少年「一緒に遊ぼう!」少女「……」(490)

少年「お前此処の家の子?」

少女「……」

少年「俺、初めて此処に来たんだけど、すげーな!」

少女「……」

少年「山の奥にこんな所があるなんて知らなかった!!すっげーでかい建物だし、まるで城みたいだな!!」

少女「……」

少年「なぁ、柵の中にいないで、こっちに来れないのか?」

少女「……」

少年「一緒に遊ぼう!」

少年「…もしかして、こっちに来れないのか?」

少女「……」

少年「この柵大きいもんな…じゃあ、俺がそっちに行くな!一緒に遊ぼう!」ガチャガチャ

少女「!?…い、で」

少年「え?大丈夫だよ、こんな柵なんかすぐに乗り越えられるから」

少女「来ないで!!」タタタッ

少年「え!?あ、待って!!」

少年「行っちゃった…」

少年(ほんと、でっかい所だな。森に隠れてわからなかったし、村の奴ら此処の事知らないんじゃないか?山には入るなって言われているし)

少年(知ってるの、俺だけだったりして)

少年「……また、来よう」

少年(あれから毎日来ているけど、あいつと一度も会えてない。………あ、)

少女「……」テクテク

少年「なぁ!なぁ、そこのお前!!」

少女「!?」

少年「また会えたな!俺、少年っていうんだ!お前は、なんていうんだ?なんて呼べばいい?」

少女「……」

少年「俺は、少年って呼んでくれ!!」

少女「……」

少年「…もしかして、喋れないのか??」

少女「……」

少年「なわけないか。この前喋ってたもんな。…やっぱり、俺がそっちに行くよ!!」ガチャガチャ

少女「!?」タタタッ

少年「あ、待って!!待ってくれよ!!」

少年(……行っちゃった。)

少年(また、来よう……)

少年(あれから、しばらく経つ。毎日来ているけどまだ会えない。もう、来ないのかな…)

少女「……」テクテク

少年「!!なぁ、お前」

少女「!?」

少年「この前はごめん。いきなり、びっくりしたよな。」

少女「……」

少年「俺は、少年。お前は?なんて呼べばいい?」

少女「……」

少年「そっちに行かないから、もう少しこっちに来れないか?」

少女「……」テクテク

少年「ありがとう」

少年「俺、この山の下にある村から来てるんだ。山には入るなって言われてるんだけど、山菜や果物がよく取れるからよくここに来るんだ」

少女「……」

少年「…一緒に、遊ぼう。」

少女「……」

少年「こうやって話すだけでいいから、一緒に遊ぼう?俺、毎日此処に来るから。」

少女「……」

少年「もう遅いから、帰るな。また明日来るから……またな」

少女「……」

少年(やっぱり、だめなのかな。……)

少女「……少女」

少年「え?」

少女「私の名前」

少年「!!!ありがとう少女!!また、また明日な!!」ニコニコ

少女「……うん」

少年「絶対だからな!!また、明日な」ニコニコ

少女「うん」

少年「じゃあな!!」タタタッ

少女「うん」

少年(やった!やった!!)

少年(初めて、初めて喋った!嬉しい!!明日、また)

ガキ1「あ、イミゴが来た!!」

ガキ2「うっわ~最悪~。道歩いてんなよ~イミゴのくせに~」

ガキ3「嫌なものみた。あっち行け!!」ブンッ

ガキ1「村から出ていけ!!」ブンッ

ガキ2「お前なんか死んじまえ!!」

少年「痛いっ!石投げないでよっ痛いっ止めて」

ガキ2「イミゴが血流してやがる!きったねぇの」

ガキ1「あっち行け!!」

ガキ3「お前なんかこの村にいらねぇんだよ!!」

少年「」タタタッ

少年(何も、してないのに!!おれは、何もしてないのに、何で、こんな…)グスッ

少年「血が……」

初々しくて良い!

っ④

少年「昨日、帰るときに思いっきりこけちゃって、頭ぶつけてさぁ」

少女「うん」

少年「血がいっぱい出たんだけど、俺強いからな!泣かなかったんだぜ!」

少女「うん」

少年「俺は強いからな!痛くなかった!」

少女「…」スッ

少年「」ビクッ

ナデナデ

少女「飛んでけ~」

少年「え?」

少女「痛いの、痛いの、飛んでけ~」ナデナデ

少年「」

少女「うん。これで大丈夫。もう痛くないよ~」ナデナデ

少年「…おれは、いたくないっていった」

少女「うん。もう大丈夫だよ。大丈夫」ナデナデ

少年「」

少女「前、こうゆう風にしてもらってうれしかったから……」

少女「いや、だった?」

少年「…おれも、まえかあさんにしてもらったこと、ある」

少女「そうなんだ。一緒だね」ニコッ

少年「」ポロポロ

少女「え、え?」

少年「ぅヴェ~~~ん」ボロボロ

少女「あ、え……」オロオロオロ


ナデナデ

少女「だ、大丈夫。痛くないよ~私と半分こしたから、もう大丈夫だよ~」ナデナデ

少年「ぅヴヴぇ~~~~~~~~~~!!!!!」ボロボロボロ

少女「……???」ナデナデ


少年(最初はかっこ悪いとこ見せたけど、あれから一か月。毎日の様に一緒に遊んですごく仲良くなれた!と思う!!)

ガチャガチャ

少年(柵越しではあるけど…。でも、今日からもっと仲良くなれる)

少女「今日は何して遊ぶの?おままごと?お人形遊び?」

少年「ふっふっふ!」

>>15
すまんss書くの初めてなんだ。
もう少し良いのかけたらいいんだが、これが精いっぱいだ。


少女「勇者ごっこがいいの?」

少年「今日は、探検ごっこだ!!」

少女「探検ごっこ?」

少年「こっちきて!」タタタッ

少女「あ、待って!」タタタッ


少年「ここ、地面が掘られてて、柵の下があいてるんだ」

少女「こんな所、あったんだ。知らなかった」

少年(俺が毎日ほってたからな!)

少年「ここから、外に出て探検ごっこしよう!!洞窟があって、凄く綺麗なんだ!!一緒に行こう」

少女「……」

少年「…駄目か?」


少女「…駄目」

少年「そ、そっか」ガックリ

少年(一緒に外で遊びたかったけど、無理か…)

少女「今日は駄目なの。この後、家庭教師が来るから」

少女「明日なら、何もない日だから遊べる。明日、遊びましょう」


少年「本当!?やった!!やった!!」パァ~

少女「うん」ニコッ

少年「それじゃあ、明日お日様が上に来たころに此処に来るから!!」

少女「うん。それから探検ごっこね」

少年「絶対だからな!!」


少女「うん」クスクス

少年「それじゃ、明日の準備するから今日はもう帰る!家庭教師?ってやつ頑張ってな!!」

少年「また明日!!」タタタッ

少女「行っちゃった。まだ時間あったのに。…私も明日の準備しよう」クスクス


少年(やったやった!!明日が凄く楽しみだ~!!!)タタタッ

村の大人1「ん?」

少年「あ、」ビクッ

村の大人2「おい、くそガキが山で何やってやがった!!」ガッ

少年「カハッ」ザザッ


村の大人1「お前、山には入るなって言っていただろうが!!」ガキャ

村の大人2「何をしていたんだ!!」ガン

少年「あ、あの、さん、山菜、とく、くだ果物を取り、にいって…ァギャッ」

村の大人1「んなの関係ねえんだよ!!村の、やつらが、せっかくお前を、生かしてやってる、ってぇのにっ」ガンッガキャゲシッガンッ

少年「ギッギャッグァッやめ、や、めて、くだ、ギィッ」

村の大人2「ははっお前振られたからってやつ当たんなよwww」ゲシッ

村の大人1「うるっせぇなぁ!こいつが生きてるから悪いんだよ。こんなやつ、何で生かしてんのか気がしれねぇ!こいつの母親を殺す時に一緒にやっちまえばよかったんだ」ゲシゲシ

村の大人2「ちょ、おまwwガキの前で言っちゃダメだろwwwいくらこいつの母親が犯罪者だからってwwww」ガンッガンッ

少年「え、ァギャッギヒィィ」

村の大人1「犯罪者の子供なんざ生きてる価値ねぇえし、死んでくれたら万々歳じゃねぇか。くそ、手と靴が汚れちまった」


村の大人2「それもそうかww俺も、汚れちまったし、このまま飲み行こうぜwww失恋記念に奢ってやるよwwww」スタスタ

村の大人1「お前しつこいって!!」スタスタ

ハハハハハハ



少年(痛い、痛い、久しぶりに思いっきりやられた……家、帰らない、と)ズルズル

少年(痛い、、、明日、いけるかな)




少年(起きたら夕方って…)

少年「骨、は折れてない。打撲だけか。丈夫だなぁ、さすが俺!!」

少年「……一応、行こう」ズルズル


少年「やっぱりいない、よな。すっかり夜だし」

少年「……帰ろう」


少女「遅い」

少年「!?」ビクッ

少女「なにやってたの?ずっとまって、凄い怪我!!」

少年「あ、」ジワー


少女「手を貸して!」ガシッ

ポワー

少年「ぅおっ…魔法?」

少年(初めて見た…やっぱり、)

少女「昨日習ったの…治癒の初期魔法だけど、どう?」

少年「すっごく楽になった!ありがとう少女!!」ピョンピョン


少女「よかった」ホゥッ

少年「昨日帰るとき崖から落ちちゃって…、ごめんな、探検ごっこできなくて…遅れちゃって」

少女「……行けるわ。今から行きましょう」

少年「え?」

少女「夜の探検ってわくわくする」

少年「…うんっ!行こう!!」


少女「強いんでしょう?ちゃんと守ってね」

少年「おうっまかせとけ!!」

少女「ふふっ」




ほーぅほーぅ 
あおーーーんっ
バサバサッ

少年「洞窟に到着!!」

少女「お~」パチパチパチパチ

少年「ここからは月明かりもなくなって本当に暗くなるから、手を繋いで慎重に」

少女「明かり魔法」ポワワ

少年「」


少女「ほら、行こう?」ギュウ

少年「うん!えへへ~」ギュウ

少女「ふふふ」


少年「分かれ道…」

少女「どっちに行こう?」

少年「ん~~…」

ピチャン  ピチャン

少年「水の音がする…こっち!」グイグイ

少女「わわわ、待ってっ」



少女「すごい」

少年「うん…すごく、きれい」

少女「泉があるなんて…天井の割れ目から月明かりが漏れて、反射して、キラキラして、凄く幻想的」

フッ

少年「明かり魔法が…」

ギュウ


少女「少し、このままで。…ね?」

少年「……うん」

少女「ありがとう、連れてきてくれて」

少年(ここに来たのは偶然だけどな)

少女「こんな綺麗な所があるなんて知らなかった」


少女「神殿から出たことなかったから、凄く嬉しかった」

少女「誰ともこうやって話すことなかったから、あなたにあえて、本当に嬉しかった」

少女「だから、ありがとう少年」

ギュウッ

少年「ううん。喜んでもらえたのなら、良かった」



少年(…やっぱり、少女とは住む世界が違うんだな…)

少年「帰ろう」

少女「…うん」



少年「遅くなっちゃったけど大丈夫か?」

少女「一応、ばれない様にしてるから、大丈夫。少年は?」

少年「…俺は大丈夫。俺は自由だからな!」

少年「だから、将来は旅人になりたいんだ!自由だからな」

少女「ふふっなに、それ?」


少年「大人になったら何になりたいかってやつ。俺は旅人になりたいんだ。いろんな所に行きたい!」

少女「何になりたいか、か…」

少年「少女は?何かないのか?」

少女「私は、……わたしは」


少女「また、こうやって冒険したいな。いろんな所にいって、綺麗な所を自分の目で見て歩くの。うん…私も旅人になりたい」

少年「そうか、一緒だな!」

少女「うん。ふふっ」

ゴゴ、

少年・少女「え、」


ゴゴゴゴゴガガガガガガガガガガッ

少女「きゃあああああっ」

少年「地震!?大きい!!少女伏せて!!」

ガラガラ

少女「あ、」


ゴゴゴゴゴガガガガガガガガガガッ

少女「きゃあああああっ」

少年「地震!?大きい!!少女伏せて!!」

ガラガラ

少女「あ、」


少年「岩がっ少女!!」ドンッ

少女「きゃああっ」ドシャ

ガラガラガラガラ




少女「いたた、……少年?少年、何処?」

少女「明かり魔法」ポワワ

少女「洞窟が崩れちゃってる…少年は、!?左手が、岩の間から」

少女「少年!!」


ギュウ

少女「大丈夫?治癒魔法!!…駄目、この岩たちをどかさないと、少年!少年!!死なないで!!」



少年(…手が、暖かい)

少年(俺、どうしたんだっけ。地震がきて、岩が落ちてきて、少女が下敷きになりそうだったから…。少女は無事かな?無事だといいな)

少年(死ぬんだろうな、俺)

少年(父親はいない、母親は不敬罪で死刑。それから村で苛められ続けて…良い人生じゃなかったな。……でも、)



少年(…手が、暖かい)

少年(俺、どうしたんだっけ。地震がきて、岩が落ちてきて、少女が下敷きになりそうだったから…。少女は無事かな?無事だといいな)

少年(死ぬんだろうな、俺)

少年(父親はいない、母親は不敬罪で死刑。それから村で苛められ続けて…良い人生じゃなかったな。……でも、)

連投ばっかりすまん


少年(最後に、少女に会えてよかった。俺の、唯一の友達)

少年(息が、苦しくなってきた……)

少年(ありがとう、少女。俺も少女にあえて、嬉しかった)



少女「どうしよう少年が少年がっ」

ギュゥッ

少女「死なないで!一緒に旅したいのにっまた、色んなところにつれてってよぉぉぉ!!!!!!!」

パァァァァァァァァ

少女「!!」

少女「何、これ、光が!?きゃあ!!」




旅人「ってゆうことがあったな…」

??「そうねぇ懐かしいわ」

??「あれから、神殿の新兵たちが来て私は連れ帰られたわ。それからずぅっと神殿に監禁。最悪な10年だったわよ」

旅人「…いや、でも俺も大変だったよ??むしろ俺のほうがきつかった!!」

??「え?」

旅人「」ビクッ

旅人「だ、だって、俺だけあのまま放置だし。岩から抜け出せたけど出入り口は塞がってて行けないから奥に進んで、なんとか脱出したのはいいけど村には帰れないから彷徨い歩いて」

??「私が魔法かけてあげたから抜け出せたのよ」


旅人「ありがとうございます…でも、そのあと魔物に襲われて死ぬところをキャラバンの人たちに助けられたけど、奴隷同前、奴隷そのものとして扱われて扱かれまくるし」

旅人「何とか抜け出して旅芸人一座に潜り込めたのはいいけど、馴染んできたところでいきなり左手が発光しはじめるし…危うく見世物小屋に入れられるところを抜け出したんだよ!?」

??「それで?」

旅人「とりあえず手袋して光は隠したけど、何で光りはじめたのか考えたら、昔の、少女とのこと思い出して村に戻ったんだけど…」


??「今も光っているの?」

旅人「今は光っていないよ。神殿に入った途端光らなくなったんだ。理由はわからないけど…。何か知ってるのか?」

??「そう…」

??「私が知るわけないでしょう?」

旅人「だよな…。まぁ、今は光ってないからいいか」

??「そう。また光ったら教えてね」

旅人「ああ」


??「貴方が神殿に来てからは私もわかるわ。監禁生活を送っていた私を不憫に思い連れ出してくれたのよね?ちょっと、まだ見ないで」

旅人「見てないって」

旅人(違う、まったく違う。少女が暮らしていた場所は神殿で、少女は光の巫女様で、お目通りできるのが月に一回のお祈りの時間とゆうことらしく、仕方がないからそれにいって、行ったはいいけどやっぱり世界が違うんだなぁって再確認したくらいでこりゃ話しかけるのも無理かなぁって思ってたら、光の巫女様、こっち見てニタァッって笑うんだもん。怖かった…)


旅人(で、巫女様が『一人一人の声を聴きましょう。皆様の声を聴いておきたいのです。少し、離れますが、そのままお待ちください』つって戻ってきたら一人一人に話しかけていき、俺の番になると)


以下、回想



光の巫女「きゃああああっ」

ガタガタックルッピタッキラッ

旅人「え?」

旅人(何で巫女様俺の腕の中に居るの?そしてなぜ俺にナイフを持たせてそのナイフを俺の腕ごと巫女様の首に近づけているの??)

参拝者1「巫女様!!」


参拝者4「巫女様が!!」

神官1「おのれ貴様!!巫女様の慈悲深い心をふみつけて反逆しようとゆうのか!!」

旅人「え?え?え!?」

参拝者19「巫女様!!そこのお方!!どうか、どうかお止め下さい!!」

神官5「代わりに私を、巫女様をどうぞお離し下さい!!!」


旅人「え?え?いや、俺はちg」「沈黙魔法」ボソッ

旅人(声が出ない!?まさか)

光の巫女「黙って」ボソッ

旅人(やっぱりか!!!)


光の巫女「皆様、どうぞ落ち着いてください。話し合えば、どなたとでも分かり合えるはずです。もちろんこの方とも…」

その他大勢「巫女様!!!」

光の巫女「この方は、私と二人きりで話したいとのこと。どうぞ皆様落ち着いてください。私は大丈夫です」

光の巫女「このまま、裏門までいって。そのあと、あの洞窟まで全力疾走よ。いいわね?」ボソボソ


旅人(返事返せないんだけど…全力で拒否したいけど、今この場で捕まるのは避けたいかな…)コクン

光の巫女「ありがとう」ボソ

旅人(……覚えててくれたんだ)

光の巫女「皆、退いてください。この方と二人きりで話したいだけです。退いてください」


光の巫女「そこの兵士、後ろの兵士も。血を見たくはないのです。退いてください」

神兵等「くそっ」サッ

旅人(みんな大人しく退いてゆく…すごいな。あっと言う間に裏門か)

光の巫女「…走るわよ」ボソ


タタタタタタタッ

神兵長「!?追え!追うのだ!!早くしろ!!」

神兵等「ハッ!」




光の巫女「ふふっあははははっああ、久しぶりに走ったわ…」ハァハァ

旅人「」ハァハァ

光の巫女「ごめんなさい。喋れなかったわね…解除魔法」

旅人「おお、喋れる。やっぱり凄いな、魔法って」


光の巫女「ふふっでしょう?」

旅人「ああ。……久しぶりだな、少女」

光の巫女「昔話はあと。奥に行くわよ。その前に、重力魔法」

ゴゴゴガラガラ


旅人「ぅお!?岩が積まれて道が塞がれた…」

光の巫女「これでしばらくは時間が稼げるわね。明かり魔法…さ、行きましょう」

旅人「あ、ああ。」

旅人(なんか、性格変わってる、か?ちょっと怖いかも…)


光の巫女「?なにやってるの?…あぁ、ね。」ギュウ

旅人「!?あ、あぁ」ギュウ

光の巫女「危ないから手、繋がなきゃだったかしら」

旅人「ははっ」




光の巫女「着いたわ」

旅人「泉…本当になつかしいな」

光の巫女「えぇ。月明かりもよかったけど、昼は昼で太陽の光が差し込んで、とても綺麗ね…」ヌギ

旅人(此処で、俺たちは…って、え!?)


