ミナト「ナルトも今年で中忍試験だね」クシナ「そうね」(181)

ミナト「こうして三人で一緒にいられることが、もしかしたらとんでもない奇跡なんじゃないかなって」

ミナト「そう思うんだけど」

クシナ「そうね」

ミナト「思えば、九尾が狙われた時」

ミナト「僕ら家族三人が生きていられたのも」

ミナト「すごいことなんだよ、うん」

クシナ「私の中の半分を」

クシナ「あなたとナルトでさらに半分」

クシナ「九尾も怒ってるんじゃないかしら」

ミナト「僕の中には悪の部分がいるけど」

ミナト「きっかけがあるとすれば、きっとナルトだろうね」

クシナ「ま、それはいいんだけど」ガシ

ミナト「ん?」

クシナ「ちゃんと仕事はしなさい」

ミナト「……はい」

クシナ「全く、外では真面目ぶってるくせに」

クシナ「基本的に面倒くさがりなんだから」

ミナト「はは、どうしても後回しにしちゃって」

クシナ「笑い事じゃない!」

ミナト「わ、分かってるよ」

クシナ「はぁ、ナルトはどう見ても、真面目にコツコツやるタイプじゃないみたいだし……」

ミナト「ちゃんと僕らの子だなぁとは思うけどね」

クシナ「ええ、それは本当にそうだと思う」

~アカデミー~

ナルト「ぐぬぬぬぬぬ」

イルカ「がんばれ、ナルト!お前なら出来る」

サクラ「ほらほら、変化くらい出来なくて、火影の息子は務まるのかしら?」

サスケ「ウスラトンカチ、また後で泣き付かれるのはごめんだぜ」

ナルト「わ、分かってるから静かにしてくれよ」

ヒナタ「ナルトくん、まだ今日は28回目だから大丈夫だよ!」

ナルト「な、情けねぇ……」

ナルト「よ、よし、次こそは」ポンッ

ナルト?「……どうだってばよ?」

サスケ「……」

サクラ「あはは、アンタそれ何に化けたのよ」

ヒナタ「か、かわいいワンちゃんだね」

ナルト?「一応カエルだってばよ……」

イルカ「うーん、おしかったな」

サスケ「生物学的にかけ離れてるけどな」

サスケ「そもそも、最初は人型からやればいいだろうが」

ナルト?「うーん、おいろけなら得意なんだけど」

イルカ「あれはダメだ、認められん」

ナルト?「えー」

イルカ「とりあえず、ナルトはまた今度頑張ろう」

イルカ「ほら、次はサクラ、やってみよう」

サクラ「はーい」

ナルト「……ちぇ、明日は見てろってばよ」ポンッ

ヒナタ「ナルトくん、さっきはゴメンね」

ナルト「?ああ、別にいいってばよ」

ナルト「おっかしいよな、父ちゃんと母ちゃんはすげぇんだけど」

ヒナタ「わ、私も、あんまり忍術は得意じゃないから……」

ナルト「ヒナタが苦手じゃ、オレってば忍びは諦めた方が良さそうだってばよ」

ヒナタ「そ、そんなことないよ!」

ヒナタ「そ、そうだ」

ヒナタ「今日、お家で一緒に練習しない?」

ヒナタ「兄さんも今日はいると思うから」

ナルト「ネジはおっかねぇからなぁ」

ナルト「どうにも嫌われてる気がするってばよ」

ヒナタ「?兄さんは優しいと思うけど」

ナルト「ヒナタとハナビにはな」

ナルト「ん、でもせっかくだしお邪魔させてもらおうかな」

ナルト「どうせ、今日も父ちゃんと母ちゃんは帰り遅いと思うし」

ヒナタ「……寂しいね」

ナルト「そうか?」

ナルト「里のために頑張ってるんだから、仕方ないってばよ」

サスケ「おいおい、サボってんじゃねぇよウスラトンカチ」ガシ

ナルト「あでっ」

サスケ「なんだよ、楽しい話なら俺も混ぜるのが筋だろ?」

ナルト「別に、今日ヒナタの家に遊びに行くって話してただけだってばよ」

サスケ「ほー」

サスケ「日向っていや、今日は里の方針会議でうちはと一緒に出てるって言ってたぜ」

ナルト「なんでサスケはそんなこと知ってるんだってばよ」

サスケ「イタチがこっそり教えてくれてな」

ナルト「兄ちゃん、そんなホイホイばらしたらだめだろ……」

サスケ「いつもはぐらかされてんだけどな」

ヒナタ「はぐらかされてる?」

ナルト「あー、写輪眼だろ、いつもの」

サスケ「ヒナタは白眼使えるんだっけか?」

ヒナタ「う、うん、一応」

サスケ「いいよなぁ」

サスケ「俺まだ安定しなくてよ」

ナルト「くぅ、オレにもなにか特別な力が欲しいってばよ」

サスケ「へっ、羨ましいだろー」

ヒナタ「さ、サスケくん」

イルカ「おい、そこはしゃぎすぎだぞ!」

サクラ「サスケくぅーん、私の変化見てたー?」テテテ

サスケ「見てない」

サクラ「つれないなぁ、もう」

サスケ「キバとかシノはどうしたんだ?」

サクラ「あいつらなら、今日は家の用事だったと思うけど」

イノ「シカマルとチョウジもね」

サスケ「イノか」

イノ「最近、どうにも親連中が騒がしいと思わない?」

ナルト「そうか?」

イノ「ま、あんたのところが騒がしかったら、かなり末期だとは思うけど」

ヒナタ「そういわれると、ヒザシおじさまも最近は大変そうにしてるなぁ」

サスケ「うちははいつも通りだと思うが」

サクラ「イノは何か心当たりあるの?」

イノ「……」チラ

ナルト「?」

イノ「ま、多分だから何とも言えないんだけどね」

イノ「あーあ、なんか人少ないとつまんないわよねぇ」

ナルト「そーだなぁ」

イノ「あは、ナルト、一緒にどっか遊びに行く?」

ヒナタ「だ、だめだよ、ナルトくん」

イノ「なによ、ヒナタには関係ないでしょ」

ナルト「ま、まあまあ」

ナルト「そろそろ授業も終わりだし、また今度にしようぜ、な?」

サスケ「……またやってんのか、あいつら」

サクラ「ナルトよりサスケくんの方がかっこいいのにね」

サスケ「お前、割と裏表ないよな」

サクラ「うん、イノも応援してくれてるし」

サスケ「ほー」

サスケ「ま、ベタベタしてこなきゃ構わないけどな」

サクラ「えー」

サスケ「……変なヤツ」

イルカ「そこ!最後くらいおとなしくしろ!」

ここまで。サクラキャラ崩壊してるわ、なんとか直してく。

基本的にミナトが生きてたらどーなるかっていうミナクシ。あとはちょいちょい。

原作は完結しちゃってるんで、雰囲気壊さないように気をつけるから、暇ならまた見てってくださいな。

んじゃ、良い夢をー。

~一方 火影執務室~

クシナ「それでは、以上を持って報告会は終了とさせていただきます」

ミナト「火影として、まだ至らぬ点は多々ありますが」

ミナト「努力していきますので、何卒ご理解の程を、よろしくお願いします」

ザワザワ ガヤガヤ

ヒアシ「火影様、少しいいだろうか?」

ミナト「?ええ、構いませんよ」

