京子「ごらく部日誌、0冊目?」 (31)

<春先・結衣宅>


結衣「…………」ぴこぴこ

京子「……まだレベル上げやってるの?」

結衣「次のボス、強そうなんだよな。今のままじゃ怖くて」

京子「絶対大丈夫だよ……道中の雑魚キャラ一発で倒せるならボスに苦労することないって」

結衣「でもレベル高いに越したことはないだろ?」


京子「時間の使い方がもったいない気がするんだよな~……まさか一人暮らし始めたのってゲームの時間確保するため?」

結衣「違うよ……人生経験とかって、前にも話したろ」

京子「でもゲームし放題な環境を作りたかった気持ちはゼロじゃないでしょ?」

結衣「…………」

京子「……結衣さん、黙ってても顔に出てますよ」

結衣「……ま、まあ、いろいろな希望が重なって、一人暮らししたいってことになったんだよ」

京子「あらあら……もっともらしい理由つけてわがままを叶えたなんて、ある意味子供っぽいね?」

結衣「なっ……別にもっともらしい理由じゃない! ちゃんとした目的って言うんだ」

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京子「ま、自由に遊べる環境ができて私も嬉しいけどねー。あかりやちなつちゃんもごらく部に入ってくれたし、二年生は今まで以上に楽しい年になりそうだ!」

結衣「そうだな……って、あれ、もうこんな時間か」


結衣「京子、昼食べてく?」

京子「ごちそうになってもいいよ」

結衣「何様だ……というか、今うちロクな食材無いんだよ。ちょっと買い物行ってくるね」

京子「そうなの? じゃあ私お留守番しててあげるよ!」

結衣「外行くの面倒なだけだろ……もっともらしい理由つけるな」

京子「留守番だって大事な仕事だよ」

結衣「まあいっか。それじゃ、留守番頼むぞ」

京子「ほーい」

結衣「部屋散らかすなよな。あと机探ったり物置探ったり……とにかく色々探るの禁止」

京子「へーい」

結衣「電話とか来るかもしれないけど、気にしないで出ちゃっていいよ。京子なら大丈夫だと思うから」

京子「はいはーい」

結衣「あとそれ、もうちょいレベルあげといて」

京子「もー早くいけよぉ! 買い物ったって一時間二時間かかるわけじゃないんだからさー、大丈夫だって!」

結衣「京子を一人にするの心配なんだよな……まあいいや、大人しくしてろよな」

京子「わかってますよー」

結衣「アイス買ってきてやるけど、変なことしてるの見つけたら私が食べちゃうからな?」

京子「どんだけ信用無いんだ私は……」

結衣「自分の胸に聞け……じゃあね」ぱたん


京子「…………」



京子「…………」そーっ


結衣「…………」とことこ

京子(よしよし、行ったな……)にしし



京子「よっしゃ! 結衣の机漁るぞーー!!」ばーん


京子(なんかしらあると思うんだよな~……ちょっと見ちゃおー)わくわく

京子「なんか日記的な、黒歴史的な、京子ちゃんへの書いたけど渡せてないラブレター的なのでも出てきてくれたら楽しいんだけど……」ごそごそ


京子「……うーん、学校関係のばっかだな」


京子「それにしても結衣、ノート綺麗にとってるなぁ……こういうのちゃんと書くの好きって言ってたっけ」


ぱたっ


京子「ん? これは……」ひょいっ



京子「ごらく部日誌……0冊目!?」


京子「え!? みんなでつけてる日誌って、確か部室に置いてるよね……っていうか、0冊目ってなんだ!? 初めて見たぞ!」


京子(何か楽しいものが書いてある予感……!)きらーん

京子(今年の……3月から始まってるのか。なんだ、超最近じゃん)ぺらぺら



[3月2日(月)


今日から部日誌をつけてみることにした。

もうすぐあかりが入学してくるので、それに備えてごらく部がどういうことをしてたかを説明しやすくするため、という理由にしておく。

というか、ごろごろしてるだけで貴重な中学生活が過ぎていくのは思い出にも残らないし、良いことじゃない。

せっかくなので、京子に秘密でつけていこうと思う。あかりが来たら、本当の1冊目となるものを皆でつければいい。だからこれは0冊目なのだ。

ちなみに今日は、だらだらしているだけだった。]



京子「なんだこりゃ……日記の中でももっともらしい理由つけてるよ、結衣」くすくす

京子「っていうかなんで日誌つけるのを私に秘密にするのかわからん! せっかくってどういう意味なんだ……?」


京子「……と、とりあえず次のページ見るか」ぺらっ


[3月3日(火)


今日はひな祭りだ。……だからといって書くことはない。

一応ひなあられを持って行ったが、特に気にすることなく食べてしまった。

今日も、だらだらしてるだけだった。]



京子「おいおい! 部日誌つける宣言の翌日からいきなり書くこと少ないな!」

京子「結衣の奴、意外と三日坊主なのか……? こんなことなら私に任せてくれた方が色々書いたのに」


京子「うわ、しかも次のページからどんどん文章量減ってってるよ……! つまんない日誌だな……」ぺらぺら

京子「……あれ!? なんか急にここから文章量が増えてるぞ」


京子「3月20日……? なんの日だっけ?」



[3月20日(金)


なんか京子が今週末やけにうちに遊びに来たがる。

何かあるなと思っていたが、どうやらこいつ、私の部屋に自分への誕生日プレゼントがあると踏んでそれを探りに来たいようだ。

遊ぶのは構わないが、部屋を探られるのは困る。というか私、まだ京子への誕生日プレゼントを用意していない。

今年は何にするか、少し前から考えていたが……いい案が思い浮かばないまま今の今まで忘れていた。思い出させてくれた京子に少し感謝だ。

京子の誕生日は28日。土曜日なので一日中暇だろう。

あと一週間か。何をプレゼントしようか、未だに思い浮かばない。

明日一緒に遊びながら、欲しそうなものとかを聞き出せたらいいけど。


……なんかこの日誌、だんだんただの日記みたいになってきた。]



京子「私の誕生日の前か……悩みが書いてあるんだな」

京子「っていうか結衣、この日まで誕生日忘れてたのか……だらだらしすぎだな、まったく」


[3月23日(月)


今日、京子がとんでもないことをやりだした。

「歳納京子 生誕5日前記念パーティーーー!!」と高らかに宣言したかと思えば、どこからかクラッカーを取り出してぶっ放した。

この部室無断で使ってるのに、うるさくしたら先生にバレるとか考えないのだろうか。

というか、5日前記念パーティーってなんだ。なんでそんなものを記念してしかも自分で祝うのかわからないが、ひとつまずいことがある。

先週から悩んでいた京子へのプレゼントが未だに決まってない。


土曜日は確かに遊びに来た。言葉に表さないものの、露骨なほど部屋をきょろきょろしたり、私がトイレに行こうとしてドアから聞き耳を立ててみたら予想通りごそごそと何かを探してる音がしたり……

なんでこいつはそんなにプレゼントを事前に知っておきたいのだろうか。驚きが無くなるし良いことなんかないのに。

もちろんこの時も用意してなかったので、結局何も見つかられることなく終わった。日曜日は私が用事があるから遊べなかった。

ということで、京子が欲しいものを事前に調べておくことができなかった。それなのに今日、生誕5日前記念パーティーという名のいつもと変わらないお菓子お茶タイムの中で、「プレゼント楽しみにしてるからね!」なんて言ってきやがった。

ハードルだけが上がってしまった。どうしよう……

明日には良い答えが出てることを祈って、筆をおくことにする。


……この日誌、もはや私の悩みメモだ。来年度に見せるように始めたけど、あかりにも京子にも見せられないな。]



京子「やったなー、生誕5日前パーティー……ここでもまだプレゼントって決まってなかったんだ」

京子「あの日私が結衣の部屋で隠してあるであろうプレゼントを探してたこと、バレてたんだな……だからさっきも、私を一人にするの心配とか言ってたのか」

京子「というか、待てよ?」


京子「結衣がこの前の私にくれたプレゼントって、確かさあ……」


京子「今も私のカバンについてる、この変な手作りのお守りなんだよね……!!」


京子「…………」


京子(い、いったいこの日記がこれからどうなってこのお守りに結びつくっていうんだ……!?///)



ぺらっ


[3月24日(火)


今日は修了式だった。

……完全にバカをやってしまった。もうごらく部という名目で一緒にいることができなくなってしまった。忘れてた。

結局昨日も良いアイデアは出ず、というか来年度から一人暮らしをしたいという計画の話がいよいよ大詰めになってきて、それでモメていたので忙しかった。

やっぱり心配だと親が言ってきて、ここにきて話が覆りそうなのである。負けちゃいけない、なんとしても一人の自由空間を勝ち取らなければ。

中学生で一人暮らししてる人なんて全然いないんだし、他の子にできない貴重な経験を積ませられるチャンスだとは思わないのだろうか。頭の固い親だ。


……話を戻すが、京子のプレゼントがまだ決まっていない。もう誕生日はすぐそこまで来てしまっている。何かハンドメイドで渡したりするならさすがに取り掛かり始めないとまずい。

ということで、明日も遊びに誘ってみた。「誕生日プレゼント何がいい?」とダイレクトに聞いてみる作戦だ。なんなら、そのまま一緒に買いに行ってもいい。

一週間以上前から私の部屋にプレゼントが無いか探しにくるようなやつだ、今更サプライズじみたことはする必要ない。

今日は忙しいとして、明日から数えて誕生日まであと3日。全然ない。やばい。


とりあえず今日のところは、親との最終決戦に向けてもっともらしい理由をたくさん考えておこうと思う。輝かしい未来のために。]



京子「……結衣の文って、ラノベの主人公みたいだな……」


京子「というか、やっぱり人生経験だなんだはもっともらしい理由なんじゃんか……よっぽど一人暮らしに憧れてたんだなぁ」


京子「えーと……この日の翌日、私は結衣と遊ぶのか。何やったか全然思い出せないや……」



ぺらっ


[3月25日(水)


バカ京子。バカ。バカ。


今日は予定通り京子と遊ぶ日だった。「誕生日プレゼント何がいい?」と直接聞いちゃおう作戦を実行するためだったのだが……

京子のやつ、私の部屋にやってくるなり「いやー私今朝さ、結衣からものすごい誕生日プレゼント貰っちゃう夢見たよ!! なんだと思う!? ハーゲンダッツのラムレーズン一年分でしょ、私が欲しかった漫画全巻セットでしょ、新しいパソコンでしょ、あとスポーツカーでしょ、それから……」とかわけのわからないことを言い出した。


ふざけるのもいい加減にしてほしい。なんだそのバカげた夢は。フレンドパークのダーツで「ぜんぶ」に当たった人じゃあるまいし、中学生がそんなプレゼントをもらえる機会なんてあるわけないだろ。乗れないのにスポーツカーなんてもらってどうするつもりだ。

というか、仮にそんな夢を見たとしてもふつう私に言うべきじゃないと思う。プレゼントはまだ用意していないが、用意の如何にかかわらず絶対に言っちゃダメだと思う。もし私が京子のために手づくりマフラーとかを編んでいたらどうするつもりだ? 手作りマフラーとスポーツカーを比べることになるんだぞ?

お祭り騒ぎな夢を見たことでテンションが上がってしまい、京子はそこまでの考えが回らなかったのだろう。私は苦笑しながら聞くことしかできなかった。


さあ大変だ、こんな夢の話をされた後で「プレゼント何がいい?」なんて聞けるわけない。この夢と同じもしくはそれ以上のプレゼントを用意しなければならなくなる。


そんなわけで今日も結局、プレゼントに繋がるような具体的な話はできなかった。

京子が来る前は一緒に仲良く買い物に行ける日だとわくわくしていたのに、終わってみれば絶望していた。ああ今日も日が沈む。あと二日しかない。何も思い浮かんでない。


でも、今日の京子は特別可愛かった。ゴキゲンな夢を見て、それを楽しそうに話す様はいつにも増して嬉しそうだった。

こんな夢を見るくらいだ、よっぽどプレゼントに期待してくれているのだろう……

でも私、その期待に応えられる自信がないよ……


……なんで私は、休日の日にこうして部日誌を書いているのだろう。もう完全に日記だな。]



京子「……ああ、思い出したぞこの日。結衣がやけにテンション低そうにしてたのはこれが理由だったのか……」

京子「こ、こんなに思い悩んでるとは知らず……悪いことしちゃったなあ。でも本当に見ちゃった夢だし、仕方ないよね?」


京子「……ってかこれ、私のこと可愛いとか普通に書いてあるけど、結衣はどういうつもりでやってんだろ……///」


[3月26日(木)


今日はちょっと慌ただしい一日だった。

何を隠そう、今日は初めて私が「一人暮らしをする部屋」に入った日なのだ。親は明日見に来るのだが、私はいち早くこの部屋のいい所を見つけておいて、明日しっかりと親に売り込まないといけない。そのために大家である親戚に秘密裏に頼み込んで、一日早く部屋を見せてもらうことにした。

思った通りの良物件で、学校からの近さ、基本的な生活への利便性も申し分なかった。安全性も問題なし、大家が親戚ということが何より大きい。

家具も何も置かれていないだだっぴろい部屋を見ていると、これからここでどんな生活ができてしまうのかの幻が今にも思い描けるようであった。うるさい親はいないし、友達呼び放題だし、ゲームし放題だ。


……そんな感じで部屋を見せてもらっているとき、ふと机の上に置いてあったこの部屋の鍵が目に付いた。

大きい二重リングに通っている、同じ形の二本のキー。この部屋の玄関用の鍵だ。恐らくここでの生活が決まったなら、この鍵は私のものになるのだろう。

そして同じものが二つということは、一本はスペアのはずだった。私はちゃりとそのカギを取り……二重リングからひとつを外した。

そうだ、これだ。これでいいんだ。

我ながら良いアイデアを思いついたことに感心する。でもこの鍵をただの鉄くずからプレゼントに仕上げるには、なんとしても明日この部屋を勝ち取らないといけない。

待ってろ京子、私たちの愛の巣はすぐそこだ。絶対お前に、合い鍵としてこいつをプレゼントしてやるからな。]



京子「あっ、合い鍵ぃ!?///」

京子「わ、私たちの愛の巣って……何言っちゃってんだ、ばかか……///」


京子「ってか違うよ! 鍵なんて私もらってない! もらったの変なおまもり!!」



京子「もう誕生日まで明日しかないぞ……どうやってここからおまもりになるんだ……」


ぺらっ


[3月27日(金)


勝った。私はついに勝ち抜いた。

昨日の甲斐あってか、なんとか親に上手な売り込みをかけることができ、私自身誠意をこめてお願いした。すると勝利という名の承諾がついに重い腰を上げた。


勝ち抜いたことはよかったのだが、ここに今日からそのまま住むということはできなそうだった。なんかいろいろ……契約とか申請とかの難しい話があるらしい。まだ人をいれちゃいけないそうだ。

親に言われた条件として、二年生になった最初のうちはいろいろわからないことも多いだろうから、来年度始まって少し経った、色々と落ち着く頃からの入居を許されることになった。

中一と中二に大した違いがあるとは思えないが、せっかくつかんだ勝利をワガママでぐらつかせるわけにもいかなく、しぶしぶ条件を飲むことになった。


この部屋に家具を持ち込むより先にパーティーの準備をして、明日京子と二人きりにでもなれたら最高だと思っていたのに……その予定は崩れてしまったが、まあとりあえず来年度から夢の一人暮らしが始まることになった。めでたい。

……そうして一人暮らし計画がようやく一息ついたとき、携帯電話に一件のメールが入った。

差出人は……あかりだった。あかりからのメール、めちゃめちゃ久しぶりだ。というかあかり、携帯持ってたんだっけ。でも登録されてるってことは以前にもメール来てるんだよな。

内容は、明日の京子の誕生日のことだった。私が何かを計画してるなら、一緒に参加したいというものだ。

あかりも小学校を卒業して、ついに来年度から私たちの学校に来る。みんなで遊ぶのは久しぶりだ。メールの差出人は私だけだったから、どうやらあかりはサプライズで来たいらしい。

これは良いアイデアだと思い、すぐに了承のメールを送った。明日はあかりと一緒に京子の家にいくことになる。


楽しそうな光景を思い浮かべて……そこで我に返った。

やばい、プレゼントどうしよう。


合い鍵渡す作戦は良いアイデアだと思ったが、その受け取った鍵は来月くらいにならないと使えませんというのはどうなんだ。

それ以前に、あかりの前で合い鍵を渡すのって……やばくないか? いくらそういう事情に疎いあかりだって、合い鍵を渡すという行為が彼女同士のそれということくらいなんとなくでもわかるんじゃないだろうか。わからないならわからないなりに、「あかりも鍵欲しいよぉ~」なんて言い出すかもしれない。