光の巫女「」ヌギヌギ

旅人「ちょっえ?え!?本気で何してるの!!?」オロオロアタフタ

光の巫女「何って着替えよ。このまま外行ったんじゃ目立って仕方ないわ」

旅人「はぁ!?なんで??」


光の巫女「みないで」

旅人「ご、ごめん!!」クルッ

光の巫女「まったく…。昔言ったじゃない。一緒に旅をしようって」

旅人「一緒に、だっけ?違うような気がする…」


光の巫女「言ったわよ。覚えてないなんて酷いわ」

旅人「…」

光の巫女「これは決定事項よ。もし置いてゆくとゆうのなら…」

光の巫女「貴方にピーされてピーピーピーして、ピーされたって言いふらしてやる」

旅人「」


回想終了


旅人「で、今に至る…と」

旅人(かなり性格変わったよな…監禁生活送ってたんだよな?なんでピーやらピーピーピーやらしってんだよ…。取りあえず、何とか説得して留まってもらおう…)

??「よし、もういいわよ」


旅人「」クルッ

旅人「は?」

奴隷「どうかしら?似合う?」

旅人「」


奴隷「ポイントは服と首輪よ。最高級の麻をダメージ加工してボロく見せてるの。分厚い生地だけど通気性はいいの。ミニワンピースのデザインは今はやりの型で、どうかしら、合ってる?首輪は一見シンプルに見えて細かな文様を施し、魔法石内臓の一級品の呪いのアイテムよ」

旅人「え、なにその恰好。そして呪いのアイテム?」

奴隷「そう。魔法石で物理防御、魔法防御は完ぺき。この文様で使用者の魔力を一定量吸い取り、強制的に防御にまわしてしまう優れものなのよ」

旅人「魔力吸い取るって危ないんじゃないか?」

奴隷「大丈夫よ。一定量の魔力を吸い取ればそれ以上は取られないから」


旅人「…その恰好は?」

奴隷「奴隷らしいでしょ?シンプルにまとめてるの」

旅人「いやいやいや、駄目だってそれ!パンツ見えてるよ!?奴隷って何?旅人じゃだめなのか?それで一緒に歩くっておれ奴隷を虐げる悪い人間じゃね?」

奴隷「見せパンだから大丈夫よ。この格好だって、私の高貴なオーラを隠すにはこの位がちょうどいいのよ」


旅人「よくないって!!オーラ隠れてないし逆に虐げられてる感じが前面に出て悲壮に見えるから本当にやめてくれ!!」

奴隷「この格好は譲れないわ」

旅人「駄目!!一緒に歩くのが貧相な恰好の奴隷は絶対にいやだ!!」

奴隷「あら、それじゃあどんな格好ならいいのかしら」


旅人「旅人らしくシンプルで利便性のある恰好だったらまぁ…」

奴隷「わかったわ」

旅人「え?」

奴隷「シンプルで利便性のある恰好ね。ちょっと待って」ゴソゴソハキハキ



奴隷「どう?」

旅人「へぇ。ズボンとマント加えただけで凄く普通になるね」

奴隷「でしょう?それじゃあ行きましょう」

旅人「いやいやいや一緒に行くなんて一言も言ってない!!」

奴隷「シンプルで利便性ある恰好をした奴隷なら一緒に歩いてくれるんでしょう?」


旅人「それは言葉のあやで」

奴隷「そろそろ追手が来るころね…着ていた服は重石をつけて泉に捨てましょう」

ボチャン

奴隷「これでいいわね。さぁ、行きましょう。冒険の始まりよ!」スタスタスタ


旅人「だから行かないって!!待って待って」タタタッ

奴隷「明かり魔法」ポワワ

旅人「いきなりいなくなったら皆心配するんじゃないかなぁて思うんだけど」


ギュウッ

奴隷「強いんでしょう?ちゃんと守ってね」

旅人(!!)

奴隷「少年?」

旅人「……おう、まかせとけ!!」ギュウッ

奴隷「ふふっ」



旅人「あ、俺少年の名前捨てていまは旅人って名乗ってるんだ。今度から旅人って呼んでくれ」

奴隷「あら、そうなの。…私も名前変えないとね。なにがいいかしら?」

旅人「…美少女とかどう?」

奴隷「嫌よ。性格が悪そうだわ」

旅人「十分あくどいって」


奴隷「え?」ギロッ

旅人「…じゃあ美女は?」

奴隷「腹黒そう」

旅人「女」

奴隷「どこにでもいそうな名前ね」


旅人「…男」

奴隷「女性につける名前じゃないわね」

旅人「……妹」

奴隷「もう少しいい名前ないの?」


旅人「………どんな名前がいいんだよ」

奴隷「そうね…奴隷、なんてどうかしら」

旅人「それはちょっとどうかと思う」


奴隷「いいわね、奴隷。なんだか虐げられていそうな名前だわ。決まりね。今日から私は奴隷よ」

旅人「えぇ~…」

奴隷「何か問題でもあるの?」

旅人「ないです…」


奴隷「でしょう?あぁ、光だわ。洞窟を抜けたみたいね」

旅人「うん」(本当に、これでいいのかなぁ。今からでも帰すべきなんじゃ)

奴隷「外には、きっと色んなことがあるんでしょうね。ふふっわくわくするわ」

奴隷「ね、旅人」


旅人「……あぁ。そうだな。きっと、色んなことがある。良いことも悪いことも」

奴隷「えぇ。でも、不安はないわ…さぁ、行きましょう」

旅人「あぁ。行こう」



プロローグ 完

次回 奴隷「この足枷可愛いわね」旅人「」

このまま書いていいかな?
誰も見ていないか。

夢に見たものをかいていった初ssでした。
つたないぶんしょう+無理やり感がぬぐえないもので見るに堪えないかと思う。
また今度、続きを書いていきます。

読むから続けて下さい

旅人の両親の謎とか
旅人の光の巫女に会うまでの過去とか
(ここまで悲惨な目にあってもなぜ歪まなかったのかとか)
色々話膨らませれるんじゃね?

読んでますよ

〉〉99〉〉100>>101>>103
ありがとう。別スレ建てようかと思ったがここに書いていく。

>>102
それはこれからの展開でな。そこまで書ければいいが…

奴隷「この足枷可愛いわね」旅人「」

奴隷「この手錠も捨てがたいわ…」

旅人「あの~…」

奴隷「どうしましょう…首輪はもうあるから、あとは手錠と足枷なのよね…」

奴隷「でも所持金では一つしか買えないし…」

旅人「あの、奴隷」

奴隷「なに?」


旅人「そんな拘束具なんていらないんじゃないか?ほら、本物の奴隷ってわけでもないんだし」

奴隷「何事も形から入らないとだめよ。それに防具にもなるんだからいいじゃない」

旅人「防具ならもっと、アンクレットとかブレスレットとかさ」

奴隷「私は奴隷なの。そんなアクセサリーなんて着けてたら変じゃない」


旅人「えぇ~…」

奴隷「大体、貴方がお人よしすぎるからこんなにお金がないのよ?」

奴隷「本当はもっと早く買えていたのに…」

旅人「だから買わなくていいって。それに、金欠なのは俺のせいじゃない」

奴隷「あら、幽霊屋敷の盗賊退治での報酬と宝を孤児の子供園にあげたのは貴方よ」

旅人「盗賊に親を殺された子供たちに奪われたものを返しただけだよ。それを言うなら森の大魔物退治で暴れる魔物を宥めて逃がしたのは君でしょう。首をもってかえらないといけなかったのに」


奴隷「あれは、魔物の子供を人間が殺したのが原因でしょう?魔物は悪くないの。町に圧政を強いていた領主を懲らしめた時の報酬を町に置いていったのは貴方だわ」

旅人「元々は町の人たちの税金なんだから町の為に使ってもらうのが一番なんだよ。砂漠の遺跡発掘で誰にも見つからない様に封印し直したのは君だよ。金銀財宝も一つも取らなかったし」

奴隷「ゆっくり休んでいる彼らを起こすなんて、可哀そうじゃないの」


旅人「……お互い様だ」ははっ

奴隷「そうね、言い出したらキリがないわ」ふふっ

アクセサリーショップ商人「ぅおほん!!」

旅人・奴隷「!」ビクッ

アクセサリーショップ商人「ちょっと主人、その奴隷の拘束具探しているのかい?」ニヤニヤ


旅人「あぁ~…」(主人って俺だよなぁ。いつも言われてるけど慣れない)

アクセサリーショップ商人「上玉の奴隷だから着飾りたいのはわかるけどねぇ~」ニヤニヤ

奴隷「…」

アクセサリーショップ商人「こっちの足枷と手錠のセットなんてどうだい?これは連結できてね、装飾も綺麗だからその奴隷を使うときにいいと思うよ」ニヤニヤ

旅人「…奴隷、行こう」スタスタ

奴隷「…えぇ」スタスタ



奴隷「…あの、」

旅人「あそこの手錠と足枷高いからさ、もっと他の所で買おう。ほら、俺たち万年金欠だから少しでも節約しないと」

奴隷「…えぇ、そうね。誰かさんのせいで万年金欠だものね」

旅人「そうそうわがままな誰かさんのせいでね」

奴隷「あら、誰かしら?」ふふっ


旅人「さぁ?…さて、準備はすべて整ったからそろそろ行こうか」

奴隷「次は聖都ね」

旅人「そうそう。ただ、関所を越えられないから遠回りだけどね」

奴隷「不帰の森、だったかしら」

旅人「中に入ったが最後、誰も帰ってこれないって噂されてる森だな」


奴隷「中に入って行くのは関所を通れない人たちだから、帰ってこないのは当たり前だとは思うけれど」

旅人「まぁな。普通、関所を通れないなんて後ろ暗いこと誰にも言わないしな」

奴隷「だからといって、油断は禁物よ」

旅人「わかってるって。じゃあ、行こうか」

奴隷「えぇ」


旅人「森に入って六日目…」

奴隷「お風呂に入りたいわ…」

旅人「流石は不帰の森、ってとこか。広いし方向が分からなくなるし魔物たちは強い…」

奴隷「何度か迷ってしまったものね…」

旅人「もう暗くなってきたし、今日はもう休もうか」


奴隷「そうね…ご飯の準備するわ」

旅人「ありがとう。俺は食べれるもの探してくるから、結界魔法張って此処にいてくれな。すぐ戻ってくるから」タタタッ

奴隷「魔物の肉はやめてね…もういないわ……」




旅人「奴隷も料理上手くなったよな~。最初は焦げ料理か生焼け料理ばっかりだったけど…本当に上手くなってよかった」

旅人「魔物の肉は嫌がるから、キノコや木の実でいいよな…川があれば魚でも取るんだけどな」モギモギ

ガサガサッ

旅人「魔物か!?」カチャ

シーン…


旅人「??気のせいじゃないよな…確か此処から…」ガサガサ

仔狼「がるるっ」

旅人「子供の犬型魔物か…魔物に襲われたのか、怪我してるな」ヒョイ

仔狼「がうがうっ」バタバタ

旅人「痛いって。暴れるなよ!!」

仔狼「がうがうっ!!」バタバタガウガウ

旅人「痛い痛い痛い!!」



奴隷「…お帰りなさい」

旅人「ただいま…」ボロボロ

仔狼「がうっ」バタバタ

奴隷「どうしたの、その子。…魔物の肉?食べないわよ」

旅人「違うって。拾ったの。怪我してるみたいなんだけど、治せるか?」


仔狼「がうがうっ」バタバタ

奴隷「そうなの…治癒魔法」

仔狼「!?」

旅人「お、治ったな」ポイッ

奴隷「ちょっと、投げたら危ないでしょう!…大丈夫?」よしよし

仔狼「わんっ」パタパタ


旅人(俺の時と全然違う)

奴隷「この子、森の魔物じゃないわね…。人に懐いてるし、知性があるわ」

旅人「なんで此処にいるんだろうな…親は近くにいるのかな」

奴隷「小さい子が一匹でいるわけないものね。探さなきゃいけないわね」

旅人「そうだな、ご飯食べたら探しに行こうか」

奴隷「そうね…ところで、食材はどうしたのかしら?」


旅人「あ」

仔狼「わんっ」パタパタ



仔狼「わんわんっ」ピョンピョン

旅人「怪我治ったからってなんであんなに元気なんだ」ハァハァ

奴隷「子供、だからじゃないかしら。いきなり倒れなきゃいいんだけど…」ハァハァ

旅人「奴隷、大丈夫か?」ハァハァ

奴隷「なんとか…あれから2時間は歩いてるわね。いつ止まってくれるのかしらあの子…」ハァハァ


旅人「一匹で無事に戻ってくれるんならいいんだけどな…」ハァハァ

奴隷「魔物に襲われたらいけないものね…」ハァハァ

旅人「ははっ。この子の親に会って、俺たちが襲われなきゃいいけどな」ハァハァ

奴隷「それは、大丈夫じゃないかしら。この子、この辺りの魔物と違って知性があるみたいだし…親ならこの子以上に賢いはずよ」ハァハァ

奴隷「……旅人、止まって。」グイッ


旅人「うおっ!!いきなり引っ張っるなよ」

奴隷「ここから一歩行けば結界が貼ってあるわ、とても強力な…」

旅人「結界?」キョロキョロ

旅人「何もないみたいだけど…」

奴隷「見えない様に、魔法で認知出来ない様にされているのと同時に、入った途端別の場所に行くようになってるわね…人間も魔物も。知覚魔法もかけられて、すごく複雑な結界だわ…」


旅人「なんだそれ」

奴隷「誰にも気づかれたくない何かがこの先にあるって事」

奴隷「私も、今初めて気づいたわ…迷っていたのはこの結界に気づかずに入っていたからね…」

仔狼「わんわんっ」スリスリパタパタ

奴隷「この子がいるから、認知出来るようになったんだわ…」よしよし


旅人「それじゃ、この犬と一緒に入ればなんとかなるかな」

奴隷「可能性はあるけれど、どうやって」

旅人「奴隷、この犬抱いてて」ヒョイッポン

奴隷「だから、投げたら危なきゃあっ」フワッ

旅人「犬を抱いた奴隷を俺が抱っこすれば大丈夫。んじゃ、入りますか!!」スタスタ

奴隷「…今度から実行する前に言ってくれるかしら」ギロッ


旅人「今度からな」スタスタ

奴隷「変な所で図太くなってるわね…」

旅人「はっはっは!!ほら、もう結界内だから降ろすぞ」スッ

奴隷「…ありがとう」スタッ

旅人「いーえ。ほら、見ろよ」

奴隷「え?…道が舗装されてるわ」


仔狼「わんわんっ」パタパタ

奴隷「この子の親は…この先に居るみたいね…」

旅人「あと少しだ、頑張ろう」

奴隷「えぇ」



奴隷「凄い」

旅人「入口の門でこのでかさ…」

奴隷「森の中にこんな所があるなんて…あっ」

仔狼「わんっ」ピョン

奴隷「仔狼!」


仔狼「わんわんっ」タタタッ

女性「仔狼!!よかった!!」

男性「お前、まだ人化できないんだから外に出るなと言っただろう!!」

仔狼「わんわんっきゅーん」パタパタ




旅人「あの人たち…」

奴隷「あの子の親、みたいね」

旅人「でも、人間…じゃないのか?」

奴隷「…女性は人間ね。男性は、人狼かしら…」

旅人「人狼って魔族か!?」

奴隷「ええ。…此処に居てもしょうがないわ。傍に行きましょう」


旅人「大丈夫なのか?」

奴隷「あんなかわいい子の親ですもの。大丈夫よ。」スタスタ

旅人「奴隷!あぁ、もうっ」タタタ



旅人「こんにちは」

女性「あら、」

奴隷「この子のご両親、ですか?」

男性(今後は仔狼父)「……ああ」

仔狼「わんわんっ」

仔狼父「…ああ…そうか。女性、この方達が仔狼をここまで連れてきたらしい」


女性(今後は仔狼母)「まぁ!そうなの仔狼?」

仔狼「わんっ」パタパタ

仔狼「わんわん」パタパタスリスリ

仔狼父「…仔狼母」

仔狼母「そうね。貴方たち、急ぎの旅なのかしら?よかったらお礼をしたいから家によっていって!街も案内するわ」


旅人「いえ、そんn」

奴隷「ありがとうございます。長旅で休憩したかったんです。お言葉に甘えさせて頂きます」

旅人「ちょ、奴隷!危なくないか」ボソッ

奴隷「この街に興味があるの。この機会を逃したくないわ」ボソッ

仔狼母「よかった!!無理やりは連れて行きたくなかったの。あなた、門番に私たちのお客様だと伝えておいてくれる?」


人狼「ああ」スタスタ

旅人・奴隷「?」

仔狼母「説明は後!さぁさぁ行きましょう。今日はご馳走を作るわよ!!」



旅人「凄かったな」

奴隷「ええ。魔族、エルフ、獣人、人間、ドワーフ…さまざまな種族が暮らす街があるなんて、知らなかったわ…」

旅人「こんな所があるなんて。違う種族でも、一緒に暮らせる町があるんだな」

奴隷「見た限りでは皆仲良く暮らしているようだわ…」


仔狼母「あらあら、普通の街と一緒よ」

仔狼母「悪人もいれば善人だっている。種族の垣根がない、それだけよ。ごめんなさいねお待たせして…この街の名物、まずくないっ茶です。どうぞ」カチャカチャ

奴隷「…ありがとうございます」ペコリ

旅人「わざわざすみません」ペコリ

仔狼父「寝かしてきた」ガタン


仔狼母「様子は?」

仔狼父「異常はみられなかった。大丈夫だ」

仔狼母「そう…。起きたら何で外に出たのか聞かないとね…」ハァ~

仔狼父「…ああ」

仔狼母「さてと、お礼が遅くなって御免なさいね。仔狼を助けてくれて、ありがとうございました」ペコリ


旅人「いやいやいや、只の偶然ですから、そんな、お礼なんていりません」

仔狼母「貴方たちでない、ほかの誰かだったらあの子は死んでいたかもしれない。本当にありがとうね。ほら、貴方からも」

仔狼父「迷惑をかけたな」

仔狼母「」ツネリ

仔狼父「!!ありがとうございました…」

旅人「いえいえいえいえ、本当に、そんな」アセアセ


奴隷「仔狼がご両親にお会いできて本当に良かったです」

奴隷「それで、聞きたいことがあるんですが…」

仔狼母「この街の事?家に着くまでも凄く興味津々に周りを見ていたものね」クスクス

奴隷「…はい。この街はなんなのでしょうか。なんでこんな所に誰にも知られずに存在しているのでしょう?…私たちを帰さなかったのはそれを教えるため、そして他言させない様にする為ですよね?」

旅人「ちょ、奴隷。少しは抑えろって…」


仔狼母「いいのよ。答えなくてはならないことだもの。そうね…それもあるけどね、一番はお礼よ。」

仔狼父「ああ。本当なら、門で役人に引き渡さないと行けなかったんだがな」

仔狼母「恩人をあんな寒い所に置いていくのもね…」

旅人「それは、どうゆうことですか?」

仔狼母「この街の決まりで、初めて結界に入ったものは全て役所に連れて行かれる事になってるの」


仔狼父「君たちは、俺たちが監視することを条件に連れてきたんだ。」

仔狼母「今の時間帯に連れて行かれても、牢屋で一晩過ごさなくちゃいけないものね。役所が開くのは明日の朝だから…」

奴隷「…役所、ですか?」

仔狼母「えぇ。役所は、この街の様々な決まりを作っているところよ。」

仔狼父「沢山の決まりの上に成り立ってるこの街なんだ。そして、その決まりで、私たちからこの街の説明はしてはいけないことになっている」


奴隷「そんな…」

仔狼父「この街に関して、間違った情報を流さないようにするためだ。すまないな。だが君たちの疑問は明日、解決できる」

仔狼母「外部から来たものはまずこの街を収める長、当主様に面会する必要があるの。そこで説明もされるわ」

仔狼父「今日はもう遅い。明日連れて行くから今日はもう休みなさい」

女性「ここにいる間は我が家に泊まっていってね!貴方たちの部屋は二階の右奥よ。夕飯出来たら呼ぶわね。それまでゆっくりしなさいな!」





旅人「どう思う?」

奴隷「あの人たちの事?この街の事?」

旅人「両方」

奴隷「あの人たちに不自然な所は感じられなかったわ。」

旅人「そうだな、本当にいい人たちそうだ。街の事は明日にならないとわからないか~」クワ~


奴隷「そうね、街の事は明日ね。……眠いの?」

旅人「ん~…久しぶりのベッドだから…」ウツラウツラ

奴隷「この後ごはんって言ってたわ」

旅人「あー無理かも…。呼ばれたら起こしてくれるか?俺寝るから」バタンキュー


奴隷「ちょっと…もう寝てる。仕方ないか、野営でずっと見張りしてたから…」

旅人「zzz」

奴隷「おやすみなさい」

奴隷「……」ナデナデ

奴隷「いつもありがとう」ボソ

コンコン

奴隷「」ビクッ


仔狼父「夕飯の前に風呂でもどうかと家内が」

奴隷「え、あ、はい。喜んでいただきます」

仔狼父「そうか。風呂は一階の階段の右にある。好きに使ってくれ」

奴隷「はい。ありがとうございます」



旅人「結局昨日は爆睡してた」

奴隷「起こしても起きなかった貴方が悪いわ」

旅人「まぁな。でも起きてから風呂まで入らせてもらって、至れり尽くせりだな」

奴隷「そのことなんだけど……私たち臭かったんじゃないかしら。ほら、人狼って人の何倍もの嗅覚じゃない。6日もお風呂入ってないもの」


旅人「…そうか。起きてから真っ先にお風呂に案内されたのは俺が臭かったからか」

奴隷「体をふくだけだったものね…今度から気を付けましょうね」

旅人「そうだな…」

受付「おまたせいたしましたぁ。奴隷さぁん、旅人さぁん、謁見室までどうぞぉ」

奴隷「はい。旅人、行きましょう」


旅人「ああ」



鳥「ハジメマシテハジメマシテ」バサバサ

当主様「初めまして、私当主と申します。鳥は私のペットですわ」

旅人(ダークエルフの女性!!しかも若い…。こんな人がこの街の当主か…)