ヒアシ「ここはまだ騒がしい、出来れば上でお話したいのだが」

ヒアシ「お二人とも」

ミナト「クシナもですか?」

クシナ「私はいいけど……」

ヒアシ「それでは、行きましょう」

ミナト「それで、お話とはなんですか?」

ヒアシ「いや、そうかしこまった話ではないのだが」

ヒアシ「娘のヒナタ、それにハナビも」

ヒアシ「息子さんにはお世話になっている」

クシナ「こちらこそ、いつもナルトがご迷惑ばかりかけて……」

ヒアシ「むしろ助かっている」

ヒアシ「元来引っ込み思案なヒナタが、ナルトくんの前では笑顔を見せるのだ」

ヒアシ「そして、私の見る限りナルトくんも悪くは思っていない様子」

ミナト「すみません、話が見えないのですが」

ヒアシ「まだ早いと思われるかもしれないが」

ヒアシ「どうだろう、うちの娘と許婚を結ぶというのは」

ミナト「い、いいなずけ!?」

クシナ「ミナト、驚きすぎよ」

ヒアシ「本来ならば正式にご挨拶をした後に話すべきだとも思うのだがね」

ヒアシ「なにぶん、今の火影様はまだまだお忙しい」

ヒアシ「だが、ナルトくんは次期火影候補でもあることだし」

ヒアシ「家柄としてうちは申し分ないのではないかと思う」

ミナト「いや、でもそういうことは本人同士が決めることじゃ……」

クシナ「それに、外からの血が入ることは、日向にとって何の問題もないんですか?」

ヒアシ「あいにく、私は娘に恵まれて」

ヒアシ「火影様のお力で家としては落ち着けたこともあり」

ヒアシ「私は甥のネジが日向家を継いでいくのが良いと考えている」

ミナト「!」

クシナ「それじゃ、ヒザシさんとは……」

ヒアシ「ああ、時間はかかったがね」

ヒアシ「宗家と分家の境目を無くすよう、努力しているところだ」

ミナト「……良かった」

ヒアシ「その件に関しても、やはりお礼したい」

ヒアシ「出来ることなら、こちらに婿入りという形にはしたいところだが」

ヒアシ「ヒナタ、ハナビどちらとの許婚でも、私は良いと」

ミナト「あの、少し待って下さいね」

ヒアシ「うむ、構わんよ」

ヒアシ「少し向こう側で景色を眺めることにしよう」

ミナト「どうしようクシナ」

クシナ「どうしようもこうしようもないでしょう」

クシナ「驚いたわね、まさか許婚の話なんてされるとは」

ミナト「うん」

ミナト「僕は火影だけど、それ以外は普通の家系だし」

クシナ「私は、まあ特殊だけど」

クシナ「それでも、家としてはあまり価値のあるものじゃないわ」

クシナ「火影パワーね」

ミナト「くぅ、ナルトには普通の子に育ってほしいから」

ミナト「あまり変な特別意識を持ってほしくないんだけど」

クシナ「そうね」

クシナ「でも断るのもなんだか悪い気がするわ」

ミナト「日向家はあの九尾事件の際あたりから介入しすぎてしまったところもあるし」

ミナト「上手くいっているようだけど、また何かで火種を作るのも嫌だし」

クシナ「……よし、こういう時はあれね」

ミナト「……先延ばし」

クシナ「うん、そうしましょう」

ミナト「ナルト、お前は自由に恋愛をするんだよ」

フガク「なにやら楽しそうですな」

ミナト「うわぁ!」

クシナ「ミナト!失礼じゃないの」

ヒアシ「これはこれは、フガク殿」

フガク「すまない、火影様にはこちらも話があってね」

フガク「といっても、大した事ではないので日を改めてようか?」

ミナト「ああいえ、すみません取り乱して」

ミナト「ここでよろしければどうぞ」

ヒアシ「む、私はまたいない方がよい話かな?」

フガク「構いません、本当に大したことではないので」

フガク「以前、あの研究所から助けた少女」

フガク「たしか、香燐といったか」

クシナ「ええ、そうです」

フガク「彼女は、どうやらクシナさんと何か関係があったとか」

クシナ「どうやら遠縁にあたるみたいで」

フガク「なるほど」

フガク「引き取られるのでしたかな?」

クシナ「それは、まだ決まっている訳ではないですけど」

ヒアシ「む……?」

ミナト「香燐ちゃんは、幼い頃に捕らえられたようで」

ミナト「家族らしい家族はいないようですから」

フガク「……うちはとして、の提案なのだが」

フガク「正式に火影の娘となった暁には、サスケの所に嫁ぐ、というのはどうだろうか」

ヒアシ「……やはり」

フガク「やはり?とは」

ヒアシ「私も、ぜひナルトくんとヒナタの縁談などどうかと」

ヒアシ「提案したばかりでね」

フガク「なんと奇遇な」

ヒアシ「そのようですな」

フガク「……」

ヒアシ「……」

ミナト(……クシナ、これってマズい状況かな?)

クシナ(二人とも顔が怖いのよね、ミコトがいればまだ話しやすいのに)

ヒアシ「……いっそ両方ともまとまってしまえば」

フガク「……両家とも、蟠りなくこれからの木の葉は安泰」

ミナト「え?」

ヒアシ「うちは一族とは、前々から仲良くしていきたいと考えていたのです」

フガク「それはこちらも同じこと」

フガク「うむ、火影様、返事は直ぐでなくとも良いので」

フガク「考えてみてほしい」

ヒアシ「そうですな、焦って決めることでもなかった」

ヒアシ「こちらも、返事は後日で構わない」

ミナト「あ、ありがとうございます」

フガク「クシナさん、ミコトが会いたがっているので、そちらもよろしく頼む」

クシナ「は、はい」

スタスタ テクテク

ミナト「……色々言われたね」

クシナ「そうね、本当、いろいろ」

クシナ「うーん、里のことを考えれば」

クシナ「うちはと日向が仲良くしてくれるのは万々歳なんだけど」

ミナト「でも、ナルトに続いて香燐ちゃんまで入ってくるとは……」

クシナ「ミコトのやつ!まだ内緒にしておいてって言ったのに」

ミナト「そういえば、一度クシナと別れた時」

ミナト「ミコトさんから聞いたことあるよ」

クシナ「……あれでしょ?お互いの子供を結婚させれば、家族になれる」

クシナ「……その時はいい案だと思ってたのよ」

ミナト「あの人も懐の広い人だからね」

ミナト「うーん」

ミナト「ナルトは、香燐ちゃんと仲良く出来ているのかな?」

クシナ「うん、あの子人見知りとかしないから」

クシナ「香燐ちゃんも、お姉ちゃんって感じで仲は良さそうよ」

ミナト「……二人に聞くのは、早いかな?」

クシナ「そうね、香燐ちゃんがうちに来るとしても」

クシナ「中忍試験の後だろうし」

ミナト「とりあえず保留、かな」

クシナ「そうするしかなさそうね」

ここまで。香燐って確か中忍試験でサスケのこと知ったってあったよね?

