いすず「可児江君、面接の人達が来たわ」西也「ちゃんとした奴なんだろうな」 (259)

 甘城ブリリアントパークのssです。

 甘ブリ面接に色々なキャラクターが来るお話です。

 笑いあり、シリアスありのつもりで書いています。

 それでは、お楽しみください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1418956741

 いすず「えー、では自己紹介をお願いします」

 ボーボボ「鼻毛の精霊・ボーボボでぇす!」

 首領パッチ「太陽の精霊・首領パッチだぜ!」

 ところ天の助「ところてんの精霊・ところ天の助!」

 三人「三人そろって、ハジケリストでぇす!!」

 マカロン「ぎゃははははははwwwww」

 マカロン「HA・NA・GEの精wwww霊wwwww」

 マカロン「生霊の間違いじゃないのかロォォンwwww」

 ティラミー「だwwwめwwwだwww。こいつら」

 ティラミー「僕達以上にダメダメだミー」

 ティラミー「太陽?バカ言ってんじゃないミー」

 ティラミー「思いっきりウニとオレンジの合体したバケモノだミー」

 天の助「ああん!やんのかゴルァ?」

 天の助「それともぉ、もしかして私のこと...買ってくれるの?きゃっ」

 モッフル「...西也。こいつら帰らした方がいいと思うフモ」

 西也「....」

 西也「まっ、待て!流石に開始三十秒で帰らせるのは早すぎだ!」

 西也「と、取り敢えず、千斗」

 いすず「...では、まずボーボボさんから志望動機をどうぞ」

 ボーボボ「私の故国にテーマパークを作りたい。その為の参考として

      このブリリアントパークで働きたいと考えてます」

 いすず(ここまで嘘くさい志望動機は初めてだわ)

 いすず「ちなみに、貴男の出身国の名前は?」

 ボーボボ「毛の王国です」

 いすず「ぶっ?!」

 ティラミー「ハハwwwwwwwwハハハハwwwwwwwwww」

 ティラミー「嘘っぱちも甚だしいみ~」

 あー、すいません。
 書いてる途中にご指摘の様に書いたら、会話がなんだか締まらない感じになったため、
 モッフルさんの可児江君の呼び方は西也で統一しました。
 

 いすず「次、首領パッチさん」

 首領パッチ「おう、特に動機なんかないぜ」

 首領パッチ「バイト雑誌で目についたからテキトーに応募しただけだ」

 首領パッチ「ってゆーかよー、オタクらの従業員サービス悪くねぇ?」

 首領パッチ「そっちだって、可愛い系の羊とか犬の精霊とかの

       癖によー、人の出身地を笑うってありえなくね?」

 西也(お前らだけには言われたかねぇよ)

 マカロン「ひーっ、まだ笑いがと、とまらないろん」

 ティラミー「バカさ加減だけは国士無双だミー」

 ティラミー「可児江君。こいつら採用するミー」

 マカロン「こういうのが甘ブリに必要な人材だろん」

 西也(....ここまで正論が腹立たしい連中は初めて見るな)

 いすず「次の人?お願いします」

 天の助「私は、ぬのハンカチを...」

 いすず「はい、アウトー」

 いすず「ボーボボさん、首領パッチさん、天の助さん不採用です」 

 ボーボボ「えっ?」

 首領パッチ「そんな...」

 天の助「ふっ、所詮君達の目は節穴なのさ...」

 いすず(ティラミーとマカロン以上に危険な奴を採用できないわ)

 西也「はぁ...期待した俺がバカだった」

 西也「さぁ、帰った帰った」

 ボーボボ「ちぇー、ついてないでやんの」

 ボーボボ「おい、お前ら帰るぞ」

 首領パッチ「けっ、リア充め。爆破しやがれ」

 天の助「...」

 モッフル「どうしたフモ?」

 天の助「やいやい、そこの帽子かぶったマスコット!」

 天の助「何のパクリかしらねぇが、チョーシ乗んなよ!」

 天の助「国に帰ったら、正式に訴えてやるからな!」

 モッフル「はいはい、勝手にするフモ」

 ケースその2 面接テロリストがやってきましたよ編



 ~ジンセイで一度はやってみたかったこと~

 ハードゲイの僕が、遊園地で夢を振りまくマスコットになること。

 BY レイザーラモンHG

 
 ~新しい自分を見つけるチャンスがあったら?~

 ホーwwwww

 BY 某ゲンツキさん

 
 ~つい羽目を外してしまう困った大尉をお願いします~

 「なぜなら誰でも、諦めなければ夢は必ず叶うと信じているのだァッ!」

 BY 甘粕正彦
 

 

 HG「オ~ケ~イ!」フリフリフリフリ



 ゲンツキホー「ブモモモモモ」




 甘粕「待ちわびたぞぉっ!!!」



 西也「お前ら全員不採用だ。帰れ!」

 いすず「おっ、落ち着いて可児江君」

 西也「あああああああああああ!」

 西也「落ちつけられる訳が無かろう!」

 西也「奇人変人にはもううんざりだあああ!!!」

 西也「わざとなのか?そんなに俺を苦しめたいのか?」

 いすず(おかしいわ。どうしてこんなにまともじゃない人ばかり)

 




 神野「今頃気が付いたんだ~、おっそいね~」ニヤニヤ



 メルクリウス「フハハハ、暇を持て余した神々の遊びと言う奴だ」ニヤニヤ




 

 いすず「では...自己紹介を、お願いします」

 HG「オ~ケ~イ!」

 HG「僕の名前はレイザーラモンHGで~す」

 HG「昔芸人をやっていて、今はTシャツとかのデザインを手掛けてます」

 いすず(腰を振る以外は、案外まともね...)

 いすず「あの、レイザーラモンさん?」

 HG「なんですかぁ~、フォーーー!!!」

 いすず「そこのピンク色の妙な原付は、貴男のですか?」

 HG「とんでもない、でもオッケ~イ!」

 HG「そうですよ~、この原付は僕のですっうえぇっっほ」

 ゲンツキホー「ブモモッ!(`ヘ´#) 」

 HG「どうやら、嫌われちゃったみたいですね~」

 HG「排気ガスを顔面に思いっきりかけられましたよ」

 いすず「馬じゃあるまいし、乗り手を選ぶなんて...」

 ゲンツキホー「ブモッ!(’〆’)」

 HG「あ痛てッ!この原付!足が生えやがった」

 HG「もう怒ったぞ~、ヤル気ですか~?このポンコツバイク」

 HG「僕のことをバカにした原付には~...」

 HG「ハードゲイのお仕置きが待ってますよ~?」

 ゲンツキホー「ブモオッ!?L(>0<)」ブモモモーン!」

 ゲンツキホー「ブモーッ!(→o←)ゞ 」

 HG「断末魔フォーーーー!!」

 HG「セーイセーイセイセイセイ。止まらないぜ~」

 HG「続けて、こすりつけフォーーー!!」

 いすず「勘弁して頂戴...」

 ゲンツキホー「ブモーン...。・°°・(>_<)・°°・。」

 いすず「ま、まぁそこのバイクはともかく...」

 いすず「甘粕さんどうぞ」

 甘粕「うむ、面接官殿。大儀である」

 甘粕「私は甘粕。甘粕正彦だ」

 甘粕「好きなものは愛と勇気、好きな言葉は人間賛歌だ」

 甘粕「なにぶん、激しい性分でな」

 甘粕「少しばかり飛ばしていくが、許せよ」

 いすず(自覚があるなら自重して頂戴)

 いすず「では、ハードゲイさん」

 いすず「ハードゲイさんの志望動機なのですが」

 いすず「甘ブリの新しいマスコットになるのが夢」

 いすず「というのは、一体どういうことなのですか?」

 HG「...お笑い芸人ってね、ブレイクが終われば寂しいもんですよ」

 HG「一度でもブレイクして、ちやほやされると」

 HG「どうしても、あのころの栄光が忘れられないんです」

 甘粕「人の絶頂とは山の如し、故に降りるのは難しい」

 甘粕「だが、ハードゲイよ。お前には悔いがないのか?」 

 HG「ないですよ。奥さんもいる、子供もいる。蓄えもある」

 HG「何一つ欠けたもののない円満な生活があるんですからね」

 HG「芸能界で過ごした日々は、嫌な事の方が多かったけど...」

 HG「そりゃ、僕もゲイっていうゲイ風で通してきましたからね」

 HG「心無い人に同性愛者のレッテルを張られたこともあるし、

   ノーマルなのに、お尻を掘られそうになったこともありますよ」

 HG「だけど、悔いなく全力でやりきれたんです」

 HG「それでも...やっぱりどこかで諦めきれない自分がいる」

 HG「そんなとき、彼女?に出会ったんです」

 ゲンツキホー「ブモーッ!」

 HG「最初は目を疑いましたよ」

 HG「変態チックなデザインでありながら、全く彼女の持つ本質から

   逸脱することなく、己を貫いていたんです」

 HG「そんなとき、ふと思ったんです」

 HG「一時でもいい、全部忘れて旅に出ようって」

 いすず(ごめんなさい、可児江君)

 いすず(無責任な話、面接を放り投げたくなってきたわ)

 HG「ここに来るまでは珍道中でした」

 HG「ガソリンを給油しようとしたら嫌がるし」

 HG「長野県のとある一軒家でパンツを補給しているし」

 HG「やたらと口から麻雀牌を飛ばしてくるし...」

 HG「で、思ったんです」



 HG「コイツとなら、きっといいコンビになれるって」


 

 甘粕「我は人、彼も人。故に平等」

 甘粕「お前達の関係は、一件破綻しているように見えるが...」

 甘粕「その実、ピッタリと噛みあっている」

 いすず(ごめんなさい、支離滅裂すぎて理解不能だわ)

 甘粕「生き残るためにあらゆる努力を惜しまなかったハードゲイ」

 甘粕「異形の姿と成り果てても、己を貫き通したゲンツキホー」

 甘粕「目的の為、最後まで突き進む姿にお前達は惹かれあったのだろう」

 甘粕「たとえそれが、ゲイとレズという相容れない関係であってもな...」

 HG「ゲンツキホー...お前も、譲れないものがあるのか?」

 ゲンツキホー「ブッオーーーーーン!!」

 HG「俺と一緒に、ここで新しいコンビを組まないか?」

 ゲンツキホー「ブオーーーーーン!!」

 HG「そうかそうか...」







 HG「何を言ってるか全くもって分からないぜ!フォーーー!!」







 和「本末転倒ですねぇ。私は私。咲さん一筋です」









 和「だから...ごめんなさい」








 和「私は生涯咲さん一筋だぜーーー!ホーーーーーー!」






 甘粕「おおっ!なんと素晴らしき愛の形だぁああああ!!」

 甘粕「讃えてやろう!貴様の愛を...そして祝福させてくれい」




 甘粕「万歳、万歳、おおぉぉォッ、万歳ァィ!」


 HG「振られちゃったぜ~!フォーーー!!」

 

 西也「勘弁してくれ...まじで」

 甘粕「さて、ゲンツキホーよ...いや、原村和よ」

 甘粕「中々いい素質を秘めているではないか」

 甘粕「虚仮の一念ならぬ、レズの執念侮れず。といったところか...」

 甘粕「盧生でも眷属でもないただの小娘がよもや自力で急段を使いこなすとは...」

 和「見つけましたよ、甘粕正彦!いえ、盧生!」

 和「私と咲さんが結ばれない非条理を作った、悪の元凶!」

 甘粕「ほう、それはもしや...iPS細胞のことか?」

 和「iPS細胞は誰かがきっと見つけたでしょう」

 和「しかし、邯鄲の夢に触れた時...」

 和「貴方が世界に混乱の種を蒔いたことを知りました!」

 甘粕「然り!それこそが俺が魔王と呼ばれる所以なのだあああああ」

 和「盧生死すべし、慈悲はない」

 甘粕「そうだ!その輝きをもっと俺に見せてくれい!」 


 和「これ以上、私の愛する咲さんの世界を侵すな!魔王・甘粕」

 和「太極座に乗り込み、私が第八天として世界の理を変えてみせるっ!」

 和「そのために、貴方の盧生としての資格を私が剥奪する!」

 甘粕「第八天とは大きく出たな...」

 甘粕「しかぁし!」 

 甘粕「その無理無茶無謀こそ、この甘粕の最も尊ぶものである!」

 甘粕「いいだろう、原村和よ」

 甘粕「貴様の世界を壊す非条理は、まさに俺好みだ」

 甘粕「この手を取れ、わが友よ」

 甘粕「そしていざ往かん、我らが先達の守った世界へ...」

 甘粕「再び魔王として暴威を振るい、君臨するのだああああああ!!!」 



 

 四四八「いい加減にせんかァ!」




 甘粕「おおっ、イェアホーシュアよ。どういう風の吹き回しだ」

 四四八「剛蔵さんに頼まれて、ここに支店を出す話をしにきたんだよ!」

 四四八「全く、本当にお前は碌でもないな!」

 四四八「大丈夫ですか?えーっと、支配人さん?」

 西也「頼む...早くこの頭のおかしい連中を連れ帰ってくれ...」

 四四八「本当にすいません」

 和(もう一人の盧生、この男に私の急段が通じれば....)

 和(世界の秩序に干渉することが可能になる)

 和(グフフフ、待っててくださいね咲さん)
 
 和「貴女と私は運命の赤い糸でつながっているのですから...」

 仲の人ネタ?というより、個性的でアクの強いキャラたちと言う解釈でよろしいかと。

 甘粕正彦というのは、18禁PCゲームのラスボスで、史上稀にみる最強のボスキャラです。

 四四八(な、なんだ?俺の見間違いか?)

 四四八(何だか、どんどん目の前の女性の身体がおかしくなってるぞ)

 四四八「さぁ、君も帰る準備をするん...だ?」

 和「ナマエ...ヒイラギ、ヨンヨンハチ?」

 四四八「おい、何をふざけているんだ」

 四四八「初対面の女性にくどくどと言いたくはないが...」

 和(私の世界にもこういうイケメンは欲しかったですねぇ...)

 和「サンパチ?」

 四四八「ラーメンじゃない!」

 和「キンパチ?」

 四四八「先生でもない!」

 和「ニッパチ?」

 四四八「ソバじゃない!!」

 和「ゴハ?」

 四四八「アラフォーかっ!って何言わせるんだ!」

 和「ヨンパチ」

 四四八「知るかァっ!いい加減にしろ」

 和「カカッタナ?」








 和「急段・顕象!」








 和「ゲン・ツキ・ホー!!」






 和「貴方の名前は?」

 四四八「柊、よし、よしや」

 和「違うでしょう?」

 四四八「ソバ、ラーメン、アラフォー!」

 和(カカッタナ)

 和「ヨンパチ!」

 四四八「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 ヨンパチ「じゃあヨンパチになりますwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 ウィーン!ガシャン! ガシャン!

 聖十郎「よーしや~、おべんと~...」

 和「ブモモモモモーン」

 ヨンパチ「ブルルルルルルーン」

 晶「おーい、四四...八?」

 栄光「おい、なにやってんだよ晶?あれ四四八...」

 鈴子「なんで面接室にハーレーの48年モデルがあるのよ...」

 歩美「ちょっと~みんなふざけてる場合じゃないよ~」

 歩美「あのバイク、四四八君だよっ!」

 淳士「おいおい、なんでこうなるんだよ...」 

 百合香「あの急段は、相手の姿形を協力強制で強制変化させるもの」

 百合香「宗冬、あのゲンツキの戦力分析を」

 宗冬「御意に、お嬢様」

 宗冬「あの急段は、さほど大したことはありません」

 宗冬「しかし、咒法の射と散、創法の形と界」

 宗冬「単体のみで、鋼牙を制圧できるほどに極まっています」

 宗冬「また楯法も異常な程に優れています」

 宗冬「典型的なレベルを上げて云々の最終極地にあれはいます」

 水希「ええっ?!じゃあ、あそこのよんぱ...四四八君は?」

 宗冬「直に戻るでしょう。ご安心を」 



 栄光「じきに戻る?だったら...やることは一つだよなぁ」

 鈴子「ええ、みんな録画の準備は出来ているかしら?」

 淳士「はぁ、止めとけって...聞かねえか」 



 和「ミンナモ、イッショニ」




 恵理子「せーの」







 水希「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 歩美「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 鈴子「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 淳士「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 晶「ヨンパチwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

 栄光「ヨンパチwwwwwwwwwwハーwwwwwwレーwwwwwwwwwwww」           

 

 四四八「ブモモモモモモモモモwwwwwwwwwwww」


 HG「お突きあいしましょう!ヨンパチ君!」



 四四八「おk」



 HG「ノンノン、違う違う。もっとこう...愛を込めて」







 全員「オ~~~ケ~~~~イ!!」





 西也「お前ら全員今すぐ家に帰れーっ!」




 

 幕間



 西也「おい、誰だよ...あんな連中を呼び込んだのは」

 トリケン「私です」

 西也「勘弁してくれ、どうしてあんな馬鹿が紛れ込んだ」

 トリケン「履歴書見た限りではまともだったので...」

 トリケン「しかし、まさかあんなのだとは...想定外です」

 西也(面接で採用した中でまともなのがあの三人だけか...)
 
