイイイイン!

作業員F「OK!ソウセイセキ、Good Luck!」

作業員G「GO!」

ドゴオオオオオオォォォォォォォ…

キィィィィィン…

翠星石「撃ぃ!」

ヴォムヴォムヴォム!

F-14、F-15N、F-111BからAIM-54が全弾発射される。その後ろでも他の機からミサイルが一斉に発射される。

ゴオオオオオオオオオオオオ…

その光景はまさにミサイルの乱れ撃ちであった。

ズドドカアアアン!ドドオオオオオオン!ズガアアアアアアアン!

辺りを土煙が覆い尽くす。

ガラガラガラ…ドボーン…バシャーン…

やっと晴れると、命中した辺りの地面は海に変わり、入江のようになっていた。

ミッキー「終了!編隊を組み直せ!」

翠星石「第1隊の翠星石です!おおまかのとこはやったですよ!あと細かいとこ頼むですぅ!」

グオオオオォォォォォ…

ザバーン…ザバーン…

岸壁に打ち寄せる波…海の中は静かだった。が…

ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ…

ドヴァアアアアアアアアアアアン!

セイレーン「さあ、あまり時間は無いんだ!さっさと土木作業はやっちまうよっ!」

一同「「「ヤー!」」」

ギュウウウウゥゥゥゥゥゥン…

アッサン「ったく…乱暴と言えば乱暴な話だぜ。ま、一番効果的と言やあ効果的なんだが…。」

元ブ兵A「にしてもラウンデルというおっさんもカナリアとかいう嬢ちゃんも何を考え付くかと思えば…。」

カシム「いいんじゃないスか?これ以上船酔いで苦しむのは御免こーむります。」

ヒュウウウウゥゥゥゥゥゥ…

ドドオオオオオオオン!ドゴオオオオオオオン!

アッサン「結構丈夫なものだな、自然の岩ってものは…。音の割に大して崩れんな。」

カシム「ですね。」

セイレーン「感心してないでさっさと2回目の投弾を開始しなさいっ!」

アッサン「へいっ!」

ゴオオオオォォォォォ…

パリパリパリパリパリ…

続いてヘリ部隊がキムの指示のもと爆薬を設置する。

ヘリ「OKか?」

作業員H「OK!」

シューーーーーン…

作業員がヘリに収容される。

ヘリ『ヘリよりキムへ!用意よし!』

キム「OK!爆破しろ!」

ドォン!ボボン!ドオオオオン!

キム「ヘリ隊へ!全部発火した!確認終了!ポイントにソナーゾンデを投下して水深を確認しろ!」

ウォーレン「こりゃあ…。」

グレッグ「う~む…。」

翠星石「ま…こうなるようにやったんですけど…。」

ミッキー「いざできてみるとちょっとしたもんだな。」

キム「すごいね…セラ…新しい基地は…。」

蒼星石「本当…。」

セイレーン「う~ん…。」



セイレーン「ネオンが欲しいわ。」



キム「」ズルッ

蒼星石「」ドテッ

ラウンデル「明日からブルドーザーを出して地上施設や横風用の滑走路を造りにかかります。」

サキ「ふふふ…一夜にして海岸に基地ができちまうんだ。敵もたまげるぞ。」

空を照らすサーチライト…夜の静寂を遮る機械音…

狼達のねぐらは遂に大地と接した…

ここはエリア00…アスランの片隅に築かれた一夜城…そして…

金糸雀「ふっふっふ…これぞ金糸雀&ラウンデル製「エリア88」かしら!」

ここは新生エリア88…00と00…2つの地獄が1つになろうとしている…

はい、今日はここまでです。

今回の架空機はF-15Nです。

F-15N
1970年代初期に提出された海軍向け艦上戦闘機型F-15。愛称は「Sea Eagle」(オジロワシ属のワシを指す属名)。
AIM-54の運用能力や主翼の折りたたみ機構、着艦フックなどを有する。
F-14が飛行試験段階にあったことで、構想のみに終わる。
今作では極秘に1機だけ製造されたが、コストの問題からそれ以上は製造されなかった。
「スーパーストライクイーグル」と呼ばれているが、現実のF-15Eストライクイーグルとは関係ない。

寝る前に今回の概要を簡潔に伝えるならば…

サキ「おい!このバカヤロー!よく聞け。いいか…、」

サキ「ここを基地とする!」

「建設決定」ドドン

以上!おやすみなさい。

これより投下!


~PM2:00・アスラン某所~

ガガガガガガガ…

ブルドーザーが地面を慣らし、その上に滑走路の基礎となる鉄板が敷かれる。

サキ「…………。」

金糸雀「敵が心配かしら?」

サキ「うむ…まあな…。」

ラウンデル「アスランからはかなりの距離ですし向こう側は丘になっているので、殆どこの基地は視認することが出来ないでしょう。」

金糸雀「いざとなればこの基地ごと海に出られるのがいいかしら。」


MISSION96 平和の代償

マッコイ「サキ!即製滑走路はあとどれくらいで出来上がる?」

マッコイがブリッジに姿を現した。

サキ「マッコイじいさん。」

マッコイ「物資輸送のC-130に連絡付けねぇと…。」

サキ「明日一杯はかかりそうだな。」

金糸雀「人員さえいればいいんだけれど…ま、贅沢言えばきりがないかしら。」

一同はブリッジから徐々に築きあがっていくエリア00を見る。

金糸雀「ところでマッコイ…そろそろ言ってくれないかしら…?」

マッコイ「あ?」

金糸雀「スポンサーは誰なの?」

マッコイ「んにゃ…それ…は…」

マッコイは急に口ごもった。

マッコイ「勘弁してくれよカナリア…これだけは口が裂けても言えねぇ…。」

マッコイ「ただ…その人はわしみたいな武器商人じゃねえことは確かだ…そしてプロジェクト4に対して戦う意志のある人間に援助してくださる。それはエリア88だけではない…。」

サキ「見返りは何だ?仮にプロジェクト4をこのアスランから叩き出した後そのスポンサーは何を望んでいる!?石油か!?ウラニウムか!?」

サキが声を上げて問いただして出てきた言葉は意外なものだった。



マッコイ「…平和(ピース)だ…。」



サキ「…………。」

金糸雀「…………。」

ラウンデル「…………。」

ブリッジに沈黙が10秒ほど続いた。

サキ「…くっくっく…。」

ラウンデル「サキ様!」

サキ「どんな偽善者の口から出た言葉よりも笑えるぞ…マッコイ…悪い冗談だ!」

金糸雀「武器業者の口から平和…ね…言って恥ずかしくないの?」

マッコイ「わ、わしだって口にするなぁ憚るけどよ。」

サキ「軍人が口に出してはいけない言葉はいくつかあるが…戦争反対と永遠の平和と人命尊重はその最右翼だ。自分で自分を否定することになる。」

サキ「と同時に人間が人間である限り望めないものが1つ…それが平和だ。」

サキは椅子から飛び降りた。

サキ「ふん。エンタープライズ級の空母を1隻…ロハで与えて望みは平和か…笑わせやがる。この空母1隻で国の1つや2つ灰にすることが出来るんだぞ。」
サキ「この浮かぶ鉄の塊は戦争が目的で造られた船だ。こいつぁ…遊覧船じゃない。」

キィィィィィィィン…

甲板でエンジンを吹かすF-4を横目に見ながら語り続ける。

サキ「この空母が任務を終えて手にするものは何だと思う?平和か?」

サキ「否!!」バン!

サキ「手にするのはこの空母をバラバラにして作ってもなお足りない棺の数と…」

サキ「…二度と帰ってはこない人の命だ…!」

サキはブリッジを後にする際振り向きざまにこう言った。

サキ「スポンサーと顔を会わせることがあれば言っておいてくれ。このサキ・ヴァシュタールに兵器を与えても平和なぞ手に入りはしないとな!」

カッカッカ…

ラウンデル「ふう…。」

金糸雀「…………。」

マッコイ「…………。」

アスランと日本の時差はおよそ6時間…

~日本PM8:00海音寺邸~

八兵衛「ふむ…どう考える?」

藤堂「非常に危険です。私個人の意見では風間に協力はしてやりたいですが…」

八兵衛「個人的な意見はいい。大事なのはこの日本という国…いや、経済組織と言ってもいい…こいつの安全をどこまで確保できるか…だ。」

藤堂「は…。」

八兵衛「安全と平和は意味が違う…日本以外の全ての国が血まみれになっていようが日本が絶対にそれに巻き込まれない状態…それが安全だ。」
八兵衛「平和というのは日本を含む全て…少なくとも地球上であらゆる争いごとが起きない状態を言う…こいつはかなり難しい。」

夜空の向こう側を満月が照らしていた。

八兵衛「藤堂君…日本は経済大国だ…武力を持っているわけではない。経済機構の安定こそ今の日本の安全だ。言い換えれば、経済機構の乱れは現在の日本の安全を脅かすことになる。」

藤堂「では…!」

八兵衛「風間君の資本力は個人の持つ力としては強力過ぎる。またプロジェクト4は経済組織の巨大な集合体とも言えるようじゃ…」
八兵衛「彼の放つはずの正義の矢は我が国の経済に少なからず影響は与えるだろう。」

八兵衛「平和共存は人類の悲願ではある。だが出る杭は打たれるの例えがあるように我が国にも対外的には問題を山のように抱えている。平和よりも今は安全を取るべきだ!」
八兵衛「世界数十億の人間の平和のために日本1億2千万の安全を無視するわけにはいかん。」

八兵衛「例え鬼と言われようと…この海音寺八兵衛、1歩も引くわけにはいかん…!」

その言葉には年老いてもなお滲み出る威厳が込められていた。

藤堂「お察しいたします。」

八兵衛「総理には明日わしから伝えることにしよう。君は彼らの動きから目を離さないように。」

藤堂「はっ!」

所変わって、ここはアメリカ・ワシントン州スポケーン国際空港…

カタカタカタ…

出発案内の標識が忙しく動くロビーに男と人形はいた…

???「やれやれ…」

ドン



チャーリー「遂に連中に嗅ぎつけられたかな?」


はい、今日はここまで。

>>17
誤植です。

次回はSFCエリア88に登場した何でもありの究極ファイターに関わるお話です。

お待たせしました(待ってないかも)。これより投下します。

「スポケーン到着現地時間21:35。現地時間22:00まで荷物を保持し、次の指示を待て。」

チャーリーが受け取った命令書に書いてあった指示はこれだけだった。

チャーリー「23:45…2時間も過ぎてる…何をする予定だってんだ?」

軍特有の「急げ、そして待て」というやり方の典型だ。「時間通りに着け。さもないとただじゃ済まないぞ。そして座り込んで準備が整うまで待て。」
はっきりとそう書いてあるわけではないが彼からすればそう言われているようなものだ。

チャーリー「今日は…とんだ厄日だな…。」


MISSION97 ミラー少佐

遡る事約9時間前…彼「不死鳥チャーリー」と自動人形(オートマター)「薔薇水晶」はアメリカ西海岸の大都市・ロサンゼルスのとあるビジネスホテルにいた。

チャーリー「やれやれ…連中、国を灰にする気か?」

チャーリーは複数の書類を片手にソファーに座っていた。

チャーリー「アメリカ空軍払い下げのB-52が14機…MiG-21が90機…クフィル40機…ロシア製潜水艦3隻…」

薔薇水晶「お茶が入りました。」コト

チャーリー「おう、すまんな。」

彼は茶を飲みながらも書類に目を通す。

チャーリー「イギリスの大手工業ビジネス商社「スレッシャーグループ」からの大量投資…それもP4とその関連会社に交じって訳の分からん会社が数社…金の行き先は…。」
チャーリー「………エリア88…。」

そのリストの中にはマッコイの取引先も上がっていた。

チャーリー「ふん、連中88、P4、ブラシアが三つ巴戦やってる間に根こそぎ持っていくつもりだな。」

薔薇水晶「ローバー製鉄の方はいかがいたしましょう?」

チャーリー「ああ…もう何も出てくるまい。連中あの地上空母の後は保守的になったからな。」


~ホテルのロビー~

チャーリー(さて…次はどっから調べるかね…)

チャーリーが新聞を読みながら考えていると…

スッ

???「不死鳥のチャーリーだな。」

チャーリー「!」

声は彼の背後に背中合わせで座っている男から発せられたものだ。

???「振り向かないで言え。お前が不死鳥のチャーリーか?」

チャーリー「そうだと言ったら?」

???「そう警戒する必要は無い、我々は何も君を捕まえに来たわけじゃない。」

チャーリー「どんなもんかね。俺等の敵じゃないのならそれ相応の証拠でも見せてもらおうかな。」

すると男は1枚の書類と身分カードを密に手渡した。

???「明日、航空機を手配する。その指令所の通りに動きたまえ。勿論ローゼンメイデンも忘れないように。」

書類には1人の男の名前があった。

チャーリー「ミラー少佐…アメリカ空軍?」

仕事柄、マフィアやギャングに目を付けられることはあるがアメリカ空軍には覚えが無かった。

???「君がその通りに動く事を願っている…88のために。」スッ

男はそのままホテルを出て行った。

チャーリー「…何てこったい。」

これが現在に至る経緯だ。

チャーリー「空軍に睨まれるとは…俺もヤキが回ってドジやらかしたか…。」

チャーリーは背後から4人の男が近づいてくるのを感じながらそう思った。

???「チャーリー・ロカタンスキーだな?」

彼は返事をしなかった。

???「身分証明書と命令書を見せろ。」

男は否応なく彼からバッグを取り上げ、中の書類を確認する。

???「我々と来てもらおう。」

彼はその声が発せられる前に流れるように男達の中へ入っていった。

チャーリー「…………。」コツコツ…

男達はそのまま玄関の前に止まっていた2台のセダンに分乗した。

ブオオオォォォォォォ…

チャーリー「ミラー少佐ってのはどいつだ?」

???「我々がそうです。」

チャーリー「だから誰だ?」

???「ミラー少佐というのは我々だけが知る貴方のコードネームです。貴方や貴方の関係者がミラー少佐のことを口にすると我々の部局に連絡が入るのです。」

チャーリー「成程…俺達はまんまと嵌められたってわけか。俺の事もバラスイショウの事もを知っていたな。何が狙いだ?」

???「どうかお許し下さい。今回の一件は全て貴方が尾行されていないか確かめるためなのです。理由は後で分かります。」

チャーリー「尾行ね…………。」

チャーリー(にしてもロカタンスキーって何だよ…○ッドマ○クスじゃねえんだから…)

不死鳥チャーリーは仕事の時に複数のラストネームを使っている。だが彼にとって今回の名前は滑稽に思えた。

ブロロロロロロ…

セダンはゲートを抜け空港内へ入った。行く先には無塗装のリアジェット35Aが駐機されていた。

キキッ

車が止まると、男達はそのままビジネスジェットの中へ入って行った。

???「こちらへどうぞ。」

チャーリーは言われるがままに座席につく。

???「発進だ、機長。」

ウイーン…ガチャ

ドアが閉まるとすぐにエンジンが始動され機は3分という早さで空港を発った。

キィィィィィィィィン…

チャーリー「なあ、やっと空まで来たんだ。この機内にいる人間以外に俺達の会話を聞く奴はいない。」

責任者らしき男と向かい合わせに座ったチャーリーが口を開いた。

チャーリー「俺達を何処に連れていくのか聞かせてもらおうか。あんたの仕事は何だ?」

???「貴方をプロジェクトコーディネーターの下まで送り届けるのが私の仕事です。」

チャーリー「プロジェクトコーディネーター?それは誰だ?」

???「今はまだ言えません。じきに分かります。」

チャーリー「じきにとかすぐにとか…あんたらは一体俺等に何をさせたいんだ?」

???「貴方は現時点で考えられない程、重要な人物なのです。貴方の考え1つで世界を守ることも滅ぼすことも出来る…無論88もです。」

チャーリー「世界…こりゃちょっとしたいざこざじゃ済まないようだな。」

???「今は…」

2人の席に冷えた缶ビールが2本置かれた。

???「暫しの空の旅を…。」スッ

男は彼に乾杯を求めてきた。

チャーリー「………ふっ、それもそうだな。」スッ

カン

今日はここまで。
次回、いよいよ堕天使が始動を開始します。

お待たせしました。これより投下を開始します。

「チャーリー・ロカタンスキー」と彼の「手荷物」が狭くてかび臭い宿舎の部屋から200~300ヤード離れた別の建物に移されたのは夜も遅くなってからだった。

チャーリー「…………。」

小さなブリーフィングルームでソファーに座ったチャーリーは今、自分がいる場所について推測していた。

彼には何故男達が現在位置を秘密にしようとするのか分からなかった。しかしそれは成功したわけではない。

「ネリス 予備5」彼の自室の机の横に彫られたこの単語からここを特定することは彼にとって容易であった。


MISSION97 堕天使の手招き

チャーリー(リアジェット35はあのスピードだと約1000マイルは飛べる…パイロットは全行程をフルスロットルにしていた…)

次に彼は自分が今いる場所について推測を始める。

チャーリー(この冷温で乾燥した空気…遠くを飛ぶジェット機…しかもこの音は旅客機ではなく軍用機…)
チャーリー(つまり?俺は今ネリス…あるいはその周辺の飛行場、駐屯地、トレーニングキャンプ、練習場の中の何処かにいる…)

コンコン

その推測は部屋をノックする音で中断せざるを得なくなった。

ガチャ

扉を開けて入ってきたのは2人の軍人だった。

???「やあどうも、チャーリー・ロカタンスキー…いや「不死鳥のチャーリー」と言ったほうがいいかな?」

チャーリー「そうしてくれ、そのファミリーネームは不愉快だ。あんた等は?」

???「私はアメリカ空軍中将でハイテクノロジー航空宇宙兵器センターの司令官、ブラッディー・エリオット。こちらは副官のジョン・オーマック准将だ。」

オーマック「初めまして。」

チャーリー「ハイテク…HAWCのお偉いさん方ときた。俺がチャーリーだ。下の名前は10から先は数えとらん。」

チャーリーとエリオット中将は握手を交わした。

チャーリー「それで…早速聞かせてもらおうか。何故俺がここに呼ばれたのか。」

エリオット「ああ、君も聞きたくてうずうずしていることだろう。」

チャーリー「へっ。」

チャーリーは鼻で笑った。

エリオット「単刀直入に依頼したい…。」

チャーリー「依頼?空軍の中将さんが何だってそんな…。」

エリオット「我々はパイロットとしての腕を見込んで君にある作戦を引き受けてもらいたいのだ。」

チャーリー「作戦?」

エリオット「オーマック、例の物を。」

オーマック「はい。」カチャ

オーマックは鞄から1冊の冊子を取り出す。

チャーリー「何だ?こりゃ。」

エリオット「我々が開発した新型爆撃機の資料だ。」

彼は淡々と情報を見ていく。

チャーリー「…………。」

バサッ

チャーリー「あんた等正気か?」

エリオット「紙の文字を見ただけで事実ととらえろというのは無理な話だが…これは実際に飛んでいる。」

チャーリー「だとして、俺に何をやれと?」

エリオット「君にこの爆撃機を奪還…いや、無理なら破壊してもらいたい。」

チャーリー「お断りだ。」

チャーリーは言い切った。

チャーリー「真偽はさておき22基のAMRAAM、4基のHARM、50基の空中投下機雷ロケット、通信妨害装置、全身ファイバースチール製、マッハ1超えのB-52をどうやって落とせと?」

エリオット「これはこれは、不死鳥のチャーリーにも恐ろしい物があるのかね?」

チャーリー「MiG-31でこいつとドッグファイトやらかして撃ち落されるよりはましだ。」

冊子にはEB-52メガフォートレスの撃墜記録も載っていた。

チャーリー「こんな化け物、戦艦か要塞じゃなけりゃ手も足もでないさ。」

エリオット「ファイヤーフォックスはどうかね?」

チャーリー「ファイヤーフォックス?」

彼は以前エリア88にいた時にその機体の存在を認めていた。

チャーリー「何故あんた等がその名前を?」

エリオット「アメリカに運ばれた後ここで試験が行われていたのだよ。」

チャーリー「へぇ~ここでね…パイロットの登録解除は?」

オーマック「無理でした。登録言語の変更も出来ません。」

チャーリー「じゃあ無駄だな。フランス語しか認識しないなら、思考誘導はフランス人しか受け付けないってわけだ。」

エリオット「だから我々はフランス語を話せるパイロットに協力を依頼して試験を行った。そして我々は作り上げた…堕天使を…。」

チャーリー「堕天使?」

エリオット「付いてきたまえ。君に見せたいものがある。」スッ

カチャ…カチャ…

エリオットは立ち上がると右足から出る不自然な音と共に部屋を出た。

チャーリー「…もしかして義足か?」

オーマック「以前我々がオールドドッグで作戦を行った時にね。オールドドッグの初任務だったのです。」

チャーリー「とんだ初任務だったな。」

エリオット、オーマック、チャーリー(と鞄の中の薔薇水晶)は格納庫の一角にいた。そこは真っ暗で唯一の照明は廊下へ通じるドアから漏れる蛍光灯の光だけであった。

エリオット「これから君に今まで行ってきた試験の産物をお見せしよう。」

チャーリー「産物?何だそれは?」

オーマック「見ればきっと驚きます。」パチン

オーマックが照明のスイッチを入れるとそれは現れた。

チャーリー「!」

格納庫の中心に横たわる紫の物体…。それが飛行機であると認識するのに数秒を要した。

チャーリー「こいつは…ファイヤーフォックス?」

エリオット「たしかに形はファイヤーフォックスそっくりだ。でもこれは違う、れっきとしたアメリカ製戦闘機だ。」

チャーリーはその機体を見つめながら言った。

チャーリー「これは…コピーしたのか?」

エリオット「正式名称はF-200「イフリート」。MiG-31を完全にコピーしたわけではないが、こいつにも普通の戦闘機とは違う機能が付いている。」

チャーリー「例えば?」

???「その説明は私が。」

1人の男が操縦席から降りながら言った。

エリオット「紹介しよう。パトリック・マクラナハン中佐。我がHAWCの開発計画担当士官だ。このイフリート開発の中心人物でもある。」

マクラナハン「よろしく。」

チャーリー「どうも…それで?その普通とは違う機能とやらを説明してくれませんか?」

マクラナハン「ええ勿論。」

チャーリーはマクラナハンに続いて機首へ歩いた。

今日はここまで。
いよいよ何でもありの究極ファイターF-200イフリートの詳細な性能が明らかになります。
今回登場したキャラクターはいずれもデイル・ブラウン作の「オールド・ドッグ出撃せよ」からです。
時系列的には同シリーズの「レッドテイル・ホークを奪還せよ」後です。

大変長らくお待たせしました。これより投下です。

コンコン

チャーリー「こいつはどんな材質なんだ?」

チャーリーはマクラナハンに続いて機首へ歩きながら尋ねた。

マクラナハン「極音速に対応するため特殊チタニウム合金を使用しました。融点はおよそ2000℃です。」

チャーリー「大気圏突入も出来そうだな。」

マクラナハン「風防はポリガーボネードを採用しているので通常の風防よりも軽量かつ高い強度を持っています。完全密閉ではありませんが。」


MISSION98 闇の侵略者(アグレッサー)

2人は機体後部へ移った。

マクラナハン「主翼は原型機と同じクリップドデルタ翼でカナード翼も同様です。エンジンは新型のターボ・ラムジェットエンジンで推力は18,400kgf、最高速度はマッハ5。」

チャーリー「ステルス性は?」

マクラナハン「ファイヤーフォックスを元にした新開発のECM装置で海軍の艦船の搭載レーダーには全く探知されません。」

次にコクピット付近へ向かった。

マクラナハン「思考誘導機能はコピーできませんでしたがアビオニクスにはAN/APG-71の改良型AN/APG-72を搭載しました。」

チャーリー「性能はどれぐらいアップしたのかね?」

マクラナハン「探知距離は最大400km。JTIDSが組み込まれておりMIDS-LVTにも参加が可能です。誘導方式はアクティブレーダー方式を採用しており、撃ちっ放しが可能です。」
マクラナハン「サイドワインダーからスパロー、フェニックス、ジニーまで全ての兵装を搭載できます。」

チャーリー「何でもありだな。」

マクラナハン「固定武装はM61A2機関砲2門、弾数は1860発。機首下部から発射します。」

次に2人はF-200の右翼端付近に置かれている兵装の下へ向かった。

マクラナハン「これが最新型のレーザー兵装「メガクラッシュ」。」

チャーリー「メガクラッシュ?」

マクラナハン「機体の下部に吊り下げ、下方にレーザーの雨を降らせる使い切りの全域破壊兵器です。」

チャーリー「ほぉ…レーザー兵器か…。」

マクラナハン「通常の戦闘機は重量の関係で1基しか積めませんが、F-200では2基積むことが出来ます。」

更にその横には…

マクラナハン「こちらは「クラスターショット」。半径300mに金属片を発射する空中投下機雷です。 威力は小さいですが範囲が広く、追跡機を落とすのには便利ですよ。」

マクラナハン「そして…。」カンカン…

カチッ シュン!

