これは、『パワポケ』であっても野球ではない――
『パワプロクンポケットシリーズ』と『ソードアート・オンライン』のクロスSSです
世界観などの基本設定は『SAO』に準拠します
『パワポケ』の登場人物は裏サクセス同様スターシステムです
そのため、表サクセスにおける設定は“あってないようなもの”と考えてください
ストーリーの進行は安価とコンマによって決定します
基本、アニメ版『SAO』に準拠したストーリー展開となります
(ただし、主人公の選択や能力次第で、ゲーム版やオリジナル展開に分岐する可能性もあり)
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1421566543
2022年、とある大手電子機器メーカー開発した《ナーヴギア》によって、世界は遂に完全なるバーチャルリアリティを実現させた。
この《ナーヴギア》を使った初のMMORPG《ソードアート・オンライン》は発売初日で初回ロットが完売。
人々は中世ファンタジー風の仮想現実世界での冒険に胸を弾ませ、1人また1人とゲームの世界へと足を踏み入れた。
――どのような運命が待ち構えているかも知らずに……
◆はじまりの街
パワポケ「凄いなぁ……これが本当にゲームの世界なのか?」
目を開いた俺の目の前には、現実さながらの中世ヨーロッパ風の町並みが広がっていた。
俺の名前は《パワポケ》――もちろん本名ではない。
このゲーム――《ソードアート・オンライン》(以下《SAO》)にログインしたプレイヤーの1人だ。
《パワポケ》とはそんな俺のゲーム中でのプレイヤーネームである。
パワポケ「普段は野球ばっかりやっていた俺でも、これは十分凄い技術だってわかるぞ……」
…………
パワポケ「――でも、ログインしたはいいが、まずは何をすればいいのかさっぱりわからない……」
――どうしよう?
A:適当に街をぶらついてみるか
B:街の外に出てみるか
C:もうしばらくここにいるか
安価↓
パワポケ「う~ん……ここに残っていても他の人の邪魔になるだけだろうしな……」
今自分がいる広場には、ゲームにログインした人々が次々と姿を現し、時間の経過とともに人混みが形成されていっている。
パワポケ「――よし、街の外に出てみるか。街もこれだけ広いんだ、きっと外はもっと広いに違いないぞ!」
(ダダダダダ……)
???「――! 今の人……走って街の外へと向かっていったみたいですが……」
???「…………」
???「――追いかけましょう! よくわかりませんが、追いかけましょう!」
(ダダダダダ……)
◆第1層 フィールド
パワポケ「うわぁ……やっぱり外も滅茶苦茶広いなぁ……本当にゲームの世界とは思えないくらいだ……」
街を出た俺の眼前に広がるのは見渡す限りの大草原。
そして、そんな草原の所々で徘徊するイノシシたちの姿――
パワポケ「あのイノシシは……たぶん敵モンスターだよな? あれを倒せばいいのかな?」
このゲームはMMORPGだ。お金と経験値は基本敵モンスターを倒さなければ手に入らない。
――となると、必然的にアレとは戦わなければならない運命にある。
パワポケ「…………」
A:よし、やっつけてやる!
B:別に今はいいか
安価↓
パワポケ「――別に今はいいか。しばらくはこの辺りを探検して……」
???「ええっ!? 戦わないんですか!?」
パワポケ「はっ?」
いきなり背後から人の声がしたので、思わず振り返る。
女の子「どうして戦わないんですか!? せっかくのゲームなのに、できることはできるうちに楽しむべきだと思います!」
パワポケ「は、はぁ……?」
振り返った先には1人の女の子がいた。
その格好から、間違いなく俺同様プレイヤーだろう。
パワポケ「確かに、君の言っていることにも一理あるとは思うけど……俺別に今すぐお金や経験値が欲しいわけじゃないしなぁ……」
女の子「そうですか! それなら、あたしが戦います!」
(ピュー!)
パワポケ「あっ……」
女の子はそう言うと、一番近くにいたイノシシに向かって一直線に駆け出していった。
女の子「さぁ、大人しくあたしの糧となるがいいですよ!」
(ゲシッ!)
イノシシ「プギュッ!?」
――女の子の蹴りが、イノシシの横っ腹に直撃する。
蹴られたイノシシは一瞬だけうめき声をあげると、女の方に目を向けた。
イノシシ「――!」
女の子「あれ? 死なない? おかしいですね、この手のゲームの最序盤の雑魚モンスターは普通なら簡単に……」
イノシシ「ブモーッ!」
(ドーン!)
女の子「きやぁっ!?」
パワポケ「おいおい……」
イノシシの体当たりを真正面から受けて、女の子は思いっきり後方へと跳ね飛ばされた。
そして、2、3回バウンドしたところで、地面に仰向けに大の字で転がる。
パワポケ「え~っと……大丈夫か?」
女の子「大丈夫じゃありません。見ての通りやられてしまいました」
パワポケ「……君の頭上に表示されている体力ゲージはぜんぜん減っていないみたいだけど?」
女の子「えっ?」
パワポケ「…………」
女の子「…………」
パワポケ「というか、ゲームの世界なんだから跳ね飛ばされたって痛くもないだろ?」
女の子「ですね」
パワポケ「……というか、武器も持たずにモンスターに挑むのはどうなんだ?」
女の子「あぁ、やっぱり武器あったほうがいいですかね?」
パワポケ「そりゃあ、《ソードアート・オンライン》なんてタイトルだしな……最低限剣は持っていないと駄目なんじゃないか?」
女の子「そうですか! それなら早速街に戻って剣買ってきますね!」
(ダダダダダ……)
パワポケ「えっ!? おい……あぁ~、行っちゃった……」
――なんだったんだ、いったい?