旅人「初めまして、俺は旅人っていいます」


奴隷「初めまして、奴隷と申します。お会いできて光栄です、当主様」

当主様「畏まらなくて結構ですよ。私の事は当主とお呼びください。皆、そう呼んでいます」

奴隷「では、お言葉に甘えて。早速ですが当主、街についてお教えいただいてよろしいですか?」

当主「ええ。その為に此処に呼んだのですから」

奴隷「…」

当主「ですがその前に、聞きたいことがあります。あなた方がこの街まで来た経緯を聞いてもよろしいでしょうか?」


奴隷「それは、カクカクシカジカウンヌンカンヌン」

旅人(俺てら空気)



当主「なるほど、関所を越えられぬ為森に入り、仔狼を拾って此処まで案内されてきた…と」

鳥「ナルホドーナルホドー」リュウイチ

奴隷「はい」


当主「なぜ関所を越えられないのか、聞いてもよろしいですか?」

奴隷「それは、」

旅人「言いたくありません」

当主「……ふむ。そんな人は此処には少なくないですからね。ただ、全員に理由は教えていただいていますが…」

奴隷「…」


当主「まぁいいでしょう。貴方たちは此処に住むわけではありませんしね。ただ、此処を知られたからにはただ返すわけにはいきません」

当主「この街の説明に入る前に、あなた方に了承を取りたいことがあります。まずはその説明からさせていただきます」

旅人・奴隷「はい」

当主「この街に入るには3つ、方法があります。1つはこの街の存在を知っている者の体に触れた状態で、共に結界に入る事。これは、貴方たちが此処に入った方法です」


当主「もう1つはすごく簡単です。この結界の近くにいる事です。見張りの兵が報告してきますので、監視魔法で私が直接確認し、街に入れるか干渉しないか選別します。街のほとんどの者はこの方法によってこの街に来ています」

当主「ちなみに、貴方たちも報告は受けていました。が、選別から外させていただきました。今日の昼には森から出れるよう誘導する手筈でした」

奴隷「…選別の基準、とゆうのはあるのですか?」

当主「はい。この街以外で暮らしていけるかどうか、その一点のみが基準です。もし、基準から外れたものが森で死んだとしても、私たちは手を貸したりしません。この基準は絶対です。」


当主「あなた方は、何か訳はあるようでしたが、森を抜けられるだけの強さを持っていましたので、最初の監視で基準から外させていただきました。……ただ、普通は二日かかるかかからないかの森で六日も迷っているのには驚きましたが」

旅人・奴隷「」(二日…)

当主「あなた方の報告が一日で何度も何度も上がり、監視魔法で何度も確認させて頂き、報告が上がってから最低一時間は見なくてはいけない義務がありまして、いい加減迷惑でしたので誘導しようと思ったのですが…その必要はなかったようですね」フフフ

旅人「ははは…ご迷惑をおかけしたみたいで…」

当主「いいえ。毎日いちゃい…仲良くしているのを見せつけさせられて独り身にはつらいものがありましたけどね…。と、失礼しました。気にしないでください」フフフ


奴隷「別にそんなつもりは…申し訳ございませんでした」

旅人「ははは…すみません」

当主「謝られるとそれも…話がそれましたね。」

当主「最後の一つは、これです」スッ

旅人「腕に入れ墨…違う、紋章?」

奴隷「二の腕に種類の違う紋章が4つ…結界を抜けるためのものですね?」


当主「はい。4つなのは、このような街が此処を含めて4つあるからです。この街の結界の紋章は、この鳥の容を司ったものです」

奴隷「他に、虎、竜、亀の容をした紋章……ここ以外にあと3つもあるんですね」

当主「場所は言えませんが、私が知る限りでは」

旅人「ありがとうございます。それだけで十分です」

奴隷「…それで、その紋章をつけるための条件とはなんでしょうか?」

当主「フフフ…話が早くて助かります。条件は簡単です。たった一つだけですから…。」


旅人「条件…ですか」

奴隷「…」

当主「はい。この街の事を外に漏らさないこと。それだけです。」

奴隷「もし、漏らしてしまった場合どうなるのでしょうか?」

当主「死にます」

旅人「!?」

当主「何かに書き記した場合も同様です。この街について一つでも、些細なことでも知らない人に漏らしてしまった場合、紋章から毒が出て死にます。もし、地図にこの街の場所を記しているのなら、街を出る前に消してく

>>163は忘れてくれ


当主「何かに書き記した場合も同様です。この街について一つでも、些細なことでも知らない人に漏らしてしまった場合、紋章から毒が出て死にます。もし、地図にこの街の場所を記しているのなら、街を出る前に消してください。実際、それで外に出た途端死んでしまった方もいますから」

旅人「……拒否した場合、どうなるんですか?」

当主「この街の記憶を抜いて結界の外に出します。その場合は印をつけさせてもらいます。もう二度と、この街に、ほかの3つの街にも入る事が出来ない様にする為です。」

旅人・奴隷「…」

当主「紋章はすぐにつけられますよ。いかがなさいますか?」


奴隷「お願いします」

旅人「奴隷!少し考えてからでも、」

奴隷「いいえ、もう決めたわ。それに、この条件は当たり前じゃない。この街の事が知れ渡ったらどうなると思う?」

旅人「それは…」

奴隷「私は旅人と一緒に居てまだ3か月しか経っていないわ。それでも、色んな事を見てきた。貴方なんて、もうずっと旅をしているのでしょう?私以上にこの世界の事を知っているはずよ」


旅人「…そうだな。良い場所もあれば、醜い争いが絶ええない場所もあった。確かに、この街の事がほかに知れるとどうなるかわからないと思う。」

旅人「いままで多くの場所を見てきたけれど、この街は奇跡みたいだもんな。多種族が大きな争いもなくこうやって過ごせる場所があるなんて…」

奴隷「でしょう?この街が存続できるのはこうやって人選して街に入れる人を決め、絶対に秘密にしていることが条件なのよ。私は、この街の事を忘れたくないし、また来たいわ」

旅人「奴隷…。ああそうだな。俺も、忘れたくないよ」


奴隷「きまりね。当主、お願いいたします」

当主「(目の前でいちゃいちゃと…)…はい。それではこの鳥に」

旅人「待った」

奴隷「旅人、あなたまだなにか」

旅人「違う。いや違わないけど、待ってくれ」グイッ

奴隷「きゃあっ、え、ちょなによ!!」


旅人「」ペタペタクルリ

奴隷「ちょ、ちょっなんなのよ!触らないでよ!!」バシッ

旅人「グハッ…いたた、あ~…奴隷の何処に紋章をつけるか悩んでるんだよ」

奴隷「はぁ!?」

当主「」ピクッ


旅人「あんなに大きな紋章だぞ?悩むだろう。腕はなぁ…足…項………あぁ、だめだ。やっぱりやめよう、奴隷」

奴隷「何言ってるのよ!?」

旅人「一生肌に残す紋章だぞ?今まで傷一つつけてこない様に注意してきたのに今更つけたくない」

当主「」ピクピクッ

奴隷「だから、何言ってるのよ!それに傷じゃないわよ紋章よ!!」

旅人「肌の上に残るんだぞ。同じだ。俺は全然いいけどな。奴隷には…」

とりあえずここまで。またよるにかけたら

文字が多くて

旅人は巫女誘拐犯として一生お尋ね者生活かと思ったがこの街なら安心だな

>>172
すまないまだおおくなる
>>173
ここで終われないんだ

今後はsage進行でいきます。特に意味はないですが。

続き投下していきます。



当主「」ピクピクピク

奴隷「旅人には関係ないでしょう!?すみません当主。腕にお願いしま」

旅人「駄目だ。腕なんて見えるところに入れるなんて…」

当主「」ピクピクピクピク

奴隷「ちょっと旅人!!…それじゃあ足に」

旅人「駄目だ。綺麗な足してるんだから大事にしないと」


奴隷「……手の甲に」

旅人「駄目だ。綺麗な手をしてるんだから…」

奴隷「……背中」

旅人「駄目だ。綺麗な…」

奴隷「どこならいいのよ!!」

旅人「だから止めようって」

当主「いいかげんにしなさいよあんたら!!」


旅人・奴隷「」ビクッ

当主「さっきからいちゃいちゃいちゃいちゃと!!あんた等なにしにきたのよ!!見せつけか!!見せつけに来たのかこのぼんくらどもが!!!監視カメラで見ていた時から嫌だったのよ此処に連れてくるのが!!だって目に見えてるもの私の前でいちゃつくのが目に見えてたもの!!」

旅人「あ、あの」

当主「だまりなさい!!!」

旅人「ヒッ」ビクッ


当主「大体なによ綺麗な肌に紋章をのこせない?ふざけんじゃないわよ。私はどうなんのよ。ああ、浅黒だものね。肌黒いから綺麗汚い関係ないものね。それ以前に心配してくれる人がいないってゆうね。ふふふカップル滅びろバカップルしねぇぇぇぇぇぇぇl!!」

奴隷「た、旅人謝りなさいよ」

旅人「無理怖い」フルフル

当主「フフフ…ハハハ…はぁっはっはっ!!!どうしましょう。もう男なんていなければこんなこと思わなくて済むわよね…でも殺すのは可哀そうだわ…そうだ、全部ちょん切っちゃえば」

旅人・奴隷(どうしよう…)





当主「取り乱してしまい大変申し訳ございませんでした…」フゥ

旅人「」プルプル

奴隷「……」

当主「紋章は街にいる間は街の者とゆう証で見えるようになりますが、街の外に出ると見えない様になります。街のシンボルの様なものですからね。この街を知らない者に見せるわけにはいきませんから。それに、好きな時に取り外せます。傷になるなんてことはあり得ませんから心配はいりません」

旅人「はい!」プルプル


当主「さて、それでは紋章を記させていただいても?」ニコッ

旅人「お願いします!!」ドゲザァ!





当主「紋章も記し終えましたし、次にこの街の決まりについてお話ししますね」

奴隷「はい」

当主「……もう落ち着きましたからそんなに怯えないでください」

旅人「そんな、怯えるだなんて…」ビクビク

当主「」ジー

旅人「」フルフル

奴隷(ここで私が何か言えばどうなるかわからないわね…)

当主「」


旅人「」フルフル

当主「はぁ~…私が悪かったですから…徐々に慣れていってください」

旅人「はい!!」ビシッ

奴隷(この様子じゃ無理ね)

当主「決まり、と言ってもそんな難しい事はありません。喧嘩をしない、皆と仲良くする等々まぁ世間一般的に常識と呼ばれることが主です。ただ、この街のことを他に漏らさない事、街の出入りは役所を通すこと。」

当主「貴方たちは仔狼父の特例により特別に役所を通しませんでしたけどね…仔狼の件はこちらの不手際ですし、連れてきていただいたのが貴方たちのような方で感謝しております。」

奴隷「特例ですか?」

当主「彼はこの街の警備主任を務めてまして、訪問者の管理にも関わってます。そんな彼だからこその特例ですわね」

当主「街の出入りに関して特別に厳しい決まりを作っています。一つ一つ説明すると膨大な時間がかかりますので、それらはこの本を見て覚えてください」ドンッ

旅人「分厚い…」

当主「わかっているとは思いますが、街の外への持ち出しは厳禁です。……これを持ち出したが為に死んだ方もいますので注意してください」

奴隷「あの…」

当主「なんでしょうか?」

奴隷「そんなに厳しい管理を強いているのなら、なぜ仔狼は外に出れたのでしょうか?」

当主「それは…」

奴隷「はい」

当主「原因はまだはっきりとしていません」

旅人「え?」

当主「わからないのです、まだ。どうやって結界を抜け出せたのかも」

当主「結界を入るのに制限はあの三つだけで、出るには役所の許可が必要です。それがなければ抜け出すことはできないはずなのですが…」

奴隷「でも、仔狼は抜け出せた…」

当主「はい。今全力で調べています。結界に穴はないと思いますが、全てを調べている途中です。私も、これが終了しましたら調べに行かなくてはいけません」

奴隷「そう、ですか…。その結界についても聞きたかったんです。この高度な結界はいったい誰がどうやって作ったのでしょう?こんな高度なもの、発明されてはいませんよね?」

当主「それは…」

奴隷「私は、旅に出る前は身近に魔法がある環境にいました。つい最近までです。でも、こんな高度な結界、私は知りません」

当主「……身近に、と言ってもそれは人間の、ですよね?」

奴隷「…はい」

当主「この街に使われている結界は人間の知識はもちろん、全ての種族の知識を取り入れ制御された結界魔法です」

当主「結界魔法に関して詳しくは話せません。街を隠してくれる大切なものですからね」

奴隷「…わかりました。不躾なことを聞いてしまい申し訳ございません」ペコリ

当主「いえ、お気になさらず。他に、決まりに関しての質問はありませんか?」

書きダメ終了。また今度書いてく

続き。最後まで書きたい

旅人「とりあえずこの分厚いものを読み終えるまではなんとも…」

当主「それもそうですね…この後もし尋ねることがありましたら受付にお聞きください。彼は決まりに関してはプロフェッショナルですので、あなた方の疑問に答えてくれるはずです」

奴隷「ありがとうございます。そうさせていただきます」

当主「それでは、次にご説明させていただくのは…」

よし続きキタ




旅人「終わった…長かったな」ハァー

奴隷「この街の決まりとあり方についてはよくわかったのだからいいじゃない」

旅人「それもそうだけど…」

旅人「奴隷の知りたいことはわからなかったんじゃないか?」

奴隷「そうね…。だから、この後図書館に行きたいのだけど…」

旅人「ああ。付き合うよ」

奴隷「ありがとう。図書館は役所から南の方向って言ってたわね」

旅人「ああ。行くか」




旅人「南の方って言ってたよな」

奴隷「そうね…」

旅人「なんで門まで来たんだ?門って役所から東の方だよな?」

奴隷「…旅人あなた、方向音痴なんじゃないの?」

旅人「そんなはずはないと思うけど…」

奴隷「ハァー…いいわ、このまま壁に沿って南に行けば図書館に着くはずよ。行きましょう」

旅人「ああ。」

奴隷「ちょっと、前を歩かないで」

旅人「…はい




奴隷「どの家屋のつくりもしっかりして、本当にいい街ね、此処」

旅人「そうだな。しかし、どうやって金を作ってるのかな…閉鎖した街で城下町並みの裕福さとか」

奴隷「中央商会に繋がりがあるみたいね」

旅人「そうなのか?」

奴隷「それと、人間の国の小国貧乏国家と魔族、エルフの村とも」

旅人「…なんでわかるんだ?」

奴隷「当主の部屋の本棚よ」

旅人「ああ、異種族の文字の本が大量にあったな。読めるのか?」

奴隷「10年引きこもってたもの。旅に何が必要かわからなかったから他分野に勉強してたの。役に立ってよかったわ」

旅人「…そうか」

奴隷「本棚にあったのは、中央商会に関しての本とその国々の本だったの。国を調べるにしてもあんな辺鄙な国の資料だけってないでしょう?」

奴隷「この街から学ぶことは多そうだもの。その国々と貿易を行ってるんじゃないかしら」

旅人「小国貧乏国家は農業国だし此処から離れてないからな。王様の人が良すぎて他国に比べて貧乏ってだけで人がいい国民が多いって聞くし、此処の取引としてはいいのかもな」

奴隷「そうね。今度はその国に行きたいわ…」

旅人「おいしいものが多いらしいな。聖都の次はそこに行こうか」

奴隷「ええ。楽しみだわ」

すまん、書きだめてないからすごくゆっくりになってる。
見直しもしてないし色々見にくいだろうから書きだめてから戻ってきます。
多分三時間後くらい…目標5時には戻ります

エウレカ見ながら待ってる

>>190すまん途中までしか書けなかった…
>>197俺も見た。

途中までしか書けなかったが、貼ってきます



奴隷「この角を右に曲がって、真っ直ぐいけば着くはずだわ」

旅人「…此処門の反対側の裏門だよな?道間違ったんじゃないのか?」

奴隷「そんなはずはないわよ。きっとこの角を曲がれば…!」

旅人「明らかに飲み屋通りだな」

奴隷「……ごめんなさい」シュン

旅人「…話しながらだったしな。道を戻ろうか」


奴隷「そうよね、方向音痴じゃないわよね?」ホッ

旅人「ああ、大丈夫だ。(多分)」

奴隷「あら?ねぇ旅人、あれ…」

旅人「どうした?…あれは、仔狼?」

奴隷「なんでこんな飲み屋通りに…」

旅人「仔狼母達は居ないみたいだな……着いて行こう」




旅人「分厚い外壁に穴が開いてる…」

奴隷「こんな裏道だから誰も気づかなかったのね。茂みに隠れているし…」

旅人「でも困ったな。こんな小さな穴、奴隷はともかく俺は通れない」

奴隷「大丈夫よ。変身魔法」ポワン

旅人「は?うわぁっ」ボンッ



モクモクモク


旅人(犬)「ワン!!」(ちょ、俺犬になった!?)

奴隷「変身魔法よ。…思っていたよりも大きいけれど、這いつくばって行けば通れるわね」

旅人(犬)「わんわんっ」(いきなりはないだろう!!せめて説明してから)

奴隷「ふふっ、さぁ行きましょう」

旅人(犬)「」(昨日の仕返しか…)




奴隷「壁は抜けたけれど…見失ってしまったわ…」

旅人(犬)「」クンクン

旅人(犬)「ワンッ」(こっちだ!!)タッタッタッ

奴隷「あ、待って!」タタタッ



奴隷「これは…結界の下に、穴?」

旅人(犬)「わんっ」(この下を通って行ったんだな…昔を思い出す)

奴隷「これなら結界を通らないから知られることはないわね」

奴隷「フフッ…子供のころを思い出すわね…ほら、洞窟探検の時に、少年が柵の下に穴を掘って抜け出させてくれたじゃない」クスクス

旅人(犬)「」(俺が掘ったってばれてたんだ…)


奴隷「あのあと、あの穴も塞がれて…昔の話はいいわね。追いましょう」

旅人(犬)「…わんっ」

旅人(犬)(ところで俺はいつまでこの姿なんだ)

奴隷「とりあえず、街に戻るまでかしら」フフッ

旅人(犬)「」(言葉わかるのか!?)




