穂乃果「ホノーーッカ輪ご~む!!!」海未「うみゅーーー!?」ビクッ (691)

・初スレ
書き方やら何やら分からないことがあるかもしれません

・キャラ崩壊注意

・遅筆、あしからず

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海未「……?]チラッ

海未「ふう…撃たれるかと思いましたぁ…」ドキドキ

穂乃果「輪ごーむ!輪ごーむ!輪ごーむ!輪ごーむ!スマイル!輪ごーむ!!!」バシュンバシュンバシュンバシュンニコッバシュン

海未「痛っ!痛いです、みみず腫れになりますぅ!あぁ、可愛い///…いやぁ、やめ…て…」バタッ

穂乃果「ふう…なんとか髪留め使い切らずに済んだね」

穂乃果「さあて、回収♪回収♪海未ちゃんは土に還ってもゴムはなかなか還らないからねぇ♪」

穂乃果「ひと~つ、ふた~つ、み~っつ、よ~……っつ?」

穂乃果「……あれ?ない…ハッ…!?」

海未「ラブ…アロー…シュートォォオオオ!!!」ズドォォオオン

穂乃果「くっ、こ…んな…ものぉぉおおお!!」バシュン

海未「まだです…!!」ギリッ

穂乃果「なに!?…に、2撃目だと!?」

海未「と…どけ……とどけぇぇぇえええええ!!!」

海未「ラブアローシュートォォォオオオオオオ!!!」ズドォォォォオオオオン

穂○果「がっはぁぁっっっ!!!!」

穂○果(そっか…)ユラ

穂○果(海未ちゃんは穂乃果を超えたんだ…よかっ……)ヨロッ

海未「」ダキッ

穂○果「!?」

穂○果「ど…して…」

穂○果「わたしは…海未ちゃんに…ケホッ…ひどいこ…と…を……」

海未「……全部、分かってました」

海未「全部全部!分かってました!」

海未「穂乃果が私のために、みんなのために、ずっと…ずっと悪役を演じてきたことくらいお見通しでした!」

海未「でも…気づいてもそれを穂乃果に告げれなかった…だって…!!」

海未「グスッ…ぞれをじてじまったら…ヒッグ…穂乃がの意志を汚ずごどになっでじまうがらぁ……」

穂○果「………」

穂○果(あ~あ…)ジワッ

穂○果(気づいてたんだね……)

穂○果(そう…私は海未ちゃんがこれから先、どんなことがあっても、

どんなに人から辛い仕打ちを受けても…それを跳ね返す強くて気高い海未ちゃんになってほしかった…)

穂○果(だから、私は…)

穂○果「ハッ、何を言ってるのかな…」ニヤァ

海未「ほ…のか……?」

穂○果「穂乃果はね……海未ちゃんを虐めるが楽しかった!」

海未「」

穂○果「海未ちゃんを辱めるのに高揚した!!海未ちゃんを傷つけるのに心躍った!!

海未ちゃんを貶めるのが悦びだった!!!海未ちゃんを苦しめるのが生きがいだった!!!!

海未ちゃんを悲しませるのがっ………!!!!!」

穂○果「





           辛かった……





                           」

海未「ほの…!…私は……!!」ウルッ

穂○果(あはっ…私もまだまだだね、こんな、最後に…甘いや…)

穂○果(でも、最後に海未ちゃんに理解されてたことが…こんなにも…

嬉しいなんて…こんなにも……心を満たしてくれるなんて…)ジワッ

穂乃果「ねぇ…海未ちゃん……」

海未「穂乃果ぁ!ダメです!いやです!やめてください!」

海未「まだこれからなんですよ…?さあ、だから、ね、早く帰りま」

穂乃果「……大好き」ニコッ

海未「う、うみゅぅぅぅぅーーーーーーーーー!!!!!!」ダキッ

・・・・・・・・・大丈夫

・・・・・・だって、海未ちゃんだもん

・・・私がいなくても

ううん、私はもう、いらない・・・

一人で歩いてゆける・・・・・・

これから先もずっと・・・・・・・・・

海未ちゃん、

               『ファイトだよ!』

海未自室

海未「グスッ……穂乃果ぁ……」

海未「あぁ……」


海未(発端は6年程前でしたっけ…まだ私も…穂乃果も……世界についてほとんど知らなかった頃でしたね……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

穂乃果「海未ちゃ~ん、早く~!配給終わっちゃうよぉ」

海未「もう!穂乃果は焦りすぎです!」

海未「最近は充分に配給されるようになってきて、急ぐ必要もなくなったじゃないですか」

穂乃果「だって、お米はいっぱいあるけど、パンは少ないじゃん!穂乃果、先行くよ!」ダッ

海未「あ、穂乃果っ!?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未(あのときのことはずっと後悔しっぱなしです…)

海未(あのとき、あそこで穂乃果を止められなかったこと、一緒に居てあげられなかったこと)

海未(穂乃果を……守れなかったこと……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未(ふふふ、パンも貰えましたし、今日はお米が1合も多く貰えました)

海未(これで少しは穂乃果との生活も楽になるでしょう。あの子はいっぱい食べますからね)ルンルン

海未(にしても、穂乃果はいったい…配給所にもいませんね。家からここまでは直線ですし…)キョロキョロ

海未「穂乃果ぁぁーー!どこですかぁーーー!」

海未「ほ~~の~~か~~!!」

海未「……」

海未(なぜだか胸騒ぎがします…)

海未(早く捜さないと!!)ダッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未(あのとき…3時間も街や自宅、貴女の行きそうな場所を捜しました)

海未(しかし、貴女はそのどこにもいませんでした……)

海未(そして、再び配給所に戻ってきた私は…知った……)

海未「あなたはすぐ近くにいたんですよね…」




海未「配給車の荷台の中に…」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未「ハァ…ハァ…、いったいどこに……穂乃果ぁ……」

海未(穂乃果の行きそうな場所、隠れられそうな場所もあらかた探しました…あとは…うみゅ?)

海未(いつもならもう次の街に行ってるはずのに、まだ停まっていますね……)


海未(まさかですよね…)ソロリソロリ


海未「穂乃果ぁ、いますか~、穂乃果ぁ~~?」トビラ コンコン

海未(あ、鍵が開いて…)ガチャ

海未「ほ、穂乃果~~?」


??「ねえ、貴女はどうして入ってきたのかな?」


海未「!?」ビクッ

海未「あ、あの、すみません!友達を捜してまして!」

??「友達?」

海未「その…髪はオレンジ色でサイドテールで服は『ほ』って描かれたシャツを着た子でぇ……えっと…」シドロモドロ

??「……そう」

??「貴女、お名前は?」

海未「……海未です」

??「海未ちゃんね、私は絵里よ、よろしくね」ニコッ

海未(綺麗な方ですね…)

絵里「海未ちゃんは10歳くらいかしら?」

海未「え、あ…はい、10歳になります」

絵里「親御さんは…?」

海未「ギリッ……あの戦争で…二人とも…」

絵里「そっか…ごめんなさい、こんなこと聞いちゃって…」

海未「いえ…もう…慣れました」

絵里「それで穂乃果ちゃんと二人暮らしなんだね…」

絵里「それで、海未ちゃん、捜してる子だけど…」

海未「え、あ、はい!」

海未(あれ、そういえば、穂乃果の名前出しましたっけ…?)



絵里「その子ね…とっても美味しかったわ」ニコッ


海未「…………は?」

絵里「…?ああ、ごめんごめん。本当の意味で食べてはないわよ…フフッ…けど、ね」

絵里「女の子として『頂いて』しまったってこと」



絵里「ご馳走さま♪」ニコッ



海未「…え……え?」

絵里「それは戸惑うわよねぇ」

絵里「でも神がミトメラレナイワァとしても私が認めるわぁ」ドヤァ

海未「」

絵里「どうしたの?う・み・ちゃん♪」

海未「…ほの……った…」ボソッ

絵里「?」

海未「穂乃果をどこへやったと聞いてるんです!!!」ダッ! バシュ!

絵里「あら、ダメよ」ガシッ

海未「なっ!私の拳を!?」

絵里「貴女みたいな可愛い子が暴力だなんて」

絵里「そんな悪い子は妹にして…ゴホン…痛い目を見ないと、ね?」

海未(この威圧っ)ゾクッ

海未「くっ!……離しなさい!」

絵里「ほらほら暴れないでこっちに♪」ハガイジメ

海未「うみゅうみゅ!うみゅ~!」ジタバタ

絵里「ほら、外からじゃ分からないけど、この車は荷台の中にもう一つ部屋があってね」

絵里「ほら、ここよ」ガチャ


海未「やめなさい!どこへ連れ…穂乃果……?」



穂乃果「…………」


海未「穂乃果、無事ですか!今行きますから!くっ!」ジタバタ

穂乃果「…………」チラッ

海未「ほのか…?」

穂乃果「あ!ねえさまぁ~~~」ダキッ

穂乃果「穂乃果ね、姉様がいなくて寂しかったんだよ?」ウルッ

絵里「ふふっ、ごめんね、待たせちゃって」ナデナデ

海未「」

穂乃果「さっきの続き……やろ?///」ウワメ

絵里「ハラショー///」

絵里「ハラショーよ、穂乃果」

海未「…これは……これはどういうことですか!お前は穂乃果に!」

絵里「ふふっ、お前じゃなくて、絵・里・ね」ニコッ

絵里「ちょっとした薬と私のテクでね」

絵里「最初は抵抗してたんだけど……やっと姉様って呼ばせたときとか…あぁ、もう、思い出すだけでゾクゾクするわぁ///」

海未「なんて…ことを……」

海未「穂乃果!早く逃げてください!私が足止めしますから、早く!」

穂乃果「……」ジッ

海未「穂乃果ぁぁぁあああ!!!」



穂乃果「ねえ、姉様……この子だれ?」キョトン




海未「え、ほの…か……?」

絵里「あはっ、まさか記憶まで改竄できるなんて」

絵里「さすが西木野軍事(株)が作った薬ね」

絵里「穂乃果、この子は海未って言うの、私の妹にする予定よ」

穂乃果「新しい妹……」

穂乃果「……やだ!姉様の妹は穂乃果だけだよ!!」ダキッ

絵里(あぁ、もう、なんてハラショーなのぉ///)

穂乃果「この子はいらない!」

穂乃果「だから!早く捨ててきて!」

海未「」

絵里「ええ、ええ、分かったわ。穂乃果の頼みだもの」

絵里「さ、海未ちゃん、ごめんなさい、折角連れてきたのに…」

絵里「私としても残念ではあるけれど…また機会があれば、ね?」ニコッ

絵里「またね」ポイッ

海未「うみゅ!」ズザァ

穂乃果「…………」

海未「穂乃果ぁぁ」

穂乃果「……」

穂乃果「」プイッ

海未「」

絵里「さってと、車を出しなさい!!」

???「ちゅん!」ビシッ

海未「ぃゃ…待って、待ってください…

海未「穂乃果ああああ!!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未(その後、穂乃果が連れ去られた場所は『あること』があって判明しました)

海未(それは穂乃果が生きている証拠にもなりました)

海未(しかし、そこはこの辺一帯を支配する西木野軍事(株)の兵舎と物資運搬所が併設された場所でした)

海未(関係者以外は無論立ち入りが禁じられ、監視も守りも強固…)

海未(私は……)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
 一月後

海未「穂乃果ぁ…いったいどこに…」トボトボ


?「ねえ、かよちん、知ってる?」

??「なあに、凛ちゃん?」モグモグ

凛「これまで物搬所に連れ去られてた若い子たちが解放されたんだって!」

凛「もうこの話題で町中持ち切りだにゃ」

花陽「へえ、そうなんだぁ」モグモグ


海未「!?」

凛「その子たちの話によるとね、今までの連れ去りの犯人の『姉様』って人がいるんだけど…」

凛「新しく連れてきた子が『姉様』への独占欲が激しいらしくて」

凛「で、その『姉様』もその子のことを溺愛してて」

凛「その子が『他の妹なんていらない!』な~んて言ったら、他の子たちを追い出したそうだにゃ」


海未「……」


花陽「うわぁ、秘密の花園もドロドロだねぇ」モグモグ

花陽「でも、とうとう解放されたんだねぇ、どうでもいいけど…」モグモグ

花陽「あ、そうだ、凛ちゃん、これ今日の分ね」つ【¥】

凛「さすが、かよちん!お嬢さま!ありがとうだにゃ~!」ダキッ

花陽「うふふ」モグモグナデナデ

海未「ハァ…ハァ……んぐっ…ゼェハァ……ハァ……」ダダダダダ

海未(見つけました!やっと!やっとです!穂乃果…)

海未「ほのかぁぁぁああああああああああ!!!」ダダダダダ

海未(…しかし……

海未(他の子たちを解放…?)

海未(穂乃果、貴女はまさか……!?)

兵舎・物資運搬所

海未「おぇっ!」ミミ☆☆キラキラキラキラ

海未「ゲホッ…ガハッ…あぁ…最近ロクなもの食べていませんでしたからね…胃が……」

海未「しかし、ここにいるのですね、穂乃果は…」ザッ


???「そこのあ・な・た♪」

???「なにをしてるのかなぁ~♪」ニコニコ


海未「こ、これは、そのぉ…」

海未「百歩譲って私の吐しゃ物だとしてもです!」キリッ

海未「これが大地を育み花を咲かせ虫を呼んで、そうやって世界は回っていくのです!」キリリッ

海未「あなたに地球の営みを妨害する権利があるのですか!?」クワッ

???「えっとぉ、ごめんなさい…?」オドオド

海未「それよりも…」キリッ

???「えぇ~……けど、入り口をこんな……」

海未「それよりも!!」クワッ

???「」

海未「ここに穂乃果がいるはずです!」

海未「穂乃果を返してください!!」

???「ほのか……?」

???「あぁ、穂乃果ちゃんね、うんうん、あの可愛い子だよね♪」

海未「!?やはりここにいるのですね!」

???「あれ、そういえば貴女はあの時の……え~っと、うみゅちゃん!だよね♪」

海未「違います!海未ちゃんです!」キリッ

???「海未ちゃんね、海未ちゃん海未ちゃん…うん、覚えたよ♪」

海未「ふう、まったく、話が進みませんね…」

???(海未ちゃんのせいでもあるような……)ヒクヒク

海未「さあ、本題に入ります!早く穂乃果を返してください!!」

???「……」

???「海未ちゃんは本当に友達想いで優しいんだね♪」

???「でも、だ~め♪」

???「穂乃果ちゃんは絵里大佐のお気に入りだから」

???「それにことりも気に入ってるから返してあげませ~ん♪はい、ちゅんちゅん♪」

海未「くっ!ならば力づくでも・・・」ダッ

ことり「だ・か・ら」シュン

ことり「ダメちゅんよ」ドスッ

海未「うみゅっっっっ!!!」

ことり「ここは関係者以外は立ち入り禁止で~す♪」ニコッ

ことり「それでは行ってらっしゃいませ、ご主人様♪」ペコリ

ことり「な~ん、てっ」ドゴン

海未(ほ…のか……)バタッ

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

海未(気が付くと、それから「師匠」と呼ぶ人の家に寝かされてたんですよね…)

海未(なんでも師匠は日課のごみ漁り中に私を発見したとか…)


海未(師匠が強いことを知ったのは、私が穂乃果を想い発狂して暴れてしまったときのことでした…)

海未(あぁ…そういえば、師匠は私を止めるために胸やら尻やら撫でまわしてくれましたね)

海未(今の私なら師匠の胸と尻をくっつけることも造作もないこと…ふふっ、待ってなさい師匠)ギリッ


海未(その後、師匠に頼み込んで、修行をつけてもらうことになりました)

海未(あの頃の実力では到底奴らに敵わないから……)

海未(そして、西木野軍事(株)の兵士となって、より深く潜入するために……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

希「さあ、働け!」バシン

海未「ぐっ!はぁはぁ・・・」リヤカーヒキ


希「よし、今日は儲けたなぁ」

------------------------

希「ほら、腰が入っとらんよ!」サワサワ

海未「あぁ///ぜぇ・・・はぁ・・・」ミズハコビ


希「よし、今日も儲けたなぁ」ツヤツヤ

------------------------

希「スカート履いて電球の取り替え100回や!」

海未「///ちょっと見ないでください、師匠!」

希「見てないと修行のコツを教えらないやろ!」ジー


希「よし、今日も儲けたなぁ」ツヤツヤテカテカ


―――――――――――――――――

希「さあ、ウチを背負って家までダッシュや!」

海未「ぜぇはぁぜぇはぁ・・こひゅー・・・ぜぇはぁぜぇはぁ・・」ダダダダダ

海未(あっ、この重み、いま自分は修行してるんだという満足感はありますね)

希「おっと」サワ

海未「!?またですか!いい加減にs」

希「海未ちゃん……胸はいつか大きくなるって…」ポンッ

海未「……チッ」


---------------------------------

希「海未ちゃ~ん、夕飯まだ~?」

海未「はいはい、今日もうどんにしてやりましたよ」ドンッ


希「海未ちゃ~ん、お~~茶~~」ゴロゴロ

海未「あなたは穂乃果ですか!!」

海未(ハッ!穂乃果のためです。これも修行、修行!……しゅぎょう?うみゅ?)

3年後

希「さあて、海未ちゃん。もうウチが教えることは何もない」

希「ウチもあの中の兵士とやりおうたことがないから、海未ちゃんがどこまでできるか何とも言えへんけどな」

希「けどな、ウチは、海未ちゃんがこの3年間諦めず頑張ってきたことは知っとる」

希「……気張るんやで」ナデナデ

海未「はい゛!!じじょー!!」グスッ

海未「ごのぉ、最後のざいごまで、ヒグッ…わだしの尻をざわりやがっでぇ…」ワナワナ

海未「……行っでま゛いります、ぐぞ野郎がぁっ!!」クルッスタスタ


海未(ぃやりました!ついに私は解放されたんですね!!)ルンルンルーン

海未(しかし、あの修行で力が増したのも事実……チッ)


海未(さあ、待っててください!穂乃果!)



希「……行ってもうたな」ウルッ

希(あぁ…ウチの出番はたぶんこれで終いかもな…カードがそう告げるんや)グスッ

今日はここまで

初スレなので
とりあえず出来とか関係なく
ただ完成に向けて書いています

多少?全部?変なとこありますがご容赦ください

皆さん感想・ご意見ありがとうございます

色々気を付けていきます

では、投下していきます

兵舎・物資運搬所 

ワイワイガヤガヤ

海未(さすがに混んでますね、入隊試験とは…)

海未(あっ!門の傍に可憐な花が咲いています)フフッ

海未(さすがは私の中から生まれたもの、いい仕事をしましたね…)ウルリ


オーイ


海未「ん?」チラッ


???「お~い、雪穂~~」フリフリ

??「亜里s…違った……少佐!」ビシッ


亜里沙「ふふっ、いいよ~、亜里沙で~」

雪穂「え…でも…」チラチラ

亜里沙「上官命令が聞けないのかぁ♪」コチョコチョ

雪穂「うひぃ///わ、分かったから、あ、亜里沙~!!」

亜里沙「分かればよろしいのです♪」

雪穂「はぁ、はぁ///」

亜里沙「一応、入隊試験受けてもらうけど、大丈夫だからね」ボソッ

雪穂「…うん♪本当にありがとう、亜里沙!」ダキッ

亜里沙「えへへへ///……ん?」

海未「」ジー

亜里沙「…何かな?」ニコッ

海未「い、いえ……」アセッ

亜里沙「じゃあ、雪穂また後でね♪」フリフリ

雪穂「うん♪」フリフリ

雪穂「…………」

雪穂「はぁ……」

海未「……」

海未「…随分と好かれているようですね」

雪穂「」キッ


雪穂「貴女は私のことを汚らわしいと思うかもしれない!」


雪穂「でもねっ!私にだって事情がっ…!!」


雪穂「……いえ、すみません、忘れてください」

雪穂「他言したら消しますからね」ニコッスタスタ

海未「……」


海未「貴女はまだ汚らわしくなんてありません……最も汚らわしく醜いのは…」

海未「『あいつ』です……!!」ギリッ

施設内 グラウンド

亜里沙「それではこれより入隊試験を開始する!」

亜里沙「にこ大佐、お願い致します」ビシッ


カツッ...カツッ...カツッ...


  ザワザワ アツゾコ? デモ30センチモ… セガチッチャインジャ… ロリ…


にこ「」ギロッ

モブら「ひっ!」ビクッ


にこ「私がアンタらの適正を測る矢澤にこ大佐よ!」


にこ「そこにいるアンタとアンタとアンタ!」

モブら「「「はいぃ!」」」ビクッ

にこ「顔、覚えたにこ♪」ニコッ

モブら「」

にこ「さて、隣国UTXとの戦いでは両者互角のまま戦いは進み、

互いの国民は疲弊していったため、6年前両国の間で休戦協定が結ばれた」

にこ「しかし!こんな仮初めの平穏、いつまでも続くとは限らない!」

にこ「私たちには力が必要である!」

にこ「でもね、今までのようにバンバン新兵を投入して使えないようじゃ、それこそ劣勢に立たされる危険性がある!」

にこ「そのため!兵士の選別・育成に力を注ぐことにした!」

にこ「選別については今回の入隊試験がそれである!」

にこ「これまでの体力測定みたいなちゃちなものとはわけが違うから覚悟しなさい!」

にこ「で、育成に関してだけど……」

にこ「この試験に合格した者は、なんとこの私を隊長とした少数部隊を編成キャリアを積んでもらうこととなる!」キリッ

にこ「何といってもこの矢澤にこは入隊時から神童と呼ばれ……」クドクド


海未(ふぁあ…話が長いですね……背丈は短いですが)


にこ「」ジロッ


海未「うみゅ…」メソラシ


にこ「チッ…さてと、こんなつまんない話はもうやめてあげるわ」

にこ「やっぱり体を動かしてこその兵士よね」ニヤァ

にこ「凛軍曹!!」

凛「はいにゃ」スタスタ

にこ「彼女は西木野軍事(株)に物資提供を行って頂いているPanayonic社から派遣されている身だ!」

にこ「しかし、たった一年で実力が認められ軍曹の座についたエリートである!」

にこ「彼女と闘い、私もしくは亜里沙少佐に実力が認められた者を合格とする!」


にこ「さあ、存分に闘うにこ♪」ニコッ


にこ「あ、ちなみにもう始めていいわよ」

にこ「おっと、まだ言い忘れてたことが……一人で闘ってもいいし、複数人で闘ってもいいわよ」

にこ「ふふっ、にこってばおっちょこちょい」テヘ


凛「……ぐへぇ、寒くないかにゃ」

海未(ふう…まさか睨まれるとは…)

海未(あぁ…怖かったですぅ、穂乃果ぁぁ)


海未(……しかし)

海未(あの背格好で、重量感ある厚底の軍靴を……)

海未(……ロリ中佐、侮れませんね…)ジッ

にこ「」ギロッ

海未(…ま、まあ、まずは目の前のこの方を……)ソロソロ

海未(凛軍曹…)

海未(まずは、様子見が一番・・・は?)



               凛「にゃん!」シュン!

  モブ 凛  モブ               モブ モブモブ
 モブ      モブモブ   モブ   モブモブモブ   凛  モブ
  モブモブ 凛 モブ  モブ  凛 モブ   モブ 凛  モブ モブ
モブ   モブ  モブ   モブモブモブモブ    モブ  凛 モブモブ
  凛 モブ 雪穂  モブ  凛  モブ  凛 モブ モブモブ  モブ
  モブモブ モブ  モブ モブ  モブ  モブモブ  凛  モブ
     モブ  凛  モブモブ モブ  モブモブ  モブモブ
      モブモブ  モブ  凛  モブ   海未  モブモブ
    
    ※後列モブ100余名 略



凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゲシッ グシャ ベチャ ドカッ

モブら「「「「「「ぐあ!!!」」」」」」バタンッ


凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゲシッ ドカッ バキッ ゲシッ

モブら「「「「「「ぶふっ!」」」」」」ズドドン!


雪穂「え、え!?なに!?」ワタワタ

海未「な、なんて速さですか!?」


後列モブ「「「「「は?」」」」」ポカーン



海未(しかも、回し蹴りだけで敵を倒せるように的確に場所取りまで…!?)

海未(早く対応策を……)

海未(ハッ……来る!)


凛「にゃぁぁああ!!」ビュッ
   バシィィッッ!!
凛「………にゃん?」


にこ亜里沙「「!?」」


海未「ふう、なんとか止められましたね」シュー


雪穂「へ?何で私の周りみんな倒れてんの?……え?」


凛「すごいにゃ~、凛のスピードに追い付くなんて」ワクワク

凛「ねぇ、見えてたの!?見えてたのかにゃ!?」


海未「ふふっ……えぇ、見えてますとも」ニヤァ


海未(って、見えるわけないじゃないですかぁ!!)アセアセ

海未(単にリズムのいい攻撃に合わせたのと、モブらへの攻撃の瞬間にできる若干の速度低下で

辛うじて分かったニャン軍曹の癖!彼女は背後から襲い掛かることが多かった!気がします……)ジー

海未(ならばと、一か八か賭けてみました)キリッ

海未(にゃんにゃんにゃ~♪と心の中で歌って、ちょうどいいところで背後の防御)フッ


海未(…そう!適当だったんです!)クワッ


海未(にしても、前から来ていたら終わっていましたね……)ヒヤヒヤ

海未(あぁ、もう、そもそもあのクソ師匠!何でスピード面を鍛えてくれなかったんですかぁ)イライラ


凛(何だかコロコロ表情が変わるにゃ~……)



海未「あぁ、もう!どうにでもなれです!!」ダッ

凛「!?」

海未「師匠のバカヤロォォォオオオ!!」ブンッ

凛「師匠って誰にゃーーー!!??」シュン


ドカッ バキッ ウミュ-イタイデスゥ ゥオリャ- ビシッ 


後列モブ「「「「「」」」」」ポカーン


シュンッ ドゴン オワリニャ オット スベリマシタ スカッ ニャニー!? 


後列モブ「「「「「」」」」」ポカーン


チョット! アッチニモ イルンデスカラ アッチモ ネラッテクダサイヨ! ハイニャー


凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゲシッ

後列モブ「「「「「でゅぽぉお!」」」」」グシャァ


海未「変な声出してやられないでください!!」



海未(にしても次々とやられて…時間稼ぎにもなりませんか……ケッ)

海未(いったいどうしたら……師匠…)


(希「使えるもんは使うんや!胸もまた同じ!」ポヨン)


海未「ふざけるなぁぁああ!!何がポヨンですか!?じじょーめ゛ぇぇ」グヌヌ


凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ドスッ


海未「うみゅみゅみゅぅ……」グヌヌ


凛「そろそろ誰もいなくなるにゃ~」ガスッ

海未(あぁ、いったいどうすればぁ!!)

海未(そうだ、穂乃果のことを考えましょう!)

海未(もしかしたら感情の高まりが未知なる力を……)


(希「」ポヨン)


海未「出てくるなぁぁああ!!!」

海未「あいつめ私の脳海馬に何をしたぁぁああ!!」


凛(うへぇ…また一人で何か始めたにゃ~)ドカッ

海未「はぁはぁ……」

海未「落ち着け、落ち着きなさい、海未、貴女はここまで来たんですから」キリッ


凛「はい、これで変顔ちゃん以外はもういないにゃ」ドカッ


海未「海未ちゃんです!!」ドヤァ


凛「そっか、ばいばいにゃ、海未ちゃん♪」シュン

海未(くっ!……ん?)

海未(私以外……?)

海未(っ!?)ダッ


海未(間に合えぇぇえええええええええ!!!)ダダダダダシュワ


凛「逃げても無駄にゃ」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ビュッ





     「やめぇぇええええええええええええええええ!!!!!!」



海未凛「「」」ピタリ

雪穂「ほえ?」

海未雪穂凛「「「」」」シーン

雪穂(は?これ…なに、目の前に足あるんですけど……)


亜里沙「入隊試験、終了!!しゅ・う・りょ・う!!」


にこ「はぁ……」

にこ(まあ、いっか、一応『あいつ』の妹だし、見逃しておくか……)

今日はここで終わります

バトルものって難しいですね
色々挑戦してすみません

次の投稿は2日後くらいを予定しています

海未「ぜぇ…はぁ…ぜぇ…はぁ」グッタリ

凛「ふふふ~♪」ジー

海未「?…何ですか?」

凛「いやぁ、海未ちゃん中々だったにゃ~♪」

海未「……そうですか……」

海未(……まだまだです、あなたに苦戦しているようじゃ、この先……『あいつ』にも……)

海未「……」ジー

雪穂「ほえ~」ポケー

海未(……一応盾にしたんですし、謝ったほうがいいですよね…?)


海未「えっと、雪穂、でしたよね」

雪穂「ふぇ!?あ、はい!」


海未「大丈b亜里沙「どけ痴れ者が!!」ズドン


海未「うみゅ!!」ズザザザザ-


ユキホ ダイジョウブダッタ? ケガシテナイ? ダ、ダイジョウブダヨォ


にこ「」ジー

にこ「…へえ、アンタ、いい体してんのね」

海未「……!?」ビク

海未「」プルプル

にこ「?」


海未「うわぁぁ~~~ん、穂乃果ぁぁあああ!!」ブワッ


海未「また変だいに目をづげられま゛じだぁぁあああ!!!」ゥオーン


にこ「はぁ!?ち、違うっての!?」ワタワタ


にこ「ほら今、アンタ亜里沙少佐の拳くらっても倒れず立ってたじゃない!!」

にこ「それに対して『鍛えられた体してるのねぇ』って意味で言ったのよ!!」


にこ「はぁ……はぁ……」

海未「じゃあ、私を弄ばないんですね……?」

にこ「そうよ!まず、いきなりセクハラまがいのことする奴なんてそうそういないわよ!」

海未「はっ、井の中の蛙がっ、ペッ」

にこ(やだ、この子、めんどくさい)

にこ「っていうか、上官の前で唾を吐かないの!」

海未「はっ、これは……その…!」


海未「これが大地を育み花を咲かせ虫を呼んで、そうやって世界は回っていくのです!」キリッ

海未「あなたに地球の営みを妨害する権利があるのですか!?」クワッ


海未(ふっ、この定型文を力説すれば皆何も言えず、引き下がるのは、これまでの29回の経験上100%です!!)

海未(さあ、言うがいいのです!)

海未(記念すべき30回目の『あ、はい、すみません(可哀想な目)』と!)


にこ「マナーよ」


海未「……」


海未「地球のいtにこ「マナーよ」


海未「……うみゅ」

凛(海未ちゃん…腐ってるにゃ…)

にこ(……にしても、恐らくこいつよね)

にこ(『地球のイトナミン』とか巷で騒がれてる人間栄養剤……)

にこ(あぁ……)

にこ(なんで他に逸材がいないのよぉ!)

にこ(いやよぉ、こんな爆弾抱えて走るようなの……)



にこ(……けど、あいつの言葉は聞き逃さなかったわ……)

にこ(『穂乃果』……)

にこ(まさかね……)

にこ(……さてと、あっちは……)


亜里沙「よかったぁ、ほんとに怪我なくて♪」ナデナデ

雪穂「///」

雪穂「……でも私、何もできてないし…」

亜里沙「生き残ったんだもん、合格だよ!」

雪穂「……」

亜里沙「兵士はね、生き残ることも重要なんだって!」

雪穂「……うん」

雪穂(そう…だよね、これを受け入れないと目的が……)

雪穂「……分かった」

雪穂「じゃあ、合格……だね?」ニコッ

亜里沙「うん、そうだよ♪」ニコッ


にこ「……」


にこ「はぁ……」

海未「どうしたんです?お疲れですか?」

にこ「ははっ……誰のせいよ」

海未「気にしたら負けとクソ師匠も言ってましたよ」

にこ「へぇ、いい学習してるじゃない、そいつ叩き直してやるわ」

海未「微力ながらお手伝いします」


にこ「アンタもよ」


海未「」


凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゴロゴロゴロゴロ

兵舎 

にこ「では、改めて言うわ」

にこ「私がアンタらの隊長、矢澤にこ大佐よ」

にこ「各自、自己紹介を」


海未雪穂凛「園雪凛田穂は海で星未す空で凛すだにゃ」


にこ「自由かっ!?」


にこ「……まあ、いいわ、もうお互い知り合いっちゃ知り合いだしね」

にこ「あとは徐々に馴染んできゃいいわ」

海未「うみゅ、素直でよろしいです」キリッ

にこ「アンタ訓練のときみてなさいよ」ワナワナ



凛「にこ大佐~、質問があるにゃ~」


にこ「ん?」


凛「凛もこの部隊なのかにゃ?」

にこ「…ええ、許可は取ったわ」

にこ「何せ使える奴がいないんだもの……はぁ……」


海未「私をお忘れですか!にこ大佐!」クワッ


にこ「あ゛ぁ?」ギロッ


海未「うみゅ」ビクッ


凛「はいはいは~い、もう一個質問にゃ~」

にこ「ふう……何よ?」


凛「その厚底靴って背gにこ「あ゛ぁ!」ギロッ

凛「a小さいからなんですかにゃ~?」


にこ「」


海未雪穂「「あ、それは私も気になってまし……はっ!」」

海未雪穂「「//////」」


にこ「おい、セリフ被って赤くしてんじゃないわよ、しかも失礼な質問で!」

にこ「っていうか、海未、アンタはそんなことで赤くなるような乙女じゃないでしょ!」


海未「そんな!私の初めてだったんですよ!セリフ被るの!」

海未「考えただけで……うみゅーーっっ!!」ジタバタ

にこ「あぁ……そう……」ゲッソリ


にこ「ほんとアンタら……私が子供っぽいからって調子に乗ってるわよね?」


海未雪穂凛「「「いえ、全然(にゃ)」」」


にこ「……はあ、諦めるわ」

海未「あはは、まだ伸びますって」ポン

にこ「……アンタらの更生の話よ」


にこ「……で、質問に対する回答ね」

にこ「ただのトレーニングよ」

海未雪穂凛「「「そんなばか(な)(にゃ)!」」」

にこ「……ッチ、疑うなら履いてみなさい」

にこ「よっと」ヌギッ シュタ


海未「こうすると30cmのギャップがすごいですね」ジロジロ

雪穂「今までずっと違和感だらけでしたもんね」ジロジロ

凛「あはは、頭撫でれるにゃ~♪」ナデナデ

にこ「……」つパシッ


にこ「ほら、さっさと履きなさい!」

凛「凛が履くにゃ~」


凛「にゃんこら……っしょ」スク

凛「おぉ!立てたにゃ~」


にこ「なら歩いてみなさい」


凛「そんなの……にゃ?ふんにゃ~!」
   ガリッ...ガツッ...
凛「はぁはぁ、歩くの一苦労にゃ……」ヌギヌギ


にこ「まあね、けどこれはトレーニング用だからその重さ」

にこ「実戦用は我が社開発の軽くて硬い『マキニウム合金』だから、特に問題なく人を蹴り倒すことができるわ」

にこ「じゃ、次は雪h」

雪穂「」フルフルフル

にこ「はぁ…なら、海未、履いてみなさい」


海未「では、失礼して……よいしょ……っと」スクッ

海未(立てましたね)

海未「……」
  ガカツッ...ガツンッ...カツッ...
海未「おお!なんとか歩けました!」


にこ「へえ、やっぱりアンタいい体してるじゃない」


海未「」ビクッ

にこ「違うわよ!!」

にこ「全体的な筋肉はある程度鍛えられてるようだし、鍛錬の賜物ね」

海未「ハッ、そうですかー(棒読み)」

にこ「アンタ…修行時代にいったい何が……」

一週間後

兵舎 大講堂


凛「ひっろいにゃ~♪」スタタタタタ~~

雪穂「ほえ~」アングリ

海未「へぇ、こんなところがあるんですね」

にこ「ええ、主に激励やら勲章授与やらにしか使われないけどね」


にこ「で、今日、私たちは新部隊を設立したわけだから、あの檀上で将クラスの連中から激励を受けることになるわ」

海未「へぇ……それは退屈そうですね」

雪穂「ですね」

凛「だにゃ」

にこ「」

式開幕


にこ「いい?くれぐれも寝ないでよ」

にこ「呼ばれたら檀上に行くんだから」

海未「悲しいですね…グス…人から信用されないというのは…」シクシク

にこ「まずは人に信用されるようなことをしなさいよ!!!!」ガタッ
ザワザワザワ
海未「にこ大佐、お静かに」シー

にこ「ふぐぐっ……」シュタ



亜里沙「さて、お待たせしました」

亜里沙「まずは、将の御方々にご登場いただきます」

亜里沙「南ことり少将!」


ことり「」
カツッ...カツッ...カツッ...

ことり「ふふっ」ニコ


海未「!!!??」

海未「あいつは!!」


にこ「ん?もう知ってるの?」


海未「ええ、あいつは……」

海未「地球の営み実験、被検体1号です!!」


にこ「……は?」

海未「彼女は貴女と違っていい結果を残しましたよ」

にこ「いや、知らんがな…」

亜里沙「~~少将、~~少将………~~中将」ウンタラカンタラ

亜里沙「さて、お次は…チッ」

海未「ん?」


亜里沙「絢瀬絵里中将」イライラ


海未「えっ……」


絵里「」
カツッ...カツッ...カツッ...


海未「あ、あいつっ……!?」ギリッ


にこ「ま~た、被検体にこ~?」

海未「違います!!背縮めますよ!!!」グワッ

にこ「なっ!?」ビクッ

海未「あいつは……」グッ


海未「あいつは私から穂乃果を奪った最低のクズ野郎なんです!!」クワッ


にこ「え?…じゃあ、アンタの言う穂乃果ってやっぱり……」





カツッ...カツッ...カツッ...




海未「……え?」




カツッ...カツッ...カツッ...




海未「ほ、の……」




穂乃果「」
カツッ...カツッ...カツッ...




にこ「彼女は絵里中将の側近よ、特別に檀上に立つことも許されてるの」

海未「……のか」プルプル

にこ「海未?」



海未「穂乃果ぁぁぁあああ!!!!!」ガタッ ダダダダダ



穂乃果「!?」


海未「ずっと……」ダダダダダ

海未「ずっとずっど……!!」ダダダダダ

海未「あ゛いだがっっだでずっ!!!」ダダダダダ

海未「あ゛なだにっ!!!!」ダダダダダ

海未「ぼのがぁぁぁあああっっっ!!!」ガバァ


ズドン!!!


海未「うみゅっ!?」ガハッ


絵里「……」ギロッ


絵里「……穂乃果に……近づかないでくれるかしら」


海未「お、前ぇ…ガハッ…」グググ


絵里「お前じゃなくて、絵・里・中・将・ね」ニコ

絵里「久しぶりね、海未ちゃん」フフッ

絵里「まさか兵士になってるなんて驚いたわぁ」

海未「ほのかぁぁああ!!」ダッ

絵里「分からないのかしら……」ビュッ


ビュォォォオオオオ!!!


絵里「!?」ピタ


穂乃果「」ブン!!


海未「うみゅごっっ!!!」ドゴンッ


海未「……ぇ……?」ドサッ

海未「…ぇ…なん…で…穂乃果が…こんな……ゲホッ…」


穂乃果「……」ジッ





穂乃果「……貴女はだれ?」





海未「…!?」





穂乃果「姉様ぁ、こんなのいいから、早く、行こ?」ウワメ

絵里「えぇ、そうよね、行きましょうか」ニコ

海未「はあ……コヒュー…うぐっ……」グラッ

海未「ほ………の…かぁ…」バタッ



ザワザワザワザワ


チョット ウミ! ウミ! アンタナニシテ…!

アッ! マキタイショウ!

……トリアエズ ソトニ ダシトキナサイ

アナタタチハ ソノママ シキヲ ツヅケテ

ヒデコ フミコ ミカ ヤットキナサイ

ハイ!!!



海未(穂乃果……)


海未(今のあなたは……)


海未(……やはり……「穂乃果」ではないんですか……)

今日はここまでです

皆さん読んでくださってありがとうございます


果たしてこれからどうなるんでしょう

>>1もおっかなびっくり進めていきます

激励式後

兵舎 病室


海未「…ほのか!!」ガバッ


にこ「…気が付いたわね……」

にこ「まったくとんだ騒ぎよ」

にこ「おかげで、大目玉食らっちゃったじゃない!」

海未「ほのがぁぁ」ウルウル

にこ「……」

にこ「……あの子ね、3年くらい前からずっとこの施設にいるけど」

にこ「アンタはそれよりも前から知り合いってわけね」

海未「知り合いでは収まりません!友達です!親友です!家族です!」

海未「でも……3年前に『あいつ』に連れ去られて……」

にこ「……」

にこ「それで兵士になって会おうとしたわけか」

海未「えぇ……そうです」

にこ「でも、アンタのこと覚えてなかったようだけど……」

海未「それは…『あいつ』が変な薬を飲ませたんですっ!!」

にこ「……薬……か」

海未「信じられませんか!?」

海未「えぇ、えぇ、どうせ私は信用がありませんよ~!!」

にこ「いや、我が社の社長、つまりは真姫大将なんだけど…」

にこ「彼女は戦闘の技術があるから大将ではないの」

にこ「彼女の母親がまずは科学技術面の会社を立ち上げて、

  その娘である彼女は科学技術だけでなく色んな方面にも手を出しここまで拡大させた」

にこ「もちろん彼女は科学技術面に関しては母親譲りのエキスパートよ」


にこ「ちなみに戦闘面では、アンタの言う『あいつ』、絵里中将が一番の強さね」

にこ「中将の中でも一目置かれていて、軍の指揮も真姫大将から委任されているわ」

にこ「で、話は戻るけど、その真姫大将、彼女がそういった薬を作れるというのは想像に難くないわ」

海未「なら、ソイツに会って薬のことを聞けば何か……!!」

にこ「あぁ~……たぶんほぼ無理よ」

海未「どうしてですか!?諦めたら終わりですよ!身長も!!」

にこ「うっさいわねぇ!!」


にこ「……少将以上はこの兵舎から少し離れたところで暮らしてるの」

にこ「ここの施設も壁に囲まれてるけど、この中にも『二つ目の壁』があって、その向こう側よ」

にこ「……アンタじゃ、入れる階級に達してもないし、入場許可を得ているわけでもない」

にこ「門前払いをされてお終いね」

海未「ふむふむ……」

海未「じゃあ、壁を越えればいいだけですね!!」

にこ「……アンタ……またブチのめされるわよ」

海未「覚悟の上です」キリッ

にこ「アンタときどき良い顔するわね」フフッ

海未「こ、この顔は穂乃果に捧げるんです!あ、貴女には渡しません!!」ガタブル

にこ「だから、何でそっちに持っていく!!!」


にこ(でも…これで分かったわ……以前、穂乃果ちゃんの言っていた友達……)

にこ(…それがアンタだってこと)

にこ(……けど、私はアンタには言わない)

にこ(……それが穂乃果ちゃんの意志につながると思うから……)



病室 外

雪穂「……」

雪穂「……」グッ

1週間後

海未「やっっっっっっと、治りましたぁぁぁあああ!!」

にこ「そう……まだ寝てていいわよ」ムスッ

海未「あはは、そんなこと言ってほんとは私がいなくて寂しかったんじゃないですかぁ?」ツンツン

にこ「全然」つパシッ

海未「」

凛「海未ちゃんはいつも通りうざったい海未ちゃんだにゃ~♪」

雪穂「そうですねぇ」



海未「さてと、そんなことより『二つ目の壁』を越えてきますね!」ダダッ

にこ「あ、ちょっと、待ちなさいよっっ!!!」ゲシッ

海未「うみゅ!」ビタンッ

海未「もう!どれだけ私を求めれば気が済むんですか!?」

凛「にゃ!?やっぱりにこ大佐は……」

にこ「……もうそのネタ流していくわね……」

にこ「本当に……アンタは『あの子』のことを取り戻したいのね?」


海未「はい!!勿論です!!」


にこ(まあ、即答よね……分かってたけど……)

にこ(穂乃果ちゃんの意志、こいつの意志……どちらも私は……)


にこ「……」グッ

にこ「分かったわ……」

にこ「行けるとこまで行ってみなさい!」

海未「!?」

海未「……にこ大佐ぁぁあ」ガバァ

にこ「ふん!!」ドスッ

海未「げほぁ!!」ガクッ

にこ「へぇ、うみゅ以外の奇声もあげられるのね」

海未「り…理解が深まったと思ったら…いきなり反旗を翻されるなんて…」

にこ「私の拳に参っていては、今のアンタには無理よ」

にこ「だから、海未!これからアンタをみっちり訓練して、高みに届かせるわ!」

海未「にこ大佐……」

海未「ふふっ……分かりました」

海未「これから……よろしくお願いします」ペコリ

にこ「べ、別にいいわよ///」


海未「けど、それとこれとは話が別です!今行ってみたいんです!」

海未「行ってきまーす」ピューーーーン

にこ「はあぁ!?待ちなs」スカッ

雪穂「…………」

雪穂「私も!!」ダッ

にこ「あ、ちょっ…!!」

にこ「あぁ!もう!仕方がない!」

にこ「行くわよ、凛!」クルッ

にこ「」シーン

にこ「いねぇぇぇえええ!!」

海未「はぁ……はぁ……」ダダダダダ

海未「あれですね」ダダダダダ

海未「っていうか、走っても走っても着きませんね」ダダダダダ

海未「いったいどれだけ高いんですか」ダダダダダ

凛「海未ちゃん遅いにゃ~」シュン

海未「なっ!?」ダダダダダ

凛「海未ちゃんの走りはそんなもんかにゃ?」シュタタタタ

凛「凛は本気の海未ちゃんの走りを見たいにゃ~」シュタタタタ

海未「ふっ……いいでしょう!」キリッ

凛「おぉ!」パァ

海未「後悔させてやります!」クワッ

凛「楽しみだにゃ♪」ワクワク

海未「さあ、行きますよぉぉおおお!」ゴゴゴゴゴ

凛「にゃ~♪」ドキドキ

海未「いいですか?いいですね!!??」ワタワタ

凛「……」

海未「あ、着きましたね」ピタリ

凛「」

雪穂「はぁ……もう……みんな速いよぉ」タッタッヨロッタッタッタ

にこ「ん?雪穂、まだこんなとこにいたの?」ザシュン!

