男 (あれ、なんで俺は洋館らしき建物の前に寝転がってるんだ?
え、なんで清楚なメイドらしき人が目の前に? ってお帰りなさいませ??)
メイド 「男様?」
男 (くそ、なにも思い出せない!
夢か、これは夢なのか!?)
メイド 「お、男様……」
男 「! ごめん、た、ただいま……?」
男 「それで……、なんで、俺の名前を……?」
メイド 「この洋館で目覚めた時、貴方様の顔と名前と、 私の使命と思わしき事がらが頭に浮かんだわけです」
男 「すべきこと?」
メイド 「男様に仕える、私の使命です」
男 「そんな馬鹿な、確か会ったことないはずなのに、どうして」
メイド 「存じません、記憶していただけの話です」
男 「ええ……」
メイド 「しかし、絶対の忠義をお約束しましょう」
男 「あ、ああ……」
男 (しかしほとんどなにも思い出せないな……)
男 (とりあえず、状況整理でもしとこう、そうでもしなきゃおかしくなりそうだ)
男 (後仕えてくれるとか言ってくれるメイド、確かに覚えがないはずなんだ 歳は近く見えるけど) キョロキョロ
男 (ここは森っぽいな、うん)
男 (しかし俺たち以外、人の気配はおろか動物の気配すらしない)
男 (だからなのか、ちょっと静かすぎる気もするな ……よし、状況整理終わり)
男 「ところで、あなたの名前は?」
メイド 「存じません、なにぶん記憶が抜け落ちているもので」
男 「ありゃりゃ、残念、けどかわいいから許す」
メイド 「なにやら存じませんがお役に立てず申し訳ありません」 ガクリ
男 「ま、いいっていいって、気に病まないこと!」
男 「それよりさ、洋館に入っちゃっていいのか? ちょっと寒いんだけど」ブル
メイド 「承りました、ではこちらに」
男 (洋館にはなにがあるのやら 後過去がほとんど思い出せないのはなんとかしたい)
男 (けどま、時間が解決するだろ!)
とりあえず今日はここまで
しばらくはのんびり進んでいきます
こっそりと再開、読んでくださる方ありがとうございます
男 (うん、多分記憶喪失のメイドっぽいあの子はメイドと呼べばいいか)
男 (立ち上がる時に体に痛みを感じた気がしたのは、別に気にしなくてもいいか)
男 (で、メイドに連れられ洋館に入ろうとしているわけだけど…)
メイド 「どうなさいましたか、男様? 洋館はすぐそこですよ?」
男 「いや大丈夫、ちょっと考えごとしてただけだからさ」
メイド 「……? ともかく、ここが洋館です」
男 「外から見ても広そうな洋館だと思ってたら、案の定内も広いんだな」
メイド 「はい、そして私が確認したところ、空き部屋が50ほど」
メイド 「また、様々な設備も確認できました」
男 「へぇ、すごい洋館なんだな……」 キョロキョロ
男 「じゃメイド、適当に洋館をふらついてきていいか?」
メイド 「構いません、では私はその間にお食事のご用意をさせていただきます」
メイド 「食堂はこの広間を右手に進んだところです、ではお迷いなきよう…」 トコトコ
男 「わかった、んじゃまずその空き部屋から見てみるか」
男 「それっぽい通路がここから左に行けばありそうだし」
男 (それにしても、無駄に部屋が多いな)
男 (どの部屋にもベッドが置かれてる、娯楽のための道具もちらほら)
男 (どこにも時計が見当たらないのは、ちょっと不便か)
男 (あと外と通信するための道具が一切見当たらない、電話とか テレビもなさそう)
男 (まあ考えても仕方ないか )
男 (そういや、そろそろ飯はできたかな? 食堂に行ってみるかな)
男 「メイドやメイドー、飯は……」
男 (テーブルに並べられた料理、これは)
メイド 「はい、今丁度ご用意が済んだところです」
男 「食べていいか? 食べていいか?」 ジ-
メイド 「はい」
男 「美味そうだ、いただきます!」
メイド (ちゃんと仕上がったかどうか、不安です) ドキドキ
