洋榎「風邪引いた……」 (23)
洋榎「あ゙ー、喉痛い」
絹恵「久しぶりに来たなあ、風邪」
洋榎「せやなー、ここ一年ずっと健康優良児でおったのに……」ゴホゴホ
絹恵「徹夜とかしたん?」
洋榎「んー……アレが悪かったんかなあ」
絹恵「アレ?」
洋榎「合宿終わった日にな、3年生組でカラオケ行ったねん。
その後日付変わるまでファミレスでダベってたんがなー」
絹恵「あー、あの帰りがえらい遅かった時」
洋榎「せや。土曜やからって遊び呆けてたもんなあ。
あの帰り道はエグいくらい寒かったわ」
絹恵「じゃあそれが原因で間違いないな」
洋榎「やな。ただでさえ疲れとったのに……
せめて厚着しとけばよかったわ」ゴホゴホ
絹恵「でもなんでそんな夜遅うなってもうたん?」
洋榎「ダベってたら長くなったねん……
進路のこととか話してたらあっという間に時計がてっぺんやったで」
絹恵「まあ話してたら時間てすぐ経つしなー」
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洋榎「でもうちホンマはカラオケだけで帰るつもりやったんやで?
それが恭子がまだ遊ぼうて言うてうるさいから」
絹恵「末原先輩が?」
洋榎「せや、珍しいやろ」
絹恵「珍しいいうか意外やなあ。
普段そういうこと言い出すの大体お姉ちゃんやし」
洋榎「ああ。
なんや恭子おかしいくらいテンション高かったわあん時」
絹恵「不思議やね」
洋榎「まあな。
まあ合宿もほとんど恭子が取りまとめとったし、
しんどさから解放されたのもあったんかなあ」
絹恵「はあ、なるほどなあ……
あ、もう学校行かなあかん時間。
帰ったらリンゴ買うてくるから、お大事にやでお姉ちゃん」
洋榎「ん、いってらー」ゲホ
バタン
洋榎(はー熱っぽ……
頭痛くて何もでけへんで……
しゃーないな、寝よ)
洋榎「おし、リーチや」
絹恵「ごめんそれロン」
漫「ロン」
由子「ロンなのよー」
洋榎「何やて!? トリロン!?
どんな手牌や」
絹恵「發ドラ7」
漫「中ドラ7」
由子「白トイトイドラ6」
洋榎「はあ!?
3人とも倍満やないかい、何やねんこれ!」
由子「洋榎ちゃんの負けなのよー」
洋榎「おいちょま!
こんなん納得いかへん!
もう一回やもう一回……」
恭子「何言うてるんです主将、
これラストゲームて言うたの主将でしょ。
はい約束は約束です、主将はこれから一生唐揚げ食ったらあきまへん」
洋榎「そんな嫌や!
なあ、今からでも罰ゲームの内容変えへん!?
唐揚げだけはホンマに……」
恭子「じゃあ、素っ裸で学校の周りを100周で許したります」
洋榎「なんでやねん! 重すぎるやろ!」
恭子「つべこべ言わず行ってきてください」
洋榎「んな!?
あれ、なんでいつの間に全裸に……
ちょ、待てぇ皆! 嫌や! うちだけ置いていかんといてや!
うちの服どこ行っ……」
パチッ
洋榎「!?
……あ、夢か」
洋榎「ひっさびさにえげつない夢見たで……
無茶苦茶や……
唐揚げ禁止とか生きる意味の半分奪われたようなもんやし……」
洋榎「あの麻雀も大概酷いな。
あんなもん一生経験できひんで。
ある意味貴重な体験したな……夢やけど」
洋榎「……ん?」
モゾモゾ
洋榎「なんや、これ……
うちの腹の辺りに誰かの手が……」
洋榎「……はあ、そうか。
絹が帰ってきて後ろから抱きついたまま寝とるな?
おふざけのつもりかいな」
洋榎「こら絹ー、勝手にうちのベッドに入っ……」
洋榎「……いや、ちょっと待て。
抱きつかれとってこの距離やで、絹やったらあのボインボインした袋が当たるはず……
今そんな感触ないで」
洋榎「……誰?」
ゴソゴソ(寝返りをうつ)
洋榎「……な」
洋榎「恭子やないかい!」
恭子「……」グー
洋榎「な、なんで恭子がここに……?
いやあかんて、不法侵入やろ」
洋榎「おい恭子! 起き!」
恭子「……ん」
洋榎「起きたか」
恭子「……ああ。洋榎おはよう」
洋榎「おはようとちゃうわ。
なんでこんな所おんねん?
犯罪やろ」
恭子「犯罪とちゃうで」
洋榎「いや犯罪やろ」
恭子「ちゃうちゃう。
普通に絹ちゃんと一緒に帰ってきて
お邪魔させてもろとるんや」
洋榎「あ、そうかそういうことか。
それはすまんかったな……
ってもうそんな時間!?」
恭子「もう4時やで」
洋榎「うわ、ホンマか……
うちそんな寝こけとったんか」
恭子「おかげでベッドに侵入しやすかったわ」
洋榎「そうかそれは良かったな」
洋榎「ってそうや。
なんで恭子ベッドに入ってきたん」
恭子「……いや、
なんとなくその場の雰囲気で……」
洋榎「ボケのつもりか」
恭子「まあそんなとこや」
洋榎「やったらもううちがツッコんだから、
出てくれんか」
恭子「それはお断りします」
洋榎「なんでや」
恭子「うちはずっとこうしてたい」
洋榎「変態か」
恭子「ていうか、あかん?
うちが隣で寝とったら」
洋榎「……いや、寝とるのは百歩譲ってええとしてや。
なんでうちの腰に手ぇ回してきてんねん」
恭子「うちいつも抱きまくら使ってるからな、
なんも抱いてへんと違和感ありまくりやねん」
洋榎「抱きまくら代わりかい!」
恭子「ちなみに普段の抱きまくらの柄は千点棒やで」
洋榎「リー棒かい!
リーチ一発ツモドラドライーペーコーってか!
やかましいわ!」
恭子「すまん、うちイーペーコーあんま好きやないねん」
洋榎「知らんがな!」
洋榎「はあ、もうええわ……」
恭子「お、ええの?
じゃあしばらくギュッとしとくで」
洋榎「ああもう、勝手にせえ」
恭子「おおきになー」
洋榎(なんややっぱり最近の恭子おかしいで……
なんていうかアグレッシブや)
恭子「ああそうそう、
絹ちゃんは今リンゴ買いに行ってくれとるで」
洋榎「ん? ああ、そうか。
買い置きなかったんか」
恭子「ああ。
ええなーリンゴ、うちもむいてもらいたいわ」
洋榎「食べたかったら自分でむけばええがな」
恭子「まあそやけど、
リンゴむいて食べさしてもらうって病人の特権やん」
洋榎「特権ていうか……まあ、せやけど」
恭子「うちもこうして寝とったら、
絹ちゃんがついでにむいてくれへんかなあ」
洋榎「それはうちが全部食べるわ、
恭子は自分でむき」
恭子「何やつれないなあ」
洋榎「ていうか、何や恭子。
お前そんなこと言うキャラやったか?」
恭子「キャラ?
いや別に、思いついたこと喋っとるだけやけど」
洋榎「そうか……?」
洋榎(なーんか違和感あるなあ……
うちの知っとる恭子はもうちょっと…… こう……
なんやろなあ、とにかく何か変やで)
恭子「リンゴかあ、蜜のぎっしり詰まっとるやつ食べたいな」
洋榎「ああ、せやな」
恭子「なあ、洋榎」
洋榎「何?」
恭子「人間の体にも蜜の出る場所あるの、知っとる?」
洋榎「……は?」
恭子「知っとる?」
洋榎「……何のつもりや」
恭子「その反応やと知っとるな?」
洋榎「そらうちも高3や、知ってて当然……
やなくて、何のつもりやねん!
何かするつもりか」
恭子「ううん、なんでもない。
ちょっとカマかけてみたんや。
やっぱ知っててんな」
洋榎「そら知っとるわ!
なんや、変なおふざけはよしてや……
ホンマ手間かかるで今日の恭子は」
恭子「んー、でもやっぱ気になるな。
洋榎のはどんな味するんやろ……」
洋榎「だー! 変態か!
もうあかん、恭子! 帰ってくれ! 頼むから!」
恭子「なんで?」
洋榎「なんでとちゃうわ!
うちにそないストレス与えてどうすんねん! 病人やで!」
恭子「わかったわかった。
もうシモなことは言わへん。
普通に看病するから、な?」
洋榎「はあ……
なんやもう不安なってきたで……」
洋榎「……なあ、
単刀直入に聞いてもええか?」
恭子「何?」
洋榎「最近恭子、どないしたん?
なんやテンションおかしいで」
恭子「……そうか?」
洋榎「おかしいわ。
前の恭子やったら言わんようなことバンバン言うとるで」
恭子「んー、そうかなあ。
むしろ今のうちがホンマもんのうちやと思うわ」
洋榎「はあ?」
恭子「何やろ、前までうち、色々抑えこんどったからな……
今は解放されてだいぶ気楽になったで」
洋榎「え、何?
今まで何を我慢してたんや」
恭子「何をて言われてもなあ……
色々や色々」
洋榎「色々て……」
洋榎(もーあかん、わけわからんごとなってきた……
あれ? 恭子ってこんな奴やったか?
うちの知っとる恭子は…… んー……
そういや一年前に風邪引いた時は……)
洋榎『ういーっす』ズビ
恭子『あ、お疲れ様です主将……
って何か体調悪そうですよ?』
洋榎『すまん、多分風邪引いたわ』ゴホゴホ
恭子『ホンマですか……
ってそれやったら部室来とる場合とちゃいますよ、
早退けしたらどうです』
洋榎『いや、それを言いに来たんや。
というわけでうちは帰る。
あ、借りとるノートは明日返すわ、急がんしええやろ』
恭子『はあ、まあええですけど……
お大事にしてください』
洋榎(……って感じやなあ?
なんて言えばええかわからんけど……
冷静て言うか、そっけないて言うか……
とにかく今の恭子みたいなのやあらへん)
洋榎(明らかにおかしいよなあ……
いつ頃からこないなったんやろ)
恭子「ところで洋榎って、抱きまくらとか使わへんの?」
洋榎「んぇ? ああ……
うちは使ったことあらへん。
フツーに寝てるわ」
恭子「へー……
なんていうか信じられへんな。
うちはないと無理やから」
洋榎「ほー、そうか。
意外と乙女なとこあるねんな」
恭子「何言うてるん?
うちめっちゃ乙女やで、イメージと違うてな、はは」
洋榎(うわ、めっちゃうざい!
違和感バリバリやし……
どないしたんや恭子、ホンマに)
恭子「……うちを抱きまくらに使うたりせんの?」
洋榎「いや待て、それおかしいやろ。
うちは抱きまくらなんかなくても寝れる言うたんやで」
恭子「いやー、なんていうか……
洋榎にもその気持ちよさを味わってほしいからな。
布教や布教」
洋榎「意味がわからん……
すまん恭子、ちょっと黙っててくれんか。
神経に障る……」
恭子「……そうか。すまんな」
洋榎(ぜーったいおかしいわ……
あとで絹来たら聞いてみよう。
何かあったんかもしれへん)
洋榎「……」
恭子「……」
洋榎(黙れ、て言うたら素直に黙るんか。
よーわからんな…… まあありがたいことや)
恭子「……」
洋榎(しかし自分で言うといてなんやけど、
黙り通すんってヒマやな……
早速しんどくなってきた。気まずいわ)
恭子「……」
洋榎(恭子、顔をベッドに埋めとるな。
手は相変わらず抱きつきっぱなしやけど……
そんな体勢続けたら首筋痛めんで)
恭子「……」
洋榎(……
んー、なんかバツが悪いなあ。
不思議に罪悪感が芽生えてきたで……
悩まされてたんはうちやのに)
恭子「……」
洋榎「……恭子」
恭子「……」
洋榎「すまん、黙れは言いすぎた。
喋ってええで。
あんまアレな方向に行きだしたらまた黙ってもらうかもしれへんけど」
恭子「……ん」
洋榎「なんか喋りたいことないんか?」
恭子「……」
洋榎「ないんか?」
恭子「……」
洋榎「なんや、せっかく喋ってええて言うたのに。
今度は黙りっぱなしか」
恭子「……」
洋榎「なんやねんもう……知らん」
恭子「……」
洋榎「はあ……」
恭子「……
なあ、洋榎」
洋榎「お、なんや?」
恭子「うち、やっぱおかしいか?」
洋榎「お? ああ、さっきからおかしい思うとったけど……
自覚してきたか?」
恭子「いや、自覚なんてとっくにしてるわ……
やっぱおかしいか」
洋榎「おお、良かった良かった。
恭子が正気に戻ったで。FF的な意味やなく」
恭子「いやFFは知らんけど……」
洋榎「で、どういうことなん?」
恭子「いや……うん。そうやな……」
洋榎「ん?」
恭子「好き、って言うたらおかしい?」
洋榎「……は?」
恭子「やっぱそれしかないねん。
自分でもわけわからん。
でもそれしか答えがない」
洋榎「ちょ、ちょっと待ってくれ。
どういうことや、一から説明してくれや」
恭子「はあ」
恭子「いや、な?
念のため言うとくけどマジやで?
ボケとかやないからな」
洋榎「いやボケとか思ってへんわ、ほんで?」
恭子「今年ぐらいからかなあ、
うちがレギュラーに選ばれて」
洋榎「ん」
恭子「なんか、洋榎と一緒に過ごす時間増えてきたやんか、
それからかな……なんか意識するようになって」
洋榎「はあ」
恭子「実際自分でもようわからん。
いつ頃から意識するようになったんか……
でもここ入る前から洋榎は有名やったし、
1年の頃も部でトップ取りまくってたし、
意識するんは必然やったんかな……」
洋榎「ふむ……」
恭子「わからん。
でもうちの最近の感情を考える限り
多分間違いないわ……
惚れてもうてた」
洋榎「……」
恭子「そんでな、なんか……
洋榎がおると落ち着かんくて、テンパってもうて……
変なこと言い出してしまうねん」
洋榎「はあ……」
恭子「最近洋榎がおったらホンマ緊張してしもうて……
なんでやろ、洋榎のテンションに合わせなあかんて言うか……
無理してまうねん」
洋榎「……」
恭子「自分でもおかしいて思うとるねんけど……
でも多分、変なこと言うてしまうのも全部
『洋榎に合わせなあかん』て思うとることがほとんどな気がする」
洋榎「……」
恭子「ここまで自分で分析しといて、おかしいけどな……
結局洋榎の前におったらおかしいキャラなってまうし」
洋榎「んむ……」
恭子「これが大体の説明になると思う……
あ、途中告った風になったんはスルーでええで?
どうせ期待してへんし……
ただ……」
洋榎「いや、そこ大事なとこやろ。
一番スルーできんわ」
恭子「え」
洋榎「何すっとぼけてんねん。
告られたんやで? 同じ女とはいえ……
気になるわ」
恭子「いや、別にええで?
それはあくまでさっきまでの自分を説明するためで、そんな……」
洋榎「いやいや、どんな文脈でも同じや!
恭子はうちに『好き』言うたやろ?
その気持ちはホンマなんやろ?」
恭子「……まあ、な」
洋榎「まったく……
恭子お前、たまに卑屈すぎんで……」
恭子「……」
恭子「確かにな……」
洋榎「ん?」
恭子「うち、卑屈すぎるかな」
洋榎「すぎるっていうか、たまにやな」
恭子「いや、たまにあるねん。
自分卑屈やなあって思うことが」
洋榎「ほう?」
恭子「さっきも言うたけど……
うち洋榎の前やとおかしなこと言うてまう……
『洋榎に合わせなあかん』て思うから」
洋榎「ああ」
恭子「これって自分に自信がない証拠やろな……て思うて。
普通にしてればええのに、なんでか洋榎みたいにならなあかんて思うねん」
洋榎「ふーむ……」
恭子「わかってんねんけどな……
そんなん意味ないて。
けどどうしてもそう思うてしまう……」
洋榎「なるほどなあ」
恭子「うち、おかしいんかなあ……」
洋榎「まーでも、そういう悩みがあるんはわかるで」
恭子「洋榎もわかるん?」
洋榎「いや、うちはあんまわかれへんけど……
絹が似たようなこと言うてきたことがあったから」
恭子「はあ」
洋榎「絹がな、んー……5年前ぐらいか。
『うち全然強くなれへん、お姉ちゃんみたいになるにはどうしたらええ?』
って」
恭子「ああ……言いそうやね」
洋榎「うち言うてやったねん、
『無理やで他人になろうとするんは。
誰でも最初は下手や、自分なりに経験していって自分なりの強さを身につけていくねん』」
恭子「さすがや」
洋榎「そしたら絹は
『でもお姉ちゃんっていつも自信満々やし……
うち自信ないし、自信持てんと強なれん気がするねん』」
恭子「ほう」
洋榎「その時うち答え方に困ってしもて……
確かに何やろな?
うちはいつも自信満々やけど、誰にでもできることとちゃうねんな……って」
恭子「んー……」
洋榎「でも今にして思う。こう答えればよかったんや
『自信なんかどうでもええねん。自信ないて思いながらでもええから絹なりに勉強すればええ。
そうするしかないんやから』」
恭子「そうかいな……」
洋榎「でもそんなもんちゃう?
絹がな、例えばうちみたく自信満々になってから麻雀やろう!
って固執したとするやろ?
けど実際なかなか自信満々な人間にはならへん、
んで何も始まらへん」
恭子「……」
洋榎「誰かになりきろう思たって上手くいかへんねん。
やったらなりきろう思うんやめて、自分のキャラでやることを選べばええ」
恭子「……」
洋榎「恭子なんか、まさにそういうふうにして強くなったんちゃう?」
恭子「いや、うちは……そんな強ないし」
洋榎「ほら、そう言うやろ?
けど実際恭子は強い。部の成績の数字がそれを示しとる」
恭子「……」
洋榎「な?
いくら誰かがすごいからってそいつになりきる必要ないねん。
やったら自分の性格のままで行けばええ。
自信ない奴でもゆっくり歩いてたらいつかは強くなるんや」
恭子「……」
洋榎「うん、つまりそういうことや。
恭子も自分のままでおればええ」
恭子「んー……」
洋榎「何や?」
恭子「その話は確かに納得したけど……
うちの状況は『好きな人に嫌われとうない』って話やからなあ……」
洋榎「相変わらず理屈屋やな恭子は……」
洋榎「まあ、ええねん。
恭子がそういう奴なんはうちはよく知っとる。
今更不愉快とも思わへん」
恭子「……」
洋榎「別にええで?
恭子がええんやったらうちいくらでも付き合うたるで」
恭子「え……ホンマ?」
洋榎「ホンマや」
恭子「……ホンマか」
洋榎「はは、何やろなこれ。
こういうカップルの誕生の仕方したんうちらだけとちゃうか?
風邪引きで、しかもベッドの中で」
恭子「……そうやね」クス
洋榎「まあただうちにとっては恭子はまだ友達って段階やさかい、
もっとうちを惚れさせてや」
恭子「……わかった」
洋榎「はは、どないされるか楽しみや」
恭子「正直自信ないけど……
自信ないなりにやってみるわ」
洋榎「せや、その意気や!
ってうちが励ますのも変やけどな」
恭子「はは、そうやな」
洋榎(ふう、なんか付き合うことになってもうたけど……
恭子、そんなことで悩んでたねんなあ。
最初おかしなキャラやったときはどないしよ思うたけど……
まあとにかく全部が納得行って良かったわ)
恭子「ところで洋榎」
洋榎「ん、何や?」
恭子「実はまだ少し言うときたいことがあんねん」
洋榎「ほう」
恭子「話は戻るんやけど」
洋榎「どこまで戻るん?」
恭子「この手」
洋榎「ああ、うちを抱きかかえとる理由?
抱きまくら代わり言うてたな」
恭子「実はな、今日はこれするために来たねん」
洋榎「?
抱くためにか?」
恭子「ん、まあな」
洋榎「そうか。
まあでも、うちが好きやから抱きつきたい思たんやろ?
かわいいもんや、全然ええで」
恭子「まあな。
ただホンマは……うん」
洋榎「?」
恭子『人間の体にも蜜の出る場所あるの、知っとる?』
洋榎「……は?」
恭子「洋榎、『変態か』てツッコんだやろ」
洋榎「……いや、そらそうやろ!
変態やなかったら何やねん」
恭子「やっぱうち、変態なんかなあ……
正直言われてちょっと興奮してしもたし」
洋榎「あかん! ホンマもんの変態や!
恭子変態! 変態恭子!」
恭子「あんま言うたらうちマジで興奮するで」
洋榎「うちかて言いたくて言うとるんちゃうわ!
この変態!」
恭子「また言うとるで」
洋榎「やかましいわ!
恭子お前まだ正気戻ってへんのとちゃうか!」
恭子「いや、もう正気や。
あの時みたいに変な緊張もしてへんし。
素で言うてる」
洋榎「うわあー! 正気はやっぱFF的な意味やったわ!」
恭子「だからFFはわからんて」
洋榎「どーでもええわ!
それよりやっぱ手ぇ離せ! 何されるかわかれへん!」
恭子「それはあかん」ガシッ
洋榎「うわあー! なんでこんな固いねん!
恭子お前そんなマッスル隠しとったんか!?」
恭子「うちは筋肉なんてない、これは愛情パワーや」
洋榎「そんな愛情嫌や!
ちょ、絹! まだ帰ってこんのか!」
恭子「当分帰ってこんで、まだ昼前やし」
洋榎「はあ!? 今4時とちゃうん!?」
恭子「あれはウソや」
洋榎「ウソかい!
……って、ん?
そしたら恭子お前どうやって入ってきたんや!」
恭子「そこの窓からこっそりと」
洋榎「完璧不法侵入やないか!」
恭子「いやあ、洋榎が風邪引いたて聞いたからな、
こんなチャンスそうそうないわ」
洋榎「そういう問題かい!
あーもう! ツッコミが追いつかんわ!」
恭子「ほらほら、暴れたらうまく触れへんで」サワサワ
洋榎「ちょ、お……おっ始めんなや!
あぅ…… ああもうやめえ!
どこ触ってんねん!」
恭子「今ええ声したなあ」サワサワ
洋榎「はぁぁっ……
あかん! やめて恭子! ホンマやめて!
絹! たすけてー!!」
カン!
以上、お粗末さまでした。
九州民なので関西弁はおかしいかもしれません。
では。
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