加賀「五航戦の子」 (28)
短い
深夜、夜勤クオリティ
帰って初風と、401と雲龍掘りたい
夜勤中なので、更新ストップ=仕事してます
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赤城「今日の作戦も順調でしたね、流石提督ですよね」
加賀「赤城さんの火力があってこそ、ですよ」
赤城「私が旗艦の輪形陣なのだから、ちょっとプレッシャーは感じましたけどね」
加賀「その程度ならはね除けるとと思っていますので」
赤城「まぁ、ここで怯んでたらいけないものね。そういえば加賀さん知ってます?」
加賀「なんでしょう」
赤城「出撃する前に鳳翔さんに会ったのですが、今日は間宮さんと一緒に夕飯を作ってくれるみたいですよ」
加賀「……」
赤城「どうしました?」
加賀「あぁいえ、今日の赤城さんの調子が良かったのはその影響なのでは、と」
赤城「否定はしないわね。あ、そういえばもう一つ……」
加賀「?」
時が少し経った頃……
瑞鶴「あーぁ、翔鶴姉もここ数日いないし、提督は第一艦隊ばかり出撃させてるし」
瑞鶴「ベンチ暖めすぎて、火事になっちゃうくらい放置されたわね」
瑞鶴「たまに演習で組ませてもらえだけだもんね、その時絶対加賀さんいるから微妙な気持ちだけど」
不知火「何をそんなにぶつぶつと独り言を?」
瑞鶴「うっひゃああぁぁ!?」
不知火「……、驚きすぎでは? 少し傷つきます」
瑞鶴「い、いきなり後ろに立たないでよ……」
不知火「それは失礼しました」
瑞鶴「あと、傷ついてないくせにそういうのは止めなさい」
不知火「何故傷ついてないと?」
瑞鶴「あんたそういう性格でしょうが」
不知火「なるほど、では不知火が今から泣いて、陽炎が飛んできてもそういうつもりですか?」
瑞鶴「ちょっと待った、陽炎はダメ。あの子の前で妹たちを小突いたりするだけで後で体育館裏連れてかれる勢いだから」
不知火「仕方ないですね、許してあげましょう」
瑞鶴「……っていうかなんで私は駆逐艦に弄られてるわけ?」
不知火「特に弄っているなんて思ってませんが」
瑞鶴「だってあなたたちが加賀さんや赤城さんを弄っているところなんて見たことないわ」
不知火「だってあの人たちは尊敬されるべき人たちで、頼もしい人たちですから」
瑞鶴「え、なに、私たちは尊敬されてもないし、頼もしくもないわけ?」
不知火「そうは言ってません」
瑞鶴「ねぇ、不知火たちさ、ちょっと加賀さんにいたずらしてみたくない?」
不知火「……はぁ」
瑞鶴「あの無口で無愛想な顔が涙目に変わるところ見たくはない?」
不知火「興味はあります、ですがその前に一つ聞かせてもらって構わないですか?」
瑞鶴「何よ」
不知火「瑞鶴さんと加賀さん、どうしてそう犬猿の仲なんですか?」
瑞鶴「……それは不知火たちが駆逐艦で私たちが空母だからよ」
瑞鶴「先に言わせてもらうと、別に駆逐艦の仕事を馬鹿にしてる訳じゃないわ。むしろあなたたちには感謝してるの。艦載機から脱出して漂流してる人を救出してもらったりね」
