-----森の奥
ホーホロ、ホーホロ、ホロホロホロ…
少女「……はぁあ」
スタスタ
少女「ほんと、嫌んなっちゃうわ。川のほとりでニンジンさんに会ったじゃない?お昼頃」
少女「あなたが蝶々を追いかけているときに、私、道を聞いたのよ。次の街につく裏道なんてありません?って」
スタスタ
少女「で、あの方教えてくれたの、親切に。それに加えてこうも言ってたわ」
少女「『私は以前、あの街に住んでいました。この裏道を行けばすぐにつくでしょう』って…」
スタスタ、スタスタ…
少女「……このザマよ」
少女「聞いてる?プンプル」
少女「……」
スタスタ、
ザッザッ、ザッザッ
少女「……なによ」
少女「返事くらいしなさいよ。眠りこけてるの?そうじゃないでしょう」
少女「いい加減、ポケットから落っことすわよ」ガサゴソ
ポロッ
小型カプセル「……」
ムクムクムクムク…
ポォン
カボチャ「……っぷはぁ!」
カボチャ「ゲホッゲホッ…なにさ!いきなり落っことさないでよ!」
少女「あら?寝ていたの?」
カボチャ「そうだよ!?びっくりしたよ、カプセルボタンも押さずにいきなり落っことすんだもん!腕が痛いよ」
少女「あらやだ、ごめんなさい。私てっきりあなたが無視しているのかと思って…」
カボチャ「もぅう…」パタパタ
カボチャ「……ん?なんだここ。イバラの道?」キョロキョロ
少女「あ、そう、そうなの!道に迷っちゃって…」
カボチャ「さっきあのキザ野郎に道聞いてなかった?」
少女「……それが」
カボチャ「……ふーん、なるほど」
カボチャ「つまり、あんたは騙されたってわけだ」ビシッ
少女「……うう」ジリ
カボチャ「あんたほんと、バカというか、お人好しというかさ。なんでも信じ込みすぎなんだよ。そんなんでよく、」
少女「願い屋やっていけるね?でしょう。もうさんざん聞いたわ」プーン
少女「でもしょうがないじゃない。他に頼る人が居なかったんだもの」
カボチャ「まあ…そうだけどさ」
カボチャ「それで?目的地は定まってるの?」
少女「…」
カボチャ「…まったくもー」
俺「……」
ムクムクムクムク…
ポロォン!
俺の俺「……っぷはぁ!」
カボチャ「最初から僕を呼べばよかったじゃないか。…待ってて、今助けを呼ぶから」
ざっくざっく
カボチャ「おぉーい……ピュィー!」
少女「…」
カボチャ「…」
バサバサバサバサ!!!
少女「きゃあっ!」
青い鳥「やあ、こんにちは」
カボチャ「こんにちは、綺麗な鳥さん。ちょっとお尋ねしたいんですけど」
青い鳥「はいはい、なんでしょう?……おや?」
チラ
少女「…、?」
青い鳥「ややあ、あなたは少女さんですか?いやはやお会いできて光栄です」
少女「は、はあ」
青い鳥「噂はかねがね聞いていますよ。人間の、ええと、願い屋さんですよね。僕の息子の友達のいとこのガールフレンドの叔母さんがあなたのファンで」にこにこ
少女「あ、そ、そうですか…ありがとうございます」へらり
青い鳥「ところで…なぜこのイバラの地に?ここはずいぶん昔から誰も通らない、過疎化が進んだ道です。この先は、崖になっていますよ?」
少女「それが、かくかくしかじかで、道がわからなくなってしまったんです」
カボチャ「そうさ。それで、君を呼んだってわけ」ニヤ
青い鳥「なるほど…では、私にお任せください!」
青い鳥「正確な道へご案内します。さあ、私についてきてください!」
~~~~
青い鳥「…お二人とも、あと少し歩けば城壁が見えてきますよ!」
少女「わあ、こんな高いところにつくのか…わざわざありがとうございました、本当に」ぺこり
