永遠のアセリア - Honoka in Phantasmagoria Diary - (150)

永遠のアセリアとラブライブ!のクロスオーバーifです。

ソゥユートではなく、穂乃果が召喚されたら?というものです。

悠人達エトランジェ組は出番なし。

μ's二年生組と雪歩以外はほぼ、キャラによっては全く出番なしの予定

漫画版やSID、アニメの設定が混ざってます。

他、自己設定あり。

SID風のつもり。

拙いところ、おかしなところも出てくるかもしれませんが、どうぞよろしくお願い致します。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1427132496


この物語は、私、高坂穂乃果が高校三年生の秋、生徒会を引退し大学受験にヒーヒー言っていた頃に体験したものです。

穂乃果たちの母校である音ノ木坂学園が廃校の危機の見舞われ、それを阻止するために、スクールアイドルμ'sとして活動した一年間も波瀾に満ちていたと思っていたけれど、上には上があるものでした。

いきなり矛盾するようなことを言いますが、始まりは今思えば高校二年になってすぐ、妹の雪穂ことユッキーと一緒に音ノ木に通いたいという話をして、一緒のベッドで眠りに着いた夜のこと。

その日、夢の中で声を聞いたんです。

「それがお前の求めか?その未来が欲しいか?」

という声を。

正直に言うと、それを思い出したのは結構後になってからなんだよね。

もう、すっかり忘れてたから。

そして季節が一年と半分巡って、最初に書いた高校三年の秋、ふと息抜きに神田明神に寄り道をしたあの日、ある出会いを果たしました。

見た感じ同い年くらいの、綺麗なロングヘアーの巫女さん、倉橋時深さんに。

その時言われたことは、今でも覚えている。

何故か、胸に刺さったんだ。

悲しい目をしていたからかな?

「この先、あなたには想像を絶するであろう、辛く、苦しい、様々な試練が降りかかります。でも、諦めないで。その大切さは、あなたなら知っていると思いますが、それでも、どうか。」

どう返事したのかも覚えている。

「はい!勿論、やり遂げるまで何があっても!」

そして時深さんは、微笑みながらこう言ったんだ。

「ええ。でも、本当にどうしようもなくなった時は私の声を、顔を思い出してくださいね。」

その日はそれでサヨナラしたんだけど、再会は早かったんだよね。

後日、今は神道科のある都内の大学に通いつつ、巫女さんのバイトを続けている希ちゃんに会いに、私とユッキー、それに海未ちゃんとことりちゃんと一緒に神田明神を訪れた時のこと。

凄く真剣な表情の時深さんが待ち構えていたの。

挨拶だけして希ちゃんに会いに……っていう雰囲気じゃなかったね。

空気もなんか重かった。

「時が来ました。穂乃果さん、無謀な賭けかもしれませんが、あなたなら勝てると信じています。」

って言われた途端に物凄い頭痛がして、目もくらんで立っていられなくなっちゃって。

奥から希ちゃんが、慌てた表情でこっちに走ってくるのが見えたんだけど、何も言えなくて。

そんな中、頭の中にやけにはっきりとした声が響いてきたんだ。

『奇跡の代償を支払う時が来た。無償の奇跡など存在しない。』

それを聞いて、私は気を失っちゃったんだ。

一体どれだけ気を失っていたのか。目覚めた時には空には無数の星が輝いていました。

綺麗だと思ったのもほんの一瞬、体中が痛くてまともに動かなくて、夜空を堪能することすら出来なかったよ。

しばらくして、少しづつ痛みがマシになってきたと思ったら、今度は自分の居場所がわからない。

神田明神にユッキーたちと一緒にいて、頭が痛くなって、気が付いたら、森の中。

そこで鞄から携帯を、と思ったときに初めて気が付いたの。

穂乃果の右手に、鞄の代わりに一本の無骨な剣が握られていることに。

もうわけがわからなくて混乱も最高潮な所にさらなる混乱。

黒い翼の天使が飛んできたんだ。

あまり思い出したくないことだけど、その天使に、服を脱がされ、犯されかけた。

実際体を少し舐められたりした。

その時は、体もまだ痛くて殆ど動かせなかったし、すごい力で押さえつけられてたし、何より怖くて、全く抵抗できなかった。

でも、決定的なところまではいかなかったよ。

今度はね、白い翼の天使が舞い降りたんだ。

そしたらその天使同士が、何か、日本語以外の言葉で話したと思ったら、いきなり目にも留まらぬ早さでお互いに飛び掛かったんだ。

二人ともおっきな剣を持っていて、それを使って暫く戦っていたんだけれど、最終的には黒い翼の天使が、白い翼の天使に切られて、光の粒になって消えちゃったんだ。

それを見て、穂乃果はまた気を失っちゃた。

ただ、その気を失う直前に見えた、光が降り注ぐ中佇む純白の天使の姿は、とても綺麗だった。

本日は以上になります。

最初に書き忘れましたが、更新は不定期になります。

それでは失礼しました。

乙ありがとうございます。

レイプ描写ですが、入れる予定はありません。

それと漢字間違え指摘どうもです。

そうですよね、これでは別作品のアイドルの方になってしまますよね。

申し訳ございませんでした。

それでは投下します。

次に目が覚めたのは森の中ではなく、勿論神田明神や自分の部屋でもなく、見知らぬ部屋のベッドの上。

まだ頭は少し痛むし、体も怠い感じがする。

穏やかな日差しに小鳥の囀り、真姫ちゃんの別荘を一瞬思い出したけど、こんな木造の部屋はなかった、はず、多分。

そして気を失う直前のことを思い出して、寒気がした。

見覚えのない森の中で目が覚めたら、黒い天使に犯されかけて、今度は白い天使がやってきて、その黒い天使を切り、光となって消えてしまった。

非現実的すぎる光景だったし、夢だと思いたかったけど、そう思うには、あまりに生々しかった。

自分が何処にいるかもわからないし、それにみんな心配しているかもしれない。

色々思うことはあったけど、とにかく動かないことには始まらないと思った私は、キツかったけど無理にでも起き上がろうと思ったの。

そんな時、コンコンとノックの音がしたの。

やっぱりちょっと混乱してたのかな?凄くびっくりしちゃって

「ひゃい!?」

って変な返事をしちゃた。

ドキドキしてたら、もう一度ノックの音がして、緑色のメイドみたいな格好の女の子が優しく微笑みながら入ってきたんだ。

少なくとも悪い人には見えなかったから、ちょっと安心したのも束の間、またビックリ!

その女の子が話しかけてきたんだけど、何を言ってるのか全然さっぱりわからないの。

英語でもないしロシア語でもないし、とにかく今まで聞いたことのない言葉だったんだよ!

ハローやらニイハーオやら、色々わかる限り喋ってみたけど全く通じなかった。

これには女の子も驚いたみたいで、ちょっと困ったような顔をした。

それでも、何度も何度も、ゆっくり丁寧に話しかけ続けてくれたんだ。

言葉はわからなかったけど、その子の穂乃果を思いやってくれる、労わってくれてる気持ちは凄く伝わってきて、それで、せめて名前だけでも!って思って自分を指さして

「穂乃果!穂乃果!」

って言ってたら、向こうもわかってくれたみたいで

「ホノ、カ?……!ホノカ!ソゥ、ホノカ、ラ、ニノウイス?(ホノ、カ?……!ホノカ!お名前は、ホノカ様?)」

うん、何とか名前は伝わったみたい。

他は何を言ってるのかサッパリだけど……。

そしたら今度はその子が自分自身を指さして

「エスペリア、エスペリア!イス、エスペリア、ラ、ニノウ、セィン、ヨテト!(エスペリア、エスペリア!私の名前はエスペリアです!)」

「えす、ぺりあ?エスペリア。エスペリア……さんでいいのかな?」

「イス、コスタ!リサスム!(そうです!そうです!)」

笑顔で首を縦に振ってくれているところを見ると、うん、多分それでいいっぽい!

お互いの名前がわかったところで、エスペリアさんが水と食べ物を持ってきてくれて、それを食べてその日は寝ちゃいました。

何だかんだやっぱりまだ本調子じゃなかったのと、名前だけとはいえ意思疎通出来たことで安心したので、一気に眠気が来ちゃったんだよね。

以上になります。

聖ヨト語に不備があったら申し訳ございません。

乙ありがとうございます。

投下します。

翌日からエスペリアさんは、食事などの身の回りの世話と一緒に、言葉を教えてくれたの。

これがホントに辛かったの!

只でさえそんなに頭が良くないのに、今まで全く聞いたことのない言葉を覚えなきゃいけないのは拷問のようでしたよ。

しかも学校みたいに教科書があるわけじゃないから、簡単に答え合わせも出来ないしね。

最初に名前を伝え合ったように、物を指さして、単語をお互い何ていうか確認。

それを何度も繰り返して、文章を作って動きも交えてまた確認。

すっっっごく気が遠くなる作業だったよ~。

ちっちゃいころテレビで見た、芸人さんがいきなり言葉もわからないのに海外に連れていかれる番組を思い出したね。

まさか自分が似たような目に会うことになるなんて、思いもしなかったけどさ。

穂乃果の状況の方がよっぽどシビアだけどね!

