みく「アイドル」泰葉「アイドル」 (42)

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前川みくSide

少し昔の話をするにゃ。みくが事務所に入るずっと前。

みくが中学生のころ別の事務所でユニットを組んでアイドルをやっていたにゃ。

ただみくはそのユニットの子達とはそりが合わなかったにゃ。

ユニットの子達はお客の人たちを罵倒するような発言をしてたにゃ。

みくにはそれが許せなかった。結局喧嘩してユニットは解散。事務所もやめたにゃ。

その子達はアイドルを辞めて普通の学生でもしてると思うにゃ。

みくは、諦められなかった。アイドルが好きだったから。


結局、事務所に所属しないでセルフプロデュースという形をとったにゃ。

そこからは大変な日々だったにゃ。

レッスンは自主練、LIVEバトルは負けばっかり。

昔競い合ったライバルは遥か遠くに行ってしまったにゃ。

でもアイドルを続けたにゃ。アイドルが好きだったから。ファンのみんなが好きだったから。

ダメだった。見通しが甘かった。そんな生活はすぐに終わりを迎えた。

LIVEをしても楽しくない。練習に身が入らない。

なんでアイドルを続けてるの?もはやそれは意地だったにゃ。

ユニットの子を見返すため。ライバルに近づくため。

そして、自分を曲げないため。


そんなときだったにゃ。大手芸能プロダクションが新たにアイドル部門が出来た。

そこに所属してたのが新任プロデューサーのPチャンと泰葉チャンだったにゃ。

泰葉チャンの初めてのLIVEバトルの相手として白羽の矢が立ったのがみくだったにゃ。

正直また負けると思っていたにゃ。

でも違かった。

結果はみくの圧勝。自分でも驚いたにゃ。

理由は一発でわかった。泰葉チャンはアイドルになるうえで大切なものが色々足りなかったにゃ。


まず、笑顔。そんな貼り付けられたような笑顔じゃお客さんは喜ばないよ。

そして、アイドルを楽しむこと。これはみくも無くしかけてたにゃ。

でもまだみくには残ってた。泰葉チャンには元からそれがなかったにゃ。

泰葉チャンとのLIVEは大切なものをみくに思い出させてくれたにゃ。

だからみくからも恩返しするにゃ。

「ふふん、なかなかいいLIVEだったけどその様子じゃみくにはまだまだ勝てないにゃ。」

「お疲れ様です。前川さん。今日はありがとうございました。」

みくはLIVEを通してアイドルの楽しさを教えてあげたかったにゃ。



泰葉チャンに挨拶を済ませた後こっそりPチャンと話をしたにゃ。

「プロデューサーさんかにゃ?泰葉チャンは素材はいいけどあれじゃ台無しだよ?」

Pチャンはみくのいきなりの言葉の意図をしっかり理解していたように思えたにゃ。

「前川さんでしたよね?今日はありがとうございました。改善点があるなら教えてもらいたいのですが?」

「みくでいいにゃ。直接は言えないにゃ。今度もう一回LIVEバトルするにゃ。そこで答えを見せてやるにゃ。」

「わかりました、みくさん。またよろしくお願いします。」

こんな感じでPチャンと初めての会話をしたにゃ。


それからのみくは今まで以上に本気でレッスンしたにゃ。

昔の自分を取り戻せたきがしたにゃ。

楽しい、こんな気持ちで踊るのは久しぶりだったにゃ。

今のみくの全力を泰葉チャンにぶつけたい。そして理解してほしい。

アイドルってこんなにも楽しいものなんだよ。


岡崎泰葉Side

少し昔の話をしましょうか。みくちゃんがこの事務所に入る前、私がアイドルになりたてのころ。

私は成り行きでアイドルになりました。アイドルに特別なりたかったわけではありません。

でもアイドルも仕事です。与えられたものは完璧にこなします。

それが私が芸能界で学んだもの。

それは初めてのLIVEバトルのときでした。

前川みくさん、みくちゃんとはじめてあったときです。

レッスンは完璧でした。確実ではないですが勝てると思っていました。



結果は惨敗。

「ふふん、なかなかいいLIVEだったけどその様子じゃみくにはまだまだ勝てないにゃ。」

「お疲れ様です。前川さん。今日はありがとうございました。」

なぜだかすごく馬鹿にされた気分になりました。

歌も私のほうが上だった気がします。ダンスも私のほうが上だった気がします。

それでも観客が選んだのはみくちゃんでした。

とても悔しかったです。私は完璧だったのに…。


そのあとプロデューサとみくちゃんが話していました。

よく聞き取れなかったけどなにか足りないとか。

私に何が足りないというの?

