呂布「玲綺に友が一人もいないだと?」 (215)

呂布「なぜだ、何故玲綺に友がいない!?俺が君主なんだぞ!」

文官「呂布殿…数ヶ月前に小規模とはいえ山賊が支配していたこの地を制圧し君主として治められました、ですが…」




民「うぅ腹減った…」

民「これから冬になれば食料も無くなる…おれたち死んじまうよ…」


文官「民は餓え」


練兵場
兵士「おう酒盛りしようぜ!!」

兵士「いいけどよぉ、酒の備蓄がもうねえぞ?」

兵士「へっへ、近くの村に酒樽がたっぷりあってよ…今晩そこから略奪すりゃ解決よ!」

兵士「おっいいじゃねえか!よし今晩仲間連れて酒樽祭りだ!」


文官「元山賊の兵士はもはや軍の体を成しておりません」

呂布「ふん、何が言いたい?」


文官「丁度呂布殿の娘、呂玲綺殿が散策に街へと出ている頃…参りましょう」



呂玲綺「そこの娘、待つのだ」

娘「っ!?な、何でしょう…?」

呂玲綺「この肉まんが欲しいのだが…いくらだ?」

娘「い…いえいえいえ!お代なんていりません!むしろ1つではなくこの籠ごとどうぞ!」

呂玲綺「いや、1つで充分なのだが?それに金を払わないのは泥棒と同じ、払わせてくれ」

民「あんたらも元々泥棒みたいなものじゃないか…」ボソッ


呂玲綺「!何…?」

民「そ、そうだそうだ!確かに山賊が住み着いてはいたが太守はいたんだ、太守様まで追い出すから前よりも生活は悪く、治安も悪くなっちまった!」

呂玲綺「…お前達、父上を愚弄すると許さんぞ!」

民「最初は救世主だと思ったけどよ…今じゃ疫病神にしか思えねえ…」

民「そうだそうだ!出てけ出てけ!」

呂玲綺「…」

呂布「ぐ…ぐ…」

文官「この有り様では呂玲綺殿の友人など出来るはずもありません、早急に治世を…」


呂布「うおおおおおおおおおお!!貴様等ぁぁぁぁ!!!」


民「うっうわあああああ!!」

民「ほ、本物だ!?逃げろー!!」

娘「いやあああああああ!殺さないでぇぇぇぇ!!」

呂布「玲綺に罵声を浴びせる雑魚共が!!俺が消滅させてくれる!!!」

呂玲綺「父上…お待ちください」

呂布「!?なぜ止める玲綺!こいつらはお前を…」

呂玲綺「もう民は逃げていきました、それに…街を散らかしてはまた民に苦労をかけるだけです、私は片付けてから城に戻るので城内へ父上はお戻り下さい」


呂布「………ぐ……」


城内

呂布「ぬおおおおお!!!民共が!!何故大人しく従わんのだ!俺の武さえあれば天下は取れる!!」

文官「…お、落ち着いて下さい呂布殿…」

呂布「おい!今すぐ民共に呼びかけろ!」

文官「呼びかけ…?もしや呂布殿ついに政を…」

呂布「玲綺と同じほどの娘を集めろ!!広場に今すぐだ!」


文官「娘?…え、ええ!?」

広場
娘「い、一体なんなんだろ」

娘「いざとなったら逃げちゃえばいい…よね?」

娘「…来た…!」


呂布「小娘共!!今から貴様等は玲綺の友になれ!!さもなくば…」ブンッ

娘「きゃあああああああああ!助けてえええ!!」

娘「逃げよう!今すぐ逃げよ!」

娘「殺されるー!!!」

呂布「待て!何故逃げる!!」

文官「そりゃ方天戟振り回して逃げない娘はいないでしょう……おや?まだ1人のこっちゃいる方がいますな」

呂布「ほう…おいそこの娘!名は何だ!」

王元姫「…私は王元姫、諸国を巡り見聞を深めています」

呂布「しょこく?け…ぶん?」

文官「色々な国を旅しているようですな」

王元姫「この国の君主、呂布殿ですね。僭越ながら今すぐ城下や近隣の民達へ施しを賜りたいと参りました」


呂布「ほどこし…だと?」

王元姫「はい、この国の民は飢え、このままではもうすぐ訪れる冬は越せずに死に絶えてしまう…早急に手を打たねば手遅れになります、ですので…」

文官「なる程、なかなか聡明な女性のようですな」

呂布「…貴様、俺が恐くはないのか?」

王元姫「恐い…?恐くないと言えば嘘ですがそれよりも今民達を救う事が私の責任、引くわけには行きません」

呂布「面白い…ならば貴様がやるがいい!」


王元姫「やる?一体何を…」

呂布「今言った事をだ、今からこの国の軍師、政治は貴様に任せる」

王元姫「え…!?いきなりそのような事を言われましても…」

呂布「俺に政治はわからぬ、興味もない!ならば貴様が治め、好きにするがいい!!」

王元姫「…この国に将や政治を担当する文官は…」

文官「…私だけですな…もっとも内政までは全く手付かずではありますが」

王元姫「…承りました、登用されたからには責任を果たしてみせます」

呂布「いいだろう、ならば城へ案内してやろう!来い!」

文官(丸投げしたな…)

城内
王元姫「私は王元姫です、呂玲綺殿よろしくお願いします」

呂玲綺「お前とは歳があまり変わらない、敬称は気にしなくてもいい」

王元姫「え?はい…あまり周りに同年齢が近い同性がいなかったもので…」

呂玲綺「私もだ、だからその…元姫、よろしく頼む」

王元姫「…ええ、こちらこそよろしくね、玲綺」



文官「相性は悪くなさそうですな、呂布殿」

呂布「ふん…当然だ」



一ヶ月後

王元姫「…以上が今月の内政についての報告です」

呂布「おい、金が少なくなったのは何故だ?」

王元姫「民への施しを最優先に行いました、それから城内の…練兵場が荒れていたので補修、および軍の再編費用ちなみに規律も正しましたので今後野盗まがいの略奪は皆無になるはずです」

呂布「ぬう……」

王元姫「そしてこちらを拠点に活動していた放浪軍へ物資と金銭の援助も行いました理由は無援所のままですと最悪領内を荒らされる危険をはらんでいる為それを懸念し援助に踏切りましたもっとも頭領はそのような人物には見えませんでしたが」

呂布「……」

王元姫「それから田の整備…」

呂布「もういい…下がれ!」

王元姫「?報告は詳細に行わねばと思ったのですが…」

文官「いやいや王元姫殿素晴らしい手腕、このまま内政を取り仕切り住みよい街へ変えていってくだされ!」

王元姫「はい、まだまだ着手せねばならない事は山ほどありますから」

文官「そうだ、そういえば玲綺殿と戦談義をすると聞いていましたが」

王元姫「はい、玲綺とは以前から戦の考えについて語りたいと思い、時間を設けました」

文官「では玲綺殿もお待ちなはず、報告感謝いたしますぞ」

王元姫「はい…では失礼します」ガラッ

呂布「…」プスプス…


文官「…脳が限界を超えられてしまったか…」

数時間後

呂布「ふん、あの女め小難しい話ばかりを。俺はやはり武を…」

呂玲綺「貴様!卑怯だぞ!!」


呂布「玲綺!?確か軍師の女と戦の話をすると…」コソコソ

呂玲綺「私の駒をこの道に誘い込み策にはめるとは!お前に武人の心得がないのか!?」

王元姫「はぁ…狭い道に両脇には崖、そこに罠を仕掛るのは当然…釣られた玲綺の責任よ」

呂玲綺「何!?」

王元姫「それに武人と言うけれど盤上とはいえ一騎討ちではない軍団同士の戦…そこに正々堂々、真正面からぶつかるのは時にはただの愚行、武勇でも何でもないの」

呂玲綺「しかしだ!…ならばもう一度…」


呂布「お前達何をしている!!」


呂玲綺「ち、父上!?」

王元姫「申し訳ありません…二人で談義をする内に食い違いが起き、盤上での模擬戦を始めたのですが…」


呂玲綺「元姫が卑怯な策ばかりを張り正々堂々ど勝負をしない、これが戦だという画私は認めぬぞ!!」

王元姫「はぁ…だから何度も言うけれど卑怯でもなくただの計略。…はっきり言って今の玲綺の戦い方は勇敢ではなくただの蛮勇、ただの犬死によ」

呂玲綺「な…」

呂布「う…うおおおおおおおおおおおお!!!!貴様ああああああああ!玲綺をコケにしおってえええ!!」

王元姫「いえ…そういうわけでは…」


呂布「今すぐ叩き斬ってくれる!!!」ガタッ

王元姫「な…!!」

呂布「死…」ガシッ

文官「呂布殿!!どうか、どうか落ち着いてくだされ!!!おい兵士達!呂布殿を押さえるのだ!!」

呂布「離せえ!!うおおおお!!!」ズルズル


呂玲綺「…」ダッ


王元姫「あっ玲…綺…」


王元姫「はぁ…」


練兵場

文官「はあはあ…落ち着きましたかな?」

呂布「ぐうう、あの女…玲綺をコケにしたのだぞ!」

文官「元姫殿の言い方も刺があったかもしれませんが…彼女なりに玲綺殿を想っての助言だったはず。何もムキになる事も」

呂布「だが!!」


兵士「あれ?なんか騒がしいじゃないすかなんか同僚が駆り出されてたっすけど?」


文官「お前達か…鍛錬はどうした?」

兵士「終わったっすよ、ちゃんとこなさなきゃ軍師殿におしおきされますからね」

文官「おしおき?」

兵士「いやあ、最初に軍師殿が来た時にですね…」


回想

王元姫「今日から軍師としてこの国に仕える王元姫よ、あなた達にはしっかり軍の責任を果たしてもらう」

兵士「うっひょーすっげえ上玉じゃん!」

兵士「胸揉みしだきてぇ!!」

兵士「へっへ姉ちゃんそんな格好でここに来たらよ…」ジリジリ

兵士「王元姫ちゃあん…可愛がってやるぜぇ…」ジリジリ

兵士「へへ…近づいたとこで…そのはみだしおっぱいを…おげぇぇ!!」ドゴォ

兵士「へ?」

兵士「け、蹴りであんなとこの壁まで吹き飛ばされ…」

王元姫「なるほど…荒んでいたのは民の生活だけでなく軍も別の意味で荒れていたわけ、ね」

兵士「こ、この女!!」

兵士「こうなったら力づくだ!ヒーヒー言わせてやるぜぇ!!」

兵士「後悔させてやらあ!!」


王元姫「最初の訓練は…」シュッ

兵士「ぎゃああ」バコォ

王元姫「あなた達全員のおしおきから、ね?」



回想終わり

兵士「もうヒーヒー言わされましてねぇ」

文官「お前たちそんな事を…」

兵士「そりゃ山賊ですからね、そこの呂布殿に力で敵わねえから従ってるだけだったし」


呂布「ふん」


兵士「でもですね、軍師殿は違うんですよ。俺達がボコボコにやられた後にわざわざ手当してくれて…」

兵士「なんでそんな事をって聞いたら、あなた達は大切な人材であり民を守る立派な責任がある。おしおきとはいえ大事な兵を傷付けたら手当するのは当然よってね…」

兵士「俺達山賊はそりゃゴミの様な存在でした、弱い民から奪い好き放題…呂布殿にやられても他の弱い奴から奪えばいい…そんなんだったのに」

兵士「いきなり大切な人材なんて言われたら…格好つけたくなるじゃないてますか!」

文官「なるほど…」

呂布「ふん!!」


兵士「俺らまだ1月だけど頑張ってますよ!それに…」

王元姫親衛隊「…」

兵士「こんな精鋭兵まで出来ちゃって!」

文官「精鋭…?」

呂布「面白い、貴様俺と立ち会ってみるか?」


親衛隊「…」


呂布「!貴様よくも無視を!」

兵士「ああいや落ち着いて!こいつは軍師殿とその言葉にしか反応しなくて!ほら、おしおきよ、耐えられる?」


親衛隊「我々はっ!王元姫親衛隊っ!!いついかなる時も悪鬼羅刹となり王元姫様の敵を斬る!!!おしおきっ!!!」

文官「は、はぁ…」

ちょっと外出

兵士「とまあこうして軍師殿を心酔する奴もいますし、俺らもひとつ軍団としての責任ってやつを果たしてみるつもりっすよ!」

文官「なる程、元姫殿を軍師に招き入れたのは正解だったようですな呂布殿?」

呂布「ふん!くだらん!貴様等がやりたければ好きにするがいい!」

文官「りょ、呂布殿どちらに?」

呂布「うさを晴らす、虎狩りだ!」

文官「行ってしまわれたか…」

兵士「ん?何か落としたっすよ?なになに、って俺字読めねえし!」

親衛隊「これは元姫様の直筆の書簡っ!!!元姫様直筆の書簡っ!!!!」

兵士「いや2回言うなよ」

親衛隊「近隣の民が虎の被害に悩まされている、呂布殿の武にて人を襲う虎の撃退を賜りたく…」

兵士「へえ、お前字読めるのか?すげえじゃんか」

親衛隊「読めん……元姫様の直筆故……」

兵士「軍師殿の文字限定で読めるのか…」

文官「だが呂布殿も元姫殿を認めてくださって良かった」

文官(そろそろ…ですかな)

昼休み終わるから続きは夕方

数日後
城内

呂玲綺「あ…元…」


文官「では隣国への使者はいかがされますか?」
王元姫「ええ、是非派遣をと考えてはいるのですが。なかなかそこまで人員と任せられる人材がいなくて…」

文官「ですな…ならば私が使者として周辺国を回りましょう、では次ですか…」


呂玲綺「…」



呂布「…」


数時間後

呂布「貴様あ!なぜ玲綺を無視したあ!!」

文官「い、いえいえ無視などは!この所国として機能し始めてからしなければいけない事が山積みでして…」

文官「元姫殿と私だけではこなしきれない事も増えてきまして」


呂布「ふん!ならば練兵は玲綺に任せよう、これであの女も内政に専念出来るだろう」

文官「いや呂布殿…そもそも人手時代が足りないのでもはや1つの仕事を同行した所で…それに私はともかく元姫殿もまだ若くたおやかな女性、この激務は相当堪えてるはずです」


呂布「ぐう…」



城下町 

小喬「うわー!綺麗だねー、この丘見からよーく景色みえるよ、お姉ちゃん!」

大喬「そうね小喬、この国の人から聞いたけどつい最近に出来たばかりなんだって、新しい軍師さんが民の憩いの場として整備したんだって」

小喬「へー、街の人のために草とか刈ったんだね!すごいなあ」


呂布「おい、貴様等」

大喬「!?……!!ぇ!?お、鬼!?」

小喬「うわでっかい!!おじさんでかいねー」
呂布「おじさん…?」
大喬「しょしょ小喬いけない!いけない!ごめんなさい許して下さい!今すぐ消えますから!」

小喬「あ、お姉ちゃん痛いよ手引っ張らないで~」

呂布「待て」

大喬「っひ!!……な、何でしょう…」

呂布「みない顔だな、何者だ貴様等は?どこから来た?」

大喬「わ、私達は姉妹で旅をしているだけの旅人で…」

小喬「そうだよ?おじさんこそなんなのさ!」

大喬「小喬!いけない!いけない!静かに!」

呂布「旅か…」

呂布(この小娘共も玲綺や軍師の女と歳が近い…ならば)

呂布「貴様等、来い!」

大喬「…え?」

小喬「どこに?」

呂布「城へ来い!今すぐだ!来なければ…」

大喬「い、いやあああああああ!!」

小喬「誰か助けてー!!」

呂布「何を言っている来いと言っただけだ!!」

大喬「お、お願いします…どうか妹だけは…妹だけは…」

呂布「泣くな!!黙って城へ来い!」

小喬「うわああん!お姉ちゃんを食べるつもりなの!?やめてよぉ!」

呂布「何!?食わん!!」

大喬「いやあああああああ!」
王元姫「あの…何をされているのですか?」

呂布「む…」

大喬「あ…ぁぁ!来ちゃダメ!食べられますよ!!」

王元姫「え…?」

小喬「逃げた方がいいよぉ、このおじさんこわいよ~」
王元姫「はぁ…呂布殿、彼女達に一体何を?」


呂布「知らん!俺はただ大人しく城へ来い!と言っただけだ」


王元姫「城へ…?なぜ突然?見たところ彼女達は旅の者のようですが」


呂布「それは……なんとなくだ!ともかく軍師!そいつらを城へ連れていけ!!」


王元姫「は、はい…二人ともごめんなさい。私は王元姫、この国の軍師として内政を主に担当しているわ」

大喬「あ、あなたが軍師様…?」

王元姫「そしてあちらが君主の呂布、今はまだ国として動き始めて浅いけれど…ゆくゆくはもっと住みよい街を作り民の生活を少しでも楽にさせてあげたらと思っているの」

小喬「へぇぇ、あたし達とあんまり歳変わらなさそうなのにすっごく難しい事考えてるんだね~」

城内

呂布「というわけで登用したぞ」

文官「何がというわけなのかは謎ですが…」

大喬「大喬です、元姫さんの仕事を手伝えたらと思い仕官しました。」

小喬「小喬だよ、とりあえず楽しそうだからお姉ちゃんと一緒によろしくね!」

文官「は、はぁ」

王元姫「彼女達も武芸の心得はあるみたいだし、今は猫の手も借りたい状況、ありがたく力を借りようと思います」


呂玲綺「む、その2人は?」

大喬「はじめまして、今日から仕えます大喬です」

小喬「小喬だよ!ねえねえおねえちゃんは?」

呂玲綺「私は呂玲綺だ、共に鬼神の国を強くしていこう」

大喬「つ、強く…ですか?がんばります!」

小喬「がんばろー、おー!」


呂玲綺「で、元……」


伝令「軍師様、先ほどの調略の件で…」

王元姫「ええ、ご苦労様。執務室で続きを聞かせて」スタスタ

伝令「はっ!」タタタッ


呂布「ぐぐぐ…」


文官「まあまあまあ…」

呂布「…ふん!まあいい」

文官「りょ、呂布殿どちらへ?」

呂布「虎狩りだ、後は任せたぞ」

文官「…は、はぁ…」

呂布(あの小娘共も増え玲綺にも友が出来るだろう)


一週間後

呂玲綺「はあぁっ!!」シュッ

大喬「きゃあああっ!!」ズササ

呂玲綺「まだ倒れるな!これでは鍛錬にならんぞ!」

大喬「はぁ、はぁ…で、でも私槍なんて重たい物持った事なくって…」

呂玲綺「お前の武器双杖ではますます鍛錬にならん、遠くから敵を攻撃するなど武人のする事ではない」

大喬「私武人では…」

呂玲綺「う、うるさい!では再びいくぞ!」ダダッ

大喬「え…きゃああ!」カキーン

呂玲綺「受け止めたか…だがまだだ!!」


大喬「誰か助けて…」


執務室

小喬「ねえげんきちゃん…」カリカリ

王元姫「何?」サラサラ

小喬「もう飽きたよぉ!いったいどれだけ字書くのさ~?!」

王元姫「どれだけって…あなたの目の前に積んである書類全てだけど」

小喬「えぇー!!あたしが書いた奴の何倍もあるよコレぇ!」

王元姫「今まで国政を放置していたせいでこうした書簡の処理が滞っていたの、しっかり処理しなければ民の生活にも影響が出る。地味だけど大事な事なの」

小喬「ううう~」

王元姫「ちなみにそこのが終わったら通路にも山積みになっている書簡の処理もお願い、ね?」

小喬「あーん!おねえちゃんたすけてぇ~!!」



文官「と、まああまり上手く行ってない様子でして」


呂布「馬鹿な!!何故だ、何故奴らは上手くやらん!?」


文官「呂玲綺殿王元姫殿大喬殿小喬殿…4人とも性格はそれぞれ全くちがいますし、致し方ない部分も…それに激務なのも手伝い…」


呂布「ええい黙れ!!もういい!こうなれば俺が実力で奴らを叩き直してやる!!」

文官「じ…実力とは何をなさるおつもりで?」

呂布「ふん単純な事だ、俺が腕づくで奴等の仲を取り持つだけだ」

文官「いや…単純というか意図や意味がわかりかねるのですが…」

呂布「黙れ!安心しろ殺すわけじゃない、訓練であの小娘共の根性を叩き直す」

文官「…それは呂玲綺殿に対してもですか?」

呂布「無論だ、俺の娘だが特別扱いはせん。2日後の午後に行うと奴らに伝えておけ、軍議を行うとな!」

文官「軍議ではない気が…わかりました、4人にはお伝えしておきましょう」


文官(…)

執務室

王元姫「え?軍議…?またなぜいきなり…」

文官「呂布殿からのお達しです、遅れないようにとの事。」

王元姫「はい、では私も内政で気付いた点に関する書類をまとめておきます」

文官「よろしくお願いしますぞ、ああそれと…」

文官「外交、国外の情報も知っている限りで結構なのでまとめていただきたい、それとこの国の船の数も」

王元姫「船?わかりました、そちらも一緒にまとめますので」


文官「では頼みましたぞ、王元姫殿…」


練兵場
呂玲綺「そうだ!もっと腰を入れて槍を振れ!」

呂玲綺(2日後の軍議…戦が起こるのだろうか?それまでに兵達を鍛え上げねばならん)

兵士「ほっ!そりゃ!」


呂玲綺「いいぞ!お前は筋がいいなその調子で励め!」

兵士「あ、はは。これでも山賊じゃ疾風の槍術使いと…」

呂玲綺「腕を止めるな!」

兵士「す、すません…」

親衛隊「…」ボケー

呂玲綺「き、貴様何を突っ立っている!?訓練中だぞ!」

親衛隊「…」ボケー


兵士「あの、あねさん?」

呂玲綺「あ、あねさん!?」

兵士「そいつ軍師殿の言葉以外聞かないんすよねぇ、俺が言っても聞かねえし」

呂玲綺「元姫の…?」

兵士「へい、でもあねさん大丈夫っす」

兵士「文官殿が俺にこの紙を渡してきたんす、あねさんがここに書いてある文書を読めば必ず言うことを聞くらしいすよ!」サッ

呂玲綺「何…?見せてみろ」


呂玲綺「…貴様、これを私に読めと?」

兵士「いや、俺字読めねっすから何を書いてあるのかさっぱり」


呂玲綺「くっ…」

兵士「でもいいんすか?みんな手ぇ止めちゃってるし訓練の時間もあんまないすよ?」

呂玲綺「くう…し、仕方ない……おい!1度しか言わんぞ!」

親衛隊「…」ボケー


呂玲綺「あ、あなたにはすごくきたいしている、もしがんばれたらわたしがさいこうのごほうびおしおきをしてあげる、だからがんばってくんれんして、ね?……」


親衛隊「…!おしおき?」


兵士「おっ」

親衛隊「ぬんっ!ぜあっ!とおりゃあああ!!」シュッシュッズバアア

兵士「うおっ、すげえ槍さばき」

呂玲綺「…なぜ最初からやらんのだ、こんな妙な文書を読まされた私は…」

親衛隊「せいっ!とあっ!臥龍伏龍陣!!!」ズアアアァァ

兵士「なんかすげぇ技出た!」

呂玲綺「はぁ…」


休息所

大喬「はぁ…はぁ…」グッタリ

小喬「うぅ~頭いたいよぉ…」グッタリ

大喬「はぁ…はぁ…2日後に軍議があるって聞いた?小喬」

小喬「うん…聞いたぁ…」

大喬「私達、仕官したのはいいけど…体…持つのかな…」

小喬「死んじゃうよね…このままじゃ…」


大喬小喬「「はぁ…」」

執務室

王元姫「…」サラサラ

王元姫「…」サラサラ

王元姫「……」ピタッ

王元姫(玲綺とはあの時から話せていないし新しく仕官してくれた二人に対する支援も全く出来ない…自分が不甲斐なさすぎる、もっと私は…)


