朧「ばれんたいんでい?」お幻「そうじゃ」 (22)

バジリスクー甲賀忍法帖ーのSSです。
もしもしからなのでゆっくり書かせて頂きます。

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伊賀袴隠れお幻屋敷



朧「初めて耳にしました。それはなんなのですか?おばば様」

お幻「南蛮渡来の習慣での。想い人に手作りの甘物を添えて想いを伝えると一月後のほわいとでいに返事が貰えるという物だそうな」

朧「まぁなんて素敵な催しなんでしょう…!さっそく私も弦乃介様に…」



お幻「なんと甲賀のせがれにか?しかたがない手伝おてやるわい。物のついでじゃ…ワシも弾正めにひとつこしらえてやるかの…」

朧「まぁ…!おばば様は弾正様の事が…!///」

お幻「これ!声が高いぞえ!皆に聞こえてしまうであろ!…昔の…遠い昔の話じゃ…それに言うたであろう?ついでじゃて…あくまでもついでじゃ…///」

朧「甘い物にも沢山ありますが何を作るのです?」

お幻「そうじゃのぅ…あやつは昔金つばに目がないと言っておったから隠し味に伊賀の塩を使った金つばを…と思っておるが…」

朧「私は弦乃介様は何がお好きか知りません…そもそも殿方はあまり甘い物を好んで食べれない方が多いと聞きます…」

お幻「なぁに気持ちが伝われば良いのじゃよ…」

お幻「それじゃちょっと里まで使いを出して材料を買うてこさせような」

朧「はいっ!でも…私菓子は愚か料理などした事がありません…大丈夫でしょうか? 」

お幻「むぅ…そういえばワシも…誰ぞ伊賀に料理の上手いくの一はおらんか?」

朧「朱絹なら…もしかしたら…」

お幻「朱絹か…頼んでもよいが…気取られてはならぬぞ…?」

朧「教えて貰うのに…ですか?何故です?」

お幻「は…恥ずかしいじゃろうが…///」

朧「クスッ…わかりました。うまくやって見せます」

お幻「頼んだぞよ…///」

お幻屋敷庭園

朧「朱絹?」

朱絹「あら?朧様どうされました?」

朧「朱絹にいつもおいしい料理をこしらえてくれてありがとうって伝えたくて」

朱絹「まぁ…朧様…もったいなきお言葉です…」

朧「時に…朱絹は菓子なども作れるのですか?」

朱絹「菓子…にございますか?」

朧「はい」

朱絹「簡単な物であれば…何故です?」

朧「私も…その作ってみたいなぁ…って」

朱絹「まぁ!それは素晴らしく思います!して…何を作られますか?」

朧「き…金つばを…」

朱絹「なるほど…でしたら薩摩芋の金つばなどいかがでしょう?」

朧「薩摩芋の金つば?」

朱絹「昔お幻様の旅に御同行させて頂いた時に食べたのですが、控えめな甘さと芋の風味が独特で、その時に作り方を教えて頂いたのです」

朧「…」(・q・)ダラー

朱絹「朧様…よだれが…」

朧「はっ!」フキフキ

朱絹「まぁお袖でなんてはしたのうございますよ。こちらを向いてくださいませ」スッフキフキ

朧「もう…!子供扱いはやめておくれ!」

朱絹「ふふ。金つばはいつお作りになられるのです?お手伝い致しましょうか?」

朧「て…手伝いはいい!一人でやりたいのだよ。それとこの事は秘密にしてくれな?みんなを驚かせたいから」

朱絹「わかりました。夜までに作り方を紙に書いておきますね」

朧「ありがとう…朱絹」

天膳「ん?あれは…」

朱絹「あら天膳様…どうしたのです?」

天膳「今しがたの会話は…まさか…」

朱絹「聞こえておいででしたか?えぇ…朧様が菓子をお作りになると…金つばを皆に振る舞うとおっしゃっておいででした」

天膳「金つばを…?」(あの料理下手な朧様が…?これは何かあると見て相違あるまい…)

