【ジョジョSS】岸辺露伴は動かない ~エピソード:七里海岸のヌシ~【ペルソナ4SS】 (31)

ジョジョの奇妙な冒険とペルソナ4のクロスオーバーです。
主人公は露伴です。
初めてのSSですが、よろしくお願いします。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1425979507

シュー

静かな駅に電車のドアが開く音が響く。

駅員「八十稲羽〜、八十稲羽〜。」

タッ

露伴「ここが稲羽市か………何もない町だな。」

<八十稲羽駅>

露伴(僕の名前は岸辺露伴。職業は漫画家。知らない人は別に知らなくていい。この何もない町に来た理由はもちろん取材だ。)

露伴(この町は過去に奇妙な連続殺人事件やマヨナカテレビ、天候異常などで有名になった事がある。とても興味深いネタばかりだが、すべてを調べるほど僕は暇じゃあない。)

露伴(今回は七里海岸という場所にいる海のヌシについての取材だ。小さいネタのように聞こえるが、次の漫画の題材にはこれぐらいがベストだ。変にネタをでっかくするとリアリティがなくなるからな。)

露伴(本来なら担当編集者が来るはずだったのだが、突然風邪を引いたらしく来られないことになった。仕方がないので康一くんを誘うつもりだったが、彼は学校があるため断れた。そんなこんなで今は1人というわけだ。)

露伴「この周辺で聞き込みをして、七里海岸にいる海のヌシについて情報を聞き出すとするか。」

ザッザッ

男「ありがとうございます!」

露伴「ムッ。」

露伴の目にとまったのは大きな声で印象に残るような声をした男だった。

見た目は脱サラしたサラリーマンのような風貌だが、周りにはたくさんの人だかりができており、サラリーマンの男は一人一人に挨拶をしていた。

男「この町は必ず私が変えてみせます! この言葉に嘘偽りはありません。これからもよろしくお願いします。」

パチパチパチパチ!

サラリーマンの男の周りの人々は拍手をした。

露伴「選挙活動か。票集めに必死だな。僕には興味のない話だ。」ザッザッ

ザッザッ

露伴「ちょっといいかい君?」

露伴が声をかけたのはショートカットで上にジャージ、下にスカートをはいた女の子だった。

女性「へっ? あたし?」

露伴「君以外に誰がいるんだ。」

女性「な、なんですか?」

露伴「七里海岸の海のヌシについて調べている。何か知らないか?」

女性「海のヌシ〜? うーん…七里海岸に美味い魚なんていたかなー………ごめんなさい。あたし分からないです。」

露伴「協力ありがとう。ところで君はここで何をしているんだ? 見た所学生に見えるが………」

女性「え? え…えーと………きょ、今日は学校が休みなんですよ! たまたま創立記念日でして………」

露伴(ごまかし方がへたくそだな………何か隠す事でもあるのか? まあ興味はないが。)

露伴「そうか。では、失礼する。」

女性「あ、はい。」

ザッザッ

女性(………朝から寝坊したなんて言えるはずないじゃない。)

女性「あ、早く学校行かなきゃ!」ダダダ

露伴はしばらく聞き込みを行った。

露伴(結構な人数に聞き込みをしたが、なかなか海のヌシについて知ってる人がいないな。ここはとりあえず旅館に行って荷物を預けに行こう。)

露伴はバスを利用して旅館に行った。

<天城旅館>

ガラガラ

露伴は旅館の戸を開けた。

露伴が宿泊する事となったのは稲羽市では有名な天城旅館。ここには有名な若女将がいるらしい。

女将「いらっしゃいませ。」

露伴「予約していた岸辺露伴だ。部屋へ案内して欲しいのだが。」

女将「はい。岸辺露伴様ですね。こちらへどうぞ。」サッ

露伴は女将の後についていき、部屋へと案内された。

部屋は畳のある和室で、窓の外からは和風な風景が広がっていた。

女将「それではごゆっくり………」

露伴「突然だが海のヌシについて知りたいのだが何か知らないか?」

女将「海のヌシ…?」

露伴「七里海岸に生息しているらしくて釣りファンの間では伝説になっている魚らしい。」

女将「噂ではチラホラと聞いた事があります。ですが、詳しい事は存じ上げておりません。」

露伴「そうか。ご協力ありがとう。」

女将「では失礼させてもらいます。」

スッ

女将は襖をしめた。

露伴「夕方頃に調査を再開するか。」

露伴は夕方になるまで漫画を描き続けた。

夕方になり、露伴は聞き込みに行く事にした。

露伴「?」

露伴が玄関を出ようとするとそこには赤い浴衣を着た若い女性が掃き掃除をしていた。

露伴(あれが若女将か…一応話を聞いておこう。)