パワポケ「――まぁ、いいか。気を取り直して、俺はフィールドを探検……」
(ダダダダダ……)
パワポケ「ん?」
女の子「そういえば、ひとつ忘れていました!」
パワポケ「忘れていた? なにを?」
女の子「あたしのプレイヤーネーム《ナオッチ》っていいます。これからよろしくですよ!」
パワポケ「え? あ、あぁ……俺は《パワポケ》……」
女の子「《パワポケ》君ですか。ではまた後で……」
パワポケ「お、おぅ……」
(ダダダダダ……)
――なんだったんだ……本当に……
《ナオッチ》の好感度が2上がりました
パワポケ「さて……気を取り直して、フィールドを探検してみるか」
まずは、どこに行ってみようか?
――といっても、行くあてはないので、東西南北いずれかにの方角に向かって歩くだけなのだが……
A:北
B:南
C:東
D:西
安価↓
パワポケ「とりあえず、東に向かって歩いてみるか……」
東の空に目を向けると、太陽らしきものが空に浮かんで光を放っていた。
この世界でも陽は東から昇って西に沈んでいくのかもしれない。
…………
パワポケ「……おや、あれは……」
しばらく歩いていると、プレイヤーと思わしき人影が俺の目に写った。
あれは……
コンマ判定:↓の末尾
偶数:パワポケキャラ
奇数:SAOキャラ
0:???
コンマ結果:8
したがってパワポケキャラ
キャラは誰?(本家パワプロのキャラは無効)
安価↓
???「…………」
パワポケ「……また、女の子だ」
目の前に現れたのは、またしても女の子だった。
このゲーム、アバターの性別女性でプレイしている人多いな……
???「…………」
パワポケ「――でも、あいつ何をしているんだ? さっきから足下をじっとみて……」
???「……!」
(むんずっ)
パワポケ「へっ?」
(ぽいっ)
(ズドーン!)
パワポケ「……地面から岩を引っこ抜いて、いきなり放り投げたぞ……本当になにをしているんだ……?」
???「――やはり駄目ですね」
パワポケ「?」
A:なにをしているんだ?
B:なにが駄目なんだ?
C:…………(しばらく様子をみる)
安価↓
パワポケ「…………」
???「やはりフィールド上のオブジェクトで投擲系のソードスキルを使えるのは石ころ程度のサイズのものだけみたいです」
パワポケ(あぁ、ゲームの仕様を自分なりに確認していたのか……)
???「この辺りも特に変化はありませんね……一度打ち切ってアルゴさんに報告しておきましょう……」
(スタスタスタ……)
パワポケ「あ……行っちゃった……」
――声をかけるべきだったかな?
いや、邪魔しちゃ悪いか……
???(――そういえば、誰かがこっちを見ていましたが……まぁ、あの程度じゃこちらの素性は気がつかれないでしょう)
――その後も、俺はフィールドのあちらこちらを巡ったが、特に変わったことはなかった。
とはいえ、このゲームの世界を見て回るだけでも、俺にとっては新鮮なものだったのだが……
パワポケ「――すっかりこっちの世界も日が暮れてきたな。現実世界の時間も夕方だし、そろそろ一度ログアウトするか」
さすがにこちらの世界では食事はできても腹は膨れない。
一旦現実世界に戻って夕飯にして、その後再びログインしよう。
パワポケ「え~っと……ログアウトの方法は……あれ?」
――おかしい。
右手でメニューを開いても《ログアウト》の項目が見つからない。
事前に目を通したマニュアルでは、このメニューの一番下に《ログアウト》があると説明されていたが……
パワポケ「…………」
A:バグかな?
B:《GMコール》をしてみるか
C:誰か他のプレイヤーに聞いてみよう
安価↓
パワポケ「バグかな? まぁ、なにぶん新しいジャンルのゲームだし、今日から正式サービス開始だから、色々と運営側も大変なんだろうな……」
俺はそう結論づけて納得すると、復旧するまで時間を潰すことにした。
パワポケ「――さて、どうしようかな?」
A:イノシシと戦う
B:はじまりの街に戻る
C:ぼーっとしている
安価↓
パワポケ「――まぁ、特にすることも思いつかないし、しばらくここでぼーっとしているのもいいかな?」
というわけで、早速その場にごろんと寝っ転がる。
背中から感じる地面や草の感触もリアルで、なかなかに気持ちがいい。
パワポケ「そういえば、今日の夕飯のメニューはなんだろうな? ログインする前に母さんに聞いておけばよかった」
???「そこの君、ちょっとお尋ねしたいことがあるでやんす」
パワポケ「ん?」
突然、頭上から声がしたので目を向けると、そこには1人の男性プレイヤーの姿があった。
寝っ転がったばかりだが、上半身だけ起き上がり、そのプレイヤーに話しかけてみる。
パワポケ「えっと……俺のことかな?」
???「そうでやんす。いや~、ようやく他のプレイヤーに出会えたでやんす。この辺り、ぜんぜん人がいないでやんすから……」
パワポケ「そいつは大変だったね。ところで、俺になにか用?」
???「あぁ、そうでやんした……はじめに自己紹介しておくでやんす。オイラ《ガンダー》っていうでやんす」
パワポケ「あぁ、ご丁寧にどうも……俺は《パワポケ》。よろしく」
ガンダー「よろしくでやんす。それでパワポケ君、早速本題に入るでやんすが……メニューリストに《ログアウト》のコマンドはあるでやんすか?」
パワポケ「ん? その様子だと、ガンダーのメニューにもなかったのか?」
ガンダー「そうでやんす……《GMコール》を実行してもうんともすんともいわないんでやんす」
パワポケ「そうなのか……」
ガンダー「まぁ、たぶん運営が対応に追われててんやわんやしているからだと思うでやんすが……さすがに少し不安でやんす……」
パワポケ「――確かに、そう言われると不安になってくるな……ログアウトできなきゃ俺たちはずっとこの世界に取り残されたままってことになるし……」
(ゴーンゴーン……!)
パワポケ「ん? なんだ? 鐘の音……?」
ガンダー「はじまりの街の方から聞こえてくるでやんすね……」
パワポケ「あぁ……って、なんだぁ!?」
(キラキラキラキラ……)
ガンダー「あ、足下が光っているでやんす!」
パワポケ「い、いったいなにが……!?」
(カッ!)
◆はじまりの街
パワポケ「あれ……? ここは確か……」
ガンダー「はじまりの街の広場でやんすね」
パワポケ「あぁ。ログインした時に一番最初に所だ」
ガンダー「パワポケ君、周りを見るでやんす」
パワポケ「周り……?」
(ワイワイ、ガヤガヤ……)
パワポケ「うわぁ……凄い人だ……いったい何人いるんだ?」
ガンダー「少なくとも千人は軽く超えていると思うでやんす……」
パワポケ「まるで野球かサッカーのスタジアムだな……でも、どうしてこんなに……?」
ガンダー「――もしかしたら、運営側から何かプレイヤーに対してアナウンスがあるんじゃないでやんすか?」
パワポケ「あぁ、つまりさっきの光は俺たちをここに飛ばすためのワープ演出だったわけだ」
ガンダー「おそらく……」
ナオッチ「あれっ? パワポケ君じゃないですか~」
パワポケ「あ……君はさっきの……え~っと……」
ナオッチ「《ナオッチ》ですよ。酷いですね~もう忘れちゃったんですか~?」
パワポケ「い、いや……そういうわけじゃなくて……突然の状況にちょっと頭が混乱しているというか……」
ガンダー「あっ!? パワポケ君、あれを見るでやんす!」
パワポケ「ん?」
ナオッチ「“あれ”? なんですか?」
ガンダー「あれでやんす! 空が……!」
パワポケ「うわっ……な、なんだ? 空が真っ赤に染まって赤いドロドロしたものが出てきたぞ……?」
???『…………』
ガンダー「ど、ドロドロが人型の巨大なアバターになったでやんす!」
ナオッチ「うわぁ~……なんだか凄いものが出てきましたね?」
???『――プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ……』
一旦ここで中断
飯食ってきます
遅くなりましたが、再開いたします
パワポケ「“私の世界”?」
ガンダー「きっとあれはGM(ゲームマスター)のアバターなんでやんすよ。GMはゲームの運営を行う人のことでやんすから……」
ナオッチ「この世界の神様みたいなものってことですね? なるほど、確かにそう例えると、間違った表現じゃありませんね」
???『私の名前は茅場晶彦。今この世界をコントロールできる唯一の人間だ』
パワポケ「えっ!? 茅場晶彦!?」
ナオッチ「? パワポケ君、知っているんですか?」
ガンダー「ええっ!? 茅場晶彦を知らないんでやんすか!?」
ナオッチ「はい。あたし、ゲームのこととかさっぱりわからないので……」
パワポケ「い、いや、ナオッチ……普通マニアじゃない人でも現代人なら茅場晶彦のことは知っていなきゃマズイぞ……?」
ナオッチ「ええっ!? そうなんですか!?」
パワポケ「あぁ……茅場晶彦。ヴァーチャルリアリティ技術の実現の最大の原動力となった天才量子物理学者だ」
ガンダー「この《SAO》やナーヴギアの生みの親でもあるでやんす。言ってしまえば、あの人がいなければ今のオイラたちも存在しなかったのでやんす」
ナオッチ「へぇ~……凄いんですね~」
茅場晶彦『プレイヤー諸君は、ゲームのメインメニューからログアウトの項目が消滅していることに気がついていると思う』
パワポケ「あぁ、やっぱりそのことに対する、事情説明と謝罪か……」
ガンダー「わざわざ全プレイヤーに一斉に説明してくれるなんて、結構易しいでやんすね」
茅場晶彦『――しかし、それはゲームの不具合ではない』
パワポケ「……は?」
ガンダー「バグじゃないんでやんすか!?」
茅場晶彦『ログアウトが存在しないのは《ソードアート・オンライン》本来の仕様である』
ガンダー「え、ええっと……バグを“仕様”と言い張る、この手の業界の古典的ジョークでやんすかね?」
茅場晶彦『詳細に説明すると、《SAO》はログインしたプレイヤーの数が1万人に達した瞬間、全プレイヤーのメニューからログアウトが消滅する仕様なのだ』
パワポケ「な、なんだそりゃ?」
ガンダー「そんな馬鹿馬鹿しい仕様なんていらないでやんすよ!」
茅場晶彦『したがって、プレイヤー諸君はゲームから自発的にログアウトすることはできない』
パワポケ「ま、まさか俺たち、本当にゲームの世界に閉じ込められてしまったのか……?」
ナオッチ「あぁ、確かにこれじゃあログアウトすることはできませんねぇ~」
ガンダー「き、君はずいぶんと落ち着いているでやんすね……?」
ナオッチ「だって、あの人も今言っていたじゃないですか? “自発的にログアウトできない”って……」
パワポケ「あ、あぁ……」
ナオッチ「それってつまり、“自発的ではない方法ならログアウトできる”ってことですよ」
