P「12月24日」 (22)
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P「街はクリスマスムード一色ですねぇ」カチカチ
小鳥「そうですね」
P「まぁ俺達には関係ないんですが」カタカタ
小鳥「関係なくないです!」ガタッ
P「小鳥さん。その山になってる書類が崩れるから暴れないでください」
小鳥「ううっ…どうしてこんなに…」
P「売れっ子が増えたらこんなもんです。律子も昼過ぎまで戻りませんし」ッターン
P「…本当はなんとか休みを調整して、雪歩の誕生日会でもやりたかったんですが」
小鳥「流石に全員の休みを調整するのは無理でしたね」
P「ですねぇ。みんな仕事で駆り出されちゃいました」
小鳥「春香ちゃんたちも直接お祝いしたかったみたいだけど…」
P「あいにく、収録とかち合ってますからね」
<ガチャ
真「おはようございます!」
P「おー、おはよう真」
真「おはようございます小鳥さ…うわっ! 何この書類!?」
小鳥「明日までに片付けなきゃならない仕事よ…」
P「俺が手伝わないと小鳥さん死ぬな。手伝わないけど」
小鳥「ピヨッ!?」
P「ウソです」
小鳥「ホッ」
P「というのはウソです」
小鳥「どっち!?」
真「あれ、そういや雪歩は?」
P「雪歩はもうラジオの生放送に出かけたぞ」
真「朝から早いなぁ。誕生日おめでとうって言おうと思ったのに」
P「お前も今日は収録があるだろ。そろそろ向かった方がいいんじゃないか?」
真「あれ、もうそんな時間ですか?」
P「送っていくか?」
真「いえ、自転車で行ける距離なんで大丈夫です。行ってきます!」
P「気を付けてなー」
<バタン
P「さて、と。小鳥さん、その資料半分こっちにください」
小鳥「えっ! 本当にやってくれるんですか?」キラキラ
P「…やっぱ4分の1くらいで」
小鳥「えぇー? もっと男気見せてくださいよー」ブーブー
P「その内、雪歩を迎えに行かなきゃならないんで無理ですぅ」
小鳥「プロデューサーさんの、ちょっとイイトコ見てみたーい!」
P「…俺がその気になれば、シカトきめこむことも出来る訳です」
小鳥「少しでいいから手伝ってください」キリッ
P「はーい。それじゃ、この辺から片付けますか…」
・
・
・
P「…よーし、受け持った分は終了、っと」
小鳥「仕事が早い…っ!」
P「いつもよりギア上げてますからね。それに、そろそろ雪歩の方も仕事が終わる時間です」
小鳥「あら、もう12時だわ」
P「雪歩を拾ったら、そのまま昼食にします。それでは迎えに行ってきます」
小鳥「いってらっしゃーい♪」
雪歩「ううっ、やっぱり寒い…」
雪歩(そろそろプロデューサー、来てくれると思うんだけど…あっ)
P「雪歩、おまたせー」フリフリ
雪歩「プロデューサー!」
P「いやー、すまん。思ったより道が混んでてな…待たせちゃったな」
雪歩「いえっ、そんなに待ってないですぅ」
P「…鼻も耳も真っ赤だぞ?」
雪歩「えっ!? あ、あうう…」
P「寒かっただろ? ほら、早く入って温まりなさい」
雪歩(ば、ばれちゃった…)
<バタン
P「来る途中でココア買っておいたんだ。飲むか?」
雪歩「はい、ありがとうございますぅ」
P「あと、それと…」
雪歩「?」
P「誕生日おめでとう、雪歩」
雪歩「ありがとうございます、プロデューサー」
P「本当は今日は休みにして、誕生日会やりたかったんだけどな…」
雪歩「…今日みたいな日に、休みを調整するのは無理です」
P「まあな…稼ぎ時の時期だしな」
雪歩「…それに」
雪歩「こうやってプロデューサーが私の誕生日を祝ってくれるだけで、うれしいですぅ」ニコッ
P「…ならよかったよ」
P「さて。お腹もすいてるだろ? 昼ご飯を食べに行こうか」
雪歩「でもこの時間で、すいてるお店なんてありますか…?」
P「ひとつツテがあるが…ちょっと電話してみるか」カチカチ
P「もしもし。今からでも入れる? うん…2人席で…うん、それじゃよろしく」ピッ
雪歩「ど、どうでしたか?」
P「オッケーだと。2人席空けて待っててくれるから行こうか」
<カランカラン…
店長「いらっしゃい。お、雪歩ちゃんが一緒か」
P「そういうことです。席の方はどちらに?」
店長「奥の方の、外の景色が見れる席でございます。ささ、どうぞ…」
雪歩「…プロデューサー、知り合いの人なんですかぁ?」ヒソヒソ
P「親戚のおじさんだよ。ここにはよく食べに来るから味は保証するよ」
店長「さて、ご注文は?」
P「こっちのコース料理と…ケーキを1つ」
店長「文字の方は、ハッピーバースデイでいいかな?」
雪歩「!」
P「勿論」
店長「かしこまりました。それではごゆっくり」
雪歩「…店長さん、私の誕生日知っていてくれたんですね」
P「おじさん、雪歩のファンだからな。CDも買ってるみたいだし」
雪歩「…ふふっ、うれしいですぅ」
・
・
・
P「…うん。やっぱりおいしいな」
雪歩「ローストチキンがおいしかったですぅ」ポワワーン
P「外はパリパリで、中はジューシーで…」
雪歩「また食べに来たいですぅ」
店長「そう言ってもらえると光栄だね」ヌッ
雪歩「うひゃあっ!? い、いつから居たんですかぁ!?」
店長「ついさっきだよ。ケーキを持って来たんだ」
店長「はい、どうぞ」コトッ
P「おー、うまそうだな」
雪歩「…プロデューサー」
P「ん、どうした?」
雪歩「この1年、私は前を向いて…頑張れてましたか?」
P「………」
P「…俺と出会ったころの雪歩は、うつむきがちだったな」
雪歩「……」
P「でも、今の雪歩はしっかり前を向いて歩けているよ」
雪歩「!」
P「じゃ、あらためて…」
P「誕生日おめでとう、雪歩」
雪歩「…はいっ、ありがとうございますぅ!」
一歩一歩確かめながら歩いてきた。
確かな足跡は、少女に自信をもたらした。
きっともう大丈夫。前を向いて歩いて行ける。
窓の向こうで降り注ぐ細雪が、優しく祝福してくれている。そんな気がした。
おわり。
萩原雪歩さん誕生日おめでとうございます。
ささやかですが祝わせてもらいました。
読んでくれた人はありがとう。それじゃ
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