コミックスが手元にないから確認は出来ないんだけども。

それでは、またいつかー

~放課後~

ナルト「んじゃ、また明日だってばよ!」

イルカ「みんな、寄り道は程々にするんだぞ」

イルカ「特にナルト、お前は要注意だからな」

ナルト「今日はヒナタのとこ行くから心配ないってばよ」

サスケ「こいつはヒナタのことほんと好きだよな」

サクラ「だってよ?いの」

いの「うるっさい」

いの「ヒナタ!今回は譲るけど、ナルトは渡さないからね!」

ヒナタ「べ、別に私は……」

イルカ「ナルト、モテモテじゃないか」コソッ

ナルト「あはは、嬉しいけど複雑だってばよ」

イルカ「それも含めて羨ましい限りだ、うん」

チョウジ「いの、早く行かないと」

シカマル「親父たちがキレっと、メンドクセーことになるぜ?」

いの「わかってるっつーの!」

いの「ったく、あんたらも少しは協力してよ、もう」

シカマル「オレだって、別に好きで行く訳じゃねぇよ」

いの「……はぁ、ナルトが火影の息子なんかじゃなきゃ良かったのに」

チョウジ「はは、そしたら全く見向きもしてなかったりして」

いの「あん?」ギラッ

チョウジ「なんでもないです」

シカマル「んじゃ、またなお前ら」

サスケ「おう、またな」

ナルト「また明日だってばよ」

いの「明日は予約だからね!」

ナルト「お、おう」

サクラ「サスケくんはこれからどうするの?」

サスケ「何も決めてない」

サスケ「今日はイタチ遅いらしいし」

サスケ「シカマルチョウジも、いの迎えに来るだけだったしな」

サクラ「じゃ、甘味処行かない?」

サスケ「……ま、いいか」

サスケ「ナルト、なんか新しい術習ったら教えろよ?」

ナルト「もしそうなったらな」

サスケ「抜け駆けは無しだ」

ナルト「へいへい、分かってるってばよ」

サスケ「んじゃ、行くぞサクラ」

サクラ「やったー!しゃーんなろー!」

サスケ「……変なヤツ」

あ、いのの表記ミス直しました、続き

~帰り道~

ナルト「ヒナタ、大丈夫か?」

ヒナタ「え?何が?」

ナルト「いや、さっきからあんまり喋らねぇからさ」

ナルト「何かあったかと思って」

ヒナタ「う、ううん」

ヒナタ「ただ、皆仲良く話してて」

ヒナタ「羨ましいなって」

ナルト「?混ざればいいんじゃ?」

ヒナタ「そ、そうしたいんだけど」

ヒナタ「私、話すの遅いから」

ヒナタ「ついていけなくて」

ナルト「そういうことか」

ナルト「ま、ヒナタはゆっくり喋ってるのも良いところだと思うってばよ」

ヒナタ「?」

ナルト「いや、なんていうかさ」

ナルト「ほら、二人ならちゃんと話せるしさ」

ナルト「話してっとなんか安心するってばよ」

ヒナタ「そ、そうかな?」

ナルト「ん、だから気にすんなってばよ」

ナルト「どうしても言いたいことがあるなら、オレが代わりに言ってやる」ドンッ

ヒナタ「きゃっ」

ナルト「おっと、悪い」

ヒナタ「ううん、びっくりしたけど」

ヒナタ「でも、ナルトくんが味方なら、安心だね」フフッ

ナルト「オレってば、でっかいからな!」

ナルト「……態度だけは」

ヒナタ「ふふふ」

~日向家~

ヒナタ「ただいまー」

ナルト「お邪魔するってばよ!」

ナルト「じゃなかった、お邪魔します」

ネジ「ヒナタ様、おかえりなさいませ」

ネジ「それにナルト、よく来たな」

ナルト「はは、今度かーちゃんが何かお礼しないとって言ってたってばよ」

ナルト「お世話になりっぱなしだからって」

ヒナタ「そんなの要らないのにね、ネジ兄さん」

ネジ「はは、ヒナタ様も喜んでおられるし」

ネジ「俺では遊び相手は務まらないしな、ははは」

ヒナタ「だって、兄さんはすぐにお稽古の話ばかりするんだもん」

ハナビ「そうそう」

ナルト「お、ハナビもいたのか」

ハナビ「そそそ、ネジ兄さんとお掃除してましたー」

自分勝手で悪いが、そうはい神崎

ナルト「ハナビは偉いってばよ」

ナルト「俺ってばいつもかーちゃんに片付けろとか、修行しろとか言われても」

ナルト「なかなかできねーし」

ヒナタ「ナルトくんのお母さん、厳しいもんね」

ナルト「怒るとめちゃくちゃこえーんだ」

ハナビ「お外で見ると、凄く優しい感じなのにね」

ナルト「猫かぶってるだけだってばよ」

ネジ「こらこら、あまり自分の母親を悪く言うんじゃない」

ネジ「ハナビさま、後は俺がやっておくので、一緒に遊びに行ってはどうですか?」

ハナビ「いいの?」

ネジ「もちろん、ヒナタ様がよければ、ですがね」

ヒナタ「わ、私は平気だけど」

ハナビ「わーい!何して遊ぶの?」

ナルト「別に何か決めてきたわけじゃないから」

ナルト「それに、遊ぶってより、ちょっとした練習がしたいっつーか」

ハナビ「練習?」

ナルト「やっぱ俺ってば火影の息子だし」

ナルト「その割に勉強とかあんまできねーからさ」

ナルト「頭悪くってもチャクラの使い方とか術くらいは使えるようになりてーんだ」

ハナビ「おー、かっこいい!」

ネジ「それなら、俺が教えてもいいが」

ナルト「ネジの教え方は難しいから無理」

ネジ「……つれないな」ションボリ

ナルト「本気で凹むなってばよ、冗談だから」

ナルト「つーわけで、じゃあハナビも一緒に練習しようぜ」

ナルト「目標は変化の術マスターだってばよ!」テクテク

ヒナタ「うん、今度はみんなにわかるカエルになろうね」グッ

ハナビ「よく分からないけど、がんばろー」ビシッ

