穂乃果「はい、誕生日プレゼント!」 海未「か、肩たたき券・・・ですか?」 (26)

園田家


穂乃果「うんっ!海未ちゃんには日ごろお世話になってるからね!その感謝も込めて!」

海未「はぁ」

穂乃果「あっ、肩たたき券の他にもいろんな種類のカードがあるんだよ?お掃除券におつかい券、それからそれから・・・」

海未「・・・穂乃果、誕生日を祝ってもらう身で差し出がましいと思われるかもしれませんが」

穂乃果「ん?」

海未「その・・・これが誕生日プレゼント、ですか?」

穂乃果「うっ」

海未「小学生の母の日のプレゼントじゃないんですから・・・」

穂乃果「・・・うわ~んっ!海未ちゃんならそう思っても言わないでいてくれると思ったのにぃっ!」

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海未「穂乃果のことですから、皆とプレゼントを渡すタイミングをずらして何か企んでいるのでは・・・とは思っていましたが・・・」

穂乃果「こ、これには深いワケが・・・!」

海未「深いワケ・・・ですか。最近は卒業シーズンで出費がかさんでいましたからね・・・プレゼントを買うお金が無かったのでしょう?なんとか気持ちだけでも・・・と考えて浮かんだのがコレ、といったところでしょうか」