 西也「で、あと何人来るんだ?」

 トリケン「今日明日合わせてざっと二十人ほどです」

 西也「もういい、で?次の奴は来てるのか」

 ティラミー「来てるミー、来てるミー!」

 ティラミー「結構かわいい子が来てるミー」

 モッフル「待たせるのも何だから入ってきてもらうフモ」

 いすず「次の方、どうぞ」

 ケースその3 姉帯豊音&ワハ衣の場合 



 姉帯「姉帯豊音だよー。今日はよろしくお願いします」

 天江「天江衣だ。今日は大儀である」

 ワハハ「ワハハ、蒲原智美です。お願いします」

 マカロン「うおおおおお!美少女キタ―ッ!」

 ティラミー「履歴書、履歴書見せるミー!!」

 ティラミー「3サイズは?男女経験はッ!」
 
 いすず「姉帯さん、目と耳を塞いで下さい」



 マカロン「やっ、止めるろん!」

 マカロン「美少女の前で醜態は晒したくないろん!」
 
 ティラミー「合法ロリ、いや合法ぺドなんてめったにお目に...」

  バンバンバン!

 モッフル「西也、こいつら外にほっぽりだすフモ」

 西也「...トリケン、ティラミーを頼む」

 トリケン「おぅふ、私思わず前かがみになってしまいました」

 西也「愚問だと思うが、誰にだ?」

 トリケン「ころたんいぇい!」

 西也「...うしろ、いやなんでもない」

 いすず(可児江君...どうして、私がいるのに他の女に)ギリギリ

 
 モッフル「では、志望動機をお願いするフモ」
 
 ワハハ「じゃあ最初は私からだな」

 ワハハ「私の名前は蒲原智美だ。ワハハ」
 
 ワハハ「志望動機は、買いたい車があってそのお金を稼ぐことと」

 ワハハ「大学から近くて、かつ日給が高いからだ。ワハハ」

 モッフル「特技はなんですか?」
 
 ワハハ「特技は車の運転で、普通の車なら大体乗りこなせるぞ」

 モッフル「週何回出勤できますか?」

 ワハハ「盆と年末を除く殆どの日の午後二時から閉園まで出られるぞ」

 いすず(採用ね)

 モッフル「...最後につかぬことを聞くフモ」

 モッフル「何か周りでやたらとツイテないことが起きてないかフモ?」

 ワハハ「ワハハ、そんなこと全くないぞ」

 ワハハ「ただ、その口ぶりから察するに...」

 ワハハ「不幸を呼び込む体質の人がお知り合いにいるんだな?」

 モッフル「面接はこれで終わりフモ」

 モッフル「後日電話で合否を連絡するフモ」

 ワハハ「ありがとうございました。ワハハ」

 モッフル「...ティラミー、面接官代わるフモ」

 ティラミー「分かったミー」

 ティラミー「えーっと、それじゃあ次は姉帯さん」

 ティラミー「自己紹介をお願いするミー」

 姉帯「はいっ、姉帯豊音です。岩手県出身の大学一年生です」

 ティラミー「何か自己紹介で忘れているのはありませんか?」

 姉帯「えっ?」

 ティラミー「ふーん、へーぇ」

 ティラミー「しらばっくれるんだ~」

 姉帯(どっどうしよう~、そんなこと言われたって想定外だよ~)

 衣(豊音、もしやこれがパワハラと言う奴なのか?)

 姉帯(とんだブラック企業だよ~)

 姉帯「ぅっ、す、3サイズは...」

 ティラミー「ふぉおおおおおおおおおおおお!」

 姉帯「バスト8...」

 いすず「成敗!」

  ばんばんばん

 いすず「7.56㎜ラシアンモデルの弾丸は威力抜群ね」

 姉帯「だっ、大丈夫ですか。マスコットさん!」

 ティラミー「ミー...もう僕、駄目みたいだミー」

 ティラミー「豊音ちゃ~ん、お腹さすってほしいミ~」

 姉帯「酷いよ!面接官さん」

 姉帯「可愛いことしてやることが一々えげつないよ!」

 姉帯「そういうひどいことはクマさんにやるべきだと思うな!」

 いすず(しまった、いつものノリでやってしまったわ...)

 姉帯「いいよ、ティラミーさん。教えてあげる」

 姉帯「私の3サイズは...」ボソボソ

 ティラミー「ミィイイイイイイイイイ!復活ミー!」

 ティラミー「お腹もさすってくれて、上も下も大復活!」

 ティラミー「さぁ、面接を続けるミー!」

 ティラミー「週何回出られるんだミー?」

 豊音「週三回くらいだよー」

 ティラミー「勤務希望のアトラクションはどこだミー?」

 豊音「出来れば、お花とかダンスが良いなあって思ったりして...」

 ティラミー「採用!採用だミー!」

 ティラミー「次の週からぜひ来てくださいミー!」

 ティラミー「あっ、それとこれ僕の連絡先だミー」

 ティラミー「分かんないことがあったらいつでも相談に乗るからミー」

 豊音「はっ、はい。ありがとうございます!」

  がちゃっ、ばたん。

 西也「おい、何勝手にやってんだ。バカミー」
 
 マカロン「さっきのふざけた三人組よりずっとましだろん」

 モッフル「確かにそれについては同意フモ」

 ティラミー「あの子は絶対雇うべきだミー!」

 西也「お前達が過ちを犯しそうで怖いんだよ!」

 マカロン「大丈夫だろん!」

 マカロン「あんな大天使に手を出すほど落ちぶれてないろんッ!」

 
 ティラミー「でも、いすずちゃんはもう少しTPOを弁えるべきだミー」

 マカロン「事情を知らない子の前でマスケットは流石に駄目だろん」

 いすず(くっ、反論できない。そして、なんかすっごくムカつくわ)

 モッフル「あっ、どこに行くフモ?」

 衣「衣はいらない子なんだ...帰る」

  がちゃっ、ばたん。

  うわあああああああああん

 トリケン「可児江さん、もし彼女を面接してたら採用してましたか?」

 西也「あんな小ささで何が出来るって言うんだ?」

 西也「あそこまで極端すぎると、かえって与える仕事が限られる」

 西也「さっきの子は不採用。前の二人は採用だ」

 マカロン「いぃいいいやっふううううう!」

 モッフル「はぁ、こんなのが後十回ほど続くフモか...」

ケースその4 Zeroから始める面接編


 セイバー「私の名は、ブリテン王アルトリア・ペンドラゴンだ」

 ランサー「我が名はディルムッド・オディナ。フィオナ騎士団が一番槍」

 キャスター「ジル・ド・レェでございます」

 キャスター「最高のクールの追求の為、まかり越した次第でございます」

 いすず「採用枠は二人です。頑張ってください」

 いすず「では、貴方方がここでできると思う事を教えて下さい」

 

 ランサー「私は、サービス業に絶対の自信を持っています」

 ランサー「どんなお客様であろうと、必ずやこのブリリアントパークに

      集めて見せましょう」

 いすず「どのようにして?」

 ランサー「このようにしてです」

  黒子の呪い 発動中

 いすず「...はうっ、だ、だめっ。私には可児江君が」

 ランサー「今は抑えていますが、本気になればお客様は間違いなく」

 ランサー「このブリリアントパークに釘付けになりましょう」

 ランサー(ケイネス殿を脅した甲斐があった)

 ランサー(全ての令呪を使わせ、愛の黒子を自分の意志で

      制御可能になった今、俺の幸運はEXだ)

 ランサー(騎士道とか聖杯戦争とか忠義とか、もうどうでもいい!)

 ランサー(結構わめかれたが、開き直った俺は既に罪悪感Zeroだ)

 ランサー(だから、これからは...)

 ランサー(悠々自適のハーレム&セカンドライフを過ごしてやるぜ!)

 いすず「はぁっ、はぁ...次の方どうぞ」

 セイバー「はい、私ができることは剣技です」

 いすず「剣技?」

 セイバー「卓越した剣技で殺陣を演じることや、力仕事、クレーム処理」

 セイバー「その他あらゆることに臨機応変に対応できる自負があります」

 セイバー(私が戦うことでアイリスフィールが死んでしまうのなら)

 セイバー(戦うことなく彼女の命を永らえさせたい)

 モッフル「じゃあ、そんなにいうならためしに踊ってみるフモ」

 セイバー「おうとも!では、場所を開けて下さい」

 

 セイバー(切嗣のわけのわからない願いより...)

 セイバー(アイリスフィールの命の方が、私にとって真に護るべきものだ)

 セイバー(見てろよ、衛宮切嗣)

 セイバー(貴様が出来なかったことを、真逆の方法で実現させてみせる!)

 セイバー(あと、私を散々Disった報いを受けさせてやる)

 四分後

 モッフル「ぶっ、ブラボー。素晴らしいフモ」

 トリケン「剣舞というのですか?いやぁ圧巻ですねぇ」

 西也「驚いたな、マジで」

 セイバー(よし!やったぞランサー)

 ランサー(よくやった!セイバー)

 セイバー(次はどうやってマスターをイライラさせようか?)

 ランサー(ソラウを公開NTRというのを今考え付いたぜ!)

 セイバー(じゃあ、私はあの金ぴかといちゃいちゃしよう)

 セイバー(先入観捨てて、ちょっくらマジで付き合ってみる)

 ランサー(おう、やれやれ!健闘を祈ってる)

 セイバー「歌って踊れて、剣の腕が立つマスコットはそういない」

 セイバー「私はブリリアントパークに新しい風を吹き込みたい」  

 いすず「はい。ありがとうございました」

 セイバー(ランサーと言う心強い同志を得た今)

 セイバー(私の計画は成功しつつある)

 セイバー(切嗣、貴様の顔が見ものだな...)

 セイバー(アイリスフィール、どうかご無事で)

 キャスター「お見事です。聖処女よ」

 西也「で、最後に残ったジルさん」

 西也「貴男は一体が出来ますか?」

 キャスター「私はマネージメント全般が出来ると考えています」

 キャスター「ギョロ目のインスマウス顔ですが、これでも一国の
   
       元帥を務めた身。経営はお手ものものです」

 キャスター(嘆かわしや...我が麗しの聖処女よ)

 キャスター(在りし日の貴女は人の不幸を喜ぶような人ではなかった)

 キャスター(私の声は、今の貴女にはもう届いていない)

 キャスター(ならば、せめて私は貴女の罪を被りましょう)

 マカロン「じゃあ、過去手がけた作品は何かあるろん?」

 キャスター「ええ、これを見て下さい」

 キャスター「我が麗しの聖処女のイメージPVです」

 モッフル「...」

 ティラミー「...」

 マカロン「...」

 いすず「...」

 西也「...」

 全員(これ、いつの間に取った動画なんだよ)

 全員(っていうか、これ盗撮動画じゃね?)

 マスコット「全員採用ッ!」

 西也「おっ、おい」

 セイバー「ありがとうございます!」

 ランサー「礼を言うぞ、支配人殿」

 キャスター「では、我々はここで失礼させていただきましょう」

 

 西也「お前らなぁ、二人だけ採用って言ったじゃねえか」

 西也「なのになんで、全員採用するんだよ」

 ティラミー「約束は違えてないミー」

 ティラミー「あのギョロ目を社員にすればいいミー」

 西也「おい、唯でさえお前らに支払う給料が少ない中、必要経費を

    切り詰めてバイトを10人くらい採用するんだ」

 西也「少ない給料がさらに少なくなるんだぞ」

 ティラミー「お前の目は節穴か?」

 ティラミー「考えろよ、なぁ?」

 ティラミー「絶世の美丈夫二人とそれにぞっこんなストーカー」

 ティラミー「ストーカーをアルトリアちゃんにべったりにさせて、

      トリケン以下の給料でこき使えばいいんだミー」

 ティラミー「歩合給の金額を軽くいじるとか契約社員にすれば、

       最大でも月19万以下に抑え込めるはずだミー」

 モッフル「集客数が今より上がって、経営が軌道に上手く乗ったら

      その時に給料を全額きちんと支払えば問題ないフモ」

 トリケン「先程の彼のPVを見たではありませんか」

 トリケン「あの技術を上手く使えば、PVだけで客層が新規開拓できます」

 西也「前かがみになっていう事じゃねえぞ、それ」 

 トリケン「どうか、よろしくお願いします」

 

 西也「分かった。だが、これから三ヶ月お前らの給料20%引きだ」

 マカロン「しょうがないろん」

 ティラミー「それでもお釣りがくるミ―」

 いすず「言っとくけど、アルバイトに手を出したら首にするわよ」

 マカロン「合意の上なら問題ないろん」

 モッフル「はぁ、今日は後四組もいるふもか...」

 

 

 ケースその5 Z会四天王の場合



 アアアアアアアアアアアア!

 西也「なんだ、外から聞こえてくる絶叫は?」

 オレハテンサイダー、メンセツダッテノリコエテヤルンダヨー!!

 マカロン「ちょっくら様子を見てくる...」

  バタンッ!バタンッ!