露伴「すまない。少しお尋ねしたいんだが…」

若女将「は、はい!?」

露伴「七里海岸のヌシの噂について何か知らないか?」

若女将「え、えーと……すみません。聞いた事がありません。」

露伴「そうか…突然すまなかった。」ザッ

若女将「お出かけなさるんですか?」

露伴「あぁ。そうだが。」

若女将「7時には夕食の方をご用意させていただきますので、それまでにはお戻りください。」

露伴「わかった。」

露伴(見た目に反して随分としっかりしているな………名物女将と言われるだけはある。)

ザッ

ガラガラ

露伴は戸を閉めた。

若女将「…………………プッ。あの髪型…………ウプププ………」

露伴は聞き込みのため、河原に来ていた。

<河原>

露伴「ちょっといいかい。」

露伴が話しかけたのは青い帽子を被った男だった。

顔は幼さが残っており、中学生か高校生のどちらかと露伴は思った。

男「なんです?」

露伴「キミ、高校生?」

男「そうですが…」

露伴「そうか。突然ですまないが七里海岸に住むヌシについて何か知らないか?」

男「七里海岸ですか………確かにあそこは釣りのスポットとして有名ですね。ですが、ヌシについては初耳です。」

露伴「そうか。協力ありがとう。」ザッ

男「どんな魚なんですか?」

露伴「……………」

露伴「いや、それについてもまだわからない。」

男「そうですか。」

露伴「………………」

露伴「では失礼する。」

男「ちょっと待ってください。」

露伴「……なんだ?」

男「僕にも協力させてもらえませんか? 興味が出てきたんですよ。その海のヌシについて………」

露伴「何を言っているんだキミは? 僕は男のキミについて何一つ興味がないんだ。情報を知らないのなら失礼させてもらう。」ザッ

男「僕なら………」

露伴「………………」

男「その謎に迫ることも可能ですよ…?」

ドドドドドドドドドドドド

露伴「……………………」

露伴「『天国への扉(ヘブンズ・ドアー)ッ!』」

露伴は直斗の顔を本にした。

ペラッペラッペラッ

露伴「僕とした事が警戒する事を怠っていたよ。こいつは何か裏がある。敵スタンドの可能性が出てきたぞ。」ペラッ

露伴「名前は白鐘直斗………八十稲羽高校に通う高校生で実は探偵か………この歳で探偵とは珍しいな…………性別は……女!? こいつ女だったのか!!」

露伴「だからと言って特に何もないが………」ペラッ

露伴「スタンド使いではないらしいな………ん?」

露伴はとあるページの文字が気になった。

『マヨナカテレビ』

露伴「マヨナカテレビか………この町の住民なら知ってて当然か。」

露伴(マヨナカテレビ………雨の日の深夜12時、1人で点けてもいないテレビを眺めていると、そこには自分の運命の人が写るという噂だ。かなりの人数が見たらしいから信憑性は高いが、専門家いわく電波ジャックによるイタズラと判断された。犯人は未だに見つかっていないが、現在はマヨナカテレビは見れなくなっており、捜査も打ち切られた。)

ペラッ

露伴は次のページを開いた。

『マヨナカテレビについて調べてみる事にした』

『マヨナカテレビは連続殺人事件に関与していると判断した』

『八十稲羽高校を調べてみよう』

『転校して潜入捜査するのが手っ取り早い』

露伴(連続殺人事件………これもまた稲羽市で起こった事件だ。雨が止んだ早朝、電線の上に奇妙な格好で吊られた死体が発見された。殺されたのは当時スキャンダルで話題になっていたアナウンサー、八十稲羽高校の学生、同じ学校の教師。警察は犯行手口から同一犯による犯行として捜査し、八十稲羽高校に通う高校生を逮捕したが、そいつが殺したのは教師だけ。本当の犯人は警察、つまり身内で自ら自首してきたらしい。)

