宮森「声優連続殺人事件?」 (34)


矢野「うん。昨日ので三人目。夜道でいきなり背後から刺されたみたいだって。怖いよね」

宮森「大事件じゃないですか。わたし、知りませんでした。そんなことが起きてたなんて」

矢野「宮森最近大変だもんね。昨日も家帰れてないんでしょ」

宮森「ですね。プロデューサーの仕事って知らないことがいっぱいで」

矢野「一本目だもんね。仕方ないよ」


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宮森「でも、ほんと怖いですよね。わたし、声優の友達いるんで気をつけるように言っておきます」

矢野「坂木さんだっけ。最近調子はどうなの?」

宮森「がんばってるみたいです。結果は……まだついてきてないですけど」

宮森「でも、あんなにがんばってるのに報われないわけないです」

矢野「そっか。でも、心配だね」

宮森「ですね」


宮森「ってことがあったんだけど」

ずか「…………」


宮森「夜は人通りが少ない道通っちゃダメだよ」

宮森「少しの距離でもタクシー使ってさ」

宮森「ずかちゃんはそんなお金もったいないって思ってるかもしれないけどさ」

宮森「でも、命の方が大事でしょ。厳しいならタクシーのお金わたしが出すから」

ずか「…………」

宮森「確かにずかちゃんはまだレギュラー一本ももらったことのない無名声優だけどさ」

宮森「でも、声優ってことには変わりはないし」

ずか「…………」


宮森「わたしは今プロデューサーの仕事してる」

宮森「企画を立ててお金を集めてって、制作とは全然違う仕事だけど」

宮森「でも、作品を一から作っていけるのってすごく楽しい」

ずか「…………」

宮森「絶対成功させて次はアンデスチャッキーのリメイクやるんだ」

宮森「そのときはずかちゃんにも出て欲しい」

宮森「勿論、オーディションで受かったらだけど」

ずか「…………」


絵麻「え、ほんとなの……」

絵麻「おいちゃんが刺されたって……」

絵麻「うん、うん……。そう。例の連続殺人事件と手口が一緒なんだ」

絵麻「わたしも気をつけるね」

絵麻「……あれ、また電話」

絵麻「ずかちゃん、久しぶり」


絵麻「おいちゃんのこと聞いた?」

絵麻「心配だよね。ずかちゃんも気をつけないとダメだよ」

絵麻「タクシー代出せないならわたし出すし」

絵麻「大丈夫。最近、作監の仕事がいっぱいくるようになってちょっと余裕あるんだ」

ずか「…………」


絵麻「わたしは今、作監の仕事がメインかな。今度監督もするよう言われてる」

絵麻「ずっと夢見てたことだったのに」

絵麻「こんなにうまくいくなんて自分でも信じられないくらい」

ずか「…………」

絵麻「毎日がすごく楽しくてあっという間」

絵麻「好きなことで食べていけるってほんと幸せ」

絵麻「ずかちゃんもそうなれたらいいね」

ずか「…………」


美沙「そんな、ありえないよ……」

美沙「絵麻先輩が刺されたって……」

美沙「例の連続殺人事件と同じ手口なんだ」

美沙「お葬式は明日なんだ。わかった、ありがとう」

美沙「絵麻先輩……」

美沙「……また電話だ」

美沙「ずかちゃん先輩、お久しぶりです」


美沙「聞きました? おいちゃん先輩と絵麻先輩のこと」

美沙「おいちゃん先輩は意識不明。絵麻先輩は……」

美沙「絶対許せないです」

ずか「…………」

美沙「ずかちゃん先輩も気をつけないとダメですよ。タクシー代出せないならわたしが出しますし」

美沙「大丈夫です。最近わたしの会社軌道に乗ってきまして。タクシー代くらい余裕で出せるので」

ずか「…………」


美沙「最近は社長としての仕事がメインですね」

美沙「一応アニメ関係ではトップの業績をあげてるみたいで」

美沙「今度オフィスを六本木ヒルズに移すんです」

ずか「…………」

美沙「なかなかCGの仕事ができないのはちょっと残念ですけど」

美沙「でも、指名して頼まれることもあるんでそのときはやってます」

美沙「一応業界一のクリエイターって言われてるので。そうだ。今度情熱大陸出るんです。見てくださいね」

ずか「…………」


みどり「え、ほんとっすか……」

みどり「みーちゃん先輩まで……」

みどり「お葬式は明日なんすね……」

みどり「でも、よかったっす。おいちゃん先輩の目が覚めて。本当ならもっと素直によろこべたんすけど」

みどり「わたし? わたしは大丈夫っすよ。最近アニメの仕事あんまりしてないですし」

みどり「わかりました。一応気をつけるっす。心配してくれてありがとうございます。それでは」

