P「何だこのマスク・・・」 (36)

P「はぁ…」

P「世間はクリスマスか…いい気なもんだよな」

P「外の仕事が終われば事務仕事。終わればもう10時。家に帰れば寒く暗い部屋」

P「アイドル達は家に帰れば親がいる。…幸せで何よりだけどさ」

P「小鳥さん達と飲みに行こうかとも考えたが、疲れてる上に明日も仕事だから無理だ」

P「仕事納めまでの辛抱。…という訳にもいかず、年明け、正月も仕事がある。忙しいのはいい事だが、限度ってもんがある」

P「…何て、独り言なんだけど…………ん?」

「」プカプカ…

P「!?…人が浮いてる!?や、ヤバイ!助けなきゃ!!」

P「うっ…冷てっ!!だ、大丈夫ですか!!ちょっと!?」ザバザバ

P「ちょっ!!…………ゴミかよ……」




警察「おーい!君!!何してんのー!?」

P「!?…あ、いや!ちょっと!ええと…落し物しまして!!……マスク!!……ありましたー!!」



……このマスクが、この後の俺の人生に大きな影響を与えたのは、果たしてプラスなのかマイナスなのか分からない。

だけど、俺という存在を変えたのは間違いないだろう。

P「…」

結局警察に疑われないよう、このマスクをそのまま持ち帰らざるを得なかった俺は、交番で軽い事情聴取と、ついでに服を乾かしてもらい、なんだかんだで家に着いたのは。

P「も、もう深夜の1時……」

明日も朝一番で出なければいけないというのに、俺は一体何をやっているのか。

人助けの、善意のつもりで行ったのに。

神はきっと、俺の事が虫唾が走るほど嫌いなんだろう。

きっと明日は風邪だな。

いっそ倒れてしまえば、休めるだろうか。

…いや、そうしたら小鳥さん達の負担が大きくなるな。

P「…ってかいつまで持ってんだよこれ」

…捨ててしまおう。

そう思った矢先、この緑色の間違いなくの裏が妖しく光った、気がした。

P「…?」

何だろうか。
疲れているのか、それとも…。

いや、そんな事問題ではない。

今俺は、このマスクから目が離せない。
それどころか、吸い寄せられていく。

怖いもの見たさなのだろうか。
腕も頭も、どんどん距離が近づいていっている。

P「……!!何してるんだ!…もう寝なきゃ」

だが、その一歩手前で踏みとどまった。

…この時は。

P「あー…おはようございます…」

小鳥「プロデューサーさん!?酷い顔してますよ!?」

P「え?…ああ、大丈夫ですよ」

小鳥「そんな風に見えませんよ!あんまり無理したらダメです!」

P「いえ、雪歩の誕生日ライブもありますし…」

律子「プロデューサー。そんな状態では恐らく仕事になりませんよ。…今日一日はゆっくりお休みになって下さい。あまり寝てないんでしょう?」

P「でもなあ…」

律子「倒れてからでは遅いですよ!…さ!今日は帰って寝て!風邪を治す、ですよ?」

小鳥「そうですよ!私達よりよっぽど疲れてるんですから…」

P「はい…分かりました」

家に帰っても、特にやる事無いんだよなあ…。

普段あまり寝てないせいか、すぐ起きてしまうし。

まあ起きてるよりは楽だけど。


P「テレビでも観るかな…」

…いや、気持ち悪くなりそうだ。

本当に調子が悪くなったな…。


P「もう、寝よう…」

P「…ん」

…結局、寝つきも悪いまま、いつから寝たのかも分からない。

…辺りを見回すと、恐らく夜だろう。

P「…変な時間に起きちまったなあ…」

でも、朝よりは幾分か楽になってる。

市販の風邪薬も馬鹿にできないな。

P「…何か、食うかな」

かといって味の濃い物を食いたいわけではなく、テンプレ通りのおかゆを作る事にした。

P「…!痛ってえ…」

何かを踏んだ。

下を見ると、昨日の夜に持ち帰ってしまったあのマスク。

何で捨ててないんだろうか。

…いや、俺の事なのにな。

P「これ、被ってみたらどうなるんだろうな…」

どうもならない。
そんなのはあり得ないからだ。

だけどする事も無いし、暇潰しの一環と考えればいいだろう。

輪ゴムで一時間遊ぶみたいなもんだ。

P「………!!!!」

何だ!?

視界が回る!
気持ち悪い!

顔が痛い!

何だよこれ!!


