ナルト「サスケ、何見てるってばよ」(43)

サクラ「戦争が終わって、世界が救われてからもう数ヶ月ね」

ナルト「…ああ」

サクラ「ねえ、ナルト。サスケ君の事なんだけど」

ナルト「サスケ?サスケに何か」

サクラ「お、落ち着いてナルト。また里抜けしたとかそんなんじゃないから」

ナルト「ごめんってばよ」

サクラ「むしろアンタには嬉しい報せだと思うの」

ナルト「嬉しい?」

サクラ「ええ。ほら、サスケ君は罪人として罰を受けたでしょ」

ナルト「…ああ。けど、あいつは俺と一緒に世界を救った功績があるから死罪は免れたって」

サクラ「それに、ナルトも必死だったしね。サスケ君が死んだら俺も死ぬ!って」

ナルト「…」

サクラ「それから、サスケ君は地下の隠し部屋に監禁される事になった。里の人々の目を避ける為に」

ナルト「ああ」

サクラ「ここまでは知ってるわよね。時期が来たら会わせてやる、と綱手様も言ってたし」

ナルト「それがどうしたってばよ?」

サクラ「ここからが本題」

ナルト「?」

サクラ「サスケ君との面会許可が出たわ」

ナルト「!!…それって」

サクラ「そう。今夜、サスケ君に会えるのよ」

ナルト「そっか…」

サクラ「でもね、1つだけ問題があるの」

ナルト「問題?」

サクラ「ナルト。今、サスケ君は…ううん、やっぱりいい」

ナルト「サクラちゃん、何隠して」

サクラ「地下に着いたら話すわよ。それじゃナルト。夜にまた此処で」

ナルト「おう!」

ナルト「ただいまー」

ナルト「カップラーメンでも食べるか」

ズルズル…

ナルト(サスケ、やっと会えるってばよ)

ナルト(あの時は戦いの最中で、お前と話し合う時間なんてなかったけど)

ナルト(今度こそ、しっかり向き合わないとな)