パワポケ「あっ! そうか……! 現実世界で誰かが俺たちが被っているナーヴギアの電源を切るか、ナーヴギアを取り外せば……!」
ガンダー「そうすればオイラたちの意識は強制的に現実世界に戻されるでやんすね!」
ナオッチ「はい」
パワポケ「いやぁ~、そうだった……肝心なことを忘れていたよ……」
ガンダー「驚いて損したでやんすね」
茅場晶彦『――また、外部の人間の手によるナーヴギアの停止、解除もあり得ない』
パワポケ「えっ?」
ナオッチ「あれぇ~?」
茅場晶彦『もしそれが試みられた場合、ナーヴギアの信号素子が発する高出力マイクロウェーブが、諸君の脳を破壊し、生命活動を停止させる』
パワポケ「……!」
ナオッチ「……えぇ~っと……どういうことですか?」
ガンダー「簡単に言ってしまえば、現実世界のオイラたちの肉体は電子レンジに入れられてしまったのと同じ状況ってことでやんす……」
ナオッチ「つまり?」
ガンダー「現実世界で誰かがオイラたちのナーヴギアの電源を切ったり、外したりしたら……オイラたちの脳みそはバーンでやんす……」
ナオッチ「ええっ!? それじゃああたしたち、さながら電子レンジに入れられたダイナマイトみたいなものじゃないですか!?」
パワポケ「わ、わかってくれたのならいいけど、その例えはどうなんだ……?」
――茅場晶彦を名乗る巨大アバターからの説明は続く。
より具体的には、以下の条件を満たすことによって脳破壊シークエンスが実行される――
1・ナーヴギアの外部電源が10分間切断される
2・ナーヴギアが2時間ネット回線から切断される
3・ナーヴギアのロック解除・分解・破壊
次に、現実世界では今説明してきた情報は全て世界各国の当局やマスコミに通知されていること――
そして――すでに213名のプレイヤーが、警告を無視した家族や友人の手によって死亡しているということが明かされた。
パワポケ「そ、そんな……! 200人以上のプレイヤーが現実世界で死んでいるっていうのか……!?」
ナオッチ「あっ! あれ見てください! あれって、現実世界のニュース番組じゃないですか!?」
ナオッチが指さした空の一角には、確かに現実世界のニュース番組を映したウインドウがいくつも表示されている。
――確かに、どのニュースも《SAO》に関するものばかりだ。
ナオッチ「パワポケ君、見てください! テ●ビ東●が番組内容を変更して臨時ニュースで報道してますよ。こんなこと普通ありえません!」
パワポケ「いや……驚くところ違うだろ……」
茅場晶彦『諸君らの現実における肉体は、いずれナーヴギアを装着したまま2時間の回線切断猶予時間のうちに病院その他の施設へ搬送されるだろう』
ガンダー「だから安心しろとでも言うんでやんすか!? ふざけるのもいい加減にするでやんす!」
茅場晶彦『諸君は安心してゲーム攻略に励んでほしい』
ガンダー「ムキー! 冗談じゃないでやんす! こんな状態でのん気にゲームなんてできるわけないでやんす!」
パワポケ「こんな状況でも『ゲームを攻略しろ』だなんて……ある意味凄いこと言うな……」
茅場晶彦『しかし、充分に留意してもらいたい。諸君にとって《SAO》は、すでにただのゲームではない。“もうひとつの現実”と言うべき存在だ』
ナオッチ「? どういう意味でしょう?」
茅場晶彦『今後、ゲームにおいてあらゆる蘇生手段は機能しない。HPが0になった瞬間、諸君のアバターは永遠に消滅し、ナーヴギアによって脳を破壊される!』
パワポケ「なっ……!?」
ガンダー「こっちの世界の死が現実世界にもフィードバックされるってことでやんすか!?」
茅場晶彦『諸君がこのゲームから解放される条件はたったひとつ――』
パワポケ「!」
茅場晶彦『このゲームの舞台である《浮遊城アインクラッド》――その最上部の第100層までたどり着き、そこで待つ最終ボスを倒してゲームをクリアすることだ』
ガンダー「100層!? 馬鹿なこと言うんじゃないでやんす! 2ヶ月間行われたβテストじゃ8層までしか到達できなかったんでやんすよ!?」
茅場晶彦『ゲームクリアが達成されたあかつきには、その時残ったプレイヤー全員がログアウトできることを保証しよう』
ガンダー「ち、畜生……こっちの言葉が届かないことをいいことに好き放題言って……」
茅場晶彦『――それでは最後に、諸君にとってこの世界が現実であるという認識を持ってもらうため、私からプレゼントを用意した……』
パワポケ「プレゼント……?」
茅場晶彦『プレイヤーの諸君は、自らの所有アイテムのリストを確認し、プレゼントを受け取ってくれたまえ』
パワポケ「…………」
パワポケ「これは……《手鏡》か?」
ナオッチ「プレゼントって、これですかね?」
パワポケ「たぶん……でも、なんでこんな……」
(キラッ!)
パワポケ「うわっ!? なんだぁ!?」
ガンダー「ま、またオイラたちの体が光っているでやんす!」
(カッ!)
