漣「あなたに贈る幸せの形」 (38)

漣「バレンタインデーがぁ、鎮守府にぃ…」

漣「…」←目薬をさす

漣「キターーーーーーーーコレーーーーーーー!!!!!」

ショタ提督(以下提督)「そのネタ懐かしいですね漣さん」

漣「ところで、ご主人様はどんなチョコレートが欲しいですか?」

提督「いただけるのですか?」

漣「そりゃあ、私のご主人様ですから」

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提督「それは嬉しいです」

漣「それで、どんなチョコレートがいいんですか?」

提督「そうですね…」

提督「漣さんからいただけるのであれば、どんなものでも嬉しいです」ニコッ

漣「なんでも、ですか?」

提督「はい、どんなものでも」

漣(そういうのが一番困るんですよ~!って文句言いたいけど)

提督「?」ニコニコ

漣(この笑顔には、不思議と逆らえない。本当に子どもなんですかね?)

。。。。。。。。

漣「う~ん、しっかしどうしたものやら…」

潮「漣ちゃん、さっきから何に悩んでるの?」

漣「バレンタインのチョコレート、どんなのをご主人様に贈ればいいやら…さっぱりで」

潮「もうすぐバレンタインだもんね~私も提督に贈るチョコ作ったよ」

漣「…参考までに、どんなチョコを作ったの?」

潮「チョコクッキーだよ、みてみてこのウサギのクッキー。上手に出来たんだ~」ニコニコ

漣「へえ、ウサギの形のチョコクッキーか~」

潮「チョコウサちゃんで~す」

漣「…」ジーッ

潮「?」ニコニコ

漣「ってい!」バッ

潮「あ、チョコウサちゃん」

漣「あざとい!!!」パクッ!!!

潮「ああああああチョコウサちゃんがあああああああああああああ!!?」

。。。。。。。。。

漣「この後滅茶苦茶怒られた」

漣(あ、そろそろ秘書艦の仕事に戻らないと、指令室に戻ろう)タッタッタ

漣(う~ん、しかし本当にどうしようかな、チョコ…)

漣(潮ちゃんみたいに、チョコを何かの形にするってのはいいかも)

漣(問題はどんな形にするか…)

漣「う~ん…」タッタッタ

ドンッ

赤城「あら」

漣「はうっ!」

赤城「漣さん?ごめんなさい、怪我はないかしら?」

漣「うっっくぅ~…あ、怪我は大丈夫です。私のほうこそすみません、考え事しながら歩いてたもので…」

赤城「何か悩み事かしら?」

漣「まあ、ちょっと色々と…」

赤城「ふんふんなるほど…」

漣「赤城さん?」

赤城「漣さん、こんな時は…」

。。。。。。。。。。。

<甘味処間宮>

間宮「はい、特盛あんみつ2つ、おまたせしました」

赤城「食べて忘れましょう♪」

漣「…あ~いや、別に嫌なことではないので、むしろ忘れたら困る事なので…」

赤城「あら、そうなんですか、それは残念です」パクパク

漣(早速食べてる…)

赤城「それでは、その悩みを私に話してみるというのはどうですか?何か力になれるかもしれません」モグモグ

漣「聞いてもらってもいいんですか?」

赤城「一度乗りかかった船です、話を聞くくらいなら構いませんよ」オカワリクダサイ

漣「ありがとうございます!あの、実はですね…」

赤城「そう、提督に贈るチョコですか」

漣「はい、そうなんです」

漣『漣さんからいただけるのであれば、どんなものでも嬉しいです』←裏声

漣「なんて言われても、なんでもっていうのが一番難しいんだっつ~の!」

赤城「なんで裏声なのかは突っ込まないけど、提督がそういったの?」

漣「はい、一字一句間違いなくそう言いました」

赤城「そう、提督がそういったのね…」

漣「?」

赤城「提督がそういうんなら、なんでもいいのよ」

漣「赤城さんまで…だからそのなんでもっていうのが困るんですって~」

赤城「だから、漣さんからもらうんだったら、なんでもいいのよ。提督は」

漣「え…」

漣「…」

漣「すみませんよくわかんないです…教えてくれませんか?」

赤城「これ以上のヒントはあげられません」

漣「え~!も、もうワンヒントプリーズ!!」

赤城「う~ん、それならヒントじゃなくて、アドバイスを一つあげるわね」

赤城「漣さんが、贈りたいと思うチョコを贈ったらどうかしら」

漣「私が、贈りたいと思うチョコ?」

赤城「そう、なんでもいいんだもの。それなら漣さんが贈りたいと思うチョコを贈るというのもいいんじゃないかしら」

赤城「提督もきっと、喜んでくれるわ」ニコッ

漣「…なるほど、提督の欲しいものではなく、漣が贈りたいものを…」

漣「その考え方はありませんでした!ちょっと考えてみますね、ありがとうございます赤城さん!」

赤城「いえいえ、そんなことより漣さん」

漣「はい?」

赤城「バレンタインのチョコレート、作りすぎて余ったりしたら私にもらえますか?」

漣「」

漣「ま、まあ余ったら…」

赤城「約束ですよ!」

漣「わ、わかりました!」

漣(多めに作っておくか…)