王元姫「はぁ…」


そして2日後
午前

練兵場
兵士「お、あねさんだ。みろよ朝練ってやつだぜ?」

親衛隊「…」ボケー

兵士「でもあんま元気ねえなあ?」


呂玲綺「…」シュッシュッ

執務室

小喬「…」カリカリカリカリ

王元姫「小喬、そこの墨を取ってくれるかしら?」

小喬「…」サッ サラサラ

王元姫「?…私は商人との交渉に行くから軍議が始まるまでお願いね」

小喬「…」サラサラ


庭園

大喬「……」ブンッブンッ

文官「おおっ、大喬殿特訓ですかな?」

大喬「…」ブンッブンッ

文官「?大喬殿…?」

1時間後

呂玲綺「…」シュッシュッ

小喬「…」サラサラ

大喬「…」ブンッブンッ

呂玲綺「ああもう限界だ!」
小喬「ああもう無理無理!!」
大喬「ああ…もう…限界ですっ!!!」

城下
森林公園
呂玲綺「つぶへい?いるか?」

つぶへい「ヴェェ」

呂玲綺「よしよし、餌を持ってきてやったからな。たくさん食べるんだ」サッサッ

つぶへい「ヴェェヴェェ」パクパク

呂玲綺「ふふふ、可愛いなつぶへいは」


小喬「あー!小パンダだ!かわいー!」タタタッ

大喬「しょ、小喬待って!私もうばてちゃって…って…玲綺さん!?」


呂玲綺「な!?お、お前達執務や鍛錬はどうしたのだ!?」

小喬「ぶー、れーきちゃんこそさぼってるじゃないのさー!あたしは休憩だよぉ、あんな紙に囲まれてたら死んじゃうもん!」

大喬「わ、私も…あのままじゃ腕が取れちゃいそうで…」


呂玲綺「む、むう…わ、私も休憩だ…もう戻るからお前たちも早く戻…」


小喬「待ってよ~!その小パンダってもしかしてれーきちゃんのなの?」

つぶへい「ヴェェ」


呂玲綺「うっ…た、たまたまいただけだ!偶然だ!」

大喬「でもその割に玲綺さんにすごく懐いてますね」

つぶへい「ヴェェ」スリスリ

呂玲綺「つ、つぶへい!こんな時に!…あ…」

小喬「ほらあ、れーきちゃんの小パンダじゃん!」

大喬「つぶへいは名前…ですか?凄く可愛い名前ですね!」

呂玲綺「…私があんまん好きだからな粒あんのあんまんが特に…」

小喬「えー!意外~!?」

呂玲綺「わ、私は何を…言って…」

大喬「ふふっ、いいじゃないですか。私も好きですよ、あんまん」

小喬「ねえ、あたしもつぶへい触っていーい?」

つぶへい「ヴェェ」

呂玲綺「ああ…つぶへいは背中を撫でると喜ぶ、してあげてくれ」

小喬「はーい、つぶへい~すりすり~」スリスリ

つぶへい「ヴェェヴェェ」コロコロ

小喬「あはは、かわい~」


大喬「私も…」スリスリ

つぶへい「ヴェェ~」コロコロ

呂玲綺「こいつは元々ここを支配していた山賊が金目当てに捕獲されたパンダだ」

呂玲綺「父上が山賊を退治した後檻に囚われていたこいつをみた時、昔の私を思い出した」

呂玲綺「私を産んだすぐ後に母上は死に父上は戦い続け、私は孤独な日々を送っていた…つぶへいはその頃の私と同じ目をしていたように見えた」

呂玲綺「武芸に励み父上に認められるようになっても鬼神の娘、その目でしか見られない私はひたすら武を磨き鬼神の娘で有り続けようとした」

大喬「玲綺さん…」

呂玲綺「だが…元姫やお前たちと出会い私の心の中の迷いに気付いた…」

呂玲綺「私も同じ年頃の娘達のように友を作りたいと…」

つぶへい「ヴェェ」

呂玲綺「だが知っての通りそう上手くはいかなかった、私はお前たちに鬼神の娘として接する事しか出来ない…避けられるのは当然だ」

小喬「ちょっと待ってよぉ!一人で勝手に決めつけないでってば~!」

大喬「あの…確かに玲綺さんの訓練は厳しいし私も体が持たないかも…なんて思ったりもします」

呂玲綺「…」

大喬「でも、だからと言って玲綺さんを嫌ったり避けたいなんて思った事は一度もありません!」

小喬「そーだよー!ほんとに嫌ならしかんなんてしないもん!」

大喬「小喬の言うとおりです、私達は元姫さんのお手伝いする為に仕官しましたが…城に来る前に元姫が言ってくれた事も理由のひとつなんです」

呂玲綺「元姫が…?」



大喬「はい…正直玲綺さんの父上呂布殿に怯えていたのですが、元姫さんの言葉で元気づけられました!」


王元姫(私と同じ年頃の女の子がいるのだけれど…一見厳しそうに見えるかもしれないけどとても心優しい人だから安心して、ね?)


大喬「元姫さんの言葉、今日全てわかりました。もし迷惑じゃなければ私達が友じゃ嫌…ですか?」

小喬「っていうかあたしはもうお友達だと思ってたよ~!」

呂玲綺「二人共…いいのか?私を友と…」

大喬「当たり前ですよ!」

小喬「いいも何も無いんだからね!」

呂玲綺「……ありがとう」

「 微弱的脈搏和~澎湃的胆魂
拓出生路~永住无畏 ~♪」

大喬「?丘の方から歌が…とても綺麗…」

小喬「ねね、行ってみようよ!3人とつぶへいで!ね、れーきちゃん!」

呂玲綺「あ、ああ!折角だ、見に行ってみよう!」




王元姫「 放月光為~照亮
拓出~生路直前无畏♪」

子供「げんきさまのうたすっげー」
子供「げんきさまありがとう、すっごくげんきでたよ!」

王元姫「ふふ、そう…良かった」

小喬「えええー!今の歌げんきちゃん歌ってたのぉ!?」


王元姫「な…!?なんであなた達…執務や鍛錬はどうしたの?!」

大喬「ふふふ…」

呂玲綺「お前も似たような事を言うのだな、元姫」

王元姫「玲綺まで…」

子供「げんきさまもっかいうたってよ!」

子供「さっきのもっかいもっかい!」

王元姫「え…で、でも…」


小喬「あたしも聴きたい聴きたい!」

大喬「ええ!私も最初から聴いてみたいです!」

呂玲綺「そうだな、私からも頼む…元姫」


王元姫「…わ、わかった。少し恥ずかしいけれど…」


王元姫「画地為牢~実際上疲労~♪装做无所謂~不露出♪亳~孤寂的容貌♪」


子供「じゃーねーげんきさまー!」
子供「またうたってねー!」

王元姫「気をつけて帰るのよ、もうすぐ夕刻になるわ寄り道しないように、ね?」

子供「うん!ばいばーい」


王元姫「ええ、ばいばい」


王元姫「…ふう、それであなた達ここで何を…」

小喬「待ったげんきちゃん!自分もさぼっておいて説教!?」

王元姫「わ、私はさぼってたわけじゃ…ただ…」

大喬「ただ?」

王元姫「執務に追われている時ここの丘で一人歌うのが発散する手段だったのだけれど…」

王元姫「いつの間にか子供が聴きに来るようになって今日も交渉の帰りにせがまれて…」

大喬「でも、歌っている時の元姫さんとても楽しそうでしたよ!」

小喬「うんうん!」

呂玲綺「ははは、素直じゃないな元姫は」

王元姫「な…玲綺、あなたには言われたくない!」

小喬「げんきちゃんかわい~初めてみたよぉ、顔真っ赤なの!」

王元姫「う…」

つぶへい「ヴェェ」

王元姫「可愛い…このパンダは?」

小喬「れーきちゃんの小パンダだよ、名前はつぶへい!」

呂玲綺「あ、こら小喬…」

王元姫「なるほど…やはり素直じゃないのはお互いさま、よね?」

呂玲綺「うぅ…」

大喬「ふふ、本当に仲がいいですね二人共」

王元姫「…」

呂玲綺「…」

元姫玲綺「「…あの」」

王元姫「…お先にどうぞ」

呂玲綺「あ、あぁ。その…この間の事はすまなかった、頭に血が登って見苦しい言い訳ばかり…許してくれ、元姫」ペコリ

王元姫「はぁ…頭を下げるのはこちらの方。私こそきつい言い方になってしまってその後も補う事も出来ずに…それに」

王元姫「大喬、小喬…あなた達にも苦労ばかりかけてごめんなさい、仕官したばかりで激務を押し付けてしまって…」

小喬「気にしないでいーよー!」

大喬「私達より何より…元姫さんが一番仕事を抱えてる事知ってますし、逆に不甲斐なく思っちゃうくらいです…」


小喬「でもさー、おかしいなーって思うんだけどね!」

王元姫「?」

呂玲綺「おかしい?」

小喬「あたし体動かすの得意でおねえちゃんは字かくの好きだかんね、なんで逆なのかなーって!」


王元姫「あ…」
呂玲綺「それは…」

小喬「もしかして…特に考えてなかったとか…」

呂玲綺「す、すまない…」
王元姫「…不甲斐ない…」

大喬「ふふ…」

小喬「あっははは!二人もしっかりしてるようで抜けてるんだからー!」

王元姫「ふふふ…」

呂玲綺「は…はははは!」

大喬「良かった、こんな楽しそうに笑う二人、初めて見た…」

小喬「もおー!しっかりしてよね!こっちは頭割れそうになったんだからぁ!」

王元姫「ふふ…なら、これからも小喬にはしっかり働いてもらわないと、ね」

呂玲綺「そうだな、私達も抜けているのだから小喬がしっかりしてもらわねばな」

小喬「げげ!ひっどいよ~!」

呂玲綺「はははっ!すまない、冗談だ。…改めてだが三人とも、これからもよろしく頼む」

王元姫「ええ、勿論。よろしくね、玲綺」

小喬「そんな堅苦しくなくっていいじゃん!よろしく、れーきちゃん!」

大喬「玲綺さん、困った事があったらいつでも言ってくださいね!私達…友人なんですから…!」

呂玲綺「!…そうだな…ありがとう…」

つぶへい「ヴェェ」


大喬「あれ?元姫さん、その書簡はどうされたのですか?」

王元姫「これ?ああ、昼の軍議で使う資料が………って……」

小喬「もう…」

大喬「薄暗く…なってます…よね」

呂玲綺「…走って戻るぞ!!つぶへい、森へ戻っていろ!!」ダダダダ

王元姫「しまった…なんて不甲斐ない…不甲斐ないの…」タタッ

小喬「うわああん!ぜったい怒られるよぉ!」トタタタタ

大喬「うう…筋肉痛が悪化しそう…」タタタ

つぶへい「ヴェェヴェェ」

続きは夜に

城正門前

呂布「…つまり貴様等はあの丘で遊んでいて遅れたわけか」

呂玲綺「…面目もありません…」

王元姫「申し訳ありません…私の責任です…」

大喬「はぁ…はぁ…はぁ…も、もう…走れません…」

小喬「ぜぇぜぇ…二人共体力あり過ぎるよぉ!」


呂布「うるさい!」

大喬「ひっ!」
小喬「わわっ!」

呂玲綺「お待ち下さい父上、今回の失態は全て私の責任。どのような罰も受けます、他の三人だけはどうかご容赦を」

呂布「何…?」

王元姫「待って、玲綺。それならその責任は全て私にある。呂布殿、元は私が交渉の途中寄り道した事が原因です、玲綺や大喬、小喬にその責はなく罰を与えるのは私一人に…」ガシッ

小喬「ま、待ってよげんきちゃん!そんな事ないよぉ!」

大喬「私や小喬も鍛錬や執務を抜け出したんですから、玲綺さんや元姫さん一人の責任なんてないです!」

小喬「あたし達友達でしょ!だったら四人で受けよーよ!…痛いのはやだけど」

呂玲綺「な…お前達…」

王元姫「大喬…小喬…」

呂布「…」

呂布「ふん!いいだろう…なら貴様等四人には罰を受けてもらうぞ!」

呂玲綺「はい…」

小喬「うぅ…叩かれたら死んじゃうかも…」

王元姫「大丈夫、呂布殿も加減はわかる……はず」


呂布「中へ入れ、軍議を行う。執務室へ来い!」

文官「?執務室ですか?例の事をされるなら練兵場の方が…」

呂布「黙れ!貴様は温かい茶を入れてこい!四つ分だ!」


文官「…!」

呂布「早くしろ!…おい、何をぼさっとしている、これから長い軍議をしてやる、たっぷり罰を受けろ!」

呂玲綺「父上…!」

小喬「それって…」

大喬「罰はなし…ですか?」

呂布「ふん、小娘には辛い時間までの軍議だ十分罰になろう」

王元姫「呂布殿…申し訳ありません…」

呂布「無駄話は終わりだ!気温も低い、とっとと中へ入れ!!」

執務室

呂布「では軍議を始めるぞ!」

一同「はっ!」

呂布「…」


文官「?」

王元姫「呂布殿?」

呂布「…」

文官「ま、まさか」

呂布「…」プスプス…

呂玲綺「ち、父上!?」

文官「ああやはり…慣れないことしようとするから…元姫殿、近隣の動向を報告、お願いしますぞ」

王元姫「は、はい…私達国は川に囲まれている為に近隣国家はほぼ存在せず小さな集落や村が殆どです」

小喬「へえぇ、知らなかったあ」

大喬「小喬…旅の途中に寄ったじゃない…」

王元姫「ですが最近この周辺まで西の大国曹操の国が斥候や使者などを送り調略を開始しています」

呂玲綺「曹操?」

文官「西に君臨する乱世の奸雄ですな、配下も優秀な武将ばかりで李典、凌統、馬超、夏候覇をはじめとする猛将さらには複数の軍師を抱えている強国中の強国…ですな」

大喬「凄い…どの将も聞いた事ある名前ばかり」

小喬「えー?あたし初めてきいたよー!?」

大喬「…」

呂布「ふん!だがどいつも俺の前では雑魚だろう」

小喬「あ、復活した」

王元姫「確かに一騎討ちで一人ずつと戦えれば呂布殿が勝つかもしれません…ですが曹操の大軍を相手にし、同時に猛将達が軍師の策と共に攻めて来たら…」

大喬「あまり考えたくない…ですね」

小喬「で、でもさ!げんきちゃんの話だとまだちょーりゃく?でせめてこないんだよね?」

文官「…実は今日の斥候からの報告で曹操軍はどうやら戦の準備を開始し始めたとの事。狙いは……呂布殿、我々の国です」

一同「!!」

王元姫「なぜ今なのかしら…?」

文官「この国は元姫殿が来てから数ヶ月でみちがえるほど発展しました、それに加え呂布殿の武…曹操はその芽を早めに摘み取りたいのでしょう」

呂玲綺「向こうの数はどのくらいだ?」

文官「辺境討伐軍の為全軍の一割未満ですが…それでも歩兵騎兵弓兵合わせて5000は確実でしょう」

呂玲綺「何…!?」

王元姫「こちらの兵力は全軍合わせても800…志願兵も期待は出来ないわね」

大喬「そんな…」

文官「まだ戦支度を始めたばかり、1月半の猶予はあります」

王元姫「…ならばそれまでにこちらも戦支度を済ませなければ」

文官「ええ、そして元姫殿にはこの戦の策をこうじてもらいたい」

王元姫「…!」

文官「知っての通り今のままでは曹操軍に蹂躙されるのみ、我々も犬死でしょう」

呂布「ふん!くだらん、俺が全て蹴散らしてやる!」

文官「…初手は呂布殿の圧倒的な武で出鼻を挫き勝利するかもしれませんな」

呂布「当然だ」

文官「ですが二陣からは呂布殿を避け玲綺殿や元姫殿…さらには大喬殿小喬殿が狙われるでしょう」

呂布「…」

文官「彼女達も並みの兵士はおろか将にも負けない武術を身につけてはいますが…」

文官「李典や凌統、馬超達も並々ならぬ猛将…将の数でも劣るこちらが彼女達一人でも失えば…呂布殿もおわかりになりますかな?」

呂布「ぐうう…ならばどうする!」

王元姫「呂布殿…僭越ながら私にお任せ下さいませんか?」

王元姫「必ず我が軍を勝利に導く策を必ず見抜いて見せますから…!」

呂布「…ふん、いいだろう。やってみろ」

呂玲綺「元姫、私達にも手伝える事が…いや、手伝わせてくれ!」

大喬「私も…元姫さんの力になりたいです!」

小喬「誰も死なせないようにみんなで力、あわせよー!」

文官「ならば、任せましたぞ元姫殿…お三方も支えていただきたい」

呂玲綺「ああ、任せておけ。元姫は私の友だからな」

小喬「あたし達。の友達だかんね!四人みーんななんだから!」

呂玲綺「ふっ…すまない小喬。元姫は私達の友だ、力を合わせ我が軍に勝利を!」

大喬「はい!」
小喬「おー!」

王元姫「みんな…ありがとう…」


呂布「ふん…」

呂布(小娘共の割にいい面構えになった…これでようやく玲綺にも友が出来たわけか)