何日ぐらい経ったかな?

少しづつ言葉がわかるようになって、身体も本調子になってきた頃、いきなりファンタジー漫画に出てくるような兵士の格好をした人達が部屋にドカドカと入ってきたんだよ!

エスペリアさんが必死に抗議してくれたんだけど、乱暴にあしらわれて、穂乃果も抵抗はしたんだけど、強引に連れていかれちゃったんだ。

そして連れていかれた先は、それこそ漫画に出てくるお城の王様の、謁見場でいいんだっけ?まあ、それでした。

そこにはたくさんの兵士さんに、でっかい椅子に座っているお腹が大きい王様らしき人、その隣にはお姫様らしき人が立っていて、そして

「お姉ちゃん!!」

ユッキーが、縛られていたんだ。

本日は以上になります。

投下します。

「ユッキー!……これは何!?どういうことなの!?」

気付いたら叫んでた。

こんなにも怒ったのは多分、生まれて初めて。

視線の先にいる王様らしき人はニヤニヤしながら、兵士に何か命令してるみたいだった。

そして奥から、エスペリアさんが現れたの。

巨大な槍を持って。

さらに別に現れた兵士が私の前に一振りの無骨な剣を投げてよこした。

その剣には覚えがあった。

私が森で目覚めた時、手にしていた剣だ。

「ハル、ネサ、ワ、シミハオ・ラスレス・カウート。クラー、ムスル・レナ。(永遠神剣を持て、エトランジェよ。)」

(永遠、剣を持て、……よ。)

全部はわからなかったけど、この剣を持てと言ってるみたい。

ここで逆らったらユッキーがどうなるかわからない。

エスペリアさんも普段の笑顔が嘘のよう、まるで仮面でも付けてるかのように冷たい無表情。

「ラスト、ヤミニェ、タスタ?ハル、キューサム。(どうした?早くしろ。)」

急かされている。

ここは従うしかないかなと剣を取った途端、穂乃果は物凄い、頭が割れそうな程の頭痛に襲われたの。

嫌な汗が体中から噴き出して、思わず床に手と膝をつき、四つん這いになった。

そんな中、頭の中に直接、乱暴に押し付けるように声が響いてきたの。

「砕け!殺せ!『空虚』を!『因果』を!『誓い』を!!契約を果たせ!!」

心が潰されると思った。

怒り、憎悪、殺意、そういった負の感情を一気に心に注ぎ込まれた感じだった。

(これに負けたら、自分が自分でいられなくなる……!)

それが直感的にわかった。

だから―――

「負けない。」

声を出す。

「あなたが何なのかはわからないけど。」

意識を保つために。

「こんなものにっ!」

自分自身を奮い立たせるためにも。

「穂乃果は、絶対に負けないッ!!」

思いっきり歯を食い縛って、強引に頭痛を抑え込んだ。

本日は以上になります。

乙ありがとうございます。

残りのエトランジェは追々ということで。

まだまだ先になりそうではありますが。


自分の技量次第ではありますが、どちらかさえ知っていれば楽しめるように書いていきます。


それでは投下します。

そうしたら、

「ほう、剣を制御したか、流石はエトランジェといったところか。」

今まで理解しきれていなかった言葉が、何故か鮮明に理解できた。

「ラスト、ルゥ、ウ、イスカ?ハイサム、ナオカ、ワ、ユキホ、ニンセ!(これでいい?ならユキホを返してほしい!)」

そして自然と喋ることも出来た。

「慌てるでない。次はそのスピリットと戦うのだ。」

王様らしき人がエスペリアさんを指さした。

偉そうな物言いに、更に怒りが増す。

「ラスト、レテングス、セム、エスペリア?ヤァ、ヨテト!?シエハイ!?(エスペリアさんと戦う?私が!?どうして!?)」

抗議の声を上げた私に、エスペリアさんが感情のない声で喋りかけた。

「ホノカ様、剣をお構え下さい。……『献身』のエスペリア、いきます。」

とてつもない速さの突進だった。

経験上、受けられないし、避けられないと直感した。

けれど穂乃果の身体はその直感を裏切った。

今までにない、というよりありえない速さで体が反応して動く。

元々スクールアイドルのレッスンや、剣道の稽古で鍛えていたので、普通の人より動ける自信はあるんだけど、この時の穂乃果の動きは人の領域を超えた動きだった。

普通だったらそんな自分に狼狽えちゃう所だけど、そんな暇は無かった。

エスペリアさんは普段の姿からは想像も出来ない動きで、ドンドン攻め立ててきた。

型に縛られることのない、相手を倒す、いや、仕留めるための動きで。

それを穂乃果は必死に受け止め、時に弾き、時に躱していく。

暫くそれを繰り返し、一度お互いに距離を取った瞬間、エスペリアさんの槍に、マナの風が集まっていった。

「ホノカ様、ご覚悟を。」

冷たい殺気を含んだ静かな一言。

それに反応してか、抑え込んでいたあの声が、また強く聞こえてきた。

「その妖精を殺せ!そしてマナを、力を奪え!!」

エスペリアさんを傷つけたくないと思いながら、相反するように殺意が溢れてくる。

(なんとかしなきゃ。でもどうやって?おそらく今まででより、もっと強い一撃が来る。)

考えろ。

(受け切れる?避けきれる?多分キツイ。なら先に仕掛ける?)

考えろ、考えロ。

(武器を狙う?イヤ、そレより直接身体ヲ狙えば)

カンガエロ、カンガエロカンガエロカンガエロ―――

(急所ヲ的確に狙って、最小限ノウゴキデ、イチゲキデ、ヤラレルマエニ)

「殺―――「そこまでっ!」」

透き通った声が響き渡り、それによって強制的に動きが、思考が止まった。

「もう、十分でしょう、お父様。」

「うむ、エトランジェよ、その神剣を使いこなし、我が国の為に尽力せよハッハッハッ!!」

「エスペリア、もうよいです、エトランジェを連れて下がりなさい。今後の指示は追って伝えます。」

「はい、失礼しました。」

トントン拍子で話が進んでいく。

何故か体が動かせないし、声すらも出せない。

器用にエスペリアさんが二つの武器を持ちつつ、穂乃果の身体をお姫様抱っこして運んでいく。

「ァ……!ッ……。」

(降ろして!ユッキーを、雪穂を返して!!)

結局お城を出てしばらくするまでこのままだった。

「申し訳、ありませんでした。ホノカ様。」

今日はエスペリアさんの表情、初めて見るものが多い。

悲しみに満ちた、そして言葉通り申し訳なさそうな、色んな感情が混じり合った表情だった。

本日は以上になります。

乙ありがとうございます。

本日分、投下します。

もう大分見慣れたこの部屋に戻ってきて、どれだけの時間が過ぎただろう。

エスペリアさんと一緒にいた。

ただボーっとしていたわけじゃないんだけど、なんか、話しかけづらかった。

実際話したいこと、聞きたいことは山ほどあった。

雪穂は何故捕まっているのか?

どうすれば助けられるのか?

ここは一体何処なのか?

そもそも地球なのか?

私達が戦わされた理由は何なのか?

あの永遠神剣と呼ばれていた剣は何なのか?

穂乃果自身やエスペリアさんのあの動き、心を押し潰すような殺意はあの剣のせいなのか?


そこまで考えて、恐ろしくなった。

あの時の自分は、あそこで止められてなかったら、間違いなくエスペリアさんを殺していた。

それを自分自身何とも思っていなかった。

ごく当たり前のことのように思っていた。

傷つけたくないと思っていたはずなのに。

コンコンと、ノックの音で我に返った。

よく見てみたらエスペリアさんが部屋にいない。

部屋を出ていったことにも気づかない程に集中しちゃってたみたい。

「シェサン。(どうぞ。)」

控えめに、ゆっくりと扉が開いた。

「失礼します。お茶をお持ちしました。」

いつもの優しい微笑みを携えたエスペリアさんが、そこにいた。

「ウレーシェ。(ありがとう。)」

「どうぞ。」

「ステクロカ。……ヤスハマム、アルゥ。(いただきます。……うん、美味しい。)」

ここでやっと、少しだけど笑うことが出来たんだ。

そして、穂乃果が落ち着くのを見計らってエスペリアさんの方から声をかけてくれた。

「お話しましょう、ホノカ様。私にわかる限りの事、あなた様の疑問にお答えします。」

本日は以上です。

マナの導きが、あなたの道を照らしますように。



ファンミチケ的な意味で。

乙ありがとうございます。

期待に応えられるよう頑張ります。

聖ヨト語に関するお気遣い、ありがとうございます。

一応、あと何回か後にはそのようにします。

もし聖ヨト語のせいで読みづらいようでしたらすみません。

では、投下します。


とにかく色んな事を話した。

所々ではなく、今ならちゃんと言葉や意味がわかる。

ちなみにその理由は、私の永遠神剣である『求め』が一時的に目覚めたことによる恩恵ではないか?って事らしいの。

何故一時的かというと、次の日にはすっかり今まで覚えた言葉以外はわかなくなっていたからなのです。

話を戻して、まずここは一体何処なのか?