朱絹「天膳様?」

天膳「いやいい…あいわかった。ついでだ。用事を頼まれてくれまいか?陣五郎を部屋に呼んでくれ」

朱絹「承知しましたわ」

天膳「すまぬな」



お幻屋敷ーお幻の間ー

朧「おばば様…」スッ

お幻「おぉ戻ったか?して首尾はどうじゃ?」

朧「朱絹が作り方を書いてくれるそうです」

お幻「おぉでかしたぞ。それはよい!」

朧「なんぞ隠し事をしてるみたいで…」

お幻「こういう物は乙女の秘密じゃて…他言するような事でもないぞえ…フェフェフェ…!」



陣五郎「ジーッ…」(隠し事…乙女の秘密…?さすが天膳様じゃぁ…このお幻様と朧様を探れと言われた時はどうしようと思ったが…これは興味があるわい…)





天膳「なるほど…乙女の秘密か…」

陣五郎「はい。確かにそういっておりました…一体何をなさるおつもりなのか…」

天膳「…あいわかった」

陣五郎「天膳様にはもう分かったので?」

天膳「まだ確信には遠い…しかし尻尾を出すとしたら朧様…少しカマをかけてみるか…」

お幻屋敷ー朧の間ー

天膳「朧様…少し宜しいでしょうか?」

朧「天膳?どうぞ」

天膳「失礼致す」ススッ

朧「どうしたの?天膳」

天膳「朧様…お料理をされるおつもりと聞きましたので何か困り事がないかと思いましてな」

朧「ありがとう天膳。朱絹がちゃんと教えてくれるそうだから心配いらないよ」

天膳「心得申した。…にしてもこれを甲賀弦乃介が聞いたらさぞ悔しがるでしょうな」

朧「なぜです?」ピクッ

天膳「甲賀は心頭滅却の為と甘物などの娯楽は一人前になるまで断たれる故、免許皆伝してから甘物を食べ好んで食べるようになると聞いた事がありましてな」

朧「まぁ!そうなのですか!?」

天膳「弦乃介殿もさぞや召し上がられたかったに相違ありますまい」

朧「上手に出来たら甲賀の衆にも持っていってやろうと思うのです」

天膳「なりませぬっ!」

朧「ひっ…大きな声を出さないでおくれ」

天膳「もはやそなた様は伊賀の顔…不戦の約定があるとはいえ、甲賀に家を焼かれ家族を奪われた者達は、あなたがせっせと作った物を甲賀に献上している所を見たら…どう思われるかお分かりか?」

朧「むぅ…」

天膳「そんな顔をしても駄目な物は駄目です」

朧「わかって…います…」

天膳「それを聞いて安心し申した。ではこれにてて…」

朧「…」シュン

訂正

これにてて×
これにて○

天膳「それと…朱絹には私から詰め寄り白状させました。この屋敷内での隠し事はやめて頂きたい」

朧「…それが…『乙女の秘密』でも…?」

天膳「言うに及ばず」

朧「分かりました…」

天膳(あの反応…甲賀の弦乃介に食させる腹つもりだったに相違ない…ん?待て…これはいい機会とみて良いだろう…)

天膳「ふふふっ…ふははははっ!!!」

朱絹「朧様」

朧様「朱絹かえ?」

朱絹「はい。先程の薩摩芋の金つばの作り方をしたためて参りました」

朧「ありがとう。…朱絹?」

朱絹「はい?」

朧「天膳めに詰め寄られてしまったそうだね。すまなかったね」

朱絹「…!いえ…確かに忍び同士の隠し事はご法度とはいえ…秘密を漏らしてしまって申し訳のうございます」

朧「天膳は頭が固うて困りますっ!」

朱絹「伊賀の皆を思えばこそかと…」

朧「私とて何も考えて無う訳ではないのに…」

朱絹「私は分かっておりますよ…では夕飯の支度がありますので…」

朧「朱絹…金つば作り…困った事があったら助けてくれな」

朱絹「ふふっ…もちろんです」

お幻屋敷ーお幻の間ー

朧「おばば様…」

お幻「おぉ朧か…入れ」

朧「はい…。…て…天膳!」

天膳「朧様…先程の物言い。口が過ぎました。どうか許されよ」

朧「いいのです。伊賀の皆を思えばこそ…」

お幻「今しがた天膳が来ての。伊賀と甲賀で茶会を開こうと申し出てきたのじゃ」

朧「ま…誠にございますか!?」

天膳「かような席ならば咎める者も多くはありますまい」

朧「天膳…ありがとう」

天膳「存分に腕を振るわれよ。この茶会の成功は朧様の菓子にかかっておりまする」

朧「はいっ!」

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