ナルト「ごちそーさま。さて、早く行かないとサクラちゃんを待たせる事になっちまうな」

ナルト「行ってくるってばよ!」

バタン

見てくれている人がいるかどうかわりませんが、一応ご挨拶を。

まだ続きます。

サクラ「ナルト!」

ナルト「サクラちゃん、待った?」

サクラ「ううん、別に。さ、早くサスケ君のところに行きましょ」

ナルト「おう。そういえば、サクラちゃんはサスケに会ったのか?」

サクラ「少し前にね。でも、綱手様から口封じされてたの」

ナルト「綱手のばーちゃんが?何で?」

サクラ「ナルトがショックを受けるかもしれないって。私も最初は驚いたし、悲しかった」

ナルト「悲しかった?なんで…なんでサスケの事でそんなになるってばよ!サスケに何があったんだ?!」

サクラ「ごめんね、ナルト。後は自分の目で確かめて。それから1つ約束してほしいの」

ナルト「約束?」

サクラ「サスケ君がどうなっていても、感情のままに動いちゃ駄目。お願いね、ナルト」

ナルト「何のことかわからねーけど、それが大切な事なら約束する」

サクラ「ありがとう。さあ、ここよ。この扉の奥にサスケ君がいるわ」

ナルト「警備が手薄…おかしいってばよ…」

綱手「よく来たな」

ナルト「ばーちゃん…」

綱手「サクラが連れてくると言っていたからな、待っていたぞ」

サクラ「綱手様、サスケ君は」

綱手「今日はナルトが来る、と言ったら喜んでいたな」

ナルト「喜んで…?サスケが?想像つかないってばよ」

綱手「まあ、当たり前だろう。話に聞いていた人物にやっと出会えるんだからな」

ナルト「?!」

サクラ「綱手様!」

綱手「ああ…悪いなサクラ。さて、後はお前自身の目で確かめるといい」

ナルト「…(ゴクッ)」

サクラ「サスケ君、私よ。入るわね」

ガチャッ

サスケ「…サクラか」

サクラ「サスケ君、調子はどう?」

サスケ「悪くない。それよりも」

ナルト「?(いつものサスケだってばよ)」

サスケ「そいつがナルトってやつか?」

ナルト「!?」

サクラ「そうよ。ガサツでドジなところもあるけど、基本的にはいい奴だから」

サスケ「そうか。こいつが…」

ナルト「サスケ、俺のこと」

サスケ「知ってるに決まってるだろ」

ナルト「…(タチの悪い冗談言ってただけか?)」

サスケ「サクラや綱手から聞いたからな。会える日を楽しみにしていた」

ナルト「!!」

ナルト「サスケ!お前ってばムグッ」

サクラ「ナルト!」

ナルト「わ、わかってるってばよ」

サスケ「なんだ?」

サクラ「な、なんでもないの。ね?ナルト」

ナルト「…おう」

サスケ「仲良いんだな。恋人ってやつか?」

サクラ「ち、違うわよ!断じてそんなんじゃ」

ナルト「サクラちゃん、動揺してる…もしかして」

サクラ「あーもう!そんなことはどうでもいいの。それより」

綱手「二人で散歩にでも行ってきたらどうだ?親睦を深めるいい機会だぞ」

サクラ「綱手様?何を…」

ナルト「その二人ってのは俺とサスケの事か?」

綱手「そうだ。どうする?」

サスケ「ナルトが良ければ構わない。外の景色も見たいしな」

ナルト「俺も別にいいけど…サスケは外に出た事ないのかよ?」

サスケ「ああ。俺は第四次忍界大戦の時に滅びた一族、うちはの生き残りらしい」

ナルト「!?(何言ってるってばよ…お前の一族は)」

サスケ「俺が死ぬと一族の血が途絶える。血継限界とやらの力も世界から消える。だから、命を狙われないように保護していると」

ナルト「…ばーちゃん、これ」

綱手「話はこの部屋から離れた後だ。一緒に来い、ナルト」

ナルト「わかった…」

サクラ「綱手様、サスケ君を1人にはできないので私は此処にいますね」

サスケ「俺は外出の準備をする。また後でな、ナルト」

ナルト「あ、ああ…」

綱手「話が終わったら迎えに来る」

やっとサスケェを登場させられました。書いている以上、誰かに見てもらえれば嬉しいと思います。

続くのじゃよ

誰かが自分の書いたモノを見てくれている、それがわかるだけでモチベーションも変わってくるので…
見てくれている方、ありがとうございます。

以下続き

ガチャン

綱手「此処でいいだろう。それで、お前は何を聞きたいんだ?」

ナルト「サスケの記憶がメチャクチャだったり、俺の事を忘れてたり…サスケに何したってばよ」

綱手「落ち着け、ナルト。私とお前が争っても何も変わりはせん」

ナルト「くっ…」

綱手「アレは、サスケへの刑罰が関係している」

ナルト「刑罰?なんで刑罰で記憶メチャクチャなんだ?」

綱手「お前がサスケの助命を嘆願した事、そしてサスケが無限月読から人々を救う力となった事。それらを加味して、サスケの命は保たれた」

ナルト「ああ」

綱手「だが、奴はうちはの末裔であり、憎悪を継ぐもの。反乱分子に戻る可能性がある。そこで」

ナルト「…(ゴクッ)」

綱手「今までのうちはサスケを死罪とする事が、五影の間で決定した」

ナルト「…どういうことだってばよ?」

綱手「特殊な封印術を用いて記憶を封じ、偽の記憶を植えつける。記憶を改竄された者は、以前と違う人格を得る事になる。つまり…」

ナルト「前とは違う存在になる」