エスペリアさんは、日本どころか地球すら知らなかった。

つまり、なんといいますか、異世界。

この国はラキオス王国という所で、『地球』みたいな世界の名前は無いとのこと。


エスペリアさん達は『スピリット』と呼ばれる、戦う為に生まれてきた種族であるということ。

永遠神剣という自らの意思を持ち、超常の力を与える剣と共にある存在。

人と剣の為に生きて、人と剣の為に死んでいくモノって言ってた。

そして異世界から神剣と共に来た穂乃果は、『エトランジェ』と呼ばれるんだって。

『エトランジェ』の神剣はエスペリアさん達の神剣とは一線を画した力や意思を持つ存在なんだとか。

その力を得る代償に、あの物凄い負の感情による強制力に苦しめられると。

かなり昔にも同じようなことがあったっていう伝承が残っていて、その時は全員が相打ちになって、死んでしまったらしいの。

それで雪穂は、私を戦わせるための人質だって。

だから、ちゃんと戦えば雪穂の安全は保障されるみたい。

それに王族に逆らおうものなら、さっきみたいに自分の意思に関係なく止められてしまうと。


そして、最後に言われた。

「私達『スピリット』も、ホノカ様やユキホ様『エトランジェ』も、この世界では『人』ではありません。この意味を、よくお考えください。」

ってね。

だから寝るまでずっと考えていたんだけど、やっぱり納得出来なかった。

いきなり言葉も通じない世界に飛ばされて、妹を人質に取られて戦えっていうのも。

エスペリアさん達が戦うために生きているっていうのも。

それを当たり前として受け入れている、この世界にも。

全て、納得出来なかったよ。


翌日物凄く身体が怠かった。

昨日色んな事がありすぎたせいだね、間違いなく。

エスペリアさんが起こしに来てくれた時なんか、

「あと五分~。」

なんて言葉、久しぶりに呟いちゃったよ。

勿論通じず強引に、ではなかったけど丁寧に起こされてしまった。

寝呆けながらも朝食を摂った後、お茶を啜っていたら、

「ソゥ、ホノカ、ウレイス、ヤァ、キルハ、イス、ウ、ミハ、セィン、ミケンセ。(これからのことでお話があります、ホノカ様。)」

「これからの話?」

「イス、コスタ。(そうです。)」


ちなみにエスペリアさん、この頃にはほぼ日本語を覚えたようで、穂乃果の言葉は殆ど通じるようになっていた。

で、これから数日の間は別段何もしなくてもいいらしいの。

(それなら雪穂に会わせてほしいし、何だかんだ言葉の勉強も完璧にしなきゃなんだけど)

エトランジェである穂乃果がこの地に召喚され、昨日のエスペリアさんとの戦いを見て、やれると判断した王様が戦争の準備を進めているんだって。

他の任務に就いているスピリット達が帰還したら、戦闘訓練とかも始まるらしいんだけど。

まあつまり、ある程度準備が整うまでは好きにしてていいんだってさ。

と、いうよりも他のスピリット達とか初耳です。

戻ってきたらちゃんと自己紹介させるって言ってたけど、一体どんな人達なのか、ちょっとドキドキする。

そういえば、この世界に召喚された時に助けてくれた(んだよね?)あの子もスピリットだったのかなぁ。

本日は以上になります。



ファンミ一般とか知りません。

おつありがとうございます。

評価は人それぞれということで。

それでは投下します。


そんなわけで2,3日の間はこれといったこともなく、平凡な日々が過ぎていきました。

リクェムっていう、元の世界のピーマンみたいな食べ物をどうにかして穂乃果に食べさせようと、エスペリアさんが奮闘していたこと以外は。

こ、ここだけの話……穂乃果はピーマンが苦手です……。

勿論リクェムも苦手です……。

ただ、元の世界では飽きるほどに食べた和菓子が、今は、ちょっと恋しい。

あと、あの日以降、剣の声も聞こえてきません。

エスペリアさん曰く、また眠りについたのではないか?ということなんだけど。

試しに剣を持って動いてみたんだけど、あの時のような動きは全く出来なかった。


不安だった。

剣が目覚めて、あの声に苦しめられるのは嫌だけど、目覚めないまま何も出来なかったら、雪穂はどうなっちゃうのか?

目覚めたとしても、いざ戦うことになったら、穂乃果に戦うことが出来るのか?

戦うことになればその相手を傷つけることになる。

果たしてそうしなければいけない時、穂乃果にそれが出来る?

真剣を使う以上、傷つける以上の事態になるかもしれない。

それに何より……

「お父さん、お母さん……。」

無事に生きて元の世界に帰れるのか?って。


なるべく考えないようにしていたことだけど、考えだしたら、考えだしてしまったら、もう制御出来なかった。

そして―――

(あ。)

涙が、零れた。

駄目!泣いてなんかいられないのに!

雪穂はきっと自分よりも辛い思いをしているのに!!

私が頑張らなくっちゃいけないのに!!

それでも、一度溢れ出してしまった涙は止まらなかった。

その時だった。

「ソゥ、ホノカ!!(ホノカ様!!)」

エスペリアさんが、慌てた様子で来てくれた。

そのままエスペリアさんは、私を優しく抱きしめながら、落ち着いて寝てしまうまでの間、ずっと励まし続けてくれたんだ。

「ダイジョウブデス。ダイジョウブデスヨ。」

「ホノカサマハ、ヒトリデハナイデス!」

「イッショニ、ガンバリマショウネ。」

本日は以上です。

乙ありがとうございます。

ハリオンに限らず、サブスピは全員出すつもりでいますが、まだ先になると思います。

では投下します。




数日前、穂乃果が初めてお城に連れてこられた日に遡る。

Side Yukiho


お姉ちゃんに会えた。

けど、あれは何だったんだろう。

以前お姉ちゃんの剣道の試合を見たことはあった。

あの頃から確かに強かった。

でもさっき見たお姉ちゃんの動きは常軌を逸していた。

しかも戦っているうちに、今まで一度も見たことのない表情に変わっていった。

お姉ちゃんを、初めて怖いと思った。

それも束の間、今度は剣を構えたまま動かなくなっちゃって、直前まで戦っていた人に運ばれていってしまって。

お姉ちゃんに対する安心と、恐怖と、心配がごっちゃ混ぜ。

それに何より今、私は何処に連れてかれているんだろう。

また牢屋に閉じ込められちゃうのかな。


嫌だ、嫌だよ。

「助けて、お姉ちゃん……!」

思わず小声で呟いた時、コンコンと一人の兵士が豪華な扉をノックした。

「ソゥ、レスティーナ、ハケサスイシス。リュー、サケイマヌイシス、ワ、ムスル・レナ!(失礼いたします、レスティーナ様。エトランジェを連れてまいりました!)」

ホント、何を言っているのかわからない。

そういえばお姉ちゃんも、この訳の分からない言葉を喋ってた。

何もわからない。

「ウレーシェ。ハル、シノンラス、カイラ、ラ、ウースィセイン、ホメスト。(ありがとう。あなた達はもう下がってください。)」

「ハウト……(ですが……)」

「ハル、シノンラス。(下がってください。)」

「!……リュー、ハケサスイシス。(失礼いたしました。)」

「ルゥ。(よい。)」

そのまま私は拘束を解かれ、部屋に入れられ、兵士の人たちは去っていった。


部屋の中には、私とお姫様の二人だけ。

お姫様がこちらに歩み寄ってくる。

「ヒッ!?」

思わず声をあげ、後ろに下がってしまう。

すると向こうも驚いたようで、申し訳なさそうな顔をしたと思ったら、今度は微笑んで、

「イス、テスハーア。(大丈夫です。)」

「イス、ハル、ヤトサム、シエンナ、シランノ。(とにかく、どうか落ち着いて下さい。)」

顔は笑っていても、何を言っているのかわからない。

怖い、怖い、怖い。

もう無理だった。

恐怖で身体が動かない。


もう今すぐにでも涙が溢れてきそう。

その時だった。

私よりも先に、目の前にいるお姫様が涙を流していた。

「えっ……。」

この時ばかりは、恐怖より驚きの方が勝った。

そして、頭を下げられた。

「クモノーナ。(ごめんなさい。)」

「イス、デイクハル、ミハ、ハイム、フィーク、ワ、ウースィセイン、ホメスト、スクテ、ラ、スノン(今はまだ、あなたたちをあわせてあげることはできません。)」

「タサテス、ネマーン……。(でも、必ず……。)」

相変わらず何を言ってるかはわからない。

でも、謝ってくれている……のかな?

この時初めて私は恐怖以外の感情を、目の前のお姫様に抱いたのでした。

本日は以上になります。

おつありがとうございます。

投下いきます。



時は戻って―――

Side Honoka



目が腫れぼったい。

昨日のことを思い出すと、ちょっと情けないやら恥ずかしいやら。

泣き疲れて寝ちゃうなんて、小さい子供みたいだよね?