ネジ「……ふっ、仲の良いことだ」

ネジ「さて、俺も早く終わらせてしまおう」ザッザッ

~ヒナタの部屋~

ナルト「……ふん!」ボン

カエル?「どうだってばよ」

ハナビ「んー、なんだかへろへろしてます」

ヒナタ「たぶん、力み過ぎてるんじゃないかな」

ヒナタ「精神エネルギーの方が多くなってるから、安定してないんだと思う」ギン

ナルト「ふぅ、難しいなぁ」ボフン

ナルト「ハナビは変化出来るのか?」

ハナビ「あはは、私は天才ですから!」

ヒナタ「こら、またそんなこと言って」

ナルト「ははは、実際ハナビはすげーからな」

ナルト「もっと慎重にチャクラを練れるようにならねーとだな」

ハナビ「っていうより」ギン

ハナビ「姉様も思わない?」

ヒナタ「あー、うん」

ヒナタ「……なんだか、ナルト君以外のチャクラがあるんだよね」

ナルト「俺以外のチャクラ?」

ヒナタ「なんだろう、凄く力強い感じなんだけど」

ヒナタ「よく見えないの」

ハナビ「たぶん、そのチャクラが少し漏れてるんじゃないかな」

ハナビ「調節するのと一緒に、少なめのチャクラでやって見たらできるかもです」

ナルト「うへ、チャクラコントロールって一番苦手だってばよ」

ヒナタ「ゆっくりやってみれば平気だよ、きっと」

ナルト「……よーし、そしたら二人とも、もう一回やってみるってばよ」

ハナビ「うん、頑張れナルトさん!」

ナルト「む……ん!」ボンッ

ナルル「ど、どうだってばよ?」

ヒナタ「今度はカエルに見えるよ!」

ハナビ「髪の毛生えてるけどね」

ナルル「まだまだ道のりは長そうだってばよ……」

~孤児院~

クシナ「ごめんくださーい」

職員「あらクシナさん、いらっしゃい」

職員「今日も香燐ちゃんのところへ?」

クシナ「ええ、部屋にいるかしら?」

職員「いるはずですよ」

職員「最近はあの子も随分丸くなってきて」

職員「問題も起こさなくなったから助かります」

クシナ「あはは、それなら一安心」

クシナ「それじゃ、ちょっとお邪魔しますね」

職員「はーい、ごゆっくり」

クシナ「香燐?いるー?」コンコン

香燐「!クシナさん?」ダダダッガチャッ

クシナ「あらあら、そんなに焦らなくても」

クシナ「ごめんね、また来ちゃった」

香燐「ううん、クシナさんなら大歓迎」

香燐「あ、今部屋片付けるから」

クシナ「ふふ、いいのよそのままで」

クシナ「なんなら手伝ってあげちゃうけど」

香燐「……でも恥ずかしいし」

クシナ「大丈夫よ、お母さんはなんでもできるんだから」

香燐「と、とりあえず入って!」プイッ

クシナ(……まだ、認めてはくれないかな?)

香燐「それで、今日はどうしたの?」

クシナ「別に用事は無いの」

クシナ「ただ、ちょっと仕事が早く終わったから」

香燐「そっか、まあウチは嬉しいけど」

香燐「ナルトは一緒じゃないんだ」

クシナ「アカデミー終わったころだから、家にいるかもしれないわね」

香燐「あいつ、まだ変化も出来てなかった」

香燐「本当にクシナさんの子供なの?」

クシナ「ふふふ、ええ、まさに私の子供ね」

クシナ「ミナトに似ればもっと上手くできたかも知れないわ」

香燐「クシナさんも苦手だったの?」

クシナ「ええ、忍術より体術の方が得意だったもの」

クシナ「それはそうと、身体の傷、良くなってきた?」

香燐「……ううん」

香燐「ウチの回復忍術でも消えないみたい」

クシナ「やっぱり能力を使った時のやつは消えないのかしらね」

クシナ「私たちうずまき一族は不思議な能力の持ち主が多いけど」

クシナ「香燐のはその中でも特別だもの」

香燐「……でも、気持ち悪いから、ウチは好きじゃ無い」

クシナ「気持ち悪くなんかないわよ」

クシナ「素敵な能力じゃない」

香燐「そう言ってくれるのは、クシナさんだけ」

香燐「ここの子たちも、ウチのこと怖がってるし」

香燐「そもそも、ウチはあんまり戦うのも得意じゃないから」

香燐「能力は嫌いだけど、これがないと普通の子より忍としては劣ってて」

香燐「……」

クシナ「……考えすぎだと思うけどな、私は」ギュッ

香燐「……そう?」

クシナ「今まで怖い大人たちがたくさんいて」

クシナ「そのせいで、少し過敏になってるのよ」

クシナ「あなたは戦わなくてもいいの、戦争なんて私とミナトが絶対起こさせないから」

クシナ「何かあっても、私が必ず守るわ」

クシナ「……香燐がよければ、家族になれたら、と思ってるし」

香燐「……」

香燐「そう言ってもらえて、すごく嬉しい」

香燐「でも、まだ決められなくて」

クシナ「いいのよ、別に急いでいるわけじゃないから」

クシナ「そうだ、せっかくだから少し外に出ない?」

クシナ「気分転換にもなるし」

香燐「……うん」

香燐「あ、あの」

クシナ「?なぁに?」

香燐「外で、手を繋いでもいい?」

香燐「……クシナさんが迷子になるかもしれないから」

クシナ「ふふふ、そうね」

クシナ「それなら、私がはぐれないように見張ってもらおうかしら」

香燐「!、うん!」

クシナ(やっぱり、まだトラウマがあるのかしらね)

クシナ(物心ついたころから、研究所で人体実験まがいの酷いことをされてきて)

クシナ(……きっと、本当は明るくて勝気な子のはずなのに)

クシナ(本当、許せないわ)

クシナ(この子が、元気に生きていけるように)

クシナ(出来る限りのことはしてあげなくちゃね)

クシナ「それじゃ、行きましょうか」

香燐「行き先は?」

クシナ「そうね」

クシナ「女の子らしく、甘味処なんてどうかしら」

香燐「!ウチあんみつ食べたい」

クシナ「あらいいわね、私は何にしようかしら」

~甘味処~

サスケ「暇だなぁ」

サクラ「いいじゃない、平和ってことで」

サクラ「はいサスケくん、あーん」スッ

サスケ「だから、そういうのうぜーって」

サクラ「もう、素直じゃないんだから」モグモグ

サスケ「ほんと、お前のそういう所は素直に尊敬するわ」

サクラ「やった、褒められた」モグモグ

サスケ「そう思うならせめて顔に出せよ、パフェから手を離せよ」

サクラ「甘いものは別腹だから、無理なの」

サスケ「……意味わからねぇよ」

サスケ「はー、俺も写輪眼つかいてぇなぁ」

サクラ「そのうち教えてくれると思うけど」

サスケ「……イタチはケチだからな」

サクラ「……」モグ

サスケ「修行でもするか」

サクラ「私で良ければお相手するけど」

サスケ「女を殴る趣味はない」

サクラ「だと思った」

クシナ「あ、ここ空いてるみたいよ」

香燐「ほんと?……あっ」コソ

サスケ「ん?」

クシナ「あら、サスケくん、それにサクラちゃん」

サクラ「こんにちはー」

サクラ「クシナさん、その子は?」

クシナ「そっか、二人は会ったことないわよね」

クシナ「……香燐?」

香燐「……」コソ

サスケ「どうしたんだよ?ビビってんのか?」

クシナ「こら、口が悪い」ビシッ

サスケ「いでっ!」

クシナ「ごめんなさいね、この子ちょっと人見知りなの」

サクラ「まあ、別に平気ですけど」

クシナ「相変わらずクール系なのね、サクラちゃん」

サクラ「そういうわけじゃないです」

サスケ「ある意味、こいつも人見知りみたいなもんだよな」

サクラ「ち、が、う、か、ら」ビシッ×5

サスケ「だからいてぇよ!」ヒリヒリ

サスケ「くっそ、俺の周りの女はこんなのばっかかよ」

サスケ「その点、お前は大人しそうだな」

香燐「……」ビクッ

サスケ「……いちいち反応でけぇよ、何もしてねぇだろ」

クシナ「だから、口が」

サスケ「分かった!分かったからその手をしまってください」

サスケ「ふぅ、おちおちダンゴも食えねぇよ」

サスケ「行くぞサクラ、腹ごなしに動くぜ」

サクラ「はーい」カチャン

サクラ「香燐ちゃん?またね」

香燐「……」

クシナ「あんまり遅くまで遊んだらだめよ、二人とも」

サスケ「別に遊びに行くわけじゃねぇし」

サスケ「サクラ、先に森の方行ってろ勘定してくる」

サクラ「うん、待ってるね」シュッ

クシナ「あら、いっちょまえに奢り?」

サスケ「いつも交代でやってるだけだ、そんなんじゃない」

クシナ「お口がわ…」

サスケ「わかりました!すんませんでした!」

クシナ「よろしい」

クシナ「でもいいわ、私が代わりに払っておいてあげる」

サスケ「いいよ、別に」

クシナ「いいから、大人の言葉には素直に従いなさい」

クシナ「香燐ちょっと待ってて、ついでに頼んで来ちゃうから」

香燐「……あっ」

クシナ「平気平気、すぐそこに行ってくるだけよ」

クシナ「サスケくん、少し香燐のことよろしくね」

サスケ「は?俺が?」

クシナ「いいでしょ、そこに立ってるくるい」

サスケ「……へいへい、分かっ…りました」

クシナ「そうそう、それでいいのよ」

サスケ(うちの母ちゃんと同じレベルで逆らえねぇ)

サスケ「……なぁ、お前さ」

香燐「……」

サスケ「喋れないのか?」

香燐「……」フルフル

サスケ「そっか」

サスケ「てかさ、暑くないのか?長袖で」

香燐「……」フルフル

サスケ「……」イラッ

サスケ「ぜってー暑いだろ、脱げばいいだろ」

香燐「……」フル

サスケ「だー!鬱陶しい」

サスケ「いいからせめて袖まくれよ!こっちまで暑く…」

香燐「!やめて!」バシッ

サスケ「……ってー!」ヒリ

香燐「……!」バッ

香燐「見た?」

サスケ「あん?なんか噛み跡?みたいなのか」

サスケ「癖は早めに直した方がいいぜ」

香燐「……」

香燐「……」ポロッグスッ

サスケ「って、んで急に泣くんだよ、わけわかんねーよ」

サスケ「別に気にしてねぇし、誰にも言わねぇよ」

香燐「嘘、気持ち悪いと思ったでしょ」

香燐「皆そう言ってウチを虐めるんだ」

サスケ「は?」

香燐「ウチだって好きで長袖きてるわけじゃない、でも」

香燐「こんな身体、見せたくないから」

サスケ「……」

サスケ「なんだよ、割と喋れんじゃんか」

香燐「え?」

サスケ「いいじゃねぇか、言わせておけば」

サスケ「他人なんか気にしてたって、キリねぇし、楽しくねぇぞ?」

サスケ「堂々としてりゃいいんだよ、嫌がるからつけあがるんだ」

サスケ「どうしても嫌ならぶちのめしてやりゃあいい」

香燐「……でも、ウチ、ケンカとか強くないし」グスッ

サスケ「簡単だよ、一発でかいのかませばすぐ逃げるさ」

サスケ「それに、腕を見せたくないなら包帯とか巻いたらいいんじゃね?」

サスケ「すげぇかっこいいと思うぜ」

香燐「かっこいい?」

サスケ「おう、強そうじゃん」

香燐「ほんとに?」

サスケ「少なくとも、俺はそういうの嫌いじゃないぜ」

クシナ「二人ともお待たせって、どしたの香燐」

香燐「え、えっと」

サスケ「ためしに包帯巻いてみてんだ」グルグル

サスケ「いいじゃん、似合ってる似合ってる」

香燐「そう、かな」

サスケ「誰かに虐められたら俺のとこ来いよ、稽古つけてやる」

サスケ「ビビってばっかじゃつまんねーだろ」

香燐「うん」

サスケ「おし、じゃまたな香燐」

サスケ「もういってもいいだろ?」

クシナ「え?あ、うん」

サスケ「じゃ、ごちそうさま」シュッ

クシナ「かりーん?」

香燐「……」ボー

クシナ「あんみつ、ぬるくなっちゃうわよ?」

香燐「……クシナさん、さっきの男の子、名前はなんだっけ?」

クシナ「ああ、サスケくんだけど」

香燐「サスケ……」ボー

クシナ(……まさか、というかなんというか)

クシナ(香燐もちょろいところあるのね、まあ同じうずまきの女としては分からなくもないんだけど)

クシナ(はぁ、たしかに私もこんなだったとしたら、ミコトに言われるわけだ)パク

クシナ(まぁ、香燐にとっては前進かしら、ね)

香燐「……」ボー

とりあえずここまで、また定期的に書けるよう努力する。

またの

~日向家~

ミナト「ごめんください」

ネジ「火影様!」

ミナト「ああネジくん、いつもごめんね」

ミナト「ナルトが来てると思うんだけど」

ネジ「はい、今はヒナタ様のお部屋にいらっしゃるかと」

ミナト「上がってもいいかい?」

ミナト「そろそろ連れて帰らないといういけないから」

ネジ「はい、どうぞ」

ミナト「ありがとう」

ミナト「さて、たしか部屋はこっちだったよね」スタスタ

ミナト「ナルトー、そろそろ帰るよ」ガラ

カエル「お!父ちゃん」

カエル「見てくれってばよ!」

ミナト「変化の術かい?随分上手いじゃないか」

ヒナタ「今日ものすごく頑張ったもんね、ナルトくん」

ハナビ「といっても、今の一回以外ほとんど失敗でしたが」

ヒナタ「こらハナビ!」

ナルト「ははは、そんなすぐ出来るようにはならないってばよ」ポンッ

ナルト「ヒナタ、ハナビ、ありがとな」

ナルト「今日はこれで帰るってばよ」

ミナト「ありがとう、ナルトの相手をしてくれて」

ヒナタ「あ、いえむしろ私が楽しくて一緒にいるので」ゴニョゴニョ

ハナビ「ナルトさん、また遊びましょうねー」

ナルト「おう、次はもっといろんな術を覚えてくるってばよ」

ミナト「それじゃナルト、捕まって」

ナルト「お、アレで帰るのか」

ミナト「ははは、その方が早いからね」

ミナト「飛雷神の術」ヒュンバチバチッ

ハナビ「ほへー、相変わらずクールです」

ヒナタ「さすがは火影様だね……」

~修練場~

ミナト「さて、と」

ナルト「ありゃ、家じゃない」

ミナト「せっかくだから、たまには父さんらしいことをしようと思ってね」

ミナト(変化の術が上手くいくようになった、ということは)