男 「すごいな、こんな旨くて高そうな料理は食ったことがない!」 ムシャムシャ
メイド 「それは、よかったです」 ホッ
メイド 「ちなみに食材は冷蔵庫にあったものを使った次第です」
男 「ここはなんでもあるんだな、ほんと ご馳走様」
メイド 「では、お下げ致します」
男 「さてと、暇になった」
メイド 「御用があれば、なんなりと」
男 「んー、じゃ俺がさっき見ていて使うことにした部屋でも見てもらおうかな」
男 「ついでに簡単な掃除も頼む」
メイド 「承りました」
男 (それにしても、俺達以外に人一人いないどころか、蜘蛛もゴキブリも見当たらない)
男「なんか不自然だな…」
メイド 「そうでしょうか?」
男 「メイドは、そうは思わないのか?」
メイド 「いえ、別に」
メイド 「男様に何かしらご奉仕できたなら、それで」
男 「そう言ってくれると、嬉しいな」
メイド 「それになぜか、そうしなければいけない気がするのです」
男 「へーえ」
男 「それじゃあさ、そういうのを抜きにして俺を見てどう思う?」
メイド 「と、おっしゃいますと?」
男 「ドキドキするだとか、そんな感じの、俺を見てどう思うか」
メイド 「そうですね……、近くにいると安心できるといったところでしょうか」
男 「安心か、なるほど、使命感抜きにしても俺は好かれてると受け取るべきか」
メイド 「さて、どうなのでしょう」
男 「んでそう言ってる間に、仮の俺の部屋に到着と」 ガチャ
メイド 「少し埃っぽい気もしますが、掃除すれば大丈夫でしょう」
男 「埃っぽいか、じゃあ掃除は任せてもいいか?」
メイド 「お任せください」
メイド 「それで男様、申し訳ありませんが掃除の邪魔になりますが故、一度退室していただければ…」
男 「邪魔…、そりゃそうか そんじゃしばらくこの部屋の外にでもいるよ」
メイド 「お手数おかけし、申し訳ありません……」 ペコリ
男 「いやいや、迷惑かけてるのは俺のほうだから!」 アセ
男 「それじゃ、任せた」 ガチャ
男 (メイド、ほんと真面目だな)
男 (話し方から何から、真面目だ)
男 (でも、記憶が殆ど抜け落ちた今、一番信用できそうなのも、あのメイドの真面目さ)
男 (もしかしてアンドロイドなのか…? …わからないけど)
メイド 「男様、清掃のほうが完了致しました」
男 「ん、わかった、見てみる」 ガチャ
男 「……部屋って、こんな綺麗にできるもんなんだな」
メイド 「このぐらいでしたら、容易いです」 フウ
男 「なんにしてもありがとう、助かった」
メイド 「お褒めにいただき、光栄です」
男 「…もうちょっと肩の力抜いたらどうだ?」
メイド 「いえ、お気使いなさらず」
男 「疲れないんだったら、まあそれでいいけどさ…
メイド 「大丈夫です、では私は隣の自室に戻りますが故」
メイド 「何かございましたら、隣の私の部屋まで呼びにきてくだされば」 ガチャ
男 「了解、ありがとなー」
男 (部屋隣だったんだな…)
男 (しかしいろいろあって疲れたな、ちょっと休もう) バタンス-ス-
というわけで、今日もひっそりと、いつも読んでくださっている方々ありがとうございます
お言葉に甘えて、今日はある程度好きなようにやらせていただくとします
男 「寝てた……、今何時…」
男 「……時計なかったんだっけか」
男 (飯食べたの何時間前だっけ……)
男 (わからない…、けど腹が減ったような気がする)
男 (窓が見当たらないから今が朝なのか昼なのか夜なのかもわからないし…)
男 (これが何食になるかはわからないけど、メイドに頼んでなんか作ってもらうかな…)
男 (たしか隣の部屋にいたんだっけか) ガチャ
男 「メイドやメイドー」 コンコンコン
メイド 「…男様でいらっしゃいましょうか……」ンニャムニャ