一旦中断
無双のパンダ ヴェェって鳴いてた覚えが

応接室

王元姫「城下および領民各村の村長、全員揃ったかしら?」

文官「これで全員のようですな」

王元姫「では単刀直入だけれど、約一ヶ月半後に曹操軍が我が領土に侵攻するの」

村長A「そ、曹操軍!?」

村長B「あの大国の…!?」

王元姫「ええ、そこで我々は防衛の軍団を起こしこれを迎撃する為にすべての周辺の集落の民を全員、本国へ避難するよう指示をお願いしたいの」

村長C「それは籠城されると言う事ですかな?」

王元姫「半分は正解、私達迎撃部隊は打って出るわ場所は…恐らく国境周辺」

村長A「国境周辺というと本国からはかなり離れますな…」

村長C「籠城はせず、領民のみを避難させる…ですか」

王元姫「ええ」

村長D「僭越ながら…よろしいでしょうか」

村長D「確かに村のものを避難させれば国境周辺が戦場になったとしても人的被害は免れるでしょう…ですが…」

村長D「勝ち目は…あるのですかな?」


王元姫「…それはわからない、でも必ず責任を果たすため最大限の努力はする」

村長A「曹操軍ならば降伏した所で民の安全は保障されるかは微妙…ですからな…それに、我々はこの王元姫殿に助けられた」

村長C「うむ…そうだな、軍師様がいなければ村の存続自体危うかった」

村長B「呂布様にも猛獣を退治して下さって助けてもらいましたし、今度は我ら民が国を支える番という事か」

王元姫「みんな…ありがとう」

文官「城下の方々は軍物資の生産を手伝っていただきたい、周辺集落の方々はそれぞれ城下に居住区を設けるのでそちらにて戦の間は生活するよう」

村長A「それと今月の税は一体どれほど納めればよろしいでしょうか?」

王元姫「今月および来月の税は一切徴収しないわ、安心して」

村長A「え!?で、ですが…」

王元姫「周知だけれど来月から冬になる、まだこの国もたてなおりつつあるだけで安定してるとは言えない」

王元姫「徴兵も志願兵以外はしない、あなた達には兵糧や備蓄の後方の支援のみお願いしたいの」


村長B「私は腹を決めましたぞ、すぐ村に戻り避難、そして戦支度を手伝わせていただきたい」

村長D「ここまでしていただけたなら、今度は我らが応えねばなりませぬな」

村長A「城下に戻り皆に伝えましょう、一丸となり軍師殿、いえ軍のみなを支えていきましょうぞ!」

村長B「ですな、こうしてられないすぐに戻らねば!」


王元姫「ふう…」

文官「民の意気は何とか下がらずに済みますな」

王元姫「そうね、後は私達が責任を、彼らを守らなければいけない」

文官「…」コクリ

王元姫「次は練兵場ね、民の避難や軍備の方はお願い」

文官「はっ、お任せください」

文官「…」

練兵場

兵士「へ?俺が…軍団長っすか!?」

王元姫「ええ、玲綺と相談して決めたのあなたなら任せられるとね」

呂玲綺「うむ、お前の槍さばきなかなかのものだ軍は寡兵だがきっとまとめられよう」

兵士「い、いや俺とかそんな無理すよ…」

兵士「だって俺…」

王元姫「元山賊だから無理、と?」

兵士「!」

王元姫「確かにあなた達は山賊であり私にも襲いかかろうとしたくらいに荒れ、腐敗していた」

王元姫「でも今は違う…私はあなたがきちんと兵士としての責任を全うし山賊時代に略奪した物を返したり、自分の禄を民の施しに宛てている事も知っている」

兵士「でもそんなの俺の自己満足すから…した所で俺がした事が許されるわけじゃないす…」

呂玲綺「そうだな、確かにお前達の罪は消えん。珍しく殺しはしないがその分略奪や強奪を頻繁に行い民の生活を苦しめてきた」


兵士「へい…」

呂玲綺「だが…私も同じだ。自分の武を磨く事しか考えず元姫が来るまで民を苦しめ続けていた」

王元姫「玲綺…」

呂玲綺「私は政はわからない、だが今出来ること…今まで磨き続けた武をふるい、今度は民を守る…それが私が決めた責任、というやつだ」

呂玲綺「お前はどうだ?過去の事を後悔しかせず後ろ暗く暮らすのか?」

呂玲綺「それとも過去の過ちを認め前に進むか…もう一度聞くぞ、軍団長の話受けてはくれないか?」

兵士「俺…いいんすか…」

王元姫「いいかどうかは働き次第、でもあなたなら出来ると信じている」

兵士「…」

兵士「…俺、やってみるっす…!どうしようもないごろつきでも他人の役に立てるなら…全力でやってみせるっすよ!」


王元姫「よかった、受けてくれてありがとう。そしてこれからよろしく、ね?」

呂玲綺「此度の戦はお前達にとってもかなり厳しくなるが…期待している、頼んだぞ」


軍団長「は、はい!よっしゃ、ひとつやってみるか!!」


親衛隊「グググ…」

軍団長「おわっ!何だよ後ろで突っ立って、こええよ!」

親衛隊「…ましい…」

軍団長「は?」

親衛隊「うらやましい…元姫様に期待されてるなんて言われて羨ましい恨めしい恨めしい恨めしい恨めしい…」


軍団長「…あの、軍師殿…頼み事があるんすけど…」

王元姫「…何かしら」

軍団長「こいつにも何か声をかけてくれたらなーって、こうなんか期待してるわみたいな」

王元姫「??彼に?何故…玲綺や呂布殿がかけたほうが…」

呂玲綺「かけてやれ元姫、お前にしかできぬ事だ」ポン

王元姫「玲綺?じゃ、じゃあ…」

親衛隊「…!!」ササッ

王元姫「何故近づいたら直立に…ええと、あなたには期待しているから次の戦は責任を果たせるよう全うして欲しい…これでいい…のかしら」


親衛隊「う…う…」


軍団長「う?」

親衛隊「うっおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」

軍団長「おわっ!」
王元姫「な、何…?!」

親衛隊「それがしっ!!身命を賭し!!王元姫様をお守りする事をこの槍とっ!!主の王元姫様に誓いますっ!!!」

王元姫「?あなたの主君は呂布殿だけど…」


軍団長「軍師殿は天然なんすかね…」
呂玲綺「天然?なんだそれは」
軍団長「姐さんも天然すね……」

親衛隊「ぬおおお!我が魔槍!ずあっ!ぜえあっ!!」ブンブン

軍団長「いきなり鍛錬始めやがった、いつもしないくせに…」

親衛隊「天槍斬!地槍陣!うおお、天地斬伏!!!」ズオアアアアア

軍団長「なんかすげぇ連続技出た!」

呂玲綺「はあぁ…」

会議室
呂玲綺「鋒矢陣?」

王元姫「ええ、↑のような形の陣形。本来は最後部に大将を据えるのだけど」

王元姫「あえて呂布殿には先陣に位置してもらうの」

呂布「ほう」

大喬「でも…それって危険なのでは?」

王元姫「元々の作戦を説明していなかったわね、恐らくお互いが正面で対峙するのは国境付近の平原…先日の文官殿によればあちらの兵力はおよそ5000」

軍団長「えーとこちらは800だったすよね?まあ俺どのくらい差があるかわからねっすけど…」

大喬「およそ6倍強…ですよね」

王元姫「ええ、圧倒的な兵力差…でもそれを逆手に取るの」

王元姫「呂布殿の武勇はあちらにも轟いている、兵力差があろうとも私達は呂布殿の武を頼りに正面からぶつかるしかない、そこを利用してあえて少ない兵力を二つに割く」

王元姫「平原では500の兵を残して陽動作戦、戦わなくていい引きながら戦い時間を稼ぐ役目よ」

呂玲綺「だが退いていれば村にぶつかる危険は無いのか?」

王元姫「そこなのだけれど、近隣の村長や村人の協力で村の周辺に罠の準備に取り掛かって貰っているの」

呂玲綺「自分の村に罠を?」

文官「元姫殿に恩返しをしたいとの事、もちろん戦後は彼らにそのまま城下の住居を譲渡しますので」

呂玲綺「だが彼らに新たな住居を提供した所で村には愛着もあり畑もある、動物は連れては来れるが解決したとは…」

元姫「そうね、玲綺の言うとおり自分の帰る場所に代わるものなんてない」

王元姫「だからこそ私達別働隊が確実にかつ迅速に急襲しなくてはいけないの」

大喬「急襲ですか?」

王元姫「この地図を見て、中央が先ほど話した平原。ここから退きながら時間を稼げば最初の村に入るまで多少は時間が稼げる」

王元姫「そして残りの300、呂布殿、玲綺、大喬、小喬そして私は鋒矢の陣にて平原から少し外れたこの細道を通り背後より急襲」

呂玲綺「成程、この間道を抜け奇襲を仕掛けるわけか…だがこの地形はあの時と同じ、両側に崖がある」

王元姫「ええ…敵には優秀な軍師がいる、必ずそこにも罠や伏兵がいるはず」

大喬「そ、そんな…」

小喬「それじゃあたし達進めないよぉ!」

王元姫「そこは私を信じて欲しいの、敵が罠を仕掛けるのは最大限に効果を発揮出来る場所、兵を伏すには最も被害を与える場所…そこを見抜ければ…」


王元姫「この間道を抜ければ敵の混乱は必死、罠や兵を伏すと言うことは敵の急所という事、責任をもって私が突破」

王元姫「この間道を抜ければ敵の混乱は必至、罠や兵を伏すと言うことはそこは敵の急所。私が必ず突破させてみせる…!」

呂玲綺「元姫…」

呂布「ふん、いいだろうやってみろ。俺が先陣というのも面白い…お前の作戦とやらに乗ってやろう」

王元姫「ありがとうございます呂布殿、では玲綺、早速軍から奇襲部隊の精鋭300人を編成そして陣形を作るにあたって馬術訓練の準備を」

呂玲綺「わかった、すぐ準備をしよう」

王元姫「大喬は村から城下へ避難する民の誘導や説明をお願い、小喬は兵糧の進捗状況を見てきて欲しい」

大喬「はい、わかりました!」

小喬「えぇ~あたしも馬乗りたいよぉ」

大喬「小喬、文句言わないの!」

王元姫「ごめんなさい、後日の馬術訓練には参加出来るように調整するから今日は兵糧の状況確認をお願い、ね?」

小喬「う~、わかったよ~。絶対だかんね!」スタタタ

大喬「あ、小喬待ちなさい!…ごめんなさい、元姫さん小喬がわがままを言って…」

王元姫「ふふ、気にしないで。逆に謝らなければいけないのはこちらよ、小喬や大喬まで戦にまき込んでしまって…今からでもいい、あなた達二人は…」

大喬「元姫さん!!」

王元姫「わっ…な、何?」

大喬「私達、もう友達なんですよ!大好きな二人だけを戦に行かせて私達は安全な場所に行くだなんて…絶対にしません!」

王元姫「大喬…」

大喬「ご、ごめんなさい大きい声を出して…でも…」

呂玲綺「見事だ大喬、お前の覚悟は受け取った…そして感謝する、ありがとう」

王元姫「戦、それも奇襲というかなり危険な部隊…本当に、いいのね?」

大喬「はい!今更水臭いですよ、さっきはちゃんと私達も数に含んでいたのに」

王元姫「そ、それは便宜上というか……わかった、ただし無理はしないで私はあなた達を失いたくはないから、友達を、ね」

大喬「それはこっちもですよ、私も精一杯元姫さん達を支えてみせます!では私も村のみなさんの受け入れに行きますね!」タタタ

呂玲綺「では私達も行こう元姫。…この戦、必ず勝つぞ!」ガタッ

王元姫「ええ、必ず、ね」カッカッカ


文官「いやはや頼もしい限りですな呂布殿」

呂布「ふん、当然だ。だが、上出来だ面白くなってきた俺の武を持って小娘達の作戦とやらを達成させてやろう」

文官「…そううまくいけばいいのですが、ね…」

平原

王元姫「右翼側、少し速度が遅れている。」
呂玲綺「わかった、元姫。…右翼側!速度をあげよ!このままでは父上の進軍においていかれるぞ!」

軍団長「っと!聞いたか右…ってこっちか。右側の奴らもっと速くとばせよー!!」


兵「はい!!」


王元姫「次は鋒矢陣から1列陣の長蛇陣への切り替えの訓練」

呂玲綺「ああ、全軍!陣形を変えよ!!」


練兵場

王元姫「ふう…」

呂玲綺「元姫、水だ。もうすぐ戦も近い…きちんと水分は取っておくのだ」

王元姫「ありがとう玲綺。訓練を重ねて大分陣形の形は出来てきた、後は地形や戦況から私が臨機応変に対応すれば…」

呂玲綺「もう行くのか?」

王元姫「ええ、まだ作戦を練れる時間はある。限界まで引き伸ばして確度をあげなければ…」カッカッカ

呂玲綺「…」

軍団長「ういーす、姐さんおつかれっす」

呂玲綺「だから姐さんはやめろと…!」

軍団長「軍師殿、ちょっと疲れ気味じゃないすか?胸なんかもあんまり張りが…」

呂玲綺「…」ガチャ

軍団長「い、いや!武器持たないでくださいよ!冗談すよ冗談!…でも元気ないのは事実じゃないすか、このままじゃ戦始まる前に…」
呂玲綺「確かにな、元姫は責任感が強すぎて一人で背負い込んでしまう。この間私達も協力するとは言ったが、結局元姫が策の殆どを考えている…全く頑固と言うか…」
軍団長「それ、姐さんが言います?」