パワポケ「つっ~……またか……さっきから目に悪すぎるぞ……」
ガンダー「パワポケ君、大丈夫でやんすか?」
パワポケ「あぁ。俺は大丈夫……って、ガンダー君、少し雰囲気変わった? なんか、見た感じ少しナヨナヨしているような気がするんだけど……」
ガンダー「えっ? そ、そういうパワポケ君だって、なんかさっきよりも少しさえない感じがするでやんすよ?」
パワポケ「え……?」
ナオッチ「言われてみると、おふたりともそんな感じがしますね~」
パワポケ「おいおいナオッチ、それは酷い……って、えっ?」
ナオッチ「? どうかしましたか?」
パワポケ「……え~っと……君は誰だ?」
ガンダー「ど、どちらさまでやんす!? さっきまでここにいた女の子はどこに行っちゃったんでやんす!?」
ナオッチ「ええっ!? 酷いですねぇ……ナオッチですよ。あたしはさっきからここにいましたよ?」
パワポケ「えっ!? ナオッチ!?」
ガンダー「さ、さっきと外見が変わっているでやんすよ!?」
ナオッチ「えっ?」
パワポケ「と、とりあえず、鏡で自分の姿を見てみるといいよ……」
ナオッチ「ん~……? って、これ、現実世界でのあたしの顔じゃないですかー!?」
パワポケ「ええっ!?」
ガンダー「――! こ、これは……! パワポケ君、周りを見てみるでやんす!」
パワポケ「周り……?」
――ガンダーに言われたとおり、周囲に目を向けると、そこには先ほどまでとはまったく違う面子が勢揃いしていた。
様子を見てみると、全員現在の自分の姿に困惑しているようだ。
さらに、彼らの会話の内容を耳にしてみると――
パワポケ「ま、まさか、これって……」
ガンダー「ど、どうやらプレイヤーの姿が現実世界のものになってしまったようでやんす……」
ナオッチ「ええっ!? それじゃあ、さっきまでこの辺りにいた人たち、ほとんどが男性だったんですか!?」
パワポケ「だから、驚くところそこじゃないだろ……」
ガンダー「ま、まぁ、確かに、女性プレイヤーのほとんどがネカマだったことはショックでやんすけど……」
ナオッチ「うわぁ~……さっきまではフィフティ・フィフティだった男女比が、一気に男7女3くらいになりましたね~」
ガンダー「う、うぅ……そういうことは言わないでほしいでやんす……」
パワポケ「しかし、俺とガンダーはあまり雰囲気は変わっていないな……もしかして、ガンダーも現実世界の姿をモチーフにしたアバターにしたのか?」
ガンダー「そういうパワポケ君もでやんすか?」
パワポケ「あぁ……早くゲーム本編をプレイしたかったから、アバター作成にかける時間がもったいなかったからね……」
ガンダー「オイラもでやんす。はぁ……ロールプレイングは苦手だから男のままにしておいてよかったでやんす……」
パワポケ「あぁ。見事なまでの公開処刑ぶりだよな……」
ナオッチ「ネカマだった人たち、姿は変わっても服装や装備は女性用のままですもんね」
パワポケ「――しかし、どうやって現実世界の俺たちの姿をゲームの世界にフィードバックできたんだ?」
ガンダー「たぶん、ナーヴギアでスキャニングしたんでやんす」
パワポケ「スキャニング?」
ガンダー「ナーヴギアはバイクのヘルメットみたいに高密度の信号素子で頭をすっぽりと覆っているでやんす」
パワポケ「うん。あらゆる方向から脳に信号を送るためにそうなっているんだったよね?」
ガンダー「おそらくその技術の応用で、オイラたちの顔や頭の形、髪型をスキャンしたんでやんすよ」
ナオッチ「でもそれだと身長や体型は再現できないと思いますけど……?」
パワポケ「あぁ。今の俺たち、現実世界の身長や体型もちゃんと再現されているぞ?」
ガンダー「――ナーヴギアの初回起動の設定時に《キャリブレーション》っていうのをやらなかったでやんすか?」
パワポケ「あぁ、そういえば……」
ナオッチ「やりましたねぇ……あのボディーチェックみたいなやつ」
パワポケ「確か、ゲーム中で使用するアバターを作成する際の基準にするとかで登録していたな……」
ガンダー「首から下はその時の登録データをもとに再現しているんでやんしょ」
ナオッチ「なるほど。納得です」
パワポケ「――だけど、どうしてあいつはわざわざこんなことを……?」
俺は未だに空に浮かんでいる茅場晶彦を名乗る巨大アバターを見上げる。
ガンダー「あいつがさっきから言っていたじゃないでやんすか、この世界は“もうひとつの現実”だと――それをオイラたちにわからせるために……」
パワポケ「わざわざこんなことをしたのか……」
ガンダー「もちろん、これはオイラの自説に過ぎないでやんす。もしかしたら、また別の思惑があるのかもしれないでやんす」
ナオッチ「そういえば……あの人、さっきから静かですね」
パワポケ「――たぶん、俺たちの混乱がある程度治まるまでは待っていてくれているんだろう。そう思うと少しムカつくが……」
茅場晶彦『諸君は今、“何故?”と思っているだろう。“何故、茅場晶彦はこのようなことをしたのか?”と――』
パワポケ「あたりまえだ」
ガンダー「この状況で全くそんなことを思わない奴なんているんでやんすか?」
茅場晶彦『“これは大規模なテロなのか?”、それとも“身代金目的の誘拐事件なのか?”と――正直に答えよう。私の目的はそのようなものではない』