P「うわぁっ!!」

…思わず引き剥がしてしまった。

…こんな無機質なマスクを、剥がす?

そんな事、ある訳無い。

…でも、もし、俺の想像が現実なら…。

P「…」

まただ。

勝手に、顔が、腕が独立したかのように動き出す。

そして…。

P「……!!!?」

P「……絶好調!!」

…え?な、何だ?
身体が、言う事を聞かない。

何がどうなって…あれ?意識…が…。

マスクP「もう、誰にも!止められなぁぁぁいいいい!!!」

マスクP「…?」

『アイドル達の写真』

マスクP「待ってろ俺のヴィーナス!!骨の髄まで!シャブシャブしてやるぜぇぇぇ!!!」

隣人『うるせぇ』ドン

マスクP「失礼。……」


目覚まし『ジリリリリリリリリリ!!!!!』

マスクP「!?…フン!!フン!!………ぬぅぅぅ?」つハンマー

マスクP「AーHAHAHAHAー!!!」

ガン!!
ガン!!
ガン!!!
バゴン!!!!

隣人『あああああもう何なんだよ!!!』




隣人「ちょっと!静かにしてくれよ!!!…あれ、開いてる」ガチャ

隣人「ちょっと!いいかげんに……」

マスクP「……」
隣人「……」













隣人「ギャアアアアアアア化け物だあああああああ!!!」

マスクP「キャアアアアアアアア!!!!」


隣人「こ、このぉ!!」ブン

マスクP「!?……フンフンフンフン!!」ビュンビュンビュンビュン

隣人「え」

マスクP「」ぴゅーん



隣人「……何だよあの動き……人間じゃねえよ……」

春香「それじゃあ小鳥さん!律子さん!お疲れ様でした!」

律子「ええ。……にしても今日は疲れたわ…プロデューサーの苦労が身に染みました」

千早「だってほとんど休んでないんでしょう?…いつか倒れてしまうわよ?」

律子「そうね…もう一人、雇うべきかしら」

小鳥「確かに、律子さんとプロデューサーさんで出来る量じゃなくなってますものね…」

春香「プロデューサーさんも人間ですからね」

真「でもきっと明日には元気な顔見せてくれるよ!なんたって超人だからさ!」

律子「またテキトーな事…」

マスクP「~♪」

「えっ!?あいつ、何車道歩いてんだ!!!?」キキーッ!!!

マスクP「?」

「おい!危ねえだろ!死にてえのか!!」プップー

マスクP「?…やだボクと仲良くなりたいの?」スッ

「!?」

マスクP「」

『アアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

「!?うわああああああああ!!!」

あずさ「あら…もうこんな時間ね。春香ちゃん、大丈夫なの?家遠いんじゃ…」

春香「いえ!今日は…千早ちゃんの家に泊まりなんです!!」

千早「は、春香…」

真美「おやおやぁ?お熱いですなあ…」
亜美「危険な予感!ですなぁ…」

千早「ちょっと…」

あずさ「うふふ~それなら安心ね。じゃあ私はこれで…」ガチャ


マスクP「待った?」

あずさ「」





アイドル「」

真「……で、この変質者誰?」

あずさ「だ、誰でしょう~?」

マスクP「」





春香「えっと…あれ?この財布…プロデューサーさんの……」

律子「何言ってんの?プロデューサーの財布は……プロデューサーの財布ね」

美希「あふぅ…うるさいの……!?ハニー!?どうしたの!?」

律子「!?…いや、これどう見ても変態でしょ!?緑の丸ハゲの!!」

美希「ミキがハニーを間違える訳ないの!……正直怖いけど」

貴音「…面妖ですね…」ツンツン

美希「とにかく!こんな変なお面外すのー!!!」グイィ

マスクP「!?ヌン!」

真「うわっ!?天井に貼りついた!!!?」

マスクP「…」ピピピピピピ

春香「な、何か変なの目に着けてるよ…」

マスクP「…」

『91、90、86、85、83、83、81、78、78、77、75、74、7ジュウn…』

マスクP「」ボン!

春香「こ、壊れた!?」

千早「何故私を見た瞬間壊れたのかしら」

マスクP「俺の桃源郷は……ここだ!!!」

あずさ「!?」

春香「迷わずあずささんに飛びかかった!!?」

真「あずささん!!…てぇりゃあああ!!」

マスクP「!」グリュン

春香「捻じ曲がったぁぁぁぁあああ!?」

伊織「アンタさっきからうるさいのよ!!いいからその変態捕まえなさいよ!!」

真「くっ!全然当たらない!」

伊織「ちょっと貴音!!あのバカ捕まえ…」

貴音「」

やよい「貴音さんならプロデューサー?が天井に貼りついた時に気絶したよー」

伊織「何なのよもう!!」

真「てい!」ブォン!

マスクP「アヤヤヤヤヤ」

真「てりゃあ!」ブォン!

マスクP「センキューベリマッチ」

真「はぁ…はぁ…」











伊織「この、大変態!!!」グシャア

マスクP「オウフ!!!?」

マスクP「か……おう…ふ」

春香「ぷ、プロデューサーさん?」

伊織「ふん!いい刺激になったでしょ!」

マスクP「う…ぐ…」ドサァ




あずさ「あ、あらあら~……」

伊織「何自然にあずさに抱きついてんのよ!!!」

マスクP「い、いいんだ…私はもう思い残す事は無い。あずさ、後は、お前に託した…ゲホゲホ!!」

あずさ「あ、あの?え?」

マスクP「でも…アタシの事忘れないで…あの桜の木の下で誓い合ったじゃないの」

あずさ「あ、あのぉ…」

マスクP「俺の骨は海に流してくれ」


あずさ「せめてキャラ一つに絞ってくれませんか?」

伊織「ああもう!!新堂!来なさい!」

新堂「ここに」

伊織「そのバカ叩き出して!!」

新堂「御意」スチャ

春香「えっ!それマシンガン………」

新堂「」ズガガガガガガガガガガガ

春香「ちょ、ちょっとおおおおおお!!!?」

P「……ん」

あれ…何だ?
…夢、か。

そりゃそうか。
あんな非科学的な事、あってたまるか。

P「ん~…!寝たら楽になったし!また一日頑張ああああああああ!!?」


何が、どうなってんだよ…?

壁も、床もボロボロで、目覚ましが壊れてて……。

P「何だよ…何なんだよこれ…」

とにかく、事務所に行かなきゃ。

頭が整理出来ない上に時間が分からない。

P「…って!遅刻する!!?早く行かないと!!」

P「…」

事務所も、ボロボロだ…。
ガラスが割れて、人も集まってる…。

P「…~!!何が起こってんだよ!!!」

P「音無さん!!何があったんですか!?」

小鳥「!?あ、ああ…え、えと…」

P「!?」

小鳥さんが俺を見た瞬間震え出した。
どうしたというのか。

小鳥「き、昨日と同じ、ネクタイ……きゅう」

P「!?……あれ、ネクタイが千切れてる…」

何でだ?

…分からない事だらけだな、本当に。

春香「あ!プロデューサーさん!?…えと…昨日は……」

P「え?昨日は寝てたけど…」

春香「で、でも、そのネクタイ…」

P「ああこれ…何で千切れてるんだ?」

春香「え?」

春香と小鳥さんから聞いた話はこうだった。

昨日の夜、アイドル達が帰ろうとした時に唐突に俺らしき怪しいマスクの男が現れて、意味不明な行動を取った後に伊織の執事にマシンガンで撃たれながらも全て避けて窓から脱出。