呂玲綺「…」ガチャ

軍団長「す、すんませんすんません!と、とにかく何かしてあげないとやばいっすよ!元姫の元気がやばいーみたいな、わはは!……」

呂玲綺「貴様…先程から私を挑発しているのか?」
軍団長「い、いやいや!めっそうも!俺はただ姐さんを元気づけようとすね!と、とにかく、軍師殿をなんとかしてやってくださいよ!それじゃ!」タタタタ

呂玲綺「…全く…」

親衛隊「うっうっうっ…」

呂玲綺「!?び、びっくりさせるな!いつの間に背後に…」

親衛隊「元姫様にっ!枝毛がっ!美しき金色のっ!こんじきのっ!髪の毛にっ!枝毛っ!!」

呂玲綺「う、うるさい!あっちに行け!!」

親衛隊「うっうっうっ…」トボトボ


深夜

呂玲綺「はっ!やあっ!」シュッシュッ

呂玲綺「そこだ!!」ズバァァ

呂玲綺「…夜も深い、このくらいにするか…」カチャカチャ


廊下

呂玲綺「む、大喬か」

大喬「わ、玲綺さん。その服装はもしかして鍛錬を?」

呂玲綺「そうだ。私にはこれしか出来ぬ、少しでも武を磨き戦を勝利に導きたいのだ」

大喬「凄い…ご、ごめんなさい、私もう湯殿にも入ってそれに寝間着で…」

呂玲綺「いやそれでいい大喬、お前や小喬は昼間元姫がしていた執務をほぼ頼んでしまっている、負担もかなりかかっているはすだ」

大喬「いえそんな…確かに大変かもしれませんが…」チラリ

呂玲綺「会議室に灯りが…?」


会議室

王元姫「…スースー」

大喬「元姫さんに比べたら、とても大変だなんて言えません…毛布をかけて、と…」ファサ

呂玲綺「駒や地図、しかもあらゆる角度の地形の図面がそのままになっている…昼の鍛錬からずっと策を練っていたのか…」

大喬「玲綺さん、もうあと少しで戦ですが…一つだけお願いがあるんです」

呂玲綺「何だ?友の頼みなら出来る範囲で応えよう」

大喬「ありがとうございます…それでは…」

翌日

王元姫「巡察?」

呂玲綺「ああ、私と元姫、大喬と小喬の4人で行くことになった」

王元姫「巡察なら一人でもいけるんじゃないかしら、何もこの状況で4人で行くだなんて…」

大喬「ふふっ、大丈夫ですよ。もう執務はあらかた終わらせましたから!」

王元姫「え…あの量を?」

小喬「そーだよー?もー大変だったんだからぁ!」

呂玲綺「というわけだ、戦の前に兵の疲労も抜くために訓練も休みにした」

小喬「というわけでぇ」グイッ

王元姫「きゃっ、ちょ、ちょっと小喬腕を…」

大喬「行きましょう!」グッ

王元姫「わ…大喬まで…!ふ、服伸びるから引っ張らないでって…!」タッタッタ

呂玲綺「ふふ…」


城下

王元姫「もう…」

大喬「ごめんなさい、元姫さん。今日の巡察はどうしても4人で行きたかったんです」

王元姫「…?」

民「あっ、元姫様!」ササッ

民「元姫様だ!」

王元姫「えっ?」

民「元姫様、戦頑張ってください!オラ応援くらいしかできねぇけど、とにかく頑張ってください!」

民「元姫様は俺達を救ってくれた、いつも面倒も見てくれてる、今回も絶対に勝てますよ!」

王元姫「あなた達…」

小喬「あーのーねー、元姫ちゃんもそうだけどあたし達…モゴッ」

大喬「小喬、いけない!いけない!」

呂玲綺「…」

中華飯店 

王元姫「凄い…この料理は一体…」

大喬「実はですね、ここの料理屋さんは最近新装開店した中華飯店なんですが…」

小喬「あたし達がしつむしてた時にね、言われたんだよげんきちゃんに恩返しがしたいって!」

王元姫「私に…?」

大喬「はい!この日の為に元姫さんの好物ばかりを作ってくれたんですよ!」

王元姫「確かに美味しそう…って違う、戦の前に私だけがこんな贅沢するだなんて…」

料理長「いえ、それは困ります」

王元姫「あなたは…」

料理長「この街の人間は元姫様に感謝しています、あなたがここに来てから作物や畜産、そして街の環境や治安全てが見違える程に変わった」

料理長「そして私達民と呂布様との橋渡し役にもなってもらい…今まで恐れるだけの存在であった呂布様と親交するきっかけになったのです」

呂玲綺「父上と?」

料理長「近くの村は私が管理している農場があり家畜や農産物が数多くあったのですが」

料理長「かなりの数の猛獣が押し寄せ辺りを住み着くようになり、農場は荒らされてしまいました。そんな折元姫様に相談した所…なんと君主の呂布様がいらしたのです」

料理長「畏怖していた存在であった呂布様が軽々と猛獣を蹴散らしても、私は怯えるだけでした、代価として何を求められるのかと」

呂玲綺「…」

料理長「ですが呂布様は何も求めませんした、それどころか近くの村に同じような被害に悩まされている場所は無いのかと聞かれ…驚愕した私は意を決し問うてみたのです」


料理長(呂布様、あ、あの…お礼は…)

呂布(いらん。)

料理長(へ?)

呂布(俺はただ猛獣を狩るために来た、軍師の女に言われたからではない、俺は俺が思うがままにやっている事)

料理長(は、はい…)

呂布(ならば他に猛獣がいる場所を教えろ、何なら山賊でもいい、俺が蹴散らしてくれよう。これも俺の思うがままの行動だ、遠慮なく言え)


料理長「そして呂布様は片っ端から山賊や猛獣を蹴散らし、最近では英雄と囃す声も聞こえます」

料理長「こうして呂布様に対する畏怖の心がなくなったのも元姫様のお陰、話が長くなりましたな、冷めないうちにお召上がりください!」

王元姫「なら……ありがたく厚意を受けるわ、私達4人でね?」

料理長「ええ、もちろんです。以前から呂玲綺様には娘の非礼を詫びねばと思っておりました」

呂玲綺「肉まんの売り子か?あれなら私は気にしていない。私や父上だけでは民と繋がりを作れなかった、あの扱いは当然だろう」

小喬「あー、そんな暗い話はいーから!たべよ?四人でさ!」

大喬「そうですよ、玲綺さん。仮に以前はそうでも…今はこうして慕われているのですから」

呂玲綺「…」

王元姫「そうよ玲綺、それにこの量とても私だけでは食べられない…」

小喬「さあさ、れーきちゃんも座って座って!」ガタタッ

大喬「ふふっ、それじゃ私も」ガタッ

呂玲綺「わかった…主人、私もいただこう。あと……あんまんもあれば頼む」

料理長「もちろんご用意しております、小喬様から話は伺っておりますので」

呂玲綺「な…!」

小喬「んー?どしたの顔真っ赤にしちゃって!好きじゃん、あんまん!」

大喬「ふふふ…」

呂玲綺「わ、笑うな!と、とにかく食べるぞ!!元姫、お前も食べろ!」

王元姫「ええ、では皆でいただきましょう」

夕方
丘公園
小喬「ふー、おなかいっぱい!」
王元姫「美味しかった、最近あまり味わって食事摂っていなかったから…それに…」
大喬「四人で食べるのも初めてでしたしね、凄く楽しかったです!」

王元姫「えぇ、本当に」

呂玲綺「そうだな、特にあんまんが…」

小喬「れーきちゃんすっごいよね!あんまん15個も食べちゃってさ!料理長のおじさんびっくりしてたよ!」

呂玲綺「こ、個数はいいだろ、言わなくても!」

つぶへい「ヴェェ」ノコノコ

呂玲綺「あっ、つぶへい!久々だな、元気か?」
小喬「つっぶへー!すりすりー!」スリスリ

つぶへい「ヴェェヴェェ」コロコロ

大喬「ふふっ。…ここから見る夕焼け、綺麗ですね」

王元姫「私がこの国に来た時にまだ荒れていたこの丘に登った時も綺麗な夕焼けだった」

王元姫「でも…どこか悲しく見えた、このまま日が沈めば滅びてしまうかのように…」

呂玲綺「今はどうだ?数ヶ月前と比べた、今の景色は」
王元姫「…今日はありがとう、私の決心が改めて固まった。私がこの風景、今の街を守る…守らなければいけない」

小喬「ちょーっとまったあ!」

大喬「そうです、大切な事…忘れてませんか?」

王元姫「え…?」

呂玲綺「私達四人と父上…そして兵達でこの風景を守る…違うか?」

大喬「もう、元姫さんてば背負い過ぎですよ!」


小喬「あたし達歳あんまり変わらないんだしさ、もっともっと頼っていいんだよ?」
王元姫「みんな…」

呂玲綺「仮に失敗しても、私達が補えばいい。こちらもお前を信頼しているように、元姫も私達を信じて欲しい」

王元姫「…ごめんなさい、また一人で背負い込み過ぎてたみたい」

大喬「じゃあ、みなさんこうしましょう!」ガッガッ

王元姫「えっ?な、何でいきなり肩組んで…」

呂玲綺「な、何だ…?!」

小喬「へっへへ~お姉ちゃん、あれをやるんだね?」ガッガッ
王元姫「しょ、小喬まで…」

大喬「ではみなさん、そのまま円陣になって!!」

呂玲綺「おい大喬お前人が変わっ…」

大喬「玲綺さん!!」

呂玲綺「す、すまない」ササッ

小喬「お姉ちゃん、熱くなると…凄いんだよね…」

呂玲綺「そ、そうなのか…」
大喬「私達呂布軍乙女隊!!必ずや戦に勝利を!!」
王元姫「何…乙女隊って…」
呂玲綺「し、知らん…」

大喬「勝利を!!!!!」

王元姫「しょ、勝利を…」

呂玲綺「勝利…を…」

大喬「では最後は気合を入れますよ!おー!ですよおー!」

小喬「おー!」

大喬「小喬はやい!」

小喬「ご、ごめんなさい」

大喬「では、乙女隊…気合でぇぇぇ…」

元姫、玲綺、大喬、小喬「おぉー!!!」



船着場

文官「成程、元姫殿の言う通り船はこれだけ、か」

工作兵「準備のほど整いました!」

文官「では取り掛るのだ、決して呂布殿達には気取られぬように…な」


軍団長「なあ」

親衛隊「…」ボケー

軍団長「ったく相変わらずだなぁ。まあいいや、もう三日後だぞ戦」

親衛隊「…」

軍団長「まだ軍団長になってから一ヶ月しか経ってねえが…俺ができること、責任って奴を果たしてやるからよ、お前も軍師殿ばかり見てねえで、頼むぜ?元山賊頭領さんよ?俺が副頭領であんたが頭領…呂布殿や軍師殿にぼこぼこにされるまではまさかこんな事にかるとは…」