瑞鶴「その上で言わせてもらうけど、私たち空母は火力がある。駆逐艦よりも多くの敵を倒せる火力がね。それは提督たちのために戦っているけれど、私たちにもそれぞれプライドがあるの」
瑞鶴「五航戦だからって何よ。少なくとも数少ない空母よ。だからこそこの火力を活かさない」
不知火「そう、そこですよ」
瑞鶴「と……って、え?」
不知火「数少ない空母なんですよ。だからこそ手を合わせるべきでは? 私たちは駆逐艦です、そして私は現鎮守府にもっとも多い陽炎型の二番艦です」
不知火「先日磯風がこの鎮守府に来ました、私を含め陽炎たちは彼女がいち早くこの鎮守府に馴染めるように努力してます。今までの駆逐艦のみんなもそうでした」
不知火「そうやって互いの信頼関係が築かれたからこそ、いま瑞鶴さんが言ってもらったような駆逐艦としての役割が果たせるんですよ」
だから今、加賀さんは食堂にいるはずですから手を取り合ってきてください……
瑞鶴「……駆逐艦に諭された……」
瑞鶴「そして私も流されるように食堂に……」
瑞鶴「はぁ……胃が痛くなる……」
瑞鶴「……っていうか加賀さんいないんだけど」
ビービービー
瑞鶴「!!」
瑞鶴「緊急出動命令!?」
瑞鶴「って私には関係ないか。赤城さんや加賀さん、長門さんのいつもの人たちでしょう」
『……にぃ!?…………れは……』
瑞鶴「? どうしたのかしら?」
『……第一艦隊至急執務室へ、それから瑞鶴もすぐに執務室へ来るように』
瑞鶴「えっ?」
瑞鶴「な、なんで!? あわわ、そうじゃなくて、早く行かなきゃ!」
執務室
瑞鶴「す、すいません、遅れましたぁ! ……あれ?」
提督「あぁ、来てくれたか瑞鶴」
瑞鶴「あ、はい! ……あの、他のみんなは?」
提督「あぁ、もう出撃してもらった」
瑞鶴「えっ……す、すいません!! 私が遅れたばかりに!! 私も今すぐ出撃します!」
提督「いやいや、瑞鶴を呼んだのは別件だ」
瑞鶴「え? じゃあ……誰が出撃してるんですか?」
提督「いつものみんなだ」
瑞鶴「じゃ、じゃあ……提督の後ろに立っている加賀さんは……?」
提督「それだ、瑞鶴を呼んだ理由 」
瑞鶴「え!?」
加賀「…………あの」スッ
瑞鶴「ひゃっ!?」バシッ
加賀「」
瑞鶴「……あれっ?」
加賀「襟元曲がってるから、直そうとしただけ……」
瑞鶴「……あ、本当だ」
瑞鶴(……あれ? 今日の加賀さん、何かおかしい)
提督「瑞鶴、あのな。今日は加賀に敵対心を向けるな」
瑞鶴「……は、はい」
瑞鶴(なんで、加賀さん、泣きそうな顔してるの? まるで私が加賀さんの手を払いのけたことで傷ついたみたいに)
瑞鶴(いつもの加賀さんなら、払いのける私の手を掴んで肩の関節をキメた状態から土下座しなさいなんて、無茶言ってくるのに……)
提督「加賀が記憶喪失になった」
瑞鶴(まさかこれも陽動のうち? 記憶喪失だなんて嘘をついて払いのけた手を私が眠っている間に足首とくくりつけて変な遊びを……ってそれはこの前やられたわね。ってことはそうではなく、本当に記憶喪失……)
瑞鶴(え? 記憶喪失?)
瑞鶴「えええぇぇぇ!?!?」
瑞鶴「赤城さんは出撃。二航戦の人たちと翔鶴姉は他鎮守府へ演習中……」
加賀「…………」ソワソワ
瑞鶴「軽空母たちに相談……はなんか見世物になっちゃいそうね……」
加賀「…………」ソワソワ
瑞鶴「え、何してればいいだろ?」
加賀「あの……」
瑞鶴「なに?」ジロ
加賀「あっ、あっ……いえ」
瑞鶴「…………はぁぁ」
瑞鶴(私も大人なんだからしっかり考えて行動しないとね)
瑞鶴「ごめんなさい、加賀さん。どうしたの?」
加賀「えっと……その、お手洗いの場所は……」
瑞鶴「ん? そっかそれも忘れてるんだ」
加賀「すいません……」
瑞鶴「いいわよ、ちょっと歩くけど我慢できる?」
加賀「はい……」
瑞鶴(場所っていうか、ここはどこ状態か……提督の話によると、自分が一航戦の加賀っていうことだけら覚えてるみたい……)
瑞鶴(ん? それって……なんだか……)
加賀「すいません、お待たせしました……」
瑞鶴「…………」
加賀「あの、何か?」
瑞鶴「いえ……とりあえず記憶を取り戻しましょうか。目が覚めた時どこにいたの?」
加賀「えっと……赤城さんに肩を貸して貰っていたときに目を覚ましたので、執務室にいたとおもいます」
瑞鶴「あ、そうか。緊急出動命令が出たから、二人は執務室にいたんだった」
瑞鶴「でも……あれ? 私が呼ばれたのが加賀さんの御世話役なら、放送があってすぐだったわね……」
加賀「そういえば……食堂、がどうとか赤城さんが……」
瑞鶴「そっか、不知火も言ってたわね。記憶がいつ戻るか分かんないから、案内がてら原因探しにでも行きましょうか」
食堂
不知火「瑞鶴さんではないですか……!! 加賀さん!」ビシィッ
瑞鶴「おい」
加賀「あ、どうも」
不知火「それで何のようでしょう瑞鶴さん。私は見ての通り加賀さんの椅子を用意するので忙しい身なのですが」テキパキ
瑞鶴「私とは随分態度が違うのね」
不知火「頑張ってください」
瑞鶴「それはあんたに認められるよう頑張れってことかしら!? あんた何様!?」
不知火「ささ、加賀さんこちらへ、ご夕食はお済みになられましたか?」
加賀「食べた気がするわね」
瑞鶴「自然に無視するなー!」
不知火「あ、すいません瑞鶴さん、気が利かなくて。お詫びに先日鎮守府に流れ着いたドラム缶でテーブルと椅子を作っておいたのでそれ使っておいてください」
瑞鶴「器用ね、とだけ言っておくわ」
加賀「あの……二人は仲いいの?」
不知火「……は?」
瑞鶴「そうそう、不知火。今加賀さんは記憶無くしてるのよ。ここに原因があるかもしれないんだけど、何か頭打ったような後とか見当たらなかった?」
不知火「頭いかれたんですか?」
瑞鶴「何でそのセリフに変えて私に向かって言う」
不知火「すいません、頭からいかれたんですか?」
瑞鶴「多少意味が変わってない気がしなくもないけど……。そういえば加賀さんは頭を打ったのかしら?」ゴソ
加賀「うぁ…………」
不知火「不知火も加賀さんの頭に怪我がないか見てみます」ゴソ
加賀「うぅ…………」
瑞鶴「ん~? 腫れてるところ特にないわね」サワサワ
不知火「すごい! ここの部分とってもぷにぷに」
瑞鶴「それ私の手」
不知火「引きちぎりたくなりました」
瑞鶴「それ私の手えぇええぇぇ!!」
陽炎「不知火ー、誰かいるの?」
不知火「加賀さんがいます」
瑞鶴「私もね」
陽炎「あ、二人ともこんばんわー。お食事ですか?」
瑞鶴「えーっと……かくかくしかじか」
陽炎「……加賀さんが記憶喪失ですか……、何かあったの……!」
瑞鶴「? どしたの?」
陽炎「いやぁ、なんでも………」
瑞鶴「そういえば何で陽炎が厨房に入ってたの?」
陽炎「私? 私は……」
間宮「新しく入ってきた子のために歓迎会、そのために私にお菓子を習いにきたのよね」
陽炎「ま、間宮さんっ!」
瑞鶴「へぇ、陽炎ってそんなことしてるんだ。でもこの前鎮守府みんなで歓迎会したわよね」
陽炎「だ、だってようやく見つけた私の妹なんだもん。陽炎型だけでパーティーとか……」
瑞鶴(……そっか)
不知火「それならこの瑞鶴、加賀さんと大人としてのパーティーを始めるために自室に連れ込む覚悟を決めるのであった……」
瑞鶴「何よその下手くそな代弁は」
陽炎「と、とにかく私はお菓子作りに戻るから!」
不知火「不知火も手伝います」
加賀「仲良いみたいね」
瑞鶴「あの二人は特にね」
加賀「うん、瑞鶴さんとあの二人が」
瑞鶴「え、えぇ!?」
間宮「あら、加賀さん、さっきは大丈夫でした?」
加賀「え?」
間宮「だってさっき、私と鳳翔さんが……」
瑞鶴「さて、もう夜も深くなっちゃったけど……」
加賀「…………」
瑞鶴「赤城さんが帰ってこないってことは夜戦までもつれこんでるのかな?」
加賀「……あの」
瑞鶴「どうしたの? 」
加賀「私はどこで寝たら……」
瑞鶴「あ、そっか……。うーん、加賀さんはこっちのベッド使ってくれる?」
加賀「ってことはこっちが翔鶴さんっていう人のベッド?」
瑞鶴「ううん、今日は私が眠っている翔鶴姉のベッドで寝るわ」
加賀「瑞鶴さんのベッドで寝るわけね」
瑞鶴「匂いが気になるならいいわよ、変えても」
加賀「ううん、この匂い、嫌いじゃない、から」
瑞鶴「そ、そう……」
瑞鶴「じゃ、電気消すわよ」
加賀「……うーん」
瑞鶴「なによ、どっち?」
加賀「消してもらって構わないわ」
瑞鶴「はい、じゃお休みなさい」
加賀「お休みなさい」
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瑞鶴(結論から言って、加賀さんがどうして記憶をなくしたのか分かった)
瑞鶴(最初は信じられなかったけど、似たような前科があったから否定しきれなかっただけかもしれないけど)
瑞鶴(明日、赤城さんが帰ってきたら一緒に提督に報告でいいかな。それに明日じゃないとどうせ記憶なんて戻らないし)
瑞鶴(…………)ゴロン
瑞鶴(…………)ゴロン
瑞鶴(それにしても、翔鶴姉の布団ひさしぶり……、一緒に寝てた頃を思い出すわね)
加賀「あの」
瑞鶴「ひゃああぁぁ!?」
加賀「ごめんなさい、驚かすつもりはなかったのだけれど」
瑞鶴「いや、こっちも気を緩めてたから……、それで何の用?」
加賀「あの、私、枕が変わると眠れないみたいで……」
瑞鶴「……そう、じゃあ加賀さんの部屋に取りに行きましょうか」
加賀「あ、瑞鶴さんは寝てていいから。場所を教えてくれたら」
瑞鶴「迷子のお知らせが聞こえてきたら面倒なのよ、行きましょう」
瑞鶴「同じ空母寮だけど、ちょっと離れてるのよね……」
加賀「…………」
瑞鶴「そうそう。聞きたいことあったのよ、加賀さんに」
加賀「私に? でも私、何も覚えてない……」
瑞鶴「目が覚めて、この鎮守府にいて、それでここ数時間でこの鎮守府の人たちをどうおもった?」
加賀「え……っと、楽しそう?」
瑞鶴「それはどこを見てそう思ったの?」
加賀「……瑞鶴さんと不知火を見ていて」
瑞鶴「悪いことじゃないから色々教えて。提督の第一印象は?」
加賀「優しそうな人……」
瑞鶴「そう、じゃあ」
加賀「瑞鶴さんが羨ましい」
瑞鶴「え? な、何よ急に」
加賀「今日見てて思った。私、笑顔とか作れないから、駆逐艦の子たちと話してる姿が羨ましかった」
瑞鶴「不知火のこと?」
加賀「あの子には、椅子を引いてもらってしかいない」
瑞鶴「……陽炎は」
加賀「挨拶だけだったわ」
瑞鶴「……でもそれは、加賀さんが記憶喪失ってだけで」
加賀「記憶無くしてるって言う前の不知火の行動見ていれば分かるわ。線引かれてるなって」
瑞鶴「…………」
加賀「でも、私本当に羨ましいのかわかんない……なんだか、記憶無くす前の私を思い出しそう……」