うん、いつまでもクヨクヨしてられない!

それにエスペリアさんに昨日のお礼を言わなくちゃ。

よーし、今日も一日ファイトだよ!!

……気合を入れたらお腹空いてきちゃったよ。

朝ご飯のいい匂いがする。

ここはひとつ、エスペリアさんが起こしに来る前に、こちらからお手伝いにでも行きますか!

たとえ食器並べ程度でも。


そしていざ気合をいれて食卓に向かったら、既に朝食の準備は万端。

後はもう食べるだけという状況でした、トホホ。

「ソゥ、ホノカ、ヤシュウウ、リレシス。ラスト、イクハル、モロネウ、ワマス、(おはようございます、ホノカ様。よく眠れましたか?)」

「ヤシュウウ!(おはよう!)うん、もう大丈夫!あ~、えっと、ムナク、ロトマタ!!ル、ゾスナ……(めちゃくちゃ元気!!それとね……)」

「キス。(はい。)」

「ウレーシェ。リューウラクアリトゥ、フラウファ。(ありがとう。とても、嬉しかったよ。)」

やっぱり、面と向かって言うと、ちょっと照れちゃうね。

それを誤魔化すために朝食は思いっきり食べたよ!

あまりにがっつきすぎて軽く叱られちゃったけど。

本日は以上です。

投下します。


ある日の夕方、勉強を終えてぐったり机に突っ伏していたところ、微かに玄関が開く音が聞こえた。

(あれ?)

確かエスペリアさんは夕飯の準備をしているはずなのに、と思って顔を上げたら、とても綺麗な青い髪を持つ天使がそこにいた。

この世界に召喚された日のことがフラッシュバックした。

間違いない!あの時の子だ!と思わず見つめ続けていたんだけど、当の本人は気にするどころかこちらに気付きもせずに、とっととその子の部屋と思われる所に行ってしまったのです。

「ラスト、イス、キネマス、ク、シニィテ、スノン、ソゥ、ホノカ?(ホノカ様、今どなたか来ませんでしたか?)」

その時エスペリアさんがひょっこり台所から現れた。

一人の女の子、多分穂乃果を助けてくれた子が来たということを伝えると、一つ溜息を吐いて、小声で一言二言呟いて、その子の部屋に向かって行った。

それに穂乃果もついていく。

気になるもんね。

ノックの後、一緒に部屋に入る。

その子は、殺風景な部屋の中、神剣を抱きながらベッドに腰掛けていた。


さながら一枚の絵画のような~、うん、穂乃果には似合わない例えだってわかってます、ごめんなさい。

冗談はともかく、何度見ても綺麗。

でもこの子、結構めんどくさがりやさん、なのかな?

二人のやり取りを見てると、一言での返事が多いし、エスペリアさんが物凄く手を焼いている。

珍しい光景をしばらくボケっと見つめていたら、話が纏まったのか、あの子から話しかけてきた。

「……イス、アセリア。(……アセリアです。)」

なんともシンプルな自己紹介。

エスペリアさんはもっとちゃんと挨拶しなさいと怒っているけど、穂乃果としては長ったらしい挨拶をされるより、こっちの方がよっぽど好き。

そういうわけで穂乃果も自己紹介とお礼!

「イス、ホノカ。ラスト、ヨクイス、ハイマン、リューテカレウト、ナ、ノン。ウレーシェ。(穂乃果です。前に助けてくれたでしょ?ありがとう。)」

そして握手!


といきたかったんだけど、

「……ン。」

こっちを見て返事(?)はしてくれたんだけど、手を握ってくれる気配はない。

(あ、あれ?私、何かやらかしちゃったかな?言葉も大丈夫だったと思うんだけど……。)

と心配になっていると、

「ミニィ!アセリア!(コラ!アセリア!)」

エスペリアさんの怒声が飛んできちゃった。

「……?」

それでもどこ吹く風、というより多分よくわかっていなかったんじゃないかな?アセリア。

そんな中、引っ込めるに引っ込められなくなっていた手にようやく気付いたかのように、アセリアが手を重ねてくれた。

「……。」

このやりとりで、きっと普段はマイペースののんびり屋さんなんだなって、この時は結論づけました。

そしてこの翌日から、戦闘訓練が開始されたのでした。

以上になります。

乙ありがとうございます。

確かに長丁場になると思いますが、頑張ります。


アセリア強いよ!

いや、ホントに!!

エスペリアさん以上の動きの速さと一撃の重さ。

昨日ののんびり屋さんの姿が嘘みたい!

後から聞いたんだけど、アセリアは他の国から「ラキオスの青い牙」って呼ばれてるとか。

これって元の世界で言う「○○校の○○」みたいなものだよね!

しかも国レベルだもんね!

凄いなぁ。

ちなみに穂乃果はというと。

今だ剣の声が聞こえなくて、力を使えないポンコツさん状態です。

あの時はあれだけ穂乃果を苦しめておきながら、今度はずっと眠ってる。

この剣の方が穂乃果よりよっぽどポンコツだよ!

まぁ、そんな状態だから何もしないってわけにもいかないんだけどね。


まずは精神集中、素振り五百本。

一年生の頃は、竹刀でこれをやるのが日課で、それが二年生になってからは歌やダンスの練習に変わって、今は真剣(というにはあまりに無骨だけど)を握って再びそれをやっている。

人生わからないものです。

そして木刀を使っての実戦形式での訓練なんですが、ボッコボコにされましたです、ハイ。

これが真剣での切り合いだったら、今日穂乃果は何十回も死んでいた。

実際木刀とはいえ何度も死ぬかと思った。

それぐらいの訓練、いや訓練なんて生易しいものじゃなかった。

エスペリアさんに、何故ここまで厳しいのか聞いてみたら、

「イス、コサワム、クタ、タルム、デハタム(死なない為には必要です。)」

とのことで。

特に今まで全く実戦経験のない穂乃果には、とにかくその感覚を体に叩き込まないと、戦場ではあっさりとやられてしまうからだって。

いや、言ってることはわかるけど、ボロボロになった傍から、回復魔法かけて少し休憩、またボロボロ、回復休憩、ボロボロ、回復休憩をぶっ倒れるまで繰り返すっていうのは拷問じゃないでしょうか?


それと、戦闘訓練といっても、身体を動かすだけではありません。

座学もあるのです。

主に習うことはスピリットの特徴と運用法にその他必要な知識。

この書き方に、改めてこの世界におけるスピリットの扱いを思い知らされます。

内容にも驚きました。

『スピリットは青、緑、赤、黒といった4色の色を持ち、色ごとに攻撃や防御、使用可能魔法等、得意不得意分野に違いがある。』

『個体差はあるものの、青は直接攻撃に妨害魔法、緑は防御に治癒魔法、赤は攻撃魔法、黒は速度と妨害不可の特殊魔法を得意とする。』

『それぞれのスピリットの持つ色は目や髪等に現れる為、外見で判別が可能。』

『それ以外にスピリットは戦闘時、ハイロゥという光輪が現れ、その後、青と黒はウィング、緑はシールド、赤はスフィアと形を変える。』

『こちらも個体差があり、熟練したスピリットはハイロゥを自在に操り攻撃や防御にも使用できる。』

『何も考えずに戦闘に入り、部隊や隊列等、一つ扱いを間違えると簡単にやられてしまうこともある。』


『スピリットが戦闘を行うには、エネルギー源となるマナが必要となる。』

『このマナは専用の施設でエーテルに変換することにより、スピリットの強化や、施設の建築等にも用いられる。』

『マナは有限である。』

『例えば、施設を解体した際、その施設建築に使用したエーテルがマナに還る。』

『ただし、その還元率は100%では無い。』

『マナの不足は戦力低下のみならず、その地の生命力の低下に繋がる。』

『マナ不足の地は異常気象や作物不信等に見舞われる故、不用意な無駄使いは避けなければならない。』

まるでゲームみたいだなって思ってたんだけど、ある文字を見つけた瞬間凍り付いた。

『処刑』

(え?処刑ってあれだよね?そういう意味なんだよね?)

『スピリットを処刑することにより、そのスピリットと神剣を構築するマナを還元できる。』

『これにより施設の建築等で不足したマナを補うことが出来る。』

この時初めて、エスペリアさんの言っていた、エトランジェやスピリットはこの世界では人では無いという意味を理解した気がしました。

本日は以上になります。

投下します。


「あ゛ー、今日も疲れた~。」

アセリアが戻ってきてから連日戦闘訓練が続いています。

剣の扱いも何となくだけど慣れてきた。

まだ声は聞こえず、あの時みたいな力は出せてないけどね。

座学も何とか大丈夫。

この世界の言葉もほぼ理解したし。

後は、実戦なんだよね。

穂乃果の世界でも戦争はあったし、話にも聞いたことはある。

でも自分がする立場になったことは一度もない。

今でも恐怖はあるけど、逃げ出すわけにもいかない。

ま、それそれとして今はお風呂だよっ!