親衛隊「……」スクッ スタスタスタ

軍団長「おーい、無視かよ!」

親衛隊「…お前はよくやっている…もう大丈夫だ」

軍団長「ん?今なんて?ってか喋った!?おーい待てって!」

とりあえず今日はここまでです

練兵場

王元姫「奇襲部隊はこれで全員?」

軍団長「へい、訓練の成果見せてやるっすよ!」

呂玲綺「しかし少し驚いたぞ、奇襲部隊は全て元山賊で編成されている。にも関わらずいざ訓練をしたら統率された動きを見せる者が多かった」

軍団長「あれ?姐さん知らなかったんすか?元山賊だけど一部は元々は軍兵士くずれもいるんすよ」

呂玲綺「いや…初耳だが…」

王元姫「ともかくお陰で滞りなく作戦が遂行できそう、やはりあなたに軍団長を任せて正解だったみたい。今日もその調子でお願いね」

軍団長「は、はい!よっしゃ、一発かますぜ!」タッタッタ


大喬「あ、元姫さん!」タタタ

小喬「でんれーの人が来てね、よーどーぶたいがはいちについたんだって


王元姫「ええ、ありがとう大喬、小喬」

呂玲綺「…元姫、今日の作戦での事だが、お前は間道を抜けた後は後方にいて欲しいのだ」

王元姫「?なぜ…」

呂玲綺「お前の武器、ヒョウと言ったか。あの投擲する武器は特殊な錬成が必要と聞く」

呂玲綺「この国にヒョウを錬成出来る施設や職人はいない、さらに今お前が持つヒョウは少ないと見える」

王元姫「…!」

大喬「ご、ごめんなさい、見ちゃったんです…元姫さんが鍛錬していた時わさわざ的に刺さったヒョウを回収していたのを…」

王元姫「は、恥ずかしい所を…」

呂玲綺「それに今までほぼ寝ていないだろう?元姫は知恵を間道を抜けるまで貸してくれればいい、後の奇襲は私達に任せろ」

王元姫「でも…」

大喬「策を殆ど、いえ全て元姫さんが担っているのですからせめて戦いだけは力になりたいんです!」

小喬「げんきちゃん?まーた背負いすぎちゃおうとしてない?そんなのダメだかんね!」

王元姫「…三人ともありがとう…わかった、奇襲の際は三人と呂布殿にお願いする。」

呂玲綺「ああ、任せろ!」

軍団長「よっしゃ、お前ら揃ったな!!」

兵士「「「「おおおー!!!」」」」


親衛隊長「…」ボゲー
親衛隊A「…」
親衛隊B「…」

軍団長「てめぇら!山賊魂を見せつけてやれぇ!!!」

兵士「「「「おおおー!!!」」」」

親衛隊長「…」ボゲー
親衛隊A「…」
親衛隊B「…」

軍団長「…うおい!いつもなら見逃してっけどよ!こういう時は返事しろ返事!てか何で増えてんだよ!?!」

親衛隊長「……この間の…あれをやってくれ……」

軍団長「あれ?…あぁ、お前が珍しく提案したあれか」

親衛隊長「…」コクリ

軍団長「えーと…じゃあいくぞ」

軍団長「我々は何者だー?」

親衛隊長隊員AB「「「我らは王元姫様の手足なり!!」」」

軍団長「げんきさまを守れぬものはいるかー?」

親衛隊長隊員AB「「「いない!!!」」」

軍団長「誰がためにたたかうかー?」

親衛隊長隊員AB「「「美しき女神、王元姫様の為にッッ!!!!!」」」

小喬「わー、すっごいね!あれ何かな?」

大喬「小喬!見ちゃいけない!」

呂玲綺「はぁ…」

王元姫「?主君は呂布殿なのに何故私の名前を?」

呂玲綺「いや、気にするな。それよりも兵の士気も高い、そろそろ出陣ではないか?」

文官「おお、まだいらっしゃいましたな。留守は私が預かりましょう、皆様ご武運を」

王元姫「ええ、必ず奇襲を成し遂げてみせる」

呂布「全員集まったようだな」

呂玲綺「父上、万事整いました」

呂布「よし!いくぞ!俺の武についてこい、貴様等!!!」

全員「「「「「おおおー!!!!!」」」」」ドドドドド

文官「…」

文官「…さて、行きますかな…」


平原
兵士「あ、あれが曹操軍…なんて数だよ」

兵士「だがまだ動きがない…軍師殿は交戦せず向こうが動かぬ限りこちらから仕掛けたりするなとの事」

兵士「こ、この大軍相手ににらめっこは…きついな…」


間道

王元姫「間道に入るまでは順調…でもここからが本番。弓騎兵、左前方の岩陰に射撃を!!」

弓騎兵「はっ!」シャッシャッ


伏兵「な、なんだ!?弓が飛んできたぞ!」

伏兵「う、うわああああ!逃げろ!!」

呂玲綺「あれは、敵の伏兵か?たった十騎ほどの弓騎兵で伏兵を破るとは、さすがだな元姫」

王元姫「次は後方から追撃する騎兵が来るはず、遊兵の大喬小喬に合図を!!」


軍団中団

大喬「合図がきた…小喬、気をつけて!」

小喬「おねえちゃんもね!」

騎兵「追いついたぞ!!奴らを横から切り崩せ!!」


大喬「五十騎はいる…こわいけど…」

騎兵「なんだこの小娘?邪魔だ、死ねぇ!!」ブオン

大喬「大切な友のため、私、戦います!!」ドンドンドンドン

騎兵「!?な、なんだこの光!う、うわぁぁぁぁ!!」ピュー

小喬「そーれっ!!」バシバシバシ

騎兵「ぐああ!せ、扇子に負けた…」ドサッ

騎兵「な、何者だこの女!?おい、全員この二人にかかれ!容赦せず討ち取れ!」

大喬「え…た、たくさん来た…!」

親衛隊長「…」サッ

小喬「げんきちゃんの人!」

親衛隊長「…元姫様より…援護するようにとのご命令を賜りました」

小喬「よーっし!じゃあひとついこうか!!」バッ

親衛隊長「御意…」ババッ

騎兵「うおお!突撃ー!!」

大喬「ちょ、ちょっと二人共!危ない!!」

小喬「いっくよ!!爆炎!!」ズオオオ

親衛隊長「滅牙陣!!!」ドッガアァァァン

騎兵「うっぎゃあああああああああああああ!!!」

大喬「えっ、何このすごい技…小喬、あなたいつのまに親衛隊の人と訓練を…」

小喬「え?何言ってんのおねえちゃん、今のぶっつけだよ、ぶっつけ」

大喬「えぇぇ……」


伝令「追撃部隊の迎撃に成功したとの事!」

王元姫「そう…大喬達、うまくやってくれたみたいね…玲綺、ここの崖はおそらく落石罠が仕掛けてあるはず、ここは進軍速度を下げて…」

呂玲綺「いや、大丈夫だ。速度を下げれば奇襲の成功率も下がる、元姫…ここは任せろ」

王元姫「玲綺…?」

呂玲綺「位置はあのとき、元姫との盤上戦と同じ…間道が狭まる場所だ!」

兵士「いまだ、岩を落とせ!!」ガラガラガラ

呂布兵「うわぁぁぁぁ!い、岩が降っ…」

呂玲綺「やらせん!!てぇやああああ!!」ギュルギュルギュル

王元姫「玲綺!!…凄い、武器を回転させて落石を防ぐだなんて」

呂玲綺「ひるむな!!我らは鬼神の軍、落石程度では止まらぬ!!」

呂布兵「そ、そうだ!!ひるまずいこうぜ!」

呂布兵「おう!玲綺様に続けー!」

伏兵「死ねぇ!」ドドド

軍団長「させっかよ!そりゃあ!!」シュッ

伏兵「ぐわああああ!」

軍団長「軍師殿の言うとおり…風が吹き抜ける場所は細道がある証拠、伏兵に警戒しろってのは本当だな!」ズバッ

伏兵「うっわああああ!!」


王元姫「ふっ!やあっ!」シャシャシャシャ


弓兵「うぐあ!」
弓兵「ぐああ!」
弓兵「ぎゃあ!?」


呂玲綺「元姫、無理をするなと…そこだ!」ズシャッ

兵士「ぐうああ!!」


呂布「雑魚共!!どけぇぇぇ!!」ドドドドドド

伏兵「ふ、伏兵にも動じないだと!?」

伏兵「に、逃げろおおおお!!」

王元姫(皆の奮戦のお陰で間道を抜けられそう、武器は残り一本…必ず抜けきってみせる)

朱然「…ここまで来たか、俺が文字通り灰にしてやる。火矢部隊、奴らを焼き尽くせ!!」

火矢兵「はっ!」ザッ


呂玲綺「…あの崖、おそらく弓兵を配置している。盾騎兵、左側の崖方面に前進だ!」

盾騎兵「はい!」


王元姫「いえ下がって!あれは…」


朱然「放て!!」

火矢兵「はっ!」ヒュンヒュンヒュン


盾騎兵「う、うわあ!た、盾に火が!!」

王元姫「落ち着いて!盾のみを捨てれば引火はしない、それからすばやく後方に下がって!」

盾騎兵「は、はい!」ポイッ

呂布兵「あちち!火が!火が!」

呂布兵「た、助けてくれええ!」

呂布兵「こっちに来るな!火が!うつっちまう!」

呂玲綺「しまった…まさか火矢とは…!」

王元姫「よろしくない展開…それにまだ…」

呂布「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」ドオオオオン

呂布兵「?!い、いきなり火が消えた?」

呂玲綺「父上の気合で火が消えたとは…さすがは父上!」


夏候覇「いやいやいや…まだ終わりじゃないってね!!」ズオオオオオ

呂玲綺「上?上空から何か来る!父上!!」

呂布「!…ぐっ!!」

呂玲綺「陽の光を利用して父上の目を…くっ、間に合わ…」

夏候覇「鬼神呂布、夏候仲権が討ち取っ…」

王元姫「外さない!!」シュッ

夏候覇「!?…俺の武器に当てたってのかよ!?」ザザザッ

王元姫「呂布殿そのまま進軍を!陣形を保ちましょう!」

呂布「……いくぞ!」

呂玲綺「元姫、すまない…お前の武器を使い果たさせてしまい、父上も…」

王元姫「気にしないで、もう後はここを抜けるだけ。…こちらこそごめんなさい」

呂玲綺「後は私と…」

大喬「よかった!二人共無事ですね!」

小喬「よーし、やっちゃうよー!」

呂玲綺「親友二人に任せてもらおう」

王元姫「…本当にありがとう」

大喬「崖が無くなって左側に川が、もう抜けますね!」

呂玲綺「ああ、よし全軍!このまま曹操軍を奇襲せよ!!」

呂布兵「「「「うおおおおおおおおお!!!」」」」

呂布「…!!」ザザッ


呂玲綺「な…」

王元姫「!?…何故半数以上の兵が…」


鍾会「ふむ、軍師の言う通りだな。まあ私でも読めた展開ではあるが」

馬超「暴虐の獣め!この馬超が正義の槍で貫いてくれん!!」


李典「予感的中、今日も調子いいぜ俺!!」

凌統「いや予感っていうか軍師殿言ってたしな…ま、さっさと終わらせますか」

馬岱「いらっしゃい!覚悟はできてる?」


大喬「あ…ぁ…私でもわかる将がたくさん…」

小喬「おねえちゃん…これって…まずいよね…?」


呂布兵「う、後ろに逃げるとか…」

呂布兵「バカ!さっきの奴らも追って来てるに決まってんだろ!」

呂布兵「さ、策は…策はねえのか!?」


呂玲綺「げ、元姫…」

王元姫「……」

王元姫「……ない…」

呂玲綺「…!」

王元姫「…ごめんなさい…私の知略ではこの状況を覆せない…!」

王元姫「敵の軍師は私がここまで策や奇襲を破った上でこの場に来ることをまるでわかっていたかのような待ち伏せ…その証拠に主だった将を全てこちらに当ててきている…」

王元姫「玲綺、いえ皆……不甲斐なくてごめんなさい、もうこれ以上…」

呂布「うおああああああああああああああああああああああああ!!!雑魚共!!貴様等程度に俺を倒せると思うな!!!」ドドドドドド

呂玲綺「ち、父上!単騎で…!…くっ」

呂玲綺「鬼神の軍よ!お前達は奇襲が成らずとも臆することなく戦う事が出来る精鋭だ!!私も突撃する、我こそが精鋭と思う者は付いてこい!!」ダダダダダ

王元姫「玲綺!?」

軍団長「姐さん…!!お前らぁ!ここでやらなきゃ男じゃねえ!!姐さんに続けえぇ!!!」ダダダダ

呂布兵「「「おおおおおおおおお!!!!」」」ズドドドド



王元姫「ま、待って!このまま闇雲に突撃してもただの玉砕にしか…!!」

小喬「ぅぅぅ…れーきちゃん!!あたしが絶対死なせないかんね!!!」タタタタタ

王元姫「小喬まで…!」

大喬「…私は…いえ、皆さん諦めたくないんですよ。元姫さんが寝る間も惜しんで練った策を、たった刹那の間に壊されるなんて、認めたくないんです」

王元姫「大…喬…」

大喬「だから私も行きます…!元姫さん、今まで楽しかった、私…後悔してませんから!!」タタタタ

王元姫「ま…待って!大喬、あなたまで…」


凌統「まさかこの兵力差で突撃とはね」

鍾会「ふん、無駄な事を。一瞬で叩き潰してやろう」

李典「抵抗を選んだかぁ…なーんか嫌な予感するな…」

凌統「勘弁してくれよ…あんたの嫌な予感当たるんだからよ」

馬超「ならば即座に倒せばいい!いくぞ馬岱!」

馬岱「あいよ、若!」

王元姫「…!弓が…きゃあっ!」ドサッ

王元姫「く…馬が射られて…」


兵士「女がいたぞ!」
兵士「小娘でも侮るな、囲んで突き殺せ!」
兵士「へへ…後ろは川…覚悟しな」

王元姫「しまった…!!」

兵士「こいつ丸腰じゃねえか!」
兵士「薄着で丸腰とはなめられたものだ」
兵士「串刺しにしてやる、惨めに死ね!」シャッ


王元姫「ここまで…なの……」

今日はここまでです
無駄に三部くらいまであるので需要あればこのまま続けていきます
あと軍団長と親衛隊長の話もそのうちあれしたいと思います

平原

呂布兵「あ、あいつらいきなり動きやがった!」

呂布兵「ど、どうする?逃げるか?」

呂布兵「いや村があるしよ…」

呂布兵長(くそ、こっちには不慣れな志願兵や民兵が中心…だがここで崩れては奇襲部隊の策が無駄になってしまう!)