男 「……なんかボー、としたその話し方、もしかして寝てた?」
メイド 「はい……、横になっていたらいつの間にか…」 ボー
男 「よくあることだな、うん」
男 「飯のほうは俺がなんとかするから、メイドは寝てていいぞ、起こして悪かった」
メイド 「! いえ、男様のお手数を煩わせるわけには…!」 タッタッタガチャ
男 (飛び出てきたメイドはパジャマ姿)
男 (これはこれで親近感が感じられてグット…!、じゃなくて)
男 「本当に大丈夫か? 足元ふらついてるぞ?」 トコトコ
メイド 「いえ…、お気になさらず… 寝起きが少し苦手なだけですから…」 フラフラ
男 「本当に大丈夫か……?」
メイド 「はい………」 フラ ヒュー
男 「おっと危ない」 ガシ
メイド 「ふらついて倒れそうになるとは…、お手数お掛けして…」
男 「迷惑じゃないから、気にするな!」
男 「って言ってる間に食堂だな」
メイド 「はい、そのようですね…」 メヲゴシゴシ
男 (不安だ、ものすごく不安だ……)
男 「簡単に、卵焼きでも作ってくれると嬉しいかな」
メイド 「承り…、ました…」 ノソノソ
男 (歩く速さを見ても思うけど、眠たそうだ)
男 (足元のふらつきは減ったみたいだし、まあ怪我することはないだろうけど……)
しばらくして
メイド 「できました……」 ンニャムニャ
男 「ん、ありがとう、いただきます(見た目は普通だ)」
男 「とりあえず一口」 ガブ
メイド 「……」 ウトウト
男 (辛いーーー!)
男 (まさか塩を入れ過ぎたのか……!)
男 (塩漬けとかそんなレベルじゃない、この辛さは……)
男 「メイドは……、寝てるんだな」
メイド 「……」 スピー
男 (心配かけるのも気が引ける、ここは)
男 (食べきる!)
卵焼きを食べ終わり、しばらくして
男 「なんとか、食べきった……」 マッシロ
メイド 「ふぁぁぁぁ……、よく寝ました……」 ノビ
メイド 「……男様、どうなさったので……?」 キョトン
男 「別に心配するほどのことでもないよ」 ポリポリ
男 「それよりさ、着替えないのか? いやまあ、そのままでもいいにはいいけどもさ」
メイド 「はて……?」 チラ
メイド 「………」 ポッ
メイド 「そのお心使い、感謝します」 タッタッタ
男 「赤くなってたな、うん」
男 (でもなんか、メイド服よりパジャマ姿のほうが親近感がわくんだよな……)
男 (なんでだろうな?)
とりあえず区切ります
読んでくださっている方々、重ね重ね感謝です
今日もひっそり再開 小話は今日で終えたいところです
読んでくださっている方々、レスをくださる方々、重ね重ねありがとうございます、
広間にて
男 「メイドやメイドー」
メイド 「はい、なんでしょう」
男 「目の前に壁あるだろ?」
メイド 「はい、ありますね」
男 「これさ、隠し扉だったんだな」
メイド 「……?」
男 「その目、信じてないだろ、絶対そうだろ!」
メイド 「開けてみてくだされば」
男 「ああわかった、おりゃ!」 ドン
メイド (タックルで開けるのですか……、……これは)
男 「ほら、暗い廊下が出てきた」
メイド 「確かに、廊下ですね」(なぜタックルなのでしょう)
男 「今回頼みたいことはずばり、この隠し通路の探検を手伝ってくれということだ!」
メイド 「承りました、では探検セットを取ってまいります」トコトコ
男 「そんなもんもあるんだな、ん、頼んだ」
メイド (この洋館にあのような通路があったとは……) トコトコ
メイド (しかしなぜでしょうか、あの通路になぜか恐怖を感じます)
メイド (…喪失感のようなものも感じ取れましたか)
メイド (あそこはなにかが足りない、何故だかそんな気がするのです)
メイド (……いずれにしても、奇妙な違和感な物を感じ取れるのは確かですね)
メイド (男様は、これを感じ取っているのでしょうか……?)
メイド 「そうそう、探検セットは自室にありましたね」 ガチャ
メイド (なぜそんなものがあるかは謎ですけど)
メイド 「えっと……、確かこの引きだしに……」 ガサゴソ
メイド 「ああそうそう、このカバンです」 ギュ
メイド 「では、行きましょうか」 ガチャ
男 「うーん、遅いなメイド、なにか合ったのか?」
メイド 「お待たせしました」 トコトコ
男 「お、来た来た そのカバンの中にセットが入ってるのか?」
メイド 「はい、その通りです」 ガサゴソ
男 「? 何を出すんだ?」
メイド 「懐中電灯ですよ、明かりがない場所では必需品です」 カチ
男 「あー、なるほどな」
メイド 「ではカバンを持ち直して、ぼちぼち出発しましょうか」 トコトコ
男 「ん、わかった」 トコトコ
メイド (やはり違和感は拭えませんか、先が思いやられます……)
男 「懐中電灯のおかげでちゃんと道が見えるな」
メイド 「そうですね、当たり前といえば当たり前ですけど」 ブル
男 「いやまあそうだけでもさ……、ん、どうしたメイド? 寒いのか?」
メイド 「いえ、大丈夫です」 クシュン!
男 「風邪じゃないのか……?、戻ったらどうだ?」 ティッシュポイ
メイド 「本当に大丈夫です…、お気づかいには感謝します」 ウ……
男 「そうか? それならいいけど……」
メイド (ここに入ったときからなぜか風邪のような症状が……)
メイド (それと後もう一つ…… このなんとも言い知れぬ…)
男 「ん、なんか分岐点だな」
男 「左からはうっすらと光が見えるな」
メイド 「右は真っ暗闇ですね」
男 「んじゃメイドは懐中電灯持ってるから右のほうを見てきてくれ」
メイド 「共に行かないので?」
男 「一旦別れて調査したほうが効率的だろ?」
メイド 「た、確かにそうですね……」
男 「もしかして、一緒に行きたかったのか?」 ニシシ
メイド 「い、いえ…、そのような事は…」 ポッ
男 「んじゃ、一旦別行動なー」 トコトコ
メイド 「あ…」
男 (なんかここに入ってから、メイドの様子がおかしい気がするんだよな…) トコトコ
男 (やっぱり、無理に誘うべきじゃなかったかな……)
男 「ん、明かりが……」
まずい、どうしてもこの次の展開が思いつかない……
というわけで、このすぐ次の展開と+αを練りに行きます
アイディア整理終了、再開します
男 (もたれかかってみたら、壁のはずなのに紙みたいに感じた)
男 (試しに押してみたら、道が出てきた)
男 (偶然はあるものなんだな……)
男 (で、光を辿った先は書庫か……) トコトコ
男 (せっかくだし、適当に漁ってみるか) ガサゴソ
男 (これは…、写真集か?) ペラペラ
男 (街の写真みたいだが…、どこかで見たような…)
男 (次に取ったのは色々とある、違法薬物の本だった) ペラペラ
男 (感情を封じ込めるって……、また凄い薬だな……) ペラペラ
男 (ん、これ、ページが破けてる……?)
男 (三冊目に取ったのはいわゆる恋愛小説) ペラペラ
男 (これは……、もう閉じよう)
男 (なぜだろうか、あの三冊を読んでから気分が悪い……)
男 (頭に痛みを感じる……)
男 (これ以上この場所を探索するのは難しそうだ、引き揚げよう)
――その後、メイドと合流した俺は、なにかに追われているかのような感覚に陥りながらも、
なんとかこの場所を抜けたわけだ
メイドも顔色がひどく悪かった、それもこれも、あの場所に立ち寄ってからだ
もう、行くべきではないのかもしれない、あの場所は
あの後、お互い休むということで、それぞれ部屋に戻ったわけだ
ベットで横になると、徐々に俺の意識が遠のいていった
明日になれば、この不快感とも決別できるだろうか?