「ふぅ~、生き返るねぇ~。」

お風呂の素晴らしさはどんな世界でも共通だね!

肩まで浸かりながら歌を口ずさむ。

不安や恐怖を吹き飛ばす為の歌を。


「ヨテト、セィン、フォウ、イッド、セィン、ヤミニェ、ハサンク(しっかりするんだ今日のあたし)」

「ハル、ニムメ、ナ、ナーテイナマエ、ワ、ミネツ、ワセエム(弱い心を夜空に投げろ)」

「デラレーネ、ヨテト、セィン、フォウ、イッド、ラ、ヤミニェ、ハサンク(しっかりするんだ今日はあたし逃げない)」

「ハル、キハメ、ワ、ユン(闇を走れ)」

「ハニクム、シロス、ニナイ、カミカ、マユチ・スング(悔やみながら過ごすなんてやめなよ)」

「ウレオム、ヤァ、モゥート、ノトンカ、クサハ(きっと違う道があるさ)」


「ハテス、リューモアテ、ヤァ、コンレス(光が見たかった)」

「コンレス、ユシメ、ナ、チル(胸に宿る光)」

「クサナ、セム、コスカ、シクル、スノン(今その時だと気が付く)」

「ハイ、クナハロウ、ウズカァソロナム、イサタム(熱い目覚め感じて)」

「ヒヒマ、アメ、ヤァ、コンレス(光がふりそそぐ)」

「コンレス、ユシメ、ナ、モナニア(皆に宿る光)」

「クム、ハテス、カハチ、ハイ、ハナハウ、ホセエ・ナヤ(笑顔信じて進もうよ)」


「ヨテト、セィン、フォウ、イッド、スマノ、ユキレイ(やっぱり行くんだ今日のあたし)」

「ハテス、スゥン、サウソマム(強くなりたい)」

「クム、ハル、スロフ、ナ、シニム(隣にいてよ)」

「ヨテト、ラ、フォウ、イッド、スマノ、ユキレイ、イクハル、ナサ(やっぱり行くんだ今日はあたし勝てる)」

「ハル、サンチ、ワ、ウハレ(明日を掴め)」

「リューアリトゥム、ネマーン、デイクハル、キニカ(言えないけど嬉しかった)」

「ル、イニーム、ヒナゾス、ハイマン、ハネクラゥ、ソコハゥ(寂しさ知ってくれる存在だよね。)」


「リューへキス、ヤァ、トーセム(力が欲しかった)」

「トーセム、クミネ、ワ、ヨロ(夢を守る力)」

「ノラウエ、スクテ(まだ間に合う)」

「ハテス、テトタウロ(立ち上がろう)」

「ウラクハエシュ、ナ、コ、セィン、ナーテウム(夜明けの陽に照らされ)」

「スクナオメ、ヤァ、トーセム(力がよみがえる)」

「トーセム、クミネ、ワ、モナニア(皆を守る力)」

「ハル、ヘヤオチ、ウ、トーンサム、ニースト(だから近くで微笑んで)」


「ハテス、リューモアテ、ヤァ、コンレス(光が見たかった)」

「コンレス、ユシメ、ナ、チル(胸に宿る光)」

「クサナ、セム、コスカ、シクル、スノン(今その時だと気が付く)」

「ハイ、クナハロウ、ウズカァソロナム、イサタム(熱い目覚め感じて)」

「ヒヒマ、アメ、ヤァ、コンレス(光がふりそそぐ)」

「コンレス、ユシメ、ナ、モナニア(皆に宿る光)」

「クム、カハチ、ハイ、ハナハウ、ホセエ・ナヤ(笑顔信じて進むよ)」


「リューへキス、ヤァ、トーセム(力が欲しかった)」

「トーセム、クミネ、ワ、ヨロ(夢を守る力)」

「ノラウエ、スクテ(まだ間に合う)」

「ハテス、テトタウロ(立ち上がろう)」

「ウラクハエシュ、ナ、コ、セィン、ナーテウム(夜明けの陽に照らされ)」

「スクナオメ、ヤァ、トーセム(力がよみがえる)」

「トーセム、クミネ、ワ、モナニア(皆を守る力)」

「ハル、ヘヤオチ、ウ、トーンサム、ニースト(だから近くで微笑んで)」



―――雪穂と一緒に、また笑い合って和菓子を食べたいな。

本日は以上になります。

ちなみに聖ヨト語の翻訳は設定資料集の辞典を見ながらの作業になります。

載っていなかった一部の単語は法則に当てはめて、自身で翻訳しましたが、聖ヨト語には結構アバウトな所があります。

なので、人によっては違う翻訳結果になることも多々あると思います。

今回翻訳した曲は「閃光Resolution」という曲です。

神様と運命革命のパラドクスとラブライブ!のコラボレーション企画の曲になります。 


最初は一言。

いやどうせならワンフレーズ。

折角だからサビまで。

いっその事一番まで。

もういい、やってやれ!

みたいな感じで一曲丸ごとやってしまいました。

それでは投下します。


歌い終えて暫くしてから、勢いよく扉が開いた。

「え?」

少なくともエスペリアさんもアセリアもこんな風に扉を開けない。

一体何事かと扉の方向に振り返った瞬間目に入ったのは―――

素っ裸の小さな女の子が穂乃果に飛び掛かってくる光景でした。

「ママ!ママ!クム、リューフィン、フラウファ~♪(ママ!ママ!とっても会いたかったよ~♪)」

「マ、ママ?ウルゥ!?シエハル!?シニィテ、ウースィ、ワレン、シスエク?(ま、ママ?え!?何故!?というよりあなた誰?)」

「オネエチャン!セィン、ユキホ、ラ、ホノカ!、ママ~♪、セィン、オルファ、ラ、ホノカ、スニ、フォウ、ノンスト(ホノカはユキホのおねえちゃん!だから今日からホノカはオルファのママ~♪)」

理由にも答えにもなってない!っていうより!

「ラスト、セィン、ハネクラゥ、ワ、ユキホ、ウースィ!?(あなた雪穂を知ってるの!?)」

「ウルゥ!クム、リューフィーク、ウ、クスカムイス!(うん!お城で会ったよ!)」

この子は雪穂に会っている!?

話を―――

「ミニィ! セィン、デアリスナグ、ウ、ヤーカキィイス、オルファ!(コラ!オルファ、お風呂で遊ばないの!)」

はい、エスペリアさんのお説教ターイム。

どうやら話を聞くのはお風呂上りの後、しばらくしてからになりそうです。


そんなわけで説教タイム終了後、みんな揃って夜のお茶会です。

穂乃果へのオルファの紹介も含まれてます。

本名はオルファリルでレッドスピリット。

ラキオススピリット部隊の何人かいる年少組だって。

これでここには黒以外のスピリットが揃ったってことになるね。

オルファは今まで同盟国の国境警備に派遣されてて、今日無事に帰ってきたんだって。

そしてお城へ報告に行った時、雪穂に会った。

「ラスト、リューヤミニェ、タスタ、ユキホ?ラスト、ナ、リューヤミニェ、ムナク?(雪穂はどうしてた?元気にしてた?)」

「ウルゥ!クム、リューキニカイス、ナ、スサハゥ♪(うん!一緒にお話ししたよ♪)」

オルファの話によると、あのお姫様がオルファに雪穂の話し相手をさせて、その時に雪穂から穂乃果の話を一杯聞いたって。


凄く、穂乃果の事心配してくれていたって。

だからオルファが穂乃果の家族になる、雪穂がお姉ちゃんって呼ぶならオルファはママ!って流れらしい。

そして何より、雪穂は元気そうだった、笑っていたって。

まだ完全にじゃないけど、安心した。

エスペリアさん曰く、あの王女様はスピリットにも理解がある人格者だってことなんだけど、う~ん。

穂乃果が見た時は冷たそうな人って印象だったんだけどな。

もし良い人なら、ちゃんと話してみたい、かな?

ん?ちょっと待って?そういえばお話ししたってことは、もうユキちゃんここの言葉喋れるって事!?

試しにオルファに確認したところ、元気よくウルゥ!(うん!)の一言が帰ってきました。

早いよ雪穂、お姉ちゃんとしての威厳がガラガラと崩れ去っていくよ。

でも、この世界の言葉で雪穂と会話したら面白いかな?ってちょっと思っちゃった。

本日分は以上になります。

しまったミスった。

閃光Resolutionの一番のサビの最後「よ」じゃなくて「か」でした。

失礼しました。

それでは本日分投下します。


翌日の早朝、けたたましい鐘の音で目が覚めた。

この世界に来てからこんな時間に、こんな勢いのある鐘の音、聞いたことがない。

何かが、起きてるの?