露伴(しかし、その犯人が被害者を殺した物的証拠はなく、あくまで共犯者として刑務所に収監された。真相は未だに分かっていない。)

露伴(………実に興味深いな。この子のページをめぐっていけばすべての謎が分かるかもしれない。)ペラッ

『ペルソナ』

露伴「なんだこれは…?」

『敵はシャドウ』

『連続殺人事件とマヨナカテレビ、天候異常は全て繋がっていた』

『僕もみんなと一緒に戦う』

『探偵としてこの事件を解決する』

露伴「こ…これはッ!!」

露伴「面白い…! 実に気に入ったぞッ! 康一くん以来だよこんなに興奮したのは! 僕の知らない情報がたくさんある!」ペラッペラッペラッペラッ

露伴「ペルソナ………シャドウ………スタンドとはまた異なる能力………………漫画の題材として充分すぎるッ!!」

男「でさー、この間………」タッ

露伴「!」

パタッ

露伴は本を閉じた。

直斗「ん………」

露伴「キミ…名前はなんと言うんだ?」

直斗「………白鐘直斗です。」

露伴「そうか。今僕はちょうどアシスタントが欲しかったところなんだ。協力してくれたら報酬をやるよ。」

直斗「報酬はいりません。僕の興味本位で調べたいだけですから。」

露伴「気に入った。」

直斗「で、どこに行きます?」

露伴「ここら辺の地形はキミの方が詳しいだろう。キミに任せよう。」

直斗「そうですか。では心当たりがあるのでついてきてください。」

露伴(海のヌシについて調べるつもりだったが、気が変わった。次の漫画は超大作になりそうだ。)

<ジュネス>

[エブリデ〜、ヤングライフ、ジュ・ネ・ス〜]