瑞鶴「それは……明日でいいわ。とにかく、部屋に着いたから枕取ってきなさい」
加賀「分かったわ……」
ガチャ
瑞鶴(なんだか、加賀さんの本音と話してる気分……。でも加賀さんの本来の本音とは違うと思うんだけどなぁ)
ガチャ
加賀「…………」
瑞鶴「わっ、早かったじゃない。ってあれ? 枕は」
加賀「どっちが自分の枕か分からなくて」
瑞鶴「…………私も見てあげるわ」
ガチャ
瑞鶴「えーっと。片方のベッドが食べ物関連のぬいぐるみや情報誌で埋まってて、片方はきっちり整理されてる」
瑞鶴「後者が加賀さんのベッドじゃなかったらとんでもないものを見てしまったわね」
瑞鶴「あ、ほら。これっぽいわよ。枕元に加賀さんの字で書いたようなノートが……」
『……………………私は…………』
瑞鶴「!!!」
バタン
瑞鶴「……見ちゃいけないものだったわね」
加賀「ううん、見てほしい……」
瑞鶴「え?」
加賀「これは記憶無くす前の私の手記、この鎮守府を違う目で見ていた私のもの」
加賀「こんなところに書いてるだけで多分生涯言えないものになろうとしてる」
加賀「そのためにも、見ておいてほしい……」
瑞鶴「分かったわ……」
翌日、執務室
瑞鶴「おはようございます。提督」
提督「あぁ、おはよう。加賀の調子はどうだ? 記憶が戻る見込みはありそうか?」
瑞鶴「それについては提督、今日中に戻りそうです」
提督「そうなのか!? よくやった瑞鶴!」
瑞鶴「それで、もし戻った暁にらお願いがあるんですが……」
提督「そうだな、昨日は加賀の世話を頼んだからな。なんでもいいぞ」
瑞鶴「ありがとうございます。ときに提督、以前の集団食中毒のことを覚えていますか?」
提督「あー、比叡の」
瑞鶴「はい。比叡が手をつけただけで食中毒に似た症状が現れたあのことです」
提督「まさか今回も比叡が……ってそれはないか。演習にいってるはずだからな」
瑞鶴「しかし、同じことが出来るのが比叡だけじゃなかったということです」
提督「ほ、本当にか……」
瑞鶴「赤城さん、加賀さんが夕食を摂っていられた際、この子も厨房に立っていたらしいです、来てください」
ガチャ
提督「あれ?……磯風?」
磯風「……すまない、司令官」
瑞鶴「そうです。彼女が厨房に立ち、作った料理を加賀さんが食べてしまったのです」
提督「そ、そんな効果が……?」
瑞鶴「ですが提督、彼女を責めないで欲しいです。磯風はまだここに来てそれほど日が立っていません。陽炎たちに早く溶け込めるように色々尽くされていて、そのお礼がしたくて料理を振る舞いたかったんです。これは鳳翔さんと間宮さんの証言もあります」
磯風「みんなに、ありがとう、と伝えたかったんだ。ただそれだけなんだ……」
瑞鶴「料理には、相手を思いやる心で美味しくなると聞いたことがあります。ただし磯風の場合、この鎮守府に来て陽炎たちに迎えて貰ったけれどもまだ不安だったんでしょう、その心が料理に現れたのでは?」
瑞鶴「そして加賀さんの症状ですが、自分が誰なのか分かっていてしかしこの場所が分からない。これは鎮守府に来た頃の加賀さんじゃないでしょうか。来たばかりの磯風に投影してしまったのでしょう」
提督「……まぁわかったよ。磯風はこの件に関しては不問だ。まだ料理を続けたいなら遠慮なく厨房を使ってくれて構わないからな」
磯風「感謝する……、それではこれで……」
瑞鶴「磯風、まだ話は終わってないわよ。陽炎、加賀さん、入ってきて」
陽炎「りょうかーい!」
加賀「失礼します」
磯風「あ、陽炎……」
陽炎「磯風! 今日はあんたのための歓迎会、やるわよ! ……って言おうとしてたけど、逆に追い詰めちゃったかな。祝いすぎて……」
磯風「そんなことはない! 嬉しかったさ」
陽炎「うん、ありがとう。だけど今日のパーティーは中止にさせないわ。他の陽炎型を見つけるための親睦会ってことで!
だから、料理はみんなで作るわよ、磯風も、もちろんね」
磯風「……あぁ!」
陽炎「ってことではい、これ。昨日間宮さんに教えてもらったブラウニーよ。一個だけ、食べてね」
磯風「……美味しいな」
陽炎「ここに来て、不安がってる子に、安心できるようにって思い込めたからね」
磯風「あぁ、確かに安心したよ。陽炎……」
陽炎「お姉ちゃんだからね。妹の不安は取り除いて当然よ」
瑞鶴「陽炎、加賀さんにも、お願いね」
加賀「私も、食べていいの?」
陽炎「不安になっている子に、安心できるようにって言ったでしょ。加賀さんも例外じゃないわ」
加賀「そう、なら……いただくわね」
金剛「という話を提督から聞いたデース!」
榛名「そんなことがあったんですね」
金剛「だからなにが言いたいのかというと、比叡は何か心の闇を抱えている気がするのデース……」
比叡「ただの料理下手なんですー!すいません!!」
霧島「それで瑞鶴と加賀はああなった、ということですか?」
加賀「発艦が遅い、敵の匂いを嗅ぎ付けたらすぐに狙いを定めるの」
瑞鶴「だから敵の匂いって何よ!! そんなのわかりっこないわよ」
加賀「はぁ、これだから五航戦は……」
瑞鶴「一航戦様には敵いませーん。失礼しましたー」
加賀「逃げるな」ビシィ
瑞鶴「いったっ!! あんた弓でそんなことして、壊れたって知らないわよ!」
加賀「瑞鶴のお金から下ろすとしましょう」
比叡「うーん、以前とあんまり変わらない……?」
榛名「でも一緒にいるところは増えましたよね」
霧島「ちゃんとした指導ですし、二人ともが歩み寄った印象がありますね」
金剛「ふっふっふっ、それだけじゃないデース。おーい二人ともー!! さっき提督が第一艦隊に用事があるって言ってた気がシマース!!」
加賀・瑞鶴「!」
比叡「あれ? 二人一緒に行きましたね」
霧島「まさか……」
榛名「赤城さんとのコンビを止めたのですか?」
金剛「正確には瑞鶴が無理矢理入ったって聞いてマース」
金剛「なにがあったのか知らないけどネー」
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加賀「戦場では足を引っ張らないでね」
瑞鶴「もち!」
加賀「ちゃんと返事しなさい」
瑞鶴「はいはーい、分かりましたっ!」
瑞鶴(あの日見た加賀さんの手記、たった1ページしか見ていないけれど、加賀さんの心の声が載せられた文章に心を動かされた)
『私たちが戦うことで平和になれるのなら』
『傷つくのは私たちで、あの子たちでないだけで充分』
『私たちがあの子たちの笑顔を守るんだ』
『その笑顔の中に私がいなくてもいい』
瑞鶴(こういった言葉を書いている加賀さんの表情が知りたかった。どうして抱え込んでいたのか)
瑞鶴(みんなで、みんなの笑顔を守っているというのに)
瑞鶴(いつまでも、赤城さんや加賀さんに守られてたまるものか)
瑞鶴(だからいつか、強くなったいつか。加賀さんに言ってやる)
瑞鶴(私が加賀さんの笑顔を守ってやるって)
加賀「ところで、今回の作戦は私たちが少しの間別れて、右翼から攻撃を仕掛けるわけだけれど」
瑞鶴「それなりに期待しているから、なんですか?」
加賀「……人の言葉を勝手に使わない」
瑞鶴「お、折れる!! 折れるぅ!!」
艦
書きたい感じのものからそれたけどまあいいかな
ちなみに瑞鶴なんて持ってないんで言葉違ったらすまんどす
俺は金剛に甲茶を飲ませることはできなかった丙提督です
みなさんはどうでしたか
このSSまとめへのコメント
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