ミナト(チャクラコントロールが上達したということ)

ミナト(九尾は完全に封印されているワケじゃない、だからこそ細かいコントロールは難しいんだけど)

ミナト(もしかしたら、ナルトは九尾の力をうまく取り入れられる可能性がある)

ナルト「父ちゃん?どうしたんだってばよ」

ミナト「ああ、ごめんごめん」

ミナト「それじゃ、そこに座って」

ナルト「え?何か術を教えてくれんじゃないの?」

ミナト「ああ、教えるよ」

ミナト「ただ、やるのはここじゃないんだ」

ミナト「頭の中で、ね」

ナルト「?」

ミナト「さ、目をつぶって」

ミナト「少しだけ衝撃があるかもしれないけど、我慢するんだよ」

ナルト「?お、おう」

ミナト(五行解印)トンッ

ナルト「!!?」

ナルト「な、なんだってばよ、ここ」

ミナト「真っ白で少し気味が悪いけど、ナルトの頭の中さ」

ミナト「今、オレが昔ナルトの中に封印したやつを、ちょっとだけ解放してみてる」

ナルト「封印?なんの話だってばよ」

ミナト「ほら、来るよ」

九尾「……」

ナルト「な、なんだ?アレ」

ミナト「あれは九尾の妖狐と呼ばれている」

ミナト「オレと、そして母さんの中にもいる」

ナルト「二人にも?」

ミナト「ああ」

ミナト「オレたちは、たぶん九尾に恨まれていると思う」

ナルト「悪いことしちゃったのか?」

ミナト「そうだね、九尾には辛いことをしてしまった」

ミナト「だけど、ナルトなら」

ミナト「きっと、九尾とも友達になれる」

ナルト「……でも、あいつなんか顔怖いってばよ」

ミナト「ははは、やっぱりオレは嫌われてるらしい」

ミナト「父さんは見ているだけにする、ナルトのことは守るから、九尾と話してみてごらん」

ナルト「え……」

ミナト「大丈夫、心配いらないよ」スッ

ナルト「父ちゃん?……はぁ、もう少しちゃんと説明してほしいってばよ」

ナルト「とりあえず、これが何の修業になるのか、とか」

ミナト「それも含めて修行さ」

ミナト「ほら、頑張って!」

ナルト「わ、分かったってばよ」

ナルト(ちぇー、ニコニコしながら超強引なんだもんなぁ)

ナルト「えーっと」

九尾「……」グルルル

ナルト「きゅ、九尾さん?」

九尾「……失せろ小僧」

九尾「ワシはこんなとこに閉じ込められて」

九尾「機嫌が、悪い!」グォォォォ

ナルト「ひ、ひぃ!しぃましぇん!」ダッ

ナルト「父ちゃん父ちゃん、あいつめっちゃ怖ぇ!」

ミナト「あはは、確かに凄い迫力だね」

ナルト「だーっ!笑ってる場合じゃないってばよ!」

ミナト「ナルト」

ミナト「九尾ってのは、ずっと人間から恐れられてきた」

ナルト「それは、知ってるってばよ」

ナルト「昔父ちゃんが封印したから、木の葉の里は大丈夫だったって話だろ?」

ミナト「その通りだ」

ミナト「でも、実はそれだけじゃないんだ」

ナルト「それだけじゃない?」

ミナト「封印はオレ達家族の身体にしたのさ」

ミナト「つまり、三人それぞれの中に九尾がいる」

ナルト「えぇ……」

ミナト「しかも、オレの封印はまだ不完全でね、オレもクシナも定期的にお互いの封印を補強しないと」

ミナト「また暴れだしそうなんだ」

ナルト「そ、それって危なくないのか?」

ミナト「ふふ、大丈夫だよ」

ミナト「でも、このままだと良くないってのは分かるだろう?」

ミナト「だから、ナルトには九尾と仲良くしてもらいたいんだ」

ミナト「とりあえずまだ顔見せって所だけど」

ミナト「これからは少しずつ話しかけてみよう」

ナルト「どうやって?」

ミナト「自来也先生の封印は解除したから」

ミナト「自分の中に語りかけてみれば、九尾にも聞こえるはずさ」

ナルト「???」

ミナト「九尾と話したい、と思ってみればできるさ」

ミナト「さ、とにかく戻るよ」

ナルト「……ううーん」

ナルト「!ここは……」

ミナト「ごめんよ、ナルト」

ミナト「でも、出来ればもっと早くこうしたかったんだ」

ナルト「どうしてしなかったんだってばよ?」

ミナト「とても簡単に言えば、危険だから」

ミナト「でも、ナルトもそろそろ試験があるだろ?」

ナルト「それと関係あるのか?」

ミナト「大ありさ、封印はナルトのチャクラを使って維持してるようなもの、当然チャクラコントロールも難しくなる」

ミナト「ま、別にオレとしては試験に失敗したって気にすることはないと思うけど」

ミナト「全力を出せないと悔しいだろ?」

ナルト「それはそうかも知れないけど」

ミナト「ま、ナルトの中忍試験の時には」

ミナト「自来也先生も帰ってくるって言ってたからね」

ナルト「さっきも言ってたけど、じらいやって誰だってばよ?」

ミナト「ナルトの名前を決めてくれた人さ」

ミナト「オレの師匠でもある」

ナルト「おお!父ちゃんの師匠ってことはすげー強いのか!」

ミナト「ああ、オレの何倍も強いぞ」

ナルト「すげぇ!すげぇ!」

ミナト「それまでに、九尾とお喋りできるようになるといいな」

ナルト「なるなる!俺ってばたくさん話しかけてみるってばよ!」

ナルト「だから、じらいやせんせーが来たら、俺の修行をしてもらうように頼んでくれってばよ!」

ミナト「あはは、分かった分かった」

ミナト「きっと喜ぶよ」

ミナト「さぁ、じゃあついでに稽古もしていこうか」

ナルト「お、何やるんだ?父ちゃん」

ミナト「まずは基本から、水面に立つ練習」

ナルト「えー、もっとカッコイイのがいいってばよ」

ミナト「ナルト、基本は大事だよ」

ミナト「忍はあらゆる所で任務をする可能性があるんだ」

ミナト「水だらけのところでナルトだけ立てなかったら、生き残れないぞ?」

ナルト「うー、言いたいことは分かるけどさぁ」

ミナト「よしよし、コツを掴めばすぐできるさ」

ミナト「水遁!」ザバー

ミナト「よし、とりあえずこの上に立ってみよう」

ナルト(……まぁ忙しい父ちゃんが稽古つけてくれるんだし、頑張ってみるってばよ)