露伴「なぜここに?」

直斗「知り合いがいるんですよ。その人なら何か知っているかもしれません。」

男「ハイいらっしゃいませ〜。今ならお肉が3割引で〜す。いかがっスか〜。」

直斗「頑張ってますね花村さん。」

花村「お、直斗じゃん。どうしたんだよ。お肉買ってくれんのか?」

花村と呼ばれる男は髪を茶髪にしており、いかにもチャラそうな男だった。

直斗「いえ、今日は調査のために花村さんに会いに来たんです。」

花村「調査?」

直斗「こちらの方は岸辺露伴さんと言って、ある噂の調査をしているんです。」

露伴「どうも。彼女には僕のアシスタントをしてもらっている。」

花村「岸辺露伴………あ! もしかしてあのピンクダークの少年の岸辺露伴先生!?」

岸辺露伴「僕の漫画を読んでくれてるのか。」

花村「すっげぇじゃねーか直斗! おまえそんな凄い人と調査してんのかよ!」

客「あのー、豚肉をください。」

花村「あ、はいはい。すまねー直斗。もう少しで休憩入るから露伴先生とフードコートで待っててくれ。あ、後でサインください。」

直斗「では、行きましょうか。」

露伴「あぁ。」

<ジュネスフードコート>

花村の休憩時間が終わり、3人はイスに座っていた。

花村「すげ〜、露伴先生の本物のサインだ! 直斗、しばらくなんか奢ってやるよ!」

直斗「お言葉に甘えさせてもらいます。」

花村「で、噂ってなんだ?」

直斗「七里海岸にいると言われてる魚のヌシです。何か情報を知りませんか?」

花村「海のヌシ? あ、そういえばどっかで聞いた事があるな〜…悠に聞いてみるか。」

ガチャ

花村「ちょっと電話してきます。」

花村は席を離れ、誰かに電話をしていた。

露伴「ずいぶんと仲が良いんだなキミたち。同じクラスかい?」

直斗「いえ、花村さんは同じ八十稲羽高校に通っていて学年は一つ上です。花村さんとは共通の友人で知り合ったんです。」

露伴「へぇー…」

直斗「…………………」

直斗「最初の頃と全然違いますね。」

露伴「なにがだ?」

直斗「僕のことは興味ないとか言ってたじゃないですか。」

露伴「気分が変わったんだよ。僕の気まぐれさ。」

直斗「そうですか………」

露伴「関係のない話だが、この町といえばマヨナカテレビや連続殺人事件が起こった町と聞いている。キミは何か知らないか?」

直斗「突然なんですか?」

露伴「気まぐれだよ。」

直斗「………そうですね。確かに起こりました。ですが、事件は全て解決したようですし、心配する事はないですよ。取材したいんでしたら警察の方が詳しいと思います。」

露伴「連続殺人事件は八十稲羽高校が大きく関与している。八十稲羽高校に通っているキミの方が詳しいと思ってね。」

直斗「まるで取り調べみたいですね。露伴先生。」

露伴「すまないね。僕は気になった事は聞かないと気が済まないタイプなんだ。」

直斗「僕もですよ………」

ドドドドドドドドドドドド

花村「おーい! 悠が釣った事あるってよ!」

直斗「本当ですか!」

花村「あいついわく雪の日か雨の日に釣れやすいらしくてエサはゲンジカブトを使うといいらしく、水しぶきが上がったらそいつが間違いなく【海ヌシ様】らしいぜ。」

露伴「【海ヌシ様】か………明日の天気予報はちょうど雨だったはずだ。釣り上げるのは明日にしよう。」

直斗「花村さんありがとうございます。」

花村「いやいやオレじゃなくて感謝するなら悠にしてくれよ。それからあいつもサイン欲しいらしいんでサインいいですか?」

露伴「もちろんさ。ファンなら当然サインはするよ。」シュッ

露伴は目にも止まらぬ速さでサインを書き上げた。

花村「はえー!! さすが露伴先生っスね!」

露伴(この子の喋り方はどうもあいつと似ていてイラッとくるな。この子は何も悪くないが。)

テクッテクッテクッ

マスコット「陽介〜〜〜。1人だけ休憩はズルいクマよ〜〜〜。」

花村「あ、悪いなクマ。お前も休憩していいらしいぞ。」

マスコット「早く言って欲しかったクマ!」

花村「悪いって! あとでお菓子奢ってやるから。」

マスコット「やったクマー!」

ジリリリリリ

クマのぬいぐるみの中からは中に入ってたとは到底思えない美少年が出てきた。

金髪の髪の毛に白い肌。見るからにハーフといった感じだ。

男「ふ〜〜〜。しんどかったクマ。あ、直ちゃんだクマーーーー! 今日も可愛いクマねー!」

直斗「今日も元気そうでなによりです。」

花村「こらクマ! 客の目の前で脱ぐんじゃねーよ!」

クマ「何を言ってるクマ? こっちの方が人気はあるクマよ?」

花村「何の自慢だよ!」

クマ「陽介はすぐ嫉妬するクマねー。そんなんじゃ女の子にモテないクマよ。」

花村「うるせーよ! お前に言われなくてもわかってるっつーの!」

直斗「フフフ。」

露伴「………………」

花村「あ、すみません露伴先生。こいつはうちで働いてる熊田って言うんです。語尾は気にしないであげてください。見苦しいところお見せしてすみません。」

クマ「見苦しい? クマが何かしたクマか?」

花村「話がややこしくなるから黙ってろクマ!」

クマ「うう………ひどいクマ。」

直斗「クマくんごめんね。今日は遊びじゃなくて露伴先生の仕事で来ているんだ。また違う日に遊びにくるね。」

クマ「うう………直ちゃんは優しいクマねー……………そこにズッキュンきちゃうクマ!」

直斗「ハハハ。」

花村「よし休憩時間は終わりだクマ。仕事に戻るぞ。」

クマ「えええええ!? まだ全然休憩してないクマよ!!」

花村「しゃーねえな。お菓子にジュースもつけてやるよ。」

クマ「仕事頑張るクマよ陽介!」

花村「それじゃあ失礼するぜ直斗。露伴先生、これからも応援してます。」

直斗「はい。ご協力ありがとうございます。」

露伴「情報を教えてくれたお礼にキミを漫画のキャラで出してあげるよ。」

花村「マジっすか!!? 超嬉しいっス!!!」

クマ「陽介仕事クマー!」ズルズル

花村「おいちょっと待てクマ! おい!」ズルズル

花村はクマに引きずられて店内に入っていった。

露伴「愉快なお友達だな。」

直斗「自慢の親友でもあります。」

露伴「明日は日曜日だから学校もないだろう。キミも来るか?」

直斗「もちろんです。海ヌシ様を見るまではモヤモヤしたままですからね。」

露伴「では明日の午前9時に天城旅館の前に集合だ。七里海岸までは遠いからレンタカーで行く事にしよう。」

直斗「わかりました。それでは。」ザッザッ

露伴「………………………」

露伴は天城旅館に帰り、食事を済ました後、今日の出来事を振り返る事にした。

<天城旅館>

MC「今日のゲストはりせちーこと久慈川りせちゃんでーす。」

りせ「どうも〜!」

ファン「りせちーーーーーー!!!」

露伴(このアイドル最近よく目にするな………一時期活動を休止していたが、活動再開してからは凄まじい人気を誇っている。億泰たちがよく噂しているから嫌でも耳に入ってくる。)

