ユーリ「…で、お前は何者なんだ?」長門「……」 (96)

テイルズ オブ ヴェスペリア×涼宮ハルヒの憂鬱



5日前に騎士と騒ぎを起こした俺は今日まで牢にいた。
だって“善良”なる騎士様が下町を虐げてるなんてなぁ?
騎士の風上にもおけねぇ
多少の反発はアリだろ?
その差別をどうにかするためにお前は騎士団にいんだろ?
とか考えて5日間。
その間、一度もフレンのやつ、顔をみせなかったんだよな。
珍しいこともあるもんだ。
いつもは長ったらしい説教の1つや2つあるもんなのにな。

そんなことを考えながらの5日ぶりの自室。
中には相棒のラピードがいる気配…がない。
見回りでもしてるのか?
下町の住人はもう寝静まっている時間。
となると・・・

ユーリ「物盗りか…?」

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帰ってきてそうそう厄介なことだ
5日間牢にいれられてた鬱憤をここではらそう
そう決意した。

ユーリ「一発で落とす」

刀を構え思いっきり扉をあけはなつ

長門「……」

しかし、高速で背後に回った物取りは、俺の予想を遥かに超えた力の持ち主だったらしい。
油断してた…
フレン…。いつもお前、俺につめがあまいのなんだの言ってたな。確かにそうかもしれない。
宙を飛ばされ落ちた先は自分のベットだった。
結構固いが、ある程度の衝撃は防げたか。

長門「……貴方は誰……?」

ユーリ「いって…。お前こそ誰だよ…。俺の部屋で…」

拘束するかのようにまたがった物取り
思いのほか小さかった。

長門「……俺の…部屋……?」

ユーリ「そうだよ。俺の部屋だよここは。お前部屋間違えたの?」

物盗りはしばらく無表情で考え込む。

長門「……ユーリ・ローウェル……?」

ユーリ「ああ、そうだ…」

なぜか俺の名前を知っていた。

ユーリ「あー。とりあえず、お前のこと教えてくれる?」

長門「…」

ユーリ「名前とか歳とか」

長門「長門有希」

長門「……情報統合思念体によって造られた、 対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース、それが私」

ユーリ「…は?情報統合思念体に造られた?ヒューマノイド?お前人間じゃねえのか?」

コクリと無表情に頷く長門。
おいおいマジかよ。わけわかわんねえ…。

情報統合思念体?対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース?
…聞いたことのない名称だ。
俺はわけがわからず首をひねるとそいつは突拍子もないことを聞いてきた。

長門「この世界の名前は……?」

ユーリ「ん?テルカリュミレースだろ?常識じゃねーの?」

長門「……聞いたことがない……」 

ユーリ「は?どういうことだ?」


長門「私は異世界からやってきた」

ユーリ「…」

長門「……貴方のその目……信じていない……?」

あたりまえだ。
コイツ、頭おかしいんじゃねぇの?

ユーリ「異世界から来たって証拠はあんのか?」

長門「……魔導器なしで術が使える」

そういうなり手をかざして治癒術らしきものを使う長門
先ほどの戦闘でのダメージが消えていく。
近くに魔導器は…ない。

ユーリ「…まじで?」




――――――



ユーリ「そういや、ラピードがいないが…」

長門「……先程の犬なら薬草を採りに行った」

ユーリ「薬草?」

長門「宿の女将が、階段から落下し負傷したため」

ユーリ「階段から落ちた?」

長門「腰を強く打ち付けた模様」

ユーリ「あぁ。それで薬草につながると」

長門「賢い犬」

ユーリ「そりゃラピードだからな」

さすが俺の賢い相棒

ユーリ「しっかし、なんでお前は俺の部屋にいたんだ?」

長門「泊まるところを探していたが、どこも満室だった」

長門「……野宿をしようとした時、女将からあなたの部屋をすすめられたため」

ユーリ「なるほど」

俺の部屋の扱い…

長門「最初は断ったが、女神がしつこかった…。勝手にすまない」

ユーリ「謝らないでいいっていいって」

ユーリ「じゃ、明日からはどうすんの?」

長門「私と同じく異世界に飛ばされた仲間を探しに旅にでる」

ユーリ「ほかの仲間?」

長門「涼宮ハルヒが率いるSOS団……私の大切な仲間……」

そういうとふわりと笑う長門
とても大事な人たちなんだろうなと思った

ユーリ「…とりあえず寝るか?」

長門「……そうする」

ユーリ「ベッド使うか?」

長門「いい。…あなたが帰ってきたので私は出て行く」

ユーリ「俺は隣の部屋使うから」

長門「……ここはあなたの部屋なのに隣で……?」

ユーリ「隣は幼馴染の部屋なんだよ。部屋には帰ってこねぇし大丈夫だって」

長門「……」

どうやら長門は無断で部屋を使うのが気がかりなようだ。
心配無用とばかりに隣室の鍵を見せる。
寝たい

ユーリ「大丈夫なんだって。本当に」

長門「…合鍵ということは無断ではない…わかった…」

そういやなんで長門に認めてもらってるんだろう?

ユーリ「あー。とりあえず眠いしあとの話は明日の朝な。おやすみ」

長門「おやすみ」

ラピード「バウバウッ!!」

聞き慣れた声
実に5日振りとなる。

ユーリ「ラピード」

ラピード「バウッ!」

そしてその声によって脳が覚醒した。
昨日の夜中の出来事を思い出す。
今俺が寝てたのは…フレンの部屋だ。
じゃあ俺の部屋の…

ユーリ「長門は起きたのか?」

ラピード「バウッ」

どうやら起きているらしい
昨日、俺の部屋にいた無口少女
まだ話は聞き終わってないし聞きに行くか。
でも…

ユーリ「まずは朝飯だな」

ラピード「バウッ!!」

ラピードも腹が減ってるようだった。

階段をラピードと共に降りると良い匂いがしてきた。

長門「……おはよう」

机の上には立派な朝食があった。

ユーリ「はよ。これ、お前が作ったの?」

長門「そう」

長門の傍らには美味しそうなお粥と緑のすりつぶされた物があった。
おそらく緑の物体は、ラピードがとりにいったという薬草だろう。

長門「あなたの分も作ってある……食べる?」

ユーリ「食べるけど」

長門「ラピードにはこれを……」

そういってとりだしたのは、見事な見た目の犬ご飯。
犬ご飯ってこんなのもあるんだな。
何も反応せずにいると少し悲しそうな顔になった。

長門「ダメ…?」

ユーリ「どうだラピード?」

本人が食べるものなんだから本人に聞くのが一番。

ラピード「バウッバウバウッ!!」

ユーリ「食べる。ありがとう だってさ」

そう伝えた途端、無口少女は少しだけ笑顔になった。

長門「……冷めないうちに食べて……私は女将にお粥と薬、渡してくる……」

そう言って部屋を出た長門
俺は思った。

ユーリ「ラピード。長門って絶対良いお嫁さんになるよな?」

ラピード「バウ…」

呆れた返事を返された。

そうして俺とラピードは長門の作った朝食を食べるのだった。




────



それからずっと、長門は俺の部屋に泊まっていた。
初めて朝食を作ってくれた日、長門は出ていこうとした。
だが、俺が止めた。
他に泊まるあてがないだろ?と
俺はフレンの部屋にいるから、お前は俺の部屋を使えと。
渋る長門を説得するのは骨だった。
結局は、長門が朝ごはんを作る約束で止めることができた。

長門はどうやら自分がいると迷惑だと
そう思って遠慮していたらしい。
細かい奴だな。

そんな事がわかったのがつい先日。
今朝も、真面目に朝食を作っていた。

ユーリ「今、何してるんだろな?な。ラピード」

しかし呼びかけても返事は返ってこない。
あたりまえか
ラピードは下町に戻らせたしなぁ

っにしても隣の牢はなにしてんだ?
罪人と看守様がしゃべってていいのか?

罪人「…で、例の盗賊団がある貴族の館から、お宝を盗んだって事件あったでしょ」

看守「ああ。それってもう解決したんじゃ…?」

罪人「そうなんだけどぉ。その時誰が解決したと思う?」

看守「騎士団だと聞いてるが」

罪人「実は一般人が解決したらしいのよぉ」

看守「は?無理だろ」

罪人「なんかね、この“世界”では見ない服を来てたんだってさ」

看守「世界っでどういう…いや。もう黙っておとなしくしていろ」

俺は信じない…俺は信じない…とぶつぶつ良いながら看守は牢から離れていった。

罪人「お隣さーん。元気ぃ?」

隣の牢から聞こえる声
俺か?

ユーリ「あぁ。一応な」

畜生。キュモール隊の野郎どもめ。

ユーリ「なぁさっきの話…」

罪人「盗賊団を倒したって一般人の話?」

ユーリ「それそれ。その人の特徴とかわかるか?」

罪人「確かねー…青と白の変な服を着ていて、黒いショートヘアに黄色いカチューシャをつけた女の子だったっけなー」

青と白の服、黒いショートヘアに黄色いカチューシャねぇ…

ユーリ「ふーん。それが真実か嘘かは良いからもう一つ聞いて良いか?」

罪人「嘘じゃないってば」

ユーリ「ここから出る方法教えてくれ」

罪人「そりゃ無理ってもんでしょ。諦めなさい」

清々しいほどに却下された。

ユーリ「諦めるのこそ無理ってもんだ。下町が海になる前にもう一度しっかり見ておきたかったいんでね」

罪人「ああ。水道魔導器の故障ね。残念。そればっかりはおっさんにはわからないわ」

下町の水道魔導器の故障
それは魔導器の魔核が盗まれてたのが原因だった。
そこで俺は前日に修理していたやつが怪しいと思い屋敷に乗り込んだ。

ユーリ「モルディオ…ねぇ…。」

モルディオ。それがヤツの名前だった。

罪人「モルディオがどしたの。アスピオの天才魔導士のことでしょ?青年がどうしてモルディオ調べてんの?」

俺が呟いたモルディオという単語に反応したおっさん。

ユーリ「おっさん、モルディオのこと知ってんのか?」

罪人「…いくらで?」

ユーリ「金はねぇよ」

罪人「じゃあ教えなーい」

段々、イライラしてくる。

ユーリ「とりあえずアスピオにいるのか…。サンキュな。おっさん」

罪人「あ…」

ポロリと漏らした情報だけで十分だ。

罪人「も…もしかしたらハルルの村長の名前だったかも…風来の盗み屋かな…いやもしくは…」

必死に訂正しようとするおっさん。
今更どうしようもないだろ。
しっかしどうするかなこれ…

どうにか出してはもらえないかと考えていた。
そんなとき…あれは…

ユーリ「アレクセイ…騎士団長…?」

何故か牢に騎士団長がやってきた。

騎士団長「出ろ」

言われた先にあるのは隣の牢。
おっさんのところか。

しばらくしておっさんが出てきた。
見るからに胡散臭いおっさんだった。

騎士団長「早くしろ」

騎士団長に連れられたおっさんが、牢の前を通り過ぎようとしたとき…

おっさん「ぅわっとっとっ」

おっさんがコケた…フリをした。
その拍子に何かを牢の中にスライドさせてきた。
チラリとそれを見、尋ねる。

ユーリ「これって鍵?」

おっさん「あたり。女神の加護があらんことをってね」

そう言ってアレクセイ騎士団長と共に消えていった。

ユーリ「何者なんだ…あのおっさんは…」

名前を聞きそびれたことに気づいた。



────



朝には戻ろうと心の中で言い訳をした俺は、早速牢を出た。
かつては騎士として勤めていた身。
城の構造は把握している。

今は夜中。
当然人は寝ている。
僅かに起きてた騎士を、さけながら進んでいくと女の子と男1人が剣を向けられていた。

騎士「もう諦めてくださいエステリーゼ様」

エステリーゼ「駄目です!まだ戻れません!」

騎士「私たちがしっかりと小隊長に、伝えておきますから」

エステリーゼ「あなた達では信用しかねます」

キョン「やれやれ…」

何やら不穏な空気だ。
普段なら加勢したかもしれないが今は下町が第一
避けて通ろう。

エステリーゼ「フレンに!フレンに伝えなければならないのです!」

…フレン?

キョン「…いい加減そこをどけって。エステリーゼはフレンに会わなきゃなんねえんだ」

確かにフレンと言っている。
先程騎士が小隊長と言ってたしな。
確かそんな役職についてたっけな?

じりじりと追いつめられてく女の子たち。

フレンをとるか下町をとるか…どう選択する?

エステリーゼ「そ、それ以上近づかないでください!」

女の子がサーベルを取り出した。

キョン「…お前、大丈夫なのかよ。危険だぞ」

エステリーゼ「問題ありません。剣の扱いはこころえています」

騎士「…仕方ありませんね…。では!!」

騎士達が攻撃をしかけた。

しゃーねーな。

ユーリ「蒼破ぁっ!!」

何度か衝撃波をうつと騎士達はあっさり倒れた。

ついでに騎士達の服をまさぐる。
お。アップルグミ結構もってるじゃねえか。

そんなことをしていると
服装以外これといって目立った特徴がない先程の男が俺に話しかけてきた。

キョン「おい」

ユーリ「なんだ?」

キョン「…助かった。ありがとな。だけど、あんた…」

ユーリ「ん?」

キョン「ドロボーはよくねえんじゃねえか」

純粋な目が俺を攻める。
うん。確かに泥棒は駄目だな。
言い訳が思いつかないから明日の方向に視線をやる。
ん…?!

ガッシャーン!!

俺の頭上に落とされた花瓶が、対象を失い地面に激突したのだ。

ユーリ「おいっ!危ないだろうが!」

落としたのはもうひとりの女の子。
曲がりなりにも命の恩人にこんなことするか?普通。

エステリーゼ「キョン!危ないから下がっていてください!」

ユーリ「危ないのはどっちだよ」

エステリーゼ「あなたです!城の人じゃないでしょう?」

ユーリ「そりゃそうだが…」

しかし、キョンと言われた男は俺の側を離れなかった。

エステリーゼ「キョン!」

キョン「大丈夫だろ。この人は俺たちを助けてくれたんだ。なぁ?」

そうだろ?と俺を見るキョン。
まあ確かに助けはしたが…それより

ユーリ「さっきフレンって言ってなかったか?」

エステリーゼ「え…えぇ。私たち、フレンを探してたんです」

キョン「そのフレンとやらに危ないってことを知らせにきたわけだが…」

ユーリ「危ないって何が?」

エステリーゼ「それは…」

キョン「とにかく危ないんだとよ。早いとこフレンに知らせてやらねえと」

フレンが…ねぇ。
そう簡単に殺られたりしないとは思うが…

ユーリ「フレンの部屋の場所。知ってんのか?」

エステリーゼ「あ…知りません…」

ユーリ「じゃあ連れてってやろうか?」

下町なら少しぐらい遅くても大丈夫だろう。
というより今更。
何故なら

ユーリ「追ってさん、もう来てるみたいだけど?」

廊下を駆ける騎士達の声が聞こえる。
俺の名も呼ばれてる気がする。

バレた今となっては牢に戻っても戻らなくても同じ事。
とりあえず無事、城を抜け、アスピオに行こう。

ユーリ「で、どうする?」

女の子はまだ思案している。

キョン「あぁ。連れて行ってくれ」

決断したのはキョンの方だった。

フレンの部屋についた俺たちは、ザギとかいう馬鹿と戦った。
ヤツは俺をフレンと間違えてた。
馬鹿か
あんな王子サマオーラ出しまくりのフレンと、ただのニートを間違えるなっての。

なんとか倒し、おっさんの言ってた“女神”の像に行った。
なるほど。そこには地下通路があった。
王族の隠し通路ってやつか?

そこを抜けると、地上にでた。

ユーリ「っ眩しい」

目にしみる眩しさだ。

キョン「あぁ。それはアレだ」

エステリーゼ「どうしたんです?」

ん?

キョン「それはヒキニートがよく使う言葉だな」

このやろう。生意気な一般人め。

ユーリ「ニートは認めるが俺は引きこもりじゃねーぞ」

キョン「ニートは認めるのかよ…」

エステリーゼ「あっ!追手がきます!」

「ユーリ・ローウェルゥゥ」「待つのでアール」

俺の追手かよっ

ユーリ「とりあえず、逃げるぞ」

エステリーゼ「はい」

長門「どうしたの……?」

下町に入ると声をかけられた。

ユーリ「お。長門か。ちょっとな…」

キョン「長門ぉ!?お前もこのわけのわからん世界にいたのか!」

長門「あなたも…無事でなにより…」

キョン「……もしかしてハルヒ達も?」

長門「そう。涼宮ハルヒを含む他のSOS団もこの世界のどこかにいると思われる」

ユーリ「おい、お前ら!悠長に会話してる場合じゃねーぞ!」

やべえ。まだあいつら追いかけてきやがる。

ユーリ「とりあえず長門…」

長門「…?」

ユーリ「一緒に行くぞっ」

驚く長門の手を引き下町の外へと走り出す。
キョンとエステリーゼもついてきてるらしい。
…エステリーゼって呼びづれーな。
後でなんか呼び方考えるか。

そんなこんなで下町を旅だった俺達だった。

下町の皆に助けられつつ、なんとか帝都は抜けられた。
フレンの行き先はハルル。
俺はアスピオ。
なんにせよ、デイドン砦をひとまず目指すことにした。

そして今はあれだ。
長門とキョンが話してる。
なんでも長門曰く、「彼と少し話をしてくる…あなたには関係のない話…」だそうだ。地味に傷つく…。

そうゆうわけで、今はエステリーゼと二人で、向こうに行った二人をまってる。

ちなみにラピードは足下でくつろいでいる。

あぁ。そういえば…

ユーリ「なぁ。えっと…」

エステリーゼ「はい?」

ユーリ「ちょっと名前をフルネームで言ってくれ」

エステリーゼ「えぇ…?エステリーゼ・シデス・ヒュラッセインです?」

やっぱり長い。
あー。エステリーゼ…エステ…リーゼ…
よし

ユーリ「エステルってどうだ?」

エステリーゼ「はい?」

ユーリ「お前のこれからの呼び方。あだ名みたいなもんか」

エステリーゼ「エステル…エステル…エステル…。はい!」

納得してくれたようで、うれしそうな顔をしているエステル。

ちょうどその時二人が戻ってきた。

長門「…おまたせ」

キョン「すまんな待たせちまって」

エステルはパタパタと長門の方に走っていった。
長門が少し嬉しそうなのが気になったのだろう。

キョン「なんかあったのか?」

ユーリ「ん?あぁ。エステリーゼって名前が長いからこれからはエステルって呼ぶって話してた」

キョン「ほう。エステルねぇ…。まぁいいんじゃねえの。俺もそう呼ばせてもらうわ」

ユーリ「…そっちは?何話してたんだ?」

言いたくないなら言わなくてもいいけど。

キョンは少し暗い顔になった。
そして口を開く。

キョン「…俺と長門はな。どうやら元の世界で死んだらしいんだ」

ユーリ「長門も…なのか?」

キョン「あぁ。長門も。ある意味自分の意志でな」

あんな女の子が自ら…?
今、エステルと楽しそうにしゃべってるあの子が?

キョン「それで、気づいたらこの世界にいたんだよ」

ユーリ「…」

キョン「だから、もしかしたら…」

そこで止まるキョン。

キョン「…もしかしたらあの世界で死んだ仲間たちもこの世界に来たんじゃねえかな」

キョンは悲しそうに言った。
キョンが言う仲間たちというのは長門が言っていたSOS団とやらのことか…

キョン「だからな…ユーリ」

ユーリ「ん?」

キョン「一緒に仲間を探してくれないか?」

笑いきれてない笑顔で問いかけてくるキョン。

ユーリ「あぁ。もちろんだ」

ユーリ「…そういえば」

キョン「なんだ?」

長門とエステルの所に向かいつつ喋る。

ユーリ「確か…黒髪のショートヘアに黄色いカチューシャをつけた女の子って心当たりあるか?」

おっさんから聞いたことを尋ねる。

キョン「黒髪のショートヘアに黄色いカチューシャつったら…ハルヒか…?」

ユーリ「そいつがなんか事件を解決したらしいぜ」

キョン「やれやれ、ハルヒの奴なにやってんだ…」

ユーリ「よし。じゃあ最初はハルヒって子を探しますかー」

キョン「すまんな。頼む」

申し訳なさそうなキョンと共に長門達に声をかけた。

四人+一匹で旅をすることになった。
デイドン砦を目指して歩いていくと、立ちはだかるのはモンスター。

キョンは当然戦えない。
戦闘の度に隠れるのはある意味プロ並みと言えるだろう。

俺はもちろん前衛だ。
エステルは主に後方支援。

そして長門は…なんというか…

攻撃力を上げ

遠くの敵をしとめ

近くの敵を打ち上げ

モンスターをはね飛ばしとどめをさす。

たった一人でモンスターを一掃した長門。

長門「怪我…」

ユーリ「ん?」

長門「…腕…怪我をしている…」

ユーリ「あぁ。ほっときゃ治るだろこれぐらい」

長門「…ダメ。小さい傷でもちゃんと処置…」

前衛タイプで治療ができるって完璧過ぎねぇか?

デイドン砦についた俺たちは
白髪の『中二病』に会った。
ちなみにそう形容したのはキョンだ。
おそらく、ああいう意味不明なやつを言うのだろう。


そろそろここにも指名手配の情報がきそうだ。
荷物の補充もできたし、行きますか。

ユーリ「もう、砦抜けて構わねえか?」

長門「問題ない」

キョン「おう」

エステル「はい!」

ラピード「ガウッ!」

よし、じゃあハルルに出発だ。

と思った瞬間、周囲に鳴り響く鐘の音。

キョン「なんだ?」

エステル「門の方で何かあったみたいです」

確かに音は今、俺たちが行こうとした門の方から聞こえてくる。

門までついた俺たちは門の向こうを見、驚いた。
案外、魔物の主ってすごいな。
何あの軍団。あの団結力、騎士団にわけてやれよ。

門の外には子供が二人取り残されていた。

騎士「門を閉めろぉ!」

おいおい。まだいるだろうがよっ!

キョン「あっ、おいっ!ユーリ!長門!」

ユーリ「キョンとエステルはそこで待ってろ!」

ラピードに門を閉める騎士の邪魔をしてもらい、外にでた俺と長門。

男の子の方は、怪我をしてるらしく長門が治癒術をかけている。

ユーリ「もう大丈夫だからな」

女の子を抱き上げ門の中に走りぬけた。
長門は既に男の子を連れ、戻っていた。しかし

女の子「ぬいぐるみ!大事なぬいぐるみなの。ママからもらったやつ!」

女の子が騒ぎだした。

ぬいぐるみ?女の子がいた場所に落ちているようだ。

あーもう仕方ねぇな。もう一仕事しますか。

駆け出したその時。

長門「私に任せて」

隣を駆け抜けた長門。

ユーリ「足はやいな…」

キョン「まぁ、あの長門だからな。そりゃ速いだろうよ」

そういやすばやく敵の後ろに回ってたことあったっけな。

無事ぬいぐるみを拾い、門に戻ろうと走る長門。

もう少しあと少しで門の中に…

長門「あっ…」

長門が…こけた。

その瞬間無情にも閉まった門。

ラピードの妨害から解放された騎士が閉めたようだ。

門の向こうには魔物が激突する音。

キョン「長門ぉぉおおおおおお!!」

キョンの叫び声がこだました。

しばらく石化してた俺たちは周囲の異変にきづくのが遅かった。

「おい早くねえか?」

「ああ。もう音がしねぇ」

「帰ったんでしょうか?」

「こんなに早く?」

漸く石化のとけた俺はキョンとエステルもこの世に戻した。

ラピードは先に戻ってたようだ。

長門とぬいぐるみは門の外。

長門…お前は仲間を探しに行くんじゃなかったのかよ…

「ハァーイ」

ふいに上から聞こえた陽気な声。
こんな気分の時に誰だよ。

上を見る気にもなれねぇよ。

キョン「朝倉!?」

朝倉「久しぶりね。キョン君」

驚くキョンを見、上を見ると。

人が浮いていた。

ユーリ「は?」

朝倉「こんにちは。えーっと…」

キョン「ユーリとエステル。それとラピードだ」

朝倉「新しいキョン君のお友達かしら?」

キョン「あぁ。まぁそんなとこだ。…いや待て!お前は何でこんなところにいるんだよ!」

動揺しているキョンの疑問を無視し、俺とエステルに話しかけてきた。

朝倉「こんにちは。ユーリさんにエステルさん。私は朝倉涼子。キョン君とは生前に色々あってね」

エステル「…精霊ですか?」

朝倉「精霊?違うわ。私は情報統合思念体によって作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェースよ」

対有機生命体コンタクト用ヒューマノイドインターフェース?どこかで聞いたような…

キョン「おい朝倉。長門はどうした?」

朝倉「あぁ。忘れてたわ」

忘れてたって…え?
長門…生きてるのか?

ふいに門の外に飛んでった朝倉は、何かを抱えて戻ってきた。

キョン「長門。大丈夫だったか」

長門「危険な目にあった…」

若干恨めし気に朝倉を見る長門。
朝倉としてはその意味が分からないらしく首をかしげている。

エステル「なにがあったんです?」

朝倉に尋ねるエステル。
多分それ聞く相手間違えてるぞ。
案の定首をかしげたままの朝倉。
しばらく考え口にだした言葉は

朝倉「ただ魔物の群れに長門さんを放り込んだけよ?」

呆然。
人は多分それを加害者という
そして長門が口を開いた。

長門「あのとき私は転んだ。…正確には朝倉涼子によって転ばされた」

朝倉「だって長門さんが敵前逃亡するからじゃない」

長門「あの状況化ではぬいぐるみを確保したのち素早く退避行動を取るのがベスト…」

朝倉「あら、喜緑さんはしてたわよ。間引きだといって魔物の軍団潰してたわ。楽しそうに」

キョン「喜緑さんもいるのかよ…どうなってやがる」

長門の返事を聞き不満そうな朝倉はこちらを向いた。

朝倉「あなたはどうかしら?」

いやいやこちらに振られましても。
頭に浮かんだ選択肢。

『俺は楽しいと思うけど』or『いや。勘弁してくれ』

どう考えても…

ユーリ「いや。勘弁してくれ」

これしかない。

朝倉「あなたもなの?」

ふきげんそうに頬を膨らませる朝倉。
表情ゆたかな眉毛っ子だな。

長門「…結局魔物を壊滅させるまで戦わされた」

ユーリ「壊滅させたのかよ。そりゃすげえな」

キョン「流石、長門だぜ」

エステル「あのー、有希?」

長門「なに…?」

エステル「本当に倒したんですか?あの魔物の群れを…」

長門は無表情でうなずく。

朝倉「まぁ、長門さんならあの程度の魔物の群れ楽勝よね」

あの程度って…ざっと見て1万匹以上はいたぞ?
長門のあまりの強さに恐怖を感じる。

ユーリ「朝倉も一緒に行くか?」

当然行くのだろうと思ってそう聞いた。
なんてったって長門にべったりくっついているのだから。
だが…

朝倉「いいえ。申し訳ないけど一緒には行けないわ」

エステル「なんでですか?」

朝倉「私には他にやらなければならないことがあるから」

キョン「やらなければならないこと?」

朝倉「ええ。 それに喜緑さんも探さないと…」

朝倉「それじゃ、私は行くわ。…まずは喜緑さんを探さないとね」

長門「頼む」

キョン「またな・・・」

しかし、行くことはかなわなかった。
そこでエステルが疑問を口にしたのだ。

エステル「もし私達が先に喜緑さんを見つけたらどうすればいいんです?」

確かに。それはあるな。
俺たちには連絡をとる手段なんて…

朝倉「そうねぇ。どうしようかしら・・・」

キョン「長門と朝倉の間で通信とか出来ないのか?」

長門「この世界では情報統合思念体との相互通信が出来ないため。私たちインターフェース間での通信も不可能」

何を言ってるのかよくわからんが、どうやら駄目らしい。

キョン「お前、携帯は持ってないのか?」

朝倉「ええ。私には不要だもの」

携帯?なんだそれは?

エステル「携帯ってなんです?」

キョン「俺たちの世界にあった魔導器みたいなもんだ。どこにいても連絡がとれるようになってるんだ」

ああそうだ。と呟き、その携帯とやらを2つとりだしたキョン。
なにか操作をし、片方を朝倉に渡した。

長門「なぜ2つ・・・?」

キョン「あー谷口の奴がな俺ん家に置き忘れてったもんなんだが」

キョン「・・・よし。この世界でも携帯は使えるようだ」

操作方法を朝倉に教えるキョン。
後ろから興味津々といった様子で覗き込むエステル。
おっ。すげぇなこれ。音なったぞ。

ひととおりの操作方法を覚えたのか携帯を服にしまった朝倉が、飛び上がる。

朝倉「じゃあ今度こそ、喜緑さんを探しに行くわね」

ユーリ「あぁ。またな」

門が開かないため、カウフマンという人に聞いたクオイの森とやらをとおってハルルに向かう。
エステルは呪いだのなんだの言ってたけど、俺は気にしねぇ。
それに長門とエステルは周りの植物を楽しそうに見てて、なんていうか癒されたしな。

しばらくあるくと、魔導器のようなものをを見つけた。
そしてそれに触れたエステルが不意に倒れるというアクシデント。
一応追われてる身だから、早く進みたい。
と思いつつ開けた所で休憩をすることとなった。

エステルは意識を失ったというかただ寝ているだけらしい。とは長門の見立てだ。
長門が言うのだから、それは確かなのだろう。

キョン曰く「ハラがへってはイクサはできぬ」と言われ(そのあとすぐ、長門の腹の虫が鳴いたのだが。) 俺が料理をすることとなった。
長門はさっき「肉を探す」といって森の奥に行った。
キョンもノリノリでついて行ってたが一体なんの肉を採ってくるつもりなのか…。

エステル「んぅ…。・・・・・・ユー…リ?」

お。起きたみたいだな。

ユーリ「大丈夫か?」

エステル「はい。もう大丈夫です…なんで私倒れてるんでしょう?」

ユーリ「ああ。覚えてないのか?それは…」

魔導器をふれた後すぐ倒れた。
長門によると特に問題はない。
ということを伝えた。

エステル「迷惑かけてしまいすみませんでした」

シュンとしたエステル。
それを慰めるかのようにエステルの顔の前で尻尾を揺らすラピード。
感動したエステルが抱き着こうとした。

エステル「ラピードっ!」

が、しかし抱きつこうとしたエステルを避けるラピード。
触らせるつもりはないようだ。

エステルがラピードと遊んでいると(というよりエステルが遊ばれてたが。)長門とキョンが帰ってきた。
…少年と少女を連れて。

ユーリ「えーっと・・・後ろのお二人さんは?」

キョン「うーんなんていうか…とりあえず自己紹介してくれ」

カロル「ぼ。僕は。『魔狩りの剣』のカロル・カペルだよっ」

みくる「わ、私は朝比奈みくるですぅ~。異世界からやってきましたぁ~」

キョン「…というわけだ」

エステルは異世界ということが気になったようだが、俺はそれを前に聞いたことある気がする。
要するに…

ユーリ「長門やキョンのお仲間さんか?」

キョン「…あぁ、多分」

みくる「ちょっとキョン君!多分ってなんですかぁ~。ひどいですぅ」

キョン「すみません朝比奈さん。まさかこんなところで再開するとは思わなくて・・・」

みくる「もういいですよぅ」

キョン「ホントごめんなさい!」

少し拗ねたみくるを必死になだめようとするキョン。

長門は不思議がるエステルに説明をし(なんとも不思議な絵面になっているが。)とりのこされた形の俺とカロルとかいう少年。

ユーリ「なあ。魔狩りの剣ってなんだ?」

カロル「えっと。僕の所属してるギルドだよ」

ギルドねぇ・・・。正直あまり好かねぇなあ。

ユーリ「そういえば食料どうだったんだ?」

長門「バッチリ」

そういって取り出したのは謎の肉。

ユーリ「…何の肉だ?」

長門「熊…?」

疑問形ってとっても怪しいんですけど長門さん。

キョン「まぁ大丈夫だろ。エッグベアっていうぐらいだから、きっと熊だ」

キョン、それはどう考えても魔物です。




――――




6人+1匹でサンドイッチと熊(仮)のお肉を食べながら俺らは今までの旅、
カロル達からは何故森にいたのかという話をしていた。
その後、ふらふらと旅をし、ハルルに到着。
そこでカロルが震えつつも(本人は武者震いと主張したが。)村を出ようとしているのを目撃し、ついてきただけらしい。
適当だなおい。




エステル「ええっ!?ハルルの大樹が病気だなんて一大事です」

カロル「そうなんだよ。だからパナシーアボトルを作るために…」

バックをガサガサと漁るカロル。

カロル「これが必要だったんだ」

キョン「何だこれ。爪か?」

カロル「エッグベアの爪だよ」

みくる「すごいですぅ~」

カロル「ニアの実とルルリエの花びら。あとこの爪でできるんだ」

エステル「ルルリエって大樹の一本ですよね。わぁ。きれいです」

胸をはるカロルに感嘆の声をあげるエステル達。
しかし、長門はその話にひっかかることがあるらしく何か考え込んでいる。

長門「…合成屋に何か他に言われなかった…?」

カロル「えーっと…。…なんだっけ?」

みくる「ちょっと待ってください~」

みくるがメモをとっていたらしくメモ帳を取り出した。

みくる「えっと、まずは『ニアの実のにおいでおびき出せる』です」

長門「…他には?」

みくる「『鮮度が命』…だって」

鮮度ねぇ…こんなとこでのんびりしてていいのか?
危機感をもったらしくカロルとみくるが立った。

キョン「そんな大事なこと忘れちゃだめですよ」

みくる「ふぇぇ。すいませ~ん」

カロル「じゃあ僕たち急いで戻らなきゃ!」

みくる「そうですねっ。急ぎましょう」

森の奥へと走っていくみくるとカロル。
呆然と見送る形になった俺たち。

ラピード「ワウ…」

ラピードでさえもため息をついたのだった。

結論。
パナシーアボトルでは、大樹を救えなかった。
長門曰く、大樹の毒は奥まで浸透しているらしい。
皆があきらめかけた時、エステルが不意に治癒術を使い始めた。
次第に光り始めた大樹を見て、長門も治癒術を使い始める。

力を取り戻した大樹。
歓声が広まる。

キョン「やったな!」

カロル「そうだね」

エステル「もう大丈夫でしょうか?」

みくる「毒は抜けきったと思いますよ。だって…」

満開の花を見あげるみくる。
つられて見てみるとその上には結界が戻っていた。

ユーリ「すげぇ…」

すべての人が喜んでいる…と思いきや若干沈んでいる奴がいた。

カロル「…ナンに見せたかったなぁ……」

ユーリ「ナン?」

カロル「うわっ今のは聞かなかったことにしてっっ」

カロルは手をブンブン振って顔を赤くした。
そのまましゃがみこんだカロルから離れ、周りの話を聞いてみる。

みくる「ふふっ。キョン君、涼宮さんのこと考えてるでしょ?」

キョン「ええ、まぁ。…でもハルヒは花より団子派でしょうね」

みくる「えー、そうですかぁ?」

キョン「ハルヒよりも…佐々木かな。この花の色、ピンクでしょ。佐々木好きそうだな」

みくる「ダメですよ~!キョン君!涼宮さんのことだけを考えてあげてください~」

キョン「いや…ははっ…」

キョンとみくるは仲間の話でもりあがってる様子だな。

エステル「有希!」

長門「なに?」

エステル「この花びらで何か作れそうですよ」

長門「…花びらで?」

エステル「そう!お花を摘むのはかわいそうだから、落ちてる花びらで作りたいんですけど…」

長門「……しおりがいい……」

エステル「しおり?……本に挟むやつですか?」

長門とエステルはなんつーか、可愛い話してんのな。




――――



モルディオ様がいるというアスピオ、フレンが行ったという東の方角。
魔導器を治すために行ったのならば、きっとフレンもアスピオにいるはず。
新たにみくるとカロルを仲間(?)にむかえアスピオに向かう。


アスピオについた俺たちは、中に入れなかった。
許可証なんてものもってるわけねぇだろ。
そりたつ壁が、ゆく手を阻む。
回り道しようにも扉はあいてなかった。
やっぱ壁を越えるしかねぇのか?
ソワソワしているカロルを傍目にキョンが手をあげる。

キョン「俺がこの扉を壊してやるよ」

長門「却下」

みくる「キョン君には無理ですよぉ~やめてください~」

一刀両断。
これでも毎日鍛えてるんだがな、とキョン。

そして、カロルが小さく手をあげた。

カロル「ねぇユーリ。僕が開けてこようか?」

ユーリ「ん?カロル先生開けられんの?」

カロル「任せといてよ!」

所謂ドヤ顔で、ピッキングを始めるカロル。
それ、不法侵入ですよ。犯罪ですよ。フレン待ちましょうよ。と訴えるエステルは、放置だ。
もともとは、物を盗むのが悪い。

カロル「よしっ開いたよ」

てっきりエステルは入らないかと思ったが、結局はいることにしたらしいのだった。

『絶対入るな。モルディオ』

そんな張り紙は意ともせず、カロル先生の活躍でモルディオ宅に乗り込んだ。

みくる「こんなんじゃ誰も住めないですぅ…」

室内は本やら器具やらが乱雑に散らかされていた。

ユーリ「その気になりゃ、どこでだって食ったり寝たりできるもんだぜ」

キョン「それに研究に没頭すると、むしろこういった乱雑さが良かったりするんだよ」

流石キョン。言うことに真実味があるな。

どうやらモルディオさんは不在のようなので、遠慮なく探検もとい証拠の発掘をさせていただく。

カロル「うわ汚い字」

メモの字を見てカロルが言った。

ユーリ「汚い字のやつは心がきれいっていうけどな」

長門「じゃあ可愛い字は」

可愛い字?長門に問われ、考える。

みくる「長門さん、それってキョン君のことですかぁ?」

長門「そう。彼の字は丸っこい可愛い字」

キョン「いやいや、まて長門。俺は可愛い字なんて書いた覚えはないぞ」

キョンだったら…

ユーリ「まぁ……キモイかな」

キョン「いや、だから俺は可愛い字なんか書かねえよ!このメモみたいなきたねぇ字だって!」

とそのとき、本の山から人が立ち上がった。


「うるさい…」

こいつがモルディオか?

「泥棒は…」

術式を展開する人
俺は長門を抱え回避する。
キョンとみくるもだ。

「吹っ飛べ!!」

逃げそびれたカロル先生だけが見事に吹っ飛んだのだった。





――――



シャイコス遺跡。
今はその地下遺跡とやらを進んでいる。


カロル先生を吹っ飛ばしたのはリタ・モルディオ。俺が探してたはずのやつだった。
さっそく魔核のありかを聞いたが、答えは知らないの一点張り。
まあ知ってるわけないか。ラピードが無反応だし?
大方あの泥棒が嘘をついていたというところだろう。
とりあえずなにかしらの情報は欲しいし、押し続けると、無実の証明をしてくれるそうで。

今度こそ本物の魔核泥棒にお会いできるのか?

リタ「ここよ」

ソーサラ―リングを駆使してたどり着いたのは、大きな魔導器。
リタが調べようとしたが、そこには先客がいた。
リタ曰く、魔導器の魔核が抜き取られてると。
ようするにアイツか?

ユーリ「リタ。アイツお友達さんじゃないのか?」

リタ「私に友達なんていないわ。それよりあんた誰?」

友達いないって悲しい奴だなおい。
リタの問いかけに答える男。

魔導器研究員「おっ俺はアスピオの魔導器研究員だ!」

ユーリ「だとよ。リタ」

リタ「知らないわよ他の研究員なんて」

人付き合いねぇんだな。

魔導器研究員「お前たちこそ何者だ!?ここは立ち入り禁止だぞ!!」

リタ「研究員じゃない…ただの泥棒ね」

そうつぶやくと前に出るリタ。

リタ「あんた救いようのない馬鹿ね。あたしはアンタをしらないけど、あんたがアスピオの研究員なら、あたしを知らないはずないでしょ」

狼狽える男。

キョン「無茶苦茶いってやがる……」

キョンに同意。
後ろでも同意のようだが、カロルだけはなぜか感心してた。
いつでも子供は純粋なんだな。

リタ「あんた、一人でここまで来たの?」

リタの質問に再び狼狽える泥棒。

魔導器研究員「い、いや。護衛をやとってここまできたのだ。も、文句でもあるのかっ?」

リタ「そもそも、この遺跡に入ったことに私は文句つけるわ。」

…ひでぇな。

リタ「で、その護衛は誰なの?そいつも共犯でつきだしてやる」

魔導器研究員「つきだす?」

リタ「そ。あんたと護衛とやらを捕まえてこの子たちの恨みを晴らしたら騎士たちに」

それを言われたら悪あがきをするのか、大きな魔導器に細工をした男。
男の細工が終わると、それが動き始めた。
っつうことは、男は魔核をはめたのか。ようするにあいつが泥棒さん…と。
起動した魔導器に後を任せたのか、泥棒が逃げだした。

ゆく手を阻むように起動した魔導器の名は、ゴライアース。
巨躯がのっそりと動く。

「蒼破刃!!」
「旋風烈空!!」
「ワウっ(裂旋牙)」
「飛燕連脚!!」

3人+1匹で技を仕掛けに走る。
先手必勝というやつだ。

リタ「ファイアーボール!」

後ろからリタの声が聞こえ、熱気がせまってくるのがわかる。

5つの技が同時に当たり、あたりに爆風がたちこめた。
技の反動を利用し、もとの位置に俺たち戻る。

エステル「大丈夫です?」

ユーリ「ああ」

キョン「俺たちの手に掛かればあっという間だな」

リタ「あんたはなんもしてないでしょーが」

キョン「うるせえ」

あたりの爆風が消えてゆく。
そこにあったのは力尽きた姿…はなく、ガード状態のゴライアース

カロル「うっそ…」

ユーリ「ガードされてたってか」

みくる「この子賢いですね」

リタ「ちょっと感心してる場合じゃないでしょ」

長門「来る」

勢いよくこっちに向かってくるゴライアース。
避けるのは間に合わない…か。

ゴライアースのタックルがあたらない範囲にいる長門と目を交わらし会話をする。

ユーリ(アイツの足細くねえか?)

長門(……今それはどうでもいいこと)

確かにな。グッと指を立てて長門に向かって笑いかけてみた。
その瞬間ゴライアースの固いげんこつが俺の腹にクリーンヒット。
俺の体は宙を舞った。I can fly.俺は飛べる。

キョン・エステル「「ユゥリィィィィィィ!?」」

キョンとエステルの叫び声が聞こえる。
割と長い滞空時間で仲間達を見渡す。
リタとラピードは呆れた顔。みくるとカロルとキョンは驚いた顔。
長門とエステルは落下地点に走ってきてくれているから顔が見えない。
それを見た(?)ゴライアースも落下地点に走ってきてたが。

そして影に人が立っている。
上空を向きなにかを飛ばしたようだ。
……誰だ?

なんとか体制を整え着地。
駆け寄ったエステルが回復をするが、すぐ後ろにはゴライアースが…火の玉を浴びていた。

突然の複数の火の玉を浴びてガードが間に合わないゴライアースを長門がぶっ叩く。
ガードがあるかないかで受けるダメージは格段に違うようで
ゴライアースはすぐにただの魔導器になった。

「どうやら終わったようですね」

ゴライアースが動かなくなるなり闇の中からひょこひょこと男が出てきた。
さっきの火の玉みたいなのはきっと、コイツが出したのだろう
普通なら感謝の一言でも言わねばならないだろうが、ここは遺跡の中だ。
こんなとこにいるなんて怪しい奴に決まってる。そう結論付ける。
それにさっきの泥棒の言葉だ。
“「い、いや。護衛を雇ってここまできたのだ。も、文句でもあるのかっ?」”と。
ようするにコイツは…

リタ「ファイアーボール!!」

突然飛び出す火球とリタ。
それを大げさに避けた男。
そして二人の鬼ごっこが始まった。

「ちょっ待ってください!熱いですって!」

リタ「あんたなんか燃えてしまえばいいのよ!燃えなさい!」

「ちょっと!僕は何も悪いことをしたつもりはありませんよ!」

リタ「はぁ?じゃあなんでここにいるのよ。ここにいるのが罪なのよ!」

「意味がわかりません!あなたも呆然としてないでなにか言ってくださいよ!」

こっちを見てそんなことを言う男。
俺はこんな男と面識はなかったはず…だよな?
同意を求めようとキョンを見ると…キョンは呆然としてた。

キョン「古泉か…?」

古泉「そうですよ!こんな良い男の顔をお忘れですか!」

返答した男…古泉はその瞬間ファイアボールの餌食となった。

おいおい。マジかよ。今のはやべえんじゃねえの?

リタの強烈なファイアーボールを数個喰らった古泉はその場で消滅。
霧のように飛散した。

みくる「そんな。古泉くん……」

キョン「嘘だろ古泉…俺たちSOS団は一人も欠けることなく元の世界に生き返って…」

長門「古泉一樹の消滅を確認した。……同時にこの世界からの脱出が不可能になった」

キョン「…………そうか。やはり、SOS団員を全員揃えることが脱出の鍵になってたんだな」

ユーリ「マジかよ……」

長門「無念」


その後、コイツらは渋々ながらもこの世界で生きていくことを決意した。

元の世界がどんなところだったかは知らねえけどさ
まぁいいじゃねぇか。この世界も中々いいもんだぜ。

一緒に暮らしていこうぜ。
俺に出来ることならなんでもするからよ。
な?長門。




---End---

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