男「俺は運が悪いんだ」(9)

男「ババ抜きをすればジョーカーは俺から離れない」

男「クジを引けば必ずハズレ。大凶以外は見たこともない」

男「ジャンケンすら無勝無分け。必ず一度でケリがつくんだ」

男「最近思うんだよ」

男「俺、実は超能力者なんじゃないか?」

友「お前頭おかしいんじゃねえの?」

男「やれやれ、これでも真面目なつもりなんだがね」

友「どこがだよ。高校生にもなって厨二病全開とか恥ずかしすぎんだろ」

男「そう感じるのは友が恵まれているからさ」

友「どこが」

男「君曰わく、口うるせえババアに酒浸りのジジイに腐れビッチのクソアネキ」

男「充分に過ぎると思うけどね」

友「それ本気で言ってんなら俺はお前との付き合い方を考え直さにゃならんぞ」

男「では冗談ということにしておこう」

友「つまり本気なのかよ……」

友「つか、不幸自慢する為に呼んだんなら帰るぞ」

男「これは異なことを言うね。俺は不運かもしれないが、不幸ではないよ」

友「一緒だろそれ」

男「やれやれ、そこから説明が必要なのか」

友「回りくどく気取ってねえでさっさと本題を話せよ」

男「ふむ。まあいい、些細な話だしな」

男「本題といっても、僅かな検証を手伝ってほしいだけなんだ」

男「ここに花札がある。勝負しよう」

友「そんだけでいいのか?」

男「俺の異常性については俺の理解が及べば充分に過ぎるからな」

友「言ってることがわからん……」

男「まあ大した問題じゃない。さあやろう」


 ………

友「月見酒」


友「猪鹿蝶。タネ」


友「三光」


友「青タン」


友「雨四光。男お前弱いな」

男「……ふむ。うん、弱いな」ブツブツ…

友「カスもたまらねえとかまるでダメだな。つまんねー」

男「うむ……うん。さてはて……」ブツブツ…

友「なあもう帰っていいか? 見たいドラマあんだよ」

男「随分と急ぎ足な……まあいい、検証は不十分だが」

友「普通にこいこいやってただけじゃねえか」

男「その通り。そしてそれが重要なわけだ」

友「だから何言ってんのかわかんねーっての」

男「悪いな。わからないように喋る癖があるんだ」

友「タチ悪いなおい」


 ………

男「……ふむ」ぺらっ

男「また『×』」

男「もう一度。今度は『×』を狙う」ぱらぱらぱら…

男「…………」ぺらっ

男「……『○』か」

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