綱手「サスケも同じだ。憎悪や絶望に染まったうちはサスケは死を迎えた。この世界には存在しない」

ナルト「そんなの…あんまりだってばよ」

綱手「だが、お前にサスケはどう映った?」

ナルト「幸せそうに見えたってばよ。監禁される前よりも、ずっと」

綱手「そういうことだ。今の状態はやつにとっても幸せな事。だからこそ、お前はその封印を破らせてはならない」

ナルト「え…?」

綱手「封印術を施される前に思い入れがあったモノ、行動の動機となっていたモノ。それらが引き金となり、封印術が解ける事例もある」

ナルト「…」

綱手「逆に、それらへ接触しても術が解除されなければ」

ナルト「その術はもう解けない」

綱手「そうだ」

ナルト「それで、俺は何をすればいいんだってばよ?」

綱手「うちは一族が関与するものにサスケを触れさせてほしい」

ナルト「たとえば?」

綱手「イタチの話、一族虐殺事件の現場等だ」

ナルト「ばーちゃん、散歩ってまさか」

綱手「ああ、その為だ。ただし」

ナルト「?」

綱手「もし、サスケが記憶を取り戻しそうになったら」

ナルト「…なったら?」

綱手「気絶させて此処に運べ」

ナルト「…」

綱手「再び封印術を施す。そして、サスケの封印が解けなくなるまでこの手順を繰り返す」

ナルト「…」

綱手「さて、そろそろサスケの準備も終わっているだろう。行くぞ」

ナルト「…わかった」

サクラ「あ、綱手様」

綱手「サスケの準備はどうだ?」

サクラ「ちょっと待ってください」

コンコン

サクラ「サスケ君、準備できた?」

サスケ「ああ、今行く」

ガチャ

綱手「先程言った通り、サスケは唯一の生き残りだ。彼が死ぬ事はうちはの滅亡を意味する。だから」

サスケ「この服を着て、俺だとバレないようにする。名前は確か…」

サクラ「ローブ」

サスケ「そう、ろーぶと言うらしい」

ナルト「!?(サスケが…)」

綱手「勿論、フード付きだ。顔を隠せなくては意味がないからな」

サスケ「…ナルト?」

ナルト「あ、ああ。何でもないってばよ」

サスケ「そうか。何かあったら遠慮なく言え」

ナルト「おう」

サクラ「それじゃ、行きましょうか」

ナルト「サクラちゃんも行くのか?それってばデーt」

サクラ「違うわよ。私と、あと数人。護衛として二人の後をついていくわ」

ナルト「なんだ、そっちかー」

サクラ「そういうのは暇な時に付き合ってあげる。それから…これが一番大切なこと」

ナルト「?」

サクラ「サスケ君の事、守ってあげてほしいの。お願い」

ナルト「言われなくてもそのつもりだってばよ。任せとけ、サクラちゃん」

サクラ「…ありがとうナルト。それじゃ、二人は先に外へ出て」

サスケ「目の前で守るだとか言われるのは妙な気分だ」

ナルト「嫌か?」

サスケ「別に。俺はそういう立場の人間だから仕方ない」

ナルト「…」

サスケ「それにしても、俺を守るなんてよく引き受けたな。お前にとっては赤の他人だろう」

ナルト「サクラちゃんや綱手のばーちゃんから聞いてたからな、お前のこと」

サスケ「そうか。よくはわからないが、感謝する」

ナルト「気にすんな」

サスケ「…太陽の光だ。そろそろ地上だな」

ナルト「サスケ、俺の一歩後ろをついてくるってばよ」

サスケ「わかった」

やっと外に出られましたね。
長々とすみません、次からメイン部分に突入します。

まだ続きますが、一旦お休み。

ナルト「そういえば」

サスケ「?」

ナルト「サスケ、第四次忍界大戦の前は何してたんだ?」

サスケ「知りたいのか」

ナルト「ああ」

サスケ「悪いが、覚えていない。綱手は俺の事を記憶喪失と言っていた」

ナルト「なら、いいってばよ。サンキュ」

サスケ「…それで、どこに行く?」

ナルト「へへ…最初に面白いモノ見せてやるってばよ」

サスケ「面白いモノ?」

ナルト「あの人面岩。木の葉の里を収めてきた火影が彫られてるんだ」

サスケ「リアルだな」

ナルト「それで、あれが俺の父ちゃんの岩。四代目火影・波風ミナト」

サスケ「今の火影は綱手だが」

ナルト「赤ん坊の俺を守って母ちゃんと一緒に死んだからな」

サスケ「…」

ナルト「母ちゃんと父ちゃんに叱られないよう、精一杯生きるってばよ」

サスケ「…そうか」

ナルト「次はうちは一族が住んでた場所だな。サスケ、その記憶もないのか?」

サスケ「ああ。どんな場所か楽しみにしている」

ヒナタ「あ…ナルト君」

ナルト「ヒナタ、何か用事か?」

ヒナタ「えっと…」

ナルト「悪いけど、今は任務中…」

ヒナタ「さっき綱手様から頼まれたの。白眼を使って、二人の周辺を警戒してほしいって…」

ナルト「そういう事なら、頼りにしてるってばよ」

ヒナタ「う、うん…」

ナルト「サスケに関しての事はもう聞いたのか?」

ヒナタ「綱手様から…」

ナルト「サスケが木の葉に居るって事は秘密だ」

ヒナタ「わかってる。ナルト君が困るような事はしない」

ナルト「よし。それじゃサスケ」

サスケ「ああ、行こう」

感想・閲覧ありがとうございます。
話を書く事に関してド素人以外の何者でもありませんが
アドバイス等や意見等があれば参考にさせていただきます。
(必ずしもその通りに書くというわけではありません、ご了承ください)