ミナト「ナルト?」

ナルト「おーっし、すぐにマスターしてやるってばよ!」

ミナト「あはは、その意気だ」

クシナ「ふーん、それでびしょびしょになったってワケね」

ナルト「めちゃくちゃ難しかったってばよ」

クシナ「まあ基本であり究極かもね」

クシナ「それよりお風呂入りなさいな、風邪ひくわよ」

ナルト「おう!いってきまーす」

クシナ「……」

クシナ「で?」

ミナト「あ、あははー、やっぱり怒ってる?」

クシナ「あったりまえだってばね!」

クシナ「封印も勝手に解いちゃったって」

クシナ「ぜったい自来也さんも怒るわよ」

ミナト「だ、だよねぇ」

クシナ「」

クシナ「ナルトは大丈夫なの?」

ミナト「そっちは問題ないよ」

ミナト「一応、封印を解いた時に九尾が暴れたらもう1度掛け直す予定だったけど」

ミナト「やっぱり、ナルトはうまく適合しつつあるみたいだ」

クシナ「ちゃんと様子は見ててよ」

クシナ「いざとなった時、私じゃ間に合わないかもしれないから」

ミナト「ふふん、僕を誰だと思ってるんだい?」

クシナ「はいはい、調子に乗りすぎないでよね」

ミナト「分かってるさ」

ミナト「今日ナルトが変化の術を練習してたみたいなんだけど」

ミナト「随分上達していたよ、最初の頃とは大違い」

クシナ「それ見て舞い上がっちゃって、ホント子供なんだから」

ミナト「あはは、やっぱり子供の成長が嬉しくてね」

クシナ「ま、あなたが大丈夫だと思ったなら」

クシナ「私としてはその判断を尊重するけどね」

ミナト「いつも助かるよ、クシナ」

クシナ「ふふ、いい奥さんでしょ?」

ミナト「そりゃあもう、僕には勿体ないくらいさ」

クシナ「本当にそう思ってる?」

ミナト「ああ、歴代の火影様に誓ってね」

クシナ「もう、すぐそうやって」

クシナ「あなたもお風呂いってきたら?ご飯出来る前に」

ミナト「そうだね」

ミナト「ナルトに背中流してもらえるかなぁ」

クシナ「頼んでみたら?あの子もきっと喜ぶわよ」

ミナト「よーし、ナルトー」ダダダ

クシナ「ほんと、親バカなんだから」

~アカデミー~

イルカ「よーし、じゃあ今日習ったことはしっかり今日中に復習しておけよー」

ナルト「くそー、また失敗しちまったぁ!」

ヒナタ「元気だしてナルトくん、前よりずっと良くなってたと思うよ」

サスケ「そうだな、少なくとも今日はカエルに見えたぜ」

サクラ「大きさが人間サイズだったけどね」

いの「もう、ほんとサクラは分かってないんだから」

いの「ナルト、約束通り今日は私と遊びましょ」

ナルト「でもオレってばさすがに練習しとかないと落第しちまいそうだし」

いの「それなら、その修行に私も付き合うから」

ヒナタ「そ、それならわたしも……」

いの「ヒナタはだめ!」

ヒナタ「えぇ?!」

いの「あんたは普段からナルトを独占しすぎなのよ」

いの「ねーナルトー、ナルトも何か言ってやってよ」

ナルト「オレは別に……」

いの「……」ギロ

ナルト「……あー、ヒナタ、今日はいのと練習するってばよ……」

サクラ「うっわダサ」

サスケ「弱っちぃな、お前な」

チョウジ「いや、ボクは分かるよ、ナルトの気持ち」

シカマル「いのはこぇーからな、顔が」

いの「あん?なんか言った?」ギロギロ

シカマル「……いや、なんでもねぇ」

サクラ「シカマルもダッサー」

ヒナタ「……うう、ナルトくん……」

いの「はい決まり!言っとくけど邪魔しに来たら容赦しないからね」

いの「ほら、行くわよナルト」グイッ

ナルト「じゃ、じゃあなーみんなー」ズルズル

チョウジ「ナルト、強く生きてね」

ヒナタ「ナルトくーん!!」

サスケ「俺も帰るか」ガタッ

サクラ「そうね」

サスケ「自然とくっついてくんな」

サクラ「わたしはサスケくんの隣が帰るところなの」

サスケ「訳わかんねぇよ、いやマジで」

キバ「ヒナター、たまには俺たちと修行しようぜ」

シノ「なぜなら、むさくるしい修行に飽きているからだ」

キバ「うるせーな、むさくるしくて悪かったな」

ヒナタ「け、喧嘩はしないで」

ナルト「いのー」

ナルト「どこに向かってるんだってばよー」

いの「誰も邪魔しに来ないとこ」

ナルト「えー、みんなでワイワイしてるの嫌いなのか?」

いの「それとこれとは別なの」

いの「私はナルトと、一緒にいたいの」

ナルト「そ、そっか」

いの「女の子と二人っきりよ?ナルトは嬉しくないの?」

ナルト「オレってばそういうのよくわか……」

いの「……」ジー

ナルト「う、嬉しいってばよ!」

いの「でしょでしょ」

ナルト(うぅ、なんか疲れるってばよ……)