奴隷「まだ、行くの?」ハァハァ

旅人(犬)「ワンっ」(匂いはまだ奥に続いている)

奴隷「……早く、行ってあげないとね」ハァハァ

奴隷「でも、このままだと街に下りないかしら…」

旅人(犬)「わんわんっ」(いや、多分この道は…町の近くの湖に行くはずだ)

奴隷「本当、湖だわ…あ、」



幼女「ワンたん昨日はどうちたの?待っちぇたのよ?」

仔狼「わんっ」パタパタ

幼女「今日はちてくれたもにょね。いいわ許ちてあげゆ」

仔狼「わんわんっ」パタパタ

幼女「ふふ、今日はおはにゃのきゃんむりちゅくりましょうね」

仔狼「わんっ」パタパタ

幼女「かっきょいいにょちゅくってあげゆかりゃね」



奴隷「遊びにきてたのね…」

旅人(犬)「わん」(…本当に、昔を思い出す)

奴隷「あの子は湖のほとりの家の子供かしら…どこで知り合ったのかしらね」

旅人(犬)「わんわん」(探検とかしてて偶然出会って一目ぼれでもして通い詰めてるんじゃないか?まぁ子供だから自覚してないと思うけどな)

奴隷「そうだったの?」


旅人(犬)「わん」(知らん。どうする?連れ戻すか?)

奴隷「そうね…。結界があのままでいいとは思えないわ。当主に知らせないといけないわね。それにはこの事も報告しないと…」

旅人(犬)「わん…」(だよな…。黙っとくことなんてできないか…)

奴隷「……当主に報告する前に仔狼を説得しなきゃね」

旅人(犬)「わん」(ああ)


奴隷「遊び終わるまで此処で待ってましょうか」

旅人(犬)「わん」(そうだな)





幼女母「幼女~そろそろ戻ってらっしゃ~い!!」

幼女「は~い!!」

幼女「じゃあね、わんたん。またあちたね!」タタタッ

仔狼「わんわんっ!」パタパタ

仔狼「……キュ~ン」

仔狼「……」テトテト


旅人(犬)「わん」(仔狼)

仔狼「」ビクッ

奴隷「驚かしては駄目よ。…仔狼、私たち街から貴方を追ってきたの…」

旅人(犬)「わんわん」(この事は街の安全に関わることだから、当主に報告しなければいけないんだよ。その前に、お前に話をと思って待ってたんだ)

仔狼「がるるるるっ」


奴隷「…解除魔法」

旅人(犬)「!?」ボンッ

仔狼「!?」

奴隷「あなたが誰かわかってないみたいだから…」

旅人「ああ、そっか。仔狼、少し話をしよう」


仔狼「ぉがるぇ、がるぃるるっ!!!」

奴隷「?…仔狼、貴方もしかして」

ボンッ

仔狼(人化)「お、俺の事で、街の事で、お前らよそ者に何か言われる筋合いはない!!!!」ダダダッ

旅人「人型になった!?おいっ待て!!」

旅人「くそっ速い!!奴隷、仔狼に変身魔法使ったのか?」


奴隷「いいえ、あの子人化出来たのよ!多分、ずっと前から。何かの理由で黙ってたんだわ」

奴隷「それより、早く追わないと!あっちは街の方角ではないわ!!」タタタッ

旅人「くっそ、待ってくれ仔狼!!」タタタッ




奴隷「はぁ、はぁ、随分、来たけれど…」

旅人「はぁっ、完全に、見失ったか…?」

奴隷「遠くは、ないはずだから、探しましょう」

旅人「ああ。また俺が犬になって、匂いで…」


ザァァァァ………ギャ…ンッ……ガァァ…ァ…ァァ



奴隷「風が…」

旅人「こっちだ!!」

奴隷「旅人!?」

旅人「風に乗って、仔狼の声がした!魔物も一緒だ!!」

奴隷「え!?」

旅人「急ごう!!」

穴があったら入りたい……


もうここまで。今日はもうやめときます。上のスレッドの方申し訳ございません…
明日、此処開く勇気があったら投下します。
本当にごめんなさい…

気にしないでください^^

書き溜めた分だけ投下。
>>219 本当にすみませんでした。以後ないよう気を引き締めて取り掛かります。



仔狼「ギャンッ!この、でぃやぁ!!」ガキィン!

デカゴブリン「?ガアァア…ギャアン!」ブンッ

仔狼「グゥゥッ!!…クゥン」ピク、ピク

旅人「仔狼!!」チャキッ

デカゴブリン「グゥ?ウガァァァ!!!」ブンッブンッ


旅人「くっ!!奴隷!」ガンッガンッ

奴隷「ええ!低速魔法!!」ブゥン

デカゴブリン「?ガァア!!」ブンッ

旅人「今のうちに仔狼と一緒に安全な所へ!!」ガンッ

奴隷「わかったわ!!」タタッ

デカゴブリン「ウガァァァァァァッ!!」ガンッブンッ


旅人「よし!!……   …」

デカゴブリン「ガァァァァァァ!!」ブンッ


ガキィンッズシャッ


デカゴブリン「グゥア?アアアアアアァァァアァア!!!!!」ピシャァ!!

旅人「……ふぅ」


デカゴブリン「」

旅人「奴隷、無事か?」

奴隷「ええ…ありがとう」

旅人「無事ならよかった…仔狼は?」

奴隷「気絶してるわ…治癒魔法はかけたから、このままにしておけば大丈夫よ。」

仔狼「スゥ…スゥ…」

旅人「そうか…」




仔狼「…ん、んん~」

奴隷「仔狼、目覚めたの?」

仔狼「こ、こは」

奴隷「森の中よ。街に戻ろうと思ったのだけど、その前に仔狼と話したいと思って貴方が起きるのを待っていたの」

仔狼「…あいつは?」


奴隷「旅人は、デカゴブリンの所。あのままにしておくとほかの魔物が寄ってきて危ないから後始末に行ってるの。私は、貴方の付添」

仔狼「…」

奴隷「暫くは戻ってこないでしょうね…。それまで、ゆっくりしてるといいわ」

仔狼「……うん」



奴隷「旅人、遅いわね…」

仔狼「…心配なら行けばいいじゃんか」

奴隷「心配、とはちょっと違うわね…早く帰ってきなさいよってゆう怒り?かしら。此処の魔物が束になって襲っても旅人は一太刀で薙ぎ払うからそこは心配ないわね。何やってるのかしら…道に迷ってるのかしらね?」

仔狼「心配してるじゃん…俺は此処にいるから行けばいいよ」


奴隷「あら、あなたを此処に置いていく方が心配だわ」

仔狼「…逃げないよ。逃げても行くとこないじゃん」

奴隷「心配なのはそこじゃないの。また魔物に襲われたらどうするの?」

仔狼「うっ…俺は強いから大丈夫だ!!」

奴隷「ふふっ、そうね。この危険な森をあの子に会うために抜けていたんだものね」

仔狼「うっ…」


奴隷「仔狼は強いわ。でも、貴方より強い人は沢山いるの。さっきの魔物みたいなのが沢山。…あなたの事を心配する人も沢山いるわ。だから、今度からは真っ先に、逃げなさい」

奴隷「無理に戦う必要なんてないわ。勝てないとわかったら逃げて、今以上に強くなって負けた相手を見返してやりなさい。貴方は強い。これからもっと強くなれる」

奴隷「それにはまず行き過ぎた無茶をしないことよ。ね、わかった?」

仔狼「うん…わかった。…奴隷も、心配したのか?」

奴隷「もちろんよ。そうじゃなきゃこんな所まで仔狼を追ってこないわ」


仔狼「そうなんだ…」フフフ

奴隷「旅人も心配してたわよ?」

仔狼「へー」

奴隷(…旅人、この子に何をしたのかしら)


旅人「ただいまーあーつっかれた。あの魔物無駄にでかくて消失させんの無駄に時間かかった」

旅人「お、起きたか。調子はどうだ?大丈夫か?」ガシガシ

仔狼「うわっやめろよ!頭撫でんな!!」

奴隷「旅人、乱暴にしてはだめよ。こんな小さな子供を…」

仔狼「小さくない!!俺はもう14だ!!」

旅人「は?」

奴隷「え?」

仔狼「俺はもう14だ!!」

旅人「ははは、何言ってんのお前」

奴隷「そうよ、こんな小さいのに…6歳?7歳?その位よね??」

旅人「そうだな…初めて会った時の少女くらいだからその位か」

仔狼「本当に14だ!!」

仔狼「人狼は12歳まで子供の狼の姿で育つんだよ!12歳位に人化できるようになってそこから成長するようになるって父ちゃん言ってた!!」

旅人「本当か、奴隷?」

奴隷「わからないわ…魔族の成長なんて本読んだことないもの」

仔狼「本当だ!!」

旅人「ってことはお前2年も前から人化できること隠していたのか?」

仔狼「できるようになったのは最近だ。俺、半分人間だから成長が人狼と少し違うって言ってた」

奴隷「それでも、なぜ人化できることを隠していたの?」

仔狼「そ、それは…」

奴隷「それは?」

仔狼「うっ…」

旅人「……あの子に関係してる、とかか?」

仔狼「違う!!」

旅人「あの子とあったときは確かにまだ人化できなかったんだろうな。でも、最近になって人化できるようになった。人化したら成長してしまう。大きくなったらあの子と遊べなくなるかもしれない…」

旅人「そんなとこか?」

仔狼「違うって言ってんじゃん!!」

旅人「じゃあなんで、人化しなかったんだ」

仔狼「うっっ関係ないだろ!!人化しなかったのは俺の都合だ!!あの子は関係ない!!」

奴隷「…旅人、人化の事は結界の事とは関係ないわ」

旅人「それもそうか…まぁ、人化の事はうまく両親に伝えとけよ?」

仔狼「わかってるよ!!うるさいなぁ」ブツブツ

奴隷「旅人は黙って。それじゃあ、本題にはいるわ」

奴隷「仔狼、なぜあなたはあそこの結界の下に穴が開いてるとわかったの?」

仔狼「それは…」

今日はここまで。今日は仕事休みだからまた夜に書けたら
寝ます。お休み…

酒飲んでたんで書き溜めなし。少量だがあげてきます。

仔狼「父ちゃんの仕事で外に出るとき、時々だけど俺も一緒に外に出てたんだ」

仔狼「何回か結界を行き来している時に気づいたんだ。この結界と地面がくっついてるとこ、少しだけど隙間があるって」

旅人「お前小っちゃいからな。地面と距離近いからわかったのか…」

仔狼「小っちゃくない!!ただ成長が遅いだけだ!!」

奴隷「…旅人、話が進まないからあなたは黙ってって」ギロッ

旅人「」


奴隷「ごめんなさい。それで、どうしたの?」

仔狼「…隙間があるってわかったけど、興味なかったから気にしなかったんだ。でも、どうしても外に出たくなった時にその事思い出して…」

旅人「あの子に会いに行きたかったのか」

仔狼「違う!!」

奴隷「…旅人?」

旅人「すみません」

奴隷「ごめんなさいね。続けて?」


仔狼「もしかしたら、って思って結界の下を掘ってみたら、結界はそのままで下に穴が掘れたんだ」

仔狼「…ダメな事だってわかってたんだけど、でも、皆には言えなくて…ごめんなさい」シュン

旅人(恋は盲目ってことか…)

奴隷「そうなの…よく話してくれたわね。ありがとう」ヨシヨシ

旅人「でも、なんで結界と地面の境界線に隙間なんかできてるんだ?街を包む高度な結界なんだろ?」

奴隷「…包みこむのではなく、この結界は街に覆いかぶさってるのね」

奴隷「今なら見えるわね。…街の上を見て」

旅人「?ああ、街の上に結界の術式が展開してるみたいだが…」

奴隷「あの結界は動かすことのできない固い箱のようなものなんだわ。一度展開してしまえば動かすことのできない箱」

書きにくいからあげてく


旅人「…そうか」

奴隷「貴方よくわかってないわね?」

旅人「さっぱりわからん」

奴隷「説明の仕方が悪かったわね…」

奴隷「…あの結界は、高度な技術を詰め込んだのはいいけれど、がちがちに詰め込みすぎて身動き取れなくなってるの」

奴隷「柔軟性がないのよ。そして、高度な技術過ぎてあまり扱える人がいない。何回かかけなおして地形にあうようのはしているみたいだけど、それも数少ないのでしょうね。仔狼、あなたいつあの穴を掘ったの?」

仔狼「え?えぇ~っと…一か月前かな。幼女にあったのがその位だから…」


旅人「やっぱりお前幼女に会いに行ってたんじゃないか」

仔狼「ハッ!!ゥヴヴ~」

奴隷「旅人」

旅人「」

奴隷「それじゃあ、少なくとも一か月は結界はあのままなのね…」

仔狼「…多分、一年に一回だと思う。結界かけなおしてるの」

奴隷「…そうなの?」

仔狼「うん。一年に一回、父ちゃん慌ただしくしてて、結界がなんちゃらって言ってたもん」

奴隷「そうなの…ありがとう仔狼」ヨシヨシ

仔狼「へへっ」ニコニコ

今日はここまで。また書き溜めてきます



旅人「一年に一回って多いのか?」

奴隷「少ないわよ。一年に一回とゆうことは、結界を展開するのに凄く時間がかかるのかしら…それとも結界を作れる人がいないのかしら…」

奴隷「もしかしたら……いいえ、それよりも……」ブツブツ

仔狼「お、おねぇちゃん?」

旅人「奴隷は一人の世界に入ると何を言っても無駄だからな。無理に引き戻したら口きいてもらえなくなるから大人しくしとけ」


仔狼「…」ムッ

旅人「おまえ、なんで俺に敵意むき出しなんだよ」

仔狼「」ツーン

旅人「おいって」ポスポス

仔狼「さわんなおっさん」バシッ

旅人「おっさ、俺はまだ18だぞ!?」


仔狼「へー」

旅人「…何で奴隷に懐いて俺に懐かねぇんだよ」

仔狼「お前が嫌いだからに決まってんだろ。バァァカ」

旅人「そんな身もふたもない」

旅人「…まぁ嫌いでもいいから、少しは俺とも話せよ。な?」

仔狼「…」ツーン


旅人「俺は仔狼の事好きだぞ?小さくてかわいいし、ちょこまかしてて小動物みたいだからな」ヨシヨシ

仔狼「」ガンッ

旅人「いてっ!!ちょ、おま脛けんなよ!」

仔狼「俺は狼だ!!」ガンッガンッ

旅人「いたっいだっ!!」

仔狼「これ以上俺の事馬鹿にしてみろ、もっとひどい目に合わせてやる!!」


旅人「馬鹿にしてないって。いたたた…」サスリサスリ

仔狼「フンッ!」

旅人「ハァ~…」ジーッ

仔狼「…」ツーン

旅人「はいはい、近寄らないから。それより、少し真面目な話をしたいんだが…」

仔狼「…」ツーン


旅人「……もうそのままでいいから聞いてくれ」

旅人「これから結界の事を話に行く。その時に仔狼の事も話さなきゃならない…もう、結界の外には出られなくなる」

仔狼「!!そんな…」

旅人「あたりまえだろ。このまま放っておいたら街が危険にさらされる」

仔狼「でも、今まで危険なんかなかった…」

旅人「それでも、街から自由に出入りはできなくなる。その為の、決まりなんだろうからな……今考えれば、完全な結界ではないから決まりが厳しいんだろう。きっと仔狼みたいなことを考えるやつ等もいたんだろう。街の物を持ち出すと死ぬ、だなんてな。」


仔狼「…」

旅人「もう子供じゃないんだろう?俺の言ってること、わかるよな?わかるから、誰にも言わずに外に出てたんだろ?」

仔狼「……」ウルウル

旅人「!?」

仔狼「わ、わかってたんだ…駄目なことだって…でも、街には人型になれない俺と遊んでくれる子なんていなかったから…あの子と遊ぶのが楽しくてつい…ゴベンダザイ~」ボロボロ


旅人「お、おい、泣くなって!お前もう14なんだろ?成人すれば好きに出来るんだろ?そうすれば会いに行けるんじゃないのか?それまで待てるだろ??な??」

仔狼「ヴェェェェェン!!」ボロボロ

奴隷「ちょっと、もう少し静かに、!!たびびと、苛めては駄目でしょう!!」

旅人「ちが、仔狼と話していたらいきなり…」

奴隷「旅人が、ごめんなさい…もう怖くないわよ」ナデナデ

仔狼「ヴェェェェェェ!!」スリスリ


奴隷「よしよし…旅人、謝りなさい」ナデナデ

旅人「だから違うって!!な、仔狼違うよな?」アセアセ

仔狼「ヴェェェェ!!」チラッ…フンッ

旅人「!?お前、嘘泣きか!!」

仔狼「た、旅人のおにいちゃんがぁ!!」

奴隷「…旅人」


旅人「ち、ちがう!!俺は本当になにも…!!!」





旅人(結局誤解は解けなかった…)

奴隷「本当に幼女にあいさつに行かなくていいの?」

仔狼「うん…悲しいけど、今あってもどうしようもできないし…それに、成人したら自由に街の出入りできるようになるし、その時に会いに行くよ!」


奴隷「そう…えらいわね」ナデナデ

仔狼「そんなことないよ…奴隷がいなかったらこのまま黙ってたろうし…だから、ありがとう奴隷。俺、正直に言うよ!!」

奴隷「仔狼…」ウルッ

旅人「はいはいはいはい、さっさ行こうなー。後ろ詰まってるよー!!」

書きなおしたいところが大量にあってやばい。
けど仕方がないか。
書き溜めた分だけ投下


結界の街(鳥)
正門にて

仔狼「…父ちゃん、母ちゃん」

仔狼父「このバカ!!勝手にいなくなって!」

仔狼母「寝てると思ったらいないなんて、心配したじゃない!」ウルウル

仔狼「ごめんなさい…」

仔狼父「言ってくれれば、連れて行ったのに…今度からは正直に言いなさい」

仔狼母「そうよ。それにあんたって子は、人型になれることも黙っていたなんて!!」


仔狼父「ああ。お前がそんなに俺たちに隠し事をしているなんて少しショックだった…」

仔狼「え?俺が人型になれるの父ちゃん母ちゃん知ってたの?俺がどこに行ってるのかもしってるの?」

当主「私が知らせました」

仔狼「と、当主様」

当主「監視魔法ですべてを見させていただきました。」

当主「あのあと、警備隊と共に結界周辺を調べ、あの抜け穴を見つけらんです。すぐに仔狼に問おうと思い仔狼の家にお邪魔したのですが…」


仔狼母「どこを探しても仔狼がいないからもしかしたら結界の外にでたんじゃないかって…当主様の監視魔法で調べてもらったら、案の定外に出てるんですものね」

仔狼父「すぐに迎えに行こうと思ったが奴隷さんと旅人が一緒だと聞いてお任せしたんです」

仔狼「…ごめんなさい」

仔狼父「いいさ。でも、帰ったら全部話してもらうからな?」

仔狼母「帰る前に、仔狼は皆に迷惑かけたお詫びに行かなきゃね」

仔狼「うん…」


当主「さぁ、中へ戻りましょう。仔狼父は明日、報告の為に役所へ来てください」

当主「お二人は今から役所まで来ていただけますか?聞きたいことがありますので…」

旅人・奴隷「はい」

仔狼母「終わったら、家に戻ってきなさいね!」

仔狼父「ああ、お礼をしなければいけないな」

ごめパソコンが変な音立てたちょっとちゅうだん



結界の街(鳥) 役所 当主の間

当主「わかっているとは思いますが、あなた方に来ていただいたのは仔狼の事です」

旅人「?でもそれは監視魔法で」

奴隷「見たからと言って、当人への事情聴取がないわけではないでしょう?」

当主「ええ。話していただけますね?」



当主「ありがとうございました。これで終了です」

奴隷「いえ、それより当主様にお話があります」

当主「結界の事、ですね」

奴隷「はい。結界の事を教えていただけませんか?…失礼を承知で言わせていただきますが、この結界はまだ不完全です」

当主「…その通りです。ですが、教えたところで貴方に何かできるとは思えません。…この結界は本当に、大切なものなのです。何代もの当主たちが知恵を絞り此処まで完成させてきました。おいそれとお教えできるものではありません」