マクラナハンがコクピットのスイッチを操作すると、胴体の下から2mはある大きな砲門が出てきた。

マクラナハン「これがこのF-200最強装備「スーパーシェルポッド」です。」

チャーリー「何だこれ…大砲か?」

マクラナハン「砲門は100mmで前方にレーザーを連射します。さらにエネルギーが切れればロケットモーターでこのポッド自体を発射できます。」

チャーリー「ひゅう!こいつぁまさにスターウォーズだぜ!レーザー兵器載せた戦闘機で巨大要塞を潰すってか。」

エリオット「気に入ってくれたようだね。」

チャーリー「ああ…こいつさえあれば怖い物無しだ。」

マクラナハン「これがマニュアルです。」スッ

チャーリー「どうも。」

エリオット「ところで…」チラ

チャーリー「ん?」

エリオットはチャーリーの横に置かれた高級そうな鞄に目を向ける。



エリオット「君のパートナーというのはその中かね?」



チャーリー「…………。」

エリオット「黙るということは肯定ということかね?」

チャーリー「こっちだって何年も仕事をしてきたんだ、相手の気ぐらいかんで分かる。」パチン

チャーリーは鞄を開けそのパートナーに声を掛ける。

チャーリー「バラスイショウ、出てこい。」

中からゆっくりと姿を現す。

薔薇水晶「…………。」

エリオット「ふむ………。」

オーマック「これが…。」

マクラナハン「ローゼンメイデン…。」

薔薇水晶「初めまして、私の名は薔薇水晶。どうぞお見知りおきを。」

チャーリー「言っておくが、こいつの事は他言無用だ。もしも聞き入れられない時には…」

エリオット「分かっているとも。我々は何も見ていない。ここにいるのは私とオーマックとマクラナハンと君だけだ。」

チャーリー「そういう事だ。」

キイイイイイイイイイイイイン!

格納庫から2機の戦闘機が出ていく。1機は紫色のF-200、もう1機はチャーリーに与えられた最新型のF-16CBlock30だ。

グオオオオオオオオォォォォォォ…

オーマック「よろしいのですか?あの最新鋭機を彼に与えて…。」

アメリカ空軍第354戦闘航空団第18アグレッサー部隊と同じ水色を基調としたSu-27風の迷彩色のF-16を見ながらオーマックは尋ねた。

エリオット「いいんだ。彼は敵であって味方…気分次第で正義にも悪にもなれる。」

エリオットもいくつもの修羅場をくぐってきたチャーリーの並々でない気配を感じていた。

エリオット「アグレッサーか…アメリカに侵略者がやってくるとは思いもよらなかった…。」

ドドドドドドドドドドドド…

F-200は極音速機特有の地鳴りに匹敵する轟音を立てて台地を振り切る。



侵略者(アグレッサー)と堕天使(イフリート)は行く…

吸い込まれる程黒く広い闇の海を…

君の目には何も見えない…


はい、終わり。
チャーリーの乗機ですがOVAではF-16に乗っていたのでそれにしました。

F-16C Block30
アメリカ合衆国のジェネラル・ダイナミクス社が開発した第4世代ジェット戦闘機である。愛称はファイティング・ファルコン(Fighting Falcon)。
Block30はリスク軽減を目的としたAFEプログラムにより、F-15Eと共通のエンジンベイを使用した型で、従来までのF100に加えてF110(F110-GE-100)エンジンが搭載可能になった。
またインテーク部にRCS軽減処理を行い、在来型よりレーダー捕捉を困難にした。
チャーリーの乗る機体はアメリカ空軍第354戦闘航空団第18アグレッサー部隊と同じSu-27風の塗装である。

どうも、投下の前に前回のF-200の特殊装備について補足。
「メガクラッシュ」と「クラスターショット」はSFCのエリア88からですが、
最後の「スーパーシェルポッド」はU.S.NAVYという同じカプコンのアーケードゲームからです。
U.S.NAVYはエリア88の続編になるはずだったゲームですが、版権が降りなかったためタイトル変更を余儀なくされた作品です。
そのため、エリア88の要素を引き継いでいる部分が多々あります。(空軍なのに武装が支給されなかったり司令官自ら武装を販売したり…)

グォォォォォォォ…

ミッキー「コントロール!現在高度12000!エンジンの吹けは最高だ!」

ミッキーと翠星石の乗ったF-14は上は空、下は海、青々とした空間を飛んでいた。

セイレーン『調子は上々じゃない!尾翼のバニーマークも輝いて見えるよ!』

翠星石「セラ!」

ミッキー「やっと自分ん家へ帰ってきたって感じだぜ!」

セイレーン「うふん…そうだね。ブラシアの連中も船酔いの心配が無くなったんでホッとしてるしさ。」

翠星石「ま、嵐の前の静けさってとこですね!」

セイレーン「そうだね…来週には…。」

ゴオオオオオォォォォォォォ…


MISSION99 反撃の嚆矢


~空母00~

金糸雀「まずブラシアの港から制圧する。レジスタンスの人員も殆ど市民の半数以上を確保出来たかしら。」

ラウンデル「アッサン達は1日も早く母国を取り戻したいでしょうな…。」

サキ「それは我々も同じだ…1日も早くアスランを取り戻したい。」

金糸雀「プロジェクト4はスエズ作戦のため重装備戦闘車両の70%を今週の終わりまでにアスランの集積所に移動させるかしら…そこが狙い目よ。」

サキ「攻撃開始は日曜日朝7時…セラがブラシアで渡りを付けていたレジスタンスが市内のプロジェクト4の要点を攻撃する。我々は海上から戦闘機、攻撃機を発信させて対地目標物と敵戦闘機の迎撃に当たる。」

ラウンデル「アッサン達ブラシア空軍組は空港の制圧後直ちに着陸、目標を確保させます。」
ラウンデル「そしてレジスタンス達に保護されている元空軍士官達を集合させて24時間以内に部隊編成。エリア88指揮下で作戦を展開アスラン奪回まで行動を共にする。」

金糸雀「ミッキー達はここをベースとしてプロジェクト4の戦闘機集団と遊撃戦を展開、海上作戦組の側面援護をするかしら。」

サキ「そこまではいいが来週の作戦で物資は殆ど無くなるぞ。補給はどうする?」

ラウンデル「マッコイがシチリアからの密輸ルートを使って弾薬やその他の装備を海上で受け渡すそうです。ブラシアの連中は発艦した後は制圧した基地に降りますから格納庫に物資を全部放り込めます。」

金糸雀「人手があればnのフィールドを使って運ぶという手もあるけれど…。」

サキ「そこまでしてもらう必要は無い。流石に君達の聖域に我々が踏み込むのは憚れる。」

金糸雀「…………。」

サキ「君達を戦わせておいて今更だとは思うが…これ以上は君達の負担を増やすことになる…。」

キキィィィィィィ…

1機のA-4がエリア00に「着陸」する。

ウイーン…

セイレーン「ああ…やっぱ地面に足が付いてる滑走路の方が良いわ。」

そこにキムと蒼星石がやってくる。

キム「お帰り!どうだった?」

セイレーン「調子は上々よ。敵も見当たらなかったわ。」

蒼星石「さっき聞いてきたんですけどいよいよ始まるみたいですよ!ブラシア制圧作戦!」

セイレーン「そう…それと同時にアスラン奪回作戦もね。」

キム「セラは海上作戦組だよね、必ず。僕はどっちになるのかな…。」

セイレーンは遠くを見渡していた。

キム「どうしたの?」

セイレーン「ん?滑走路を見てるのよ。」

滑走路の上では陽炎がゆらゆらと漂っていた。

セイレーン「あの鉄板の道から舞い上がる何機かはもう二度とここへは帰って来れないかもしれないわね…。」

キム「…………。」

蒼星石「帰って…きます。必ず帰ってきます。今までだって僕達は帰ってきたじゃないですか。」

セイレーン「………ふっ、そうだったわね。」

キム「僕達も必ず帰って来ますよ…。」


~フランス郊外~

キィィィィィィィン…

ここ、マッコイの所有する飛行場の1つに2機の戦闘機が着陸しようとしていた。

ドピュ!キキイイイイィィィィィ…

マッコイ「来たか…野郎共!準備しろ!」

作業員「「「へーい!!!」」」

キイイイイイイイイイイイイイイイイン!

マッコイ「アグレッサーにイフリートか…似合ってるような気もせんでもないな…。」

ウイーン

中からは半年ぶりに見た顔が出てきた。

チャーリー「久方ぶりだなじいさん。景気はどうだい?」

マッコイ「おかげさまで!てめえの古巣の援助を赤字覚悟でやらせていただいてやすよ!」

チャーリー「ははは…相変わらずのようだ。言った物は用意できてるか?」

マッコイ「あ?あ、へいへいと…。」パラ…

マッコイはポケットから伝票の束を取り出す。

マッコイ「え~と…サイドワインダー4基にHARMが2基、スパロー8基だったか。あと熱源ユニット1基…と。全部で85万ドルってとこかな。」

チャーリー「よし、俺の口座から引いといてくれ。」

マッコイ「毎度ありー!」スッ

取引が成立したと見なしたマッコイは作業員達に指示を出す。

チャーリー「ところで…あいつの原型機は今何処なんだ?」

補給作業が始まったF-200を指しながら訊ねる。

マッコイ「ワシのどっかの倉庫に眠ってるよ。ま、その場所はいくらお前でも教えられんがね。ヒナイチゴかサキの指示が無ければ出せんさ。」

チャーリー「そうか…。」

2人は装備が搭載されていく2機を見た。

マッコイ「にしても何だね。アメリカさんもどえらい代物を造ってくれたもんだ。」

チャーリー「メガフォートレスのことか?」

マッコイ「ありゃあ羊の皮を被った狼だね。同じバッフとは思えんよ。お前も知ってるだろう、2年前の。」

チャーリー「ああ、ロシアのレーザー基地壊滅事件だろ。あれも連中の仕業らしい。」

マッコイ「まったく、向こうがレーザーとくればあっちはステルス要塞とくる、はてまた極音速戦闘機。どこぞのSF映画だよ。」

チャーリー「さあね、未だに60年代を生きてるよぼよぼの老人には分からんだろうよ。」

マッコイ「あ゛ぁ?」ギロ

作業員A「マッコイさん、準備完了しました。何時でも離陸できます。」

マッコイ「おおそうか。」

チャーリー「んじゃ、俺達は行くぜ。バラスイショウ。」コツコツ…

薔薇水晶「はい。」スタスタ…

2人はそれぞれの機体に搭乗する。

キィィィィイイイイイイイイイイン…

マッコイ「88とは何時合流するんだ!?ワシが向こうに連絡付けてもいいけど!」

チャーリー「心配には及ばないさ。こっちは881手、よりP4より2手先を読んでるんだ。」ウイーン

薔薇水晶「失礼致します。」ウイーン

2機はすぐにタキシングを開始した。

チャーリー「目的地、ブラシア市街!接触は日曜日07:00!」

薔薇水晶「了解。」

グオオオオオオォォォォォォ…



碧空に差しのべた鋼の道は黙して闘いの地を戦士に示す…。

希望も絶望も全て血の色と知りながらこの道を蹴って舞い上がる…。

再び見ることは叶わぬかもしれない純白のペイントマーク・エリア88!


というわけでMISSION99完成です。
このSSを続けて早1年…今年で終わらせたいですね。

これより投下開始!

ワイワイ…ガヤガヤ…

ブリーフィングルームに集まったパイロット達は出撃前の最後のコーヒーを飲んでいた。

ラウンデル『ブリッジよりパイロットへ!発艦準備!各戦隊指揮官は直ちにフライトデッキへ!』

セイレーン「各員!装備確認後デッキに集合!」

ドタドタドタ…


MISSION100 出撃の日

キイイイイイイイイイイイン!

セイレーンの乗るA-4がカタパルトに付いた。

ドギャアアアアァァァァァ…

セイレーン「母艦上で編隊を組む!爆装で重量があるから気を付けて!」

グオオオォォォォォ…

作業員A「ケーブル戻せ!もたもたするなっ!」

作業員B「カタパルト圧縮急げ!」

ゴオオオオオオオオオオ…

アナウンス『甲板作業員は事故防止に留意せよ!繰り返す!甲板作業員は事故防止に留意せよ!』

艦長「あと60分で市内のレジスタンスも行動を起こします。」

ラウンデル「発進急げ!1番隊は編隊を組み次第攻撃目標に向かえ!」

通信兵A「陸上基地より入電!遊撃隊も発進を開始します!」

グオオオオオオオオオオオオ!

作業員C「GO!」サッ

バシュウウウゥゥゥゥゥゥ…

ラウンデル「今何機目だ!?」

管制官A「12機離艦しました!」

ゴォォォォォォ…キィィィィィィィン…

母艦上空を旋回しながら1番隊が編隊を組んでいく。

セイレーン「ブルーリーダーよりオール・ブルーワン!これより攻撃目標に向かう!レーダーを避けて海上を低空侵入する!」

グオオオオォォォォォォ…

セイレーン(ミッキー達も今頃発進してるだろうな…)

どうも、これより投下再開します。

キイイイイイイイイイイン…

同じ頃、エリア00陸上基地の滑走路には、F-14とクフィル2機の姿があった。

翠星石「ウォーレン!久々の実弾演習です!しっかりやるですよ!」

ウォーレン「へーへー、腰抜かさんよーに頑張ります。」

金糸雀「コントロールから全機!空母発進組とタイムラグは10分よ!敵迎撃機を1機も攻撃隊に近付けないで!」

ミッキー「了解!今は1機も失うわけにはいかんからな。貧乏は辛ぇよ。」

グエン「てめえのその大食い猫さえいなきゃ多少は○金になれるのによ!」

翠星石「へーい!」

キイイイイイイイイイイイイイイン!

ミッキー「続けー!遅れるな!」

ゴオオオオオオォォォォォォ…

通信兵B「ラウンデル少佐から入電!攻撃隊全機発進終了!時間05:50!」

サキ「うむ。ブラシア攻撃の一報が7時に入ってアスランからプロジェクト4の迎撃が離陸するのに約5分…。」

サキ「ブラシアに頭を向けたところに丁度ミッキー達の遊撃隊が後方から攻撃をかける…君達2人らしい作戦展開だ。」

金糸雀「ふっふっふ…。」エヘン

グォォォォォォ…

セイレーン「攻撃目標まであと15分!青の1番隊は空港のP4機を攻撃!2番隊は港を含む市内要所の地上車両を攻撃!」
セイレーン「レジスタンスが奪取した車両はアンテナに青い旗を付けている!誤って攻撃せぬよう各自留意!」

水平線の向こう側に建物がぽつぽつと見え始めた。

セイレーン「インサイト!正面にブラシアの海岸線!こちらブルーリーダー!全機突入せよ!Good Luck!」

ブルーセクションは市街地に進入した。

ドン!ボボン!ズドン!

セイレーン「え!?」

一同を対空砲火が襲う。

セイレーン「対空砲火!?そんなバカな!レジスタンスが全て潰しておくはず…!」

ドカアアアァァァァァン…

1機が直撃を喰らう。

セイレーン「!」

セイレーンはとっさに下を見る。そこにいた地上戦闘車両に共通していたことは…

セイレーン「青旗を立てた車両が…1つも無い…!」

もう1度前を見た。

セイレーン「市内各所に上がるはずの火の手がまったく見えない!!」

予想外の状況に彼女はただ驚くだけだった。

セイレーン(やられた…!情報が洩れてた!)

遠くからは何機ものMiG-21が接近してくる。

セイレーン「プロジェクト4のミグ…あ…!」

彼女の脳裏を最悪のシナリオが過る。

セイレーン(全滅する…!)

それだけは避けなければととっさに編隊に指示を出す。

セイレーン「爆弾を捨てろ!散開(ブレイク)!」

編隊は市街地の上で爆弾を投棄する。

ドゴオオオオオン…ズドオオオオオオオン…

セイレーン「高度を下げて!あたしについて来て!」

各機、彼女の指示通りに追従する。

セイレーン「熱源探知の赤外線ボーミングミサイルだからこちらのエンジンから発生する以上の熱源を作ってやれば何とかなる!問題は上空の戦闘機!」

セイレーン(全滅…全滅だけは避けなければ…!)

ドドドドドドドドドドド!ズドオオオオォォォォォン…

1機がMiG-21の機銃でやられる。

セイレーン「狙い撃ちされるっ!!」

その時、

ゴォォォォォオオオオオオオオオ!

前方から2機が接近する。1機はF-16、もう1機はファイヤーフォックスのように見えた。

セイレーン「あれは!」

???『ここは俺達に任せろな。』

セイレーンには聞き覚えのない声が通信に割り込んでくる。

グオオオオォォォォォ…

2機は後方へ飛び去った。

ドォォォォォン…ドカァァァァァァァン…

プロジェクト4のMiG-21編隊は次々に落とされていく。

セイレーン「何処の誰かは知らないけど恩に着るわ!」

すると、前方では…

ダダダダダダ…ドドドドドド…

レジスタンス「対空砲!撃ち方始めー!」

ドドドドドドドドドド!

P4兵「くそっ!レジスタンスだ!」

P4の編隊はそのまま撤退する。

レジスタンス「セラさん、申し訳ありませんでした!戦闘車両との交戦に手間取って約束の時間までに港を奪取出来なかったのです!」

セイレーン「態勢を立て直しすぐに援護する!それまで頑張って!」

ブルーセクションはそのまま空域を脱出する。

通信兵A「攻撃隊から入電!レジスタンスとの攻撃時間に多少のズレが生じたものの奇襲は成功!」

ラウンデル「ようし!第2次攻撃隊発進せよ!」

ドギャアアアアァァァァァァ…

ラウンデルの指示で第2次攻撃隊のA-6が次々に射出されていく。

グオオオオォォォォォォ…

それからの戦況はエリア88が有利となった。

午前8時20分、ブラシア空港奪取。
同8時30分、国会、放送局奪回成功。
午後2時、ブラシア港完全奪回。
午後5時、ブラシア解放。プロジェクト4及びアスラン軍は国境線まで敗走…

管制官B「所属不明機、着陸します!」

キキイイィィィィィ…

エリア88の損害…戦闘機1、攻撃機5が墜落。その他18機が小破…戦死3名であった…。

その夜…

ミッキー「…………。」

チャーリー「…………。」

2人は外でたばこを吹かしていた。

サキ「どうしたミッキー。」

ミッキー「サキ…。」

サキ「チャーリーもみんなと一緒に騒がないのか?」

チャーリー「久々の勝ち戦だったようだな…。」

サキ「ああ…。」

ミッキー「だが本当の戦いは…これからになる…プロジェクト4も本気…我々も本気…お前さんも同じことを考えていると思う…。」

チャーリー「本気の喧嘩をアスランでやらねばならないハメになったというわけだ。」

サキ「総力戦になるだろう…ヘタをすればたとえ勝っても二度と立てないくらいに国が荒れ果てて…それは外部の亡者共をまた寄せ集める原因になってしまう…。」

夜の月は3人とそびえ立つ狼の巣を静かに照らしていた…。

今日はここまで。
訳というのは…………寝落ちです。

投下開始します。

グォォォォォォ…ダダダダダダダダダ…

「くっ…!」

バン!ババン!ドォン!

「うわっ!!」

ズドオオオオオオオオオオン…

シン「!」ガバッ

F-5Eに乗った時に撃墜される光景が甦った。

シン「夢か…。」チラ

涼子は幸せそうな笑みを浮かべ眠りに就いていた。



俺は何時この呪縛から逃れられるのだろう…エリア88…砂漠…中東最前線…



MISSION101 未来への勇気


~深夜1時~

トン…トン…トン…

ジョゼ「あら?」

シン「なんだ…まだ起きていたのかい?もう1時だよ。」

コーヒーを飲みながら雑誌を読むジョゼ。

シン「早寝早起きが子供の生活じゃなかったのかな?」

ジョゼ「たまにはね…コーヒーにします?それとも紅茶?」

シン「コーヒーを…アメリカンで。」

手際よく淹れ、シンに渡す。

シン「うまい!淹れるのが上手だね。」

ジョゼ「ありがとう。ブランデー入れる?」

シン「いや…アルコールは摂取しない。」

ジョゼ「訓練でそうなったわけ?」

シン「そうだね…出撃時にわずかでも血液中にアルコールが混入してるとまずいんだ。民間商業機と違って戦闘機は与圧されたキャビンじゃないからね。」

ジョゼ「…………」

シン「気圧が低くなると血管が開いてわずかな量のアルコールでも酔っぱらってしまうのさ。生死を懸けた戦いの中ではたとえわずかでも危険と思える要因は避けるべきだし…」

ジョゼ「じゃあ入れて!」ドン!

声を張り上げてブランデーのボトルを乱暴に置く。

シン「ジョゼ…。」

ジョゼ「酔っぱらって頂戴シン!この別荘には出撃命令なんてこないんだから!戦う為に、生き残る為に訓練した習慣なんてもうここでは意味無いのよ!」
ジョゼ「ここでは当たり前に生きて当たり前に年を取るのよ!生きる為に人殺しをする所じゃないのよ!ここで生きるには信じ合って…愛し合って…それが習慣よ!」

シン「ジョゼ…どうしたんだ?変だぞ!?」

ジョゼ「いやあ!離して!!」

暴れるジョゼを取り押さえるシン。

ジョゼ「リョーコを一人ぼっちにしないで…!」

シン「!」

ジョゼ「貴方が訓練の習慣を身に付けて…いえ…忘れようとしない限り…あたしじゃダメなの…ヒナでも…シンクでも…貴方しかリョーコの心を受け止められないのに…」

シン「ジョゼ!」

ジョゼ「あたしじゃ…ダ…メ…」クテ…

クーカ…クーカ…

シン「…………。」チラ…

床には雑誌の他にワインとグラスが転がっていた。

シン「やれやれ…困ったお嬢さんだ…からみ酒とは…。」

トントントン…

涼子が階段を下りてきた。

シン「起こしてしまったね、ごめん…。」

涼子「まあ、この子ったら…!」

ジョゼ「…………」スースー

トントントン…

シン「ベッドに放り込んできたよ。」

涼子「ご苦労様。コーヒーもう1杯いかが?」

シン「………いや…。」ゴト…

シンはグラスにウイスキーを並々と注ぐ。

涼子「真!」

彼はそれを口の中に流し込む。

シン「げほっげほっ…。」

慣れない酒にむせ返る。

シン「ジョゼには言わなかったが…酒を飲まない理由はもう1つある。あの時…酔いつぶれさえしなければ…。」

涼子「真…。」

涼子はそっと後ろから彼を抱きしめる。

涼子「もう忘れましょう…過去のことは…。」

シン(過去…か…)

シン「そうだね…過去は…忘れて…」

いや…過去ではない…

シン「新しい生活を…失ってしまった君との時間を取り戻さなくては…」

現在(いま)も連中は戦っている…

シン「だから…俺は…」

ふと彼は死んでいった旧88基地の傭兵「死神のボリス」の最期を思い出した。

ボリス(友達ってなあいいもんだ…特に…生死を共にした友達ってのは…一生のいちにそうざらにできるもんじゃない…)

ボリス(そんな…友達でも…何時かはどちらかが先に死んじまうのが戦争だ)

ボリス(切ないよなあ…だから…友達は作りたくなかったんだ…)

ボリス(部屋を暗くして眠ると、先に逝っちまったあいつ等が出てくるんだ…)

ボリス(1人…1人…『よう、ボリス…元気か!?』ってな…)

ボリス(俺も逝くぜ…ゆっくり眠れそうだ…)

シン(そう…あいつはゆっくり眠る為に飛んで行ったのかもしれない…)

ケロシンを流し込み、高圧コンプレッサーでタービンを回転させ…

再び帰らぬかもしれない大地を蹴って…

シン「俺は…」

愛ではない…安らぎではない…

信じ合うなんて生易しいものじゃない…絶対的な機能としての信頼…ギリギリの命を預けての言葉…GOOD LUCK!

