河童「蛍日和だね」少年「そうですね」(9)

河童「今夜一緒に蛍を見に行かないかい?」

少年「別にいいですけど、今夜じゃなきゃダメな理由でもあるんですか?」

河童「いや、思い立ったが吉日って言うだろう?」

少年「なるほど」

河童「じゃあ今から蛍の集会所へ向かうとしよう」

少年「まだ昼間ですよ?」

河童「たまにはゆっくりじっくりとっぷり散歩するのも悪くないと思うんだ」

少年「なるほど」

山道

河童「ちょっと、君、歩くのが速いよ」

少年「河童さんが遅いんですよ」

河童「水棲生物にそんな惨いこと言わないでよ」

少年「ほら頑張れ頑張れ」

河童「そもそもゆっくり散歩するのが目的だった筈なんだけど」

少年「じゃあこの坂を登りきったら河童さんの速さに合わせるようにしますよ」

河童「なら頑張る」



少年「いい景色ですね」

河童「そうだね」

少年「こういう所に来ると山びこしたくなるんですよね、僕」

河童「今日は止めときなさい」

少年「何でですか?」

河童「風の噂で最近山びこが風邪をひいたと聞いたからさ、しゃがれ声は聞きたくないだろう?」

少年「なるほど、しかし暇になってしまいましたよ」

河童「じゃあ相撲でもするかい?」

少年「この高さから下に投げられたら洒落じゃ済まないので止めときます」

河童「人間は不便だなぁ」

少年「僕は結構気に入ってますけどね」

河童「どこが?」

少年「体が一年中温かいんですよ?気温に関係なく」

河童「そいつはスゲェ」

山道

河童「河童と言えばキュウリだよね」

少年「そうですね」

河童「でも実際は魚とかも食べるわけですよ」

少年「ふむ」

河童「だから初めて会う人にキュウリを勧められると偏見を感じるわけですよ」

少年「なるほど」

河童「まあキュウリは好きだけどね」

少年「随分前から知ってよ」

山道

河童「河童と言えばキュウリだよね」

少年「そうですね」

河童「でも実際は魚とかも食べるわけですよ」

少年「ふむ」

河童「だから初めて会う人にキュウリを勧められると偏見を感じるわけですよ」

少年「なるほど」

河童「まあキュウリは好きだけどね」

少年「随分前から知ってたよ」

少年「河童さんは好きな色とかありますか?」

河童「緑」

少年「キュウリの色だからですか」

河童「うむ、君は?」

少年「金色ですかね」

河童「黄金の色だからかね?強欲だなぁ」

少年「ほっといて下さい」

河童「ゆーやーけこやけーのあかとんぼー♪」

少年「河童さんは歌が上手いんですね」

河童「伊達に長生きしてないからね」

少年「そのわりには随分子供っぽいところもありますけどね」

河童「子供の真っ直ぐな気持ちを無くしたくないだけさ」

少年「社会不適合者なんですね」

河童「社会人じゃないもーん」

少年「例えば、僕とキュウリが川で流されそうになってたらどっちを助けますか?」

河童「うーん、君かなぁ?」

少年「じゃあキュウリ二本だったら?」

河童「それだったらキュウリ」

少年「僕の価値はキュウリ二本以下か」

河童「まあそんなもんでしょう」

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