神戸「右京さん……」 (15)

伊丹「こりゃ酷い殺しだ」

芹沢「……こないっすね」

伊丹「あ? 何がだ」

芹沢「特命の連中っすよ」

伊丹「バカ! 来なくていいんだ特命なんか」

米沢「あっ、鑑識中なのであまり動き回らないでください」

伊丹「……チッ」

角田「おう、もしもし神戸か?」

神戸「あ、お久しぶりです、課長」

角田「杉下のことなんだけどな」

神戸「……ダークナイト事件ですか、噂は聞いてます」

角田「ああ、あれ以来、すっかり魂が抜けたみたいになっちまってるんだ」

角田「それでお前から、こう……杉下を励ましてやってくれないか?」

神戸「……分かりました」

神戸「ここが右京さんの家……そういえば、右京さんの家に入るのは初めてだ」

神戸「右京さん」ドンドン

神戸「あれ、カギが掛かってない……」

神戸「う、右京さん……!? これは……」

右京「……おや、誰かと思えば神戸君ですか」

神戸「(ゴミ屋敷だ……)」

右京「神戸くん、正義とはいったい何ですかねぇ……」

神戸「は?」

右京「自己への失望感で、何も分からなくなってしまいました」

神戸「右京さん……」

角田「何だって!? そんなにまで……」

神戸「右京さんは重症ですよ」

角田「そうか……一体、なんでこんなことになっちまったんだ」

神戸「……」

内村「昨夜発生した殺人事件だが……」

伊丹「特命の連中が絡んでこないと、どうもやり辛いな」

芹沢「そうっすね」

内村「そこ、何ボサっとしてるんだ」

伊丹「あ、すみません」

芹沢「……」

神戸「右京さん! 掃除くらいしたほうが良いですよ」

右京「……」

神戸「右京さん! 僕が少し片付けますよ? 良いですね?」

右京「……」

神戸「(仕方ないな……ん?)」パラッ

神戸「退職願……?」

右京「! 神戸くん、それを返してください!」

神戸「右京さん、警察を辞めるんですか……?」

右京「……ええ、ボクにはもう何もできません」

神戸「そんな! それじゃ特命係はどうなるんですか!」

右京「知りませんよ」

神戸「なっ……」

右京「そもそも僕がやってきたことは、すべてムダだったのかもしれません」

神戸「そんな……自分が何言ってるか分かってるんですか!?」

右京「う、う……神戸君……ボクには分からないんですよ……」

神戸「右京さん……」

伊丹「事件から1週間、手がかりさえ掴めねえ」

芹沢「やっぱ俺たちじゃダメなんすかね」

伊丹「……そうかもな」


角田「ええ!? 杉下が警察を辞めた!?」

大木「間違いないみたいです」

角田「そうか……特命係も終わりか」

右京「(辞表を提出してきました)」

右京「(これですべて終わりですか……)」

右京「(小野田官房長……今そちらに行きます)」

「きゃああああああああああああああ」

右京「! 何事ですか!?」

男「ウヒヒヒ……ウヒ、ウヒヒ……」

通行人「あの男が、ひ、人を刺したんだ」

右京「見るからに尋常ではなさそうですね……」

男「ヒヒヒ……」

右京「っ、みなさん! 危険ですから離れてください!」

男「ゥゴオオオオオオ!」

右京「くっ……ボクとしたことが、体がすっかり鈍ってしまいました」

右京「一か八か……どうせもう死んだ身です」

男「ウガアアアアアア!」

右京「どりゃっ! 観念しなさい!」

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伊丹「あの薬中男、1週間前に起きた殺人の犯人でもあるようです。逮捕にご協力、感謝します」

右京「そうですか」

芹沢「あの、本当に警察、辞めたんですか?」

右京「……ええ、それでは」

伊丹「杉下警部」

右京「……もう警部では、ないのですがねぇ」

内村「ご苦労だったな、伊丹」

伊丹「はっ」

右京「ボクに用とは何でしょうか?」

内村「杉下、これが何だかわかるか」

右京「退職願ですね」

内村「フン」ビリビリ

伊丹・芹沢「あっ!」

内村「俺はこんなもの、断じて認めんからな……」

右京「……フフッ」

右京「ボクはいったい、何をあんなに思い詰めていたのでしょうか」

右京「そろそろですかねぇ、おや、もう来たようです」

角田「特命係なら向こうだよ」

小松「あれが今度の相棒か……」

END

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