続きます

ナルト「綱手のばーちゃん、結構手回してるんだな」

サスケ「ナルト。白眼とは何だ?」

ナルト「透視や観察能力がスゲー眼だ。血継限界の一つで、木の葉だと日向一族が持ってる」

サスケ「特別な眼か。羨ましいことだ」

ナルト「…(サスケ、お前も特別な眼を持ってるんだってばよ。それこそ世界を変えられる程の)」

サスケ「うちは一族が持つ血継限界もその位凄いといいんだが。俺自身には発現してないから、よくわからないけどな」

ナルト「サスケ…」

サスケ「ウスラトンカチ」

ナルト「!?」

サスケ「お前がいちいち泣きそうな顔するから、無性に言いたくなった」

ナルト「な…泣きそうな顔なんてしてないってばよ!」

サスケ「なってるだろ」

ナルト「…」

サスケ「怪我でもしたのか?」

ナルト「違う」

サスケ「悲しい過去でも思い出したのか?」

ナルト「違う」

サスケ「俺と一緒に歩く事が不満か?」

ナルト「違う」

サスケ「それなら、なぜ?」

ナルト「サスケと一緒に散歩できるなんて感動モノだから、思わず泣きそうに」

サスケ「無理やりすぎだろ」

ナルト「と、とにかく行くってばよ。本当に辛くなったらすぐに言うし」

サスケ「約束」

ナルト「おう(本当なら知っているはずの事を知らなかった。昔は言ってたけど決別してからは言わなくなった言葉を口にした。そんなサスケを見るのが悲しいとか…言えないってばよ)」

ナルト「…着いた。サスケ、此処がうちは一族の集落だってばよ」

サスケ「随分と荒れているな」

ナルト「まあ、誰か管理してるってわけでもねーし」

サスケ「壁に刻まれている模様は家紋か?」

ナルト「ああ。団扇っぽいだろ?うちはに似合ってる」

サスケ「不思議だな。何も覚えていないのに胸がざわつく」

ナルト「!(思い出しそうになったら気絶させて連れ戻せって…でも)」

サスケ「自分が生まれた所なら当然か。記憶喪失でも、そういう感覚はあるんだと綱手から聞いた」

ナルト「心臓に悪いってばよ…」

サスケ「ナルト?」

ナルト「なあ、サスケ。少し話しておきたい事がある」

サスケ「何だ?」

ナルト「うちは一族はエリートだ」

サスケ「そうらしいな」

ナルト「その中でも、俺が知る限りで一番すげー奴は」

サスケ「…」

ナルト「うちはイタチって名前の忍だ」

サスケ「イタチ…兄…さん…?」

ナルト「!!」

トンッ

ナルト「…(首筋を手刀で一撃。以前のサスケならスサノオで防いでた筈)」

サスケ「ナル…ト?」

ナルト「ごめんな、サスケ」

サスケ「…」

ナルト「もう、お前に憎悪や悲しみは背負わせたくねーんだ」

ヒナタ「ナルト君」

ナルト「ヒナタ、ずっと見てたのか?」

ヒナタ「うん。二人に何かあったらいけないと思って…」

ナルト「ありがとうな。お前が居てくれて良かった」

ヒナタ「ナルト君にそう言ってもらえるのは嬉しい…けど」

ナルト「?」

ヒナタ「本当にこれで良かったのかな…」

ナルト「わからねーけど、綱手ばーちゃんの命令だ」

ヒナタ「うん…」

ナルト「それに」

ヒナタ「それに?」

ナルト「記憶が戻ったら、こいつはきっと遠くに行っちまう。繋がりを切ろうとする」

ヒナタ「ナルト…君…?」

ナルト「また、繋がりを切ろうとする位なら」

ヒナタ「あ…」

ナルト「記憶なんてモノはどっかに放り投げて、閉じ込めちまった方がいいんだ」

ヒナタ「どうして…」

ナルト「またな、ヒナタ。俺はサスケを運んでいくってばよ」

サクラ「ナルト!」

ナルト「サクラちゃん」

サクラ「どうして?何で少しも躊躇しなかったの?」

ナルト「綱手ばーちゃんに言われたんだ。記憶が戻りそうになったらすぐ連れ戻せって」

サクラ「だからって…」

ナルト「でも、それだけじゃねーんだ」

サクラ「…え?」

ナルト「俺はサスケの手を離すつもりはないし」

サクラ「ナルト…アンタ」

ナルト「二度と奪わせない」

サクラ「…」

ナルト「また後でな、サクラちゃん。サスケをばーちゃんに渡してくる」

サスケ「…サク…ラ…」

サクラ「サスケ君!」

ナルト「もう一回気絶させねーとな。なあ、サスケ」

サスケ「…!?」

ナルト「お前は今、何を見てるってばよ?」

トンッ

---終幕---

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