その際にネクタイを銃弾が掠め落ちたのだという。

そのネクタイが、今俺がしているネクタイと同じだと。

P「…作り話にしても、もう少し上手いのを考えてくれよ…」

春香「本当なんですってばぁ!!」

小鳥「でも…プロデューサーさんは昨日あんなに辛そうでしたし…あんな真似が出来るとは…」

伊織「風邪で頭がバカになったんじゃないの?」

P「伊織?」

伊織「……その様子じゃ、本当に覚えてないみたいね。まあ元気ならいいわよ」

P「あの、本当に何がなんだか…」

伊織「説明するのも嫌なのよ、察しなさいよ。…貴音なんて今日もうんうん言って起きないってんだから…」

P「貴音が?どうして?」

伊織「…大方、春香から聞いたと思うけど、あんたのキモい動き見て気絶したのよ。それから言えも分からないし、仕方ないから私の家で預かってるわ」

P「……嘘、だろ…」

まさか、あの、マスクは…。

その日の夜。
事務所の人間の生暖かい視線に耐えながらも何とか仕事を終わらせ、一目散に家に戻った。

P「……これ、が…?」

まさか、これを被った事で、俺はその緑の変態野郎になったと言うのだろうか。

そういえば、今日の朝も隣人の人が俺を見てビビっていた。

…。

P「……捨てよう。危険すぎるよ。…一歩間違えたら犯罪じゃないか」

…きっと誰かの物に違いない。

警察に正直に言って、届けよう。

…いや、もういっその事壊してしまおう。

P「…」

……のはずなのに。

何故だろうか。

俺は、またこれを被ろうと思ってしまっている。

P「…俺、頭おかしいんじゃないのか?」ポイ

ダメだ。
俺は最近フラストレーションが溜まっている。
そのせいだ。

今度飲みにでも行こう。
そうすれば気分は紛れる筈だ。

P「…」

P「……」

P「………」







P「…うわああああああっ!!!」

「……!!!~~!!!…………」



マスクP「……俺のこのストレスは誰にぶつける!?……ん?」

『社長の名刺』

マスクP「そう!お前のせいだこの黒塗りマックスター!!!!」

マスクP「お前と黒井のケツとケツを太いパイプで結んでやろうAーHAHAHAHAー!!!!」

高木「…ふぅ。たまにはこうして1人で事務所で黄昏るのも悪くはないな」

高木「…もうすぐクリスマス、か。萩原君は誕生日。…ううむ、二つ贈るべきか…」










マスクP「高木ィィィィィイイイ!!!」

高木「ん?…その声は………って黒井ィ!?」

黒井「」



マスクP「喰らえ俺のフィニッシュブロー……アハハハハハハハ!!!!」


高木「ひっ…うわああああああああアッー!!!!」

『961プロの社長、765プロの社長、全治1ヶ月の重傷』

律子「あの、これどういう事ですか?」

P「だから知らないんだよ!!」

伊織「知らない!?じゃあ他に誰がいるってのよ!!」

貴音「伊織。どうやらプロデューサーは本当に知らないようです」

伊織「!…じゃあ、何なのよこれは!」

貴音「…まあ、隠している事はあるようですが」

P「!?」

伊織「?…アンタ、何を隠してるってのよ。正直に言いなさい」

P「………分かった」

それから俺は、あのマスクの事、それを被ってから記憶が無い事、全てを話した。

いかんせん記憶が無い為か、ちぐはぐな内容だったと我ながら思うが。

P「とりあえずこのマスクなんだけど…」

伊織「…見たところ、ただの仮面ね。薄気味悪い」

律子「…これを被ると…」

伊織「被るんじゃないわよ」

律子「被らないわよ。…プロデューサー、これを被った時の記憶は無いんですよね?」

P「ああ。…だけど、その…」

律子「その?」



P「何だか、俺がやりたがっていた事をやってる気がするんだ」


律子「」

おーぷんにアイドルマスターのスレがいくつ立ってるか数えてみろよ
楽しんでやってるのはお前だけ とっとと速報にお帰りなさい

伊織「…アンタ、そっちの趣味があんの?」

P「違う。断じて違う。…何というか、昨日の事に関しては、社長に対しても、黒井社長に対しても、少しばかりいらついていたんだ」

P「少しくらい、彼らも苦労したっていいんじゃないかって、そう思って…」

伊織「で、やりすぎたと」

P「こんな事になるなんて思わなくて…」

伊織「確かに、ケガってよりは精神的なダメージは大きいでしょうね」

律子「暫く面会謝絶だものね…」





響「おーい!!社長が襲われたって本当なのか!!?」ガチャ

伊織「帰ってきたきりうるさいわね…今それの犯人尋問してんだから」



>>33
おはラブライバー

響「犯人…って、……え?プロデューサー?」

P「…」

伊織「半分そいつで、半分こいつね」

響「?その仮面がどうかしたのか?」

律子「…この仮面を被ると、緑の変態になるって事よ」

響「へ、変態……これが?…こうか?」

P「!?おい馬鹿!!!」

伊織「ちょっと!今すぐ剥がしなさ…」

響「?何ともないぞ?」

貴音「…もしかしたら、時間帯があるのやもしれませんね」

このマスクについてわかった事がある。

まず、これを被ると、自分の願望通りに動くという事。

それと、これは日が落ちてからしか効果が無いという事。

伊織「とりあえず…これは捨てて…いや、もうぶっ壊すわね」

貴音「ええ…第三者の手に渡って同じような事が起きては遅いですから」

P「皆…本当にすまない」

律子「とりあえず黒井社長と高木社長に謝って下さいね…まあ暫くは会えませんけど」

響「というより、誰にも会いたくないと思うぞ…」

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