奴隷「……結界魔法」ブンッ

当主「!?何を…」

奴隷「結界魔法・改」ブンッ

当主「!!結界が透明になり奴隷さんが見えなくなって…存在も感じない…これは」

奴隷「解除魔法」フゥ

当主「…、これは」


奴隷「…この街の結界を見て私なりに分析しました。いま見てもらったのは、その分析を元に改良した結界魔法です」

当主「改良した?たった数時間でこの結界を分析し、やったとゆうのですか?…知識はあっても実践する事ができないことが多いのに貴方は…」

奴隷「術式は私独自の物です。あなた方が使っている術式とは違うでしょうね。当主、…どうにもできないかもしれません。でも、知らなければ出来るかどうかも分からない」

奴隷「お願いします。教えてください」

当主「奴隷さん…わかりました。ですがもし他に漏らしでもしたら…」

奴隷「わかっています。絶対に漏らしません」


当主「…なぜ、こんなにも親身になって頂けるのでしょう?あなた方にとってこの街は関係ないものでしょう?」

奴隷「そんなことはありません。…この街は良い所です。見るからに怪しい私たちを受け入れてくれました。…それに、こんないい街に少しでも関われるなんて嬉しいことです」

当主「…ありがとうございます。そんな事を言っていただけるなんてこの街を収めるに辺りとても励みになります。それでは、早速魔法研究所へ…」

旅人「あのー…」

奴隷「あら、旅人。居たのね」

旅人「ああ。難しい話でチンプンカンプンだったから黙ってた。で、だ。俺要らないだろ?先帰っていいか?」


奴隷「そうね…私はいいけど…」

当主「そうですね…結界の事はあまりお教えしたくないことですので、少ないに越したことはありません。私もかまいませんよ」

旅人「ありがとうございます。それじゃあ俺はこれで。先に仔狼の家に行ってるな」

奴隷「ええ。帰ったらこれからどうするか話し合いましょうね」

旅人「ああ。」


結界の街(鳥) 生鮮市場

旅人「はぁ~あ。難しい話ばっかで肩こったわ」

旅人「さて、サッサ帰って寝ようかな。と、あれは…おーい仔狼!!」

仔狼「げっ」

旅人「げってなんだよ。ひどいな…もう皆に謝ってきたのか?」

仔狼「…行ってきたよ。今はお使い中」


旅人「そうか。皆びっくりしてただろ?お前が人化しててs」

仔狼「…うん。謝るより先にそれで皆盛り上がっちゃって、…なんか、有耶無耶になっちゃった感じがして…」

旅人「そうか…それでお前変な顔してたんだな。まぁ、そういう時は思いっきり叱られた方がすっきりするよな…」

仔狼「…」

旅人「お前真面目だなぁ。皆、許してくれたんだよ。よかったな、皆いい人たちで…」

仔狼「…うん」


旅人「はっはっは」ガシガシ

仔狼「触んな」バシッ

旅人「」



仔狼「着いてくんなよ!!」

旅人「暇なんだよ。観光がてらいいだろ?」

仔狼「」キョロキョロ

旅人「奴隷はいないぞ。いま当主と一緒に魔法研究所って所にいる」

仔狼「聞いてないだろそんな事!!それよりお前、当主様呼び捨てにすんなよ!!」


旅人「はいはい。それは、当主が良いって言ってんだからいいだろ?」

仔狼「当主様は偉いんだぞ!!」

旅人「知ってるって。偉いよなぁ~あんなに若いのに当主をしているなんて」

仔狼「当主様は若くないぞ」

旅人「30代くらいだろ?まだ若いだろ」

仔狼「違う。当主様は確か、300歳いってる筈だ。父ちゃんが言ってた」


旅人「は!?ウソだろ!?」

仔狼「父ちゃんは嘘言わない!エルフの中でも長寿の種で、500まで生きるって言ってた」

旅人「マジでか…小さいお前は14だし魔族の歳はわからないな…」

仔狼「俺はこれから大きくなるんだよ!バァカ!!」

旅人「はいはい。にしても300か…300…」

仔狼「…お姉ちゃんは何歳なんだ?」


旅人「奴隷は今年16だな。幼女ちゃんは?」

仔狼「4歳って言ってた」

旅人「4歳…お前それは…いや、なんでもない」

仔狼「?おい、もう帰るからな。買うもの買ったしな」

旅人「おー。の前に、奴隷迎えに行くか。魔法研究所ってどこにあるんだ?」



結界の街(鳥) 魔法研究所

奴隷「凄いわ…こんな立派な研究所だなんて」

当主「魔法に強い魔族、エルフがいますからね。もちろん人間もいますが。ここは魔法に特化した者たちが働いてます」

当主「女研究員、少しいいかしら?」

女研究員「はい。なんでしょうか所長?」


奴隷「所長?」

当主「私、此処の所長も務めてますので。女研究員、この方に街の結界魔法の術式を教えてあげてください」

女研究員「え?でもあれは…」

当主「いいのです。お願いしますね」

女研究員「…わかりました」


当主「私はここで。役所に戻って仕事をしなければいけませんから。良い知らせを期待しております」

奴隷「はい。ありがとうございました」

女研究員「こちらへ」



奴隷「これが…」

女研究員「結界術式です」

奴隷「資料は随分と古いものから新しいものまであるんですね」

女研究員「300年も前から研究されてますから。その分が此処にひとつ残らずあります」

奴隷「この部屋にあるもの全てが結界の資料ですか?」

女研究員「はい。一応年代別に分けてますからそれを頼りに探してください」


奴隷「…ありがとうございます。」パラパラ

奴隷「随分と魔力量を消費するんですね…。それに、多くの人が結界を張るのに必要みたい」

女研究員「この街全体を守るものですから消費量と人員は仕方ないかと。でも、所長が当主になってからは随分と改良されたんですよ?昔は無理な人数にもっと大量の魔力を消費して、死者も出る位で大変だったみたいですし」

女研究員「まぁ、その無理な結界の改善の為に所長は当主になったんですが。その所長が貴方に結界の秘密を教えるなんてびっくりです。」

女研究員「結界の資料は此処にあるだけです。自由に見てください。何かあったら私はさっきの所にいますから。それじゃあ」バタン


奴隷「ありがとうございます」

奴隷「凄い資料の山…さぁ、やりましょうか」




結界の街(鳥) 仔狼の家

仔狼母「さぁ皆、召し上がれ!!」

狼父「凄いごちそうだな。いただきます」

仔狼「いただきます!」

旅人「ありがとうございます。いただきます」

仔狼母「沢山食べてね!でも、本当に奴隷ちゃん待たなくてよかったのかしら?」


旅人「迎えに行ったんですけど、先に帰ってくれって言われましたし。待ってたって知ると恐縮しちゃいますし、大丈夫ですよ」

仔狼父「奴隷さんの分を残しておけば問題ないだろ。この鳥の南蛮漬け上手いな」

仔狼「豚のこんがり照りもうまいよ!!」

旅人「全部おいしいです。仔狼父さんも幸せですねぇこんなおいしい料理作ってくれる奥さんがいるとか、うらやましい限りです」

仔狼父「羨ましいだろう?でも、奴隷さんも素敵な女性じゃないか。「あなた?」いや、もちろん仔狼母が一番だが」

仔狼母「まぁ、あなたったら!そうね。旅人君の恋人も可愛らしくっていいじゃない。二人で旅をしているのでしょう?仲良い恋人でいいわねぇ」フフフ


旅人「そんな、奴隷とは恋人じゃないんです。」

仔狼父「ははは、あんなに仲がいいのにかい?それじゃああと一歩ってとこなのかな?」

旅人「いえ、そんなのでもなく…本当に違うんですよ」

仔狼「へー。お姉ちゃん綺麗だしな、お前にはもったいないもんな」

仔狼母「こら、仔狼。どうしたの?奴隷ちゃん、絶対旅人ちゃんの事好きだと思うわよ?それに、貴方も好きでしょう?」

旅人「いえ、仔狼の言う通りですから…。そうですね…子供のころから好きでしたけど、…奴隷と俺は住む世界が違いますし」


旅人「今は奴隷と一緒に居られますけど、いつまで一緒に居られるかわかりませんから…」

仔狼母「…それはどういうことなの?」

仔狼父「仔狼母。いや、立ち入ったことを聞いてすまなかったね。ほら、遠慮せずにどんどん食べてくれ」

旅人「はい、いただきます」

仔狼「…」



コンコン


仔狼母「あら、奴隷ちゃん帰ってきたのかしら」ガチャ

奴隷「こんばんわ。すみません、こんなに遅くなってしまって…まぁ、凄いごちそうだわ」

仔狼父「お帰りなさい。今食べ始めたところなんだ。さぁ、奴隷さんも席について」

奴隷「ありがとうございます。あら、旅人が好きなのが並んでるのね。リクエストしたの?」

旅人「ああ。何でも好きなのを作ってくれるってゆうから。奴隷が好きなものも作ってもらったんだ」


奴隷「チェリーパイだわ!ふふふ、ありがとうございます仔狼母さん」

仔狼母「いいのよ!貴方たちには仔狼が世話になったもの。遠慮せずに食べてね」

仔狼「お姉ちゃん、これとてもおいしいから食べてよ!!」

奴隷「ありがとう、仔狼。いただきます」モグモグ

奴隷「本当においしいわ!」パクパク

仔狼父「はっはっは。それはよかった!…ところで、二人はいつまでこの街に居るんだい?永住する気なら家を探すのを手伝うよ」


仔狼母「そうね、永住しちゃいなさいよ!この街は良い所よ?」

奴隷「いえ、用事がすんだら直ぐに立ちます…ね、旅人?」

旅人「…そうだな。奴隷の用事が終わったらすぐにでも」

仔狼母「そうなの。残念だわ…」

仔狼父「二人にも事情があるから仕方がないか…所で、奴隷さんの用事はいつ終わるんだい?」

奴隷「約一か月程です」


旅人「一か月!?そんなにかかるのか?」

奴隷「ええ。資料をパッと見ただけだけど、気になるところが多々あったの。どうなるかはわからないけれどもね…もしかしたらもう少しかかるかもしれないわ」

旅人「そんなにか…」

奴隷「…駄目かしら?でも、この位の時間をもらわないと…」

旅人「んー…」

奴隷「…だめかしら?」


旅人「ウッ…まぁこの街良い所だし、旅の資金も尽きてきたしな。丁度いいから俺はバイトしてるよ…」

奴隷「あら、それは良いわね!ふふ、ありがとう旅人」

仔狼母「あらあらまぁまぁ!それじゃあ貴方達が街にいる間の家は私が探すわね!」

仔狼父「そうだな。それだけの期間此処にいるなら家を探さないと。それに、バイトをするのなら俺が紹介するよ。凄く良い所だから安心してくれ」

旅人「そんな、そこまで世話になるわけには…」

仔狼父「いいんだいいんだ。明日は忙しくなるぞ!」


仔狼「お姉ちゃんしばらくこの街に居るの?」

奴隷「ええ。よろしくね?」

仔狼「うん!いろんな事して遊ぼうね」ヘヘヘッ

仔狼母「仔狼は明日から学校だからあんまり遊べないわよ~?」

仔狼「え!?」

仔狼母「人化したんだもの、当たり前じゃない。それに、今回の騒動での償いで清掃ボランティア一か月もあるのよ?」


仔狼「うぇ~」

奴隷「ふふっ頑張ったらご褒美あげるから、頑張ってね」

仔狼「本当!?俺頑張るよ!」

仔狼母「まぁこの子ったら現金なんだから」

仔狼「へへへっ」


旅人「…すみません、仔狼父さん」

仔狼父「なんだい?」

旅人「仔狼って女好きですよね?」

仔狼父「ははは。…すまないね」




旅人「お帰り」

奴隷「ただいま。今日は早かったのね」

旅人「明日は森の魔物鎮静の為に一日帰れないかららしい。奴隷は最近どうだ?」

奴隷「いい調子よ。今日は当主と一緒に結界の再構築の実験をしたの。上手くいったわ。この分だと、あと一週間で終わりそうだわ」

旅人「さっぱりわからんけど調子がいいなら良かった。あと一週間か…」

奴隷「ええ。すっかりこの街に慣れたから少しさびしいけれど、しょうがないわね」


旅人「そうだな…この街に居たいなら、此処に住んでもいいんじゃないか?」

奴隷「そうね…。でも、私は旅を続けたいわ」

旅人「…そうだな。旅に出る前に仔狼一家にお礼しないとな」

奴隷「そうね。こんなにいい一軒家をしかもタダで貸してくれる人を紹介してもらったものね」

旅人「あと、仕事も紹介してもらったし」

奴隷「まさか警備隊に入るだなんて思わなかったわ」

旅人「すごくきついけどな…。でも、遣り甲斐はあるから好きだよ、警備隊」


奴隷「ふふっ。…旅が終わったら此処に住むのもいいわね」

旅人「…ああ。そうだな」

奴隷「さぁ、今日は何を食べたい?何でも言っていいわよ」

旅人「俺も手伝うよ。たまには奴隷が食べたいものを作ればいい」

奴隷「いいの?そうね、それじゃあ…」

今日はこれで終了。完全に自己マンssになってるけどとりあえず最後まで書きたい…


結界の街(鳥)
森 結界周辺

旅人「仔狼父さ…じゃない。隊長!全隊員警備配置に就きました!!」

仔狼父「ああ、では当主様にこちらの準備は完了したと伝えてきてくれ」

旅人「了解しました!!」タタタッ

副隊長「旅人君よく働いてくれますよねぇ」

仔狼父「ああ。ずっと居て欲しいんだがなぁ」


副隊長「結界張り終えたらまた旅に出るんでしたっけ?」

仔狼父「そう言ってたな。これが成功すれば直ぐにでも発つらしい」

副隊長「もったいないですよねぇ。私より強い人間なんて滅多にいないですよ?それプラス働き者とか…ずっと居てくれればいいのに」

仔狼父「そんなこと言うもんじゃない。彼らにも理由はあるんだから。あと、旅人は俺よりも強いぞ」

副隊長「げ、本当ですか?それ殆ど敵無しじゃないですか。隊長、魔族軍に居た時も隊長してたんですよね?それより強いとか彼本当に人間ですか?」

仔狼父「魔族軍に居たのはもう20年も前の話だ。それに、俺は隊長の中でも一番弱かった」


副隊長「でも、今の方が断然強いですよね?それより強いとか…ないわー」

仔狼父「まぁな。それだけ場数踏んでるんだろ…」

副隊長「ふーん。まだ二十歳にもなってないってーのに何があったんですかねー」

仔狼父「さぁな。俺たちが知る事じゃないだろ…」

副隊長「そうですけどー。あ、結界が」

仔狼父「始まったな…」


奴隷「旅人は此処にいていいの?」

旅人「俺の配置場所此処だから。奴隷は此処に居ていいのか?」

奴隷「私は呪文の再構築と展開までだもの。あとは結界とゆう形にするだけだから、何処に居ても一緒なの」

旅人「そうか。手伝えばいいのに…出来るだろ?」

奴隷「出来ないわよ」

旅人「奴隷、魔法に関しては誰よりも強いだろ?」


奴隷「人間の中ではね。ここじゃあ十人並みよ」

旅人「そんなことは…ああ、首輪」

奴隷「首輪がなくても同じ。知識はあるから改善は出来たけれど、魔力が足りないから形にできないの」

奴隷「それに、私の魔力って普通のと少し違うから、大勢の人が協力しなければいけない魔法には向かないの」

旅人「そうなのか」

奴隷「ええ。…ここからだと当主達がよく見えるわね」


旅人「見えなかったら警備配置の意味がないだろ。にしても、真剣だな…」

奴隷「あたりまえでしょ?実験では上手に出来たけれど、本番でどうなるかなんてわからないじゃない」

旅人「よくわからんけど大変なんだな」

奴隷「大変なの。ああ、完成したみたいね」

旅人「もうか?大体3時間かかるって聞いたんだけど。まだ30分も経ってないぞ」


奴隷「それは前の話でしょう?新しい結界術式が上にあるから見てみなさいよ」

旅人「…あ、鳥の紋章の形になってる」

奴隷「鳥は街のシンボルでしょう?組み込んでみたの。どう?」

旅人「わかりやすくていいんじゃないか?なんかかっこよくなったし」

奴隷「でしょう?これを組み込むのに一週間はかかったわ」フフン

旅人「へー。あ、当主がこっちに来るぞ」


奴隷「あら、どうしたのかしら。結界は成功したわよ」

旅人「何か不備が見つかったとか?」

奴隷「そんな筈は…」

当主「奴隷さん!!」

奴隷「なにか不備でもありましたか?」

当主「いいえ、いいえ、不備など一つもありません!!」


当主「私は、これまで生きていてこんなに喜ばしい日はありません!!これも全て奴隷さん、貴方のおかげです!!」

当主「私はこの街にきて結界の事ばかり考えていました。もっといいものは出来ないか改善の余地はないのかと!!」

当主「それを貴方はたった一か月で変えてしまった!作ってしまった!!」

当主「悔しい気持ちはもちろんありますが、でも、それ以上にこの結界は素晴らしい!!」

当主「きっと、私では私たちでは一生を懸けてもここまで素晴らしい結界は作れなかった!!」


当主「本当に、本当にありがとう!!」

奴隷「…それは違います。この結界が出来たのは当主、貴方の力があったからです。きっと、貴方がいなければこの結界は出来ませんでした」

奴隷「私はただ、魔法研究所の皆が考えた術式を少し崩して構築し直しただけですから。私なんていなくてもこの結界は完成していたと思います」

当主「そんなことはありません!貴女は素晴らしい方です!!」

女研究員「そうですよ!今日はお祝いです!!食べて飲んで騒いじゃいますよ!!」


当主「さぁさ、奴隷さんこちらへ!!」グイグイ

奴隷「きゃっ、た、旅人!」ズルズル

旅人「いってらっしゃーい」ヒラヒラ

旅人「…さて、警備隊に戻ろうかな」


結界の街(鳥)
正門


仔狼母「早いわね、もう行ってしまうの…」

奴隷「お世話になりました。また、寄らせていただきます」

仔狼母「いつでも来て頂戴ね。歓迎するわ!」

旅人「隊長!本当にお世話になりました!」ガシッ

仔狼父「旅人がいなくなると寂しくなるな。街を出ても鍛錬を怠るなよ!」ガシッ


旅人「はい!」

仔狼母「…男どもは暑苦しいわね」

奴隷「こんな旅人見るの初めてだわ」

仔狼「お姉ちゃん行かないでよ…」

奴隷「ごめんね、仔狼。でも、私旅を続けたいの」

仔狼「…旅ってそんなに良いものなのか?」


奴隷「とっても。いろんな場所が見れて楽しいわよ?つらいこともあるけれど、でも、良い事もあるからやめられないの。あぁ、そうだ。これを仔狼に」チャラ

仔狼「魔法石のペンダント?お姉ちゃんこれ…」

奴隷「守護魔法を込めた石で出来てるわ。頑張ったご褒美よ。貴方を守ってくれますように」

仔狼「…ありがとうお姉ちゃん。」ダキツキ

奴隷「また遊びに来るわね」ナデナデ


旅人「この女好きめ…」

仔狼父「まぁまぁ。それより、旅人。人生の先輩として俺から一つだけ」

旅人「なんでしょうか」

仔狼父「いつまでいられるか、じゃない。いつまで居たいか、が大事だからな。ずっと一緒に居たいのなら何があっても離れない覚悟をしろ。ずっと一緒に居るためにはどうすればいいのか考えろ。最初から諦めていては何も出来なくなる。一緒に居たいんだろ?お前を見ていたらわかるよ」


