提督「鎮守府で麻雀が流行り過ぎた」 (290)

・艦これSS

>>1は麻雀初心者

>>1はSS初心者

・思い付きとノリで始めたので更新は遅い


それではどうぞ

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――某日 鎮守府内 提督執務室――

天龍「よっしゃあ! ツモ! 4000オール!」

長良「ひゃあ!」

球磨「やられたクマー!」

川内「ぬぅ……やったな!」

天龍「へへ……悪いなみんな」

提督「どうしてこうなった」

大淀「どうしてもこうしても提督が執務室に雀卓を持ってくるからじゃないですか」

提督「家具リストに載ってたしなぁ」

大淀「それはまぁ……そうなんですけど」

提督「誰かに教えて久しぶりに打ちたいなという軽い気持ちで置いてみたんだが……」

リーチッ!  ソレロンクマー!  ヌワッー!

提督「ここまで反響があるとは……」

大淀「最近は駆逐艦同士でも卓を囲んでいますからね。
もうこの鎮守府で麻雀のルールを知らない方が少数派かもしれません」

大淀「それに個人的に雀卓と雀牌を購入した艦娘までいるようですよ」

提督「いろんな子と打てるのは麻雀好きとして嬉しい限りなんだがな」

大淀「ええ、私も反対はしません。命の危険だってある仕事ですから
   夢中になれる娯楽が増えることはむしろ望ましいことです。ただ……」

提督「『夢中になり過ぎている』か?」

大淀「……はい。夜通しで麻雀を打つ艦娘が増えてきたように感じます。
   コンディションは本人たちに任せているとはいえさすがに心配です。それに……」

提督「それに?」

大淀「これは噂に過ぎませんが、一部の艦娘の間では度を超した『賭け麻雀』が横行しているとか」

提督「…………何?」

大淀「あ、いえ、あくまでも噂に過ぎません。それにこういった流行は無かった
   訳ではありませんから杞憂だと思うのですけど……何か妙な胸騒ぎがして……」

提督「…………」

大淀「フフッ、すみません提督。考えすぎですよね」

提督「…………」

大淀「提督?」

提督「……もしかしたら憑かれてしまったのかもしれないな」

大淀「はい?」

提督「大淀。お前はどのくらい麻雀を打ったことがある?」

大淀「え、ええと。たまに面子が足りないから入ってくれと頼まれて数回ほど」

提督「その時々のお前の結果は?」

大淀「全然駄目でした。どれも訳の分からないまま一回も和了れずに終わりました」

提督「だろうな。よほどの天才じゃない限り初心者は普通そうなる」

大淀「? あの何を仰りたいのかイマイチ……」

提督「大淀はまだ和了ったことがないから分からないだろうが、
   和了るという行為はそれはそれは凄まじい幸福感が伴うものなんだ」

大淀「幸福感……ですか」

提督「ああ、それが初めての和了りだというのならなおさらだ。
   例えるならそうだな、敵の攻撃を耐えに耐えて取った初MVPってとこか?」

大淀「それなら何となく分かるかもしれません。
   レベリングとはいえ提督に取らせていただいたことがありますから」

提督「レベリングとはいってもあれはお前の実力だよ。
   ……まぁその話は置いておいてだ。MVPを取ったら大淀も嬉しくなるだろう?」

大淀「それはもちろんです」

提督「次はどう思う?」

大淀「それは次の出撃でも頑張ってMVPを取ろうって……あ」

提督「そう。頑張ってMVPを取りたくなる。つまり次も和了りたいと思うようになるんだ。
   次の局で和了れなかったらまたその次の局で、その次でも和了れなかったら次の半荘で」

大淀「悪循環ですね……」

提督「いやそういう気持ちが悪いわけじゃないさ。
   現に毎日皆は1人1人がMVPを取ろうって気持ちで出撃してくれている訳だしな」

ポンッ! ポンッ! ロン! ギャー!ワー!

提督「ただ戦いの中に身を置くお前たちにとって、その気持ちは人一倍強すぎたんだ。
   それが麻雀にも表れてきているのかもしれない」

大淀「麻雀の中に戦いを見出していると?」

提督「そうだ。今はお遊びのつもりかもしれないが徐々に歯止めが利かなくなる。
   麻雀という概念の怪物に憑りつかれ、このままでは雀卓の上が彼女たちの第二の戦場になってしまう」

大淀「そんな、大げさな……」

提督「冗談じゃない。今ではかなりイメージが改善されているが、それでも麻雀の本質は博打にある。
  『賭け麻雀』の噂など初めて聞いた。異変に気付くのが遅すぎた。……俺のミスだ」

大淀「提督……」

提督「情けない。戦うお前たちの心を正しく理解していなかった。
   ただ指示を出すだけで共に出撃している気分になるなど……」

大淀「それは違います! 提督の指示あってこその艦隊です。
   それに麻雀だってすぐ禁止にすれば……」

提督「駄目だ」

大淀「どうしてです!?」

提督「あいつらを見てみろ」

大淀「え……」

モウイッキョクヤルクマー! ビビッテンジャネーゾ! キョウモヤセンダネ! ナガラニツイテコレル?

提督「お前がそう遠くない距離で声を荒げているのにも関わらずこちらを見ようともしない。
   既に憑りつかれかかっている可能性が高い」

大淀「だったらなおさら……!」

提督「駄目なんだ。言っただろう?麻雀の本質は博打。
   しかも『賭け麻雀』をする奴らが本当に出てきているとなればこれはもう立派なギャンブル中毒。
   急に取り上げれば精神に支障をきたす子が出るかもしれない」

大淀「そんな……ではどうすれば……?」

提督「麻雀だ」

大淀「え?」

提督「まず麻雀を利用して彼女たちの目を覚まさせるショック療法を行う。
   強い刺激を与えた後に麻雀から少し遠ざけ、カウンセリングによる治療を行う。
   現状打てる手はこれしかない」

大淀「……カウンセリングは分かりました。けど麻雀を使ったショック療法とは一体……?」

提督「大会を開催し優勝賞品を出す。誰もが欲しがる一品だ。そしてそれをエサに麻雀をやる者を全員を集め、それを片っ端から叩いていく」

大淀「つまり『大会を開いて提督ご自身が優勝する』?」

提督「簡単に言えばそうだ。麻雀で起こしてしまった不始末は麻雀で片づける」

大淀「しかしそれで本当に皆が正気に戻るでしょうか?」

提督「おそらくはだ。だが何故かそう思える。大淀、協力してくれるか?」

大淀「え、ええ……、それはもちろん……。でも優勝賞品はどうするんです?」

提督「どういうことだ?」

大淀「提督は皆が欲しがると言われましたが私たちにも好みがあります。
   提督の話にはただ麻雀を打たせるだけではなく、何かを心から熱望して打つことが大事だというニュアンスを感じました。
   駆逐艦から戦艦まで皆が欲しがる賞品なんてあるのでしょうか?」

提督「…………」

大淀「提督?」

提督「あ、いや、やはり大淀はすごいな」

大淀「え?」

提督「まさにその通りだ。この後に説明しようと思ったがもう必要ないな。
   そう、今回はただの麻雀ではなく賞品を皆が求めることに意味があるんだ」

大淀「お褒めに預かり光栄です。続きをお願いします」

提督「ああ。今回出す肝心の優勝賞品だが……」

大淀「…………」

ソレロォン! ナ、ナンダッテー! アハハハハ、ヨルハコレカラダヨ!

提督「『間宮永久使用券』だ」

大淀「……………………へ?」

――――それは、提督にとっても私にとっても、長い長い闘いの始まりでした。

[鎮守府麻雀戦争] プロローグ 完  

という訳でストックが切れたので今日はここまでです。

勢いだけでこんなスレを立ててしまって本当に申し訳ない。

これからはなるべくまとめて投下したいと思っています。

では

(それと麻雀を始めるのはまだまだ先なんじゃ)

団体戦にしたらバランスよさそう
坊の岬組、西村艦隊みたいな

まーた浦風が清老頭の直撃を受けてしまうのか

>>23
黒潮「思ったより痛いんちゃうか?」
浦風「そんなん考慮しとらんよ…」

続き出来ましたのでどうぞ

注意書きの追加

・やたらと「……」が多い

・場合によってはキャラ崩壊があるかもしれない

――翌朝 鎮守府内 掲示板前――

   ざわ……     
            ざわ……


――――提督の言っていた通り、翌日の朝には既に数十人近い艦娘が

    大会の噂を聞きつけて掲示板の前に集まっていました。

那珂「鎮守府麻雀大会?」

神通「なんでも、提督ご自身が企画されたとか」

曙 「ちょ、ちょっと!優勝賞品の『間宮永久使用券』って……正気なの!?あのクソ提督!」

長門「提督も随分思い切ったことをしたものだな」

飛龍「でもこれ凄いお金がかかってるよね。どこからそんなお金出したんだろ?」

羽黒「あっ、でも提督も大会に出場するみたいですね……」

雷 「ふーん?自分は負けない自信があるってことなのかしら?」

提督「その通りだ」

全員「!?」(敬礼)

提督「雷の言った通り、俺はこの大会で負けるつもりなど毛頭ないから遠慮せず全力でぶつかってこい。

   それに今大会は日ごろのお前たちへのねぎらいも兼ねた親睦会とも位置付けている。つまり……」

ゴクリ・・・・・・

提督「優勝賞品に嘘偽りなしだ!各自、1週間後の開催までに十分腕を磨いてきて欲しい!」

ウォォォォ! キャーキャー! ワー!

提督「あー、ゴホン。だがもちろん仕事も大事だ。全員、今日も気を引き締めていこう。いいな!」

全員「はいっ!」


………………

――同日昼 鎮守府内 提督執務室――

大淀「調子はいかがですか?」

提督「上々だ。今のところ彼女たちから仕事に関して問題が出たなどの報告はない。

   仕事に支障をきたさないレベルの段階でこのことに気がつけたのはせめてもの救いか……」

大淀「いえ、それもそうですが提督ご自身のことです」

提督「不安か?」

大淀「正直に申し上げればその通りです。……重圧は感じられないのですか?」

提督「こんなことでいちいちプレッシャーを感じていたら、お前たちを海に送ることはできんよ」

大淀「…………」

提督「調子がどうであろうとも、もう皆に向かって宣言したんだ。

   既にこの話は鎮守府にいる全員に行き渡っただろう。後には引けないし、行くところまで行くしかない。
   
   俺も命をかける覚悟だよ」

大淀「そう……ですよね」

提督「なんだ、俺のことが信じられんのか?彼女たちに麻雀を教えたのは俺だぞ?
  
   そうそう遅れは取らんさ。それに万が一に備えて別の案も用意してある。――だから安心しろ」

大淀「! はい!」

提督「そうだ。そのままの笑顔でいろ。俺たちはこれ以上の困難を乗り越えて来ただろう?

   お前も大船に乗ったつもりでいいんだぞ?」


大淀「私だって立派な船ですよ、提督」

提督「ああ、そうだったな」

――――私たちは大いに笑いあいました。

    ですがどんなに笑っても私の中の不安はどうしても消えてくれませんでした。

    そしてその不安は大会当日、私の想像を遥かに超えた壁となって

    提督の前に立ちふさがることになってしまうことを

    この時の私が知るすべはありませんでした。


………………

――同日深夜 鎮守府内 提督執務室――

提督(親睦会か……)

提督(口から出まかせとはいえ言うんじゃなかった……)

提督(もし俺のせいで彼女たちに何かあったら……、何かをしてしまうようなことになったなら……)

提督(いや、弱気になるな。いっそのこと本当の親睦会にしてやるくらいの気持ちで行こう)

提督(だが……もしかしたら使わなきゃならん時が来るかもしれない……)

提督「……確認しておくか」


………………

――同時刻 鎮守府内 某所――

???1「鎮守府麻雀大会……ですか」

???2「『間宮永久使用券』だって!こりゃもう参加するしかないよね!」

???3「待って……、これはもしかして提督の罠なんじゃないかしら」

???4「why?どういうことデスか?」

???3「私たちみたいに『賭け麻雀』をしている人を炙り出すため……とか」

???4「それは考えすぎネー、仮にそうだとしてもバレなきゃ問題nothing!」

???5「その通りですよ!それにこの大会は賞品が出るんですし合法的な賭けみたいなものじゃないですか!」

???3「そうなの……かしら?」

???2「うーん、多分そうでしょ」

???1「そ、そういえば……彼女はどうしました?」

???2「そういえば今日は来てないね」

???6「彼女は来ませんよ。出撃から帰還してすぐに部屋にこもったようです」

???1「具合でも悪いのでしょうか?」

???6「いえ、おそらく楽しみなんでしょう。――提督と打てるのが」

???4「あの娘、強すぎますからネー……。この中でもまともに打ち合えるのはyouくらいしかいないんじゃないデスかー?」

???1「いえ、そんな……」

???5「謙遜しなくてもいいですよ!実力でいえば鎮守府随一じゃないですか!」

???1「いや、だから……」

???3「私たちだって、あなたに誘われて『賭け麻雀』を始めたんだから」

???1「…………」

???2「えーっと、それは置いといて、大会には私たちも参加するってことで!」

???6「異論はありません」

???4「決定ネ。今日は解散しまショウ。皆さんgoodnight」

???3「私も失礼するわ」

ゾロゾロ…… ガチャ バタンッ

???1「…………」

???7「…………」

???7(か、帰りそびれた……。どうしよう……。発言すらしてないし……!そもそも今日私がここに来る意味ってあったのかなぁ……?)