 イケメン「うかる気しかしないぜぇえええええ!」

 ロック・リー「まぁあああってろおおお!さーいよーうつうちぃいいい!」

 ユージ「面接したい気分だどぉおおおおおん!」

 メガネ「バイト面接にぃ、正解方法なんてないと思うんですよ~」

 メガネ「えっ?最初っからつまづいている?いや、ないないないない!」

 西也「」

 いすず「」

 マカロン「」

 ティラミー「」

 
 モッフル「君達、本当に受かる気あるの?」

 
 四天王「ホアッ?!」

 西也「はぁ...千斗。ちょっと休んでいいか?」

 いすず「お願いだから、午前中はいなくならないで頂戴」

 西也「わかった...」

 西也「まぁ、適当に腰かけてくれ」

 四天王「はーい」

 西也「これから面接を始める。だが」

 西也「その前に聞かせてくれ」

 西也「お前ら、近頃流行のバイトテロなのか?」


 イケメン「い、いえそんなことありません」

 イケメン「僕達四人は至極まっとうな学生です」

 

 西也「だったら、最初のふざけた自己主張は何なんだ?」

 メガネ「ここにいる面接官の印象に残らないような奴が...」

 メガネ「夢と希望を相手に伝えることが出来るのかなぁと疑問に思って」

 西也「だからと言って時と場所を弁えないのは別問題だろうが」


 ユージ「そんなっ!嘘だろ!」

 ユージ「この日の為に予習一日13時間、復習一日16時間したんだぜ!」

 西也「無駄な努力だな。それとバレバレの嘘をつくな」


 ロック・リー「そんな...俺達の努力が実らないなんて...」

 ロック・リー「でも、落されることなんて...怖くない」

 西也(なんでだろう、こいつ等と話すのは時間の無駄だとわかっている)

 西也(だが、いつの間にか無視できない存在感が奴らから漂ってきている)



 西也「じゃあ、軽く自己紹介してもらおうか」

 イケメン「あ、はい。じゃあ僕から自己紹介します」

 イケメン「イケメンです。この前高校を卒業して音大に入りました」

 イケメン「部活が忙しくて、バイトはこれが初めてです」
 
 西也「部活は何やってた?」

 イケメン「サッカーとかバスケとかやってました」

 西也「そうか、で?どうして音大に入ろうと思ったんだ?」

 イケメン「僕達同じ高校なんですよ。で、アニソンとかにアレンジ
 
      加えたMAD動画を動画サイトに投稿したら大人気になって...」

 イケメン「これで一時代築き上げようと思って音大にAO受験したら」

 西也「一発で合格したと?」

 イケメン「はい。そうです」

 西也(馬鹿野郎と思ったが、別路線で売り出せそうだな)

 

 西也「じゃあ、次の...えーっとキノコ頭」



 ロック・リー「俺はキノコ頭じゃねえええええ!」



 西也「大声を出すな、うるさい」

 ロック・リー「俺の名前はロック・リーだアアア」

 ロック・リー「高校を卒業して大学入りたてのほやほやだァア!」

 西也「で?」

 ロック・リー「バイトの面接初めてなんで、どうかお手柔らかに..」

 ロック・リー「オナシャス!」

 西也「はいはい。それじゃあ次」

 ユージ「うぃ、そんじゃ自己紹介します」

 ユージ「ユージです。高校は読モやってました」

 ユージ「ビラ配りとかパソコン弄りは得意な方っす」

 西也「親は何の会社を経営してるんだ?」

 ユージ「布団屋と肉屋っす」

 西也「そうか、じゃあ次」

 

 メガネ「あっ、僕ですか」

 メガネ「僕の名前はメガネです」

 西也「本名を言え、本名を」

 メガネ「あー、僕あまり本名好きじゃないんですよ」

 メガネ「だから、あだ名のメガネで通させてください」

 西也「わかった。じゃあこれからお前はメガネだ」

 メガネ「高校時代は将棋部に入ってました」

 メガネ「奨励会に入ってプロ目指そうと思ってたんですけどぉ~」

 メガネ「この三人に出会って、すっぱりあきらめました」

 西也「そうか」

 西也「で、お前らあれか?将来歌手になるとかそういうタイプか?」

 イケメン「いえ、そういう事はまだ考えてません」

 キノコ「元々趣味が嵩じて、こういう事を始めたんで」

 西也「人前で歌った経験はあるか?」

 ユージ「いえ、ないっす」

 ユージ「ネット配信を中心に活動していたんですけど...」

 メガネ「僕達の家のこととか、あまり詮索されたくなかったし」

 メガネ「なによりも、僕達人前で何かするの苦手だし...」

 四天王「うんうん」

 

 西也(三ヶ月だけ様子見で使ってみるか...)

 西也「お前らさえよければ、ここで働いてみるか?」

 四天王「ホアッ?!」

 西也「今からだったら、丁度更新と夏休みが被らない筈だ」

 西也「三ヶ月、まずはお試し期間だ」

 ロック・リー「で、俺達は何をすればいいんですか?」

 西也「そうだな、取り敢えず...今、歌えるか?」

 ユージ「というと?」

 西也「お前達が投稿したMAD動画の歌をここで歌えと言っている」







 西也「できなければ、アウトだ」






 

 
 メガネ「えーっとぉ、その、心の準備がまだというか...」



 ユージ「もう今、こうしてるのも一杯一杯で...」



 イケメン「...やろう、こうなったらやってやろうぜ!」

 ロック・リー「無理だろっ!やっぱり無理だったんだよ!」

 イケメン「何言ってんだよ!お前ら受験で何を学んだんだよ!」



 イケメン「キノコ!お前、諦めることをやめて努力しただろ?!」

 イケメン「人前であがるのを克服して、推薦で一発合格したじゃねえか!」



 イケメン「ユージ!お前チャラ男みたいな感じに仕上がってるけど、

      将来親に楽させたいって言ってたじゃねえか!」

 イケメン「入試の勉強しながら、あんなにうまいコロッケを作って、

      店番しながら売ってた受験生なんかお前一人だけだ!」

 イケメン「今まで自分がやってきた挑戦と努力を無駄にすんなよ!」





 ユージ「うぃっす!」




 
 イケメン「メガネ!」

 メガネ「はいっ!」

 イケメン「お前のお陰で俺は音楽に目覚めることが出来た」

 イケメン「お前がいなけりゃ俺たち全員不合格だ」

 イケメン「だから、前に進もうぜ。リーダー」






 メガネ「...ついてこいよ、お前ら」








 モッフル(茶番にしては中々出来てるフモ)



 マカロン(へぇ...こういう熱いのは今時珍しいろん)



 ティラミー(懐かしいミー。こういう時期が僕にもあったミー)

 いすず(面構えが変わったわね...)


 西也「やる気になったな」



 メガネ「この一曲、この90秒が俺達の本気ですから」



 ロック・リー「聞いてください」



 イケメン「のうりんのOPより、『ろうにん』」 

 彼等の歌は、率直に言えばつぎはぎだらけの杜撰さが目立つ。

 イケメン「受かる気しねえぜどうする?」

  受け狙いといえば、確かにそういう気がしないでもない。

 イケメン「答えがあればいいのに」

 メガネ「ないないない!」

  合いの手にしろ、歌い手の声にしろ今も緊張でどうにかなりそうだ。

 イケメン「試験受かる気しねえぜ、どうする?」

 イケメン「隣の答案 LOOK LOOK」

 イケメン・ユージ「いいでしょ~」

 メガネ「いや、ないないない!」

  だが、ここにいる全員がそれを笑うことなく真剣に見ていた。

 
 
 ♪微分 積分 二次関数 微分 積分 二次関数 微分 積分 二次関数~


 全員のコーラス「絶対合格してやるぞ~」

  ミュース達の舞台監督やダンスを担当しているモッフルから見れば、

 彼等のパフォーマンスは粗が目立っている。が、それ以上に全身から

 圧倒的な一生懸命さが伝わってくる。

  一つ一つ丁寧な動作に裏打ちされたパフォーマンスだからこそ、

 彼等の動きには一つの無駄も取りこぼしもないのだ。

  ミュースたちも最初はヘタクソだった。

  だが、そういう試行錯誤があってこそ、彼女達は輝いているのだ。

  一生懸命やってるからこそ伝わる熱意。

  それが、今の彼等を突き動かす原動力。

 マカロン(頑張るろん!四人とも最後まで頑張るろん!)

 ロック・リー「俺は甜菜だあああああああ!」

  声を張り上げ、背筋が凍るダジャレをシャウトするロック・リー

  マカロンはそんなロック・リーに在りし日の自分を重ねた。

  荒んでいた自分を救ってくれたのは、心を癒す音楽ではなく、

 へヴィ・メタルや過激な自分の心情をMAXで表現したロックだった。

 ロック・リー「ぬかぬかぬかぬかぬか」

  彼等の事情を知らないマカロンだが、きっとこの四人もアニソンを

 歌うことで自分の辛さや苦しみを救ってもらったのだろうと思った。

 

 ユージ・イケメン「勉強したい気分だ どうする?」

  曲の佳境を知らせるユージとイケメンのダブルコーラス。

  ティラミーは隣のいすずが、冗談を理解しない上、場の空気を

 読まない、あのいすずが手拍子をしているのに気が付いた。

 いすず(なぜかしら?手拍子したい気分だわ...)

  無表情で滅多に笑わないいすずが、彼等の歌で笑いを堪えている。

 イケメン・ユージ「答えがあればいいのに」

  イケメンとユージ気持ち悪い程、身体をカクカクさせているのも

 理由の一つではある。



 だが、聞いていても純粋に面白いのだ。彼等の歌は...

  ヘタクソではないが、一つ一つの動きが丁寧なのだ。

 全員「♪微分 積分 二次関数 微分 積分 二次関数~」

 全員「♪ぜったいぜったい合格 合格 合格 してやるぜ~」

 イケメン・ユージ「モー ホアッ!」

 イケメン・ユージ「アアアアアアアア!!!!!!」 



 ラティファ「わぁ...素晴らしいお歌ですね~」

  いつの間にか面接室にやってきたラティファが四人の

 健闘を称え、惜しみない賞賛の拍手を送った。

 西也「そうだな、四人ともよく頑張った」

  あの西也すら清々しい笑顔を浮かべ、惜しみない拍手をしている。

 四天王「御静聴、ありがとうございました」

  深々と頭を下げた四人はイスに座りこみ、西也の言葉を待った。






 西也「想像以上だ。是非この調子で頑張ってくれ」







 西也「来週から来てほしい。待っている」








 四天王「ありがとうございました!」

  感謝の言葉を残し、四人は去っていった。

 モッフル「西也、あの四人とエレメンタリオを組ませるフモ」

 モッフル「ちゃんとしたダンスを覚えさせれば、モノになると思うふも」

 モッフル「それに、新しいミュージカルだってできるふも」

 マカロン「いやいやいや、ぼくんところに欲しいろん」
 
 マカロン「可児江君、あの四人を僕に任せて欲しいろん」

 西也「そうだな、色々と考えてるが」

 西也「とりあえず、ユニット名を考えてやらなきゃな」

 モッフル「まぁ、いまはそれでいいふも」

 西也「ああ、できれば彼らに決めさせてやれ」



 西也「まだ、色々と覚えてもらう事を覚えてからでも遅くない」

 ティラミー「時間が押してるミー。次の奴が待ってるミー」

 西也「おっとしまった。あと何人だ?」

 ティラミー「さっきの四人の歌を聴いて二組帰ったミー」

 ティラミー「残る一組はガラの悪い奴とフリーターの二人だけだミー」

 西也「そうか、じゃあまとめて面接するか...」

 >>70さん、返答が遅れてしまい申し訳ありません。

 モッフルがキレなかった理由は、天の助がモッフルから見て気持ち悪い存在だったのと、

 そのバカさ加減に呆れ果て、手を出すだけ無駄だと判断したから。と言う解釈でお願いします。 

 ケースその6 虎とレイヨウと蛇の場合


 ラティファ「あ、あの可児江様」

 西也「なんだ、姫様?」

 ラティファ「差支えなければ、その...私も面接官をしてみたいです」

 西也「ええー...」

 ラティファ「駄目、ですか?」

 西也「駄目も何も、何を聞けばいいのか分かってるのか?」

 ラティファ「面接マニュアルがあるので、それを見ながら」

 モッフル「大丈夫ふも。ラティファ」

 西也「はぁ、分かった。モッフル、任せたぞ」

 

 ラティファ「何だか緊張しますね。おじ様」

 モッフル「大丈夫ふも。心配するな、ラティファ」

 ラティファ「じゃあ、面接を...」

  バアアアアアアアン!!

 ラティファ「ひぃっ!ど、ドアが吹き飛びましたよっ!?」





 浅倉威「イライラするんだよ」







 西也「トリケン!お前何やってるんだよ!」

 トリケン「ひぃっ!わ、わわわ私は知りませんよ?」

 西也(くそっ、ラティファの身が危ない)

 浅倉「おい」

 ラティファ「はっ、はひっ!」

 浅倉「お前も、喰うか?」

 モッフル(ポップ...コーンだと?)

 いすず(意外とフレンドリー...いやいやそんなわけない)

 浅倉「変な事考えるなよ、女」

 いすず「ッ!」

 佐野満「ど~も~。遅刻しちゃいました~!(^^)!」

 佐野「って、あれあれあれ~?」

 佐野「ひょっとしてぎりぎりセーフってやつですか~(^ム^)」

 マカロン(うっわ~。うっぜええ)

 西也「アンタが佐野満か?」

 佐野「そうですよ。佐野満です」

 佐野「お手柔らかにお願いしまーす」

 東條悟「東條が登場...ぷふっ」

 東條「どうも、東條です」

 西也(おい、どうすればいいんだよ)

 いすず「あ、あのラティ...」

 ラティファ「そっ、それでは面接を始めたいとおもっ、ますっ!」

 全員(逝ったあああああああ!)

 

 ラティファ「えーっと、それじゃあ浅倉さん」

 ラティファ「自己紹介をお願いします」

 浅倉「なんだ、俺のこと聞いてどうするんだ?」

 ラティファ「えっと、もしかしてカルシウムが不足しているのですか?」

 浅倉「面白れえガキだな。だったらどうする?」

 ラティファ「コロッケをお一ついかがですか?」

 浅倉「気が利くじゃねえか」

 ティラミー(姫様凄いミー。犯罪者と堂々と渡り合ってるミー)

 ティラミー(僕も前科者だけど、あの浅倉って奴はかなりやばいミー)

 ティラミー(これは早く抜け出して、警察呼んだ方がいいミー)

 浅倉「ぺっ。なんだこりゃ...かぼちゃか?」

 ラティファ「はい。かぼちゃコロッケです」

 ラティファ「あの...もしかしてかぼちゃはお嫌いでしたか?」

 浅倉「肉を出せ、肉。生肉でいい」

 ラティファ「申し訳ありません。合挽き肉は切らしてまして...」

 浅倉「ハッ、いいぜ、答えてやるよ」

 浅倉「浅倉威。25歳の凶悪指名手配犯だ」

 浅倉「こう見えて、高校出た後は自動車工場で働いてた」

 浅倉「どうだ?満足か?」

 

 ラティファ「はい。経歴は...凶悪指名手配犯っと」

 モッフル(姉上?!一体貴女娘に何を教え込んだんだふも?!)

 モッフル(尋常じゃねぇ程の肝っ玉ふもよ!)

 佐野「へぇ~。アンタ結構ユーモアのセンスあるんだね~」

 浅倉「なんだぁ?殺されたいのかお前?」

 佐野「物騒なこと言うなよ~(-_-)/~~~」

 佐野「俺達、これから一緒に肩を並べて働くかもしれないんだからさ。な?」
 

 佐野「あっ、面接官さん。僕の自己紹介も聞いてくださいよ」

 佐野「佐野満。大学生です」
 
 佐野(やっべぇ...あれマジモンの浅倉威だよ...)

 佐野(シルフィーちゃんにお近づきになれると思った矢先なのに...)

 佐野「ちょっと前まで遊園地でヒーローショーのアルバイトやってました」

 佐野(ひょっとして、これってかなりヤバい状況?だよな?よな?)

 佐野「けど、そこが潰れちゃってオケラになっちゃったんですよ」

 ラティファ「まぁ...それはお気の毒に」



 佐野(いや、待てよ?もし俺が、浅倉を逮捕の立役者になったら?) 

 佐野(...やっぱ面接なんかしちゃいられない!とっとと通報しなきゃ!)

 佐野「もし、なんかのヒーローショーやる時になったら呼んで下さい」

 佐野「これ、僕の名刺なんで連絡貰えればいつでも来ます」

 佐野「じゃっ、これで失礼しま...」













東條「まぁ、まちなよ...」












 

 

 東條「君の言った通り、ここであったのも何かの縁」

 東條「最後までこの部屋にいようよ?ねぇ」

 佐野「お、おう...」

 佐野(なんだよっ!ふざけんなよ!なんなんだよコイツ!)

 佐野(もしかして、コイツもそうなのか?)

 佐野(懸賞金目当てなのか?)




 東條「東條悟...です」

 東條「大学院で専門研究をしていました」

 ラティファ「まぁ。具体的にどういうことをなさってたんですか?」

 東條「別に...ニッチすぎて説明しても理解できないと思います」

 ラティファ「出過ぎたことを聞いてしまい、申し訳ありません」

 東條「んふっ...でもまぁ、理解できる範囲で申し上げると」

 ラティファ「申し上げると?」

 東條「英雄になる為の...方法を、先生と一緒に模索していました」

 西也(駄目だ!もういいやめてくれラティファ!)

 西也(お前はもう十分頑張った、だからもうこれ以上面接するな!)

 西也(こいつ等は完全なキチガイだ!お前の理解の範疇を超えている存在だ) 

 西也「あの...時間が来ているので...」

 浅倉「面白れぇ...お前が相手してくれんのか?」

 浅倉「歓迎するぜぇ?バラし甲斐がありそうだ」

 西也(たっ...助けてくれえええええ!)

 ぽつぽつぽつぽつ... ざああああああああああーっ


 ラティファ(どうしたんでしょう?先程から皆さんが静かです)

 ラティファ(疲れているのかしら?)