それとも……
というわけで、今日はここまでです
そして、メイドと男のぐだぐだな絡みもここまでです
ここからは、完結に向けて物語が大きく動き出します
つきましては、もう少しだけお付き合いいただければ幸いです
一日空いてしまいましたが再開します、読んでくださっている方々ありがとうございます
――これは……、俺か?
夢……みたいだけど
俺の近くにいるあいつ……、覚えがある
いや、この街に覚えがある
前に見た写真の街だけど……、これは……
……俺の住んでた街だ
――記憶が蘇ってくる
全部ってわけじゃないけど、自分が何者なのか、それぐらいは思い出せつつある
俺は学生だった、一応特に不自由なく過ごしてた
そう、なにかがあった気がするんだ、なにかが……
どちらにしても、あの街に戻らないとならないそんな気がするな……
男 「………! 」
男 (やっぱり夢か……)
男 (それでも、戻らないとな)
男 (長いこと家開けるのも流石にまずいし)
男 (他の人たちに心配かけるわけにもいかないしな)
男 (一応、メイドに声だけかけていくか)
男 「メイド、ちょっといいか?」 トントントン
メイド 「なんでしょうか……」 ガチャ
男 (案の定寝起きなわけか)
男 (でも心なしか顔が疲れて見えるな)
男 「ちょっと、入っていいか?」
メイド 「承りました、どうぞ……」
男 「意外…、ってわけでもないけど、質素な部屋なんだな」
メイド 「生活さえできれば、問題ありませんからね」
男 「まあそうだけどな…、でだメイド」
メイド 「はい、なんでしょう」
男 「今日この後、俺は訳あってこの洋館を空けることにする」
男 「だから、留守番は頼んだ」
メイド 「承りました、お任せください」
男 「でも大丈夫か? 具合が悪そうだけど」
メイド 「いえ、大丈夫です… 嫌な夢を見てしまうだけですから」
男 「ということは、ちゃんと眠れてないのか?」
メイド 「はい、まったくもってその通りです…」
男 「そうなのか…」
男 「一応この屋敷いろいろあるみたいだし、もしかしたら睡眠薬もあるんじゃないか?」
メイド 「そうですね…、探してみるとします…」
男 「それじゃ、お大事に」 ガチャ
男 「メイドも心配だけど…、とりあえず今は」 タッタッタ
――なんとか森を抜けて、気が付けば俺は見知った街に出てきた
と言っても、つい最近思い出したわけだけど
とりあえず、俺は視界に入った友人に声をかけてみようとする
しかし友人は、なぜか喪服を着ていた
男 (なんだ? 友のやつ喪服なんか着て…)
男 (もしかして、誰か死んだのか?)
男 「おーい!」
友 「………」 ノソノソ
男 「おーい?」
友 「……」
男 (悲しそうだな…、表情が)
男 (でも無視はひどいな……)
男 (仕方ない、返事が返ってくるまで尾行してみるか)
――そうして、俺は友を尾行することにしたわけだ
そして、その先で見えてきた葬列
棺が運ばれている、そこまではまだふつうの光景だと思う
でも、中央に置かれた写真が目に映ると、俺は言葉を失った
そこに置かれた写真は、紛れもなく俺だったのだから
とりあえず区切ります
……エロ描写っぽいシーンが不思議な力によって飛ばされてもなにも言わないで見逃してね?
ちょっと再開、そういっていただけると幸いです
――俺は、死んだのか?
体もあるはずなのに、痛みも感じるのに、
この体は人となにも変わらないはずなのに
つまり俺は魂だけの存在、そういうことなのか?
……これはなにかの間違い、そう言ってくれ
友、どうして俺に気が付かない?
どうしてなんだ、どうして?
いや、友だけじゃない、俺の家族も、誰もかもが、俺のことに気が付いていないようだった
……認めない、認めたくない
――俺は友や家族に必死で呼びかける
しかし現実は残酷だ、俺の声が彼らに届くことはなかった
誰かに触れることもできない、触れられることも決してない
存在をどんなに主張しても、それが誰かに知れることは叶わない
もう、俺は死んでいる そう認めざる得なかった
こんな事実を知り得てしまうぐらいなら、街に来るべきではなかったのかもしれない
そう思えば、俺は過去の自分の安易な行動を呪う
こんな事実再び忘れたい、何度も何度もそう願った
家族や友人たちがなにやら話している、でも何を言っているのかが聞き取れない
それほどまでに、俺は錯乱していたのかもしれない
失意のままに、俺はこの場所を立ち去った
ここに留まっていたなら、狂いそうになる
今にも叫びそうになる
どうせ届かないなら、どうせ聞こえないならそれもいいかもしれない
でも、それは返って虚しさが増すだけだろう
それなら俺は、叫びはしない
それよりも、自分という存在を確かに確かめられるあの場所に帰りたかった
……最初に俺が目覚めた、あの場所に
――まるであの場所から逃げるように駆け出していた俺は、気が付けばあの洋館の目の前にいた
生きるものの気配がしない、静寂だけが支配する森の奥の、あの洋館の目の前に
ただただ逃げ込むかのように、俺はこの洋館に駆けこんだ
真実から目を背けるかのように、ただただ駆け込んだ……
――追いつめられていた俺は、ひとまずメイドのところへ行こうと思った
何故そう思ったのかはわからない、もしかすると、唯一意志疎通ができるからかもしれない
男 「………メイド、居るか?」ガチャ
メイド 「何用、でしょうか…」
いつもと明らかに違う、何かに怯えきった、何かに恐怖する、そんな顔
俺の目には、そういう風に映った
男 「何に、そう怯えているんだ?」
メイド 「あなたのほうこそ…、酷く引きつった表情ですよ…?」
男 「見透かされてたか… ああ、実は、な」
俺はさっき見た事実を、俺が恐れることを、一つ余さず話した
話している内に胸に、心に痛みを感じ始める
思いを吐き出すように、ただ話した
でも具体的になにを話したのかは、はっきりとは覚えていない
男 「という…、わけなんだ…」
メイド 「それは、大変でしたね…、とりあえず、これを」
男 (ハンカチ…、俺は泣いていたのか……?)
男 (一応、受け取ろう)
男 「俺だけ話を聞いてもらうのもなんだ、メイドもなにがあったのか話してくれないか?」
男 「ちょっとは楽になるかもしれない」
すると、何かの糸が切れたかのように、彼女は話始める
メイド 「……怖いのです、私が私でなくなりそうなことが…」
メイド 「なにか…黒い物に取り込まれて…
今ここに居る私が…消えてしまいそうな、そんな感覚に陥るのです…」
メイド 「自分が変わってしまいそうな、あなたと過ごしたこの日々を否定してしまいそうな…
あなたを純粋に信じ、慕い、愛した自分が消えてしまいそうな……、そんな…、感覚に…」
声を震わせている、目がうるおい始めている
せめて、俺にできることはないのか
吐き出して少しは気持ちが軽くなった俺とは違う
……いや、それに関しては、俺も……
それに、俺もいつからか、いや、会った時から……、なら…
男 「………」ギュ
メイド 「………! 」
そして……、それから………、俺は……
頭の回転が鈍るわ、地の分は増えてくるわ、あまりに遅筆だわ
さらにはあまりに展開を急ぎ過ぎたわで、(これはともかく)
色々と発狂しそうになりながら、今日はここまでです
もしもこんな長文を読んでくださる方がいらっしゃれば、もう感謝の限りです……
ちなみに、今迷っているのは、次に男が次に目覚めたシーンから物語を進めて、一気に完結させにいくか
一旦、ここまでの展開をメイド視点で補完するかということです
一応後者は完結後にまとめてする予定ではあります
次の展開についてですが、ご希望があったなら次はメイド視点の展開の補完
特になにもなければ男視点で続き、で書こうと思うのですが、どうでしょう…?
