ヒロシ(終わった・・・)
父「……あのなぁお前さぁ…」バンッ
ヒロシ「…」ビクッ
父「今、お前何年生だ?」
ヒロシ「ちゅ…中3…」
父「お前もう中1からやり直せよ」
ヒロシ「……え?」
父「こんなんで受験する気か!?」
ヒロシ「……まだ半年あるし…」
父「……」バンッ!!
ヒロシ「……!!」ビクゥッ!!!
父「まず因数分解の公式を全部言え」
ヒロシ「x2乗+……(a+b)x…+abイ、イコール……」
父「おいそれ一学期のところだぞ!」ババンッ!!!
ヒロシ「……」ビクビク
父「……ハァ~……まあ…それより話があるんだ」
ヒロシ「え?」
父「俺な。会社クビになったんだよ」
母「…えぇ!!??」ドタドタドタ
ヒロシ「」
ヒロシ(終わった・・・)orz
母「ちょっと何それぇぇええ!!」
ヒロシ「」キマズイ……
父「ほら……東電の株価あれ以降低迷してただろ?
おまけに最近じゃあ給料も3割カットだったしな!」
ヒロシ「」ナンカ……ハキソウ
母「じゃあ何!?うちらどうなんのよぉぉ!?」
父「さぁな~もう死んでもいい」
弟「どうしたのさっきから~」トタトタトタ
母「うっうっ……弟ちゃん……ゴメンね……」ウッウッ
父「あぁ。本当にもったいねえよお前みたいな
頭の良い子がぁ……」
弟「……どう…したの…??」ウルウル
ヒロシ「父さんが倒産した」
____________静止した世界_____________
____________少年の一言から__________
____________この世界は終わりを告げた____________
父「」
母「」
弟「」
ヒロシ「……え?」
ヒロシ「……おい……え?」
ヒロシ「……そんな……何で?……」
プツンッ
テレビの電源がつく音がした。
ヒロシ「……振り返るのか…振り返りたくない…」
ヒロシはテレビに変なものが映ってる予感がした。
テレビ「……」
ヒロシ「い、、嫌だ、、こんな、、」
テレビ「……ねえ?」
ヒロシ「……!!!」ビクッ
テレビ「……こっち向いてよ」
向ける訳がない。向いたら死ぬ。そうヒロシは悟った。
テレビ「怖がらなくていいのに…」
ヒロシ「え?」
ヒロシ「誰なんだ…テレビが喋ってるのか?」
テレビ「そう。君がこの世界の物理法則を一瞬で
変えてくれたおかげでね。電化製品とよばれる僕達も
命をもらうことが出来たんだよ」
ヒロシ「え・・・テレビは生きてるのか?」
テレビ「うん。あとは君が振り向けば擬人化完成♪」
ヒロシ「ぎ……擬人化……///」
ヒロシは何が起こったのか理解不能だった。
つい3分前まで家族会議が始まりかけていたのに
急に全員が動かなくなり、おまけに何故かテレビが
喋りだしたからだ。そんなことになって戸惑わない
人間はいないと思うが・・・。
ヒロシ(大丈夫だろ・・振り向こう)
バッ!!
ヒロシは思いっきりテレビの方へ振り向いた。
ヒロシ「……!?」
ヒロシ「……ない。何もない…」
ヒロシが振り向いた先には本来あるはずの
テレビ、その他家電。それどころか家すら消えて
一面が草原と化していたのだ。
ヒロシ「え・・・?」チラッ
ヒロシは困惑した。悪い夢だと思った。何で
テレビの方を見た瞬間に何もかもが消えて
おまけに見知らぬ草原へと来てしまったのか・・・。
ヒロシ「ハッ!そういえばテレビはどこだ!!
テレビ!!おいテレビ!!こんな所連れてきて!
おいよテレビ!!どこなんだよおおおおぉぉぉぉ!!!」
ヒロシは叫び続けた。誰もいない草原にて。
ずっと叫び続けた……。何もかもが失われた…。
【3日後】
最初は悪い夢だと思った。だが結局のところ
夢ではなかったというのだ……。ヒロシは
近くに生えている木の果物などを採取して生活していた。
ヒロシ「しかし…不幸中の幸いだな…果物があるとは…」シャリシャリ
ヒロシ「しっかし……どうするかなぁ~」シャリシャリ
ヒロシはこの3日間でここが地球ではないことに
気が付いた。まずそもそも太陽がないのに
明るい。おまけに雲もなく空はずっと青い。
夜には本当に真っ暗になり自分すら見えなくなる。恐怖。
だが良い事もあり食料はそこらじゅうにあるし
何故かとても綺麗な水洗トイレまで置いてある。
現在は洞窟のようなところにいる。中は体育館並の広さで
おまけにこれも何故かベッドが置いてあった。
もしかすると自分用に誰かが用意したのかもしれないと思った。
ヒロシ「うぅ…やっぱり探検するべきなのか…」
ヒロシは周辺から探索する事にした。
周辺には草原の中に何本かの果物のなる木。
その他には奇妙な石碑のようなものがあった。
何やら字にも見えるものが書いてあったが
結局ヒロシには解読は不可能であった。
ヒロシ「周辺は相変わらず人っ子一人いないな。
それどころか虫すらいねぇとは…すげえバッタいそうなのに…」
ヒロシ「どうするかなぁ……暇すぎるなぁ~」
なんとなくヒロシは今までがとても楽に思えた。
今までのヒロシは学校ではおとなしい生徒だった。
とはいえ別にいじめてくる者もおらず学校にいて
精神的苦痛はそんなにもなかった。
むしろ大変なのは家庭であり、あの3.11の日以降
東京電力にて部長を勤めていた父は急落する
株価のせいで恐ろしくストレスが溜まっていた。
他にも毎日のように電力会社をバッシングするように
世間にもメディアにも言われて精神自体ボロボロだった。
そのせいでこれまでなかった家庭内暴力なども
始まりヒロシは家にいるのが本当に辛かった。
たまに呼び出しを喰らうと勉強の質問を何度もされ
分からない物があったら殴る蹴るして脅された。
______が、しかし
今となっては、もはや遠い昔のように感じる。
今、家庭がどうなってるかは知らないし知りたくもない。
それより逆にこれはチャンスなのかもしれないと思った。
【1ヵ月後】
ヒロシ「はぁ~川を見つけたのは大きいな……」ザブーン
ヒロシ「ハァ~冷たいぃ~」ブルブル
ヒロシは、だいぶここの生活に慣れてきていた。
というより楽しむようになっていた。
毎日何か新しい発見があり、全てを自分一人でやるので
何をしても満足感があった。
______そんな時
ヒロシ「久しぶりに泳ぐか」バシャバシャ
?「ねぇ……あなた人間?」
ヒロシは驚愕した。
1ヵ月も一人で虫すらいない環境で過ごしたのに
急に人間の少女と思われる声を聞いたからだ。
ヒロシ「……あんたは?」
見た目は完全な少女。だが違和感がある。
まるで作り物……マネキンには程遠いが人間より
アニメなどの絵の方が近く見えた。
少女「私は人間という生物により作られた生命体」
やはりロボットとかなのだろうか?
ヒロシ「作られた?……てことは人間がいるのか?」
少女「ここの世界には多分人間は存在していない」
ヒロシ「どど、どういうことだよ!?だって
人間に作られたんだろ?だったらなんで……」
少女「あなたは、多分まだ何も知らないようね
ここが一体何の世界なのか。なぜここにいるのか…」
ヒロシ「知らねえよ!教えてくれよ!」
少女「時期がくればね?あと、一つだけ言うと
ここはあなた方がいた三次元体の世界ではない」
ヒロシ「……!?」
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