カボチャ「ゼェ…ゼェ…ハァハァ…まってよぉ…」
青い鳥「いえいえ、こんなの礼にも及びません…しかし、」ジイ
少女「はい?」
青い鳥「妙ですね。願い屋さんといえば、願うことはなんでも叶えられる人だと聞いていたのですが…ご自分で次の街にたどり着く願いは叶えられなかったのですか?」
少女「……そうですねぇ」
少女「叶えられなかったというより、叶えられないんですよ、自分の願いは」ニコ
青い鳥「そうですか…いや、失礼いたしました」
カボチャ「ハァハァ、ハァハァ…や、やっと追いついた……」
青い鳥「お会いできて光栄でした。それでは、僕はお暇します!」
少女「ありがとうございました、このご恩は忘れません」
カボチャ「ゼェゼェ、あ、ありがとう!」
青い鳥「それでは失礼。さようなら!」バサバサッ
少女「ありがとうございましたー!」
カボチャ「ありがとう!」
少女「…さて、行きましょう。目的地はすぐ近くだわ」
スタスタ、スタスタ
ざっくざっく、ざっくざっく…
城門「…」ズゥゥウ
カボチャ「ひゃー、大きいね」
少女「噂に聞いてた街とはちょっと違うけど…でも、街自体は大きそうだし、ここなら稼げるかもしれないわ」
カボチャ「あー、お腹空いたなあ。入ったらなんか食べよ」
少女「そうね…でもその前に、願っている人を見つけなくちゃ」
スタスタ、スタスタ
少女「門番さん、すいません」
門番「はい、こんにちは」
少女「人間一人と、それからモンスター一匹、二泊でお願いします」
門番「はい、少々お待ちくださいね…」
ギィィィイイイ…
コロネクトの街
ザワザワ、ザワザワ
カボチャ「ひょー、賑わってるねえ。人がいっぱい居るよ、少女」
少女「まずは役所で申告書を出さなきゃ…ええと、役所はどこだ」キョロキョロ
カボチャ「ちょっと見て見て!この魚珍しい!あ、ほらほら!バーガーサンドにしてくれるって!ねえ~お腹空いたぁ~」グイグイ
少女「もうちょっと我慢してよ…じゃあほら、お金渡しとくわ。どこにいる?そこのバーガー屋さんでいい?」
カボチャ「うん、ジュース代もおいてってー」
少女「私が帰るまでおとなしくしてなさいよ?」
チャリリン!
少女「じゃあ、待っててね」
スタスタスタ…
寝る!!!
時間かけてのんびり進めようと思ったんだが…
ではもう少しだけ進める。
-----コロネクト市役所
役員「……えー、では旅人商業規約に同意しますか?」
少女「はい」
役員「ではこちらにお名前と…あ、下の空欄はそのままでいいですので。お名前だけ」
少女「わかりました…ええと」
-----
カボチャ「うまい…うまいぞこれ…」ムシャムシャ
少女「ただいまあ」スタスタ
カボチャ「あ!おかえりー!」ムシャムシャ
カボチャ「どうだった?いいって?」
少女「うん、まあ。さて仕事探さなきゃ」
カボチャ「おいらも手伝うよ!」ガタッ
少女「まー簡単に大層な願いを持ったお金持ちはいないからねえ…」スタスタ
カボチャ「そういやさ、なんでなんでもかんでも引き受けてるの?」ムシャムシャ、スタスタ
少女「え?」
カボチャ「願い事だよ。あんた、願うことならなんでも引き受けてるじゃないか。噂に聞く人にもし悪い人がいたら…あんた最悪なことになるよ?」
少女「…バカねえ、プンプル」
少女「仕事を選んでちゃ仕事にならないわよ。世界征服とか、さすがに無理があるお願い事はちょっと困るけどね……でも、私は」
少女「お金になるなら人だって殺すわ」
スタスタ、スタスタ
カボチャ「…なんか、ごめん」
少女「なによ、今更じゃない」
寝る!!!
ではまた明日!!!