呂布兵長「全軍聞け!!我々はこれより退却する!だが、ただ退却するのではない、弓を撃てる者は無理せず退き撃ちし、歩兵は追いつかれない程度に陽動しつつ下がるのだ!我々には王元姫殿の策と呂布様の武がある!それを信じるのだ!」





川岸


呂布「うおおおおおおお!どけぇ!!!」ザンザンザン

兵「こ、こいつ!馬から降りても止まらない!!」

赤兎馬「ブルルルルル」バコーン

兵「うわあ!う、馬だけでもつえぇ!」


李典「そーりゃよっと!!」ブオン

呂布「!…ぬん!」カキン!

李典「後は俺に任せときな!」

兵「李典将軍!」

凌統「おいおい、大将軍なのにこんな化物一人で相手にするなんて、無茶だっつの」

李典「へへ、逆逆。大将軍だからこそやらなきゃなって奴だよ!」

呂布「ふん、少しは出来るようだが…来い!」

呂玲綺「せいっ!やあっ!」シュッシュッ

鍾会「ふん、ハズレだ…」クンッ

呂玲綺「?…ああぁっ!ど、どこから攻撃が…」

馬超「くらえ!正義の槍を!」シュバッ

呂玲綺「うっ…くっ!」カキン!

鍾会「そこだ!」クンッ

呂玲綺「まだだ!!」

鍾会「!武器を回転させて飛翔剣を弾いただと?」

馬超「女ながら見事な武、だが貴様等悪の軍団には容赦せん!いくぞ!」ダダッ




王元姫「でも…」クイッ

兵「な…突きをかわし…ぐああああ!」


兵「こ、この女体術も使えるのか!?」

王元姫「やあぁっ!」シュッ

兵「うぎゃあああ!」

兵「槍で突…くそ、味方を巻き込まずに振れん!!」

王元姫「ふっ!」タンッ

兵「と、跳びやがった!」

王元姫「覚悟することね!」グォォォ

兵「うわぁぁぁぁ!」
兵「と、跳び蹴り…おそるべし…」ガクッ

王元姫「…っ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

素手兵「うおおおおおおお!」ダダダダダ ドンッ

王元姫「あぁっ!!」スジャアア

素手兵「餅は餅屋。女を殴るのは趣味じゃないが…お前を討ち取ってくれる!」ブンッブンッ

王元姫「ぅあっ!あぁあ!あぁぁぁぁ!」

平原

呂布兵長「退け退けー!弓隊は無理せず後退しろ!当てなくていい!それからしんがりは正規兵が受けもつ、民兵や志願兵は下がれ!」

志願兵「せ、正規兵って…元山賊の奴らだよな?なんで俺らをかばって…」

民兵「お前知らないのか?あいつらはこの国の軍所属の兵士が元になって出来た山賊なんだ」

志願兵「俺辺境の村だったからな…何があって山賊に?」

民兵「あぁ、それがな…」

呂布兵「おい、お前ら志願兵だろう!下がるんだ、後は俺らがひきつける!」

民兵「おっと…すまねえ…」

志願兵「ひ、ひとつ教えてくれ!あんたら山賊だろ?なんでまた命張ってくれてるんだよ!?俺達民に!」

呂布兵「…他はわからんが俺は罪滅ぼしと……この国が好きになったからだな。呂布様が統治した国を王元姫様が立て直したこの国で、俺はもう一度護ってやりたいんだ、この国と民を…なんてな。さあはやく下がれ!騎兵はいないが弓が飛んでくるぞ!」


志願兵「あんたら…」

民兵「…」

志願兵「よし!俺もしんがりに!!」

呂布兵「な…馬鹿野郎!逃げろって言ってんだろ!?」

民兵「俺らも無理矢理徴兵されたんじゃない、自分の意志で来たんだ!この国が好きなのはあんたらだけじゃないんだぜ?」


志願兵「俺も残る!山賊の兄ちゃん、見直したぜ!」

民兵「山賊とかもう関係ねえよな、残らせてくれ!ひきつけながら逃げりゃいいんだろ?」

呂布兵「お、おいおいお前らみんなきたら…」

呂布兵長「…ようし!お前らの覚悟は受け取った!!ならば正規兵は敵の突撃に備えよ!志願兵民兵は弓を持ち退き撃ちせよ!!村の罠は起爆させなければ撤去できる、できるだけ引きつけろ、だが死ぬな!!後は呂布様や王元姫様達を信じろ!!!」


呂布兵「「「「うおおおおおおおおおお!!!」」」」

川岸


小喬「えいえいえい!!」バシバシバシ

兵士「ぐわああああ」パタン

兵士「小娘が、こっちの赤い小娘から殺せ!」

兵士「囲んだぞ、覚悟しろ!!」ダダッ


大喬「もう…」シュウウウウ


兵士「!?な、なんだ杖が光っ…」


大喬「来ないでくださーーいっ!!!」ドッガアアアアン


兵士「うぎゃぎゃあああああああ」ピュー

小喬「うわおねえちゃん派手だねー!10人くらいふきとばしちゃった」

大喬「はぁ…はぁ…でもね小喬」


兵士「でーいかかれかかれ!」ダダッ

兵士「討ち取れー!」


大喬「きりがない…よね」


小喬「だよね…」


呂布「ぬん!」ズバァ

李典「おっと!…そらよ!」ブオン

呂布「ふん!」カキン!

凌統「そこっ!」ヒュン

呂布「でぇりゃあ!!」ドガン

李典「っと!」タッ

凌統「二人がかりでもこれかい…どんだけ化物だっつの!」


馬超「大丈夫か!」ダダダタ


李典「お?馬超殿?確か鍾会と一緒じゃ…」


馬超「鍾会殿は一人で十分ゆえ呂布の方へ当たれとの事。これより助太刀する!」


凌統(全く鍾会の奴はまた勲功を出し抜こうと…まあ…)

凌統「この化物は三人で当たらなきゃね!」ダダッ

呂布「来い!俺を楽しませてみせろ!」

王元姫「はぁっ…!はぁっ…!はぁっ…!」ペタン

王元姫(頭がくらくらして意識が…敵の打撃は受けたけど…まだ致命傷と言う訳でないのに…無理しすぎたつけがここで来るだなんて)

素手兵「へっ、この女へたりこんだぜ」

槍兵「よし討ち取れ!金色の髪の美女、それが軍師らしい」

槍兵「こいつが軍師か、首を持ち帰れば俺ら出世まっしぐらじゃねえか!」

素手兵「じゃあさっさと殺さねえと…な」

槍兵「最初に突く、その後に完膚なきまでに殴り蹴れば死に絶えるだろう」ジリ


王元姫「立たないと…立たないと皆が…」

一時中断

王元姫「まだ、責任を果たせて…いない…だから…立たないと…」グググ

槍兵(この女傷は浅いがこんなにふらふらしているのに…何だこの気迫は!?は、早く殺さねば!)

槍兵「う…うおおおおおおお!!」ダダダダタ


王元姫「戦わ…なければ…」フラッ


槍兵「終わりだ!!」ブンッ  カキーン


素手兵「な!?」


槍兵「何だ、こいつは!?うわぁぁぁぁ!」ドゴン


親衛隊長「…」


王元姫「あ、あなたは…」


親衛隊A「元姫様!!ご無事で!」

親衛隊B「遅くなり申し訳ございません、王元姫親衛隊、推参しました!」

素手兵「こいつらたった三人で来やがって!こっちは30人はいるんだ、やっちまえ!」

槍兵「おお!」

親衛隊長「…あれをやるぞ」

親衛隊AB「はい!隊長!」ササッ

王元姫「あ、あなた達この数の差で戦うだなんて…」


親衛隊AB「三牙!!!」ゴオオオ


素手兵「は、速い!?」


親衛隊長「伏龍陣!!!!!」ドッゴオオオオオ


素手兵「う、うわぁぁぁぁ!」

槍兵「ぎゃあああああああああああああ!!」

王元姫「凄い…一瞬で目の前の兵士が全員吹き飛んで…」

親衛隊長「遅れまして申し訳ありません」ササッ

親衛隊AB「申し訳ありません!!」ササッ





王元姫「いえ、逆よ。救援ありがとう…あのままでは私はきっと…」

親衛隊長「ぬぎゃあああああああああああああ!!」

王元姫「えっ!?な、何…?」

親衛隊長「元姫様に傷がっ!!腕や脚に傷がっ!!ぬぎゃあああああああああああああああああああ」

王元姫「いや、切り傷擦り傷あと打撲くらいだからそんな大袈裟に…」

親衛隊AB「申し訳ありません!!!」シクシク

王元姫「な、泣かれても…」

文官「おっと、元姫殿ご無事で、ご無事で何よりで」

王元姫「!ぶ、文官殿なぜここに?」

文官「私はこの時を、この時を待っていましたぞ!」

文官「親衛隊長殿の山賊からここまで付き従ってきたのも、そう!この時の為!」

王元姫「何を言ってるのかさっぱりわからないけれど…」

文官「ならば、ならば正体を表すとしましょう!!」バッ

親衛隊A「だ、誰だ!?」

陳宮「時には文官、時には稀代の軍略家…名は陳宮、字は公台と申します」ペコリ

王元姫「あなたは…ずっと文官として姿を隠していたという事?なぜ…」

槍兵「いたぞ!」

兵士「軍師の女だ、討ち取れ!」


親衛隊長「行くぞ…元姫様をお護りする」

親衛隊AB「はっ!!」

陳宮「さて、手短に説明しましょう。敵の軍師は荀彧なる男」

王元姫「!あの王佐の才と呼ばれた…?」

陳宮「その通り。悔しいことに私一人では奴を出し抜くことはかないませぬ」

陳宮「私は機を伺っていたのです、軍師を…私と並び立つほどの軍師を!…それがあなた、元姫殿ですぞ」

王元姫「私を買ってくれたみたいだけれど、見ての通り私の策は荀彧に完全に看破されていた…とても彼には敵わなかった…」

陳宮「元姫殿、あなたの策は抜かりありませぬ。むしろ最善手を常に選択し間道をぬける迄戦死者なしという完璧な完璧な指揮でしたぞ」

陳宮「ですが…それしか有効な策が無い故読まれたのです、恥じることはありませぬぞ」

王元姫「でも…」

陳宮「しかし、しかしです。元姫殿の完璧な策を活かすのが…今回の私の策、ですぞ?」


兵士「?な、なんだ?東の山から声が聴こえるぞ?」

兵士「本当だ…しかも数が多い…まさか、援軍?!」

陳宮「志願兵とは別に男女問わず百名ほどの民が従軍を志願してきましてな」

陳宮「ですが前線に出すわけにはいかないが士気は高い…彼らにはああやって山から叫んでいただく事にしました」

兵士「…でも近づいてこないな山の奴ら…」

兵士「まさか嘘か?!」


陳宮「と、疑う頃に…」


張遼「我ら張文遠旅団なり!!これより呂布軍に助太刀致す!!!」

楽進「一番槍、目指してみせます!いざ!!」


兵士「う、うわああ!!あいつらあの張遼の軍団!?」


王元姫「彼らは確か…」


陳宮「そう、元姫殿が仕官したばかりに援助した放浪軍ですぞ。頭領の張遼殿は義理堅い性格、精強な故に疎まれやすい彼の放浪軍に手厚く援助をすれば必ず恩義を返す…そうして援軍要請を送り」