百万の美女に囲まれてとろけるような甘い声で囁かれても…あの一言には敵わない…

死線を越え…命と命を交差させた…寡黙な男達が本当に心を込めて送る言葉…



シン「忘れられるものかっ!!」ダン!



彼の中で何かが弾け飛んだ。

シン「過去じゃない…現実に今…この地球上…わずか半周分の距離の所で…その一言に命を預けて戦っている連中がいるんだ!」

涼子「真!怒鳴らないで!ああ…」

シン「人種…国籍…過去…経歴…あらゆるものを捨てて地獄を飛ぶ男達がいるんだ!」

涼子「真…お願い!もう止めて…お願い…!」

シン「俺の同胞だ…ミッキー…翠星石…グレッグ…キム…蒼星石…ウォーレン…ケン…グエン…チャーリー…ラウンデル…金糸雀…そしてサキ…!」
シン「知らなければ…これほど苦しみはしない…!」

涼子「お…おお…!」

シン「だが知ってしまった以上…俺には過去ではないんだ…!あいつらが今日も血染めの空を飛んでいる限り俺にとっても過去じゃない!」
シン「忘れることなんて出来やしないんだ…!」ギュ…

涼子「ああ…真…真…」

2人はただ泣くだけだった…



Time is the only true purgatory.(時は、唯一真実の煉獄である。)

             サミュエル・バトラー(1835-1902)
             イギリスの小説家・批評家

今日はここまでです。
それでは。

お待たせしますた。これより投下します。

グオオオオオオォォォォォォォ…

ラウンデル「物資の補給もまず順調ですな。機体も整備が良くなって故障も減っています。」

サキ「うむ。」

金糸雀「キム達がデータを集めて帰ってくれば最終計画に移行させましょう。ブラシアの戦闘で奴等のスエズ侵攻に少し遅れが出始めている今がチャンスかしら。」

ミッキー「しかし…本気でやるのか?サキ。」

サキ「キムの情報次第だがな。総力戦には位置も設備も因縁も申し分ないさ。」



サキ「古巣に戻る。」



ゴオオオオオォォォォォォ…


MISSION102 死者たちの叫び

ゴォォォォォォ…

砂嵐が巻き起こり、微弱な放射能が残るF地区にその廃墟はあった…

キム「エリア88コントロール、応答どうぞ。繰り返す。エリア88コントロール、こちらキム。」

ピュー…ザザッ…

蒼星石「ダメ?」

キム「うん。バッテリー5個繋いでも電波が飛ばないよ。この砂嵐が収まるまで待つしかないみたい。」

管制室では、割れた窓から風が吹き込み、電装品には砂が被っていた。

セラ「酷いわねぇ…こんな所、基地にしたってどうやって戦うっていうの?砂嵐一回で滑走路なんか殆ど見えなくなっちゃうじゃない。」

水銀燈「そうね…セラはマウンテンベースしか知らないし、キムはギリシャの訓練基地からそこに直接配属になったからこの基地のことは知らないだろうけど…。」

蒼星石「うん………。」

セラ「……そっか…ここ、あんた達の古巣だったんだっけ。」

蒼星石「僕もエリア85で目覚めてキャンベルさんと一緒に来たんだけど…武器業者の作った地上空母と戦った時に大損害を受けて放棄されたって聞いたんだ。」
蒼星石「たくさん…死んだそうだよ…。」

キム「…………。」

セラ「…………。」

水銀燈「まあね。戦場に死人は付き物だけど…それにしてもこう酷い嵐じゃ海岸基地に帰りたくても帰れないわねぇ。明日収まるか明後日収まるか…。」

セラ「もうこうなったら腹くくってここで寝起きするっきゃないね。」

蒼星石「この下にある士官室…多分サキ司令が使ってた部屋だと思うけど、ガラスも割れてないし砂も入ってないから、当分はそこで寝泊りしよう。」

セラ「それもそうね。」コツコツ

キム「無線機…放っといていいのかな…?」

水銀燈「お馬鹿さんねぇ…誰が盗るのよ。」

キム「あはは…それもそうだね。」タッタッタ…

ジューーー…

携帯コンロでクッキングタイム。

セラ「はい、缶詰開けて温めた物だけどぜーたく言えないわよ。」コト

蒼星石「すごいね…セラ。やっぱり女の人なんだね。ちゃんと食糧品を持ってくるなんて。」

セラ「あら、これそこのマッコイさんの倉庫に転がってたの拾ってきただけよ。まだたくさんあるわよ。」

キム「えーっ!古くなってるかもしれないよ!?」

セラ「大丈夫よ、膨らんじゃいないから。」

テクテクテク…

セラ「あらスイギントウ?食べないの?」

水銀燈「ふん、誰がそんな生臭いもの食べるもんですか。」

蒼星石「水銀燈、いいの?君もう飛び回って2日も帰ってきてなかったんだろう?」

水銀燈「私はあんたと違って忙しいのよぉ。そんなゲテモノ食べてる暇なんかないわよぉ。」

セラ「ふ~ん…。」

セラ「じゃ、このヤクルトもいらないってわけね。」

水銀燈「!」ピクッ

セラ「スイギントウがいらないっていうなら1本余っちゃうから…キム、あんたにあげるわ。」

キム「いいの?やったー!」



水銀燈「ま…待ちなさいよぉ!」



セラ「何?」

水銀燈「ヤクルトは飲み物でしょう?だからそれは別よ!」

セラ「まともにご飯食べないで乳酸菌ばっか摂ってるから小さいのよ。」

水銀燈「小さいのは元からよぉ!っていうか失礼ね!」

キム「本当に食べなくていいの?」

水銀燈「くどいわね。いらないったらいらn」ク~…

蒼星石「…………。」

キム「…………。」

セラ「ほらほらぁ~。我慢は毒よ~?」

水銀燈「…………くっ///」



水銀燈「し…しょうがないからその生ごみを食べてあげるわぁ。だ、だから…私にもよこしなさい…!」



セラ「あらあら♪」

セラ「なんだかんだ言いながら結構食べたのね。」

水銀燈「…ふ、ふん!///」

キム「ゲーップ!」

蒼星石「キム君、下品だよ。」

ゴォォォォォォォ…ヒュゥゥゥゥゥゥ…

外は砂嵐が吹き荒れていた。

蒼星石「飛行機、格納庫に入れておいてよかったね。」

セラ「外に出しっ放しじゃ明日の朝には砂に埋もれて分かんないわよきっと。」ゴソゴソ…

4人は睡眠の支度をする。

蒼星石「じゃあ、僕達はもう寝るね。」バタン

水銀燈「夜更かしはお肌の天敵よぉ。」バタン

キム「あれ?僕のシュラフは?」

セラ「残念ねぇ。マッコイさんの倉庫にはこれ1つしか無かったわ。でもこれ2人用なの。よかったわねキムく~ん♡」

キム「」バサッ

キムは目にもとまらぬ速さで毛布を引きずり出して座り込む。

セラ「明け方は冷え込むわよぉ。ねえ、意地張ってないで…。」

キム「やだっ!ここにいる!」

セラ「ふ~んだ!もう頼んだって入れてやんないよ!」ベー

キム「誰が頼むか!」イー

水銀燈「うるさいわよぉ!」バカッ

ビュォォォォォォ…ササァァァァァァ…

キム「グーグー…」プク~

セラ「キム…キムったら、ねえ。」ユサユサ…

キム「んが?」パン

漫画特有の古い表現である。

キム「あ?何だよ…。」

セラ「しーっ、静かに。何か聞こえない?人間の声みたいなもの…。」

キム「え?」

ヒュゥゥゥゥゥ………ォォォォ……

キム「何も…聞こえないよ。風の音だけさ…。」

セラ「そお?遠くで呼ぶような声がしなかった?」

キム「あ…は~ん。怖いんでしょ、お姉さん。」

セラ「バ、バカ言っちゃいけないよ!誰が怖いもんか!」ガタガタ…

キム「きひひひひひ。」

セラ「こ、このセラさんはね…」

……ぉぉぉぉぉぉ…

セラ「!」

キム「!」

ヒュゥゥゥゥゥ…ぉぉぉぉぉぉ…

セラ「…………!」

ぅぉぉぉぉぉぉぉ………ヒュゥゥゥゥゥゥぉぉぉぉぉぉ…

キム「…………!」

うおおおおおおおお…うおおおおおおおおおおおお…

セラ「キ…キムゥ~~~!」ガタガタ…

キム「セ…セラァ~~~~!」ガタガタ…

水銀燈「…………!」ゴゴゴゴゴゴ…

蒼星石「す、水銀燈…。」

水銀燈「さっきからゴチャゴチャ五月蠅いわねぇ…一体何なのよぉ…!」ゴゴゴゴゴ…

セラ「だ…だってぇ…。」ガタガタ…

キム「ひ…人の声が…。」ガタガタ…

蒼星石「人の声?」

うおおおおおおおおお…うおおおおおお…

水銀燈「ふん、どっか閉め忘れて風でも入ってきてるんでしょ。これだから人間は…。」

キム「そ…そうだよね、きっとそうだよ!」

セラ「あんた…行って閉めてきて!」

キム「」

トコトコトコ…

セラ「何よぉ…人のこと怖がりだの何だのさんざん言っといて!」

ランプを持って先頭を歩くキムにセラが言った。

キム「い…行こうとしたら1人じゃ怖いって付いて来たのセラだろ!」

セラ「だって…ソウセイセキやスイギントウも行くなんて言うから!」

蒼星石「あはははは…。」

水銀燈「まったく…セイレーンの魔女が聞いて呆れるわぁ。」

不気味な唸り声(?)は外に出るドアの隙間から出ていた。

キム「ほら、開いてる。あれだよ原因は。」

4人はドアに近寄る。

キム「中途半端に開いてるからほら…」

ドアの隙間から見えたのは…

おおおおおおおおお……うおおおおおおおお…

基地にはいないはずの傭兵と戦闘機たちだった。

キム「!?!?」

蒼星石「!!」

水銀燈「!」

セラ「」バタッ

水銀燈「セラ!」

彷徨い歩く傭兵の亡霊…砂塵の吹き荒れる空へ消えていく戦闘機…

ゴォォォォォォォ…キィィィィィィィン…

キム「そんな……バカな……!」ガタガタ…

蒼星石「…………!!」

水銀燈「…………!」

うおおおおおおおおおお…グォォォォォォォォ…

その光景はまさに地獄であった。

今日はここまで。ペースが遅くてすいません。

これより投下します。


~東京都八王子・津雲邸~

スースー…

…ン…シン…

シン「ん……?」スースー

呼びかける声に目覚めるシン。

シン…シン…

シン「誰だ…?」

窓の外にいたのは…

???『よう、シン。』

シン「!フーバー!」


MISSION103 地獄「エリア88」

フーバー『側にいる美しい女性は奥さんかい?』

シン「あ、ああ…涼子というんだ。」

フーバー『よかった…お前は幸せになれたんだな。よかった…。』

???「真…。」

シン「真紅!起きたのか?」

真紅「不思議な力を感じたのよ。」

フーバー『やあシンク。君も相変わらずだな。』

真紅「ええ、貴方も変わりないようで。」

フーバー『睡眠の邪魔をして悪かった…いや、2人がどうなったのか気がかりでな…でもよかった。』スー…

フーバーの身体は次第に透けていく。

シン「待ってくれフーバー!」ガバッ

フーバー『幸せでよかった…本当に…。』

シン(ぐ…か…体が動かん…!)

フーバー『じゃあな…シン…シンク…今度は本当にさようならだ…』スー…

彼の身体は胸から上を残すのみとなった。

フーバー『あばよ…シン…』スゥッ

彼は完全に消えた。

シン「フーバー!」

涼子「!」

シンの叫び声に涼子が目を覚ます。

涼子「ど…どうしたの、シン!?」

シン「フーバー…どうして…!」

真紅「…………。」

サキ「基地使用に不適当だと?」

エリア88総司令官サキ・ヴァシュタールは副官の金糸雀と共にキムの調査報告書を片手に言った。

サキ「残留放射能も基準以下でその他の設備も修理すれば使用可能。何と言ってもありがたいのは地下水の汲み上げ装置とフィルターが無傷で保存されているということだ。」

金糸雀「今の基地の唯一の欠点であり最大の弱点が水の補給がままならないということかしら。全て00に頼っている。」

サキ「セラは女だから言わなかったが士官クラスで水洗トイレを使用しているのはお前だけだ。」

キム「そーいや僕らいつも砂漠だもんね。」

セラ「!///」

金糸雀「ま…まあトイレの件は置いとくにしても、水が足りないということで食堂、医療班、整備班から改善要求が出されているわ。書類にして提出しろと言って時間を稼いだけど…」ポン

机の上にある書類の束に手を付いた。

金糸雀「この手の書類は放っといてもすぐに集まるかしら。」

キム(場所が変わっても司令官の仕事って変わんないんだもんなぁ…)

セラ(書類は天敵ね…管理職の…)

サキ「さあ…言ってもらおうか?不適当だという本当の理由を!」

キム「だって…」



セラ「お化けが出るんだもん。」



サキ「」ズルッ

金糸雀「」ドテッ

ミッキー「お化けだぁ?」

薔薇水晶「幽霊…ですか…?」

翠星石「ぶわっははははははは!!」ゲラゲラ

グレッグ「寝ぼけたんじゃないのか?」

キム「違うもん!僕見たんだよしっかり!セラはすぐ気絶しちゃったけど!」

セラ「お黙り!」ゴン!

キムの頭に拳が落ちる。

蒼星石「僕達も見たんですよ!この目で!」

金糸雀「まったく…言い訳にしてももう少しマシな話は考え付かなかったの?サキも納得しないしカナだって納得しないかしら。」

グレッグ「まあな…俺も死んでりゃ化けて出てぇ…。」

ミッキー「グレッグ…。」

グレッグ「何人も死んでんだ。両手両足の数じゃきかねえぐらいによ。それでもまだみんながいて騒いでんならしょうがねぇってんで大人しくしてらぁね。」
グレッグ「でも、散々死人出して負け戦だろ?基地は蛻の空とくりゃふてくされたくもならぁね。嫌がらせに化けて出てやるさ。」

チャーリー「でも…まあ呼んでるのかもしれねぇな。」

薔薇水晶「ご主人様…。」

ミッキー「やなこと言うなよ。」

翠星石「縁起でもないですよ…。」

チャーリー「帰ってこい…帰ってこい…ってな。国を捨て、恋人を捨て、帰る所も捨てた野郎共があの世に行くまでのたった1つの身の置き所だから。」
チャーリー「そしてくたばって気が付いたんだ。エリア88からは死んだって何処にも行き様がねぇってことを。何故なら…」



チャーリー「エリア88が地獄そのものだからさ。」



一同「「「…………。」」」

一同は今になってエリア88がどういう場所か改めて理解した。

最前線中の最前線…地獄の激戦区エリア88…

生きて滑走路を踏める運はすべてアラーの神まかせ…

紙きれよりも薄い己の命…燃えつきるのにわずか数秒…

水銀燈「で、あの世に行けない人間が滑走路をうろうろしているのね…。」

セラ「やめてよっ!!」

涙目で急に声を上げるセラ。

セラ「どんな曰く因縁があるのか知らないけどあたしは嫌だからね!あの基地へは…」

翠星石「そうカリカリするでねえですよセラ。たかがユーレイじゃ…」

キィィィィィィィィン…

セラ「え?」

蒼星石「あれ?」

グレッグ「誰だ!?発進するやつは!」

滑走路を振り切る1機のクフィル。垂直尾翼にはアスラン王国の紋章が刻まれていた。

金糸雀「サキ!」

ミッキー「冗談じゃねぇ!司令官が単機で飛び立って!敵に鉢合わせしたらどーすんだよ!!」ダッ

翠星石「回せーですぅ!!」タッ

キイイイイイイイイイイン!

グレッグ「俺も行くぜ!今サキに死なれたらどうしようもねえからよ!」グッ

チャーリー「俺も!」

キム「僕も!」

その場にいた全員が自分の乗機に乗り込んでスクランブル発進していった。全員に共通していることにも気付かずに…。

ゴォォォォォォォ…

サキ「!」

サキはバックミラー越しに6機の機影を確認した。

サキ「ふん…母親に置いてけぼり食った子供じゃあるまいし…ゾロゾロと…。」

ギュウウウウゥゥゥゥゥン!

金糸雀「サキ!何処へ行くの!?日没まであとわずかかしら!」

サキ「旧基地へ行く。幽霊なら会ってみたい。」

グレッグ「気は確かかよ!?セラやキムの言ったこと真に受けたんじゃないだろうな!?」

セラ「あ、あたし見たもん!」

キム「僕もー!」

サキ「ブラシア脱出でP4の連中を向こうに回して大立ち回りを平気でやってのけたセラが気を失うなんて女っぽいことまでやらされたんだ。面を見てやるのも悪くない。」
サキ「死んだ連中が私を拒んでいるのか…それとも呼んでいるのか…いずれにしても、この身を前に置いてやらずは解決がつくまい。」

サキ「何故なら…連中を死に追い込んだのは誰でもない…この私だからな。」

ミッキー「サキ…。」

6人の人間と5体の人形は行く…太陽が沈みかている黄金の海の上を…

今日はここまで。
ちなみに、サキを追いかけてきた6機ですが…

F-14…ミッキー&翠星石
A-10…グレッグ
F-16…チャーリー&薔薇水晶
AV-8…キム&蒼星石
F-104…セラ&金糸雀
F-106…水銀燈

が乗っています。

これより投下します。

ミッキー「日が暮れちまったぜ!月が出てらぁ!」

上を星々がかすかに照らす中、7機は漆黒に腹を見せながら飛びゆく。

サキ『セラ…。』

ふとサキがセラを呼び出す。

セラ「は、はい。」

サキ「発電機の出力を入れっぱなしにしてきたか?」

セラ「い…いえ、発電機の燃料タンクは既に空になってましたから…。」

サキ「では…あれは何だ?」

一同が前に目をやると…

グレッグ「あっ!」

翠星石「おおっ!」

蒼星石「うわあ!滑走路燈が!」

前と変わらない滑走路燈の輝きが彼らを迎えていた。


MISSION103 7人の「戦鬼」

ヒュゥゥゥゥゥゥ…

キム「滑走路燈が点灯した形跡なんかないよ!」

蒼星石「発電機も動いてない…!」

セラ「帰ろうよ!ねえ帰ろう!ユーレイだよやっぱ!」ブンブン

水銀燈「わわわ…落ち着きなさいセラ!」ユラユラ

金糸雀「サキは?サキは何処に行ったの!」

ミッキー「そういや…サキー!」

グレッグ「おーい!サキー!」

翠星石「サキーっ!」

チャーリー「いたか!?」

金糸雀「いえ、何処にも見当たらないわ。一体何処へ?」

ミッキー「なんてこった…何のために付いて来たんだ!」

グレッグ「あまりバラバラになるとまずい。1つ所にいよう。」

チャーリー「俺達よりはこの基地に長い間いて知っているはずだ。」

金糸雀「え…ええ、それもそうかしら。」

次第に夜が明け、日の光がうっすらと地平線の向こうから照らし始める。

ミッキー「くそ…夜が明けちまうぜ。」

キム「あっ!」

すると、滑走路の頭端から人影が現れた。

グレッグ「サキ!」

金糸雀「サキ!無事だったのね!」

一同はサキの下に駆け寄る。

サキ「何だ…お前達そんな所にいたのか。」

ミッキー「そんなもなにもみんなで呼んで捜したんだぜ!」

サキ「そうか…。」

サキはふと集っている仲間を1人1人見た。

サキ「5人か…1人足りんな。」

チャーリー「?」

蒼星石「1人?」

ミッキー「何言ってんだサキ。はなっからこの人数だぜ?」

グレッグ「頭大丈夫か?」

サキ「…ま、いい。こっちのことだ。それより、この基地を再使用するのに問題は無さそうだ。」

セラ「でもオバケが…!」

キム「バカ!」

水銀燈「何時まで言ってんのよ!」

サキ「枯れ木も山のにぎわいと言うだろうが。この手の基地には幽霊の10人や20人はアクセサリーだと思え!」

グレッグ「メチャクチャ言う人やな。」

翠星石「生きて兵隊、死んだらアクセサリーですか。」

サキ「さしあたって、主滑走路の修復を急がねばならんな。マッコイのハーキュリーに機材を運ばせる。空母の乗組員も緊急用の人員を除いて全て土木作業だ。」

セラ「あ、あたし力仕事は…。」

金糸雀「その…カナ達も…。」


~旧88調理場~

ジュ~~~…

セラ「どーせこんなことだろーとは思ったわよ!」ザッザ…

キム「取り敢えず50人分でいいって。」

翠星石「きひひひひ…。」ソ~

蒼星石「つまみ食いはダメだよ。」

翠星石「…分かってるでーす…。」

セラ「どっせーい!」グワバッ

本日の献立:魚介類ときのこのパエリア・88風

ブォォォォオオオオオオオオォォォォォ…

輸送機が飛来する中、兵士は土木作業員に成り果てていた。

グレッグ「おらおら!さっさと仕事やんねえと日が暮れるぜ!」ガチャ

手慣れた手つきでブルドーザーを操るグレッグ。

ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

ミッキー「あんにゃろーは飛行機よかあっちの方がよく似合ってるぜ。」

グエン「言えてる。」

ウイーン…

マッコイのC-130から再建のための機材が運び出される。

マッコイ「94…95…96…97…と。よし、予定通りだな。プーキー!あと2、3回飛べば今日は終了出来るぞ!」

プーキー「朝から何回飛んだと思ってんだじーさん!少し休ませてくれ!」

マッコイ「じゃあ500ドル今すぐ返してくんな。」

プーキー「わーったよ!」

グオオオオオオォォォォォォォ…

その夜、管制塔では…

プーキー『コントロール!運び屋だがね、あと5分でアプローチだ!滑走路燈を付けてくれや!』

チャーリー「ラジャー。」

パパパパパパ…

ミッキー「あれが最後の便だな、サキ…」

サキ「…………。」

ミッキー「おい、サキ?」

サキ「ん?あ、ああ…。」

金糸雀「疲れたんじゃないかしら?少し眠ったら?」

サキ「あ…いや、そうじゃないんだ。」

…そうじゃない…

それは旧基地に飛来した夜のこと…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

サキ「おい…みんな。何処に行った?おい!」

ポワ…ポポポポ…

無数の灯りが彼の目の前に現れる。

サキ「ふん…これがキムやセラの言ってた亡霊か。静電気の放電現象じゃないか…」

…キ……!

サキ「!」

…サキ………!

サキ「誰だ!」

よく戻ってきてくれたな、サキ…待っていたよ!

サキ(くっ…体が動かん…!)

