501基地 廊下
ルッキーニ「今日はどの木でねようかなぁ」
芳佳「あ、ルッキーニちゃん。もう寝るの?」
ルッキーニ「うん。おやすみぃ、芳佳ぁ」
芳佳「おやすみっ」
リーネ「あ……」
芳佳「……」
ルッキーニ「リーネだぁ。リーネももう寝るんでしょ? おやすみ!」
リーネ「う、うん。おやすみ、ルッキーニちゃん」
芳佳「……」
リーネ「……」
ルッキーニ「……あにゃ? 芳佳ぁ、どうかしたの?」
芳佳「ううん。なんでもないよ。それじゃ、私も寝なくちゃ。明日も早いし」
ルッキーニ「あ、うん」
ルッキーニ「うーん……?」
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翌日 食堂
エーリカ「おっはよ」
リーネ「おはようございます、ハルトマンさん」
エーリカ「今日の朝ごはん、もってきてー」
リーネ「はーい」
バルクホルン「自分でやらんか、それぐらい。リーネは召使いではないんだぞ」
リーネ「私のことはいいですから。少しでもみなさんの役に立てるなら、それで」
エーリカ「リーネもこういってるし、いいじゃん」
バルクホルン「何を言っているんだ!! お前はエースなんだぞ!! 軍人なんだぞ!! こんな醜態を後輩に晒して恥ずかしくおもわんのか!!」
エーリカ「あーあー、きこえなーい」
バルクホルン「たてぇ!! ハルトマン!! 今日こそその捻じ曲がった根性を修正してやる!!!」
リーネ「あはは……」
芳佳「おはようございます」
リーネ「……」
エーリカ「おはよう、宮藤。宮藤からもトゥルーデに言ってやってくれない? 朝からワンワン吠えてて困ってるんだよね」
バルクホルン「誰が吠えさせていると思っているんだぁ!!!」
エーリカ「ほらね」
芳佳「ハルトマンさん、あまりバルクホルンさんを困らせないほうがいいと思いますけど」
エーリカ「えー、宮藤は私のこと守ってくれないのぉ?」
芳佳「そういうことじゃなくて……」
リーネ「……ハルトマンさん、どうぞ」
エーリカ「ありがとっ」
リーネ「いえ」
芳佳「……」
バルクホルン「食い終えたらランニングからだぞ。分かっているな」
エーリカ「ん……?」
シャーリー「はらへったぁー。メシはー?」
芳佳「おはようございます、シャーリーさん。ここにありますよ」
バルクホルン「ハルトマン!! 返事はどうした!!」
エーリカ「さっき捨てちゃったけど」
滑走路
エーリカ「あたまがジンジンするー。今日はおやすみの日ぃ」
バルクホルン「つべこべ言わずにさっさと走らんか!!」
エーリカ「へーい」テテテッ
バルクホルン「しっかり走れ!!」
美緒「はっはっはっは。いつも通りだな、バルクホルン」
バルクホルン「おはよう、少佐。いつも通りでは困るんだがな」
美緒「そう言ってやるな。ハルトマンにはハルトマンなりの考えがあってのことだろう。奴とて鍛錬なしにエースと呼ばれているわけでもあるまい」
バルクホルン「見えないところで努力されて困るのは少佐やミーナのほうだろうに」
美緒「うむ。一理あるか。そろそろ大尉ぐらいにはなってもいいと思うのだがな」
バルクホルン「本人は階級に拘りがないようだから難しいが……」
エーリカ「なんの話ぃ? 私ばっかりに走らせて、トゥルーデがサボってるじゃーん」
バルクホルン「お前のことで話をしていたんだ」
エーリカ「少佐、私のことよりさ、宮藤とリーネは元気にしてる?」
美緒「ああ、二人もいつもと変わらんぞ。宮藤は私と共に早朝訓練を行ったし、リーネも体調を崩している様子はなかった」
エーリカ「ふぅん。そうなんだ」
バルクホルン「宮藤とリーネが気になるのか?」
エーリカ「別に」
バルクホルン「お前な……」
エーリカ「わかってるってばぁ。ちゃんと走るってー」テテテッ
バルクホルン「だらしなく走るなぁ!! 背筋を伸ばして、足をあげろ!!!」
エーリカ「これがげんかぁい」
バルクホルン「ふざけるなぁぁ!!!」ダダダッ
美緒「はっはっはっは。またあとでな、バルクホルン、ハルトマン」
バルクホルン「ああ!!」
エーリカ「ばいばーい」
バルクホルン「おい、ハルトマン」
エーリカ「もー、なんだよぉ。足、あげればいいんだろ。――はっ!!」バッ
バルクホルン「のわ!? だ、誰がハイキックをしろといったんだ!!」
エーリカ「トゥルーデがおこったー。こわーい」テテテッ
廊下
リーネ「ふぅ……。このあとはお洗濯をして……そのあとは坂本少佐と訓練して……」
ルッキーニ「そろーり……そろーり……」
サーニャ「……」
ルッキーニ「ターゲット、確認。尾行を続ける」
サーニャ「……」
ルッキーニ「むむー……。絶対になにかあるはず……」
サーニャ「リーネさんになにかあるの?」
ルッキーニ「あにゃぁー!!!」
サーニャ「きゃっ!?」
ルッキーニ「サ、サーニャぁ。ふぃー、びっくりさせないでよぉ」
サーニャ「ごめんなさい。何してるのかなって思って」
ルッキーニ「今は極秘任務の途中なんだー」
サーニャ「極秘任務? 内容は?」
ルッキーニ「極秘だって言ってるじゃん」
サーニャ「あ、そっか」
ルッキーニ「もー。でも、サーニャには特別教えてあげる」
サーニャ「いいの? 極秘なんでしょう?」
ルッキーニ「その代わり、サーニャも手伝ってね」
サーニャ「うんっ。私が力になれるなら手伝うわ」
ルッキーニ「よーし。実はね、芳佳とリーネの様子が変なの」
サーニャ「どういう風に?」
ルッキーニ「なんていうか、とにかくヘン!!」
サーニャ「芳佳ちゃんもリーネさんも501の内部調査をするために送り込まれた間諜という感じはしないけど……」
ルッキーニ「違う違う。そういうのじゃないってー」
サーニャ「そうなんだ。よかった。芳佳ちゃんとリーネさんを疑いたくなんてなかったから」
ルッキーニ「そんなの私だってやだもん。仲間は信じなきゃ!」
サーニャ「そうだよね。私もルッキーニちゃんのことは信頼しているわ」
ルッキーニ「にひぃ! ありがとう!」
リーネ「あ、あの……ルッキーニちゃん……尾行するなら、もう少し静かにしたほうがいいような……」
ルッキーニ「あにゃー!! バレたー!!」
サーニャ「リーネさん、おはよう」
リーネ「おはよう、サーニャちゃん。ところで、私のことを尾行していたみたいだけど……」
ルッキーニ「な、なんのことだろー? ねー、サーニャ?」
サーニャ「違うの。ルッキーニちゃんは芳佳ちゃんとリーネさんのことを心配して……」
リーネ「私と芳佳ちゃん……?」
ルッキーニ「サーニャ!! ごくひぃ!!」
サーニャ「あっ」
リーネ「あの、どういうことかな?」