???1「…………」

???7「あ、あのぉ、では、私もこれで……」ソローリ……

???1「ま、待って!」

???7「ふわぁっ!?」

???1「あ……、いいえなんでもないの、ごめんなさいね。……おやすみなさい」

???7「? おやすみなさい……失礼しました……」

ギィ……バタンッ

???1「…………」


………………

――同時刻 鎮守府内 駆逐艦寮の1室――

???8「………………………………………………………………………しれぇ……♪」


………………

――そして
――1週間後 鎮守府内 体育館――

――――とうとう大会当日が始まろうとしています。

    久々の大きなイベントとあって参加者のみならず、今回不参加の者も全員が体育館に集まりました。
    
    体育館には設置された無数の雀卓。

    見慣れない光景だからか、どこか張りつめた空気を感じます。

    そして今、メインイベントに先駆けて設営された体育館内特別ステージで

    オープニングセレモニーを引き受けてくれた2人の艦娘が

    静かに始まりの時を伺っていました。

「モウダイジョウブカナ?」
「……ok。イキマショウ」
「ワカッタ、ジャアイコウカ」

………………

那珂「レディースアーンドジェントルメーン!艦隊のアイドルぅ那っ珂ちゃんだよ~☆」

霧島「マイク音量大丈夫?チェック、1、2。どうも、艦隊の頭脳、霧島です」


\ナカチャーン/  \キリシマー!/ \カイタイノアイドルー?/

霧島「那珂ちゃんにもいつも以上に声援がありますね」

那珂「解体じゃなーい!でもありがとー!」

霧島「さて、今回は鎮守府で久しぶりの大きなイベントとなりました!」

那珂「真の雀士は誰か!?『鎮守府麻雀大会』!!」


\オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ/


那珂「みんなスゴイ気合い入ってるねー」

霧島「それもそのはずです。今回の優勝賞品はなんと!『間宮永久使用券』!!」

那珂「『甘味処 間宮』は艦娘だけじゃなく、老若男女誰からでも愛されてるからね!

    誰だって欲しくなるの那珂ちゃん分かるよ~」

霧島「おや?その割には今回、那珂ちゃんはMCを引き受けて大会不参加ですが」

那珂「清純なアイドルにギャンブルはご法度なんだよ!そういう霧島ちゃんはどうなの?

    前に楽しそうに麻雀打ってたよね?」

霧島「私は『間宮一回券』で手を打ちました」


\エエエエエエエエエエエエエエエエエエエ/


霧島「ノーリスクで手に入りますしね!」

那珂「汚いな~流石霧島きたないって感じだよ!皆もそう思うよね!?」


\ソウダソウダー/  \ズルイゾー!/ 

霧島「あらぁ?そういう那珂ちゃんも麻雀、打ってなかったかしら~?」

那珂「ギクッ」

霧島「アイドルに麻雀はご法度なのよね~?」

那珂「も、も、も、もちろんだよ~。やだなぁ霧島ちゃんったらアハハ」

霧島「ウフフ。で?本当は?」

那珂「『間宮一回券』で手を打ちました☆」


\エエエエエエエ/ \シンジテタノニー!/ \シッテタ/ \ナカチャンノファンヤメマス/


那珂「ああ!待って!ファンは止めないで~」


\ドッ/ \ワハハハハハハハハハハハ/ 


少し休憩

21:00くらいを目安にまた投下します。

霧島「と、まぁオープニングトークという名の茶番はこのくらいにして……」

那珂「お待たせしました!それではいよいよ!最強の雀士を決める祭典のぉぉぉ!(せーの)」

那珂&霧島「「スタートです!!!」」


\ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア/


………………

那珂「盛り上がるだけ盛り上げたけど、最初はルール説明から入ります!」


\エー!/ \ハヤクウタセロー!/ \ミンナモマッテルゾー!/


那珂「んーはいはい。そう来ると思っていましたよー!ただ喋るだけじゃ長くなるし分かりにくいところもあるしね!霧島ちゃんカモーン!!」

霧島「はぁい!ポチッとな」

ゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥンゴゥン

那珂「ふっふっふっ、そういう訳でみんなのために那珂ちゃん手書きでルールを箇条書きしてみましたー☆」

\イイゾー/ \ナカチャンアイシテルー!/

那珂「ありがとー☆ じゃあ順に説明していくからみんなちゅうもーく!」

那珂ちゃんの
☆☆☆鎮守府麻雀大会ルール☆☆☆

・その1「個人戦」

那珂「これは当然の話だけれど、『永久間宮使用券』の権利を勝ち得るのは1人だけ!」

霧島「優勝者がみんなに権利を分け与えるようなことがあると収拾がつかなくなりますしね」

那珂「『間宮』の甘味ほど世の中は甘くないんだよ!

    あと折角意見くれたのにゴメンネ>>22!」

霧島「?」

那珂「どんどんいきましょー、次のルールはこれ!」

・その2「半荘戦の2人勝ち抜け」

霧島「この説明が終わった後、パソコンを使って参加者全員が最初に囲む卓を決定します。そこから1回戦の始まりです」

那珂「半荘戦終了時に得点の高かった上位2人が次のステージに進めるよ!そしてそれを繰り返していけば!」

霧島「見事、優勝という訳ですね」

那珂「そのとおり!今回の出場者はなんとビックリピッタリ128人だから6回勝ち抜けば優勝だよ!あっ、もちろん決勝で勝てるのは1人だからね!」

・その3「持ち点は35,000点」

那珂「1人35,000点でスタートだよ!」

霧島「時間などの都合も考慮してこの点数にしました」

那珂「役満直撃でトンじゃうかもだけど、役満なんてそうそう出ないからへーきへーき」

・その4「ローカルルールはノリで!」

霧島「基本的には認めていませんけどね」

那珂「もしもの状況になった場合は随時適応するかもしれない!」

霧島「もしもの状況とは?」

那珂「>>1のネタが切れたときとか……」

・その5「自動卓の使用」

霧島「執務室にある雀卓や個人的に所有している雀卓は全て手積みだと思いますが、今回はイベントの為に奮発して自動卓を用意しました!」

那珂「見た目もおしゃれだし、イカサマ防止の効果もあって一石二鳥だね!」

・その6「赤ドラ」

那珂「入れます」

霧島「五筒2枚、五索と五萬が1枚ずつです」

・その他「随時更新の可能性」

那珂「もうホントこれ」

霧島「那珂ちゃーん、キャラがぶれてますよー」

那珂「だってノリで始めたのに考えられる可能性を全部考慮するのは無理だよ!ややこしくなるし!

    本当はもっと提督にも考えてほしかったなー」

提督(すまん那珂、霧島)

霧島「まぁ何か不備があれば、やさしい人がそっとレスしてくれるはずですよ」

那珂「それもそうだね!キャハ☆」

霧島「ではこれでルール説明を終了します。今からパソコンによって参加者を振り分けるので

    15分休憩の後、1回戦の開始となります。それまで少し楽にしてていいですよ」

   
ざわざわ……
              ざわざわ……


提督「…………」

大淀「…………」

大淀(始まる……)

大淀(提督にとっては命をもかけた長い長い闘争……)

大淀(命がけの中抜き、命がけのツモ切り、命がけの単騎待ち、命がけの定牌、命がけの麻雀大会……)

大淀(不肖大淀、全力で応援させていただきます……!)


――――ついに闘いの幕が切って落とされようとしていました。

休憩挟んだ割に短いですが今日はここまでです。

次からはようやく麻雀がスタートします。

余談ですが「???」の人たちはまだ全員確定していません。

彼女たちについて何か意見がありましたらよろしくお願いします。(採用するとは言っていない)

では

続きができたのでゆっくりと投下していきます。

なお、ようやく麻雀編が始まりますが>>1は麻雀初心者なので

高度な読み合いとか、丁寧な描写とかには期待しないでおいて下さい。

あと牌の描写のほとんどは文なので、妄想で補っていただけると幸いです。

では、どうぞ

霧島「さぁ、休憩の間に振り分けが終了しました!」

那珂「皆、本当におまたせー!今から発表するから前方のスクリーンで自分の席を確認してってねー!」

霧島「それと山になっていない牌が置いてあるので、場所決めも行っておいて下さい」


………………

提督(E-2か……ここだな)

提督「ここがE-2であっているか?」

曙 「そうよ。何?文句でもあるわけ?」

山城「そんな……最初から提督となんて……不幸だわ……」

扶桑「それは違うわ、山城。最初に提督と打てるなんてむしろ幸運よ。提督、今日はよろしくお願いしますね」

提督「ああ、よろしく頼む」

曙 「ったく……。嘆きたいのはこっちの方よ。初っ端から戦艦2人とクソ提督相手だなんてやりにくいったらありゃしないわ」

提督「その割には自信ありげに見えるが?」

曙 「当然」

提督「その自信、果たしていつまで続くだろうな?」

曙 「御託並べる前に座ったら?」

提督「……これは失礼」

提督(まいったな、ペースを掴もうと仕掛けてみたがやはり舌戦ではかなわないか)

扶桑「ふ、2人とも落ち着きましょう……ね?」

提督「ああ、すまない。……それにしても、2人だけの姉妹艦が同じ卓とはすごい確率なんじゃないか?」

扶桑「ええ、そうですね。しかも1回戦目からだなんて……凄い偶然よね?山城?」

山城「ええ……、そうですね姉様」

扶桑「私は……どちらかといえば、少し腕試しをしたくて大会に参加したのだけれど、

    山城は麻雀がとっても強いんですよ?優勝も夢じゃないかも……」

提督「ほう……それは楽しみだな」

山城「…………」

扶桑「うふふ、でも私だって負けませんよ?2人で1回戦を突破してみせます」

提督「ならば俺も全力でいかせてもらうさ」

提督(しかし……)

提督(予想していたより緩やかな空気だ。やはりどれだけ麻雀に熱中しているかで、憑りつかれる早さにバラつきがあるようだな)

提督(どうやら1回戦はまともな麻雀が打てそうだ)

提督「では、場所と起家を決めようか」


………………

那珂「さぁ!みんな席に着いたね?ではでは!満を持して1回戦開始の合図を霧島ちゃんにお願いするよ!」

ガラガラガラガラガラガラ

霧島「よいしょっ……と」

那珂「ワオ!その大きな大きなドラは一体何なんだい!?霧島ちゃん!」

霧島「この銅鑼は倉庫で眠っていたのを引っ張り出してきました。やはりこういうのは派手にいきたいものでしょう?」

那珂「さっすが霧島ちゃん!」

霧島「当然です。私の計算に狂いはありませんから」

那珂「さぁ!いよいよ舞台は整った!準備はいいか?覚悟はいいか?私はできてる!それではお願い霧島ちゃぁぁぁん!!!!」

霧島「闘ぉぉぉぉぉ牌ぃぃぃぃぃ開始ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


\ゴォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォンンンン/


………………

――1回戦 E-2卓 東1局 起家:山城――

―――――――――――――
東家:山城   35,000

南家:曙    35,000 

西家:提督   35,000

北家:扶桑 35,000
―――――――――――――



提督(配牌は妥当、山からツモってくる牌も悪くない)

タンッ

提督(最初は安くてもいい、気楽にいこう)



扶桑(|北|が暗刻になっているのは幸先いいわね)

タンッ

扶桑(上手く活かしたいとこだけれど……)



山城「…………」

タンッ  |中|  

曙 「ポン!」

山城「!」


提督(こりゃ急いだ方がいいかな)

タンッ

扶桑(ペースを乱されないようにしないと……)

タンッ

山城「…………」

タンッ 

曙 「チー!」

山城「…………」

提督(おいおい早すぎだろう……)


――数巡後――


山城「…………」

タンッ

曙 「ロン」

山城「!」

曙 「中、混一色、ドラ1。満貫ね」

山城「くっ……!」

曙 (まずは先制っ……と)



―――――――――――――
東家:山城  27,000

南家:曙   43,000

西家:提督  35,000

北家:扶桑  35,000
―――――――――――――


………………


――東2局 4巡目――

提督(先程の曙の動きは……、速攻でガンガンいくタイプなのか?)