穂乃果「ぜ、全部読まれてる・・・」

海未「私だからいいですけど、他の方の誕生日に肩たたき券はやめておいた方がいいですよ?引かれてしまいますから。だいたい穂乃果はいつも・・・」

穂乃果「あ~もうっ!!わかったから、黙って受け取ってよぅ!!」

海未「はいはい・・・でも、気持ちはちゃんと伝わりましたよ。ありがとうございます」

穂乃果「うんうん、最初からそうやって受け取ってくれればいいんだよ!心を込めて作ったんだから!」

海未「まったく穂乃果は・・・」

穂乃果「えへへ」

海未「フフ・・・」

穂乃果「・・・・・・」

海未「・・・・・・」

穂乃果「・・・・・・」チラチラ

海未「・・・?」

穂乃果「ねぇ海未ちゃん・・・」ソワソワ

海未「はい」

穂乃果「券、使わないの?」ウズウズ

海未「使いませんけど」

穂乃果「使ってよ!!」

穂乃果「ここは『せっかくだから肩をたたいてもらいましょうか』ってなるところでしょっ!?」

海未「別に凝っていませんし・・・気持ちだけいただいておきます」

穂乃果「ちゃんと形にさせてよ!ほら、いっぱい種類あるんだから!」

海未「今は特に必要ないですよ・・・その内使いますから」

穂乃果「それ、結局使わず終いになるパターンだよ!」

海未「・・・まぁそんなものじゃないですか。肩たたき券なんて」

穂乃果「もぉ~~~っ!今使ってよ海未ちゃ~んっ!ね~え~っ!!」グイグイ

海未「わかりました、わかりましたっ!使いますから離してくださいっ」

穂乃果「やった!『肩たたき券』発動!!今から海未ちゃんに肩たたきしてあげま~す!!」

海未「そんな無理やり使わせたらカードにした意味無いじゃないですか・・・」

穂乃果「いいからいいからっ!はい、トントン♪」

穂乃果「どうかな?海未ちゃん」トントン

海未「そうですね・・・もう少し軽くでいいですよ」

穂乃果「はーい♪」トントン

海未「どうして肩を叩いている穂乃果の方が上機嫌なんですか・・・」

穂乃果「だって海未ちゃんにご奉仕できて嬉しいんだもん!」トントン

海未「無理やりしておいてよく言いますよ・・・」

穂乃果「えー、気持ちよくない?」トントン

海未「・・・悪くはないです」

穂乃果「えへへ・・・♪」トントン

穂乃果「ほっ、ほっ・・・」トントン

海未「・・・疲れませんか?」

穂乃果「ぜんぜん!」トントン

海未「そうですか」

穂乃果「うんっ」トントン

海未「・・・・・・」

穂乃果「あっ!『肩もみ券』もあるんだよ?使う?」トントン

海未「はいはい・・・お願いしますよ」

穂乃果「うんっ!!」

海未「そろそろ大丈夫ですよ」

穂乃果「ホントに?癒された?」

海未「それはもう」

穂乃果「そっか!ならよかった!」

海未「やれやれ・・・」

穂乃果「じゃあ次のカードだね!」

海未「ま、まだやるのですか?」

穂乃果「だってまだまだオススメのがあるんだもん!」

海未「まだまだやるんですね・・・」

穂乃果「じゃーんっ!『耳かき券』っ!!」

海未「み、耳かき・・・?できるのですか?嫌な予感しかしませんが・・・」

穂乃果「任せてよ!ほら、お膝に横になって?」ポンポン

海未「なっ・・・」

海未「お、お断りします」

穂乃果「えーっ!どうして!?」

海未「穂乃果に膝枕をしてもらうなんて・・・なんというか・・・屈辱的です・・・!」

穂乃果「どういう意味!?」

海未「とにかく嫌なんですっ」

穂乃果「ふふん!そんなこと言ったって無駄だよ!『耳かき券』に加えて『膝枕券』も使っちゃうもんね!」バーン

海未「もう趣旨が変わってませんかっ!?どうして穂乃果がカードを使う側にいるのですっ」

穂乃果「ほらほら早く~♪」ポンポン

海未「ああもうっ!わかりましたよ・・・」

穂乃果「そうこなくっちゃ!」

海未「うぅ・・・では失礼して・・・」

ぽすっ

穂乃果「わ・・・あはは、なんかムズムズするよ~///」

海未「よ、余計なことを言っていないで、やるなら早くやってくださいっ」

穂乃果「おっとそうだった!じゃあ始めるね♪」スッ

海未(もうっ・・・どうして誕生日にこんな辱めを受けなければなら

ぶすっ

穂乃果「あっ」

海未「いっだああああああああああぁぁぁっっっ!!!?!?!?!!?」ゴロゴロゴロゴロ

海未「まったく穂乃果は・・・!だから嫌だと言ったんです・・・!」ブツブツ

穂乃果「あはは・・・ごめんって・・・」

海未「はい、こちらは終わりました。反対を向いてください」

穂乃果「はーい・・・ってなんで穂乃果が耳かきされてるの?」

海未「どうせまたすぐに『今度は大丈夫だからやらせて!』なんて言われて押し切られそうですからね。そのときのお手本です。ちゃんと勉強してください」

穂乃果「でも、今日は海未ちゃんの誕生日なのに・・・」

海未「自分の身を守るための投資だからいいんですよ」

穂乃果「何だかものすごく引っ掛かる言い方だなぁ・・・というか膝枕されるのは嫌なのに、するのはいいんだ?」

海未「穂乃果にされるのが嫌なんです」

穂乃果「ヒドいっ!」

海未「はいはい、動かないでください。いいじゃないですか、私がする側で穂乃果がされる側の方が合っていますよ」

穂乃果「えー・・・穂乃果もしてあげたいのに・・・」

海未「少なくとも、今日はもうダメです」

穂乃果「むぅ・・・だいたい海未ちゃんはどうしてこんなに耳かきが上手なの!?ハッ!もしかしてそういう相手が・・・!?」

海未「何言ってるんですか・・・仮にいたとすれば、それは穂乃果ですよ」

穂乃果「え?」

海未「小さいころよくしてあげていたじゃないですか。忘れたのですか?」

穂乃果「そ、そうだっけ・・・?」

海未「そうですよ・・・私は昔から穂乃果に尽くしてきたというのに、忘れてしまうなんて・・・薄情な人ですね」

穂乃果「ご、ごめんなさい・・・」シュン

海未「・・・・・・」

海未「そういえば」

穂乃果「?」

海未「オムツを替えてあげたこともありますよ」

穂乃果「えっ!?嘘っ!?」ガバッ

海未「嘘です」

穂乃果「そりゃそうだ!もうっ!びっくりしたよ!」

海未「フフッ・・・はい、終わりましたよ」

穂乃果「もう・・・」

穂乃果「・・・・・・」

穂乃果「・・・海未ちゃん」

海未「はい」

穂乃果「その・・・ありがとね」

海未「・・・はい」

穂乃果「やっぱり穂乃果は海未ちゃんにお世話になったり、助けてもらってばっかりだなぁ」

穂乃果「『本当ですよ。穂乃果も私の悩みの1つや2つ、聞いてくれてもいいんじゃないですか?』・・・とお思いのそこのあなた!」

穂乃果「こんな券はいかがでしょう・・・『悩み事を聞いてあげる券』!!」

海未「そのままですね・・・」

穂乃果「いいのっ!ねぇねぇ、何かないの?悩んでることとか、心配なこととか・・・」

海未「ほの

穂乃果「穂乃果のこと以外でっ!!」

海未「・・・では無いですね」

穂乃果「・・・うわーんっ!!やっぱり穂乃果は迷惑なだけなんだぁーーーっ!!」

海未「誰もそんなこと言っていませんよ・・・」

穂乃果「だって・・・」

海未「穂乃果が原因で抱える・・・あ、別に穂乃果が悪いというわけではありませんよ?」

海未「そうですね・・・穂乃果といっしょにいて出会う悩み事や心配事は、たいてい穂乃果といっしょにいれば自然と解決していきますから」

穂乃果「・・・どういうこと?」

海未「例えば・・・穂乃果やμ’sの皆と比べて、私は消極的で地味で・・・アイドルには向いていないのではないかと

穂乃果「そんなことないよっ!!海未ちゃんだって皆と同じくらいキラキラ輝いてるもんっ!!絶対アイドル向きだよ!!それに・・・むぐっ!?

海未「・・・と、悩んでいると・・・こうやって、いつも穂乃果が私を励まして・・・前向きで明るい気持ちにしてくれるんです」クスッ

穂乃果「で、でも・・・海未ちゃんから何か相談されたことなんてほとんど・・・」

海未「無意識の内に・・・ただそばにいるだけで人を元気付けられるところが、穂乃果のすごいところなんですよ」

穂乃果「・・・海未ちゃんに褒められた」

海未「ですから、何が言いたいかというと・・・助けたり助けられたり、お互い様だということです」

海未「それって、とても素敵なことだと思いませんか?」

穂乃果「海未ちゃん・・・」

穂乃果「・・・じゃあ、今はこの券、使わなくてもいい?」

海未「その券だけでなく、他の券も使わなくてよいのですが・・・」

穂乃果「・・・・・・」グスッ ゴシゴシ

穂乃果「・・・だめだめっ!まだいいのが残ってるんだからっ!ほら、『手作りほむまん贈呈券』!!」

海未「それを早く出してくださいよ!毎日使います!」

穂乃果「残念でしたーっ!この券は1回しか使えませーん!」

海未「そ、そんな・・・この『1日ご主人様と呼ばせる券』なんていらないですから、書き換えてください」

穂乃果「えーっ!!それが1番のオススメだったのにぃ!!」


・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・

海未「ほら、電気消しますよ」

穂乃果「はーい♪」モゾモゾ

海未「もうっ、そんなに引っ付かないでください・・・暑いですよ・・・」

穂乃果「『添い寝券』が発動中だからねっ!」

海未「それも無理やりじゃないですかっ・・・『はい、あーん♪してあげる券』に『お背中流します券』・・・もう散々です・・・」

穂乃果「だって海未ちゃんったら全然使ってくれそうにないんだもんっ!!他にもまだたくさんあるんだから、明日からは自分から使ってよ?」

海未「はいはい、わかりましたよ・・・」

海未(催促されたら『肩たたき券』あたりを使ってお茶を濁しましょう・・・)

穂乃果「・・・とりあえず『肩たたき券』を使っておけばいいか、なんて考えてないよね?」

海未「・・・くー。くかー」

穂乃果「下手っ!寝たふり下手くそだよ海未ちゃんっ!」

海未「あぁもうっ!さっきほむまん贈呈券とは別に、ちゃんと1つ使ったでしょう!?あれで充分じゃないですかっ!」

穂乃果「それはそれ、これはこれなのっ!」

海未「『早く寝なさい券』を使用します」

穂乃果「そんなのないもーんっ!!」

海未「まったく・・・」

海未「いいじゃないですか、『肩たたき券』でも・・・穂乃果に肩たたきしてもらうの、好きですよ」

穂乃果「えっ?ホントに?」

海未「はい。本当です」

穂乃果「えへへ・・・そっか・・・」

穂乃果「なら・・・いいかぁ・・・ふわぁ・・・」

海未「穂乃果・・・?」

穂乃果「・・・zzz」

海未「・・・ハァ」

海未「はしゃぎ疲れて眠ってしまうなんて、子どものころから変わらないんですから・・・」

海未(・・・でも、また1つ・・・穂乃果に救われてしまいましたね)

海未(絵里たち3年生が卒業して・・・μ’sが解散して迎えた誕生日)

海未(また1つ大人に近づこうとしたとき・・・どうしても、次は私たちの番だ、ということを考えずにはいられませんでした)

海未(それは、別れの時が近づいているということ)

海未(この毎日には終わりが来るのだということ)

海未(でも・・・そんな考えは全て杞憂でした)

海未(穂乃果が不器用にカードへ込めた願いを、私も願い続ける限り)

海未(私たちは、結局このまま、共にいられるような気がします)

海未(いつまでも――――――)





『ずっといっしょに券』


終わり

読んでくださった方ありがとうございます
海未ちゃんおめ

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