兵士「じゃ、じゃあ山のも本当の援軍…?」

兵士「お、おい…川の船…なんだよあれ…!」

陳宮「国にあるありったけの大船で張り子の兵士と数名の舵取りだけ載せた船をこうして見える位置まで来れば…」


兵士「囲まれていたのは…俺達…!?」

兵士「や、やばくねぇか…」ザワザワ

陳宮「全てが全てがはまるというわけです。単体で見れば策と言えないほどの稚拙な手…ですが」

陳宮「元姫殿の完璧な策故に稚拙な手も策と思い込み術中にはまる…」

王元姫「陳宮殿…」

陳宮「ですが荀彧の事、直ぐにも、直ぐにも看破し私が加わってももろともしない策をうち立てるでしょう」

陳宮「元姫殿、この飲み薬を…」サッ

王元姫「これは?」

陳宮「華佗膏ではなく飲み薬にした華佗薬です、元姫殿は疲労が深いはずどうぞ飲んでくだされ」

王元姫「………」

王元姫「!…身体が嘘みたいに軽くなった…!傷の痛みも無くなって…」

陳宮「効果はてきめんのようですな、後一本を渡しましょう。元姫殿にもうひと頑張りしていただきたいのです」

王元姫「ええ…疲労も取れたし玲綺達の救援に行きたいのだけれど…武器が…」

陳宮「心配は無用、無用ですぞ!」サッ


王元姫「これは…新しいヒョウ!?しかも見たことない型を…一体どこで?」

陳宮「外交の最中密かに国外で錬成を依頼していたのです、さらに、さらに!」サッ

王元姫「布の小袋?」

陳宮「ただの小袋ではありませんぞ、仙人が作ったと言われる不思議な武器袋。見た目は小さいですがなんとヒョウが200本以上収納出来るのですぞ!!」

王元姫「見た目は全く普通に見えるけれど…でも確かに自分が思っただけの本数が取り出せたわ」スッ


陳宮「早速ですが元姫殿、賭けに乗っていただきたいのですが…聞いてもらえますかな?」


王元姫「本来なら確実さを求めたい所だけど…今は乗るしかない、陳宮殿教えてくれる?私が今出来る事は何か」

陳宮「元姫殿には味方の救援と援護、そして張遼殿とこちらの軍の兵士達の合流の誘導をお願いしたい。もちろん体は一つしかありませぬ、誘導は他にしていただける方がいれば臨機応変に。後方からの支援、川岸の囮の撤退はこの陳公台、陳公台におまかせを」

王元姫「それが私が出来る最大限の責任…必ず、果たしてみせる…!」

陳宮「くれぐれも気をつけてくだされ、新型のヒョウとはいえ敵はあの猛将達。ご武運を、ご武運をお祈りしますぞ!」


王元姫「ありがとう、陳宮殿。」


親衛隊長「元姫様、あたりの敵は排除完了致しました!」ササッ

王元姫「あなた達にお願いしたい事があるの、聞いてくれる?」

親衛隊長隊員AB「なんなりとお申し付けください元姫様!!」

続きはまた後日

兵士「へへへ…観念しなガキ共が…」

大喬「はあ…はあ…」

小喬「も、もうダメ…動けないよ~」

兵士「うおおおおお!!」ダダダ カキン

兵士「な…誰だ!?どこから…ぐあっ!」ドサッ

大喬「え…?」

王元姫「大喬、小喬。無事?」

小喬「げんきちゃん!ありがとー、たすかったよぉ!」

兵士「新手か!始末しろ!」ダダッ

王元姫「おしおきよ…はあああっ!」シュシュシュシュ

兵士「「「う、うわあああああ!」」」

大喬「すごい、周りの兵士が全員吹き飛んで…」

王元姫「ふう…早速だけど二人に頼みたい事があるの。お願いできるかしら?」

小喬「あれ?げんきちゃん体調あんまりよくないんじゃないの?武器もないって言ってたのに」

王元姫「そこは後で話すから、二人は奇襲部隊を張遼殿の放浪軍と合流し、連携して敵に当たって欲しいの」

王元姫「いえ…せめてこちらの散り散りになっている奇襲部隊をまとめるだけでもいい、お願い、ね?」

大喬「わ、わかりました。なんとか頑張ってみます!」

王元姫「ふたりとも、一つしか無いけれどこの薬を使って。体力が回復するはずだから」

大喬「いえ…一つしかないなら奥にある玲綺さんに、玲綺さんを助けてあげて下さい!」

王元姫「玲綺が?」

小喬「れーきちゃんがやばいんだよぉ、なんかえらそうな人とたたかってたんだけどぼっこぼこにされちゃってて…あたしたちも助けようとしたんだけど…」

王元姫「わかった、玲綺は私が必ず助ける。二人はそちらをお願い!」タタタッ


大喬「」

大喬「元姫さん、気をつけてください!あの人、見たこと無い武器を使ってて…行っちゃった。…私達もいこう、小喬!」

小喬「うん!よーしもうひと頑張り、いっちゃおう!」

呂玲綺「くっ…」ヨロッ

鍾会「ふふん、猪女相手なら造作も無い。腕力だけが武じゃないって事がよくわかっただろう?」

呂玲綺「あの宙に浮いてる武器…まるで出処が見えない…このままでは…」

鍾会「そうだ、私は寛大な男だからな。ただ猪女を嬲り殺すのは簡単だ。だが…少しだけ機会を与えてやるよ」クルリ

呂玲綺「何…!?」

鍾会「今私が後ろを向いた。次に私が振り向いた時土下座をしていれば助けてやるよ。あの猛獣の始末もせねばならないからな、どうだ?寛大だろう?」ドヤァ

呂玲綺「き、貴様…」フラッ

鍾会(ふふ…馬鹿め、そのまま後ろから斬りかかれば地中の飛翔剣が飛び出し切り刻む…万が一降伏すれば適当に人質にでもすればいい。さすが英才の私。策の質が違う)

呂玲綺「よくも愚弄を…ゆる…」ガシッ

王元姫(待って、玲綺、)

呂玲綺「な…!?」

王元姫(しー、静かに。色々聞きたい事があるのはわかる。でもまずはこの薬を飲んで)サッ

呂玲綺(わ、わかった…すまない……!この薬は…!?身体の、傷の痛みがなくなった…?)

王元姫(傷は塞がっているわけじゃないから、無理は禁物だけどね。)

鍾会「さて…時間だ。おとなしくしていたという事は降伏を…」クルリ

呂玲綺「降伏?何のことだ?」

鍾会「んな!ば、馬鹿な!なぜ貴様はぴんぴんしているのだ!?」

王元姫「随分と余裕ね、戦場で敵に背を向けたまま突っ立っているなんて…よほど自信があるか、単なる浅慮なだけか…」

鍾会「なんだ貴様…?おいそこの女。お前の目…気に入らないな。いや態度やその発言もだな!」

王元姫「奇遇ね。私も同じ事を思った。不倶戴天…あなたのような人は必ず自滅する、今のようにね」

鍾会「馬鹿はお前らだ!たった二人で勝った気になりやがって!いでよ!英才部隊!」

英才部隊「英才部隊の一人、英!」

英才部隊「英才部隊の一人、才!」

英才部隊「英才部隊の一人、部!」

鍾会「そして私をあわせて英才部隊。どうだ?絶望しただろ?」

呂玲綺「…」

王元姫「あなたはしないの?その間抜けな名乗りを」

鍾会「ぐっ…ゆ、許せん!そっちの金髪女!!望み通りお前お前から切り刻んでやる!二人まとめてそこらの木にでも吊るしてやる!」サッ

王元姫(玲綺、挑発にはまってくれたみたいだからあの妙な武器は私の方に集中するはず。玲綺は隙を見て鍾会に一撃、お見舞いして欲しいの)

呂玲綺(だが元姫、あの武器は軌道を読むのが不可能だ、このままではお前がボロボロにされてしまう…)

王元姫「そうね、彼が冷静なら私もかわす事は困難、でもあれだけ頭に血にのぼればあの武器も軌道は単調になるはず」

呂玲綺「ははは!元姫!やはりお前は私達の軍師だ!行くぞ!」ダダッ

王元姫「必ず責任を果たしてみせる、鍾会…覚悟することね」

鍾会「覚悟するのは…お前らだ!行け!この女共を処刑してやれ!」

英才部隊「御衣!」

呂布「ぬううん!」ガキン!

李典「っとお!あぶねえあぶねえ、こりゃ勝てるかわかんねえな…」

凌統「でも時間を稼げれば十分だって、軍師殿も言ってたからね。3人で当たれば負けることはないさ1」

馬超「俺も本気を出そう!行くぞ、無影…」

楽進「させません!!」ズバッ

馬超「何っ!?」カン

張遼「呂布殿とお見受けした!私は張文遠、援助の恩を返すため馳せ参じた!」

楽進「呂布殿、そちらの文官殿からの言付けです。呂布殿は敵本陣に奇襲をしかけよと。ただし無理に深追いをしないこと、本陣をかき乱せば指揮系統は崩れ軍師が新たに策を釣らえなくさせるのが目的だと…」

李典「…あのさ、全部聞こえてるんだけどよ。おとなしく行かせるわけないだろ?」

楽進「あ、しまったつい…」

親衛隊長「ぬううおおおおおおおお!!爆牙螺旋陣!!!」ドッガアアアアン

凌統「おっと、なんだってんだ!?」

馬超「あのれ、前が見えん!」

親衛隊長「…呂布殿、元姫様の命によりあなたの本陣までの護衛、賜りましたぞ」

呂布「ふん、護衛なぞはいらんが…いくぞ、本陣を目指す!」

李典「だから、いかせねえって!勘で「みえなくても、あててやらあ!」カキン

張遼「邪魔はさせぬ!行かれよ呂布殿!!」

軍団長「ぜああっ!くっそ、どんどんばらばらになっちまって何すりゃいいんだか…せいりゃあ!!」

軍団長「おいおいだらしねえな曹操軍よ!この疾風の槍術使いを討ち取れる奴はいねえのか!?」

馬岱「ここにいるよ」

軍団長「うげ、つ、強そうなのが釣れちまった…」

大喬「軍団長さん!」

小喬「おまたせー!助けにきたよ!」

馬岱「おっと、合流されちゃったみたいだね」

軍団長「大喬ちゃんと小喬ちゃん、無事だったんか!」

小喬「ぶー、なんであたし達はちゃんなのさ!げんきちゃんやれーきちゃんには敬語なのにー!」

軍団長「いやあんま将て感じしねえじゃんか…」

小喬「ひっどい、さべつださべつ、おーぼーだ!」

大喬「ま、まってふたりとも!争ってる間に…」

夏侯覇「いやいやいや…夏侯仲権!ただいま参上!!」

朱然「まだ抵抗してたとはな…俺がとどめをさしてやる」

馬岱「と、いうわけだから…覚悟してくれるかな?」

大喬「く、来る…二人共準備はいい?」

小喬「うーこうなったら猪狩をぶつけてやるう!」

軍団長「いや…俺も頭数に入ってんのかこれ…勝てねえだろ…」

呂布「どけどけどけどけえ!!」ズバズバズバズバ

兵士「ひいいい!!」

親衛隊長「爆砕!!!重烈衝!!!!!!」ズギャギャギャギャッ

兵士「どわああああ!なんだ今のすごい技は!!」

兵士「呂布だけでも手がつけらんねえのになんだあいつはあ!?」

呂布「ふん、多少はやるようだな」

親衛隊長「全ては王元姫様の為ッ!!!呂布軍に勝利をッ!!!!」

?「待ちな」

兵士「おお!曹操様直々の親衛隊長殿が!」

曹操親衛隊「こっからは行き止まりだ、この俺がいる限り貴様らを先には…」

親衛隊長「豪槍!!二連刃!!」

曹操親衛隊「甘い!」ペキン

親衛隊長「なに…」

兵士「やった!奴の槍をへし折った!!」

親衛隊長「呂布殿ーーーーー行かれよ!!!!!呂布軍に、王元姫様に栄光あれ!!!!!!」

呂布「…ふん!礼は言わん。ぬおおおおおお!!」ドドドドド

曹操親衛隊「ちっ、のがしたか。まあいい槍を折れた貴様をそうそうに討ち取り本陣の防衛に戻らねば」

親衛隊長「…我が魔槍を折るものがいたとは…」

兵士「あったりまえだ!親衛隊長様をなめるな!!」

親衛隊長「ならば…封印を解くしか…あるまい…!」ガチャ

曹操親衛隊「背中に背車剣か…だが刀身が剣ではない?何だそれは」

親衛隊長「迅弧刀…一閃の煌きを…受けるがいい」スチャ

曹操親衛隊「おもしろい…ならば俺も本気を出そう!!」ガシャガシャ

兵士「おお隊長殿が数年ぶりに鎧を脱いだ!本気をだされるということか!」

曹操親衛隊「龍撃槍の切れ味、味わうがいい!…貴様の名は?」

親衛隊長「名前などはない…ただ王元姫様を護る矛であり盾…」

曹操親衛隊「くはは!なるほど!…俺も同じ、名は捨てた!主を護るに名は必要ない、必要なのは…」

親衛隊長、曹操親衛隊「主を護る力のみ!!!」

親衛隊長「…参る!!」カチャ

曹操親衛隊「おう!!行くぞ!!!」ズオオオオオオ

本陣
荀彧「…なるほど。想定外の事が重なりすぎたようですね。」

呂布「貴様が曹操か?」

荀彧「まさか本陣を…よりによって一番こさせてはいけない者が辿り着いてしまったbようですからね」

呂布「もう兵はいないぞ、覚悟しろ!」ダッ

荀彧「ですが逆に…」クイッ バババババ

呂布「ぐおおお!?なんだ、動けん!?」

荀彧「逆に絡め取りやすい相手、でもありますね。覚悟するのは…呂布殿のようですね」

呂布「う、う、うおおおおおおおおおおお!!!」バチン

荀彧「!まさか陣杖の結界を破るとは…」

呂布「俺は…俺達は絶対負けんぞ!!見ていろ、策とやら必ず成功させてやる!!うっおおおおおお!!!」


第一部 完

後日第二部あれします

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月19日 (月) 21:17:56   ID: xWxI3GWQ

7エンパのOPのメンバーだな

2 :  SS好きの774さん   2015年08月26日 (水) 01:29:25   ID: AZPQgpHI

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