きっとここに帰ってくると思っていたんだ…

思っていたんだ…思っていたんだ…

サキ「…………。」

俺達には分かるんだ…最後の戦いはここだってことが…あんたが来るのを待ってるよ…

サキ「ふ…そうせかすな。いずれお前達と同じ地獄へ行くさ。だが…まだだ。全ての決着を着けたら誰の手を煩せずとも自分で行くさ。」

せかすつもりは無いんだ…いずれあんたが来るのは分かってる。あんた達7人の戦鬼が…ね…

サキ「7人?」

そうさ…あんたがこっちに来る時は他の6人がその手を引いてくれる…

サキ「誰だ!?その6人とは!」

あんたが1番信頼している部下さ…

待ってるよ、サキ!待ってる…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



サキ(7人の戦鬼…か…)


今日はここまで。

これより投下します。


~津雲邸~

ジョゼ「お風呂っ!」♪~

雛苺「おふろ~!」テテテテ…

涼子「あ、じゃああたしも。いい?真…。」

シン「いいさ。ゆっくり入っといで。」

ジョゼ「あら、シンも一緒に入ればいいのに。あたし平気よ。」

涼子「ジョゼ!」

ジョゼ「あら、だってお兄さんになるんでしょ?」タタタタ…

涼子「何言ってんのこの子は!///」トトトト…

シン「…………。」



シン(これが平和の手ごたえかもしれないな…)



MISSION104 悪魔の対決

同じ頃、地球半周分の距離のところにあるエリア88では…

ブォォォォォォォォン…

ミッキー「プーキーが降りた。照明は倉庫前を残して全てカットしろ。」

ミッキーの指示で滑走路燈などが消されていく。

ミッキー「プーキーもよく飛んだよ。朝から10往復だぜ。明日は俺かケンが交代してやらなきゃな。」

サキ「ミッキー…。」

突然サキがミッキーに問いかける。

ミッキー「あん?」

サキ「お前が1番信頼している仲間を5人上げろと言ったらどうする?」

ミッキー「信頼?へへへ…俺達ゃ傭兵だぜ。信用できるなぁ自分だけさ。」

サキ「いや…信用ではなく信頼だ。あらゆる作戦上においての…な。」

ミッキー「そうだな…まずはグレッグ。対地攻撃においちゃグレッグの右に出る奴ぁいねぇ。」
ミッキー「その次がチャーリー…対地対空対艦いずれにおいてもトップクラスの腕だ。特に対空戦闘では絶対的な強さがある。」
ミッキー「あとは実力というにはちょっときついが…キムやセラも信頼出来る。ここ一発という時にゃ逃げるようなタマじゃないからな、あのお姫様は。キムもそうだ。」

サキ「それで4名だな。あと1人…。」

ミッキー「どうしても5名上げなきゃいかんか?」

サキ「まあな。」

ミッキー「やっぱスイセイセキ…あいつが後ろに乗ったトムキャットは無敵だ。あいつのビゲンの扱いもなかなかのもんだ。」

サキ「ローゼンメイデンは軍人ではない。既に解雇して階級は剥奪されている。」

ミッキー「じゃあマッコイじいさんも軍人じゃないからダメか…。」

サキ「そうだな…。」

ミッキー「ふーむ…………。」

数秒考え込むと…

ミッキー「…1人…俺の背中を任せてもいいのがいるさ。」

サキ「ほう…天下のミッキー・サイモンが背中を預ける強者は誰だ?」

ミッキー「そいつはもうここにはいない…。」



ミッキー「…シン・カザマ…だ。」



サキ「シン…か…。」

ミッキー「5人上げろと言われたが…ま、4人がいいとこだ。ウォーレンやケンみたいな気のいいやつは大勢いるが、実際弾が飛び交う中で命預けますってやっていけるのは今言った4人が限度だ。」

サキ「つまらん事を聞いたな…忘れてくれ。」

ミッキー「何だ…どうかしたのか?変だぜサキ…。」

サキ「…………。」



サキ(シンか…確かにあいつを入れれば7人になる…7人の戦鬼…か…)

サキ(まさか…いや…ただの偶然かもしれんが…)



~日本・津雲邸~

Prrrrrr…

真紅「真、電話よ。」

ガチャ

シン「はい、津雲です。」

???『ふん、その声は真か?よく生きていたな!覚えているかい?俺を。』

シン「神崎!」

真紅「!」

神崎『まったくな…地球なんて狭いもんだぜ。こないだまでは中東で顔付き合わせて…と、お前は知らなかったかな…ま、そんなこたぁどうだっていい。』

シン「何処だ!?何処にいる!?」

神崎『出てくるかい?久し振りに…会って積もる話もあるしな。』

シンはすぐに真紅の鞄を手にポルシェに乗り込んだ。

ブロオオオオォォォォォォ…

ジョゼ「あれ?」

雛苺「車の音?」

2人は岩風呂の窓から外を見た。

ジョゼ「シン、何処かに出かけたみたいよ。」

涼子(真…まさか…)

ブロォォォォォ…

シン「付き合わせてすまないな、真紅。」

真紅「何故私を?」

真紅も自分がこの場にいる意味が分からなかった。

シン「自分でもよく分からん…お前がいたところで公には出来ん。ただ1つ言えることは…」

真紅「?」

シン「奴の顔を見た瞬間に…プッツンしてしまうかもしれん…ということだけだ。」

真紅「…………。」

真紅は悟った。シンはまだ神崎を殺すことに躊躇っていることを。たとえ彼自身を地獄へ追いやった張本人であろうとも、最後の最後までライバルであり親友であることを忘れきれないことを。

シン「お前は…俺が戦ってきたエリア88の記憶そのものなんだ…何人もの命を奪ってきた己の罪を自覚させる…俺の罪を体現している…。」

真紅は彼と契約した直後から彼の戦いを見てきた日本にいる唯一の目撃者なのだ。

シン「お前は俺の心を見ている…俺の考えが分かる…だから頼む。もし理性が吹っ飛んで…奴に手をかけようとしたら…その時は止めてくれ…。」

真紅「…分かったわ。」

ブォォォォォォ…

2人は都内の剣菱ホテルへ着いた。

シン(神崎…)

シンはそのまま待ち合わせ場所であるホテルのバーへ行く。

ウェイター「こちらでございます。」

そして「殺す」かもしれない顔と1年ぶりに対峙した。

神崎「よう!久し振り!」

シン「貴様!」

その瞬間、彼の中は憎悪の感情で満たされ、瞬時に目標を始末するという衝動に駆られた。

キィィィィィィン!

シン「ぐ!」

シンの指輪が熱くなり、力が抜ける。

真紅(真…落ち着きなさい…まだ早くてよ…)キィィィィン…

真紅の呼びかけでやっと我に返った。

神崎「ふん、砂漠にいてもマナーだけは忘れてないようだな。ここは平和日本だ。お互い紳士的にいこうぜ。」

シン「…………。」

神崎「ま、座れ。」

シンは神崎と向かい合う形で席に着く。

神崎「何か飲むか?ここのスコッチは本場からの直送だぜ。」

シン「…………。」

神崎「くふふふ…そうだった。俺とは飲めないんだったな!」

神崎の挑発に乗るまいと必死にこらえるシン。

神崎「どうだ?涼子の抱き心地は。」

シン「…………。」キッ

神崎「冗談だ。そうとんがるな。」

シン「貴様の下品な趣味に付き合う気はさらさら無い。俺がここに来た理由は2つある。」
シン「何故あの日…パリで俺を外人部隊に売り渡した…?」

神崎「ふん…今更理由を言って聞かせても意味の無いことかもしれんがな…。」



神崎「お前が目障りだったのさ。」



シン「なめるなっ!理由になっちゃいない!」



神崎「聞きたいか?聞けばお前は今よりもっと苦しむことになるぞ…。」


今日はここまで。

お待たせしました。これより投下します。

ゴォォォォォォ…

傭兵A「C・C・ランバート3よりデザート1!補足できるか!?」

管制『OK!ランバート3、その高度からの射爆照準は可能か否か!?』

傭兵A「ちょっと無理だな!並の腕じゃ明後日の方向に撃っちまうぜ!俺ぁ別さ!何処からでも命中させられる!」

ミッキー「面白れぇ!やってみろ!」

管制『止めろミッキー!』

傭兵A「こきゃあがれ!!」カチッ

バシュウウウウゥゥゥゥゥ…

管制「バカっ!撃ちやがった!」


MISSION105 7人目の男

ヒュゥゥゥゥウウウウウウウ…

傭兵B「何だ?」

ベチャッ

ミサイルは舗装中の誘導路に命中したものの爆発はしなかった。

翠星石「ぎゃはははははは!何が命中ですか!はずれもはずれ、大外れですぅ!!」ゲラゲラ

蒼星石「…………。」

ミッキー「あんにゃろうはマッコイの特売で3発5ドルのミサイルを買いやがったんだ。」

蒼星石「3発5ドル!?」

バクシー「あんなの当たるわけねぇ。おまけに火も付かねぇ。」

グエン「不良品もいいとこだ。ま、飛ぶだけマシか。」

チャーリー「飾りみたいなもんだなありゃ。」

その頃、命中した所では…

グレッグ「ばっかやろ…せっかくセメント塗ったとこ穴開けやがって。」

キャンベル「降りてきたらあいつフクロにしちまえ!」

傭兵C「おー!」

傭兵D「おー!」

管制室ではサキ、金糸雀、ラウンデルの3人が今後の基地の運用について話し合っていた。

ラウンデル「滑走路の修復はあと3日あれば何とか実動までもっていけますが…問題は燃料ですな。」

金糸雀「地下タンクに貯蔵されていた分とマッコイが空輸してくる分ではすぐに底をつくかしら。」

ラウンデル「P4のスエズ侵攻作戦が何らかの理由で遅れているのは幸いだとは思いますが、作戦が発動されてからではとても効果を上げられる状態ではありませんな。」

サキ「ふむ…ブラシアも自国を奪回してからは国境線の守備に手一杯でアスラン内のP4に対しての攻撃は手をこまねいている様子だ。」

ラウンデル「戦争による災害復旧が先ですからね。」

金糸雀「それに…ブラシア奪回後、アスラン解放まではブラシア軍をカナ達の指揮下で作戦させるというのも守られていないかしら。」

サキ「ま、それは予想していた通りのことだ。アッサン以下ブラシア空軍の連中も本国が何とか平和になれば無理に命を懸けてまで戦いたくはなかろう。」

ラウンデル「しかし…我々はブラシア解放に命懸けで…。」

金糸雀「カナ達がブラシアを解放したのは好意からではなくP4の作戦区を縮小させるためよ。これで連中が動く場合アスランから東へはすぐには動けないわ。」

サキ「北は海で南は砂漠だ。西のスエズ侵攻は連中の逃げ道でもある。逃げ道を1つ与えておいて、そこに敵が集中した時その逃げ道もろとも叩き潰す。兵法の基本だ。」

ラウンデル「ブラシア解放は東の退路を断ったということですな。」

金糸雀「そう…ブラシアもバカじゃないから二度と連中を国内に入れるわけはないでしょう。」

管制官A「サキ司令!南2時方向飛行編隊接近!」

ラウンデル「何だと!?」

サキ「くそっ!発見されたか!」

ビーッビーッビーッ

基地に非常警報が鳴り響く。

アナウンス『敵編隊接近!滑走路作業員は退避せよ!繰り返す!退避せよ!』

作業員は大慌てで地下シェルターへ逃げ込む。

金糸雀「何機かしら!?」

管制官A「レーダーの解像度が良くないので確認は出来ませんが約20機!」

サキ「ミッキー!」

ミッキー「俺のドラ猫に不良品は積んでねえよ!」ダッ

セラ「キム!」ダッ

キム「はい!」ダッ

パイロット達が一斉に自機へ向かう。

ミッキー「回せーっ!」

グオオオオオオオオオオオオ!

キムのハリアーが垂直離陸で発進する。

キム「初回攻撃は僕が防ぎます!出来るだけ多く離陸を!」

ミッキー「あんにゃろー、VTOL機だから離陸は早ぇなぁ。」

水銀燈『先に行くわよぉ!』

ゴオオオオオオオォォォォォォ…

迎撃戦闘機であるF-106が最初に滑走路から離陸する。

サキ「よし!スイギントウが離陸した!これで3分は稼げる!」

金糸雀「作業員はさっさとシェルターに逃げ込むかしら!」

キイイイイイイイイイイイン!

セラ「スイギントウの後に続いて!ぐずぐずしないで!」

F-106に続いてF-14、セラの乗るA-4が離陸する。

グオオオオオオォォォォォォォ…

同じ頃、マッコイの倉庫前では…

マッコイ「うわ!うわ!まだ未整理の商品が山ほど出しっ放しなのに!」

作業員A「マッコイ!さっさと逃げねえと品物抱えて黒焦げになるぞ!」タッタッタ…

マッコイ「こ…こらお前等!少しでも手伝おうって気は起らんのか!」ヨタヨタ…

たくさんの箱を抱えながら叫んだ。

作業員B「冗談じゃねえ!命は自前のしか使えねえってあんたいつも言ってるくせに!」

作業員A「生きてたら整理するの手伝うよ!」

ゴォォォォォ…

水銀燈「キム。敵が射程に入ったら構わず撃ちまくりなさい。」

キム「分かっています!」

キム(1機でも多く撃ち落さなければ…無駄弾は使えない…なるべくギリギリまで引きつけて…)

迫りくる編隊の先頭を飛ぶ1機が機銃の射程に入った。

キム「よし!」グ…

そのままトリガーを引こうとしたが…

???『こら待てキム!』

キム「!」ピタッ

グオッ!

ハリアーの横すれすれを迷彩色のF-5Eが通り過ぎる。

???「無線周波数を探すのに手間取ったが寸前だったぜ!冗談じゃねえ!もうちょいでやられるとこだ!」

聞こえてきた声の主は…

キム「アッサン大尉!」

アッサン「相変わらずわんぱく坊主だな!キム!」

その数分後、エリア88にF-5Eが25機着陸した。

アッサン「バム・アッサン以下25名、エリア88に配属です。許可願います。」

サキ「許可しよう…しかしブラシア政府からは何の連絡も受けていないが…。」

アッサン「大統領の許可は得ておりません。」

サキ「何だと!?それじゃ!」

ラウンデル「アッサン大尉!」

アッサン「我々は本日付でブラシア空軍より脱走いたしました。」

ミッキー「何だって!?」

バクシー「お…おい、本当かよ。」

ルロイ「くあ~やってくれるぜ。」

ざわ…ざわ…

アッサン「我々の度重なる要求にも関わらず新政府は空軍のエリア88配備を拒み続けておりました。ブラシア解放の絶大なる力となったエリア88部隊に対してです。」

金糸雀「故郷を捨てることになるかしら…いいの!?」



アッサン「男の義を捨て去るくらいなら、故郷なぞハナから無いも同然…。」



ミッキー「このやろ!泣かせやがるぜ!」

翠星石「てめえ…男ですねっ!」

グレッグ「またバカが25人も増えやがった!」

ワイワイガヤガヤ…

金糸雀「サキ…。」

サキ「アッサン大尉…貴様が7人目なのかもしれないな…。」

サキ(そうさ…シンが7人目であるはずがない…7人目であってはならないのだ…)
サキ(国を捨て…故郷を捨て…自らの運命を断ち切った人間だけの世界だ…運命に裏切られた人間の戻る場所ではない…)

ラウンデル「サキ様、どうか?」

サキ「あ、いや…つまらん考え事だ。」

サキ(シン…お前は平和の中で天寿を全うしろ!それが地獄で悪魔を指揮する人間にとっては唯一の救いと思いたい…)

今日はここまで、いくら遅いからってageるのも気が引けますので…
見つけにくいとは思いますが気長に待っていただければ。

少し早いですが、これより投下したいと思います。

シン「俺が苦しむだと…?」

日本・剣菱ホテルのバーでシンは3年ぶりに真正面で親友だった男と対峙していた。

シン「今まで苦しみ続けた…際限の無い苦しみに何度呪いの言葉を吐きつけたと思う…!貴様には分かるまい…!」

真紅「…………。」

鞄の中で真紅は彼の心境を嫌になるほど感じ取っていた。

シン「これ以上何を苦しむというのだ!言え!言ってみろっ!」

神崎「ふん…。」


MISSION107 嵐の告白

ちなみにナンバー103から間違えてました。

神崎には母親がいた。しかしその母親は彼と心中しようとして死に、神崎だけ生き残った。
彼はその後、自分の父親、そして母親を捨てて死に追いやった男を探し続けた。
そしてやっと突き止めた。シンと共に大和航空に入社した年に。

神崎「その男の名は風間英人。内閣総理大臣にまで登り詰めた男さ…。」

シン「風間英人…?誰だそれは?」

神崎「俺の親父さ…いや、元親父と言った方がいいかな?」



神崎「それとお前の親父になるはずだった男…。」



真紅「!」

シン「ま…まさか…!」

神崎「くっくっく…そうさ…俺とお前は血の繋がった兄弟さ…くっくっく…。」

シン「嘘だ!そんなでたらめを…!」

神崎「当たり!嘘だよ。」

シン「貴様!俺をからかって!」

神崎「安心しな。風間英人と俺は確かに血の繋がりはあるがお前さんとは赤の他人だ。」

真紅「…………。」

神崎「だがな…お前の母親が俺の母親を死に追い込んだ原因となったのは確かさ…。」

神崎は不気味な笑みから一転、冷たい表情で静かに語る。

神崎「お前はこの世に生まれてきてはいけなかった…お前が生まれることで少なくとも3人以上が死ななきゃならなかった。」

シン「何…だと…?」

神崎「俺の親父とお袋と…そしてお前の母親…だ…。俺がお前を憎悪する理由はこれで十分だろう。お前さえこの世に生まれてこなければ全て丸く収まった…。」

シン「分からない…何故…何故顔すら見たことのない…母親が…お前の父と…母を…。」

神崎が口にした事実は彼にはあまりにも衝撃が大きすぎた。

神崎「場所を変えるか…これ以上は話すつもりは無かったことだからな。」スッ

シン「神崎!」

神崎「今日、日本を離れる…調布の飛行場まで車で送ってくれ。俺と…お前が…親友でいられた最後の場所だ…。」

シン「…………。」

ブォォォォォォ…

首都高速4号線を西へ飛ばすポルシェ。

神崎「話は遡るが…風間英人という人間について話さなけりゃな。」

風間英人は大正の初期、埼玉の貧農十人兄弟の末っ子として生まれ、物心がついたころに家出…しかしその数か月後に陸軍高官の養子となる。
陸軍中野学校を卒業した年に太平洋戦争突入。彼は情報将校として活動した。
終戦直後、養父は敗戦の決まったその日に養母と共に自決、英人は風間家を継ぐがその先の経歴は不明。
時は流れ昭和29年、第五次吉田内閣時の法務大臣、犬養健の指揮権発動。佐藤栄作自由党幹事長の造船疑獄で揺れに揺れる日本政界。そこへ英人は姿を現した。
彼は中田大助、海音寺八兵衛と共に吉田学校の「三羽烏」と呼ばれた。

シン「海音寺八兵衛!」

神崎「知っているのか?政界の古狸…月並みな言葉を使えば影の総理と言われる男だ。」

風間、中田、海音寺、この3人の中で内閣総理大臣にならなかったのは海音寺のみ。3人の中で誰が早く総理になるかで政界の話題は持ちきりになったが結局風間が最初になった。
だが風間内閣が発足した途端に海音寺は政界を離れた。噂では総理争いに海音寺が負けたとも言われた。

神崎「風間は2回結婚している。最初の妻は戦後すぐに病没…子供はいなかった。2回目の相手が俺の母親だ。」

真紅「…………。」

真紅は後部座席に置かれた鞄の中で揺られながら話を聞いていた。

神崎「ところが若すぎたのかプライドが高すぎたのか…風間とはあまりうまくいかなかったと見える。俺が生まれて間もなく別の女の所に出入りするようになった。」
神崎「それが…お前のお袋だ…。」

キッ

シンは突然車を止めた。

シン「じゃあ…!」

神崎「あわてんな!この先がある。」

動揺するシンを落ち着かせてから再び語り始める神崎。

神崎「お前のお袋は風間と親しくなる前に既にお前を身ごもっていたのさ…その女の名は…」



神崎「海音寺祥子…八兵衛の長女さ。」



シン「祥子…それが…俺の母の名か…。」

神崎「そうだ…ここまで調べ上げるのに結構、金が掛かったんだぜ。感謝してくれよ?」

ププーッ!

不意に後ろからクラクションを鳴らされる。

ドライバー「バカヤロー!道のど真ん中で止まんじゃねえ!」

神崎「出せよ。後は飛行場に着いてから話してやる。運転が疎かになって事故られたらたまらん。」

ブォォォォォォ…

神崎は暫しの眠りにつく。



シン(神崎…お前は一体…この先俺に何を話そうというんだ…)


ズドオオオオォォォォォォン…

ミッキー「ウイスキー1、ミッキーだ!HQ(ヘッドクオーター)どうぞ!1匹始末したがもう1匹を見失った!」

ピカッ!

ミッキー「う!!」

ドカアアアアアアアアアン!

翠星石『何処に目付けてるですか!もう少しで射程に入られるところですよ!』

ミッキー「うおっ…!?」

ゴォォォォォォォ…

ミッキー「スイセイセキか…。」

後ろから来た翠星石のビゲンが横に並んだ。

ミッキー「すまねえな。後部警戒のレーダーが故障してんだ。」

その後基地に帰還した2機は整備を受けるが…

ミッキー「だめだ!電装品の殆どがオーバーロードでパンクしちまってる!」

セラ「スペアは?」

ミッキー「残念ながらな…使用限界なんかとっくの昔に越えちまってんだ。今までもってるのが不思議なくらいだ。」

セラ「でも…命に関わるわよ。」

翠星石「火器管制装置の殆どは山の基地からずーっと交換無しで作動させてきたです。ドラ猫のスペアは値が張るからマッコイも簡単には仕入れてくれんですよ。」

ミッキー「こいつの電子部品の予備パーツ2セットで中古のA-4かF-5が1機手に入る。ただでさえこいつは燃料食いのドラ猫だ。これ以上金食い虫になったんじゃサキに負担がかかる一方だ。」

セラ「でも…。」

ミッキー「こいつが1番気に入ってる機体だが…こうあちこち故障してきたんじゃ機種を変えなきゃならんかもな。」

翠星石「…………。」

その夜…

ミッキー「ふ~…一仕事の後の一服は定番だな…。」

……!………!

ミッキー「ん?」

ふとハンガーの中から声が聞こえる。

コノ…!…ウコト…デスゥ…!

ミッキー(ま~た何かしでかしてるな…)

分厚い扉から覗いてみると…

翠星石「こら!そこでバルカンってどんなプレイですか!」グイッ

セラ「戦艦相手に?」

駐機されたF-14の後部座席で翠星石が何やら操作していた。

キム「モード3インプット。」

どうやらレーダーで模擬戦闘をしているようだ。

翠星石「いいんですか?ジープ相手にそんなホイホイフェニックス使って。翠星石は核だって構わず使っちまう人形なんですよ。」

キム「か…核を…。」

ミッキー(何…だと…?)

火器管制レーダーではなく翠星石から「核」という言葉が出たことに驚きを隠せないミッキー。

セラ「諦めたら?こうなってくるともうレーダー取っ払った方が重量軽くなっていいかもよ?」

翠星石「このドラ猫は翠星石が買った機体です…言うなれば翠星石の所有物です。所有者が満足に手入れをせんでミッキーに扱わせるわけにはいかんです。」

キム「スイセイセキ…。」

翠星石「自分が買ったものの所為であいつが命落とすはめになったら螺旋を巻いてもらった意味が無いです。」

ミッキー(あいつ…)

翠星石「という訳であいつが全力になるまでにこいつを調教してやるです!お前等それまで寝かせんですよ!」

キム「か…勘弁して~~~!」

セラ「ダメよ~ダメダメ、夜更かしはお肌の天敵。かわいいレディが台無しよ?」

翠星石「レ…ディ…?」

セラ「あんたのお父様に会ってアリスになるんでしょ?だったら美しくしていなきゃ。ね?」

翠星石「…………。」

急に黙り込んだ翠星石、すると…

ク…ククククク…

翠星石「?」

セラ「?」

キム「?」



ミッキー「ひひひひひひひひ…」クスクス

翠星石「んなっ!ミッキー!何で笑ってるですか!///」ピョン

ミッキー「てめえがレディ…ぶわっははははははは…」ダダダダダ…

翠星石「こらッ!待ちやがれですぅ!」ドドドドド…

セラ「あらあらww。」

キム「www。」

はい、今日はここまで。
今年中には終わらせる予定です。

これより投下します。


~調布飛行場~

神崎「夜明けまでまだ1時間ある。」

深夜、ひっそりと静まり返った飛行場に2人と1体はいた。

神崎「懐かしいな…あの当時、飛行訓練生だった頃を思い出すよ。お互いパイロットとして世界中の空を駆け巡るのが夢だった…。」

シン「神崎…。」

真紅「…………。」

神崎「覚えているか?最初の単独飛行の時…。」

シン「ああ…忘れるもんか…。」


MISSION108 すぎ去りし時

それは5年前…シンと神崎がまだ日本で訓練生だった頃…

ブォォォォォ…

シン「か…神崎!いるか!?おい!」

神崎「う…うおおお…!お、お前の後ろにいるぞー!」

2機のセスナ機が立てに並ぶように飛んでいた。

シン「横に並んでくれ…頼む…!」

神崎「そんなこと言ったって…うわ!」

神崎の機がシンに接近する。

シン「うわ!離れろ!接近するな!」

神崎「飛行機に言え!飛行機に!俺に言ったって無駄だ!」

怒鳴り声を上げて集中力が切れた瞬間

神崎「あば…」グルーン…

神崎機は体勢を崩しキリモミ状態となった。

シン「わーっ!神崎ーっ!死ぬなーっ!」

神崎「32期飛行練習生神崎悟!出席番号5番!助けて下さーーーい!!」グオオオオ…

シン「バカーっ!!教官はいないんだ!操縦桿を引けー!!」

パニック状態になったシンも…

シン「どわ…」グルリン…

キリモミ落下を始めた。

シン「うぎゃーー!!俺もひっくり返った!助けてくれーーー!!」

神崎「こな…くそ…!」グググ…

シン「きえええ…!」グググ…

2人は暴れる操縦桿を必死に掴んで安定させようとした。

ブォォォォォォン…

そして安定した…

















逆さまで。


神崎「真よ…安定したな…。」

シン「お…おう…。」

神崎「ちょっとした高等技術だぜ。」

シン「そうだな…そう思う…。」

神崎「背面水平なんて高等技術が出来るんだからひょっとして俺達天才かもしれんぞ。」

シン「きっと…そうだ…。」

その下の管制塔では…

教官「あー2人共、そのまま着陸出来たらすぐに卒業させてやる。」ゴゴゴゴゴ…

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

神崎「後で教官に散々怒られて3日は落ち込んだよな。あの頃はよかった…。」

シン「昔話をするために呼んだわけではないだろう?神崎…。」

神崎「どこまで話したっけ?そうそう…お前が海音寺八兵衛の孫だってところまでだな…」

シン「俺が誰の孫だろうが関係ない!それより…俺の母親は何故俺を生んで捨てた!?そして何故お前の母親がお前を道連れに死のうとしたか…。」

シン「そして…そして何故お前が何時から殺したいほど憎むようになった!?」

神崎「俺が4つの時に風間は総理大臣になった…そしてその年の夏、祥子は男の子を都内のある病院で生んだ。それがお前だ。」

祥子の恋人は日本人とロシア人のハーフであった。しかしそれ以外の情報は一切不明で事故で死んだという経歴以外は何も記録に残っていなかった。

風間はその頃から本郷にある自宅に帰らなくなり、麻布にある祥子の家から国会に通うようになった。

風間はその子供を利用して海音寺に接近した。政治的にも経済的にも優位に立つために。

1人娘が名も判らぬ一般男性の子供を宿したとなればスキャンダルとなり今の地位は低下する。そう考えた海音寺は表向きは風間の子として出産させ、自分は総理の座を風間に明け渡した。

一方の祥子は恋人の精で授かった我が子を無事に産むために風間の姓を借り、その男の子に「真」と名前を付けた。捨てられる運命であろうとも。

お互いの利害が一致し、ロシアと日本のクォーターである1人の男子はこの世に生を受けることとなった。

神崎の母親は夫の浮気を疑った。そしてその相手が当時の財閥と並ぶ地位にあった海音寺家の娘であり、子供を宿していると知った時、プライドはズタズタに引き裂かれた。

シン「汚いな…さすが政治家、汚い…!」

神崎「そう言うな、政治とはそんなもんだ。」フ~…

神崎は煙草を踏み消したあと溜息を吐いた。

神崎「真…これから話すこと多少の推測もあるが黙って聞けよ。いいか?」

シン「あ、ああ…。」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

神崎を連れて風間の家を出た彼の母は実家には戻らず都内の旅館に泊まった。そこで…

母親「お母様は用をたしてきますから大人しく待ってるのよ。」

神崎「はいっ!」

それは寒い夜だった。母は暖かそうな服装で外に出て行った。冷え込んで雪までちらつくようになった頃、彼女は帰ってきた。

しかし旅館を出て行く前と明らかに様子が違っていた。着ていたはずのオーバーを着ていなければ靴もストッキングも履いてなくガチガチと震えていた。

母親「赤ちゃん…可愛いの…だから…オーバーもストッキングも…あげちゃったのよ…。」

母はうっすら笑みを浮かべながら小さい声で呟いた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


シン「じゃ…じゃあ俺が赤ん坊の時…首に巻きつけられていたストッキングは…!」

神崎「お前の母ではなく多分俺の母親さ。だから言ったことがあったろう?絞め殺すつもりじゃなかったのかって…殺すつもりが…とても出来なかったんだろうな…。」

神崎は静かに顔を上に上げた。

神崎「お前の母は…お前を生むために自分を犠牲にして風間と…俺の母は殺したいほど憎みつつあどけないお前を見て殺すことは出来なかった。そして涼子は…!」グググ…

彼の中の理性は遂に吹き飛んだ。

神崎「お前はどうしてそううまく愛を独り占め出来るんだ?え?風間真さんよ…。」

バババババババ…

昇りゆく朝日の中から1機の軍用ヘリが近づいてくる。

シン「違う…神崎、違う!それは…」

神崎「俺が…お前を憎んで憎んで殺してやりたいとさえ思っているのにこうして話しているのは何故だっ!!答えろ真!!!」

ヘリは神崎のすぐ後ろに着陸した。

神崎「さらばだ…真…俺は中東に戻る。」

彼はそう言いながらヘリに乗り込んだ。

シン「神崎!」

キュンキュンキュンキュン…

神崎「そして…お前と涼子が作り上げる平和な生活を根こそぎぶっ壊してやる…!世界中をぶっ壊して…俺の運命をこの手で断ち切ってやる…!」

シン「止めろ神崎!うわ…」ブワッ

真紅「!」

ヘリの入口から見つめる謎の少女。

雪華綺晶「御機嫌よう、お姉様。」クスクス

シン「あれは!」

真紅「雪華綺晶!」ガチャ

真紅はあわてて外に出る。



神崎「真!俺はパリでお前を一思いに殺せなかったことを後悔している!だが…お前は今日、この俺を殺せなかったことを後悔するぞ!!」



バラバラバラバラバラバラ…



シン「神崎ーーー!!!」



真紅「…………。」


寝落ちしちまいましたがここまで。

どうも僕です。ここで一言言わせて下さい。

別のSS投下してえーーー!

実は今エリア88×ローゼンメイデンと並行していろいろクロスSSを試作してるところなんですよ。
ちなみに考えてるのは以下の通り
・マギカ88~Mission of Pretty Magica~(エリア88×まどか☆マギカ)
・ストライカーズ88(エリア88×ストライクウィッチーズ)
・タイトル未定(クロスアンジュ×トランスフォーマーG1)

この中でもっとも書きやすそうなのが一番下のやつなんです。
最初はこれもエリア88のクロスにする予定だったのですが、作品見てみるといろいろエリア88と被ってる要素が多くて面白みに欠けると思ったので何か自分が見たことあって尚且つ奇抜なストーリーの作品にしようと思ってたらTFになったわけです。しかもG1。
このSSを終わらせたら今度はそっちを投下しようかと思ってます。本編はもう少しお待ちください。

これより投下を開始する!


~津雲邸~

シン「…………。」

神崎との密会の夜、神崎が言った一言が嫌なほどに思い出させられる。

神崎(俺を殺さなかったことを後悔するぞ!)

シン(神崎…一体何をしようと…)

満月の光がうっすら彼の目の奥にまで入って来るような気がした。

シン「………くそっ!」


MISSION109 悪夢

涼子「どうしたの真!?具合でも悪いの?」

シンの複雑な表情を読み取った涼子が駆け寄る。

涼子「何かあったのなら…話して…ね?」

シン「いや…何でもない。少し頭痛がするだけさ…先に休ませてもらうよ、悪いけど。」

そう言ってその場をごまかすが、

涼子「お薬飲まなくて大丈夫?」

ジョゼ「…………。」

涼子とジョゼは少し不安そうに見ていた。

バタン

シン(すまん…涼子…しかし…これはまだ話すわけにはいかない…)

寝室に入ったシン。窓際のテーブルの上には真紅が眠っている鞄があった。

シン(奴は…中東で…いや、アスランで何を企む…?世界中をぶっ壊すって…一体何を…?)

ふとシンは目の前の電話機に目が留まった。

シン(マッコイに連絡を付けて…付けて…)

彼は神崎がやろうとしていることを知りたかった。だがそこに理性が阻んでくる。

シン(付けて…どうする?中東に戻るってのか…え?)

シンは己を恥じた。自分から生き地獄に戻ろうなど常人の考えられることではない。

シン(バカな!何を考えているんだ真…頭がどうかしてるぞ…!)
シン(明後日は結婚式だ…そうさ…夢にまで見た幸福が両手を広げて…)

シン「両手を…広げ…て…。」

幸福か、真実か、彼にとって苦しい選択を迫られていた。

シン「ひ…広…げ……ッ!」



シン「…悪魔めッ!!」


同じ頃、中東アスランの空港では…

マック「…………!!」

神崎「これが私から君へのプレゼントだ。気に入ってくれたかね?」

マックは目の前の光景を信じられずにいた。

マック(何て男だ…こいつは…!)

彼の前にはボーイングB-52ストラトフォートレスが20機以上駐機されていた。

マック「核をお使いに?」

彼は恐る恐る訊ねた。

神崎「いや、各は使わん。」

マック(よかった…この男にも良心の欠片ぐらいはあるのか…)

神崎「国家の力を粉砕して民族を消滅させるのが目的ならば核使用も私は躊躇わん。それに核を使うならこんな大そうな代物よりICBMを数発手に入れる方が安上がりだ。」
神崎「君に戦隊司令を依頼はしない。発射ボタンは私が押してものの数分でダンドリアは灰だ。1週間もかかりはしないさ…。」

マック「では何故…?」

神崎「君は軍人だから兵器というものを物理的な破壊を可能にする道具としか考えないのだろうが…私は事業化なんでね。兵器は大切な商品だし戦争は最も有効な産業なのさ。」
神崎「それに考えてもみたまえ。核兵器を投下して放射能に汚染されたスエズやダンドリアでどうやって我々は商売するんだ?」

マックは彼の言うことが尤もであると考えた。そうでなければこんな戦争をする意味が無い。

神崎「ま、通常爆弾は核より攻撃力に劣るが後遺症に苦しめられずに済む…。」

マック「確かに…それに我々が核を使用した場合、我々に対しても核を使用することを世論が許す可能性もありますからね。」

神崎「分かってるじゃないか。」

神崎はスーツを着直して言った。

神崎「当面の君の仕事は作戦発動までに連中を使えるようにしておくことだ。」

マック「分かりました。」ピッ

神崎「期待している。」

彼はその場を後にした。

マック「…………。」

マックは並んでいるB-52…そしてその片隅に1機、朝日の光を打ち消すかの如く黒く異様な雰囲気を漂わせる大型機に目をやった。

マック「EB-52メガフォートレス…またこいつの尾翼を見なけりゃならんとはな…。」


~東京・大和航空本社~

シン「株は全て買い戻して津雲善三の名義にしてあります。もう何も心配する必要はありません。」

善三「多くを聞くつもりは無い。涼子を幸せにしてやってくれ。」

シン「はい…。」

シンは複雑な表情をする。

善三「それから…君の気持ちはありがたく受け取るつもりだが…気持ちだけにしておきたい。この会社の経営は君が行うべきだ。」

シン「社長!」

善三「正直な話…もう経営には疲れた。涼子も今、幸せになろうとしている…肩の荷を降ろしたいんだよ。分かってくれ風間君…。」

シン「………では…1年間…1年間だけこの会社をお願い致します…。少々やり残した仕事もありますし、それが終わり次第…」



善三「戦場に戻る気かね?」



シン「!!」

元戦闘機乗りであった善三によってシンの考えは見透かされていた。

善三「嘘の付けん男だな君は…。そう言うのではないかと思って経営を君に任せると防波堤を作ってみたんだが…役に立たなかったな…。」

シン「…申し訳ありません!」

シンは自分勝手な己を恥じた。

善三「…戦友の声が聞こえるんだよ…。」

シン「え?」

善三「戦場をはなれた男の耳に残るものは爆音でも悲鳴でもなく…友の…同胞の優しい声だけなんだ…。信頼を分かち合い、命を預け合った人間同士にしか聞こえない声さ…。」

善三「距離や時間は関係ない…まして人種、国籍、主義、思想を問わない外人部隊だ。並の信頼関係では生き残れない…。」

シン「親友に裏切られ、失意のどん底で己の意志とは関係なく…ただ生き残るために殺し合いました…苦しかったです…地獄でした…。」
シン「でも…その中で心を通わせた何人かの仲間がおります。戦いの善悪は別にして…勇敢であるということにおいて世界中の何処に出しても恥ずかしくない男達です。」

善三「引き替えにしても…かね?現在の日本での生活、そしてこれからの安全な生活と引き換えにしてもその男達との友情は大切かね?」

どんどん語調が強くなる。

善三「安易なダンディズムに浸るつもりじゃないだろうね!涼子はどうする!?」

シン「二度と再び…戻るつもりはありませんでした…しかし、今彼らは戦っております。金の為ではなく栄光の為でもなく…アスランを踏み躙ろうとしている男と戦っております!」

シン「アスランは私にとって…そして彼らにとって…第2の故郷です…!アスランの戦いを終えなければ…ッ!そして神崎を…あの男の野望を撃ち砕かねば…ッ!!」



シン「…私の魂は永遠に地獄を彷徨い続けることになるでしょう…!!」


ジョゼ「すっごーい!きれーい!!」

津雲邸では明日の結婚式で涼子が着るオリジナルデザインのウエディングドレスのお披露目が行われていた。

真紅「見事な出来ね。」

安田「津雲デザインのお針子さん総動員で作りましたもの。」

涼子「何て…素敵なドレス…。」

雛苺「キラキラしてて…可愛いの…。」

一同はそのデザインに見とれていた。

涼子「身内だけでひっそりと挙げる式なんだからもっと質素でよかったのに…。」

安田「何を言ってんです!真さんとの結婚式ですよ?あんなに苦労して…辛いこと…一杯あったんですもの…!こんなドレス1着じゃまだ…!」グッ…

雛苺「はいハンカチ。」

雛苺が安田にハンカチを差し出す。

安田「ありがとうヒナちゃん…ううう…」チーン…

涼子「安田さん…。」

真紅「涼子…人間にはどのような形であれ、幸せになる権利があるわ。貴方にも…そして真にも…だからもっと誇りを持つべきなのだわ。」

涼子「みんな…ありがとう。私…きっと幸せになるわ…。」

涼子は涙を流してみんなに感謝の言葉を伝えた。

今回はここまで。

お待たせして非常に申し訳ありません。
これより投下を再開します。

ブロォォォォォ…

都内の4車線道路を1台のセダンが走る。

善三「涼子には私から言った方がいいかね?」

シン「いえ…それには及びません。」

シンが運転し、助手席に善三が座る。後ろの座席には真紅の入った鞄が置いてあった。

善三「な、何だ?」

シン「!」

前を見ると、2車線を塞ぐように複数台の車が止まっていた。シンはあわててブレーキを掛ける。

藤堂「風間君…。」


MISSION110 決断

シン「藤堂さん!一体?」

藤堂「帰宅途中で悪いんだが話があるんだ。おい!」

「「はっ!」」

2人の男がシンの乗っていたセダンに乗り込む。後ろに乗った男が真紅の入った鞄を丁寧に降ろす。

シン「どういうこと何ですか?」

藤堂「心配しなくていい。津雲氏は部下が別荘まで責任を持って送る。巻き込みたくはないだろう…。」

シン「…分かった。」

その頃、別荘では…

ピンポーン

ジョゼ「あっ、きっとシンさんとパパよ!」

涼子「ドレス見たらびっくりするわ。」

涼子とジョゼが玄関へ向かう。

ジョゼ「おかえりなさーい!」

涼子「おかえり…」

だが、扉を開けたのは善三ではなかった。

美鈴「涼子さん…。」ハァ…ハァ…

彼女は額から汗を流し、息が荒くなっていた。

涼子「美鈴さん!まあようこそ。お入りになって。」

美鈴「あ、あの…真…さんはまだお帰りに?」

涼子「ええ、でもさっき会社から電話があってこちらに向かっているはずだから、もうしばらくすれば…」

美鈴「…!」

顔が蒼白になった美鈴はその場に座り込む。

涼子「美鈴さん!どうしたの!?」

安田「お嬢様?」

涼子「安田さん!手を貸して!」

安田「はい!」

再び都内、首都高をある場所に向かって走るリムジンの中に彼と「彼女たち」はいた。

シン「何時の間にヒナを?」

シンは雛苺が藤堂の膝の上に座っている光景に関して問いかける。

藤堂「彼女の好物で釣ってきた。半ば誘拐みたいで気が引けるが…。」

よく見ると雛苺は苺大福を嬉しそうに食べていた。

真紅「一体何処へ連れて行くつもり?」

藤堂「君達が日本へ降り立った時の玄関口…成田空港。」

シン「成田?」

藤堂「片道だが航空券を用意した。日本を出てほしい。」

シン「何だと!?」

藤堂「そして帰ってきてほしくない…。」

真紅「厄介払いのつもり?理由ぐらいは聞かせてもらえるのでしょうね?」

藤堂「聞けば大人しく従ってくれるか?」

彼はスーツの裏側に隠していたコルト・パイソンを見せる。

シン「理由(わけ)を聞こう。」

藤堂「助かったよ…あまりこいつの使い方が上手くないんだ。」

その後、彼らは空港に到着しVIP専用の特別待合室へ案内された。

藤堂「入ってくれ。出発までには少し間がある。」

中には既に八兵衛が座って待っていた。

八兵衛「すまんな君達、無理を言って。」

真紅「お聞かせ願おうかしら、理由を…。」

八兵衛「もっともだ。」

3人はソファーに座り、藤堂、八兵衛と向かい合った。

八兵衛「政治力を行使するにあたって理由はいらない。理屈は後でどうにでもなる。問題はそのタイミングじゃ。」
八兵衛「このタイミングを誤ると一国がひっくり返る大騒ぎになるな…国内が乱れ始めると外に対する防備が出来なくなる。この理屈は君達がアスランで十分味わったはずだ。」

シン「手短に願います。」

シンは顔を顰めながらそう言い放った。

八兵衛「…君が神崎をあの日殺せばこういった手段に出なくても済んだ…だが君は神崎を殺さなかった…いや、殺せなかった。」

シン「どうしてそれを…!?」

八兵衛「調査というのは多面的にやるものだ。敵を知るならそれに対する味方も知らなければならん。」

真紅「戦争が終わって40年経った今でも政治に介入出来るだけの実力はあるというわけね。」

八兵衛「そうだ…しかし奴の置き土産はなかなかのものだよ。国内企業十数社、それも資本金が1兆円に届こうかという企業ばかり、外資系に売り飛ばしおったわ。」

シン「何ですって!?」

八兵衛「神崎は経済植民政策を日本に向けてやったのさ。まったく大した男さ…。この事態を君が知れば否応なく君は海外にある極秘資金を出して対応する。違うかね?」

シン「おっしゃる通りです…。」

藤堂「そうして君の経済力を潰せば奴がいまからやろうとしていることがやりやすくなる…。」

八兵衛「しかも君が日本を守るために出した金は全て外資系企業を通じて奴の懐に転がり込むという手順だ。」

シン「…………。」

真紅「悪魔のような男…でも貴方の前では人間になった。自分の命を危険に晒す賭けに出たのも貴方に殺せないと踏んでの勝算があったからだと思うのだわ。」

八兵衛「その結果、奴は野望を一歩進め我々はM資金に手を出さざるを得なくなった…。」

涼子「M資金?何それ。」

安田「M資金って、あの大戦中に日本軍部が秘密の内に蓄えた軍資金のことでしょ?」

涼子「安田さん、知ってるの?」

安田「あんなの嘘っぱちだと思ってました。」

美鈴「全部を聞いたわけじゃないんですけど、風間さんのことと密接な関係があるようなんです。それでおじい様が風間さんを国外へ放り出すと言ってたのを…。盗み聞きするつもりじゃなかったんだけど…。」

涼子「美鈴さん…!」

ジョゼ「ヒナー!ヒナ、何処なのー!?戻ってらっしゃーい!」

ベランダからジョゼが雛苺を呼びかける。

安田「どうかしたの?」

ジョゼ「ヒナがいないの!何処にも!」

安田「ヒナちゃんが?お嬢様、知りませんか?」

涼子「ヒナちゃんならさっきまで藤堂さんと遊んでいたはずだけど…。」

安田「その藤堂さんもいませんけど。」

ピンポーン

ジョゼ「あっ、パパが帰ってきた。」

一同は玄関へ向かう。

ジョゼ「パパ!」

涼子「真!」

そこにいたのは善三とスーツを着てサングラスをかけた2人の男だった。

涼子「お父様、真…真は?その人達は?」

善三「分からん、いきなり…。」

???「では失礼致します。」

男はそう言って立ち去ろうとする。

涼子「待って!教えて下さい!真を一体どうしようと!?」

男「失礼します…」

美鈴「待ちなさい!お爺様直属の部下と見ました。」

後ろから美鈴が声を上げる。

男「お嬢様!どうしてここに!?」

涼子「美鈴さん!」

美鈴「答えなさい!これは命令です!」

男「し、しかし…」

男達は互いに困り果てた。

男「我々も詳細は聞かされておりません。風間氏とそのお荷物を成田までお連れするようにと言われているだけで…。」

美鈴「お爺様がそう言われたのですか?」

涼子「八兵衛おじ様が!?」

男「は、はい。」


~成田国際空港・特別待合室~

男「は…はい。」

男は電話の応対をしていた。

男「御前、美鈴様からです。」

八兵衛「美鈴から?」

八兵衛は男から受話器を受け取る。

八兵衛「わしだ…ここにいるのがよく分かったね…。」

電話の向こうにいる美鈴は色々と問いただすが…

八兵衛「少し遅かったね…彼らは今、飛び立ったよ。」

ゴォォォォォォォォ…

その時、日本航空国際線のボーイング747-100が中東へ向け離陸した。

涼子『八兵衛おじ様…!』

八兵衛「その声は…!」

涼子「おじ様…どうして…一体どうして…!」

美鈴「涼子さん…。」



涼子「お願い…返して…!真紅ちゃんを…ヒナちゃんを…あたしの真を返して!みんなを返してぇぇぇぇ…!!」



彼女の叫びも空しく、シン、真紅、雛苺を乗せた旅客機は夜空の中へ消えて行った。



ゴォォォォォォォォ…

途中で寝落ちしてました。
久し振りの投下ですがどうでしたか?
宣言通りに今年中には終わらせたいです。

これより投下を開始します。

藤堂「ま、さすがに大企業十数社を外資から守るためとはいえM資金に手を付けたのは痛かったようだ。」

司「しかし驚いたな。M資金なんてものが存在していたなんて…。」

藤堂「いや、M資金なんてのは呼び名だけだ。単に非常用の国庫金なんだが。それの使用を発動出来るのは内閣総理大臣と海音寺老ぐらいのものさ。数兆円ではきかんだろう…。」

2人は殺風景な砂岩質の大地をバックに立ち話をしている。

藤堂「だが、その資金は全て風間が出したということになっている。」

司「つまり風間の経済力が衰えたということにしてP4を欺くというわけか…。」

藤堂「まあな。それと、こういった非常事態にこれだけ大量の金を持っていると諸外国に知られるのもまずい。経済大国日本に対しての風当たりはますます強くなる…。」

ここはアメリカ・エドワーズ空軍基地。最新鋭機や実験機のテスト飛行に用いられることで有名な飛行場である。


MISSION111 新たなる翼

藤堂「それに風間の力が衰えたということにしておかないとP4は次の作戦として日本が海外に出してるプラントや企業の現地法人などにも圧力をかけてくるだろう。」
藤堂「国内でも総力を挙げてダニを潰しにかかっちゃいるがもう少し時間を稼がにゃならん。」

司「経済戦争は目には見えんからな…。」

藤堂「それでいて経済的な打撃は核よりも効果があるしな。一国が根こそぎやられる可能性がある…。」

司「ああ…。それはそうとあの連中は?」

藤堂「あそこだ。」

藤堂が指差す空には3つの航跡が伸びていた。

シン『TP-2216、ユニコーン1よりコントロールへ!全力飛行に入る!データ通信システムを除いて全てカットするぞ!』

管制『コントロール了解!』

3機はデルタ編隊を解き、自由飛行へ移る。

シン(平和な時間も安住の地も全て地獄の上で不安定に揺れ動く…一度は捨てた地獄だが…俺はそこに戻る!)

シン(自らの意志で…自らの希望で…そして自らの愛を守り抜くために俺は地獄を潰しに戻る!!)


それは彼が再び悪魔に戻る1時間前…

マッコイ「それを取る前にもう1度聞くが…本気なんじゃな?」

基地施設の一室にシン、真紅、雛苺、マッコイの4人がいた。

真紅「しつこいわよマッコイ…。」

シン「さあ、契約書を貸してくれ。」

マッコイ「ちょ、ちょっと待った!」

シン「爺さん…。」

マッコイ「あと5分…あと5分だけ考えねえか、シン?」

シン「何度も考えた…気が遠くなるくらい、何度も…な…。」

マッコイ「何もお前等が直接戦う必要は無いだろうが…88がどういう所かお前等が一番知ってるはずじゃないか…!」

シン「ああ…よく知っている…。」

マッコイ「なら、自分が今やろうとしていることがどんなに馬鹿げたことか分かるだろう!シン!」

シン「確かにな…血を吐く思いで過ごした88での数年間は忘れようと思ったって忘れられないさ…もし生きて帰れたなら生涯2度とあの地獄に戻るつもりはないと…心に誓った…。」

マッコイ「なら…何故?」

シン「アスランの内乱が続く限り…そしてP4を神崎が操る限り…そしてエリア88が存在する限り…俺にとっての地獄は無くならないのさ…。」

真紅「…………。」

シン「このまま涼子との平和な生活を続けたとしてもそれは見せかけだけの平和だ…。」

雛苺「…………。」

シン「俺が…この手で神崎の息の根を止めP4を潰し、アスランの地図からエリア88を消し去るまで俺にとって安息は無い。」

マッコイ「資金は山ほどあるんだ。政治家を動かしてP4をアスランから追い出す方法もある。」

真紅「長い歴史の中で何度となく民衆が政治(まつりごと)に救いを求めた時期はあった…革命を成功させたナポレオン然り…指導者として称えられたヒトラー然り…。」
真紅「でもその結果は裏切りと戦争の歴史を鎖のように続けただけ…その連鎖の中で真が生まれ…神崎が生まれた。そして彼はその鎖で民衆を地獄へと誘うでしょう…。」

シン「断ち切らなければならない…この生命と血を斧にして…たとえ愚挙と言われようとも…。」

彼はマッコイが持っていた契約書を奪い取り、自らの手で、今度は自分の意志でサインした。

マッコイ「バカじゃ…お前は…!本当に…大馬鹿じゃい!シン…!」

マッコイは涙を流しながら言った。

シン「褒め言葉と受け取っとくよ。」

それだけ言うと、シンは2人を連れて外へ出て行った。

詰所の外には従来機とは違う特徴を持った3つの機体が駐機されていた。

雛苺「ふぉっくす~久し振りなの~!」

雛苺は一番左に駐機されているMiG-31ファイヤーフォックスのコクピットに乗ってはしゃいでいた。それを横目にシンは自分の機体に近付く。

シン「俺の新しい翼、グラマンX-29…いや、中東においてお前はXナンバーから解き放たれる。」

垂直尾翼に炎のユニコーンを輝かせる前進翼の翼は天使のようにも見える。

シン「まだ素材の匂い取れないコクピット…だが、いずれ俺の血と汗の匂いに変わるだろう。仲良くやろうぜ…お前…。」

シン「痛い思いもするだろう…苦しい時もあるだろう…でも…いつも俺はお前と一緒だ…。」

まるで生き物を扱うかのように労わるシン。

真紅「あの時と同じ目をしているのだわ。」

シン「感傷的だと笑われるかもしれないけどな…。」

真紅「ええ…でもその気持ち、私にも分かるかもね…。」

彼女はX-29の隣に駐機されているデルタ翼の双発機に近付く。

真紅「ミラージュ4000…戦争という哀しい歴史の中で生まれた不遇の翼…今…今だけ力を貸して頂戴…。私の…翼…。」
真紅「中東の空で貴方と共に戦うのは軍神マルスの化身かと見まがうばかりの勇敢な男達と…私の大切な姉妹よ…。私達と一緒に…気高く舞いましょう…。」

???「いつもそうやっているのかい?」

後ろから藤堂が声を掛ける。

シン「何だ藤堂さん、見てたんですか?恥ずかしいな。」

藤堂「飛行機のことはよく分からんが、生死を共にするならやっぱ思い入れも必要なんだな。」

真紅「そうね…。」

藤堂「チケットだが、アスランに直接入るとP4にバレてしまうからイラン辺りからチャーターして入るか?」

シン「チケット?何言ってんです、僕はパイロットですよ。直接基地へ行きます。」

藤堂「そ、そうだったな…。」

真紅「スペインまで飛んでギリシャ、アスランの順ね。」

藤堂「彼女に何も連絡しなくていいのか?」

シン「!」

真紅「…………。」

3人は涼子達には何も言えずに八兵衛に言われるがまま日本を後にしていた。

シン「そうですね…随分身勝手なことなので何を言っても言い訳にしか聞こえないと思います。でも…今、これから僕がやろうとしている戦いは…」

シン「夫として…まだ見ぬ我が子の父として…そしてアリスゲームを見届けるために…片付けておかねばならないことだということ…。」

真紅「真にとって、何もしないで手に入れる平和は何も知らされないで奪われる平和だということ…。」

藤堂「…………。」

シン「やむなく戦うわけではありません。自分自身を取り巻く愛を守るために戦います。生き残るためでなく…決して死んではならない戦いだと…。」

藤堂「それを俺の口から彼女に伝えろというのか?」

真紅「拳銃を使うよりはお上手だと思うけれど。」

藤堂はフッと苦笑いして言う。

藤堂「必ず…生きて帰れよ。俺は彼女にそう伝えるぜ。」

シン「はい…必ず!」


~エリア88~

通信兵A「サキ司令!マッコイから連絡です!」

1人の通信兵が電報を持ってやってきた。

サキ「何だ…………?」

金糸雀「ミッキー、喜ぶかしら。F-14のパーツが手に入ったそうよ。今日の夜の便で着くそうかしら。」

ミッキー「わーーーーぉ!!」

キム「よかったねミッキー!」

ミッキー「あははは…これであいつを捨て猫にしなくて済むぜ!」

金糸雀「ん?……補充兵を3人送る?」

翠星石「たった3人ですか?焼石に水ですよ。」

ケン「新顔かよ、どんなやつだ?」

サキ「名前も何も知らせてきていない…やれやれ、じいさんもヤキが回ったかな?」

ウォーレン「どうせ空軍から落ちこぼれたゴロツキだろう。この基地まで迷子にならずに来れりゃいいが…。」

その後、ハンガー前では…

グエン「新顔が来るんだって?」

ヘアバンド「ほう…。」

そばかす「命知らずだねぇ、マッコイに騙されて中東くんだりまでご苦労なこった。」

翠星石「あ、次お前の番ですよ。」

セイレーン「いけ好かない男だったら叩き出してやるわ。」

キム「僕がビシバシ鍛えてやりますよ。」

バクシー「さあ来い、新顔!」

キャンベル「地獄の一丁目だぞ!」


それから2日後…

…ゴォォォォォォォ…

シン(遂に戻ってきた…中東に…砂漠に…俺の第2の故郷に…)

ピッピッピ…

シンは無線周波数を合わせる。

シン「88コントロール!聞こえるか?88コントロール!」

その声は88に伝わった。

管制官A「新顔が来たようです。ここを呼び出しています。」

サキ「位置を教えてやれ。砂漠の真ん中だから見失うな…とな。」

管制官A「こちら88コントロール。」

エリア88の受信は問題無かったが…。

管制官A『ザ…感度は良ザザ…聞こえるか?』

発信機が古い所為か補充兵側には雑音が入っていた。

シン「ボロな発信機だな。雑音が入るぜ。スペアコマンダーだ!よろしく頼む!」

管制官A「ボロは余計じゃ!!南側から進入しろ!滑走路に穴が開いてるように見えるがカムフラージュだ!心配するな!」

ミッキー「一癖ありそうだな。」

管制官B「来ました、あそこです!」

ゴォォォォォォォ…

シン『Runway insight! Final Approach Go!』

キィィィィィィィィン…

シン「サキ…ミッキー…キム…みんな…。」



シン「俺は戻ってきたぞ!」


今日はここまで。
真紅の新機体はミラージュ4000としました。
理由1:美しく気高く舞うイメージから。
理由2:地元の空軍からは「不人気」だったから。

X-29
グラマン社によって2機が製作された実験用航空機(実験機)であるXプレーンズのひとつ。
前部胴体はF-5、降着装置(脚部)はF-16、エンジンはF/A-18、油圧系はA-6からと、かなりの部分を現用機より流用し作成されている。
参戦時、F-20と同型のアビオニクスが搭載された他、胴体下部に射出投棄が可能な20mm機関砲2門、翼下にハードポイントが増設された。

ミラージュ4000
ダッソー社が開発した試作戦闘機。
ミラージュ2000を基本にエンジンが双発になり、バブルキャノピーやカナード翼を採用している。
あるいは1970年代に開発されながら中断された双発可変翼戦闘機であるミラージュGを、カナードつきデルタ翼形式に改めた機体ともいえる。
機体規模はミラージュ2000との比較で空虚重量にして74%大きくなり、ハードポイントは11ヶ所に増えた。

これより投下します。


ゴォォォォォォォ…

シン『Runway insight! Final Approach Go!』

生き地獄に落とされた男は

キィィィィィィィィン…

時には復讐のため、時には生への執着によって何度となく這い上がり

シン「サキ…ミッキー…キム…みんな…。」

そして再び地獄へ落ちてきた。

ドピュッ

今度は「未来」を守るために。



シン「俺は戻ってきたぞ!」


MISSION112 新たなる宣戦

キキイイイイイィィィィィィ…

グエン「おーやまあ…X-29かよ!補充兵さんは最新型でご到着だぜ!」

バクシー「たーっ!こっちはボロクソの機体でやってんのによ!」

蒼星石「向こうにはミラージュと…MiG-31?」

ルロイ「マジで!?」

ケン「来た!これで勝つる!」グッ

キャンベル「まさに第3部、完ッ!だな!」

ミッキー「フラグを立てるなフラグを…。」

マロリー「もう1機いるみたいだけど…ミラージュか?」

ウォーレン「ありゃミラージュ4000だな。」

翠星石「何ですかそれ?」

ウォーレン「簡単に言えばミラージュを双発にして大きくしたやつだな。あれも最新鋭だ。」

セイレーン「気に入らないね。」

キム「あ…でもみんな新型だから…ちょっと乗せてもらおーかな。」ピュ~

翠星石「あ…こら、キム!」

セイレーン「あの子はなんて節操の無い!」

ミッキー「この基地じゃ2機目のグラマンだな。ミラージュに至っては初めてだぜ。」

グレッグ「前進翼がもう実戦配備なんてな…。」

セイレーン「世の中インフレなんて嘘よ!」

ウイーン…

一同「「「!!!!!」」」

風防が開いた次の瞬間、一同は凍りつくように動きを止めた。



シン「みんな…元気そうで何よりだ。」

真紅「お久しぶりね…。」

雛苺「グレッグー!ただいまー!」



キム「シン!わあーっ!シン!!」ダッ

シン「キム!」

キムは泣きながらシンに抱きついた。心の底から喜んでいるのだが…

セイレーン「シン…。」

ウォーレン「シンク…あいつ…。」

グレッグ「ヒナ…お前…。」

中には複雑な心境で彼らを見る者もいた。

キム「ミッキー!ねえシンだよ!シンが帰ってきたよ!」

シン「ミッキー…」

バキッ

シンの右頬にミッキーの左ストレートが入る

シン「!?」

バタッ

シン「凄いな…前より荒っぽくなったな、出迎え方が…。」

キム「何すんだよミッキー!」

ミッキー「シン…てめぇ…!」

襲い掛かろうとするミッキーをその場にいた傭兵達が止める。

グレッグ「お、おい!止めろミッキー!」

ミッキー「この野郎!!何しにのこのこ戻ってきやがった!!」

ワーギャーワーギャー…

翠星石「せぇの…!」ブン

ガァン!!

ミッキーの頭にレンチの強大な一撃。

ミッキー「」バタッ

シン「な!?」

蒼星石「わわわ…翠星石!」

翠星石「今のうちにふん縛って部屋にぶちこんどくですぅ。」

その一部始終はサキ達のいる管制塔からも見えた。

ラウンデル「サキ様…。」

金糸雀「…………。」



サキ(成程…やはり7人目はお前か…シン!)



金糸雀「入隊を認めるの?」

サキ「契約書にサインしたんだろ?例外は認めないさ。」コツコツ…

ガ――――…

真紅「変わらないわね…ここも。狭く不潔な部屋も五月蠅いクーラーの音もあの時と同じ…。」

キム「あの…シンク…。」

真紅「キム、お土産よ。ありがたく思いなさい。」

真紅は鞄の中からイチゴジャムを出した。

キム「あ、どうも…。」

何時もなら喜ぶはずだが今日に限ってはあまり笑みを見せないキム。

キム「僕は…皆さんに戻ってきてくれて凄く嬉しいんだけど…でも、何故?」

バタン



真紅「戦わなくてはならないからよ…。」


ガンガンガン…

ハンガーから鈍い金属音が聞こえてくる。

ミッキー「あ―――――腹の立つ!!」ガキン!ガキン!

ミッキーは怒りながらエンジンの部品をハンマーで乱暴に叩き落とす。

セラ「ミッキー、よく話してみれば?」

翠星石「考えなしに戻るほどシンはアホじゃないと思うですけど…」

ミッキー「アホだッ!!あいつは!!」ガン!ガン!

セラ「決めつけちゃダメよ。親友なんでしょ?」

ミッキー「昔はな…。」ピタッ

彼は急に動きを止めた。

ミッキー「俺なんかがベトナムで散々嫌な思いして命拾いでニューヨークに帰って…それでもまた戦場に戻ってきたってのは話したよな?」

翠星石「うん…。」

ミッキー「あいつにはそうなってほしくなかった…殺し合うことの罪悪感が無くなってギリギリの緊張感の後に来る解放感のみが快感になっちまったら最悪だ…。」
ミッキー「88の連中はみんなそうだ…どうしようもないと分かっていてそれでもやってる…とにかく死ぬまでは戦場で戦い続けるのさ…。」

セラ「でも…彼は違ったでしょ?」

ミッキー「そうさ…あいつは戦う必要なんて無かったんだ…普通に生きて普通に死ぬ身分だった…」

???「普通に生きて普通に死ぬためにここに来たのさ…。」

格納庫にいた3人が扉の方を向いた。

ミッキー「シン!」

セラ「!」

翠星石「!」

そこにはシンと真紅が立っていた。

真紅「この戦いが単にヴァシュタール家の争いごとであるなら私達はここに戻るつもりはなかった…でももうお家騒動という言葉では片付けられなくなっているのだわ。」

ミッキー「どういうことだ?」

シン「P4を指揮している神崎という男が世界を壊滅に追いやるならば…それを何としてでも止めねばならない…神崎という男をそこに追い込んだのは…この俺なのだから。」

セラ「…………。」

シン「俺は日本での生活を捨てたわけじゃない。普通に生きて…普通に死ぬためにはもう1度アスランであの男と戦うしかないんだ…。」

翠星石「分かったですよ…しかし、何もお前がわざわざ中東くんだりまで自分の命を引っ下げて戦いに来る必要は無いでしょう?危険この上ないですよ!」

真紅「翠星石…自分たちの戦いを危険だからと言って他人に金を渡して外から眺めている程私達は落ちぶれてはいないのだわ。」

シン「そうさ…俺が愛した女に与える安らぎは…己が命を懸けて勝ち取ったものでありたいんだ…。」

セラ「シン…。」

シン「この不毛な戦争と…姉妹同士のアリスゲームを終わらせて…そしてみんなで勝ち取った平和を…みんなで守っていきたい…!」

グエン「いいだろう…シン、付き合うぜ。」

グレッグ「勝たなきゃならんわけだし。」

キャンベル「きついぜ!」

蒼星石「僕達も手伝います!」

雛苺「ヒナもお手伝いする。そのためにここに来たんだから。」

ウォーレン「付き合うよ。」

ケン「俺も…。」

水銀燈「とんだ親友持った責任…ちゃんととりなさぁい。」

シン「みんな…!」

「お帰りシン!」「歓迎するぜ!」「また一緒に飛ぼうや!」

傭兵一同が彼を祝福した。

今日はここまで。

これより投下します。

ギュオオオオォォォォォォ…

数機のMiG-21が大空を飛び回っている。

マック「だめだだめだ!!何処に目を付けている!」

プロジェクト4のエジプト侵攻作戦空軍総指揮官であるゲイリー・マックバーンがアスラン空軍のエースを叱責する。

マック「そんなこっちゃ戦隊指揮官はおろか分隊の指揮も出来んぞ!」

パイロット「す、すみません…。」

マックはアスラン空軍のレベルの低さに失望していた。


MISSION113 再生

マック「まったくダメです…アスラン空軍は使い物になりません。対地攻撃が標準で、とても空戦は無理です。」

アスラン首都にある宮殿の元国王の部屋…現在はP4総指令である神崎の部屋になっている。

マック「革命軍との戦争でアスラン正規軍が対空戦をいかにエリア88に依存していたかが窺われますよ。」

神崎「ふむ…。」

マック「飛行時間1万時間以上、実戦経験3000時間以上のパイロットが最低でもあと5人は必要です。」

神崎「分かった…何とかしよう。」

マック「ありがとうございます。では…。」

そう言って部屋を出ようとドアノブに手を掛けるが…

神崎「マック。」

マック「は…。」

神崎「…2回も愚痴は聞かんぞ。」

マック「はい…。」

バタン

彼がドアを閉めると、神崎はすぐに電話を取る。

神崎「私だ、国王の様子はどうだ?…ふむ…ああ。演説は出来るか?…無理…そうか。替え玉を用意しろ。ああ、すぐにだ。」

ガチャ

1度切ると彼はまた何処かへ電話を掛ける。

神埼「私だ…ヴァルキリーの状況は?…エンジンの交換が必要…分かった。代替可能なエンジンを手配させる。換装が完了次第、冥王計画の第1準備にかかれ。以上だ。」

ガチャ



神崎(ジュリオラ…裏切ったか…!)


キィィィィィィィィン…

ミッキー「9800…10000…10500…推力はまだ低下してない。」

ミッキーの乗るグラマンX-29は垂直上昇試験を行っていた。地上ではテストの様子を一同が見ている。

ミッキー『11000…まだいける。油圧も正常だ。軋み無し。12000…』

ウォーレン「実用には十分な上昇性能だ。とても寄せ集めで作ったとは思えないな。」

ウォーレンがX-29と並行して飛ぶミラージュ4000のコクピットから声を発する。

ミッキー「F-14じゃこうもいかんからな…何しろ重くって…そっちはどうだ?」

ウォーレン「なかなか調子いいぜ。双発でミラージュを一回り大きくした感じだけど機動性は抜群だ。」

ミッキー「何しろF-14やF-15をライバル視して作られた機体だからな。」

ウォーレン「スティック握った瞬間ビビッと来たぜ。セーヌで初めてミラージュに乗った時の記憶が鮮明に蘇ってきた。これなら大丈夫だ。冥王星へだって一気に行けそうだぜ。」

翠星石『何の話ですか?』

ミッキー「よし、降下行くぞ!」

ギュオオオオオォォォォォォ…

マッコイ「…………。」

セラ「ねえ…やらせといていいの?良い気になって飛んでるわよ。」

シン「大丈夫さ…あの2人なら。」

真紅「貴方もそう思うでしょう?」

セラ「まあ…ね…。」

一同は下で雑談しながらテスト飛行する2機を見守る。

セラ「涼子…辛いだろうね。」

シン「…………。」

真紅「…………。」

セラ「今からでも遅くないから帰んなよ、シン。」

翠星石「セラ…。」

セラ「気持ちは分かるけど…生きて帰れるって保障なんて何もないんだから…。」

シン「必ず生きて帰る…必ず…あの男の息の根を止めてから…帰る。」

シン「そして…生涯ここには戻らん!」

真紅「…………。」

彼はただ碧い空を見つめながら言った。

ゴォォォォォォォォ…

その頃、とある砂漠では…

ヒュウウウゥゥゥゥゥゥ…

P4兵士A「戦車長!総司令部より入電です!」

P4戦車長「うむ、何と言ってきている?」

P4兵士A「本日1900時に重大発表あり、全ての車両の通信機をオンにしろと…。」

P4兵士B「全車両に告ぐ!通信周波数を戦時周波数(コンバットウェーブ)にせよ!繰り返す!全車両の通信周波を戦時周波数にせよ!」

P4戦車長「いよいよか…。」

その頃、とある基地では…

P4兵士C「第2師団定位置に待機!」

P4兵士D「第1機甲大隊南側の丘に集合完了!」

P4兵士E「第12戦車大隊北の国境線5kmの位置で待機中!」

基地司令官「航空機は?」

P4兵士D「爆撃中隊は既に出撃準備を完了しております!」

基地司令官「よし、全軍を現在位置のまま戦闘態勢にして待機させろ!」

そして宮殿では…

『…以上です。尚、ヴァルキリーの到着は5日後の1400時の予定です。』

神崎「…分かった、ご苦労…。」ガチャ

マック「…………。」

2人は総司令官室にいた。

神崎「全ての準備は整った…もう後には引けん…。」

マック「はい…。」

神崎「マック…この戦いが発火点となって世界中が戦争に巻き込まれるかもしれん…。」

マック「…………。」

神崎「運命を自らの手で変えることは可能か否か?」

マック「神が存在するならば…否…と。」

神崎「神を信じるか?マック!」

マック「否!」

神崎「そう…神なぞ信じない。定めも信じない!信じるのは己の目的に対する執念のみだ!」

同じ頃、エリア88では…

通信兵「サキ司令!」

通信兵に呼ばれてサキ、ラウンデル、金糸雀が集まる。

通信兵「P4の通信周波だと思うのですが妙なことを言っています。『目覚めよ!眠れるライオン』…と。」

サキ「何ぃ!?」

ラウンデル「サキ様!」

金糸雀「暗号文だと思うけれど…。」

サキ「まさか…!」




3人(…スエズ作戦発動!?)



サキ「格納庫!偵察機を出せ!大急ぎで発進させろ!」



ブオオオオオオオン…

P4戦車長「全車両に告ぐ!作戦発動命令が出された!全軍総攻撃に移る!前進!!」

キュラキュラキュラ…

P4兵士F「突撃戦車中隊前へ!ダンドリアの国境線を一気に突破するぞ!」

ズドオオオオオオン!



かくして、ここに世界の滅亡へのカウントダウンが開始された。


今日はここまで。

これより投下します。

キィィィィィィィン…

夜の闇を1機の白い偵察機が駆けてゆく。

翠星石「蒼星石、あれを見るですよ!」

蒼星石「!!」

彼らの眼下にあったのは…

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

南へ向かって進む見える範囲だけでも数十台はある軍用車両だった。


MISSION114 国境地帯

蒼星石「すごい数の車だ…!」

翠星石「きしょ~やっぱりスエズ作戦発動でしたか!写真を撮ってさっさと帰るですよ!」

蒼星石「う、うん。」

2人の乗った超音速攻撃機兼偵察機のTSR-2が両翼下に装備した偵察ポッドで写真撮影を続ける中…

P4兵士A「トラッパーよりホークアイ、ハエを落としてくれ!」

P4兵士B『了解。やれやれ…あんな派手な白いのが何時の間にか紛れ込んでるもんだな。』

ゴォォォォォォ…

1機のMiG-21がTSR-2に狙いを定める。

蒼星石「後ろ上方、接近機あり!」

翠星石「何ですとぉ!?」

気付いたころには1kmにまで迫られていた。

翠星石「このぉ!!」グイ

ギュゥン!

P4兵士B「おっ!やるな。」

寸前で上昇しMiG-21の弾丸を避けるTSR-2。その後も軽快な動きで敵を翻弄する。

P4兵士B「何だぁ?こいつは…ヴィジランティじゃないのか?」

敵機はA-5ヴィジランティに比べ機動性が高いことに疑問を抱く。A-5とTSR-2、どちらも核攻撃を想定して開発された機体で特徴が似ている。だが1つだけ違う部分があった。

翠星石「英国生まれの白い木馬を舐めるでねえですよ!」ギュン!

TSR-2はイギリスにまだ多い不整地滑走路からの短距離離陸、低空での超音速巡航を可能とするためにブリストル・シドレー オリンパスターボジェットエンジンの試作型オリンパス B.O1.22R(Mk320)を2基搭載している。

このエンジンはアフターバーナー使用時には13,600kgf、A-5に搭載されているJ79-GE-8ターボジェットエンジンの約1.8倍の推力をほこり、後の派生型が超音速旅客機コンコルドに搭載された。

P4兵士A「何やってるんだ。さっさと落としてくれ。」

P4兵士B「分かってる、分かってるんだ…なのに…落とさせてくれねえんだよ!」ダダダダダ!

翠星石「ほーら、こっちですよ~!」

イギリス空軍超音速侵攻偵察攻撃機計画 OR.339の厳しい条件をクリアするために思考錯誤を繰り返した中で機体は完成した。TSR-2はまさにイギリスが誇る傑作機だったのだ。

翠星石「そろそろずらかるですよ。」

蒼星石「分かった。」

TSR-2は反転して戦域を離脱しようとする。

P4兵士B「待ちやがれ!」

MiG-21も後を追おうとするが…

翠星石「これでも食らいやがれですぅ!」カチッ

バシャッ

爆弾層から何かが投下された。

カッ!

P4兵士B「うおっ!?」

辺り一面を眩い閃光が包む。

P4兵士A「怯むな!前進を続けろ!ただの閃光弾だ!」

閃光はその後20秒間続き、収まった時TSR-2は既に戦域を離脱していた。


~エリア88~

サキ「戦車、輸送トラック諸々含めて数百台以上…全車陸戦装備満載…歩兵はおよそ5000人超え…。」

一同は現像された写真を見て絶句した。

翠星石「みんなタンドリアの国境へ向かってたです。」

蒼星石「絶対にスエズ作戦発動ですよ!」

ミッキー「サキ、出撃命令を出してくれ!もう一刻の猶予も無い!」

サキ「ラウンデル、マッコイが手配した80名のパイロットと機材は何時到着する?」

ラウンデル「おそらく来週にならないと…。」

ミッキー「来週!?そんなに待ってたらタンドリアは落ちる!」

サキ「今出撃してこの基地ごと燃やされたいのかっ!!P4の航空兵力と地上兵力、両方相手に同時戦闘出来る程こっちの力は無いんだ!!」

翠星石「でも!このままじゃタンドリアで何百、何千と死ぬですよ!」

金糸雀「タンドリアにも軍隊はいる…地上軍との戦闘が始まれば我々は航空兵力だけ相手に出来るかしら。」

サキ「制空権を奪うまでは我々のこの基地を敵に知られてはならんのだ。そして我々が戦闘開始する場合、全力出撃尚且つ短期間でアスランを奪回しなくてはならん。」
サキ「そしてP4を追い出した後、すぐにタンドリアとブラシアに対して和平交渉の開始…条件次第では戦闘もありうる。」

ミッキー「何だってそんな!こっちはわざわざ身銭を切ってスエズ侵攻を食い止めようと…」

サキ「敵がP4だと分かっているのは我々だけだ!タンドリアもブラシアもアスランに攻め込まれたと思っている!」

ミッキー「しかし、我々はブラシア奪回でとことん協力した!タンドリアにも説明すれば…」

チャーリー「甘いぞミッキー。」

殺伐とした雰囲気にチャーリーが突っ込んでくる。

チャーリー「ブラシア政府は解放に協力した俺達を真のアスラン政府軍ではなくむしろ反アスラン勢力…つまり革命ゲリラ部隊として見ている。」
チャーリー「タンドリアだって同じだ。P4のスエズ作戦をぶっ潰した俺達は英雄的ゲリラ部隊として扱われるだけさ。だがアスランはどうなる?」

金糸雀「タンドリアもブラシアもP4を追い出した後のアスランに対して戦勝国家として領土分割を要求してくるでしょうね。」

ミッキー「そ…そんな…!」

サキ「いいか、ミッキー。国家間の争いの火種は燃え上がった以上そう簡単に消せるもんじゃない。それが政治というものだ。」

ミッキー「じゃあどうしろっていうんだ!?」

サキ「我々のとる方法はただ1つ…出来るだけ短期間でアスラン首都を制圧して…ザク叔父を呼び戻し…」



サキ「親父を…処刑することだ…!」



ミッキー「サキ…。」

シン「…………。」

キィィィィィィィン…

タンドリア国境付近をフィアットG.91で構成される防空部隊が警戒に当たる。

隊長「旋回するぞ。アスラン領空に踏み込むな。踏み込んだが最期、それを理由に我々には分の悪い戦争になっちまう。」

隊員A「し、しかし隊長…アスランは…我々タンドリアに戦争を仕掛けてくるんでしょう?」

隊長「そうだ…しかし、最初の銃の1発はアスランに撃たせなきゃいかん…我々から先に手を出してはいかんのだ。」

隊員B「その1発が我々に向けられたらどうするんですか!?」

隊長「運が悪いと思え。」

隊員C「そ、そんなぁ!大量の戦車や歩兵が進撃してるって話じゃないですか!」

隊長「まだアスラン領内を出ておらん…どんなに大量の軍隊が動いていようとそれが他国の領内ならば我々は手を出せん。」
隊長「タンドリアも地上軍、機械化部隊3個師団を配備して戦闘態勢に入っている…おそらく国境を越える寸前に宣戦布告をアスランにするつもりだろう。」
隊長「それまで手出しはならん!いいかっ!?」

その通信を傍受する者が更に1万m上空にいた。

ゴォォォォォォォォ…

P4兵士C「デス・バードより総司令部!これを最終通信として開戦まで通信管制に入る!現在位置地中海上空1万m!」

機長「ラジオのスイッチを27MHzにしておけ。」

P4兵士D「はい。」



機長「タンドリアのアホ共め…国境を越えるのは戦車や歩兵だけじゃねえんだぜ…。」



ゴォォォォォォォォ…

今日はここまで。

これより投下します。

地中海のとある海域…

ザバアアアアアァァァァン…

海から発射される4本の大型ミサイル。

P4兵士A「1番から4番まで発射終了!4本とも設定機動に乗りました!自己修正回路作動開始!」

P4艦長「うむ。タンドリアにアスランを攻撃出来るミサイル基地は2つしか無い…4本も撃ち込めば残るのは防御ミサイルの基地だけだ。」

艦長はそう言って不気味な笑みを浮かべる。

P4艦長「空の連中にも攻撃目標を残しておいてやらなきゃな。」

P4兵士B「潜水艦1隻で戦争やったとあっちゃ後で恨まれますからな。」


MISSION115 撃鉄の落ちる音

ビー!ビー!ビー!

P4兵士A「ミサイル多数!本艦に向かってきます!」

P4艦長「何だと!?」

潜水艦の真上から対潜ミサイルが迫ってくる。

P4艦長「回避しろ!取り舵!」

P4兵士A「赤外線探知です!あ、あたる!うわ…」



ズシィィィィィィィィン…メキメキ…



ドドォォォォォォォン…



88パイロットA『コントロール!命中した!撃沈だ!』

ミサイルを放ったのは空母00の艦載機、S-3ヴァイキングだった。

00艦長「爺さん…本当にP4の潜水艦だったのかな…。」

マッコイ「開戦放送と同時にミサイルを発射したんだ…P4に決まってるじゃないか。」

ブリッジで会話するマッコイと艦長。

マッコイ「あちらさんも…まさかこっちに空母があるなんて思ってもみなかっただろうし、こっちにだってP4に潜水艦まであるなんて思ってなかった。」
マッコイ「分かってりゃミサイル撃つ前に仕留められたのに…。」

00艦長「どっちにしろ、引き金は引かれちまったわけか…。」

マッコイ「艦長、発進準備を急いでくれ。サキも…もう待っちゃおれまい…。」

眼下に広がる甲板では慌ただしく艦載機の発艦準備が行われている。


~エリア88~

ラウンデル「Attention!!」

ブリーフィングルームにパイロット達が集められた。

ミッキー「サキ!いよいよ出撃か!?」

サキ「落ち着けミッキー。ラウンデル、映してくれ。」

ラウンデル「はっ。」カシャ

ラウンデルは映写機である機体の全体図を見せる。

一同「「「!!!」」」

シン「こ…これは…!」

サキ「アメリカ空軍が開発した最新の大型爆撃機「オールド・ドッグ」だ。」

一同「「「オールド・ドッグ?」」」

サキ「ここから先の説明はチャーリーに代わる。」

シン「何故チャーリーなんだ?」

サキ「それは彼の話を聞けば分かる。では頼むぞ。」

チャーリー「よし、みんな聞いてくれ。」

チャーリーが檀上に上がる。

チャーリー「一言断っておくが、こいつはB-52だがB-52に非ずだ。羊の皮を被った化け物だと思っとけ。」

ウォーレン「B-52!?こいつが!?」

バクシー「バカな!こんなB-52が何処にいるってんだ!?」

チャーリー「よーく見比べてくれ。」カシャ

オールド・ドッグと通常のB-52の比較図が映し出される。

ケン「ん~~~?」

グレッグ「確かに似ているな…。」

ミッキー「ダンデム式のギアにアウトリガー、8つのエンジン…間違いない、B-52だ。」

シン「あれは…可変ノーズか。」

キム「V字尾翼にミサイルランチャー…凄い。まるで最新技術を詰め込んだソーセージみたいだ。」

チャーリー「それと…もう1つ。」カシャッ

今度はスクリーンにある機体が映しだされる。

一同「「「!!!」」」

ウォーレン「こ…こいつは…!?」

グレッグ「…ヴァルキリーか…!?」

サキ「XB-70ヴァルキリー、マッハ3を超える超音速戦略爆撃機だ。この2機がアスランに飛来していることが分かった。」

ミッキー「何だって!?」

ケン「何だよ、ただの爆撃機じゃないか。戦闘機に敵うわけが…」

サキ「以前の作戦でオールドドッグを相手したMiG-31 12機はこいつに一度も致命的なダメージを与えられないまま撃墜された。」

バクシー「ファッ!?」

チャーリー「俺が再びここに来た目的はこの戦争を終わらせるためじゃない…この難攻不落の要塞を叩き落とすためだ。」

サキ「ふん、合理主義国家のアメリカが考えそうなことだ。そうでもなければ堕天使なんかを俺達に寄こさないと思っていた。」

チャーリー「そういうことだこいつ等を倒さない限りP4は侵攻を止めない。この2機だけで小国なんぞ簡単に落とせる。」

ミッキー「…………。」

チャーリー「…だがこれだけは言っておく。俺はこれを落とすために戦争をやりに来たんじゃない。戦争をやるためにこれを落としに来た…それだけだ。」

ラウンデル「信用していいのかね?」



チャーリー「不死鳥に二言はない。」



一同「「「…………。」」」


???「いいさ…ついでだ。」

一同「「「!!」」」

ミッキー「シン!」

シン「向こうに何が付こうが俺達は勝たなきゃいけないんだろう?だったらみんなまとめて相手するだけだ。」

グレッグ「バカな!分が悪すぎる!」

シン「分の悪い喧嘩なんかとっくの昔からやってきた…もう1回やってもいいだろう…。」

一同「「「…………。」」」

真紅「さっきまで神崎を殺すと言っていたのにもう怖気づいたの?」

真紅が不機嫌な顔をしながら言った。

シン「そういう訳ではないけど…。」

真紅「でもどうするの?この情報、買ってもらうつもりだったのだけれど、肝心の依頼主が死んだら不要なのだわ。」

サキ「情報?」

蒼星石「爆撃機の所属基地が分かったんですよ。」

翠星石「それでそこのカラ…」

水銀燈「…………」ゴゴゴゴゴゴ…

翠星石「…す、水銀燈に状況を調べてもらったんですけど。い…今ならこの2機はイファの基地に駐機されているから出撃するのは組織のB-52だけらしいですよ…。」ビクビク…

サキ「つまり、そこに我々で攻撃を仕掛けに突っ込むということだな。」

水銀燈「ま、作戦なんて呼べる代物でもないけどねぇ。上手くいけば連中の奥の手は封じることが出来るけど。」

チャーリー「政府軍の攻撃からは逃げられなくなるな。」

金糸雀「おまけにもしあの2機を撃墜出来なければタンドリア侵攻は止められないどころかこっちが全滅しかねないかしら。」

サキ「面白い案だと思うが、参加する人間はいないだろう。全滅するかもしれない作戦のために払う報酬もないからな。」

グエン「いらねぇよ。」

サキ「!」

グエン「死に場所を探してる男にゃ、墓立ててくれるやつもいやしねぇ。」

キャンベル「地獄へ行くのに持参金持ってくバカはいねぇぜよ!」

サキ「傭兵が金はいらないと?では何が望みなんだ?」

ミッキー「言わないと信用出来ないかい?」

サキ「もちろん。」

ミッキー「しょうがねえじゃん?このままおさらばしたんじゃ、あんたの最期が見れねぇもんな!」

サキ「…まだ根に持っていたのか?それはいいが見物料は高くつく。お前達の命で払ってもらうぞ?」

ケン「そうだな、妥当な線だ。」

ウォーレン「いいでしょう、参加します。」

ヘアバンド「俺もだ。」

マロリー「俺もな。」

傭兵達「俺も!」「俺もだ!」「参加するぜ!」「喜んで!」「やぁってやるぜ!」

蒼星石「というわけで、全員参加です!」

グレッグ「俺ぁまだあの世に行ったことが無ぇからよ。サキ、しっかり道案内を頼むぜ。」

金糸雀「本当にここは物好きが多いかしら。」

雛苺「わ~い!みんなでお出かけお出かけ!」

翠星石「チビイチゴ、せめて出撃って言うですぅ。」

セイレーン「まあまあ、この基地に真面目なやつなんていないし、ふざけてるくらいが丁度いいんじゃないの?」

金糸雀「作戦はもう考えてあるかしら!」

サキ「ほう…かなり自信があるようだな?」

ラウンデル「お嬢様と徹夜して考えました。」

一同「「「…………。」」」

サキ「………ご苦労、聞かせてもらおうか。」

金糸雀「作戦はこうかしら!」
金糸雀「まず戦略爆撃編隊を雛苺のMiG-31と薔薇水晶のF-200で超音速攻撃。これで爆撃機の大半は飛行不能になるかしら。」

ラウンデル「その残りをタンゴチームが左側から叩き、その後駐機されているか飛び立った直後のオールドドッグとヴァルキリーを残りの部隊で攻撃するという作戦です。」

ガチャ!

通信兵B「カナリア副司令!マッコイからです!」

金糸雀「ご苦労…マッコイ?補充機は?」

マッコイ『おう、今発進させてるとこだ。A-4が18機にF-5が22機、クフィルが12機、F-18が16機、F-15が8機、A-10、F-14がそれぞれ2機ずつだ。』

サキ「」ガタッ

傭兵達「「「」」」

金糸雀「ご苦労様かしら。支払いは全部サキが出世払いでするって。」

サキ「ちょ」

マッコイ『毎度ー!』

ガチャ

サキ「…………。」

金糸雀「サキ、私達の司令官は貴方かしら。さ、命令を。」

サキ「………分かった…。」グッ…



サキ「エリア88外人部隊はこれよりプロジェクト4に攻撃を開始する!」

サキ「銭勘定も出来ん阿呆共、ついて来いッ!!」ブワッ



傭兵達「「「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」」」



ミッキー「なんかサキのやつ泣いてないか?」

真紅「きっと嬉し泣きなのよ…。」

シン「…………。」

保守m(__)m

お久しぶりです。
国公立前期試験も終わり、自分は進学先が確定しました。これで安心して投下を再開できます。
>>374保守までしていただいているとは思いませんでした。ありがとうございます。

と言うわけで、これより投下を再開します。

整備兵A「コンプレッサー始動!」バン!

コココココココ…

整備兵B「電源車接続!送電開始!」

ミッキー「エンジンスタート!」

ドゴオオオオオオオオオ…

ケン「Power combat MAX!コントロール!離陸するぜ!止めるなら今のうちだぞ!」

管制『止めやしねぇよ!さっさと行きやがれ!後ろがつっかえてんだ!コケやがると承知しねえぞ!』

ミッキー「シン!シンク!Good Luck!」

シン「Good Luck!」

キイイイイイイイイイイイン!

翠星石「タンゴリーダーより各機へ!さっさと上がらんと吹っ飛ばすですよ!」

一同「「「イエッサー!」」」

グオオオオオオォォォォォォォ…


MISSION116 帰投無き出撃

管制官A「タンゴチーム、予定位置に到達しました。」

サキ「よし、シャドウセクションを発進させろ。」

管制官B「はい。」

管制官は無線でMiG-31とF-200に呼びかける。

管制『シャドウセクション!直ちに発進せよ!』

雛苺「らじゃーなの!」

薔薇水晶「了解。」

┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨!!

整備兵C「ぐおおおおおおおお…!」

整備兵D「相変わらずあのイカ共の騒音は激しいな!」

整備兵E「え!?何てった!?」

整備兵F「このくっそやかましいエンジン音だけはF-14も真っ青だぜ!」

グオオオオオオオォォォォォォ…

ゴォォォォォォ…

薔薇水晶『シャドウ1よりタンゴリーダー。西南西の方向ポイント15より大型機進行中、約20機。ダンドリア爆撃のB-52編隊の可能性大。』

ミッキー「タンゴリーダー了解!編隊援護機はいるか!?」

薔薇水晶『現在までに編隊の10マイル圏内に45機。そのうち5マイル以内は20機、爆撃機編隊の直衛機と思われます。』

ミッキー「了解!」

翠星石「こっちのレーダーでも確認したですよ!」

薔薇水晶『シャドウセクション、これより極音速飛行に入ります。一切の通信を遮断します。』

ミッキー「タンゴリーダー了解!Good Luck!」

薔薇水晶『Good Luck。』

ミッキー「タンゴリーダーより全編隊!聞いた通りだ!爆撃機多数に小物も多数だ!的の取り合いで喧嘩すんなよ!」

一同「「「Yeah!! Commander!!」」」

キィィィィィィィィン…

薔薇水晶「目標補足、あと7秒で接触します。」

雛苺『了解なのー!』

2機は極音速状態で敵爆撃編隊へ突入する。

ドギャアアアアアアアアアア!

そして次の瞬間、衝撃波に巻き込まれたB-52は、

ギギギギギ…メリメリメリ…

鈍い金属音を立てながら変形し、

バキバキバキ…ズバァ!

発砲スチロールが割れるかのごとく機体は爆砕した。

ズドオオオオオオオン!ボボオオオオオオオオオン!ドゴオオオオオオン!

翠星石「チビ苺たちやったようですね!」

他の編隊からはその様子が赤い光となって見てとれた。

ミッキー「リーダーより各機へ!5時方向目標発見!乱気流に注意しろ!」

混沌とした空に彼らは近付く。

ミッキー「Combat Open!ブッ叩け!」

バシュウウウウゥゥゥゥゥゥ…

JA37ビゲンからサイドワインダー2発が発射され、残ったB-52を狙う。

ズドオオオオオォォォォォォン…

翠星石「ひゃっほーう!撃墜第1号ですぅ!」

ババババババババババ!

翠星石「おっと!」グイ

B-52の尾部に装備されているM61 20mmガトリング砲が火を吹くが、JA37は軽快な動きで避ける

チャーリー「落ちろ!」バシュゥゥゥゥゥ…

ズドオオオオオオオオン!

敵リーダー機『3番機被弾!』

ミッキー「七面鳥撃ちだぜこりゃ!」

薔薇水晶『直衛機が接近しています。6機、距離2マイル。』

翠星石「2マイル?」キョロキョロ

翠星石は月の明りで影となった6機が近づいてくるのが見えた。

翠星石「来たですよ!10時方向!」

ミッキー「お出でなすったか!」

セラ「2人はそのまま爆撃機への攻撃を続行して!小物はあたしが引き受けるわ!」

ミッキー「ケン!セラのフォローに入れ!」

ケン「ヤー!」

キィィィィィィィン…

P4兵士A「けっ!たった2機で…血祭りに上げてやれ!」

MiG-21の編隊は真っ直ぐF-104とクフィルに向かって行く。

セラ「あんた達には2機でも多いくらいよぉ!ねえ、ケン!」

ケン「じゃあ外で見てようか?」

そう言うとケンのクフィルはコースを外れていく。

セラ「何よ!薄情ね…!」

とっさに正面から迫るサイドワインダーを避けた。

セラ「あん、せっかちねぇ!」グッ

ババババババ!ズドオオオオォォォォォォ…

セラ「あたしはセイレーン…ラインの船乗りをあの世に引き込むサイレンの魔女。そして88の守り神よ!」

ケン「あ~怖え怖え!あんなのよく嫁さんにする気になるよな、ミッキーは…。」

同じ頃、シンが率いる00セクションと水銀燈が率いるローズセクションはイファの飛行場へ向かっていた。

シン「タンゴセクションは既に爆撃隊の攻撃に入っている!キム、左を確保しろ!」

キム「ヤー!」

水銀燈「オールド・ドッグとヴァルキリーの攻撃はあたし達がやるわ!他は基地周辺をお願いよぉ!」

一同「「「ラジャー!!」」」

目標まで20kmの距離に近付いた頃、イファのP4基地では…

イファ管制『南側より戦闘機多数侵入!インターセプター発進!』

管制塔からの指示で迎撃機のMiG-21編隊が離陸する。

ウォーレン「シン!敵さんも感づいたようだぜ!」

シン「リーダーより編隊全機!Good Luck!!」

編隊全機は散開し、シン達00セクションは上がってきた迎撃機の排除を、その他の編隊は基地の爆撃を開始する。

P4兵士B「う、うわあ…!」

ズドオオオオォォォォォォォン…

X-29から放たれたサイドワインダーが後部に直撃し、MiG-21は爆散する。

シン「真紅!そっちはどうだ!?」

真紅「ブラウンセクションがマーチンを除いて全滅。対空火器の半数は破壊したけれど損害はまだ20%という所ね。繰り返しあと3回は攻撃しないと陥落出来ないのだわ。」

迎撃機を粗方片付けた00セクションはオールド・ドッグとヴァルキリーの捜索に当たっていた。

シン「ヤツは…何処だ…!?」

真紅「何処にもいないわ。」

キム「既に飛び立ってしまったんでしょうか?」

ウォーレン「だとすればまだそんなに遠くには行っていないはずだ。どうする、追うか?」

シン「いや、俺達は迎撃機の相手をしよう。サキからの情報によれば機体は対サーチライト用の特殊塗料で夜は視認出来ないそうだ。」

真紅「今からでは発見は無理でしょう。あの化け物と戦う機会はまだあるのだわ。」

シン「そうだな…よし!編隊を再編成、一旦基地に戻って補給してから再度出撃する!」

一同「「「ラジャー!!」」」

それから27時間後、エリア88の連続出撃で死者11人、重軽傷27人を出した末に、イファの空軍基地は陥落した。

今回はここまでです。
皆さんにはご迷惑をお掛けしてしまい、申し訳なく思っています。
今年こそは、このSSで良いラストを迎えられるよう頑張ってまいりますのでどうぞよろしくお願いします。

これより投下を開始する!

管制『タンゴチーム、戻りました!』

ミッキーがリーダーを務めるタンゴセクションが戻ってきた。

ミッキー「被害の多い機体を優先する!その後はパープル、オレンジ、ブラックの各セクションごとに着陸しろ!」

一同「「「了解!!」」」

翠星石「セラ!大丈夫ですか!?」

セラ「ええ…あたしは大丈夫よ!」

それからミッキーのF-14は最後に着陸し、ハンガーへ誘導された。


MISSION117 女たちの本能

ミッキー「ハーディ!圧縮ポンプに弾の破片を食ってる!交換しておいてくれ!」

翠星石「ミッキー!」

翠星石が機体から降りている途中のミッキーに近寄る。

ミッキー「よおスイセイセキ、大丈夫か?」

翠星石「なあに、こんなもんアリスゲームに比べたら夕飯前ですぅ!」

ミッキー「ははは、それを言うなら朝飯前だろ?」

翠星石「そうとも言うです!」

ミッキー「ま、元気そうだからいいけど…あんま根気詰めてやると疲れるぜ。」

翠星石「そうです…ね…。」

彼女の中では、主従や親友という枠を越えた不思議な気持ちが宿っていた。

翠星石「ミッキー!あの…その…」

ミッキー「何だ?」

翠星石「ミッキーも…お前も…」



翠星石「…あんまり無理すると…身体に障る…です…か…ら…///」



ミッキー「え?何?」

翠星石「ななな、何でもねーです!こっちのことですから…///」

と、自分が言おうとしたことに恥ずかしくなる翠星石。

翠星石「ん?」

廊下の奥の部屋の前で何やら人だかりができている。そこは医務室、丁度セラが診察を受けている頃だった。

ミッキー「あっ!」

翠星石「てめーら何やってるですか!」

傭兵A「げぇっ!翠星石!」

傭兵B「わっ、ミッキーもだ!」

傭兵C「亭主と娘が来た!」

傭兵達は鍵穴から離れ、走って逃げていく。

ミッキー「ったくもう、あのスケベ共が!」ガチャ

セラ「見たいっていうんなら見せてやるわよ。」チラッ

セラはさっきまで覗いていた連中を挑発するかのようにスカートをめくる。

ミッキー「先生…。」

医師「ももに破片が刺さっただけだ。傷も残らんよ。」

ミッキー「そうか…。」ホッ

翠星石「ミッキーはセラの事になると大げさになるですからね。」

思わず失笑するセラと翠星石。

ミッキー「セラ…サキに言うよ、お前を出撃メンバーから外してくれって。」

翠星石「ミッキー!」

セラ「そんな事したら結婚なんかしてやんない!一生、あんたを軽蔑してやるわ!」

ミッキー「セラ…分かってくれ!」

セラ「分かんないわよ!」

翠星石「2人共少し黙るですよ!!」

翠星石の一声で2人は黙り込んだ。

翠星石「セラ…ミッキーはセラのことを思って…」

セラ「分かってる…ミッキーがあたしの事…心配してくれるの…でも…」

セラは重苦しそうな顔をしながら言う。

セラ「ミッキー…あたし…あんたと一緒に生きていきたい…死ぬ時も一緒がいい…もう残されて泣くのは…嫌…。」

ミッキー「セラ…。」

翠星石「…………。」

すると、セラはミッキーの顔に近寄って…



セラ「貴方を…愛しているわ…。」



2人は唇を重ねた。戦場の中で培われた愛はとても大きいものだった。

翠星石「………ッ!」

見るのに耐えかねた翠星石は走って医務室を出て行った。

ミッキー「スイセイセキ!」

セラ「…………。」

バタン

ハァ…ハァ…ハァ…

翠星石は自分でも気づかないままミッキーの部屋まで来ていた。

翠星石「………そう…ですよね…。」

翠星石は気付いた。自分は自分のマスターである人間、ミッキー・サイモンが好きなのだと。だが彼は既にセイレーン・バルナックと相思相愛の関係となっていた。

翠星石(翠星石はミッキーが好き…だからあいつがセラと結ばれるように手助けしてやらないといけないです…)ジワ…

ミッキーのベッドによじ登り、涙を堪えるようにシーツに顔をうずめる。

翠星石(翠星石は天使…あの2人を結びつけるキューピット…戦争が終わるまで2人を守るのが翠星石の役目……でも…)



翠星石「それが一番悲しい…。」


神崎「援助を断るだと!?バカな!誰の為にやってる戦争だと思っている!」

神崎は、アスラン宮殿でP4を援助している企業の会長と話し合っていた。

会長「1週間でスエズを確保すると言ったのは君だ…期限まで残り2日しか無いのだぞ?なのに部隊はタンドリアの台地で釘付けになったままではないか。」

神崎「思わぬ邪魔が入っているだけだ。連中もそう長くない…相当の損害を出している。ここでもう一押しすれば潰せる!」

会長「その一押しの保証が欲しいのだよ。」

神崎「どういう事だ?」

会長「この数年間、君のプロジェクトを援助してきた我々の団体だが…組織幹部の中で計画の見直しをという声が高まっている。サトル…もう時代が変化してきている、戦争によって多量の利益を上げようとする考え方は古くなってきたんだ。」

神崎「人類が存在する限り戦争は無くならん!1番確実な投資だ!」

会長「コントロールするのが難しい。」

神崎「!」

会長「戦いは人間の業で避けられないとしても、戦いによって人の心が変わるのがまずい。」

神崎もこれには同意せざるを得ない。事実、彼は何度もシンを殺したいと思っていたがいざ彼を前にしてみると行動出来なくなってしまった。

会長「現在、ヨーロッパを中心に大がかりな経済圧力をかけてきている団体がある。君も聞き覚えがあると思うよ…ツグモ・グループ。」

神崎「涼子が…!?」

会長「そう、リーダーは若くて美しい日本人女性だ。ヨーロッパの婦人連盟と手を組んでその活動はアメリカにもおよび始めている…。」

神崎「たかが女だ!」



「たかが女…ね…その考え方がもう古いのよ、人間。」



神崎「ッ、誰だ!?」

観葉植物の陰から彼女は出てきた。

水銀燈「私はローゼンメイデンの第1ドール…名は水銀燈。あんたの雪華綺晶の姉と言った所かしらね…。」

神崎「ほう…あの人形の姉が何の用だ?」

水銀燈「偵察に来たつもりだけれど、さっきから聞いていれば好き放題言ってるようで…。たかが女かもしれないけど…されど女なのよ。」

神崎「人形風情が何を…。」

水銀燈「世界人口の半分以上が女だという事を忘れたら大変なことになってるわよ。まして女は男なんかと違って人種、国境、主義、思想を別にして共通の信念を持っている…。」

神崎「何だ、それは?」

水銀燈「子供を産み…育てるという事…こればっかりはあんた達男が逆立ちしたって出来ることじゃないわ。」

神崎「女共の出産と我々の戦争とどう関係があるんだ?」

水銀燈「まだ分からないの?女は子供を産むという行為に対して東も西も関係ない、あんた達みたいな捻くれた人間のように難しい理屈をこねたスローガンはいらない。リョーコのこういう言葉を知っていて?」



―世界中の女性に…母に…そしてこれから母となる女性に…愛は女の本能です…―



神崎「バカ…な…!」

会長「そこの人形が言った通りだ。あと2日だ…作戦に進展が見られなかった場合、我々は援助を打ち切る。覚えておいてくれ。」

そう言って、会長は部屋を出て行った。

水銀燈「さぁてと…私もそろそろ邪魔させていただこうかしら…。」

神崎「貴様…88の人間か?」

水銀燈「ええ、これから貴方を潰す計画を練ってくるから覚悟しておくことねぇ。」

水銀燈は鏡に足を入れる。

水銀燈「ああ、最後に1つだけ言わせてもらうわ。」



水銀燈「女の本能と愛を侮ったら…死ぬわよぉ。」



スッ

そして彼女は鏡の奥へと消えていった。

神崎「愛…だと…?」



神崎「笑わせるなッ!!愛なぞ役に立つものか!俺の前で…俺の前で、その言葉を二度と口にするなッ!!」


今日はここまで

これより投下を開始します。

戦いが行われているのは戦場や空だけではない。管制室では…

金糸雀「ラウンデル!補給はどうなっているかしら!?」

ラウンデル「弾薬が残り少なくなってきています!」

サキ「こっちが苦しい時は敵も苦しい!気を抜かずに攻撃するぞ!」

管制室の一同が全力で自分の仕事をこなしていた。

金糸雀「タンドリア侵攻も88の攻撃で思うようにはいかないはず、現にP4の地上部隊は台地に釘付けかしら。」

ラウンデル「そろそろ本気でここを叩きに来るでしょうな…。」

サキ「正念場だな…。」


MISSION118 漆黒のライオン

マック「バカな!!正気ですか!?」

神崎「いたって正気さ…。」

司令官室にはマックとパイロットスーツに着替えた神崎がいた。

神崎「財団があと2日でタンドリアを落とせない場合は資金援助を打ち切ると言ってきた…。」

マック「だからといって何も貴方が…!」

神崎「88には相当手こずってるようじゃないか、マック?」

マック「ええ、確かに…しかし連中もそう長くは持ちません。」

神崎「私もそう思う…おそらく今が持てる戦力の全てを投入しての戦闘だと思う。あと4日も長引けば連中の戦力は続かなくなるだろう。」

マック「そこまで分かっていながら何故財団を説得できなかったんです!?」

神崎「現場と場外の考え方の違いだな…仮に私がヨーロッパのオフィスで指揮を執っていたら同じことを言ったよ…。」

マック「…2日間で勝負をお付けに?」

神崎「そうだ…条件は同じ。我々も88の連中も時間が無い…なかなかいい勝負になると思うよ、マック。」

首都空港のエプロンに1機、漆黒のF-18が駐機されていた。垂直尾翼には羽根の生えたライオンが描かれている。

マック「貴方が元パイロットだった事は知っています…しかし民間機だ。戦闘機は同じ飛行機でも別物と考えていい…。」

神崎「では、腕を試してみるかね?」

マック「総司令の腕を試すなんて大それた考えはありませんが…指揮者を失って後で後悔するよりは…。」

神崎「ふふふ…君らしい意見だ。」

キイイイイイイイイイイイイイン!!

2機はエンジンを始動させる。

マック「いいですか!1度でも私に後ろを取られたら諦めてもらいます!」

神崎「いいとも。しかし、私が1度でも君のバックを取ったら大人しく認めてもらうことにする。約束だよ、マック。」

マック「コントロール!飛行場の上空1000mから6000mまで半径10km以内は30分間誰も近づけるな!」

管制『了解!』

マック「行きますよ、司令!」

神崎「OK、マック。」

2機は離陸後、高度5000mに向かって上昇していく。

マック「そのまま上昇して下さい!5000mで左右に分かれて空戦を開始します!」

神崎「了解!」

その後、2人は左右に分かれてドッグファイトを開始する。

マック(なかなか動きは速いな…)

神崎「どうした、マック?ホーネットとミグじゃハンデがありすぎるか?」

マック「キャリアがありますからね…では、行きます!」

マックのMiG-21はタイミングを見計らってF-18の後ろを取ろうとする。

神崎「そうら、振り切るぞ!」

神崎はスロットルを全開にし、降下しながらMiG-21を振り切ろうとした。

神崎「どうだ…付いて来れまい…」

急に暗くなったので上を見ると、そこにはマックのMiG-21が見下ろす形でいた。

マック「馬力のある機体で振り切る時は上昇しないと…降下なら私のこの機でも付いて行けます。じゃあ、後ろに付かせてもらいます!」

すると、F-18はハイGターンで急に軌道を変える。

マック「無駄ですよ!悪いけど諦めて下さい!総司令!」

マックは後ろに付いてさっさと終わらせようと安易に思っていた。

マック「ん…?」

彼は周りを見渡すが、何処にも神崎の漆黒のF-18はいなかった。

マック(バカな…見失った?何てこった、どうかしてる!)

神崎「やれやれ…君もミスをする事があるようだね…」

マック「何処です…何処にいるんです!?」

グオッ

神崎「やあ、マック!」

気付いた時、彼は下にいた

マック(何時の間に…下に…!)

マック「…いいでしょう…油断したとはいえ、約束は約束です。」

神崎「ありがとう、マック…。」

マック「じゃあ、とにかく降りましょう。話はそれからです。」

神崎「少し寄り道していこうか…。」

マック「寄り道…何処へ?」

神崎「88に…ね。」

管制官A「敵機接近!2機です!」

レーダーで敵機を感知した。

ミッキー「うわあ!俺のF-14はまだ整備中だぁ!」

シン「任せろミッキー!俺が上がる!ウォーレン、蒼星石、来い!」

ウォーレン「よっしゃ!」

蒼星石「はい!」



ゴォォォォォォォ…

マック「死ぬつもりですか?」

神崎「まさか…。」

彼は余裕の笑みを浮かべながら88に近付く。

キィィィィィィィン…

エプロンではX-29、クフィル、F-15Nの発信準備が完了していた。

整備兵A「アイドリングチェックは終了してます!各部ラフチェックも完了!」

シン「Thanks!」

管制『こちらコントロール!敵、20kmに接近!』

シン「チッ!間合いはギリギリだな…ウォーレン!蒼星石!離陸上昇で優位体勢を取る事は叶わん!出会いがしらだ、気を抜くな!」

ウォーレン「あいよ!」

蒼星石「イエッサー!」

3機はシンを先頭にデルタ編隊を組んで離陸する。

シン「見えた!3秒ですれ違うぞ!」

5機は互いに至近距離ですれ違った。


キュンッ!



シン「!」



神崎「やはりいたか…真…。とうとう来たな…再び中東に…。」



グオオオオオオォォォォォォォ…

神崎「帰るぞ、マック!用は済んだ!」

マック「え!し、しかし…」チラ…

マックはふと下を見下ろした。そこには…

マック(セラ…!)

F-104に乗って出撃しようとしていたセラの姿があった。

管制「敵、離脱します!」

金糸雀「な…何なの一体…?」

サキ「強行偵察にしてもえらく荒っぽいな…。」

ラウンデル「何を考えてんでしょうな、まったく…。」

キィィィィィィン…

神崎「くっくっく…ふぅーっははははははははは!!」

マック「?」

神崎「賭けだった…あの時、東京でお前に会ったのは…」



そしてお前は…俺を殺せなかったばかりか…涼子とも離れてこの中東に再び戻ってきた…



神崎「愛なぞ所詮幻想だ…男を支えるのは女の優しさや肉体ではない!野望と闘志だ!」

マック「総司令…。」

神崎「マック、見たろ?あの男は最も愛する女と国を捨てて俺と戦うためにまた戦場に身を投じてきた…己の愛が絶対的なものならこの中東での戦なぞ高みの見物を決め込んでいられたものを…。」



神崎「真…バカな奴!」


一方エプロンでは…

セラ「…………。」

ミッキー「セラ!」

ミッキーが翠星石を腕に乗せて走ってきた。

翠星石「いまのミグ…マックですね?」

セラは静かに頷いた。

翠星石(ミッキーもセラも死なせたくない…でもマックには子供が…)

彼女は考えた。どうにかして彼らの悲劇を回避出来ないかと。そして彼女はある1つの方法に達した。

翠星石「………じじい。」

マッコイ「あん?」

じじいと呼ばれたことに多少の不快感を持つが彼は応える。

翠星石「ミリアム・マックバーン…って女の子の情報を集めてほしいです、なるべく早く。」

マッコイ「おいおい、ワシは情報屋とは違うんだが…」

翠星石「お願いです…早くしないとあの男は…。」

ミッキー「お前…まさか…!?」

彼女は覚悟を決めた顔をしていた。



翠星石「あいつの戦う理由を無くしてやるです…!」


今日はここまで。

お待たせしました。これより投下を開始します。

エリア88では、台所事情を支える老人も戦っていた。

シン「爺さん。スパローを10発リザーブしておいてくれ。」

シンが腕に真紅を乗せてやってきた。

マッコイ「あいよシン、シンク。随分遅くまでせいが出るね…。」

真紅「神崎は本気でここをやりに来るはずよ。」

マッコイ「そうかい、そりゃ良かった。やっとその気になったかね…。ここは何時だって本気だからね。ビビらねえよ!」

シン「ははっ、爺さんらしいや。」

真紅「頼りにしているわ。」

マッコイ「任しときな!」



マッコイ(おーーっ、怖ぇ怖ぇ…)



MISSION119 GOOD LUCK

マック「48時間の猶予なんて無茶です!!」

アスラン宮殿の執務室で、マックは吠えていた。

マック「先頭部隊は既にスエズ対岸に達しているんです!タンドリアの首都マイロまではもう目と鼻の先なのに!あと一押しですよ!?」

神崎「総司令命令だぞ、マック…。」

マック「………分かりました。」

神崎「航空兵力を全てエリア88攻撃に切り替える!48時間以内に落とすぞ!」

マック「!…それで…?」

エリア88では、サキ、金糸雀、ラウンデルの3人が傍受したP4司令部とタンドリア政府の通信を聞いていた。

ガシャ…

サキ「ふん…どういうつもりだ?」

金糸雀「マイロを目前にしながら降伏交渉かしら…。」

ラウンデル「補給が追っ付かなくなりましたかね…?」

サキ「……いや…連中はいよいよこっちをやる気だろう…。」

金糸雀「スエズ侵攻を終えてから私達を相手にするつもりだったのが意外に邪魔者だから先に片付けた方が早いと判断したと見えるかしら。」

ラウンデル「では…。」

サキ「望むところだ。長引けばこちらもただでは済まん…。」

ラウンデル「サキ様…。」

金糸雀「総員戦闘配置よ!」

ヴーッ!ヴーッ!

『各員伝達!攻撃飛行隊員は全員第1ホールに集合せよ!繰り返す…』

「行こうぜ。」「おう。」「来たか。」ガヤガヤ…

パイロット達は揃って第1ホールに向かった。

マッコイ(いよいよか…)

キィィィィィィイイイイイイイイイン!!

P4の基地でも出撃準備が整いつつあった。

P4兵士A「司令!各隊とも発進用意よし!」

マック「うむ…。」

マックはマイクを手に全機に指示を出す。

マック「マックバーンだ。多くは言わん、徹底的にやれ!何もかも灰にしろ!」

『発進せよ!目標、エリア88!』

首都の飛行場からMiG-21数十機が離陸していった。

整備兵A「回せーッ!」

キィィィイイイイイイイイン!!

エリア88では出撃準備が進められていた。

セラ「どう?おニューのルージュ降ろしたの。」

キム「余裕ですねおねーさん…。」

鏡越しに覗き込むキムの方を向いて自慢するセラ。

セラ「さてと、お出かけお出かけ♪」

キム「出撃と言いなさい!緊張感の無い!」

気分が高揚しているセラはスキップしながら乗機のF-104へ向かおうとしたが…

キム「口紅付けて腰振ったって敵は寄ってこないよっ!」

セラ「お言いだね…キム…!」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…

「何さ!あんたなんかまだ尻が青いくせに…」

「色気ババァ…」

ケン「ま~たやってら、あの2人…。」

グレッグ「飽きねーな。」

ケンとグレッグは2人の様子を呆れるように見ていた。

ケン「グレッグ、ここ終わったらどーするよ?」

グレッグ「ん?そうだな…デンマークへ帰って海の近くに家買って…毎日釣りでもしながらバイオリンのレコードでも聴くさ…。」

整備兵B「グレッグ大尉!コンプレッサーの調子が悪くて圧力が上がりません!」

グレッグ「何だとぉ!?いざって時になってへそ曲げやがって!」

ケン「A-10はでかいからな。今日は諦めな。」

グレッグ「るせー!」

『コントロールより!全機発進せよ!』

整備兵C「グランドチェックは終了!」

シン「ご苦労!」

ミッキー「ブルーリーダー、ミッキーだ!何色から出るんだ!?」

管制『爆撃担当のイエローとアンバーが先に出る!ブルーとパープルは後だ!』

ミッキー「ちょ…なら急がせんなよ!」

『イエローセクション発進せよ!』

A-4で編成されるイエローセクション爆撃編隊が離陸を開始した。

カシム「アンバーセクション、カシムだ!野郎共、気ぃ締めて行け!」

グオオオオオォォォォォォォ…


同時刻、CST:アメリカ中部標準時07:00、某州バシャール医科大学病院…

ガヤガヤ…

その3階…病室区画の137号室に2つの鞄が届けられた。

看護士A「その鞄は?」

看護士B「ええ、今日この子の親族から送られてきたの。一緒にいさせてやってください…と手紙には書かれていたわ。」

看護士A「一緒に?人形か何かなの?」

看護士B「そう、それもすごく精巧な…。」ガチャ

看護士は中から人形を取り出した。1体は深緑のロングスカートのエプロンドレスに白い三角巾のようなヘッドドレス、もう1体はシルクハットに袖口の長い白いブラウス、青いケープとニッカーボッカー風の半ズボンという服装。どちらもオッドアイだ。

看護士A「あら…綺麗な人形ね…。」

看護士B「一応検査では異常が無かったから担当の先生から許可は出ているけど…。」

看護士A「けど…何?」

看護士B「あまりにも精巧過ぎて逆に気味が悪いわ…まるですぐにでも動きだしそうな…。」

看護士A「そんな…ファンタジー小説の読み過ぎじゃないの?」

看護士B「それもそうね…。」

2人は2体の人形をチェストの上に置いた。

看護士A「この子…2年にもなるけどまだ目が覚めないのね…。」

看護士B「そう…母親が麻薬中毒で産んですぐに死んだそうよ。」

看護士A「父親は?」

看護士B「治療費を稼ぐために外国で働いているらしいわ。」

看護士A「どっちも必死ね…この子も…父親も…」

そう言いながら看護士たちは出て行った。

???「………行ったですか?」

???「……そうらしいよ、翠星石。」

2体の人形は起き上がると、すぐにベッドで寝ている女の子に近付く。

翠星石「この子が…ミリアム…。」

蒼星石「かなり痩せているね…。」

ベッドのすぐ上にある名札には「ミリアム・マックバーン」と名前があった。

翠星石「父親が必死で戦っているのに、幸せそうな顔をしてこいつは…。」

蒼星石「止めなよ、翠星石。さっき看護士さんが言ってただろう?この子も戦っているんだ…必死に…生きたい…って。」

翠星石「……そうでしたね…。」

翠星石は昏睡状態にある彼女の頭に手をかざし、彼女の夢の扉を開いた。

蒼星石「キム君やミッキーさんがいない僕達に与えられた時間はわずか…分かっているよね?」

翠星石「勿論です。中にいる『何か』を倒さなくても追い出せば元に戻るはず…。」

2人は鞄からそれぞれ金の如雨露と金の鋏を取り出す。

蒼星石「それじゃあ…!」

翠星石「Let’s Go!です!!」

そして2人は扉の中へ入った。

今日はここまで。
大学入学後初の投下です。
心機一転、今年こそは終わらせたいと思います。

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