念の為に着替えようとしていた所にエスペリアさんがやってきて、私達に至急剣を持って城に来るよう指示が来たことを伝えられる。

薄々そんな予感はしていたけど、遂にその時が来ちゃったみたい。

とにかく、急いで準備しないと。

「あ、あれ?」

手が震えて、上手くボタンが留められない。

手だけじゃない、足も震えている。

いつもの倍以上、着替えに時間がかかってしまった。

心臓の音が凄い。

全く落ち着く気がしない。

体調は問題ないのに、こんなにも身体が重く感じる。

それでも、それでも行かなくちゃと、剣と羽織を持って部屋を後にしました。


お城の謁見の間には姫様が一人で、あの時と同じ冷たそうな表情で待っていた。

王様は今はいないから、姫様が指示を出すんだとか。

そして冷たい声で、命令を下してきた。

国境付近の村、ラースに襲撃してきた国籍不明のスピリットを撃退せよ、と。

そこはオルファが派遣されていた村で、警備が少し弛んだ所を狙われた。

その村は現在エーテル変換施設が建造されていて、おそらくそれが狙いだと。

それを聞き、即座にラースへ向かおうとしたところで、穂乃果だけ呼び止められた。

「ラスト、イス、ヤミニェ、タスタ?(どうしましたか?)」

「イス、クロクス、ワ、エナロス、セィン、ウースィセィン、ナ、キテセマム、セィン、ウースィ。(あなたの働きが、あなた達の運命を決めます。)」

まさか、こんなわかりきったことを言うために、わざわざ?

「ニースト(だから)」

(ん?)

「ハル、ナンキムラス。(頑張ってください。)」

「……キス!(……はい!)」

今かけられた言葉は、冷めてはいなかった。

心が乗っていた。

少なくとも穂乃果はそう感じた。

以上になります。

おっと、すみません。

あくまでその日の分の投下が終了したというだけで、この作品の終わりはまだまだ先になります。

それでは投下します。


ラースに向かう途中の森の中、敵のスピリットと遭遇してしまいました。

初陣でいきなりの遭遇戦、心の準備も出来てない。

そんな心境を汲み取ってくれたのか、はたまた穂乃果が足手まといだからなのか、エスペリアさんのことだから前者だと思うけど、言ってくれた。

「イス、ハル、シノンラス、ラ、ソゥ、ホノカ。(ホノカ様は下がっていてくださいませ。)」

そこからは、この時の私にとっては刺激が強いとかそういう問題じゃないくらいの光景でした。

相手のスピリットは青が三人。

最初の一人はアセリアの、文字通り一撃で斬り裂かれ、二人目もエスペリアさんに攻撃を防がれている隙にアセリアに倒され、残りの一人はオルファとの魔法の打ち合いで根負けし焼き尽くされて消えてしまった。

血と人が焼ける臭いが辺りを包み込む。

胃液が込み上げてくるのがわかり、次の瞬間には吐いていた。

「ラスト、イス、テスハーア、ソゥ、ホノカ!?(大丈夫ですか、ホノカ様!?)」

エスペリアさんが駆け寄ってきて、水筒から水を注いで差し出してくれた。

何度も口をゆすいだけれど、一向に気持ちの悪さがなくなることは無かった。


そこで私が少し落ち着くまで休憩ってことになったけど、落ち着く気がしない。

あんな殺し合いをした後に、いつも通り何事も無かったみたいに振舞える皆が怖い。

オルファに限っては殺した事を褒めてなんて言ってきた。

あの時のオルファは笑いながら炎を射ち込んでいた。

動けなくなった相手を楽しみながら殺していた。

狂っている。

かと思ったら次の瞬間には、何も言えないでいる私のことを心配してくれている。

何が何やらわからなくなりそう。

気付いたらアセリアが隣にいた。

普段なら驚いたんだろうけど、今はそんな気力すらない。


「ラスト、デレテングス、ラ、ホノカ、シエハル?(何故、ホノカは戦わない?)」

「……スニ、ヤコオロフ。(……怖いから。)」

そう、怖いんだ。

戦うことが怖い、殺されることが怖い、[ピーーー]ことが怖い。

今のままだと何の役にも立たないどころかどころか足を引っ張るだけ。

だからといって一人引き下がるわけにもいかない。

そんなことをしたら雪穂がどうなるかもわからない。

あのお姫様は少しは信じられる気はした。

けど、私の働きが運命を決めるとも言った。

だから止まってはいられない。

立ち上がり、エスペリアさんにもう大丈夫と伝え、出発する。

でも、考えや行動とは裏腹に、身体の震えは止まってくれなかった。


「ラスト、デレテングス、ラ、ホノカ、シエハル?(何故、ホノカは戦わない?)」

「……スニ、ヤコオロフ。(……怖いから。)」

そう、怖いんだ。

戦うことが怖い、殺されることが怖い、殺すことが怖い。

今のままだと何の役にも立たないどころかどころか足を引っ張るだけ。

だからといって一人引き下がるわけにもいかない。

そんなことをしたら雪穂がどうなるかもわからない。

あのお姫様は少しは信じられる気はした。

けど、私の働きが運命を決めるとも言った。

だから止まってはいられない。

立ち上がり、エスペリアさんにもう大丈夫と伝え、出発する。

でも、考えや行動とは裏腹に、身体の震えは止まってくれなかった。

すみません、途中saga入れ忘れました。

本日分は以上です。

乙ありがとうございます。

投下します。


その後、何回かの敵の襲撃を受けたものの、何とか打ち破り、ボロボロになりながらもラースを敵から奪還、守ることが出来た。

結局私は皆に守られるだけで、足手まとい以外の何物でもなかった。

それでも自分が生きていることに、自分が殺さなかったことに内心ホッとしていた。

そんな安心してる中、一人の兵士さんがやってきて、機密情報を奪って逃げた敵スピリットを全員抹殺せよって命令を伝えてきた。

地獄だ。

でも逆らえない。

残り僅かな気力を振り絞り、行く。

エスペリアさんやオルファがかなり心配してくれていた。

よっぽど酷い顔をしていたみたい。

穂乃果一人だけラースで留守番していてはどうかとも言われた。

そこは気持ちだけ受け取っておくことにした。

ラースには駆けつけた兵士さんがいるし、そんなことをしていたら雪穂がどうなってしまうか。

どんなに怖くても、辛くても、足手まといになろうとも、行かなきゃいけない。

せめて見届ける位のことは、やりきらないと。

そのまま私達はラースを後にし、敵スピリットが逃走したアキラィスへ追撃を仕掛けた。

本日分は以上です。

投下します。


座学では戦場の流れを見極めることは大切だと教わった。

攻める時は臆せず攻め込むべきだが、敵の戦力や罠等のことを考えなしに突っ込んだり、引き際を誤ったりすると大変なことになると。

アキラィスに辿り着くまでに何人かのスピリットを倒したところで気が弛んでいたのもあるのかもしれない。

報告にあった、逃走したスピリットも後一人という所まで追い込んだ。

穂乃果の事を考えてくれてか、みんな頑張ってくれていた。

最後の一人を見つけた時、三人が一斉に飛び掛かって行った。

その次の瞬間だった。

「―――インフェルノ。」

攻撃を仕掛けた三人が、全て返り討ちにあった。

(え?)

何が起きたのか理解するのに数秒かかった。

三人とも炎に焼かれ、倒れていた。

アセリアだけは立ち上がろうとしていたけど、剣を支えにして、辛うじてといったところだった。


だけどその行為をあざ笑うかのように、

「インフェルノ。」

再びアセリアは炎に包まれた。

「アセリアっ!!」

怖かったし、震えは相変わらず止まらなかったけど、身体は動いた。

アセリアに駆け寄る。

「ホノ、カ?」

良かった、生きてる!

でも火傷が酷いし、何より身体から光の粒子が、マナが少しづつ漏れている。

早く治療しなくちゃいけない。

でもエスペリアさんもオルファも動けないどころか、アセリアと同じくらい酷い状態だった。

敵スピリットがゆっくりとこちらに歩み寄ってくる。


アセリアの前に立ち、剣を握る。

恐怖以外にも、怒りや悲しみや悔しさや不甲斐なさやらで頭の中はごっちゃごちゃ。

それに、こうなったのは自分のせい。

私が戦えていれば、私を庇っていなければ、きっとここまで皆やられなかったはず。

身体は震え続けているし、涙も鼻水も出てきて、ありとあらゆる穴から水分が出ていってる気さえした。

結局剣の声は聞こえてない。

こんな状態でも目覚めないなんてポンコツにも程がある。

それでもせめて、何もできずに死ぬくらいなら、刺し違えることができれば、もしかしたらみんなは助かることが出来るかもしれない。

「あああああああああああああああああああ!!」

いつもの素振りの時と同じように剣を振り上げる。

そして、気が付いたら暗い空を見上げていた。

ただ一撃、蹴られただけで穂乃果の身体は数メートル吹き飛んだ。

蹴られた瞬間を見ることも、剣を振ることすらも出来なかった。

苦しくて、まともに呼吸も出来ない。


そんな中、敵のスピリットが手をこちらにかざしているのが見えた。

(ごめん、雪穂……。)