ナオッチ「えっ? 違うんですか? 普通はそういう理由じゃありません?」
ガンダー「噂ではあいつは自分が開発したゲームやソフトウェアの売り上げや特許で、学生時代にはすでに億万長者だったらしいでやんすから……」
パワポケ「少なくとも一生分の金には困らないってことか……」
茅場晶彦『――私の目的はすでに達せられている』
パワポケ「えっ?」
ガンダー「ど、どういうことでやんす?」
茅場晶彦『なぜなら、この状況こそが私にとっての最終目的だからだ』
パワポケ「!」
茅場晶彦『“この世界を創りだし、鑑賞する”ためにのみ、私は《SAO》を作った。そして今、全ては達成せしめられた!』
パワポケ「そ、そうか……つまり……」
ガンダー「この《SAO》はゲームじゃなくて、あいつがただ作りたかった巨大な箱庭だったってことでやんすか!」
パワポケ「あぁ。それも、完成させるためには俺たち1万人のプレイヤーがパーツとして必要だったというとんでもなくリアリティな箱庭だ」
ガンダー「最悪でやんすね……」
茅場晶彦『――以上で、《SAO》正式サービスのチュートリアルを終了する。プレイヤー諸君の健闘を祈る』
――そう言い残すと、巨大アバターは徐々にその姿が薄くなり、やがて俺達の前から姿を消した。
同時に、真っ赤に染まっていた空も、オレンジ色の夕焼け空に戻る。
パワポケ「…………」
ガンダー「…………」
ナオッチ「…………」
――広場は恐ろしいくらい静かになった。
だが、それも長くは続かなかった。
1分もしないうちに、広場のあちらこちらからプレイヤーたちの怒号や悲鳴が響き渡る。
広場はさながら負の感情の坩堝と化した。
ナオッチ「大変なことになっちゃいましたね……」
パワポケ「あぁ……」
ガンダー「パワポケ君、パワポケ君!」
パワポケ「ん? どうした?」
ガンダー「あそこ! あの人混みの一角をよく見るでやんす!」
パワポケ「ん~? おや……?」
ガンダーに言われたとおり、大パニックを起こしている人々の方に目を向けると、そんな人混みの中で何人かの人々が広場を大急ぎで去っていく姿がチラリと目に映った。
それも、周囲の者たちからは気がつかれないようにこっそりと……
パワポケ「あいつらは……」
ガンダー「パワポケ君! オイラたちも急いであいつらを追うでやんす!」
パワポケ「どうして?」
ガンダー「今、広場を去っていった奴らは、おそらくベータテスト経験者たちでやんす!」
パワポケ「えっ!?」
ガンダー「きっとあいつらはベータテスト時代の経験をもとに、今のうちに安全な場所にいち早く向かうつもりなんでやんす! オイラたちも後をつけておこぼれを預かるでやんす!」
パワポケ「…………」
A:よし。俺たちも追いかけよう!
B:どうしてそう思うんだ?
C:いや、やめておこう
安価↓
パワポケ「いや、やめておこう」
ガンダー「どうしてでやんす!? パワポケ君は死ぬつもりなんでやんすか!?」
パワポケ「別にそんなことは思っていないよ。ただ……」
ガンダー「ただ?」
パワポケ「本当に今走り去ってっいった奴らが、ガンダーの言うとおりベータテスト経験者かって証拠はないだろう?」
ガンダー「た、確かにそうでやんすけど……」
パワポケ「単にこの広場に留まっているのは精神的によくないと思っただけかもしれないじゃないか? 広場を離れるだけなら誰でもできるしね」
ガンダー「で、でも……MMORPGはリソースの奪い合いなんでやんすよ? スタートダッシュに失敗したら、その分強くなることもアイテムを手に入れることも難しくなるでやんす」
パワポケ「だからといって、俺たちだけが強くなっても意味がないじゃないか。こういう時は1人1人が協力して助け合っていかないと……」
ガンダー「…………」
パワポケ「だから追うのはやめよう。とりあえず、今はこの広場から離れるだけでじゅうぶんだ」
ガンダー「わかったでやんす……」
パワポケ「すまないな、ガンダー」
ガンダー「気にしないでほしいでやんす。オイラだって本当はわかっていたでやんす。MMORPGはワンマンプレーじゃどうにもならないってことくらい……」
パワポケ「よし。それじゃあ、早速ここから離れよう。いつまでもここにいたら俺たちまで周囲の負の感情にかられてしまう」
《ガンダー》からの評価が2上がった
ナオッチ「あの~、パワポケ君?」
パワポケ「ん? どうしたんだ、ナオッチ?」
ナオッチ「広場を離れるくらいなら、あたしも一緒についていってもいいですよね?」
パワポケ「もちろんだ。そもそも、はじめから俺はナオッチにも声をかけるつもりだったぞ? こんな所に女の子を1人残していくなんてしたくないからな」
ナオッチ「ですよね! それじゃあ、早速行きましょう!」
パワポケ「あぁ」
《ナオッチ》の好感度が2上がりました
(ワーワーギャーギャー!)
パワポケ「すいませ~ん。ちょっと通らせてくださ~い」
ガンダー「ゴメンでやんす~」
ナオッチ「すいませんねぇ~」
パワポケ「くそっ……パニックを起こした人たちの中を移動するのがこんなに大変なことだなんて思わなかったよ……」
ガンダー「まったくでやんすね……」
ナオッチ「あっ! パワポケ君、前……!」
パワポケ「えっ……?」
(ドンッ!)