私は内心とても焦っていました。

私は自分を人形だと思っていました。しかし、今の私は人形以下です。

私に何の意味があるの?


事務所に戻りプロデューサーからみくちゃんと再戦することを聞きました。

私は本気でレッスンをしました。

経験では、負けないはずです。

歌の、ダンスの完成度を高めます。

もう惨めな気持ちになりたくない。

私の全力で戦います。


前川みくSide

LIVEバトル再戦だにゃ。

もう、迷わない。みくは自分を貫くよ。

セルフプロデュースだけど、もう一人でも大丈夫。

大切なもの思い出せたにゃ。

「誰よりも輝いて見せるにゃ。」


結果は圧勝とはいかないものもまたみくの勝ちだったにゃ。

技術だけなら完全に負けてたにゃ。

でもこれはLIVEバトル、求められてるものが違うにゃ。

「お疲れ様、泰葉チャン。」

「お疲れ様です。」

この様子じゃまだ理解してないにゃ。

みくが教えてあげるべきなのか、気づくのを待つべきなのか。

どうしようかとみくが考えていると、


「すいません、前川さん。尋ねたいことがあります。」

「みくでいいにゃ。何でも聞くといいにゃ。」

何ともいえない視線だったにゃ。焦り、不安、怒り、さまざまな感情が混ざっていたにゃ。

「はい、みくさん。率直に聞きます。どうして私は負けたのでしょうか?」

「泰葉チャンはアイドルが好きかな?」

「ええ、アイドルであるということに誇りは持ってますけど…。」

「それは仕事だから?」

「はい。」

「アイドルはそれだけじゃダメにゃ。大切なのはアイドルを楽しむ心にゃ。」


「楽しむ?仕事に私情を挟むのはダメですよ?」

頭が固いにゃ。もっと猫みたいに柔軟になればいいんだけどにゃ。

「アイドルはみんなに笑顔を与える仕事だよ?自分が笑顔じゃないと。」

「私は笑えてますよ?」

少し引っかかったにゃ。

「本当に心のそこから?」

この言葉で泰葉チャンの顔が少し引きつったきがしたにゃ。

「はい。」

泰葉チャンの顔はステージ上の顔と一緒になったにゃ。

埒が明かない。そう思ったときだった。

「泰葉、ここにいたのか。それとみくさん。お疲れ様です。」

泰葉チャンのプロデューサーが来たにゃ。

正直うらやましかったな…。

「ちょうどよかったです。みくさんはセルフプロデュースなんですよね?」

「そうにゃ。みくは孤高の猫にゃ。」

「前川みくさん。あなたをスカウトしたいのですが。ぜひうちにきて泰葉にアイドルというものを教えてください。」

急な要求にびっくりしたけど、それはみくにとって願ってもない要求だったにゃ。

「わかったにゃ。これからよろしくね。Pチャン、泰葉チャン。」

こうしてみくは今の事務所に所属したにゃ。

岡崎泰葉Side

LIVEバトル再戦の日。

「泰葉大丈夫か?」

プロデューサーが心配した目で私を見てきます。

「ステージには慣れてるから平気です。」

「わかった。泰葉を信用する。」

「大丈夫、一人で出来ますから。」

信用してもらったのです。ここで勝たなければ。


LIVEバトルが始まりました。

技術面では私が圧倒的に勝っています。

あとは結果を待つのみです。

「勝者は、前川みく。」

場内アナウンスが無常にも響きました。

前回より僅差ではありますが、負けてしまいました。

どうして、どうして、どうして、どうして。

頭の中で疑問が暴れます。

答えがわからない。なら聞くしかない。私はみくちゃんの元に行きました。

「お疲れ様、泰葉チャン。」

「お疲れ様です。」

「すいません、前川さん。尋ねたいことがあります。」

「みくでいいにゃ。何でも聞くといいにゃ。」

「はい、みくさん。率直に聞きます。どうして私は負けたのでしょうか?」

「泰葉チャンはアイドルが好きかな?」

質問の意図がわかりません。

「ええ、アイドルであるということに誇りは持ってますけど…。」

「それは仕事だから?」

「はい。」

「アイドルはそれだけじゃダメにゃ。大切なのはアイドルを楽しむ心にゃ。」

何を言ってるのでしょう?仕事に私情を挟むなどもってのほかです。

「楽しむ?仕事に私情を挟むのはダメですよ?」

「アイドルはみんなに笑顔を与える仕事だよ?自分が笑顔じゃないと。」

ドキリとしました。

「私は笑えてますよ?」

「本当に心のそこから?」

この人は私の心を見透かしてるようでした。

「はい。」

自身はありませんでした。そんなとき

「泰葉、ここにいたのか。それとみくさん。お疲れ様です。」

プロデューサーが来たました。

「ちょうどよかったです。みくさんはセルフプロデュースなんですよね?」

「そうにゃ。みくは孤高の猫にゃ。」

「前川みくさん。あなたをスカウトしたいのですが。ぜひうちにきて泰葉にアイドルというものを教えてください。」

急な出来事にびっくりしました。新しいアイドル?