全てを諦めたその時、敵の動きが止まった。

いや、正確には止められた。

アセリアの魔法、アイスバニッシャーによって。

アセリアがゆっくりと、足を引き摺りながらこっちに歩いてくる。

「ホ……ノ…………カッ!」

アセリアが、私に向かって倒れてきた。

その背中には、赤黒く濡れた大きな傷が付いていた。

いつの間にか目の前に敵のスピリットが立っていた。

神剣にベットリと付いた血を舐めながら。

私の中の何かが音を立てて切れた。

時間にしてほんの一秒にも満たない時間。

敵が神剣を振り上げると同時に叫ぶ。

「イィィィンスパイアッ!!」


純白の光が私とアセリア、皆を包み込む。

その光を警戒してか、敵は大きく後ろに跳んだ。

そしてエスペリアさんの魔法程ではないものの、傷や火傷が少しづつ癒えていく。

「ようやく起きたの?」

「契約者よ、その妖精に感謝するのだな。」

「アセリアに?なんで?」

「その妖精の神剣が我に強制的に叩き起こした。普段ならともかくこの場は良しとしよう。」

「そっか。ありがとうアセリア。さて、目覚めたのならあの時みたいな力を出させて、このお寝坊ポンコツ剣。」

「口の悪い契約者だ。契約は既に成立している。その契約の元、汝はもう我の使い方が分かっているはずだ。先程我の魔法を使ったばかりであろう。」

確かに何をどうすればいいか自然とわかるし、さっきまでの状態が嘘のように身体中に力が満ち、頭の中はどこまでも冴えわたっている。

例えばさっき使った魔法も理解している。

本来は神剣で直接攻撃する際に引き出される力を増幅するもの。

付与効果として、回復効果がある。

少なくとも一命を取り留める程度には。

そして大げさでも何でもなく、今なら何でも出来る気がする。


ただし同時に、最初にこの剣を握らされた時のようなドス黒い感情も、心の底から沸き上がる。

今回はこの感情に身を委ねる。

今は迷っていられない。

皆を助けるためにも、目の前の敵を殺す。

一足跳びで一気に相手に肉薄する。

慌てて剣で斬りつけてくるが、遅い。

土手っ腹に風穴を空けてやる程の気持ちと勢いで、思いっきり蹴りをぶち込む。

今度は向こうが数メートル吹っ飛ぶ番。

そしてこちらは手を緩めない。

更に踏み込む。

一歩あれば十分。

それだけで吹き飛んだ相手に追いつける。

ポンコツ剣を右腕目掛けて叩きつける。

型は意識せずとも身体が覚えている。

オーラフォトンと魔法で強化された斬撃はいとも容易く腕を砕いた。


もののついでに左手も一突きして使い物に出来なくしておく。

これでもうコイツは神剣を握れない。

「さて、穂乃果は優しいからね、死ぬ瞬間は怖いだろうから見えないように目は覆ってあげるね。」

「ただ今はちょっと両手とも塞がってるから、足で抑えるよ、ゴメンね~。」

「お~っと、暴れちゃ駄目だよ、手元が狂って上手くトドメさせないでしょ?」

しょうがないから両足も動かないように、切って刺して叩いて潰しておく。

これだけやればもう動く気力も沸かないよね?

「よーし、いっくよー!」

そのまま心臓に剣を突き刺して、ぐりっと捻る!

これでお終い!!

うん、片付いた♪

さて、後は、え~っとなんだっけ?


「……そうそう、アセリアたちを―――。」

(アセ、リア?)

(アセリア。)

(!!)

いけない!殺意に飲まれて狂うとこ……

その時、見てしまった。

マナになって消え去る前の敵のスピリットを。

私が自らの手で壊してしまった命のなれの果てを。

もう出ないと思っていた胃液が再び逆流してきた。

そのまま吐き出し、私は気絶してしまいました。

本日分は以上です。

おつありがとうございます。

本日分、投下します。


「ん……。」

(あれ……?)

目が覚めたと思ったら真っ先に目に飛び込んできたのは夕焼け空でした。

頭がボーッとしてる。

なんで穂乃果はこんなところに。

「お目覚めですか?ホノカ様。」

上から優しげな声が下りてくる。

「エスペリアさん?」

「はい。ご機嫌いかがですか?痛いところ等はございませんか?」

エスペリアさんの顔が上にある。

これはもしかして膝枕ってやつ?

あれ?どうしてこんな状況になってるんだっけ?

えっと、今日は確か、そう、でっかい鐘の音で目が覚めて、お城に行って、初陣で。

思い出した。

何があったのかを。

気絶する前の光景まで全て。


(とうとう、やっちゃったんだ。)

自然と顔色が曇る。

「ホノカ様、顔色が優れていませんが、大丈夫ですか?頭が痛かったり、気分が悪かったりはしませんか?」

「うん、平気。」

実際は全然平気な気がしないけど、いつまでもこのままでいるわけにはいかない。

起き上がり、口だけゆすいで今の状況をエスペリアさんから教えてもらう。

穂乃果が気絶した時には、既にエスペリアさんとオルファは意識が戻っていたらしい。

その後エスペリアさんは皆を治療、オルファはアキラィス周辺の警戒。

私とアセリアの意識の回復を待っていたそうで。

ちなみにアセリアはほんの少し前に目覚めて、オルファと一緒に周囲の警戒に当たってくれているって。

良かった。

皆助かって本当に良かった。

ただ、その代償に、私は完全に引き返せなくなってしまった。

もう、自分の腕は血に塗れてしまったのだから。


本日分は以上です。

今回から聖ヨト語は翻訳されてるものとしてやっていきます。

おつありがとうございます!

投下します。


お城に戻ってすぐ、謁見の間へ報告に向かう。

倒したスピリットの報告や、アキラィスの安全の確認、かなり後からやって来た兵士さんへの報告や警備の引継ぎ。

帰り道に立ち寄った、ラースにいた兵士さんへも報告。

なんだかんだで最後の戦いから数日経って、ようやくここまで戻ってきた。

出来ることならさっさと帰ってゆっくりと休みたいんだけど、そういうわけにもいかなかった。

謁見の間には出発の日と違って、姫様以外に大勢の兵士さんの姿もあった。

私達は跪き、主にエスペリアさんが報告を行う。

結果、しばらくの間ラースには私達とは別部隊のスピリットを在中させることになった。

穂乃果達には姫様からお褒めの言葉があったけど、今回のものには、出発前にかけられた言葉にはあった心は感じられなかったのです。


そんなこんなで報告を済ませ、ようやく家に帰ってこれた。

正確な言い方だとエスペリアさん曰く家ではなく詰所と言われてるらしいけど。

ちなみにここは第一詰所、それともう一か所、第二詰所があってラースにはこの第二詰所のスピリットが派遣されるんだそうな。

まあ、今の穂乃果にとってそれはさしたる問題じゃないんだよね。

とにかく疲れた。

あの戦闘で気を失ってからというものの、身体は疲れを感じているのに頭の中は興奮状態が治まらない。

そのせいでここ数日は碌に眠れていないし、後、まともに胃が食べ物を受け付けてくれなかった。

それでも寝ようと強引に目を瞑っていたりすると、その度にあの瞬間がフラッシュバックした。

初めて命を奪ってしまった瞬間が。

それでも多分、というより絶対あの時はもう戦うしかなかった。

そうしなければきっと穂乃果の方が殺されていたはず。

皆も殺されて、今こうやってここにいることも無かったはずなんだ。

確かにあの時の穂乃果には、刺し違えてもっていう覚悟はあった。

でもだからといって、やってしまった後に何も感じないってことはないんだよ。

やってもやらなくても後悔するなら、やって後悔しろなんて言われたことはあるけど、今回の穂乃果にはそれは当てはまらないよ。

やらなきゃ後悔することすら出来なかっただろうけど、そういう問題じゃない。

(そう簡単に割り切ることなんて、出来ないよ……。)


