アイリ『きゃあッ!? や、やめなさい士郎、私たち親子なのよ』
士郎『そんなの関係ない。俺は母さんが好きなんだ!』
アイリ『お、お母さんも士郎のことは大好きよ。でも……だからって、こんなことはしちゃいけないの、間違っているわ!』
士郎『間違いなんかじゃない……。この気持ちは、間違いなんかじゃないんだから!』
アイリ『ひぁあン! し、しろう、だめぇぇ、んふァっ、やぁああッ! やめ、なさいぃぃ……』
士郎『もう止まれない。母さんが欲しい。母さんを抱いたまま溺死してしまいたい』
アイリ『あ、はァンン、士郎、しろ、う……! だめえぇぇっ!!
切嗣ぅ、ごめんな、さい……。わたし、息子に、イカされちゃうぅぅぅぅっ!』
禁断の悦楽に囚われた少年と義母。ふたりは狂ったように互いの体を求め合い、暗い闇の中へ堕ちていくのだった。
どこまでも、どこまでも――――。
イリヤ「――――って、なんてもの書いてるのよ、お母さま!」バン!
アイリ「ああ!? なにするのイリヤ、ようやく書き終えた原稿なんだから大切に扱って」
イリヤ「ここのところ部屋に籠りっきりでなにをしてたかと思えば……。
自分と士郎をモデルにしたエロ小説を書いていたなんて、ユスティーツア様が知ったら泣くわよ」
アイリ「うふふふふ。今度の官能小説新人賞に応募してみようかな~って」
イリヤ「はぁあッ!?」
アイリ「キャッチコピーは『美しき義母に心奪われてしまった少年の苦悩と肉悦』、タイトルは『白濁に穢された聖杯(しきゅう)』で」
イリヤ「日本語にケンカ売るようなルビ振るのはやめなさい!」
アイリ「ダメかしら?」
イリヤ「ダメよ! だいたい、ついこの前までは言峰×切嗣でさんざん盛り上がってたじゃない」
アイリ「ん~? あれはもういいかな~」
イリヤ「え、どうして?」
アイリ「だってほら、blってどう頑張っても使える穴はお一人さま二つまででしょう。どうしてもプレイの幅が広がらなくって」
イリヤ「あ゛ーあ゛ーあ゛ー! 聞きたくない聞きたくない!」
アイリ「それに前立腺って」
イリヤ「聞きたくないって言ってるでしょうがぁあッ!!」ガオー!
イリヤ「はァはァ、ぜェぜェ……」
アイリ「イリヤ、女の子がそんなに大声を出したり息を荒げたりしちゃいけません。はしたないわよ」
イリヤ「お母さまにだけは言われたくないわ。もう変な趣味に走るのもいい加減にしてよ」
アイリ「ねぇ、それでどうだった? 読んでみた感想は」
イリヤ「娘の話、聞きなさいよ……。まあ、そうね、率直な感想としては」
アイリ「しては?」
イリヤ「あからさま過ぎるでしょう、この設定!
なによコレ、社会からドロップアウトした父親と銀髪巨乳で美人で健気な母親、
実年齢18歳なのにロリロリな姉、正義の味方を目指す弟って、まるっきりうちの家族構成そのものじゃない!」
アイリ「だってうちの家族がモデルなんだもの。当然でしょう」
イリヤ「妄想と現実をごっちゃにしないで! 読む人が読んだら、私たちのことを書いたってすぐにバレちゃうわよ」
アイリ「真実に基づいてこそ物語は深みと面白みを増していくものよ」
イリヤ「だからって、こんなものが世に出回れば、私たちご近所を出歩けなくなるわよ。それでもいいの!?」
アイリ「そ、それはつまり街行く人たちが私のあられもない痴態を想像してハァハァするっていうこと!?
それ、いい! 興奮する! むしろウェルカムだわ!」
イリヤ(ダメだ、このホムンクルス……。早くなんとかしないと)
イリヤ「う~、お母さまってばどうしてこうなっちゃたのよぉ~」シクシク
アイリ「イリヤ……。アインツベルンの業は果てしなく深いの。あなたにもきっとわかる日が来るわ」
イリヤ「そんな日は未来永劫来ないし、来させやしないわ」
アイリ「妄想の翼は自由。たとえ天の鎖でも縛ることはできないのよ」
イリヤ「ギルガメッシュに聞かれたら眼球切り裂かれて心臓抉り出されること確実ね。とにかく、絶対に応募したりしたらダメだからね!」
アイリ「えーいいじゃない。お母さんの楽しみを奪わないでよ。そうだ、印税が入ったらみんなで美味しいものを食べに行きましょう」
イリヤ「セイバーじゃあるまいし食べ物でつられたりしないわよ!」
ギャーギャー! ワーワー!
切嗣「ただいま~。なにを騒いでいるんだい?」
アイリ「あら、お帰りなさい切嗣。外は寒かったでしょう」
切嗣「ああ、だいぶ風が冷たくなってきたよ。もうすっかり秋だね」
アイリ「うふふふふ。夕飯まではまだ時間があるからお風呂にでも入ってきたら?」
切嗣「お、そいつはありがたい。お願いしようかな」
アイリ「それじゃあ用意してくるわね」パタパタ
イリヤ「…………」
切嗣「イリヤ、アイリと喧嘩でもしたのかい。外まで声が聞こえていたよ」
イリヤ「べっつにぃ~」
切嗣「……なあ、イリヤ。うちには遠坂のような格式張った家訓はない。それでも強いて挙げるとしたら、家族は仲良く、ということだ」
切嗣「もし君とアイリの間でなにかあったなら、僕は家長としてそれを放っておくわけにはいかない」
イリヤ「うん……」
切嗣「教えてくれないかな、イリヤ。いったいなにがあったんだ」
イリヤ「……これ、読んでみて」バサッ
切嗣「なんだいこれは? ……小説?」ペラペラ
イリヤ「なにも言わずにこれを読んで。そして感想を聞かせて」
切嗣「これが喧嘩の原因なのか? ま、まさかアイリ、また言峰×僕のbl小説でも書いたんじゃないだろうな」アセアセ
イリヤ「それよりも3倍はタチが悪いものよ……」
――30分後――
切嗣「は、ははは、はは……。こ、これはまたなんとも」ダラダラ
イリヤ「ね、こんなのおかしいと思うでしょう。切嗣からもお母様にきつく言ってよ」
切嗣「しかしだなぁ、本当に出版されると決まったわけでもないし、応募するくらいならいいんじゃないかな」
イリヤ「ちょ、それ本気で言ってるの!?」
切嗣「それに……アイリがこんなことになってしまったのは、僕にも責任の一端があるかもしれない」
イリヤ「? どういうこと」
切嗣「僕の魔術、固有時制御(タイムアルター)のことは知っているね」
イリヤ「まぁ、それなりに」
切嗣「魔術とは常に死と隣り合わせなものだ。それは固有時制御だって例外じゃない」
イリヤ「…………」
切嗣「若い頃から無茶な使い方をしてきたツケが回ってきたんだろう。最近になって僕の体に異常が出始めてきたんだ」
イリヤ「それがお母様の変態趣味とどう関係するのよ」
切嗣「話は最後まで聞くんだ。とにかく、長年に渡る魔術行使の反動は僕の体に重大な影響をもたらした。
具体的には、体のある一部分……」
切嗣「そう、僕ご自慢の股間のコンテンダーにねッ!!!」ドヤァ!
イリヤ「おい待てや、クソ親父」
切嗣「ははは、笑ってくれよイリヤ。まだ四十路前だっていうのに勃たないんだぜ?
おかげで舞弥には愛想をつかされるし、アイリとの夜の営みはすっかりご無沙汰だ。
これじゃあ熟れた肉体を持て余したアイリが変な趣味に走っても仕方がないというものさ」ヤレヤレ
イリヤ「……切嗣、お願いだからもうそれ以上しゃべらないで」イライラ
切嗣「おまけに年のせいか起源弾(タネ)も打ち止めという酷い有様で」
イリヤ「しゃべるなって言ってるでしょー! やっちゃえ、バーサーカー!!」
グルォォォォォ!! ギャァァァァアアア!!
レス、支援ありがとうございます!
書き溜めはここまで。
こんな感じのドタバタで続きます。
イリヤ「はァはァ……。年頃の娘の前で下半身事情をぶっちゃけるとか、どんなセクハラ親父よ」
アイリ「ふぅ、給湯器の調子が悪くて手間取っちゃった――――あれ? イリヤ、切嗣は?」
イリヤ「なんか疲れたから寝るって」
アイリ「あらあら、お風呂どうしましょう。もう沸かしてきちゃったのに」
イリヤ「私が入るからそのままでいいわよ。もう少しすれば士郎も帰ってくるし」
アイリ「なら、そうしましょう。それにしても士郎、遅いわねぇ」
士郎「ただいま~」
アイリ「噂をすればなんとやら、ね。お帰りなさい、士郎」
イリヤ「あ~お帰り~」
士郎「ああ、ただいま。――って、どうしたんだイリヤ。なんか随分と疲れているみたいだけど」
イリヤ「お願いだから聞かないで」
士郎「お、おう」
アイリ「うふふふ。女の子にはいろいろあるのよ。それにしても士郎、ずいぶんと遅かったじゃない。なにかあったの?」
士郎「いや、美綴たちと話し込んでたら、いつの間にか時間が経っちゃって」
アイリ「そう。お友達と仲が良いのは結構だけど今度から遅くなる時にはちゃんと連絡しなさい。お母さん、心配しちゃったんだから」
イリヤ(私はお母さまの頭のほうが心配…………)
士郎「ごめん。気を付けるよ」
アイリ「うん。素直でよろしい」
アハハハ、ウフフフフ
イリヤ(こうしているとお母さまもちょっと過保護だけど普通の母親なのよね。とても自分×息子の18禁小説を書くひとには見えないわ)
アイリ「お腹すいたでしょう? すぐに作るから待っててね。今のうちに、お風呂に入っちゃいなさいね」サスサス
イリヤ(ちょ!? このバカ母、今さり気なく士郎のおしり触ったわよね!?)
士郎「あ、飯の支度なら俺も手伝うよ」
アイリ「いいからいいから。晩御飯はお母さんに任せて、ね?」ナデナデ
イリヤ(こ、今度は股間を!? てゆーか、今晩のメニューはウナギ、山芋、ニンニク、スッポン…………。
どれもこれも精がつくものばっかりじゃない!)
アイリ「そうそう。お隣の藤村さんが桃をくれたのよ。今日のデザートはこれに決まりね」
士郎「へえ、楽しみだな。桃は今の時期が食べごろだよな」
アイリ「…………………士郎もそろそろ食べごろかしら」ボソッ
イリヤ「!!」ゾクゾク~~ッ
イリヤ(ま、まずいわ! お母さまのあの目……愉悦を知った言峰級にイッちゃてる!?)
士郎「? どうした、イリヤ。自害させられたランサーみたいな顔してるぞ」
アイリ「うふふふふふふふ」
イリヤ(いけないっ! このままだと我が家にモラルハザードな固有結界が展開されちゃう!)
士郎「おいおい、本当にどうしたんだよイリヤ」
イリヤ(かくなる上は――!)
イリヤ「士郎! お風呂に入るわよ、今すぐ一緒に!!」ガシッ
士郎「ああ、風呂ね……って、一緒にぃ!? うわぁ、急に手を掴んで走り出すなぁっ!」
イリヤ「いいから言うこと聞きなさい! それと今夜から寝る時はセイバーと私が一緒よ。城からセラとリズも呼んでおくわ」ダッシュ!
士郎「え、ちょっと、待てって、イリヤ! 落ち着けって! な、ななななな、なんでさぁぁああっつ!!!」
イリヤ「大丈夫よ、士郎のことはお姉ちゃんが守ってあげるから!!」
バタバタバタバタ…………――――
アイリ「あらあら、イリヤってば士郎を取られると思って焼き餅やいちゃったのかしら。大人ぶっていても、まだまだ子供よねえ」
アイリ「………………」
アイリ「…………母と娘と息子のドロドロの三角関係っていうのも結構いいわね。うふふふふ。また、創作意欲が湧いてきちゃった」
セイバー「ただいま戻りました、アイリスフィール」
アイリ「うふふふふ。お帰りなさい、セイバー」
セイバー「門扉をくぐった時に士郎とイリヤスフィールの悲鳴らしきものが聞こえたのですが、なにかありましたか」
アイリ「なんでもないわセイバー。そう、なんでもないのよ。うふ、うふふふふふふふふふふふふふふふふふ」
セイバー「ア、アイリスフィール!? どうしたのですか、正気を保ってください、アイリスフィール!?」
ウフフフフフフフフ………………
その後――
イリヤスフィールの必死の抵抗も虚しく、アイリスフィールの作品は応募されてしまい、なんと大賞を受賞!
これをきっかけにアイリスフィールは女流官能小説家としての道を歩み出し、
『義母・義姉・息子 禁断の三角関係(ヘブンスフィール)』、『夜の魔術 挿入、開始(トレース・オン)』等のヒット作を連発することになるのだった。
おしまい
fate/zeroアニメ最終回を見てテンションが下がって、
タイころアッパーの切嗣ルート、アイリルート見てテンション上がったので書いてみました。
なので一応、設定的には切嗣ルートendの更にその後みたいな感じで。
切嗣、アイリ、イリヤ、士郎の家族ってなんか楽しそうでいい。
あんな母親がいたら士郎は絶対にマザコンになる思う。
お付き合いありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません