男「……これは何ですか」 犬娘「嬉ションです」(22)

男「何がそんなに嬉しかったんですか」

犬娘「ご主人がやっと帰って来たからです」

男「トイレに入っただけなのですが」

犬娘「犬娘には悠久の時に感じられました」

男「五分がですか」

犬娘「五分がです」

男「……」

犬娘「……」

男「おしおきー!」

犬娘「ひゃー!」

犬娘「うぅ……食後の膝枕ごろごろたいむが……」

男「自業自得というものです」

犬娘「自業自得ですか」

男「自業自得です」

犬娘「寂しかっただけなのに……すんすん」

男「うそ泣き乙です」

犬娘「ばれましたか」

男「ばれました」

犬娘「まだまだ女優には遠いです」

男「女優を目指しているんですか、嘘乙です」

犬娘「ばれましたか」

男「ばれました」

男「ところで学校に行っているときはどうしているのですか」

男「トイレの比ではないですよ」

犬娘「そこは大丈夫です」

男「何故ですか」

犬娘「それは秘密です」

男「えー」

犬娘「でもこれも一つの愛の形……うふふです」

男「恐い、恐いです」

違います
まったく違うんです

ぐぅ~~

犬娘「お腹が空きました」

男「そうですか、ではご飯にしましょう」

犬娘「わーい」

男「今日はチャーハンにします」

犬娘「またチャーハンですか」

男「またチャーハンです」

犬娘「ぶーぶー」

男「嫌なら食べなくて結構」

犬娘「なんと卑劣な」

男「人間とはそういうものなのです」

犬娘「ご馳走さまでした」

男「ご馳走さまでした」

男「なんだかんだでよく食べますね」

犬娘「それが犬娘の良いところです……ふああ」

男「食べたら寝る、まさに獣ですね」

犬娘「獣じゃないです犬娘です……」

男「……へいかもん」

犬娘「良いのですか」

男「特別さーびす実施中です」

犬娘「わーい!」

男「おふっ!」

犬娘「むにゃむにゃ……へへ」

男「ころころ表情が変わるようになりましたねこの子は」

男「ここに来たときとは大違いです」

モワモワモワ…

男「おっと、回想には入りませんよ」

犬娘「んぅ……」

犬娘「ご主人、犬娘起きましたよ」

犬娘「……寝てますね」

犬娘「……」

犬娘「いたずらするしかないですね」

犬娘「前回は油性で怒られたので今回は水性で描きます」

犬娘「額に肉とまぶたに目は鉄板ですよね」

犬娘「かきかき、と」

犬娘「かきかき」

犬娘「楽しくなってきました」

犬娘「ここをこーして……」

犬娘「かんせー!」

犬娘「……」

犬娘「怒られる……」

犬娘「……犬娘も寝ます」

犬娘「怒られました」

男「当たり前です」

犬娘「水性で描いたのにどうして」

男「水性でも油性でも顔に描いては駄目です」

犬娘「盲点だったなー」

犬娘「ご主人、散歩に行きましょう」

男「今日は駄目です」

犬娘「何故ですか」

男「外を見なさい」

犬娘「雨が降ってますね」

男「でしょう」

犬娘「傘をさせば良いのでは?」

男「犬娘が濡れてしまいます」

犬娘「なら犬娘も傘をさします」

男「無茶なことを言いますねこの子は」

犬娘「……」

男「……」

犬娘「おさんぽ……」

男「無理です」

犬娘「……」

男「……」

犬娘「犬娘はふて寝します」

犬娘「晴れたら起こしてください……」

男「あーもー可愛いですねこの子は」

男「さてっと」

男「今日は散歩は出来ないですが家の中で出来る遊びをしますかね」

犬娘「!」

男「行きますよ」

犬娘「どんとこいです」

男「えい」

犬娘「とりゃ」

男「ナイスキャッチ」

犬娘「へへー」

犬娘「次は犬娘が投げる番ですね」

男「そうですよ」

犬娘「えいっ」

男「ひょろひょろですね」

犬娘「大丈夫、犬娘にはまだ三回の変身を残しています」

男「いつの間に見たのですか」

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