「わかったにゃ。これからよろしくね。Pチャン、泰葉チャン。」

こうしてみくちゃんが今の事務所に所属しました。

私はもう要らなくなったのでしょうか?


前川みくSide

みくが事務所に所属してからわかったことがあるにゃ。

泰葉チャンは元子役、成り行きでアイドルをしている。そしてアイドルが別に好きではない。

そんな気はしていたけどやっぱり悲しいにゃ。

みくは決めたにゃ。泰葉チャンにアイドルの楽しさを教えるにゃ。

そう思ってたとき、Pチャンから提案があったにゃ。

「二人でユニットを組まないか?」

ユニット、そう聞いてみくは身構えたにゃ。

正直ユニットにはいい思い出がないにゃ。

「わかったにゃ。よろしくね、泰葉チャン。」

「よろしくお願いします。みくさん。」

泰葉チャンは何かを決心した顔だったにゃ。

二人でレッスンを受けたけどレベルの高さと、それに軽々ついていく泰葉チャンに驚いたにゃ。

あとは心構えだけで化けるにゃ。みくも頑張らないと。


「LIVEバトルが決まったぞ。」

Pチャンはいつも唐突だにゃ。

「わかったにゃ。泰葉チャン、頑張ろうね。」

「はい、みくさん頑張りましょう。」

不安は少しあったけど、それ以上に楽しみだったにゃ。

「このライブを通して、みくたちは始めてアイドルになれるきがするにゃ。」

「え?もう私たちはアイドルじゃないんですか?」

「まだにゃ。お客さんの憧れになってはじめてアイドルだよ。」

これはみくがセルフプロデュースを通して学んだこと。

「まだ、アイドルじゃない。」

泰葉チャンにはその言葉が引っかかった見たいにゃ。

「わかりました。」

それだけ呟いた時の泰葉チャンの顔は何かを決意した顔だったにゃ。



岡崎泰葉Side

みくちゃんが事務所に所属して、わかったことがありました。

昔からアイドルをしていること。アイドルに並々ならぬ思い入れがあること。

とても眩しい。私には眩しすぎます。

みくちゃんより輝けたら、そうしたら私も必要にされるかな?

そんなとき、プロデューサーから提案がありました。

みくちゃんを勧誘したときといい、この人はいつも唐突に話を決めます。

「二人でユニットを組まないか?」

もっと近くで見たら私もみくちゃんを理解できるかな?


ふと横目で見たときみくちゃんは表情が固まってました。まるで私みたい。

すぐいつもの表情に戻って、

「わかったにゃ。よろしくね、泰葉チャン。」

「よろしくお願いします。みくさん。」

こうして私たち二人はユニットを組みました。

今まで一人で仕事してきたことばかりだったので新鮮でした。

よし、頑張ろう。私は心の中で決心しました。

そうして二人でレッスンしてわかりました。

みくちゃんは技術はあまりついてません。

一人でレッスンしてきたので当たり前ではありますが。

それでもひたむきに努力して見る見る成長していました。

私も追い抜かれないように、置いてかれないようにしなきゃ。


「LIVEバトルが決まったぞ。」

プロデューサーはいつも唐突です。

「わかったにゃ。泰葉チャン、頑張ろうね。」

「はい、みくさん頑張りましょう。」

ライブは不安だったけど、みくちゃんと二人だったので少し楽しみでした。

あれ?私、仕事を楽しもうとしている?

それは初めての感情のような、子役のときにとうにおいてきた感情のような。

複雑な気分になりました。



「このライブを通して、みくたちは始めてアイドルになれるきがするにゃ。」

「え?もう私たちはアイドルじゃないんですか?」

みくちゃんの発言に驚きました。

「まだにゃ。お客さんの憧れになってはじめてアイドルだよ。」

お客さんのことを考える?これは初めてのことでした。

「まだ、アイドルじゃない。」

私はまだ本当のアイドルになれてないということなんでしょうか?