どうあがいても、鍵の価値が薄れるような展開しか見えない。私が苦労してつかんだ勝利を利用できると思ったのに、なんてこった。

明日までに別のプレゼントを用意しなきゃ……でももう今更プレゼントなんて思いつかない。これを書いている今、夜7時。

もう今から大したものは用意できない……お菓子を大量に買ってどさどさ送りつけるのもいいかと思ったが、愛しい京子の誕生日にそんな変な思い出が残るのは嫌だ。

やっぱり鍵にしよう。鍵を贈ってロマンチックな思い出を残そう。

将来本当に私が一人暮らしをするようになったとき、同じように鍵を渡して、「そういえば結衣、前にも鍵をプレゼントしてくれたことあったよね」「ああ、私の想いはあの頃と何も変わってないよ」「ゆ、結衣……!///」……的なことに持ち込めるかもしれない! テンション上がってきた。

要はこの鍵が、私が部屋を使うことのできる来月あたりまで真価を隠していればいい話だ。後々になってわかるというのも、なかなか乙なものだろう。

私はプレゼント思考段階で候補に入っていたハンドメイド用の生地とかを取り出して、この鍵を包んだお守りを作ることにした。京子は意外と怖がりだし、開けたら呪われるからなと念を押せば守り抜くことは簡単なはずだ。あかりにもバレないだろう。


とても長くなってしまったが、このあたりで筆を置くことにする。この部日誌という名の日記、絶対京子に見られないようにしておかなきゃなあ。]



京子「お、お守りの中に鍵……!?」ばばばっ


京子「う、うわー! 本当に鍵入ってた……なんだ、プレゼントってこの鍵だったのか……!」


京子「いや待て待て待て、そうじゃない……なんだこの日記、なんなんだこの日記……! 京子と二人きりが最高とか、彼女同士のそれとか、愛しい京子とか……そんなんばっか……」


「おい、何読んでんだ」


京子「うわああああああぁぁぁ!!!! ゆっ、ゆゆゆ結衣……!!」びくうっ

結衣「何か企んでるだろうと思って、物音立てずに帰ってきたんだ。こそこそ何やってんだ?」

京子「い、いやこれ……」

結衣「あっ、そのおまもり……! やっと開けたのか、よくわかったな」

京子「いやだってこれ!! これ読んだら開けるに決まってんだろ!!」


結衣「…………ああああああああああ!!?///」

京子「なんだよこの部日誌! というか日記! 変な語り口の!!」

結衣「やっぱりお前っ……私の部屋漁ってんじゃんか!! 最低だな!!」

京子「いやその前に色々聞きたいことあるよ!! この部屋は私たちの愛の巣なのか!? それをプレゼントしてたのか!?」

結衣「違う!! 私が一人暮らしを始めたのは人生経験のためだって何回も……」

京子「それは適当に打ち立てた理由だろうが!! この日記にも書いてあるわい!」

結衣「とっ、とにかく違うんだ! それは私があかりたちに見せられるように書いたノンフィクションのラノベ的なもので、だからいろいろと表現を誇張して……」

京子「嘘つけー! あかりや私に見せられないって書いてあるじゃん!! 結衣静かにしてたけど私のことこんな風に思ってたのか!///」

結衣「くっ……じゃ、じゃあなんだって言うんだ!? 私は京子のこといつも考えてあげてるんだぞ! ありがたいと思え!!」

京子「それはもう嫌ってほど伝わってきたわ! 私のことしか書いてないもんこれ!」


結衣「お、お前もう今日は帰れよ! 昼飯も食わせない! アイスもあげない! 日記読んだ罰だ!!」

京子「アイスはいいとしても昼飯はいいじゃんか! 何のために買い物行ったんだよ! というか本当は私のこと好きなくせに、追い出したりしていいわけ?///」

結衣「い、今は嫌いだ!! 他人の秘密見ちゃうようなデリカシーのない奴は嫌いだよ!」

京子「でもこの日記、バカ京子から始まってるのに最終的に京子可愛いで終わってる日とかあるぞ! どんなになっても結衣は私のこと好きなんだな!」

結衣「うるせーーーーーー!!!///」

京子「うわわわわっ!」どすん


結衣「……しばらく顔も見たくない。帰ってくれ」ばたん


京子「…………」


京子(お、怒らしちゃった……)


京子「ゆ、ゆいーごめんてー……」ぴんぽーん


京子(まずったなぁ……)



京子「あ」


京子「……もう私には、合い鍵あるんだった」ちゃり


京子(彼女同士の、それ……///)


京子「…………」


京子「……とりあえずお詫びに、大量のお菓子でも買ってくるか」よっこらせ



~fin~

お誕生日おめでと~

ありがとうございました。

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