いの「よーし、ここまで来ればいいかな」

いの「さぁナルト、修行でもなんでも付き合うわよ」

いの「なんならそのまま付き合ってくれても……」

ナルト「?」

いの「……あっそ」

いの「ほんとニブいっていうかガキっていうか」

ナルト「良くわかんねーけど、そしたら変化してみるから」

ナルト「変なとこないか教えてくれってばよ」

いの「はいはーい、まぁ今は一緒に居られるだけでいいか……」

ナルト「変化の術!」ポフンッ

いの「……足だけ何も変わってないわよ」

ナルト「うぇっ、気色悪っ」

いの「いや、あんた自分の姿でしょ……」

いの「ちゃんとイメージはしてるの?」

ナルト「そりゃあもちろん」

いの「そうねぇ、何がダメなんだろ」

いの「そういえば、おいろけの術ってやつあるじゃない?」

いの「アレやってみてよ」

ナルト「えっ……さすがにちょっと気まずいってばよ」

いの「いいから、むしろ男相手よりは気にならないんじゃないの?」

ナルト「そういうもんかなぁ」

いの「早く」

ナルト「へ、へーい」

ナルト「おいろけの術!」ポフンッ

いの「おぉ……」

いの「こういうぼいんぼいんがナルトの好みなの?」

ナルト「あ、いや……なんてーかイメージっていうか」

いの「なんかその姿で言うとちょっと可愛いわね、ナルト」

ナルト「ま、真面目に言われっとなんかハズカシー!」

いの「なんでこっちは上手くできるのかしらね」

ナルト「んー、よく分からないってばよ」ボフンッ

いの「他の人間とかは?」

いの「例えば私とか」

ナルト「や、やってみるってばよ」

いの「あ、服は着せてよね」

ナルト「分かってるってば!」

ナルト「変化の術!」ボフンッ

いの「……」

いの「顔が変わってないじゃない」

ナルト「えー……」

ナルト「おかしいな、ちゃんとイメージしたのに」

いの「なるほど、おいろけの術は顔がナルトのベースからあんまり変わらないから出来てるのかもね」

いの「こりゃ、なかなか難しそうね」

ナルト「うーん、どうにかしないと」

ナルト「俺だけ試験不合格は避けたいってばよ……」

いの「まま、ここはあんたのいのちゃんに任せなさい」

いの「ヒナタと練習するよりずっと上手くやってみせるんだから」

ナルト「よ、よろしく頼むってばよ」

おい、小僧……

ナルト「え?いの、今なんか言った?」

いの「?任せときなさいって?」

ナルト「いや、そうじゃなくて……」

そいつじゃない、ワシだ

ナルト「???」

面倒だな……ちょっとこっちに来い

ナルト「あれ?いや、ちょっと……?」フラフラ

いの「ナルト?ナルト!」

いの「なんで急に気絶するのよ……」

ナルト「ここは……」

九尾「おい、小僧」

ナルト「うわぁ!きゅ、きゅきゅきゅ九尾!?」

九尾「うるさい、いちいち驚くな」

九尾「中から見てたが、お前は相当へっぽこだな」

ナルト「……うるせーや、人間には人間の苦労があるんだってばよ」

九尾「なんだ、拗ねているのか?」

ナルト「そりゃ狐にバカにされたら普通傷つくってばよ」

九尾「………ははは、そうか」

九尾「なんなら力を貸してやってもいいぞ」

ナルト「は?」

九尾「ワシをこここら出してくれれば、お前をもっと強くしてやる」

ナルト「いや、オレ別に強くなりたいとかそういうのは……」

九尾「でもまともな忍にはなりたいんだろう?」

九尾「ワシをここから出せ、それだけしてくれれば、後はワシがなんとかしてやる」

ナルト「んー」

九尾「どうだ、お前も無駄な修行なんてない方が楽だろう」

ナルト「……ごめん、やっぱりそれはオレが頑張らないとダメだと思う」

ナルト「お前が力を貸してくれたら、もしかしたらすげー力が手に入るのかもしれねーけど」

ナルト「でもそれじゃ、胸を張って父ちゃんや母ちゃんに自慢出来ないってばよ」

九尾「自慢……?」

ナルト「ああ!オレは火影の息子だって、皆に認めてもらいてーんだ」

ナルト「だから、ありがとな、気持ちだけ貰っとくってばよ」

九尾「……」

九尾「いいからここから出せ小僧!」ガタガタ

ナルト「うおっ!やっぱ怖っ!」

ナルト「なんだ、お前そんなにここから出たいのか?」

九尾「当たり前だ」

九尾「こんな窮屈なところに閉じ込めやがって」

ナルト「そっか」

ナルト「お前、出たら何かしたいことあんのか?」

九尾「したいこと?」

ナルト「なんかあんだろ?」

ナルト「オレにも教えてくれってばよ」

九尾「まずはこんな目にあわせたヤツらに復讐してやる」

ナルト「てことは父ちゃん?」

九尾「……ああ」

ナルト「それじゃあ出せないってばよ、オレ父ちゃん好きだもん」

九尾「それならクシナだ、あいつにもたっぷりお礼を……」

ナルト「それもダメ、母ちゃんいないとオレも父ちゃんも生きてけねー」

九尾「お前の意見なんてどうでもいい!」

九尾「とにかくここから出せ!」ガタガタ

ナルト「……なんかさ」

ナルト「わかんねーけどお前も大変だったんだよな」

ナルト「オレも封印されるって嫌だろうなって想像はつくよ」

九尾「その何倍もキツいぞ」

ナルト「マジか、オレじゃ耐えられないってばよ」

ナルト「九尾、お前すごいヤツなんだな」

九尾「当たり前だ、ワシは誰よりも強い」

ナルト「そっか」

ナルト「じゃあさ、じゃあさ」

ナルト「今すぐは無理でも、きっとここから出してやる」

ナルト「絶対、約束するってばよ」

九尾「それはいつだ」

ナルト「いつかはまだわかんねー」

ナルト「でも、オレがもっとちゃんとした忍になったら」

ナルト「お前を自由にしてやるってばよ」

九尾「出たら、お前の親父とお袋を食いに行くぞ」

ナルト「それはさせられないから、その時はオレが止めるってばよ」

九尾「お前に出来ると思っているのか?」

九尾「なんなら、ワシが指一つ動かすだけで、お前1人くらい消し飛ばせるぞ」

ナルト「だから、お前を止められるくらいの忍になるまではここで待っててくれってばよ」

九尾「お前が生きている間には無理だな」

ナルト「大丈夫、なんとか頑張ってみるってばよ」

九尾「なんだ、訳の分からんやつめ」

九尾「そんなに待てるか」

ナルト「お前長生きなんだろ?ゆっくり待ってくれよ」

九尾「いやだ」ギロ

ナルト「じゃあ絶対だしてやらねー」プイッ

九尾「なっ、卑怯だぞ」

ナルト「仕方ねーだろ、お前が悪いことしようとするのが悪いんだ」

九尾「じゃあ、悪いことはしない」

ナルト「嘘つけ、言葉だけだろ」

九尾「クソガキのくせに生意気だぞ」

ナルト「お前みたいなのがずっと中にいるから、影響されたんだってばよー」

九尾「ごちゃごちゃ言わずにここから出せ!」

九尾「さもないと食っちまうぞ」

ナルト「べろべろべー、それが出来るなら最初からしてるだろ」

九尾「ちぃぃ」

ナルト「まあオレなりに頑張るからさ、そこで大人しくしててくれってばよ」

九尾「待ってられんな」

ナルト「……お前、だいぶワガママだよな」

九尾「うるさい」

ナルト「でもしょーがないだろ、オレ、まだまだお前止められるほど力ねーってばよ」

九尾「お前程度にワシを止められる訳がないだろうが」

ナルト「とりあえず、また後で話そうってばよ」

ナルト「オレ、今変化の術の修行中だからさ」

九尾「お、おい待て!」

ナルト「寂しい時は呼んでくれってばよ、お前悪いヤツだけど悪くないみたいだし」

ナルト「って、あれ?どっちだ?」

九尾「バカなこと言ってないで……」

ナルト「あ、無理やり呼ばないでくれってばよ、オレにも生活あるし」クルッ

九尾「あ、おい!小僧!」

ナルト「オレはナルトだってばよ、よろしくな九尾」

九尾「……なんなんだあいつは」

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