旅人「…」

仔狼父「お前に何があったのかわからない。俺が偉そうに口を出す事じゃないのかもしれない。けどな…旅人を見てると不安になるんだ」

仔狼父「困ったことがあったら此処に来い。頼りないかもしれないが、俺は此処にいるから。出来る限り力になるからいつでも来い」

旅人「はい…ありがとうございます」

仔狼母「もうそろそろ行かないと今日中に聖都に着けなくなるわね」


奴隷「はい。本当にお世話になりました」

仔狼母「こちらこそ、街の皆を代表してお礼を言わせて。町の為に尽くしてくれてありがとう。私たちはいつでも貴方たちを歓迎するわ」

奴隷「そう言っていただいて、嬉しいです。それではまたいつか…旅人」

旅人「ああ行こう。本当にお世話になりました。いつかまた、必ず来ます!」


仔狼母「またいらっしゃいね!!ごちそう沢山作るわ!!」

仔狼「お姉ちゃん元気でね!ついでに旅人もな!!」

仔狼父「またな!!」


当主「行ってしまいましたね…」

仔狼母「当主様も一緒に見送ればよろしかったのに」

当主「引き留めてしまいそうでしたから…それに、遠くから見守る方が当主らしいでしょう?」

仔狼父「なんですか、それ。…本当に、この街に欲しい人材でしたね」

当主「ええ。でも、近いうちに会えそうな気がします。」


仔狼「俺もそう思う!」

仔狼母「そうね。近いうちにきっと…さぁ、中に戻りましょう」

当主「はい。その前に…」



奴隷「仔狼父さんと何を話していたの?」

旅人「ん?あー…現実から目をそらすなって感じの事を言われただけだよ」

奴隷「どういうこと?」

旅人「答えが出たら話す」

奴隷「絶対よ?約束ね」

旅人「いつになるかわからんけど、約束な。」


奴隷「良い所だったわね」

旅人「もっと早く来たかったな」

奴隷「そうね。でも、今じゃなければ来れなかったわ」

旅人「それもそうか…あれ、道が光ってる?」

奴隷「この魔力、当主様だわ。道案内してくれるのよ」

旅人「街に来た時の事恨んでたからなぁ。さっさと森を抜けて欲しいんだろう…」


奴隷「言わないの。魔力が切れてしまうわ。早くいきましょう」

旅人「ああ」

奴隷「次は聖都ね」

旅人「水と美と芸術の街、だったか」

奴隷「とても綺麗な所らしいわよ」


旅人「栄えてるんだろうなぁ」

奴隷「聖都だもの。教会が街を牛耳っているらしいから、注意しないといけないわね」

旅人「わかってるって…行こう!」

奴隷「ええ!」


一章完

次回予告
奴隷「この手枷可愛いわね」勇者「奴隷制度は廃止すべきだ!!」

おやすみ。また今度

少量だけど、投下。

奴隷「この手枷可愛いわね」勇者「奴隷制度は廃止すべきだ!!」


聖都
正門

旅人「着いた…長かったな…」

奴隷「森は半日で抜けたけれど、平原で時間を取られたわね…お風呂に入りたいわ…」

旅人「時間早いけど宿屋に行くか?」

奴隷「そうしましょう。お風呂に入ったら商店街に行きたいわ」


宿屋主人「ツインベッド一部屋で100ゴールドです」

旅人「はい」チャリンチャリン

宿屋主人「丁度いただきます。ありがとうございます。…そこの女性」

奴隷「なんでしょうか?」

宿屋主人「…いえ。良い夜を」

奴隷「?ありがとうございます…」


奴隷「なんだったのかしら…」

旅人「さぁな。奴隷が珍しかったとか」

奴隷「まさか。今どき奴隷なんて珍しくないわよ。ひどい扱いをされる事もなくなって、奴隷といえど平民と同じような扱いになってるじゃない。今では奴隷=働き者の労働者として大切に扱われているわ」

旅人「小さな町ではいまだに酷い扱いされてる奴隷もいるみたいだけどな。大きな町ではなくなってるみたいだけど。…それに、此処では珍しいんじゃないか?まだ一人も奴隷を見ていない」

奴隷「そういえば、そうね…」キョロキョロ


旅人「大体、この街なんか変じゃないか?」

奴隷「なにが?」

旅人「教会中心の街とはいえ、街全体が清廉潔白すぎというかなんというか…気味が悪い」

奴隷「確かにそうね。大きな町だけど、結界の街に比べると全然活気がないわ…」

旅人「街の外壁横に、旅商人の露店商店街があったな。そっちにいこうか」


奴隷「こっちは活気があっていいわね」

旅人「ああ。」

露店商人「そこの旦那、旅人かい?お土産にどうだい、この聖都名物騎士饅頭は」

旅人「食い物はいらないよ。長旅なんだ、悪いな」

露店商人「それじゃあこの飾り物はどうかな?聖都のシンボルが入ってる水晶の置物だ」

旅人「荷物になるからいらないよ。あ、この肉まん二個貰おうかな」


露店商人「まいど!ほらよ」

旅人「ありがとう。ほら、奴隷。熱いから気をつけろよ」

奴隷「ありがとう」

露店商人「おや、あんた奴隷持ちなのかい」

旅人「…一応ね」

露店商人「そうかい。別嬪さん、この人はいい主人かい?」


奴隷「ええ、とてもいい主人ですわ」フフッ

露店商人「はっはっは、そうかいそうかい。だったら、この聖都は早く出た方がいいかもしれないね」

旅人「なんかあるのか?」

露店商人「ああ。半月ほど前に勇者が選ばれただろう?」

旅人「あー…」

奴隷「大陸最大国家発行で、魔王討伐の為に勇者を選抜するって情報掲示板に張り出してあったわ」


旅人「魔王討伐?また物騒だな」

奴隷「近年魔物が活性化して被害が拡大してきたから、魔物の王である魔王を討つ、と書いてあったわね」

旅人「また短絡的な…」

露店商人「あんた達今まで田舎町に居たのかい?その情報は古すぎるよ」

旅人「確かに情報が入るのは遅かったな…。で?新しい情報ってなんなんだ?」


露店商人「もう勇者は選抜されたって事さ。それで、その勇者はこの聖都を守っている聖騎士から選出されたんだよ」

奴隷「それでは、今この街には勇者様がいるってことですか?」

露店商人「ああ。近々魔王討伐の旅に出るらしいけどね。まだいるよ」

旅人「へー。ま、俺たちには関係ないだろ」

露店商人「それがあるんだよ。主人みたいな奴隷持ちにはね」

奴隷「どうゆうことですか?」


露店商人「勇者様は奴隷解放を訴えているんだよ。人と人との間に階級はあるべきではないと言ってね」

旅人「へー。良い人なんだな」

露店商人「あんたわかってるかい?あんたの奴隷が取り上げられるかもしれないんだよ?」

旅人「まさか。勇者様の言ってる事は正しいけれど、この王政国家でそれは無理に等しいだろ。それに、今では奴隷制度なんてあってないようなもんじゃないか」

露店商人「それがあるんだよ。教会がその考えに賛同してね。聖騎士も奴隷解放に乗り出している。現に俺は奴隷を連れて行かれた」


奴隷「それは…」

露店商人「勘違いしないでおくれよ別嬪さん。ひどい扱いなんかしていないからな」

露店商人「俺は国を行き来して商売してるんだが、一人じゃ何かときついからね。誰か雇うよりかは奴隷がいた方がいいんだよ。といってもきちんと給料は払っていたし、ある程度の自由は与えていたんだ。それを無理やり…」

旅人「連れて行かれたんですか?」


露店商人「ああ。聖騎士達に連れて行かれた。…戻ってくるからまた雇ってくれって言いいながら連れて行かれたよ。もう五日たつが戻ってこない」

露店商人「ははは、嫌になって逃げたかな…。主人も、別嬪さんと離れたくないんなら早く出た方がいい。この街の奴隷は全部教会に没収されたからね」

旅人「…忠告ありがとう。気を付けるよ」

奴隷「戻ってきてくれるといいですね」

露店商人「ありがとう!別嬪さんもいい旅を!!」

とりあえず、ここまで。
ギャグにしたいんだけど、どうしても出来ない。
また明日

短いけど、投下


奴隷「どうゆうことかしら」

旅人「…嫌な感じがする。来たばかりだけど、もう出ようか」

奴隷「そんな、宿屋の料金はもう払ってしまったのよ?一泊位しましょうよ」

旅人「でもなぁ…」

奴隷「この街には教会の天井画を見に来ただけでしょう?そのあと直ぐに街を出れば大丈夫よ。ね?」


旅人「…一泊だけな。満足したら直ぐに出るぞ。」

旅人「あと、この街にいる間は首輪を何かで隠しておくこと」

奴隷「ありがとう!そうね、皆この首輪で私を奴隷だと断定しているみたいだし、マントで見えないようにしておくわ」カクシカクシ

旅人「よし、見えないな。それじゃあ、少し腹減ったし聖都名物の料理でも食べに行こうか」

奴隷「良いわね。この街の名物は魚料理らしいわよ?」


旅人「流石水の都と言うだけあって魚料理が豊富で旨かったな」

奴隷「本当、とても美味しかったわ。お腹いっぱいよ」

旅人「少し散歩していくか」

奴隷「ええ。そうだ、街中の商店街はまだ見ていないから行きたいわ」


奴隷「アクセサリーショップだわ。見てくるわね」

旅人「俺も行くから」

奴隷「あら、何か買ってくれるの?」

旅人「手枷足枷以外なら」

奴隷「それじゃあいいわ」

旅人「ハァ~…」


奴隷「すぐ隣には武器と防具の店があるのね」

旅人「あー…俺新しいブーツ欲しいんだよなぁ…」

奴隷「見てくればいいじゃない」

旅人「一緒に行くか?」

奴隷「私はアクセサリーショップに居るわ。すぐ来るでしょう?」


旅人「…ちょっと覗いてくる。中で待っててくれ」

奴隷「ええ。いってらっしゃい」

旅人「すぐ戻るから」タタタッ

奴隷「はいはい。…さてと、良い拘束具ないかしら?」スタスタ

これだけです。また今度…


奴隷「この手枷可愛いわ…セットで足枷があれば…あるわね。…この値段なら、買えるわ」

??「失礼いたします。勇者様に代わり、奴隷商品の没収に参りましたです」

アクセサリーショップ商人「こ、これは僧侶様。うちはまだ奴隷商品の片付けが済んでないんですよ…直ぐに片付けますので」

僧侶「条例が公布されたのは一週間前です。準備期間はあったはずです。例外は認められませんです」

アクセサリーショップ商人「そう言われましても、これも商品なんだから没収されたらうちが困るんですよ」


僧侶「決まったことですから従っていただかないと貴方を逮捕することになりますです」

アクセサリーショップ商人「そんな横暴な!!」

僧侶「決まりですのでです」

アクセサリーショップ商人「販売はしませんから!!貴重な素材を使った道具もあるんです。ばらして他の道具にしますから」

僧侶「その準備期間は一週間与えましたです」


僧侶「今すぐ、この店の奴隷用商品を教会が没収しますです」

アクセサリーショップ商人「そんなことされたらうちはどれだけの損を!!!」

僧侶「条約に従わなかったお店が悪いです。兵士さん方、お願いしますです」

兵士1「すぐに」ガチャガチャ

兵士2「片付けます」ガチャガチャ

僧侶「全てつめたら教会へ持って行ってくださいです」


兵士1・2「了解いたしました」ビシッタタタッ

アクセサリーショップ商人「あぁ、うちの商品が…!!!」

僧侶「諦めてくださいです。…そこの貴女が手に持っているもの、それも奴隷用商品です?お渡しくださいです」

奴隷「えぇっと…」チラッ

アクセサリーショップ商人「うっうぅっ」グズグズ

僧侶「貴女、旅人さんです?私、僧侶と申しますです。お見苦しい所を見せたです」


僧侶「勇者様の仲間の一人です。今は勇者様のお手伝いで条例違反のお店を摘発中です。怪しいことは一つもないので安心してほしいです」

奴隷「はぁ…」

僧侶「わかって頂いたらその商品を私に…」

??「僧侶、こちらの店は終わったのか?」

僧侶「勇者様!!あそこの女の人が持っているのでこのお店のはおわりです!!」

勇者「了解した。そこの方、商品を渡して頂いても?」


奴隷「…どうぞ」

勇者「ありがとう。では僧侶、行こうか」スタスタ

僧侶「はいです!!旅人さん、良い旅をです!」

奴隷「…」

旅人「悪い奴隷、遅れた…凄い荒れ様だなこの店。強盗にでもあったのか?」

アクセサリーショップ商人「俺の店が~商品が~」グズグズ


聖都
宿屋の一室

旅人「そんなことが…」

奴隷「あまりの出来事で反応も出来なかったわ…」

旅人「徹底してるな。奴隷を解放して奴隷用の商品も販売しない、か」

奴隷「でも、その割には解放された奴隷が見当たらないわね」

旅人「故郷に帰されているのかもな。ほとんどの奴隷が他国出身者だろ?」


奴隷「そうかもしれないけど…それでも変だわ」

旅人「もしかしたら、もう市民として暮らしているのかもしれない。俺たちが考えてもわからないだろ」

奴隷「そうね……」

旅人「そういえば、教会見に行っても大丈夫なのか?」

奴隷「…何か心配事?」

とりあえずここまで。明後日休みだからその時に一気にアップできたらと


旅人「教会って奴隷がいた所だろ。見知った人がいて光の巫女様だとばれたりしないのか?」

奴隷「それは安心して良いわ。私が居たのは教会ではなく神殿だもの」

旅人「何か違うのか?」

奴隷「神殿と教会は信仰している神様は一緒だけれど、管理している人が違うの。神殿は国の管理下にあるけれど、教会は教皇様が管理しているわ」

旅人「へー…で、何が違うんだ?」

奴隷「そうね…わかりやすく言うと、成り立ちと在り方かしら。創世記は知ってるわよね?」


旅人「世界の成り立ちの本か?確か、神が宇宙を作り女神が世界を作った…てやつ」

奴隷「それは神の章の初めの方ね。他に人の章、エルフの章、魔の章、世界の章があるけれど、全て読んだの?」

旅人「俺が読めるとでも?」

奴隷「……人の章の一節に、人間の国の一つが神から光の巫女を授かり繁栄するってあるの。人間の国の一つ、というのはこの中央国ね。そしてこの中央国の王は巫女を穢れから護る為に神殿を建てた。神殿は巫女を護る為のものだから、中央国にしかないわ。…此処までは良い?」

旅人「なんとか」

奴隷「…教会は……説明が難しいのよね……」


旅人「簡単に頼む」

奴隷「簡単に…。教会を作ったのは市民よ。市民が集まり、神を崇拝する場として教会を作ったの。教会の総本山である教会国は元は超弱小国家で、そこの国王は教会の教えに妄信して国を譲り渡したわ。名を教会国と改め、拠点として教会は市民の光として教会の教えを全世界に広めたのよ。教会は全世界に布教したことにより、教会の…」

旅人「もういい。眠くなってくる」

奴隷「まだ序盤よ?」

旅人「なんとなく理解できた。神殿は国が作って教会は市民が作ったものだから関わりはないって事だろ?」

奴隷「簡単に言ってしまえばね。それと、神殿は巫女の為に。教会は市民の為にあるってくらいかしら」


旅人「…へー」(今は神殿に巫女がいないんだが大丈夫なのか?やばいんだろうな…あまり考えないようにしよう)

奴隷「私は神殿に居たから、教会の人とはあまり面識がないの。教皇様や司祭様とは面識あるけれど、牧師様や聖騎士との面識はなかったわね」

奴隷「教会の天井画を見る位なら平気よ」

旅人「へー。…じゃあ、国の関係者は知り合いいるのか?」

奴隷「…国王様に連れられて色んなパーティに参加させられた時期があったのよね…広く知られていると思うわ。だから、極力貴族や騎士には近づかない様にしているの」

旅人「ああ、だから町の領主を懲らしめた時にあまり顔を出さなかったのか!!」


奴隷「あの時は…そうね。あの貴族、パーティの時に毎回私にまでご機嫌伺いに来るものだから、顔を覚えられていると思ったの。それだけでなく、あまり近寄りたい人物ではなかったからでもあるけれど」