ルッキーニ「あーあ。もう少しスパイっぽく調べたかったのにぃ」
サーニャ「私、いつの間にかスパイになってたんだ……」
リーネ「えっと……」
ルッキーニ「もういいや。直接、いこーっと。ねえねえ、リーネ。芳佳となんかあった?」
リーネ「え? ううん。何もないよ。どうして?」
ルッキーニ「そうなの? 昨日の夜、なんかヘンな感じがしたんだけど、違うの?」
リーネ「そうかな。いつも通りだよ」
ルッキーニ「ホントにホント?」
リーネ「うん。私も芳佳ちゃんも大丈夫だから心配しないで」
ルッキーニ「わかったっ」
リーネ「ありがとう、ルッキーニちゃん。それじゃあ、食事の用意があるから、行くね」
ルッキーニ「リーネの料理楽しみにしてるからねー!」
リーネ「はーい」
ルッキーニ「にゃは。ごはんの時間まだかなぁ」
サーニャ「様子がおかしいわけでもなさそうだけど……」
ルッキーニ「リーネが気にしなくてだいじょーぶって言ってたんだし、だいじょーぶじゃない?」
サーニャ「そうね。それにこういう場所だし、色々あると思う」
ルッキーニ「こういう場所って? 501はたのしくない?」
サーニャ「ここは良い場所だけど、戦場でもあるから」
ルッキーニ「なるほどぉ。よくわかんないけど」
サーニャ「もし何かあるなら相談してほしいな……」
格納庫
シャーリー「いや、知らないなぁ。そもそも昨日も今朝も特に変な感じはなかっただろ」
エーリカ「ま、そうとも言えるけどね。やっぱり、気にしすぎかな」
シャーリー「あたしからはなんとも。ハルトマンがそう感じたんなら、話してみるのもいいと思うけど」
エーリカ「いやー。顔色とかが変わってるなら後ろから抱きついて気分を訊ねることもできるけどさぁ」
シャーリー「確証もなしに詮索はできないってことか」
エーリカ「とりあえず、今の話は耳に残しておくぐらいにしておいてよ。そろそろ鬼が迎えにくるから、行くね」
シャーリー「おう。またあとでな」
エーリカ「……遅かったか」
バルクホルン「こらぁ!! ハルトマン!! 訓練中に姿を消したと思ったら、ここで何をしているんだ!!」
エーリカ「見てわかんない? 休憩ちゅー」
バルクホルン「何を言っているんだ!! まだ予定の三分の一も終了していなんだぞ!!! 早急に訓練へ戻れ!!」
エーリカ「あと30分きゅーけー」
バルクホルン「休憩のほうが長いだろうがぁ!!!」
シャーリー「あいつらも大変だな。毎日毎日」
食堂
ペリーヌ「少佐、お食事をお持ちしました」
美緒「すまんな、ペリーヌ。いただこう」
ペリーヌ「はぁい」
ルッキーニ「ごっはーん!!!」ダダダッ
シャーリー「いそげいそげー!!」
ペリーヌ「ちょっと!! お静かに!! 坂本少佐が昼食を召し上がっているのが見えませんの!?」
美緒「はっはっはっは。気にするな。今では静かな食事のほうが気味が悪いぐらいだ」
ペリーヌ「少佐がそういうのでしたら……」
ミーナ「確かに賑やかになったわね。食事時でも」
美緒「だろう? 士気が高い証拠だな」
ミーナ「それとこれとは違うような気もするけれど……」
芳佳「あ。このスープ、美味しい。今日は誰が作ってくれたんですか?」
シャーリー「あれ? リーネが食事当番だったから、宮藤も一緒に作ったと思ってたんだけど、違うのか?」
芳佳「え? あ、そうか。今日はリーネちゃんの日だったっけ……」
ルッキーニ「扶桑の食べ物がないね。芳佳、一緒に作ってないんだ」
芳佳「うん。だって、ほら、私が作らなきゃいけないわけじゃないし」
シャーリー「いや、お前、いつもリーネと一緒に作ってるじゃないか。なんで今日に限って手伝ってないんだ」
芳佳「毎回、手伝うこともないかなぁ、なんて……」
シャーリー「まぁ、そうだな」
ペリーヌ「あら、そういえばリーネさんの姿が見えませんわね。まだ訓練中なの?」
芳佳「多分、お風呂じゃないですか?」
ペリーヌ「そうですか」
シャーリー「……」
美緒「宮藤。リーネと何かあったか?」
芳佳「ないですよ。どうしてですか?」
美緒「何もないならいい。忘れてくれ」
芳佳「はい……」
ミーナ「(ペリーヌさん、何か聞いてる?)」
ペリーヌ「(いえ、リーネさんからは何も)」
芳佳「ごちそうさま」
ルッキーニ「よっしか! お昼から暇でしょ?」
芳佳「え? ああ、うん。任務もないけど」
ルッキーニ「あたしもないんだぁ。一緒に虫つかまえにいこー」
芳佳「いいね。行こう、行こう」
ルッキーニ「れっつごー!!」
芳佳「わーい」
シャーリー「……どう思います?」
美緒「何の話だ?」
ミーナ「宮藤さんとリーネさん、訓練のときはどんな様子だったの?」
美緒「いつもと変わらん。様子が違っていれば、真っ先に報告しているし、私も二人から事情を聞いている」
ミーナ「訓練中はいつもと変わっていないのかもしれないけれど、今の宮藤さんはいつも通りとは言えないんじゃないかしら」
美緒「本人たちで解決できないことなら向こうから相談してくるだろう。それまで待っていてやるほうがいい」
ペリーヌ「少佐の言うとおりですわ。何もないと言っている以上、わたくしたちから何かするのは要らぬお世話ということになりますわよ、シャーリーさん」
シャーリー「なんであたしに言うんだよ」
ペリーヌ「シャーリーさんはすぐ顔に出ますから」
シャーリー「悪かったな、分かりやすくて」
美緒「心配することもないだろう。飛行が乱れていることはなかった。それはつまり心が乱れていないということだ」
ミーナ「そうね。ペリーヌさんの言うとおり、当人たちで解決できるならそれが一番いいのかもしれないわね」
美緒「それにだ。これ以上、人員を割く必要性もないだろうからな」
ミーナ「人員?」
美緒「大勢で気にかけてやるのも相手にとって迷惑だということだ。はっはっはっは」
ペリーヌ「誰のことを言っているのですか?」
美緒「ごちそうさま。ミーナ、書類整理を手伝おう」
ミーナ「え、ええ。ありがとう」
美緒「ペリーヌとシャーリーはこれから任務だったな。頼むぞ」
ペリーヌ「はい! お任せください!!」
シャーリー「りょうかぁい」
ペリーヌ「シャーリーさん、人員ってなんのことですの?」
シャーリー「さぁ? 少佐本人じゃないか?」
滑走路
リーネ「……」
エーリカ「お! リーネじゃん!!」
リーネ「きゃぁ!? ハ、ハルトマンさん!?」
エーリカ「なに? 私が声かけたらいけなかったの? 傷つくなぁ」
リーネ「違います! 急に声をかけられたから驚いただけです!」
エーリカ「どんなときでも気を抜くな。私みたいになっちゃうぞ」
リーネ「は、はい。気をつけます」
エーリカ「おいおい。それって私がダメな奴だと思ってるってことか? おこるぞぉ」
リーネ「ど、どうしてそうなるんですか!?」
エーリカ「あははは。冗談、冗談。カールスラントジョーク」
リーネ「は、はぁ……」
エーリカ「そうそう、少佐が褒めてたよ。リーネと宮藤の成長がすばらしいって。期待の新人ってのは本当だったんだね」
リーネ「そうですか? 少佐がそういってくれるなら嬉しいですけど、実感がなくて」
エーリカ「このままいけばリーネと私でロッテを固定されちゃうかもね。どうだ、嬉しい?」
リーネ「それは勿論。でも、ハルトマンさんとロッテを組めるなんてまだまだ先の話だと思います」
エーリカ「だろうね。何年先になることやら」
リーネ「すみません……もっとがんばります……」
エーリカ「まぁまぁ。あの坂本少佐に直接指導してもらってるんだし、急がなくても絶対私みたいになれるって」
リーネ「そうだといいな……」
エーリカ「……」
ルッキーニ「いたいたー!! りーねぇ!! りーねぇ!!」
リーネ「ルッキーニちゃ――」
芳佳「あ、リーネちゃん……」
リーネ「……」
エーリカ「どうかしたの?」
ルッキーニ「いまね、芳佳と一緒に虫とってたんだけど、リーネもどう? かっちょいい虫もいるし、かわいい虫もいるよ」
リーネ「わ、わたし、虫は苦手だから……。ごめんね」
ルッキーニ「えー?」
リーネ「ルッキーニちゃんは芳佳ちゃんと一緒に虫をとって。私はこのあと任務もあるから、一緒には遊べないの」
ルッキーニ「ぶぅー!」
芳佳「リーネちゃんは忙しいみたいだし、仕方ないよ」
ルッキーニ「えー!? 中尉と喋ってのにぃ? あたしとは遊んでくれないのー?」
リーネ「だ、だから、その、もう時間で……」
エーリカ「私がリーネの任務かわってあげてもいいよ」
リーネ「え、遠慮します! それでは!!」
エーリカ「あーあ、いっちゃった」
ルッキーニ「リーネのいじわるー!!」
芳佳「ルッキーニちゃん、リーネちゃんは別に意地悪したんじゃないから。そういうことは言わないであげて」
ルッキーニ「でもでもぉ」
芳佳「それより、ほら、早く行かないと虫が逃げちゃうよ」
ルッキーニ「そだね! こっちだ、よっしかー!!」
芳佳「うん!」
エーリカ「きをつけろよー」
エーリカ「……私もまだまだだなぁ。お昼寝でもしよっと」
夜 廊下
バルクホルン「……施錠、よし。さて、少佐には悪いが先に休ませてもらうか」
ルッキーニ「あわわわ……」
バルクホルン「おい。ルッキーニ少尉、まだ起きているのか。さっさと寝ろ」
ルッキーニ「た、大尉……」
バルクホルン「何を震えている。別にお前を叱るつもりはないが」
ルッキーニ「あ、あしょこ……」
バルクホルン「何かあるのか?」
芳佳「……」
バルクホルン「宮藤まで起きているのか……。注意してくるか」
ルッキーニ「よく見てっ。リーネの部屋の前にいるんだよ」
バルクホルン「それがどうした消灯前に雑談でもするつもりなんだろう? 私はそれを止めに行く」
ルッキーニ「芳佳、5分もああしてるんだよ? おかしいじゃん」
バルクホルン「リーネが不在、というわけでもないだろう。何を躊躇っているんだ?」
芳佳「あ、あの! リーネちゃん! 少しでもいいからお話しない? もう3日ぐらい、リーネちゃんと二人きりで話してないし……」
バルクホルン「……」
ルッキーニ「やっぱり、ケンカだぁ……。芳佳とリーネ、ケンカしてたんだぁ……あわわ……」
バルクホルン「静かにしていろ」ペシッ
ルッキーニ「あうっ」
芳佳「なんでも言って! 私、リーネちゃんのためならなんでもするよ! 戦闘では治療以外できないけど、それ以外ならなんとかするから!」
バルクホルン「リーネからの応答はなさそうだな」
ルッキーニ「芳佳がリーネを怒らせたんだぁ……。おやつとかとっちゃったのかぁ?」
バルクホルン「お前やハルトマンじゃあるまいし、宮藤がそんなことをするわけないだろう。仮にしたとしても、それでリーネが数日も立腹し続けるとは到底思えん」
芳佳「リーネちゃんっ」
リーネ『ごめんね……。疲れてて……。もう、寝ないと……』
芳佳「そ、そっか。そうだよね。それじゃあ、また、明日。おやすみ、リーネちゃん」
リーネ『おやすみ……』
シャーリーの部屋
シャーリー「今日はこれぐらいにして、ねるかー」
ルッキーニ「シャーリー!!」ガチャ
シャーリー「いらっしゃい。今日の寝床はあたしの隣か?」
ルッキーニ「それどころじゃないぃ!! 大変だって!! 大変!!」
シャーリー「ネウロイか? サーニャとエイラになんかあったのか」
ルッキーニ「芳佳とリーネのこと! やっぱり、ケンカしてたみたい」
シャーリー「あの二人が? ホントか?」
バルクホルン「――あの様子ではそう捉えることもできるだろうな」
シャーリー「お前も見たのか?」
バルクホルン「尋常ではなかったな。険悪さというのも違うが」
シャーリー「ふぅん」
ルッキーニ「ねえねえ、どうしたらいいかな? リーネがね、すっごい怒ってるみたいなんだけど」
シャーリー「へぇー。あのリーネが」
バルクホルン「あまり心配はしていないようだな。何か知っているのか?」
シャーリー「なんかあったんだろうなってことぐらいしか知らないよ」
バルクホルン「相談は受けてやったのか」
シャーリー「だから、何も知らないって。相談なんて受けてない」
バルクホルン「なるほど。合点がいった。ハルトマンが今朝から二人のことを気にかけていたな」
シャーリー「もう寝てもいいだろ?」
バルクホルン「とはいえハルトマンだけに任せていいものか……。宮藤のことだからな……」
ルッキーニ「今からみんなを集めてミーティングしない?」
バルクホルン「一理ある。消灯時間よりも優先すべきかもしれない」
シャーリー「おいおい。あんまり私たちが首突っ込むと、余計にややこしくなるからさぁ」
ルッキーニ「よーし!! あたしはサーニャとエイラを呼び戻してくるぅー!!」
バルクホルン「待て! その二人は夜間哨戒中だろう。二時間後に一度帰投するはずだ。そのときに参加してもらえばいい」
ルッキーニ「おぉー! そっかぁ!」
シャーリー「あまり話を大きくするなって」
バルクホルン「お前もこい。どうせ暇だろう」
シャーリー「話をきけ!!」
上空
サーニャ「でね、少し心配なの。エイラも芳佳ちゃんとリーネさんのこと気にしてあげてくれる?」
エイラ「別にいいけど、あの二人は仲いいし、明日になればいつも通りになってるだろ」
サーニャ「私もそう信じてるけど、万が一ってこともあるわ」
エイラ「わかった。サーニャの頼みなら仕方ないな。明日は二人にそれとなく聞き出してみる」
サーニャ「ありがとう、エイラ」
エイラ「サーニャに心配をかけたことはちゃんと謝らせるからな」
サーニャ「やめて」
ルッキーニ『エイリャー、サーニャー、おーとーせよー』
エイラ「なんだぁ? ルッキーニ、今日は随分夜更かしだな」
ルッキーニ『戻ってきたらみんなで会議するから、ブリーフィングルームにきてね』
エイラ「真夜中になんの会議するんだ?」
ルッキーニ『芳佳とリーネがケンカしてて大変なの! そのこと! 絶対出席だからね!』
エイラ「会議するほど深刻なのかよ……。サーニャ、今すぐ戻るぞ」
サーニャ「え? あ、でも、まだ哨戒中……。ううん、そんな場合じゃないわ。今すぐ基地に戻りましょう」
ブリーフィングルーム
エーリカ「叩き起こされたけど、なんの会議するの?」
ルッキーニ「芳佳とリーネがケンカしてる!!」バンバンッ
エーリカ「またまたぁ。そんなわけないじゃん。あの二人、仲よしじゃん。もう心で繋がってるレベルだね」
ルッキーニ「嘘じゃないぃ! 早くなんとかしないとダメ!!」
サーニャ「うん。芳佳ちゃんもリーネさんも今、とても苦しんでると思う」
エイラ「で、なんか策はあるのか?」
ルッキーニ「なんかない?」
バルクホルン「そうだな。まず我々にできることと言えば、双方から話を聞いて……」
ペリーヌ「放っておけばいいのに」
ルッキーニ「ペリーヌ、薄情すぎぃ」
エイラ「サイテーだな。少佐以外はどーでもいいのかよ」
ペリーヌ「誰もそんなこと言っていないでしょう!? 何のためにわたくしが落ちそうになる瞼を持ち上げて参加していると思っていますの!?」
エーリカ「ミーナと少佐は?」
シャーリー「あの二人は今頃寝てるだろ。誰がこんな時間に起こせにいけるんだよ」
ルッキーニ「それじゃあ、あたしは芳佳のとこいって話聞いてくる!」
バルクホルン「落ち着け、ルッキーニ少尉。ここはやはり年上のほうがいい。私が行こう」
エイラ「同年代のほうがよくないか?」
サーニャ「あ、あ、それなら、私が」
ペリーヌ「リーネさんとは日頃から仲良くさせてもらっていますし、リーネさんもわたくしになら色々と心中を吐露してくれることでしょう」
エイラ「ホントかよ?」
ペリーヌ「少なくともエイラさんよりは、信頼されていることでしょう」
エイラ「なんだと。私だってなぁ……私だって……あれ……宮藤とリーネに私はどう思われてるんだ……?」
シャーリー「みんな、はりきってるなぁ」
エーリカ「全員、宮藤とリーネにはお世話になってるからね」
シャーリー「ああ。そういうことか」
エーリカ「ねね、私とトゥルーデがケンカしてもみんな真剣になってくれるよね?」
シャーリー「どうだろうな。お前とバルクホルンがケンカしてても今更誰も気にしないしなぁ」
エーリカ「ヒドイ!」
バルクホルン「お前たちも会議に参加しろ。由々しき事態だというのが理解できていないのか」
廊下
美緒「やれやれ。全員で何をやっているかと思えば、宮藤とリーネのことでブリーフィングか」
ミーナ「それだけ心配なんでしょう。誰にも相談してくれないから余計にね」
美緒「二人が私たちに話さないということがどういうことなのか分かっていないようだな」
ミーナ「私は分かっていても心配になるけれどね。美緒も同じでしょう?」
美緒「……」
ミーナ「このまま静観する? 貴方か直接宮藤さんに事情を聞いたほうが早いだろうけど」
美緒「それも考えたが、昼間にも言ったように訓練時は問題がなかった。精神的な面では落ち着いている証拠だ」
ミーナ「それは表面的なことではないの? 実戦のとき、宮藤さんとリーネさんが背中を預けあえるかどうかは分からないわ」
美緒「あいつらも一端のウィッチだ。戦場に私情を持ち込むとは思えん」
ミーナ「出撃前に不安要素をできるだけ排除しておくのも指揮官の務めよ」
美緒「それを言われるとな」
ミーナ「当人たちが何でもないと言っても、日常では明らかな異変が見られます。坂本少佐、お願いできますか?」
美緒「了解。しかし、隊長の協力も必要になってくる」
ミーナ「私も可愛い家族をこのままにはできないもの。いくらでも協力するわ」
翌日 食堂
芳佳「おはようございます」
シャーリー「おう。宮藤。よく眠れたか?」
芳佳「え、ええ。シャーリーさん、もしかして寝不足ですか?」
シャーリー「色々あってさ。ハルトマンなんてそこで突っ伏してるし」
エーリカ「すぅ……すぅ……」
芳佳「ハルトマンさん!? こんなところで寝てたら風邪をひきますよ!?」
エーリカ「そのときは……みやふじがぁ……なおすしぃ……」
芳佳「そういう問題じゃないですよぉ!」
シャーリー「なぁ、宮藤」
芳佳「なんですか?」
シャーリー「多分、今日一日大変だろうけど、言いたくないことは言わなくていいからね」
芳佳「はい?」
シャーリー「階級が上の相手でもちゃんと意思表示するんだぞ。宮藤にならできるよな」
芳佳「は、はい。やってみます」
滑走路
リーネ「ふぅ……。もう少しだけ走ろうかな」
ペリーヌ「おはようございます、リーネさん。こんな朝早くからランニングとは良い心がけですわね」
リーネ「おはようございます。いえ、なんだか体を動かしていないと落ち着かなくて」
ペリーヌ「そうですか」
リーネ「では、またあとで」
ペリーヌ「お待ちなさい」
リーネ「なんですか?」
ペリーヌ「ええと……その……あの……」
リーネ「ペリーヌさん?」
ペリーヌ「わたくし、リーネさんには色々とご助力を頂いておりますし、貴方からの頼みごとならいくらでも引き受けるつもりでいます」
リーネ「どういうことですか?」
ペリーヌ「ですから、ウィッチの先輩としてですね、助言できることもありますでしょう。わたしくだって、それなりに人生経験がありますし……相談とか……遠慮なく……」モジモジ
リーネ「あ、それじゃあ、あの、一つ相談したいことがあるんですけど」
ペリーヌ「あら。仕方ありませんわね。その相談、このペリーヌ・クロステルマンが聞いてあげますわ」キリッ
格納庫
リーネ「ありがとうございました! とても勉強になりました!」
ペリーヌ「いいのよ。またいつでも聞きにいらっしゃい」
リーネ「はいっ! では、また後ほど」
ペリーヌ「はい。お疲れ様」
エイラ「おーい、ペリーヌ。聞けたのか?」
ペリーヌ「……ません」
エイラ「え? なんだって?」
ペリーヌ「リーネさんは一言も宮藤さんのことを言ってくれません!!!」
エイラ「何を教えてたんだよぉ」
ペリーヌ「飛行のことで色々と教えて欲しいといわれましたわ」
エイラ「信頼されてねえなぁ」
ペリーヌ「そんな……どうして……リーネさん……!!」
エイラ「ここは私が行ってくるしかないな。リーネみたいな奴は大人びているようなやつじゃないといけないんだ」
ペリーヌ「誰のことですの?」
廊下
芳佳「よっと……。ふぅー、洗濯物がいつもより多く感じちゃうなぁ。どうしてだろ」
芳佳「……早く干しにいかなきゃ」
ルッキーニ「芳佳、はっけーん!!」ギュッ
芳佳「きゃぁ! ルッキーニちゃん、ちょっと待って!! 洗濯物が落ちちゃうから!!」
ルッキーニ「ごめんごめん」
芳佳「これ干し終わったら、一緒に遊ぼうね」
ルッキーニ「遊ぶのはいいんだけどぉ、あっち見て」
芳佳「あっちって?」
バルクホルン「……」
芳佳「あ、バルクホルンさん」
ルッキーニ「大尉がね、芳佳に話したいことがあるんだって」
芳佳「私に? なんだろう」
ルッキーニ「洗濯物はあたしが干しておくから、芳佳は大尉のところいったほうがいいよ。ほらほらぁ、これはあたしがやっとくね! にゃはー!」ガバッ
芳佳「え? でも、ルッキーニちゃん、洗濯物干せるの?」
芳佳「バルクホルンさん」
バルクホルン「宮藤か」
芳佳「私に話したいことがあるってルッキーニちゃんが言ってたんですけど」
バルクホルン「信頼とはなんだと思う?」
芳佳「……え?」
バルクホルン「信頼とはなんだ。言ってみろ」
芳佳「信じることです」
バルクホルン「お前は私たちのことを信じているのか」
芳佳「勿論です。信頼できない人なんていません」
バルクホルン「ならば、まずは私に言っておかないといけないことがあるのではないか?」
芳佳「な、なんのことですか?」
バルクホルン「隠すな。お前、いや、二人ぐらいなら受け止められる程度には丈夫にできてる」
芳佳「あの、本当になんのことだか」
バルクホルン「……遠まわしに言うのは、私らしくなかったな。宮藤、私に打ち明けたい悩みごとがあるだろう」
芳佳「いえ、今は大丈夫です。いつも私のことを心配してくれてありがとうございます。私、バルクホルンさんに恩返しできるようにもっと強くなりますね」
格納庫
バルクホルン「……」
サーニャ「バルクホルンさん、芳佳ちゃんはなんて言っていたんですか?」
バルクホルン「……」
サーニャ「あの……」
ルッキーニ「サーニャ、やめて」
サーニャ「え?」
ルッキーニ「大尉ね、落ち込んでるの」
サーニャ「どうして?」
ルッキーニ「芳佳に何も打ち明けてもらえなかったんだって」
サーニャ「そんな……。もしかしてエイラの言っていた通り、同年代ぐらいじゃないとダメなのかも」
ルッキーニ「そうなると、サーニャしかいないね」
サーニャ「行ってきます」キリッ
ルッキーニ「サーニャ、がんばれー!!」
サーニャ「うんっ」テテテッ
ブリーフィングルーム
バルクホルン「万策尽きたな……」
エイラ「ああ……」
ペリーヌ「時間が解決してくれますわ……」
サーニャ「……」
ルッキーニ「あにゃぁ……」
シャーリー「なんだ、これ。葬式みたいな雰囲気だな」
エーリカ「全員、相談してもらえなかったそうだよ」
シャーリー「ああ、それで」
バルクホルン「シャーリー、お前はどうなんだ」
シャーリー「あのさ、リーネはともかく、宮藤まで何も話してこないってことはどういうことなのか、考えたか?」
エイラ「どういうことだ?」
シャーリー「自分たちで解決しようとしてるんだろ。私たちを巻き込むまでもない小さなことが二人の間であった。それだけの話なんだって」
バルクホルン「だから、口出しはするなということか。馬鹿馬鹿しい。後輩が苦しんでいるのを見過ごせるわけがない」
エーリカ「頼られるんじゃなくて頼られにいくって先輩としてどうなのさ」
バルクホルン「ぐっ……」
ペリーヌ「わたくしたちの行動の是非はこの際、棚上げいたしましょう」
シャーリー「いいのか、それで」
ペリーヌ「宮藤さんにしてもリーネさんにしても水臭いではありませんの。今まで幾度と無く命を預けあった関係だというのに」
ルッキーニ「そーだ、そーだ。みずくさいー」
エイラ「二人だけでなんとかなるならもうなってるだろ。でもあいつら、今朝から顔すら合わせてないじゃないか」
サーニャ「よそよそしい感じがしました」
バルクホルン「このままネウロイの襲撃でもあってみろ。あの二人がまともに戦えるかどうか」
シャーリー「それは心配ないって少佐が言ってたけどなぁ」
ペリーヌ「いくら少佐のお言葉といえど、不安は残りますわね」
エイラ「だよなー。失敗されるとこっちが困るし。とはいえ、宮藤は貴重な戦力だしなぁ。出さないわけにはいかないしなぁ」
ペリーヌ「リーネさんだって実戦で本領を発揮できるようなっています。しかし、今の精神状態を鑑みれば少佐も出撃させるのを躊躇うのではないでしょうか」
エーリカ「ミーナは止めそうだよね」
バルクホルン「そうだ。これは既に宮藤とリーネだけの問題ではない。501の問題だ」
シャーリー「無理矢理だな。まぁ、あたしもあんな二人は見たくないけどさ」
格納庫
リーネ「きちんと前を見て……それから……姿勢に意識を集中させすぎないように……」
ミーナ「リーネさん、こんな時間から自主訓練?」
リーネ「ミ、ミーナ中佐。おはようございます」
ミーナ「いいのよ、そのまま続けて」
リーネ「すみません。勝手に……」
ミーナ「そうね。これからは一言、声をかけてほしいわね」
リーネ「はい。すみません」
ミーナ「今日、先輩たちに何か聞かれなかった?」
リーネ「え? ええ。悩みはないのかってペリーヌさんとエイラさんが聞いてくれました」
ミーナ「そう。どんな悩みを聞いてもらったのかしら。言いたくなれば、言わなくてもいいけれど」
リーネ「戦闘時のことを色々と聞きました。飛行にしても戦闘にしても私はまだまだですから」
ミーナ「勉強熱心ね。私や坂本少佐に聞いてくれてもいいのよ」
リーネ「も、勿論、聞けるタイミングがあれば!」
ミーナ「遠慮はいらないわよ。私たちは家族ですもの。手取り足取り、教えてあげるわ」
中庭
芳佳「ルッキーニちゃん、干してくれたのは嬉しいけど、これじゃあ皺になっちゃうよぉ」
美緒「はっはっは。ルッキーニが干したのか。道理でいつもより雑だと思ったぞ」
芳佳「坂本さん、おはようございます」
美緒「私も手伝おう。干すぐらいならできるぞ」
芳佳「いいんですか? ありがとうございます」
美緒「いつもはリーネと二人でやっているはずだな。リーネはどうした?」
芳佳「さぁ……」
美緒「リーネとは何もないといったな?」
芳佳「はい。何もないです」
美緒「では、リーネになにかあったか?」
芳佳「……」
美緒「そういうことか。お前も分からないのか」
芳佳「なんだか、最近、私、リーネちゃんに避けられてるみたいで……」
美緒「心当たりはないのか?」
芳佳「無い、と思うんですけど……」
美緒「何故、他の者に相談しようとしない?」
芳佳「……万が一ですけど、リーネちゃんが私にだけ隠していることがあるかもしれないじゃないですか。それを他の人から聞くのは嫌だなって思って」
美緒「ふむ。お前はどうしてもリーネの口から何があったのかを聞きたかったわけか」
芳佳「はい。ここ数日は毎晩、リーネちゃんの部屋の前で呼びかけてはいるんですけど、どうしても扉をあけてくれなくて」
美緒「リーネが宮藤を避ける理由か……」
芳佳「坂本さんはリーネちゃんに何があったのか知らないんですよね?」
美緒「恐らく、誰にも話してはいないだろう。でなければ、バルクホルンらが真夜中にブリーフィングルームに集まることなどあり得ない」
芳佳「な、なんですかそれ!?」
美緒「お前とリーネの様子がおかしい所為でな、あいつらは昨日寝ていない」
芳佳「えぇ!? そんなぁ!!」
美緒「ルッキーニは、二人がケンカをしたに違いない。なんとか仲直りさせよう。そう考えていたようだが」
芳佳「そんなことになってたなんて!! わ、わたし、シャーリーさんやバルクホルンさんたちに謝ってきます!!」
美緒「待て、宮藤。今、ミーナがリーネのところにいるはずだ。もう少し待ってからでも遅くは無い」
芳佳「ミーナ中佐が……?」
格納庫
リーネ「なるほど……こういうときは焦らないで……ネウロイとの位置を……」
ミーナ「参考になったかしら?」
リーネ「はい! あの、それから……」
エーリカ「ここにいたんだ」
リーネ「ハルトマンさん、おはようございます」
ミーナ「眠そうね、ハルトマン中尉」
エーリカ「誰かさんの所為でね。ケンカしたんだーどうにかするんだーって叩き起こされちゃったよ」
リーネ「ケンカ? 誰と誰がケンカしたんですか?」
エーリカ「宮藤とぉ……」
リーネ「え……芳佳ちゃん……?」
エーリカ「おまえだぁー」グニーッ
リーネ「ふぁふぇ!?」
ミーナ「やめなさい」
エーリカ「ケンカなんてしてないって私は言ったんだけど、シャーリー以外だーれも聞く耳もってくれなくてさぁ、参っちゃうよ」
ミーナ「まぁ、そう思っても仕方ないんじゃないかしら? リーネさんは宮藤さんを明らかに避けていたようだし」
エーリカ「でも、ちょっと考えればわかりそうなもんだけど」グニーッ
リーネ「いふぁいふぇふ!!」
エーリカ「で、これには何を書いてるのさ?」ペラッ
リーネ「あ、それは……」
エーリカ「うわぁ、字がびっしりじゃん。。これ、飛行時のマニュアルか?」
リーネ「坂本少佐やミーナ中佐から言われたことを書いているんです。勿論、ハルトマンさんやバルクホルンさんから言われたことも全部」
エーリカ「シャーリーとかルッキーニから言われたことも書いてあるなぁ」
ミーナ「エイラさん、サーニャさん、ペリーヌさんから教わったことも書いてあるみたいね。綺麗にまとめてあってリーネさんらしいわ」
エーリカ「見やすいね。これ軍学校に配ったらいいんじゃない?」
ミーナ「あら、いいかもしれないわね」
リーネ「えぇ!? や、やめてください!!」
エーリカ「だって、こんな教科書みたいなの持ってても仕方ないじゃん」
リーネ「わ、私には必要なものなんです!!」
エーリカ「こんなの読みながらじゃ頭でっかちになっちゃうよ。それでいいの?」
リーネ「少しでも上手くなりたいんです。強くなりたいんです。だから……」
ミーナ「そう。あなたも焦っているのね」
リーネ「え……?」
エーリカ「言ったよね、リーネ。あの坂本少佐に直接指導してもらっているんだから、急がなくてもいいって」
リーネ「それは……」
エーリカ「宮藤に置いていかれそうとか、思ってるだろ?」
リーネ「え……あ……」
エーリカ「どーなんだよぉ。はっきりいってみろよぉ」
リーネ「うぅ……」
ミーナ「いつ気が付いていたの?」
エーリカ「少佐は訓練のとき何もおかしくないって言ってたでしょ? その時点で宮藤とリーネがケンカをしている可能性は殆どなくなった」
ミーナ「坂本少佐が二人の異変に気がつけないわけがないからね」
エーリカ「宮藤とリーネは朝の挨拶すらしてないのに訓練のときだけおかしくなかったってことは、宮藤もリーネも別にお互いを拒否してるわけじゃなかったはずだ」
リーネ「……」
エーリカ「むしろ訓練のときだけは隣にいられるからお互い嬉しかったんじゃない。そこに会話なんてなくてもさ」
リーネ「芳佳ちゃんと一緒に飛びたいって、最近強く思うようになってきたんです。いつかロッテも固定されたらいいなって、芳佳ちゃんとも話していて」
エーリカ「いいことだね。未来の501も安泰だ」
リーネ「でも、芳佳ちゃんは本当にすごくて。今では誰からも頼りにされていて、坂本少佐もバルクホルンさんも一目置いているみたいですし」
エーリカ「……」
リーネ「そんな芳佳ちゃんを見ていると、段々自分が嫌になってきて……芳佳ちゃんとも何となく、話しづらくなって……」
ミーナ「劣等感の所為で?」
リーネ「芳佳ちゃんは優しいですから、私を気遣ってくれるんですけど、それも辛くなってきて……」
エーリカ「消灯前の雑談もなくしちゃったんだってね」
リーネ「はい……」
ミーナ「訓練のときはどうだったの?」
リーネ「坂本少佐のご指導のおかげで、芳佳ちゃんについていけるんです。それが嬉しかったのは事実です。でも、実戦になれば……」
エーリカ「まぁ、リーネは練習で100点とるタイプだもんね」
ミーナ「ハルトマン中尉」
エーリカ「少佐だってそう言ってたじゃん」
ミーナ「そうだけど……」
リーネ「やっぱり、私はまだまだなんですね。自覚はしていましたけど」
エーリカ「そうだな。リーネなんてぜーんぜんダメだね。訓練の成績が優秀でも実戦で活かせないんじゃあ、意味ないし」
リーネ「すみません……。がんばってはいるんですけど……」
ミーナ「ちょっと、言いすぎよ」
エーリカ「でも、100点をとれる実力はあるんだよね。そこは大事だと思うね」
リーネ「だけど、ハルトマンさんの言ったとおり、実戦で発揮できないんじゃあ……」
エーリカ「宮藤は練習で50点も取れてないよ」
リーネ「……へ?」
エーリカ「だろ? だって、劣ってるはずのリーネがついていけてるんだもん。宮藤は酷いね」
リーネ「そ、そんなことありません! 本番に強い芳佳ちゃんのほうがよっぽど……!!」
エーリカ「わかってないなぁ。宮藤が本番で100点を出してるわけじゃなくて、リーネが本番で50点以下しか取れてないだけだよ。立場が逆転してるんだ」
ミーナ「うふふ……」
リーネ「ですから、芳佳ちゃんは本当なら満点をとれるだけの実力が備わっているんです」
エーリカ「だったら訓練で満点とってるリーネも同じじゃん。私なんていっつもトゥルーデに0点しかもらえないのに、リーネは坂本少佐からお墨付きもらってるんだからさ。羨ましいぐらいだ」
リーネ「ハルトマンさん……」
エーリカ「確かに宮藤はよくやってる。私の目から見てもすごいと思う時だってある。けど、リーネが宮藤よりも下なんて微塵も思ったことないね」
リーネ「そ、そんな……こと……」
エーリカ「私から見れば、宮藤もリーネも飛行は下手だし、銃器の扱いも素人同然だし、ウィッチとは呼びたくないぐらいひっどいもん」
リーネ「えぇぇ……」
ミーナ「あのね……」
エーリカ「ただ、私は毎日がんばってる後輩は嫌いじゃないよ」
リーネ「……」
エーリカ「じゃ、私はこれで。そろそろ鬼が探しにくるだろうし。またあとでね」
リーネ「は、はい」
ミーナ「リーネさん、気にしないでね。彼女なりのエールだから」
リーネ「はい。わかっています」
ミーナ「そう。それならいいわ」
リーネ「ハルトマンさんから見れば、私も芳佳ちゃんも同じなんですね……」
ミーナ「ふふ、私から見ても同じに見えるけれど? 違いがあるといえば、性格ぐらいかしら」
リーネ「あ、ありがとう……ございます……」
廊下
エーリカ「昼までお昼寝しよーかなぁ。お昼過ぎたらまたお昼寝しよーっと」
バルクホルン「おい。その独り言は口に出さないほうがいいぞ」
エーリカ「げっ」
バルクホルン「……まぁいい。今は訓練よりも大事なことがある」
エーリカ「なんかあった?」
ルッキーニ「中尉ぃ。芳佳とリーネを仲直りさせる作戦を考えてぇ」
エーリカ「ああ、それ。もう放っておいてもいいんじゃない?」
ルッキーニ「中尉のいじわるぅ!!」
バルクホルン「お前だって宮藤とリーネには救われているはずだ」
エーリカ「美味しいごはんを作ってくれるからね」
バルクホルン「メシだけなのか……。いや、この際なんでもいい。ともかくお前も協力しろ。二人の関係を修復させるぞ」
エーリカ「めんどうだなぁ」
ルッキーニ「なんでぇ!? 芳佳とリーネのことはどーでもいいのぉ!?」
エーリカ「はいはい。わかったよ。良い考えがあるんだけど、のってくれる?」
ブリーフィングルーム
サーニャ「すぅ……すぅ……」
エーリカ「サーにゃんは寝てるけど、ブリーフィングをはじめちゃうぞー」
エイラ「中尉、何か良策があるってきいたけど、ホントか?」
エーリカ「もっちろん。名づけて、宮藤・リーネ仲直り大作戦だ」
ペリーヌ「作戦名には目を瞑りますわ。作戦概要を教えてください」
エーリカ「やることは簡単。まずルッキーニとサーにゃんが宮藤を、シャーリーとエイラがリーネを滑走路まで連れてくる」
エイラ「了解」
ルッキーニ「にゃは!」
サーニャ「ん……りょう……か、い……」
シャーリー「あたしもやるのか」
エーリカ「で、トゥルーデとペリーヌは滑走路にて大喧嘩ね」
バルクホルン「読めたぞ。宮藤とリーネに仲裁させるわけだな」
エーリカ「そうそう。二人は力を合わせて喧嘩をとめに入る。そのとき、自分たちが喧嘩をしていることを恥じ、反省し、そして仲直りするんだ」
ペリーヌ「わたくしと大尉の演技力が試させるわけですわね」
中庭
美緒「今日も快晴だな。はっはっはっは」
芳佳「……いつまで待てばいいんですか?」
美緒「そろそろだと思うが……」
ミーナ「坂本少佐、探したわよ」
美緒「来たか」
芳佳「ミーナ――」
リーネ「……」
芳佳「リーネちゃん……」
リーネ「芳佳ちゃん……」
ミーナ「リーネさんから宮藤さんに話したいことがあるそうよ」
芳佳「ホント?」
リーネ「うん……」
美緒「大丈夫なのか?」
ミーナ「ええ。別にケンカをしてるわけでも、お互いを信じられなくなったわけでもないもの」
リーネ「芳佳ちゃんは本当にすごくて、眩しくて、いつか遠いところへ行ってしまいそうで、怖かったの」
芳佳「……」
リーネ「私の前を飛び続ける芳佳ちゃんを見ていたら、自分のことが信じられなくなって……」
リーネ「一緒に飛ぼうねって、ロッテを組もうねって約束したのに、芳佳ちゃんとの約束を守れないんじゃないかって……私……こわくて……」
芳佳「……」
リーネ「だんだん、芳佳ちゃんとお喋りする時間も苦しくなって……いつか芳佳ちゃんに置いていかれるんじゃないかって……」
リーネ「弱い私は見捨てられんじゃないかって、不安で、そう考えちゃう自分も嫌いになってきて……」
芳佳「それで、私のことを避けてたの?」
リーネ「芳佳ちゃんにこんな私を見て欲しくなくて……訓練のときだけ、うまくできる私だけをみていてほしくて……」
リーネ「それなら……嫌われないんじゃないって……おもって……」
芳佳「……よかったぁ」
リーネ「え……」
芳佳「私、リーネちゃんに嫌われたかと思っちゃった。あー、よかったぁ」
リーネ「よしか、ちゃん……」
芳佳「ほんと……に……よかった……うぅ……ほん、とに……よかっ、た……」
リーネ「芳佳ちゃん……ごめんね……私……のせいで……」
芳佳「リーネちゃん……ごめん……リーネちゃんが苦しんでいることに気がつけなくて……」
リーネ「ちがうよ! 私が勝手に……かってに……ごめ……ん……なさい……」
芳佳「ごめん……」
美緒「宮藤、お前が謝ってどうする。悪いのはリーネだろうに」ギュッ
芳佳「さかもと、さん……だって……だって……」
ミーナ「リーネさんもあまり自分を責めないほうがいいわ」ギュッ
リーネ「でも……私が……ぜんぶ、わるくて……」
美緒「隣の芝はいつだって青い。自分が空回りしているとどうしても他人が要領よくできていると思ってしまうものだ」
芳佳「うぅ……」
美緒「だが、その相手も実は苦しんでいる。手探りの毎日を過ごし、時には死の物狂いになっている。それが分かっただけでも有意義な数日間だっただろう?」
リーネ「は、い……」
ミーナ「宮藤さんに何かいうことは?」
リーネ「……絶対、一緒に飛ぼうね」
芳佳「うん! 私もリーネちゃんと一緒がいい! 一緒に空を飛びたい!!」
ミーナ「よくできました。合格点をあげます」
芳佳「色々、すみませんでした」
リーネ「ご迷惑をおかけしました」
美緒「気にするな。隊員間での諍いなど日常茶飯事だ」
ミーナ「バルクホルン大尉とハルトマン中尉とかね」
美緒「はっはっはっは。今更、あいつらがケンカをしていても誰も止めんがな」
芳佳「私は止めますよぉ」
リーネ「わ、私も」
ミーナ「ありがとう。そのときはお願いね」
美緒「まぁ、万が一、他の者がケンカしていたら問題だが……」
ミーナ「もう昔の501ではないもの。滅多なことではそういうこともないはずよ」
美緒「そう願いたいものだ」
芳佳「私もみんなが仲良しならそれでいいです!」
リーネ「私もそう思います!」
ミーナ「そうね。家族だもの。ケンカはしても仲良くないとね」
廊下
芳佳「今日の夜、いっぱいお話しようね」
リーネ「芳佳ちゃん、ごめんね」
芳佳「もういいよ。私はなんとも思ってないから」
リーネ「だけど……」
芳佳「これから私がどうなるかはわからないけど、これだけは言えるよ」
リーネ「……?」
芳佳「私はリーネちゃんの手を離さない。どんなことがあっても。信じて」
リーネ「うん」
芳佳「えへへ、ありがとう」
リーネ「このあと、訓練だよね。私、一度部屋に戻るから、先に行ってて」
芳佳「わかった」
リーネ「芳佳ちゃん! 私も芳佳ちゃんの手は絶対に離さないから!!」
芳佳「うん! 約束だよ!!」
リーネ「やくそくっ!」
芳佳「今日はどんなこと話そうかなぁ。色々話したいことあるよぉ」
ルッキーニ「タイヘンダー!! タイヘンダー!!」
芳佳「どうしたの!?」
ルッキーニ「ヨシカー!! タイヘンダー!!」
芳佳「な、なにが大変なの!?」
ルッキーニ「あっち!! あっちが大変なの!!」
芳佳「あっち?」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
芳佳「サーニャちゃん!? 廊下で寝ちゃ大変だよ!! 風邪ひいちゃうから!!」
サーニャ「そのときは……よしかちゃんに……なおして……もらう……から……」
芳佳「ハルトマンさんみたいなこと言っちゃダメだよ!! おきてー!!」
ルッキーニ「ちがうぅ!! サーニャよりも大変なことがあるのぉ!!」
芳佳「サーニャちゃんも放ってはおけないよ!」
ルッキーニ「大尉とペリーヌが大ゲンカしてるのぉ!! とにかくきてぇ!」
芳佳「えぇ!? バルクホルンさんとペリーヌさんが!?」
リーネの部屋
リーネ「悩んでた自分が恥ずかしいなぁ。芳佳ちゃんをもっと信じていれば、こんなことで悩まずに済んだのに」
リーネ「早く行かないと。今夜が楽しみ……」
シャーリー「リーネ!! いるか!?」
リーネ「シャ、シャーリーさん!? ど、どうしたんですか!?」
エイラ「滑走路で大尉とペリーヌのやつがケンカしてるんだ」
リーネ「えぇ!? どうして!?」
シャーリー「どうしてって……あー……」
エイラ「昨日の昼飯のときに、ペリーヌのおかずだけ一品多かったから、とかじゃないか?」
リーネ「そ、そんなことでケンカしちゃったんですか!?」
シャーリー「い、いや、私たちは体が資本だし……ちがうな……。バルクホルンは規律に厳しいだろ? そういうことはきっちりしたいんだと思う」
リーネ「だ、だからって……」
エイラ「とにかくきてくれ!」
リーネ「わ、わかりました!!」
シャーリー「エイラ……もう少し上手い理由を考えられなかったのか……」
滑走路
バルクホルン「もう一度、言ってみろ!!!」グイッ
ペリーヌ「暴力で解決されるおつもりですの? 大尉らしい粗暴な方法ですわね」
バルクホルン「ペリーヌ……!! 上官に対する口のききかたがなっていないようだな!!」
ペリーヌ「わたくし、坂本少佐以外を上官と思ったことはありませんの」
バルクホルン「なるほど。お前のことはよくわかった。どうやら勘違いしていたようだ。お前は人格者だと思っていたんだがな」
ペリーヌ「よかったですわね、誤解がとけて」
エーリカ「わー、これはたいへんだーだーれーかーたーすーけーてー」
ルッキーニ「ほらほら! あそこ!! 大尉とペリーヌがケンカしてるでしょ!?」
芳佳「ほ、ほんとだ……!」
エイラ「あれだ! リーネ!!」
リーネ「ペリーヌさん……!!」
芳佳「バルクホルンさん!! 待ってください!!」
リーネ「ペリーヌさん!! やめてください!!」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
バルクホルン「止めるな、宮藤!! これは私とペリーヌの問題だ!!」
ペリーヌ「口出しは無用ですわ」
芳佳「原因はなんですか!?」
リーネ「おかずが――」
バルクホルン「ペリーヌが突然、私の訓練メニューが気に食わないと言ってきてな」
ペリーヌ「旧態依然のトレーニングでは意味がない。それは事実です」
バルクホルン「私はこれでここまで来た。間違ってはいない」
ペリーヌ「大尉だからでしょう。わたくしたちの肌には合いませんわ」
バルクホルン「言いたいことはそれだけか!! ペリーヌ!!」
ペリーヌ「大声を出せば怯むと思っていますの? これだから古い考えのウィッチは嫌ですわ」
芳佳「ペリーヌさん!! いい加減にしてください!!」
ペリーヌ「貴方に言われる筋合いはありませんわ」
芳佳「どうしてですか!?」
ペリーヌ「自分の胸に手を当てて考えてごらんなさいな」
リーネ「……」
エーリカ「やめろってートゥルーデやめろってー」
ルッキーニ「タイヘンダータイヘンダー」
エイラ「宮藤、リーネ。お前らが二人をとめてくれ」
シャーリー「がんばれー」
サーニャ「すぅ……すぅ……」
リーネ「……」
芳佳「バルクホルンさんも落ち着いてください!!」
バルクホルン「落ち着いてなどいられるか!! これほどまでに侮辱されたのは初めてだ!!」
ペリーヌ「そうですか。今日という日を記念日にすることをおすすめしますわ」
バルクホルン「クロステルマン中尉!! いい加減にしろ!!!」
ペリーヌ「その言葉はそのままお返しします」
芳佳「やめてくださーい!!」
リーネ「……あ、そうか」
リーネ「芳佳ちゃん、私たちに二人を止める権利なんてないよ」
芳佳「どうして!?」
リーネ「だって、私たちもケンカしてるから」
芳佳「え!?」
リーネ「……」
芳佳「……そ、そうだった!! 私とリーネちゃんはケンカしてた!!」
リーネ「私たちもこうして隊の雰囲気を悪くしていたんだもの。ペリーヌさんの言うとおり、私たちが仲裁なんてできないよ」
芳佳「そっか……そうだよね……」
リーネ「二人を止めるには、私たちが仲直りしなきゃ」
芳佳「うん。そうだね」
リーネ「ごめんね、芳佳ちゃん」
芳佳「こっちこそ、ごめんね。酷いこといって」
リーネ「私も芳佳ちゃんを傷つけるようなことを言っちゃって……」
芳佳「ううん。もういいから、リーネちゃん」
リーネ「ありがとう……」
ペリーヌ「ふっ。ようやく、自分たちの愚かさに気が付いたようですわね」キリッ
リーネ「え? どういうことですか?」
このSSまとめへのコメント
気になるじゃろがァァァァァァァ!!!