ピッ

露伴はテレビを消した。

露伴(そんな事はどうでもいい。今日起こった出来事をまとめておこう。)

すると露伴はグッチのカバンの中からメモを取り出した。

露伴(僕はこの稲羽市に七里海岸のヌシについての取材のために訪れた。しかし、そこに現れたのが白鐘直斗だ。彼女の記憶には僕が知らない情報がたくさん書かれていた。)

露伴(ペルソナ………シャドウ………そしてマヨナカテレビなどの事件は全て繋がっているといったものだ。これが確かならばとんでもない作品を描くことができるッ。)

露伴(そのためには白鐘直斗から情報を聞き出すしかない。無闇に天国への扉を使うのは僕のジャーナリズムに反する。彼女の口から聞いてこそ素晴らしい作品が出来上がる。)

露伴(そのためには明日、海ヌシ様を釣りに行く時に聞くのが一番だろう。今日はこのぐらいにしておくか。)

プルルルルルル

露伴「!」

『康一くんからの着信』

ガチャ

露伴「どうしたんだ康一くん。こんな夜中に。」

康一「あ、露伴先生! やっと電話に出てくれましたね。何回もかけてたんですよ?」

露伴「取材中は電話を切っているんだ。すまないね。ところでどうしたんだ?」

康一「実はですね。露伴先生が稲羽市にいると聞いて仗助くんと億泰くんが行きたいって言ってるんです。」

露伴「………なぜだ?」

康一「実は明日から学校が3連休でどこかに遊びに行きたいって話になってたんですけど、露伴先生が1人で取材に行ってるってのを思い出して僕が提案したんです。露伴先生の力に少しでもなれるかなと思って…」

露伴「それなら大丈夫だ。あまり大勢いても取材の邪魔になる。今回は1人で………」

康一「それが………もう寝台列車に乗っちゃって………………」

億泰「おい仗助見ろよ! このベッドフカフカだぜ!!」

仗助「億泰! トランプしよーぜトランプ!! 康一も早くしろよ!」

露伴「……………………」

康一「ジョセフさんが今回の旅費を肩代わりしてくれることになって………」

露伴「わかった………稲羽市に着いたら午前9時に天城旅館の前にきたまえ。2人には取材の邪魔だけはするなと伝えておいてくれ。」

康一「わかりました………それでは………」ガチャ

露伴「ハァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜………東方仗助………やはりあいつは気にくわない。」

<天城旅館前>

露伴(曇りか………雨が降ることを祈るか。)

ガラガラ

露伴は戸を開けた。

若女将「そうなんだ! でも、あれってなかなか作るの難しくない?」

直斗「料理本によれば砂糖を少しだけ入れればとてもおいしくなるそうです。」

若女将「さすが直斗くんね! 頑張ってみるわ! あ。」

直斗「露伴先生すみません。少し早く着いてしまいました。」

露伴「構わない。少し話したいことがあったから早くて助かる。」

若女将「直斗くんから話は聞きました。海ヌシ様見れるといいですね。」

若女将「直斗くんがいるなら取材もはかどるはずです。あ、そういえば知ってる? 直斗くんが海ヌシ様を調べてるって聞いて完二くん七里海岸で泳いでたらしいわよ。」

直斗「完二くんがですか?」

若女将「結局いなくて風邪を引いたらしいわ。完二くんらしいわ。」

直斗「あとで感謝しておきます。」

若女将「それでは失礼します。取材頑張ってください。」ザッザッ

直斗「話ってなんですか?」

露伴「あぁ。実は………」

康一「あ! いた! 露伴先生だ!」

露伴「タイミングが悪い……」

仗助「手伝いに来たぜ露伴先生。」

億泰「釣りならオレたちにお任せだぜ!」

直斗「この人たちは?」

露伴「僕の友人だ。左から康一くん、仗助、億泰だ。全員高校一年生でキミと同じ歳だ。突然だが、彼らもこの取材に協力する事となった。」

億泰「露伴先生…となりの人は誰だァ?」

露伴「彼女は白鐘直斗くんだ。僕の取材に協力してもらっているんだ。」

仗助「え!? 女かよ!! 男だと思ってたぜ!!」

億泰「お、女か………何かドキドキしてくるな。」

康一「仗助くん、億泰くん失礼だよ!」

直斗「僕もわざとこの格好をしてるんです。気をつかわなくて大丈夫ですよ。」

康一「ごめんなさい。ほら! 仗助くんたちも!」

仗助・億泰「さーせんっした。」

直斗「僕は構いません。よろしくお願いします。」

直斗「康一くん……だっけ? 僕と声が似てるね。」

康一「あ! 実は僕も思ってたんですよ! 何だか嬉しいです。」

直斗「それに仗助くんと億泰くんも僕の友人に似てますね。何だか親近感が湧いてきます。」

仗助「マジで!? 会って早々ですけど連絡先交換しないっスか? 良い友達になれそうだぜ!」

億泰「仗助卑怯だぞ! 女とわかった瞬間に目の色変えただろ!」

仗助「お前に言われたくねえよ!」

露伴「早く車に乗るぞ。予報ではこの後雨になるからカッパと釣り具を借りに行く。」

仗助「早く車に乗ろうぜ! 学生トークに花を咲かせてよッ!」

億泰「こりゃあ来て正解だったな!」

康一「先にどうぞ直斗さん!」

直斗「僕のことは直斗って呼んで構いません。」

露伴(めんどくさいやつらだ………)

車内で学生トークで盛り上がった四人。露伴先生は冷静に七里海岸まで運転を続けた。

<七里海岸>

仗助「よっしゃ釣るぞ億泰ーッ!」

億泰「負けねぇぞ仗助ッ!!」

康一「僕は自分のペースで釣りをしようっと。」

ポツポツと雨が降ってきた。

直斗「釣れるといいですね海ヌシ様。」

露伴「そうだな。」

露伴(あいつらは今離れたところで釣りをしている。今の内に聞いておこう。)

直斗「そうだ。露伴先生、一つ聞いてもいいですか?」

露伴「なんだ?」

直斗「どうして僕の事を女だって知っているんですか?」

露伴「!!」

直斗「最初露伴先生は僕の事を男と言っていました。ですが、僕がアシスタントになってから僕の事を【彼女】と呼ぶようになりました。」

直斗「あの間に僕の事を女だと知る時間はありません。どうして知っていたんですか?」

露伴「……」

露伴(しまった………僕としたことがこんな凡ミスを…!)

露伴「逆にキミに問おう。」

直斗「僕の質問はまだ終わっていませんよ。」

露伴「マヨナカテレビと連続殺人事件、天候異常………キミはこの一連の事件に関与している。」

露伴「それも………何か特別な力でだ。」

直斗「!!」

露伴「僕らにはお互いに隠したい秘密がある。誰にも言いたくない秘密がね。どうだろう? お互いに情報を提供しないか? これなら文句ないだろ。」

直斗「そうやって僕を騙す気ですね。」

露伴「何をバカなことを言っているんだ。僕は本気だよ。」

露伴(このままではまずい………天国への扉を使って記憶を消すか………)

直斗(露伴先生は間違いなくペルソナやシャドウについて知っている………なぜ知っているのか聞き出すしかない!)

露伴「僕がキミの情報を知ったのはこの町に来る前からだ。実はキミが探偵である事も知っている。初めからキミと会うのは仕組まれていたんだよ。」

直斗「奇遇ですね。僕もですよ。僕も河原で露伴先生を見た時にこの人は他の人と違うと思っていたんです。そしてアシスタントになれるように頼んだんです。」

直斗「あなたも持っているんですよね………特別な力を………………」

露伴「さあね………どうかな?」

直斗「ここではその能力は使えませんよ。」

露伴「なに?」

直斗「あの力はここでは使えないんですよ。」

露伴「何を言っているんだキミは。」

露伴(なるほど…わかってきたぞ。)