 ラティファ(けど、目の前の面接に来た人達をおなざりにできません)

 ラティファ(最後まで、敬意を以ってあたりましょう)

 ラティファ「では、勤務時間についてですが...」

 浅倉「なんだぁ?随分と長く時間がかかるじゃねぇか」

 東條「別に?君がせっかちなだけじゃないの?」

 ラティファ「あの?東條さん?」

 東條「あっ、はい」

 東條「午後一時から閉園まで入れます」

 ラティファ「そうですか...ご希望の職場は?」

 東條「警備でお願いします」

 ラティファ「東條さん...警備っと」

 ラティファ「佐野さんはどうですか?」

 佐野「えーっと、あのフリーなんでどこでも...大丈夫です」

 佐野(怖ぇええええ。ヤッバヤッバ。マジでヤバい)

 佐野(隣の奴は殺人犯、そしてもう一人は...)

 東條「いひっ、ぃひっ。ひひぃっ」

 佐野(クレイジーなサイコキチガイじゃねえかぁあああああ!)

 佐野「あのっ、すいません。おトイレ行きたいんですけど」

 ティラミー「あーっと、ぼくもおしっこしたいミー」

 ティラミー「いすずちゃん。いっしょに連れション行かないかミー?」

 いすず「姫様、いかがいたしましょう?」

 いすず「冷房が効きすぎているせいか、お顔が優れないような気がします」

 ラティファ「えっ、そんなことは...」

 西也「いけません姫様貴女の身に万が一があればこの甘城ブリリアントパークの
    全従業員が路頭に迷うことになりますどうかここは支配人代行である
    この可児江めの進言に従ってくださいましお願いしますお願いします」

 モッフル「...」

 いすず「...」

 西也「...」

 ティラミー「おっと、昼休みが終わってしまったみ~」

 マカロン「あーあー、もうこんな時間だろん」

 マカロン「それじゃあ、僕達持ち場に戻るろん」

 トリケン(お願いだから、見逃して...)

 浅倉「.....」

 東條「....」

 佐野(ちょっとおおおおおお!俺を置き去りにするのかよおおお)

 ぎぃ~

 

 がちゃ。ぞろぞろぞろぞろ

 

 ぱたんっ

 アリッタケノオモシヲモッテクルフモ! ヒメサマハヤク、ハヤクコチラニ

モニターシツ、モニターシツニニゲルゾ! デテクルナ、デテクルナミー

 

 佐野「やだぁああああああ!やめてええええええ!」




 佐野「俺を一人にしないでくれええええええええ!」




 佐野「俺は帰らなきゃいけないんだ、俺の家(セカイ)に」





 佐野「親父が死んで莫大な遺産が転がり込んできたってのに」





 佐野「いやだぁあああ!出してッ、出してええええええ!!!」

 浅倉「ちっ、テメェのせいだ」

 浅倉「可愛いペットに餌をやりそこなったじゃねえか」

 佐野「あっ...ああああっ」

 東條「ねぇ?英雄になるための条件って知ってる?」

 佐野「知らねぇよ!だから何なんだよお前!」

 佐野「さっきから意味不明なんだよ!」





 東條「大切なものを犠牲にして、人は英雄になれるんだ」





 


 佐野「おい、冗談止せよ...」




 佐野「だって、俺達今日初めて会っただけだろ?」

 東條「僕にとって、君の命は最も尊いものなんだ」

 浅倉「どいつもこいつも面倒くせぇ...戦うぞ」

 東條「ねぇ?君達を殺せば...僕は英雄になれるかな?」

 東條「へんしん...」

 浅倉「そうこなくっちゃ...なぁっ!」

 浅倉「変身っ!」

 

 ここからはおジャ魔女インペラー(面接版)でお送りします。


 ♪FUUUUUU

  満のメンセツ あっさり×4 墓場行き

  ソイヤッ!

  100点満点 ウーララ×4 

  エベレスト!

  満のドキドキハートが 保ちそうにないよ(最後まで)

  東條が登場 (面接会場に)

  さっさとにげよっ 自分の家(せかい)に

  ないしょのままで 

  RUN AWAY!

  王蛇と東條 ドッカーン!

  さぁさ遊べよ 遠慮はなしだ

  満も変身  ボーゼン(絶望)

  おいでなすった さぁさ絶望

  なんてったって CRY CRY CRY CRY

  叫ぼう!

  CRY CRY CRY CRY

  仲間が退場 (ギガゼール全滅) ドッカーン!

  ごらんあそべよ ファイナルベント(ヘビープレッシャー)

  ガゼルが乱心(契約した最初のギガゼール)

  背中をグサリ

  はちゃめちゃ

  RUN! RUN! RUN! RUN!

  逃げよう!

  RUN! RUN! RUN! RUN!

  逃げよう!

  殺リン

  こけたら...

 
 「FINAL VENT」

  
  ドッカーン!


 佐野「うわあああああああああ!」

 佐野「あぐっ」


  王蛇のハイドべノンは満の四肢を軽々と吹き飛ばした。

  逃げようにも、にげられず...

  もぞもぞと芋虫の様にうごめく佐野をマスク越しに冷笑を浮かべ、

 東條はストライクベントで呼び出したデストクローに彼の身体を

 突き刺し、ボタボタと落ちてくる彼の血を浴びながら絶叫した。

  血に塗れたタイガの姿は、英雄よりも殺人鬼に近かった。

  地面に叩き付けられ致命傷を負ってなお、満には息が残っていた。 

  ...それが、消滅を待つ間のともしび程度の命であっても。

 
 王蛇「英雄が聞いて呆れる」

 王蛇「人食い虎となんら変わりないじゃねえか」

 王蛇「早く殺せよ...」

 王蛇「ソイツを殺せば...強くなったお前と殺しあえる。愉しみだ」

  王蛇はメリーゴーランドに乗り込み、芋虫がどう死ぬのかを

 ゆっくりと観察することにした。

 
 佐野「...れは、えらな...と、けなん」

 佐野「ゆりえ...ゆりえ...ゆりえ」

 東條「ごめんね...ごめんなさい。君のことは忘れないから」 

 タイガはライダースーツを丁寧に引き剥がす。

  その手先は生まれてこの方、獣を捌いたことのない素人とは

 到底思えない程の精巧な皮剥ぎの仕方だった。

  両股の内側に、クローで切れ目を入れ鋭い爪で腹の皮を剥ぐ。

 佐野「ぎゃあああああああああああ」

  痛みが無いようにと全力で引き剥がした為、かえって満に痛みを

 与えてしまった。

  背中も同じようにスーツを剥ぎ取ると、最後にマスクだけが

 手つかずのまま残った。

 佐野「頼む...殺せぇ...殺してくれぇ...」

 東條「大丈夫、優しくするから...さぁ!」

  東條は....




  インペラーの角を掴み、そこから真っ二つにマスクをかち割った。






 佐野「あっ...ああああ...あああ」

  失血による緩やかな死が満の身体を駆け巡る。

 東條「食べていいよ...頭は残してね?」

  デストワイルダーは、契約主にとても忠実だった。

  既に消失しかかっている体。

  だが、意識だけは最後まで残る。消えるまで残り続けるのだ

 


 東條「さぁ、第二ラウンドを始めようか」

 浅倉「時間がない。早くしろ」

  ああ、俺は家に帰れなかった。

  タイガに放り投げられ、すぐに落ちる俺の首。










 

  そして両側から迫る二つの武器が滑らかに俺の頭を












 ~~~~

 いすず「ラティファ様...御免!」

 バキュンッ!

 ラティファ「はうっ」

 マカロン「...いすずちゃん、それって」

 いすず「フォーゴットン・レルム。残り一発よ」

 西也「トリケン...」

 西也「今日はお前、もう帰れ」

 トリケン「どっ、どうか御慈悲を...」

 西也「勘違いするな。お前を首にするつもりは毛頭ない」

 西也「このことは他言するな。全員、いいな?」

 モッフル「ふも」

 マカロン「分かったろん」

 ティラミー「忘れることにするミー」

 西也「モッフル、千斗と一緒にラティファを頼む」

 モッフル「分かったふも」

 廊下

 
 
 西也「なぁ、メープルランドの住人ってのは鏡を自由に


    行き来できる力を持ってたりするのか?」

 マカロン「そんなことあるわけないろん」

 ティラミー「流石の僕達でも鏡の中に入るのは無理だミー」
 
 西也「いや、だったらいいんだ」

 西也「実はな、部屋の横の鏡から...」

 マカロン「いっ、言わないでほしいろん」

 ティラミー「ミー...こっ、怖かったミィ~」







 西也「やっぱり、お前らにも見えてたか」







 マカロン「むっ、紫のコブラの化け物が僕を見て...」

 ティラミー「ミー...僕なんか人型の虎の化け物に睨まれ続けたミー」

 西也「ラティファが盲目だったことが幸いしたな」

 西也「ラティファが声を上げていたら、俺達は全員喰われてた」

 西也「午後からの面接のヤツは、全部明日に回せ」

 西也「持ち場に戻れ、さっきのことはもう思い出すな」

 マカロン「分かったろん」

 ティラミー「う、うん」



 今日の投稿はこれでおしまいです。

 明日、また投下するつもりです。

 面接二日目


 可児江(昨日の面接は忘れる事にしよう)

 可児江(凶悪殺人犯を面接したなんてことになれば倒産しかねん)

 可児江(はぁ...残りの人数を数えるのも憂鬱だ...)

 可児江(昨日より、もっと異常な奴が来るような予感が...)

 いすず「可児江君。今日も面接頑張りましょう」

 可児江「ああ、待ってるやつを呼んできてくれ」
 

 ~~~

 ケースその7  親父ィ...と息子の場合

 
 バラガス「失礼しますぞ...」

 ブロリー「どうも、失礼します」

 ラティファ(うわぁ~、渋くておじ様系でダンディな男の人...)

 いすず(典型的なニートとそれに苦悩する父親の姿ね)

 西也「座って下さい」

 バラガス「では...ほらブロリー」

 ブロリー「はい」


 

 ラティファ「では、これから面接を始めたいと思います」

 ブロリー(か...可愛い...///)

 ラティファ「えーっと...履歴書を拝見させていただきましたが」

 ラティファ「まず、気軽に自己紹介をお願いします」

 バラガス「私の名前はバラガス。地球とは異なる銀河の出身です」

 バラガス「地球に来るまでは、南の銀河で親子で大暴れしてました」

 ラティファ「まぁ...随分と血気盛んなのですね」



 バラガス「物心ついた時から、戦わなければ生き残れなかったので」

 ラティファ「分かります。その気持ち」

 ラティファ「私も父親を失いましたから...」

 バラガス(もしかしたら...このお姫様ならば)

 バラガス(ブロリーと、私の息子と友達になってくれるかもしれない)


 ~バラガスの回想~


 バラガス「南の銀河は全て征服した」

 バラガス「金もある、力もある...なのに満たされない」

 バラガス「私は...このままでいいのだろうか?」

 ~~

 ブロリー「親父ぃ…うるさいぞ」

 パラガス「おっと、飯が出来たぞブロリー」

  はぐはぐもぐもぐ

 ブロリー「親父、次の計画はどうなってるんだぁ?」

 パラガス「じゅっ、順調に進んでいるっ」

 パラガス「俺とお前、二人で宇宙最強の帝国を造り上げるのだぁ」

 ブロリー「……、はい…」




 バラガス(くっ、ブロリーは兵器ではない!私の息子だ)

 バラガス(だが、どうすればいいんだ?)

 バラガス(戦うことでしか生きられないサイヤ人に...)

 バラガス(闘い以上の幸せなど、与えられるものか?)

 ブロリー「親父ぃ…」
 
 バラガス「な、なんだね?ブロリーよ」

 


 
 ブロリー「もう、戦いたくない」


 

 
 バラガス(私はブロリーのSOSをとても嬉しく思った)

 バラガス(生まれて初めて、子供に必要とされたのだ)

 バラガス(闘い以外で、生計を立てられるなら)

 バラガス(いっそ、毎日がハッピーな場所で親子でやり直したい)

 バラガス(そうだ、地球に行こう。テーマパークで働くんだ)

 バラガス(人気がある所でなくてもいい、倒産寸前でもいい)

 バラガス(こうなったら、善は急げだ)


 ~回想終わり~

 ラティファ「では、次にブロリーさん」

 ラティファ「自己紹介をお願いします」

 ブロリー「...ブロリーです」

 ブロリー「歳は30歳です」

 ブロリー「得意なことは...破壊です」

 西也(昨日の奴よりも危険じゃねえか!)

 西也(見れば見るほど何をしでかすか分からねえぞこの親子!)

 西也「随分と物騒な特技だな」

 西也「テーマパークでもぶち壊そうってのか?」

 ブロリー「物心ついた時から...命を狙われていました」

 ブロリー「保育器から引きずり出され、ゴミ捨て場に捨てられました」

 西也(うっ...やめろ。そんな哀しみを込めた眼差しで俺を見るな)

 ブロリー(親父ぃ...やっぱりむりだよ)

 バラガス(そっ、そんなことないぞブロリーよ)

 バラガス(見ろ、面接官さんの表情を)

 いすず「」無表情

 ラティファ「」興味津々

 西也「」イライラ

 ブロリー「あの..以上です」


 ラティファ「はい。自己紹介ありがとうございました」 

 ラティファ「では、いくつか質問をさせていただきます」

 ラティファ「バラガスさんとブロリーさんは遊園地で遊んだことは?」

 ブロリー「ありません」

 バラガス「私も同じく」




 ラティファ「じゃあ、どんなことをして遊んでいましたか?」

 ブロリー「惑星を...破壊し尽」

 バラガス「うぉっほん!テーブルゲームとアスレチックです」

 ラティファ「では、遊園地とはどういう場所だと思いますか?」

 ブロリー「遊ぶ場所...でしょうか」

 バラガス「笑えない人でも笑顔になれる場所だと私は思います」

 ラティファ「はい。ありがとうございます」




 ラティファ「では、ブロリーさんはどんな風に働きたいですか?」

 ブロリー「...わかりません」

 バラガス「こっ、これブロリー」

 バラガス「申し訳ありません、何分息子は内気な物でして...」

 バラガス「本人はなるべくにぎやかな所で働きたいと...」

 ラティファ「はい。そうですか」



 ブロリー(なぜだろう...)

 ブロリー(今まで、俺に話しかけたどんな奴ともこの人は違う)

 ブロリー(戦闘力だけ見ればオールマイナス。下の下だ)

 ブロリー(だけど...)

ブロリー(どうしてだろう?)

 ブロリー(目の前のこいつを破壊しようとする気が起きないのは...)



 ラティファ「色々なお話を聞かせて頂き、ありがとうございました」

 バラガス「いえいえ。むしろこちらこそありがとうございました」
 
 ラティファ「ところで、バラガス様」

 バラガス「はい、なんでしょう?」

 ラティファ「ブロリー様は、あまり笑われないのですね」

 バラガス「戦場で二十年以上戦っているのです」

 バラガス「笑顔は、油断の証。死を招くと教え込みました」

 ラティファ「そうだったんですか...」



 ラティファ「笑顔と言う物は、花に似ている。そう思いませんか?」

 バラガス「私は、そうは思いません」

 バラガス「どのようなものも、笑みは包み込みます」

 バラガス「それが虚飾を孕んだ悪意の塊であっても」

 ラティファ「ブロリーさんも、お父様と同じですか?」

 ブロリー「俺は、戦いしかできないから...」



 ラティファ「....」

 ラティファ「過保護さは、時に成長を阻害する」

 ラティファ「私の母が、花を育てる時に口を酸っぱくして言っていました」

 ラティファ「お二人の事情はよく分かりませんが...」

 ラティファ「私としては、ここで働いてくださる以上...」

 ラティファ「お二人も、とびきり幸せになってほしいんです」 

 バラガス「....」











ブロリー「幸せって...なんだぁ?」ガタッ










 バラガス(?!まっ、まずい...)

 バラガス(このままだとブロリーがスーパーサイヤ人化してしまう)

 ブロリー「こんなちっぽけな...屑どものぉ集まる場所に何の価値がある?」

 ブロリー「所詮、クズは幾ら集まってもクズだァ」

 ブロリー「金もない、ボロボロ、何の魅力のないゴミマスコット共」ズウウウン

 ブロリー「とことん、人を笑わせてくれるなぁ...小娘」ニタニタ

 西也「だっ、だまれ!」

 ブロリー「フン!この俺に楯突こうというのかぁ?ヒョロガリめぇ!」

 西也(駄目だぁ...もう、御終いだぁ...)ベジータ




 ラティファ「ブロリーさん」

 ブロリー「なんだぁ?」

 ブロリー「この俺に対して...楯突くとはなぁ...」

 ブロリー「覚悟はできているんだろうなぁ?」








 




 ラティファ「まずは、お友達から始めてみませんか?」











 ブロリー「はぁ?」









 




 バラガス(しっ、信じられん...ぶっ、ブロリーの気が治まっている?!)

 ラティファ「生まれてこの方、私は人に迷惑を掛け続けていました」

 ラティファ「私の出過ぎた発言の数々で、お気を悪くされたなら謝ります」

 ラティファ「申し訳ありません。ブロリー様」

 ブロリー「貴様と...この俺がかぁ?」

 ブロリー「フフフ...ハアーッハッハッハッハッハッハ」

 ブロリー「何を以って、そこまで大きく出た?んん~」

 ラティファ「貴男も、何かに囚われ続けていた...そうでしょ?」

 




 バラガス(わっ、私は夢でも見ているのかッ?!)

 バラガス(私は...制御装置でしかブロリーの制御を成し得なかった)

 バラガス(しかし、この目の前の少女は『説得』によりブロリーを鎮めた)

 バラガス(超サイヤ人になった上に、誰かとの会話が五分以上続いている)

 バラガス(きっ、奇跡だ...この少女なら、ブロリーを救えるかもしれん!)



 ブロリー「うっ、きっさま~一体何をしたぁ」

 ブロリー「さっきから戦おうとしているのに...戦う気が起きないぞぉ」

 ラティファ「はい」

 ブロリー「手四つかぁ?いいだろう。握り潰し...」

 ラティファ「あくしゅ」

 ブロリー「....」

 ラティファ「大きくて、逞しい手ですね」

 ラティファ「でも、傷だらけ...」

 ブロリー「やっ、やめろぉ...」

 ブロリー「キサマァ、これ以上俺にさわるなぁ...」

 ラティファ「まるで、大きな世界樹みたいな身体ですね」

 






 ラティファ「手が後ろまで、回りません」








 バラガス(なっ、涙が...涙が止まらないぞおおおお!)

 バラガス(戦士にとって、背中を取られることは死を意味する)

 バラガス(この少女とて、それは重々承知しているはずだ)

 バラガス(誰とも...誰にも、心を開くことのなかった私の...息子が)

 バラガス(見ず知らずでありながら、か弱き少女に抱きしめられている)

 バラガス(わっ、私の...出来なかったことを)

 バラガス(ありがとう...本当に...ありがとう) 

 バラガス(息子に『温もり』を教えてくれて...)




 ブロリー「気分が悪くなった...帰るぞぉ、親父ィ」

 バラガス「ああ、帰ろう...」

 ラティファ「また、いらしてくださいね?」

 ラティファ「もう一回ここに来てください」

 ブロリー「...気が向いたら、父と一緒に来ます」

 ラティファ「その時は私、お二人をご案内します」

 ラティファ「それで...もし、気が変わったら」

 






 ラティファ「甘城ブリリアントパークで、一緒に働きませんか?」







 



 ブロリー「訳が分からん...」

 ブロリー「だけど、胸がもやもやする」

 ブロリー「親父ぃ...こういうのはなんていうんだ?」

 バラガス「嗚呼、ブロリーよ...そういう時はな」




 バラガス「ありがとう。うれしいよ。といえばいいのだぁ」




 ブロリー「そうか...」

 ブロリー「命拾いしたなぁ...屑ども」

 いすず「」キゼツ

 西也「」キゼツ

 ブロリー「ハアーッハッハッハッハッハッハ」

 ブロリー「またきてやるぞぉ!『ともだち』」

 ラティファ「はい。お待ちしています」

 ブロリー退出

 

 バラガス「姫様...私の息子に、ありがとう。本当にありがとう...」

 ラティファ「いいえ、こちらこそありがとうございました」

 ラティファ「私、目が見えないんです」

 ラティファ「ブロリーさん。それに途中から気が付いていました」

 ラティファ「私が握手したり、抱きしめた時」

 ラティファ「大きなオーラでブロリーさんの全体像が分かるように

       私に教えてくれていたんです」


 ラティファ「ブロリーさんってとっても大きいんですね」


 バラガス「信じられん...あのブロリーが他者に何かを伝えたと?」

 ラティファ「それと、一つ謝らなければなりません」

 ラティファ「私には、アルバイトさんの採用権限がないんです」

 ラティファ「無理を言って、同席させてもらっただけのお飾りなんです」

 

 バラガス「そんなことなどありますまい!」

 ラティファ「えっ?」

 バラガス「ずっと宇宙で一人ぼっちだった、あのブロリーの心を開き」

 バラガス「あまつさえ『愛』を教えてくれた貴女が」

 バラガス「ここにとって不必要な存在?」

 バラガス「そんなことは、絶対に断じてあってはならない!」

 バラガス「貴女はずっと愛されているのですよ...ラティファ姫」



 バラガス「では、老骨は失礼させていただきましょう」

 バラガス「採用は『保留』ということでよろしいですかな?」

 ラティファ「出来る限りのお口添えはさせていただきます」

 バラガス「近いうちブロリーが、またここに来るでしょう」

 バラガス「その時は、息子をよろしく頼みますぞ?」

 ラティファ「何をおっしゃっているんです?」








 ラティファ「遊園地は、親子で楽しむ場でもあるんですよ?」









 バラガス「...つくづく、私は貴女に思い知らされてばかりだ」

 バラガス「息子と一緒に、貴女をエスコートしましょう」

 バラガス「年甲斐もなく、その日が待ちきれませぬ」

 バラガス「最大級のプレゼントを用意して、馳せ参じましょう」

 バラガス「では、これにて失礼をば」

 
 バラガス退出


 ケースその8 名探偵っすよ うさみちゃん 出張編の場合


 いすず「次の方どうぞ」

 クマ吉「あっ、どうも」

 西也(いかんっ、あれはティラミー以上の犯罪者だ)

 西也(千斗、すまんっ!ラティファの身代わりになってくれ)

 西也「ラティファッ!出るっ「いわせないよ~」」

 ラティファ「?」

 いすず「まっ、待って可児江君。置いてかないで」

 いすず(何てこと...、こうしてはいられない)

 いすず(モッフル卿を呼びましょう)



 クマ吉「ぐふふふっ、爆乳ボインな面接官さんだぁ~」

 クマ吉「あっ、自己紹介ですね」

 クマ吉「どうも...変態じゃないよ」

 クマ吉「仮に変態だとしても変態という名の紳士だよ!」

 クマ吉「今日は(大人の)社会科見学にきました」

 いすず「ッ!」

 いすず(しまった!?背後を取られたッ)

 クマ吉「はぁ~っ、お姉さんのツン、とした脇の匂い」

 いすず「きゃああああああああ?!」

 クマキチ「ペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロペロ」

 クマキチ「甘酸っぱい貴女の香りと、蒸れた汗の酸っぱい匂い」

 







 クマキチ「たまらねぇ~」









 クマキチ「うんうん、いけるぅ。いけるよぉ~」

 クマキチ「ペロペロキャンディーのフレーヴァ―にいすず味って」

 クマキチ「ありだよね~?」

 いすず「ひぃいいいいいいいいいっ!?」

 いすず「助けてっ!誰か―ッ」

 クマキチ「ぐふふふふふ。今回はうさみちゃんはこないよ~」

 クマキチ「一ヶ月前に半殺しにして、今は病院のベッドの上さ」

 いすず「いっ、いやあああああああああ」

 バタンッ

 モッフル「もう大丈夫だふも!いすず」

 いすず「モッフルきょ~。怖かったよおおおおおおお!」

 マカロン(あのいすずちゃんがマジ泣きしてるろん)

 マカロン(って、あれ?もしかして...クマキチ先輩?)

 ティラミー「クマキチ先輩!?どうしてここにいるんだミー?」
 

 ??「クマ吉くん。また違う世界で迷惑かけて」

 クマ吉「げぇっ、うさみちゃん...じゃない!!だっ、誰だ!」

 ??「私はうさみの母!ウサギよ!」

 ウサギ「よくもうちの娘を半殺しにしたわね!!」

 クマキチ「はははははっ!いい加減うんざりなんだよっ!」

 クマキチ「溢れ出る性欲と言う無限の欲望を」

 クマキチ「抑えきれないことを悪というのならば」

 クマキチ「それを悪と断じるうさみちゃんを僕は蔑如する!」

 ウサギ「狂人め...皆の者!こやつをひっとらえい!」

 クマ吉「いすずちゃん、忘れないからね...またこんど」

 メープルランド憲兵隊により、変態王クマキチは逮捕された。

 だが、彼の残した脅威は計り知れなかったのだ...  


 モッフル「あれが、メープルランド1の性犯罪者...」

 マカロン「はーぁ、生きた心地がしなかったろん」

 ティラミー「犯罪王下七武海...バーソロミュー・クマキチ」

 ラティファ「きゃあああああああああ」

 西也「らっ、ラティファッ!どうした」

 ラティファ「わっ、私の...着が」

 いすず「妃殿下....背中に付箋?」

 

 モッフル「?!ちょっとそれを見せるふも!」

 モッフル(メープルランドの変態王といえば、君も知ってるよね?)

 モッフル(次は、貴女の処女を盗みに舞い戻ってきます)

 モッフル(それまで、貴女の下着は預かります...だと?!)

 モッフル(犯罪王下七武海'変態王'バーソロミュー・クマキチ)

 モッフル(追伸)

 モッフル(ティラミー君によろしくね) 

 ティラミー「クマキチ...先輩。どうしてここに来てしまったんだみー....」



 名探偵っすよ うさみちゃん 出張編未完 続くかも...

 ケースその9 

 ヤンデレな由乃に愛されてバイト面接もままならないっ!編

  
 西也(バイト面接って...こんなに疲れるもんだっけ?)

 いすず「西也君...もう、バイト面接を止めましょう」

 いすず「なんか、もう...いっぱいいっぱいで」

 西也「だ、駄目だ!まだ続けなければ...続けないと」

 こんこんこん

 まだですかー

 西也「気が進まんが...速攻で片づけるぞ」

 いすず「ええ」

 西也「入ってくれ」




 由乃「はーい、失礼しまーす」

 雪輝「ど、どうも」

 西也(ああ、愛が重すぎるたぐいのカップルか)

 いすず「では、履歴書をお願いします」

 由乃「はーい」

 雪輝「お願いします」

 いすず「...」

 西也「千斗、何があった?」

 いすず「ちょっと、トイレに行ってくるわ」

 西也「あっ、おい」

 西也(逃げやがった...気が向かないが履歴書に目を通すか)




 
 希望する職種 ユッキーの側にいられるならなんでもやります。

        ユッキーと離れ離れにしたら...

  
        [ピーーー]よ、お前





 西也「勘弁してくれ....」








 西也「えっと...自己紹介をお願いします」

 雪輝「天野雪輝です」

 雪輝「高校生募集と書いてあったので、このバイトに応募しました」

 由乃「私は我妻由乃です」

 由乃「ユッキーが心配なので、このバイトに応募しました」

 西也(動機が恐ろしい...) 

 西也「で、率直に聞くがお前らは何をしたいんだ?」

 雪輝「えっと、フードコートで働きたいです」

 西也「で、もう一人の君は?」

 由乃「同じくフードコートです」

 西也「話を変えるが、天野君」

 雪輝「はっ、はい」





 


 西也「君の彼女、ここで働くのに向いてないんじゃないのか?」







 雪輝(ちょっとおおおおおお!やめてくれよ~)

 由乃「おまえ...」

 雪輝(あああああああ...四六時中由乃に束縛されるのが嫌で)

 雪輝(せわしなく動ける調理場に応募したのに~)

 由乃「いい度胸してるね、お前。私のユッキーに色目使うとは...」

 西也「はぁ?!うっ...ぐ」

 雪輝「ゆのおおおおおお!何してるんだよっ!」

 西也「げほっげほっ!」

 西也(くっそ!女の蹴りじゃねえぞ)

 西也(昨日のことがあって、腹に鉄板仕込んどかなかったら...)

 西也(殺されてたぞ、俺?!)



 由乃「ねぇ...さっきの質問はどういう意味なのかな?」

 西也「ぐっ...おおおおお」

 雪輝「やっ、やめろよぉ、由乃」

 由乃「ユッキーは黙ってて!!」

 由乃「さては、お前も秋瀬と同じホモだな?」

 西也「断じて...違う」



 由乃「嘘をつくなッ!」
 
 西也(やっぱりそうだ、この女異常に束縛と独占欲が強い)

 西也(その上、頭の回転がとんでもなく速い)

 由乃「ユッキーを見るなあアアアアアア!」 

 雪輝「ああっ!?」

 雪輝「パイプ椅子はやめるんだ!由乃」

 西也「ごわっ?!パイプ椅子って...女子プロかよ」








 ??「やれやれ、やっぱり我妻さんよりも雪輝君には僕が必要なんだよ」







 秋瀬「我妻さん、駄目じゃないか」

 秋瀬「雪輝君に迷惑を掛けちゃ」

 由乃「秋瀬ェ...お前、どこまでも私とユッキーの邪魔をォ...」

 西也「君は、誰だ...」

 秋瀬「僕の名前は秋瀬或、この二人の友達です」

 西也「たっ、頼む」

 西也「この二人を、特にそこのピンクを...」

 秋瀬「はい。大丈夫ですよ。すぐに静めますから」



 由乃「秋瀬ェエエエエエ!またしても邪魔しやがってえええ」

 秋瀬「我妻さん、雪輝君の邪魔するなよ」

 秋瀬「確かに雪輝君は、人と接するのが苦手さ...」

 秋瀬「けど、君が...世界で一番雪輝君を愛している君が」

 秋瀬「彼の成長と自立を妨げるのは本末転倒じゃないのか」

 由乃「うっ...でも、ユッキーが」

 秋瀬「プライベートな事に首を突っ込まれるのは誰でもいやさ」

 秋瀬「最愛の彼女にちょっとばかり値の張る小粋な贈り物をしたい」

 秋瀬「けど...男ってのは難儀なもんでね」

 秋瀬「君が四六時中見張ってりゃ、贈り物の価値が半減しちまう」



 由乃「そうなの?ユッキー」

 雪輝「ああ!そうだよっ」

 雪輝「由乃の側にいりゃ、何が欲しいのかくらいわかるよ」

 雪輝「僕は由乃の...恋人なんだから」

 由乃「ゆっ、ユッキー」

 雪輝「だから、お金稼ぐのは自分一人で頑張りたかったんだよ」

 由乃「そうだったんだ...ごめんね、ユッキー」

 西也(この二人より、秋瀬って奴を雇おうか)



 西也「まぁ...落ち着いたか?」

 由乃「あの、さっきはすいませんでした」

 雪輝「ごめんなさい。もう僕達帰ります」

 西也「あっ、ああ。そうか」

 西也「次の面接頑張っ...」




 秋瀬「ええっ!?そんな恐ろしいこと...よくできますね」



 
 西也「どういう意味だ?!」

 秋瀬「個性的で有能な人材を逃すと...後が怖いですよ」

 秋瀬「そういう意味です」

 秋瀬「ねぇ、我妻さん」

 由乃(雇わなきゃ、お前を[ピーーー])

 西也(うっ、目が...目が正気じゃねえ!)



 秋瀬「ここは僕の顔を立てて、この二人を雇ってみませんか?」

 秋瀬「こう見えて、僕はトラブルバスターを自負しています」

 秋瀬「しかも我妻さんは腕っぷしも強い」

 秋瀬「最愛の雪輝君が絡めば、非合法なことも進んでします」

 秋瀬「雪輝君は、まぁ...見ての通り意気地なしな面もありますが」

 秋瀬「それでも研修すれば、必ず使い物になりますよ」

 西也「それで?お前ら三人を俺が雇うと言う根拠はどこから出た?」

 秋瀬「貴方、僕とこの二人を天秤に掛けたでしょう?」

 秋瀬「物欲しげに僕を見つめる視線...見逃しませんでしたよ?」

 西也「やっ、やめろぉ!」



 秋瀬「大丈夫、まだ今のところ貴方はDEAD ENDになっていない」

 秋瀬「しかし、『貴方』が『貴女』になるのは選択肢次第です」

 秋瀬「さあ、どうしますか?」

 雪輝「由乃?後ろに持ってるのは...」

 由乃「グーチョキパー グーチョキパー グーチョキパーで」

 由乃「何をしよう?何をしよう?」

 西也(トンカチとハサミと大根おろしじゃねえかあああ!)
 
 西也(いっ、嫌だ...きょ、去勢は勘弁してくれえええ!!)

 



 西也「わっ、分かった採用。採用する」
 
 西也「あっ、秋瀬」

 秋瀬「はい、なんでしょう?支配人」

 西也「お前は今日から俺の秘書だ!」

 西也「あと、この二人の監視係に任命する。いいな!」

 秋瀬「了解しました」

 由乃「やったねユッキー。これで一緒だよ」

 雪輝「ゆーーーのーーーーぉ~」


 



 ケース10 お嬢様のお気に召すままに編


 いすず「可児江君...次の面接者なんだけれど...」
 
 西也「なんだ?まだ何か問題があるのか?」

 いすず「こんな履歴書って...見たことある?」

 西也「くらやしき たえ」

 西也「ああ、氏名は...よしとしよう」

 西也「だが、だが...」



 西也「普通、振り仮名欄に自分の名前を小さく書くのか?」







 いすず「蔵屋敷といえば、世界有数の企業よね」

 西也「ここのアトラクションの設計を担当したのも蔵屋敷だな」

 西也「あそこの社長の子供なのか?」

 西也「まぁ、学校はそれなりのところに行ってるようだな」

 西也「憐桜高校。日本指折りのお嬢様とかが通うエリート高校だ」

 いすず「免許や資格は、今のところなし」

 いすず「でも、一番問題なのが...ぷふっ、特記事項欄」

 西也「何がそんなにおかしい?」

 いすず「だって...だって」

 『悪い事は言わん、コイツを雇うな』

 『そうね、ポンコツおバカの上、無駄にハイテンションだもの』

 『すいません、上の二人が書いたのが私の娘の最大の特徴です』

 『そのうえで、娘に構ってやってください』

 『根はいい子なのですが、如何せんオツムがちょっと...』

 『なので、どうかお願いしますね?ゴゴゴ」

 『倉屋敷亜希子』

 『追伸』

 『面接日には娘の付き添いがドバっと来るでしょう(意味深)』

 

 西也「おい、これってさりげなく雇え雇えって言ってるのか?」

 いすず「でも、これってあれに似てるわよね?」

 いすず「小学校の通知表の先生の書く所見欄に」

 西也「まぁ、時間にルーズだとか親に見られていやな事を...」


 ???「どーーーーーーーん!」


 西也「ぶーっ!?」

 

 ???「私がっ!蔵屋敷たっ、妙よ...」

 海斗「ぶっ...ぶふっ!れっ、妙よ...おっ、お前って奴は」

 西也「あー、あのっ?どちら様でしょうか?」

 ???「くらやしき たえっていってるでしょうがーーー!!」

 いすず「..はぁ」

 海斗「アーッハッハッハッ!妙、お前って奴は最高だぜ!」

 西也「アンタは?」

 海斗「ん?おお、自己紹介がまだだったな」

 海斗「俺は朝霧海斗。この...お嬢様のボディガードやってる」

 海斗「まっ、今日は俺は口を出さないから頑張れや、た・え」

 麗華(ううっ、覚えてなさいよ...海斗ぉ~)

 ~遡ること、二時間前~


 海斗「もしもし?ああ、アンタか?なにか用か?」

 亜希子「もしもしっ海斗君ッ!?妙は?そっちにいない?!」

 海斗「いねぇよ?そんなに慌ててどうしたんだ」

 亜希子「それがね、あの子ってば面接が嫌で逃げたのよ」

 海斗「侑祈は?アイツがいるんじゃないのか?」

 亜希子「迂闊だったわ、最近忙しくて侑祈のメンテが今日だったの」

 海斗「あー、切るわ」

 亜希子「まっ、待って海斗君」

 海斗「どうせ妙の代わりに面接に出ろって話だろ?」

 海斗「更に、その代役をウチのお嬢様にやってほしい。違うか?」

 亜希子「一生のお願い。海斗君、ヘルプミー!」

 海斗「自分から麗華に頼んでくれ、電話位は取り次いでやるよ」

 海斗「ちょっと待ってろ...おーい、麗華ー」

 麗華「なぁに?誰からの電話よ?」

 海斗「ああ、亜希子さんがお前に変わってくれって」

 麗華「しょうがないわね...もしもし、二階堂です」

 麗華「ええ、はい、はい。えっ?」

 麗華「そっ、そんなこと言われたって、そんな急に」



 麗華「ちょっ、話が終わってませんよ?」

 麗華「えっ、うっ嘘。なななな、そんなっふざけないでください!」

 麗華「もしもーし」

 麗華「切れちゃった...」

 海斗「で、何言われたんだよ?」

 麗華「...わよ」

 海斗「はぁ?どこに」

 麗華「...潰れかけの、遊園地によ...」



 ~回想終わり~

 

 麗華(落ち着きなさい、二階堂麗華)

 麗華(あの妙のモノマネくらい、朝飯前じゃない...)

 いすず「えっ、ええー...では、面接を始めたいと思います」

 いすず「まずは、自己紹介をお願いします」

 麗華「蔵屋敷妙でーす」

 いすず「蔵屋敷妙?どのような漢字を書くのでしょうか?」

 麗華「あーっ、お姉さん私のことバカにしてるでしょーっ?」

 麗華「ええっとぉ、内臓のぞうっていう字でしょ...」

 海斗(いきなりエグイたとえが来やがった)

 麗華「あとぉ...屋って言う字とぉ」

 海斗(おっ?このまま正解までいくか?)

 


 麗華「あーっ、ひょっとしてぇ、もしかしてぇ...」



 麗華「お姉さんってアホの子なの?」



 海斗(あー、ありゃ、麗華と同じようにすぐ手が出る類の女だな)

 海斗(蔵屋敷って言えば、大抵の遊園地のアトラクションの

    設計とかも手広く手掛けている)

 海斗(見た所、隣の俺様野郎にきつく言い含められたんだろうな)

 海斗(さてさて、一体どんな面白いものが見れる事やら...ククッ)



 いすず「そっ、それは、どういう意味で言ってるのかし、ら?」





 いすず(堪えなさい、堪えるのよ、イースズルハ)

 いすず(冷静沈着に、どんな時も狼狽えないでいれば大丈夫)

 いすず(落ち着きましょう)

 
 
 麗華「やっぱり図星じゃない!ふふーん、勝った~」


 麗華(こんなことなら、彩にでも頼めばよかったわ)

 麗華(軽くあしらっても、かなりのストレスを感じるのが妙)

 麗華(本人、いいえ、それ以上に精巧にコピーしている)

 麗華(まだ、まだ大丈夫よね?)

 麗華(ボロが出たりしてないわよね?わたし)


 いすず「し、失礼しました」

 いすず「自己紹介は、もう結構です」

 いすず「で、では、次に志望動機をお願いします」

 麗華「志望動機?え~っと」

 麗華「ふえええ、そんなの考えてないよ~」

 麗華「なにいえばいいのぉ~、ねぇ海斗ってばぁ~」

 いすず(がっ、我慢しないと...我慢しなきゃ)ビキビキ

 いすず(可児江君がヤンデレの面接を完全にやりきったように)

 いすず(私も、最後まで面接を...完遂しなければ)

 麗華(ふふっ、上手くいってるわ)

 麗華(本音と本心が逆になって墓穴を掘る)

 麗華(無茶振りであっても、これ以上に無い程のクオリティ)

 麗華(あとは、地雷踏んで面接不合格って流れに持っていけばいいわ)

 西也(そろそろ千斗がキレそうだ)

 西也(無理もない、よな?)

 西也(変態に脇をペロペロされた後、精神不安定になりながらの

    このバカの面接をしているのだ)

 西也(しかし、あの手紙の文面を見ると)

 西也(やっぱり、無下に扱うわけにもいくまい)

 西也(ここはさりげなく千斗を諌め、後日不採用通知を...)

 妙「すいませーん、遅れちゃった~」

 海斗「ちょっ、お前...たっ...!」

 麗華(なんて間の悪い...!)

 西也(ああ、千斗の機嫌がマッハで悪くなってる...)

 いすず「そこになおりなさい!」

 妙「ほえ?」

 いすず「ここまで面接を舐めきっているのなら、容赦はしないわ!」

 西也「わっ、バカやめろ!千斗ッ!」

 麗華「海斗っ!」

 いすず「喰らいなさい!」

  バァン!

 海斗「やめろって言ってんだ...!」

 いすず「はぁ...はぁ...」 

 麗華「ッ痛ぁい...?!」

 妙「ちょっと...ねぇ、海斗?」




 妙「麗華の胸が...更に縮んでない?」

 
 

 海斗「しっ、信じられん...」

 海斗「縮むほどないにしろ、立ち絵では辛うじてあった麗華の胸」

 海斗「それが、今や小学生並まで縮んだ...だと」

 海斗(それに心なしか、身長までも小さくなってる)

 海斗(これらの要素を踏まえた上で、俺は何を言えばいいのか?)

 海斗(ふっ、分かりきったことじゃねえか、そんなの)





 海斗「尊の粗チンと...いい勝負じゃねえか!」






 妙(海斗ってばいい笑顔)

 妙(でも、麗華の顔は)


 麗華「わぁ~たぁ~し~のむ~ね~にぃいいいい~!!」

 麗華「なにをしたあああああああああ!!!!!」





 海斗「何だかわからんが、取り敢えず...ここから逃げるぞ!」

 妙「ひええええ!麗華がキレた~」

 
 いすず「うがああああああああ!」


 バンバン、バキューン、バキューン


 西也「わーっ、わあああああ!やめろ、止めてくれえええ!」

 

 ~この後、蔵屋敷重工のアンドロイド部隊が二人を制圧しました~



 面接終了後


 海斗「はぁ...お詫びに遊園地タダで遊び倒せっていわれてもなぁ」

 妙「えいっ、このぉ!」

 海斗「なぁ麗華」

 麗華「あぁん!」

 海斗「そんなにキレんなよ」

 海斗「さっきの電話だけどよ、なんて言われたんだよ?」

 麗華「うっ...」

 麗華(面接に出なかったら...?いっ、言えない)

 麗華(海斗を..アンドロイドにするって脅されたなんて)

 麗華「別に関係ないわ。アンタは気にしないで」

 海斗「そうか。じゃあ少し遊園地で遊んでいくか?」

 麗華「そっ、そうね」

 妙「かいと~、こっちこっち~」

 海斗「はぁ...まったく、手のかかるお嬢様だよ」

 海斗「はいはい。分かりましたよ」




 海斗「お嬢様のお気に召すままに」





 幕間 


 西也「千斗...もう、面接を止めよう」

 いすず「!!待って、可児江君」

 いすず「あと10人もいるのよ、面接を待っている人が!」

 西也「ええい!もう打ち切りにしろ!」

 西也「お前らはどこまで俺を酷使するんだ!」

 西也「ヤンデレやバカ共の下らん自己PRを一々真剣に聞かなければ

    ならん俺の身にもなってくれ!」

 西也「頼む、取り敢えず昼食だけでもいいから食わせてくれ」

 いすず「...」

 いすず「わかったわ。じゃあ後五人だけにしましょう」

 いすず「残りの五人は責任を持って、私が帰らせるわ」

 いすず(そんなことはさせないけれど)

 西也「..本当だな」

 いすず「ええ、本当よ」

 西也「わかった。だが、いやミュースたちを呼んで来い」

 いすず「?」

 いすず「まさか面接官をやらせる気じゃ...」

 西也「この際だ。ラティファにもできたことを奴等にもやらせる」

 西也「今日のステージは午後二時半と午後六時の二回だ」

 いすず「わかったわ」

 ミュース「失礼しまーす」

 サーラマ「失礼します」

 コボリー「失礼します」

 シルフィー「グッドアフタヌーン」

 西也「よく来てくれた。まあ座ってくれ」

 コボリー「それで?どうしたんですか?」

 西也「いや、火急の用事ができてしまってな」

 西也「今すぐ千斗と外回りに行かなければならんのだ」

 西也「モッフルもマカロンもティラミーも仕事中だ」

 西也「率直に言う。面接官をやってくれ」

 ミュース「ええっ?!」

 サーラマ「支配人が無責任なうっと」

 西也「無責任言うな、この炎上精霊め」

 西也「甘城企画の連中が急に呼び出しかけてきたんだ」

 西也「くそっ、来栖の野郎」

 シルフィー「いつ戻ってくるの~」

 西也「幸い、一時間程度だ」

 西也「次の奴の面接が終われば、一時間程度空きが出来る」

 西也「頼んだぞ、お前達」

 エレメンタリオ「はーい」

 いすず(大丈夫かしら?)

 いすず(ティラミー...いえ、モッフル卿にお願いしましょうか?)



 ケースその11 ミッドチルダからフェレットさん(32)が来た編



 サーラマ「なぁ?何聞けばいいのさ、面接って?」

 マカロン「大丈夫だろん。僕に任せるろん」

 コボリー(あっ、良かった~。マカロンさんだ)

 ミュース(ん、ドアがノックされてる) 

 シルフィー「ひゅ~。ヘイかもーん」

 ??「失礼します」

 コボリー「きゃ~、かわいい~」

 マカロン(うっわ、女難の相が出てるろん)

 マカロン「さぁ、そこの椅子に座るろん」

 ??「ありがとうございます...」

 ミュース「では、自己紹介をお願いします」

 ユーノ「ユーノ・スクライアです」 

 ユーノ「ミッドチルダと言う世界からやってきました」

 ミュース「志望動機は?」

 ユーノ「住み込みで働けるところを探していたところ」

 ユーノ「社員寮ありと聞いて、応募しました」

 ミュース(なんだろう?この違和感...)

 シルフィー「おにーさん。歳はいくつ?」

 ユーノ「32歳です」

 サーラマ(うっそ?!まだ20代前半でも通用するじゃん)

 マカロン「ろーん。ちょっと四人とも静かにしてほしいろん」

 マカロン「ユーノ君。率直に聞くろん」











 マカロン「君、何人女に手を出して泣かした?」









 ユーノ「ははっ...やっぱりわかっちゃいますか」

 マカロン「子供設けて離婚してる身だから、勿論分かるろん」

 マカロン「ゆっくりでいい。僕に話してみるろん?」

 ユーノ「っ...はい」


 ユーノ「はじまりは、20年来の幼馴染とのすれちがいでした」

 ユーノ「僕こんなですけど、同期ではそれなりの出世頭でした」

 ユーノ「だけど、僕の幼馴染の女の子たちはもっと凄かった」

 ユーノ「管理局って言う、まぁ世界を管理する組織があるんです」


 ユーノ「僕が好きな幼馴染、最終的に統合幕僚長にまで上り詰めたんですよ」

 コボリ―(モッフル卿よりすっごいじゃないですか!)

 ユーノ「フッケバインという大きな犯罪組織を壊滅させ...」

 ユーノ「僕が、彼女にプロポーズしようとした矢先の話でした」

 マカロン「僕も狙撃兵だったから、その話は信じられるろん」

 マカロン「そういう人を率いる器の人間は、一味違うろんね」

 ユーノ「デートもできない、時間も取れない、ストレスはたまる」




 ユーノ「分かりますか?将来を誓い合ったのに!」

 ユーノ「二人の新居も買った、なのに肝心のなのはがいない!!」

 ユーノ「いつも家に帰ったら一人きりのこの寂しさが!!!」

 マカロン「君はまじめすぎるんだろん。ユーノ」

 マカロン「気晴らしに賭け事とかできない立場だったんだろうから、

      それはそれで同情するろん」

 











 マカロン「だけど、その幼馴染の親友とか家族に手を出すのはご法度だろ?」









 ユーノ「ふぐ...ぁっ...」

 ユーノ「だって、だって」

 ユーノ「なのはがいなくて、必然的にヴィヴィオも寂しくなったんだ」

 ユーノ「父親じゃないけど、それでも...娘みたいに可愛かったんだ!」

 ユーノ「10年、10年も夫婦の真似事をしたんだ!」

 ユーノ「愛もあった、心が通じていると思った」

 ユーノ「だけど、なのはは...僕よりも仕事を取ったんだ!!」

 ~ユーノの回想~


 ユーノ「なのはっ!どうして君は僕の気持ちを分かってくれないんだ!」

 なのは「分かってるよ、でも...でもしょうがないじゃない!」

 なのは「このミッドチルダには、もう私より強い人はいないんだよ?!」

 なのは「私がこの世界の抑止力にならなければ、一体誰が...」

 ユーノ「そんなことを、僕は君に望んじゃいないんだ!」

 ユーノ「もう戦わないでくれ...僕と一緒に幸せになってくれよ」


 なのは「...ユーノ君が、ユーノ君だって、何にもわかっていないくせに!」

 なのは「私だって幸せになりたいよ!」

 なのは「けど、私は...英雄だから」

 なのは「守らなきゃいけない人達がいる、この世界を...見捨てられない」

 ユーノ「はっ、ハハハなんだよ...そりゃ」

 ユーノ「じゃ、じゃあなのはは...僕の事なんか必要ないだろ」

 ユーノ「もう、妊娠三ヶ月だろ?過労でお腹の子供を[ピーーー]気か?」

 ユーノ「ああ、これじゃあ立場がまるで逆じゃないか」

 ユーノ「つまり、僕が君より弱いからいけないんだ」

 ユーノ「英雄っていうよりも、今のなのはは人工知能搭載の魔王陛下だよ」

 なのは「やめてよぉ...ユーノ君」

 なのは「私だって、もうウェディングドレスに三年間も触ってないんだよ?」



 ユーノ「どうだかなぁ?どうせこれからも袖を通す気はないんだろ」

 ユーノ「いいよ、僕は君の尻に敷かれる前に」

 ユーノ「永遠に追いつくことのない、君の背中をずっと見守ることにしたよ」

 なのは「ねぇ...ねぇ、それってどういうことなのかな?」

 なのは「ゆっ、ユーノ君?どうして、私の薬指から」

 ユーノ「オークションに出したら結構高く売れると思うよ」

 ユーノ「買った時には450万ぽっちのしょぼくれたアクアマリンの指輪だけど...っ」

 ユーノ「きっ、きっと...百億はかっ、軽く超えるはず、さっ」

 ユーノ「もう、婚約を解消しよう...なのは」


 なのは「いやっ、そんなの絶対にいやだよぉ!」

 ユーノ「家の権利書!ヴィヴィオのアルバム!エンゲージリング!」

 ユーノ「僕たちの家に置いてある中でっ!一番価値のあるものだ!」

 ユーノ「全部僕から君にあげたささやかな、それでも精一杯の気持ちだ」

 ユーノ「だけど、見てくれよ。なのは」








 ユーノ「その中には、何一つとして...僕が含まれちゃいないんだ」






 

 ユーノ「ああ、最悪だよ」

 ユーノ「これから、ヴィヴィオのバースデーなのに...」

 ユーノ「約束したのになぁ...なのはを必ず連れ戻すって」

 なのは「ゃぁ...やだぁあぁあ。行かないでぇ...」

 なのは「私を一人にしないでよぉ...」

 ユーノ「全部、全部なのはが僕達を遠ざけた結果だよ」

 ユーノ「守らなきゃならないっていう、その他大勢の中に」

 ユーノ「家族を、友達を含めた君の...傲慢さが招いたんだ」

 ユーノ「さよなら、なのは...」

 ユーノ(もう、僕が生きていたって...意味はないな)

 

 

 なのは「待って、待ってよ....ユーノ君」

 なのは「どうして...ねぇ?」

 なのは「ユーノ君、いつも私の傍にいてくれたよね?」
  
 なのは「勇気を振り絞って、私をフェイトちゃんから奪ってくれたじゃない」
 
 なのは「私がっ、私が...強すぎたからいけないの?」

 なのは「ねぇ...誰か教えてよ。お父さん、お母さん」

 なのは「私は、ユーノ君になんて言えば...いいのかな?」


 ~回想終わり~


 ユーノ「ふぐ...ぁっ...」

 ユーノ「だって、だって」

 ユーノ「なのはがいなくて、必然的にヴィヴィオも寂しくなったんだ」

 ユーノ「父親じゃないけど、それでも...娘みたいに可愛かったんだ!」

 ユーノ「10年、10年も夫婦の真似事をしたんだ!」

 ユーノ「愛もあった、心が通じていると思った」

 ユーノ「だけど、なのはは...僕よりも仕事を取ったんだ!!」

 ユーノ「お腹の子供が死にかけるまで働き続けたんだ!!」


 マカロン「その涙を、ぼくはみっともないとは思わないろん」

 マカロン「わたし、将来パパと結婚する~」

 マカロン「子供に言われてこれ以上に最高に嬉しい言葉はないろん」

 マカロン「十月十日腹痛めたわけでもないけど、子供の無垢な笑顔は

      たとえそれが障害児であっても幸せの象徴ろんよね」

 マカロン「わかったよ、それで?つづけてごらん」

 



 ユーノ「それで、義理の娘が18歳になった時」

 ユーノ「なのはは娘のバースデーに、家に戻らなかった」

 ユーノ「ヴィヴィオはね、母親譲りで正義感の強い娘なんですよ」

 ユーノ「そのときに、断れればよかったんです」

 ユーノ「気が付いたら、ぼくは...ぼくは...」


 
 ユーノ「彼女の娘を、愛してしまっていたんです」


 


 ~ヴィヴィオの回想~

 ヴィヴィオ(18)「ハッピーバース...」

 ユーノ「...ごめん、ヴィヴィオ」

 ユーノ「やっぱり、僕じゃなのはを...幸せにはできなかったよ」

 ヴィヴィオ「ゆ、ユーノさん」

  私の18のバースデー。

  記念すべきその日に、私の大好きな母は家に帰ることはなかった。

 ユーノ「ケーキ、切り分けてくれないかな」

 ヴィヴィオ「う、うん」

  真っ赤に泣きはらした翠の両眼は、世界を見ることをやめていた。

 ヴィヴィオ「はい、ケーキですよ」

 ユーノ「ありがとう、ヴィヴィオ」

  
  


 ユーノ「おいしいなぁ...おいしいよぉ、このショートケーキ」

 ユーノ「なのはぁ...なのはぁ」

 ユーノ「どうしてなんだよぉおおおおおおお」

  ママのレシピのケーキは、砂糖を普通より多めに入れる。

  そこにどういう理由があるのかは知らないけれど、それは私が初めて知った母の甘さであって...

 ユーノ「どうしていつも...いつも僕は君より弱いんだああああああ!!」

  今になって思い知らされる、自分の甘さを教えてくれていた。



 涙を流しながら、目の前にいる私が好きな人はケーキを食べていた。

 号泣し、取り乱しながらも、口に運ぶフォークの動きはとても正確で、理知的だった。

 察するに、それは...これ以上自分の醜態を曝すまいとする男の意地というものなのだろう。

 けれど、それも今日で終わりにしよう。

 これ以上、ユーノさんを...

 私の好きな人をなのはママに傷つけさせるわけにはいかない。

 ヴィヴィオ(なのはママ...ヴィヴィオはもう、自分の気持ちに遠慮しないよ)

 ヴィヴィオ(だから、ママを裏切っても...私は)


 ユーノ「ありがとう、ヴィヴィオ」

 ユーノ「ケーキごちそう様」

 ヴィヴィオ「だめだよ~、ユーノさんはもっと食べなきゃ、ね?」

 ヴィヴィオ「一切れだけじゃ、おなか一杯にならないでしょ」

 ユーノ「ううん、もういいんだ」

 ユーノ「なのはを感じることが出来ただけで、今日はもう満足だ」

  そう言いながら、ユーノさんはカバンの中から薄長い黒い箱を取り出した。

 ユーノ「18歳のお祝いだよ。開けてごらん」

 ヴィヴィオ「ありがとう、じゃあ早速...」

  黒い箱の留め金を外した瞬間、中に在るプレゼントが私の眼をくぎ付けにする。

 ヴィヴィオ「うそ...ちょっと...これって」



 私の目に飛び込んできたのは12の宝石からなるネックレスだった。

  豪華絢爛としか言いようのないそのネックレスは、少なくとも、

 私の様な大人にもなっていない高校生が身に着ける様なものではなかった。

 ヴィヴィオ「えっ...ど、どうしたの、これって...えっ、えっ?」

 ユーノ「どう?びっくりした?」

 ヴィヴィオ「びっくりもなにも...こんな芸術品...初めて見るし...」

 ユーノ「ヴィヴィオももう18だからね、結婚を考える年だ」

 ユーノ「仕事辞めてから、ずっと暇だったから時間はあった」

 ユーノ「僕には子供がいないから、君には幸せになってほしい」



 彼と私を結ぶプラチナの絆が、私の首に掛けられた。

 否応なしに、心が高ぶる。

 心臓の鼓動が、これから起きる夢のような一時を私に夢想させる。  

 ヴィヴィオ「ありがとう...ユーノさん」

 ヴィヴィオ「ずっと、ずっと大切にするからね」

 ヴィヴィオ「このネックレスも、ユーノさんも...ずっと、ずーっと」

  けれど、ユーノさんはそれきりなにもしてこない。

 ヴィヴィオ「あっ、あの...」

 ユーノ「ん?どうかした」

 ヴィヴィオ「......」

 私だって、それなりに自分の容姿に自信はある。

 それこそ、今すぐにでもどこかの舞踏会にでも繰り出せるような

 パーティードレスに身を包んでこの場に臨んでいる。

  ここまで誘っているのに、見向きもしてくれないとなると傷つく。

 ヴィヴィオ「なにも、してくれないの?」

 ユーノ「なにも、したくないんだ」

  上目づかい&思いきり相手に抱き着いて胸を押しつけているのにも

 拘らず、ユーノさ...ユーノは何もしてこない。

 ユーノ「なのはにさ、ふられちゃったんだ」

 ユーノ「やっぱり、ぼくじゃなのはにつりあわなかったんだ...」

 ユーノ「すきってきもちだけじゃ、どうしようもなかったんだ、きっと」

 ヴィヴィオ「ママを振ったの?!」

 ユーノ「これ以上、なのはと一緒にいたら押しつぶされちゃうよ」

 ヴィヴィオ「でも、駄目だよ...ママはユーノさんが...」

 ユーノ「守らなきゃいけない人って...」

 ヴィヴィオ「え?」

 ユーノ「僕も、ヴィヴィオも...フェイトもはやても」

 ユーノ「なのはにとっては全部同じ存在なんだ」

 ユーノ「守りたい人じゃないんだよ...なのはにとって僕等は」

 ヴィヴィオ「そうかも...しれない」

 ユーノの悲痛な叫びは、きっと間違ってない。

 私もママも世界が自分を中心にして回った経験の持ち主だ。

 その感覚は、この世界にママを誘ったユーノには到底理解できない。

  遅かれ早かれ、こうなることは予想がついていた。

  それが分かっていたからこそ、ママとユーノ君は激しくお互いを

 必要としながら、結婚にまで踏み切ることを無意識に拒んだ。

  そして、それがきっと今日という日だった。

 ヴィヴィオ「泣かないで、ユーノ」

 ユーノ「大人に対して、呼び捨てはないだろう?ヴィヴィオ」

 ヴィヴィオ「うっ、ごめんなさい...でも」

  果たして、今のユーノ君に私を拒むことが出来るのかな?    

 ヴィヴィオ「私なら、ユーノ君が欲しいもの全部あげられるよ?」

 ユーノ「...僕が欲しいのは、なのはだけだ」

 ヴィヴィオ「ユーノ君の奥さんになりたいなぁ」

 ユーノ「...君はなのはの大事な一人娘。僕が手を出しちゃいけない存在だ」

 ヴィヴィオ「ママが怖いの?」

 ユーノ「もう、怖くなんかないさ...」

 






 