ありがとーん。
今日ものんびり進めていきますー
少女「プンプルだってさんざん見てきたでしょう?私の…」
カボチャ「わーー!!わかったわかった!そのグロっちい話は聞きたくない!!」ブンブン
少女「…はぁ」
スタスタ、スタスタ
少女「…さて、困ってる人はいないかしらねぇ」
カボチャ「誰かに聞いてみようよ。友達がたくさんいそうで、自分は幸福そうな人」
少女「ここにいる人みんな、何かしら小さな悩みは抱えてると思うわ」
少女「…でも、大金を払ってまで叶えたい人なんてそうそう……ん」
シーン
少女「……プンプル?」
キョロキョロ
少女「プンプル!どこ行ったのよ!」キョロキョロ
少女「もおぅ…なんでいつも、勝手に行動するのかしら…」ハァー
少女「勝手な行動しないでっていつも言ってるのにぃい」
スタスタスタ
少女「おーい!プンプルー!」スタスタ
タッタッタッ……
カボチャ「少女~!しょーじょー!」タッタカ
少女「あっ!」クル
少女「もう!勝手な行動しないでって言ってるじゃない!どこ行ってたのよ!」
カボチャ「見つけたんだ!困ってる金持ち!」ニコ
少女「え?」
-----コロネクト中央図書館
少女「わあ……広いのねえ、本がたくさんあるわ」
少女「ここなら薬草学の本もありそう…」スタスタ
カボチャ「ちょっと、どこ見てんのさ。こっちだよ!」
スタスタ
カツンカツン…
カボチャ「ほら、あの人」
少女「……あのカウンターにいる、おばあちゃん?司書さんじゃない」
カボチャ「困ってるみたいだよ?ささ、行った行った!」
グイグイ
少女「ちょ、ちょっと!…わぁっ」
ガタン
老婆「……ん?」
少女「おぉっとっとっと…」タッタッ
少女「こ、こんにちは」
老婆「こんにちは、お嬢さん。なにか貸し出しについてご用?」ニッコリ
少女「い、いえ。違います。…ええっと」チラ
少女「あの、先ほどカボチャが来ませんでしたか?」
老婆「…ああ!もしかしてあなた、願い屋さん?」
少女「はい、そうです」
老婆「そう…ふふふ、こんなに可愛いお嬢さんだったのねぇ」にこにこ
少女「いえ、めっそうもない…ええっと、おばあちゃんは、司書さんなんですか?」
老婆「そうなの。朝から夕方まで、コロネクトの人たちに本を貸し出しているわ。……数年前からね」
少女「そうなんですか。それで、あの…なにかお願い事なんか、ありませんか?私でよければ叶えさせていただきます」
老婆「…本当に、なんでもできるの?」
少女「はい、なんでもできます」
老婆「そうなの……じゃあ、夕方にこの図書館の裏庭まで来てくれる?お願い事があるわ」
少女「はい、わかりました。任せてくださいっ」ニコ
夕方
少女「えーと、裏庭ってどこだ…?」
カボチャ「この階段降りたとこじゃない?ほら、下に薔薇の庭園がある」
少女「……プンプル」
カボチャ「なに?」
少女「ついてこなくていいのよ?宿は予約してあるし、先に帰ってても…」
カボチャ「なに言ってるのさ!僕たち相棒、二人で一人、二人三脚!もちろん僕だって行くよ」
少女「はぁ…邪魔しないでよね」ジロ
カボチャ「だいじょーぶだいじょーぶ!」ヘラヘラ
カツンカツン、
スタスタ…
老婆「…あら、お嬢さん!こちらよ」
少女「あ!おばあちゃん。すいません、お待たせしてしまって」スタスタ
老婆「大丈夫よ、私も今終わったところだから。…あら、昼間の」
カボチャ「今晩は、おばあちゃん!」
老婆「こんばんは、妖精さん」ニッコリ
少女「それで、早速なんですが…お願い事の方を」
老婆「まあ、立ち話もなんですから。あそこのカフェーでお話ししましょう」
すまん、
11時過ぎには再開する
-----カフェ
店員「ご注文はお決まりですか?」
老婆「コーヒーをひとつ。それから…」チラ
カボチャ「パンプキンパイ!…グヘェッ!」ベシッ
少女「こら!…ええと、お水ふたつで」
老婆「あら、いいわよ。遠慮しないで頼んで?」ニコ
少女「で、でも…」
老婆「あとであなたの報酬から差し引いて置くわ」
少女「……で、ではココアとパンプキンパイ…を」
店員「かしこまりました~」
少女「す、すいません…」
老婆「いいのよ、気にしないで」
~~~~~
カボチャ「いただきまーすっ」
カチャカチャ
少女「ええと、それで…」カタン
老婆「ああ…そうね、本題に入りましょうか」