旅人「率先して魔法を仕掛けそうなのに、宿屋から出ないから変だと思ったんだよ。そうか、納得したわ」

奴隷「宿屋から出なかったのは孤児の子供たちの面倒を見ていた事もあるけれどね」

旅人「貴族に騎士は駄目か…俺も近寄らない様に気を付けるよ。というか、関わること自体なさそうだけどな。あの領主が特別」

奴隷「…あれは、旅人が領主の遣り方に怒って率先して関わって行ったように思えたけれど」

旅人「…今度から気を付ける。にしても懐かしいな。町の人たち元気かな?」


奴隷「活気のある素敵な町を作ってるわよ」

旅人「子供たち元気に手伝ってんだろうな」

奴隷「そうね。笑いながらやってるんじゃないかしら。あの子たちとても楽しかったから。…子供。…ねぇ旅人。此処に来て子供って見かけた?」

旅人「そういえば見てないな」

奴隷「何かおかしいと思えば、子供がいないのねこの街」

旅人「子供の数なんて、街によるだろ。学校じゃないか?」


奴隷「街の人の笑い声も聞こえなかったわよ」

旅人「聖都だから静かに……。静かに。…誰かが扉の前に居る」

旅人「え?」


コンコン コンコン


旅人「…」


奴隷「誰かしら?」

宿屋主人「失礼します。お食事をお持ちしました。開けてもよろしいですか?」

奴隷「…頼んだ?」

旅人「いや」

旅人「…そんなものは頼んでいないのですが。部屋を間違えていませんか?」

宿屋主人「食事は、当宿屋をご利用いただくお客様全てに提供させて頂いてます」


旅人「せっかくですが、もう食べてきたので食事は必要ありません。お引き取り下さい」

宿屋主人「それは…」

勇者「主人もういい。魔法使い」

魔法使い「命令しないでくれる?爆炎魔法!!」


ドォン!! ガラガラ


旅人「!?奴隷!!」ガバッ


奴隷「きゃあ!!」ズシャ

勇者「大人しくドアを開けておけばこんな乱暴な開け方をしなくてよかったのに」

僧侶「そうです!!」

旅人「ゲホッゲホッ奴隷無事か?」

奴隷「ケホッ…ありが、とうケホッ…大丈夫よ。貴方達、いきなりなに?」

僧侶「此処に奴隷が捕まってるって通報があったです!大人しくするです悪党め!!って貴女はあの時の女の人です」


勇者「あの時?ああ、アクセサリーショップの。彼女が…可哀そうに…」

魔法使い「知り合いなの?」

僧侶「はいです!アクセサリーショップで拘束具を渡してもらったです!!」

魔法使い「はぁ?わからないわよ。もう少し詳しく話しなさい」




旅人「…やばいな」ボソ

奴隷「何が?何しに来たのよあの人たち」ボソ

旅人「奴隷を没収しに、じゃないか?」

奴隷「え!?なんでここが…」

旅人「宿屋主人だろ。見てみろ、凄く狼狽えてる」


奴隷「…本当。狼狽える位なら通報しなければいいのに」

旅人「理由があるんだろ。逃げるか…奴隷、煙幕魔法使えるか?」

奴隷「使えるわ。……でも、待って」

旅人「話は後で聞く。取りあえず、頼む」

奴隷「わかったわ…」



魔法使い「ふぅん。そんなことがあったの」

僧侶「あの時気づいていればよかったです」

魔法使い「貴女どんくさいから。もう少し観察力を養ったらどう?」

僧侶「うぅ~」

勇者「二人ともその位にしろ。今は彼女を救いだす事が先決…」

奴隷「煙幕魔法」モクモクモク



ガシャンッ タタタッ


勇者「これは!?」

僧侶「何も見えないです~!ゆ、勇者様~どこです~!!」

魔法使い「っ風魔法!」ヒュー

勇者「ありがとう魔法使い。彼女は…連れ去られたか」


僧侶「目が痛むです」

魔法使い「水で洗えば治るわよ。それより、二人はまだ遠くに行っていないはず」

勇者「助けに行こう!!」

僧侶「その前に水がほしいです~」

魔法使い「…水魔法」

僧侶「うひゃぁぁぁ~!冷たいです~!!」





旅人「はぁっはぁっはぁっ、…此処まで来れば、大丈夫だろ…」

奴隷「…そうね。ありがとう此処まで抱いてきてくれて」

旅人「俺の方が足速いから…早くこの街を出よう」

奴隷「待って。…私、捕まるわ」

旅人「駄目」


奴隷「気になるのよ。絶対この街何かあるわ」

旅人「俺たちには関係ない」

奴隷「…子供が捕えられてるかもしれないわよ?」

旅人「それは…」

奴隷「この街、奴隷がいないのは条例で納得できるけれど、子供がいないのはおかしいわ。推測でしかないけれど、子供は教会に居るんじゃないかしら」

旅人「そうだとしても駄目だ。危険すぎる。一人で行くのは駄目。行くなら俺も行く」


奴隷「一緒に行っても離されるわ。貴方が捕まれば何されるかわからないから一人で行く方がいいのよ。奴隷は保護対象なんでしょう?酷い事はされないわよ」

旅人「でも…」

奴隷「大丈夫。お願い、行かせて?気になるのよ」

旅人「……わかった。2日…1日経てば迎えに行くから」

奴隷「ええ、ありがとう。それまでにはどうなっているのか調べておくわ」

旅人「……」




勇者「こっちの方に逃げたんじゃないのか…」

魔法使い「追跡魔法はこっちを指しているの。間違いないわよ」

僧侶「魔法使いの魔法が間違ってるです」

魔法使い「なんですって!?」

僧侶「勇者様~怖いです~」


勇者「二人とも、いい加減に…あれは!」タタタッ

僧侶「え?あ、あの人」

魔法使い「さっきの彼女ね」

勇者「よかった!よくご無事で」

奴隷「逃げて、きたんです…もう、酷くされるのは耐えられなくて…」ヨロヨロ

魔法使い「凄く弱ってるわ…早く教会に連れて行きましょう!僧侶、お願い」


僧侶「わかってるです!治癒魔法!!」

奴隷「あ、ありがと、うござい…」フラァ~バタン

勇者「!!直ぐに救護施設へ!!」




旅人「……奴隷って演技下手だな。…無事でいろよ」タタタッ

とりあえず、ここまで。伏線回収、矛盾無を目指してやってきたが全く駄目だな
文章力をあげるよう努力する。駄文だが、読んでくれる方ありがとう。


旅人「逃げたのは良いけど明日までどこに居ようか…」

露店商人「主人!」

旅人「ああ、どうも」

露店商人「あんた無事だったのか!よかった!」

旅人「俺たちに何があったか知ってるのか?」

露店商人「俺たち商人は耳が早いからね。奴隷を連れた旅人があの宿屋に泊ったって聞いたから不安だったんだよ。…別嬪さんはどうしたんだい?まさか…」


旅人「そのまさかだよ。捕まったんだ」

露店商人「そんな!!遅かったか…」

旅人「あの宿屋、なんかあるのか?」

露店商人「ああ…。あそこに奴隷連れで泊ると奴隷を連れて行かれるようになってね…」

露店商人「前は良い評判だったんだよ。おしどり夫婦で有名でな…でも、奥さんを教会に取られてから変わっちまったんだ」

旅人「取られた?」


露店商人「奥さんは元奴隷でね。主人が身分を買って結婚したんだ。でも、奴隷解放の時に元奴隷っていうことで連れて行かれてしまった」

旅人「そんなことがあるのか?市民権を持っていたんだろ?」

露店商人「奥さんの意思を無視して、無理やり結婚したんだろうと言われたそうだ。仲睦まじい本当に仲の良い夫婦だったのに…」

旅人「それは…酷いな」

露店商人「それからだね。あの宿屋に奴隷を連れて泊ると、聖騎士が奴隷を連れて行ってしまうんだよ」

旅人「他国から来た人でもか?」


露店商人「関係ないね。現に主人も俺も連れて行かれただろ」

旅人「……」

露店商人「あそこの奥さんが連れて行かれたのは一か月も前になるか…」

旅人「…この街に奴隷が戻ったって話は聞いたことあるか?」

露店商人「そういえば、聞いてないな…」


露店商人「そういえば、聞いた事ないね……奴隷は全員この国の出身じゃないから国に帰されてるのかもしれんな」

旅人「そうか…ありがとう。ところで、」

露店商人「なんだい?」

旅人「寝るところを探してるんだ。どこかないかな?」




僧侶「医師!患者さん連れてきたです~」

勇者「医師、この方を頼む」

奴隷「…」

医師「どれどれ…!?」

勇者「?どうなさいました?」


医師「…いえ、なんでも。彼女は奴隷ですか?」

勇者「ああ。丁寧に頼む。主人に酷い扱いを受けたみたいでな…いま保護したところだ」

医師「……そうですか。治療を行いますので、そこのベッドに寝かしてください」

勇者「頼んだ。僧侶、俺は司祭様に報告に行くから此処で彼女の看病を頼む」

僧侶「わかりましたです!!」


勇者「頼んだ。報告すれば直ぐに戻る」

奴隷「…」

医師「僧侶さんもお疲れでしょう。ゆっくりお休みになってはいかがですか?」

僧侶「大丈夫です!勇者様に頼まれたんですから頑張るです!」

医師「僧侶さんは頑張り屋さんですね…」


僧侶「へへへです~」

医師「頑張り屋さんの僧侶にお願いしたいことがあるんですが、聞いてくれますか?」

僧侶「何でも言ってください!」

医師「毒消しをきらしてしまいまして…街に下りて買いに行ってもらっていいですか?」

僧侶「街にです?彼女についててって言われたから、あまり遠くにはいけないです…」


医師「彼女の事は私が見てますから安心してください。…頑張り屋さんの僧侶さんにしか頼めない事なんですが…」

僧侶「むむむむ…私に任せるです!!毒消しを直ぐに買ってくるです!!」ダダダダダッ

医師「おねがいしますねー………さて」

奴隷「……」


医師「…巫女様、ですよね?」

奴隷「……」ピクッ

医師「私は医者ですよ?気絶したふりは通用しません」

奴隷「……」

医師「…光の巫女様が教会に居るだなんて、教皇様が知ったら歓喜しますね。おお、神は我々に巫女様を授けてくださったのだ!!なんて言うんでしょうか」

奴隷「…知らせたら、怒るわよ」ムクッ


医師「おやおや、そんなに教皇様はお嫌いですか。良い方ですよ?」

奴隷「あまり知らないからわからないわ。知っているのは、巫女を神聖視しすぎるって事かしら」ハァ

医師「巫女は神聖なものでしょう。いまさら何をおっしゃるんです」

奴隷「貴方は神聖視なんてしてないようだけれど?」

医師「私は神を好きではないですから。それに、あんな暴言を吐く女性を神聖視なんてできません」

奴隷「……そんな事あったかしら?」


医師「ええ。女性にあんなこと言われたのは初めてでしたからしっかりと覚えています」

奴隷「そうなの。それより、貴方なんでこんな所にいるの?確か、教皇様の専属医でしょう」

医師「軽く流さないで下さい。……専属医は私の先生で、私は先生の何人もいる中の弟子の一人です。質問に答えてもいいですけど、私からも質問をさせてください」

奴隷「なにかしら?」

医師「光の巫女様がなぜ此処にいるんですか?それも奴隷として」

奴隷「光の巫女は辞めて、今は奴隷をしているのよ」


医師「何を馬鹿な事を。光の巫女は神の紋章を持って産まれた赤子に与えられ、それは死ぬまで続きます。貴方は先代の巫女が亡くなり、100年目にしてやっと現れた巫女様ですよ。辞められるわけないでしょう」

奴隷「神は嫌いなんでしょう?何でそんなに詳しいのよ」

医師「私も一応教会に殉じる者ですからその位は知っています。とゆうか、ほぼ全ての人が知っている事です」

奴隷「とにかく、辞めたの」

医師「だから、無理ですよ。今頃血眼になって探しているんじゃないんですか?」

奴隷「教会の人間が知らないのだったら大して探してないわよ」


医師「隠しているんですよ。巫女が居なくなったなんて知れたらどうなる事か…」

奴隷「……」

医師「ハァ~……それで、この事は黙っておいた方がいいですか?」

奴隷「当たり前でしょう」

医師「どうしましょうか。貴方が此処に居ることを教皇様に言ったら、私の処分も取り消してもらえるでしょうし…」

奴隷「処分ってなに?」


医師「破門させられまして。それで此処に、医師として配属させられたんですよ」

奴隷「一番のお気に入りの貴方を破門にするなんて…何をしたの?」

医師「特に何も」

奴隷「まさか、罪をきせられたの?」

医師「ちょっと違いますね」

奴隷「何をしたのよ」


医師「女性と契りを交わしているのを知られただけですよ」

奴隷「思いっきりしてるじゃないの。でも、交遊や婚姻は認められてるわよね?何故それだけで?」

医師「それが、複数人と関係を持っている事も知られてしまいまして。女性たちが争いを始めてしまいして」

奴隷「最低ね」

医師「本当に、最悪ですよ。おかげでこんな辺鄙な所までとばされてしまいました」ハァー

奴隷「貴方が最低なのよ。自業自得じゃないの」


医師「美しい女性を見たら声をかけて褒めないと失礼でしょう?」

奴隷「貴方って…。そういえば、私と初めて出会った時も言い寄ってきたわね、とてもしつこく」

医師「その後あなたに暴言を吐かれてからは言ってませんよ」

奴隷「そうだったわね、思い出したわ。最低な記憶だったから忘れていたのね…」

医師「思い出して頂いて光栄です。それで、知らせてもいいですか?」

奴隷「忘却呪文でも掛けてあげましょうか?」


医師「わかりました、言いませんよ。言っても私に得はありませんしね」

奴隷「戻らなくてもいいの?」

医師「もう先生から教わることはありませんし、帰ってもあそこの女性達とやり直すなんて出来そうにないですから」

奴隷「ありがとう。貴方が信心深くなくて良かったわ」

医師「神は信じていますよ。ただ、好きになれないだけです」

奴隷「そう…」


奴隷「ところで、医師は此処にいつからいるの?」

医師「此処にですか?約十日ほど前からです」

奴隷「最近なのね…。奴隷解放の話は知っているかしら?」

医師「もちろん。あれには私も賛成です。男はどうでもいいですけど、美しい女性が奴隷に身を落としあられもない事をされていると思うと…!!!」

奴隷「……それじゃあ、奴隷とは会ったことあるの?」

医師「毎日会っています。奴隷達は連れてこられてまず健康状態を確認しますからね。私の所に連れてこられるんですよ、今の巫女様みたいにね」

ここまで。また今度


奴隷「その後は何処に連れて行かれるの?」

医師「私は知りません。奴隷解放のための手続きでもするのではないですか?市民権の取得等様々な事が必要になってきますから」

奴隷「奴隷達と話はしていないの?市民権を得た後は何処に行くのか話さなかったのかしら」

医師「自分の国に帰ると言う女性もいましたが、ほとんどの女性は街に帰ると言っていました。赴任したばかりで右も左もわからない私に街を案内してくれると言ってくれたんですが、一度も誘いはありませんね…」

奴隷「……それはいつの話かしら?」

医師「赴任して初日からえすから…十日前と九日前、八日ま


奴隷「毎日聞いていたのね。それで、その人達はどんな人達なの?」

医師「どの方も美しく心優しい女性です。働きづめで疲れた私を労りあんなことやこん」

奴隷「子供はいなかったの?」

医師「子供?子供は看ませんよ。此処に来るのは奴隷か教会職員のみです」

医師「此処は教会奥にある診療所ですからね。子供が診療するとすれば教会に併設している病院でしょう」

奴隷「……そう。色々教えてくれてありがとう。それじゃあ私行くわね」


医師「待ってください、勝手に出て行かれては困ります」

奴隷「でも、行かないといけないのよ」

医師「もう夜ですよ。薬品臭いですが此処で休んで下さい」

医師「貴女が光の巫女だと知る人は此処にはいません。逃げなくても、私に会ったのは偶然ですし安心して下さい」

奴隷「司祭様は居ないの?」

医師「此処の司祭は、一年前に司祭に上がったばかりのゴマ磨りしかできない能無しです。巫女様とは面識ありません」


奴隷「丁度いいわ」

医師「ええ。奴隷の身分から脱するにはいいでしょうね。その首輪の呪いも解いてもらえます」

奴隷「好き勝手出来るって事ね」

医師「市民になれば好きに出来ますよ。それにしても、なぜ奴隷になんてなったんです?攫われて売られてしまったんですか?逃げるためのふりですか?」

奴隷「奴隷にならなければ出来ないことがあるからなったのよ」

奴隷「直ぐに行かないといけないの。通してくれるかしら?」


医師「……明日の朝、案内します。今日はもう休んで下さい」

奴隷「ありがとう。気持ちだけ受け取っておくわ」

医師「もう夜です。今行っても、誰もいません。それに、勇者様と僧侶さんが直ぐに来ますよ。大人しく此処に居てください」

奴隷「それが出来ないのよ。明日までに調べたいことがあるの」

医師「いけません。大人しく此処に居てください」

奴隷「……」


医師「明日の朝、案内しますから」

奴隷「…睡眠まほ

医師「巫女様は何がしたいのでしょうか?奴隷にならなければ出来ないことがある、と言うことは奴隷を辞める為に此処に来たわけではありませんよね」

奴隷「貴方には関係ない事よ。いいから、通してくれる?」

医師「それは出来ません」

奴隷「…気絶まほ


医師「私が力になれる事は何でもしますから」

奴隷「…永眠ま

医師「教えて頂けないなら、巫女様の事を教皇に話しますよ」

奴隷「…ハァ。わかったわ」


医師「そんな、彼女たちが帰っていないなんて…。だから私の元に来なかったんですね」

奴隷「子供もいないのよ。それと、奴隷には男性もいたのよね?」

医師「ええ。よく覚えていませんが、取りあえずみんな元気でしたよ。多分」

奴隷「街には誰も帰っていないわ。本当に何も知らなの?」

医師「申し訳ございませんが何も…。此処に赴任してから、奴隷解放の事しか聞いていません」

奴隷「そう…。やっぱりおかしいわ、この教会」


医師「ええ。シスターが私に見向きしないなんて変です」

奴隷「……とにかく、この原因を調べたいの」

医師「協力しますよ。まずは奴隷達がこの後何処に連れて行かれるのか調べないといけませんね…」


トントン


医師「!!巫女様、ベッドに横になってください」


勇者「失礼します」

医師「どうぞ。これは勇者様。報告はお済に?」

勇者「ああ。…僧侶は何処に?看ているよう頼んだんだが」

医師「申し訳ございません。どうしても必要な薬品がありまして、買いに出てもらいました」

勇者「いや、先生の役に立ったのならよかった。それで、彼女は…?」

医師「一度意識を取り戻したのですがまた気を失ってしまいまして…。よほど大変な目にあったのでしょうね」


奴隷「……」

勇者「そうですか…。しかし困ったな。この後牧師様の所に連れて行かなければいけないんだが…」

医師「今夜はこのままここで休んでもらいましょう。牧師様の元へは私が連れて行きますよ」

勇者「しかし…」

医師「彼女は明日の朝に牧師様の元へお届けしますから。勇者様も忙しいでしょうし、私にお任せください」

勇者「…それでは、お願いします。牧師様へは私から伝えておきますので」


医師「ありがとうございます」


バタバタバタ、ドゴンッ


僧侶「せ、せんせ~、毒消し、買ってきたですー!!」ハァハァ

医師「僧侶さん、わざわざありがとうございました」

勇者「僧侶、もう少し静かに出来ないのか」


僧侶「あわわ、勇者様です!!サボっていたわけではないです!!」

勇者「先生から聞いた。お疲れだったな」

僧侶「えへへです~!頑張り屋さんですから当然です!!」

勇者「これからもよろしく頼む。先生、俺たちはこれで失礼します。明日、お願いします」

医師「お任せください。勇者様も僧侶さんもお疲れ様でした」

勇者「先生も。僧侶、行くぞ」

ここまで。また今度


僧侶「はいです!!先生お疲れ様です~!!」


ガタン、パタパタパタ


医師「ふぅ…。巫女様、もう大丈夫ですよ」

奴隷「ありがとう」

医師「話は聞いていましたね?今動いても何もできません。今日はこのまま、此処でお休みください」


奴隷「そうね…。明日の朝、お願いするわ」

医師「薬臭いですが、我慢してください。それでは、私は家に帰ります。早朝にまた来ますので、起きていてくださいね」

奴隷「協力してくれてありがとう」

医師「巫女様に恩を売るためですから、気にしないでください」

奴隷「おやすみなさい。もう寝るから出て行ってくれる?」ドンガラッピシャッ

医師「え、ちょ、巫女様!!……追い出されましたね」


医師「さて、朝までに調べないといけませんね。……おやすみなさい、巫女様」






勇者「僧侶、先生に毒消しを買ってくるように頼まれたのか?」

僧侶「はいです!どうしても必要だからって言ってたです!!」


勇者「そうか…」

僧侶「勇者様、どうしましたです?」

勇者「何でもない。少し気になっただけだ。……」

僧侶「……勇者様?」

魔法使い「勇者、僧侶!」

勇者「魔法使い、仕事は終わりか?」


魔法使い「ええ。二人も帰り?一緒に帰りましょう」

僧侶「勇者様は僧侶と帰るです!魔法使いはどっか行くです!!」

魔法使い「僧侶、貴女本当に子供ね」

僧侶「ムキー!!僧侶は子供じゃないです!!ちゃんとおっきなおっぱいあるです!!魔法使いみたいな絶壁じゃないです!!」

魔法使い「ぜ、ぜっぺ!!貴女の言動が子供だと言ってるのよ!!」

勇者「二人とも、静かにしろ!もう夜中だぞ!!」


僧侶「ご、ごめんなさいです…」

魔法使い「…悪かったわよ」

勇者「ハァ…。俺も、怒鳴ってしまってすまない。帰る所は同じなんだから皆で帰ろう」

魔法使い「ええ。……勇者、何かあったの?雰囲気がピリピリしているけれど…」

勇者「何もない。心配するな」

僧侶「勇者様、先生の所から帰ってから変なんです~」


魔法使い「先生って……あの奴隷が気になるの?」

勇者「二人には関係ないことだから、気にしなくていい」

魔法使い「勇者、…」

僧侶「………関係あるです!!」

僧侶「私たちは仲間です!!勇者様の気になる事は私たちも気になるです!!勇者様だけの問題じゃないです!!」

魔法使い「僧侶…。そうよ、勇者。これから一緒に魔王退治に行く仲間なのに、こんな事で喧嘩するなんて駄目よ」


僧侶「そうです!!大体、勇者様は真面目で堅いです!!もう少し柔らかくなるです!!」

魔法使い「僧侶みたいにフニャフニャになられても困るけどね」

僧侶「ムキー!!魔法使いはうるさいですー!!」

勇者「魔法使い、僧侶…。ハハッいつも喧嘩ばかりの二人に言われるなんてな…」

僧侶「私たちはいつもこうです。喧嘩するほど仲がいいです」

魔法使い「そうね。僧侶とは幼馴染だけれど、喧嘩しかしていないような気がするわ」


勇者「ハハッそうなのか…。そうだな。これから一緒に旅をするんだから、仲良くしないといけないな」

僧侶「そうです!!それで、なにが気になるです?」

勇者「ああ、話すよ。二人とも聞いてくれ」



魔法使い「毒消しを街に買いに行かされた?僧侶、貴女バカ?」


僧侶「ば、バカってなんです~!?」

魔法使い「バカだからバカって言ってるのよ。この、バカ」

勇者「魔法使い…」

魔法使い「ごめんなさい、つい本音が。……毒消しなんて、教会の裏の畑で栽培してるじゃない。倉庫に行けば乾燥させたものが大量にあるわよ。わざわざ買いに行かされるなんて…」