そんな風に悶々としていたら、エスペリアさんがお茶を持ってきてくれた。

ちょっと強めの鎮静作用と、睡眠導入効果のあるお茶なんだとか。

確かにちょっと匂いはキツめだけど、嗅いでいるだけで心なしか落ち着く気がする。

毎度のことながら流石の気遣いに頭が上がりません。

情けないかもだけど、今はその気遣いがとても有難かったよ。

多少落ち着いたのか、少し眠気が出てきた。

そのお茶を飲んで部屋に戻った穂乃果は、数分も経たないうちに眠りに落ちることが出来ました。

もう倒れる寸前だったってことなのかな?翌朝まで目覚めることはありませんでした。

ただし目覚め自体は最悪でした。

あの目に焼き付いた光景は夢にまで現れる。

起きた瞬間、身体中汗びっしょりの状態で気持ち悪いったらなかったよ。

次の日の夜以降も、あの夢で目が覚めてしまい、まともに眠れなくなってしまいました。

その後、食事の方は少しだけ、消化のいいものなら何とか摂れるようになったけど、それでもお肉とかは食べられませんでした。

人間都合のいいもので、いくら食欲がなくても限界が来れば食べたくなるし(食べ過ぎたら吐いちゃうけど)、普段眠れなくても限界まで疲れきると寝てしまう。

そういったことなしに、色んな物をお腹一杯食べて、寝坊するくらい眠れるようになるのはいつの日か、この時の穂乃果にはわからなかったのです。

本日分は以上です。

おつありがとうございます。

原作では丁度前回の終わりに当たる所からうるさくなってきますね。

しかし永遠偏頭痛神剣、誰がうまいことを言えと。

では、投下します。


家に戻ってきてから一週間程経ち、心身共にマシと言える程度には回復して、再び訓練の日々。

剣の力を使えるようにはなったということで、試しにアセリアと打ち合ってみたところ見事に惨敗。

実力差はあるし、まだ迷いもある。

その上剣を握ろうと思うと、あの光景を思い出して手が震える。

でも何より、いざ剣を握ると、このポンコツ剣からあの時のようなドス黒い感情が流れ込んでくる。

そして殺せだとかマナを奪えだとか言ってくる。

抵抗したらしたでガンガン頭痛くなるし。

それを抑えつけながら戦っていれば簡単にやられるよ、そりゃ。

このポンコツ剣は敵も味方も関係なしに殺したいらしいね。

たまったもんじゃないよ。

というわけで訓練を終え、部屋に戻ってきてからこのポンコツ剣に抗議をする。

「ねぇ、あなたは何でそんなに殺したいの?」

「契約者よ、汝が温いせいだ。我は手を貸してやっているのだぞ?その代償にマナを求めて何が悪い?」

カッチーン。

穂乃果のせいにしてきたよ、このポンコツ!

「このポンコツ剣!アホ剣!バカ剣!!」

乱暴にテーブルの上に剣を置いてやる。

そのまま着替えを持って、汗を流す為お風呂に入りに行く。


湯船に浸かりながら、ポンコツ剣の言葉を考える。

穂乃果が温いなんてわかってるよ。

しょうがないとはいえ、出来ることなら戦いたくなんてないって今でも思っているんだ。

殺しなんてもってのほかなんだよ。

場合によっては殺さなくて済む時だってあるかもしれないんだし。

でもそんな思いとは関係なしに、戦うために剣を握ると自分の意識の制御が効かなくなりそうになる。

あのポンコツのせいで。

実際二度目の時はともかく、最初に持った時は抵抗していたのに乗っ取られそうになった。

それも訓練の時とかでもそうしてくるんだから。

何で穂乃果が皆を殺そうとしなきゃいけないの?

絶対にみんなを殺してなるものか。

一緒にいたいんだから。

それに一人でいたら、きっと苦しさに押し潰されちゃうしね。

そしてだからこそ、今の自分の状態は誰にも相談できない。

誰がいつ殺す気で襲い掛かってくるかもしれない人と一緒にいたがるっていうのかね。

ただでさえ迷惑かけっぱなしなうえに足引っ張りすぎの状態だし。

頑張ってみせるよ。

本日分は以上です。

投下します。


ある日の夕食時、オルファがみんなにむけて、この世界に名前はあるのか?なんてことを聞いてきたの。

なんでかとエスペリアさんが聞き返すと、雪穂とそういう話をしたからだって。

「特にそういった世界の名前というのは、無いですね。国の名前だったらラキオスですが。そういえばホノカ様の世界には名前はあるのですか?」

んん?

(穂乃果の世界は、地球?でもこれは星の名前だし。)

「えーっと、ちょっと待って。何ていえばいいのかな?やっぱり地球なのかな?」

「ユキホもそう言ってたよ!もしかしたら、この空の先のどこかに地球があるかもって!」

やっぱり雪穂もそういう発想だよね、と思っていたら、普段食事中は滅多に口を挟んでこないアセリアが会話に入ってきた。

「ホノカの世界……ハイぺリア?」

実に珍しいことで、エスペリアさんもちょっと驚いているみたい。

で、ハイぺリアっていうのは確か天の先にある世界とかいう意味で、まあようは天国を意味する言葉だったはずだけど。

どうなんだろう?少なくとも天国ではないけど、もしこの宇宙のどこかに地球があるんだったら間違ってはいないことになるし。

と考えていた所、オルファだからねだからねと身を乗り出してくる。

なにやら雪穂とオルファで世界の名前を付けたらしいの。


「ママたちの世界がハイぺリアなら、オルファたちの世界はファンタズマゴリア!」

ファンタズマゴリアねぇ。

ってそれ確か、元の世界のファンタジー漫画の世界の名前じゃん。

確かにあの漫画の世界に雰囲気は似てる気はするけど、それは単純すぎないかな、ユッキー?

ここで興味を失くしたのか、食事を終えたアセリアは部屋に戻ってしまった。

いまだにアセリアの事はよくわかりません。

のんびりやさんかと思ったら食事はテキパキ済ませてしまうし。

「ホノカ様が来てからのアセリアは楽しそうですね。」

「そうだねぇ…………ってえぇ!?」

何言ってるのエスぺリアさん!!何の気無しに返事しちゃったけど、ちょっと考えたら凄く驚いちゃったよ。

いつも無表情で何考えているのかよくわからないし、時々声かけても無視されちゃうことだってあるのに!

それに対するエスペリアさんの反応は、あの娘はそういうもの、らしい。

いつか穂乃果にもわかるようになる時が来るのかな?


そんなことを思ったその日の深夜、相変わらずよく眠れない穂乃果は一人食卓でお茶を飲んでました。

最近はこの深夜の一人お茶会が習慣になってしまってます。

そのせいでファンタズマゴリアのお茶の種類も大分覚えちゃった。

多分元の世界のお茶より、こっちのお茶の方が詳しくなっちゃったかも。

のんびりお茶を啜りながらぼけーっとしていたら、珍しいことにアセリアが起きてきました。

「あれ、どうしたの?アセリア?」

こっちの問いかけには答えずに、台所に行って、水を汲んできた。

そのまま二人無言で、時折飲み物を飲みながら静かな夜を過ごす。

(うぅ……何だか落ち着かないよぉ。)

アセリアに対してはどう話しかければいいのかわからないんだよね。

仮に話しかけてもさっきみたいに無視されたり、ん、の一言で終わっちゃうこともあるし。

そんな感じで悩んでいた所、意外なことにアセリアの方から話しかけてきてくれたのです。

「ホノカ、剣、平気か?」

「え?剣ってどういうこと?」

話しかけてくれたのはいいけど、言葉が足りなくて何を言いたいのかわからないよ。


穂乃果の返事に、珍しいことにアセリアの表情が悩んでいるような顔に変わった。

「ん……ホノカの剣、『求め』の声は、色々強い。私の『存在』よりも。」

ギクッとした。

もしかしてアセリアには今の自分があの声に苦しめられているのが分かっているの!?って。

「だから、気を付けないと、剣に支配される。」

そういえばエスペリアさんが、アセリアは私たちの中では剣との繋がりが一番強いって言ってたし、よくよく考えてみればあのポンコツを叩き起こしてくれたのはアセリアなんだ。

その時に何か感じていてもおかしくないんだよね。

でも、それよりも、

「ありがとう、アセリア。穂乃果は大丈夫だよ。」

心配してくれているのが、嬉しかった。

「ん、それなら、いい。」

相変わらずの無表情に戻ってしまった。

どうやら気付いていたわけじゃないみたい。

けどね、あなたが優しい子だっていうのはよくわかったよ、アセリア。

本日分は以上になります。

投下します。


数日後、穂乃果達はお城から呼び出しを受けました。

毎度おなじみ謁見の間に、今回は王様にお姫様、兵士さん以外にも偉そうなおじさんおばさん達が大勢いる。

そこで言い渡された内容は、リクディウス山脈に住む魔龍の討伐。

この世界、龍がいるんだ……。

それはそれとして、王様からそのことを言い渡された瞬間、部屋の中が一気に騒がしくなった。

王様に直接何かを言いに行く人までいたし。

後から聞いたんだけど、そのリクディウスの魔龍は、この国の守り龍とも言われていて、国が出来るよりもず~っと昔から生きている神様の使いみたいな存在っていわれているんだって。

言い伝えではバルガ・ロアーっていう、元の世界で言う地獄からやってきた悪い奴らを倒したんだとか。

そんなの文句出るに決まってるよ。

でも、王様が言うのには、もうそんなものを存在させておくことに意味はないらしくて。

それにその魔龍に襲われた人もいるとかいないとか。

とにかくその魔龍を討ち、代わりにこの国を守る為にエトランジェである穂乃果がいる!ってことらしいよ。

人質を取っておきながらあんなことを言うって、都合良すぎだよね、あの王様。

それに乗っかって安心するどころか、拍手までしている偉そうな人達も。

さっき王様に意見していた人とかも黙っちゃったし。

で、負けることは許さないとか言ってくるんだもん。

わかっているよ。

雪穂の為にも仲間の為にも、死ぬわけにはいかない。

確かにまだ戦うことには抵抗はあるけど、戦うしかないんだから。

本日分は以上です。

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