直斗(露伴先生の反応を見る限り特別な力を持っていることは確かなようだ。だけど、マヨナカテレビのことにピンときていないということはペルソナとは違う能力なのか………)

露伴(スタンドを出したいところだが、スタンドを出してるところを康一くんたちに見られたら間違いなく僕に近づいてくる。それじゃあ計画は台無しだ。)

直斗(この人にペルソナについて聞きたいが、情報を簡単に言うのはダメだ。あくまでも露伴先生のことを聞き出さないと…)

仗助「おお!! なんだこの引きは!?」

露伴・直斗「!!」

チャポン

バサァ

ビビッ

水しぶきが上がると共に、仗助の竿が曲がっていた。

仗助は前かがみになりながら、必死に耐えている。

直斗「あの水しぶきは間違いなく海ヌシ様ですッ!」

露伴「まさか仗助がな………」

億泰「頑張れ仗助!! 釣り上げて喰っちまおうぜ!!」

康一「頑張って!!」

仗助「うおおおおお!!」

ビリリリ…

直斗(い…糸が……)

チギッ

直斗「あっ!」

億泰・康一「ゲッ!?」

釣竿の糸がちぎれた。

仗助「逃がすかよッ!!!」

シュン

仗助はクレイジーダイヤモンドを出し、糸を元に戻した。

直斗「糸が元に戻った!? 露伴先生今のは…?」

露伴「あのバカ………」

ザバァァァッ!

仗助が思いっきり引っ張るとその先にはとてつもない大きさの魚がいた。

仗助「すげぇぜこりゃあッ!!」

億泰「何人分だこれ!?」

康一「仗助くんすごいですよ!!」

直斗「………なかなか奇妙な友人をお持ちで………」

露伴「ハァ〜〜………」

億泰「仗助! 早くこれを捌いてもらって喰っちまおうぜ!」

仗助「待てよ億泰。今回の目的はこれを食う事じゃあねーよ。あくまでも露伴先生の取材に付き合う事だ。こいつはキャッチアンドリリースする。」

億泰「そんなァ〜ッ!?」

康一「しょうがないよ億泰くん。」

仗助「杜王町に帰ったらジョセフさんの金で晩飯食わしてやるからそれで許してくれ。」

億泰「ゴチになるぜ仗助!」

仗助「さすが億泰だぜ!」

仗助・億泰・康一「ハハハハハ!」

直斗「良い友達をお持ちですね。」

露伴「自慢したくないやつらだ。」

康一「露伴先生! 早くスケッチしないと海ヌシ様死んじゃいますよ!!」

露伴「わかったすぐ行く。」

露伴「僕は諦めるつもりはないからな。」

直斗「当然です。」

海ヌシ様をスケッチした露伴たち一行は杜王町に帰ることにした。

<八十稲羽駅>

直斗「もう帰られるんですか?」

露伴「海ヌシ様は見たからな。これで取材は終わりだ。」

康一「突然合流することになってすみませんでした。すごく楽しかったです!」

億泰「あの魚…食ってみたかったなァ〜………」

仗助「今度は直斗の友達を連れて杜王町に来てくれよ。オレたちが案内するからさ。」

直斗「そうですね。また連絡します。」

露伴「海ヌシ様について充分な取材ができた。感謝する。」

直斗「こちらこそ楽しかったです。」

駅員「まもなく発車しま〜す。」

康一「あ! 露伴先生早く行きましょう。直斗さんそれじゃあ!」

億泰「また会おうぜ!」

仗助「楽しかったぜ!」

露伴「…………………」

チギッ

シュビ

露伴はメモをちぎり、そのメモに何かを書き込んだ。

そのメモを扉の外に放り投げた。

シュー

扉が閉まる。

康一たち(露伴を除く)は直斗に手を振りながら遠くに離れていった。

直斗もまた康一たちに手を振り続けた。

ヒラッ

直斗「?」

直斗は空中を舞っていた紙をキャッチした。

『今回の取材はとても興味深いもので参考になった。再び会う時はキミに単独取材を申し込む。』

直斗「フフッ。望むところです。こちらこそ、今度会った時はあなたの謎を解いてみせますよ。」

露伴たちが乗った電車はゆったりと稲羽市を離れていく。

その間にも露伴は漫画を描き続けるのであった。

〜to be continued〜

以上で終わりです。
見ている人がいるかわかりませんが、見てくれてありがとうございます。

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