老婆「といっても、本当に。魔法学でも科学でも、なかなか叶えられなさそうなことなのだけど…」
少女「大丈夫です。…世界征服、とかじゃなければ」ニコ
老婆「そんな大それたことじゃないけどね…あのね」
老婆「亡くなった主人と、もう一度会いたいのよ」
少女「ご主人、ですか」
ひぃい…すまん…すまん…
ありがとう、今日は絶対落ちまへんので…ありがとう…
老婆「そう……ちょうど、私がこの仕事を始めた頃。この街に、綺麗な紅葉が咲いた年」
老婆「突然の病気でね、私が帰ってきたら、床に伏せて…もう息をしていなかったわ」
少女「そうですか…」
老婆「それでね、もう一度会いたいのだけれど…叶えられる?死者と話すなんて」
少女「あ、はい。それは出来ます…ですか、少女時間をくれませんか?」
カボチャ「むしゃむしゃ…」
カチャカチャ
老婆「ええ、もちろん」ニコ
老婆「この街にはどれくらい滞在するの?」
少女「2日です」
老婆「そう……ちょうど、私がこの仕事を始めた頃。この街に、綺麗な紅葉が咲いた年」
老婆「突然の病気でね、私が帰ってきたら、床に伏せて…もう息をしていなかったわ」
少女「そうですか…」
老婆「それでね、もう一度会いたいのだけれど…叶えられる?死者と話すなんて」
少女「あ、はい。それは出来ます…ですが、少し時間をくれませんか?」
カボチャ「むしゃむしゃ…」
カチャカチャ
老婆「ええ、もちろん」ニコ
老婆「この街にはどれくらい滞在するの?」
少女「2日です」
すまん>>41は誤字です。
老婆「2日…2日でなんとかできるの?」
少女「はい、大丈夫です。たぶん」
少女「明日の昼間、もう一度このカフェに来てくれませんか?それと、広くて誰もこないような空き地があれば教えてください。そこで、死者…おじいさんと、立ち会えます」
老婆「そう……そう、そう」
老婆「ありがとう。明日はちょうど、仕事も休みだし、ぜひ。ああ、なんだかワクワクしちゃうわ!」
カボチャ「……」もぐもぐ
少女「私も、楽しみです」ニコ
老婆「あなた、本当になんでも叶えられるのね!すごいわ、その年で」
少女「いえいえ、めっそうもないです…」チラ
カボチャ「……もぐもぐ」チラ
~~~~
少女「ご馳走様でした。本当に、ありがとうございました」
老婆「いいえお礼を言うのはこっちの方だわ。本当に、夢見たい…」
カボチャ「げっふ」
老婆「じゃあ、また明日会いましょう。ふふふ、おやすみなさい!」
少女「おやすみなさい!本当にありがとうございました」ペコッ
カボチャ「またあしたねー」
カボチャ「…」
少女「…」
カボチャ「…さて、」
カボチャ「どういうこと?説明してよ」ジロ
少女「…」
スタスタ、スタスタ
カボチャ「あんたさ!どういう神経してんの?あの人すっかり信じ込んでるよ」
少女「嘘は言ってないわ」
カボチャ「ああ、嘘は言ってないさ。でも本当のことも言ってない」
スタスタ、スタスタ
カボチャ「あんた、ちゃんと呼びだせんの?それとも、『死者の魂を呼び出す方法』を忘れちゃって、適当に言ったんじゃないよね?」
少女「…できるわ、きっと」
カボチャ「どこからその自信が湧いてきてるの?ほんとに信じらんない」
カボチャ「……死者の魂呼び出せたことなんて、一回もないじゃん」
少女「っ!」ギロ
少女「い、一回はあるわよ!プンプルと旅立つ前に…お父さんと、一回だけ…」
カボチャ「…はぁあ。あのさあ、はっきり言うけど」
カボチャ「あんたそれ、自分の力でやったと思ってるの?あんたの父ちゃんがどれだけ凄い大魔術師で、どれだけ魔力のある人だかわかってて?」
少女「…」
カボチャ「まぎれもなく、父ちゃんのおかげじゃん」
少女「…」ぐぐっ
少女「…できるわ、きっと。いいえ、出来ます」
カボチャ「…」
カボチャ「…また、」
カボチャ「また、人を悲しませるの?」
少女「…っ」
少女「バカにしないで!出来るわよ!」バッ
少女「絶対に今度はできるわ…絶対に。成功するわよ」
カボチャ「……おいら、知らないからね」プイ
スタスタ、スタスタ
少女「…」
少女「もう、あんな悲劇二度と起こさない。私ならできるわ…」
少女「…大丈夫よ。明日も生きていくためよ…」
ザッ、
スタスタ…
-----コロネクト西部
深夜の街
ピチョン、ピチョン…
少女「…」スタスタ
少女「…よし、ここならいいわね」
ガシャン!
少女「バケツ持って、魔法水持って…紙も持って…ああ!」
少女「大変、おじいさんの名前を聞くの忘れてたわ…どうしましょう…」
ヒヒュゥウーー…
少女「うぅ、寒い…」ぶるっ
少女「…いいわ、悩んでいても仕方ない。…成功させるわ」ぐぐっ
カラン、カラン
少女「ええっと…魔法水を一滴垂らして…」ピチョン
少女「バケツに……線を繋いで…」
カタカタ
少女「透紙に……あとは…」
ヒヒュゥウ…
少女「…」ガタ
少女「…よし。」ドキドキ
少女「ああダメ、だめよ、落ち着くの…」
少女「…できるわ、私。」すーはー
少女「すー…はー…」
少女「……よし」
カン、カンカンカン
少女「…」
少女「『ディヴォーグ、ディヴォーグ、ディヴォーグ』」
少女「『ハズガリューン』」
ヒュルルル…
ヒュー…
少女「『穢れなき、魂よ…』」
ビビ…
ビュオオオオオオオオオ!!!
少女「っ、きゃあ!」
ガアン!
少女「ああっ、バケツが!」
グググググ…
……ブォオオオオオオオオオ
少女「っづ、」グンッ
シュルシュルシュルシュル…
……
………ヒュン
少女「…」
少女「…はあ」チラ
少女「はあ、はあ……だめだわ…」
カランカラン…
少女「…」
少女「だめ、だめ。きっと余計なこと考えてるからよ。次はうまくいくわ…」スクッ
ガサッ、
少女「っ!」ビクッ
カボチャ「…ねえ、なにしてんの?」
少女「…ああ、なんだ…プンプルか」ほっ
カボチャ「起きたら魔法水もないし、あんたの靴も消えてるし、どこ行ったかと思ったよ」スタスタ
少女「ごめんなさい、書き置き残せばよかったわね」
カボチャ「……それ、なに?」ジィ
少女「え?えっと、これは」
カボチャ「もしかして…死者呼び出そうとしてるの?」
少女「え?え、ええ…まあそんなところ」
カボチャ「ふうん…ここ座っていい?」
少女「ど、どうぞ?」
見てる人おるんか…
ちょっといろいろやってくる
本当に読んでくれて嬉しい。
このSSは細く長く続けていきますのでどうぞお付き合いを…
じゃあぼちぼち続けますー
ホーホロ、ホーホロ…
カボチャ「…」
少女「…」
カボチャ「あのさ」
少女「う、うん」
カボチャ「崖の上での事件、まだ気にしてたりする?」
少女「…いえ」さわ
カボチャ「嘘だ。あんた、嘘つくとき右耳を触る癖なんとかしなよ」
カボチャ「…まあ、夕方のあれは…ごめん」
ホーホロ…ホーホロ…
少女「いえ…私こそ」
カボチャ「でも、本当のこと言わないのはよくないよ」
少女「そうね、確かに」
カボチャ「…嫌な思い出、掘り起こしていい?」
少女「ええ、いいわ。…夢を見てるみたいに」
カボチャ「……あれさ、思い返せばおいらたちが初めて死者の魂を呼び起こそうとしたときだったよね」
カボチャ「崖の上に住んでる女の子がさ…死んだ父親に会いたいって」
少女「……」
カボチャ「あんた、必死な顔して何度も何度も呪文唱えてた。女の子のベッドが半壊になろうが、炎の精に髪の毛むしられようが」
カボチャ「……んで、出てきたのは」
少女「死んだ瞬間の姿のままの父親」
カボチャ「…」
少女「酷かったわね。大腸が飛びてて、目玉はどっか行ってるし、それに肩から大量の血を流してた」
少女「それに、最初に親子が交わした会話」
~~~
ゴロゴロ
ゴロォォン!!ビシビシャーン!!
女の子『お、お父さん……』ガクガク
父親『……ジュヌ』
女の子「お父さん!会いたかったわ!』バッ
父親『死ね』
女の子『……え?』
父親『いたい、いたい。ジュヌ、死ね』
父親『俺だけ、いやだ、ジュヌ、死ね、死ね』
ガラガラガラ…
~~~
少女「…」
カボチャ「…」
カボチャ「…おいらはあれを、ちゃんと『呼び出せた』とは言えない」
少女「私も同感よ」
少女「…あの子にあの日、お礼を言われた時は、本当に自分を殺したくなった」
カボチャ「…しょうがないよ、あの日が初めてだったんだもん」
カボチャ「でも、あんたはあの日も、今日と同じことを言ったんだ」
カボチャ「「私には必ずできます。期待しててください」ってね」
少女「…」
カボチャ「…バカでしょ」
カボチャ「どうしてそう、同じこと繰り返すかな。確実にできる保証なんてあんたにはない。ゼロだ」
カボチャ「なんであんなこと言ったのさ。正直、死者の魂を呼び出せる人なんて、世界中でもあんたの血族しかいない。つまり、巡り合わなきゃ不可能なんだ、死人と話すなんて」
カボチャ「そりゃ期待するよ、そりゃ、あんたに全財産はたいても希望を託すよ。んで?やった結果が醜く死んだ愛する人を召喚?」
少女「…」
カボチャ「冗談じゃない」
少女「ええ、全部プンプルの言う通りよ…でもね」
少女「私たちは、旅をして生きているの。所帯もなく家庭もない、お金もなければ明日住むところさえも怪しい」
カボチャ「だから?」
少女「だから、目一杯……期待させるのよ」
少女「契約は、願いを叶える前にするわ。だから、契約したら、どんな形であれ…たとえ醜形と化した人だろうと、その人本人が出てきたらそれで成立。お金は入ってくる」
カボチャ「…」
少女「恨まれようか、なにしようが、さっさとその町から出ちゃえばそれでちゃんちゃん」
カボチャ「ほんとに人間?あんた」
少女「さあね、人間じゃないかもしれないわ……プンプル」
少女「生きるって、大変なのよ」
カボチャ「話になってない」スクッ
カボチャ「あんた、意味わかんないよ。簡単に他人を信じ込むくせに、こういうところはお堅いんだから」
少女「そうかもね」
すませーん、このお話は今日はここまでで。
また明日かあさってか…
それでは。
ありがとうございます。
今日の夜9時頃から再開しますん。のんびりよろしくね。
早めに帰ってこれたので、
ぼちぼち再開しますー。今日もゆっくりやってくね。
少女「とーにかく!」ガタン
少女「明日、なんとしてでも成功させなくちゃならないわ。だから、プンプル。ちゃんと呼び起こしできるまで私はここにいる」
カボチャ「そりゃかまわないけど……それ」
少女「ん?」
カボチャ「魔法水だよ。まだ使うの?おいら死んじゃうよ」
少女「あ!そうだったわごめんなさい。あなた魔法水飲まないと死んじゃうのよね」
プンプル「まあ1日くらいだったら、痙攣くらいで済むけどね」
少女「ええっと…じゃあ、どうしようかしら」オロ
カボチャ「……」
カボチャ「……しょうがないなー」
少女「え?」
カボチャ「しょうがないなあ」
少女「?」
カボチャ「付き合うよ」
少女「え?」
カボチャ「だからあ、付き合うって言ってんの!呼び起こし!」
少女「え、別にいいわよ」ズバッ
カボチャ「…」
少女「ああ、でも寝るときにこれがないとダメなのよね…よし、じゃあ悪いけど…」
カボチャ「…うん、別にかまわないけど」
カボチャ(なんだこの、感じ…)
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