我輩「さてさて…」奴隷「………」 (42)

我輩「…きみの命を焼くなり煮るなり今日から我輩の自由と云うことだ」

奴隷「………」

我輩「どうしてやろうかね…大変迷うのだよ」

我輩「可愛がるも良し…、痛めつけて苦痛に歪む顔を肴に美酒を傾けるのも良し…どちらも捨てがたいな」

我輩「…そうだ、ここは運命に身を委ねてみるのもいいかもしれない」

我輩「コイントスにしよう」チャリーン

我輩「表が前者、裏が後者だ…」

>>2

コンマ奇数で表

我輩「おやおや…どうやら運命は君の味方だったらしいな…、おめでとう」

奴隷「………」

我輩「…我輩としては、まぁ、どちらでも良かったのだが…、君からしたら幸運なのではないかね?」

奴隷「………別に」

我輩「ほう、まぁいい…明日からは可愛がってあげよう」

我輩「楽しみにするといい…」

スタスタ


奴隷「…………」

次の日 朝

奴隷「…………」パチッ

奴隷(…朝か)

コンコン ガチャ

メイド「お早う御座います、お嬢様」ペコッ

奴隷(…お嬢様?)

メイド「…ご朝食の準備が整いました」

メイド「旦那様がお待ちです…お早めに推したくを」

奴隷「………」

我輩「やぁやぁ…おはよう、昨日はよく眠れたかな?」

奴隷「………」

我輩「……まぁいい、慣れというものは肝心だからね」

我輩「そのうちを楽しみにしておくとしよう」

奴隷「…………」

我輩「さぁ、お食べ」

奴隷「………」モグモグ

我輩「…美味しいかね」

奴隷「…………」コクッ

我輩「そうかそうか」

奴隷「…………」

奴隷「……なんでですか?」ボソッ

我輩「……………」

我輩「…君は、運命を勝ち取ったのだ」

我輩「我輩との運比べに勝ったのだ…まぁ、我輩はどちらでも良かったのだがね」

我輩「これは君が掴み取った幸運だよ」

奴隷「……………」

我輩「つまりはそう言うことだ…君はこれから先…永遠に幸福さ」

奴隷「…………」

奴隷「……………」

我輩「さてさて、食事は済んだようだね」

我輩「おい、下げろ」

メイド「かしこまりました」サッ

我輩「では…我々は出掛けるとしようか」

奴隷「……どこに?」

我輩「君のみすぼらしい布切れにはうんざりしてた所だ」

我輩「さぁ、行こうと」

服の店

我輩「…さて、何か気に入った物はあったかね」

奴隷「…こういうの、良く分かりません」

我輩「そうか…ふむ、私も女物にはそう詳しくないのだ」

我輩「おい、店員」

店員「はっ、はい!なんでしょう!」

我輩「この子に似合う服を用意しろ」

店員「か、かしこまりました…」

奴隷「…………」

奴隷「…………」フリフリ

我輩「……ほう、これはなかなか」

店員「とてもお似合いですよ!可愛いいです!」

奴隷(…よくわからないや)

我輩「初めて見た時も魅入るものがあったが…磨いてみるものだな、素晴らしい」

我輩「おい、買った、これと同じ物を何着か用意しろ」

店員「はっ、はい」

ー館ー

メイド「…お帰りなさいませ、ご主人様、お嬢様」

我輩「ああ」

奴隷「………」ペコッ

我輩「今日はいい買い物が出来た…、どうだね…楽しかったかい?」

奴隷「………分かりません」

我輩「そうか…まぁ、そのうち理解出来るさ」

我輩「まだ、始まったばかりだからね」

ー次の日ー

我輩「やぁ、おはよう」

奴隷「…おはようございます」ペコッ

我輩「そうかしこまるな、もう家族の様なものだろう、我々は」

奴隷「…かぞく?」

我輩「そう、家族だ」

我輩「同じ屋根の下で過ごし、同じ食卓で食事を食べる…」

我輩「そして共に幸福を過ごしている」

我輩「まさしく家族ではないかね」

奴隷「…………」

奴隷「……あの」

我輩「何かね」

奴隷「ここには…その、あなたの他にはメイドさんしか居ないんですか?」

我輩「…君からの初めての質問だね…嬉しいよ」

我輩「答えは『はい』だ」

我輩「それがどうかしたかね」

奴隷「……いえ」

奴隷「…あの、少し庭を散歩して来てもいいですか?」

我輩「…構わないよ、だが、迷わないように気を付けるんだ…ここの庭はとても広い」

奴隷「はい、気を付けます」パタパタ

我輩「……………」

ー庭ー

奴隷 (…なんでこんな事になったんだろう)

パタパタ

奴隷 (怖い人達が家に入って来て…お父さんとお母さん、お兄ちゃんが殺されて)

奴隷 (私は変な所に連れて行かれて)

奴隷「…気付いたら、あの人が目の前に」

ドサッ!

奴隷「いたっ!」

「おおっ!?」

奴隷(誰かにぶつかった…?)ペタン

男「大丈夫か!?、悪い…、よそ見してた」

奴隷「こっちこそ、考え事してて…ごめんなさい」

男「いやいや、俺が悪かったよ…ほら」スッ

奴隷「あ、ありがとう」パシッ

男「気にすんなって」

奴隷「…………」

奴隷「…あの、あなた…誰?」

男「あ…俺?、俺は…ええと…その」

男「通り掛かりの…たっ、旅人さ!」

奴隷「…旅人?」

男「お、おう」

奴隷「…ふぅん、その旅人さんが、なんでここに?」

男「えっ…、そっそれは…」

奴隷「……………」

男「そっ、そんな事より!、アンタは何者だよ!?」

奴隷「わっ、私?…この館に住んでる者だけど…一応」

男「えっ…」

男「…おかしいな、情報ではこの館は主人とメイドの2人しか居ない筈じゃ」ボソッ

奴隷「…何?」

男「えっ!?な、何でもない!!」

奴隷「そ、そう」(忙しい人だな…)

男「…じゃ、じゃあ…俺行くよ!」

奴隷「えっ」

男「サラバダッ!!!」ダッ!

奴隷「あっ!……行っちゃった」

奴隷「変な人だったな…」

ガサッ

奴隷「…!」

我輩「やぁ、ここに居たのかい…探したよ」

奴隷「…今から戻ろうと思ってました」

我輩「そうか、我輩の早とちりだったなかな」

我輩「もしや迷ったのではないかと思ってね…考え過ぎだったようだ」

我輩「では、戻ろう」

奴隷「…はい」

我輩「ところで……」

奴隷「…?」

我輩「今の世の中物騒だ…、どんな輩が居るか分からん」

我輩「よく気を付けなさい」

奴隷「…はい」

ー次の日ー 庭

我輩「…日差しが心地いいな、…どうだねなかなか良いものだろう、庭で飲む茶は」カチャ

奴隷「…はい、美味しいです…多分」

我輩「だろう……今日は心地いい、思わず眠ってしまいそうだ」

奴隷「…………」

我輩「どうだね…少しは感じてきたかね?…幸福と言うものを」

奴隷「…………」

我輩「…そうか、まぁ…焦る事は無いか」

奴隷「……………」スクッ

我輩「おや、どうしたのだね」

奴隷「…少し、歩いてきます」

我輩「そうか……分かった」

我輩「…我輩が昨日言った事、覚えているね?」

奴隷「…はい、では」パタパタ

我輩「…………」

男「戦果はコイン1枚…あーあ、しけてるなぁ、クソッ!」

男「あのメイド、なかなかやりやがるぜ!この俺の気配に気づくとは、相当の手練れと見た…!」

男「次はもっと入念に計画を練る必要があるな!」

男「…所で、このコイン」

男「…金貨、じゃねぇな」

男「見たこと無い種類のコインだな…どこの国の通貨でもねぇし、かと言って価値がある様にも見えない」

男「…と言うか、裏表の柄が……同じ?」


男「オーダーメイド品かな…?」


ガサッ!


男「っ!!」(しまった!!)


奴隷「あっ」

男「あっ」

奴隷「……………」

男「よ、よう!また会ったな!」

奴隷「…旅人さん」

男「お、おう、何だ?」

奴隷「…………」

男「…………」ドキドキ

奴隷「…何しに来たの?」

男「えっ!!あ、えっと……」

男「…君に、会いに来た!」

奴隷「えっ」

男「昨日…その…君に一目惚れしたんだ!」(何言ってんだ俺)

男「…だからっ、今日も会いに来たっ!!」(あーあ)

奴隷「………えっと」

男「……………」(帰りたい帰りたい帰りたい)

奴隷「そんな急に言われても…ちょっと」

男(ですよね)

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