???「きやっ!」
パワポケ「あっ……!」
ガンダー「パワポケ君、前方不注意でやんすよ?」
パワポケ「ゴメン……まさか小さい子がいるとは思わなかったものだから……」
ナオッチ「そんなことより、今ぶつかった子に謝るべきだと思います」
パワポケ「あ。いけね……君、大丈夫か? どこか怪我とかしてないか?」
???「…………」
パワポケ「え、え~っと……ゴメンよ? 上手く周囲に目を向けることができなくって……」
???「う、うぅ……」
パワポケ「えっ!? ちょっ……!?」
ガンダー「あっ。パワポケ君が女の子を泣かせたでやんす!」
ナオッチ「うわぁ~、酷いですねぇ~」
パワポケ「ちょっ!? ちょっと……君……!? 本当にゴメン! マジでゴメン! だから泣かないで……!」
???「違います……」
パワポケ「えっ?」
???「家に帰りたくて……! でも帰れなくて……! それが凄く悲しくて……!」
パワポケ「あっ……」
ガンダー「う……」
ナオッチ「…………」
???「ご、ごめんなさい……!」
パワポケ「…………」
◆はじまりの街 広場近くの路地
パワポケ「――もう大丈夫かい?」
???「はい……ごめんなさい、迷惑かけちゃったみたいで……」
パワポケ「いや、いいよ。俺の前方不注意でぶつかっちゃったことに変わりはないんだし……」
???「あの……私《シリカ》っていいます。よかったらお名前を教えていただけませんか?」
パワポケ「あぁ、俺は《パワポケ》」
ガンダー「オイラは《ガンダー》でやんす!」
ナオッチ「《ナオッチ》です。よろしくお願いします」
パワポケ「俺たち、一応今は一緒に行動しているけど、別に知り合いとかパーティ組んでいるってわけじゃないんだ。成り行きでこうなっているというか……」
シリカ「えっ? そうだったんですか?」
ガンダー「まぁ、状況が状況でやんすからね……1人でいるよりは複数人でいたほうが心細くないって感じでやんす……」
ナオッチ「そうですねぇ……これから先、どうなってしまうのか……」
パワポケ「…………」
シリカ「…………」
ガンダー「……オイラたち、本当にこれから先どうすればいいんでやんすかね?」
パワポケ「とりあえず、どこか宿屋なり休める場所を確保して、今後のことはそれからゆっくり話し合えばいいんじゃないかな?」
ガンダー「そうでやんすね……」
ナオッチ「この1時間くらいで、一気に心身ともに疲れが溜まった気がしますからね」
パワポケ「え~っと……シリカちゃんだっけ?」
シリカ「は、はい!」
パワポケ「君もとりあえず今は俺たちと一緒に行動するかい? もちろん、シリカちゃんがそれでよければの話だけど……?」
シリカ「えっ……!? あ……はい……じゃあ、しばらくの間ですが、よろしくお願いします……」
パワポケ「うん。よろしくね。それじゃあ、早速休めそうな場所を探そうか」
今回はここまで
続きは今日の夜になると思われ
パワポケのヒロインは可能な限り出す予定
最低でも1作品から1人は出したい
もちろん男キャラも(さすがにこっちは1作品1人は難しいかもしれないけど……)
今のところ(確定ではないけれど)登場させたいパワポケヒロインは葉月(4)、白木恵理(5)、広川武美(9)の3人
原作の表シナリオの設定気にせずに登場させることができるから、スターシステムって本当に便利だわぁ……w
ちなみに、ガンダーの正体は今のところメガネ一族の誰であるかは決めていない
選択肢や展開次第では、主人公同様このスレオリジナルの相棒キャラになる可能性もじゅうぶんありえる
乙
1作品から1人だと14人かあ
いっぱい出してくれたほうが嬉しいけどあんまり広げすぎると畳めなくなっちゃうし無理はせぬよう
お待たせ
続き始めます
>>70
まぁ、半分以上はチョイ役・MORE DEBAN状態になるのは間違いないと思われ
登場してもメインキャラになるかどうかは安価次第になるかと
◆はじまりの街 宿
ガンダー「思っていたよりも早く宿が見つかってよかったでやんすね」
パワポケ「そうだね。お金を節約するために成り行きで2人部屋にしちゃったけど……」
(コンコン)
パワポケ「お? 来たな」
(ガチャ)
ナオッチ「お邪魔しますよ」
シリカ「お、お邪魔します……」
パワポケ「いらっしゃい。といっても、そっちの部屋と内装に違いはないと思うけど……」
ナオッチ「ですね。男性の部屋だからもっと色々とあってもいいと思うのですが……」
シリカ「色々?」
ナオッチ「はい。“色々”です。例えば……」
ガンダー「と、とりあえず! 早速今後どうするかを皆で考えるでやんす!」
パワポケ「そ、そうだな」
ガンダー「――で、まずはオイラの意見から述べさせてもらうと……ゲームクリアを目指すべきだと思うでやんす」
パワポケ「理由を聞いていいかな?」
ガンダー「それはもちろん、現状ではそれが茅場晶彦が示した唯一の現実世界への帰還方法だからでやんす」
ナオッチ「でも、信用できるんですか?」
ガンダー「茅場晶彦は世紀の天才でやんす。おそらく、オイラたちがそれ以外の方法で現実世界に帰る方法にはすでに手を打っているに違いないでやんす」
パワポケ「だろうなぁ……」
ガンダー「だけど、現実に帰るための手段を残しているということは、少なくともオイラたち全員を一生この世界に閉じ込める気はないということでもあるでやんす」
パワポケ「なるほど。さっき茅場が言っていたことが全て事実だとすると、あいつの目的はあくまでも今のこの世界を見て楽しむことだからな」
ナオッチ「その結果がどうなっても、あの人にとっては別にどうでもいいってことですね?」
ガンダー「まぁ、簡単に言ってしまえばそういうことでやんす」
シリカ「あ、あの……」
ガンダー「ん? どうしたでやんすか、シリカちゃん?」
シリカ「でも、クリアを目指すっていうことは、モンスターとも戦わなきゃいけないってことですよね?」
ガンダー「そうでやんすね。この《SAO》がMMORPGである以上、ゲームを攻略する場合モンスターとの戦いは避けては通れない道でやんす」
シリカ「そ、その……私、まだ1回も戦闘を経験したことなくって……」
パワポケ「あ。俺も」
ナオッチ「あ~……私も一応、まともな戦闘は一度もしてませんね~」
ガンダー「ありゃ……シリカちゃんはわからなくもないでやんすが……まさかパワポケ君たちまで戦闘経験がないとは思わなかったでやんす」
パワポケ「いあやぁ~……なにぶん、これがフルダイブ初体験だったからね……あまりにもリアルな景色に見とれていてつい忘れていたよ」
ナオッチ「あたしも似たようなものですね~」
シリカ「わ、私も……」
ガンダー「う、う~ん……となると、ゲームクリアを目指す場合は、戦闘に慣れるところから始める必要がありそうでやんすね……」
パワポケ「ガンダーはもう戦闘には慣れたのか?」
ガンダー「えっ? ま、まぁ……パワポケ君たちよりは戦い慣れているとだけは言っておくでやんす」
パワポケ「ふ~ん……」
ガンダー「と、とりあえず、パワポケ君たちの意見も聞かせてほしいでやんす。みんなはこれから先、どうするべきだと思うでやんすか?」
ナオッチ「あたしはこの街に残っていたほうがいいんじゃないかなぁ~と思いますよ? 無理して先に進もうとしたら、かえって危ないですし……」
シリカ「わ、私も同意見です」
ナオッチ「あぁ、でもモンスターとの戦闘はしたほうがいいと思います。こうして宿に泊まるためにはお金が必要ですし、現状、お金を貯める手段はモンスターを倒す以外ありませんし……」
ガンダー「一応、クエストを受けて、それを達成してもお金はもらえるでやんすよ? ただ、クエストの報酬は必ずお金とは限らないでやんすけど……」
パワポケ「クエスト……《依頼事》か」
ガンダー「あと、さっきも広場でパワポケ君に少し言ったでやんすけど、MMORPGは基本的に“リソースの奪い合い”なんでやんす」
ナオッチ「そういえば、そんなこと言ってましたね」
ガンダー「ただでさえそんなに多くないリソースを大勢のプレイヤーが奪い合う……現状数千人のプレイヤーがいるこの街の周囲は、数日もしないうちにリソースが枯渇するはずでやんす」
パワポケ「つまり、ガンダーがさっきベータテスト経験者らしき連中の後をつけようとしていたのは、序盤からリソースの枯渇に悩まないためでもあったわけだ」
ガンダー「言ってしまえば、そのとおりでやんす。まぁ、他にも理由がなかったわけではないでやんすけど……」
シリカ「パワポケさんは、どう思っているんですか?」
ナオッチ「そうですね~、参考に教えていただきたいです」
ガンダー「――だ、そうでやんすよ、パワポケ君?」
パワポケ「あぁ、俺は……」
A:ガンダーと同意見だ
B:ナオッチやシリカちゃんと同意見だ
C:とりあえず、今は寝たい
安価↓
パワポケ「ガンダーと同意見だ。現状現実世界に帰る方法がゲームクリアしかない以上、攻略に挑むしかない。それに……」
ナオッチ「それに?」
パワポケ「どっちみちモンスターとは戦うことになるんだ。だったら、まだ多くの意義がある選択をしたほうがいいじゃないか」
ナオッチ「なるほど。納得です」
シリカ「…………」
ガンダー「パワポケ君は話がわかるでやんすね~。オイラ、そういう人は嫌いじゃないでやんす」
《ガンダー》からの評価が2上がった
パワポケ「――まぁ、あくまでもこれは俺の意見にすぎないから、みんなはこれから先どうするかは各自で判断して行動してくれ」
ガンダー「そもそも、オイラたちはこれから一緒に行動すると決まったわけじゃないでやんすからね」
ナオッチ「わかりました」
シリカ「…………」
パワポケ「? シリカちゃん、大丈夫?」
シリカ「えっ? あっ……! は、はい……大丈夫です……」
パワポケ「それじゃあ、一旦これで話は終わりにしよう。正直言うと、俺疲れちゃったし……」
ナオッチ「そうですね~。特にこの数時間は色々なことがありすぎて、頭の中が大混乱ですよ」
ガンダー「少し早いけど、寝るでやんすか?」
パワポケ「現実世界の俺たちの体は、すでに寝ている状態なんだけどね……」
ナオッチ「今のあたしたち、厳密には夢の中の世界にいるようなものですからね~。夢の中でも寝るって、考えてみるとなんだか不思議な感じがします」
ガンダー「確かに……だけど、精神的疲労を回復する意味では、こっちの世界でも寝ることは大切だと思うでやんす」
ナオッチ「なるほど~」
シリカ「…………」
パワポケ(…………)
(数分後……)
パワポケ「――さて、それじゃあ少し早いけど寝るか……」
ガンダー「あっ、パワポケ君。ちょっといいでやんすか?」
パワポケ「ん? どうした、ガンダー?」
ガンダー「オイラ、今のうちに明日以降に備えて道具屋で色々とアイテムを買ってくるでやんす。たぶん、明日の朝からはどこもお店は混むと思うでやんすから……」
パワポケ「買い物か……」
A:わかった。いってらっしゃい
B:俺も一緒に行こうか?
C:お店の場所わかるのか?
安価↓
パワポケ「俺も一緒に行こうか?」
ガンダー「いや、色んなお店をじっくり見て回る予定でやんすから、ここに戻ってくるのは結構遅くなりそうでやんす。パワポケ君は休んでいてほしいでやんす」
パワポケ「そうかい? わかったよ。一応気をつけてね」
ガンダー「心配ご無用でやんす。それじゃあ、早速行ってくるでやんす」
(バタン)
パワポケ「――1人になっちゃったな……」
A:まぁ、いいか。寝よう
B:俺も外に出てみようかな?
C:ナオッチたちの部屋に行ってみるか
安価↓
パワポケ「――そういえば、さっきシリカちゃんの様子が少しおかしかった気がするな……ナオッチたちの部屋に行ってみるか」
俺はベッドから起き上がると、部屋を出てナオッチたちの部屋へと向かった。
今回はここまで
続きはまた今日の夜予定
パワポケの試合BGMで個人的に一番好きなのは4
あと、パワポケじゃなくて本家パワプロだけど、10や11のマイライフの試合BGMも好き
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません