父「ちょっと来い話がある」ヒロシ「はい」(23)

ヒロシ(終わった・・・)

父「……あのなぁお前さぁ…」バンッ

ヒロシ「…」ビクッ

父「今、お前何年生だ?」

ヒロシ「ちゅ…中3…」

父「お前もう中1からやり直せよ」

ヒロシ「……え?」

父「こんなんで受験する気か!?」

ヒロシ「……まだ半年あるし…」

父「……」バンッ!!

ヒロシ「……!!」ビクゥッ!!!

父「まず因数分解の公式を全部言え」

ヒロシ「x2乗+……(a+b)x…+abイ、イコール……」

父「おいそれ一学期のところだぞ!」ババンッ!!!

ヒロシ「……」ビクビク

父「……ハァ~……まあ…それより話があるんだ」

ヒロシ「え?」

父「俺な。会社クビになったんだよ」


母「…えぇ!!??」ドタドタドタ

ヒロシ「」

ヒロシ(終わった・・・)orz

母「ちょっと何それぇぇええ!!」

ヒロシ「」キマズイ……

父「ほら……東電の株価あれ以降低迷してただろ?
おまけに最近じゃあ給料も3割カットだったしな!」

ヒロシ「」ナンカ……ハキソウ

母「じゃあ何!?うちらどうなんのよぉぉ!?」

父「さぁな~もう死んでもいい」

弟「どうしたのさっきから~」トタトタトタ

母「うっうっ……弟ちゃん……ゴメンね……」ウッウッ

父「あぁ。本当にもったいねえよお前みたいな
頭の良い子がぁ……」

弟「……どう…したの…??」ウルウル


ヒロシ「父さんが倒産した」

____________静止した世界_____________

____________少年の一言から__________

____________この世界は終わりを告げた____________

父「」

母「」

弟「」

ヒロシ「……え?」

ヒロシ「……おい……え?」

ヒロシ「……そんな……何で?……」

プツンッ

テレビの電源がつく音がした。

ヒロシ「……振り返るのか…振り返りたくない…」

ヒロシはテレビに変なものが映ってる予感がした。

テレビ「……」

ヒロシ「い、、嫌だ、、こんな、、」

テレビ「……ねえ?」

ヒロシ「……!!!」ビクッ

テレビ「……こっち向いてよ」

向ける訳がない。向いたら死ぬ。そうヒロシは悟った。

テレビ「怖がらなくていいのに…」

ヒロシ「え?」

ヒロシ「誰なんだ…テレビが喋ってるのか?」

テレビ「そう。君がこの世界の物理法則を一瞬で
変えてくれたおかげでね。電化製品とよばれる僕達も
命をもらうことが出来たんだよ」

ヒロシ「え・・・テレビは生きてるのか?」

テレビ「うん。あとは君が振り向けば擬人化完成♪」

ヒロシ「ぎ……擬人化……///」

ヒロシは何が起こったのか理解不能だった。
つい3分前まで家族会議が始まりかけていたのに
急に全員が動かなくなり、おまけに何故かテレビが
喋りだしたからだ。そんなことになって戸惑わない
人間はいないと思うが・・・。

ヒロシ(大丈夫だろ・・振り向こう)

バッ!!