「わかりました。」

私がアイドルになりきれてないのならば、このライブを通じてきっかけを掴んでみせます…。


前川みくSide

「みくさん、いよいよライブですね。」

「泰葉チャンは緊張してないの?」

「ステージには慣れてますから。それに、二人でいっぱい練習しましたから。」

つくづく思う、泰葉チャンは大物だにゃ。

「それにしても、気合はいってるね。」

「早くアイドルって認められたいです。そしてみくさんと肩を並べたい。」

「前から言おうと思ってたけどさんづけは禁止にゃ。あと敬語も。」

むず痒くてしょうがないにゃ。

「わかりました…わかった。アイドルになって何が変わるか、まだわからない。でもワクワクしてる。」


ふと私は泰葉チャンの顔を見たにゃ。

今までにないくらいいい顔してる。ライバルの子達そっくりだにゃ。これぞ、アイドルの顔。

「私の顔に何かついてますか?」

「いや、なんでもないにゃ。」

みくもやるぞ。ユニット。

そこにPチャンがやってきたにゃ。

「そろそろライブ始まるぞ。」

「「はい。」」

二人で声をそろえて返事するにゃ。

「お、二人ともいい顔してるな。これぞアイドルって感じだな。」

泰葉チャンはわかるけどみくも出来てる?うれしいな。

「みくは成長したにゃ。それを証明して見せるにゃぁ!」

「私も…応援してくれるファンの皆さんも楽しめるライブを、きっと実現してみせます…。」

泰葉チャンならお客さんを大切にしてくれる。みくと同じ気持ちになってくれる。

そう思えたにゃ。


ライブが終わったにゃ。

結果は、圧勝。相手の子には悪かったけど今のみくたちは無敵にゃ。

「お仕事でこんな気持ちになるの、初めてかも…たのしい…。」

泰葉チャンが感動してるにゃ。

「当たり前にゃ。アイドルはみんなに笑顔を与える仕事。ならアイドル自身が一番笑顔に決まってるにゃ。」

われながらいいこと言ったにゃ。

「はい。」

そういったときの泰葉チャンの笑顔はとても輝いていたにゃ。


岡崎泰葉Side

「みくさん、いよいよライブですね。」

「泰葉チャンは緊張してないの?」

みくちゃんはひどく緊張した様子でした。

「ステージには慣れてますから。それに、二人でいっぱい練習しましたから。」

「それにしても、気合はいってるね。」

「早くアイドルって認められたいです。そしてみくさんと肩を並べたい。」

「前から言おうと思ってたけどさんづけは禁止にゃ。あと敬語も。」

なんだか、みくちゃんとの距離が近くなった気がします。

「わかりました…わかった。アイドルになって何が変わるか、まだわからない。でもワクワクしてる。」



「私の顔に何かついてますか?」

「いや、なんでもないにゃ。」

みくちゃんの顔はいつも通り眩しいです。

そこにプロデューサーがやってきました。

「そろそろライブ始まるぞ。」

「「はい。」」

二人で声をそろえて返事をします。

「お、二人ともいい顔してるな。これぞアイドルって感じだな。」

みくちゃんと同じ顔をしている?うれしい。

「みくは成長したにゃ。それを証明して見せるにゃぁ!」

「私も…応援してくれるファンの皆さんも楽しめるライブを、きっと実現してみせます…。」


結果は、圧勝。相手の子には悪かったけど今の私たちは無敵です。

「お仕事でこんな気持ちになるの、初めてかも…たのしい…。」

みくちゃんが笑いかけてきてくれます。

「当たり前にゃ。アイドルはみんなに笑顔を与える仕事。ならアイドル自身が一番笑顔に決まってるにゃ。」

本当に楽しそうに笑います。

「はい。」

私も精一杯笑いかけます。


二人のアイドル

「私にとっての幸せって、アイドルのお仕事を楽しめる今の環境なのかなって…みくちゃんのおかげです。」

「なんだか恥ずかしいにゃ。」

「みくちゃんが笑ってくれたから、頑張れた気がするの。」

「みくがいなくても泰葉チャンは輝けたにゃ。」

二人の少女は仲よさそうに話しています。

そこにプロデューサーがやってきました。

「二人とも、仕事だぞ。またライブだ。」

「また唐突だにゃ。」

二人の少女は顔を見合わせて小さく笑います。


「じゃあ二人ともやってくれるかな?」

「「はい。」」

二人のアイドルは眩しい笑顔で答えました。

以上終わりです。

みくにゃんも泰葉もそれぞれがそれぞれのプロ意識を持っていると思って書きました。

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