提督(試してみるか)

タンッ  |二|
|萬|

曙 「ポン!」

提督(やはりここか……、染め手の可能性もあるがどうだ?)



タンッ  |三|
   |萬|

提督([一萬]ではなく捨てたのは[三萬]。しかもほとんどノータイムで切り出された)

提督(染め手というよりも役牌が手元にあればとにかく早和了りしたいタイプかもしれんな)

提督(連チャンで勢いづかれると厄介だ。ならば……)


………………

――10巡目――

曙 (ん……)

    |三|
     |萬|

曙 (さっき捨てたのに……、少し焦り過ぎたかしら)

曙 (河に見えているのは2枚、これで3枚目)

曙 (3人もまんべんなくマンズを捨てているし、まぁいっか)

タンッ

提督「それだ、ロン」

曙 「!?」

提督「七対子のみ、1,600。対子場を読み切るにはまだ幼いな」

曙 「……やってくれるじゃない。でもそんなチンケな点数であたしの勢いを止められと思ったら大間違いよ!」



―――――――――――――
北家:山城  27,000

東家:曙    41,400

南家:提督  36,600

西家:扶桑  35,000
―――――――――――――


………………

――――その宣言通り、曙さんの勢いは止まりませんでした

     次局の東3局を速攻のツモ上がり、東4局は山城さんから再び満貫の直撃を取ることで場を制し

     東場はほとんど彼女の独壇場となったまま、南入を迎えることになります

     観戦している子たちのほとんどが、このまま流れに乗るのは曙さんだろうと確信していました

     素人目からしても、彼女が東場で作った流れを断ち切るのは容易ではないと考えていたのです

     少なくとも、ここまで試合を引っ張って来た彼女が自らペースを乱すことはないだろうと踏んでいました

     そんな矢先の南1局

     それはあまりにも唐突に起きたのです


………………

――E-2卓 南1局 親:山城――

―――――――――――――
東家:山城   18,000

南家:曙     53,400

西家:提督   34,600

北家:扶桑   34,000
―――――――――――――


曙 (何よ全然余裕じゃない!)

曙 (正直、クソ提督と打つことになったときはどうしようかと思ったけど)

曙 (今のところクソ提督が和了ったのはあたしから直撃でとった七対子のみ)

曙 (残りの低速戦艦姉妹も焼き鳥街道まっしぐらで……)

曙 (その他の和了りは全部あたし!)

曙 (なんか今日は調子いいかも!)ムフー!

曙 (決勝以外は上位2名まで次に進めるから……)

曙 (直撃にさえ気を付けて打ち回せば、最悪でも2位で終われる公算大……!)

曙 (まぁでも……、この勝利をより盤石なものにするために少しプレッシャーかけときますか……)


………………

扶桑(マズいわ……)

扶桑(序盤からペースを乱されっぱなしね)

扶桑(やっぱり早い展開は苦手だわ……)

扶桑(でも焦って追いかけては駄目、どう頑張ってもスピードでは敵わない)

扶桑(……大きく打ちましょう。流れの中で生まれた一瞬に全てを賭ける……!)


………………

提督(現状は2位だが扶桑との点差は600しかない。気を引き締めねば)

提督(東場の動き方や捨て牌を見るに曙と扶桑は真逆の打ち手)

提督(早い手を好む曙に対して、扶桑はステレオタイプな大名打ち)

提督(2人の打つクセは大体掴んだから、オーラスまでに巻き返したいところだな)

提督(だが問題は対面の山城か……)

提督(4局も打って全く傾向が掴めない。これといった動きを見せていないのもかえって不気味)

提督(何かあるのか……?)

提督(まさか……)


………………

山城(……………………)

山城(そろそろ……かしら……)


………………

曙 「大口叩いてたにしては、まるで手ごたえないわね」

提督「いやいや、まだ南場がまるまる残っているんだ。それに跳満の直撃で十分に逆転できる。まだまだ勝負は分からんさ」

曙 「ふーん。まぁ、悔いの無いように精々頑張りなさい。じゃないと……私の左隣みたいに、1人で無様に沈むことになるわよ」

扶桑「! それは少し言い過ぎじゃないかしら……!」

曙 「事実よ、事実」

山城「いいんです、姉様」

扶桑「でも……!」

山城「本当のことですから……」

曙 「そりゃ落ち込むわよねぇ。降参するなら今の内よ?」

山城「……あーあ、私だけ狙われて1人沈み。今から親といっても私なんかが逆転するのはもう絶望的よねぇ」

扶桑「……山城?」

山城「本当……『不幸だわ』」

曙 (?)

提督(!)

提督(笑った……?)


………………


――南1局 開始――


曙(よし!開幕イーシャンテン!やっぱり流れは私にキてる!)

タンッ!

曙(とっととこの局を流して親になるわよ!)



提督(配牌が驚くほど良い、だが何か妙だ……)

タンッ

提督(もしかしてもう何か起きているのか?)



扶桑(来た!逆転の手!)

タンッ

扶桑(この手に賭けましょう……!)



山城「…………」

タンッ

山城(ウフフ……)

――――まるで山城さんの親を蹴るためだけに天から与えられたような好配牌

     しかし曙さんたちがその異様さを徐々に感じるようになったのは

     実に8巡目を過ぎたあたりからでした



――10巡目――

曙 (な、なによコレ……!全然シャンテン数が進まないじゃない!)

提督(また無駄ヅモか。こんなことがありえるのか……?)

扶桑(嫌な流れ……このままじゃせっかくの手が水の泡になってしまう……!)

山城

タンッ

山城「あら?……鳴かないの?」

曙 「うるさいわね!」

タンッ

曙 (鳴かない方がいい待ちにできるのに誰がわざわざ鳴くもんか!)

曙 (テンパイになれば……!そう……そうよ……、テンパイにさえなればいいのよ……)

曙 (お願い……早くっ……!)

――14巡目――

曙 「あっ……」

曙 (やっと来た……、しかも高目……!)

曙 (流局まであと数巡しかないけど……。でも……いいわよね?)

曙 (この待ちはこれ以上ないほど理想形。しかもダマでも跳満確定の手……)

曙 (ここまで我慢してやっと入った手……)

曙 (河にも和了り牌はそんなに捨てられていない……)

曙 (ツモれる可能性だって、大きいんだから……)

曙 (そうよ……テンパイさえすれば……)


――そう……不要牌は河に吸い込まれていく……

タン…

――まるで何かに魅入られたように……そしてそれは……


山城「ロン」

曙 「ぇ……?」


――私の和了り牌


山城「白、混一色、ドラ1。親満よ」


………………

と、盛り上がってきたところで今日はここまでです。

「こんなの麻雀じゃねぇ!」とツッコみたくなるかもしれませんが

先に謝っておきます。ごめんなさい。

それと、『毎日投下』を目標にしていましたが、次回は1週間後とかになりそうです。

では

(なんで牌の表示がズレるんだ……?)

(未だにシリアスやるかギャグやるかも決まらん)

続きが出来たのでゆっくり投下していきます。

・超展開注意……なのか?


山城「どうしたの?そんなに危険な牌を無造作に切るなんて」

山城「余程いい手が入っていたのかしら……?ウフフ……」

曙 (やられた……!)

曙 (よく見れば本当に山城のド本命じゃない……!)

曙 (テンパイすることだけで頭がいっぱいになって見落としてた……)

曙 (どうしたんだろう、あたし……?)

山城「さて……それじゃあ払ってもらいましょうか……?」

曙 「はいはい、分かったわよ……」

山城「そうよ……、そうそう。ウフ、ウフフ」

扶桑「……山城?」

山城「ウフフフフフフフフフフフフフフ!アハハハハハハハハハハハハッ!」

扶桑「や、山城……?どうしたの山城!?」

提督(!)

提督(この感じ……、まさか、あの時と同じ!)

提督「頭を守れぇぇぇぇぇぇ!曙ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

曙 「え……?」

山城「12,000点をねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」



カッ


――――光

     まるで雷が落ちたような一瞬の閃光

     錯覚だったのかは分かりません。ただ理解できたのは、私たちが再び卓に目を向けるとそこに……


扶桑「…………」

提督(山城、やはりお前……!)

曙 「がっ……は…………」

山城「アハハハハハハハハハハハ!」


――――普段の彼女らしからぬ笑い声を上げている山城さんと

着ている衣服が少し破け、まるで『小破』でもしているような曙さんの姿があったということでした



―――――――――――――
東家:山城   30,000

南家:曙    41,400

西家:提督   34,600

北家:扶桑   34,000
―――――――――――――



………………



那珂「え、えーっと……」

霧島「何かの演出でしょうか?」

那珂「多分違うと思うなぁ……。いやそうじゃないよ!

    曙ちゃんがケガしてる!ストォォップ!みんな!勝負は一旦ちゅうし……」

曙 「うるさい!!!!!!!」

那珂「…………!」

曙 「……怒鳴って悪かったわ。でも大丈夫よ」

那珂「で、でも!」

曙 「大丈夫って言ってるの!」


那珂「曙ちゃん……」

曙 「さ、続けましょう」

提督「曙……」

曙 「何が起きたなんて分からないわ。でも1つ言えることは……

    やられっぱなしで終わるわけにいかないってことよ!!」

山城「フフフ!いいわ!来なさい曙!勝てるものならねぇ!」


\ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!/


提督「!!」

那珂「み、みんな……!?」



\アケボノタチノイウトオリダ!!/ \サイゴマデウタセロー!/ \アタシタチモヤルゾォォォ!!/


提督(曙や山城の感情に呼応している……。憑りつかれている心の一部が共鳴して暴走しかけているのか!?)

提督(となれば、今の山城を皮切りにこれからの麻雀は『痛み』を伴う!)

提督(だが……)


\ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!/


提督(この異様な空気……、例え中止にしようとしても暴走は止まりそうにない……)

提督(それどころかますますひどくなる可能性だってある)

提督(クソッ!こうなったら……!)


提督「那珂!」

那珂「は、はい!」

提督「司会と仕切りは頼んだ!」

那珂「は、はいっ!……はい?」

提督「霧島!」

霧島「はい!」

提督「入渠ドッグにいってありったけバケツの準備を!」

霧島「了解!」


提督「参加していない者も手伝ってくれ!」


\ハイっ!/


那珂「え、えーっとそれはつまり?」

提督「続行だ!!」


\オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!/


那珂「…………」

那珂(あれ?那珂ちゃんがおかしいのかな?)


………………


――直後 A-2卓 東4局――

望月「なんだったんだろうなー、今のー」

タンッ

鬼怒「んー、よくわかんないよ。なんか変なテンションになっちゃってる人もいるし」

タンッ

那智「よくわからんからこそいいのかもしれないぞ。フフッ、楽しみじゃないか」

タンッ

――ロン……、四暗刻単騎……!

那智「何!?」

カッ

那智「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


赤城「あらら、どうしたの?那智さん」

那智「ば、馬鹿な……、貴様……河から牌……を……」バタッ

望月&鬼怒「「那智さん!」」

鬼怒「だ、誰かーっ!手伝ってー!!」

望月「早くドッグに!」

赤城「……トビで大破か、足んねぇな……この程度じゃ……」

赤城(ククク……)


スウッ…


赤城「那智……さん?」

赤城(ああ、また……なのね……)


………………



提督(那智……!)

提督(大破しているのか……?)

提督(トビで大破か……とりあえず最悪の事態は避けられるようだな)

提督(こういうときだけは、彼女たちが艦娘でよかったと心から思える)

提督(だが、俺はどうなる……?今もあれに耐えられるだけの肉体を保てているのだろうか……)

提督(12年前のように……)

提督(……やめよう、考えるのは。今は目の前の対局にのみ集中する)

提督(すまない、みんな。必ず優勝して、みんなを正気に戻してやるからな)

提督「さぁ、続きを打とうじゃないか……!」


………………


――E-2卓 南1局 1本場 親:山城――

山城「さぁ1本場よ……!」

タンッ

山城「今度はちゃんと捨て牌を見ることね」



曙 「ご忠告どうも!」

曙 (やっぱり開幕イーシャンテン……しかもまた高目……)

曙 (でも、変な雷みたいなのに打たれたおかげでむしろ頭がスッキリしてるわ!)