ヒロシは思いっきりテレビの方へ振り向いた。

ヒロシ「……!?」

ヒロシ「……ない。何もない…」

ヒロシが振り向いた先には本来あるはずの
テレビ、その他家電。それどころか家すら消えて
一面が草原と化していたのだ。

ヒロシ「え・・・?」チラッ

ヒロシは困惑した。悪い夢だと思った。何で
テレビの方を見た瞬間に何もかもが消えて
おまけに見知らぬ草原へと来てしまったのか・・・。

ヒロシ「ハッ!そういえばテレビはどこだ!!
テレビ!!おいテレビ!!こんな所連れてきて!
おいよテレビ!!どこなんだよおおおおぉぉぉぉ!!!」

ヒロシは叫び続けた。誰もいない草原にて。
ずっと叫び続けた……。何もかもが失われた…。

【3日後】

最初は悪い夢だと思った。だが結局のところ
夢ではなかったというのだ……。ヒロシは
近くに生えている木の果物などを採取して生活していた。

ヒロシ「しかし…不幸中の幸いだな…果物があるとは…」シャリシャリ

ヒロシ「しっかし……どうするかなぁ~」シャリシャリ

ヒロシはこの3日間でここが地球ではないことに
気が付いた。まずそもそも太陽がないのに
明るい。おまけに雲もなく空はずっと青い。
夜には本当に真っ暗になり自分すら見えなくなる。恐怖。

だが良い事もあり食料はそこらじゅうにあるし
何故かとても綺麗な水洗トイレまで置いてある。
現在は洞窟のようなところにいる。中は体育館並の広さで
おまけにこれも何故かベッドが置いてあった。
もしかすると自分用に誰かが用意したのかもしれないと思った。

ヒロシ「うぅ…やっぱり探検するべきなのか…」

ヒロシは周辺から探索する事にした。
周辺には草原の中に何本かの果物のなる木。
その他には奇妙な石碑のようなものがあった。
何やら字にも見えるものが書いてあったが
結局ヒロシには解読は不可能であった。

ヒロシ「周辺は相変わらず人っ子一人いないな。
それどころか虫すらいねぇとは…すげえバッタいそうなのに…」

ヒロシ「どうするかなぁ……暇すぎるなぁ~」
なんとなくヒロシは今までがとても楽に思えた。

今までのヒロシは学校ではおとなしい生徒だった。
とはいえ別にいじめてくる者もおらず学校にいて
精神的苦痛はそんなにもなかった。
むしろ大変なのは家庭であり、あの3.11の日以降
東京電力にて部長を勤めていた父は急落する
株価のせいで恐ろしくストレスが溜まっていた。
他にも毎日のように電力会社をバッシングするように
世間にもメディアにも言われて精神自体ボロボロだった。

そのせいでこれまでなかった家庭内暴力なども
始まりヒロシは家にいるのが本当に辛かった。
たまに呼び出しを喰らうと勉強の質問を何度もされ
分からない物があったら殴る蹴るして脅された。

______が、しかし

今となっては、もはや遠い昔のように感じる。
今、家庭がどうなってるかは知らないし知りたくもない。
それより逆にこれはチャンスなのかもしれないと思った。

【1ヵ月後】

ヒロシ「はぁ~川を見つけたのは大きいな……」ザブーン

ヒロシ「ハァ~冷たいぃ~」ブルブル

ヒロシは、だいぶここの生活に慣れてきていた。
というより楽しむようになっていた。
毎日何か新しい発見があり、全てを自分一人でやるので
何をしても満足感があった。

______そんな時

ヒロシ「久しぶりに泳ぐか」バシャバシャ


?「ねぇ……あなた人間?」

ヒロシは驚愕した。

1ヵ月も一人で虫すらいない環境で過ごしたのに
急に人間の少女と思われる声を聞いたからだ。

ヒロシ「……あんたは?」
見た目は完全な少女。だが違和感がある。
まるで作り物……マネキンには程遠いが人間より
アニメなどの絵の方が近く見えた。

少女「私は人間という生物により作られた生命体」

やはりロボットとかなのだろうか?

ヒロシ「作られた?……てことは人間がいるのか?」

少女「ここの世界には多分人間は存在していない」

ヒロシ「どど、どういうことだよ!?だって
人間に作られたんだろ?だったらなんで……」

少女「あなたは、多分まだ何も知らないようね
ここが一体何の世界なのか。なぜここにいるのか…」

ヒロシ「知らねえよ!教えてくれよ!」

少女「時期がくればね?あと、一つだけ言うと



ここはあなた方がいた三次元体の世界ではない」

ヒロシ「……!?」

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