 私とユーノ君の、欲しいものがぜーんぶ揃ってる世界...作っちゃおっか?








 ~~~



 ユーノ「気が付いた時には、押し倒されてキスされてました」

 ユーノ「おしのけようにも、格闘技をしてたから抜け出せなかった」

 ユーノ「考えられませんよね...好きな女性の義理の娘と関係を持つなんて」

 ユーノ「罪悪感で押し潰されそうになった!何度も死のうと思った!!」

 ユーノ「でも、でも...」



 ヴィヴィオ「私が貴方の妻になります」

 ヴィヴィオ「ママとの間にできなかった心と心の繋がりをあげる」

 ユーノ「それで...それで、ぼくの愛は歪んでしまった」

 ユーノ「幾ら彼女を愛しても、結局僕となのはは赤の他人なんだ!」

 ユーノ「でも...でも、親子の繋がりなら?」



 ユーノ「親子であって、血の繋がりが無かったら?」

 ユーノ「その人が、ずっと十年以上も僕を想い続けてくれていたら?」

 ユーノ「どろどろに溶けちゃうじゃないか!」

 ユーノ「ずっと我慢してきたなのはへの想いや...」

 ユーノ「なのはのお腹の中にいる赤ちゃんへの愛も」

 ユーノ「なにもかも、わかんなくなっちゃったじゃないか!」



 マカロン「全面的に、そのなのはさんって女性が悪いろんね」

 マカロン「けど、ユーノ君は大人しすぎたろん」

 マカロン「身分違いの恋に苦しむなら、いっそのこと襲えばいいろん」

 マカロン「そうやって、好きな気持ちと罪悪感に苛まれるならね...」

 マカロン「僕の別れた奥さんは元女優だったろん」

 マカロン「一生に一度あるかないかくらいの一目ぼれだったろん」

 マカロン「君とおんなじような経験をして、デキ婚したんだ」

 マカロン「けど、それでも...僕は失敗しちゃったろん」



 マカロン「僕が軍人だった時の一か月の給料が大体税金とか差っ引いて26万くらい」

 マカロン「けど、僕の別れた奥さんは一か月に5000万稼いでたなぁ...」

 マカロン「離婚する二年前には仕事の量を四分の一に減らしてもだぜ?」

 マカロン「それでも、僕は彼女の傍に居られて幸せだったろん」

 マカロン「彼女の傍に居続ける為に、柄じゃないけど相応しい男になる努力をしたろん」

 マカロン「音楽の勉強もして、楽器はなんでも弾けるようになったし」

 マカロン「彼女のマネージャーが、彼女を売り飛ばそうとした時は

      身を張って、それを撤回させたこともあるろん」

 マカロン「まぁその後、いい雰囲気になってチャンスを逃さず...」

 マカロン「お酒にべろんべろんに酔わせて、アイラビューって

      連呼しながら、朝までずっとホテルでヤったろん」



 マカロン「そん時くらいに娘が...ララパーっていうんだけどね」

 マカロン「僕の娘ができたんだろん。いやぁ...嬉しかったよ、マジで」
 
 マカロン「僕の話聞いて、何一つ否定できなかっただろ?」

 ユーノ「はい...僕も同じような感じです」

 
 
 マカロン「けど、ぼくは肝心のことを見落としたんだろん」


 

 マカロン「僕と彼女は、心が通じ合ってなかったんだろん」



 マカロン「それに比べれば、君達はまだやり直せるろん」

 



 ユーノ「それで、それから...僕はヴィヴィオと半同棲したんです」

 ユーノ「無駄になのはの信用は高かったから、すんなりいったんです」

 ユーノ「でも...でも、僕はヴィヴィオを妊娠させてしまった...」

 ユーノ「なのはは大激怒しましたよ。ヴィヴィオだって大激怒です」

 ユーノ「なのはに顔向けできませんでした」

 ユーノ「ヴィヴィオにも顔向けできませんでした」




 ユーノ「どっちが僕に相応しいのか...」

 ユーノ「僕は、それに答えられなかった...」

 ユーノ「ストレスで、心因性の失語症にかかっちゃったんです」

 ユーノ「言葉を取り戻すのに三ヶ月」

 ユーノ「もう、耐えられなかった」

 ユーノ「逃げて逃げて、管理局の追手がこない場所に逃げ込んだんです」

 ユーノ「これが、ぼくの身の上話です」

 シルフィー「めんせつじゃないよ~」

 サーラマ「おっ、おいシルフィー!それ言っちゃダメだろ」

 コボリ―「みなさん、出ていきましょう」

 ミュース「そうですね。持ち場に戻りましょう」


 
 マカロン「ふぅ...君はどうしたいろん」

 マカロン「大好きな女を泣かしたままでいいと思ってるの?」

 ユーノ「無理だよ!なのはにも、ヴィヴィオにも僕は嫌われたんだ!」

 ユーノ「愛した人が、憎悪の眼差しを向けてきた!」

 ユーノ「嘘つきって、愛してたのにって...!本当に血を吐きながら」

 ユーノ「罪悪感だけで胸が張り裂けそうになった!」

 ユーノ「彼女達の人生を滅茶苦茶にして、なおかつのうのうと

     生き延びている自分の浅ましさに、絶望した...」

 



 マカロン「ストップ、ストーップ。ちょっと言わせてほしいろん」



 マカロン「ユーノ君、悪いけど僕は君のような男が」


 
 マカロン「一番大っ嫌いなんだよ、この中途半端野郎」



 マカロン「いいか?男に生まれりゃ壁にぶち当たるんだよ」



 マカロン「好きな女に何度も告白して玉砕することもある」



 マカロン「男女の別れの瀬戸際じゃ、潔さもそりゃ必要だろうよ」



 マカロン「美徳って観点で見りゃ、そういうの確かに欠かせねぇわな」
 


 マカロン「けどよ、二人とも好きになっちまったんだろ?」



 マカロン「そうだよな?なぁ」

 マカロン「ふぅ~、それにしてもなんだか熱くなってきたな」

 マカロン「ちょっと着ぐるみ脱いでくるからそこにいるろん」

 ユーノ「はい」

 マカロン「すぐ戻って来るから、逃げんなよ?」

 ユーノ「...それは」

 マカロン「に、げ、ん、な、よ?分かったな」

 ユーノ「はい」

 七分後

 ユーノ「うっ...ぐすっ」

 マカロン(人間態)「泣いてんじゃねえっ!」

 ユーノ「まっ、マカロンさん?」

 マカロン「おう、そうだよ」

 マカロン「それにしても改めて見りゃ湿気たインポってツラしてんなぁ」

 ユーノ「なんだよ、今度は罵倒かよ」

 ユーノ「何も知らないくせに、好き勝手言いやがって」

 マカロン「いいか?よく聞けよ、このフェレット野郎」

 マカロン「家族養って生きる以上、守るべきことがある」

 マカロン「それは最後まで張り通さなきゃいけねぇ男の筋ってやつだ」

 ユーノ「じゃあアンタもクロノみたいに責任とれって言うのかよ!」

 マカロン「いわねぇよ!んな筋合いどこにもねえだろが!!」


 マカロン「んな必要もねぇしな、見ろよこのツラ」



 マカロン「てめえよかずっと自信満々だろ?」

 マカロン「パチスロやって娘の養育費滞納してないだけ」

 マカロン「おめーは少なくとも、俺よりかはマシな父親だ」



 マカロン「けどよ」

 マカロン「親権奪われたわけじゃねえのに自分のガキ捨てるのは」

 マカロン「同じくガキ愛してる父親なら看過できねえよ」

 ユーノ「愛しているのに!僕はなのはを愛してるのに!」

 ユーノ「でも、どんどん君はどこか遠くへ行ってしまうから...」

 ユーノ「置き去りにされた僕の気持ちも、悲しみも...」

 ユーノ「何も貴方は分かっていないくせに!」

 ユーノ「どれだけ僕が、耐えて耐えて耐えて耐え続けたなんて!」

 ユーノ「誰にもわかる訳がないんだーーーー!!!」

 マカロン「わかったよ。全部黙って聞いてやる、だがな...」

 マカロン「ユーノ、これから俺のいう事を真剣に受け止めてくれ」

 マカロン「いい加減にしろテメェ!」

 マカロン「誰もひとりじゃないんだろん!」

 マカロン「最後に僕の手に残ったのは、孤独だけだ?!」

 マカロン「自分の愛は一つしかないなんて悲しい言い訳してんじゃねぇ!」

 










 マカロン「だからこそ男は、愛を叫ぶしかねぇんだろがーーーー!!!」












 マカロン「家族が互いの名を呼びあうことに背中を向けちゃいけない」

 マカロン「もう充分オメェの奥さん苦しんだじゃねぇか!」

 マカロン「もう既に譲れない想いを打ち明けてくれてるだろ?」

 マカロン「傷つけあう明日なんか自分の愛する人には必要ない!」

 マカロン「そうだろ、なぁ?」

 マカロン「心の中で涙の雨を流してる、二人の女の太陽になれよ!」

 マカロン「家族の為に、自分の人生、捧げて見せろや!」

 
 



 マカロン「かけがえのない友を失いそうになった時、ソイツの為に戦う」


 マカロン「愛する者が危機に晒された時、真っ先に駆けつけて守る」


 マカロン「自分が自分に屈しそうになった時、最後まで戦う覚悟」


 マカロン「これが破っちゃいけない男の王道だろん」


 マカロン「俺はこれを...上司から教わった」




 マカロン「その人は、人生を賭けてある人を愛した」 

 マカロン「結局、その人は望みを叶えられなかった」

 マカロン「だけど、今もその人は戦ってるろん」

 マカロン「傷ついても、愛した女の娘の為に戦ってるんだろんっ!」

 マカロン「それが男!それが張り通さなきゃならねぇ筋だろう!」



 マカロン「......」

 ユーノ「......」




 ユーノ「じゃあ、僕は男失格じゃないか...」

 ユーノ「マカロンさんや、マカロンさんの上司に及ばない上に...」

 ユーノ「バカみたいだ...逃げ続ければ、いつか終わるって思ってたのに」

 ユーノ「どうして、きちゃったんだよ...」

 ユーノ「なのはぁ...ヴィヴィオ...」


 なのは「ユーノ君。やっとみつけた」

 ヴィヴィオ「ユーノパパ...」



 マカロン「あなた達が、ユーノ君のご家族ろんね?」

 なのは「はい。ご迷惑を...」

 マカロン「止めるろん。ユーノ君のプライドも...ひいては」

 マカロン「自分と娘さんのプライドもこれ以上傷つけちゃだめだろん」

 なのは「...私も、どうかしてたんです」

 なのは「...全部、悪いのは私だった」

 なのは「家族も、ユーノ君も蔑ろにして...ッ」

 なのは「心がっ...麻痺してた」

 なのは「ユーノ君の愛情も、ヴィヴィオの気持ちも何一つ、何一つ...」




 マカロン「閣下、激務お疲れ様でしたろん」

 マカロン「一兵卒の身分ですが、僭越ながら申し上げますろん」

 なのは「はい、なんでしょうか?」

 マカロン「全てが終わった時に、この封筒を開けて欲しいろん」

 マカロン「どういう結末になるか分からないけど、ささやかな気持ちろん」 

 なのは「ありがたく、拝領いたします」

 マカロン「そこまで畏まらないでほしいろん」

 マカロン「僕は一等軍曹、本来ならお目通りできる立場ではありません」

 マカロン「それでは、失礼しますろん」

 
 ~~~

 なのは「ヴィヴィオ...ユーノ君に」

 ヴィヴィオ「うん、なのはママ」

 ユーノ「ヴィヴィオ...もう、自分が言ったことを忘れたのかい?」

 ユーノ「ユーノパパまで私を裏切るの?」

 ユーノ「信じられない...スカリエッティやクアットロ以下ね」

 ヴィヴィオ「ごめんなさい...ほんとうに、ごめんなさい」

 ヴィヴィオ「あの時は、我を忘れて...取り乱してしまって」



 ヴィヴィオ「でも...でも...」

 ヴィヴィオ「どうしても、やつれていくユーノパパを見てられなかった」

 ヴィヴィオ「なのはママとのことも...理解してたつもりになってた」

 ヴィヴィオ「けど、ママの代わりに一緒にいてくれたパパが...」

 ヴィヴィオ「一人の男の人としていつの間に好きになってた」

 ヴィヴィオ「なのはママに、渡したくないと思えるほどに」

 ユーノ「僕は,,,君達二人の元に戻るつもりはないよ」

 ユーノ「生まれてきた子供達には悪いけど...もう、何とも思ってない」

 ユーノ「さようならを、いわせて....」

 なのは「管理局...辞めたよ」

 ユーノ「遅いよ...もう遅すぎたんだよ、なのは」

 ユーノ「僕はヴィヴィオを傷ものにした」

 ユーノ「何も知らないと思っていたのかい?」



 ユーノ「君達が、迫害されて...積み上げてきたキャリアを」

 ユーノ「その全てを...僕にぶち壊されたんだ」

 ユーノ「ヴィヴィオと君の輝かしい将来を、俺が奪った...」

 ユーノ「これ以上、君達から何物も奪わせないでくれ...」

 

 


 ユーノ「僕が君やヴィヴィオより弱かったから、君を守れなかった」

 ユーノ「なのはに告白する勇気がなかったから、ヴィヴィオに手を出した」

 ユーノ「自分に屈服したから、なのはもヴィヴィオも傷つけた!」

 ユーノ「あああ...なにもかも僕のせいじゃないかっ!」

 ユーノ「いい加減にしろよ!お前らなんかどっかいっちまえよ!」


 



 「おぎゃああああ、おぎゃあああああ」

 「きゃっ、きゃっ」



 クロノ「おい、そこのフェレットもどき」

 クロノ「そういうことはな、自分の子供を抱いてから言えよ」

 
 



 ユーノ「僕の...子供?」

 ヴィヴィオ「パパ...お願いだから、子供を抱いて」

 ヴィヴィオ「私のことは、もういいから」

 ヴィヴィオ「せめて、なのはママと私の子供を...」


 ユーノ「駄目だ!僕は...僕には、そんな資格はないんだ!」

 なのは「じゃ、じゃあ...一目見るだけでもいいから」

 なのは「お願い!お願いします。この通り...この通りだからぁ!」

 ユーノ「土下座なんてやめろよ、なのは」

 ユーノ「僕は、君にそんなことを望んでるんじゃないんだ」

 ユーノ「ははっ、少しは溜飲が下がったかって?」

 ユーノ「そんなこと、あるわけないじゃない...か」



 ユーノの前に回り込んだクロノは、自分が抱きかかえている
 
 なのはとヴィヴィオの子供をユーノの前に突き出した。


 ユーノ「はっ...はははは」

 ユーノ「なんだよ...コイツ」




 ユーノ「二人とも、僕そっくりじゃないか...」



  彼が求めていた答えが、確かにそこにはあった。



 ユーノ「ずっと、不安だった」

 ユーノ「二人の子供が、僕に似てなかったら...きっと僕は」

 ユーノ「世界で誰も必要とされていない、哀れなヤツなんだって」

 ユーノ「ずっと、それが気がかりで...苦しくて」


 クロノ「なのはとヴィヴィオは、まだ子供の名前を付けてない」

 クロノ「俺とはやてとフェイトで役所に圧力をかけてるからだ」

 クロノ「二人とも、女の子だ」

 クロノ「さっきのマスコットの話の続きになるが...」

 クロノ「自分が想い続けてきた女に、結婚という最高の道を歩かせず...」

 クロノ「あまつさえ、自分そっくりの子供に名前すら付けないのは」

 クロノ「大分無責任な話だと思うぞ、ユーノ」

 なのは「ごめんね...ごめんね...ユーノ君」

 なのは「どうしても止められなかった。どうしても言い出せなかった」

 なのは「ヴィヴィオの気持ちに気が付いて、怖くなって...」

 なのは「それでも、ユーノ君に限ってあるわけないって...」

 なのは「でも、でも...ヴィヴィオがユーノ君の子供を妊娠した時」

 なのは「真っ暗になった。ユーノ君が取られちゃうって思った」

 ユーノ「ヴィヴィオは何も悪くない...なのはも悪くないんだ」

 ユーノ「こうして、戻ってきてくれたんだ」

 ユーノ「もう、なのはもヴィヴィオも責めてないよ...」

 ヴィヴィオ「パパ...」

 ユーノ「じゃあ、クロノ...僕の子供を、抱かせてくれ」

 クロノ「遅すぎるんだよ、このフェレットもどき」

 クロノ「じゃあ、僕は先に帰るよ」

 クロノ「帰りはヴォルケンリッターを寄越す」

 ユーノ「ありがとう。クロノ」

 クロノ「友達だろ?俺達」

 クロノ「なのは、ヴィヴィオ」

 クロノ「可愛い妹からの言伝だ」

 クロノ「ユーノが次に二人を裏切ったら、私がユーノを[ピーーー]」

 クロノ「だから、ユーノの事を大事にしてあげてね?」

 クロノ「ユーノはともかく、なのはのことも、ヴィヴィオのことも」

 クロノ「私は愛してるから、世界で一番ね」

 クロノ「だそうだ」

 なのは「ふぇ、フェイトちゃん」

 ヴィヴィオ「フェイトママぁ...」

 ユーノ「可愛いなぁ...夢みたいだよ」

 ユーノ「こんな僕に、家族が出来たなんて」

 ヴィヴィオ「帰ろう、パパ」

 ヴィヴィオ「ううん、パパの行きたいところに行こうよ」

 ヴィヴィオ「なのはママと私の子供も一緒に住める新天地へ」

 ユーノ「そうだね。けど...もう少しだけ時間が欲しい」

 ユーノ「今まで迷惑をかけた人に、謝りに行く時間が」

 なのは「一緒に行くよ。私もヴィヴィオも」

 なのは「帰ろう。ミッドチルダに」

 ユーノ「うん。僕達の家に...」


 ~~~~

 モニター室


 モッフル「涙が、涙が止まらないふも~」

 マカロン「良かった~、よく頑張ったろん!ユーノ君」

 シルフィー「うわあああああん。よかったねぇ~」

 サーラマ「あれっ、あれっ?ツイッターが炎上してない」

 サーラマ「やっば、すっげー感動したわ、マジで」

 ティラミー「全く、マカロンってばどうしたんだミー?」

 ティラミー「ここまで心憎い演出を考え付くなんてびっくりしたミー」

 コボリ―「私初めて、マカロンさんのことかっこいいって思いました」

 


 ミュース「ところでマカロンさん、さっき渡したのは?」

 マカロン「ああ、あれは家族用フリーパスだろん」

 マカロン「ララパーと僕と親父とお袋と...カミさんの五人分」

 マカロン「万に一つの奇跡...っていうのは虫が良すぎる話だけど」

 マカロン「もうすぐ...カミさんとの結婚記念日が近いからね...」
 
 マカロン「ラティファ様と可児江君に頼んで作ってもらったろん」

 マカロン「まっ、どうせ僕の家族が揃う事なんかないろんけどね」

 



 マカロン「ま、あの分だと当分別れる事は無い筈だろん」

 マカロン「せめて来る日が分かれば、おもてなしもできるんだけどなぁ」

 モッフル「そうふもね、ま、連絡を気長に待つふも」

 ティラミー「そうだ、いいこと思いついたみー!」

 ティラミー「まだ、面接室に三人いるから...」

 ティラミー「モッフル、マカロン。ちょっと僕についてくるみー!」


 ケースその11からハッピーエンドルートが解放されました

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