タンッ

曙 (見てなさい……!)



提督(また配牌は絶好調か……)

提督(先程の曙の様子を見るに、彼女にも良い配牌が入っていたようだな)

提督(そしておそらくは扶桑も……)

タンッ

提督(開幕イーシャンテン自体はそこまで珍しい現象ではない。打っていれば起こる、ありふれたこと)

提督(しかしそれが3人同時、しかも2局連続となればこれは明らかな異常事態)

提督(作為的ではない別の力を感じる……)

提督(『能力』に目覚めたか……!山城……!)



扶桑「…………」

タンッ

扶桑「…………」


――6巡目――

扶桑

タンッ

曙 「ポン!」

山城(!)

曙 (そうよ……、これが本来のあたしの打ち方……)

曙 (高目の手がイーシャンテンだからってなによ!)

曙 (跳満までの道あるからってなによ!)

曙 (夢見てそんな『道』にすがりついてどうしようっての!?)

曙 (あたしが目指すのはそんな途中までの『道』じゃない)

曙 (1回鳴くだけでほら……)

――和了りへの『道』が開けるじゃない……!


タンッ

提督「…………」

曙 「さぁ、張ったわよ」

山城「ウフフ、言っていいの?そんな大事なこと」

曙 「言わなくたって分かってるくせに……!」

山城「ウフフフフ……、まぁそうね。あとごめんなさい、それロン」

曙 (!?)

山城「3,900の1本場は4,200」



カッ


曙 「ぐっ…………!」

山城「いい考えだったわよ、でも鳴くことに意味なんてないの。

    大事なのはテンパイの為に不要な牌を捨てるってところなんだから」

曙 「いいのかしら……?そんな大事なこと言って……」

山城「言ったところで同じでしょう?」

曙 「…………」

曙 (クソッ…………!)



―――――――――――――
東家:山城   34,200

南家:曙     37,200

西家:提督   34,600

北家:扶桑   34,000
―――――――――――――


――南1局 2本場 親:山城――


曙 (鳴いてダメなら……)

タンッ

曙 (この手を崩して作り直す!)


――3巡目――



タンッ

提督(手出しのウーピン三連打で面子落とし……。

    状況を打開するためにあえて手を崩したか。だがそれでは……)


――8巡目――

曙 (崩したら徐々にだけど別の手が入るようになった)

曙 (だけどこれじゃあ……!)

山城(気づいたみたいね。そうそれでは……)

山城「ツモっ!」

――間に合わない……!

山城「3,200オールの2本場で3,400オール!」

提督(来る……!)


カッ


曙 「う……」

扶桑「きゃあっ!?」

提督「むっ……ぐっ!」


提督(……良かった。この程度ならまだ耐えられるか)

提督(俺も捨てたものではないな)

山城「アハハッ!大丈夫?随分と辛そうよ?」

曙 「このっ……!」

提督「やめろ、曙」

曙 「なによ!アンタだって手も足も出てないくせに!」

提督「卓での借りは卓上で返さんか馬鹿者!」

曙 「あっ……ぅ、うぅ……」

提督「冷静になるんだ。東場までの勢いはどうした?冷静なときのお前は強い。

    俺が保証する――安心しろ」


曙 「…………」

提督「それに南場に入ってからの動きだって悪くなかった。

    冷静になれば必ず見えるはずだ。……ここから抜け出す道が」

曙 (!)

山城「あらぁ?提督まさか私の親を蹴るつもりですか?」

提督「その通りだ」

山城「……提督は冗談も下手なんですねぇ。この子の言う通り、

    あなただって手も足も出ていなかったじゃあないですか」

提督「今まではな……、だがこの3局で起こった現象の傾向、

    そして曙の動きを見て分かった。……この支配から抜け出すその抜け道が」

山城「へぇ……それは楽しみです。一体どんな道があるというのかしら?」

曙 「…………」



―――――――――――――
東家:山城   44,400

南家:曙    33,800

西家:提督   31,200

北家:扶桑   30,600
―――――――――――――


――南3局 3本場 親:山城――


山城

タンッ

山城(抜け出す道ですって……?)

山城(そんなものはありえないわ!)

山城(大方、動揺を誘うための狂言……!人をコケにしてっ……!)

山城(もう狙い撃ちは止めましょう……、提督、次はあなたの番よ。捨てなさい、不要牌を……)

山城(獲ってあげる!)


曙 (…………)ジワ…

曙 (やだっ……!どうして涙なんて……)

曙 (クソ提督に叱られたから?ううん、違う。アタシはアタシが許せないんだ)

曙 (クソ提督に言われるまでそんな簡単なことも見失ってたアタシが!)

パァン!

扶桑・山城(!?)

提督(気合い注入ってところか……)

タンッ!

曙 (落ち着きなさい、曙。借りは絶対に返す!)


――8巡目――

曙 (くっ、面子を落としたけどやっぱり遅い……。

    鳴いても不要牌で和了られる……。どうすればいい……?)

曙 (いや、だけどそれよりも……)

曙 (……今回はなんかやけに暗刻が多いわね。いっそのこと四暗刻でも狙おうかしら)

曙 (なーんて、張ったところで結局和了られちゃうんだけどね……って……)

曙 (!)


曙 (暗刻が多いってことはつまり……)

曙 (……なるほど、そういうことね。ああもう!馬鹿かアタシは!)

曙 (見えたわよ!この袋小路の出口!)

曙 (クソ提督の捨て牌は……?)チラッ

曙 (これであってるかしら?いや、あっているはず。今回だけは協力してあげるわ)

曙 (後は頼んだわよ、この……クソ提督!)

タンッ……!!

提督「カン!」


山城(! まさか……っ!)


――そこは誰からの支配も受けぬ王の聖域……


――全ての鍵を集めた者にのみ、その扉が開かれ、与えられる……


――花を咲かせる権利が、そして……


提督「ツモッ!嶺上開花!」


――花、開く


提督「反撃だ」


………………

さて、今日はここまでです。

時間を頂いたのに遅筆で申し訳ない。

また間をあけて投下するつもりです。

では

少しだけ投下します。

どうぞ。


提督「嶺上開花、ドラ3。満貫の3本場で4,300・2,300!」


カッ


山城「が、はっ……」

山城(まさか抱えた暗刻がドラに化けるなんて……)

提督「想定外の事態だったようだな」

山城「フン……ほんの少しだけ、提督の運があったというだけのこと。こんなの事故みたいなものよ!」

提督「違う、これは必然だ。確かにお前の能力は恐ろしいものだが、

    俺たちに配られるあの配牌の中身まではコントロールできていない」


山城「う……」

提督「すなわち、イーシャンテンの時点で既に構成されている面子が刻子か順子かまでは断定できないということ」

提督「その考えにたどり着けば抜け道などいくらでもある……」

山城「ううう…………!」

提督「……なぁ、山城。そう考えればその能力は強そうに見えて意外に大したことないよなぁ」

山城「……なん……ですって?」

提督「タネが分かればまるで穴だらけ……」

山城「なによ……、やめてよ…………やめて……」

――『欠陥』だよ……!

山城「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」



――彼女らしからぬ怒号

   しかし、先程の笑い声とは程遠く

   その声には彼女がまるで100年貯め続けていたような

   そんな悲痛な気持ちが込められていました



扶桑「山城……」

提督「…………」

山城「違う!違う違う違う違う違う!私だって誇り高き戦艦!

    誇り高き西村艦隊の旗艦!必要とされる存在なの!私は……私たちは……」



――『欠陥』なんかじゃ……ない……!

――そこまで言い終えると彼女は静かに大粒の涙を流し始めました

――感情を全て吐き出すように、今まで味わった苦汁を思い出すように



提督「わかっているならいいんだ」

山城「ぇ……?」

提督「その誇りを失なっていないのならばいいんだ。座れ、山城。続きを打とう」

山城「……もう無理よ、きっと能力も使えないわ……。あれがなければ私は……」


提督「戦える。お前は既にその答えを見つけているんだから」

山城「…………?」

提督「麻雀は手を作るために、1枚引いたら1枚捨てなければならない。それが不要な牌だからだ」

山城「…………」

提督「だがそれは本当に要らないわけじゃない。同じ展開でも人によって捨てる牌は異なるし、そもそも……」

山城「…………?」

提督「牌が1つでも欠ければ、麻雀ができないだろう?」

山城(!)


提督「だから本当に必要とされていないなんてありえない。

    そこに存在する限り必ず意味がある。だから自分に誇りを持っているお前は……って」

山城「…………」

扶桑「…………」

曙 「…………」

提督「……えー、つまりだな。お前は我が艦隊になくてはならない存在というか……」

曙 「最初からそう言えぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

ドゴォ!

提督「グフォ!」


曙 「分かりにくい変な例え持ち出してまどろっこしいのよ!この例えクソ提督!」

提督「だからといってそのボ、ボディブローは……」

曙 「ええ私でも驚くほど自然に出たわよ!神様がツッコめって囁いたのねきっと!」

提督「れ、冷静になるんだ……」

曙 「そのセリフは一番聞きたくなかった!

    さっきそれで少し感謝しかけたアタシが馬鹿みたいじゃない!もう!」

曙 「山城!」


山城「!」

曙 「それにアンタもよ扶桑」

扶桑「…………」

曙 「この際だからはっきり言っておくわ!私はアンタたちと絶対に反りがあわない。気に入らないところが多すぎるもの」

扶桑・山城「…………」

曙 「ただ、アンタたちを嫌いになったり、いらないなんて思ったことは1度だってないわ!

    アンタたちはこの艦隊に必要不可欠な存在なの!」

扶桑「曙ちゃん……」

曙 「それなのにいつまでもウジウジしちゃって……、見てらんないったら!」


………………


――入渠ドッグ――

霞 「はっ!」ピキーン

朝潮「どうしたの?」

霞 「なんでもないわ、少し被っているところがあるだけよね」

朝潮「? ……もう少しバケツの準備を」

霞 「わかったわ。……ねぇ朝潮」

朝潮「はい?」

霞 「クズとクソってどっちが酷いのかしら?」

朝潮「は?」


………………


提督「そうだ、お前が……お前たちが欠陥戦艦だと?一体いつの時代の話をしているんだ」

提督「お前たちは鎮守府の主力メンバーだ。活躍ぶりでいえば大和型や他の戦艦たちにだって引けを取らない」

提督「だから――安心しろ。お前たちは十二分によくやっている。今までも、そしてこれからもきっと」

山城「てい……とく……」

曙 「はぁ、クソ提督のせいでなんか変な空気になっちゃたわね」

提督「…………」


曙 「さっさと続きを打ちましょう。『間宮永久使用券』は私のものなんだから」

山城「あけぼの……」

ギュッ

山城「ねえ……さま……?」

扶桑「大丈夫、大丈夫よ山城。もうあんなことにはならないわ。提督は見ていてくれる」

扶桑「私も見ているわ。あなたのこと」

山城「ねえ……さまぁぁ……」


――今度はずっとずっと傍で……


………………

というわけで今日はここまでです。

なんだコレは……

今日はここまで詐欺です。

キリがよさそうなところまで書けたので投下します。


―――――――――――――
東家:山城   40,100

南家:曙     31,500

西家:提督   40,100

北家:扶桑   28,300
―――――――――――――

――南2局 親:曙――

山城「ウフフ……、あなたの親番よ。精々気を付けることね……」

曙 「そのキャラ続けるの……?」

山城「キャラじゃないわ……、誰がどう言おうと麻雀をやっている私はこの私なの」

曙 「……まぁいいけど」


タンッ

曙 「また沈むのはそっちよ」

山城「遠慮なく来なさい」

曙 「ふん」

提督(先程まで感じていた圧迫感、緊張感が去っている……)

提督(これは山城が正気を取り戻したということなのだろうか?)

提督(つまり『能力』というのは……)

タンッ

提督(いや、まだ分からん……)


扶桑「…………」

扶桑(山城……ごめんなさい)

扶桑(あなたにあんなことを言う資格だって、本当はないのに……)

扶桑(姉である私が不甲斐ないばかりに、あなたはずっとずっと重荷を背負ってしまっていたのね……)

扶桑(私はそれを分かっていなかった。あなたと毎日お話しているのに……本当にダメな姉)

扶桑(ごめんなさい……)


タンッ

扶桑(山城がああなってしまったのは、麻雀に憑りつかれたから?)

扶桑(でも麻雀が一番、あの子の心の中を引き出してくれたのね……)

扶桑(ならばここで言葉を交えましょう。この対局の中で。それが私なりのケジメ……私なりの謝罪……)

扶桑(これが終わったらまたたくさんお話をしましょう。ね?山城……)


――7巡目――

曙 (よし、張った!)

曙 (さっきと違って心置きなく打てるし、たまにはリーチでもかけてみようかしら……)

タンッ

曙 「リーチッ!」

山城「ロン」

曙 「にゃー!?」


カッ


山城「1,000点。リーチした分は払わなくていいわよ。フフッ」

曙 「どうも!」

山城「さぁ、次いきましょう!」

提督(妙に吹っ切れたな、山城……。とりあえずは安心か)


―――――――――――――
北家:山城   41,100

東家:曙     30,500

南家:提督   40,100

西家:扶桑   28,300
―――――――――――――


………………


――C-1卓――

多摩「にゃっ!?」ピキーン

高雄「どうしたんですか?」

多摩「ニオウにゃ、キャラかぶりのニオイがするにゃ……」

高雄「?」

多摩「にゃー……やなかんじー」

タンッ

夕張(ロケット団……)

夕張「あっ、それロン」

多摩「にゃー!?」


………………


――E-2卓 南3局 親:提督――

ズキッ……

提督(しかし……、麻雀で受けたダメージよりも曙から喰らったボディブローの方が痛いとは……)

提督(幼い見た目が多い駆逐艦でもやはり艦娘……)

提督「侮りがたし……」

タンッ

山城「ロン。何が侮りがたいのかしら提督?3,900点です」

提督「…………」


カッ


―――――――――――――
北家:山城   45,000

東家:曙     30,500

南家:提督   36,200

西家:扶桑   28,300
―――――――――――――


………………


山城(私がトップ……)

山城(今まで、能力を使えていたから勝てているんだと思っていた……)

山城(この力は私が不幸になるから使えるのだと思っていた……)

山城(でも違う!)

山城(私は能力を使わずともオーラスまで乗り切った!不幸なんて関係ない!)

山城(今なら出来る気がする……!)


………………


――オーラス 親:扶桑――


曙・提督・扶桑 (!?)


曙 (ここにきて開幕イーシャンテン!?しかも……)

提督(面子に暗刻がない。これではカンもままならん……!)

扶桑「…………」

タンッ

扶桑(これはチャンス……)

扶桑(大物手が入っているんですもの、活かさないわけにはいかないわ)

扶桑(何とかしてこの支配を打ち崩せば……)

扶桑(流れは一気にこちらへ傾く!)

提督(扶桑……)

提督(この状況を好機と見るか……)

提督(よし……)


――10巡目――

山城(テンパイ……)

山城(リーチは……やめておきましょう。トップなのにわざわざ危険を冒す必要はないわ)チラッ

山城(曙は鳴きと面子落としで手を作りなおしてる見たいだけど、まだテンパイではない)

山城(手が高くなければ、提督からの直撃でないと2位に上がれないから当然か……)

山城(他の2人は曙ほど分かりやすくないけど、おそらくノーテン)

タンッ

山城(最悪流局でもいい、振り込みにだけ注意しましょう)


曙 (グズグズしてたらまたツモられる……けど)

曙 (ハズレか……)

タンッ

曙 (ええい、次のツモよ次のツモ!)


提督「…………」

スッ…

提督(…………)

タンッ

提督「…………」


扶桑(もうあまりツモは残っていない……)

扶桑(このままじゃせっかくの手が……!)

扶桑(……落ち着きましょう。私は山城の姉、山城もこんなに頑張っているのに姉の私が諦めるわけにいかないわ)

扶桑(大丈夫、必ず応えてくれるはずよ)

扶桑(お願い来て……!)


扶桑(! 来た!)

扶桑(リーチ……、いや警戒される方がマズいわね)

タンッ

扶桑(このまま待ちましょう……!)



山城

タンッ

山城(惜しい、次こそは……)


曙 (有効牌が来た!けど)

タンッ

曙(クソ提督からの直撃でしか逆転できない……)

曙(振り込みなさい!クソ提督~!)


提督「…………」ニヤッ

タンッ

提督「リーチ」


曙・扶桑・山城(!?)


曙 (この状況でリーチ!?)

扶桑(提督も張っていたの!?)

山城(そんな!そんなはずは……!)


扶桑(う……、よりにもよってこんな危ないところを引くなんて……!)

扶桑(どうすればいいの……?流局を狙ってテンパイを崩して安牌を切る?)

扶桑(ダメ!少なくともここは通さなければならないわ!)

扶桑(通って!)

タンッ!!

提督「…………」

扶桑(通った……!)


山城(こんなときに危ない牌……)

山城(でも振りこまなければとりあえず安全を買える……)

山城(現物っ……!)

タン……


扶桑「ロ、ロン!」

山城「!!」

扶桑「えっと、純チャン、三色、一盃口、ドラドラで……」

山城「…………」

扶桑「24,000点……倍満!」


山城「…………」

扶桑「…………」

山城「……あーあ、頑張ったのに最後の最後で……」

扶桑「……今度はコンビで打ちましょう?きっといいところまで行けると思うの」

山城「フフフッ、やっぱり姉様はスゴイです。私の……自慢の姉です」

扶桑「あなたも最高の妹よ、山城」


カッ


―――――――――――――
南家:山城   21,000

西家:曙     30,500

北家:提督   36,200

東家:扶桑   52,300
―――――――――――――

対局……終了

………………


提督「大丈夫か?」

扶桑「ええ、私はなんともありませんし、山城の方も少し気を失っているだけです。多分疲れたんでしょう」

提督「そうか。だが山城の方は少しダメージが大きい。手伝いを呼んで早めに入渠させよう」

扶桑「提督……、山城を背中に乗せるのを手伝っていただけないかしら?他の人の手伝いはいりません」

提督「ああ、分かった」

扶桑「ん……しょ」

提督「運べるか?」

扶桑「大丈夫です」


山城「ねぇ……さまぁ……」スゥ…スゥ…

扶桑「!」

提督「……幸せそうだぞ。よほどお前のことが好きなんだろうな」

扶桑「そう……ですか。あの、提督、お話があります」

提督「なんだ?」

扶桑「2回戦のことですが……、私は棄権しようと思います」

曙 「はぁ!?ちょっとふざけないでよ!」


提督「落ち着け曙」

曙 「でも……!」

扶桑「私は真面目よ、2回戦への権利はあなたにあげるわ」

曙 「そんなおこぼれもらったって嬉しくないわよ!」

提督「一応、理由を聞いておこうか」

扶桑「私なんかじゃこの大会を勝ち抜くことは難しそうですし……それに……」


スゥ…スゥ…

扶桑「……今はこの子の近くにいたいの。目を覚ましたら最初に抱きしめて

    次に謝って、そしてたくさんお話ししたいから……」

提督「……そうか、分かった」

曙 「ちょっと!」

提督「せっかくのチャンスだぞ?ある意味お前の運が良かったってことだ。

扶桑、那珂には俺から伝えておこう」

扶桑「ありがとうございます。提督」

提督「ゆっくり休めよ」

扶桑「……はい」


――――提督の闘い

     その1回戦は扶桑さんの大逆転劇と突然の棄権という衝撃の幕切れでした

     ドッグに向かう扶桑さんは時折、背中の山城さんを気にかけながらゆっくり歩を進めていきました

     背中に抱き付く山城さんはとても幸せそうで

     それを背負う扶桑さんもとても愛おしそうで

     確かな姉妹の愛がそこにはありました


曙 「納得いかなーーーい!」


[鎮守府麻雀戦争] 第1回戦 ~愛・姉妹編~ 完


………………


???4「テイトク……」

???4(扶桑がテンパイになる直前……牌をすり替えたネ?)

???4(あのおかげで扶桑はテンパイし、次巡に和了ることができた……)

???4(直前のリーチもブラフだったのでしょう?)

???4(あの中で気づいた者はいなかった。でも……)

???4「……ワタシには通用しないネー♪」


To be continued……

というわけで今日は本当にここまでです。

ストックは完全に切れてしまったのでまた時間を頂きますが

ゆっくりと書いていきます。

ここまで読んでくれた方、ありがとうございます。

では

(2回戦は誰を出そうか……)

少しだけ投下します。

今回は麻雀しません。


――1回戦終了後 鎮守府体育館――

大淀「お疲れ様でした」

提督「ふっふっふ、少し痺れたが疲れてはいないぞ。まだまだこれからだからな」

大淀「それです!あの光は一体……?」

提督「本来ならばただの麻雀大会では起こり得ない現象だ」

大淀「……普通じゃなければ起こり得ることなんですか?」

提督「起こり得る……が、あまり詳しくは話せない。国家機密レベルの問題になる」

大淀「こ、国家機密!?」

提督「……冗談だ」


大淀「驚かさないでください!真面目な顔でおっしゃるから信じちゃったじゃないですか」

提督「……話を戻すが、あの現象についてはいくらか教えることができる。大淀はあの光をどう見る?」

大淀「……雷のような光でしたが、体育館内で雷雲が発生したとは思えません。

    直前の山城さんの様子がおかしかったように感じましたので、きっかけがそれではないかというくらいしか……」

提督「その通りだ。親の満貫を和了った瞬間、山城の雀力が跳ね上がった」

大淀「じゃんりょく?」

提督「個人が持つ麻雀を打つ力を総じて雀力と呼ぶ。大体の雀力は固定されているが、

    体力や気力によってその力は一時的に大きく変動する」


大淀「山城さんは満貫を和了ったから雀力が上がった……。でも、それがどうしてあの光に関係するんですか?」

提督「大淀はあの光を雷のようだと言ったが、それは半分正しい。あの光が落ちるのは、雷の原理とほぼ同じだからだ」

大淀「え!?」

提督「大きく変動する力は上がるばかりではない。もちろん下がるときもある。

    振り込んだときや、ツモられたときなんかはその良い例だ」

大淀「和了った人は雀力が上がり、和了られた人は下がる……」

提督「そうだ、あくまでその一瞬だがな。そしてこの差が雷を生む」

大淀「?」


提督「端折って話すが、雷のもとは雷雲の中で上層と下層の電位差が拡大して、

    空気の絶縁の限界値を超えることで放たれる電子だ」

提督「それが気体原子なんかとぶつかり合って、結果的に雷が起こる」

提督「あの光も同じだ」

提督「和了った者と和了られた者との雀力の差が広がって、それが空気の絶縁限界値を超えることで生まれ、落ちる」

提督「高いところから低いところへな」

大淀「そんなことが……」


提督「もちろん、普通に打つ場合は何も問題はない。

    ただ今回は皆の雀力が異常に高まり、互いに共鳴し合う特殊な状況になってしまった」

大淀「大丈夫なんですか……?」

提督「役満直撃で大破だったからな、すぐドッグに入居させれば大事にはならないはずだ」

大淀(この人は……、どうして自分のことだと思わないのだろう……)

大淀(もっとハッキリ言った方がいいのかしら?)