僧侶「あ」

勇者「やはりおかしいよな?赴任して直ぐに施設の説明はされているから、知らない筈はないのに…」

此処までまた今度。
いつもはげまされてます。ありがとう


魔法使い「何かあるわね…」

勇者「……先輩騎士に聞いた話なんだが」

僧侶「なんです?」

勇者「あの先生以前居た所では、女性関係が激しく、数々の女性たちを泣かせて向こうに居られなくなり、此処に来たらしいんだ…」

僧侶「それは、酷いです……」

魔法使い「なんでそんな馬鹿がまだ教会に居るの?」


勇者「二人とも、先生には色々世話になっているから先生の治癒術、薬物の知識が誰よりも秀でているのは知っているだろう?」

魔法使い「もちろんよ。あの先生、凄く良い治療をするわね」

僧侶「悔しいですけど、私が使用する治癒術より精度も威力も素晴らしいです」

勇者「あの先生、賢者の資格を持っているんだ。歴代最年少で取得して、向こうでは誰よりも優れた医者だったらしい。彼にしか使えない治癒術もあるって話だ」

魔法使い「そんな凄い人なの!?……それは、例え問題を起こしても、教会は手放したくないわね」

僧侶「何でここにきたんです?」


勇者「此処は各々ある聖都の中でも、ほぼ男しかいないから、此処に回されたんだ。表の病院には出さずに施設内にいれば女性との接触はまずない場所だからな」

魔法使い「確かに此処むさっ苦しいものね。女性関係に問題がある人には丁度良いかもしれないわ」

僧侶「でも、それと私が買いに行った毒消しとなんの関係があるんです?」

魔法使い「……それもそうね」

勇者「……あの奴隷の彼女、……その」

僧侶「すっごく綺麗です!私、あんなに綺麗な人初めて見ましたです!!」


魔法使い「そうね。女から見ても見惚れるほどに凄く綺麗だったわ」

勇者「だろう?だから……その……」

僧侶「ハッ!!??彼女が危ないです!!!!!」

勇者「そうなんだ!!それがすごく心配なんだ!!!二人きりにしていいものかと……!!!」

魔法使い「ダメに決まってるじゃない!!心配だわ…いったん戻って、」

医師「何か心配事でも?」


勇者・僧侶・魔法使い「!!?」

医師「巡回中の聖騎士から勇者一行が騒いでいると聞き、来たんですが……こんな路地裏でこそこそと、どうなさったんですか?」

勇者「い、いや。ど、奴隷の人々は今も苦しんでいるだろうから、早く助けだしてやらなければ、と……」

医師「確かに、今も虐げられていると思うと心配で眠れませんね…」

勇者「だろう!?三人でどうすればいいか考えていたんだ。」

僧侶「です!」

魔法使い「ええ!!」


医師「お仕事も終わり、こんな夜中まで考えているなんて……。お優しいんですね」

勇者「勇者として選ばれたからには、精一杯頑張らなければいけないので、当たり前の事です」

僧侶「です!」

魔法使い「ええ!!」

医師「皆さん頑張り屋さんですね…。お疲れの時はいつでも診療所へいらして下さい。疲れの取れるお茶をお出ししますので」

勇者「ははは…ありがとうございます。……所で、先生はなぜ此処に?彼女はどうしたんですか?」


医師「彼女は、一回目を覚ましたので事情を説明して、診療所で休んでもらっていますよ。私は、帰っている途中です」

僧侶「先生は、一緒に泊らないんです?」

医師「まさか!医者と同じ部屋に居ると、ゆっくりしてもらえないでしょうからね。私は家に帰ります」

魔法使い「でも、一人で残して大丈夫なの?」

医師「あの部屋には外から鍵をかけていますし、取られる薬品類もありませんから。それに、よく眠れるお茶を出しましたので、今頃ぐっすり寝ていますよ」

勇者「そうですか…」


医師「明日の早朝には彼女を牧師様の所へお連れしますので、ご安心ください」

勇者「あ、はい。お願いします」

医師「それでは私はこれで……。あまり夜中に騒がないでくださいね」

勇者「わざわざ申し訳ございませんでした。お疲れ様です」




勇者「……はぁ」

僧侶「よかったです」

魔法使い「ええ。まぁ噂は噂って事かしら。勇者の心配しすぎね」

僧侶「そうです!大体、女性関係が激しいっていっても、私たちには手を出してないです!!」

魔法使い「そうよ。あーあ、心配して損したじゃない。もう帰りましょう」

勇者「……ああ。」(先輩から聞いた話だと、先生は子供と口が悪いの女性は好きではないらしい、と言うのは黙っていた方がいいのか……)


露店商人「さぁさ、旦那、ここは俺たち旅商人が利用している酒場だ。上には寝る場所もあるから泊るならマスターに言やあ泊れるよ」

旅人「ありがとう。恩に着るよ」

露店商人「良いって事よ。ああ、旦那。もし礼をしてくれるってんなら、一杯付き合ってくれねぇかい?いやぁ一人酒はつらくってねぇ」

旅人「もちろん良いとも。色々教えてくれたんだ。一杯と言わず何杯でも付き合うし、奢らせてもらうよ」

露店商人「いいさいいさ付き合ってくれるだけで!さぁさぁ呑もう!!新人ちゃん!ビール2杯頼むよ!!」

??「おっちゃん!新人じゃなくって踊り子だって何度も言って…あ、」

旅人「うわ…」


踊り子「あ、あんた死んだんじゃ…。団長たちに連れられて見世物小屋に連れて行かれて…何で居るの?」

露店商人「なんだい知り合いかい?」

旅人「ええ、まぁ…。以前居た大道芸一座の知り合い」

踊り子「本当に本物?私たち、助けられなかったのに…」

露店商人「わけありみたいだね…俺向こうで飲もうか」

旅人「いや、一緒に飲もう」


踊り子「え、え、本当に、旅人なの??」

旅人「あー…うん。久しぶりだな、踊り子」

踊り子「た、旅人?本当に…」ウルウル

露店商人「おいおい旦那、あんた女泣かせちゃいけないよ~」ハッハッハ

旅人「お、おい、泣くなよこんな所で…」

踊り子「旅人!!!」タタタッ

旅人「踊り子…!?」


露店商人「おおっお暑いねぇ!!ぎゅってしてやんなぁ!!」

踊り子「こんの大馬鹿!!!」ガッ

旅人「ウグッ!!」ガンッガラガラ

露店商人「だ、旦那ぁ!!」

踊り子「生きてるなら、自由なんだったら連絡ぐらいしなさいよ!!!一年近くも音沙汰なしで、皆あんたが連れて行かれて必死になって探して…!!」

踊り子「団長達追い出して、前団長の時に居たメンバーであんたの事さがして、買い戻そうとして、なんであんたこんな所居んのよ!!!」

踊り子「大道芸だけじゃお金足りないからって、皆でお金貯めてあんた戻そうって、私達みんな、合間縫って働いてんのに!!!!なんであんた平然と飲みになんて来てんのよ!!!」

踊り子「ちょっと!!何とか言いなさいよ、この馬鹿!!!」


露店商人「新人ちゃん…」

踊り子「おっちゃん、新人じゃなくって踊り子!」

露店商人「踊り子ちゃん、さっきのとび蹴りで旦那のびちゃってるよ…」

旅人「」

踊り子「え?」


ポンポン



踊り子「ちょっと、お触りは禁止って…マスター?」

マスター「踊り子ちゃん、駄目だよーこんなことしちゃあ」

踊り子「ご、ごめんなさいマスター」テハッ

マスター「ハハハ。いやーちょっと触られたくらいでお客様投げ飛ばすわ備品壊すわ、これで何回目かな?軽く10回は越えてるよ」ハハハ

踊り子「アハッ!ついうっかり!」

マスター「ハハハ。君、クビね」

踊り子「」




露店商人「いやー追い出されちゃったね」

踊り子「……巻き込んで、ごめんなさい」

露店商人「いいさいいさ、気にしなさんな!それより、旦那がのびたままだしどこか運ばないとなぁ」

踊り子「あ、うちの大道芸のテントが街の外にあるからそこに連れて行くわ」

露店商人「街の外って遠くないかい?それに、大道芸の人たちが聖都に居るなんて話聞いたことないが…」


踊り子「教皇様が許可くれなくって、此処での公演は出来なかったの。私が働いてたのはお金貯めるためで…」

露店主人「ああ、旦那の為にってやつかい。そんな事言っていたねぇ…いやぁ別嬪さんといい踊り子ちゃんといい、二人の女の子に思われるなんて旦那も罪作りだねぇ」ハッハッハ

踊り子「…え?」

??「おや、お困りですか?」

踊り子「……え?」

??「すみませんいきなり失礼しますね、可愛い御嬢さん。そこの男性、気を失っているようですが無事ですか?」

露店主人「いやー気の強い子に跳び蹴り喰らってね。打ち所悪かったのかのびちゃたんだよ」ハッハッハ


??「それはいけません。近くに休める場所はありませんか?」

露店商人「そんなにヤバいのかい?そんなら、俺が借りている部屋が近くにあるからそこに運ぼうか」

??「ええ、お願いします」

踊り子「そんなに酷いんですか?」

??「見た所外傷はありませんが、頭部を打ったとすれば死ぬ恐れがあります」

踊り子「死!?嘘、どうしよう…。お医者様呼ばないと…!!」

??「ご安心ください、私は医者です。私が看ますよ」

踊り子「医者?」

露店商人「……」

??「はい。私の事は医師とお呼びください」





医師「いきなりの衝撃で気絶したようですね。安静にしてもらえれば、直ぐに目を覚ましますよ」

踊り子「良かった…ありがとう、医師さん」

医師「いえいえ、当然の事を致したまでです」

露店商人「看てくれてありがとうよ。でも、俺のテントに教会関係の人間をいつまでも置いていたくないんだよ。金払うから出て行ってくれんか」

医師「おやおや…」

露店商人「医者ってことは教会の人間だろう?あんたら教会には酷い目に合わされてるんだよ。そこの旦那も今日別嬪の奴隷を教会に奪われたんだ」

医師「今日?それは…」

踊り子「奴隷?旅人が?……」

露店商人「とにかく、出て行ってくれ」

医師「お待ちください、私は医者と言っても、病院に勤務はしていません。教会とは何ら関わりありませんよ」


踊り子「おっちゃんも落ち着きなって。何があったのかわかんないけど、医師さん助けてくれたんだし」

露店主人「……だが、」

旅人「ん…っ」ゴソ

医師「ああ、目覚めたみたいですね」

踊り子「旅人、大丈夫?」

露店主人「旦那、大丈夫そうだな」

旅人「ああ……。此処は?」

露店主人「俺のテントだよ。…医者に診てもらったんだ」

旅人「医者?」

医師「まだ寝ていてください。頭は痛くないですか?眩暈はありませんか?」

旅人「大丈夫です。…ありがとうございます」


医師「いえ、大事ない様で安心しました」

露店主人「さぁ、出て行ってくれ。金は払うから」

医師「ですから私は…」

旅人「?」

踊り子「旅人!よかったぁ~…」

旅人「あ、ああ…それより、どうしたんだ露店主人は」

踊り子「教会の人間は自分のテリトリーに入れたくないって言ってるのよ。それより、」

旅人「教会の人間?」

踊り子「ちょ、私の話を」

露店主人「聖都の医者は全員、教会に雇われてるんだよ。旦那を助けてくれたのはありがたいがね。教会の人間と一緒に居るなんて俺は嫌だね」

踊り子「」


医者「ですから、私は違います」

露店主人「だが医者だろう?」

医者「それはそうですが、」

旅人「あー…、露店主人落ち着けって。奴隷とられて恨むのもわかるが、この人は関係ないだろう」

露店主人「だけど旦那、教会の人間は信用できねぇだろう」

旅人「この人は教会の人間じゃないって言ってるんだから、な?」

医師「…ええ」

旅人「ほら、おちつけよ」

露店主人「……すまんな。どうも神経質になっちまって」

旅人「しょうがないだろ。気持ちはわかるよ。お医者さんもごめんな」

露店商人「すまんかったなぁ医師さん」


医師「いえ、気になさらないでください。……この街では教会は相当恨まれているようですね」

露店商人「ああ。いまこの街に教会の人間を恨んでねぇ奴はいねぇよ」

医師「そこまで…」

旅人「見る限り良い街には見えないですね。なぁ、踊り子」

踊り子「え?え、ええ、そうね。此処にきてまだ浅いけれど、働いてみてもいい街だとは言えないわね。外観は良いのに中身が陰気くさいのよ」

医師「……」

露店商人「医師さんはどうしてこの街に来たんだい?」

医師「私ですか?私は…此処で医者を募集していると聞きまして」

露店商人「それで此処まで来たのかい。それならやめときなぁ、いまの病院は教会に吸収されちまって良い事なんかねぇよ」


旅人「病院も、教会のものなのか?」

露店商人「ああ。だから、この街の医者は全員教会の人間なんだよ。前は街の病院だったらしいんだけどなぁ。いつからか教会に取られちまってたってよ」

露店商人「教会の病院になってからは値段も跳ね上がって、相当あくどいって聞いてんなぁ」

医師「それは、いつからかわかりますか?」

露店商人「いやぁ~詳しくはわからんが…ああ、確か教皇が変わってから、って聞いたことがあるな」

医師「教えて頂き、ありがとうございます。…長居しすぎましたね。旅人さんも大丈夫そうですので、私はこれで失礼いたします」

旅人「ありがとうございました。送りますよ」


医師「ありがとうごさいます。申し訳ございませんが、お願いします」

旅人「露店主人、俺もう行くから」

露店主人「おいおい、旦那泊る所ないんだろ?泊って行けよ」

旅人「いや、当てはあるからそこに泊るよ。せっかく誘ってくれたのに悪いな。じゃあまた」

踊り子「まってよ旅人!私も帰るから!!あ、おっちゃんいろいろありがとう!!」パタパタ

露店主人「あ、ああ、またなぁ!!」




医師「旅人さん、でよろしいですか?」

旅人「ああ、旅人って呼んでもらえれば」

医師「私の事は医師とお呼びください」

踊り子「私の事は踊り子って呼んでね!」

旅人「……踊り子、着いてきたのか」

踊り子「なによ、悪いの?旅人に話があるの。聞きたい事もね」

旅人「はいはい…今度は飛びつくなよ」

踊り子「うっ。わ、悪かったわよ…ごめんなさい。いつも受け止めていてくれたから、つい…」

旅人「にしても、いきなりであれはきついって」


医師「ふふ、お二人は仲がよろしいんですね。恋人ですか?」

踊り子「こ、恋人なんてそんな、」

旅人「ただの元同僚ってだけです。な?」

踊り子「…うん」

医師「ふふ、そうですか。…そういえば、あの主人が言っていましたが、旅人さんには奴隷がいるとか」

旅人「一応」

踊り子「そうそれ!!何よ奴隷って!旅人の癖になんで奴隷なんて!!」ズイッ

旅人「奴隷だけど奴隷じゃないんだよ。今は教会に取られてるから居ないしな」

踊り子「それでも奴隷が居たって事でしょう!?」ズイズイカジッ


旅人「まぁ…」

踊り子「どういうことよ~!?」ユサユサ

旅人「ちょ、ま、」ガクガク

医師「踊り子さん、落ち着いてください。旅人さんが話せませんよ」

踊り子「あ!ごめん」パッ

旅人「踊り子、マジでその猪突猛進な所、直した方がいい…」

踊り子「なによ!元はといえば」

医師「まぁまぁまぁまぁ、落ち着いてください。ね?」

踊り子「ぅ……はい」


医師「それで、旅人さんは教会に取られてしまったんですね。…どうするんですか?」

旅人「どうするって言われましても…どうしようもないですし、出てくるのを待ってますよ」

踊り子「待ってるって、帰ってこないって騒ぎになってるのに」

旅人「まぁな。でもまぁ、大丈夫だろ」ハハハ

医師「……」

踊り子「……旅人、なんか変わった?」

旅人「は?なにが」

踊り子「だって、前はもっと無茶してたっていうか…」

旅人「大人になったって事だろ」

踊り子「……」


医師「……ああ、私の泊っている宿は此方を曲がって直ぐですので、此処までで結構です。送って頂き、ありがとうございました」

旅人「いえ、こちらこそ治療してもらって助かりました。今度会ったときはきちんとお礼をさせてください」

医師「お礼だなんて、気にしないでください」

踊り子「医師さん、またね」

医師「ええ、また。失礼します」

旅人「……ふぅ」

踊り子「医師さん、いいお兄さんって感じね」

旅人「うさん臭くないか?」


踊り子「真面目そうで良い人そうじゃない。助けてくれたし」

旅人「そうは思えないけどな。助けたのだって、裏がありそうだ」

踊り子「…なによ、私のいう事に文句でもあるの?何でそんなに疑り深いのよ」

旅人「踊り子の人を見る目は信用できないんだよ」

踊り子「なんで?私、見る目はあるつもりよ?」

旅人「踊り子が良い人そうって言った団長達に、俺売られたんだけどな」

踊り子「」

旅人「安心して芸団を任せられそう、って笑っていたけど、何人か軽く苛められてたし」

踊り子「……ごめんなさい」

旅人「…悪い、今のは俺が悪いな。忘れてくれ」

踊り子「…話があるの」

旅人「ああ、そうだったな。…場所を移そう。道のど真ん中で話すのもな」




旅人「凄い建物だな」

踊り子「水道処理施設よ。街の水は全てここに集まってくるの。此処で汚水処理をしてまた街に送ってるみたい」

旅人「へぇ…流石、水と美と芸術の街、って言われるだけあるな。こんなに良い設備があるなんて」

踊り子「それがこの街の誇りみたいなものじゃないの?王都とこの街にしかないらしいよ」

旅人「そりゃすごいな。でもなんで此処に?水の音がうるさくないか?」

踊り子「こんな夜中、お店もやってないわよ。テントに行こうにも、もう門も閉まって外出でれないもの」

踊り子「それに此処、あまり人が来ないのよ。音がうるさいから皆来ないみたい」

旅人「それは、話をするのには良い所だな。…それで、話って?」

踊り子「…まずは、団長達に連れられて行ったときに助けられなくてごめんなさい」


旅人「あの時は仕方がなかっただろ。気にしなくていい。それに、逃げてこうして無事なんだし」

踊り子「でも…。皆、団長達を止められなかったって後悔してるのよ」

踊り子「団長達は追い出したわ。仲間を売るなんて、そんな人たちと一緒にはいられないから。今は前団長が居た時のメンバーで旅してるの。旅人が、」

旅人「いいって。今こうして捕まってないわけだしな。…それより、心配かけたみたいで悪いな」

旅人「気にしてないかと思ってた。俺、馴染めてなかったから」

踊り子「それは!・・・皆、大事な仲間だって思ってる。馴染めなかったなんて、そんな事はない」

踊り子「皆、貴方の事は仲間としてみていた。前団長に拾われた、一緒の仲間だって」

踊り子「それに、馴染めなかったって言うけど、旅人な、皆と口を利かなかったじゃない。魔物とばっかり一緒に居て」

旅人「まぁ、あの時は人間不信っていうか、な。それに、団長と踊り子とは喋ってただろ」

踊り子「私と話したのだって3年位たってたわよ。それも。私がしつこく付きまとってから!それまでは団長と魔物にべったり!」


旅人「団長は、あの時唯一安心できた人なんだからいいだろ。魔物も。俺、魔物使いとして居たんだから」

旅人「そういえば魔物たちは?元気にしてるか?」

踊り子「……逃げたの。全部」

旅人「…は?」

踊り子「旅人が居ないことを変に思ったんでしょうね。あの子たち、暴れて逃げて行ったわ」

旅人「なんで、魔物使いはまだ居ただろ…?俺が売られたのだってそいつがいるからで、」

踊り子「殺されたわよ、魔物に」

旅人「……」

踊り子「人懐っこくって大人しい、良い魔物だけど、旅人にしか興味なかったみたいね」

旅人「そんな事ないだろ。あいつら団員たちとよく遊んでただろう」


踊り子「貴方がいなくなって二・三日してからは近寄れなくなった。檻に近づいた瞬間、唸るのよ」

踊り子「それでもショーはしなくちゃいけない。魔物のショーはうちの一番人気だもの。団長は甘く見ていたみたいね……ショーの最中、檻を開けた瞬間、魔物使いは食べられたのよ……」

旅人「」

踊り子「貴方の魔物たちはすぐに逃げて、今は何処に居るのかわからないわ」

旅人「……そんな、」

踊り子「…私たちは、貴方は違う芸団に指導に行っているって聞かされていた。貴方、魔物のショーは一人前だから、そんな事もあるのかって思ってたの」

踊り子「でも、それから…魔物たちが逃げ出してから、おかしいって思って、団長に問いただしたのよ。そうしたら、旅人は売ったって言われて……見世物小屋はもう何処かに行ってしまっていたし、貴方は連れて行かれたんだって、……皆、なんで気づかなかったのかって泣いてたわよ」

踊り子「前団長に拾われたみんなで結託して、団長達を追い出して、…今更、言い訳でしかないわね」

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