コードギアス 艦これのルルーシュ (264)

注:このSSにはコードギアスの重大なネタバレがあります

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「第一話 魔神、再誕」

~ゼロ・レクイエムより1カ月後、神根島~

ジェレミア「ここでいいのか? C.C.?」

棺を地に降ろし、ジェレミアは緑髪の魔女に問いかけた。

C.C.「ああ……ここでいい……」

棺の中には第99代神聖ブリタニア皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが眠っている。

C.C.「苦労したろ? ルルーシュの遺骸を守り続けるのは……」

ジェレミア「これも、我が忠誠の証だ、どうということはない」

C.C.「それでも、ゼロ・レクイエムの混乱の中でルルーシュの遺骸を確保するのは至難
     の業だったろうに……ルルーシュに代わって礼を言わせてもらう」

ジェレミア「この御方の苦悩に比べれば、何程の事があろうか……礼など不要だ」

C.C.「……」

ジェレミア「一つ聞いてもよいだろうか?」

C.C.「何だ?」

ジェレミア「埋葬地をこの場所にしたのは分からないでもない……ルルーシュ様を埋葬し
      たいなどという者は、ごく限られているからな……それに、ギアスに翻弄され
      たこの御方を縁のあるこの遺跡に埋葬するのも、理解できる……」

C.C.「……」

ジェレミア「だが、埋葬を1カ月も待たせたのは何故だ?
      私としては、早くこの御方に安らぎをもたらしてほしかったのだが……」

C.C.「確認したい事があったからな」

ジェレミア「それは?」

C.C.「もう済んだ事だ……ルルーシュは確かに死んだ、甦る事もない……後は、埋めて
     やるだけだ」

ジェレミア「むぅ……」

C.C.「それじゃ、墓穴を掘るのをお願いするよ」

ジェレミア「うむ……KMFがあれば楽なのだが……」

C.C.「仕方あるまい、日本人はいまだKMFに心理的抵抗がある……KMFを運用する
     など、ルルーシュの遺骸を運び込むより面倒かもしれんぞ?」

ジェレミア「それもそうだな……まあ、これも農作業の予行練習だと思ってやってみるさ」

C.C.「そういえば、田舎でオレンジ農家をやるんだって? ジェレミア、お前、余程そ
    の呼び名が気に入ったのだな?」

ジェレミア「我が主より賜った忠義の名だ、忘れはしないさ」

C.C.「そうだったな……フフッ」

そう言ってC.C.が昔を懐かしむように笑った瞬間、突然遺跡が鳴動し始めた。

ジェレミア「な、何だ!?」

C.C.「バカな! 私は何も遺跡に干渉していないぞ!?」

ゴゴゴ……

遺跡の鳴動と共に棺の蓋が開き、ルルーシュの遺体がまるで何者かに持ち上げられる様に
宙に浮きはじめた。

ジェレミア「ル、ルルーシュ様!!」

C.C.「アーカーシャの剣が作動している……!?」

宙に浮いたルルーシュの遺体は、ゆっくりと遺跡の紋様に向かって吸い寄せられていく。

C.C.「い、いかん! ジェレミア! 止めろ!!」

ジェレミア「承知!!」

ジェレミアがルルーシュの身体を引き留めようと突進した時、その身体は目に見えない壁のような物に遮られた。

ガギンッ!!

ジェレミア「ぐあっ!!」

C.C.「まさか……Cの世界の意思……?」

ルルーシュの身体はもう半ば遺跡の扉に吸い込まれている。

C.C.「ま、待て! 何処へいく、ルルーシュ!?」

C.C.は必死にルルーシュの身体に取り縋る。

ジェレミア「ぐ……ギアスを持つ者しかこの先へは進めないというのか……!!」

ジェレミアが見えない壁を越えようとするが、何度試してみても跳ね返されるばかりだ。

C.C.「ルルーシュ!! お前は私の……!」

C.C.が何か言いかけた時、二人の身体は完全に遺跡の扉に吸い込まれた。

ジェレミア「ル、ルルーシュ様……」

ジェレミアがその場にへたり込んだ時、既に遺跡の鳴動はピタリと収まっていた。

~神根島?~

C.C.「……きろ! ……起きろ! ルルーシュ!!」

ルルーシュ「……C.C.……? ガハッ、ゴホッ!!」

目覚めると同時に、ルルーシュは肺から大量の血液を吐いた。

C.C.「起きたか……傷は塞がっていたが、肺に血が残ってたんだろう……」

ルルーシュ「何故……ガハッ! 俺が……生きて……ゴホッ!!」

C.C.「言いたい事は分かるが、とりあえず、全部吐くまで喋るな」

血を全部吐き終えて、一息ついたルルーシュはC.C.を質問攻めにした。

ルルーシュ「……それで、神根島で俺を埋葬しようとしたら遺跡が発動してここに飛ばされ
      て、俺が生き返っていただと?」ゴホッゴホツ

C.C.「そうだ……正直、何が何だか分からん」

ルルーシュ「……シャルルのコードが知らぬ間に俺に移っていた、という可能性は?」

C.C.「その可能性を考えて、お前の遺体を1カ月の間保存して観察していたが、お前は
     完全に死んでいた……念の為、そこらにある草でお前の指を切ってみたのだが
     ……」

ルルーシュ「ああ、これか……」

ルルーシュの小指からは血が滴っていた。

C.C.「傷がもう一度復元する様子もない……お前にはコードは移っていない」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「……俺の死後、世界はどうなった?」

C.C.「……概ね、お前の予測通りだ」

ルルーシュ「詳しく聞きたい」

C.C.「ブリタニアは合衆国へと姿を変え、ナナリーが初代大統領となった……スザク…
     …いや、ゼロがその後見人となり、国際連邦への参加を協議している所だ」

ルルーシュ「日本は?」

C.C.「元黒の騎士団の扇要が首相となり、独立を果たした……ブリタニアや中華連邦と
     の友好条約も調印された」

ルルーシュ「扇か……」

C.C.「……思う所があるか?」

ルルーシュ「まさか、俺はそれほど狭量じゃない、妥当な人選だと思っただけだ」

C.C.「この世の全てがお前を憎もうとも、私はお前を誇りに思う。
     お前はナナリーの望む「優しい世界」を実現させたんだ」

ルルーシュ「フン……母親気取りか?」

C.C.「坊やは生き返っても口が悪いな……フフッ」

ルルーシュ「しかし、生き返ってもこの世に俺の居場所は無い……」

C.C.「……」

ルルーシュ「C.C.……もし良かったら、俺と二人で、何処か誰も知らない場所で……」

ルルーシュがそう言いかけた時、砲撃の炸裂音が鳴り響いた。

C.C.「!!」

ルルーシュ「戦闘だと!? 内戦地帯の国にでも飛ばされたのか、俺達は!?」

~海上~

長門「41センチ砲、一斉掃射だ!! てぇーっ!!」ドォン

赤城「敵殲滅……やっと沖ノ島を攻略できましたね……」

長門「良し!! 神通達水雷戦隊は残敵掃討と周辺警戒にあたれ!」

神通『了解です、長門さん!』

~沖ノ島~

ルルーシュ「バ、バカな……! あの護衛艦らしき艦に掲げられているのは……!」

C.C.「日ノ丸……」

次回予告

馬鹿な……! 日本は平和になった筈だ!
海上で暴れているのはテロリストか、それとも……。
いずれにせよ、俺は真実を見定めなければならない……。
ナナリーの望んだ「優しい世界」を守るためにも……!
その為なら……俺は……!!

次回「鹿屋基地」

「第二話 鹿屋基地」

~沖ノ島~

C.C.「どうやらこちらを捜索しているようだな……」

ルルーシュ「海上をスケーティングしている……? 足に何かフローティングする装置で
      も付けているのか……?」

C.C.「どうする? ルルーシュ?」

ルルーシュ「接触してみよう……まずは現状を把握しなくては……場合によっては……」

C.C.「……ギアスを使うのか?」

ルルーシュ「非常事態だ、致し方あるまい」

~海岸~

神通「! 長門さん! 沖ノ島に人影が見えます! 武装はしていません、民間人のようで
   す!」

長門『こんな場所に民間人が……? 怪しいな……とりあえず簡単な尋問をしろ、場合によ
   っては、拘束も許可する』

神通「了解です!」

C.C.「こちらに向かってくるな……」

ルルーシュ「何も知らない一般人を装うんだぞ……いいな?」

C.C.「その恰好でか?」

ルルーシュは皇帝の装束を着ていた。

ルルーシュ「お前等が棺にこの格好で入れたんだろうが!」

C.C.「こんな事になるとは誰も思わないだろう?」

ルルーシュ「……とにかく、皇帝ルルーシュだと気付かれても、こちらにはギアスがある」

神通「そこの人達! 両手を上げてこちらに来てください!」チャキッ

ルルーシュ「ああ……」

ルルーシュ(何だ……あの武器は……? まるで軍艦の艤装を模した物のようだが……)

神通(何? この人……? まるで舞台役者みたいな格好してこんな所に……怪しすぎる
   ……それに、横の女性……あれは拘束服?)

神通「そこで止まってください! この艤装は人間に対しては効果が薄いですが、それでも
   当たると痛いですよ!」

ルルーシュ「……抵抗はしない」

神通「簡単な尋問をさせてもらいます」

ルルーシュ「ああ……それより……」

ルルーシュは目のゴミを取るふりをしてコンタクトを外し、

ルルーシュ「俺の質問に全て答えてもらおうか」シュィーン

ギアスを発動させた。

神通「……? 質問しているのはこちらのほうです! まずは貴方達の国籍を教えてくだ
   さい」

ルルーシュ「!?」

C.C.「!」

ルルーシュ(ギアスが効かない!? 何だこの女!? いや、俺のギアス能力が失われてし
      まったのか?)

神通「……? どうしました?」

ルルーシュ「い、いや……何でもない……出身はブリタニアだ……」

ルルーシュ(日本とブリタニアは国交を回復した……この解答に間違いは無いはずだ……)

神通「ブリタニア? それは何処ですか? EUの一部ですか?」

ルルーシュ「な、何っ!?」

C.C.「!?」

神通「?」

ルルーシュ「何を言ってる! 元の神聖ブリタニア帝国だ! 現ブリタニア合衆国の!!」

神通「そのような国名は聞いたことがありませんが……」

ルルーシュ「な……!!」

神通「……もう一度聞きます、貴方達の国籍は?」チャキッ

ルルーシュ(訳が分からない……い、いや、今は怪しまれているこの状況を何とかする必要
      がある……そういえばこの女、さっきEUと言ったな?)

ルルーシュ「国籍は……EUだ……」

神通「EUですか、EUのどの国ですか?」

ルルーシュ「イングランド州……いや、イングランドだ……」

神通「英国ですか、では次の質問です、何故この島にいたのです?」

ルルーシュ(どう答えれば自然か……)

ルルーシュ「近くをクルージングしていたら戦闘に巻き込まれてしまってね……この島に
      打ち上げられてしまったのさ」

ルルーシュ(これで……どうだ?)

神通「クルージング?」

ルルーシュ「ああ……」

神通「そうですか……では、貴方達を拘束させてもらいます」

ルルーシュ「そうか……理由を聞いてもいいか?」

神通「この沖ノ島周辺海域は国際協定によって民間船の航行が禁じられています。
   そもそも、深海棲艦がいるこの時世に、クルージングなどありえません」

ルルーシュ(シンカイ……セイカン……?)

神通「貴方達は怪しすぎます……独断ですが、スパイ容疑で拘束させてもらいます」

ルルーシュ「分かった……行き違いがあるようだ……取り調べでもなんでもしてもらおう」

神通「……分かりました、では、ボートを用意しますので、それで護衛艦「おおすみ」に搭
   乗してください、鹿屋基地で尋問を受けてもらいます」

ルルーシュ「ああ……お手柔らかに」

神通「それは、そちら次第です」

~「おおすみ」内部~

下士官「おおすみには営倉などの施設は無い為、この下士官室で我慢してください」

ルルーシュ「ああ」

下士官「外側から鍵は掛けられませんが、私が警備していますので、暴れたり、脱走する事
    の無いようにお願いします」

ルルーシュ「分かっている……ああ、それと」

下士官「はい?」

ルルーシュ「私に便宜を図ってくれないか?」シュィーン

下士官「……了解しました」

ルルーシュ(ギアスは失われていない……とすれば、何なのだ、あの女は……?)

コンコン

ルルーシュ「C.C.、いるか?」

C.C.「……遅い」

ルルーシュ「そう言うな……時間が無い、手短に伝えるぞ」

C.C.「何だ……」

ルルーシュ「基地で何を聞かれても、知らぬ存ぜぬで通せ、全て俺が知っていると言え」

C.C.「ギアスは健在か……」

ルルーシュ「ああ……」

C.C.「では、また後でな」

~鹿屋基地、提督私室~

(仮)提督「悪いが、取り調べ室など無いのでね、ここで我慢してもらおうか」

ルルーシュ「構いませんよ」

仮提督「君には不自然な点が多々あると報告があった、まずは日本に来た目的から……」

ルルーシュ「その前に……」

仮提督「ん? 何か……」

ルルーシュ「ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが命じる! 我が僕となれ!!」シュィーン

仮提督「……了解しました……」

ルルーシュ「よし……まずは、世界情勢からゆっくり教えてもらおうか……」

仮提督「はい……」

ルルーシュが仮提督から聞き出した世界情勢は、自らの常識とは全くかけ離れた物だった。
この世界ではジョージ・ワシントンは戦死しておらず、ブリタニア帝国が存在した形跡も無
い。
新大陸におけるアメリカ合衆国の勃興とその隆盛……この世界における太平洋戦争……大
日本帝国とその敗北……原子爆弾……。
そして戦後の高度経済成長を経て、今現在に至る……。

ルルーシュ「では、この日本ではサクラダイトは産出されていないのか?」

仮提督「サクラダイト……? 何ですかそれは……?」

ルルーシュ「……いや、何でもない……それでは、エネルギーは何で賄っているのだ?」

仮提督「主に火力、水力、原子力発電です……」

ルルーシュ(原子力……フレイヤの様な物か……)

ルルーシュ「質問を変えよう、俺を捕縛した、あの女は何者だ?」

仮提督「神通ですか……? 彼女は艦娘で、軽巡洋艦です……」

ルルーシュ「艦娘とは何だ?」

仮提督「3年前から現れた深海棲艦を相手にするために突如現れた……」

ルルーシュ「待て、話が前後した、まずはその、深海棲艦とやらについて説明してくれ」

仮提督「はい……」

仮提督「……」

ルルーシュ「どうした? 話してくれ」

仮提督「……奴等については、未だほとんど何も分かっていません……3年前に突如世界中
    の海上に現れ、制海権を握りました……」

ルルーシュ「制海権を? それでは、島国の日本は干上がってしまうのではないのか?」

仮提督「はい……国民は今、かつての経済大国の見る影もなく、飢えに苦しんでいます……
    限られた物資は空輸するか、前倒しで作られた樺太トンネルによる大陸からの輸
    送に依存しています……」

ルルーシュ「……」

仮提督「奴等には通常兵器は通じません……米国により核も使用されましたが、無駄に終わ
    りました……」

ルルーシュ「通常兵器が通用しない? それでは、どうやって戦っている?」

仮提督「艦娘です……」

ルルーシュ「何?」

仮提督「深海棲艦による被害が深刻になっていくある日、彼女達は突然海上に現れ、太平洋
    戦争時の軍艦の名前を名乗りました……」

ルルーシュ「軍艦の名前?」

仮提督「はい、「自分たちは軍艦の記憶を持っている」と……初めは懐疑的だった軍も、彼
    女達が実戦で威力を発揮するのを見て、各地に彼女達が力を発揮する為の鎮守府
    を作りました……この鹿屋基地もその一つです……」

ルルーシュ「まとめると、艦娘とは何だ?」

仮提督「解明されていません……昔の軍艦が甦った戦闘妖精だと言う人もいます……」

ルルーシュ「艦娘の入手手段は?」

仮提督「バラバラです……当初は戦闘に勝利した後に海上に突然現れたりしていました
    ……今は、志願した娘が、艦娘の協力を得て艦娘に「なる」ケースもあります
    ……」

ルルーシュ「なるほど……だいたい分かったよ……」

~鹿屋基地、談話室~

神通「長門さん、あの人達、どうなるんでしょう?」

長門「さあな、いずれ憲兵が来て判断するだろう……」

神通「それはそうですけど……」

長門「何だ? 引っ掛かる事でもあるのか?」

神通「何だか、あの人達と話した時、違和感を感じたんです」

長門「違和感?」

神通「はい、まるで、おとぎ話の中から出てきた人のような印象を受けて……」

長門「フフ……錯覚だよ、それは……おとぎ話や奇跡など、この世にある筈も無い……」

神通「はあ……」

仮提督「ああ、二人とも、ここにいたのか……」

長門「ああ、ていと……!」

神通「!」

ルルーシュ「……」

C.C.「……」


神通「て、提督! 何故この人達がここに!?」

仮提督「ああ、この人達の嫌疑は晴れた」

長門「憲兵を待たずに決定していいのか?」

仮提督「ああ、この人達は英国から派遣された極秘大使で、特殊任務を負っていた……。
    任務内容を秘匿する為、行き違いがあったようだが、それも解消された」

神通「はあ……それなら憲兵の尋問にかける訳にはいきませんね……」

長門「話が出来過ぎているな……大使館に問い合わせなくていいのか?」

ルルーシュ「高度に政治的な任務なので、大使にも知らされていないんだ、手を煩わせてし
      しまって済まなかったね?」

長門「フン……これに懲りたら、二度と戦場に足を踏み入れぬ事だな」

ルルーシュ「気を付けるよ」

神通「それで、わざわざ談話室に来てまで、何の御用でしょうか……?」

ルルーシュ「なに……拾い上げてくれたお礼が言いたくてね……それと……」

長門「それと?」

ルルーシュ「俺達の服は流されてしまってね……これ以外に無いんだ。
      街を案内して、服屋を紹介してくれないかな?」

神通「確かに、その恰好じゃ悪目立ちしすぎますね……分かりました、私が案内します」

長門「この国の通貨は持っているのか?」

ルルーシュ「なんとか、ね」

C.C.(ここの提督から巻き上げたからな……)

次回予告

常識の全く異なる異世界……ナナリーのいない世界……
俺はこの世界に何故飛ばされた?
ナナリー達のいない日本を守る必要があるのか?
しかし、ここにも苦しむ弱者がいる……
俺は……俺は……どうすればいい!?

次回「日本制圧」

これより更新始めますが、今回は不敬にあたる表現があるかもしれません
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~市街地~

神通「すみません……服屋はもう少し先になります……」

ルルーシュ「構わないさ……だが……」

神通「?」

ルルーシュ「あの行列は何だ……?」

神通「あ……その、お米と野菜の配給です……」

ルルーシュ「……」

C.C.「……」

神通「ここがこの街で一番大きな服屋です」

ルルーシュ「分かった、ここまでありがとう」

神通「駅までお送りしなくて大丈夫ですか?」

ルルーシュ「これ以上軍人さんの手を煩わせる訳にはいかない……ご協力、感謝する」

神通「分かりました……お気をつけて」

神通は一礼して去って行った。

ルルーシュ「さて……目立たない程度の服を買うか……」

C.C.「服は私が選ぶぞ、お前のセンスは当てにならん」

ルルーシュ「ファッションセンスの事は言うなっ!!」

適当なスーツを買い、二人は店を出た。

C.C.「これから、どうする?」

ルルーシュ「そうだな……まずは東京へ向かうか、首都なら情報も手に入れやすいだろう」

C.C.「行き先の事を聞いたんじゃない」

ルルーシュ「……」

C.C.「ルルーシュ、これからどうする?」

C.C.「お前が聞き出した話からすると、ここは異世界のようだな?」

ルルーシュ「並行世界とでも言うべきか……」

C.C.「この世界の日本はブリタニアの圧政に苦しんではいない」

ルルーシュ「……」

C.C.「そもそもブリタニアが存在しない……お前が憎むべき敵も、お前を憎む者もいな
     い」

ルルーシュ「……」

C.C.「混迷した世界といえど、二人ぐらいなら世界の何処かでひっそりと暮らしていく
     事も可能だろう」

ルルーシュ「……何が言いたい……」

C.C.「ルルーシュ、今ならまだ引き返せるぞ?」

ルルーシュ「……」

C.C.「ルルーシュ?」

ルルーシュ「俺は約束したよな……お前を笑顔にしてやると」

C.C.「ああ……」

ルルーシュ「あの約束はまだ果たされていない」

C.C.「その代わり、お前は自分を犠牲にして元の世界を救った……それで十分だ」

ルルーシュ「いや、まだだ」

C.C.「ルルーシュ……」

ルルーシュ「ナナリーやユフィが愛した日本という国……世界が違うと言えども、ここに
      苦しんでいる民がいる」

C.C.「……王の力は、再びお前を孤独にするかもしれんぞ……」

ルルーシュ「お前がいれば、それでいい」

C.C.「時々思うんだがな、お前はそういう所が卑怯だ」

ルルーシュ「フン……Cの世界がどのような意思を以て俺達をこの世界に飛ばしたのか、そ
      れは分からん……だが、神の意思がどのような所にあろうと、俺は反逆してみ
      せる!!」

C.C.「ルルーシュ、もう一度聞くぞ、これからどうする?」

ルルーシュ「誰もが笑える平和な世界の為に! ナナリーが目指した理想の為に!
      行くぞ、C.C.! まずは東京だ!!」

~3週間後、鹿屋基地~

赤城「長門さん、緊急集会って、何でしょう?」

長門「分からん……キス島から入った一報の事だろうか?」

羽黒「わ、悪い知らせじゃないといいんですけど……」

加賀「おや……練兵場が騒がしいようですが……」

長門「ん……あ、あれは!?」

練兵場の壇上に立っている人物を見て、長門は驚愕した。

ルルーシュ「諸君! よく集まってくれた! 私がこの鹿屋基地の新提督、ルルーシュ・ラ
      ンペルージだ!」

長門「な……!?」

神通「そ、そんな……!?」

練兵場は未だざわついているが、ルルーシュは構わずに演説を続ける。

ルルーシュ「外国人である私が提督に就任した事に、諸君は戸惑っているであろうが、これ
      には高度な政治的事情が関わっている! どうか混乱せず、私を受け入れて
      もらいたい!」

長門「ま、待て! ていと……い、いや、前提督はどうなったのだ!?」

ルルーシュ「前提督は沖ノ島攻略の実績を買われ、軍司令部にて栄転なされた」

羽黒「そ、そんな……私達にはそんな事、一言も……!」

ルルーシュ「急を要する案件だったので、諸君には説明不足であった事を謝罪したい」

長門「外国人など……信用できるかっ!!」

ルルーシュ「私にはこの国を守る理由がある!!」

長門「!……」

ルルーシュ「今は……いや、未来永劫明かせないかもしれんが、私がこの国を愛する気持ち
      に偽りは無い!」

神通「信じて……よろしいのですか?」

ルルーシュ「今は信じられなくとも、必ず諸君の信頼を勝ち取るように努力する」

長門「……ならば、実戦で証明してもらおうか」

ルルーシュ「無論だ」

ルルーシュ「まずはキス島! 報告によれば、極秘に海上輸送していた大型掘削機械とそ
      の技術者が深海棲艦の襲撃によってキス島で包囲されている。
      この技術者達の救出と掘削機械の確保を優先目標とする!!」

加賀「……では、早速出撃ですか?」

ルルーシュ「出撃は3日後だ」

長門「何だと!? 何故すぐに救助に行かない?」

ルルーシュ「勝利の為だ!! それ以上は軍機だ!」

赤城「……? 出撃予定日をずらすのに何の意味が……?」

ルルーシュ「既に他基地より空路で技術者達の救出は進められている、従って、諸君の護衛
      対象は掘削機械だ。
      各員の奮闘を期待する、以上、解散!!」

ザワザワ……

~鹿屋基地、工廠付近~

加賀「……何故、外国人が提督に……」ブツブツ

整備士「あ、加賀さん、聞きました? あの噂」

加賀「はい? 何でしょうか?」

整備士「いやね、最近軍内部で流れてる噂なんですけどね、なんでも、さるやんごとなき御
    方が海外留学中に現地の女性に産ませた子供が、最近来日して軍に志願したとか
    ……」ヒソヒソ

加賀「!!……やんごとなき御方とは……?」

整備士「口に出すのも畏れ多い御方ですよ……」ヒソヒソ

加賀「そんな……!」

~執務室~

C.C.「皇族にはギアスをかけなくてよかったのか?」

ルルーシュ「皇族にギアスをかけるのは最終手段だ……宮内庁の役人を掌握するだけで十
      分だ」

C.C.「やるなら徹底的にやるのかと思ったが」

ルルーシュ「この国の宗教上のトップだ……どんな力を隠し持っているのか分かったもん
      じゃない、最悪、ギアスが効かない可能性もある」

C.C.「2千年以上続いた血筋だからな……その可能性も確かに否定できないな」

ルルーシュ「今は噂を流すだけでいい……海軍もある程度掌握したしな」

C.C.「それで、やる事が前線指揮官か……まったく、お前は難儀な男だな」

ルルーシュ「深海棲艦との戦いは艦娘がキーポイントとなる……前線に出なければ、見えて
      こない事もある」

C.C.「まあいいか……それで、キス島、勝てるのか? 報告によれば、相当な難作戦の
    ようだが……」

ルルーシュ「既に勝利は決定している」

C.C.「ほう……?」

ルルーシュ「見せてやろう、魔神の戦い方という物をな」

次回予告

多少強引な手法ではあったが、俺は再び前線司令官の地位に立った
艦娘にはギアスが効かない……
俺に求められているのは勝利だ!
やってやるさ……かつて黒の騎士団を手に入れた時のように!!

次回「キス島撤退作戦」

「第四話 キス島撤退作戦」

~おおすみ、艦橋~

操舵手「キス島海域まであとヒトマルマルです!」

ルルーシュ「予定時刻通りだな……さすが日本人は優秀だ」

ガチャ

長門「失礼する」

ルルーシュ「長門か……どうした?」

長門「……私はまだ、新提督のことが信頼できん、ここで監視させてもらう」

ルルーシュ「好きにしろ、だが、掘削機械収容部隊には加わってもらうぞ」

長門「……それは勝った後の事だろうが……」

長門「報告によれば、キス島周辺海域は特殊な潮流が流れている為、軽量、高速の駆逐艦し
   か展開できない……どうするつもりだ?」

ルルーシュ「軍機だが、策を用意してある」

長門「まだ幼い駆逐艦達を戦場に出すのだ……生半可な策では通用しないぞ……?」

ルルーシュ「その為に、安全に勝つ為の策だ……既に勝利は決定している」

長門「何だと!?」

ルルーシュ「信用できぬのなら、ここで見ていろ……俺の言葉が嘘だったら、どうとでもす
      るがいい」

長門「言ったな……自分の言葉には責任を持てよ? それと……」

ルルーシュ「何だ?」

長門「新提督の出自について、様々な噂が飛び交っている事は私も知っている……」

ルルーシュ「……」

長門「私としては、実戦で力を見せてくれるなら噂の真偽を問う気は無い……だが……」

ルルーシュ「だが?」

長門「その女は何者だ? 何故戦場にまでついてくる?」

C.C.「私か? 私はルルーシュの愛人だ」

ルルーシュ「ブッ!!」

長門「なっ……! 破廉恥な!」

C.C.「冗談だ……こんな事で動揺するからお前は坊やだというんだ……」

ルルーシュ「ええい! コイツは秘書だ! それだけだ!」

長門「……分かった、そういう事にしておく」

操舵手「まもなく、キス島周辺海域に到達します!」

ルルーシュ「ム……よし! 戦闘態勢に移行する!」

ルルーシュ「夕立、時雨、響、綾波、雪風、島風の6名は発艦後、あらかじめ指定したポイ
      ントにて待機! 敵部隊に対峙せよ!」

夕立『了解っぽい!』

時雨『時雨……行くよ!』

ルルーシュ「ポイント到達後はこちらの指示が出るまで決して前進するな! 合図と共に
      突撃せよ! タイミングを誤るなよ!」

響『……了解』

長門「ポイントとは何処だ?」

C.C.「ここだ」

C.C.が海図を指差す。

長門「む……? 確かにここなら相手の砲撃は届かんかもしれんが……こちらの砲撃も届
   かんぞ?」

ルルーシュ「ここにこの時刻に来た時点で我々の勝利だ」

長門「……?」

島風『ポイント到達したよ!』

ルルーシュ「時間は?」

C.C.「ジャストだ」

ルルーシュ「よし! 突撃!! 相手は碌に動けん筈だ! 回避運動を取りつつ砲撃を開
      始せよ!!」

長門「何だと!?」

雪風『ホントに敵の動きがニブいです! いけます!!』

島風『おっそーい!!』

深海棲艦の動きは何かに拘束された様に鈍い。
対して、こちらは通常よりも速いスピードで敵に肉薄している。

長門「何だ……? 何が起こっている……!?」

ルルーシュ「今日、この場所は大潮だからな」

長門「!! そうか! 潮の満ち引きを利用したのか!!」

綾波『まもなく敵正面です!』

ルルーシュ「よし! 至近距離から魚雷を叩き込め! 雷撃戦だ!!」

島風『この距離なら外さないよっ!!』

時雨『敵殲滅だよ!』

ルルーシュ「よし、全員で5時の方向に砲撃開始!」

綾波『え……? あっちには岩礁しか……』

ルルーシュ「いいから砲撃だ!! 命令だ!」

夕立『分かったっぽい!』

ドドォン

深海棲艦「ギャアアアアアアッ!!」

雪風『え!? 伏兵!?』

ルルーシュ「やはりいたか……よし! 伏兵の殲滅後、おおすみは接岸して掘削機械の回収
      行動に移るぞ!」

長門「な、何故伏兵の存在まで分かったのだ!?」

ルルーシュ「大した事は無い、地形を見て、俺ならここに兵を伏せると思っただけだ」

長門(なんてやつだ……完全に戦場をコントロールしている……!)

~キス島~

長門「これが掘削機械か……なるほど、確かにこの大きさでは空輸できんな……」

金剛「ヘーイ、長門、ブリッジで見てみて、どうだったネー? 新提督の指揮は?」

長門「……うむ……何と言ったらいいか……とりあえず、優秀な指揮官であるのは間違いな
   いようだ」

伊勢「伏兵まで見破ったんだって? 良かったじゃん、新提督が無能じゃなくてさ」

長門「……そうだな……おや、あれは……」

伊勢「海上に光が……新しい仲間かな? 掘削機械を運んだら、提督に紹介しようか」

金剛「姉妹艦だったらいいネー!」

長門「フフ……そうだな」

~ブリッジ~

ルルーシュ「な……!」

榛名「初めまして! 高速戦艦、榛名です! 貴方が提督ですね? よろしくお願いしま
   す!」

ルルーシュ(……似ている……! いや、バカな……他人の空似だ!)

榛名「? どうしました? 提督」

ルルーシュ「あ、いや……何でもない、ようこそ、我が艦隊へ」

榛名「……んー……」

ルルーシュ「? どうした?」

榛名「私達、初対面……ですよね? 何だかそんな気がしなくって」

ルルーシュ「!?」

C.C.「……」

~???~

戦艦棲姫「……キストウノブタイガゼンメツシタ……」

港湾棲姫「……キョウリョクナブタイカ……?」

戦艦棲姫「……センジュツガ、イママデトチガウラシイ……」

港湾棲姫「……センジュツ……」

???「……オモシロイ、アタシガイッテアソンデクルヨ……」

港湾棲姫「……オマエガ……?」

???「……アバレタイトオモッテタンダ……」

港湾棲姫「……イイダロウ……」

次回予告

似ているだけだ……雰囲気が……
ギアスによって翻弄されて死んでいった彼女に……
榛名は……彼女ではない……
分かっていても、俺は……!!

次回「嘆きのワンマンアーミー」

所用があるため、次回更新は土曜以降になると思います
それまで、しばしお待ちください

すみません、明日から予定が込み入っているので、更新が不定期になると思います。

とりあえず、書けた分だけ投下します

「第五話 嘆きのワンマンアーミー」

キス島の勝利により、俺はある程度の信頼を艦娘から勝ち取る事ができた……。

掘削機械も無事搬入され、国益を損ずる事も防いだ……。

その俺が……その俺が……

ルルーシュ「なんで生クリームなんぞかき混ぜなくてはならんのだ!!」カシャカシャカシャカシャ

間宮「すみません、提督、しーつーさんから提督が料理がお上手だと伺ったものですから
   ……それに、久々の生クリームの配給なので、人手が欲しくて」

ルルーシュ「……」ギロッ

C.C.「間宮の作るピザトーストは旨いな、もう一枚焼いてくれ」モグモグ

間宮「ちょっと待ってくださいね? 今シュー生地が焼きあがりますから」

C.C.「ム……仕方ないな……オーブンは一つしか無いからな」

ルルーシュ「分かってるならちょっとは手伝え! このピザ女!」

夕立「ねーねー、てーとくさん、シュークリームパーティーはまだっぽい?」

ルルーシュ「主賓は座って待ってろ! ええい! 誰かバニラビーンズを持ってこい!」

榛名「はい、提督♪」

ルルーシュ「ム……」

海上から現れて以降、榛名は妙に俺に付きまとっている……。
金剛に理由を聞いても、「テートクは朴念仁ネー」とか言うばかりだ……。
作戦に支障が出なければ別に構わないが、榛名の顔を見るとどうしても思い出してしまう。
ギアスに人生を翻弄され、俺の目の前で死んでいった彼女の事を……。

~食堂の隅~

如月「新提督ってイケメンですわよね~♪」

荒潮「料理が出来る男の人ってポイント高いですね~♪」

瑞鳳「時々見せる憂い顔がたまらないのよね~♪」

ルルーシュ「瑞鳳! 荒潮! 如月! 無駄口をたたいてる暇があるならお前達も手伝
      え! シュー生地を練るんだ!」

三人「は~い♪」

綾波「あ、あの、司令官、やっぱり私達も手伝いましょうか?」

ルルーシュ「主賓は黙って座って待ってろ……ん? 島風の姿が見えないが……」

雪風「島風ちゃん、いつもこういう席には来ないんです……」

響「……一人で居るのを好むらしい」

時雨「協調性に欠けてるみたいだね……どうしてかは分からないけど……」

夕立「キス島攻略記念パーティーだから、島風もいなきゃダメっぽい」

綾波「あの、私、探してきましょうか?」

ルルーシュ「……いや、お前達はここで待ってろ」

ルルーシュ「間宮さん」

間宮「はい?」

ルルーシュ「悪いが、急用を思い出した、手伝いはここまでだ」

間宮「そうですか……」

ルルーシュ「完成品を一つ貰っていくぞ」

間宮「はい、お気をつけて♪」

ルルーシュが食堂から出て行くと、榛名がほうっと一つ溜息をついた。

榛名「……やっぱり、提督って優しいですね?」

C.C.「ああいう事が出来るなら、もう少し私に優しくしてもいいんだがな」

榛名「むっ……」

~鹿屋基地、裏庭~

島風は一人きりで座ってぼうっと風が流れるのを眺めていた。
皆の輪に馴染めない……でも、そんな事はどうでもいい。
戦場でなら、誰よりも速く動ける自信がある。
それだけで十分だ。
それでも、何もしていないと思い出すことがある。
両親の、葬儀の事……。

親戚A「可哀想にねぇ……この歳で御両親を亡くすなんて……」ヒソヒソ

少女「……」

親戚B「それで、誰が引き取るの? ウチは駄目よ、小さい子が3人もいるんだから
    ……」ヒソヒソ

少女「……」

親戚C「ウチだって駄目よ……そんな余裕無いわよ……」ヒソヒソ

少女「……」

親戚D「そういえば、海軍で……」ヒソヒソ

少女「…………」


ルルーシュ「ここにいたのか、島風」

島風「!! ……提督……」

ルルーシュは島風の隣に座った。

ルルーシュ「……パーティー、出ないのか……?」

島風「興味無い」

ルルーシュ「シュークリーム、一つ持ってきてやったぞ……食べるか?」

島風「……いらない」

ルルーシュ「そうか……せっかく作ったのにな」

島風「……」

ルルーシュ「なあ、島風、もう少し皆と協調すれば、作戦も円滑に……」

島風「! ……うるさいなっ!!」

島風は振り払うように腕を振った。
ルルーシュはシュークリームを落とさないようにそれを躱す。

ルルーシュ「おっと……危ない……何をするんだ、島風」

島風「戦場で結果を出す! 速さなら誰にも負けない!!」

ルルーシュ「……」

島風「……それで十分でしょ……ほっといてよ……」

ルルーシュ「……そうか……」

ルルーシュはハンカチを下に敷いて、シュークリームをそこに置いた。

ルルーシュ「ここに置いておくぞ、気が向いたら食べろ」

島風「……」

ルルーシュが立ち去った後、島風はやはり気になるのか、そちらをちらりと見た。

島風「……?」

ルルーシュの座っていた所に何か落ちている。

島風「……ロケット?」

島風は少し躊躇したが、好奇心に負けてロケットを開いてみた。

島風「これ、提督と……誰……?」

ロケットの中の写真には、ルルーシュと、目を閉じた車椅子の少女が映っていた。
少女は幸せそうな顔をして微笑んでいる。

島風「……そっか……提督にはいるんだ……大切な人……」

島風の心が針に刺された様に痛んだ。

~執務室~

ルルーシュは珍しく慌てていた。

ルルーシュ「無い! ここにも無い! ええい! 何処で落とした!」

コンコン

ルルーシュ「誰だ! 今は取り込み中だ!」

ガチャ

島風「提督……あの……これ……」

ルルーシュ「! お前が拾ってくれたのか! ありがとう……」

島風はルルーシュにロケットを返した。

島風「……」

ルルーシュ「? どうした?」

島風「ご、ごめんなさい! 中身……見ちゃって……その……」

ルルーシュ「そうか……」

島風「……提督にはいるんだね……大切な人……」

ルルーシュ「……もういなくなった……」(この世界には……)

島風「……そう、なんだ……」

島風「提督は……なんで戦うの? 外国人なのに……」

ルルーシュ「今はいない人の意志が俺を動かしている……」

島風「意志……?」

ルルーシュ「想いと言いかえてもいい」

島風「想い……」

ルルーシュ「俺は今まで、幾度も失敗してきた」

島風「提督が……?」

ルルーシュ「ああ、それでも立ち上がれたのは、絆があったからだ」

島風「絆……」

ルルーシュ「島風、一人で戦って勝ったとしても、孤独になるだけだ、最後まで立っていら
      れるのは、絆を持つ者だ」

島風「……提督の言う事は難しくてよく分かんないよ……」

ルルーシュ「そうか……」

島風「でも……」

ルルーシュ「?」

島風「提督が嘘を言ってないのは分かる、ワタシ、そういうの感じるの、得意なんだ」

ルルーシュ「……」

島風「……いいよ、提督の為なら、ワタシ、いつでも死んであげる」

ルルーシュ「! 島風! それは……!」

違うぞ、と言おうとした時、基地に警報が鳴り響いた。

ルルーシュ「何だ! 何が起こった!!」

大淀『沖ノ島に駐留していた護衛艦が沈められました!! 敵はまっすぐ鹿屋基地目掛け
   て突進してきています!!』

ルルーシュ「敵の数は!?」

大淀『一機です!! 戦艦レ級です!!』

ルルーシュ「レ級……米海軍を壊滅させたという、あの……」

島風「!! ……!」ダッ

ルルーシュ「島風!? 何処へ行く!!」

大淀『提督!! 指示を!!』

ルルーシュ「ええい! 確か長門達が基地近海で演習していた筈だ!! 基地の前方を塞
      ぐ様に陣形を取って迎え撃て!!」

長門『こちら長門! 了解した!!』

今日はここまでです。
続きは、時間が取れ次第、投下していきます。
不定期になりますが、お待ちください

~海上~

ザザザッ

レ級「サア……アソボウジャナイカ……!」

赤城「ここから先へは行かせません!!」

赤城が艦載機を飛ばす。

レ級「ハッ……! カンサイキッテノハ……コウツカウノサ……!」

レ級も艦載機を同時に飛ばしてくる。

ドドォン

赤城「くうっ……!!」

大淀『赤城、大破!!』

ルルーシュ『弾幕を張れ!! 加賀! 赤城を収容しろ!』

加賀「くっ……了解……!」

長門「おのれ……くらえっ!! 41センチ砲!!」ドゴォン

レ級「ヌルイヨ」

長門「なっ……!?」

レ級「クライナ……」

レ級の砲撃が長門に着弾する。

長門「ぐああっ!!」

大淀『長門、大破!!』

ルルーシュ『くっ……長門は後退! 北上! 雷撃戦だ!!』

北上「ちょっとヤバいかもね……でも、この距離なら……!」

北上が魚雷を発射する……が、レ級はそれを全て躱す。

北上「嘘っ!」

レ級「コノドハコッチノバンサ……モッテイキナ……!」

レ級の魚雷が北上を直撃する。

北上「ちょっ、待っ……!!」

ドッゴーン

大淀『北上、大破!!』

ルルーシュ『金剛は長門と北上をかばって後退せよ!!』

金剛「りょ、了解ネー!!」

ルルーシュ『おのれ……スザクじゃあるまいし、たった一機で戦局を左右されてたまる
      か!!』

レ級「モウオシマイカイ? ナラミナゴロシニシチャウケド、イイ?」

島風「させないよ!!」

レ級「ム?」

大淀『!! て、提督! 島風ちゃんが魚雷を大量に抱えて……』

ルルーシュ『何だと!! まさか……おい、止めろ!!』

レ級「カミカゼアタックカ……オモシロイ、キナ!!」

島風「さよなら、提督……ちょっとの間だけど、優しくしてくれてうれしかったよ……」

島風は高速でレ級に肉薄していく。

島風(……シュークリーム……やっぱり食べたかったな……)ザザザッ

ルルーシュ『島風!! お前は!!』

ルルーシュ『生きろ!!!!』

島風「!!」

島風は魚雷を艤装に装填し、至近距離で発射した。

島風「五連装酸素魚雷!! くらえっ!!」

ドッゴォーーン

レ級「クッ……コノ、クソガキ……!!」

島風「やっぱり死んでなんかあげないよ! アンタ一人で沈めっ!!」

レ級「コロシテヤルヨ……ガキガ……!!」ザザザツ

大淀『レ級! 島風ちゃんを追っています!!』

ルルーシュ『! ……ならば! 島風! 港へ逃げ込め!!』

島風「えっ!? でもそれじゃヤツが……」

ルルーシュ『俺を信じろ!! B班、C班はKポイントに集結して合図を待て!!』

神通『りょ、了解!!』

~港~

レ級「チョコマカトスバシコイガキガ……! ダガ、オイツメタヨ……」

ルルーシュ『よし! 島風! 港から上がって基地に逃げ込め!!』

島風「う、うん!!」

島風は出港ドッグから上がり、一目散に駆け出した。

レ級「リクニアガレバアンゼンダトデモオモッタノカイ……? ダガ、ムイミダッタナ」

レ級は砲の照準を島風に合わせる。

レ級「サヨナラダ、クソガキ」

ルルーシュ『今だ! 排水弁、開放!!』

大淀『りょ、了解! 排水弁開放します!!』

ゴゴゴゴゴ……

レ級「ナ、ナンダ!?」

ルルーシュ『高潮対策用の排水弁だ……相手の土俵で戦うとは、戦闘力は凄まじいが、頭が
      足りないようだな』

ゴゴゴゴゴ……

レ級「クオ……スイコマレル……ミウゴキガトレン……!!」

ルルーシュ『今だ!! B班! C班! 集中砲火!!』

伊勢「了解!! くらいなっ!!」

神通「当たって!!」

羽黒「動かない敵なら……ごめんなさいっ!!」

瑞鳳「アウトレンジ! いきます!!」

夕立「これなら当たるっぽい!!」

榛名「勝手は! 榛名が! 許しません!!」

ズッドォーーーーーーーーーン

レ級「グアアアアアアアアアアアッ!!」

ルルーシュ『やったか?』

レ級「……ク、クソガ……」

ルルーシュ『まだ生きている! 化け物かっ!!』

伊勢「なら、また集中砲火で!!」

レ級「! ……ク、クソッ!」

ドゴォン

レ級は排水口を破壊し、全速で港から離脱した。

レ級「オボエテナッ!! コノカリハカナラズカエスゾッ!!」ザザザッ

伊勢「提督、どうする? 追う?」

ルルーシュ『いや……怪我人の収容が先だ、入渠ドッグをフル稼働させろ』

伊勢「仕方ないね……了解!」

~港~

島風「……提督……」

ルルーシュ「……」

パァン

ルルーシュは島風の頬を軽くはたいた。

島風「うっ……」

ルルーシュ「……二度と自分の命を投げ出すような真似はするな」

島風「……うっ、うっ……ごべんなざい……ごべんだざい……」ヒックヒック

綾波「まあまあ、そのくらいで……」

夕立「パーティーの途中だったから、もう一回やればいいっぽい」

時雨「今度は島風も一緒に、ね?」

島風「みんな……」ヒックヒック

島風は泣きながら、ニッコリと笑った。

~執務室~

ルルーシュ「今回は間一髪だった……戦略を考え直さねばならんな……」

C.C.「そうか」

ルルーシュ「それにしても……今回、俺はギアスを発動させてなかったが……何故島風は
      思いとどまってくれたのだろうか……」

C.C.「世の中、ギアスより強い力があるってことだろ」

ルルーシュ「何!? 何だその力は!?」

C.C.「まったく……」

C.C.はピザトーストを頬張りながら呆れてみせた。

C.C.「だから、お前は坊やだというんだ」

次回予告

レ級……まさかあれ程の力を持っていようとは……
戦略の根本から見直さねば……
もう二度と悲劇を繰り返させないためにも……
その為なら、俺は……!

次回「宗谷海峡に、血を染めて」

これより更新始めますが、バッテリリフレッシュ中なので途中で落ちたらごめんなさい

「第六話 宗谷海峡に、血を染めて」

長門は荒々しく執務室の扉を開けた。

長門「シーツー! 提督はまだ戻らないのか!!」

C.C.「騒がしいな……やれやれ……」

長門「いつまたレ級が攻めて来るかもしれんというのに、長期出張とは、提督はいったい
   何を考えている!!」

C.C.「お前達と違って、ルルーシュは戦いだけをやっていればいいという物でもない
    ……ヤツなりの考えがあっての行動だ」

長門「しかし、現実にレ級の脅威は存在する! いざという時に提督が不在では話にならん
   ぞ!?」

C.C.「その為に、私がここに残っているんだ」

長門「提督の愛人のお前がいたところで、どうにもならんだろうが!!」

C.C.「任された以上、私が提督代理だ、心配するな、ルルーシュの策は、ちゃんとここ
     にある」

C.C.は分厚い作戦書の束を机に置いた。

長門「む?」

C.C.「状況に応じた、1056通りの作戦だ、留守中はこの作戦に従うようにとの事だ」

長門「見せろ!」

C.C.「ダメだ、軍機だ」

二人がそんな押し問答をしていると、基地に警報が鳴り響いた。

長門「何だ!? 敵襲か!?」

C.C.「大淀、状況報告を」

大淀『レ級が宗谷海峡目掛けて進軍しています!! おそらく敵の狙いは樺太トンネル、
   中継地点の大吸気口です!』

長門「何だと!? あそこが潰されたら、樺太トンネルは終わりだ!! いや……日本その
   ものが終了するぞ!?」

大淀『提督代行! すみやかに指示を!』

C.C.「待て待て……ええと……ああ、これだ、ケース128、樺太トンネルが狙われた
    場合の対処法」

長門「早く策を言え!!」

C.C.「樺太トンネルの吸気口が狙われた場合、早急にルルーシュに連絡を取ること。
     北方方面への遠征部隊を急行させ、吸気口の護衛に当たらせること。
     同時に、金剛型四姉妹を急行させ、援軍に当たらせること……以上だ」

長門「な、何……? それだけか!?」

長門「下策だ! そもそも遠征部隊は大規模な戦闘を想定していない! この策では、
   金剛たちが到着する前に遠征部隊が全滅するぞ!!」

C.C.「大淀、聞いた通りだ、遠征部隊を吸気口の護衛に当たらせろ。
     金剛型姉妹は準備ができ次第、随時発進。
     ルルーシュへの連絡は私がする」

大淀『は、はい!』

長門「おい! 聞いているのか!? この策では駄目だ!! くっ……こうなったら、私が
   出てレ級の相手を……」

C.C.「この作戦書にはこうも書いてある。
     長門達、第一艦隊は、敵の急襲が陽動であった場合を考え、基地の防衛に当たる
     ように、と」

長門「何だと!?」

長門「く……遠征部隊をみすみす見殺しにする事になるとは……!」

C.C.「長門、ルルーシュを信じろ」

長門「しかし……!」

C.C.「あいつは奇跡を起こしてきた男なんだよ……今回の命令も、きっと理由がある」

長門「何故……そう言い切れる?」

C.C.「無論、私がその奇跡を一番間近で見てきたからだ」

C.C.はそう言い切ると、大淀に念を押すため指令を繰り返した。

~宗谷海峡、大吸気口前~

伊勢「どうにも参ったね、こりゃ……」

扶桑「でも、ここが日本の生命線よ……? 守りきらないと……」

川内「夜戦なら負ける気しないけど……防衛戦かぁ……」

由良「皆が来るまで……耐えなきゃ……」

響「……問題ない」

朝潮「が、頑張ります!!」

伊勢「無理するなって、朝潮……練度不足なんだから……響に守ってもらいな」

朝潮「わ、私だって戦えます!」

扶桑「膝が笑ってるわよ……? いいから、響、お願い」

響「……了解、朝潮を必ず守る……」

伊勢「!! ……来るよっ!!」

ザザザッ

レ級「オイノリノジカンハオワッタカイ……? ソレジャ、コノアイダノオカエシヲサセテ
   モラウヨ……!」

伊勢「瑞雲!!」

扶桑「行きなさい!!」

伊勢と扶桑が艦載機を飛ばすが、レ級はそれを簡単に撥ね飛ばす。

レ級「ハンッ! ナンダイ? ソノヘナチョコナコウゲキハ……」

伊勢「通用するとは思ってなかったけどね!! 行くよ!!」

扶桑「一斉砲撃!!」

川内「あったれーっ!!」

由良「当たって!!」

響「攻撃する……!」

朝潮「あ、当たって、お願い!!」

ドドォン

レ級「オセェヨ」

レ級は全ての砲撃を避けた。

レ級「シズメ」

ドォン

伊勢「ぐうっ!!」

由良「伊勢さん!!」

レ級「ハハッ! コウワンノイッタトオリダ……オマエラ、ウシロノトンネルヲマモルタメ、
   ロクニウゴケナインダロウ?」

伊勢「あ、当たり前だろ……これは……日本人の命がかかってるんだ……絶対に壊しちゃい
   けないんだよっ!!」

レ級「アア、ソウカイ」

ドォン

扶桑「ぐっ……!! 川内……由良……! 響ちゃんと朝潮ちゃんを連れて逃げなさい
   ……! 戦力差が圧倒的すぎる……」

川内「で、でも……扶桑さん……!」

扶桑「早く……!!」

レ級「サセルカヨ」

レ級が魚雷を発射する。

響「朝潮!! 危ない!!」

ドッゴーン

響「ぐ……」

朝潮「ひ、響ちゃん! 何で!?」

響「ま、守るって……約束した……から……」

伊勢「川内……由良……早く二人を連れて逃げるんだ……!」

由良「でも! それじゃ伊勢さんと扶桑さんが!!」

扶桑「もう……覚悟を決めたから……」

伊勢「提督に伝えな!!」

扶桑「私達は死に場所を決めました!!」

伊勢「例えこの身が散ろうとも!!」

扶桑「死して護国の礎となります!!」

レ級「フタリトモトッコウシテクルツモリカイ……オモシロイ……!」

朝潮(誰か……! 助けて……!!)

ルルーシュ『違うな!! 間違っているぞ! 二人とも!!』

全員「!!」

ルルーシュ『誰一人とて死なせはしない!! お前達は『生きて』日本の盾となるのだ!!』

伊勢「お、おおすみ……?」

川内「な、何!? あの大艦隊!?」

由良「日本軍と……あの旗は……!」

響「……ロシア海軍……」

ルルーシュ『全軍! レ級目掛けて砲撃開始!!』

ドォン ドゴォン ズッドーン

レ級「ク……! ツウジョウヘイキナンゾ……! ワスレタカイ? アタシはアメリカカ
   イグンヲ……!!」

伊勢「ああ! そうだったね!! でも!!」

扶桑「その時、艦娘はいませんでした!!」

由良「足が止まった今なら!!」

川内「いっけぇーーーっ!!」

ドッゴーーーーーン

レ級「グハッ!! クソッ……! オマエラナンゾ……カタテマデモ……!」

金剛「ギリギリ間に合ったネーッ!!」

レ級「ナニッ!?」

金剛「伊勢達はやらせまセーン!! Fire!!」

比叡「続きます!! お姉様!!」

榛名「あなたの勝手にはさせません!!」

霧島「射角よし!! てぇーーーーっ!!」

ドッゴーーーーーーーン

レ級「クソガァーーーーーーーーッ!! マタシテモ! マタシテモッ!!」

レ級は遠吠えを残し、全速で海域から離脱した。

金剛「逃げ足の速いヤツネー」

ルルーシュ『よし! 伊勢達を収容後、この海域の守備は日本海軍とロシア海軍が合同で当
      たる! これにて作戦終了!』

~帰還後、執務室~

長門「……以上で、基地襲撃部隊の撃退報告を終わる」

ルルーシュ「ふむ、やはりレ級は陽動だったか……」

長門「……」

ルルーシュ「……聞きたい事があるなら言ってみろ」

長門「では……ロシア海軍をどうやって引き入れた?」

ルルーシュ「樺太トンネルによる日本との貿易は、ロシアの国益にとっても重要な問題だ。
      それを懇切丁寧に『説得』しただけだ」

長門「それだけであの大国が動くものなのか?」

ルルーシュ「……」

長門「言え! 提督は何を企んでいる!?」

ルルーシュ「いいだろう……お前には話しておこう」

C.C.「……」

ルルーシュ「俺が目指しているのは、いにしえの渤海経済圏の復活だ!」

長門「渤海……経済圏?」

ルルーシュ「そうだ! 樺太と、現在掘削中の対馬トンネル、この2ポイントを防衛線とし
      て、日本海から深海棲艦を一掃! 安全な海域を維持し、ロシア、中国、北朝
      鮮、韓国の4カ国による貿易圏を形成し、日本経済を立て直す!!」

長門は話のスケールの大きさに、しばらく思考が停止した。

長門「……はっ!! いやいや、待て待て! 何故提督がそんな事をやらねばならんの
   だ!?」

ルルーシュ「それはもちろん、俺以外にやれる人間がいないからだ」

長門「そ、それに、ロシアはともかく、他の三カ国は反日感情が未だ根強い国だ! その
   計画は非現実的だ!」

ルルーシュ「不可能だろうな、他の人間ならば」

長門「日本が赤化する恐れもあるぞ!」

ルルーシュ「無論、それも考慮に入れてある、渤海経済圏は、踏み台にすぎん」

長門「踏み台?」

ルルーシュ「そうだ……ある程度経済が復興したら、太平洋から深海棲艦を駆逐し、
      環太平洋貿易機構を立ち上げる!!」

長門「まさか……可能だとでも……思っているのか……?」

ルルーシュ「俺が売国に走ったと感じたなら、いつでも撃つがいい……だが、俺は日本の復
      活の為に動かせてもらう」

長門「……」

長門「他の人間が言ったならば、売国奴として殴っているところだが……」

ルルーシュ「……」

長門「提督は、島風や伊勢達に『生きろ』と言った……今は、その心を信じさせてもらう」

ルルーシュ「そうか……」

長門「だが、忘れるなよ? この長門の砲は、提督の行動次第で、何処に向くか分からんと
   いうことを」

ルルーシュ「肝に銘じておこう」

次回予告

防衛網は形成された……
これでなんとか、レ級にも対応できるだろう……
後は経済大国日本の復活を目指さねば……
その為なら、俺は……!

次回「恋する乙女は絶対無敵」

「第七話 恋する乙女は絶対無敵」

~長門の手記より抜粋~

○月×日

宗谷海峡の一戦依頼、レ級が何度も来襲したが、他国軍と日本軍の連携、それと提督の策に
より、全て撃退に成功。
艦娘の間ではレ級を侮る風潮も出てきたが、もとより軽視できる相手ではない、軍規を引き
締めねば……。

△月○日

掘削機械による新型工法により、対馬トンネルが開通した。
同日に、日本、ロシア、中国、北朝鮮、韓国の5カ国による貿易協定が締結された。
民間では未だ反日の声が根強いようだが、特亜の政治家達はそれを抑え、懸念していたよう
な問題は起きていない……。
提督が何かやったのは間違いないが、その「何か」が全く分からない。
全てが日本に都合の良いように動いている……。

△月×日

日本海には元々深海棲艦が少なかったが、今回の作戦でほぼ掃討できた。
貿易ルートの復活により、配給事情も目に見えて良くなっている。
赤城は単純に喜んでいる。
今潤っているのは大企業中心だが、やがて波及効果で中小企業も復活するだろう。
提督と財閥の癒着を疑ってみたが、欠片もそのような形跡は見受けられなかった。
……信じても良いのだろうか……。

□月△日

先日の任務以来、何故か艦娘全体がそわそわしている……。
生活に余裕が出来たのはいいが、こう浮ついてもらっては困る。
神通あたりに何が起こっているのか聞いてみよう。

~執務室~

ルルーシュ「ケッコンカッコカリだと?」

大淀「はい、概要をご説明いたしましょうか?」

ルルーシュ「いや、概要は知っているが……俺はそんな任務をやれと指示を出した覚えは無
      いぞ」

C.C.「私が代理でやっておいた」

ルルーシュ「お前は何を勝手な事を……!」

C.C.「面白い事になりそうだったからな、皆、喜んで協力してくれたぞ」

ルルーシュ「お前な……!」

ルルーシュは頭を抱えた。

大淀「それで、どういたしましょうか? これで一応、書類一式と指輪は揃っていますけ
   ど……」

ルルーシュ「どうするもなにも……」

C.C.「ケッコンすると、艦娘が強化されるぞ」

ルルーシュ「ム? ふぅむ……」

ルルーシュはしばし思案して

ルルーシュ「まあ、恋愛ゴッコのようなものだし、それで艦娘が強化されるならやってみて
      もいいな……」

と言った、途端、金剛がドアを勢いよく開けて入ってきた。

金剛「言質取ったネー!!」

ルルーシュ「金剛!?」

金剛「シーツー! 提督を押さえてくだサーイ!」

C.C.「分かった」

C.C.は、ルルーシュを羽交い絞めにした。

ルルーシュ「C.C.!?」

金剛「テートク、ちょっとの間の辛抱デース」

そう言うと、金剛はルルーシュに催眠ガスを吹き付けた。

ルルーシュ「C……C……お前……何故……」ガクッ

C.C.「すまんな、ルルーシュ、こうすれば間宮の所でデラックスピザを焼いてくれると
     いうものでな」

金剛「さて……楽しい楽しいイベントタイムの始まりデース!!」

…………
………
……

ルルーシュ「……ハッ!!」

ルルーシュが目を覚ますと、自分の身体が練兵場の壇上で後ろ手に拘束されているのに気
が付いた。

練兵場には艦娘が集まっているが、何故か皆、眼がギラギラしている。

金剛「テートクが目を覚ましたので、これからルールを再確認しマース!」

金剛がマイク片手に進行している。

ルルーシュ「金剛、お前、何を……!」

金剛「テートクに与えられたハンデは5分! その間、テイトクは逃げ回りマース!」

ルルーシュ「おい、何を……!」

金剛「艦娘達は5分後にスタート! そうして、テートクを捕まえて、帽子を奪った艦娘
   にケッコンカッコカリの権利が与えられマース!!」

ルルーシュ「な……!? 何を勝手に……!」

金剛「それではスタート! テートク、5分間逃げ回ってくだサーイ!」

そう言うと同時に、拘束が解かれた。
ルルーシュは慌てて走り出す。

ルルーシュ「金剛ッ!! 覚えてろよッ!!」ダダダッ

~6分後~

ルルーシュは基地の裏山まで逃げていた。

ルルーシュ「ハァハァ……こ、ここまで逃げれば……」

??「……イケメンはいねーがー……」

ルルーシュ「! お、お前は! バカな! 速すぎる!」

足柄「イケメンと婚活―――っ!!」

ルルーシュ(まるで餓えた狼……! ええい! こうなったら!)

ルルーシュは足元の枝を踏み折った。

ザザッ

足柄「うわっ!!」

ルルーシュに襲いかかろうとしていた足柄の身体が網に包まれ、一気に上方へ吊り上げられる。

ルルーシュ「ふぅ……俺も表に出るようになって暗殺の危険が出てきたからな……万が一
      の為に仕掛けておいた罠が、こんな形で役に立つとは……」

足柄「うう……せっかくのイケメンとのケッコンのチャンスがぁ~……」

ネーネー、コッチカラオトガシタヨ?

イッテミヨウカ?

ルルーシュ「おっと……いつまでもここにはおれんな……恨むなよ、足柄!」ダダッ

足柄「ああっ、待って、イケメ~ン……!」シクシク

~グラウンド~

ルルーシュ「ハァハァハァ……! もっと身体を鍛えておくべきだったか……!」

長門「? こんな所で何をしているんだ、提督?」

ルルーシュ「! な、長門……」

思わず後ずさるが、長門は不思議な顔をするばかりだ。

長門「?? 何だか知らんが、酷い汗だぞ、タオルで拭いてやるからこっちに来い」

ルルーシュ「あ、ああ、助か……」

長門の方に近づこうとして、ふと思いとどまる。

ルルーシュ「待てよ……お前、そんなキャラだったか?」

長門「チッ! いいからこっちに来い!!」

ルルーシュは脱兎のごとく逃げ出した。

ルルーシュ「何でお前がケッコンを望むんだ! お前、俺に不信感を抱いてただろうが
      ッ!!」

長門「それとこれとは話が別だ!! 私の更なる強さの為! ケッコンしろ!!」

ルルーシュ「そんな理由でケッコンさせられてたまるかッ!!」

ルルーシュが地面を強く踏むと、追っていた長門の足元に大穴が開いた。

長門「おわあっ!! お、落とし穴だと……!? くそっ! 卑怯だぞ!!」

ルルーシュ「うるさいっ! そこでしばらくもがいてろッ!!」

~基地裏手~

ルルーシュ「ハァハァハァハァ……な、なんで俺がこんな目に……」

如月「見つけましたわ~♪」

荒潮「提督、ケッコンしましょう?」

瑞鳳「観念しなさいよね~♪」

ルルーシュ「クッ!」ドンッ

ルルーシュが壁を叩くと、縁の下から白い煙が噴き出した。

如月「きゃあっ!」

瑞鳳「煙幕!? いつの間にこんな物……!?」

ルルーシュの身体が煙幕によって覆い隠される。

島風「させないよっ 古鷹さん、お願いしますっ!!」

古鷹「う、うん! 提督、ゴメンなさい! えい! 探照灯!」ピカー

古鷹が照らすと、煙幕の中からルルーシュの姿が浮かび上がった。

ルルーシュ「!!」

島風「とっつげきーっ!!」

島風が高速を活かしてルルーシュに体当たりをして、帽子を奪う。

島風「やった! これで提督とケッコン……あれ?」

帽子と一緒に、ウィッグが落ちた。

C.C.「ゲホッ、ゲホッ、島風……急な体当たりはやめろ……」

島風「シーツーさん!? そんな! 入れ替わってたの!?」

C.C.「煙幕と同時にな」

島風「金剛さんに協力したって聞いたのに!?」

C.C.「私は、いつだって面白そうなほうの味方だ」

島風「ずっるーーーい!!」

~間宮食堂裏手~

ルルーシュ「ハァハァ……皆……ハァハァ……しつこい……」

榛名「提督、こっちです!」

ルルーシュ「ム?」

見ると、榛名が食糧倉庫の扉を開けて手招きしている。

榛名「ここなら身を隠せます! 早く!」

ルルーシュ「榛名……しかし……」

迷っていると、遠くから地響きのような足音が迫ってくる。

ルルーシュ「……ええい!」

どうとでもなれ、というような気持ちで榛名と二人で食糧倉庫に隠れた。

榛名「ふぅ……提督、ここならしばらく休めますよ?」

ルルーシュ「あ、ああ……」

ルルーシュはまだ警戒している。

榛名「それにしても、金剛お姉様も、みなさんもヒドいです! 提督の意思を無視するだな
   んて……!」

ルルーシュ「榛名……お前は……その、ケッコンには興味が無いのか?」

榛名「あ、あはは……確かに提督の事は好きですけど、やっぱりこういうのって、お互いを
   よく理解してからでないとダメですよ」

ルルーシュ「……」

榛名「提督? どうしました?」

ルルーシュ「……初めて君の口から『好き』という言葉を聞いた……」

榛名「あ、あれ? 言ってませんでしたっけ?」

ルルーシュ「……何故俺なんだ?」

榛名「そうですね……初めてあった時から他人のような気がしなくて……」

ルルーシュ「……」

榛名「それで、提督の事を知るたびにどんどん好きになっちゃって……」

ルルーシュ「……」

榛名「こんな事を言うのは恥ずかしいですけど……」

榛名「きっと、何度生まれ変わっても提督を好きになると思います」

ルルーシュ「!!」

――――
―――
――

シャーリー「きっと……何度……生まれ……変わっても……ルルーシュを……好きに……
      なる……」

ルルーシュ「シャーリー!! 死ぬなッ!! シャーリー――――――――っ!!!!」

――
―――
――――

榛名「提督……? 何故泣いてるんですか?」

ルルーシュ「え?」

頬を触ると、確かに涙が流れていた。

榛名は優しく微笑み、ルルーシュの頭を抱き寄せた。

榛名「大丈夫……榛名は何処へも行きません……」

ルルーシュ「……お、俺は……」

榛名「大丈夫です……」

どのくらいそうしていただろう……
榛名は、ルルーシュが落ち着いたのを見計らって落ちていた提督帽をかぶせようとした。

ルルーシュ「は、榛名! それは……」

榛名「大丈夫、誰にも言いま」パシャ

ルルーシュ「パシャ?」

青葉「青葉、決定的瞬間を撮っちゃいました!」

青葉が格子窓から撮影していた。

ルルーシュ「あ、青葉、お前……!」

青葉「みなさーん!! 終了でーす!! 優勝は榛名さんでーす!!」

その声に呼ばれ、皆ガヤガヤと集まってきた。

金剛「ケッキョク、榛名デスカー、マ、順当な所デスネー」

長門「むぅ……せっかくの強くなるチャンスだったんだが……」

足柄「あぁ……せっかくのイケメンがぁ……」

島風「榛名さん、ずっるーい!」

榛名「あ、あはは……どうしましょう、これ……」

ルルーシュ「……戦力増強の為、榛名とケッコンカッコカリをする」

C.C.「そんな言い方をするな、乙女心の分からん奴だ」

榛名「あ、シーツーさん……」

C.C.「ん?」

榛名「その……いいんでしょうか? シーツーさんを差し置いて、こんな……」

C.C.「なんだ、そんなことを気にしていたのか……気にするな、お前がケッコンカッコ
     カリなら……」

榛名「?」

C.C.「私はアイジンカッコガチだからな」

榛名「むっ……」

そうして和気藹々?としていた所に、大淀が転がり込んできた。

大淀「提督! た、大変です!!」

ルルーシュ「どうした? 大淀?」

大淀「た、たった今矢文が……」

ルルーシュ「矢文?」

大淀「は、はい! レ級からの果たし状です!」

ルルーシュ「!」

次回予告

レ級……俺の野望の為には乗り越えなければならない壁だ……
いろいろあったが、奴との因縁もここまでだ
必ず沈める……!
その為なら……俺は……!

次回「九十九里浜血戦」

「第八話 九十九里浜血戦」

~おおすみ 艦橋~

長門「で、どうする?」

ルルーシュ「どうする、とは?」

赤城「レ級は、果たし状でおおすみと艦娘以外の介入を禁止してきました……これを破れば
   太平洋の全深海棲艦の総力を挙げて日本を攻めると……」

北上「今まで連勝できてたのは、日本軍と他国海軍の連携で足止めできてたおかげだから
   ね~……それが無いのはちょっちキツいよ」

ルルーシュ「問題ない」

大井「はぁ……」

木曾「相手の指定したポイントで戦うんだろ? 策をしかけられるのか?」

ルルーシュ「ポイントを指定して、こちらに地形の情報を集めさせた時点で向こうの負けだ」

榛名「というと、やっぱり策はあるんですね?」

ルルーシュ「無論だ……お前達はこれから指定する通りの陣形を敷いているだけでいい。
      レ級は今回で沈める」

長門「陣形だけで勝てるものなのか?」

ルルーシュ「フ……覚えておけ、戦いとは、始まる前から勝敗が決しているものだ」

長門「ふむ……」

操舵手「まもなく九十九里浜に到達します!」

ルルーシュ「よし、これより必勝の陣形を伝える。 その後、発艦せよ」

全員「了解!!」

~九十九里浜~

赤城「! 来ます!」

海岸線沿いに、レ級が単騎で水飛沫をあげながらやってきた。
その眼は血走っている。

レ級「コンドコソ……コンドコソ……!!」

レ級は戦場を見渡す。

レ級(ナンダ……? ヘンナジンケイヲ……)

艦娘達は二手に分かれ、沖合に、北上、大井、木曾が固まり、砂浜の側に長門、榛名、赤城
が陣取っている。

レ級「ザコハアトマワシダ!! マズハアタマヲツブス!!」

レ級は長門に狙いを定め、突撃してきた、が突然足を取られる。

レ級「ナ、ナンダ!?」

ルルーシュ『よし!! 離岸流にかかった!!』

レ級は離岸流に嵌り、そのまま北上達のいる沖合に流されて行く。

ルルーシュ『雷撃三連発だ!! 足を狙え!!』

北上「こっちに向かってくる相手なら外さないよっ!!」

大井「くらいなさい! 全弾斉射!!」

木曾「くらいやがれ!! 無能野郎!!」

ズッドーーーーーーーン

レ級「グワアアアアアアアアッ!!」

極限にまで強化された雷撃が全弾レ級に命中した。

ルルーシュ『よし! 北上、大井、木曾は戦線より離脱せよ! 長門、榛名、赤城! トド
      メをさせ!』

長門「了解!!」

レ級「ク……クソガ……コレジャ……カエレナインダヨ……」

赤城「諦めなさい!!」

赤城が艦載機で爆撃する。

レ級「ガ、ガハッ!! コンナンジャ……コウワンタチニカオムケガ……」

長門「沈めっ!!」

ドッゴーン

レ級「グッ……ナ、ナンデ……コウナッタ……」

榛名「貴方はっ! 私達の未来にとって邪魔なんです!!」

レ級「ワ……ワタシハ……タダ……」

榛名「私達は!!」

レ級「ワ、ワタシハ……」

榛名「明日が欲しいんです!!」

レ級「アシタガ……ホシカッタ……ダケナノニ……!」

ルルーシュ『!!』

ドォン ドドォン

レ級「……グ……オ……」

レ級は榛名の連撃により、海中に沈んだ。

~おおすみ、艦橋~

C.C.「終わったな……我々の勝利だ」

ルルーシュ「……そうか……そういうことだったのか……」

C.C.「ルルーシュ?」

長門『やったぞ! 完全勝利だ!』

榛名『やりました!』

ルルーシュ「……」

榛名『……提督? どうしました?』

だが、その声はルルーシュに届いていなかった。

ルルーシュはこの日、世界の真実を見つけた。

次回予告





最終回「優しい世界」

「最終話 優しい世界」

~沖ノ島~

下士官「現在、指定されたポイントを重点的に掘削しております」

ルルーシュ「御苦労……引き続き作業を続行してくれ」

下士官「ハッ!」

C.C.「……」

ルルーシュ「……どうした、C.C.?」

C.C.「お前の探している物の見当はつくが……この島に目星を付けた理由は何だ?」

ルルーシュ「勘だな、それと、最初にここに飛ばされた、というのが引っ掛かっている」

C.C.「勘か……」

ルルーシュ「異世界では、ギアス嚮団に頼る訳にもいかんしな」

~3時間後~

下士官「提督! 大規模な遺跡のような空間を発見しました!」

ルルーシュ「やはりあったか……長門、聞こえるか?」

長門『聞こえている、私達はこのまま海上護衛を続けていればいいのか?』

ルルーシュ「ああ……敵が来襲してきた場合、指揮はお前に任せる」

長門『……レ級クラスの敵が来た場合、どうすればいい? 策はあるのか?』

ルルーシュ「策は不要だ……その場合、時間稼ぎをしてくれればいい」

長門『……分かった、何をするのかは知らんが、こちらは最善を尽くす』

ルルーシュ「頼む……よし、C.C.、行くぞ」

C.C.「……ああ」

~遺跡内~

ルルーシュとC.C.は紋様の描かれた扉の前に立った、と同時に、紋様が何もしていない
のに発光する。

ルルーシュ「やはり呼んでいるな……Cの世界が……」

C.C.「……」

ルルーシュ「行くぞ」

C.C.「……ああ」

二人が扉に触れると、その身体が扉の中に吸い込まれていった。

~海上~

大淀『! 敵反応あり! この反応は……戦艦棲姫です!』

長門「提督と連絡は取れるか?」

大淀『それが……先程から通信が途絶していて……』

長門「そうか……」

榛名「提督抜きで、本当に大丈夫でしょうか?」

加賀「提督が何をやっているのかも気になります……」

長門「信じるんだ」

北上「そうは言ってもさ~……」

長門「提督はこれまで日本の為に尽力してきた……きっと今回の任務も平和の為になる事
   だろう……」

榛名「はい! 提督の邪魔はさせません!」

島風「絶対、提督の役に立つんだから!」

長門「よし……全艦、戦闘態勢に移行する!!」

全員「了解!!」

~仮想空間内~

ルルーシュとC.C.は、神殿にも似た空間内の階段を上る。

C.C.「Cの世界が……ラグナレクの接続も無しに姿を見せている……」

ルルーシュ「まあ、そうだろうな……」

C.C.「……ルルーシュ、ここで何をする気だ?」

ルルーシュ「……」

ルルーシュ「シャルルの野望を砕いた時……俺はCの世界にギアスをかけた……」

C.C.「ああ……」

ルルーシュ「あの時、俺はこう言った……『明日を』と……」

C.C.「……」

ルルーシュ「シャルルとマリアンヌの望んだ静止した世界は砕け、俺達は未来を手に入れた」

C.C.「ああ」

ルルーシュ「だが……そのギアスが世界を越え、時空を歪め、この世界に影響を及ぼしたと
      したら?」

C.C.「何……?」

ルルーシュ「俺は『明日』を願った……だが、それがこの世界の海中に沈んでいた無念を
      抱いた魂と共鳴し、命を吹き込んでしまった……」

C.C.「それが……」

ルルーシュ「そう、『深海棲艦』と『艦娘』だ」

C.C.「……」

ルルーシュ「今も、彼女達は戦っている……手にしたかった『明日』を求めて……」

~海上~

加賀「くっ……強い……」

戦艦棲姫「……レキュウノカタキヲトラセテモラウ……!」

島風「させないよっ!!」

長門「我々は必ず勝つ!!」

榛名「明日をこの手に掴む為に!!」

~仮想空間~

C.C.「では、Cの世界が我々をこの世界に飛ばした理由は……」

ルルーシュ「世界の修正をさせる為だ……」

C.C.「……ずいぶん遠回りをしてしまったな……」

ルルーシュ「ああ……願うだけでよかったのだ……」

C.C.「……」

ルルーシュ「望むだけでよかった……」

ルルーシュ「ならば俺は再び願おう!!」

ルルーシュはコンタクトを外し、

ルルーシュ「Cの世界よ! 集合的無意識よ! いやさ、神よ!!」

天空を睨み、

ルルーシュ「これが俺の最後のギアスだ!!」

ギアスを発動させた。

ルルーシュ「優しい、平和な世界を!!」

~海上~

戦艦棲姫「ナ、ナンダ……コノユレハ……?」

赤城「沖ノ島から……!」

長門「光が広がっていく……!?」

榛名「提督……!」

そして世界は、光に包まれた。

~三カ月後、群馬県、前橋市~

路上で二人の男女が肩をぶつけた。

??「きゃっ!」

ルルーシュ「あ、すみません、大丈夫ですか?」

??「あ、はい……」(やだ、この人カッコいい……)

ルルーシュ「では、これで……」

??「あっ! お財布、落とされましたよ?」

そう言って女性は落ちた財布を差し出す。

ルルーシュ「あっ、すみません……貴女、学生さんですか?」

??「はい、そうですけど……」

ルルーシュ「お礼を言いたいので、学校とお名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

??「あ、はい、前橋看護大学2回生の、安中榛名です」(ナ、ナンパかな?)ドキドキ

ルルーシュ「分かりました、では、後日大学の方へお礼を言わせて頂きます……では、
      これで失礼」

榛名「は、はい……」

??「榛名ー、早くしないと講義に遅れちゃうよー?」

榛名「あ、ごめん、レっちゃん、今行くね」

レっちゃん「さっき話してたヤツ、誰? ナンパ?」

榛名「お財布拾ってあげただけだよー……でも……」

レっちゃん「?」

榛名「なんだか……どこかで会った事があるような……懐かしい気が……」

ルルーシュはC.C.と合流した。

C.C.「気は済んだか?」

ルルーシュ「ああ……元気に学生をやっているようで安心した……」

C.C.「皆、それぞれの人生を歩んでいるな」

ルルーシュ「ああ……長門は女性初のメジャーリーガー、金剛は英会話講師、伊勢はバスガ
      イド、扶桑は芸者……」

C.C.「赤城と加賀は保育士、島風は普通の中学生……」

ルルーシュ「優しい世界か……いいものだな」

C.C.「ああ」

ルルーシュ「C.C.」

C.C.「ん?」

ルルーシュはC.C.の肩を抱いた。

ルルーシュ「二人で生きていこう……この『優しい世界』で……」

C.C.「……ああ」

C.C.はそう答えると、にっこりと笑った。

                          (完)

おしまい
html化依頼出してきます

次回作は実験的な物になる予定です
たぶん、99%まとめられません

それではまたどこかで

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