提督「どうした?」

大淀「あ、いえ、なんでもありません。2回戦もご健闘を」

提督「任せておけ」

スタスタ…

大淀「…………」

大淀「はぁ……」


………………


――入渠ドッグ――

朝潮「霧島さん、バケツの追加をお願いします!」

霧島「またぁ!?」

朝潮「2回戦に向けて直しておきたい人もいるらしいんです。

    司令官も『バケツは気にするな。どんどん使え』とのことです」

霧島「使う理由が完全に私用なんだけど大丈夫なのかしら……?」

朝潮「『優勝して間宮券の代わりにバケツを買う』……そうです」

霧島「結局のところ、司令はお金を出すつもりなのね……。経理の方が大変なことになりそう……」

朝潮「それでバケツのことなんですが」

霧島「そうだったわね。ああ、妖精さんも手伝ってくれないかしら!」

朝潮「妖精さんはドッグだけでてんてこ舞いになっています。

    1回戦に負けたからと手伝ってくれる人もいるので、今が踏ん張り時です!」

霧島「よし、一緒に頑張りましょう!」

朝潮「はい!」


………………


――それから数十分後 鎮守府体育館――

霧島「…………」

那珂「さ、さて!霧島ちゃんは入渠ドッグに張り付きっぱなしで少し疲れちゃったみたいだけど

    那珂ちゃんは元気!霧島ちゃん!後は任せて!」

霧島「え……演習より……つかれた……か……も……」

那珂「休んでいいよ霧島ちゃん!?みんなー、霧島ちゃんに拍手ー!」


\パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ/


霧島「妖精さんはいつもあの作業をしてくれているんですね……」

那珂「今度からドッグに入居するときは妖精さんに最大限感謝しなきゃだね!」

霧島「う、うう、妖精さぁぁん……」


那珂「そんなに辛かったの!?霧島ちゃん休んで!ドッグでゆっくり入渠してきて!」

霧島「そう……します……」トボトボ…

那珂「さ、さぁ!ここからが本題!1回戦終了、そして2回戦のスタートだよ!」


\ワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア/


那珂「振り分け方は1回戦同様、勝ち残った人をパソコンで振り分けたよ!」

那珂「今から前方のスクリーンに映すから、各自確認後、場所と親を決めておいてね~☆」


………………

というわけで2回戦が始まる前のちょっとした一幕でした。

2回戦からは提督の卓だけではなく、

他の卓にもスポットを当てて書いてみたいと思います。

では

お久しぶりです。投下します。

鎮守府麻雀大会2回戦の始まりです。


提督「C-1……ここか」

金剛「ヘーイ、提督ぅー!調子はいかがデスカー?」

提督「金剛か。残念だろうが調子は最高だ。よろしく頼むぞ」

金剛「Yes!そっちの方がいいに決まってマース!フェアプレーの精神で楽しみましょうネー!!」

加古「ここかぁ?C-1ってのは?」

提督「そうだ」

加古「うわ、提督と一緒か~。こりゃきついかな……ふあぁあ」

提督「寝不足か?」

加古「朝まで麻雀しててさー……、眠いなーもー」

提督(よくその状態で1回戦を勝ち抜けたもんだ……)

加古「ま、とにかくよろしくねー」

提督「よろしく頼む」

五十鈴「提督が相手ね……、相手にとって不足なしだわ」

提督「五十鈴、お前もここか?」

五十鈴「そうよ。よろしく」

提督「ああ、よろしく」

金剛「OK!全員揃ったことですし、早速場所と親を決めまショウ」


………………


那珂「……はいはーい!どうやら全部の卓の準備が完了したようだね!」

那珂「すぐにでも開始の合図をしよう!今回、霧島ちゃんの代わりに銅鑼を鳴らしてくれるのは!」

龍田「龍田よ~」

那珂「龍田ちゃんでーす!龍田ちゃんみんなに向けて何か応援メッセージを一言!」

龍田「……天龍ちゃーん。頑張ってねー!」

那珂「露骨に贔屓な応援だー!でも那珂ちゃんそういうの嫌いじゃないよ!では龍田ちゃんよっろしくぅ!」

龍田「はーい。闘ぉ牌ぃ~開始ね~!」


\ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン/


………………


――A-1卓 東1局 親:島風――

―――――――――――――
東家:島風   35,000

南家:若葉   35,000

西家:阿武隈  35,000

北家:川内   35,000
―――――――――――――


タンッ

島風「もー!始まるのおっそーい!」

川内「うるさいなぁ、始まったからいいでしょ?」

阿武隈(夜の自分は棚に上げておくのね……)

阿武隈・若葉(どっちもどっちだ……)


――3巡目――

阿武隈

タンッ

島風「ポン!」


――5巡目――

若葉

タンッ

島風「ポン!」


――7巡目――

島風「ツモ!500オール!」


カッ


阿武隈(安っ!あっ、あんまり痛くない……)

若葉(連チャン狙いか?)

川内(あと少し待てば満貫に伸びる手なのに……わかんないなぁ)


―――――――――――――
東家:島風   36,500

南家:若葉   34,500

西家:阿武隈  34,500

北家:川内   34,500
―――――――――――――


………………


――東2局 1本場 親:島風――

川内(せっかくラス親引いたんだから、早く東場終わらせたいなぁ……)

タン

川内(本当は北場まで戦いたいけど半荘戦だからしょうがない!)

川内(早く、南場!)

島風「ポン」

川内「げ……」


――6巡目――

島風「ツモ!1本場でえーっと……1100オール!」

カッ

若葉(また高目の手を崩して安く和了っている……。早めの鳴きと和了りでリズムを作るタイプか……?)

阿武隈(でもその手を崩してまでの早和了りは理解できないんですけど……)

川内(また連チャンか……早く南場~!)



―――――――――――――
東家:島風   39,800

南家:若葉   33,400

西家:阿武隈  33,400

北家:川内   33,400
―――――――――――――


………………



――東1局 2本場 親:島風――

川内

タン

島風「チ……」

若葉「ポン」

島風「…………」

若葉(あまり島風に鳴かせたくないからな……)


――5巡目――

若葉

タン

島風「ロン。2本場で……んーっと6,400」

若葉「!」


カッ


若葉「やるな……!」

若葉(鳴かなくても和了るのか……!)


―――――――――――――
東家:島風   46,200

南家:若葉   27,000

西家:阿武隈  33,400

北家:川内   33,400
―――――――――――――


――東1局 3本場 親:島風――


――3巡目――

島風「リーチ!」

若葉(早い!)

阿武隈(ど、どうしよう……とりあえず回した方がいいのかな……)

川内(もう!これじゃ全然南場にならないじゃん!)

島風「……ツモ!」

若葉・阿武隈・川内(!?)

島風「リーチ、一発、タンヤオ、裏ドラが……1つ乗って満貫!3本場で4,300オール!」


カッ


川内(~~~~っ!)

阿武隈(うぅ……艦首直したばかりなのにぃ……、じゃなくて……)

若葉(打点が……高くなってきている……!?)



―――――――――――――
東家:島風   59,100

南家:若葉   22,700

西家:阿武隈  29,100

北家:川内   29,100
―――――――――――――


………………



――東1局 4本場 親:島風――

――3巡目――

島風「ツモ。ツモ、タンピン、三色、ドラドラで跳満」

阿武隈(なにこれ……意味分かんないよ……)

島風「4本場だからえーっと……もういいや、とにかく跳満!」


カッ


若葉「…………」

阿武隈「…………」

川内「…………」

川内(私の南場……)


―――――――――――――
東家:島風   80,700

南家:若葉   15,500

西家:阿武隈  21,900

北家:川内   21,900
―――――――――――――


………………


――東1局――

――5本場――

――親:島風――


――1巡目――

阿武隈(今までの流れだと……)

若葉(まさか……!)

島風

タンッ!!

島風「リーチ」

若葉(クッ……!ダブルリーチだと!?)

タン


阿武隈(う~、こんなの読めるわけないじゃん!)

タン


川内(南場南場南場南場南場南場南場南場)

川内「はやく……なんば……」


――みんなおっそーい!

――そんなにゆっくりしてたら置いてかれちゃうよ?

――麻雀でもスピードが絶対なの!

――速きこと……


タン…


島風「ロン」

川内「…………!」


――島風の如し……だよ!


島風「ダブルリーチ、一発、純チャン、ドラ1……あ、裏ドラが乗ってドラ3」

川内「あ……あぁ……」

島風「倍満」


カッ


―――――――――――――
東家:島風   112,500

南家:若葉   15,500

西家:阿武隈   21,900

北家:川内   -3,600
―――――――――――――

対局終了

………………



――『速きこと、島風の如し』

――彼女は度々自分をそのように形容します

――それは麻雀においても同様でした

――2回戦の始まりはまさに疾風迅雷

――圧倒的な力と速さを見せつけ、彼女は早々に3回戦への切符を手にしました

――そして彼女が起こしたその『風』は

――この2回戦に否応なく波乱を巻き起こさせる……

――そんな予感をひしひしと携えて、この闘気溢れる会場を駆け巡ることになります


………………


那珂「あ、お疲れ様ー。どうしたのー?」

ゴニョゴニョ

那珂「え、もう終わったところあるの!?」

那珂「…………」

那珂「……2回戦終わるまではいいよね」

那珂「『間宮』いってこよーっと♪」


………………

今日はここまでです。

まったり待っていただけると幸いです。

好きな艦娘が早々に負けてムカつかれる方もいるかもしれませんが

基本的に主要だと考えているメンバー以外の面子はダイスで決めています。

ご了承ください

では

乙です~
読んでて気になったのだけれど、
リンシャンツモは責任払いではないんですね?

>>207

鎮守府麻雀大会ではカンさせたときの責任払いルールは無しにしています(しました)。

何故かというほどではありませんが、この後提督以上の嶺上使いが……ゲフンゲフン。

同じく責任払いのルールに「包(パオ)」もありますがこちらは……

その時になったら考えます。

気長に待っていてもらえると嬉しいです。



――H-2卓 東4局――

涼風「リーチだね!」

タンッ

磯波(どうしよう……、でも逆転には、勝負に行かないと……)

タンッ

古鷹「カン」

高雄(親リーに対して暗カン……!?)

涼風(……良く分からないけどドラが乗るなら大歓迎だね!)

古鷹「もう1つ、カンします」

磯波(今引いた牌でカンなんて……)

古鷹「あ、もう1回カンです」

涼風・高雄・磯波(!?)

高雄(これは……)

磯波(でもまさか……)

涼風(えーっと……あまり考えたくないけど、もしかして……)

古鷹「ツモ!嶺上開花!」


カッ


涼風「やっぱりぃー!?」


………………


――F-1卓 南1局――

大井

タンッ

北上「あ、大井っちそれロン」


カッ


北上「いやー悪いねー」

大井「全然いいんです北上さ~ん」

天龍(なんであんな危険な牌を……)

熊野(先程から一体なんですの!?差し込みが露骨すぎますわ!)

天龍(でもコンビで打つメリットなんかないはずだろ……?何考えてんだ大井の奴……)

大井「…………」


………………


――D-1卓 東3局――

瑞鳳(な、なんだろうこれ……)

タン…


弥生(なにもおかしくない……いつも通りの麻雀……のはず)

タン…


足柄(でも何かしら?この妙な感じ……手ごたえを感じないというかなんというか……)

タン…


雪風「~♪」

トン


――まるで見えない敵と戦っているような……


………………


――島風さんを皮切りにこの2回戦はいよいよ波乱の様相を呈してきました

――そしてそれは提督が闘うC-1卓でも……



――C-1卓 東2局 親:五十鈴――


―――――――――――――
北家:提督   37,000

東家:五十鈴  34,000

南家:金剛   34,000

西家:加古   34,000
―――――――――――――


――1回戦と比べてその立ち上がりは静かでした

――提督の先制リーチに対して3人はベタオリを選択

――そのまま流局で提督だけがテンパイ、3人はノーテン罰符を払い東2局へと入りました



――3巡目――

提督(固い打ち回しだな)

タンッ

提督(さて、どのように崩していこうか)


五十鈴(……もう少し待ちなさい五十鈴、対潜戦闘を思い出して)

タンッ

五十鈴(攻撃は相手の姿が見えてから、今はまだソナーの時間よ)


金剛(さて……)

タンッ

金剛(この卓でアレができるのはワタシと提督だけ……)

金剛(提督はなるべく使わないようにしているみたいですケド)

金剛(どうでてきますかネー)


――8巡目――

加古(お……張った)

加古(んー、どうすっかなー。高い手ってわけでもないし……)

加古(……まぁいっか、あー眠くて頭が働かねー)

タンッ

加古「リーチ」


提督(追うか?いや……)

タンッ

提督(やめておこう、点棒が無駄になりそうだ)


五十鈴(見えた!)

タンッ

五十鈴「リーチ!」


提督(ここでツモ切りリーチ……!?)

金剛(What?)

金剛(誰かがリーチをかけるのを待ッテイタ?)

タンッ

金剛(その追っかけリーチ……見させてもらうネ)


加古

タンッ

五十鈴「ロン!リーチ一発!」


カッ


加古(イタタ……少し目が覚めたかも)

加古「あーあ、ツイてないなー」

五十鈴「あら、追撃戦は五十鈴の十八番よ?」

加古「……うーん、なるほどなー」

提督(なるほど……)

金剛(なるほどネー……)



―――――――――――――
北家:提督   37,000

東家:五十鈴  37,300

南家:金剛   34,000

西家:加古   31,700
―――――――――――――

………………


――東2局 1本場 親:五十鈴――


五十鈴(裏ドラが乗らなかったのは残念ね……、乗れば少し楽に打てたのだけれど)

五十鈴(追っかけリーチも見せちゃったし、次はどうしようかしら……)

タンッ

五十鈴(……提督もいるんだし、出し惜しみなしでいきましょう)


金剛(誰かがリーチをかけた直後に追っかけリーチ、ツモにならなければ自動的に切られる牌で打ち取る……)

タンッ

金剛(まともに打てば結構厄介かもネー、ちょっと仕掛けてみようカナ?)


加古(あ、やっぱ駄目だ……、眠い……意識が……)

タンッ

加古「…………スゥ」



提督(五十鈴め……なかなか面白い打ち方をするな)

タンッ

提督(できれば正攻法でぶつかりたい気持ちもあるが……)


――10巡目――

金剛「Hmm……ここはリーチしましょうかネー」

タンッ



提督(ダマで待たないのか)



五十鈴(さっきのを見てリーチを仕掛けるの?何かあるわね……でも!)

タンッ

五十鈴「リーチ!」

五十鈴(ここはあえて追いかける!)

金剛

…スッ


提督(!)

タンッ

五十鈴(当たらない!?)

金剛「ふー、どうやら通ったみたいですネー」

五十鈴「くっ……!」


――13巡目――

五十鈴(さっきから躱されてばっかり!)

五十鈴(なんなのよもう!)

五十鈴(あ……)

五十鈴(ここでこんな牌が来るなんて……嫌な流れね)

五十鈴(ええい、潔くいきなさい!ままよ!)

タンッ


提督(振ったか……その牌は金剛のド本命、この局はこれで……)

金剛「…………」

五十鈴(と、通った……!?)

提督(一体、何を考えているのか……)

金剛

タンッ

五十鈴「あ、ろ、ロン!」


カッ


金剛「Oh shit!やっぱり悪運は長く続かないネー」

五十鈴(今のって……明らかに不自然よね)

五十鈴(何か狙いがあるの……?)


金剛「…………」

金剛(五十鈴、これはプレゼントですヨ。何も知らないあなたから点棒を奪うなんてできないからネー)

金剛(勝負はフェアだから面白いものになるのデース)

金剛(真正面から打ち合いましょう提督ぅー。私だけを見て下さいネー)

金剛(目を離しちゃNo!……なんだからネー)


提督(なるほど……露骨なすり替えをしたと思ったら……)

提督(『出来るのはあなただけではない』と言いたいのか)

提督(つまりお前はそういう勝負がしたいんだな?)

提督(先程の山城と同じような気配を感じる……、どのみちお前は倒さなければならん)

提督(その勝負乗った。……俺から目を離さないようにしておけよ)

金剛(始めましょうカ……)



――不正々堂々の勝負を!



―――――――――――――
北家:提督   37,000

東家:五十鈴  43,100

南家:金剛   28,200

西家:加古   31,700
―――――――――――――





五十鈴「…………」

五十鈴(五十鈴の連チャンなのにすごく蚊帳の外に感じるのは何故……!?)


………………

今日はここまでです。

これからは「投下します」と言わないで投下します。

では


>>215の点数
1局目の提督のリー棒と加古のリー棒で+2000点なのと
五十鈴が親やから立直1発のみやったとしても+3300は少ないと思う
後流れ1本場から五十鈴の親連荘なら2本場じゃね

>>225

今回は書いた後にまとめて計算していたので間違えてしまいました。

また、正直に申しますと>>1は流局して1本場になる状況があることを知りませんでした。

ルールを確認しましたので次回の投下から適用し、正しい点数もそのときに修正します。

ご指摘ありがとうございました。

修  正  し  ま  し  た


――2回戦終了後 鎮守府内 廊下――

スタスタ……

提督「今回も何とか生き延びたな……」

大淀「金剛さんもまた、油断ならぬ強敵でしたね」


提督「ああ、あいつのすり替え技術は見事なものだった。少しでも気を抜けば負けていただろう」

大淀「確かにそうですね。ですが提督、この大淀、今回の苦戦の原因は他にあると思います」

提督「…………」

大淀「私は素人ですから本来口出しできるような立場でもないんですけど……ご自覚なさっていますか?」

提督「いや、だから、一度でも金剛から意識をそらしてしまえば負けてしまう状況であってだな……」

大淀「1対1の勝負にこだわったあまりに途中2人で沈みかけたじゃないですか!」

提督「…………」


大淀「加古さんや五十鈴さんは普通に打っていたのに!」

提督「ぐはっ」

大淀「『慢心は敵』といつも仰っているのは提督じゃないですか!」

提督「むぅ、……確かに油断の心があったかもしれない。五十鈴はあの追っかけリーチ以外にも隠し玉を用意していた」

提督「いや、あれはまさに『隠し弾』といったところか」

大淀「上手いことを言ったつもりですか!」


提督「加古に至っては予想すらできなかった。寝た方が強い雀士というのは初めてだったものでな。だが……結果オーライだ」

大淀「……どうしてそんなに笑っていられるんですか」

提督「ん?」

大淀「あまり……考えたくはありません。ありませんが。それでも私は、もしものことを考えてしまうんです……」

大淀「トビで大破……決して小さくは無い被害ですが、それでも最悪の事態だけは避けられています」

提督「…………」

大淀「でもそれはあくまで私たち艦娘での話です!もし、提督が飛ぶようなことにでもなったら……!」

金剛「Hey!提督ぅー!お疲れさまネー!一緒にお風呂入りまショウ!」


大淀「!」

提督「こ、金剛!お前何言って……!」

金剛「いいからいいから!あ、OH淀!」

大淀「大淀です」

金剛「提督も疲れてるみたいだし、ちょっと借りてくネー!私の代わりに3回戦でも頑張ってもらわなきゃ!」

提督「上官の腕を引っ張るな!大淀、お前も何か言ってくれ……」

大淀「…………」

提督「大淀?」


大淀「……分かりました。スキンシップは程々にして下さいね」

提督「おい大淀!?」

大淀「提督もお疲れでしょうから3回戦までどうぞごゆっくり」

提督「お、怒ってるのか?」

大淀「怒っていません」

提督「わ、悪かった!もう慢心はしないから!だから怒らないでくれ!」

大淀「ど う ぞ ご ゆ っ く り」


金剛「No problem!心配しなくても大淀が考えてるほどの過激なスキンシップはしまセーン!」

大淀「な、何を!私はべ、別にそ、そそ、そんな……」

金剛「アハハ!大淀の反応はカワイイデース!」

大淀「か、からかわないで下さい!そんなこと考えていませんから!」

金剛「まぁそれでもいいケドさー、もっと素直にならないと……」スッ

大淀「あ……」

金剛「ワタシが提督を奪っちゃいますヨ」ボソッ…

大淀「~~~~っ!」


金剛「さ、提督。Let’s go!」

提督「だから引っ張るな金剛!大淀、俺が悪かった!だから怒らないでくれぇぇぇ」


………………


――鎮守府内 廊下――


提督「金剛、自分で歩くからもう離してくれ」

金剛「…………」パッ

提督「すまない、助けてくれて感謝する。あやうく大淀を怒らせるところだった」

金剛「それは深読みのしすぎというものデース、それにしても……やっぱり違いマス」

提督「え?」

金剛「さっきと今、謝り方が全然違いマス。提督は大淀に頭が上がらないんですネ」


提督「あいつは怒らせると怖いんだ」

金剛「何かあったんデスか?」

提督「お前が来る前に色々とな」

金剛「ふーん、その割に普段は偉そうデース」

提督「あのな、偉そうじゃなくて偉いんだ。上官が簡単に部下に頭を下げてしまっては示しがつかん」

金剛「なるほどネー、仕事のときはしっかりとわきまえるんデスか」


提督「当たり前だ。それで、だ」

金剛「?」

提督「その……、一緒に風呂に入るというのは無しだ。風紀の問題もあるし、それに……」

金剛「え、本気にしてたんデスカ?」

提督「何!?う、嘘だったのか?」

金剛「もしかして期待してタ?」

提督「そ、そんなことはない!」

金剛「さすがに全面否定はショックデース……」

提督「す、すまない!お前が悪いわけではなくてだな!」

金剛「アハハ、提督も大淀と同じでからかうのが楽しいデース」

提督「お前なぁ……」


金剛「でも大淀に心配かけたらNO!なんだからネ!……じゃないと彼女を悲しませてしまうネ」

提督「金剛……」

金剛「フフッ、じゃあお風呂に行ってきマース。提督も少し休んだ方がいいデスヨー」

提督「……すまない、ありがとう」

金剛「それは大淀に言うセリフデース。……バーイ」

金剛(提督ったら……頭下げてマスヨ)

金剛(大淀ももっと素直に自分の気持ちを伝えたらいいのに……)

金剛(そういえば、提督と一緒に2回戦へ進んだあの子はどうしたんでしょうネ……?)

金剛(あの子は言動のわりに、少し素直すぎますけど……)


………………

今日はここまでです。修正した上でテンポを考えてこうしてみました。

>>225ごめんなさい。

もし声があれば全てが終わった後に番外編としてこの2回戦を投下するか考えます。

次からは2回戦 曙編のスタートです。

では

(全て終わるかは今のところ分からん)


――時は遡る

――2回戦開始直前 B-2卓――

曙 (ここね……)

曙 (全く……扶桑も勝手なことしてくれるわよ)

曙 (席を譲られてすぐに負けたら大恥じゃない!)

曙 (いや、それよりも無様に負けたら今度こそ、私は自分を許せなくなりそう)

曙 (なんか『間宮』のこととかどうでもよくなっちゃたわ。もっとシンプルにいきましょう)

曙 (勝つ!)

卯月「じゃじゃん!次の場所はここでぇ~す!ぴょん」


曙 「げ」

卯月「開口一番の『げ』はひどいぴょん!」

曙 「そう思われたくなかったらそのキャラを止めるべきね」

卯月「これはキャラじゃなくて、うーちゃんのアイデンティティだぴょん!ぷっぷくぷぅ~!」

曙 「ウザい」

卯月「むぅ~、まぁそれはさておき……よろしくぴょん」

曙 「……いいわ、相手してあげる」

曙 (こうゆうのが一番苦手だわ……)


陽炎「あっ、2人もここなんだ?」

曙 「か、陽炎」

卯月「陽炎もぴょん?ぷっぷくぷぅ~」

陽炎「ぷっぷくぷぅ!その通り!2人ともよろしくね!」

卯月「よろしくぴょん!」

曙 「……よろしく」

曙 (陽炎……別の意味で苦手だわ……。でも苦手とも少し違うような……、あれ……なんだろうこの感じ?)

霰 「別の……世界の話……」ボソッ

曙 「ひゃん!?」


陽炎「霰じゃない!霰ももしかしてここ?」

霰 「そう」

曙 「いきなり近くで話しかけないでよ!びっくりするじゃない!てか、何?別の世界?」

霰 「たぶん私も……曙もそう……陽炎と一緒に戦っている……はず……」

陽炎「いつも一緒に戦ってるじゃない。霰とは昔も第十八駆逐隊として戦ってたし」

霰 「史実のような……昔ではないの……」

陽炎「ふーん、よく分かんないけど、とにかくよろしくね!」

霰 「よろしく……」


曙 (なんなのよもう!)

卯月「それより面子が揃ったぴょん!」

曙 「霰で4人目ってことは……」

陽炎「駆逐艦対決ね」



――その言葉を4人が認識した瞬間、静かなる火花が彼女たちの視線と視線の間に飛び交った

――ここに提督でないものがいるのであれば、それが何を意味するのかを含めて説明しなければなるまい


――基本的に体の小さい駆逐艦の戦い方は、大口径主砲を有する戦艦とは根本的に違う

――戦艦は自身の主砲を存分に使った砲撃戦を華とする

――それに比べれば駆逐艦の砲撃など豆鉄砲に等しい(それでも例外は存在するが)

――だが駆逐艦の真の武器はその主砲ではない。彼女たちは別に持っている、巨大な敵の喉元に突き立てる牙を!

――『魚雷』

――それは彼女たちや軽巡を含めた水雷屋の魂である


――しかし悲しいかな、この魚雷という武器は戦艦の持つ主砲に比べて圧倒的に射程が短い

――仮に彼女たちがその牙で戦艦の喉元に噛みつこうというとき、彼女たちはかいくぐらなければならない

――嵐のような砲火の中を何も着ていないのと変わらないような装甲で!

――それが駆逐艦ならなおさらである

――だから彼女たちは戦艦や空母とはまた違ったプライドを持っている

――どんな性格をした駆逐艦でも、戦いとなるとその闘争心は人一倍強く、熱く燃え上がるのだ

――さらに同じ駆逐艦同士で戦うとあればもう止まらない……

――面子が全員駆逐艦だというこの状況が呼び覚ましたのだ!彼女たちの心に棲む獣を!


卯月(うーちゃん……負ける気がしないぴょん!)

陽炎(この中で誰が強いか、はっきりさせなきゃね!)

霰 (やって……やる……)

曙 (いよいよね……)

曙 (絶対に……勝つ!)


――闘牌開始――


………………


山城「始まりますね……姉様」

扶桑「そうね、山城。あの子がどこまで行けるか、せめて見守りましょう」

山城「ふん、わざわざ姉様が勝ちを譲ったんです。すぐに負けては話になりません」

扶桑「ふふ、そうかもしれないわね」

山城「それにしても姉様」

扶桑「なあに?」

山城「提督の試合は……見なくてもいいんですか?」

扶桑「気になる?」

山城「べ、別にそんなことは」


扶桑「……あの人は多分大丈夫よ。案外あっさり優勝してしまうのではないかとも思うの。
   
   なんとなく……、そう、本当になんとなくなのだけれど……」

山城「そう……ですね。それはそうと……あの……姉様?」

扶桑「なあに?」

山城「私はすごく嬉しいんですけど……その……腕を組むのは少し……恥ずかしいです」

扶桑「そうかしら?」

山城「せめて……手をつなぐとかにしてもらえないでしょうか?」

扶桑「…………」

山城「…………」

扶桑「うふふ、だーめ」

山城「そんな~」


………………


―――――――――――――
東家:陽炎  35,000

南家:霰  35,000

西家:曙  35,000

北家:卯月  35,000
―――――――――――――


――東1局 親:陽炎――


陽炎「よし!いくよ!」

タンッ


霰 「負けない……」

タンッ


曙 「こっちのセリフよ」

タンッ


卯月「…………」

曙 「……あんたの番よ。ほら、さっさとツモったら?」

卯月「……うーん」

陽炎「どうしたの?お腹でも痛くなった?」

卯月「いやぁ~、たいしたことじゃないぴょん。でも」

霰 「なに……?」

卯月「うーちゃん今日はかなり調子がいいみたいだぴょん。なんか……」

陽炎「?」

卯月「牌が透けて見えるような……」


曙 「…………」

陽炎「…………」

霰 「…………」

曙 「…………ぷ、くくっ、あはははは!何それ!牌が透けて見える?あははっ、ちょっと……ふふ、笑わせないでよ!」

卯月「うーちゃん嘘はつかないぴょん」

霰 「それは……ブラフ……」

陽炎「うーん、いくら私が馬鹿だったとしてもさすがにそれはハッタリだってわかるよ」

曙 「ちょっと陽炎!なに真面目に返してんのよ!ぷっ、ふふ……」

卯月「曙のツボに入ったようでなによりだぴょん。でも……」

スッ、タンッ



山城「ツモった牌を……裏返しのまま河に置いた……?」

扶桑「どういうことかしら……?」


曙 「……なにしようっての?」

卯月「もちろん、証明だぴょん」

曙 (こいつ、本当にわかってるつもりなの?)

卯月「この牌は……」

陽炎(ハッタリ……だよね?)

――ピンズの8……!

クルッ

曙・陽炎・霰「!!」



山城(あ、当たってる!?)

扶桑(これは……)



卯月「だから嘘じゃないって言ったぴょん」


………………


――3巡目――

陽炎(牌が透けて見える……)

霰 (目の前で……見せられた……けど)

曙 (もしかしてイカサマってやつ……?)

卯月

タンッ

卯月「ふんふんふ~ん♪……ちなみにうーちゃん、イカサマはしない主義だぴょん」

曙 (こいつ……)


――6巡目――

陽炎(考えてもわからないなら……!誰よりも先に和了るだけだよ!)

陽炎(来た!)

陽炎「リーチ!」

タンッ

陽炎(萬子の2、4、5、7で和了りの4面待ち……!)

陽炎(牌が見えるならかわしてみなよ!)


霰 (現物……)

タンッ


曙 (なんかヤバい感じがするわね……)

タンッ

曙 (ここは素直にオリるか)

曙 (さて、私のお隣さんはどうするか……)


扶桑(陽炎ちゃんの待ちはどうも萬子くさいわね……)

扶桑(さっき自分のツモを言い当てて見せた彼女の手牌は……)

卯月「ふーんふんふん……♪」

扶桑(あ……!)

扶桑(明らかに手牌の中で浮いている五萬……)

扶桑(引いてくる牌次第では真っ先に切りだされる牌……)

扶桑(どうなるか……)

卯月

スチャ


扶桑(引いてきた!テンパイ!でもこれで切り出されるのは五萬……)

扶桑(陽炎ちゃんの捨て牌からでは、待ちが萬子くさいというだけで確証はない)

扶桑(逆に言えばその五萬は通る可能性もあるってことだけれど……)

卯月

タンッ

扶桑(テンパイに取らず回した……まぁ妥当な打ち回し……)

扶桑(でもきっと何かある……そうでなければ、あんなパフォーマンスをする意味がないもの……!)


――7巡目――

卯月

スチャ

扶桑(ここで五萬を引いてきた……とりあえず浮いているところをどうにかできたわね)


――8巡目――

卯月

スチャ

扶桑(!)

扶桑(また……五萬!?)

扶桑(さっきまで明らかに浮いていた五萬を暗刻にするなんて……)


――9巡目――

卯月

スチャ

扶桑(今度は四萬……また危なそうなところを……)

卯月

タンッ


――11巡目――

卯月

スチャ

扶桑(……なんてこと)

扶桑(また連続で四萬が手元に……)

扶桑(もう1つ暗刻を作るなんて……)


――流局――

陽炎「テンパイ」

扶桑(陽炎ちゃんはやはり萬子待ち!しかも……)

曙 (親の先制リーチで4面待ちって……)

霰 「ノーテン……」

曙 「ノーテン」

卯月「テンパイだぴょん」

陽炎(!)


陽炎(当たり牌の半分以上が握りつぶされている……!)

卯月「ふー、危ない。面子ができていなかったら振り込むところだったぴょん」

扶桑(実際できていなかったのだけれど)



―――――――――――――
東家:陽炎  35,500

南家:霰   33,500

西家:曙   33,500

北家:卯月  36,500
―――――――――――――

※親がテンパイしていた場合は連荘となる


………………

中途半端ですが今日はここまでです。

更新ペースは遅くなるのに文章の量は増えていないという

では


――東1局 1本場 親:陽炎――

――7巡目――

陽炎「リーチ!」

タンッ

曙 (リーチが早い、というより駆逐艦の中じゃここまでリーチを仕掛けてくる奴も珍しいわね)

陽炎(敵の姿が見えないならなるべく先にリードを取っておきたい……!)


山城「リーチを仕掛けるのが早いですね」

扶桑「駆逐艦の子たちは鳴きからの早和了りを好むってって聞いていたけど」

山城「曙がその典型ですね」

扶桑「そうね。でもこの卓では少し様子が違うみたい……」


霰 「リーチ」

卯月(追っかけリーチ……)

曙 (それはともかくまずは……)

曙 「チー!」

曙 (一発消し!)

タンッ

卯月(…………)

スチャ


山城「姉様……あれはもしかして……」

扶桑「えぇ後ろから見たら一目瞭然だわ。あなたのその考えは多分当たっているわよ」


タンッ


――流局――

陽炎「……テンパイ」

霰 「テンパイ」

曙 「ノーテン」

卯月「テンパイだぴょん」

陽炎(くっ……!また和了り牌が向こうへ流れてる……!)

卯月「いやぁ、さっきから紙一重の状況が続いてるぴょん。油断ならないぴょん」

霰 「…………」

卯月「霰の和了り牌も手牌の中に結構あるぴょん!ふー、一歩間違えてたらどうなっていたことやら」

霰 「…………」


卯月「曙はさっきからノーテンだけど大丈夫ぴょん?」

曙 「まだ東1局でしょうが、調子に乗るのはまだ早いんじゃない?」

卯月「それもそうだぴょん!ぷっぷくぷぅ~」

曙 (あぁ!むかつく!)

曙 (そんなに点差がついたわけでもないのに、この調子の乗り方はよっぽどの自信家か……)チラッ

曙 (…………?)


――卯月から目を背けるように霰の方を見ると

――曙は感じた。偶然に起きた微かな違和感

――リーチを連続でかわされたことに歯噛みする陽炎と、かわしたことで調子に乗る卯月は気づかない

――卓の上に微かに漂う異臭。その残り香に……!


曙 (どうして……ノミ手のリーチをかけるの?)

曙 (前の捨て牌さえあればもっと高い点数も狙えたのに……)

曙 (裏目を?いや、終盤ならともかく早めに仕掛けた陽炎と合わせたような追っかけリーチ)

曙 (ということはもともと好配牌だったはず)

曙 (なのにわざわざ手を安くした?いったい何で?)

曙 (待って、待って待って、違うわ。これは手を安くしたんじゃなくて……)

――待ちを広くした?


曙 (!)

曙 (そうか!そういうことね、霰!)

曙 (見えたわよ!あんたの狙い!)



―――――――――――――
東家:陽炎  35,500

南家:霰   33,500

西家:曙   30,500

北家:卯月  37,500
―――――――――――――


――東1局 2本場――

――7巡目――

陽炎(リーチをかけたら和了り牌が流れる?)

陽炎(だとしても……!)

陽炎(今は致命的な一撃をまだ受けたわけじゃない)

陽炎(ならば……もっと寄る!)

陽炎「リーチ!」

陽炎(まだまだ行くよ!)


山城「また先制リーチ……」

扶桑「あれだけ和了り牌を吸い取られても、なおこの仕掛け方。普通は流れが変わってもおかしくないはずだけど」

山城「……元々のツキが太い?」

扶桑「ええ、ちょっと……うらやましいわね」


霰 (予想より少し早い……)

タンッ

霰 (まだ……)


曙 「ポン」

タンッ

曙 (あたしはリーチじゃないけど……)

曙 (少しは協力してあげる)


――11巡目――

霰 「リーチ」

曙 (きた!)

曙 「チー!」

タンッ

曙 (さぁ張った!)

卯月「…………」


――数巡後――

卯月(うっ……!)


山城「これは……」

扶桑「面白い状況ね……、卯月ちゃん以外の3人はテンパイ確定」

扶桑「落とし損ねた自分の手牌とこの数巡で引いてきた牌、さらに3人の待ちを考えると……」

山城「……手持ち全部が危険牌!?」

扶桑「さて、どうするのかしら?」


曙 「ロン」


カッ


卯月「ぐはぁ!」

陽炎(振り込んだ!?)

曙 「西、対々和。6,400」

卯月「うー……」


曙 「牌が見えても切る牌はどうしようもない。全部あたりなら関係ないってことよ」

曙 (どんな兎も隅に追いやられればこっちに向かってくるしかないってね)

卯月「ま、まさかそんな弱点があるなんて……」

陽炎(あ、そういうことか)

曙 「ま、気づいたのは霰なんだけどね。そうでしょ霰?」

霰 「…………」

曙 「霰?」

卯月「はい!点棒だぴょん!」

曙 「うわ!……ちょっと!大きい声出さなくても聞こえるわよ!」

卯月「あはは、ごめんだぴょん!」

曙 「まったく……」


卯月「…………」

卯月(曙と陽炎はいいとして、霰は要注意だぴょん……)

卯月(でもその霰も、うーちゃんの能力を見破ったから多少は隙ができてるぴょんね)

卯月(だから今は少しばかり華を持たせるのが正解。しばらくは気持ちよく打ってもらうぴょん)

卯月(点棒をしばし放すその間、代わりにうーちゃんは皆の「心」をじわじわと頂くぴょん)

――きれいな花には棘があり

――かわいい兎は毒を持つ

卯月(せいぜい気を付けるぴょん)


………………

今日はここまでです。

更新はしばらくこんな感じかもしれません。

では

諸事情によりこのまま書き続けるのが難しくなりました。

話も中途半端ですが、勝手ながらここで一旦終わりにさせていただきます。

もし再開の目処が立てば次スレに書き込むかもしれません。

では

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