最後に、ピンクなシーンはあったとしても不思議な力によって事後からの描写になる可能性有です、ご了承ください
屋敷に駆け込んだ俺を最初に出迎えたのは、やはりメイドだった
広間に一人佇み、駆けこんだ俺を見つめる
俺が駆け込むと、後ろでなにか大きな音がする
しかし今はそんなことなどどうでもよかった、それよりも……
男 「メイド、君は……」
メイド 「その様子だと、見てしまわれたようですね」
俺の声を遮って、メイドはその口を開く
見てしまった……? まさか……
男 「俺を刺し殺した、犯人のことか?」
メイド 「はい、私にそっくりでしたでしょう……?」
自分と瓜二つということを知っている……?
どうして………
メイド 「それでも、思い出せませんか……」
思い出す……? なにを……… !
――こ
「ん、はいはい」
――考え事でもしてた?
「ちょっとな……、ってくっつき過ぎ」
「別にいいでしょ? 恋人同士」
「後デートだし」
「いやダメだって、まわりの視線が痛い」
「もうちょっとだけ離れてくれ、な?」
「……わかった、男」
――あのメイドに瓜二つの……
ああ、思い出した
そう俺の恋人だった、女という名の――
男 「確かに、君と瓜二つの彼女と付き合っていた、」
男 「彼女は俺を愛してくれていた」
男 「それは、わかる、わかるがな……」
メイド 「もう、すべて思い出したでしょう?」
メイド 「あの場所に、立ち入ったことで」
メイド 「彼女の心に、触れたことで」
男 「言ってる意味はよくわからない、しかし」
男 「確かにその通りだ」
男 「その上で尋ねる、メイド」
男 「君は誰なんだ?」
メイド 「ではそこに至るまでを、ご説明しましょうか」
メイド 「彼女は男様に裏切られたと思った」
メイド 「ほかの女と話していた」
男 「ただのバイト仲間だって…」
メイド 「彼女は無償の愛を注いだにも関わらず、それを男様は踏みにじる」
男 (無償の愛とやらが、あの生き地獄ともいえる束縛とは、また)
メイド 「自分の目が行き届かないところへ男が行ってしまった、なぜ」
男 「学生だし、お金は必要だろうに…」
メイド 「ならもう、そんなことはどうでもいい」
メイド 「失望させられる、男が狂い始めた」
メイド 「自分のテを離れ、外のセカイへ一人で勝手に」
メイド 「あのコロの自分をアイシテいた男はドコヘ行ったのか」
メイド 「これ以上狂うとイウのなら、いっそ狂う前にコロしてしまおう」
男 (この異常な愛、思い込み…)
男 (そうだ、俺が引っ越した理由は、逃げるためだ)
男 (一度俺は殺されかけた、あの日の夜に)
男 (その理由はわからなかったけど、今はっきりした)
男 (女の束縛から、殺意から逃げるつもりが…)
メイド 「それでも男様を信じようとする心も、また残っていたみたいですが」
男 「信じるも何も、完全な誤解だ」
メイド 「しかし自分の中で男様を綺麗なまま完結させたい、その意志のほうが彼女の中では強かった」
メイド 「そんな意志などジャマだ、ケシテしまえ」
男 「あの薬に、手を出したと…?」
メイド 「そう、彼女はある違法薬物に手を出した」
メイド 「自分が忌む感情を一つ消してしまう、そんな薬物に」
男 「俺を信じる心を消して、俺への愛だの憎しみだのを残したと、そういうことか?」
メイド 「はい、そして彼女は実行に移します」
男 「あの後、引っ越しもして安心していた俺を後ろから一刺し、か?」
メイド 「落ち着き払っていますね、その通りです」
男 「そして俺は返らぬ人と、か」
男 「もう過ぎたことだしな、それより」
メイド 「なんでしょう?」
そう、もっと大事なことを聞きそびれてしまっている
男 「この場所は、君は、誰だ? なんだ?」
死んでから痛みと共に訪れていたこの場所
天国と言うわけでもなさそう、ならここは一体…?
メイド 「あの薬、実は奇妙な副作用がありましてね」
男 「?」
メイド 「消してしまった感情は、本来なら一定時間で元に戻るのですが」
メイド 「ごくまれに、戻らないことがあるそうで」
男 「はい?」
メイド 「余程強い感情を一度に消してしまった場合に起きるそうですが」
メイド 「その感情はどこへ行くと思いますか?」
男 「消えているのにどこへ行く? 意味がわからない」
メイド 「言い換えましょう、殺すのです、感情を」
メイド 「生き返ることもなく、死んでしまった感情は、どこへ行くと思います?」
男 「そんなの、わかるわけないだろう」
メイド 「それは徐々になんらかの形を成していき、思念としてこの世界のどこかに留まる」
メイド 「それと深い関わりを持つ、死者の魂を引き寄せて」
男 「…信じられない、まさか、この館は…」
メイド 「はい、彼女の心です」
晴れたような笑みを浮かべるメイド
しかし、それを素直に受けられるほど、俺は…
男 「じゃああれか、俺は永遠に束縛されると?」
男 「死ぬこともなく、生まれ変わることもなく」
男 「永遠に」
狂いそうだった、壊れそうだった
なにも知らなければ、こんな思いをする必要なんてなかっただろう
どこからなんだ、どこから、俺は真実を知るように動いていた…?
わからない、しかしもう知ってしまった、それに記憶も、戻ってしまった
メイド 「さて、私についてですが…」
男 「やめろ、もうやめてくれ、知らなくていい」
メイド 「教えろとおっしゃったのは男様ですよ?」
男 「取り消す、だから…」
メイド 「聞けません、ええ」
メイド 「私は、この館を操れる力を持っていた」
メイド 「私も、彼女の感情の――」
メイドの言葉を最後まで聞くことなく、いやなにを言っているか理解しようともせず
俺は扉のほうへと無我夢中で走り出した
傍から見ればなにかをひどく恐れて逃げ出そうとしているように見えるかもしれない
でもなりふりなんてかまってられるものか
俺に自由を、自由を、なんでもいい、解放してくれ…
男 「開かない!? なぜ!?」
我を忘れてひたすら扉を叩くたたく
自由を得るために解放されるために扉を引く開けようとする
メイド 「諦めてはいかがでしょうか?」
メイド 「どこかでわかっているのでしょう? 無駄だと言うことは」
そんな声が聞こえてきた、動きを止める
館を操るとか言っていた、まさか、俺は、永遠に……
メイド 「はい、男様と私が末永くここで暮らす」
メイド 「彼女の注ぐ愛が形になったと言えるでしょうね」
男 「逃げられない束縛が永遠に続く、死ぬことすらも許されない」
男 「そう思うと素直に喜べないよ」
息を整える、もうあがくだけ無駄だ
どこまで行っても、俺は小さな自由すらも得られないらしい
自分の時間を持つことすらも許されないらしい、あの女の意志が支配するメイドが居る限り
もう、諦めるしかないのか……?
メイド 「そうですか、これだけ愛を注いでいるというのに残念です」
思えばメイドはすべて女の意志に沿って動いている
せめて、メイドから女の意志を封じ込めるなりできれば、気が楽になるのか…?
メイド 「そうでした、この屋敷の形作られていない場所」
メイド 「あそこに入ったことで、思い出すことが出来ました、自分のことを」
まさか、探索に出たあの場所のことか?
メイドの嫌な予感とやらは、恐ろしいまでに的中してるよ…
メイド 「やっと、です、やっと、この時が来たのです」
メイド 「実に長かった、しかしもう誰にも邪魔されることもありません」
今までのメイドの微笑みとは違う、
あれは女だ、あのどこか黒い感情を裏にひそめるような、あの微笑み
いつからか感じるようになった、あの微笑みは…
もう今は考えることをよそう、今は、そう今は
メイド 「そして、ようやく私の元へと帰ってきてくれた男様に、私はこう言いましょう」
メイド 「おかえりなさいませ、男様」
-end-
大まかな流れは変えずに、過去のあれこれのみを省略した結果、意味不明なことに
ほんの少しでも読んでくださった方が居たなら、ありがとうございました
では
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません