そして私の青春ラブコメは始まらない (40)
やはり俺の青春ラブコメは間違っているの~if~のストーリーです。
この話は比企谷 八幡の妹、比企谷 小町主体で描かれます。
その場のノリで書きますので、稚拙な文になると思いますが、よろしければ見てください
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中学校 夏期休暇課題 読書感想文
夏目漱石の「こころ」を読んで
二年C組 比企谷八幡
夏目漱石の「こころ」は絶対的にぼっち小説だ。
この作品の本質は決して三角関係のもつればどど言うものではない。
もっと切実とした人間不信の物語であり、個と世界との隔絶を描いた物語であり、そこに一片の救いも与えない真理の物語である。
(中略)
最後に「先生」のこの言葉を刻んで締め括りたい。
鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。
それが、いざと言う間際に急に悪人に変わるんだから恐ろしいのです。だから油断ができないんです。
信じるなかれ。ソースは夏目漱石。
この文を見てわかる通り、小町のお兄ちゃんはどうしようもなくひねくれている。
腐った魚のような目をしているし、ぼっちだし、若干引きこもりだし。···腐った魚のような目をしているし。
とにかく、小町のお兄ちゃんはどうしようもない人だった。
だが勘違いしないで欲しい。小町は別にお兄ちゃんのことを嫌っている訳ではない。むしろ普通の兄妹よりは仲が良いと思っている。
真面目なところや、変に優しかったりするのは、小町的にポイント高かったりするし。
もしお兄ちゃんが高校でもぼっちなら、小町だけでも優しくしよう、そう思っていた。
ーーけれどそれは叶うことのないものになってしまった。
お兄ちゃんの高校初日の朝。小町が目を覚ますとお兄ちゃんは既にいなかった。
お母さんに聞いてみると、もう出掛けてしまったらしい。何でも、いつもより一時間は早く出たらしい。
ーーどんだけ楽しみにしてるんだろ
心の中で苦笑いをする。
人一倍青春をバカにするくせに。ぼっちの中のぼっちなのに。
小町はお兄ちゃんのそういうところが好きだったりする。ーーあっ、今の小町的にポイント高いかも。
そんなことを考えながら、お母さんが用意してくれた朝御飯を食べる。
いつもは家を留守にしているけれど、今日はお兄ちゃんの入学式に出るらしい。普段もそのくらい優しくしてあげればいいのに。
「ごちそうさまっ」
小町も今日から中学二年生。遅刻しないように時間に余裕を持って着替える。
鞄を持ち、家を出ようとしたところで、家の電話が鳴った。
「小町~悪いけど出てくれないかしら」
台所からお母さんの声が聞こえる。仕方ないと思いながらも、電話に出た。
「ーーえっ・・・・・・・・・?」
電話に出た小町を待っていたのは、信じられない、信じたくない話だった。
ーー目立った外傷はない、ただ、打ち所が悪かった。
担当したお医者さんは、そう言って口を閉ざした。
今お兄ちゃんはぐっすり眠っている。こうして見ると、お兄ちゃんの顔は整っていると思う。
いつもの腐った魚のような目は閉じられていて、もう開くことは二度とない。
小町の頭を撫でてくれた手は冷たく、人の温もりが感じられない。
不意にあだち充の「タッチ」というマンガの台詞を思い出した。
ーー綺麗だろ?死んでるんだぜ、それで。
そのあとは、時間が進むのが遅いような、早いような、よく分からなかった。
ただ分かることは、お母さんとお父さんが泣いていて、お兄ちゃんが死んでしまったということだけだ。
お父さんは後悔している。なぜもっと構ってやらなかったのかと。
お母さんは嘆いている。どうして、私たちの子が、どうして、と。
けど、今さら悔やんでも仕方ない。起きてしまった事を変えることはできない。例え神様でも。
今頃お兄ちゃんの魂は、ゆっくりと時間を掛けて空へと昇っていっているのだろうか?
上を見ると、暖かな日差しが降り注いでくる。
ーー良かった。これならお兄ちゃんの好きな千葉がよく見える。小町はそんなことを考えていた。
しばらくして、由比ヶ浜結衣という胸の大きな美人さんが来た。
由比ヶ浜さんは何度も何度も謝ってきた。
ごめんなさい、ごめんなさい、私のせいなんです。
ごめんなさい、ごめんなさい、私がちゃんとサブレを見ていれば。
涙ながらに、何度も何度も謝った。
どうやらお兄ちゃんは、車道に飛び出した犬を庇って轢かれたらしい。
それを聞いて小町は笑った。多分今まで生きた人生で一番笑った。
似合わない、けど、お兄ちゃんらしい。お兄ちゃんは、最期までやっぱりお兄ちゃんだった。
ひたすら笑って、笑い続けて・・・、
ーー小町は、静かに涙を流した。
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