。。。。。。。。。。。。

<厨房>

漣「漣が贈りたいと思うチョコか~」

漣(聞いたときはいい考えだと思ったけど、考えてみると結構難しい)

漣「う~ん、漣はどんなチョコを贈りたいのかな…」

漣「…」ウ~ン

漣「…」

漣「まあ、とりあえず湯煎でチョコ溶かしちゃおう」

漣「え~っとボウルボウルっと…確か上の棚に…」

漣(あ、結構高い場所にあるわね、踏み台使おう)

漣「んしょっと…ん、微妙に届かな…んー!」セノビ

グラッ

漣「んおぅ?お、おおう!?」

バタン!

漣「はにゃ~っ!」

ドンガラガラドンガラガッシャーン!!!!!

漣「…いたたた、うっっくぅ~、なんもいえねえぇ~…」

漣「ああ、棚に入ってたのが全部落ちてきちゃった…」ハァ

漣「片づけないと…って、あれ?何かしらこれ」ヒョイ

漣「…」

漣「っ!!!?」///

漣「な、なんでこんなものがあるの!!?」

漣「だ、だれのかしら…」

漣「み、見なかったことに…」

赤城『そう、なんでもいいんだもの。それなら漣さんが贈りたいと思うチョコを贈るというのもいいんじゃないかしら』

赤城『きっと、喜んでくれるわ』ニコッ

漣「あ…」

漣「…」ジッー

漣「これ、使っていいのかな…」

。。。。。。。。。。。。。

<バレンタインデー当日>

金剛「バーニング!ラアアアアアアアアアアアアアアアアアブ!!な、Chocolateをプレゼントデース!」

提督「ありがとうございます、チョコレートは大好きなので、嬉しいです」

由良「提督さん、チョコレートそんなに好き…なの? じゃあ、由良もチョコをあげる…ね?」

蒼龍「はい、提督。私からもチョコあげる♪ あんまりいっぱいもらって食べ過ぎないでね?」

飛龍「んっふ~♪ 提督、チョコあげる、チョコ 一応手作りだよ? 大事に食べてね♪」

吹雪「あの、司令官、これ!受け取ってください!ち、違います! チョコレートです!」

望月「あ~めんどくせぇ~けど。一応あるよ~チョコ、食べる?」

ワイワイガヤガヤ

赤城「あらあら賑やかですね~」モグモグ

加賀「バレンタインはあまり馴染みがないので慣れませんね…」モグモグ

瑞鶴「…いや、なんで赤城さんと加賀さんがチョコレート食べてるんですか」

赤城「提督にチョコ贈る娘から、余ったチョコをもらったんです」モグモグ

加賀「流石に気分が高揚します」モグモグ

瑞鶴「ああ、そうですか…」

提督「ああ、赤城さん、加賀さん、瑞鶴さん。おはようございます」

赤城/加賀「おはようございます」

瑞鶴「おはよう提督さん、あ、一応私からもチョコレートあげるわね」

提督「わざわざありがとうございます瑞鶴さん」

赤城「そういえば提督、漣さんにはお会いしましたか?」

提督「漣さんですか?いえ、今朝から一度も見ていません」

赤城「あら、そうですか…一番にチョコを渡しそうですけどね」

提督「まあ、いただけるかどうかもわかりませんし…」

提督「少し、期待したんですけどね…」ボソッ

提督「…」

赤城「提督…」

赤城(漣さん、どうしたのかしら…)

赤城「ん?あそこに…」

漣「…」

赤城(漣さん、物陰に隠れていますね)

漣(うぅ~結構ご主人様の周りに人が集まってるわね…)

漣(こんな大勢のなか、このチョコを渡す勇気は持っていないわ…)

漣(いつ渡そう…)

漣「はぁ…」

赤城「漣さん」

漣「ひゃあ!」ビクッ

赤城「物陰に隠れてどうしたんですか?渡さないんですか、チョコ」

漣「あ、赤城さんですか…びっくりした~」

漣「チョコは、その渡さないんじゃなくて、その、渡せないっていうか…」

赤城「…今日の夕方、空母演習場にきてください、その時間は誰も入れないようにします」

赤城「提督には、私から言っておきます」

漣「え…」

赤城「二人きりなら、渡せますよね?」

漣「あ、赤城さん…」

赤城「頑張ってね、あなたなら大丈夫よ」

漣「あ、ありがとうございます!」

赤城「余ったチョコの事も期待しているわ!」グッ

漣「…後で持っていきますね」

。。。。。。。。

<空母演習場>

漣「…」ヒョイ

漣(ほ、本当に誰もいないわね…赤城さん、ありがとうございます)

