改造人間01号の追憶(7)

初投稿オリジナルss
温かい眼で見守ってください。

ブクブク…泡が膨らんで割れて…外がユラユラ揺らいでる。
僕はいつからここにいるんだろう。
僕は…誰?
外にいる君は…誰なの??
外にいる子が難しそうな機械をいじるとブザーが鳴り響き、外の景色はユラユラしなくなった。

「目覚めなさい、改造人間01号。」

初めてくっきりと見た世界は……人は…とても美しい笑顔で僕を見ていた。

「まずは歩いてみて…私の真似をして、足を動かして…そう、そう。上手よ。」

僕はその人の言う通り真似をして見た。ひんやりとした感覚が足を伝って来る。悪くない感触。はじめての感触。
でも僕はその人みたいにスッスッと歩けない。フラフラして、真っ直ぐ行けない。なんだかぐらぐらしてしまう。

「おっとっと…まだしっかり歩けてないのね?まぁその内慣れるわよ。」

前に引っ張られる感じがしたけど、僕は柔らかい感触に包まれた。
転ぶ前にその人に受け止められたんだ。その人は足とは違ってとっても暖かくて、ふんわりしてて、なんだか良い匂いで…安心してた。

「私の名前は博士…ここは君の産まれた場所。君の帰ってくる家って言う場所よ。」

初めて歩いた日から十日ほど経った。もうしっかりと歩ける。
黒くてキラキラした髪の毛の博士はいつもニコニコしていて、日向みたいに暖かくて…良い匂いがして…とにかく一緒にいて気持ちが良い。
でも重いものはあんまり持てないし背も低くて高いものは台に登らないと取れない。
だから僕を造ったんだって。高いものがとれるようにするために。重いものを持てるようにするために。

「君の名前は01。改造人間01。で、私達は家族。だから一緒にいるんだ。わかる?」

家族?家族ってなんだろ?
僕には良くわからない。

博士は良くわからない僕に色んなことを教えてくれた。

家族はいつも一緒にいること。そしてどんな生き物だって家族はいて、大切なんだってこと。
博士の家の庭の花はとっても良い匂いがすること。
晴れた日は森の中の木苺を取りに行って、お菓子を作って食べること。
雨の日は本を読んでゆっくりと過ごすこと。
雪の日は外に出て日が暮れるまで遊んで、その後はゆっくりと甘くて美味しいココアを飲むこと。
それに文字の書き方や言葉まで。
でも唯一

>>6
書きかけで送信してしまった。

でも唯一僕は博士みたいに言葉が出せなかった。

「01、喋れないのかぁ…。いつか01とも喋れるようになりたいなぁ。」

博士は寂しそうな笑顔で僕に呟いた。何でかわからないけど僕まで悲しくなっちゃった。
そんな悲しくなる気持ちを抑えるために、花冠を僕は博士に被せてあげた。
そんな寂しそうな顔をしないで博士。僕、頑張って話せるようになるよ。

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