みどり「なんか全然実感わかないっすね……」

みどり「あれ、また電話」

みどり「ずかちゃん先輩、お久しぶりっす」


みどり「絵麻先輩もみーちゃん先輩も」

みどり「もう会うことはできないんすね」

みどり「信じられないっす。またいつでもお話しできるような気がして」

ずか「…………」

みどり「ずかちゃん先輩も気をつけないとダメっすよ。タクシー代出せないならわたしが出すっすから」

みどり「大丈夫っす。わたし、億万長者っすから」

ずか「…………」


みどり「最近はハリウッドでの仕事がメインっすね」

みどり「いい加減、日本に帰りたいんすけど、今度の仕事はわたしの長編が原作だからって泣きつかれちゃって」

みどり「ほんと。イーストウッド先輩も困ったもんす」

ずか「…………」

みどり「アニメの仕事が恋しいっすよ」

みどり「でも、集英社から新作の長編お願いしますって言われてるんでそれが終わってからっすね」

みどり「売れっ子になっても幸せってわけじゃないんすよね。ノーベル文学賞も正直いらなかったんすけど」

ずか「…………」


みどり「しかし、この犯人もわかんないっすよね」

みどり「初めは声優で、次は制作ってのはわかるんす。でも、みーちゃん先輩ってCGの人じゃないっすか」

みどり「もっとその前に狙う人いるような気がするんすよ」

みどり「これじゃまるでアニメ同好会の人が狙われてるみたいっすよね」

ずか「…………」

みどり「あれ? もしかして」

みどり「ずかちゃん先輩、まさか……」

ずか「…………」


みどり「ダメっすよ。早く家に帰らないと」

みどり「ずかちゃん先輩声優でアニメ同好会ってダブルリーチじゃないっすか」

みどり「無名とかそんなの関係ないっす。。死んだら終わりっすよ。生きてたらどうにでもなるじゃないっすか」

ずか「…………」

みどり「早く、家に帰りましょう。わたし、家まで送りますから」

みどり「タクシー代? そんなのいいっすから」

ずか「…………」


宮森「そう、りーちゃんも」

宮森「うん、わかった。今日退院だから。お葬式も行けると思う」

宮森「…………」

宮森「…………」

宮森「……電話だ」

宮森「……ずかちゃん」


宮森「絵麻もみーちゃんもりーちゃんも」

宮森「みんな死んじゃった」

宮森「みんな、いっぱい挫折して、それでもあきらめずにがんばって」

宮森「やっとうまくいきはじめたところだったのに」

ずか「…………」

宮森「こんなの、あんまり、あんまりだよ」

宮森「わたし、犯人のこと絶対に許せない」

ずか「…………」


宮森「でも、さ。こうも思うんだ」

宮森「もしかしたら犯人にもなにか事情があったんじゃないかって」

宮森「絶対に許せないことだよ。でも、そうするしかないところまで追い詰められていたのかなって」

ずか「…………」

宮森「わたしさ。実は刺された夜、犯人の顔見えたんだ」

ずか「…………」


宮森「わたしたちさ。仕事上での立場が変わって、なかなか会えなくなって、金銭感覚もあわなくなって」

宮森「それでも、がんばって会う時間を作ってたけどさ」

宮森「それが、ずかちゃんの負担になってたのかな」

ずか「…………」

宮森「他の人なら絶対に許せない」

宮森「でも、ずかちゃんなら、わたし、許せるよ」

宮森「ねえ、ずかちゃん。本当のこと、教えて」

ずか「…………」


宮森「そっか」

宮森「そうだったんだね」

宮森「ごめんね、ずかちゃん」

ずか「…………」

宮森「ねえ、いいよ、わたし。ずかちゃんなら」

宮森「ずかちゃんは大切な友達だから」

宮森「……うん」

宮森「天国から応援してるから。じゃあね」

ずか「…………」


ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「…………」


ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「……電話」

ずか「え、主役ですか? わたしが?」

ずか「おいちゃんが推薦してくれてたんですか」

ずか「はい、はい……わかりました」


ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「…………」

ずか「…………」


おわり

以上。
感想くれるとうれしい。
シリアスギャグやりたかったので笑ったってコメうれしかった。
ずか(24)「ひま……」 - SSまとめ速報
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