提督「漣さん?」

漣「ひゃあ!」ビクッ

提督「あ、すみませんいきなり声をかけたりして、驚かせてしまいました」

漣「い、いえ…大丈夫です」

提督「漣さんも、赤城さんに言われてここへ?」

漣「あ、えっと…」

漣「…」

提督「漣さん?」

漣「ご主人様!」

提督「は、はいなんでしょう」ビクッ

漣「こ、これ!バ、バババレンタインの、チョチョチョコです!」///

提督「あ、ありがとうございま…」

提督「…え?」ドキッ

提督「こ、これ…」

漣「…」///

提督「ハート型の、チョコ…」

提督「これ、本当に僕に…?」

漣「そ、その…」

漣「…!」グッ

漣「ご、ご主人様は、なんでもいいと言いました!」

漣「だから!…だから、漣が贈りたいチョコを、ご主人様に伝えたい想いを、形にしたんです」

漣「漣の、ご主人様への、想いの形…」

漣「どうしてもご主人様に贈りたかった、伝えたかったんです」

提督「漣さん…」

漣「ご主人様…」






漣「漣の想い、受け取っていただけませんか?」





提督「…」

漣「…」

提督「…」ツー

漣「!?え、ご主人様、泣いて…」

提督「本当に…」

提督「本当に、いただいても、いいのですか?」グスッ

漣「え?」

提督「僕は、漣さんからいただけるのであれば、どんなものでも嬉しいんです」

提督「例え駄菓子のチョコでも、余り物のチョコでも、どんなものでも…」

提督「あなたからもらえる、その事実だけで、僕は嬉しい」

提督「それだけで、幸せになれるんです」

提督「それなのに、こんな、こんな素敵な想いが詰まったチョコをいただけるなんて、思ってもみなかった」

提督「僕の心が幸せで満たされて、溢れてくる。溢れた幸せが、涙になって流れていく」

提督「…本当にいただいてもいいのですか?」

提督「こんなに幸せになっても、いいんですか?」

漣「…ご主人様」

漣「いいんです、幸せになっても、いいんです!」

漣「だって、だって…」ツー

漣「漣も、とても、とても!幸せなんですから!」グスッ

提督「漣さん…」

提督「漣さんは、僕への想いを形にして、僕に伝えてくれました」

提督「ならば今度は僕が、漣さんへの想いを、言葉にして、あなたに伝えます」

提督「…漣さん」

漣「…はい」

提督「僕は、あなたを愛しています」

提督「好きです…大好きです」

漣「はい、はい…!」

漣「漣も、ご主人様のこと、愛しています、愛しています!」






漣「大好きです!!」





。。。。。。。。。

瑞鶴「っていうか、一航戦が余り物のチョコにがっつくってどうなんですか?」

加賀「補給は大事」

瑞鶴「いやそういう問題じゃあ…」

加賀「どうせ余らせてしまうのなら、誰かに食べてもらったほうが、このチョコ達も幸せというものよ」

瑞鶴「…そうですか、ならこの余り物のチョコも食べちゃってください」スッ

加賀「あら、余り物にしては、ずいぶん気合が入ってるラッピングじゃない」

瑞鶴「提督と翔鶴姉にあげる分を作った後、チョコが余ったんでついでに用意したんです」

瑞鶴「あくまでついでです!つ、い、で!」

加賀「…そう、あなたがどうしてもというのなら、貰ってあげるわ」

瑞鶴「な、なんですかその態度は…」ムッ

加賀「まあ、少しだけ、気分が高揚するわ」ニコッ

瑞鶴「っ!」ドキッ

瑞鶴「も、もういいです!」

加賀「瑞鶴、このチョコ、食べるかしら?」

瑞鶴「それ皆の余り物のチョコですよね!?いりませんよ!」

加賀「…このラッピングが、余りものに見えるのかしらあなたは」

瑞鶴「え?あ、あれ…ちゃんとしてる…」

加賀「私も、赤城さんと提督の分のチョコのついでです」

瑞鶴「こ、これ加賀さんが…?え、えええええええ!?」

加賀「これを余り物と見間違えるなんて…はぁ、これだから五航戦は」

瑞鶴「だ、だって~!」

加賀「で、いらないのかしら?」

瑞鶴「く…あ、ありがたくいただきます」

加賀「そうね、その返事は良い返事ね」ニコッ

終わり。

じゃあの

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