雪穂「…ほえ?…た、大佐!?お速いですね!」タッタッタッタッタ

にこ「まあ、鍛えれば誰でもできるわ」カッカッカッカッカ

にこ「ちょっと靴を実践用に履き替えてたら遅くなっちゃったけど」カッカッカッカッカ

にこ「たぶんもう着いてる頃ね…先行くわ」ザシュン!!

雪穂「……」ポカーン

雪穂(あぁ、私、訓練に殺されるわ……)

雪穂(…お姉ちゃん……)グッ

『2つ目の壁』 外側


海未「ほお、高いですねぇ……」ジー

ことり「うん、高いねぇ~♪」ジー

凛「にゃ~……」ジー

海未「……5、60mくらいでしょうかねぇ……」ジー

ことり「うん、確かそのくらいだよ~♪」ジー

凛「にゃ~……」ジー

海未「どうやったら中に入れるんでしょうねぇ……」ジー

ことり「う~ん、一応少将以上と許可された者なら入れるよ♪」ジー

凛「にゃ~……」ジー

海未「この壁越えられますかねぇ……」ジー

ことり「そんなことしたら、私が、ちゅんちゅん、しちゃうよ?♪」ジー

凛「にゃ~……」ジー


海未ことり凛「「「……」」」ジー


海未「ぅおらぁぁぁあああ!!!」ブン


ことり「ちゅん!」チュン!! スカッ


凛「おぉー!この人、凛より速いにゃ~♪」ワクワク

海未「くそ!被検体1号め!どこへ!」キョロキョロ

凛「ん~?上だにゃ~」ジー


ことり「はい、ちゅんちゅん♪」ヒューン! ギラッ


海未「なっ!?刃物!?」


凛「」シュン
ガシッ
海未凛「」ドシャァ!! スカッ


ことり「……あなた速いんだねぇ♪」シュタ

凛「そうだにゃ♪」

ことり「あと、これ刃物じゃなくて針ね♪」

海未「そんな50cmの針があってたまりますか!!」



海未(あぁ……やばいです、やばいですよぉぉおお……)ガタガタ

海未(以前あったときの実力を想像して、ケンカふっかけたらもう大ピンチですよぉぉぉおおお……)ブルブル

海未(っていうか、いったいなんですか、あの針は!)クワッ

海未(まず、針を人に向けるなと親から教わらなかったんですかね!)プンプン

海未(……はっ!…そうか、そういうことなんですね……)

海未「」グスッ

凛ことり「「?」」

海未「あなたは…グスッ…早くに親御さんを亡くされたんですね……」ヒッグ

ことり「え、健在だよ?」キョトン

海未「えぇ、えぇ……いいんですよ」ウルウル

ことり「いや、話を…」

海未「仕方がないことなんです……」ウルウル

海未「……だから私が代わりに教えてあげましょう」ニコッ

ことり「?」



海未「人に針を向けるなぁぁぁああああ!!!」ブン



ことり凛「「拳向けてきたぁぁぁあああ!!!」」

ことり「」チュン!! スカッ


海未「チッ…外しましたか」

凛「っていうか、海未ちゃん不意打ち多すぎにゃ~」グヘー

海未「勝ちゃあいいんです!勝ちゃあ!」クワッ

凛「最低のクズ野郎だにゃ~」

海未「クズ野郎は師匠です!!」


ことり「あ~あ、あのピュアそうだった子がこんな……」

ことり「辛いことがあったんだねぇ……」

海未「え゛ぇぇ、ぞうなんでずよぉぉお、ぎいでぐれまずがぁぁあ!!??」ウルウル

ことり「ううん、いいや♪」ニコッ

海未「」

ことり「……どうする?まだやる?」

海未「ええ!!穂乃果に会うために!!」キリッ

ことり「ふふふ……かっこいいなぁ♪」


ことり「……けどね」チュン!!!


凛「!?海未ちゃん!避けるにゃ!!」


ことり「はい、ちゅんちゅん♪」シュッ!!!


ガキィィィイイイイン!!!!


ことり「!?」グググ


にこ「まったく…ウチの部下に何してくれてんのよ!!」ギギギ


海未「にこ大佐!?」

凛「すごいにゃ~♪厚底で針を防ぐなんて」ワクワク

にこ「アンタらは下がって見てなさい!!」

海未凛「「は~い」」

にこ「軽っ!!?」

ことり「もう、にこ大佐邪魔しちゃダメだよぉ♪」

にこ「はっ!設立したての部隊をいきなり壊されてたまるかってのよ!」

ことり「……なんだか、にこ大佐が相手だと思うと昂ぶってきたから本気で行くね♪」チュン!

にこ「そう…そりゃ、どうもっ!!」ザシュン!


ガキィィィイイイイン キィィィイイイイン キンッ


海未「あ、そうだ、凛」

凛「なんにゃ?」


キィィイイイイン ドゴンッ! ズザァァァ! キィィイン


海未「趣味はなんですか?」

凛「う~んとね、ラーメンとかよちんだにゃ♪」


ガキィン チュン! シュッ! クッ キィィイイン


海未「ほお、ラーメンとかよちんですかぁ、それはまた良い趣味をお持ちで」テキトー

凛「でしょ~?でも、最近かよちん分が足りないにゃ~」ゲッソリ

雪穂「はぁ……はぁ……やっと着いたぁ……もうぃやだぁぁ…」ズザー


ガキィィイイン ネェ! チョット! アンタタチィ!  キィィィイン


海未「あっ、雪穂お疲れ様でした」

凛「ここら辺、芝生だから寝転ぶといいにゃ~」ゴロゴロゴロゴロ

雪穂「あ、気持ちよさそう~……よいしょ…っと」ゴロン


オーイ! …ハナシヲ キキナサーイ!! ニコタイサ… タイヘンナンダネ… ヤメテ! アワレマナイデ!


海未「はあ……青い空……でっかい壁……自分がちっぽけに感じられますねぇ…」ゴロゴロ

凛「大丈夫…海未ちゃんはもとからちっぽけな人間にゃぁ……」ゴロゴロゴロゴロ

雪穂「そうですねぇ……」ゴロゴロ


ガキィィィィイイイイン!!


にこ「ちょっとぉぉおお!アンタら暢気に寝てないでちゃんと見てなさいよぉぉおお!!」

ことり「そうだよ!無視されてにこ大佐泣いてたんだから!」チュン!

にこ「泣いてないわよぉおお!!」ザシュン!

海未「はあ……仕方がないですねぇ、ひと肌脱ぎますかぁ」スクッ

海未「それでは、芝生さん、また寝転びにきますね」ビシッ

にこ「そんなのに挨拶はいらないわよ!!」 ガキィイイン

海未「見てるだけでなく、加勢してあげますよ」ウデマクリ

凛「海未ちゃんがんばれにゃ~♪」ゴロゴロ

雪穂「あぁ……足痛い…明日筋肉痛かなぁ……」ゴロゴロ

にこ「」ガキィィィイイン

ことり「」(憐れみの目)

にこ「はあ……戦うなら協調していくわよ」

にこ「いい?アンタが突っ込んで撹乱でも何でもして隙を作りなさい」

海未「はぁ!?にこ大佐が行けばいいじゃないですか!?」

にこ「アンタじゃ、トドメを刺せそうにないからでしょ!」

海未「こんなのパワハラです!」

海未「あ、ここ一応は会社ですよね、今の録音しておけばもしかしたら慰謝料を…あぁ、惜しいことを……」

海未「……にこ大佐、もう一度お願いします」ジュンビ

にこ「二度は言わん、やれ」


海未「どうせ私はただの社畜ですよぉぉおおおお!!!」ダダダダダ


ことり「えぇっ!!??」チュン!


にこ「まったく……良い感じに撹乱してくれるわ…ね!!」ビュッ
ガキィィイイイン!
ことり「くっ!」チュン!


海未「うわぁぁあああん、穂乃果ぁぁああ!!」ダダダダダ


にこ「ちょっ!!泣いてんじゃないわよ!前見えてんの!?」

ことり「」ニヤァ

ことり「」チュン!


にこ(くっ!海未が狙われて……)ザシュン!


ことり「はい、ちゅんちゅん♪」ギラッ


海未「ぅぅぉぉおおおん!!穂乃果ぁぁあああ!!!」ダダダダダ


にこ「くそぉぉおおおお!!」ビュッ






「ああぁぁもうぉおお!!うるさぁぁぁぁあああああい!!!」




「……ホノーーーッカァァ!!!輪ごぉぉおおおむ!!!」
 バシュン! バシュン! バシュン!




ことり「え?…うぐぅ!!」ズドン



にこ「は?…にごぉお!!」ズドン



海未「ぼぉのがぁa……うみゅがふっ!!」ズドン








「まったく!!!昼寝時になにしてんのさ!!!さっきからガキンガキンって!!!」





「終いには奇声とか発して新手のテロか!!?」





「穂乃果、寝不足になっちゃうでしょ!!!」






ポトッ

雪穂「ん?なんだろ……髪留め?」ヒョイ

凛「うわぁ、あの子壁の上から撃ったの?すごいにゃ~」ワクワク

雪穂「上?」ジッ



穂乃果「」



雪穂「!?」

雪穂「……お姉ちゃん……」ボソッ

ことり「あぁ…痛いよぉぉ…さすが穂乃果ちゃん……」ズキズキ


にこ「えぇほんと……あの距離からただの髪留めで、この威力に命中精度……まったく、半端ない子ね…」ハァハァ…


海未「うみゅみゅ……」プシュー……




穂乃果「……」ジッ




海未「んぐっ…!」グググ ムクリ

海未「ほ……の……か……?」チラ




穂乃果「……」グッ



穂乃果「力がないなら兵士なんてやめてしまえ!!」



穂乃果「覚悟がないなら戦うな!!」




海未「……」フラッ

海未「」ドサッ




穂乃果「あ、あと!髪留めは拾っといて!自然に還りにくいから!」



穂乃果「……」クルリ




雪穂「お姉ちゃぁぁぁああああん!!!」




穂乃果「……」ジッ

穂乃果「……」グッ

穂乃果「」クルリ スタスタ




雪穂「お姉ちゃん……」ドサッ


凛「……なんか辛そうな顔してたにゃ~」

雪穂「…え?」

凛「ん?ああ、凛は目が良いからこの距離でも分かるにゃ~♪」

雪穂「…そっか……」

雪穂(……お姉ちゃんは私のこと覚えてるよね…?きっとそう…だよね…?)

雪穂(……分からない……)

雪穂(……)

雪穂(けど……!)

雪穂(私は……ここまで来た!)

雪穂(ちゃんと会って…確かめたい!!)

雪穂(お姉ちゃんが『お姉ちゃん』なのかを!!)


雪穂(でも……)

雪穂(もし……)

雪穂(お姉ちゃんが覚えてなかったとき……私は……)

今日はここまでです


ついにホノーッカ輪ごーむを出すことができました

にしても、海未ちゃんはやられてばかりですね

いつになったら成長するんでしょう……

>>1もまだ分かりません


では、次回をお楽しみに

兵舎


にこ「はぁ……疲れたぁ……」

海未「……」

雪穂「……」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」

凛「ことり少将速かったにゃ~」

凛「にこ大佐も、まあまあ格好良かったにゃ~」

にこ「まあまあって何よ、まあまあって!」

にこ「私のは厚底を蹴り回したときに生じる遠心力を利用s」

凛「けど、穂乃果ちゃんはもっとすごかったにゃ~♪」ドキドキ

にこ「アンタまだにこの話がっ!」

海未「……」

雪穂「……」

にこ(こいつら空気重いわねぇ……)

にこ「……まあね、あの子はここ3年間絵里中将とずっと共にいて、その傍で技術を見て学び習得していったそうよ」

にこ「たった3年であの強さは異常ね」

海未「……」

海未「……にこ大佐」

にこ「?」

海未「……穂乃果がここに連れて来られてからのこと……何かご存知ですか?」

にこ「…………」

にこ「……『あいつ』の後ろを『あの子』が付いて回ってるのを見かけた……そのくらいよ」

にこ「……3年前は私はただの少佐」

にこ「『あいつ』は大佐だったけど、すぐに昇級して少将に、つまりは『2つ目の壁』の向こう側へ『あの子』と共に……」

にこ「……」

にこ「……だから、な~んにも分かんないにこ♪」

海未「チッ……使えませんね」

にこ「ぅおい」ピキキ

海未「ですが……今日のことで身に染みて分かりました」

海未「私にはまったく実力が足りてません……」

海未「にこ大佐!」キリッ

にこ「!?」

海未「私は強くなりたい!」

海未「そして、あの壁だって越えて真姫大将まで辿り着いて……」

海未「必ず穂乃果の記憶が戻る方法を見つけます!」

海未「だから、そのために私に訓練を……」


海未「よろしくお願いしやがります!」


にこ「それ、人に物頼んでんの……」ヒクヒク


雪穂「私からも!」


にこ「!?」


雪穂「私ももっと強くなりたいです!だから……」キリッ


雪穂「よろしくお願いしやがります!」


にこ「アンタらねぇぇ……」ピキピキ

凛「あはははは、しやがるにゃ~♪」

にこ「……」ブチン

にこ「いぃぃいいいかぁげぇんにしろよぉぉおおおお!!」

にこ「アンタらなぁ……!!」パチン

にこ「ん?…………」チラ ヒョイ

海未雪穂凛「「「???」」」

にこ「……」

にこ「はあ……分かったわ」

にこ「じゃあ、厳しくいくから!ちゃんと付いてくるのよ!!」

海未雪穂凛「「「はい(にゃ~)!!!」」」

にこ「今日は以上!解散!!」

にこ「……」

にこ「……穂乃果ちゃん……皆帰ったわ」

穂乃果「あはは、ごめんね、にこちゃん」

にこ「いいのよ…はい、髪留め」

穂乃果「うん、ありがと」


にこ「でも……これで良かったの?」

穂乃果「ううん……穂乃果としては……兵士なんてしてほしくない……」

穂乃果「……でも……自分で決めたことだもんね……」ニコ

にこ「ほら、アンタはまたそんな悲しい笑顔で……」

穂乃果「あはは、にこちゃんはこういうの鋭いよねぇ」フフッ

にこ「ふん///」

穂乃果「穂乃果の考えてることに気付いたの、にこちゃんだけだし」

にこ「……」

にこ「……アンタはまだ諦めてないのね」

穂乃果「うん…あんなに悲しそうな顔……放っとけないもん……」

にこ「……」

にこ(私が穂乃果ちゃんに会ったのは3年前だった……)


にこ(『あいつ』が子どもを連れてくることは、穂乃果ちゃんが来る1年前から度々あった)

にこ(少しの間見といて、と『あいつ』は同期で知り合いの私に子どもを預けることもしばしばあった……)

にこ(けど、決まってその子どもたちは怯えた様子で『あいつ』にも私にも接していた)

にこ(私は彼女たちをなぜ連れてきているのか『あいつ』に尋ねたことがあった……)

にこ(だが、回答は得られなかった……)

にこ(子供たちは『あいつ』のことを『姉様』と呼ぶ)

にこ(私は、『あいつ』がなぜそうさせているのか理解できなかった……)

にこ(けど、ようやくその答えに気づかせてくれたのは……穂乃果ちゃんだった)



3年前

絵里「にこ少佐、この子……穂乃果って言うんだけど少しの間預かってもらえる?」

穂乃果「……」ジー

にこ「またぁ?……まあ、別にいいわよ」

絵里「ありがと」


絵里「じゃあ、穂乃果、少しの間だけど、ごめんね、待っててくれる?」

穂乃果「うん!『姉様』のこと待ってるよ」ニコ

絵里「ハラショー、良い子ね」ナデナデ

穂乃果「えへへ///」

絵里「頼んだわよ、にこ少佐」

絵里「穂乃果、後でね」フリフリ

穂乃果「……」フリフリ


にこ「……」

にこ(この子怯えてないわね……)

にこ(……それに……なんて悲しそうな顔で『あいつ』に笑いかけるの……)


穂乃果「……」ジッ

穂乃果「よろしくね」ニコ

にこ「……」

にこ「…ええ……よろしく」ニコ

にこ(その後、何度か穂乃果ちゃんを預かることがあった)

にこ(彼女は決まって怯えず、ただ悲しそうな笑顔を『あいつ』に向けていた……)

にこ(私は穂乃果ちゃんに問いかけた……)



にこ「アンタ……なんでそんなに悲しそうな顔してんのよ」

穂乃果「ほえ?」ペタペタ

にこ「ぷっ…顔を触ってどうすんのよ」フフッ

穂乃果「むー///」

にこ「……で、どうしてなの?」

穂乃果「……」

穂乃果「……ねえ、にこちゃん」

にこ(にこちゃん、ね……まあ、いいか)

にこ「ん?」

穂乃果「あのひと……ううん、『姉様』がね、泣いてたんだ……」

穂乃果「『ごめんね……、ごめんね……』って」

穂乃果「……」


穂乃果「だからね、笑わせてあげたいの」ニコ


にこ「……」

にこ(そこで私は気が付いた……いや……なぜ今まで気が付かなかったのだろう……)

にこ(『あいつ』には妹がいるのに……)

にこ(一度も一緒にいるところを見たことがない……)



にこ(『あいつ』は愛情を欲していた……)

にこ(妹、いや、家族からの愛情を……)

にこ(だから子どもたちに無理やりでも言わせていた……)

にこ(……『姉様』という特別な呼び方で……)

にこ(『あいつ』はとても悲しいやつだ……)

にこ(『あの子』はとても優しい子だ……)



にこ「……」ジー

穂乃果「……にこちゃん、どうかした?」

にこ「……いや……別に……」プイッ

穂乃果「ダメだよ、もっと笑お」

穂乃果「にこちゃんって折角の名前なんだから」

にこ「……はあ?」

穂乃果「にっこりだよ、にっこり」

穂乃果「にっこりにこにこ」


穂乃果「にっこにっこにー」ニー


にこ「……ぷっ…なによそれ」


穂乃果「えへへ、笑ったぁ」

穂乃果「もう一回、にっこにっこにー」ニー

にこ(アンタのこと気にかけてただけなのに……こっちが励まされるなんて…ね…)

にこ「……ええ…そうね……」

にこ「にっこにっこにー」ニー



にこ(本当に……優しい子だ……)

にこ(その後、穂乃果ちゃんは私にあるお願いをしてきた)

にこ(ある少女にパンを届けるように……)

にこ(その少女に見られないように……)

にこ(穂乃果ちゃんのことは内緒のまま、ただ届けるように……)

にこ(私は穂乃果ちゃんの力になりたかった)

にこ(だから、届けに行った)




にこ(……廃屋では一人の少女がいた……)

にこ(どことなく寂しげで…でも、どことなく意志に満ちていて…)

にこ(私はなるべく見ないようにした……)

にこ(見たら少女に……穂乃果ちゃんのことを伝えたくなるかもしれないから……)


にこ(私は廃屋の外にパンを置き……そして、帰った……)

にこ(再び頼まれ何度か届けに行った……)


にこ(少女が自分の足で立ち上がれるまで…)

にこ(穂乃果ちゃんが来てから1か月ほどが経った……)

にこ(彼女は完全に絵里から寵愛を受けるまでになっていた)

にこ(すると、穂乃果ちゃんは……『他の妹なんていらない』と言い出した)

にこ(絵里も穂乃果の頼みを断り切れず、1年かけて連れてきた子たちをすべて解放した……)



にこ(そんな頃だった)

にこ(パンを届けていた少女が活き活きとし出した……そう感じられるようになったのは…)

にこ(届けることはもうしない、もういらない……)

にこ(そのことを穂乃果に告げると……)

にこ(彼女は……優しげな笑顔をしていた……)



にこ(そして……)

にこ(彼女は『2つ目の壁』の向こう側へ行ってしまった……)

穂乃果「じゃ、穂乃果行くね……」

穂乃果「『姉様』が待ってるから……」

にこ「……」


にこ「……」ダキッ

穂乃果「……」ダキッ

穂乃果にこ「「……」」スッ

穂乃果「ありがと!にこちゃん!」ニコッ

穂乃果「穂乃果は大丈夫だから」

にこ「……」


穂乃果「あ、そうだ、海未ちゃんはね……」

穂乃果「泣き虫なんだ、ふふっ」

穂乃果「でも……」

穂乃果「そんなんじゃ穂乃果がいなくなったら……」

穂乃果「ううん、穂乃果だけじゃない……他の大切な人たちがいなくなったらどうなるか……」

穂乃果「穂乃果はね、そこが心配なんだ……」

にこ「……」

穂乃果「あと、『あの子』は……しっかり者だから大丈夫……かな……」


穂乃果「じゃ、2人のことよろしくね!」

にこ「……ええ」

穂乃果「穂乃果もできる限りするから、ね?」

にこ「…………ええ」


にこ「ええ、任せといて」ニコッ


にこ「アイツらが死なないよう鍛えてみせるわ!」


穂乃果「ふふっ、ファイトだよ!」ニコッ




にこ(穂乃果ちゃんの意志も…海未の意志も…どちらも優しいもの……)

にこ(だから……私は2人を守りたい!!)

にこ(……ん?)

にこ(……『2人』……?)

にこ(私の『2人』は穂乃果ちゃんと海未……)

にこ(けど、穂乃果ちゃんは『2人のことよろしく』って……)

にこ(穂乃果ちゃんが言う『2人』は……)

にこ(海未と……)

にこ(……)

今日はここまでです

皆さんいつもありがとうございます


今回は過去編となりましたね


それでは、次回も読んでいただけると幸いです

1か月後


演習場


にこ「さて、今日から本格的な訓練を始めるわよ!」

にこ「これまでの基礎トレーニングとか座学とかとは違うから覚悟しなさい!!」

海未「はぁ……如何わしいことはしないでくださいよ」

凛「きゃ~♪エッチだにゃ~♪」

にこ「おい」


雪穂「ついていけるかな……」ドキドキ

亜里沙「大丈夫、大丈夫♪私がいるから、ね♪」ナデナデ

雪穂「……え、けど、訓練だから……」


海未「……なぜ亜里沙少佐がいるんですか?」

亜里沙「ん~?雪穂といたいから~♪」ダキッ

雪穂「ちょっと、亜里沙…少佐///」

凛「あっつあつだにゃ~♪」

にこ「はぁ……そうじゃないでしょ……」

にこ「アンタら、特に海未にはもっと素早い動きに対して慣れてもらおうと思って私が呼んだの」

海未「?」


にこ「まず、亜里沙少佐は投擲のプロよ」

にこ「まさかここまで極めるとは思ってもみなかったけど……」

にこ「ちなみに最初その才能に気付いたのは……なんと私よ」


にこ「けど聞いてよ、それがs……!?」ザシュン!


ビュン!!   ズドォォォオオオン!


海未凛「!?」


雪穂「ほえっ!?どうしたの!?なんで遠くの岩にヒビ入ったの!?」


亜里沙「はぁ……はぁ……」プルプル


にこ「ちょっとぉ、危ないじゃない!」シュタ

亜里沙「うるさいです!!貴女は今言わなくてもいいことを言おうとして!!」

にこ「ん?ああ、アンタがジュースと間違えておでん缶もらって悔しくて投げたら壁にヒビ入ったのを私がちょうど見てた話?」ペラペラ

亜里沙「……」ワナワナワナワナ


海未「ほお、可愛いとこあるんですね、穂乃果の方が可愛いですが」

凛「あははははは、ものに八つ当たりだにゃ~♪」

雪穂「あ、亜里沙……ファイトだよ!」


亜里沙「う、うるさぁぁああい!!!」ビュン!ビュン!ビュン!


にこ「…」ザシュン! スカッ ズドォオン!

凛「…」シュン! スカッ ズドン!

海未「ふっ、このくらい……うみ゛ゅん!!?」ズドン!

雪穂「あわわわわ…………あれ、来ない……」シーン


にこ「海未!アンタちゃんと躱しなさいよ!」

海未「うぐぅっ……無茶言わないで下さいよぉ」ムクリ

凛「でも、当たってもまた立ち上がるのがすごいにゃ~♪」

亜里沙「……ちっ」

雪穂(さてと、私なにしてよっかな……腹筋?)

海未「っていうか、あんな金属缶どこから……!?」

亜里沙「ん?ああ、これね」

亜里沙「我が社開発、形状記憶合金」

亜里沙「この冷蔵式ウエストポーチの中で変形して入ってるんだ♪」

亜里沙「ひと肌の温度で元の形に戻るから便利なんだよ~♪」

海未「また会社の発明品ですか!?」

にこ「ホントよくやるわよね~」

凛「けど、戻った形が…ぷっ、缶って…製作者の悪意を感じるにゃ~」ケラケラ


亜里沙「……」プルプルプルプル


亜里沙「おらぁぁあああ!!」ビュンビュンビュンビュンビュンビュン!!!!!!


ズドドドドドドォォォォオオオオン!!!!!


雪穂(おぉ!100回以上できた……待っててね、お姉ちゃん、私、がんばるよ!)グッ




兵舎

海未「はぁ……痛いですぅぅ……」ズキズキ

にこ「アンタが避けないからでしょ」

凛「海未ちゃん、自分から当たりに行くとか根性あるにゃ~」

雪穂「ほへ~、疲れたぁ……けど、腕立ても100回できた、よし!」グッ

にこ「いや、雪穂……うん、がんばりなさい……」

2週間後


演習場


ズドンズドンズドン!!!

海未「……」シュー

凛「海未ちゃん……避けよう……」

にこ「まあ、あのスピードは目が慣れるのに時間がかかるしね」

にこ「けど、これに慣れれば大抵の速い攻撃にも対応できるようになるはずだわ」


海未「……ふ……ふふふ……」グッ

海未「……ふはははははははははは!!!!」ムクリ

凛「う、海未ちゃん!?いきなりどうしたにゃ!?」ビクッ

にこ「もう末期かもしれないわ……」


海未「……ふう」

海未「……亜里沙少佐……」ユラリ

亜里沙「……え、わ、私?……なにかな?」

海未「……いっつも……いっつも……」

海未「ビュンビュンビュンビュン…投げちゃってくれて……」

海未「……加えて私にだけズドンズドンズドンズドン…当てちゃってくれて……」

亜里沙「いや、これ攻撃を見て避ける訓練だから避けてもらわないと……ねぇ……」

海未「避けられるかってんですよ、こんちくしょう!!」

海未「だから、私は考えました!!」


海未「避けられないなら防げばいい!防げないならぁぁぁ…………」ヒョイ ガシッ


にこ「アンタ……まさかその缶で……」



海未「攻撃じゃぁぁぁあああ!!」ブン!



ヒューーーーン……   カランカランコロン……



亜里沙「……」



海未「……」



亜里沙「……あは」ニコッ


海未「……えへ」ニコッ


亜里沙「おりゃぁぁぁあああああ!!!」ビュンビュンビュン!!!


海未「うみゅーーーーーーーーーーーー…………!!!」ズドンズドンズドン!!!




凛「……なんだか全然飛ばなかったにゃ~」

にこ「そりゃもちろん、あんな空気抵抗受けやすい形のやつをいきなり使いこなせるわけないじゃない」

にこ「それに、敵に投げたやつを投げ返されても問題ないように、って意味であの形でもあるのよ」

にこ「まあ、亜里沙少佐専用の武器ってわけね」

凛「にゃ~……製作者の悪意じゃなかったのが驚きだにゃ~」

にこ「いや、悪意が先よ……」

にこ「さてと、凛は問題なく避けられてるようだし、次のステップに進んでもらうわ」

凛「にゃ~?なんだろ、なんだろ~♪」ワクワク

にこ「これよ」つ厚底靴

凛「……」

にこ「これからの訓練はこれを履いてやりなさい」

凛「……さあて、亜里沙少佐、今日もバンバン投げるにゃ~」

にこ「履きなさいよ!!」


凛「そんなダサいの嫌にゃ~!!」

にこ「なっ!?」

海未「ああ~、ちんちくりんに見えますからね」

にこ「ち、ちんちくっ……」

雪穂「え、ええ~と、わ、私はいいと思いますよ?」

にこ「雪穂ぉ」パァ

にこ「履いてみる?」つ厚底靴

雪穂「あはは、んな無茶な」

にこ「……」つ厚底靴


にこ「……実はこれ1足作るのに100万かかるんだけどな~」ボソッ チラッ

海未雪穂「!?」

にこ「こんな高い靴履けることなんてめったn」

凛「凛のは200万だにゃ~♪」

海未「おお!見せてくださいよ、凛!」

凛「はいにゃ」ヒョイ

海未「これはとても軽いですねぇ、柔軟性もありますし」

雪穂「うわあ、確かに……支給されてる軍靴と全然違う……靴裏の凹凸もよく分からないですが高そうです、うん、たぶん高そう!」

凛「でしょでしょ~♪かよちんに頼んで作ってもらったにゃ~♪」

ワイワイガヤガヤ

にこ「……」ポツーン

亜里沙「凛軍曹、私にも見せて~」タッタッタッタッタ


海未「……はっ、かかりましたね!これでも食らいなさい!」ブン!


凛「あああああ!!凛のくつぅぅ!!」


亜里沙「……」ガシッ ビュン


海未「うみゅんっ!」ドゴン!  ピューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン ボト


雪穂「……なんだか当たり所が悪かったのか、200mは飛んでっちゃいましたね、靴……」

凛「うえぇぇぇん、凛のくつがぁぁぁぁぁ!!」

雪穂「大丈夫ですって、あと一足あるじゃないですか」

凛「一足でどうしろっていうにゃぁ……」ウルウル


にこ「……ん」つ厚底


凛「……」

凛「……どうしろっていうにゃ~!!」ガンガン


にこ「とりあえず履きなさいよ!!」

凛「あぁ……履いちゃったにゃ……」ズーン

にこ「うん、似合ってるわ、バッチリよ」グッ

雪穂「まだ気にしてたんですね……」


凛「もういいにゃ……今日はこれで」

にこ「明日もよ」

凛「……はいにゃ……」ズーン


亜里沙「にしても、あの靴いいね、投げるように作ったの?」


凛「歩くためにゃぁぁああ!!」


海未「」チーン

3週間後

訓練場


亜里沙「おらぁぁああ!!」シュンシュンシュンシュン!!!!

バシィィイイイ!

海未「よし!取れまs……うみゅぅぅぅっ!!!」ズドンズドンズドン!!!


凛「海未ちゃん…もう見えないからって、勘で取りに行ってるにゃ…」

凛「もしかして入隊試験のときも……勘?」

にこ「まあ、あの打たれ強さだけは認めるわ…」

雪穂「皆さ~ん、お茶入りましたよ~」カチャカチャ…

ゴクゴクゴク…
にこ雪穂凛「「「…………ふぅ」」」


ズドォォオオオン!! ウミュゥゥ!!?


雪穂「そろそろ夏ですねぇ……」

にこ「そうねぇ……」

凛「凛暑いの苦手にゃ~……」

にこ「そういえば、凛、来月Panayonic社の令嬢が訪ねてくるそうよ」

凛「え!?ホントかにゃ!!??かよちん来るの!?」ワクワク

にこ「ええ、我が社との契約確認とアンタの様子見を兼ねてね」

凛「ふふふ~♪楽しみだにゃ~♪」ワクワク

雪穂「よかったですねぇ」フフッ


ズドォォン!! フッ ヨケレマシタヨ ドウデスk ズドン! ウミュッ!?


にこ「……あいつ成長してんだかしてないんだか分からないわね……」

雪穂「私はしてますよ!!この前なんと逆立ちで歩けました!!」

にこ「……」

にこ(ほんとこの子だけはどう鍛えればいいのか分からないわ……)

にこ(とりあえず、まだ体力が足りてないから基礎トレさせてるけど……)

にこ「偉いなー、雪穂はー(棒読み)」ナデナデ

雪穂「えへへ///」

ビュン!

にこ「!?」ザシュン! スカッ! ズドン!

にこ「ちょっとぉ、お茶こぼしちゃったじゃない!」ビチャリ

亜里沙「知るか!こぉんの泥棒にこが!!」グワッ

にこ「はぁっ!?」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゴロゴロゴロゴロ

海未「」プシュー ヒクヒク

1か月後

兵舎


凛「にゃんにゃんにゃ~♪にゃんにゃんにゃ~♪」ウキウキ

海未「ごきげんですね、凛」

凛「ふふふ♪だって、今日はかよちんが来るんだもん、楽しみだにゃ~♪」

海未「ほお、あれは素晴らしい趣味ですよね、はい、かよちんというのは」テキトー

にこ「いや、アンタ何言ってんの……」

雪穂「海未さん、かよちんは人の名前ですよ」

海未「……え?……そんなバカな?……そんなことがあっていいはずが……!?」

にこ「もう演技はいいわよ」

海未「はーい」

雪穂「……」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ワクワク

『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室


真姫「どうも、いつもお世話になってるわ」

花陽「いえ、こちらこそ」ウズウズ

ツバサ「お嬢様、どうぞ」つオニギリ

花陽「うん、あ、真姫大将ごめんね、いつも食べながらで」モグモグ

真姫「いいのよ、そういう症例を発見したの私なんだから、気にしないわ」

真姫「どうやったらその中毒症状を抑えられるか、難問だけど、がんばってみるわ」ニコ

花陽「うん、お願いするね」モグモグ

スタスタ
絵里「では、御二方よろしくお願いします」つ書類

真姫「ええ、分かってるわ」パシッ

花陽「はい」パシッ


穂乃果「……」ジッ

ツバサ「…………」ニコ

穂乃果「!?…………」ニコ

ツバサ「~~///」ドキッ


真姫「さて、隣国UTXの動向が活発になってきている節があるの」

ツバサ「……」

真姫「そこで、さらなる資材の援助をお願いしたいのだけど……」

真姫「今のままじゃ足りないのよ、そうね、鉄鋼類と化学品類、あとは食糧の部門をそれぞれ今の1.3~1.5倍ほど増やしてほしいわ」

花陽「うん、どうでもいいから、それでいいよ」モグモグ

ツバサ「え、お嬢様、よ、よろしいのですか?」アセアセ

花陽「ん?大丈夫だよ、たぶん」モグモグ


ツバサ「……はい……」

契約会談 終了後


絵里「穂乃果、ごめんなさい、花陽お嬢様をお送りできるかしら?」

穂乃果「うん、いいよ、『姉様』」ニコ

絵里「ええ、ありがと」ナデナデ

穂乃果「ふふふ///」


ツバサ「……」ジー


穂乃果「さて、花陽お嬢様、お送りしますね」

花陽「はい」モグモグ

ツバサ「ありがとう」ニコ

穂乃果「いえいえ」ニコ

ツバサ「///」



花陽「あの……」

穂乃果「はい?」

花陽「凛ちゃん……我が社が派遣している星空凛軍曹の様子を見たいんだけど……」


穂乃果「……」


穂乃果「……かしこまりました」ニコ

穂乃果「では、こちらです」スッ

兵舎


凛「そろそろかにゃ~♪そろそろかにゃ~♪」ワクワク

海未「ふふふ、こちらまで楽しみになってきました」

海未「いいものですねぇ、人を待つというのは…」

雪穂「……」グッ

雪穂「……そうですねぇ」

にこ「……」ジッ

兵舎までの道


穂乃果「……花陽お嬢様は凛軍曹と親しいんですか?」

花陽「うん、幼馴染だから……」モグモグ

花陽「それに……」ピタ

穂乃果「?」

花陽「……花陽に対して、他の子は私のこと社長令嬢だからって遠巻きに接してきたけど……凛ちゃんだけは……」


花陽「凛ちゃんだけは違った……」


花陽「ただ感情のままぶつかってきてくれた……」


花陽「……」


穂乃果「……」


穂乃果「……いい『幼馴染』ですね」ニコ


花陽「うん」モグモグ


ツバサ「……」ジー

兵舎


凛「ああ、我慢の限界にゃ~」ウズウズ

海未「なら、しりとりでもして待ってましょうか……」

海未「……では、『穂乃果』の『か』から」

凛「かよちん!!」

海未「凛!早いです!私ともっと遊んでください!」クワッ

凛「かよち~ん!!」ダキッ

海未「だから、それ以外で……って誰ですか!?」ビクッ


花陽「ふふふ、凛ちゃん、久しぶり」モグモグナデナデ

凛「待ってたよ~、か~よち~ん♪」

部屋 外


ワーワー カヨチン ゲンキダッタカニャー ウン ゲンキダッタヨー ガヤガヤ


穂乃果「……」

ツバサ「……」チラッ

穂乃果「……あっ!…はじめまして、私、高坂穂乃果です」ニコ

ツバサ「私は綺羅ツバサよ、よろしくね」ニコ


ツバサ「ねえ、あなた若いのにかなり中枢にいるのね、驚いちゃった」

穂乃果「……」

穂乃果「……私は……『姉様』の、絢瀬絵里中将の『妹』ですから」

ツバサ「……『妹』?…でも苗字が……」

ツバサ「あっ、ごめんなさい、聞きすぎよね」アセッ

穂乃果「……いえ」


穂乃果「……血の繋がりがなくても『姉妹』に……」


穂乃果「……『家族』にだってなれるんですよ」ニコ


ツバサ「……」


ツバサ「……あなた……素敵ね……」


穂乃果「ほえ!?」ドキッ

ツバサ「ふふっ、『ウチ』に来てほしいくらいだわ」ニコ

穂乃果「あはは、無理ですよ~」

ツバサ「……そうね…ごめんなさい、冗談よ…ふふっ」



ツバサ(あぁ、もう本当にほしいわぁ///……『ウチ』に……)


今日はここまでです


>>1はラストに向けてどう進めていくか構想中です

少しゆっくりとした更新になる場合もあるかもしれませんが、すみません


さあ、これからどうなるのか

それでは、また次回

兵舎


凛「でねでね、海未ちゃんがね、またバカなことし出してね~」ペラペラ

海未「凛!もっと私の株が上がる話があるでしょう!」

凛「えぇ~、そんな無茶な~」

雪穂「はい、無茶ですね」

にこ「無茶というか、不可能ね」

海未「さあ、皆さん表に出ましょうか……私の力を見せてあげます!!」

凛「凛はかよちんと話してるからいいにゃ♪」

雪穂「あ、にこ大佐、お茶のおかわりです」コポコポコポ

にこ「ん、ありがと……ズズッ……ふう……」

海未「いいですよ~だ…どうせ私なんて……」ブツブツ

凛「はいはい、海未ちゃんがすごいのは分かってるにゃ、分かってるにゃー」

海未「おお!そうでしょうとも!特にどの辺がすごいですか!?」

凛「……あ、雪穂ちゃん、凛にもお茶ちょうだいにゃ~」

雪穂「あ、はい、どうぞ~」コポコポコポ

海未「一つくらい褒めやがれぇぇえええええ!!!」


アハハハハ オコッタニャー リン! マチナサーイ! 
シュン! ナッ!? クソッ スバシッコイデスネ! ツッカマラナイニャー


花陽「…………」

花陽「……」グッ


凛「そういえば、かよちん、よくここまで一人で来れたね」

花陽「……」

凛「…かよちん?」

花陽「あっ!ああ、ごめんね、ボーっとしてたよ、なあに?凛ちゃん」モグモグ

凛「よく一人で来れたねって」

花陽「ああ……一人じゃないよ」モグモグ

花陽「付き人のツバサさんと一緒、今部屋の外で待ってるよ」モグモグ

花陽「あとは……」モグモグ

花陽「……案内してくれた穂乃果ちゃんも一緒だよ」モグモグ


海未雪穂「「……え?」」


にこ「……」


海未「今、廊下にいるんですか!?」ガタッ

花陽「え!?…う、うん、たぶん……」モグモグ

海未「……」ダッ

雪穂「……」ダッ

にこ「……」

部屋 外


海未「穂乃果!」ガララッ

ツバサ「うおお!?ビックリしたぁ…」ドキドキ

海未「あなたに用はありません!穂乃果!穂乃果ぁあ!?」

ツバサ「なっ、失礼な……」

ツバサ「…穂乃果さんなら……さっき用があるからって、このモブさんに任せてどこかに……」

モブ「どうもモブです」

海未「モブは引っ込んでなさい!」

モブ「ハイ……ドウセモブデスカラネ……」

海未「で、どちらに行ったんです!?」

ツバサ「う~んと…さすがにどこにかは分からないけど……」

ツバサ「出て行ったのはほんの数分前よ」

海未(なら、まだどこかに……!!)ダッ

ツバサ「あ、ちょっと……!!」

雪穂「……」ダッ

ツバサ「うお!また、飛び出して…」ビクッ

マッテクダサイ! ホノカー! ダダダダダ!

ツバサ「ふう……なんだったの……」



凛「……誰にゃ、この人」ジー

花陽「さっき言ったツバサさん、最近雇ったんだよ」モグモグ

ツバサ「あっ、どうもはじめまして、綺羅ツバサです」ニコッ

凛「凛は凛だにゃ~」

花陽「ツバサさん、この子がいつも言ってる星空凛ちゃんだよ、手厚くするようにね」モグモグ

ツバサ「はい、かしこまりました、お嬢様、凛様」ペコリ

凛「様で呼ばれるとくすぐったいにゃ~」

花陽「ふふふ……ところで凛ちゃん」

凛「なんにゃ?」

花陽「何でそんな変な厚底履いてるの?」

凛「聞かないでほしいにゃ……」

にこ「変じゃないわよ!」クワッ

ツバサ(また飛び出してきた……)

海未「穂乃果ぁぁあああ!!どこですかぁぁあああ!!」ダダダダダ

海未「クンクン……匂います、こっちですね!たぶん!」ダダダダダ

海未「目覚めよ!私の第六かぁぁあああん!」カッ

海未「あ…もう見つかりました」



穂乃果「……」スタスタスタスタ

ホノカァァアアア!!

穂乃果「はあ……見つかっちゃったか……」スタスタスタスタ

ホノカァァァアアアア!!

穂乃果「……」ピタリ


海未「ぜえ……はあ……見つけましたよ」

穂乃果「……」ジッ

穂乃果「……」

海未「穂乃果?」

穂乃果「貴女……まだ兵士をやってたんだね」

海未「…穂乃果……」

穂乃果「穂乃果穂乃果穂乃果穂乃果……」

穂乃果「うるさいよ!!貴女はなんなの!?」

海未「……え、穂乃果……?」

穂乃果「私に関わらないでくれるかな」

海未「私は……私です!海未です!園田海未です!」

海未「生まれたときからずっと一緒……貴女と友達…いえ、家族じゃないですか!」

海未「本当に忘れてしまったんですか!?」

穂乃果「……」

穂乃果「……貴女なんて知らない」クル スタスタ

海未「穂乃果!!」ガシッ

穂乃果「……」

穂乃果「ねえ……海未ちゃんって言ったっけ?」

海未「!?は、はい!海未ちゃんです!!」

穂乃果「そっかぁ」ニコ

海未「穂乃果ぁ」パァ


穂乃果「離して」ブン!


海未「え…うみゅっ!!!」ズドン!


穂乃果「……」

穂乃果「……やっぱりこんな弱い人のこと穂乃果知らないや」

海未「……ほ…の……」

穂乃果「はあ……私のことばかり呼んで……」

穂乃果「そんなに私のことがほしいの?」

海未「……のかぁ……」

穂乃果「私は『姉様』のもの、貴女に私と『姉様』との関係を壊させはしない」


穂乃果「だから……」

穂乃果「二度と貴女が私を求めないよう……」

穂乃果「……その体に教えてあげる」

雪穂「はぁ……はぁ……どこ……お姉ちゃん……」タッタッタッタッタ

ズドォォオオオン! ズドンズドン! ズドォォォオオオオン!

雪穂「え!?なに、この音!?……あっちから……」ダッ

ズドン! ボゴン! ズドォォオオオン!

雪穂「……え?」


海未「」


穂乃果「……」


雪穂「……え?」


穂乃果「……」ジッ スタスタ


雪穂「…お姉……ちゃん…?……これって……」


穂乃果「貴女も……まだ兵士を続けてたんだね」スタスタ

雪穂「……おねえ……」

穂乃果「貴女も兵士に向いてない……やめときなさい」スタスタ

雪穂「……!?」

穂乃果「ごめん、また髪留め拾っといてくれる」スタスタ

雪穂「……」

雪穂「……やめないよ」

穂乃果「……」ピタ

雪穂「だって、お姉ちゃんと約束を果たしたいから!」

穂乃果「……」グッ

穂乃果「……お姉ちゃん……約束……よく分からないけど」

雪穂「っ!?」

穂乃果「……でも」

穂乃果「意志があったところで何もできないんじゃ意味がない」


穂乃果「約束なんて……意味がない」


雪穂「……………」


穂乃果「……もう一度言うよ……貴女は兵士に向いていない」

穂乃果「……こんなとこすぐに立ち去りなさい」

穂乃果「……忠告は以上だよ」スタスタスタスタ

雪穂「…………」

雪穂「………」

雪穂「……」

雪穂「…う」ウルッ






雪穂「ぅわぁぁぁああああんんん!!!!!」ボロボロ





雪穂「うぐ、ぅぁぁああああああぁぁぁ!!!!!」ボロボロ





雪穂「ぁぁあああ、んぐ、うあああああぁぁぁぁぁ!!!!!」ボロボロ




雪穂(私がお姉ちゃんと出会ったのは4年ほど前のこと……)

雪穂(私が廃墟で暮らしていたときのことだった……)



雪穂(はぁ……)

雪穂(お腹空いたなぁ……)ギュルルルルル

雪穂(痛いよ……)

雪穂(辛いよ……)

雪穂(寂しいよ……)

雪穂(もう……疲れたな……)

雪穂(もう……いいかな……)


雪穂(そんなときだった、お姉ちゃんが現れたのは……)


穂乃果「きみ……大丈夫?」

穂乃果「穂乃果のパンあげるから元気出して!ね?」ニコ


雪穂「……」


雪穂(いいんだ……もう……食べても……仕方がないから……)

雪穂「いらない……」

穂乃果「ほらほら、芳ばしい匂いだよ~」ヒラヒラ

雪穂「」ギュルルルル

穂乃果「ふふっ、ほら」ギュム

雪穂「むごっ!」

雪穂「……」

雪穂「はぐはぐ……むしゃむしゃ……」

雪穂「ごくり」

穂乃果「ほらね!どう?元気になった?」ニコッ

雪穂「……」コクリ

穂乃果「よかったよかった」ナデナデ

雪穂「……///」


穂乃果「きみのお名前は?」

雪穂「……雪穂……たぶん……」

穂乃果「たぶん?」

雪穂「『雪穂(ゆきほ)』ってだけ……服に書かれてた……」

雪穂「たぶん親が書いた……と思う…よく覚えてない……」

穂乃果「そっか……」


穂乃果「雪穂ちゃん」


雪穂「は、はい」


穂乃果「私は穂乃果……高坂穂乃果」ニコッ


穂乃果「よかったら……」






穂乃果「私と家族にならない?」




穂乃果「……『高坂』雪穂ちゃん?」ニコッ




雪穂「……」

雪穂「高坂……雪穂……」

雪穂「…家族……」


雪穂「……」ウルッ


穂乃果「え、え!?大丈夫!?どこか痛いの!?」ワタワタ

雪穂「ううん、違うの」フルフル

雪穂「ふふっ…高坂雪穂……」

穂乃果「うん、そうだよ!」

雪穂「じゃあ……」


雪穂「お姉ちゃん……だね」


穂乃果「ほえ?」


雪穂「……お姉ちゃん」

穂乃果「……!?うん!うん、お姉ちゃんだよ!雪穂!」

雪穂「ふふっ…」

穂乃果「うふふっ…」

穂乃果雪穂「「あはははははははははは」」



雪穂(そうして、私たちは家族、『姉妹』になった)

雪穂(私は、初めて家族の温もりを感じた……)

穂乃果「でも、いいの?ここで?」

穂乃果「暮らすならウチに来ればいいのに……」

雪穂「ごめんね、お姉ちゃん」

雪穂「でも、ここは私が家族と暮らした場所……だと思うから」

穂乃果「そっか……」

雪穂「うん……」


穂乃果「でも、毎日来るから、待っててね……雪穂」

雪穂「うん……お姉ちゃん」

穂乃果雪穂「「……」」

穂乃果「まだ慣れないや///」

雪穂「うん///」


穂乃果雪穂「「ぷっ……あはははははははははは」」



雪穂(お姉ちゃんはそれから毎日来てくれた……)

雪穂(いつもその手にパンを抱えて……来てくれた)

雪穂(毎日、毎日、パンを食べて……遊んで……話をした……)

雪穂(本当のお姉ちゃんと思えるのに時間はかからなかった)

雪穂(急におねえちゃんがメリークリスマスと言って、私にプレゼントをくれたことがあった)

雪穂(クリスマスとは何だろう……)

雪穂(不思議に思ったが、初めて人からもらう贈り物……お姉ちゃんからの贈り物……)

雪穂(それがとても……とても嬉しかった)

雪穂(粗末ながらも包みがされたそれを開けると……)

雪穂(……私の指には合わない大きな指輪だった……)



穂乃果「ほら、見て見て♪」

雪穂「ほえ?」

穂乃果「『こうさか ゆきほ』」

雪穂「うわぁ」パァ

穂乃果「ほら、雪穂の服もボロボロになってきて名前が消えかかってたから、消えないもので何かないかなぁって」

穂乃果「がんばって彫ったんだぁ」

雪穂「……」ジッ

雪穂(お姉ちゃんの手……)

雪穂「……」


雪穂「お姉ちゃん……」プルプル


穂乃果「雪穂……?」


雪穂「……ありがとう」ウル



雪穂(指輪の裏側を見ると『KO-SAKA』と、知らない女性の名前が彫られていた)

雪穂(お姉ちゃんのお母さんだろう……)

雪穂(そんな大切なものをくれた……)

雪穂(その手をボロボロにしてまで私の名前を刻んでくれた……)

雪穂(私はそんな優しいお姉ちゃんのことが……)


雪穂(……心の底から大好きになった)

雪穂(ある時、私とお姉ちゃんは約束事をした……)


雪穂(お姉ちゃんが『ただいま』を言い、私が『おかえり』と言う……)


雪穂(たったそれだけの約束……)

雪穂(だけど、私はそれが……)

雪穂(たったそれだけのことが……)


雪穂(嬉しかった……)


雪穂(私はそんな生活が、これからもずっと続くものだと信じていた……)






雪穂(……ある日……お姉ちゃんはぱったりと来なくなった……)




雪穂(私は待った……私の家で……)

雪穂(けど、来ない……)

雪穂(私は捜した……街中を……)

雪穂(けど、いない……)



雪穂(お姉ちゃんは無事なの……)

雪穂(もしかして私は捨てられたの……)

雪穂(色んな考えが、頭を巡った……)



雪穂(だけど、私は……)


雪穂(お姉ちゃんを信じる!!)


雪穂(だから、生きて待つんだ、ここで……)


雪穂(お姉ちゃんがいつ来てもいいように!!)

雪穂(時々、家の前にパンが置かれていることがあった)

雪穂(私はそれを誰が置いているのか、確認しようとしたが、いつも気づかないうちに置かれていた)

雪穂(それがお姉ちゃんによるものなのか、他の心優しい人によるものなのか分からなかった……)



雪穂(けど、少しだけ……)



雪穂(お姉ちゃんを近くに感じられた……)


雪穂(お姉ちゃんを待って一か月後……とある噂を耳にした)

雪穂(物搬所に連れ去られていた子どもたちが解放されたそうだ)

雪穂(お姉ちゃんは連れ去られていたのでは……?)

雪穂(私はすぐに飛び出し、人に聞いて回った)

雪穂(汚い身なりの私を無視する人もいれば、蹴飛ばしてくる人もいた……)



雪穂(けど、世界は皆がみんなそうじゃない!)


雪穂(だってお姉ちゃんみたいな人がいるんだもん!)



雪穂(……)

雪穂(ついに私は情報を掴んだ)

雪穂(解放の原因を作った人の名前……『姉様』と呼ばれる人の最愛の『妹』……)


雪穂(……『高坂穂乃果』……)


雪穂(私は心優しいお姉ちゃんを思い出した)

雪穂(囚われていた人たちを解放するお姉ちゃんを想像した)

雪穂(絶対にお姉ちゃんだ)



雪穂(お姉ちゃんに会いたい……)


雪穂(私はまた会うために準備をした)

雪穂(こんな廃墟に住まう者を物搬所で雇うわけがない)

雪穂(けど、兵士なら……)

雪穂(だから、兵士に近づいた……)

雪穂(なるべく気に入られるように振る舞って……)


雪穂(……亜里沙とはしばらくして道で出会った)

雪穂(彼女も何か心に抱えているようだった……)

雪穂(私はその傷を舐めてあげた……)


雪穂(そうして気に入られた私は……)


雪穂(兵士になることができた私は……)




雪穂(……まだ『お姉ちゃん』に会えずにいる……)



今日はここまでです


今回は雪穂過去編となりました


では、また次回

すっごく今更ながら、元ネタはワンピのウソップワーゴムであってるよね?

>>180はい、ウソップの技で合ってます

成長した今の彼が撃ったらどうなるんだろうとか考えてたのが影響して、この変なssが生まれました


ちなみに、亜里沙の投擲技はガープです


では、投下していきます

雪穂「うぁああああぁぁぁあああ、あぐっ、ううぅわあああぁぁぁああああ!!!」ボロボロ


海未「ゆ……きほ……」

雪穂「ぁぁあああ……!?あぐ、ひっぐ、う、うみ、うみ…さん?」

海未「あな…た…は……ほのかと……うぐっ!」ズキッ

雪穂「う、海未さん!しゃべらないで!今、ひっぐ、誰か呼んで…!」メ ゴシゴシ

海未「いえ……それ…よりも…あなたは……」

雪穂「……分かりました!話しますから!でも……今は貴女が先です!」ダッ

海未「……はあ……はあ……」

海未「ハァ……」

海未「…」


ウミー!! アンタ マタ コンナニ!
ドンダケヤラレレバ キガスムノヨ!!
イソイデ ハコブワヨ! ハイニャー
ウミサン! シッカリシテ! ウミサーン!

兵舎 病室


海未「」スースー


にこ「……で、何があったの?」

雪穂「……おねえ……穂乃果さんが海未さんを……うぐ…」

にこ「……」

にこ(穂乃果ちゃん……)

にこ「……はあ」

にこ「いいわ、分かったわ」

にこ「アンタは大丈夫なのね?」

雪穂「え?あ、はい…どこも…」グッ


にこ「……そう」

にこ(そんな辛そうな顔して……『2人』目はやっぱりコイツか……)

にこ(穂乃果ちゃんも乱暴にこねぇ……)

にこ(こうやって精神的に追い込んで、自分で道を切り拓いていけるように……)

にこ(もしくは、兵士を諦めてくれるように……)

にこ(……穂乃果ちゃん……)

にこ(アンタだってボロボロになるだろうに……)

にこ(アンタはやっぱ強いわ……)

1週間後

兵舎 病室


海未「…………」

雪穂「…………」

海未「……そうですか、それで貴女は穂乃果を『お姉ちゃん』と……」

雪穂「……はい」

海未「なら……」

海未「私も『お姉ちゃん』ですね」ニコッ

雪穂「いえ、それはないです」キッパリ

海未「」

海未「……まあ、それはさておき……」


海未「貴女は穂乃果をどうやって『助け』ますか?」


雪穂「それはもちろんっ……!」

雪穂「……」グッ

海未「ただ『2つ目の壁』を乗り越える……ただ『あいつ』から奪い返す……」

海未「それだけではいつものように『あの子』に追い返されるだけなような気がします……」

雪穂「だったら……真姫大将に問い詰めれば……!!」

海未「!?……そうですか、知ってたんですね」

雪穂「……すみません、盗み聞いてしまって」

海未「……いえ、話そうと思っていたことです、構いません」


海未「記憶を消す薬を開発した真姫大将から記憶の取り戻し方を聞く」

海未「そう、考えていました……」

雪穂「?」

海未「いえ、今も考えていますが……」

海未「他に……思うところがあるんです」


海未「穂乃果が連れ去られるときも……激励式で穂乃果に再会した時も……被検体1号との戦闘のときも……」

海未「あれは私を守るためであったのではないか、と……」


雪穂「じゃあ、やっぱり記憶がっ……!!」

海未「はい、そう思っています……」

海未「……ですが、あれだけの力、少将すらも圧倒する力を持つのに、なぜ自分から逃げ出さないのか……その疑問にぶつかりました……」

海未「……加えて、今回のことです……今回は私の身に危険が及んでいませんでした」

海未「反対に、『あの子』から危害を加えられたようなものです……」


海未「……もう記憶があるのかどうかも分からなくなりました……」

雪穂「……」

海未「……」

海未「……というわけで、ここに選択肢があります」

雪穂「ほえ?」

海未「一つに、真姫大将から穂乃果の記憶の取り戻し方を問い詰める」

海未「もう一つに、『あの子』の言うように、兵士を辞め、諦める」

雪穂「…!?それは絶対にありえません!!」

海未「ふふっ……そうですね、私も同感です」

海未「不思議ですよね……あんなことをされても『あの子』の…穂乃果の味方でありたいと……心の底からそう思っています」

雪穂「海未さん……」

雪穂「じゃあ、やっぱり前者の真姫大将に……」


海未「いえ、まだ、あと一つあります」

雪穂「他にも?」

海未「はい、あと一つは、穂乃果に記憶があると仮定して……」

雪穂「仮定して……?」




海未「その化けの皮を剥がしてやります!!!」




雪穂「は?」

海未「もう穂乃果に振り回されっぱなしなのには我慢なりません!!」


海未「どうせ『あの子』のことです!」


海未「ちょっと気が緩んでるところを驚かせば、ポロリしてくれます!!」グッ


雪穂「いや、ポロリさせちゃだめです、海未さん!」


海未「あ、そうですね、ひん剥いてやれば、げへへ、どういう反応をしてくれますかねぇ」ヘッヘッヘ

雪穂「やだ、何この変態……」ゾッ

海未「失敬な!変態はウチの師匠です!私のは……」

海未「そう!いわば、ショック療法的な、医学的見地から生み出された神聖なもの!」グッ

海未「あぁ、穂乃果……貴女が驚いてポロリしてくれる姿が目に浮かびます」

雪穂「お姉ちゃん、逃げてぇぇ……」


海未「というわけで、雪穂」キリッ

雪穂「私の名前を呼ばないでくれますか?」ニコッ

海未「なっ!?私が何をしたというんですか!?」

雪穂「そうですね、ま・だ・何もしてませんね」ニコッ

海未「こ、これからもありません!!」

雪穂「……」

海未「というわけで、雪穂」キリッ

雪穂「あ、急に戻るんですね」


海未「一緒に穂乃果を驚かしましょう」ニコッ


雪穂「……」

雪穂「……まあ、もし記憶があるなら、やってみる価値はありますね」

雪穂「……分かりました」

雪穂「私も一緒にやります!!」

雪穂「ですが……」


雪穂「ポロリは私が全力で防ぎますから!!」


海未「ふふっ、私に敵いますかね」


海未雪穂「……」

雪穂「ふふっ…」

海未「うふふっ…」

海未雪穂「「あはははははははははは」」

病室 外


にこ(いや、途中までの真剣な話はどこいった!?)

にこ(それに穂乃果ちゃんの貞操が危なくなったし)

にこ(あぁ、穂乃果ちゃん……がんばって……私もできるかぎりするから)グッ

アハハハハハハハハハハハハハハハ

にこ(……けど)

にこ(穂乃果ちゃんのこと、諦めるつもりはないか……)

にこ(まったくアンタらは……バカというか何というか……ふふっ)ニッ

2週間後

訓練場


亜里沙「おりゃぁぁぁあああ!!」ビュンビュンビュン!!!

海未「……よし……」スッ スカッ ズドン!

海未「……ここです……」スッ スカッ ズドン!

海未「……さいごふっっ……!!」ズドン!



凛「おお!慣れてきてるにゃ~♪」

にこ「ええ、けど、ギリギリで躱せてるようなものね」

にこ(ポロリのために頑張ってるのね……)

雪穂「すごいなぁ」

雪穂(ポロリのためにここまでなれるんだ……)

にこ雪穂「はあ…………」

雪穂「……ところで、にこ大佐」

にこ「ん?」

雪穂「私ずっと基礎トレーニングだったんですけど、そろそろ……」

にこ「ああ、それについては、良い頃合いだと私も思ってたわ」

雪穂「じゃあ、もしかして…」パァ

にこ「ええ、ほら、アンタ用の厚底」ポイ

雪穂「うえぇぇ」グヘー

にこ「何よ、基礎トレーニングをちょっとキツくするだけでしょ」

雪穂「ぶー、もっと実践的なことを教わりたかったです」

にこ「……何言ってんのよ、まだまだよ」

にこ(コイツは私の見立てだとただの兵士止まり……)

にこ(だから少しでも逃げられるように体づくりをさせるのが、最悪の場合を防ぐことに繋がるはず……)



にこ「……けど、まあ、それだけやらせてるのもアレだしね」

にこ「会社に頼んで支給してもらったわ」

雪穂「ほえ?」


にこ「これよ、我が社で開発途上の光学迷彩スーツ」


雪穂「え、え、えええぇぇぇ!!??」

亜里沙「どうしたの!?雪穂!!」ダッ

雪穂「亜里沙!見て見て、見えづらいけど!」

雪穂「光学迷彩スーツとかいうのをにこ大佐がくれたの!」ピョンピョン

亜里沙「ねえ、にこ大佐……プレゼントして気を引こうだなんて……」プルプル

にこ「いや、ちょっと!?会社からの支給よ!!」

海未「わ、私にはないんですか!?」ハイハイハーイ

凛「凛も、凛も~♪」ハイハイハーイ

にこ「ないわ、雪穂だけよ」

雪穂「私だけ……」パァ

亜里沙「あはは、にこ大佐、やってくれますね」ニコッ

にこ「ふふっ、いい加減にするにこ♪」ニコッ

雪穂「……で、これってどうやって使うんですか?」

にこ「とりあえず着てみなさい」

雪穂「あ、はい……っていうかほとんど見えないから、着づらい……よいしょ……んしょ……」



雪穂「……ど、どうですか?」

海未「か、顔だけ浮いてます!」

凛「生首にゃ~♪」

亜里沙「なんだろう、雪穂だけど、投げたい衝動が……衝動がぁぁ……」プルプル

雪穂「いやいやいや、体ついてるからね!!」


にこ「うん、ちゃんと見えなくなってるわね」

にこ「あとは付いてるフードで頭全部覆えば完璧ね、目のとこだけ穴空いてるから大丈夫よ」

雪穂「…こうですか?」ファサ

海未「おお!!もうほとんど分かりませんよ!」

凛「生首の方が一発芸みたいで面白かったにゃ~」

亜里沙「あぁ……雪穂の頭がぁ……」ズーン

にこ「……」

にこ「けど、まだ欠点があるのよね……」

雪穂「ほえ?」

にこ「歩くくらいのスピードでいいから動いてみて」

雪穂「?……こうですか?」テクテク


海未「……なんだか景色が歪んで……酔いそうです……うぷ」


にこ「ゆ、雪穂!ストップよ!地球が営まれてしまうわ!」

雪穂「え、地球は営まれてていいんじゃ……?」テクテク


海未「……おえ」ミミ☆☆キラキラキラキラ


雪穂「え?……ええぇぇぇええええ!!飛沫がスーツにぃぃいいい!!」

にこ「……営まれたぁぁぁ……」

亜里沙「雪穂を汚すなぁぁあああ!!」ビュン!

海未「!?」スッ スカッ ズドォン!!

凛「汚いけど、避けれたにゃ~♪」

にこ「はあ……さて、全員ひとまず落ち着きなさい」


雪穂「でも、でもぉおお!折角のにこ大佐からのプレゼントがぁぁ!!」


亜里沙「お゛い」キッ


にこ「いいから落ち着けぇぇええええ!!」クワッ

にこ「はあ………はあ………、まったく……」

にこ「……じゃあ、そのスーツの欠点を話すわ」

にこ「まずは、移動速度によっては同化してた景色が歪んでしまうってこと」

にこ「あとは、汚れがスーツの外側に付くと汚れが浮かんで見えることよ」

雪穂「ほえ?」チラッ

海未「あぁ、本当です、私から生まれしものが神々しく浮かんでいますね」

凛「とっても禍々しいにゃ~」

亜里沙「うん、吐き気を催すほどに」

にこ「アンタも地球を営まないでよ……」



にこ「というわけで、アンタが練習するのは如何にゆったりとした速度で移動するかと、目立つ汚れが付かないよう行動するか、ね」

雪穂「む、難しい……」

にこ「あ、それと足跡も消しながら、足音も立てずにね」

雪穂「要望増えたぁぁ……」


にこ「けど、これさえ物にできれば敵の拠点に潜入して情報を盗んだり、奇襲をかけたり、色んなことができるようになるわ」

にこ(……こんなのはただの建前)

にこ(……実際は敵から見つからず生き残ってくれれば……それでいい)

雪穂「おお!何だかすごい装備なんですねこれ、私、やる気が出てきました!」

にこ「……そう……」

にこ「がんばりなさい」ニコッ

雪穂「は、はい!!」

雪穂「けど、まずは洗って乾かしてきますね」

にこ「特殊な繊維だから、『2つ目の壁』の向こう側にある本社研究所で洗うことになるわ」

にこ「兵舎にある研究支部に持って行けば、向こう側に届けてくれるから」

雪穂「あ、はい、分かりました」


雪穂(そっかぁ、いちいち本社で……あれ?)


(にこ「~敵の拠点に潜入して情報を盗んだり~」)


雪穂(……これを着れば……)



海未自室


コンコンコン ウミサーン ユキホデス

海未「あ、はい、どうぞ、開いてますよ~」

雪穂「おじゃましま~す」ガチャ

雪穂「へぇ~、もっと汚物まみれな部屋かと思ってました」キョロキョロ

海未「まだ根に持ってるんですか!?」

雪穂「はい」ニコッ


雪穂「まあ、そんなことより……あの光学迷彩スーツについてなんですが……」

海未「だから、まだ根にm」

雪穂「ち、違いますって、話は別にありますから!」アセッ


雪穂「……ふう…………あれを着れば『2つ目の壁』の向こう側に入れるんじゃないかって思ったんです!」


海未「それって……!?」


雪穂「……はい…危険ですが、私……やります!!」


雪穂「そして、真姫大将に会って話をしてきます!!お姉ちゃんの記憶に関することを!!」


海未「……」

海未「……そうですか」

海未「分かりました!私も陽動でも何でも、できること全部お手伝いします!!」


雪穂「海未さん」パァ


海未「……ところで、雪穂」

雪穂「ほえ?」

海未「『ポロリ作戦』も進めていきますからね」

雪穂「あはは、その口塞いでやりましょうか、海未さん♪」ガシッ! ニコッ

海未「うみゅっ」グヌヌ

雪穂「はあ、まったく……分かってます、『ボロを出させる作戦』も忘れてませんよ」パッ

海未「うみゅー……」サスサス


雪穂「それでは、もう遅いですし帰りますね」

海未「あ、雪穂」

雪穂「はい?」


海未「……頼みました」ペコリ


雪穂「え、何ですか、そんな急に……!」アセッ


海未「……真姫大将の件です」

海未「……私にできることは限られています……重要で危険なことは全部雪穂が……」グッ


海未「だから……よろしくお願いします!」


海未「そして、無事に戻ってきてください!!」ニコッ


雪穂「……」

雪穂「はい!!」


雪穂「まあ、まずは着こなすために訓練なんですけどね、えへへ」

海未「ふふっ、『ファイトだよ!』ですね」

雪穂「ええ、『ファイトだよ!』です」

海未雪穂「「ぷっ……あはははははははははははは」」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在


海未(その頃からでしょうか)

海未(雪穂と本当に仲良くなれたと感じたのは……)

海未(『妹』がいたら、こういうものなのかなと感じ始めたのは……)


海未「……雪穂……」

海未(……貴女がいなかったら私はこれまで頑張れなかったと思います)

海未(私だけだったら挫けることもあったでしょう……)


海未(本当に……)

海未(……本当に、ありがとうございました……)

海未(……)

海未(その後は、私は訓練に訓練を重ね、雪穂はスーツの練習ばかりでしたね……)

海未(にこ大佐は少しイラついてましたっけ、厚底履いての基礎トレもちゃんとしろと……ふふっ)

海未(凛はいつもにゃんにゃん言って、淡々と訓練メニューをこなしてましたね……チッ、あの天才肌め……)


海未(……そして、そんな日々が続いて、何か月かが過ぎたときでしたね……)


海未(……全体模擬演習があったのは……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

今日はここまでです

と、言いますか、今年はここまでです

次回は年明け6日頃と、期間が空いてしまいます、すみません


今回で訓練を書くのも終わりでしょうか、まだ分かりませんが…

次回は全体模擬演習編、ようやくバトルが書けそうです、なんだか久しぶりな気がします


それではよいお年を

5か月後

兵舎


雪穂「さ、寒いですねぇ」ブルブル

凛「凛、寒いのも苦手にゃー」チラッ

にこ「ぅおい、今なんでこっち見たのよ」

海未「今日はもうお終いにして帰りましょうか」

にこ「まだ朝でしょうが……」

にこ「それに今日は全体模擬演習って言ったでしょ」

海未「……はい?」

にこ「アンタ、まさか私の話……」

海未「……えへ」テヘ

凛「凛はこんな楽しそうなイベント、ちゃんと覚えてたにゃ~♪」

雪穂「わ、私は緊張しちゃって、もう寝不足です……」

海未「ひどいです、皆さん!私だけ知らないなんて!」

にこ「…はあ……じゃあ、最初から話すわ、いい?」

海未「無視ですか、にこ大佐!ツッコんでくださいよ!」

にこ「……あんたがきーてないからでしょーがー……」

海未「はい、ありがとうございます、では、早く続きを」ニコッ

にこ「」ブチン


ウミュゥゥゥゥーーー…………

海未「」ボロッ

にこ「全体模擬演習は大将以外の兵士全員が参加して行う演習よ」

にこ「2つの軍に分かれて戦うことになるの」

にこ「軍の分け方だけど、強さが偏らないよう兵士が割り振られるわ」

にこ「で、それはもう決まってて…」

雪穂「海未さんはにこ大佐と同じA軍です」

凛「凛は雪穂ちゃんと一緒でB軍だにゃ~♪」

海未「ほう、凛とはまだあれ以来ちゃんと戦ってませんでしたからね」スクッ キリッ

雪穂「ほんと、打たれ強いですね……」

凛「ふふふ~、楽しみだにゃ~♪」ワクワク

雪穂「私はどうしようかなぁ……」

にこ「雪穂、アンタはあの光学迷彩スーツの訓練だと思って今回はやりなさい」

にこ「一応B軍には亜里沙少佐もいるからフォローはしてくれると思うけど」

雪穂「は、はい!がんばります!」


凛「凛もいるから大丈夫だにゃ~」

にこ「いや、アンタどうせ勝手に動いてどこか行くでしょ……」

凛「あはは~、まさかそんな……」

凛「……」

凛「……そんなことないにゃー」

にこ「……そう、なら任せたわ」

にこ(よし、コイツはだめね!)

『2つ目の壁』の向こう側 社長室


真姫「ようこそ、花陽お嬢様、今日は楽しんでいって、あと…ツバサさんだっけ?貴女もね」

花陽「うん、ありがとう」モグモグ

ツバサ「ありがとうございます」ペコリ

真姫「演習場全体が見渡せる部屋に案内するから、そっちで見ることになるわ」

花陽「うん……凛ちゃん見つけられるかなぁ…」モグモグ

真姫「かなりの数の兵士だから個人を、となると難しいわね」

花陽「はぁ……そうだよねぇ……」モグモグ


真姫「……いいわ、任せて」

花陽「え?」モグモグ

真姫「ヒデコ、フミコ、ミカ」

ヒフミ「「「はい、なんでしょうか」」」シュタ

花陽「え、急にどこから!?」

ツバサ「……」ジー

真姫「ヒデコとフミコは星空凛軍曹の探索、発見次第連絡、ミカは通常通りここで警備」

ヒフミ「「「了解致しました」」」シュン!

花陽「あ、どこか行っちゃった……」モグモグ

ツバサ「……」ジー

真姫「これで凛軍曹を見つけられると思うわ」

花陽「あ、ありがとう……ん…おかわり」モグモ…ピタ

ツバサ「どうぞ、お嬢様」つオニギリ ホカホカ

真姫(な、なんて速さなの!?あの握りたてのおにぎりはいったいどこから!?)

真姫(以前は作り置きだったのに……侮れないわ……)ゴクリ

演習場

A軍側

ワイワイ ガヤガヤ

海未「うわぁ、なんですか、この大量のモブたちは…」

にこ「モブ言うな」

海未「これ無理ですよぉぉ、こんなちんちくりんと私だけじゃ、終わったも同然じゃないですかぁぁぁ」

にこ「おい、私だってこれまで見せ場なかっただけで、かなり強いわよ」

海未「自分で強いなんて言ってる人が真っ先にやられるんですからぁ」ウルウル

海未「あ、今日はその検証実験をしましょう」

にこ「あはは~、海未ちゃん、背後に気を付けるにこね~」ニコッ


にこ「…っていうか、アンタあそこにいる『あいつ』が見えないの?」チラッ

海未「はい?」チラッ



絵里「」



海未「なっ!?何で『あいつ』がいるんですか!?」

にこ「だぁかぁらぁ!両軍の力を拮抗させるために強さで割り振られるって言ったじゃない!」

にこ「その分だと『あの子』にも気づいてないの?」

海未「ま、まさか!?」


海未「穂乃果ぁぁぁああああああ!!!どこですかぁぁぁああああ!!!!」キョロキョロ


海未「……ちょっとぉ!!いないじゃないですか!!会社に訴えますよ!!」クワッ

にこ「違うわよ!向こうよ、向・こ・う!B軍!」

B軍側

ホノカァァァアアアアアア!!! ドコデスカァァァアアアア!!!

穂乃果「……」


雪穂「……お姉ちゃん……」ジー

亜里沙「ゆ~きほっ♪」ダキッ

雪穂「ほわっ!あ、亜里沙!?…少佐」

亜里沙「えへへ、今日はずっと一緒にいようねぇ♪」

凛「また出たにゃー」

亜里沙「もちろん!雪穂のいるところならどこにでも!」キリッ

雪穂「いや、そんな恥ずかしいこと言わなくていいから!」


穂乃果「……」ジー


雪穂「……ほえ?」チラッ


穂乃果「……」プイッ


ホノカァァァアアア!!! ナンデ ソッチナンデスカァァァアアア!!! ウミチャンハココデスヨォォオオオ!!

雪穂「海未さん、騒ぎすぎ……」

A軍側


海未「穂乃果ぁぁぁあああ!!!何でそっちなんですかぁぁぁあああ!!!」

海未「海未ちゃんはここですよぉぉおおお!!」ピョンピョン フリフリ

にこ「ちょっ!その雄叫びやめなさい!!注目の的になってるでしょ!!」

海未「ふふふ、このくらいのことで恥ずかしがっていては、にこ大佐もまだまだですね」ドヤァ

にこ「……もう私、あっちに寝返りたいわ……」

海未「え、寝返っていいんですか?」

にこ「寝返るなよ?」ニコッ


海未「にこ大佐のばかやろぉぉO絵里「海未ちゃん、静かにね♪」ニコッ


海未「!?」バッ ズザァ

絵里「あらあら…随分嫌われたわね」

海未「お前g絵里「絵里中将」

海未「おm絵里「絵・里・中・将」

海未「……」絵里「……」

海未「You絵里「Eri lieutenant general」


海未「うみゅぅぅぅぅ……」ウルウル


にこ「いや、アンタら何やってんのよ……」

絵里「ふふっ、穂乃果にちょっかいをかけるから少しイジワルしちゃったわ」

海未「それはおm…くっ、絵里中将が穂乃果を奪い記憶を消したからでしょう!!」

海未「だから私は穂乃果のっ…!!」

絵里「穂乃果の記憶を取り戻す?」


絵里「そんなの……」

絵里「認められないわ」キッ


海未「!?」ビクッ


絵里「穂乃果は私の『妹』……」

絵里「穂乃果は誰にも渡さない!!」


海未「……」


にこ「……」ギリッ

にこ(そんなに穂乃果ちゃんのことを想ってるなら……)

にこ(そこまで穂乃果ちゃんのことを大事にするなら……)

にこ(穂乃果ちゃんの想いに気付きなさいよ……)


にこ(本当に……)

にこ(……悲しいやつだ……)

B軍側


穂乃果「……」ジー

ことり「穂乃果ちゃん♪」ザッ

穂乃果「…あっ、ことりちゃ…少将どうしたの?」

ことり「何をジーっと見てるのかなぁって♪」

穂乃果「……」

穂乃果「別に…A軍の陣形を見てただけだよ」

ことり「そっかぁ♪」

ことり「てっきり海未ちゃんを見てるのかと思ったよ♪」

穂乃果「……」

穂乃果「あはは、何で『あの子』を見ないといけないのさぁ」

ことり「そうだよねぇ♪」

穂乃果「うん」

ことり「じゃあ、ことりはまず、海未ちゃんを狙っちゃうね♪」

穂乃果「……うん……いいよ」

ことり「そう?ことり、がんばるから応援してね、穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「……うん、ファイトだよ」ニコッ



雪穂「……」ジー

凛「……」

凛「雪穂ちゃん、穂乃果ちゃんと話してくればいいにゃ~」

雪穂「えっ!いや…でも……」

凛「ほらほら~」グイグイッ

凛「穂乃果ちゃ~ん」フリフリ

穂乃果「…え?…えっと、貴女とはまだ話したことがないはずですけど……」

凛「そんなのどうでもいいにゃ」

穂乃果「いや、でも……」

凛「ああ、もう、凛は星空凛だにゃ、はじめまして、穂乃果ちゃん」

穂乃果「え……あ、はい、はじめまして、高坂穂乃果です……」


凛「で、話があるらしくて連れてきたにゃ……」ウシロカラ グイッ


穂乃果「!?」


凛「雪穂ちゃんにゃ」


雪穂「……あ、あの……『高坂』雪穂です……『はじめまして』……」グッ


穂乃果「……」グッ


凛「にゃ?はじめ……まして?」

凛「2人とも姉妹じゃなかったのかにゃ?」


穂乃果「……」


雪穂「……」

穂乃果「……そっか……『貴女』も『高坂』っていうんだね」

雪穂「……」

雪穂「……はい」

穂乃果「……まだ、兵士やってたんだね」

雪穂「……はい」

穂乃果「私……忠告したよね」

雪穂「……はい」

穂乃果「『貴女』は……兵士に向いていない……それでも、続けるの?」

雪穂「……」

雪穂「すぅ…はぁ……」キリッ

穂乃果「!?」


雪穂「続けます!!」


雪穂「どんなに兵士として認められなくても、私は……」


雪穂「大切な人の傍にいたいから!!」


穂乃果「……」

穂乃果「……そっか……」

穂乃果「なら、もう私は何も言わない」

穂乃果「……でも……」

穂乃果「『貴女』が兵士でいたいなら」クルッ

穂乃果「もっと……」スタスタ


穂乃果(……ファイトだよ)

雪穂「……」

凛「……」

凛「……ねえねえ、雪穂ちゃん」

雪穂「っ!は、はい、何ですか!?」

凛「凛ね、一度かよちんとケンカしたことがあるんだ……」

凛「それでね、凛ね、かよちんのこと大好きだから、やっぱり仲直りしたいなぁ、って思ったの」

雪穂「……」

凛「だから、凛は仲直りするためにがんばったんだ」

雪穂「……なにを……ですか?」


凛「かよちん♪、かよちん♪、って呼んだ……」


雪穂「……ほえ?……それだけ?」

凛「それだけじゃないよ、ずっと…と言っても、3週間くらいだったかなぁ…」


凛「会うたび、会うたび……かよちん♪、かよちん♪って、呼び続けた……」


雪穂「……」

凛「そしたら、とうとう『凛ちゃん』って呼び返してくれたんだにゃ~、ふふふ~♪」ニコニコ

雪穂「……」

凛「……だからね…雪穂ちゃん」キリッ


凛「諦めたら終わりなんだよ」


雪穂「…………」

雪穂「……はい゛!!」ウルウル

雪穂「……ありがとう……凛さん」ニコッ

演習開始まで1分

A軍側


海未「……」

海未(『あいつ』のあの顔……穂乃果のことを真剣に想っているようでした……)

にこ「……」ジー

にこ「ほら、いつまで考え事してんのよ」

にこ「アンタに考え事は似合わないわよ」

海未「……」

にこ「……」ポカッ

海未「つっ!?何するんですか!?背が縮んだらどうする気ですか!?」

にこ「……それでいいのよ」

海未「?」


にこ「アンタは何も考えず、ただ感情のまま動きなさい」

にこ「穂乃果ちゃんを……まっすぐ見てなさい」


海未「……穂乃果を」


にこ「ええ」

にこ「あそこにいる穂乃果ちゃんに……」


にこ「思う存分、ぶつかってきなさい!」


にこ(ポロリは許さないけど)


海未「……にこ大佐ぁ」ウル

海未「はい!」



海未「……けど、急になぜ『穂乃果ちゃん』呼びなんです?」

にこ「……え?あ……と、それはぁ……」ダラァ

にこ「あ、始まるわ、準備して!!」アセッ

演習開始まで1分

B軍側


亜里沙「まったくどこ行ってたの、雪穂ぉ、探しちゃったよ~」ダキッ

雪穂「えへへ、ごめんね、亜里沙」

凛「凛が連れ出しちゃったにゃ~」

亜里沙「ちっ、こんの泥棒猫が!」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」

雪穂「……ふふっ」



亜里沙「さあ、始まるよ、雪穂は後ろにいて♪私が守るから♪」

雪穂「ありがとう、亜里沙……でもね……」

雪穂「大丈夫だよ!」

亜里沙「…え?」


雪穂「私は自分の力でやれるとこまでやりたいの!」

雪穂「だから、ごめん、亜里沙」

雪穂「私、がんばるから……見守っててほしい」


亜里沙「……」

亜里沙「はあ、まったく……雪穂は……」

亜里沙「……でも」

亜里沙「雪穂のそういうとこ……大好きだよ」ニコッ

雪穂「亜里沙ぁ」パァ


凛(にゃんにゃんにゃ~♪)フフッ




ヒデコ「こちらヒデコ、凛軍曹を発見しました、これより発煙弾を発射します、どうぞ」

フミコ「コチラフミコ、リョウカイ、ハツエンカクニンゴ、スグニゴウリュウシマス」

ヒデコ「……」バシュッ ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク



凛「にゃ?」

演習開始まで1分

『2つ目の壁』の向こう側 本社最上階 観戦室


花陽「まだ、凛ちゃん見つからないようだね……」モグモグ

真姫「さっき頼んだあの2人に任せておけば大丈夫よ」

ツバサ「かなり強そうな方々でしたしね」

真姫「あら、分かるの?」

ツバサ「多少ですが……」

花陽「ツバサさんは私の護衛役でもあるからそれなりに強いよ」モグモグ

ツバサ「恐縮です」

真姫「へえ……それなりに、ね……」ジー

ツバサ「はい、『それなりに』、です」ニコッ


真姫(ふっ、謙遜しちゃって)

真姫(私には分かるわ!)

真姫(あの驚異的なおにぎりを握る速度……)

真姫(貴女は只者じゃない)


真姫(貴女は……)

真姫(超一流のシェフさんね!)キッ


ツバサ(も、ものすごい目で見られてる……)



ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク



花陽「……あっ、煙が……」

真姫「どうやら見つかったようね」

ツバサ「お嬢様、こちらをお使いください」つ双眼鏡

花陽「うん、ありがとう」スチャ ジー モグモグ

花陽「……あ、凛ちゃんだ、ふふっ」ジー モグモグ

真姫(にしても、どうやったら、このおにぎり中毒を抑えられるのかしら……やっぱり体を造り替えて……)ジー

ツバサ(あっ、穂乃果さんも戦うんだぁ…///)ジー

今日はここまでです

皆さんお待たせしてすみません


新年1発目なのに、酉つけるのを失敗してしまいました

なので、次回からこのレスの新しい酉で載せていきます、すみません……


さて、次回、ついに演習開始です!

演習開始

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………………


海未「さあて、待っててくださいよ、穂乃果!」

海未「今行きますから」キリッ

にこ「ええ、演習だけど、作戦なんて無視しなさい」

にこ「戦いにイレギュラーは付き物よ」


ことり「そっかぁ、イレギュラーは付き物だよねぇ♪」


海未にこ「「!?」」バッ ズザァ


ことり「こんにちは、海未ちゃん、にこ大佐♪」

海未「なぜ被検体1号がここに……」

にこ「アンタB軍でしょ……もう来たの?」

ことり「うん、だって……」


ことり「海未ちゃんと遊びたいんだ、もん♪」チュン!


にこ「!?…海未!!」


ことり「はい、ちゅんちゅん♪」ギラッ


海未「……ふん!!!」


ガシィィィィィィイイイイイイイ!!!!!!!


ことり「……あれ?」グググ


にこ「はあ……できたか」

海未「ふはははははははははは、どうです!?見ましたか!?」

海未「これが海未ちゃんの今の実力ですよ!!」

海未(あぁぁ、何とか掴めましたぁ……怖かったですよぉぉ、穂乃果ぁぁ……)ドキドキ

ことり「そっかぁ……すごいね、海未ちゃん♪」

海未「そうでしょうとも!!」ドヤァ

海未「それよりも、針を人に向けないでください!!」

ことり「ん?ああ、あのときと違って演習用だから鋭利性は抑えてるよ、安心して♪」

海未「ふむ、なら、この寛大な海未ちゃんが見逃してやりましょう!」ドヤァ

ことり「ふふふ、じゃあ、寛大な海未ちゃん♪ことり、これ使ってもいいかな?」ガサゴソ

海未「ん?何です?」

にこ「いや、待たなくてもいいのよ、これ本番想定した演習だから」

ことり「にこ大佐ひどいなぁ」ガサゴソ

ことり「ちょっとだけ待ってくれたっていいと思うけどなぁ」ガサゴソ


海未「そうですよ、あの針を止めた私に敵うはずがないんですから!」ドヤァ


にこ「……それ、アンタがさっき検証するって言ってた『自分は強い』発言よね……」


海未「…………」


海未「うみゅーーー!?」


海未「わ、私は弱いです!いえ、決して弱すぎるわけではありませんが、強くもなく…」

海未「え~っと、と、とにかくもう攻撃します!」ダッ!


ことり「……そっかぁ、ざ~んねん♪」チュン!

海未「!?また、ちゅん針ですか、そんなもの!」グッ



    ことり
  ビュォォォォオオオオオオ!!
ことり 海未「え?」ことり
  ビュォォォォオオオオオオ!!
    ことり



海未「なんで私の周りをぐるg……うみゅん!!!??」バシッ! バタン

海未「あれ、体が……?」グイグイ

海未「……糸?」



ことり「はい、ちゅんちゅん♪」ギラッ



ガキィィィイイイイン!!!



にこ「はあ……おめでと、『自分は強い』実験は成功したようね」グググ



海未「にこ大佐ぁぁああ!!」モゾモゾ

海未「……お、緩みました、よいしょ……よいしょ……」モゾモゾ ウネウネ


ことり「あ~あ、折角の私の見せ場が台無しだよぉ……」

にこ「ふん」

にこ「……さてと、海未、アイツの針が2つに増えたのには気づいた?」

海未「はい?」

にこ「はあ……いい?アイツが手に持ってる針と、あそこ……」

にこ「地面に突き刺さってる針よ」

海未「おお!気づきまs……もちろん気づいてましたよ」ドヤァ

にこ「……そう……で、あの針と針同士は糸で結ばれているわ」

にこ「だから、アンタの周りを回るだけで糸が巻き付いたってわけ」

海未「へえ~……だと思いました!」ドヤァ

にこ「……」

ことり「……」(憐れみの目)

海未「なら、話は簡単です」

海未「糸を切るか、あの刺さってる針を抜けばいいんですね!」

ことり「そうだよ♪」

海未「これはご丁寧にどうも」

ことり「でも、切れるかなぁ♪」

ことり「演習用に殺傷力を弱めた糸だけど、強度はあるし」

ことり「それに刺さってる針は返しが付いてるから抜くのも一苦労♪」


海未「ふっ、無論覚悟のu」



ズドォォォォォオオオオオオオオオオオン!!!!!!!



海未「え?」



モブ少将「くそ!くそぉ、くっそぉぉぉぉおおお……ぎゃぁぁあああああ!!!」ズドォォォォオオオオオオン!!



海未「くそくそ、うるさいですね!!何なんですか!?」






穂乃果「……ホノーーーーーー」ググググググググググググググググググ…………









海未「……は?」









穂乃果「ーーーーーーッカァァァァァァ……」ピタ









穂乃果「ギガント・輪ごぉぉぉぉぉおおおおおむ!!!」バシュッッッッッッッッ!!!!!!!!









モブら「「「「「「「「「「「「「ぐあああああああああああっっっ!!!!!」」」」」」」」」」」」」ズドォォォォォオオオオオオオオオオオン!!!!!!




海未「」ポカーン


ことり「穂乃果ちゃん、暴れすぎだよぉ」

にこ「あんなのに巻き込まれたくないわね」

ことり「ちょっと出直すね♪」チュン!

海未「あっ、まだっ……!!」

海未「……ふう……私に恐れを抱いて逃げましたか、致し方ありませんね」ヤレヤレ

にこ「……」

にこ「さてと、こんなとこにいたらあの特大輪ごむを食らうハメになるわよ!」

海未「ですが、どこに行けば!?」

にこ「『あの子』は味方のいるところは避けるわ、敵陣地にいた方がまだマシね」

海未「ええっ!?あの大量の敵モブに突っ込むんですか!?」


敵モブ「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」ウジャウジャ


にこ「そうよ、あんなのさっさと蹴散らして『あの子』のところに辿り着くわよ」ザシュン!

海未「うわぁぁぁぁああああああああああん!!!!!」シュダダダダダダダダダダダダ

海未「ほのがぁぁぁあああああああああああ!!!!!」ダダダダダダダダダダダダダ

B軍側


穂乃果「ギガント・輪ごぉぉぉぉぉおおおおおむ!!!」バシュッッッッッッッッ!!!!!!!!

ズドォォォォオオオオオン!!!!  グアアアアアアアアッッッ!!!!

穂乃果「……」



雪穂「ほえぇ」ポカーン

凛「かっこいいにゃ~♪」

亜里沙「……ちっ」イライラ



穂乃果「……」

ことり「穂乃果ちゃ~ん、危ないよぉ」シュタ!

穂乃果「あはは、ごめん、ごめん」

ことり「それとぉ……ちゃんと狙わないと、ね?」

穂乃果「敵軍はかなり減らしたよ?」


ことり「海未ちゃん」


穂乃果「……」


ことり「狙わないの?」


穂乃果「……」


穂乃果「……ことりちゃんがいたからね、危ないよ」ニコッ


ことり「そっかぁ、ありがとう♪」

ことり「穂乃果ちゃんの優しさに、ことり、心奪われちゃうなぁ♪」ダキッ

穂乃果「ちょっと、こ、ことりちゃん///」アセッ


ビュォォォオオオオ!!! ガシッ!


ことり「!?」


絵里「穂乃果に抱き付かないでもらえるかしら?ことり少将」ニコッ


穂乃果「『姉様』……」

ことり「ええ~、でもぉ……今は穂乃果ちゃんとことりは味方同士、絵里中将は敵同士だよ♪」

絵里「……そうね……なら……貴女を潰すまでよ」ビュッ!!


ビュン!!!


絵里「っ!?……」スッ スカッ ズドォォオオン!!


ことり「ん~、今のは……亜里沙少佐?」



亜里沙「……ちっ、外したか」

雪穂「……あ、亜里沙!?」

絵里「……ありs」ジッ


亜里沙「……まだまだぁぁあああああ!!!!」ビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュン!!!!!!!


絵里「……」ギュルルルルルルルルルルル


キンキンキンガキン!キンキンチンキンキンキン!!



凛「にゃ~、ものすごいスピードで回ってるだけなのに全部跳ね返してるにゃ~♪」ワクワク

ことり「まるでバレエのフェッテみたいに、優雅なのがまたすごいよねぇ♪」

雪穂「けど、あれ海未さんだったら地球を営んでますね……」

ことり「そうだね、海未ちゃんならやりかねないねぇ♪」

雪穂凛「「……」」チラッ

ことり「あはっ」ニコッ

亜里沙「はぁぁああああああ!!!」ビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュン!!!!!!!


絵里「……」ギュルルルルルルルルルルル


キィンキンキンカン!キンキン!キンカキン!!


亜里沙「………………くっ!!!」ビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュンビュン!!!……


絵里「……」ギュルルルルルルルルルルル


キンキンキンキキンキンキンゴキン!キンキンガキン!!


絵里「……」シュルルルルルゥゥ……ピタ


亜里沙「はあ………はあ………」


絵里「亜里沙……少佐」


亜里沙「……まだ終わってない……」

亜里沙「『貴女』になんて負けない!!」ギッ


絵里「っ……」グッ

絵里「……そう」

絵里「でも……これで私の勝ちよ」ビュッ!!


雪穂「亜里沙!!」バッ


バシュン! ズドォォォオオオオン!!!


絵里「くっ……!!……ほ、穂乃果!?」

穂乃果「……『姉様』、今は演習中だよ」

穂乃果「私だっているんだから、ね♪」ニコッ

ことり「そうだよ~、はい、ちゅんちゅん♪」ギラッ

絵里「……」ギュルルルルルルルル

キィィィィイイイイイイン!!

ことり「う~ん、やっぱり通らないかぁ」シュタ

絵里「……そういえば、さっきの続きがまだだったわね」

ことり「ふふっ、ことり、待ちくたびれちゃった♪」

穂乃果「……穂乃果も久しぶりに『姉様』と遊びたいなぁ」ウワメ

絵里「ハラショー///あっちにひらけた場所があるわ、行きましょう」シュン!

ことり「ふふっ♪」チュン!

穂乃果「うん!……」チラッ シュン!



雪穂「……お姉ちゃん……」

雪穂(今のは……私を助けてくれた……?)

亜里沙「はぁ……」ペタリ

雪穂「あ、亜里沙、大丈夫!?」

亜里沙「……うん……ごめんね、雪穂」

亜里沙「逆に庇われちゃったね……」

亜里沙「…………」ギリッ


亜里沙「……ううぅぁぁああああああああっっっ!!!」


雪穂「!?」ビクッ


亜里沙「なんで!なんで『あいつ』に勝てないの私は!!」

亜里沙「……なんでなの……」


雪穂「亜里沙……」

雪穂「亜里沙はまだお姉さんのことが……」

亜里沙「……嫌いだよ」プイッ

雪穂「……」

雪穂「……もういいんじゃないかな……素直になっても」

亜里沙「……」


雪穂「亜里沙だって本当はっ!!」


亜里沙「嫌いだって言ってるでしょ!!!」


雪穂「っ!?」ビクッ


亜里沙「…あっ……ごめん……」

亜里沙「……あ、あっちに強そうなモブがいる~♪」

亜里沙「ちょっと行ってくるね♪」ダッ!


雪穂「……亜里沙……」

雪穂「……」



ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク

ニャァァァァアアアアアアアア!!!???



雪穂「……あれ?そういえば凛さんは……?」キョロキョロ



ナンデ!? ナンデオッテクルニャァァァアアアア!!

ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク



雪穂「な、なんだろう……たくさんの煙と猫の悲鳴が……」

ヒデコ「発射」バシュッ ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク


凛「にゃぁぁぁぁああああああああ!!!???」ザシュン!


フミコ「……対象はなおも移動中、大きく右に迂回する模様、どうぞ」シュン!

ヒデコ「了解、次弾装填完了、対象が50m移動後、発射します」シュン!


凛「なんで!?なんで追ってくるにゃぁぁぁああああ!!」ザシュン!


ヒデコ「発射」バシュッ ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク

フミコ「……対象は若干涙目になりながら、なおも移動中、大きなトラウマにならないか心配です、どうぞ」シュン!

ヒデコ「了解、次弾装填完了、対象が50m移動後、発射します」シュン!


凛「凛は!!凛はただ海未ちゃんのとこに行きたいだけなのにぃぃぃいいい!!!」ザシュン!

凛「うわぁぁぁぁああああああん!!!」ザシュン!


ヒデコ「発射」バシュッ ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク

今日はここまで

いつも皆さんありがとうございます

物語はまだまだ続いていきます

『2つ目の壁』の向こう側 本社最上階 観戦室

ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………………


花陽「うわぁ、始まったねぇ」モグモグ

真姫「果たして今年はどちらが勝つか見物ね」

真姫「3年前から絵里中将の独壇場って感じで、結構退屈だったのよ」

ツバサ「……今年は違うのですか?」

真姫「そうね、今年は穂乃果が急に出るって言い出して……今までは出なかったのに……」

ツバサ「…え?穂乃果さんが出るだけで変わるんですか?」

真姫「あら?気づかなかった?ヒデコたちの実力には気づいたのに……」

真姫「穂乃果の実力は絵里中将に及ぶか及ばないか、その域に達しているわ」

ツバサ「き、気づきませんでした……」

ツバサ(見惚れ過ぎてたぁぁ……)



真姫「ほら、あれが穂乃果の実力の一端」


ツバサ「え?」


ズドォォォォォオオオオオオオオオオオン!!!!!!


ツバサ「……え?」

花陽「うわぁ、すご~い、人がごみのように飛んでくね~」モグモグ

ツバサ「……あ、あれは何かの爆発物を撃っているんですよね?」

真姫「輪ごむよ」

ツバサ「……は?……あっ、失礼しました、え、けど、わ、輪ごむ…ですか?」

真姫「ええ、髪留めに使う輪ごむね」

真姫「今撃ってた特大の輪ごむも大きさが違うだけで、素材もごく普通のものよ」

ツバサ「そ、そうなんですかぁ……」


ツバサ(穂乃果さん……貴女、本当に最高ね)ゾクゾク


花陽「へえ、穂乃果ちゃん強いんだねぇ……」モグモグ

花陽(そんなことより、凛ちゃん全然動かないなぁ……何見てるんだろ……)モグモグ

花陽(……腕を振り回してる人と、体を回してる人……?)モグモグ

花陽(凛ちゃん、また変なのに興味持ったなぁ……)モグモグ


花陽(……あ、動き出した……)モグモグ


ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク


花陽(凛ちゃん、走るの速すぎて追えないよぉ……)モグモ…ピタリ

ツバサ「どうぞ」つオニギリ ホカホカ

真姫(くぅぅっ!また速すぎて目で捉えきれない!)ギリッ


ヒュルルルルルル・・・・・・モクモクモクモク


花陽「凛ちゃん……どこ行くのかな……」モグモグ

ツバサ(な、なんだろう、真姫大将にずっと見られて……まさか私の正体が……!?)

真姫(次よ、次!必ずそのおにぎりを握る技術を奪ってやるんだから!みてなさい!!)グヌヌ

演習場 中央付近


海未「はぁぁぁああああああああああ!!!!!!!!」ドカッバキッブンッ!ゴン!ドシッ!

モブら「「「「「うぐほぉぉぉっっ!!!」」」」」バタリ

にこ「ほい……」ザシュン! ゲシッ!ゲシッ!ゲシッ!

モブら「「「「「「「「「「「「ぁぁぁぁ……」」」」」」」」」」」」バタリ


海未「どこですか!穂乃果ぁぁあああ!」シュダダダダダダ

にこ「こうも広くて人が多いと一苦労ね」ザシュン!

にこ「それに、どっかのバカが発煙弾撃ちまくって、もう煙いったらないし」

海未「ええ、ほんと煙すぎて…ケホケホ……ゲホアッ!!!」

にこ「ちょっとぉ!?盛大に咽ないでよ!アンタが咳するだけで心臓に悪いわ!」

海未「……ゲホギェホ……ンッンッ、エヘン!……ふう……落ち着きましたぁ」

にこ「本当に……本当に良かったわ……走りながら撒かれなくて……」ウルウル

ゥワァァァアアアン!!

海未「なっ!?そう何度もしませんって!!私を信じてください!!」

ウミチャァァァアアアアン!!!

にこ「いや、もう何も信じられないわ……」

ウゥゥゥミィィィチャァァァァアアアアン!!!

海未「ん?」


凛「うみ゛ぢゃぁぁぁぁああああああん!!!」ピューーーーン!!!


海未「え!?り、りn…げふぉおぇっっ!!!???」ズドォン!! ミミ☆☆キラキラキラキラ


にこ「私もう何も信じないわぁぁあああ!!!」ウルウル

凛「やっど……やっど見つげだにゃぁぁ、うみ゛ちゃぁぁん……」ウルウル

海未「」

凛「って、それよりも聞いてほしいにゃ!!」

海未「」

凛「早く海未ちゃんと戦おうと思って走ったら後ろから発煙弾バンバン撃って誰か追いかけてくるんだよぉ!!」

海未「」

凛「逃げても逃げても追いついてくるんだもん!本当に怖かったにゃぁ!」

海未「」

凛「……海未ちゃん?」

海未「」

凛「……」ユサユサ

海未「」シーン


凛「にこ大佐!!いったい何があったにゃ!?」クワッ


にこ「さあね……もうどうでもいいわ……」

海未「……はっ!何か鼻孔をくすぐる酸っぱくもそれでいて人々を魅了する甘美で崇高な匂いが……」クンクン

凛「あ、気がついたにゃ」

にこ「……その匂いは地球が営まれている匂いよ……」

海未「……そうですか……私はまたこの地球に貢献できたんですね……んぐっ……」ズキッ

凛「海未ちゃん、大丈夫!?もう喋らないで!!口臭が少しキツいにゃ!」

海未「」ガーン

凛「で、口を開けず黙って聞いてほしいんだけど…」

海未「」ズーン


凛「あそこにいる人たちが凛のこと追いかけてくるんだよ!」

ヒデコフミコ「「……」」ペコリ

にこ「…ん、ああ、あれは真姫大将の護衛役兼使用人の子たちね……演習には参加してないはずだけど……」

にこ「…あ、そういえば、Panayonic社令嬢がこの演習を見に来てるわ、それであの子たちアンタのことを……」

凛「ええ!?かよちん来てるの!?早く言ってほしかったにゃ~!」

凛「で、どこ!?どこで見てるの!?」キョロキョロ

にこ「たぶん…本社の最上階かしらね?真姫大将がいつもそこから演習の様子を見てるそうだし」

にこ「ほら、ここからも見えるでしょ?」

凛「にゃ~、あんなところに……お~い!!かよち~~~ん!!」ピョンピョン フリフリ

『2つ目の壁』の向こう側 本社最上階 観戦室


花陽「あ!手を振ってくれてる……凛ちゃ~~~ん」モグモグ フリフリ

真姫「ふふっ、ヒデコたちは役に立ったようね」

ツバサ(とっても煙ってるけど……)


ツバサ(さてと、穂乃果さんの様子は……)ジー

B軍側 右翼方面


絵里「はぁ、まったく…私は穂乃果と遊びたいのに……ことり少将はどこかのモブと戦ってていいのよ」

ことり「ふふっ、先に穂乃果ちゃんと遊んでたのはことりだよ、絵里中将の方こそそうしたらいいんじゃないかな♪」

穂乃果「『姉様』もことりちゃんも仲良くしなきゃだめだよぉ」

絵里「大丈夫、私たちは仲良しよ」キリッ

ことり「うん、そうだよ~♪」ニコッ

穂乃果「……」

絵里「にしても、2対1で、相手が穂乃果とことり少将……」

ことり「ふふっ、降参しちゃう?」

絵里「そんなの認められないわ」キリッ

穂乃果「……でも、穂乃果は戦うの構わないからいいけど、『姉様』、A軍の指揮を執らなくていいの?」

絵里「いいのよ、こんなこともあろうかとモブ少将に任せていたし!」ドヤァ


穂乃果ことり「「……あ」」


絵里「どうしたの?」


穂乃果「えっとね……モブ少将は穂乃果がさっき……」

ことり「彼方に吹き飛ばしてたね♪」


絵里「…………え?」


穂乃果絵里ことり「「「……」」」


絵里「さあ!かかってきなさい!」


穂乃果「あ、流した……」

ことり「じゃあ、行くね~♪」

穂乃果「いや、流したことすら流すの!?」

絵里ことり「「……何が?」」

穂乃果「うん、二人ともほんと仲良しだね!」

絵里ことり「「……嫉妬?」」

穂乃果「何でそうなるの!?」

絵里ことり「「穂乃果(ちゃん)が嫉妬してくれてる…//////」」

穂乃果「あぁ……私のセリフも流されるんだね……」

ことり「じゃあ、邪魔者の絵里中将を倒して早く遊ぼうね、穂乃果ちゃん♪」

絵里「ふふっ、言ってくれるわね、『飛ばねぇ鳥はただの鶏よ』!」キリッ

穂乃果(『姉様』……『紅の鶏』ごっこをして遊びたいんだろうなぁ……)

絵里「……」チラッ

穂乃果(『バカッ!』って言い返してほしいんだろうなぁ……)

穂乃果「……」

絵里「……」チラッ

穂乃果「……」

絵里「……」ウルッ

穂乃果「うぅ……」


絵里「……」ウルウル


穂乃果「『バkことり「『バカッ!』」


絵里「貴女じゃないわよ!!」ブン!


ことり「ことりも遊びたいの!!」チュン! スカッ


穂乃果「……もう好きにすればいいよ……」

『2つ目の壁』の向こう側 本社最上階 観戦室


ツバサ「……」ジー

ツバサ(穂乃果さんたちはいったい何をしてるんだろう……)

真姫「ん?どうしたの?絵里中将たちの戦いが気になる?」

ツバサ「いや、あれ戦ってないですよね?ずっと話をしてただけのような……」

真姫「ふふっ、まあ、初めて見たらそう思うわよね」

真姫「でも、あれは二人で穂乃果を奪い合ってるから戦ってるようなものよ」

ツバサ「なっ!?奪い合って!?」

花陽「穂乃果ちゃん大人気だねぇ……凛ちゃんもさっきから話ばっかりしてるなぁ……」モグモグ ジー

真姫「3年位前に穂乃果が来てからずっとあんな感じね」

真姫「……」


真姫(……そういえば、その前までは絵里中将……彼女があんなに楽しそうにしていることなんてなかったわね……)

真姫(辛そうな彼女だったから私も新薬の実験を手伝わせていたのだし)

真姫(妹からの愛情を求めてた彼女に、『妹が欲しくないか』……なんて言葉で誘って……)

真姫(……最初は、意識を朦朧とさせる新薬だったわね……)

真姫(子どもに飲ませ意識を朦朧とさせ、そして……力で『姉』と言わせ、従わせる……)

真姫(適当に考えた、そんな安っぽい方法……)

真姫(私としては彼女に『妹』ができようができまいが、研究が進めばそれでよかったのだから……)

真姫(……それでも、成功した……)

真姫(……子どもたちは、恐怖しながらも彼女を『姉様』として接するようになった……)


真姫(……でも、それは表面的にだった……)

真姫(そのことが、彼女にも伝わっていたのかは分からない……)

真姫(『妹』たちといるときの彼女は少しだけ、ほんの少しだけ嬉しそうに笑っていた……)

真姫(けど、彼女は研究所で薬を受け取るたびに辛そうにしていた気がする……)


真姫(……まあ、私はそれが分かっていても研究のために彼女を実験役から外すことはしなかったけど……)

真姫(……)

真姫(実験を始めて1年が経った頃、新たな薬を開発した)


真姫(……脳の記憶領域にまで影響を与えかねない強力な薬……『アポマキシン4869』……)


真姫(そのことを彼女に伝え、そして、いつも通り……私が薬を渡し……彼女がそれを受け取る……)

真姫(いつも通りのやり取り……)

真姫(……『いつも通り』の、日に日に辛くなっていく彼女の表情……)

真姫(……『いつも通り』の……『妹』の誕生……)


真姫(……いや、それは『いつも』とは違ったわね……)


真姫(これまでの『表面上』の『妹』とは違う)


真姫(彼女に怯えることなく、彼女を『姉様』と言って慕う『妹』……穂乃果……)

真姫(穂乃果は本当の姉のように彼女に接した)

真姫(彼女も本当の妹のように穂乃果に接した)

真姫(一緒に遊び、一緒に食事をし、一緒に寝る)

真姫(普通ではない『姉妹』の普通の姉妹のような関係……)


真姫(……でも、例えそれが偽りの『姉妹』であっても彼女は……)

真姫(彼女は見つけたんだ……)

真姫(『妹』からの愛情を……)

真姫(『家族』からの愛情を……)



真姫(その後、彼女は……実験に協力しなくなった……)

今回はここまでです

それではまた次回

マキタイショウ!

真姫「……」

ツバサ「真姫大将!」

真姫「あ、ごめんなさい、ちょっとボーっとしてたわ」

真姫「…で、何かしら?」

ツバサ「『奪い合い』ってどういうことですか!」

真姫「…ああ、そのこと?そのままの意味よ」

真姫「絵里中将もことり少将も穂乃果のことが好きだから、あの3人が集まればいつもそう」

真姫「まあ、結局は穂乃果が『2人とも仲良くしようよ』なんて言って、険悪にはならないのよね」


真姫(本当に不思議な関係よね……)

真姫(絵里中将と穂乃果は加害者と被害者……)

真姫(そして、ことり少将は……)

ツバサ「…それで、ほ、穂乃果さんは、そのぉ…どちらかを選ぶとかは……?」

真姫「え?……んー……そういえば、そういうことはしないわね」

ツバサ「ほ、本当ですか!?」クワッ

真姫「え、ええ」ビクッ

真姫「……けど、私も詳しくは知らないし、本人に聞いてみたら?」

ツバサ「……」

ツバサ「……そうですね……失礼しました、色々お聞きしてしまって」


真姫「いいわよ、このくr花陽「おかわり」


ツバサ「どうぞ」つオニギリ ホカホカ


真姫(う゛えぇぇ!?なんでそこで急に『おかわり』が来るのよ!見逃しちゃったじゃない!)グヌヌ

ツバサ(ま、また見られて……うぅっ…あんじゅ、助けてぇ……)

花陽(あ、凛ちゃんが倒した人、起き上がっちゃった……凛ちゃん、早くトドメをぉ!)モグモグ

演習場 中央付近


海未(……そろそろ起きれそうですね)ムクリ

凛「にゃっ!?急に無言で起き上がると怖いにゃ」

海未「……」ジー

凛「?」

にこ「……さっきの凛の言葉が効いてるようね」

凛「え?凛、なにか言ったっけ?」

海未「自覚なしですか!?」

凛「口を開けないでほしいにゃ」

海未「」ガーン

にこ「も、もうその位にしてあげたら?……蚊ほどの乙女心がズタボロになってるわ……」

海未「……」プルプル


凛「…乙女心?そんなのあったの?」キョトン


海未「ぅわぁぁあああん!!どうせ私には貴女たちの胸のように乙女心なんてないですよぉぉおおお!!!」ダッ!


にこ「」ガーン


凛「おーーーい!!海未ちゃんもあんまり変わらないにゃー!!!」



ワァァァァァアアアアアアアン!!!!! リンガイジメマスヨォォオオオ!!! ボノガァァァアアアア!!!!



にこ凛「「……」」

凛「……行っちゃたにゃ……」

にこ「ほら、ボーっとしてるとやられるわよ」ザシュン! ゲシッ

凛「いきなりかにゃ!?」ザシュン! スカッ

にこ「別に、決まったやつと戦う必要はないなんだから私が相手するわよ」

凛「にこ大佐……」

凛「凛に八つ当たりはやめてほしいにゃ……」ウルリ

にこ「そ、そんなことないわよ!!」

凛「けど、にこ大佐とはまだ思いっきりぶつかったことないから楽しみだにゃ~♪」

にこ「ふん、アンタの成長を確かめてあげるわ」

凛「じゃあ、にこ大佐が相手だし、凛はこのダサい厚底を脱がせてもらうにゃ」

にこ「かっこいい、よく似合ってるわ」グッ

凛「このダサい厚底を脱がせてもらうにゃ」ヌギヌギ

にこ「2度も言わなくていいわよ!!」


凛「よいしょ……っと」シュタ

凛「にゃー!足冷たいにゃー!」ピョンピョン

にこ「だから履いてればいいのに……」

凛「でも、軽いにゃ♪」ピョンピョン

にこ「そう……なら行くわね」ザシュン!


凛「にゃん!!」ヒュン!


にこ「!?」


凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゲシッ


にこ「くっ!」ドカッ


凛「……どうかにゃ?」シュタ

にこ「……パワーはないにしろ、速さはことり少将に達したかもね」ズザァ

凛「ふふふ~♪そうでしょ、そうでしょ~♪」

にこ「ほんと驚いたわ、アンタいつの間にこんな速くなってたのかしらね」

凛「にこ大佐の面子を潰さないために黙ってたにゃ~♪」

にこ「そう……でもその程度じゃ潰れないから安心なさい」

凛「にゃ?」


にこ「はあ……アンタまさか自分だけ厚底脱げば速くなるとでも思ってんの?」


凛「……にゃ?」

にこ「よいしょっと……」ヌギッ シュタ

にこ「ああ……冷たい……」


にこ「……」ピュン!!

ヒュォォォオオオオオオオ!!!!

凛「!?」ヒュン!


にこ「……」ゲシッ!!


凛「に゛ゃぶっっ!!」ドカッ! ゴロゴロゴロ バタリ


にこ「……」シュタ

凛「……ぅぐっ……にこ大佐……」グググ

にこ「何よ」

凛「はっやいにゃぁああ♪」パァ

凛「何でそんなに速いのに隠してるにゃ、ずるいにゃ、ずるいにゃ~♪」

にこ「別に隠してるわけじゃないわよ」

にこ「ただこの速さで動くと体に負荷がかかるからやらないだけ、ことり少将は体がついていけてるけど、私にはまだ無理ね」


にこ「アンタもあんまし体を酷使するもんじゃないわよ」


凛「にゃ~……気づいてたにゃ?」

にこ「ただの体験談よ」

凛「そっかぁ……」

凛「でもね、スピードに体がついていけてないことはどうでもいいんだにゃ♪」


凛「凛は速く楽しく戦えればそれでいいにゃ♪」


にこ(まったく……無邪気にも程があるわ)

にこ「……じゃあ、さっさと終わらせてあげるわ」ピュン!!

凛「いっくにゃ~♪」ヒュン!

『2つ目の壁』の向こう側 本社最上階 観戦室


花陽「は、速すぎてよく分からない……」モグモグ

花陽「折角、凛ちゃんの様子見に来たのになぁ……」モグモグ

ツバサ「凛様のお相手は凛様よりも速いようですね」ジー

花陽「えっ?凛ちゃんよりも?」モグモグ

真姫「……ああ、あれはにこ大佐ね」

真姫「いつもなら厚底を脱いで戦うなんてことしないのに……」

花陽「ああ、あの変な厚底の人かぁ……」モグモグ

花陽「凛ちゃん、変態が相手で大丈夫かなぁ……」モグモグ

演習場

B軍側 右翼方面


雪穂「……」


モブ1「おいおい、モブ2少佐、そろそろ私たちの因縁に決着をつけようじゃないか」

モブ2「はっ、片腹痛し、モブ1少佐、ぬしは今ここに倒れるだろうて」

モブ1・2「「……」」ジリッ

モブ1・2「「……ぅぅぉぉぉおおおおお!!!」」ドカッ! バキッ! ドカッ! ゲシッ!


雪穂(本当に私のこと見えてないんだぁ……)


モブ1「ふはははははははははは、どうした!衰えが見えるぞ!引退したらどうだ!?」ブン!

モブ2「くっ…!ワシはまだ25歳だ!…うぐはぁっ!」ドスッ


雪穂(モブ2少佐25歳だったの!?あの頭と老け顔で!?)


モブ1「これでお終いだな……今まで楽しかったよ、あばよ!戦友ぅぅううう!」ダッ!

モブ2(くそっ、これで、これで終わりなのか……ワシは、ワシはぁぁぁああああ!!!)グッ

ゲシッ 

モブ1「うぎょっ!?」コケッ ヨロヨロ

モブ2「……わ……ワシは……」

モブ2「ワシは25だぁぁぁああああああ!!!」ブン!

モブ1「でゅぷぅぉぉぉっっ!!!」ドスン!! バタッ

モブ2「はあ……はあ……」

モブ2「……あばよ……戦友……」クルッ スタスタ


雪穂(モブ1少佐……手というか、足を出してごめんなさい……でも)

雪穂(モブ2少佐があまりにも不憫すぎて……)ウル

雪穂(まあ、そんなことより、これにもだんだん慣れてきたかな)

雪穂(今度は……)チラッ

ズドォォォオオオオオン!!

雪穂(……)

(凛「諦めたら終わりなんだよ」)

雪穂(……よし!お姉ちゃんを驚かせて『ボロを出させる作戦』、やってみよう!)

雪穂(それに早くしないと、ポロリを狙った海未さんが……)アワワワ


雪穂(お姉ちゃんは……私が守るんだ!)グッ


B軍側 中央付近


海未「……ぐすっ……凛もにこ大佐もバカ野郎ですぅ……」

海未「乙女心くらい私にだってあるんですから!」プンプン

海未「というわけで、この傷ついた乙女心を穂乃果のポロリで癒してもらいましょう」


海未「……けど、その肝心の穂乃果はどこに……?」キョロキョロ

ズドォォォオオオオオン!!

海未「あ、このズドンの煩さは穂乃果ですね」


海未「今海未ちゃんが行きますよぉぉおおお!!」シュダダダダダダダダダダダダ

B軍側 右翼方面


絵里「さあ、ことり少将、もう終わらせてあげるわ」

ことり「ふふっ、できるかなぁ♪」

ことり「じゃあ、穂乃果ちゃん、援護よろしくね♪」

穂乃果「……はーい……」


絵里ことり「「……」」ジリッ


穂乃果「え、なんで急に真剣なの!?さっきまでふざけてたのに……」


ことり「……」チュン!

絵里「……」ギュルルルルルル

穂乃果「うん、流されるのは分かってたよ!」

穂乃果「はぁ……」


穂乃果「ホノーーッカァァ……」グググ

穂乃果「輪ごぉぉおおむ!!」バシュン!!!

ズドォォォオオオオオン!! パラパラパラ……

絵里「くっ……地面が……」シュルルルルル……

ことり「加えて……はい♪」

     ことり
   ビュォォォォオオオオオオ!!
ことり 絵里「!!」 ことり
   ビュォォォォオオオオオオ!!
     ことり

絵里「こんなもの!……うぐっ!」ピョン! ギュルルル……ビシィ!! シュタ!


ことり「ふふっ、危なかったぁ、折角穂乃果ちゃんに足場を崩してもらったけど、跳んで回れるようにまでなってたんだね♪」

ことり「逆回転で解かれないようにちゃんと結んであげて正解、正解♪」

絵里「……はあ……甘く見られたものね……」

絵里「こんな安っぽい糸で……」

ことり「ちゅん?」


絵里「はあ!!」ブチィィィイイイ!!


ことり「え?ええっ!?まさか切ったの!?」

絵里「……」シュン!
ヒュォォォォオオオオオ!!!
ことり「くっ!」グッ

穂乃果「ホノーッカ輪ごーむ!!!」バシュンバシュンバシュン!!!


絵里「……」ギュルルルルル


ことり(突進しながら回転!?)

ズドンズドンズドン!!!

絵里「くっ……」シュルルルル……


穂乃果(だめっ…回転は弱められたけど、突進の威力が……)


絵里「はあ!!」ブン!


ことり「ぢゅんっっ!!??」ズドォオン!! ピューーーン!! ゴロゴロゴロゴロ ズザァ!

穂乃果「ことりちゃん!大丈夫!?」タッタッタッタッ


ことり「いたたぁ……穂乃果ちゃん、ことりもうダメみたぁい……早く膝枕を……」ググッ


絵里「なっ!?」

絵里「穂乃果!それは罠よ!近づいたらそれはもう恐ろしいことをされるから、早くこっちに来て私に膝枕をしてちょうだい!」


穂乃果「いや、どっちも罠な気が……」

ことり「もう!絵里中将、邪魔しないでよぉ」スクッ

穂乃果「よし、立てたね」

絵里「さあ、この辺なら芝生があるからもってこいの場所よ、おいで穂乃果ぁ~」フリフリ

穂乃果「『姉様』、今は敵同士だよ」

絵里「敵……」ガーン


穂乃果「あ、後で!後でやってあげるから、ね?」


絵里「ああ///ほnことり「穂乃果ちゃ~ん///」


絵里「だからなんで貴女が出てくるのよ!!」


ことり「ことりも膝枕されたいの!」

絵里「穂乃果に膝枕されていいのは……」

絵里「私だけよ!」シュン!

ことり「ことり、腕枕もされたいなぁ♪」チュン! ギラッ

穂乃果「ちょっと2人とも!恥ずかしいでしょ!」

絵里ことり「「……何が?」」ガキィィィン!

ァァ…………

穂乃果「あはは、ほんと仲良しだなー」

カァァァ………

絵里「ん?」

ノカァァァアアア…

ことり「ちゅん?」

ホノカァァァアアア!!

穂乃果「ほえ?」



海未「穂乃果ぁぁぁあああああ!!!」シュダダダダダダダダダダダダ



穂乃果「……海未ちゃ……」ボソッ

絵里「あれは……」

ことり「海未ちゃんだねぇ♪」

海未「穂乃果ぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」ダダダダダダダダダダダ

海未「覚悟しなさぁぁぁぁぁあああああい!!!!!」ダダダダダダダダダダダ


穂乃果「…………え、何を?」


海未(今は、ただ走りなさい、私!あの一点に集中しなさい、私!)ダダダダダダダダダダダ

海未(狙うはただ……ポロリのみ!!)キリッ


穂乃果(海未ちゃんのあの目に宿る闘志……ついに私と戦う覚悟をしたんだね)キリッ

絵里(あの目線の先……まさか……穂乃果の胸元のボタンを!?……赤面した穂乃果……とっても見t…認められないわ!)キリッ

ことり「……」ニコニコ


海未「はぁぁぁぁああああああああ!!!」ダダダダダダダダ!!!!


穂乃果(来る!)グッ

絵里(ああ、けど、悩むわぁ……)ウーン

ことり「……」ニコニコ



雪穂(させるかぁぁぁあああああ!!!)

ゲシッ

海未「ああああ!!!……え?うみ゛ゅぅぅぅぅ!!?」コケッ ゴロゴロゴロゴロ ズドン!


穂乃果「…………」ジー

穂乃果「ほえ?」ポカーン

雪穂(はあ~……何とか間に合ったぁ……)

雪穂(お姉ちゃん、私がんばったよ!)チラッ


穂乃果「……」ウミノホウヲ ジー


雪穂(うん、気づいてないね!とっても虚しいや!)


絵里「……なんだか盛大にコケたわね」

絵里(なんでコケるのよぉ!!)

ことり「そうだね、何もないところでコケたねぇ♪」ジー


雪穂(動いちゃダメ……動いちゃダメ……)

海未「ああ、もう!!あともう少しでしたのに!!」ムクリ

穂乃果「……え~っと……」

海未(『ポロリ作戦』はやはり突然やってこそのもの、今回はもう使えませんね)ジー

穂乃果(……す、すごい見てくる……)

海未(さて、どうやって穂乃果を驚かせましょうか……)ジー

(絵里「穂乃果は私の『妹』……」)

(絵里「穂乃果は誰にも渡さない!!」)

海未「…………!!」ハッ

海未「穂乃果!!」キリッ


穂乃果「は、はい!」ビクッ




海未「私と!!!」



海未「付き合ってください!!!」




雪穂絵里ことり「「「…………は?」」」



穂乃果「…………」

穂乃果「……」

穂乃果「ほえ?」


穂乃果「え、付き、え?…ええぇぇぇぇぇえええええええええっっっっっ!!??」

海未「私と恋人から関係を始めm…うみ゛ゅん!?」ズドン! バタリ

絵里「ふふふ、海未ちゃ~ん?何を言ってるのかしらねぇ」ニコニコ ゴゴゴゴゴゴ

ことり「ほ~んと、ついにイカれたのかなぁ♪」ニコニコ ゴゴゴゴゴゴ

雪穂(海未さん、後で、ね?)ニコニコ ゴゴゴゴゴゴ


海未「……ふ……」

海未「……ふふっ、ふふふふふ……気づいたんですよ……」ムクリ


絵里「なっ!?まだ立てるの!?」


穂乃果「…………」


海未「穂乃果!あなたが本当に私のことを忘れているのなら、また思い出させればいい!」


海未(もし記憶がないことを偽っているのならポロリさせればいい!)グッ


海未「……けど、どうしても思い出せないなら……」


海未「今から思い出を作ってみせる!!」


海未(今の穂乃果が絵里中将と『姉妹』という関係を築いているように!)

穂乃果「……だ、だから、こ、恋人?///」チラッ

海未「そうです!!」


海未「なんといっても、絵里中将が穂乃果のことを『妹』と言うんですから、私はその上をゆく『恋人』です!」


穂乃果「……ん?」


海未「あははははは、どうです、絵里中将!もう私に手も足も出ないでしょう!さっさと小姑は引っ込んでください!」


穂乃果「……へえ……」

穂乃果「……そんな理由で『恋人』とか言ったんだねぇ……」プルプル


海未「あ、でも、やっぱり『友達』から関係を始めて甘酸っぱい青春というのを味わうのもいいですね……」ブツブツ

海未「よし、そうしましょう!あ、穂乃果、『友達』からでもいいですよ」ニコッ


穂乃果「」ブチン

穂乃果「……そっかぁ」ニコッ

海未「穂乃果ぁぁ」パァ


穂乃果「よろしくね、『友達』の海未ちゃん♪」バシュン!


海未「はい!…へ?うみゅーーっっっ!!!」ズドォォォオオオン!!



雪穂絵里ことり「「「……」」」



穂乃果「ふふっ、ふふふふふ♪」バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!


海未「ぼのがふっっ……う゛、う゛み゛ゅぅぅぅぅ…………」ズドドドドドォォォォオオオオン!!!!!



雪穂絵里ことり「「「……」」」



穂乃果「……はあ、楽しかったぁ♪」

穂乃果「あ、『姉様』、ことりちゃん、どうしたの?」ニコッ

絵里ことり「「う、ううん、何でもない(わ)(よ)」」ブンブンブン

雪穂(……お、お姉ちゃん……)ガタブル

穂乃果「そう?」

絵里「えっと……穂乃果はどうするの?」

穂乃果「ほえ?今から輪ごむ拾うところだけど?」キョトン

絵里「いやいや、そうじゃなくて……もう穂乃果ったら天然で可愛いんだからぁ///」

絵里「……コホン……さっきの答えよ」

穂乃果「……」


穂乃果「穂乃果は『姉様』のことが大好きだよ」ニコッ


絵里「ハ、ハラショー……//////」


ことり「穂乃果ちゃん、答えになってないよ♪」ニコニコ


絵里「わ、私のことが一番好きなのよね!?」

穂乃果「……『姉様』だ~いすき♪」ダキッ

絵里「あぁ、もう、なんてハラショーな子なのかしらぁ//////」ナデナデ

ことり「……」


海未「」プシュー

雪穂「……」

雪穂(海未さん……)

雪穂(まさかこんな手を使って驚かしにかかってくるとは……恐ろしい人です……)

雪穂(けど、お姉ちゃんを驚かすのには成功しましたね)


雪穂(……お姉ちゃんのあの反応……)

雪穂(まさか海未さんのことが好きなわけ……ないよね、うん、あんな人のこと好きなわけないって、うんうん)

雪穂(まるで、好きな人が自分のことをもて遊んでいた事実に気付き怒り狂った反応っぽくても、それが海未さんを好きという理由にはならないはずだし!)グッ



雪穂(よし、じゃあ、今回の作戦の結果は、お姉ちゃんは海未さんのことが好きじゃない、だね!)



雪穂(……って、違ぁぁああう!)

雪穂(記憶があるか確かめるための作戦で、なんで海未さんへの好感度を確かめてるのぉぉ……)

ネエサマー ホノカァ、ハラショーヨ///

雪穂「……」ジー

雪穂(う~ん……やっぱり昔の性格とは少し違うような……)

雪穂(だって……)

雪穂(お姉ちゃん、甘えすぎ!!!)

雪穂(もっと私に甘えてくれたってよかったのに!!)

カエッタラ パンアゲルワネ/// ワーイ ネエサマダイスキー

雪穂(そして、絵里中将、お姉ちゃんに甘すぎ!!)

雪穂(はぁ……私の中のお姉ちゃんと全然違うなぁ……)

ガシッ

雪穂(……ん?)チラッ


海未「……ほ…の………かぁぁ……ぁぁ………」ボロッ モゾモゾ


雪穂「う、う、うみみ、海未さぁぁああん!!?」


穂乃果絵里ことり「「「!?」」」バッ


雪穂「あ……」


絵里「声が聴こえたけど……いないわね……?」

ことり「海未ちゃんの方からだったね♪」

穂乃果(今の声は……雪穂……?)

雪穂(さて、落ち着けぇ、私ぃ………すうぅ……はあぁ……よし!)

雪穂(まだ速く動いたわけじゃないから、景色だって歪んでないはずだから見えてない……よね、うん!)

雪穂(ここまで足跡も消して来たし、汚れもつけてないから大丈…)


海未「ほのげほっ!!」ガハッ ビチャ


雪穂「ぶ、じゃなぁぁああい!!!」


雪穂「……あ……」


絵里ことり「「」」ジー


雪穂(あれぇ……この人たち、いつの間に目の前に……?)パチクリ

ことり「えい♪」パサァ

雪穂「あ……」

絵里ことり「「……」」

雪穂「ど、どうもぉ」ニコッ


絵里「あなたは……」


雪穂(あわわわわ)


絵里「誰かしら?」


雪穂(!?……そっか、海未さんみたいに派手に行動してなかったから)

ことり「B軍の子で、にこ大佐の部隊の子だよぉ♪」

絵里「ああ、にこ大佐の……」

雪穂(……お姉ちゃんを連れ去った人……)ジー

雪穂「…え、えっと、雪穂と言います……」

ことり「苗字はぁ?♪」

雪穂「え、え~っとぉ……うぅ……」


穂乃果「……その子も私と同じで『高坂』なんだよ」スタスタ

雪穂(……お姉ちゃん……)

絵里「へぇ、そうなの?」

ことり「なんだかどことなく穂乃果ちゃんに似てるね♪」

雪穂(この鳥さん、良いこと言うなぁ、えへへ~///)

絵里「そうね、もう一人『妹』ができたようだわ」

雪穂(やだ、この人なに言ってるの)

穂乃果「『姉様』?増やしたら……ね?」ニコッ ゴゴゴゴゴゴ

絵里「そ、そんなことしないわよ!私は穂乃果一筋なんだから!」


雪穂(……)

雪穂(……やっぱりお姉ちゃんは他の『妹』を認めない)

雪穂(それは絵里中将を独り占めしたいから?)

雪穂(それとも……)

穂乃果「…さて、それじゃあ、もう行こうよ『姉様』、そろそろ演習も終わりだし」クルッ



雪穂「あっ……」


雪穂(……行っちゃう……)

雪穂(……また……)

雪穂(……会えなくなる……)


雪穂(……嫌だ……)



雪穂「嫌だ!!」



穂乃果絵里ことり「「「!?」」」



雪穂「待って!!」


雪穂「お姉ちゃん!!!」



穂乃果「……」グッ



絵里(『お姉ちゃん』……)

ことり「……お姉ちゃん?」

雪穂「私ね、ずっと……ずっと待ってたんだよ」


雪穂「でもね……お姉ちゃんが来なくなって分かったの!」


雪穂「私はこれまでお姉ちゃんに何かできてたかなって……」


雪穂「お姉ちゃんに頼ってばかりだったのかなって!!」


雪穂「……だからね……今度は私から……」


雪穂「私からお姉ちゃんを迎えに行きたい!」


雪穂「お姉ちゃんを助けたいよ!!」

穂乃果「……」グッ


絵里ことり「「……」」


穂乃果「雪穂……ちゃんだったよね」クルッ


雪穂「……はい」


穂乃果「……」ジッ


雪穂「……」ジッ






穂乃果「……ファイトだよ」ニコッ ナデナデ





雪穂「……ほえ?」




穂乃果「……『お姉ちゃん』……っていうのは、よく分からないけど……」ナデナデ

雪穂「……」

穂乃果「前に忠告したときよりも兵士として上達してる」ナデナデ

雪穂「……はい」


穂乃果「……よく、頑張ってる」ナデナデ


雪穂「……はい」ウル


穂乃果「……じゃあ、またね……」クルッ スタスタ

穂乃果「……雪穂……」ボソッ


雪穂「……ほえ?」


雪穂「は、はい!また!」

演習終了
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………………


穂乃果「……」スタスタ

絵里「あ、待って、穂乃果ぁ」

ことり「穂乃果ちゃ~ん」




雪穂「……」サスサス

雪穂「えへへ///」

海未「ぼ………の……がぁ…………」

雪穂「ふふふ///」

海未「ぼぉ…のぉお……かぁぁああ……」

雪穂「海未さん、うるさいです!余韻に浸らせてください!!」ゲシッ

海未「がふっ!!」ドスッ!

雪穂(お姉ちゃんはやっぱり『お姉ちゃん』なのかなぁ……)

海未「」ピクピク

雪穂(けど、『よく分からない』って言って……)

海未「」ブクブクブク

雪穂(あぁ、もう、ごちゃごちゃする!!)ブン!

海未「げほぁっ!!」ドスン!

雪穂(やっぱり、まずは潜入して大将に問い詰める!それしかない!)

海未「」シーン


にこ「雪穂……アンタがこれやったの……?」スタスタ


雪穂「あ、にこ大佐……ほえ?」チラッ


海未「」


雪穂「う、うう海未さぁぁああん!!どうしたんですか!?」

雪穂「さっきまでしぶとくも辛うじて生きてたじゃないですか!!」ユサユサ

にこ「……」ジッ

雪穂「にこ大佐!何してるんですか!?早く救護班を!!」

にこ「…え、あ、そ、そうね」ザシュン!


にこ(あのスーツに付いた返り血……雪穂……恐ろしい子……)

兵舎 病室


海未「うぅぅみゅぅぅぅ……ゆきほぉ……ゆぎほがぁぁぁぁ……」ウーンウーン


にこ「うなされてるわね……」

雪穂「あぁ…私に助けを求めてるんですね、怖いことがあったから……」

にこ「……」

雪穂「でも、私にできることなんて、トドメを刺すことくらいしか……」グッ

にこ「いやいやいや、アンタどうしたの!?」

にこ「テンションがいつもよりおかしいわよ!?」

雪穂「ああ~、分かります~?えへへ~///」

にこ(あぁ……とうとう私の部隊には狂ったやつしかいなくなったのね……)


雪穂「実はお姉ちゃんに撫でられて///」

にこ「!?」

雪穂「ちょっと会話もできたし、えへへ~///」

にこ(たった少しの間、一緒にいられただけでこの喜びよう……)

にこ(恋する乙女か、一種の変態か、紙一重ね……)

にこ(でも、この様子だと穂乃果ちゃんにまだ記憶があることは気付いてなさそうね)

にこ「……そう、よかったわね」ニコッ

雪穂「はい!」ニコニコ


雪穂「そういえば、凛さんはどうしたんですか?」

にこ「……ああ……アイツなら……」

兵舎 病室


花陽「……凛ちゃん……」ウルウル モグモグ

凛「……かよちん……えへへ、心配かけちゃったね……」

真姫「私が診てあげたんだから、ちゃんと回復するわ」

真姫「と、言っても、膝の靭帯の損傷だから時間はかかるけど……」

ツバサ「真姫大将、ありがとうございました」ペコリ

花陽「うん、本当にありがとう」モグモグ

凛「……ありがとにゃ~……」

真姫「いいわよ、そんな」

真姫「じゃあ、私は演習終了の激励に行かなきゃいけないから…」

真姫「ヒデコ、花陽お嬢様のこと、後は任せたわ」

ヒデコ「はい、了解しました」ビシッ

凛「はぁ……痛いけど……楽しかったにゃぁ……」

花陽「……」モグモグ

ツバサ「相手のにこ大佐はとても速い方でしたね」

凛「うん、だから凛はね、思いっきりやったんだぁ……」

花陽「……」モグモグ

凛「結果はこれだけどね……えへへ……」

花陽「……」ピタリ

凛「……かよちん?」


花陽「凛ちゃん……にこ大佐にやられたんだよね?」


凛「え?うん、そうだけど……でも、これは自b」


花陽「……」ガタッ スタスタスタスタ ガララッ! ピシャッ!!


凛「uんで……あっ、かよちんっ!……行っちゃったにゃ……」


ツバサ「凛様、申し訳ないのですが、私はお嬢様に付いて行かなければなりませんので……」

凛「あ、うん、お見舞いありがとにゃ~♪」フリフリ

ヒデコ「私も付いて行きますので失礼します」

凛「はいにゃ~」フリフリ


ガララッ ガララ…ピシャ…


凛「……かよちんどうしたのかなぁ……」

ガララッ!


雪穂「凛さん!!大丈夫ですか!?」


凛「あ、雪穂ちゃん、大丈夫だにゃ~」

雪穂「凛さぁん……うぅ……よかったぁ……」ダキッ ウルウル

凛「…えへへ///……完治までは時間がかかるけどね」ナデナデ


にこ「まったく……あんな無茶するからよ」スタスタ

凛「……にこ大佐……ごめんにゃぁ……」

凛「でもね、凛とっても楽しかったよ♪」

にこ「それは何より……じゃないわよ!!」

にこ「いい?もう心配かけさせんじゃないわよ?分かった!?」

凛「……はいにゃぁ……」

凛「……にゃ?そういえば、海未ちゃんは?」


雪穂「海未さんなら隣の病室でうなされてますよ」

凛「あの海未ちゃんがうなされて……?いったい何があったにゃ!?」

雪穂「……最初はお姉ちゃんにやられて倒れてたんですけど……」

雪穂「その倒れてるところを狙った卑劣な何者かに襲われたようで……」

雪穂「私が少し目を離している間の出来事でした……」

雪穂「本当に無念です……私、ぐすっ……何もできなくて……」プルプル


にこ「…………」


凛「雪穂ちゃんは悪くないよ、悪いのはその残虐で冷酷なソイツだにゃ!」

凛「倒れてるのに襲うなんて……凛、絶対に許さないにゃ!」

雪穂「はい!私も同じ気持ちです!その犯人を必ず見つけて海未さんの前に突き出して謝らせてやりますよ!」


にこ「……ね、ねぇ、雪穂?」


雪穂「何ですか、にこ大佐、なんだか引きつったような、苦笑いのような、困ったような、複雑な表情を浮かべて!ここは怒った表情をするところですよ!!」

凛「そうにゃ!にこ大佐には血も涙もないのかにゃ!?」


にこ「……い、いや、あの……そ、そんなことないわ!私もとっても怒りを感じているわ、うん」


雪穂「なんだ、それならそうと顔にも出してくださいよ、もう~」

凛「ほんと紛らわしいにゃ~」


にこ「あははー……そうねー……」

にこ(自分で手にかけておいて顔にも出さないなんて……雪穂、ほんと恐ろしい子……)

『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室


真姫「ごめんなさい、待たせたわね」

花陽「……いいえ、構いません……」モグモグ

ツバサ「……」

真姫「結局、A軍は指揮者不在で混乱状態、B軍が優勢のまま演習は終了……やっぱり穂乃果が出たのが原因かしらね」


花陽「……あのぉおお!!」クワッ


真姫「う゛えぇ!?な、なに、どうしたの?」


花陽「相談が……いえ、お願いがあります」キリッ


真姫「……」

真姫「いいわ、何かしら?」

真姫「御社には援助してもらってるんだし多少のことなら聞くわよ」


花陽「……」

花陽「……私を……」



花陽「……私を強くすることはできますか?」


今回はここまでです

初めてのSSにだんだんと疲労してきている自分がいますが
質をなるべく落とさないようしていきたいですね……

次回は、>>1が引っ越し等で忙しくなるため期間が少々空きます
2週間ほど空くかと思います、すみません

それでは、また次回

『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室前 廊下


ツバサ「……あ///」

穂乃果「あれ?ツバサさん、こんばんは」テクテク

ツバサ「え、ええ、こんばんは///」

穂乃果「どうしたんですか、こんなところで」

ツバサ「ああ、ちょっとね、急に真姫大将に重要な話だから外に出ていてほしいって言われて……」

ツバサ「今は花陽お嬢様と真姫大将の2人きりにしているの」

穂乃果「そうなんですかぁ」

ツバサ「ほ、穂乃果さんこそどうしたの?」

穂乃果「ほえ?……ああ、私この本社の中に住んでるんですよ」

穂乃果「嬉しいことがあったから夕飯つい食べ過ぎちゃって……ちょっと腹ごなしに歩いてたところなんです、えへへ~///」

ツバサ「嬉しいこと!?」

ツバサ「まさか絵里中将やことり少将から何かされたからとか!?」クワッ

穂乃果「えっ…いや、特に何もされてないですけど?」キョトン

ツバサ「そう、それは良かったわ」キリッ

穂乃果(なんで急にキメ顔なんだろう……)

ツバサ「それで、嬉しいことっていったい何かしら?」

穂乃果「え~っとですね……」


穂乃果「……ずっと心配だった子がちゃんと成長していたんです」ニコッ


ツバサ(な、なんて幸せそうな顔で笑うの……可愛いわ///)

ツバサ(いやいやいやいや、それってあの2人以外で、穂乃果さんがそれほど気遣う人がいるってことよね)アセッ


穂乃果「弱かった意志も、実力も、前よりもっと強くなってて……」

穂乃果「私がいなくても大丈夫、とはまだ言い難いけど……それでも……」

穂乃果「それでも嬉しいんです」ニコッ


ツバサ「……」

ツバサ「ふふっ……ほんと、貴女は最高ね」

穂乃果「ほえ?」

ツバサ「けど、『自分がいなくてもいい』だなんて言わないでほしいな」

穂乃果「……」

ツバサ「貴女はいなくてもいい人じゃない」

穂乃果「……」


ツバサ「少なくとも私は、貴女がいるだけで嬉しいわよ」ニコッ


穂乃果「……へ?」

穂乃果「え、えと、あ、はい……//////」


ツバサ(……ん?)

ツバサ(いや、私は何を言ってるんだぁぁぁ……!!)

ツバサ(これじゃ、まるで、あれよね、そう、あれ)

ツバサ(フランス語でジュテームのような、スワヒリ語でニナクペンダのようなぁぁ……)

穂乃果「……///」

ツバサ(ちょっと、私、どうするのよ!穂乃果さん黙っちゃったじゃない!)

ツバサ(と、とにかくこの空気を……空気を変えないとぉぉ……)


ツバサ「ほ、穂乃果さん!!」


穂乃果「は、はい!?」


ツバサ「どうぞ!」つオニギリ ホカホカ


真姫「ツバサさん、もう入っていいわよ」ガチャ


穂乃果ツバサ真姫「「「……」」」


穂乃果「あ、その、さっき食べ過ぎちゃって……申し訳ないんですが……」

ツバサ(そうだったぁぁぁ……)

真姫(何で今握るのよぉぉおおお!!!)グヌヌ

ツバサ(いやぁぁあああ!!また凝視されてるぅぅ!!)ビクビク


穂乃果「……?」キョトン

穂乃果「真姫大将、お話は終わったんですか?」

真姫「あ、穂乃果、ちょうどいいところに」

穂乃果「ほえ?」

真姫「ちょっと入ってくれるかしら?」

穂乃果「はあ、いいですけど……」チラッ

ツバサ「……」つオニギリ ポツーン

穂乃果「……ツバサさん、やっぱり頂きますね」ヒョイ

ツバサ「え、でも……」


穂乃果「折角握ってくれたんだもん!それにどうせ夜食時にお腹空いちゃうから、えへへ///」

穂乃果「ありがとう、ツバサさん」ニコッ


ツバサ「……え、ええ…こちらこそ///」


真姫(そういえば、私、まだあのおにぎりの味を知らなかったわ)

真姫(私にもくれないかしら……)ジー

ツバサ(なぜ今度は物欲しげな目に……)ビクビク

穂乃果「それで、私に用ってなんですか?」

真姫「ええ、そのことだけど……あ、ツバサさんも中にどうぞ」ジー

ツバサ「は、はい……失礼します」ビクビク

ガチャ バタン

花陽「……」モグモグ

穂乃果「あ、花陽お嬢様、こんばんは」ニコッ

花陽「……うん、こんばんは……」モグモグ

穂乃果「……」

穂乃果(……何か、思いつめた顔……)

ツバサ「……」

ツバサ(よし、作り置きしておいたおにぎりはまだ足りてるわね)


真姫「で、穂乃果に頼みたいことなんだけど」

穂乃果「……はい、なんでしょうか」

真姫「2週間……いや、もうちょっとかかるかしら……3週間後からなら、もう体も馴染んで十分に動けるようになってるはずよね……」ゴニョゴニョ

穂乃果「……?」

真姫「じゃあ、3週間後からでいいんだけど…」


真姫「花陽お嬢様に訓練をつけてくれないかしら」


穂乃果「……はい?」


花陽「……」モグモグ


ツバサ「……」

『2つ目の壁』の向こう側 本社内 穂乃果・絵里自室


穂乃果「……」モグモグ

穂乃果「……はあ」

穂乃果(折角ツバサさんが握ってくれたおにぎりなのに、あんな話聞いた後だと進まないや……)

穂乃果「……ん?」


絵里「……」ジー

(雪穂「お姉ちゃん!!!」)

絵里(……『お姉ちゃん』、か……)

絵里(もしかして、本当に穂乃果の妹……)

絵里(それが本当なら、私は……姉妹を引き裂いたことになる……)

(亜里沙「『貴女』になんて負けない!!」)

絵里(……私のように仲が悪くて別々の道を歩んでるわけじゃない……)

絵里(第三者が急に現れて、大切な姉をその身だけでなく記憶までも奪っていった……)

絵里(それはとても……理不尽すぎる)

絵里(……私はいったい……)

絵里(何をしているんだろう……)


穂乃果「『姉様』、難しい顔してどうしたの?」


絵里(……いつも気遣ってくれる、こんな優しい子に……)

絵里(……『妹』に、何をしているんだろう……)ジワッ


穂乃果「……『姉様』?」


絵里「……ごめっ……ほのか…………ぐすっ……ごめんね……」ウルウル


穂乃果「っ!?」

穂乃果(……またそんな悲しい顔……)

穂乃果「……」ギュッ


穂乃果「……大丈夫、大丈夫だよ……ほら、穂乃果のパンあげるから元気出して、ね?」ニコッ


絵里「!?」ハッ

(穂乃果「お姉さん、大丈夫?ほら、穂乃果のパンあげるから元気出して、ね?」)

絵里「穂乃果、あなた記憶が……」


穂乃果「実はさっきおにぎりもらっちゃって、えへへ」

穂乃果「いつもの夜食のパン、もう食べられそうにないんだぁ」

穂乃果「……というわけで、はい!チョココロネ!」ヒョイ

穂乃果「どう?『姉様』チョコ好きでしょ?」

穂乃果「これ食べてぐっすり寝よう」ニコッ

絵里「……」

絵里(……そう…よね……記憶はもうないものね……)

絵里(記憶がなくても穂乃果という性質は変わらないだけ……)


絵里「……ええ、ありがとう…穂乃果」ニコッ ナデナデ


穂乃果「えへへ///」

絵里「もぐもぐ……ふふっ……美味しい」ニコッ

穂乃果「そっかぁ、よかったぁ……あうぅ……穂乃果はもうお腹いっぱいだよぉ……」ゴロゴロ

絵里「そういえば、穂乃果、あんなに夕飯食べてたのに夜食におにぎりだなんて」

穂乃果「あぅ、そうなんだけどね……ツバサさんから折角もらったんだし、食べないと……」

絵里「ああ……あの人」

絵里(ふふふ…穂乃果にプレゼントなんて……良い度胸ね……)ゴゴゴゴゴゴ

穂乃果「…ね、『姉様』?そんな強く握ると…あちゃぁ……」

絵里「へ?……あ……」グチョー

穂乃果「もう、時々おっちょこちょいなんだからぁ」

絵里「……め、面目ございません……」

絵里「……」


絵里「舐める?」つチョコベッタリ


穂乃果「いや、なんでそうなるの!?」


絵里「ふふっ、穂乃果は犬みたいで可愛いから」

穂乃果「ぶー、『姉様』、噛みついちゃうよぉ、わんわん!」

絵里「さあ、噛みついていいわよ!」バッ

穂乃果「いや、そう構えられると、逆に噛みつきにくいかなぁって……」

絵里「そんなぁ……噛みつかないの?」ウワメ

穂乃果「なんで物欲し顔になるのさぁ!」

絵里「まあ、いいわ……いつでも大歓迎だから、好きなときにしてくれて構わないわ」キリッ

穂乃果「表情と態度変えても噛みつかないし、舐めないからね」

絵里「」ズーン

穂乃果「ええぇぇ……そんなに落ち込まれても……」

絵里「はあ……仕方がない、このチョコは自分で舐めますよぉだ……」ペロ チラッ

穂乃果「……」

絵里「……」ペロ チラッ

穂乃果「はいはい、『姉様』は色っぽいなー」

絵里「ええ!?それだけ!?」

絵里「何かこう、胸の奥底から込み上げてくるものはないの!?」


穂乃果「胸焼け?」


絵里「ただの症状!?」


穂乃果「うん!」ドヤァ


絵里「……そう……お大事にね……」ズーン


穂乃果絵里「「……」」


穂乃果絵里「「ぷっ……あははははははははははははは」」




絵里「……」



絵里(ああ……なんて、なんて幸せなんだろう……)

絵里(亜里沙とも、兵士になる前はこんな感じだった……)

絵里(二人で笑い合っていたはずだ……)

絵里(……)

絵里(私が兵士になったのは、今から9年ほど前……UTXとの休戦協定が結ばれる3年くらい前……)

絵里(私は一般兵として戦い、敵を倒し続け、協定が結ばれる頃には中尉にまでなった)

絵里(階級なんていらない、勲章なんていらない)


絵里(ただ妹が守れればそれでいい)


絵里(だが、協定が結ばれたあと、その妹が兵士になると言い出した)

絵里(私は反対だった)

絵里(けど、それでも兵士としてやっていくと決めた彼女を、私は止めることができなかった……)


絵里(亜里沙が兵士となってから、しばらく亜里沙とは会えなかった……)

絵里(遠くに見かけて駆け寄っても、いたはずのそこにはもういなかった……)

絵里(会いに行っても、まるで避けられているかのように会えなかった……)

絵里(それでも待った)

絵里(もっと強くなって亜里沙を守れるように訓練や任務を重ねていきながら……待ち続けた)


絵里(……)

絵里(亜里沙の入隊から2年が経ち、私も少佐となっていた)

絵里(そんな頃、ようやく亜里沙と会うことができた)

絵里(とても嬉しい)

絵里(私は笑いかけた)


絵里(けど……笑顔は返って来なかった……)


絵里(亜里沙は私を憎い目で見るようになっていた……)

絵里(私が何かしてしまったんじゃないか……)

絵里(考えても、思い起こしても、何も出てこない……)

絵里(何も分からない……)


絵里(憎い……憎い……憎い……)


絵里(その感情だけが伝わる……)

絵里(私は亜里沙のことがこんなにも好きなのに……)


絵里(大好きなのに……)


絵里(どうしてそんな目で見るの……?)

絵里(どうして私のことが嫌いなの……?)

絵里(どうして『お姉ちゃん』と呼んでくれないの……?)


絵里(どうして……)






絵里(どうして私には、私を愛してくれる『妹』がいないんだろう)




絵里(……)

絵里(そんなとき、真姫大将からの誘いがあった)

絵里(手伝えば『妹』が得られる、と……)


絵里(今思い返してみると、なんでこんな誘いに乗ったのだろう……)

絵里(乗らなければ、これまでつくってきた『妹』たちは、普通の日常を送れたはずだ……)

絵里(けど、これがなければ私は、今もあの苦悩した日常を送っていたかもしれない……)

絵里(穂乃果にも会えず……こんなにも幸せな日常を感じることはなかったかもしれない……)


絵里(穂乃果が私の日常を変えてくれた)


絵里(私を、救ってくれた……)


絵里(穂乃果を連れ去った、あの日から……)

約3年半前

配給所前


ことり「じゃあ、物資運んどくね、絵里大佐♪」スタスタ

絵里「ええ、頼んだわ、ことり少佐」


絵里「……」

絵里「……はあ」チラッ

絵里(……真姫大将から預かった新薬……『アポマキシン4869』……)

絵里(……記憶領域にまで影響を与えかねない、と真姫大将は言っていた……)

絵里(そんな危険な……いや、これまでだって危険には変わりない薬だったけど……あれ以上の薬を私は……)

絵里(また……使ってしまうんだ……)

絵里(違う……)

絵里(『使ってしまう』だなんて……そんなのは違う……)グッ

絵里(仕方なしに使っていたわけじゃない……)

絵里(強制されて使っていたわけじゃない……)


絵里(全部……全部私の意思で、今回も『使う』んだ……)

絵里(そして、今回も新しい『妹』をつくるんだ……)

絵里(……いつも通り……)


絵里(これまでだって力づくだったり、騙したりして、車に連れ込んでは薬を飲ませ……『妹』をつくってきた……)

絵里(今回は薬が違うだけ……)

絵里(ただ……それだけ……)



ネェネェ ドウシタノ?

ネェネェ オネエサン


絵里(……)


穂乃果「お姉さん、お姉さん」チョンチョン


絵里「……え?」


穂乃果「お姉さん、大丈夫?ほら、穂乃果のパンあげるから元気出して、ね?」ニコッ


絵里「……」

絵里(ははっ……こんな小さな子にまで心配されるほどヒドイ顔してたのかしらね……)

絵里(……優しい子……)

絵里(それに、なんて……)


絵里(なんて眩しいんだろう)

絵里(この子がもし……もしも私の妹だったら……)

絵里(私はこんなことしてなかったのかしら……)


絵里(……)


穂乃果「どうしたの?」キョトン


絵里(……実験……子ども……女の子……周りに人気は……ない……)


穂乃果「お腹空いてないの?」

絵里「……ううん、ありがとね……」ニコッ

穂乃果「……」

穂乃果「……そっか、じゃあ、はい半分こ♪」ヒョイ

絵里「……あら?いいのよ、そっちの小さい方で……」

穂乃果「いいの!お姉さんが元気になれば!」ニコッ


絵里(……やめて……)


絵里「……ふふっ、ありがとう……でもね、子どもはいっぱい食べないとだめよ」


絵里「私はこっちをいt穂乃果「はい!」ギュム


絵里「ふがぁっ!?」


穂乃果「おお~、すごい顔~」

穂乃果「……ふふっ、雪穂より口大きいや……」ボソッ

絵里「む~、もぐもぐもぐもぐ……ごくん……」

絵里「もう!びっくりするじゃない!」

穂乃果「えへへ///」


穂乃果「……元気出た?」


絵里(……そんな優しい言葉……私にかけないで……)


絵里「……そうね、とっても元気が出てきたわ」ニコッ

穂乃果「……」

穂乃果「……よかったぁ」

穂乃果「じゃあ、穂乃果とおしゃべりでもする?」

絵里「……え?どうしてそうなるの?」

穂乃果「いいの!」


穂乃果「私は高坂穂乃果!お姉さんは?名前はなんて言うの?」


絵里「ちょっ、ちょっと待って!」


穂乃果「……?」

絵里「そのね……え~っと、あっ、パンのお礼にお茶をご馳走するから、飲みながら話さない?」

穂乃果「え、お茶?やったぁ、ありがとう!穂乃果、緑茶がいいな」

絵里「ええ、いいわよ、緑茶のようなものを出すわ」

穂乃果「それ緑茶じゃないんじゃ……」


絵里「さあ、こっちよ」ガチャ

穂乃果「うん、セリフ流されたね……って、え?これ配給車だよ」

絵里「荷台の中に部屋があるの、そこで振る舞うわ、お茶のようなものを」

穂乃果「とうとうお茶すらかも怪しくなってきたね」


穂乃果「まあ、いっか……お邪魔しまーす」スタスタ

絵里「ええ、いらっしゃい、部屋は奥にあるの……さあ、どうぞ」スタスタスタスタ ガチャ

穂乃果「……ほえ~、配給車の中ってこうなってたんだね、ベッドまでついてるんだぁ」キョロキョロ

絵里「……」

絵里「……そうね」

穂乃果「……?」

絵里「……じゃあ、飲み物淹れるから、ちょっと待ってて」

穂乃果「あははー、何が出て来るのか、ほーんと楽しみだなー」

絵里「……」カチャカチャ


穂乃果「よいしょっ……おお、ふかふかだぁ」ポフッ ゴロゴロゴロゴロ


絵里(……『アポマキシン4869』……これをこの飲み物みたいなものに……)チャポン……

絵里「……」グッ

絵里「……はい、どうぞ、穂乃果ちゃん」つ旦


穂乃果「ぅわあ、ありが…」ヒョイ

穂乃果(この濃厚な甘い香りと黒い液体と白い餅……うん、これ、お汁粉だね!)

穂乃果「…とうね、お茶に合いそうなとっても良い香りのする飲み物みたいなものだね……美味しそうだなー……」


絵里「……そう……それはよかったわ」ニコッ

穂乃果「……じゃあ、早速いただき…」スッ


絵里(……これでまた……私は罪を重ねるんだ……)


穂乃果「ま~…」


絵里(……でも、もう後には退けない……私を見てくれて、そして、愛してくれる『妹』がほしいから……!!)


穂乃果「す…」


絵里(……あと……数ミリ……)




穂乃果「あ、そうだ、うっかりしてた、それでお姉さんの名前は?」ピタ




絵里(ええっ!?私の!私の覚悟がぁぁああ!!)


絵里「……あ、絢瀬絵里よ」アセアセ

穂乃果「……絵里ちゃんかぁ……それで、絵里ちゃんはさっきまで何してたの?」

絵里「……えっ、いきなり『絵里ちゃん』?」

穂乃果「ほえ?……だめ?」

絵里「いや、だめというか……」

穂乃果「じゃあ……」


穂乃果「絵里『お姉ちゃん』とか?」ニコッ


絵里「やめて!!!」クワッ


穂乃果「!?」ビクッ

絵里「あっ……その、ごめんなさい……」

絵里「でも、『お姉ちゃん』はやめてほしいかなぁ……あはは……」


絵里(私のことを『お姉ちゃん』と呼んでいいのは……やっぱり……)

穂乃果「う、ううん……穂乃果こそ……ごめんなさい……」シュン

絵里「……あ、けど、そうね……」


絵里「『姉様』だったらいいわよ」


穂乃果「『姉様』?」キョトン

絵里「ええ」

穂乃果「『お姉ちゃん』と『姉様』は何が違うの?」

絵里「それはもう何から何まで違うわ」キリッ


穂乃果絵里「「……」」


穂乃果「それで、絵里ちゃんはさっきまで何してたの?」


絵里(『絵里ちゃん』に戻されてしまった……)

絵里「……特に何もしてないわ、ボーッとしてただけよ」

穂乃果「お休み中なの?」

絵里「これでも勤務中よ」

穂乃果「ふうん……サボってたのかぁ」

絵里「別にサボってたわけじゃないわよ」

絵里「指揮官は動かなくていいだけ」

穂乃果「ああ……サボっても怒られない人なんだねぇ」

絵里「いや、だからぁ…………うん、もうそれでいいわ……」

穂乃果「ほら、がんばって説明して!諦めちゃダメ!ファイトだよ!」

絵里「いや、ファイトって、貴女ねぇ……」

穂乃果「……な~んてね、実はなんとなくだけど分かってるよ、えへへ」

絵里「はあ?」

穂乃果「あはははは、ごめん、ごめん」テヘ


絵里「もう……ふふっ」ニコッ


穂乃果「……」






穂乃果「……やっぱり、絵里ちゃんは笑ってるほうがいいよ」





絵里「……え?」




穂乃果「ううん、絵里ちゃんだけじゃない」


絵里(……いや……)


穂乃果「穂乃果はね、皆がみんな笑ってくれてると嬉しいんだぁ」


絵里(……何も……言わないで……)


穂乃果「だからね、絵里ちゃん……」


絵里(……優しい顔を……向けないで……)






穂乃果「穂乃果は絵里ちゃんを笑わせてあげたい」




絵里(……)

絵里(その後の記憶はなぜかぼんやりとしている……)

絵里(私は何をしていたんだろう……)

絵里(気が付いたら、私のことを『姉様』と呼ぶ穂乃果の姿がそこにあった)

絵里(おそらくはいつも通りのことをして、彼女をそうさせたのだろう……)


絵里(……私はまた……罪を犯したんだ……)


絵里(だから、そのあとに来た海未ちゃんには私がやったように言った……)

絵里(私がやったはずなのだから……)

絵里(これまでの『妹』たちのように力づくで『姉様』と言わせたはずなのだから……)

絵里(海未ちゃん……)

絵里(私を恨んでほしい……)


絵里(これまでの実験は露見することがなかった)

絵里(だから、少女たちを連れ去っても、誰も私を直接恨む者はいなかった)

絵里(こんなにも非道なことをしているのに誰からも恨まれない)

絵里(いや、もちろん『妹』たちは恨んでいただろう……けど、それが表に出ることはなかった)

絵里(誰からも恨まれない)

絵里(そんなのは許されない)


絵里(私を憎んでほしい……)

絵里(私を……)

絵里(罪深い私を……責めてほしい……)


絵里(そう感じていた)


絵里(だから、穂乃果を連れ去るときも私が憎まれるように、正にこれが悪者だと思わせるように振る舞った)

絵里(こんなちっぽけな素の自分ではいけない)

絵里(私を憎んでくれるような自分になろうとした)

絵里(けど、そんな感情も穂乃果と過ごすうちに薄らいでいくのを感じていた)

絵里(ふふっ……私も本当に悪者よね)


絵里(穂乃果との楽しい会話……)

絵里(穂乃果との騒がしい食事……)

絵里(穂乃果との安心して心地よい眠り……)

絵里(たった3年……)

絵里(だけど…)


絵里(こんなにも幸せな時間……)


絵里(こんなにも、大切な時間……)



絵里(たとえ、穂乃果の家族だった海未ちゃんであっても……)


絵里(渡したくない)


絵里(失いたくない!)



絵里(だから、私はこのままでいい)


絵里(穂乃果を奪った、ただの悪者で……)

絵里「……」


穂乃果「『姉様』、そろそろ寝よう、今日は疲れたし」

絵里「……ん、ああ、そうね、寝ましょうか」

穂乃果「うん、じゃあ、電気消すね」

絵里「ええ」

カチッ

穂乃果「ううぅぅ、やっぱり布団が冷たい……」モゾモゾ

絵里「ふふっ、最初だけ我慢、我慢♪」

絵里「二人で寝れば、すぐ温かくなるんだし」

穂乃果「うん、そうだけどぉぉ……」


絵里「……」ダキッ


穂乃果「……『姉様』?」


絵里「……」


穂乃果「……」ギュッ


絵里「……穂乃果……」


穂乃果「……」


絵里「……ありがとう……」


穂乃果「……」


絵里「……おやすみ……」


穂乃果「……うん……」



穂乃果(……おやすみ……絵里ちゃん……)


今日はここまでです

皆さんお待たせしてすみません


さて、今回は穂乃果・絵里過去編ということでしたが……

実を言いますと、この絵里の設定は途中から考えたもので、最初は完全な悪役として設定していました

ちゃんと最初のほうと繋がったか不安ですが、『変かなぁ』と感じた方は脳内補完していただけたら幸いです

にしても、海未ちゃんが出ないとあまりドタバタしませんね


それではまた次回をお楽しみに

兵舎 亜里沙自室


亜里沙「……はあ……」

亜里沙(雪穂には悪いことしちゃったなぁ……)

コンコンコン アリサ イル?

亜里沙「!?」ビクッ

亜里沙(雪穂……)

アリサ アノネ ハナシガアルノ

亜里沙「……」スクッ

ガチャ

雪穂「亜里沙ぁ」パァ

亜里沙「……どうしたの?」ニコッ

雪穂「……」

雪穂「ひとまず入ってもいい?」

亜里沙「ここじゃ……だめ?」


雪穂「うん、だめ♪」ニコッ ゴゴゴゴゴゴゴゴ


亜里沙「ひっ!」ビクッ


亜里沙(……雪穂……強くなったなぁ……主に精神面で……)

亜里沙「……え、えっと、どうぞ」

雪穂「お邪魔しま~す」スタスタ

亜里沙「……それでどうしたの?……あっ、一緒に寝るとか?」

雪穂「ううん、亜里沙と絵里中将の話をしにきたの」

亜里沙「……」

亜里沙「……そんなのつまらないよ……ほら、お汁粉あるから飲もうよ」


雪穂「逃げないで!それとお汁粉は食べるから置いといて!」


亜里沙「……お汁粉を『飲む』というところにツッコんでくれないんだね……」


雪穂「それは、だって……だって、私も最初はお汁粉が飲み物だと思ってたんだもん!」

雪穂「指摘されて恥ずかしくって……」


雪穂「そんな辱め……私だけで十分だよ!!」


亜里沙「雪穂……」ウルッ


雪穂「亜里沙…………そんなことを話すために来たんじゃないよ……」

亜里沙「ちっ……」

雪穂「あっ、舌打ちしたなぁ、このぉ!!」コチョコチョコチョコチョ

亜里沙「ひっ……だめっ……ぷっ、あはははははははは、だめ、うぐっ、だったらぁぁ!!」

雪穂「……ふう……」

亜里沙「……はあ……はあ……」

雪穂「はっ……いけない!亜里沙の巧妙な話術に乗せられてた……!!」

亜里沙(雪穂……私ほとんど喋ってないよぉ……)


雪穂「それで、亜里沙……亜里沙は絵里中将のことが本当は好きなんだよね」


亜里沙「ゆ~きほ♪」ビュン!!

ズドン!!

雪穂「……え?……あり…さ…?」

亜里沙「おっと、いけない、壁に穴空けちゃったよ、えへへ」ニコニコ

雪穂「……亜里沙……」

亜里沙「なあに、雪穂♪」ニコッ


雪穂「お汁粉そろそろ温めない?」


亜里沙「いや、なんでお汁粉に話が戻るの!?ここは真剣なシーンだよ!!」

雪穂「……ほえ?だって……」


雪穂「亜里沙は私を傷つけないって信じてるもん」ニコッ


亜里沙「……雪穂……」


雪穂「あと、お腹空いちゃった」


亜里沙「もう色々台無しだよ!!」

雪穂「えへへ///」

亜里沙「はあ……もう雪穂はぁ……ふふっ……温めて来るから待ってて」ニコッ

雪穂「うん、よろしくね」ニコッ

雪穂「……ふふっ」

雪穂(……よかった……笑ってくれた)


亜里沙「~~♪」カチャカチャ


雪穂(一緒にいたとき一度だけ聞いた、お姉ちゃんの願い……)

雪穂(『皆がみんな笑い合う世界』……)

雪穂(うん、やっぱり……皆が笑顔になれたら嬉しいね……お姉ちゃん……)

雪穂(けど……)

雪穂(亜里沙が本当に笑い合いたいのはきっと……)

雪穂(……今はまだ無理でも、いつか……できたらいいなぁ)


雪穂「……」

雪穂(……あ、そうだ)

雪穂「ねえ、亜里沙お願いがあるんだけど……」

兵舎 海未病室


海未「……うぅ……やめてくださいぃ……ゆきほぉ……」

にこ「はあ、いつまでうなされてんだか……いや、それほど怖かったのか……」

にこ(一応、雪穂がいつトドメを刺しに来てもいいように待ってるけど……)

にこ(……だんだんアホらしく思えてきたわ……)


ズドン!!


にこ「な、なに!?敵襲!?雪穂!?」


海未「」スースー

にこ「……」

にこ「いや、マジでなんなの……とりあえずコイツとは関係なさそうね」

海未「」スースー

にこ(……にしても、コイツも強くなったわね)

にこ(それもずっと穂乃果ちゃんのために、っていうたった一つの意志だけでここまで強くなった……)

にこ(ほんと……本物のバカよね、ふふっ)

にこ(私も穂乃果ちゃんのために訓練すればもっと強くなるのかしらね……)

にこ(……)


コンコンコン ウミサーン ハイリマスネー


にこ(ゆ、雪穂!?)ビクッ

にこ(え~っとぉ……とりあえず隠れて様子を窺って……)コソコソ

ガララッ……ピシャ……

雪穂「海未さ~ん……まだ寝てますか?」

にこ(まさか寝ているのを確認して襲う気!?)

雪穂「う~ん、どうしよう……けど、冷めちゃうとあんまりだし」

にこ(やっぱり、目が覚めないうちに事に及ぶのね!)

雪穂「よし、もういいや、このまま飲ませよう!」


にこ「なっ!?雪穂!今すぐその毒薬を捨てなさい!!」バサァ!!


雪穂「ええぇぇ!!??にこ大佐!?なんで布団の中から!?」


にこ「そんなことはどうでもいいのよ!さあ、早くそれを……え?」

雪穂「ほえ?あ、これ中身はお汁粉ですよ」つ鍋

凛「よいしょっ……よいしょっ……ふう…車いすも楽じゃないにゃぁ……」

凛「お待たせ、雪穂ちゃん、海未ちゃんはまだ寝てるか……にゃ?」


海未にこ「「」」


凛「にこ大佐が海未ちゃんを襲ってるにゃ!?」ガーン


にこ「違うわよ!これには訳が!」

雪穂「……いえ、皆まで言わなくもいいです……人それぞれですから……」

にこ「待って、弁解させて!これは海未を守ろうと……!!」

亜里沙「うんうん、けど、セクハラは犯罪だよね」

にこ「だから、違う……っていうか、いつからいたのよ!!」

凛「さて、お汁粉飲むにゃ~」

にこ「なんで話が逸れるの!?」

海未「」スースー

にこ「――っていうわけよ……」

雪穂「まさか~、私が海未さんをヤるわけないじゃないですか~、あはは~」

凛「そう、そう、にこ大佐の考えすぎにゃ~」

亜里沙「まったく雪穂を疑うだなんて……」


雪穂凛亜里沙「「「にこ大佐はバカだなぁ~」」」


にこ「……コイツら……」ピクピク


雪穂「私は今日のお疲れ会としてお汁粉パーティーをしようとしただけですよ」

雪穂「それに海未さんはまだ動けないから、ここのほうがいいかなぁって思って」

にこ「そんな話聞いてないわよ!」

雪穂「だって、にこ大佐の部屋に呼びに行ったら留守でしたし……」

にこ「……あ……」


雪穂凛亜里沙「「「にこ大佐はバkにこ「それはもういいわよ!!!」

にこ「じゃあ、つまりさっきのは寝ている海未に熱いお汁粉を鍋ごと飲ませようと……」

雪穂「はい、熱々が美味しいですから!」ドヤァ

にこ「殺す気か!!」

亜里沙「ふふっ、雪穂は可愛いなぁ」

凛「ズズッ……熱っ!……凛、猫舌だからもうちょっとしてから飲むにゃ……」

雪穂「あ、凛さん、まずは乾杯ですってば」

凛「あっ、そうだったにゃ!ごめんごめん、えへへ///」

雪穂「もう仕方がないですねぇ」


雪穂凛亜里沙「「「あはははははははははははははは」」」


にこ「海未ぃ……さっさと起きてよぉ……もうよく分からないわ、この状況……」


海未「うみゅぅぅ……」ウーンウーン

海未「ゆきほがぁぁ……ゆきほがきますぅぅ……」ウーンウーン

雪穂「あ、海未さん、起きたんですか?はい、これ熱いうちにどうぞ」つ鍋 グビッ

にこ「……え、コイツまだ起きてな……」

海未「ぶふぉぅぅっっ!!!」

雪穂「きゃぁぁあああああ!!なんでまた私にかけるんですか!!」

にこ「えええ!?アンタのせいでしょ!!」

亜里沙「雪穂を汚すなぁぁあああ!!」ビュン!

海未「がふっっ!!!???」ズドン!!

にこ「いや、怪我人に怪我させんじゃないわよ!!」

凛「あっ、もう飲めるにゃ、ズズッ……」

にこ「凛!乾杯がまだよ!」


凛「おっと……みんな~、いくよ~、かんぱ~いだにゃ~!!」つ旦


にこ「えっ、ちょっと、私のお汁粉は……」


雪穂亜里沙「「かんぱ~い!!!!」」つ旦つ旦


にこ「……か、かんぱーい……」つ


海未「」ピクピク

1か月後

『2つ目の壁』 壁上


穂乃果「……」ググググググググググ…


穂乃果「……あっ」ツルッ バシュン!!!


兵舎 にこ自室


にこ「ふぁ~……」

にこ(そろそろ時間ね……よし、今日も張り切って)スクッ

ガシャーーーーーーーーン!!!

にこ「ひっ!?ななななに、何なの!?」バッ

ボトッ

にこ「……わ、輪ごむ?特大の……」ソーッ

にこ(いや、穂乃果ちゃん……いくら遠いからってそんな無茶な……)

にこ「……片づけは……はあ、後でいっか……」

『2つ目の壁』 外側


穂乃果「いやぁ、そのぉ、割らないように加減するつもりだったんだけどね、あははー」

穂乃果「こう、窓にビタァン!って張り付く感じに……」

にこ「……」ジッ

穂乃果「ご、ごめんなさい……」

にこ「はあ、もういいわ……それで、何か用があったんでしょ?」

穂乃果「うん……」


穂乃果「……穂乃果ね、いま花陽さんの訓練をつけてるんだ……」

にこ「ああ、Panayonic社の……」

にこ(……ん?訓練?)

穂乃果「本社内の訓練場でいつも朝からやってるんだけど、今日はどこかに消えちゃって……」

にこ「……それだけだと、私を呼ぶ理由になってないわよ」

穂乃果「ううん、にこちゃんの所に行くはずだから」

にこ「……は?」


穂乃果「花陽さんはね、凛軍曹の怪我のことを、にこちゃんのせいだって思ってるの」

兵舎 にこ自室


花陽「……」スタスタ キョロキョロ

花陽(いない……)スタスタ

パキパキ パリン パリン

花陽(輪ごむ……穂乃果ちゃん……)


海未「何だかスゴい音でしたね」

雪穂「はい、確かこの辺……っていうか、これにこ大佐の部屋じゃ!?」


花陽「あれ?貴女たちは……」


海未雪穂「「……はい?」」

『2つ目の壁』 外側


にこ「……そう」

にこ「それで私の所に行ったんじゃないか、って思ったわけか」

穂乃果「うん、にこちゃんが心配で……」

にこ「し、心配してくれるのは嬉しいけどね///……でも」

にこ「アイツが私を襲ったとしても勝てるわけないわ、たとえ穂乃果ちゃんの訓練を受けていたとしても」


穂乃果「ううん、花陽さんはもうあの時の花陽さんじゃないよ」

1か月前 

『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室


穂乃果「私が訓練を……ですか?」

真姫「ええ、できる?」

穂乃果「いや、できますけど……どうして花陽お嬢様に?」

真姫「それは…」


花陽「凛ちゃんが、にこ大佐との戦闘で怪我をしたの……」モグモグ


穂乃果「え?」


花陽「にこ大佐が凛ちゃんを傷つけたんです!」モグモグ

花陽「だから、にこ大佐なんかにこれ以上、大切な凛ちゃんを任せておけません!」モグモグ

花陽「私は、にこ大佐を倒します!!」


穂乃果「え、え、ええぇぇ!?」

ツバサ「……」


真姫「いや、ちょっと違うわよ、さすがに倒されちゃったら兵力が落ちちゃうし」

真姫「まずは、その目で確かめてほしいのよ、にこ大佐を」

穂乃果「確かめるって?」

真姫「穂乃果との訓練が終わり次第、花陽お嬢様には、一時的ににこ大佐の部隊に入ってもらうわ」

真姫「そこで過ごしてみて、どうしてもにこ大佐に納得できないなら、にこ大佐とルールありの戦闘を行ってもらう」

真姫「そこで、もし花陽お嬢様が勝ったら、にこ大佐には……隊長を辞めてもらうわ」

穂乃果「……へ?」

真姫「あ、けど、訓練の様子で兵士としての実力があるか見定めて、入隊を決めるから、にこ大佐にはまだ内密にね」

穂乃果「え、あ、はい、でもっ!」


真姫「あと、ここからが最重要事項よ」キリッ


穂乃果「っ!?」

ツバサ「……」

真姫「花陽お嬢様は今の状態では、訓練すらついていけないと思うわ」

真姫「だって……」


真姫「片手がおにぎりで塞がっているから!」


花陽「……」モグモグ


穂乃果「いや、体力とか、素質とか、もっと大きな面で問題が……」

ツバサ「では、私が隣で食べさせ続ければいいんですね」

穂乃果「なんでそうなるんですか!?」

真姫「それも考えたんだけどね」

穂乃果「もっと考えましょう!ファイトだよ!」

真姫「色々計算した結果……」


真姫「体を改造することにしたわ」


穂乃果「……えっ?」

ツバサ「……」

花陽「……」モグモグ

演習場


海未「へえ、その背中のゼンマイはファッションじゃないんですね」ジー

雪穂「ほえ~、サイボーグっていうんですかぁ、今の技術ってこんなに進んでるんだぁ……」ジー

花陽「う、うん……でも、このゼンマイはお米燃料が切れたとき用で……」

花陽「通常はお米燃料で体内の機械を動かして筋力の補助をしてるんだ」

花陽「あとは、武器を仕込んであったり……」スチャ

海未「て、手の中から銃が……!?」

花陽「弾丸はお米、しかも、一等米の『あきたこまき』を使ってるの」


海未「か、か……格好良いです!!」キラキラ


花陽「……そ、そう?」


海未「はい!私なんてずっと素手で戦っているんですよ!乙女なのに!」

海未「そろそろ武器の一つくらいくれたっていいと思いませんか!!」

雪穂「あれ?そういえば、海未さん、もらった厚底はどうしたんでしたっけ?」

海未「もちろん捨てました」ドヤァ

雪穂「ですよねぇ、私もロッカーの奥に入れたままですよ」

海未雪穂「「あははははははははははは」」


花陽「……」

花陽「花陽のこと……怖くないの?」


海未「え?なぜです?」

花陽「だって、ほとんど人間じゃないよ……」

海未「ああ……」

海未「そんな些細なこと気にしません」


海未「例え、形が変わろうとも、記憶を失おうとも……その人は、その人なんです」


雪穂「そうですよ、それに凛さんを想ってしたことなら、なおさら怖がることはありません」


花陽「……」グッ

花陽「……そっか」


海未雪穂「「はい」」ニコッ


花陽「……」

『2つ目の壁』 外側


にこ「……凛のために、サイボーグに、ね……」

穂乃果「私も始めはやめるように言ったんだけどね……」

穂乃果「友達を守りたい、っていう強い目……」

穂乃果「あの目を見たら……何も言えなくなったんだ……」

にこ「……」

穂乃果「にこちゃんにはずっと黙ってて……いきなりこんなこと言って悪いと思うんだけど」


穂乃果「花陽さんのこと、よろしくお願いします」ペコリ


にこ「……」

にこ「大丈夫、私が何とかしてみせるわ」


穂乃果「にこちゃん……」


にこ「いや、私とアイツら、部隊のみんなで、ね」

にこ「凛を任せてもいい最高の部隊ってことを、花陽に感じさせてやるわ」

にこ「だから、アンタは心配せず笑って待ってなさい」


穂乃果「……うん」


にこ「にっこにっこにー、でしょ?」ニコッ


穂乃果「うん、にっこにっこにー」ニコッ

『2つ目の壁』 壁上


ことり「……」ジー

ことり「ふふっ、二人とも優しいなぁ♪」

ことり「でも、にこ大佐の優しさには全然興味が湧かないやぁ」

ことり「みんな好きな人には優しいもんね」


ことり「それに比べて穂乃果ちゃんは……」

ことり「ふふふ、いつも面白いなぁ♪」

ことり「だから、気になってしょうがないんだけどね」


ことり「さてと、あっちはどうなってるかなぁ」

ことり「ね、海未ちゃん♪」チュン!

演習場


海未「にこ大佐について、ですか……」

花陽「うん、どんな人かな」

海未「まずは、訓練バカ、ですね」

花陽「……訓練バカ?」

海未「ええ、私たちに訓練ばかりさせるんですよ……まあ、実力が足りないのは分かっているんですけどね」

海未「けど、そろそろ任務をしてもいいと思うんです!」

雪穂「うえぇ~、私、任務はちょっと……」

海未「あ、確かこの会社、任務手当というのが別に付くようですよ」

雪穂「ぜひ任務したいですね」キリッ


花陽「……」

海未「あ、それと、にこ大佐は、ツッコミ役、です」

花陽(……性格のこととか知りたいんだけどなぁ……)

雪穂「ああ、あの人あまりボケませんからね」

海未「バカなのにボケないのはなぜなんでしょうか……未だに謎です」

雪穂「ああ、それは私も思ってました」

海未「……ハッ!まさかバカではないのでは……」

雪穂「それはないですって~」

海未「ですよね~」

海未雪穂「「あははははははははははは」」


花陽(にこ大佐って実は可哀想な人……いやいやいや、そんなわけ……)

花陽「……ほ、他には?」

海未「あとは……」


海未「必ず守ってくれます」


花陽「……」

花陽「嘘です」


海未「いえいえ、これが本当なんです、ピンチのときには現れますから」

雪穂「海未さんはピンチになりすぎですけどね」

海未「ふっ、それはもう過去のことです」



花陽「……じゃあ、いま私が貴女を攻撃したら、にこ大佐は駆けつけてくれるのかな?」


雪穂「……え、花陽さん?」

海未「ええ、もちろんです、あの人は私が大好きなようですから」

雪穂「いや、どこからその自信が……」


海未「ですが……私が本当にピンチになったらの話です」


花陽「……ならないとでも?」スチャ


海未「はい、なりません」

海未「花陽は私を撃ちませんから」


ズダダダダダダダ!!!


海未「……うみゅ?」


ドドドドドォォォオオオン!!!


花陽「今度は、威嚇じゃないよ」ニコッ


海未(う……撃ってきましたぁぁぁああああ!!??)

海未「な、なぜです……私たちは穂乃果、貴女は凛、一人の女を求める似た者同士、いわば同志、心の友じゃないですか!?」

雪穂「そうですよ!あと、私は撃たないでくださいね、海未さんはいいですけど!」モゾモゾ ゴソゴソ

海未「そんな!?雪穂、あんまりです!っていうか、光学迷彩着るの早くなりましたね、いいことです!」


花陽「……うるさいなぁ……」

花陽「友達は凛ちゃんだけでいいの!!」


花陽「ウェポンズ・ライス!!」スチャ


ズダダダダダダダダダダダダダダダダ!!!!


海未「ひいっ!!」ズザァ スカッ


ドドドドドドドドドドドドドドドォォォォオオオオオオン!!!!


雪穂「では、私は隠れてるんで、生きてたらまたお会いしましょう」


海未「雪穂ぉぉぉおおおお!!!」

花陽「逃げた……やっぱり、凛ちゃん以外の人はみんなこんなものだよね、自分が一番大切なんだもん……」

花陽「けど、今は海未ちゃんさえいればいいか……」

海未「くっ……!!」

花陽「いくよ」シュン!!!

海未「ふっ、その速度ならなんとか対応できます!」


花陽「ストロング・飯マー!!」ボゥン!!


海未「え、手が飛ん……うみゅっっ!!!」ズドン!! ゴロゴロゴロゴロ バタリ


花陽「……」シュン!!!


海未「けほっ……はあ、びっくりしまし……え?」

花陽「……」ガシッ

海未「え、ちょっと待ってください!スカートでの馬乗りはパンツが見えて危険で……!!」


花陽「アルティメット・飯マー!!」ブン!!!


海未「うみゅがはぁっ!!!」ドゴォン!

花陽「……」スクッ

海未「」

花陽「にこ大佐はまだかな……」キョロキョロ


海未「うぐっ……」

海未「……ええ……まだですよ……」ググッ

海未「……私が……ピンチではないですからね」ムクリ


花陽「へえ、海未ちゃん今のでも起き上がるんだぁ、強いんだね」

海未「ふふっ……伊達に穂乃果の輪ごむを何度も食らっていませんからね」

花陽「そう……」


花陽「なら、私の輪ごむはどうかな?」


海未「え?」


花陽「ハナァァーーッヨォォ!!!」グググ

花陽「輪ごぉぉおおむ!!!」バシュン!


海未「まさかっ……うひゃぁ!!」ピョン スカッ ズドォン!


花陽「う~ん、一度教えてもらったけど、コツがまだ分からないなぁ……」


海未(穂乃果ぁぁぁあああ、なんてもの教えてるんですかぁぁぁ!!!)

海未(……けど、まだ完成には至っていないようですね、この程度なら……!!)


海未「はぁぁああああ!!」シュダダダダダダダ


花陽「!?……ハナーッヨ輪ごぉぉむ!!!!」バシュンバシュンバシュンバシュン!!!!

ズドォン!ズドォン!ズドン!ズドォン!

海未「うぐぅっ!!!」


海未「こんなもの!穂乃果のに比べたらぁぁぁあああああ!!!」ブン!!!


花陽「なっ!?……きゃぁぁぁぁあああああ!!」


ガキン!!


海未「いっ……痛ぁぁあああ、痛いですぅぅぅうううう!!!」ゴロゴロ バタバタ


花陽「……あれ?……あ、そっか、装甲にマキニウム合金使ってたんだよね」

花陽「ごめんね、海未ちゃん、殴られたところで効かないみたいだよ」

海未「う、うみゅぅぅ……私の腹パンが…………ん?」


海未(花陽のあれって……)ジー

花陽「じゃあね、海未ちゃん、結局にこ大佐は来なかったね」スチャ!


海未「まだです!!まだピンチじゃありませんから!」シュダダダダダダダ


花陽「そんな強がり……ウェポンズ・r雪穂「させません!!」ガシッ!


花陽「いっ!?なんで!?逃げたんじゃ!?」



雪穂「あはは、そんなことしませんよ、だって……」



海未「ええ、仲間ですから!!」


花陽「なか……ま……そんなの!」ジタバタ


雪穂「早く!海未さん、やってください、花陽さんの筋力ハンパないです!」グググ

海未「分かりました!そのままお願いします!」シュダダダダダダダ

花陽「何をやっても無駄なのはさっき……」

海未「ふっ、装甲が全部に付いていないのは見ていて分かりました」


海未(クソ師匠!貴女から教わった唯一の技、使わせていただきます!!)キリッ



海未「わしわし・マァァアアアアッッッックス!!!!」ワシワシワシワシワシワシワシワシ



花陽「……えっ?きゃぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」



雪穂「ええぇぇぇ!!??海未さん!?ななななんでそんな技使うんですか、私も共犯者じゃないですか、これぇぇええ!!」



海未「仲間じゃないですか、ね♪」ニコッ ワシワシ


雪穂「揉みながら、いい笑顔で言わないでください!!」

花陽「はあ……はあ……」ガクッ

雪穂「花陽さん、大丈夫ですか?」つスッ

花陽「ひいっ!!こ、来ないでくださいぃぃぃ!!」

雪穂(きゅ、急に敬語に……)

花陽「ここここんな変態の巣窟に凛ちゃんを置いとくなんて絶対認めませんから!!」

花陽「すぐに凛ちゃんw凛「お~~~い、か~~よち~~ん!!」


花陽「……え?凛ちゃん!?なんでここに!?」


凛「やっと車イスから松葉杖になったから、散歩してたんだにゃ~」


花陽「そ、そっかぁ……」


凛「そういえば、さっきの戦い……見てたよ」


花陽「!?……や、やっぱり花陽のこと嫌いに……」


凛「格好良かったにゃ~!!」ワクワク


花陽「……え?」

凛「けど、海未ちゃんに最後やられて残念だったね、大丈夫だったかにゃ?」

花陽「……花陽のこと……気持ち悪くない?」

凛「何言ってるにゃ、かよちんは格好良かったんだよ!」

花陽「り、凛ぢゃぁぁぁあああん!!!」ダキッ

凛「にゃ!?……えっと……よしよ~し、か~よち~ん」ナデナデ


雪穂「はぁ……凛さんがいると安心しますね、もう海未さんの相手は疲れましたから」

海未「そんな、雪穂!それはあんまりですよぉ!!」


凛「それで……何があったにゃ?」

海未「――――と、まあ、こんな感じで、今に至ります」


凛「へえ、そんなことが……」

花陽「うん、花陽、凛ちゃんのためにっ……!!」

凛「かよちん……ありがとう」

凛「……でも、これは凛のせいだから、凛が勝手にやって勝手に怪我をしたの」

凛「にこ大佐は悪くないよ」


花陽「でも!」


凛「かよちん!!」


花陽「!?」ビクッ


凛「凛はね、かよちんのこと大好きだよ……でも、同じくらい皆のことが好きなんだ……」

凛「一緒にいたいって思ってるんだ……」

凛「だから、ここを離れるなんてこと、できないよ」


花陽「ううぅ……分かった……」


凛「ありがとう、かよちん♪」ニコッ

花陽「あ、けど、そうすると、凛ちゃんとの時間がぁ……」

凛「にゃ?かよちんも部隊に入るんじゃないの?」

花陽「え?……そっかぁ、このままずっといればいいんだね!!」

凛「そうにゃ、そうにゃ、そうするにゃ~」

花陽「うん、よろしくね、凛ちゃん♪」

凛「うん、かよちん♪」

凛花陽「「えへへへへ~」」


雪穂「さすが、凛さんです、言葉だけでまとめるなんて……」チラッ

海未「わ、私だってそのくらい!」プイッ



にこ「……何これ……どういう状況……?」スタスタ

海未「にこ大佐、遅いです!私がピンチのときにはさっさと駆けつけてくださいよ!」

にこ「いや、知らないことまでは助けられないわよ……」

雪穂「それよりも、やっぱりさっきのピンチだったんですね」

海未「ええ、もう少しで私の体に風穴が空くところでした!」ドヤァ

雪穂「私がいなかったらどうしてたんですか、まったく……」

海未「雪穂はそんな子じゃありませんから」ニコッ ナデナデ

雪穂「汚らしい手で触れないでください」パシッ

海未「……」

にこ(話について行けないんだけど……)

花陽「にこ大佐」

にこ「ん?どうしたの?」


花陽「私をずっとこの部隊に置かせてもらえませんか?」


にこ「はあっ!?いきなりどうしたのよ!?」


花陽「凛ちゃんと一緒にいたいからです!ねえ、凛ちゃん♪」


凛「うん、か~よちん♪」


にこ「いやいやいや、あの約束はいいの?一時的に入隊して納得いかなければ私と戦うっていう」


花陽「そんなのにはもう興味がありません、凛ちゃんが許すならそれでいいですし」

花陽「それに、凛ちゃんは私が守ればいいんです!変態から!」


凛「かよちん、格好良いにゃ~♪でも凛も戦いたいから、ほどほどにね」


雪穂「は、花陽さん?私は変態じゃないですからね」ニコッ

花陽「り、凛ちゃん逃げて!変態の相手は花陽が!!」

凛「……にゃ?」


にこ「……な、なんなの……もう解決したってこと?……それに変態って……?」

海未「にこ大佐……」つポンッ

にこ「よく分からないけど、触らないで」パシッ

海未「……」


にこ(穂乃果ちゃんに格好良いこと言っといて、これじゃあ、私だけ何もできてないじゃない……あぁ……恥ずかしい……)

兵舎屋上


ことり「……」ジー

ことり「海未ちゃん、勝っちゃったかぁ、ざ~んねん♪」

ことり「楽しみだったんだけどなぁ」

ことり「海未ちゃんがやられたら……どんな顔をするのか」


ことり「優しい優しい穂乃果ちゃんが、どんな顔をするのか」


ことり「ふふっ、想像が尽きないなぁ♪」

ことり「……」チュン!

今日はここまでです


今回は「花陽強襲編」ということでした

もちろん花陽の元ネタは、変態サイボーグのフランキーです

ワンピースを読んでいない方には技のところが分かりづらいかと思いますが、ご容赦ください


それでは、また次回、お楽しみに

1日後

『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室


花陽「じゃ、これからよろしくね、真姫大将」

真姫「ええ、こちらこそ」

ガチャ バタン

真姫「……まさか花陽お嬢様が正式に志願するとは思わなかったわ」

穂乃果「はい、穂乃果も今知って驚いてます……」

絵里「けど、これで戦力が上がったのには助かりました」

真姫「……いいえ、まだまだ足りないわ……」

穂乃果「そんなにUTXの動きが怪しいんですか?」

真姫「……ええ、UTXが各所から鉄鋼類を集めてるのよ、それも大量に」

真姫「それが食糧類とか繊維類とかならまだしも、鉄鋼類となると……」

絵里「……戦争の準備、ですね」

真姫「ええ、それが最も考えられるわ」

穂乃果「……」

演習場


凛「あ、かよちん、どうだった?」

花陽「大丈夫だったよ、これからよろしくね、凛ちゃん♪」

凛「うん、か~よちん♪」


にこ「さて、花陽も加わったことだし、これで訓練の幅も広がるわね」

海未「出ましたね、訓練バカが」

花陽「ああ、これが言ってたやつなんだぁ」


雪穂「……」ファサ


凛「雪穂ちゃん、消えて逃げちゃったにゃ~」

にこ「雪穂♪出てこないと、周囲一帯蹴りまくるにこ♪」


雪穂「……はい……」ファサ


にこ「はあ、まったく……けど、アンタのそれも上達してきたわね」

にこ「今もほんの数秒でそこまで移動するなんて」

雪穂「ほ、本当ですか!!」パァ

にこ「けど、通常訓練も怠るなにこ♪」

雪穂「……はーい……」


雪穂(けど、やっぱり私、使いこなせてるんだ)グッ

雪穂(なら……)グッ

数時間後


にこ「以上!今日の訓練終了!!」ドヤァ

にこ「はぁ、けど、久々に良い訓練ができたわ」

にこ「各自しっかり休息を取るように!また明日も訓練よ!解散!」スタスタスタスタ

雪穂「す、すべてのセリフに訓練という単語が……」

凛「もっとこの前の演習みたいな実践がやりたいにゃ~」

花陽「あ、凛ちゃん、先に行ってていいよ」

花陽「お米も補給したいし、このあと用事があるから」

凛「うん、分かったにゃ~」スタスタ

雪穂「海未さ~ん、行きますよ~」

海未「あ、雪穂も先に行っててください、私も用事があるので」

雪穂「……?分かりました~」スタスタ

花陽「……」パカッ ガサゴソ

海未「……」ジー

花陽「……な、何なんですか、花陽のお腹を見て……」パタン

花陽「まさか、今度は胸だけでは飽き足らず、お腹を……ひぃっ!!」ビクッ

海未「ちちち違いますよ!花陽にお願いがあるから待っていただけで、何も卑猥なことは!!」

花陽「……花陽に?」


海未「ええ……」

海未「花陽、お願いします!」ペコリ


海未「私にあの輪ごむ技を教えていただけませんか!」

1週間後

演習場


海未「ウミーーッミィィィ!!」グググ…


海未「輪ごぉぉぉおおおおむ!!!」パシュン


ペシッ


花陽「……」


海未「……てへっ」


花陽「……はあ、教えてほしいと頼まれて1週間は経ちましたが……」

花陽「どうしてあんなに教えたのにできないんですか?」

花陽「……花陽、今日はもう用事があるんで行きますね……」

海未「ま、待ってくださいよぉぉ!!」

海未「できないのは、あれです!そう!技名があれでは締まらないからですよ!」

花陽「ああ、『変態輪ごーむ』のほうがしっくりきますもんね」ニコッ

海未「だから、私は変態じゃないんです!海未ちゃんです!」

花陽「それでは、変態の海未ちゃん、花陽は本当に用事があるから、あとは勝手にやっててください」スタスタ

海未「そんなぁ……うみゅぅぅ……」

海未「……はあ、仕方がありませんね……あとは一人で……」


海未「ウミューーッミュ輪ご~む!!」パスッ!


海未「ウミーーッチャン輪ご~む!!」ピョーン!

ウミューーッミュ ワゴーム!!

ウミーーッチャン ワゴーム!!


にこ「……」ジー

にこ(アイツ……訓練のあとずっと残って何やってんのかと思えば……)

にこ(こういうのは、あんまし手助けしない方がいいんだろうけど……)

にこ(ああ!イライラする!何で技名しか変えないのよ!大事なのはそっちじゃないでしょ!)

にこ(……)

にこ(けど、努力してるのには変わりないのよね……穂乃果ちゃんのために……)

にこ(……もう少しだけ、見守ってやるか……)


オーイ! ニコタイサー! ストーカーデスカー?
カンベン シテクダサイヨォ!!


にこ「違うわよ!!」

にこ「……ったく、心配してやってんのに……もう帰ろ……」

兵舎 食堂

ワイワイ ガヤガヤ

雪穂「あ、海未さん、お疲れ様です」

海未「……ん?雪穂、お疲れ様です」

雪穂「それで輪ごむ技はできそうですか?」

海未「はあ……いや、それがどうにもできなくて……」

海未「おそらく名前がしっくり来ないからだと思うんですが……」

雪穂「うん、これは時間がかかりそうだ」


雪穂「ところで、そろそろ例のアレをしてもいい頃だと思うんですが」

海未「うみゅ?私の誕生日はもう少し先ですが?」

雪穂「違います!何で海未さんを祝わなきゃいけないんですか!」

海未「……あ、何でしょう……疲れてるところに、この仕打ち……泣きそうです……」

雪穂「アレっていうのは……」

海未(あ、泣きそうなのにスルーですか……もう本気で泣いちゃいますよ)


雪穂「本社への潜入です」


海未「……え?」

1週間後

『2つ目の壁』 正門前


海未(まったく……雪穂も大胆な作戦を思いつきますね)

海未(すべて私のアドリブで門番をどうにか無力化しろ、だなんて)

海未(……うみゅ?というか、これは作戦なんでしょうか……?)

海未(いや、まさかこれは、雪穂から私への挑戦状!?)

海未(いいでしょう!やってやります!)グッ



海未(……さて、雪穂が行ってから10分が経ちますし……光学迷彩で見えませんが、恐らくはすでに門の前……)

海未(門番は2人……あの程度の人たちなら)

海未(いけます!)


海未「うみゅぅぅぅぅぅううううううう!!!!!」シュダダダダダダダ

ウミュゥゥゥゥゥウウウウウウウ!!!!!


雪穂(あ、来た……)

雪穂(考えるの面倒臭くて丸投げしちゃったけど……海未さん!お願いします!)


門番1「おい、何か来るぞ、クソマリモ」

門番2「ああ、来るな、クソコック」カチャ

門番1「おいおい、いきなりレディーに刃物向けるなよ、レディーはソフトに扱うもんだ」

門番2「けっ、言ってろ、足元すくわれても知らねぇぞ」


雪穂(な、仲悪いのかな、この2人……)


海未「はぁ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」

海未「……う……う」


海未「産まれそうです!!!」


雪穂(……)


門番2「いや、お前今走ってきたろ」


海未「だから、早く本社の病s門番1「なっ!?それは大変だ、私がすぐに兵舎の病室へお連れしましょう」ガシッ


門番2「おい!門番はどうすんだよ!」


門番1「そんなん勝手にやってろーい!!」つ海未 ピューーーーーン


雪穂(海未さ~~~~~ん!!!)

雪穂(……)

1時間後


門番1「おい、クソマリモ、ちゃんと門番やってるか」スタスタ

門番2「ちっ、病室運ぶのにいつまでかかってんだ、あれ嘘だろ」

門番1「ふん……女の嘘は、許すのが男だ」

門番1「それとお茶してきた、なかなかワイルドなレディーだったぜ」


雪穂(いや、何やってるんですか、海未さん!?)

雪穂(私ずっと立って待ってたのにぃ!!)

海未(ふう、まさかホールケーキまでご馳走していただけるとは……)

海未(さあ、雪穂、待っていてください!今行きますから!)キリッ


海未「うみゅみゅみゅみゅぅぅぅぅぅうううううううう!!!!」シュダダダダダダダ

ウミュミュミュミュゥゥゥゥゥウウウウウウウウ!!!!


門番2「おい、クソコック、また来たぞ」

門番1「嗚呼、愛しの海未ちゃんが一直線に俺の胸に向かって来る……」

門番2「……」


海未「ぜえ……はあ……ぜえ……はあ……」

海未「……う……う」


海未「産まれました!!」


雪穂(何か他にジャンルないんですか……)


海未「だから、父親の穂乃k門番1「なっ!?それは大変だ、私がすぐにお祝いして差し上げます」ガシッ


門番2「おい、門b門番1「そんなん勝手にやってろーい!!」つ海未 ピューーーーン!


雪穂(海未さ~~~~~ん!!!)

雪穂(というか、父親がお姉ちゃんって無理ありすぎです!)

1時間後


門番1「おい、クソマリモ、ちゃんと門番やってるか」

門番2「……」

雪穂(……)

門番1「にしても、海未ちゃん、やっぱりワイルドなレディーだったぜ」

海未(ふう……今度はバケツプリンまで頂けるとは……)

海未(さあ、雪穂が待ってます!行かなければ!)キリッ


海未「うみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅみゅぅぅぅぅぅぅうううううう!!!」シュダダダダダダダ

ウミュミュミュミュミュミュミュミュミュミュゥゥゥゥゥゥウウウウウウ!!!


雪穂(……)

門番2「……」

門番1「やあ、海未ちゃん、俺に会いに来てくれたのかい?」


海未「ぜぇ……はぁ……ぅ」


門番1「……海未ちゃん?」


海未「う、うっぷ……」


雪穂(海未さ~~~~~ん!!!)

雪穂(いったいどれだけ食べて来たんですか!?)


門番2「おい……なんだか吐きそうだぞ、クソマリモ……」


門番1「なっ!?それは大変だ!すぐに兵舎の病室へお連れしましょう」ガシッ


門番1「そんなん勝手にやってろーい!」つ海未 ピューーーーン!


門番2「いや、まだ何も言って……ん?」チラッ

花陽「何だか騒がしいなぁ……」スタスタ

花陽「あ、いつものメンテナンスです」

門番2「ああ、聞いてる、ほらよ」ギギギギギギィ……

花陽「うん」スタスタ


雪穂(えええええぇぇぇぇぇ!!??)

『2つ目の壁』の向こう側 本社への道


雪穂(な、なんとか入れた……)


花陽「……」スタスタ


雪穂(花陽さん、ありがとうございます、気づいてないだろうけど……)

雪穂(さてと、社長室ってどこなのかな……)キョロキョロ

雪穂(あれ?というか、花陽さんを改造したのは真姫大将なんだから、メンテナンスするのも真姫大将なんじゃ……)

雪穂(よ、よし、とにかく後を追おう、早くしないと行っちゃう)タッタッタ

『2つ目の壁』 壁上


ことり「ふふっ、あんまり走るとバレちゃいますよー♪」ジー

ことり「穂乃果ちゃんの妹も楽しみなんだけどなぁ」


ことり「でも、今はやっぱり……」


ことり「海未ちゃん♪」チュン!

『2つ目の壁』 外側


海未「はあ……すっきりしましたぁ」フキフキ

海未「けど、門番さんには悪いことしましたね」

海未「何かお詫びにお饅頭でも奢ってもらいましょう」

海未「あの人、女の人に親切にするのが趣味らしいですし」

海未「よし、そうしmことり「ふふっ、ひどいことするなぁ♪」シュタ!


海未「……へ?」

『2つ目の壁』の向こう側 本社 真姫専用研究室


花陽「こんにちは、真姫大将」

真姫「ええ、どうも」


雪穂(か、簡単に会えたぁぁ……)

雪穂(ああ……花陽さんが女神か何かに思えてくる……)


真姫「今日はメンテナンスに加えて、装備の追加ね」

花陽「新しい装備かぁ……凛ちゃん、また喜びそう、えへへ」

真姫「それは何よりだわ」

真姫「さあ、横になって」

花陽「うん、よいしょ……」パタリ

真姫「じゃあ、腕から行くわね」パカッ


雪穂(……め、女神の腕がぁぁぁ……パカッて、パカッてぇぇ……)

キュイィィィィィン!! ガガガガガガガガガ!!

雪穂(……うん、後ろ向いていよう……)

『2つ目の壁』 外側


ことり「久しぶり、海未ちゃん、模擬演習以来かな」

海未「また貴女ですか、被検体1号」

海未「以前もここで急に現れましたよね」

ことり「ふふっ、壁の上から人を見下ろすのが趣味でね、よくいるの♪」

海未「へえ、それはいい趣味をお持ちで」テキトー

ことり「穂乃果ちゃんの部屋も見えるしね♪」

海未「それはいい趣味をお持ちでっ!!!!!」クワッ

ことり「ふふっ、海未ちゃん、ピュアだったのが、ほんといい感じに黒くなったねぇ♪」

海未「いえいえ、私は誠実に穂乃果と向き合っていますよ」

ことり「そうなの?けど……」


ことり「穂乃果ちゃんは海未ちゃんのことが嫌いだって♪」


海未「……は?」

ことり「あと、こんなことも言ってたかなぁ」


ことり「海未ちゃんなんて消えちゃえばいいのにって♪」


海未「ふふっ……そ、そんなの嘘ですよ」


ことり「うん、嘘だよ♪」


海未「なっ!?からかってるんですか!?」

ことり「ふふっ、ごめんなさい♪」

ことり「でも……」



ことり「今、穂乃果ちゃんのこと、少しだけ疑ったよね?」


海未「っ……何をバカな、そんなことあrことり「ずっと穂乃果ちゃんに一直線に向かう海未ちゃん♪」

ことり「でも、返って来るのは優しい言葉じゃなくて、拒絶、拒絶、拒絶の輪ごむばかり♪」

ことり「どうしてなのかな♪」

ことり「どうして避けられているのかな♪」

ことり「どうして傷つけてくるのかな♪」


ことり「あぁ、どうして海未ちゃんは……」


ことり「嫌われているのかな」ニタァ

海未「……っ!!!」キッ

海未「ふざけないでください!!」


海未「私はそんなこと思ったことなど一度mことり「一度もないって言い切れる?」


海未「……っ!?」


ことり「そうだよねぇ」

ことり「人間誰しも、他人を信じ切れるわけじゃない」

ことり「ずっと仲の良い家族みたいな関係でも、一度でも裏切られるようなことがあれば……」

ことり「それはもう、疑っちゃうよね♪」

ことり「心に小さなしこりを抱えたまま……相手を信じよう、信じなきゃ、信じたい……」

ことり「そんなの無理だよ♪」


海未「……」

ことり「……あ~あ、海未ちゃんにはガッカリだなぁ」

ことり「海未ちゃんがただの人間だったなんて」

ことり「穂乃果ちゃんとは信頼し切れないただの他人だったなんて」

ことり「ざ~んねん♪」


海未「……」


ことり「どうしたの、海未ちゃん♪」ニコニコ


海未「……ぁ」ブルブル


ことり「あ?」


海未「ぁぁぁぁぁあああああああああああああ!!!!!」ダッ


ことり「ふふっ、もう頭が回らないのかな」

ことり「ほんと残念だなぁ、海未ちゃん」チュン!


海未「あああああああああああ!!!!!」ダダダダダダダ


ことり「はい、ちゅんちゅん♪」ギラッ


ざくっ……

『2つ目の壁』の向こう側 本社 真姫専用研究室


真姫「ふう、やっぱり軍の仕事よりこっちの方が楽しいわね」ツヤツヤ テカテカ


雪穂(こ、これは……!?は、花陽さんの、花陽さんの腕がぁぁ……)アワワ


花陽「うわぁ」パァ

花陽「ありがとう、真姫大将、これで凛ちゃんの心も鷲掴みだよぉ♪」


雪穂(花陽さ~~~~~ん!!腕少しゴツくなっちゃいましたけど、いいんですか、それで!?)


真姫「ふふっ、喜んで頂けてこちらとしても嬉しいわ」


真姫「今回付けたのは2つ」

真姫「技名『クー・ド・飯』……腕の中でお米を超高圧力状態に置いて、それを瞬時に解放することで、前方に向けて圧縮された空気と、結果生じるポン菓子を発射できるわ」


雪穂(技名は貴女が考えてたんですね……)

雪穂(あ、けど、ポン菓子で攻撃って、なんか可愛らしいなぁ)


真姫「威力は兵士30人を一気に吹き飛ばせるほどよ」


雪穂(わあ、可愛い怪人の誕生だぁ)

真姫「で、もう一つが…」

真姫「技名『オモチフィンガー』……左手の人差指から大量のお餅を発射し、相手をベッタベタにして動きを鈍らせるわ」


雪穂(これはまだ平和t真姫「後々、火炎放射器も付けるから、焼き餅もできるわよ」


雪穂(もう物騒なのか平和的なのかハッキリしてください!!)


花陽「ふふっ、楽しみだなぁ」


雪穂(あはっ、可愛い怪人がお喜びだぁ)


真姫「じゃあ、これで今日のメンテナンスは終わりよ」

花陽「うん、また来週もお願いするね」

真姫「ええ、私も楽しみだわ」

雪穂(それはよかったですねー)

真姫「あ、そういえば……」


真姫「まだツバサさんの消息は掴めてないの?」


花陽「うん、どこ行っちゃったんだろう」

花陽「もう中毒症状もお米燃料さえ切らさなければ大丈夫になったから付き人は必要ないんだけど」

花陽「はぁ……あのおにぎりの味と食感は今までで一番だったのになぁ……」

真姫(な、なんて惜しいことを、私……)


花陽「じゃあ、またね」

真姫「え、ええ、また来週に」


ガチャッ…キィ バタン


真姫「さてと……片づけ、片づけ……」


雪穂(2人きりになったし、そろそろ……)


真姫「の前に……光学迷彩も少し見てあげるわ」ガシッ


雪穂「……え?」

真姫「う~ん……やっぱり静電気が生じないように改良しないとダメね」ジー

雪穂「……」

真姫「埃が付くとやっぱり目立つのよ、室内だと特にね」

雪穂「……気づいてたんですか?」

真姫「流石にすぐには気づかないけど、周囲の観察を怠らなければ簡単よ」

雪穂(兵士じゃないからと侮ってたけど……この人、すごい……)

真姫「研究内容が漏れないように結構気を配ってるしね」

雪穂「……やっぱり重要な情報ばかりなんですね」


真姫「漏れでもしたら、研究発表して人の驚く顔が見れないじゃない?」


雪穂「そこですか!?」


真姫「……それで、私に何か用かしら?」

真姫「確か入門許可を出した覚えはないのだけど」


雪穂「……」キッ


雪穂「お姉ちゃんに……高坂穂乃果に使った薬について聞きにきました」

真姫「……貴女、穂乃果の……それに、薬のことまで知ってるなんて……」

真姫「報告だと、実験に伴う薬の情報の漏れはないってことになってたけど……どういうことかしら……」ブツブツ

雪穂「そんなことはどうでもいいんです!」

雪穂「知りたいのは、薬で失った記憶を元に戻す方法です!」


雪穂「失った記憶を元に戻せるんですか!!」


真姫「……」

真姫「そう……それを探るためにここまで……」

真姫「でも、残念ながら、そんな方法はないわ」


雪穂「……っ!?」ギリッ


真姫「脳・記憶分野については私もまだまだ研究中」

真姫「これから先、記憶を元に戻す方法が見つかる保証はないわ」

真姫「それにその方法を研究するかどうかさえ怪しいわね」


雪穂「でも、あんな実験をしておいて、終わったら終わったでそのままですか!?」

雪穂「たくさんの子どもたちを巻き込んでおいて……」

雪穂「それなのに何も思わないんですか!?」


真姫「ただの実験じゃない」


雪穂「……え?」

真姫「研究を完成させるには実験が付き物……実験はただの通過点」

真姫「それで研究が次の段階に進むのなら必要な犠牲だったのよ」


雪穂「……」

雪穂「私……貴女のことが嫌いです」


真姫「そう……特にそういうのは気にしないわ」

真姫「その実験を知っているってことは、実験で薬を使っていたのが絵里中将っていうのも知っているのよね」


雪穂「……はい」


真姫「彼女、妹さんと仲が悪いそうで悩んでいたわ」


雪穂(亜里沙……)


真姫「私はそこに付け込んだの……『新しい妹が欲しくないか』ってね」

真姫「そしたら、乗ってくれたわ」

真姫「けど、念願の『妹』を手に入れても、どんどん顔が暗くなるばかりで……」


真姫「そんなときでも、私は彼女にいつも通り薬を渡していたの」


雪穂「……」

真姫「それは人間としておかしいんだと、客観的に考えればそう思う」

真姫「けど、主観的に考えると、やっぱりそれが私、いつも通りの私……」

真姫「研究が大好きないつもの私」

真姫「人の気持ちなんて考えずに実験を行ういつもの私」

真姫「それが……私というものよ」


雪穂「……」


真姫「……じゃあ、私は行くわね」

真姫「新しい光学迷彩ができたら届けさせるから、それまでは今のを使っててちょうだい」


雪穂「……違う……」


真姫「……は?」


雪穂「違うと思います!」


雪穂「だって、貴女はちゃんと人の心が分かっているじゃないですか!!」

真姫「……それは、私が客観的に計算をして……」


雪穂「人の心が計算で分かりますか!?」

雪穂「人と付き合って、向き合って、そうして分かっていくものです!」

雪穂「貴女は自分に人の心がないから、って思い込ませているだけです!!」

雪穂「逃げているだけです!」


雪穂「ただの臆病者なんです!!」


真姫「……っ!!」

真姫「うるさいわねっ!!」


真姫「私には人の感情を気にする心なんてないの!!」


雪穂「あります!!」

真姫「ない!!」

雪穂「あります!!!!」

真姫「ない!!!!」


雪穂「絶対あります!!!!!」


真姫「ないの!!!!あっちゃいけないの!!!!」


雪穂「……え?」

真姫「……そんなの……」

真姫「……そんなの持ってたって……どうすればいいのよ……」

真姫「……また戦争が始まれば、私の出した作戦で人が死ぬ……」

真姫「……戦争で必ず死なない作戦なんてないわ……」

真姫「……私が出した作戦で……大勢死ぬ……」

真姫「……出された作戦案を私が承認して……大勢死ぬ……」

真姫「……私の紙切れで大勢死ぬ……死ぬのよ……」

真姫「……いや……もう嫌っ!!」

真姫「……あんな痛いの……もう懲り懲りよ……」

真姫「……だから……だから、私は……」


真姫「そんな心……あっちゃいけないの」


真姫「……う、うぅぅ……」

真姫「ぅぅぅぁぁぁあああああああああああ!!!!!」


雪穂「……」

雪穂(この人……)

雪穂「……」ダキッ


真姫「ぁぁぁぁああああああ……っ!?」

雪穂「……辛かったんですね……」

雪穂「……痛かったんですね……」

雪穂「でも、その感情をなくさないでください……」

雪穂「それをなくしたら、あなたの嫌いな感情を自分で生み出すことになります」


雪穂「それはもっと……痛いと思います」


真姫「……っ」グッ


雪穂「……痛いの痛いの飛んでけー……」


真姫「……え?」


雪穂「私が転んだときに、お姉ちゃんがやってくれたんですけどね……ふふっ」

雪穂「やってくれても、私がまだ痛そうにしているから、もうお姉ちゃんが逆に泣き出しちゃって」

雪穂「なんで私が、って思いながら笑ってお姉ちゃんをあやすんですけど」

雪穂「気づいたら、痛みなんてどこかへ消えてました」


雪穂「私が辛いことを分かってくれたお姉ちゃんがいたから、私は辛くなくなったんです」ニコッ


真姫「……」

雪穂「だから、その感情を捨てないでください」

雪穂「失くさないでください」

雪穂「そうしたら、皆がみんな笑い合える世界になると思うんです」

雪穂「いえ……必ず、なります!」

雪穂「……真姫大将……」


雪穂「まだ……痛いですか……」


真姫「……」

真姫「ええ……」


真姫「痛くて、痛くて……堪らないわ」ギュッ


雪穂「それは良かったです」ニコッ

雪穂「なら、さっきの言葉は取り消します」


雪穂「私は貴女のことが、大好きです」

真姫「はあっ!?な、ななな何言ってるのよ//////」

雪穂「……ほえ?ただ好きって言っただけですが……?」

真姫「だから、何で急に!!///」

雪穂「あれ?もしかして真姫大将照れて…」

真姫「なっ!?そ、そんなわけにゃいじゃにゃい!!」プイッ

雪穂「……にゃ?」

真姫「……//////」

雪穂「にゃ、って……ぷっ…くっ、くくっ……ああ、もうお腹痛いっ」ヒクヒク

真姫「ちょ、ちょっと大丈夫!?すぐ診てあげるわ!」

雪穂「ぷーっ!!あはははははははははは」

真姫「なっ!?」ビクッ

雪穂「違いますって、これ、あはははははは、もうツボに入っちゃったじゃないですかぁ」

真姫「……ぐっ//////」

雪穂「あぁ~、面白かったぁ」


雪穂「……けど、気遣ってくれて嬉しかったですよ」ニコッ


真姫「……そ、そう、別に当然のことをしたまでよ//////」


雪穂「ええ、当然のことをしたんですよね」

雪穂「ありがとうございます」


真姫「……いいわよ、礼なんて……だって、私は貴女の……」


雪穂「心配されたら、お礼を言うのは当然のことです」

雪穂「確かに、貴女はお姉ちゃんの記憶を奪う薬を作りました」

雪穂「でも、まだです、まだそれで終わってません」


雪穂「真姫大将、記憶が元に戻る薬を作ってください」


雪穂「それで、終わりにしましょう」


真姫「……」

真姫「……ええ」

真姫「ええ、必ず作って見せるわ」


真姫「この真姫ちゃんに任せなさい!」


雪穂「ふふっ、任せました」ニコッ



真姫(あぁ……痛い……)

真姫(とても……痛い……)

真姫(……笑顔が……こんなに突き刺さるなんて……)

真姫(……けど、もうその痛みと向き合わないといけない……)


真姫(だって、痛みを分かってくれる人が、もういるから)



真姫「……ありがとう……」ニコッ


真姫「……」チラッ チラッ

雪穂(……そういえば、海未さん、私が本社に入れたこと知ってるのかな……?)

真姫「……え、えっと、その……あ、貴女、名前は何ていうの?」

雪穂「あ、すみません、まだ名乗ってませんでしたね」

雪穂「はじめまして、高坂雪穂です」

真姫「……雪穂ちゃん……か」

雪穂「はい、よろしくお願いしますね、真姫大将」

真姫「……そ、その『大将』っていうの取っていいわよ……」

雪穂「……ほえ?」キョトン


真姫「いいから取るの!///」


雪穂「……」

雪穂「ふふっ……はい、真姫さん♪」ニコッ


真姫「……///」


コンコン
マキタイショウ フミコデス
キンキュウノ ヨウケンガ ゴザイマス


真姫「……何かしら……?」

真姫「今行くわ、少し待ってて」


リョウカイシマシタ

真姫「じゃあ、ごめんなさい、もう行くけど……」

雪穂「あ、はい、でも……」

真姫「……まだ知りたいことは、いっぱいあるものね」

雪穂「……はい」

真姫「またいつでも来てくれて構わないわ、許可は出しておくから」

雪穂「え!?いいんですか!?」

真姫「ええ、いいわよ」


真姫「あ、それと……」

真姫「実験の様子を細かく知りたいなら、絵里中将の他にもう一人詳しい人がいるわ」


雪穂「……ほえ?」


真姫「……ことり少将……」



真姫「彼女は実験の……観察役だったの」


『2つ目の壁』 外側


ぽたっ……  ぽたっ……


ことり「……あはっ♪」ズボッ


海未「……え?」


海未「……え……な、何してるんですか……」

海未「……何で……」

海未「何で私なんかのために……!」ウルッ



海未「門番さぁぁぁぁああああん!!!」



門番1「……がはっ……」ガクッ



海未「それに、ここは穂乃果かにこ大佐が出て来る場面なんですよ!!」

海未「それなのに……それなのにどうして貴方が……!!」


門番1「……ふっ……俺が出て来て……正解だったな……」

門番1「……みんな……レディーじゃないか……」

門番1「……レディーが傷付くなんてこと……俺は、させない……」


海未「も、門番さん……」


門番2「おいっ、クソコック!何やってんだ、てめぇ!」

門番1「けっ、レディーを守るのが俺の仕事なんだよ……覚えとけ、クソマリモ……」

門番2「お前の仕事は門番だろうがっ!!ちっ、仕方ねぇ!!」ガシッ

門番1「ぎゃぁぁぁああああ、やめろ!男に背負われるなんて……って、ちげぇ!?まさかお前、足持って……」

門番2「おらぁぁぁああああああ!!!」ダダダダダダダダダダダダ

門番1「ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!」ズザザザザザザザザザ!ゴツン! ザザザザザザ! ガツン!! ザザザザ……


海未ことり「「……」」

ことり「あ~あ、また失敗しちゃった」

ことり「けど、海未ちゃんって守られてばっかり♪」

ことり「そんなに人に頼ってばかりで、よくのうのうと兵士ができるなぁ♪」

ことり「ことり、そんなの考えられない」

ことり「戦場ではいつも一人、信じられるのは自分だけ」

ことり「そんな人に頼るだけの海未ちゃんはすぐに…」


ことり「死ぬよ」


海未「……」


ことり「だからね、いっそのこと、ここで…」


ことり「ことりのおやつになっちゃえば良いんじゃないかな♪」ニコッ


海未「……っ!?」ゾクッ

海未(……い、いや、ダメです!ここで退いては門番さんに顔向けできません!)

海未「…………すう~~…………はあ~~…………」

海未「よし!行けます!恐らく行けます!絶対行けます!」


ことり「そう、良かったね♪」チュン! ギラッ


海未「ひぃぃっ!!!」スッ スカッ


ことり「躱すのは上手いよねぇ、にこ大佐と亜里沙少佐のおかげかな?」ビュッ!

海未「……くっ!」スッ スカッ

海未「ええ、そうです!!訓練バカと亜里沙少佐がいなければ、ここまで強くなれませんでした!!」

ことり「ふうん、ここでも他人の力……海未ちゃんってほんと何もできないんだね♪」

海未「できることくらいあります!!」


ことり「例えば?」


海未「不意討ちです!」ドヤァ


ことり「……ごめんね、こんなこと聞いて……」


海未「憐れまないでください!」

ことり「さてと、躱すのが上手い海未ちゃんでも、この前躱せなかったこれはどうかな?」ガサゴソ

海未「……!?」

海未(あの糸がまた……!!なら、用意される前にさっさと攻撃してしまえば!!)ダッ


海未「はぁぁぁああああああああ!!!」ブン!


ことり「ふふっ」ギラッ ギラッ


海未「なっ!!??……うぐっ!!」バッ! スカッ ザクッ


海未「ぁぁぁぁあぁっぁぁあああ!!!……あっ、あし、足がぁぁぁああああ……!!!」ジタバタ


ことり「ダメだよ、そんなに人の言葉を信用しちゃうなんて」

ことり「糸をつけないで使うときもあるんだぁ、二刀流……二針流かな?」

ことり「でも、刺さったのがいつもの針で良かったね」

ことり「もしも地面に刺す方の針だったら返しが付いてて……」

ことり「わぁ、ことり、考えただけで怖いなぁ♪」


海未「うみゅぅぅ……」ポタッ ポタッ

ことり「あぁ……血がたくさん……それに、痛そうな顔///」

ことり「久しぶりだなぁ、こんな気持ち///」

ことり「早く始まればいいのにぃ、戦争♪」

ことり「そうすれば、い~っぱい感じられるんだよ」

ことり「刺した感触……血の香り……呻く声……苦しむ姿……」

ことり「そして……終わったあとの静寂……」

ことり「あぁ、もう///」


ことり「最高だよね♪」ニタァ


ことり「そう思わない?海未ちゃん♪」


海未「……」


ことり「痛みを我慢するのに精一杯なのかなぁ?」


海未「……」


ことり「……う~ん、顔を下に向けてると表情が見えないよぉ、ことり、つまんないなぁ」


海未「……」


ことり「……もしかして、気絶?」つスッ



海未「ウミーッミ・シュートォォォオオオオ!!!」バシュ!!!


バチィィイイン!!


ことり「……うわー、痛いなー」


海未「くっ!やはり威力がまだまだですか!!」


ことり「ふふっ、ことり、騙されちゃったぁ♪」

ことり「けど、そうだよ、海未ちゃん、そうでなくちゃ」

ことり「騙し、騙されるのが戦いだもん」


海未「……」

海未「……先ほどから不思議に思っていましたが……」


海未「……なぜそれほどまでに人を信じようとしないんですか……」


ことり「……は?」


海未「もしかして、貴女……裏切rことり「……黙れ」ガシッ!!


海未「うみゅみゅむむむむぐむむむむむぅぅぅぅぅ……」グヌヌ

ことり「ふふっ、変な顔♪」ググッ

ことり「綺麗な顔を歪ませるのも楽s海未「がぶっ!!」

ことり「いっ!?……痛いなぁ……」パッ

海未「ぷはっ……はぁ……はぁ……」

ことり「痛いなぁ!!」ゲシッ!

海未「がはっっ!!!??」ズドン! ゴロゴロゴロゴロ バタリ


ことり「あぁ……血が出ちゃったぁ///」ペロッ

ことり「血の味も、ことり好きだなぁ♪」


海未「……うぐっ」ムクッ

ことり「……はぁ……まだ起き上がって……」

ことり「その耐久性にはことりもほ~んと驚かされちゃう」

海未「もういぢ度……ぎぎます……あなだは裏切られtことり「……黙れって言ったよね」ゲシッ!

海未「……裏gことり「……黙れ」ドスッ!

海未「…ぅrことり「黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ!!!!!」ガスッ!ドスッ!バキッ!ドス!ドガッ!ガスッ!



ことり「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!!!!!」ブン!



バシィィィィイイイイイイイイッッッッッッッ!!!!!



ことり「……っ!?」



海未「…………もう……やめ゛ましょう……」グググググッ……


海未「……ごんなの……つらすぎま゛す…………」



ことり「……」ジトッ


ことり「……うん、そうだね……」

ことり「そうするよ♪」

ことり「ことりも久しぶりに拳で殴ったら痛くなっちゃったしね♪」

ことり「だからもう……」


ことり「終わりにしてあげる♪」スッ スッ


海未「……はぁ…………はぁ…………」グラッ


ことり「……」ギラッ! ギラッ!



ことり「あ♪」ピタッ



海未「…………ぅぅ…………」バタッ



ことり「危ない、危ない……」

ことり「来てくれなかったら、目的を忘れてヤっちゃうところだったよぉ♪」

ことり「ありがとね」



ことり「穂乃果ちゃん♪」



海未「……ぇ……」



穂乃果「……」


ことり「ことりね、ず~~っと待ってたんだよ」

ことり「優しい優しい穂乃果ちゃんがいつか怒ることを……」

ことり「いつか恨むことを……」

ことり「いつか憎むことを……」

ことり「いつかただの『人』に成り下がることを!」

ことり「ことりは待ってたんだよ♪」



穂乃果「……」



ことり「どうかな?ことりが憎い?憎い??憎くてたまらない???」

ことり「どうなの?皆がみんな笑ってほしい穂乃果ちゃん♪」

ことり「今のことりの顔はその目にどう映っているのかな?」

ことり「ことりは今ね、海未ちゃんを甚振れて、と~っても嬉しい気持ちなんだぁ♪」

ことり「それに、楽しくて、楽しくて、楽しくて……」

ことり「笑顔が込み上げて来るの♪」

ことり「よかったね、穂乃果ちゃん♪」

ことり「ことり、笑ってるんだよ?」

ことり「穂乃果ちゃんの大好きな『笑顔』なんだよ?」


ことり「穂乃果ちゃんも嬉しい?」


ことり「……それとも……」



ことり「……憎い?」ニタァ



穂乃果「……」


ことり「声が出ないほど、ことりのことが憎いのかな?」

ことり「憎くて憎くてたまらないのかな?」

ことり「ねえ、教えてよ」

ことり「穂乃果ちゃん♪」



穂乃果「……」



ことり(……)

ことり(あぁ……)

ことり(やっと……)

ことり(やっと……感じられる……)


ことり(『人』なんてみんな同じなんだって……)

ことり(あの優しい優しい穂乃果ちゃんだって、どうせ汚い『人』なんだって……)

ことり(優しさなんて最後には忘れ去る『人』なんだって……)

ことり(いや、元から優しさなんて偽物でしかない『人』なんだって……)


ことり(これでやっと……信じられる……)

ことり(『人』を信じてはいけないと……信じられる……)


ことり(……ことりは『人』を信じて……裏切られたのだから……)


ことり(……)

7年前


UTX国 市街地


ワーーー ドン!!  ギャァァアア!! ドン!ドン!ドン! ヒュルルルルルル・・・・・・ズドォォォオオオン


ことり(……き……来ちゃった……こんなところまで……)

ことり(大丈夫だよね……)

ことり(上官も言ってたし、後から応援に行くって……)


モブA「6時の方向、敵兵!!数、50はあるぞ、ちくしょう!!」

モブB「おい、応援はまだかよ!!」

モブC「知らないわよ!!作戦で言っていた時間はとっくに過ぎてるわ!!」

ことり「……」ブルブル

モブA「ちくしょう!とにかく前だ!前に行け!!ちくしょう!!」ドン!

モブC「ちょっと!?押さな…」


パァァァアアアン!!


モブC「……え……」グラッ バタッ


モブB「……おい、モブC!」

モブA「ち、ちくしょう……こ、こんなんやってられるかよ……」ジリッ

モブB「おい、モブA、待て!離れんじゃねぇ!!」

モブA「うるせぇ!!おめぇらはそこでジッとしてヤられりゃいいんだ!!」

モブA「おれは生きてバーの希さんの胸に飛び込みてぇんだよ!!ちくしょぉぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!!」ダッ

モブB「おい、待て!!そんな理由で飛び出すんじゃねぇ!!ちくしょう!!!」


モブA「おおおおおお!!!……あっ」コケッ

モブA「ぐあぁぁぁぁあああああああああ!!!」ズザザザザザザザザザ!!!

モブA「……ぁ……ちぐ……じょ……」バタッ


モブB「ちくしょう……膝擦り剥いて死んでんじゃねぇよ……ちくしょう!!!」

モブB「……くそっ、どうしたら……」チラッ

ことり「……」ガタガタ

モブB「チッ、さっきからしゃがみ込みやがって!!おらっ!!!」ゲシッ

ことり「うぐっ!」ドシャッ


モブB「仕方ねえ、死体の真似でもし……ぁ……」グサッ!


ことり「……え?」


敵モブ「……」スタスタ


ことり「……え」

モブA「」

ことり「……え……え……」

モブB「」

ことり「………………ふっ……」

モブC「」

ことり「……ふふっ……あはは…………」


敵兵「……」シュッ!



ことり「あはははははははははははあっはっははははははははは!!!!」シュン! ギラッ



ざくっ……


敵兵「……ぐっ……」


ことり「あはっ……はは……あははははははははははは!!」ギラッ


ざくっ…… ざくっ…… 


ことり「あはははははははっはっはははっははははははあはは!!!!!!」


ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……
ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ…… ざくっ……


ことり「はあ…………はあ…………」


ことり「…………ぁぁぁ…………」



ことり「……ぁぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!!」シュン!



ことり(……刺した……)


ことり(……刺して……刺して……刺した……)

ことり(……いっぱい……いっぱい……刺した……)

ことり(……みんな……みんな……ことり以外みんな……いない……)


ことり(……誰も……いない……)


ことり(……応援は……来なかった……)

ことり(……誰も……来なかった……)

ことり(……あの上官は……ことりたちを囮に使うも……死んでいた……)


ことり(……刺してやりたかった……)


ことり(…………)

ことり(……休戦協定から2年ほどが経った……)


ことり(……真姫大将から、とある任務に誘われた……)

ことり(……運転席の隠し窓から実験の様子を見る……)

ことり(……薬を飲ませたことの確認……子どもの様子の確認……実験情報の漏えいの確認……情報を知った者の排除……)

ことり(……それをただ報告するだけの任務……)


ことり(でも、実験を見るのは面白い……)


ことり(騙されて薬を飲まされる)

ことり(力づくで薬を飲まされる)

ことり(恐怖で『妹』がつくられる)

ことり(人はこうでないと……)

ことり(醜く、汚くないと……)

ことり(それが当たり前なのだから……)

ことり(だから、ことりはもう……)


ことり(……人を信じない……)

配給所前


ことり「じゃあ、物資運んどくね、絵里大佐」スタスタ

絵里「ええ、頼んだわ、ことり少佐」


ことり(そんなのいつもやってないんだけど♪)

ことり(いつになったら気づくのかなぁ、ことりが観察役って)

ことり(はあ……けど……)

ことり(……だんだん飽きてきたなぁ……)

ことり(真姫大将もそろそろ新しい実験でも始めてくれればいいのに)

ことり(……)


オネエサン、オネエサン


ことり(……あれ?女の子が……)

ことり(ふふっ、自分からわざわざ実験されに来るなんて可哀想に……な~んて思ってないけど♪)


穂乃果「お姉さん、大丈夫?ほら、穂乃果のパンあげるから元気出して、ね?」ニコッ


ことり(……は?)

穂乃果「いいの!お姉さんが元気になれば!」ニコッ


ことり(……どうせ、恵んでやって優越感に浸りたいだけ……)


穂乃果「はい!」ギュム


ことり(それは無理やりすぎると、ことりでも思うなぁ……)


穂乃果「……元気出た?」


ことり(……こんなの表面上の言葉……)


穂乃果「私は高坂穂乃果!お姉さんは?名前はなんて言うの?」


ことり(ふうん、穂乃果ちゃんかぁ……)


絵里「そのね……え~っと、あっ、パンのお礼にお茶をご馳走するから、飲みながら話さない?」


ことり(……さて、そろそろ車に移動しないと……)


穂乃果「まあ、いっか……お邪魔しまーす」スタスタ


ことり(ようこそ、実験台に♪)

穂乃果「……ほえ~、配給車の中ってこうなってたんだね、ベッドまでついてるんだぁ」キョロキョロ


ことり(ふふっ、そのベッドでいつも『妹』たちが生まれてるんだよ♪)


穂乃果「……じゃあ、早速いただきま~す」


ことり(ばいばい、穂乃果ちゃん♪)


穂乃果「あ、そうだ、うっかりしてた、それでお姉さんの名前は?」ピタ


ことり(ええぇぇ!?……もう、ことりも驚いちゃったよぉ♪)


穂乃果「……絵里ちゃんかぁ……それで、絵里ちゃんはさっきまで何してたの?」


ことり(……そんなこと聞いてどうするのかなぁ?)


穂乃果「絵里『お姉ちゃん』とか?」ニコッ

絵里「やめて!!!」クワッ


ことり(あ~あ、絵里大佐の傷を抉るなんて……ふふっ、いい顔が見れてことりは嬉しいな♪)

穂乃果「……やっぱり、絵里ちゃんは笑ってるほうがいいよ」


ことり(……は?…………何を言ってるの…………)


穂乃果「ううん、絵里ちゃんだけじゃない」

穂乃果「穂乃果はね、皆がみんな笑ってくれてると嬉しいんだぁ」


ことり(……どうせ嘘……)


穂乃果「だからね、絵里ちゃん……」

穂乃果「穂乃果は絵里ちゃんを笑わせてあげたい」


絵里「……」



ことり(…………嘘だ…………)


絵里「……………………」

穂乃果「えへへ///何だか恥ずかしいや」

絵里「…………」

穂乃果「あっ、早く飲まないと冷めちゃうよね、いけない、いけない」

絵里「……」

穂乃果「せっかく淹れてくれたんだもん、ありがと、絵里ちゃん♪」ニコッ

絵里「…っ!!」


穂乃果「いただきます」


絵里「だめぇぇぇぇぇええええええええええ!!!!!」バッ


ガシィィィイイイイ!!!


穂乃果「……え」ピタ


絵里「…………んね」


穂乃果「……」


絵里「……ごめんね……」ジワッ

穂乃果「……え、えr絵里「……この中にね……薬が……入ってるの……」

穂乃果「……」

絵里「怖い……怖い薬がね……入ってるの……」

絵里「それを私ずっと……ずっとこれ使って……ひぐっ……いっぱい…いっばい『妹』をつくってきた……」

穂乃果「……」

絵里「力づくで!……ずっと『姉様』っで、呼ばぜてぎだの!!」

絵里「けど……うぅ……」

絵里「もうい゛い!……もうお゛じまいにする!」


絵里「も゛うこれで!!!おじま゛いにずる!!!!」


穂乃果「絵里ちゃ……!!!」


ごくっ…… ごくっ…… ごくっ……


穂乃果「ダメ!!絵里ちゃん!!!」ガシッ!

絵里「いいの!!!……ごくっ……わだしは、も゛うこれで何もかも忘れだい!!!」

穂乃果「忘れ……っ!?……絵里ちゃん!!」

絵里「……ぷはっ……はあ……はあ……」パッ カランコロン……

穂乃果「何で!?よく分からないよ!!」

絵里「……ふふっ、そうよね……ごめんね……」

絵里「この薬はね、脳……記憶に影響を与えるの」

穂乃果「……記憶……」

絵里「効果は分からない……どのくらい忘れるかなんて……」

絵里「でも、できれば……」


絵里「全部……忘れられたらいいな……」ニコッ


穂乃果「……っ!?」


絵里「ごめんね……こんなことに巻き込んで……本当にごめんね……」

穂乃果「……絵里ちゃん……」

絵里「……はあ……はあ……」

絵里「ふふっ、さあ、もう帰らないとね……お家の人が心配するわよ」

穂乃果「……」

絵里「……どうしたの……さあ……」


穂乃果「……帰らないよ……」

絵里「……っ!!早く帰って!!」


絵里「貴女に……穂乃果にこんなことに関わって欲しくない!!」


穂乃果「ううん……」

穂乃果「……傍にいるよ」


絵里「……ぁ……な……なんで……なんでなの……」


穂乃果「絵里ちゃんの友達だもん……ずっといる」


絵里「……う……うぅぅぅ……」


穂乃果「絵里ちゃんが辛くなくなるまで……」

穂乃果「一緒にいるよ」ニコッ


絵里「……ほ……のかぁ……」

絵里「……ぁ……」グラッ


穂乃果「……」ダキッ


穂乃果「……おやすみ……絵里ちゃん……」


穂乃果「……待ってるからね……」

絵里「……ぅ」

絵里「……ぅぅうううん……」ムクリ

絵里「…………え……?」


穂乃果「……」ジー


絵里「えっと……あれ……貴女は……」

絵里「……お汁粉が……っ!?」

絵里「ねえ!貴女!まさかこれを飲んで!?」


穂乃果「……」グッ

穂乃果「どうしたの、『姉様』?」ニコッ


絵里「……え?」

穂乃果「……ほえ?」キョトン

絵里「……っ」

絵里「……ううん、何でもないわ」

穂乃果「……そっか……」


穂乃果「……じゃあ、穂乃果と遊ぶ?」


絵里「……へ?」

穂乃果「『姉様』疲れて寝ちゃってたから、穂乃果、暇だったんだよ」

絵里「……ええ……そうね……遊びましょうか……」

穂乃果「うん、じゃあ、しりとりでいい?」

絵里「……ええ……」

穂乃果「『穂乃果』の『か』からね」

穂乃果「か、か、か~~…………」


穂乃果「勘三郎!!!」


絵里「いや、誰よそれ!?」


穂乃果「えへへ///もうこのまま続けよう!『姉様』、『う』だよ」


絵里「もう…………ふふっ」


穂乃果「『姉様』、やっと笑った♪」


絵里「……え」


穂乃果「楽しいね、『姉様』」ニコッ


絵里「……」

絵里「……ええ、そうね」ニコッ


ハヤクツギー ウー ウー ウ、ダヨー
ウ、ネー ソウダナァ…… ウインナーコーヒー
ナニソレ!? ウインナー ト コーヒー マゼテイイノ?
ナマエシカ シラナイケド タブン マゼテイイノヨ
ヘェー ジャア コンド ヤッテミヨウネ
エエ ヤッテミマショ

ことり(なに……これ……)

ことり(何?……何なの?)

ことり(それとウインナーコーヒーは全然違うし)

ことり(……なに……あの子……何を考えてるの?)

ことり(……は?……友達?)

ことり(会ってたった数十分の相手に……?)


ことり(…………嘘…………嘘だよね?)


ことり(…………嘘なんでしょ?)


ことり(面白がってるだけなんだよね?)

ことり(記憶をなくした絵里大佐をからかってるだけなんだよね?)

ことり(飽きたら隙を見て逃げ出すんだよね?)

ことり(そうだよ……うん、そうだよね……絶対そう……)

ことり(でも、そんなことさせないよ)

ことり(薬のことを知った人は逃がさないからね♪)


ことり(ほら、絵里大佐が部屋から出たよ)

ことり(さあ、穂乃果ちゃんも部屋から出ようよ)

ことり(早く!)

ことり(早く、早く、早く!)


ことり(動いてよ!!!)


ことり(逃げ出してよ!!!!)


ことり(……なんで……)



ことり(……なんで逃げ出さないの……)


ことり(……)

ことり(……だれ?あの子ども……)

ことり(ああ……穂乃果ちゃんのお友達かぁ……)

ことり(ふふっ、どうするの?絵里大佐に捕まえられてるよ)

ことり(自分は何されるか分かってるもんね)

ことり(その子を見捨てて逃げるのかな?)

ことり(どうするのかなぁ?)ニタァ


海未「穂乃果!早く逃げてください!私が足止めしますから、早く!」

穂乃果「……」ジッ

海未「穂乃果ぁぁぁあああ!!!」

穂乃果「ねえ、姉様……この子だれ?」キョトン


ことり(……え)

穂乃果「この子はいらない!」

穂乃果「だから早く捨ててきて!」


ことり(……どうして?)

ことり(……人なら、そこは見捨てようよ……)

ことり(……見捨てて逃げようよ……)


ことり(……なんで見捨てないの……)


ことり(……なんなの……)



ことり(……貴女は……『人』じゃないの?)


ことり(……ぁぁ……)

ことり(……ああ……)

ことり(……なんだろう……)

ことり(……なんだろう、なんだろう、なんだろう!!!)

ことり(……面白い……)


ことり(面白いなぁ)ニタァ


ことり(……壊したい……)


ことり(その優しさを……壊したい……)


ことり(その顔を……憎しみで埋め尽くしたい……)


ことり(そんなことができたら……)


ことり(絶対……面白いだろうなぁ)

兵舎


ことり「……」

絵里「ここが西木野軍事㈱の兵舎よ」

穂乃果「へえ……じゃあ、ここに住むんだね」

絵里「……ええ、一緒にね」

穂乃果「えへへ」

ことり(こんな所に連れて来られても怯えない……)ジッ


穂乃果「……そういえば、お姉さんの名前は?」クイクイッ


ことり「……え?」


穂乃果「穂乃果は高坂穂乃果だよ、よろしくね」つスッ


ことり「……」

ことり(……ことりにまで声をかけるの?)

ことり(ことりは薬を飲ませようとした絵里大佐と同じ兵士なのに?)

穂乃果「……?……えいっ」ギュッ


ことり「っ!?」


穂乃果「えへへ///」ニコッ


ことり「……」

ことり「……南ことりだよ、よろしくね、穂乃果ちゃん♪」ニコッ


穂乃果「……」ジッ


ことり(なんだろう……この子の目……心を見透かすような……)


穂乃果「うん、よろしくね、ことりちゃん♪」ニコッ


ことり(……ああ……もう……面白いなぁ……)

兵舎 食堂


ワイワイ ガヤガヤ


ことり「……」スタスタ

ことり「……」ガタッ

ことり「……」モグモグ


モブ1「……おい、あっちで食おうぜ……」ヒソヒソ

モブ2「……ああ、そうじゃな……」ヒソヒソ


ことり(ふふっ、聞こえてますよぉ)

ことり(み~んなことりが怖くて怖くてしょうがないんだねぇ)

ことり(まあ、敵兵をメッタ刺しだもんね♪)

ことり(あ~あ、あのときは楽しかったなぁ)


穂乃果「ここ空いてるよね、穂乃果も一緒に食べていい?」ガタッ


ことり「……」

穂乃果「あ、見て見てこれ、チーズケーキ♪散歩してたら門番のお兄さんが作ってくれたんだぁ」

ことり(チーズケーキ!!)

穂乃果「けど、あのときはびっくりしたよ、急にだっこされ……ん?」

ことり「……」プイッ

穂乃果「……食べる?」

ことり「……べっつに~、ことり欲しくないもん」

穂乃果「そっかぁ……じゃあ、あとで穂乃果が食べるね」

ことり「……」


穂乃果「……そういえば、ことりちゃんは誰かと食べないの?」

ことり「……え?」


穂乃果「誰かと食べたら絶対も~っと美味しいよ」


ことり「……そんなの……変わらないよ♪」ニコッ


穂乃果「……」ジッ


ことり(また……その目……)


穂乃果「そうかなぁ……」


ことり(……面白いけど……その目は苦手……)

ことり「……ご馳走さま……ことり、もう行くね」ガタッ

穂乃果「あ、ことりちゃん!こっち向いて!」ギュム

ことり「……え?むぐゅ……!?」


穂乃果「半分こ♪」


穂乃果「好きな物もね、半分こにしたって、誰かと食べたら半分こじゃないんだよ」


ことり「……もぐ……もぐ……」


ことり(……この子は食べ物で人が釣れるとでも思ってるのかなぁ……)

ことり(…………)

ことり(……でも……)


ことり「……美味しい……」


穂乃果「えへへ、そうだね、美味しいね」ニコッ


ことり(……あぁ……面白いなぁ……)

ことり(……)

ことり(はぁ……)

ことり(……穂乃果ちゃんのことが気になってしょうがない……)

ことり(その穂乃果ちゃんはここに来てからずっと何かを探している……)

ことり(う~ん……なんだろう……)

ことり(優しい、優しい穂乃果ちゃんが血眼になって探すようなもの……)

ことり(ことりが絶対に探さないようなもの……)

ことり(……)

兵舎


穂乃果「……」キョロキョロ

ことり「穂乃果ちゃん♪」

穂乃果「……っ!?」ビクッ

ことり「ふふっ、どうしたの?」

穂乃果「……えっとぉ……」


ことり「……『妹』たち?」


穂乃果「……え?」


ことり「探してるの?」


穂乃果「……」ジッ

ことり「……」

穂乃果「うん、そうなんだ……」

穂乃果「どこにいるか知らない?」

ことり「……」

ことり(……ほんと面白いなぁ……)

穂乃果「……ことりちゃん?」


ことり「……知ってるよ」ニコッ


穂乃果「ほんと!?」パァ


ことり「うん、付いてきて♪」

兵舎 『妹』たち用大部屋


穂乃果「こんな近くにいたんだね……使われてない部屋だと思ってた……」

ことり「この子たち、あまり部屋から出ないからね、食事もミカちゃんが持ってくるし」

ことり「絵里大佐以外には口を開かないから静かだしね」

ことり(まあ、喋らないとまた絵里大佐からひどいことされると思ってるからだろうけど……)


『妹』1「……」

『妹』2「……」


穂乃果「……」


穂乃果「こんにちは」ニコッ

『妹』1「……」


穂乃果「はじめまして、高坂穂乃果です」

『妹』2「……」


ことり(……何をやっても無駄……)

ことり(……この子たちに声をかけたことのある兵士が二度と声をかけたくないほど心を閉ざしている……)

ことり(……ことり、つまんない……)

ことり(……また後で来ればいいや……)

ことり(…………)

ことり(…………)

ことり(……まだやってる……)

ことり(……『妹』たちは10人ほど……)

ことり(……みんなに声をかけている……)

ことり(……かけ続けている……)


ことり(……見限ればいいのに……)


ことり(……見捨てればいいのに……)


ことり(…………)

1週間後


兵舎 食堂


ことり「……いつまで続けるの?」モグモグ

穂乃果「……ほえ?」モグモグ

ことり「『妹』たちに声をかけること」

穂乃果「……元気になるまで、ずっとだよ」ニコッ

ことり「……ふ~ん……」

ことり「……なんでこんなことしてるの?」

穂乃果「皆をここから出したいからだよ」

ことり「……」

ことり「そんなの絵里大佐に言って追い出してもらえばいいと思うなぁ」

ことり「確か言ってたよね、『他の妹なんていらない』って、あの子に向かって」

穂乃果「……」

穂乃果「……そうだよ、いらない……」

穂乃果「けどね……」


穂乃果「穂乃果は『姉様』の『妹』……」

穂乃果「他の『妹』たちも『姉様』の『妹』……」

穂乃果「なら……穂乃果の『家族』だよ」

穂乃果「『家族』なら『家族』を支えてあげる」


穂乃果「支えて、立たせて、背中を押して、歩かせる……」


穂乃果「それで、穂乃果は笑って送り出すの、『いってらっしゃい』って……」


穂乃果「でね、笑って、『いってきます』って言ってくれたら穂乃果は嬉しいな」ニコッ


ことり「……」

ことり(…………)


ことり(様子を見に行くたびに、『妹』たちの反応が変わっていく)


ことり(……目を向けられた……ちらちらと窺うような目……)


ことり(……挨拶をされた……ぎこちない消えそうな声……)


ことり(……手を握られた……力強い小さな手……)


ことり(……笑顔を向けられた……照れながら……明るい表情……)


ことり(……ことりは……それに笑い返したのか覚えていない……)

ことり(……ただただ驚いていただけかもしれない……)

ことり(……こんなにも成長する子に……)


ことり(……こんなにも人を変えてしまう穂乃果ちゃんに……)


ことり(…………)

ことり(…………)

ことり(1か月……穂乃果ちゃんが来てそのくらいが経ったかな……)


ことり(今日、『妹』たちが……送り出される……)


ことり(……送り出すところは見なかった……)


ことり(……泣きそうになるから……?)


ことり(……違う……そんなことは……ない……)


ことり(……つまらないから……)


ことり(……たぶん、そうだ……)

ことり(……でも……)


ことり(……何でことりはこの部屋に来たんだろう……)

ことり(……もう誰もいないのに……)


ことり(……なんだろう……)


ことり(……この部屋に何度か様子を見に来た……)

ことり(……ただそれだけのはずなのに……)

ことり(……なんだろう……)


ことり(……この痛みは……)


ことり(……けど、懐かしい……)


ことり(……どこかで感じたことのある痛み……)

ことり(……兵士になるとき……)

ことり(……お母さんに送り出してもらったとき……)

ことり(……後ろは振り返らなかった……)


ことり(……泣きそうになるから……)


ことり(……あれ……違うよ……つまらないから……あれ…………?)


ことり(……なんだろう……)

ことり(……あのとき……何を感じたんだろう……)

ことり(……分からない……分からない……)


ことり(……分からないよ……)

ことり(……ことりは貴女のことを……)


ことり(……優しい貴女のことをただ変えたかった……)


ことり(……人はどうせ醜く、汚いものに変わるのだから……)

ことり(……いつまでも眩しい存在ではいられない……)

ことり(ことりのように……黒く、暗いものへと変わっていくのだから……)

ことり(ことりが、人に絶望したように……人を恨んだように……)


ことり(……貴女だって変わるはずなのだから……)


ことり(その優しい顔を……最後には醜く……歪ませるはずなのだから……)

ことり(……なのに……)



ことり(……それなのに……)



ことり(……どうしてこんなに悩ませるの……)



ことり(……どうしてこんなに痛くさせるの……)



ことり(……どうして貴女は……)




ことり「どうしてそんな悲しい顔でことりを見るの!!!」



ことり「ねえ!!穂乃果ちゃん!!!」

ことり「怒ってよ!!怒り狂ってよ!!」

ことり「そんな顔が見たくて海未ちゃんを甚振ったんじゃないんだよ!!」


ことり「騙して、裏切って、恨んで、憎んで、復讐して……」


ことり「そんな人間しかいないんだって!!」


ことり「ことりに見せてよ!!」


ことり「ことりに思わせてよ!!!」


ことり「だから、もうそんな顔やめてよ……」


ことり「……ことりをもう……信じさせないでよぉ……」

穂乃果「…………」


穂乃果「……ことりちゃん……」


穂乃果「……ごめんね……」


ことり「……っ!?」


穂乃果「そんなに悩むまで気づいてあげられなくて……」

穂乃果「ことりちゃんを一人にさせて……ごめんね……」


ことり「いやっ!!やめてよ!!」

ことり「どうして穂乃果ちゃんが謝るの!?」

ことり「ことりがひどいことをしてるんだよ!!」

ことり「海未ちゃんに!!穂乃果ちゃんの大切な海未ちゃんに!!」


穂乃果「……うん、そうだね……」


ことり「だったら、ことりのことを怒っt穂乃果「……怒ってるよ……」

ことり「っ!?なら、何でもっと顔を歪めないの!?何で声を荒げないの!?何でことりを撃たないの!?」


穂乃果「……怒ってる……」

穂乃果「……近くに居て、ことりちゃんのことに気付けなかった自分に……」

穂乃果「……とっても怒ってる……」


ことり「……え?」

穂乃果「……ことりちゃん……」スタ…スタ…

ことり「……こ……来ないで……」

穂乃果「……行くよ……」

ことり「……いや……来ないで……」

穂乃果「……今度はちゃんと……『ことりちゃんのいる所』まで行くよ……」


ことり「……う……嘘だよ……そんなの嘘だよ!!!」

穂乃果「……傍にいる……」

ことり「……騙されない……絶対……騙されない……」

穂乃果「……辛くなくなるまで……ずっと傍にいるよ……」

ことり「……そんなの……できっこない……」


穂乃果「……半分こ……」


ことり「……っ!?」


穂乃果「……一緒に……隣の席で一緒に食べよう……」

穂乃果「……嫌いな物でも、一緒に食べればいつもよりも嫌いじゃない……」

穂乃果「……2人で笑って食べればもっと嫌いじゃない……」

ことり「……ことりは……もう誰も……」

穂乃果「……穂乃果は信じてるよ……」

ことり「…………」

穂乃果「……それで裏切られたら勿論悲しい……」

穂乃果「……それに……寂しい……」

ことり「…………」


穂乃果「……でも、信じることをやめない……」


ことり「……どうして……?」

穂乃果「……気持ちは伝わると思うから……」

穂乃果「……穂乃果の感じる気持ちを感じてくれると思うから……」

穂乃果「……『人』は……変われるから……」

穂乃果「……それは悪い方へ、だけじゃない……」


穂乃果「……笑い合える方にも変われる……」


穂乃果「……だから、穂乃果は諦めないよ」

穂乃果「ことりちゃんが穂乃果のことを信じなくても」

穂乃果「穂乃果はことりちゃんを信じるよ」


穂乃果「いつまでも……」


ことり(信じちゃ……ダメ……信じちゃ……)


穂乃果「いつまでも……」


ことり(ことりは……もう……嫌なのに……)


穂乃果「穂乃果はことりちゃんのことを……」


穂乃果「好きでいるよ」


ことり「…………」

ことり「…………」

ことり「…………」

ことり「…………あはっ」

ことり「あははっははっははははあはははははははははははははは」

ことり「あはははははははははははあっはははははははははははははは」

ことり「……あぁぁ……」

ことり「…………」


ことり「……うるさい……」


穂乃果「……!?」


ことり「……もう、ぐちゃぐちゃだよ……」ウルッ


ことり「……ことりなんて……」


ことり「……穂乃果ちゃんなんて……」


ことり「……みんな……」



ことり「……消えちゃえばいいのに……」チュン!


ことり「……」ギラッ ギラッ



穂乃果「……っ」シュン!! スカッ スカッ



ことり「……」ズザァァァ!!



ことり「……消えちゃえばいいのに!!」チュン!!



ことり「はぁぁぁあああああ!!!」ギラッ ギラッ



穂乃果「……」シュン!!!! スカッ スカッ



ことり「……ぅぅ……」ズザァァァ!!!



ことり「……ぁぁぁぁあああああ!!」



ことり「消えちゃえぇぇぇええええ!!!」チュン!!


穂乃果「……海未ちゃん……起きてたら……見てて……」




海未「……ぇ……」




穂乃果「……海未ちゃんは何のために……撃つの?」




穂乃果「……穂乃果は……」



ことり「消えちゃえぇぇぇぇええええええええ!!!」ギラッ




穂乃果「ホノーーーッカァァァ」グググ…




穂乃果「輪ごぉぉぉぉおおおおおむ!!!!」バシュゥゥウウン!!!!!



ことり(……)

ことり(…………)

ことり(………………)

ことり(………ぁぁ………)

ことり(……消えちゃえばいいのに……)


ことり(……こんな痛み……)


ことり(……こんな……)


ことり(……温もり……)


ことり「……重くないの……?」


穂乃果「……重いよ……」


穂乃果ことり「「…………」」

ことり「……いいよ……下ろして……」

穂乃果「……大丈夫……あと少しだから……」

ことり「…………」

ことり「……海未ちゃんは……?」

穂乃果「……ちょうど花陽さんが来たから任せてきた……」

ことり「……一緒にいなくていいの……?」

穂乃果「…………」

ことり「……穂乃果ちゃんと海未ちゃんは『家族』なんでしょ……?」

穂乃果「…………」

ことり「……それに、雪穂ちゃんっていう子も……」

穂乃果「……何のこと……?」

ことり「……もういいよ……記憶があることは知ってる……見てたから……」

穂乃果「……そっか……」

ことり「……うん……」

穂乃果「……穂乃果もね、『人』なんだよ……」


穂乃果「……一緒に過ごした『家族』だから……その想いも『友達』のものとは少し違う……」

ことり「…………」

穂乃果「……厳しく突き放すこともする……強くなってほしいから……」

穂乃果「……優しく励ますこともする……大事に、大事に想っているから……」

穂乃果「……それに、これは自分の我が侭だから……『家族』を付き合わせたくなかった……」

穂乃果「……でも、結局は付き合わせる形になっちゃったのかな……」

穂乃果「……穂乃果は2人とも信じてたんだ……」

穂乃果「……穂乃果がいなくても大丈夫だろうって……」

穂乃果「……まあ、海未ちゃんの泣き虫は心配だったけどね、あはは……」

穂乃果「……でも、信じて置いてきた……」

穂乃果「……だけど……それは『裏切られ』ちゃった……」

穂乃果「……ううん、穂乃果が『裏切った』んだよね……」

穂乃果「……その『裏切り』があったのに……2人は穂乃果のところに来てくれた……」


穂乃果「……穂乃果のことを想って……来てくれた……」


穂乃果「……とっても嬉しかった……」


穂乃果「……心配してくれて、絵里ちゃんにまで立ち向かってくれて……」

穂乃果「……穂乃果が拒んでも、諦めずにまた向かって来てくれた……」

穂乃果「…………」

穂乃果「……穂乃果はね……そんなにまで想ってもらえていることが嬉しいんだ……」

穂乃果「……最初、何も言わないでいたのは、絵里ちゃんに記憶があることを知られないため、傍で支えるためだったけど……」

穂乃果「……でも、途中から心配されるのが嬉しいって、心のどこかで感じるようになってた……」

穂乃果「……何のために、何も言わないでいるのか……分からなくなっちゃった……」

穂乃果「……でもね……」

穂乃果「……でも、辛いし、悪いと思ってる……」

穂乃果「……穂乃果の我が侭に付き合わせて……」

穂乃果「……こんなに迷惑ばかりかけて……」

穂乃果「…………」

ことり「…………」


ことり「……『家族』だから……」


穂乃果「……え?」


ことり「……『家族』だから……いいと思う……」


ことり「……『家族』は……支え合うんでしょ……?」



ことり「……全部済んだら……笑って……『ただいま』って言えば……いいと思う……」


穂乃果「……ことりちゃん……」

ことり「…………」ギュッ

穂乃果「……うん」

穂乃果「……ありがとう……」


ことり「……別にいいよ……」

ことり「……『友達』だから……」


穂乃果「……そっか……」


ことり「……うん……」


穂乃果「そっか」


ことり「うん」



穂乃果ことり「「…………」」







雪穂「……お姉ちゃん?」





穂乃果「……え?」




穂乃果「……どうしてここに?」

ことり「……」


雪穂「もちろんそんなの決まってる」

雪穂「お姉ちゃんの記憶を取り戻すためだよ」


穂乃果「……」

ことり「……」


雪穂「……さっき真姫さんにお願いしてきたんだ、記憶が戻る薬を作ってくださいって」


穂乃果「……」

ことり「……」


雪穂「それと、真姫さんから『あること』も聞いたの……」

雪穂「……なぜかお姉ちゃんにおんぶされてることり少将にお話しがあります」


ことり「……羨ましい?」


雪穂「さっさと下りてください」ニコニコ


ことり「いやー」ギュー


雪穂「あはは、トサカ引っ張りますよ」ニコニコ


穂乃果「……こ、ことりちゃん……苦しい……」

ことり「……はあ……下りてあげますよーだ」シュタ

雪穂「まったく……」


ことり「……穂乃果ちゃん、ちょっと離れててくれるかな?」


穂乃果「……え」


ことり「……」ニコッ


穂乃果「……」ジッ


穂乃果「……うん、分かった……」スタスタ

雪穂「…………」



ことり「…………」



ことり(……ことりは……)

ことり(……本当のことを伝えない……)

ことり(……ことりは嘘吐きだから……)

ことり(……ことりは穂乃果ちゃんのことが好きだから……)

ことり(……ただの『人』だった穂乃果ちゃんのことが好きだから……)


ことり(……ことりは……)

ことり(……やっぱりただの『人』だから……)

ことり(……好きな人の好きな人にイジワルしたくなる……)


ことり(……醜くて、汚い……)


ことり(……けど、この気持ちは、心にずっとあり続けるんだろうなぁ……)


ことり(……ううん、ずっとあればいい……)


ことり(……それが『ことり』だから……)


ことり(……だから、ことりはいつものように……)


ことり(……嘘を吐く……)


ことり(……)



ことり「こんにちは、雪穂ちゃん、何が知りたいのかな♪」ニコッ


今日はここまでです

いつも皆さんの応援ありがとうございます

とても励みになっています



さて、今回で「本社潜入編」は終わりを迎えます

海未ちゃんも頑張っていましたが、門番1さんが一番頑張ったかもしれませんね

ちなみに、門番1さんは無事生きて女医さんとお茶していると適当に想像しています



書き溜めが尽きたので、次回は少し期間を置くかと思いますが、なるべく早めに更新できるよう頑張ります

それでは、また次回、お楽しみに

『2つ目の壁』の向こう側 本社 真姫専用研究室


真姫「はあ!?UTXがウチの国で会談をしたい!?」


フミコ「は、はい……内容は毎年同様の協定確認なのですが……」

フミコ「しかし、断っても特に問題はないようで、その場合はいつも通り国境に設けられた中立地帯の施設で行うと申し出ています」

真姫「……いったい何を考えているのかしら……」

真姫「……今までこんなことなかったのに……」

フミコ「あとおかしな点がありまして……」

真姫「……おかしな点?」

フミコ「会談をする場合は、両者のトップが出席するのは勿論ですが、それに加えてそれなりの護衛が付くのが普通」

フミコ「それなのにUTXが提示した人数は、トップを含め……」


フミコ「2人です」


真姫「っ!?じゃあ、護衛が1人ってこと!?」


フミコ「はい、そうなりますね」

真姫「……ほんと何を考えて……」

フミコ「……断りますか?」

真姫「…………」


真姫「……いいわ、受けてあげましょう」

フミコ「よろしいのですか?」

真姫「その条件で断って、こちらに戦力がないとか思われても困るしね」

フミコ「……了解しました、承諾すると伝えて参ります」シュン!

真姫「…………」


真姫(……UTXのトップは、優木あんじゅ……)

真姫(最近変わりたての大統領で、私のように科学技術分野に秀でていると聞いているけど、兵士としての力は皆無だったはず……)

真姫(そんな人が護衛を、たった1人しか付けないなんて……)

真姫(何か策があるのか、それとも……)


真姫(……護衛の力がそれほどのものであるか……)


真姫「……はぁ……」

真姫「……でも」

真姫「何があっても戦争にだけはさせない」


真姫「私も、みんなも、あんな『痛い』思いをしないように……!!」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
現在


海未(はあ……足を刺されたときは、もうやられるかと思いましたね……)

海未(しかし、そんなボロボロの私を助けに来る穂乃果……)

海未(あぁ……感動的でした…………痛かったですが…………)

海未(けど、助けに来たのなら、最後まで私の面倒を看てくれても良かったのに……)

海未(……穂乃果におんぶされる被検体1号……)

海未(……偶然居合わせた花陽に、変態だからおんぶしたくありませんと言われ、足を持って引き摺られる私……)

海未(あの差はいったい……)

海未(そういえば、門番さんも引き摺られていましたが……あの運び方は流行っていたのでしょうか……)


海未(……その後、病室に連れていかれた私は……あぁ、にこ大佐に叱られたんでしたね……)

海未(疲れているところにあの仕打ちはないですよ、もう……)

海未(それで、噂を聞きつけた凛も来て、海未ちゃんは車イスだけど凛はそろそろ松葉杖卒業だにゃ~、とよく分からない自慢話を聞かされましたね……)

海未(最後に来たのは、いつの間にか本社に潜入していた雪穂でしたか……)

海未(雪穂はというと……あはは、入院なんて海未さんには日常茶飯事じゃないですか、と言って、潜入で得た情報を話してさっさと帰る始末……)

海未(いや、何なんですか!!誰か一人くらい心配してくれたっていいじゃないですか!!)

海未(…………はぁ…………まあ、もういいですけど……)

海未(…………)

海未(……あのとき得た情報は、真姫大将が記憶を元に戻す薬の製造に尽力すること、被検体1号が実験の観察役だったこと……そして……)

海未(……穂乃果がやはり薬を飲まされていたという事実……)

海未(それが被検体1号の嘘だと分かったのはだいぶ後でしたね……)

海未(まったく、あの方はいったい何を考えているのか……そんなのを助ける穂乃果も穂乃果ですが……)


海未(ですが、それが『穂乃果』というものでしたね……)


海未(……穂乃果……)


海未(あのとき、私に向かって言っていた言葉……『何のために撃つのか』……)

海未(私はそれまでずっと、ただ強くなるためにがむしゃらに撃っていただけでした……)


海未(……何のために……)


海未(……穂乃果……貴女が撃つ理由は貴女にしか分かりませんが……貴女を想ってきた私が勝手に想像します……)

海未(……何も言わない貴女が悪いんですからね……)

海未(……でも、それを想像する必要がないくらい貴女はいつだってその夢を言っていましたしね……)

海未(それは……)


海未(……みんなのため……)

海未(……みんなが笑い合う世界をつくるため……)


海未(……それで、いいんですよね……穂乃果……)


海未(…………)


海未(……ですが、それは穂乃果の理由……)


海未(……私が撃つ理由……)


海未(……それが何なのかを、穂乃果に言われてからずっと……)


海未(……ずっと探しました……)


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

1か月後

演習場


海未「ホノーッカァァァアアア!!」グググ……


海未「ラブ!!」グッ


海未「シュートォォォオオオ!!」ポシュン!


ポトン


にこ「……ねぇ……何だか前より弱くなってない?」


海未「な、なぜです……私の穂乃果への愛はこんなものでは……」ワナワナ


雪穂「あはは、こんなものだったんですよ」


海未「そんなこと有り得ません!」

海未「……ああ、もう、頭の中でぐるぐるぐるぐる、穂乃果の言葉がぁぁぁ……」

海未「こんなにも私を悩ませるなんて、穂乃果も罪な人です……」

雪穂「『何のために撃つか』……でしたっけ?」


海未「……はい、それを言われてから悩みに悩み……」


雪穂「病室のベッドでずっとダラダラ過ごしてましたね」

にこ「ああ、あれね、寝て、起きて、食べて、女医さんと話すだけの日々という」


海未「とっても悩み!!!」


雪穂にこ「「…………」」


海未「そして、辿り着いたのがこの技名!『ホノーッカ・ラブ・シュート』です!!」

海未「どうでしょう、この技名は?かっこいいですか?」


雪穂「勝手に人の姉の名前を使わないでくださいね」ニコニコ


海未「ひぃっ!!た、直ちに変えさせていただきます!!」ビクッ


にこ(……う、海未が怯えて……雪穂への恐怖がまだ残ってるのかしら……)

にこ(……というか、撃つ理由じゃなくて、結局、技名悩んでるだけだし……)

にこ(……やっぱり先はまだ長いのかしらね……)

兵舎 食堂


ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


海未(……あぁ……折角ベッドの上でお饅頭を食べながら考えた技名だったのですが……)トボトボ

海未「……はぁ……」


ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


海未「もう何なんですか、モブたちうるさいですよ!!人がこんなに悩んでいるときに……」



凛「お~い、海未ちゃ~ん、こっち空いてるにゃ~」フリフリ

花陽「凛ちゃん♪あの変態は呼ばなくていいんだよ」ニコッ



海未「……花陽……聞こえてます……」



海未「では、失礼しますね」ガタッ

凛「あ、海未ちゃん、今日はうどんなの?」

海未「ええ、色々と悩んでいますからね、少し過去を振り返ってみるのもいいかと……」

海未「……思い出したくない修行時代ですが……」

凛「ふーん、凛は豚骨ラーメンだにゃ~♪」


海未「あ、美味しそうですね、交換しませんか、過去もろとも」


凛「……どれだけ嫌な思い出なの……」


海未「うどんなんて消えればいいです」


凛「うどんに罪はないにゃ」

花陽「……」ジッ


海未「うみゅ?……あ、あの……そんなに見つめられると……私、恥ずかs花陽「警戒してるだけです」


海未「……も、揉んだのは昔のことじゃないですか!そろそろ警戒を解いてもいい頃では?」

凛「そうだよ、かよちん、海未ちゃんはもう胸は揉まないって……たぶん……」

海未「凛は私を庇っているのですか、いないのですか?」

凛「いるよ、たぶん」

海未「なら、なぜ最後に『たぶん』を付けるんですか!」

花陽「……はぁ……今は凛ちゃんに免じて同席を許していますが……」

花陽「私の胸を触ってから約一か月弱……もしも触りたい欲求が目覚めたらどうなるか……はわわわわ///」

海未「……は、花陽?想像というか、妄想が少し過激ですよ……?」


凛「けど、かよちんの胸は柔らかいから触りたくなるにゃ~♪」プニプニ


花陽「えへへ、そう?」ニコニコ


海未「な、なぜそれは良くて、私はダメなんですか!?」


花陽「変態か変態じゃないかです」


海未「……うみゅぅぅ……もういいですよ……」シクシク


ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


海未「だから、何なんですか!?今日のモブたちは!!一際、自己主張してきますね!!」


凛「あれ?海未ちゃん、知らないの?」プニプニ

海未「……え?」

凛「今、あの話題で持ち切りだよ」プニプニ


凛「来週、UTXの大統領が来るんだって」プニプニ

『2つ目の壁』の向こう側 本社 社長室


真姫「悪かったわね、ずっと立て込んじゃってて……」

雪穂「いいんですよ、忙しいの分かってますから」

真姫「UTXからのウチでの会談の申し出とそれの準備、ことり少将の事件とその対応、その他諸々……」

真姫「……はぁ、疲れたわ……」

雪穂「ふふっ、お疲れ様です」

真姫「ええ、ありがとう」


雪穂「それで、結局、ことり少将はどうされたんですか?」

真姫「……普通は地位剥奪と1年間の投獄なんだけどね……」

真姫「被害者からの意見があって減刑、半年間の投獄のみよ」

真姫「その意見だけど、一人は『レディーはソフトに扱うもんだぜ』っていうのと……」

雪穂(ああ、あの門番の人か……)

真姫「もう一人は……」


真姫「『何だか辛そうな顔をされていましたから』だって……」


雪穂「海未さん……」

真姫「……雪穂ちゃんは良い仲間を持ったのね」

雪穂「……ふふっ……そうですね、少し頼りないときもありますが……」


雪穂「でも……」


雪穂「……いつも真っ直ぐに目標に向かう人で……私のことを支えてくれる……」


雪穂「『お姉ちゃん』みたいな人です」ニコッ


真姫「……そう」

雪穂「あ、けど、今のは内緒ですよ」

雪穂「こんなの海未さんが聞いちゃったら付け上がりますから」

真姫「それに、恥ずかしいし、でしょ?」

雪穂「えへへ、そうですね」

真姫「……いいわね、貴女にそんなに想われてるなんて、その子……」


雪穂「ほえ?真姫さんのことだって想ってますよ」


真姫「なっ!///」


雪穂「『友達』ですから」


真姫「……あ、ああ、そう……よね……うん、私も雪穂ちゃんのこと想ってるわ、『友達』として……」ショボン


雪穂「?」

真姫「……あ、そうだ、記憶を取り戻す方法だけど」

雪穂「何か進展がありましたか!?」

真姫「あ、その、ごめんなさい、記憶を元に戻す薬はまだなんだけど……」

雪穂「……そうですか……」

真姫「でもね、私、考えたのよ!」

雪穂「えっ!?まさか、他に方法を思いついて……!?」


真姫「叩けば直る、って!」


雪穂「人の姉をなんだと思ってるんですか」


真姫「ち、違うの!今のは言葉の綾で……えっと……あれよ!ショック療法!」

雪穂「…………あー…………」

真姫「……あ、あの……反応が薄いんだけど……どうかした?」

雪穂「いやぁ、そのぉ……それ、もうしましたよ?」


真姫「……え…………う゛えええええぇぇぇぇ!?」


雪穂(『う゛えぇ!?』って……すごい驚き方……)


真姫「も、もうしちゃったの?」


雪穂「はい、海未さんがお姉ちゃんに告白しました」


真姫「う゛えええええぇぇぇぇぇぇ!!??///」


雪穂(はい、良い『う゛えぇ!?』頂きました)

真姫「そそそそそれでどうだったの!?///」

雪穂(こういう話になると真姫さんって焦るよなぁ……)

雪穂「う~ん、結論は『お姉ちゃんは海未さんのことが好きじゃない』になりました」

真姫「ああ……フラれちゃったのね……」

雪穂「はい、海未さんに笑いながら輪ごむを撃っていました」

真姫「よく分からないけど、告白の断り方ってそういうものなのかしら……?

雪穂「はい、輪ごむでズドォン!です」

真姫「そ、そうなの……」

真姫(告白って、恐ろしいのね……)

真姫「……それで、そのあとは、そういうショック療法みたいなことはしたの?」

雪穂「……あ~……いえ、してないです」

真姫「なら、繰り返しした方がいいわよ、あ、告白以外でね」

真姫(危険だし、それに……)

真姫(雪穂ちゃんには告白なんてしてほしくないし……///)

雪穂「繰り返し、ですか……」

真姫「ええ、そういう驚かすのもいいけど……」

真姫「例えば、穂乃果にとって思い出の品を見せるとか、昔話を聞かせるとか、とにかく何度も挑戦することをお勧めするわ」

雪穂「……分かりました……でも、なかなかお姉ちゃんに会う機会なんて……」


真姫「そう思って呼んでおいたわ」


雪穂「……ほえ?」


真姫「門のところまで客人、つまり雪穂ちゃんを送るように手配したから、それまで色々試してみるといいわ」


雪穂「……真姫さん……」

雪穂「大好きです!」


真姫「う゛えええええぇぇぇぇ!!!???///」


雪穂(真姫さんを驚かすのって簡単だなぁ)


コンコン
マキタイショウ ホノカデス
サケビゴエガ キコエマシタケド ダイジョウブデスカ?


雪穂「あ……お姉ちゃんだ」

雪穂「それでは、真姫さん、またお会いしましょう」スクッ スタスタ

真姫「え、ええ、ま、またね///」

雪穂(……この扉の向こうにお姉ちゃんが……)

雪穂「……よし!」ガチャ




穂乃果「……え?……ゆk」




雪穂「お姉ちゃん、私と付き合ってください!」




真姫(いや、何で告白してるのよ!!??)

真姫(告白以外で、って言ったじゃない!!)



穂乃果「……え……え?ぇぇぇぇええええええ!!??」

穂乃果「いや……その……あの……///」

雪穂(こ、これはもしかして脈ありなのでは……)

穂乃果「穂乃果はまだそういうの早いと思うなぁ!!///」

雪穂「ちっ」

穂乃果「あれ、何かいま舌打ちg雪穂「気のせいだよ、お姉ちゃん」ニコッ

穂乃果「そ、そう?」

雪穂「じゃあ、案内よろしくね」

穂乃果「う、うん」


キィィ バタン


真姫「……はぁ……」

真姫「……輪ごむでズドォン!にはならなかったわね……」

真姫「はっ!ってことは、まさか脈あり!?」

真姫「……ぁぁ……私は……私はどうしたら……」ワナワナ

『2つ目の壁』の向こう側 本社内廊下


雪穂「ねえ、お姉ちゃん」

穂乃果「……あはは、だから、お姉ちゃんじゃないって」

雪穂「ううん、お姉ちゃんはお姉ちゃんだから……」

雪穂「もしお姉ちゃんがお姉ちゃんじゃないならお姉ちゃんはお姉ちゃんじゃないけど」ペラペラ

穂乃果「……え」

雪穂「お姉ちゃんは確かにお姉ちゃんだからお姉ちゃんのことをお姉ちゃんと呼ぶのは妹として当然で」ペラペラ

穂乃果「……あの」

雪穂「妹の義務としてお姉ちゃんをお姉ちゃんと呼ぶことは正しく、お姉ちゃんをお姉ちゃんと呼ばないならそれはもう妹として失格だから」ペラペラ

穂乃果「わ、分かったから!!」


雪穂「というわけで……」


雪穂「私はお姉ちゃんの『妹』で、お姉ちゃんは私の『お姉ちゃん』♪」


雪穂「だから、私はずっとお姉ちゃんって呼ぶよ」ニコッ


穂乃果「……」

穂乃果「……はぁ……もう好きにすれば?」プイッ

雪穂「うん、お姉ちゃん♪」

穂乃果「……///」


穂乃果「それで、どうかしたの?何か話そうとしてたけど」

雪穂「うん、ちょっと昔話を」

穂乃果「……昔話?」

雪穂「うん、私とお姉ちゃんとの大事な……大事な思い出話」

穂乃果「……だから、穂乃果は……」

雪穂「いいよ、聞き流すだけで……」

穂乃果「……」

雪穂「じゃあ、始めるね」

雪穂「私がお姉ちゃんと出会ったのは――――」

『2つ目の壁』 正門前


雪穂「じゃあ、またね、お姉ちゃん♪」

穂乃果「……うん、またね、『雪穂ちゃん』」

雪穂「……」クルッ スタスタ


穂乃果「…………」


門番1「……どうかしたのかい、穂乃果ちゃん?」

穂乃果「え、ううん、何でもないよ」ニコッ

門番1「……そうか……またチーズケーキでも苺のショートケーキでも何でも言ってくれれば作ってあげるぜ」

穂乃果「うん、ありがとう、ふふっ、美味しいから楽しみだなぁ」ニコニコ

穂乃果「それじゃあ」スタスタ


門番1「……嗚呼、レディーたちが悲しんでるのにおれは何でこんなとこで男と一緒に門番なんてやってるんだ……」

門番2「てめぇの仕事は門番だろうが……」

門番1「違う!おれは全世界のレディーのナイトだ!!」

門番2「勝手にやってろ」

1週間後

『2つ目の壁』 正門付近


海未「あー……暇ですねー……」ゴロゴロ

雪穂「そうですねー……」ゴロゴロ

凛「だにゃ~……」ゴロゴロ

花陽「じゃあ、お餅でも焼こうか?」


にこ「いや、焼かんでいいわよ」


花陽「あ、そっか、お餅だけだと味気ないですもんね、今度は黒蜜とかあんこが出せるように改造を……」


にこ「違うわよ!けど、一応言っとくとあんこがいいわ」


海未「花陽、ここの芝生さんが燃える可能性があるから向こうでやるべきと、にこ大佐は言っているんです」


にこ「それも違うわよ!」

にこ「い~い!?私たちはここの警備に付いてんの!!会談終わるまではずっとここで待機よ、た・い・き!!!」


雪穂「そうですかー……じゃあ、待機してまーす……」ゴロゴロ

凛「にゃんにゃんにゃ~……」ゴロゴロ


にこ「……だんだん海未が伝染してきているような気がするのは、気のせいかしら……」

音ノ木坂国・UTX国 国境中立地帯


ヒデコ「着きました」キキィ

絵里「ええ、ありがとう……向こうはすでに着いているようね」

穂乃果「あの人がUTXの大統領……」

穂乃果「優木あんじゅさん」




あんじゅ「今日はこんな無理なお願いを聞いてくれてありがとう」ニコッ


絵里「……いえ」ジッ


???「……何かな?」


あんじゅ「ああ、紹介するわね、今日の私の護衛役の…」


英玲奈「統堂英玲奈だ、よろしく頼む」


絵里「……私はあy英玲奈「絢瀬絵里中将、前の戦争では我が国の兵士を数え切れぬほど倒した強者、噂は今でもこちらで流れているよ」

絵里「……そう、よろしく」

あんじゅ「あはは、ごめんなさいね、ちょっと『歯止めが効かなくなる』ときがあって」

絵里「……そのようですね」

穂乃果「……あ、えっと、私は高s英玲奈「君が高坂穂乃果か」


穂乃果「aか穂乃……え?」


あんじゅ(へえ……この子がツバサの言っていた……)


絵里「……何で穂乃果のことを知っているのかしら?」ギロッ

あんじゅ「噂って結構広まるものよ?」ニコッ

絵里「……そのようですね、これからは広まらないように気を付けます」

穂乃果「ほえ~……何だか有名人になった気分だね、『姉様』」

絵里「いや、もっと気にするところがあると思うわ、穂乃果」


穂乃果「あ、でも、改めて自己紹介しますね」

穂乃果「高坂穂乃果です」

穂乃果「今日はよろしくお願いしますね、あんじゅ大統領」つ スッ


絵里「ちょっ……穂乃果……!?」


あんじゅ「あら……ふふっ、よろしくね」つ ギュッ


穂乃果「英玲奈さんも、よろしくお願いしますね」つ スッ


英玲奈「む……ああ、よろしく頼む」つ ギュッ


穂乃果「……あれ?」


英玲奈「……どうかしたのかい?」


穂乃果「え、ううん、何でもないよ、よろしくね」

穂乃果「えへへ」


あんじゅ「くすっ……可愛い子ね、英玲奈」

英玲奈「そうだな」


絵里「……はぁ……」

絵里「……さて、それではあちらの車で案内します」


あんじゅ「ええ、分かったわ」スタスタ

英玲奈「……」スタスタ

音ノ木坂国 市街地 車内


あんじゅ「……へえ、街には結構人がいるのね」

穂乃果「はい、この辺は中心部なんで他のところよりも少し多いですが」

あんじゅ「…………そう…………」ジー

穂乃果「……?」

絵里「……」ジッ

英玲奈「ふふっ、そんなに警戒しなくてもいい」

英玲奈「彼女は街の様子が珍しいだけさ」

絵里「どの辺が珍しいのか分からないのだけど?」

英玲奈「貴女たちにしてみたら珍しくないものでも、私たちにしてみたら珍しいと思えるものだよ」

絵里「……」

あんじゅ「……そういえば、穂乃果ちゃんは13歳になるのよね」

穂乃果「あ、はい、そうです、あんじゅ大統領」

あんじゅ「んー、やっぱり似合わないなぁ……」

穂乃果「……?」

あんじゅ「『大統領』なんて呼びづらいでしょ?呼びやすい言い方でいいわよ?」

穂乃果「え……あの……?」チラッ

絵里「……はぁ……いいって言うなら、いいんじゃないかしら」

穂乃果「うん……じゃあ、あんじゅさん、でいいですか?」

あんじゅ「うん、いい響き♪」

英玲奈「だが、その歳で少将以上に強いとは恐れ入るな」

穂乃果「えへへ、それほどでもないですよ///」

絵里「……いったいどこまで穂乃果のことを知ってるのかしら?」

あんじゅ「ふふっ、さあ、どうかしら?」

絵里「くっ……」ギリッ

穂乃果「『姉様』、落ち着いて、ね?」

あんじゅ「……」

あんじゅ「……『姉様』、ね……」

あんじゅ「見たところ、いや、これも噂ね、絵里中将と穂乃果ちゃんは姉妹じゃないわよね?」


絵里「!?」

穂乃果「……」


あんじゅ「貴女には本当の妹さんがいる」

あんじゅ「穂乃果ちゃんは『姉様』なんて言ってるけど……」

あんじゅ「それは穂乃果ちゃんが自分から言ってるのかしら?」

あんじゅ「それとも……」

あんじゅ「無理やり貴女が言わせているのかしら?」

あんじゅ「ねえ、絵里中将」ニコッ


絵里「……っ!!ふざけないで!!私はっ……!!」

穂乃果「『姉様』……」

絵里「……私は……」プルプル


穂乃果「大丈夫だよ」つスッ ギュッ


絵里「……穂乃果?」

穂乃果「あんじゅさん」


あんじゅ「何かしら、穂乃果ちゃん?」


穂乃果「あんじゅさんには『兄弟』や『姉妹』はいますか?」


あんじゅ「……残念ながら、一人っ子」


穂乃果「なら、『友達』はいますか?」


あんじゅ「……そうね、いるわね」


穂乃果「そうですか、大事にしてくださいね」ニコッ


あんじゅ「え、ええ、もちろんよ」



穂乃果「あ、『姉様』、そろそろ会社に着くよ」

絵里「……え?ええ、そうね」


あんじゅ「え、今のは何だったの……?答えになってない気がしたけど……」キョトン

英玲奈「…………」

『2つ目の壁』 正門付近


花陽「オモチ・フィンガー!!」ズドドドドド

ベチャ ベチャ ベチャ ベチャ ベチャ

凛「うわぁ、もちもちして美味しそう、早く焼いて食べたいにゃ~♪」ワクワク

海未「門番さんに七輪と黒蜜、貸してもらえてよかったですね」

雪穂「はい、まさか頼むと何でもやってくれるなんて良い人です」

にこ「でも、あんまし負担かけないであげてよ?あの人、借金だらけになるわ」

凛「かよちん、早く、早く~♪」ワクワク

花陽「ふふっ、ちょっと待っててね」



花陽「……すぅ~~~~~~~……」



花陽「ハナッヨ・ファイア!!!!」



ボォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!



海未雪穂にこ「「「………………」」」

凛「にゃ~♪」ワクワク


花陽「はい、できたよ」

凛「おお!前に試したときより上手く焼けるようになったね」

花陽「前は真っ黒焦げだったからね、練習したんだぁ♪」


海未「……いつ見ても慣れませんね……」

雪穂「……ええ、口から火ですからね……」

にこ「……火力、もう少し抑えられないのかしら……お餅は焼くのをじっくり見るのが楽しいのに……」

雪穂「にこ大佐はもうお餅焼くことに怒らないんですか?」

にこ「……実は、待ってたらお腹が空いたわ……」

海未「ダメな上司ですね」

にこ「アンタに言われたくはないわ」


凛「さあ、みんなも食べるにゃ~♪」

『2つ目の壁』正門までの道 車内


あんじゅ「あら、やっぱりかなり厳重に警備を敷いているのね」

絵里「ええ、何かあっても困りますからね」

あんじゅ「ふふっ、何もしないわよ」

英玲奈「ああ、それに私一人では少々キツいからな」

絵里「少々?『とても』の間違いでは?」

英玲奈「ん?ああ、かもしれないな」

絵里「……」ジッ


穂乃果「……あ、あれって……」


ハナッヨ・ファイア!!!!

ボォォォォォォォォオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!


絵里「………………は?」


あんじゅ「……」

あんじゅ(……へえ……あれがサイボーグね……)

英玲奈「……」


ヒデコ「失礼、しばし停車します」キキィ


絵里「……いいわ、私が注意してくるから」

『2つ目の壁』 正門付近


海未「おお!見てください!こんなに伸びます!」ビヨーン

雪穂「海未さん、お行儀悪いですよ」

凛「凛も負けないにゃ~」ビヨーーーン

花陽「凛ちゃん、がんばって!」

にこ「……私のお餅……ちょっと焦げ過ぎな気が……」ショボン


海未「凛、やりますね」ビヨーーーーン

凛「海未ちゃんこそ!」ビヨーーーーーン

海未「はぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!」ビヨーーーーーーーーーン

凛「にゃぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!!」ビヨーーーーーーーーーン

凛「にゃっ!?」ブチッ

海未「はっはっは、甘いですよ、凛」ビヨーーーーーーーーーーーーーン


海未「私のはまだまだ伸b絵里「何してるのかしら?」ブチッ


海未「なっ!?」

雪穂「え、絵里中将!っていうか、もう車来てるし!?」

凛「……はぁ……」ショボン

花陽「凛ちゃん、元気出して」ナデナデ

にこ「……おこげのように香ばしくサクサクとした食感は口の中を楽しませる……そうよ、そう思い込めば何とか食べられる……はず……」グヌヌ

海未「わ、私の……私の伸びに伸びたお餅さんが……」ガクッ

海未「……うみゅぅぅ……何てことを……」ギリッ

海未「何てことをしてくれたんですか!!」

絵里「こっちのセリフよ!!」

絵里「何で警備中にお餅なんて焼いて食べてるのよ!しかも、あんな火力で!」

海未「そんなの、このハードなスケジュールに問題があるんです!」

海未「いま何時だと思ってるんですか!!もうお昼回って14時過ぎですよ!お腹なんてとっくに空きましたよ!!」

絵里「そんなの携帯食糧で何とかしなさいよ!」

海未「携帯食糧なんて数にも入りません!!午前のうちに消えてなくなりましたよ!!」

絵里「貴女、どれだけ食いしん坊なのよ!」


にこ「まあ、落ち着きなさいって」モグモグ


絵里「にこ大佐……貴女……」

絵里「……焦げてるけど美味しいの、それ?」


にこ「何とかイケるわ」モグモグ

あんじゅ「ふふっ、楽しそうな方たちね」スタスタ

英玲奈「ああ、まったくだ」スタスタ

穂乃果「あのっ、車に戻って頂かないと…!」ワタワタ


海未「穂乃果!?」

雪穂「あ、お姉ちゃん、お餅食べる?」

穂乃果「え、あ、うん、食べる」


あんじゅ「私にもお餅、いいかしら?」

絵里「何言って……」

花陽「え?うん、いいよ」


花陽「オモチ・フィンガー!!」ズドドド

ベチャ ベチャ ベチャ


あんじゅ「……」ジー


花陽「ハナッヨ・ファイア!!!」

ボォォォォォォオオオオオオオオ!!!!


あんじゅ「……」ジー


花陽「はい、どうぞ、穂乃果ちゃん」

穂乃果「ありがとう、花陽さん」

花陽「はい」

あんじゅ「ありがとう、美味しそうね」

英玲奈「あ、焼いてもらってすまないが、私は偏食家で、お餅は食べられないんだ」

凛「じゃあ、凛が食べる~♪」

あんじゅ「貴女、サイボーグの小泉花陽さんよね」モグモグ

花陽「……うん、そうだけど……」

あんじゅ「ふふっ、お会いできて光栄だわ」モグモグ

花陽「……?えっと、花陽、お餅出したし、もう行くね」タッタッタ

あんじゅ「ええ、ご馳走さま」


絵里「……またしても、噂、かしら?」


あんじゅ「ええ、またしても、噂、ね」

あんじゅ「噂だと、お米燃料で体内各部の機械を支えていて、燃料が切れた後は背中のぜんまいで動力の確保も可能」

あんじゅ「皮膚の下には軽くて硬いマキニウム合金が使用されていて、攻撃にも防御にもその硬度は使える」

あんじゅ「他に飛び道具を装備していて、お米を弾丸にして撃つこともできる」

あんじゅ「けど、まさかお餅が指から出て、口から火を放つなんて驚いたわ」

あんじゅ「面白い発想をするわね、真姫大将は」

あんじゅ「それに、あの腕の様子だと、まだ何か装置が仕込まれてそうね」

あんじゅ「ふふっ、いつか見られたら嬉しいわね」


絵里「……」

絵里(……優木あんじゅ……いったいどこまで知ってるのかしら……)

穂乃果「あ、美味しい」モグモグ

雪穂「そうでしょ?」

海未「穂乃果は甘いものが好きですからね」

穂乃果「……」ジッ

穂乃果(足は……大丈夫そうかな……良かった……)

海未「うみゅ?どうかしましたか?」

穂乃果「別に」プイッ

海未「」ガーン

雪穂「お姉ちゃんは海未さんのことなんか興味ないそうです」

海未「そ、そんなことありませんよね!ね!穂乃果!」

穂乃果「あ、にこ大佐、これ食べかけだけど、焦げてるのより美味しいと思いますよ」つオモチ

にこ「え……いいの……?何だろ……久しぶりに優しくされて……泣きそうになるわ……」ジワッ

海未「ほのかぁぁぁぁ……そして、にこ大佐めぇぇぇ……!!」



凛「……ふふっ♪」ジー

花陽「凛ちゃん、どうしたの?」

凛「ううん、何でもないよ、かよちん♪」

凛「にゃ~、やっぱり美味しいね、これ」モグモグ

花陽「そう、良かった♪」

『2つ目の壁』の向こう側 本社会議室


絵里「……まったく……ようやく着いたわ……」

絵里「真姫大将、あんじゅ大統領をお連れしました」

あんじゅ「お待たせしてごめんなさいね」

英玲奈「……」

真姫「……別に構わないわ」


穂乃果「あ、真姫大将、これ花陽さんが焼いてくれたお餅です、どうぞ」

真姫「へえ、ちゃんと上手く焼けるようになったのね」

真姫「……って、まさかこれで遅くなったんじゃないでしょうね!?」

穂乃果「おお、真姫大将、すごいです、よく分かりましたね」

真姫「ふふん、そのくらい当然よ」ドヤァ

穂乃果「じゃあ、冷めないうちに召し上がってくださいね」

真姫「ええ、ありがとう、頂くわ」モグモグ


あんじゅ(……単純な人なのかしら……)

穂乃果「さてと、穂乃果の席は……」キョロキョロ


ことり「ここだよ、穂乃果ちゃん♪」


穂乃果「……え?ことりちゃん?何でここに……」

ことり「うぅぅ~~~、穂乃果ちゃ~ん、やっと抱けるよぉ♪」ダキッ

穂乃果「うわっ……ちょっと……ことりちゃん……///」

絵里「何でいるのかしら、ことり少将?」ニコニコ

ことり「ん~、今日だけ出してもらったんだぁ」

ことり「とは言っても、ただの警護役だけどね」


あんじゅ「……禍々しいほどの長い針で、敵を刺して刺して刺しまくる……」


ことり「……っ!?」キッ


あんじゅ「貴女も前の戦いではウチの国の兵士を大量に倒してくれたそうね」


ことり「……それが何か?」


あんじゅ「いえ、何も」ニコッ


穂乃果「……あんじゅさん、あまりそういうのは言わないで頂けますか?」


ことり「穂乃果ちゃん……」


あんじゅ「ええ、ごめんなさい、気を付けるわ」ニコッ


穂乃果「…………」


ことり「穂乃果ちゃ~ん♪」スリスリ


絵里「だから、貴女はもう離れなさいよ!」ガシッ

真姫「さて、そろそろ始めてもいいかしら?」

あんじゅ「あ、その前にもう少しだけいい?」

真姫「……はぁ……」

真姫「……何か?」


あんじゅ「真姫大将は、前国家が戦争で機能しなくなったから、その国家機能を会社で担うことにしたのよね?政治、経済、軍事、あらゆる国家の機能を」


真姫「……そうね、昔はちゃんと国家があって、私たちは経済面に影響を与える大企業でしかなかった」

真姫「けど、戦争が続く中、私たちも何かしなきゃって思って会社を軍事面にも伸ばした」

真姫「そしたら、貴女たちが国家機能を担うところを攻撃してくるじゃない?」

真姫「……そこで国は一旦終わりを迎えた……」

真姫「でも、自分たちの『家』がただ奪われていくのを見るのは辛いものよ」

真姫「その判断が正しかったのか分からないけど……私たちは、戦いを続けた……」

真姫「そして、休戦協定を結ぶまでにこぎ着けた」

真姫「でも、国家が機能しないんじゃ、みんなが貧困に喘いでしまう……」

真姫「だから、会社で担うことにしたわ、全部」


あんじゅ「…………」

真姫「……それで、何が聞きたいの?会社の生い立ちで十分かしら?」


あんじゅ「ふふっ、ありがとう、でも、あと一つだけ……」


あんじゅ「やっぱりその『席』は重いかしら?」


真姫「…………」

真姫「……ええ、ずっと嫌と言うほどそれを感じてきたわ」


あんじゅ「……そう……」


真姫「貴女だって、そう感じているんじゃないの、あんじゅ大統領?」


あんじゅ「……かもしれないわね……」


真姫「……?」


あんじゅ「……ごめんなさい、時間を取らせてしまって」


真姫「なら、もう始めるわよ」


あんじゅ「ふふっ、どうぞ」







真姫「……では、休戦協定の更新についてだけど」






あんじゅ「それ白紙に戻させてもらうわ」









真姫「……………………は?」




穂乃果「……え?」




絵里「貴女……なに言って……!?」




ことり「……」



あんじゅ「休戦協定の更新はしないわ」



真姫「なっ!?……待ちなさい!」

真姫「貴女、それがどういうことか分かってるの!?」ガタッ

英玲奈「……」スッ

真姫「くっ……」



あんじゅ「ええ、分かってる」

あんじゅ「だから、こう言うわ」





あんじゅ「私、UTX国大統領」



ことり「……」



あんじゅ「優木あんじゅは」



絵里「……」



あんじゅ「貴女たち、音ノ木坂国に」



穂乃果「……」








あんじゅ「宣戦布告する」





今回はここまでです

お待たせして、すみません


さて、今回から「UTX戦争編」になります

これが終章かと思いますが、とても長編になると予想しています


>>1としても、どういうストーリーにしていくか、まだ決めかねているので

更新にまた同じくらい時間がかかるかもしれませんが、ご容赦ください


それでは、また次回、お楽しみに

ツバサは音ノ木側なの?

真姫「……ほ、本気で言ってるの……?」

あんじゅ「ええ、本気でなければこんな敵地まで来てこんなこと言わないわ」

真姫「考え直しなさい!戦争なんかしたところで何も……!!」

あんじゅ「そちらにはなくとも、こちらにはあるわ」


あんじゅ「戦う理由が……」

あんじゅ「戦う目的が、こちらにはある」


真姫「目的……?」


あんじゅ「……まあ、そんなのはいいでしょ」

あんじゅ「こちらが戦うと言っているのだから、貴女たちも早く決めないとね」


あんじゅ「戦うことを宣言するか」


あんじゅ「あるいは……」


あんじゅ「何もせず、私たちに下るかをね」



真姫「…………っ」グッ

あんじゅ「ふふっ」

あんじゅ「けど、今から戦おうってわけじゃないから安心して」

あんじゅ「ある程度はその決定を待ってあげるわ」

あんじゅ「今日はこちらの条件を飲んでくれたんだしね」

あんじゅ「それじゃあ、今日のところはこれで帰らせていただくわ」


絵里「こんな話をされて帰せるわけないでしょ!!」


あんじゅ「……ふうん……」

あんじゅ「なら、どうするの?」

あんじゅ「力尽くかしら?」


絵里「ええ、それで貴女の決定を止められるなら、そうさせてもらうわ」


あんじゅ「……別に私が決定したわけじゃないけど……」ボソッ


絵里「……?」

絵里「とにかく、貴女はここで止めるわ」ジリッ


真姫「絵里中将、少しだけ待って」


絵里「はぁ!?いや、しかし!!」


真姫「いいから!!!」


絵里「……っ!?…………はい」

真姫「あんじゅ大統領」

あんじゅ「これで最後の話にするわよ……それで、何かしら?」


真姫「……貴女、『痛い』って思ったことある?」


あんじゅ「……?痛みくらい、どこかぶつけたりすれば感じるけど……それがどうかしたの?」

真姫「私が言う『痛み』はそういう痛みじゃないわ」

真姫「もっと内面の……心の『痛み』よ」

あんじゅ「……もしかして、何かご高説でも言うつもり?」

真姫「そんな大したことじゃないわ」

真姫「……『人』なら誰しも感じられること……」

真姫「失ったときの悲しみ……」

真姫「自分で失わせてしまったときの辛さ……」

真姫「誰だってそれを持ち合わせているはずよ」


真姫「貴女にはないの?」

あんじゅ「……さあ……どうかしらね……」

真姫「……分からないわけじゃないわよね」

あんじゅ「…………さあ…………どうかしらね…………」

真姫「……」


真姫「……そこの貴女は?」

英玲奈「私はただ従うだけだよ」

真姫「……それは本意なの?」

英玲奈「生まれたときからこうだからな、どうしようもない」

真姫「……悲しいのね」

英玲奈「特に感じたことはないさ」

真姫「……」

あんじゅ「……さあ、英玲奈、戻るわよ」

英玲奈「ああ、そうだな」


ことり「……」チュン!!!!


真姫「ことり少将!?」

            ビュォォォオオオオ!!!
      ビュォォォオオオオ!!! ことり ビュォォォオオオオ!!!
         ことり     ことり
     ことり  あんじゅ「……」   ことり
     ことり  英玲奈「……ほう」  ことり
         ことり     ことり
      ビュォォォオオオオ!!! ことり ビュォォォオオオオ!!!
            ビュォォォオオオオ!!!


英玲奈「……確か、1本は攻撃用、もう1本は固定用の針だったな」

あんじゅ「ええ、そして、あの糸は捕まえるだけじゃなく、糸の強度によっては斬ることだってできるそうよ」

英玲奈「……あんじゅ、私にしがみついていろ」

あんじゅ「ええ、そうさせてもらうわ」ガシッ


ことり「……」ググッ


英玲奈「何だ、直接その針で攻撃しないのか」

英玲奈「まあ、今回は戦う目的ではなかったから私も相手はしないが、な!!」ドスッ!!


ピシッ!!! ズドォォォォォォオオオオオオオン!!!!


ことり「なっ!?」

絵里「あいつ、床を!?」


英玲奈「では、また」ヒューーーーーーーーーン

あんじゅ「1か月待つからよく考えて、またね♪」ヒューーーーーーーーーン


真姫「……あっ、ちょっと……!!」


マッテ エレナ! ココ20カイヨ!
ン? イケルダロ?


ガシャーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!


キャァァァアアアアアーーーーーーーーーーーーーーーー…………


真姫「…………」

真姫「……何なのよ……」

真姫「何なのよぉぉぉぉおおおおおおお!!!!!」



穂乃果「……」シュン!!!!

絵里「まだです、まだこの警備網なら逃げられないはずです!」

絵里「ヒデコ、フミコ、ミカ!!!」

ヒフミ「「「はい!!!」」」シュタ!!!

絵里「全軍に通達!逃げた優木あんじゅ、統堂英玲奈を捕まえなさい!!」

ヒフミ「「「了解しました!!!」」」シュン!!


絵里「真姫大将」

真姫「……え……ええ……」ボーゼン

絵里「……」

絵里「真姫大将!しっかりしてください!!貴女がここのトップなんですよ!!」

絵里「貴女がどっしり構えてないでどうするんですか!!」

真姫「……っ!?」

真姫「……分かったわ……」

絵里「……」


絵里「……あれ?穂乃果は……」

ことり「……あ~あ、糸からまっちゃった~」ゴソゴソ

絵里「ことり少将!穂乃果は!?」

ことり「え?追いかけてったけど?」

絵里「何で止めないのよ!!」

ことり「…………」

ことり「ずっと思ってたけど、絵里中将、過保護すぎ……」

ことり「……ううん、もしかして……」


ことり「信じてないの?」


絵里「なっ!?」


ことり「また妹から裏切られるとか思ってるんじゃないの?」

絵里「……っ、そんなこと思ってないわよ!!」

ことり「……そう」


ことり「なら、信じればいいよ」


絵里「っ!?」


ことり「穂乃果ちゃんは強いし、裏切ったりしない」

ことり「ことりはずっと」

ことり「穂乃果ちゃんを信じるよ」


絵里「……!?」

絵里「……はぁ……貴女がそんなこと言うなんて驚いたわ」

ことり「『人』は、変われるからね」

絵里「……でも、私は穂乃果を信じてないわけじゃない、ただ穂乃果が大事な人だから」

絵里「守りたいだけ」

ことり「……なら、追いかけないとね」

絵里「ええ」シュン!!!!!

『2つ目の壁』 正門付近


海未「……ぐぅ……むにゃむにゃ……」


ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー………………………


海未「ひっ!?」ガバッ

海未「な、何ですか!?人が気持ち良く寝てる時に!!」

雪穂「これって……確か模擬演習のときも鳴ってましたね」

にこ「緊急事態のサイレンよ!さっさと起きて!」

凛「……にゃ~……もう少しだけ、かよちんの膝枕を堪能してからぁ……」

花陽「ふふっ、まだ寝てていいよぉ」ナデナデ

にこ「早くしなさい!!」


ヒデコ『緊急報告!緊急報告!』


海未「ん?サイレンから声?」


ヒデコ『UTX国大統領、優木あんじゅが宣戦布告!』


海未「……うみゅ?」

雪穂「……え?」

にこ「……は?」

凛「にゃ~」ゴロゴロ

花陽「よしよ~し」ナデナデ

ヒデコ『現在、護衛の統堂英玲奈と共に逃亡中!』



ズドォォォォォォオオオオオオオオオン!!!



門番1「っ!?何だ!?門が壊れて……!?」


ビュォォォォォオオオオオオオ!!!!!


門番2「おい、今何か通ったぞ!?」



ヒデコ『直ちにその身柄を、拘束してください!!!』



英玲奈「…………」シュタ!

あんじゅ「……もう速すぎ……あぁ……酔ったわぁ……」


にこ「宣戦布告……?そんなバカな……」

雪穂「……お姉ちゃん、大丈夫なのかな……」

海未「……も……門が……」

海未「よくも……」プルプル

海未「よくも門番さんの大事な商売道具をぉぉぉおおお!!!」シュン!

にこ「ちょっと海未!?何にキレてんのよ!!」


凛「よいしょっと」ムクリ

花陽「もういいの?」

凛「うん、楽しそうだから凛も行くにゃ~♪」ピュン!!

花陽「あ、待ってよ、凛ちゃ~ん」シュン!!!


雪穂「わ、私も……!!」

にこ「雪穂はここにいなさい」

雪穂「え、でも……」

にこ「護衛を一人しか連れてないってことは相当強いはず、アンタじゃ荷が重いわ」

雪穂「………………はい」グッ

にこ「じゃあ、私は行くわ」ザシュン!!!!

雪穂「……」

雪穂(……強くなってきたと思ってたのに……)

雪穂(……私はまだ……守られてばかりなのかな……)

英玲奈「行くぞ、振り落とされないようにな」

あんじゅ「ええ、しっかりベルトで固定したし大丈夫よ」


海未「はぁぁぁぁああああああ!!」グググ…

海未「ラブ・ホノーッカ・シュート!!!」パシュン


ペチン


英玲奈「……」

海未「……」


海未「う……ぅぅぉぉぉおおおおおお!!!」シュン!

海未「これでどうですか!!!」ブン!!!!!


英玲奈「……」ギュン!!!!

ビュォォォォォオオオオオオオ!!!!


海未「なっ!?速っ……!?」スカッ


凛「凛に任せるにゃ~♪」ヒュン!!!


英玲奈「……ほう、なかなか速いな」

凛「にゃんにゃんにゃ~♪」ゲシッ!!

英玲奈「だが……」ピョォォオオオン!!!!!!

凛「にゃ!?」スカッ



英玲奈「横の速さだけじゃなく、縦の速さも磨くべきだ」



花陽「でも、空中なら、もう身動き取れないよね」スチャ!!


英玲奈「あんじゅ、サイボーグの技が出るぞ、目なんかつむって、見なくていいのか?」

あんじゅ「み、見るわよぉ!!」


花陽「クー・ド・飯!!!!」バァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!!!!


英玲奈「いや、やはり背中に隠れていろ」バッ!!!

あんじゅ「え?」


ブォォォォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!
ズドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!


英玲奈「……」ヒュォォォオオオオオオ!!!! ドドドドドドドドドドド!!!!!!

あんじゅ「うぐっ!?何この風圧!!それにこの粒……ポン菓子!?」ヒュォォォォオオオオオ!!!!

英玲奈「そのようだ、高圧力の空気と高速のポン菓子による同時攻撃か……」

英玲奈「普通なら、一溜りもない威力だ」

あんじゅ「ほんと面白いこと考えるわね、真姫大将は」


英玲奈「しかし、かなり上に飛ばされてしまったな」

英玲奈「……ん?」

『2つ目の壁』 壁上



穂乃果「ホノーーーーーッカァァァアアア!!!!」ググググググググググググググ……



穂乃果「ギガント・輪ごぉぉぉおおおおおむ!!!!!」バシュッッッッッッッッ!!!!!!!!


『2つ目の壁』 正門付近


英玲奈「あんじゅ、体を捻るぞ」グルン!!!

あんじゅ「えっ!?待っ……ひぃぃぃいいい!!!」グルン!!!


ヒュゥゥゥゥゥゥゥウウウウウウウウウウウウウン!!!!


英玲奈「今のは危なかったな」

あんじゅ「そ、そうね……」


絵里「……はぁ……穂乃果のこと追いかけたのに、まさかあんな所にいたなんて……」ショボン


あんじゅ「え?」チラッ

英玲奈「よくここまで跳べたな」


絵里「縦の速度だけじゃなく、高度も磨くべきよ」ドヤァ


英玲奈「そのようだな」

英玲奈「あんじゅ、なるべく空気抵抗を減らす体勢になってくれ」

あんじゅ「え……わわ分かったわ」


絵里「さあ、行くわよ」ギュルルルルルルルルルルル!!!


英玲奈「空中でよくそんなに回れるな」

あんじゅ「確か噂だと防御用じゃなかったかしら?」


絵里「ええ、基本はね」ギュルルルルルルルルルルルルル!!!!!

絵里「でも、速く回れば回るほど、その遠心力は高まる」ギュルルルルルルルルルルルルルル!!!!!

絵里「その遠心力はそのまま蹴りの力になる」ギュルルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!!!!

絵里「こんな風にね!!」ヒュッッッ!!!!!!!!


英玲奈「……!?」グッ


ズドォォォオオオン!!!!!


英玲奈「……重いな」ビリビリ ヒューーーーーーーーーン!!!!!


絵里「耐えたの!?」

あんじゅ「え、英玲奈ぁ!!衝撃で落下速度が速くなって……!!!」ヒューーーーーーーーーン!!!!!

英玲奈「このまま行くぞ」ヒューーーーーーーーーーン!!!!

英玲奈「その方が速く落ちれるからな」


絵里「まさかあいつ、あの速度で着地する気!?」


英玲奈「そろそろ着地だ」ヒューーーーーーーーン!!!

あんじゅ「きゃぁぁぁぁあああああ!!!」ヒューーーーーーーーーン!!!


にこ「まさか、本気で着地できると思ってるの?よっぽどのバカか、本当に強いかのどっちかね」

にこ「でも、仮に着地できても、アンタはその反動でしばらく動けなくなる」ザシュン!!!


英玲奈「……」ズダァァァァアアアアン!!!

あんじゅ「……うぐぅぅ……」


にこ「すごいわね、本当に着地するなんて…でも、これで終わりよ!!」ゲシッ!!!!!


英玲奈「さあ、それはどうかな」ギュン!!!!!!

ビュォォォォォオオオオオオオ!!!!


にこ「なっ!?」スカッ

にこ「何で動けるのよ!?」


英玲奈「ふふっ、どうしてだろうな」ギュン!!!!

あんじゅ「……うぅ、頭がクラクラする……あ、それじゃあね、皆s」

ビュォォォォォオオオオオオオ!!!!

あんじゅ「aぁぁああああああぁぁぁぁぁぁ…………!!!!」


にこ「……」


マダイイキッテナイノニ ナンデハシルノヨ!!
スマナイ キイテナカッタ

オイ! コッチニキタゾ ツカマエロー!!
ワーワー ギャーギャー


にこ「くそ……あの速さは何なの……それに反動の影響も受けないなんて……」

2時間後


『2つ目の壁』の向こう側 本社社長室


ヒデコ「……報告します、優木あんじゅ、統堂英玲奈の捕獲に……失敗しました……」

真姫「……そう……」

絵里「申し訳ありません……私がいながら……」

真姫「……いいえ、貴女の責任じゃないわ」

絵里「……すみません……しかし、あの警備体制の中を逃げ切るなんて、あの英玲奈って護衛……」

穂乃果「うん、穂乃果の輪ごむを空中で避けたり、花陽さんのポン菓子砲まで受けて平気だったり……」

真姫「穂乃果、『クー・ド・飯』よ、ポン菓子砲は没案よ」

穂乃果「え、今そこ!?」

ヒデコ「技名を付けるのに相当悩んでましたからね、発明する時間よりも長かったです」

ことり「無駄なこだわりだね♪」

真姫「い、いいじゃない、別に!!///」


絵里「……かなり深刻な話だったのに逸れてますが……」

真姫「穂乃果、ダメよ、逸らしちゃ」

穂乃果「あれ、何でそうなるのかな」

ことり「穂乃果ちゃんが可愛いからだよ♪」

穂乃果「うん、それはたぶん関係ないかな」

絵里「穂乃果が穂乃果だからよ」

穂乃果「深い言い回しだけど、それも違うよね」

ヒデコ「少しお手洗いに……」

穂乃果「うん、いってらっしゃい!!」

真姫「穂乃果、静かにね」

穂乃果「」ガーン

穂乃果「……はぁ……」

絵里「よしよし」ナデナデ

ことり「……けど、これで戦争が始まるのかなぁ」

真姫「……っ!?そんなことさせないわ!!」

ことり「でも、宣戦布告はされちゃったんだし」

ことり「あとは戦うか、降伏するか、どっちかだよ?」

ことり「それに、待つって言ってたけど、そんなの信じられないんだから、いつ責められたっておかしくない……」


ことり「……真姫大将はどうするの?」


真姫「……私は……」

真姫「…………私は…………」


ことり「……」


絵里「もう決まってるんじゃないですか?」


真姫「!?」

絵里「私だって、勿論戦争なんてしたくはありません」

絵里「しかし……」

絵里「戦う場合でも、戦わない場合でも、どちらにしろ私たちから奪っていくんです」


真姫「そうだけど!!」

真姫「……だけど、私はもうあんな痛み……!!」


ガチャ

ヒデコ「ただいま戻りました」


絵里「……」

真姫「……」

ヒデコ「……」


ヒデコ「お手洗いに行って参ります」


穂乃果「いや、今行ってきたよね!?」


ことり「ふふっ、穂乃果ちゃんのツッコミ復活したぁ♪」



絵里「……はぁ……ひとまず私は宣戦布告について全軍に伝えてきます、さきほど放送でも伝えましたが、今度は正式に」

真姫「…………ええ…………頼むわ……」

真姫「……答えは必ず出すから……」

絵里「……はい」スタスタ


ヒデコ「実は、さきほどのお手洗いに行くというのは嘘です、2回も行けません」

穂乃果「……知ってるよ……」

『2つ目の壁』 正門付近


亜里沙「雪穂~~~!!!」シュン!!

雪穂「あっ、亜里沙」

亜里沙「雪穂、大丈夫だった!?正門でも戦闘があったって聞いて、もう心配で心配で」

雪穂「……うん、大丈夫だよ」

亜里沙「そっかぁ、よかったぁ」


亜里沙「けど、あの護衛なんなのかな、まったく」

亜里沙「私の連続の投擲を真正面にしながら躱すなんて……あぁ、もう!思い出しただけで悔しいよ!」イライラ

雪穂「……でも、亜里沙は『できた』んだからいいよ、私なんて何も『できなかった』……」

亜里沙「……雪穂?」

雪穂「……ねえ、亜里沙……」

亜里沙「……ん、どうかした?」


雪穂「私って……弱いのかな……」


亜里沙「…………」

亜里沙「……弱くないよ」


雪穂「ふふっ、気遣ってくれてありがとう……」

雪穂「……でもね、私、何もさせてもらえなかった……ううん、やっても何もできなかっただろうなぁ……」

雪穂「亜里沙も戦ったんだよね、あの護衛の人と……」

雪穂「あんなに速くて、あんなに強いんじゃ……私……何もできない……」

亜里沙「…………」

雪穂「……弱いなぁ……私……」

亜里沙「…………」

亜里沙「……悔しい?」


雪穂「……え?」


亜里沙「悔しいって思うなら……強くなりたいって思うなら……」

亜里沙「雪穂は強くなれるよ」ニコッ


雪穂「……亜里沙?」


亜里沙「それに、雪穂の強さは腕力とか速さとか、そんなことじゃない」

亜里沙「そんなことで雪穂を測るやつがいたら」

亜里沙「私がこれで」ビュン!!

ズドォオン!!

亜里沙「潰すから♪」


雪穂「あ、亜里沙……」


雪穂「でも……ありがとね」

にこ「凛、またあの速度で動いてたでしょ?」

凛「うへぇ……バレたにゃ……」

花陽「ダメだよ、凛ちゃん、また怪我するかもしれないんだから」

凛「……は~い……」

凛「……けど、あの英玲奈って人、と~~っても速かったにゃ~♪」ワクワク

凛「でも、よくあの速さで身体が耐えられるよね」

にこ「ええ、あれには私も驚いたわ」

にこ「それに着地しても反動がないようだったし……」

にこ「……何かそういう技があるのかしら……」

にこ「はっ!?もしくは、そういう訓練が……!?」

海未凛花陽「「「そんな訓練ない、ない」」」

にこ「アンタらは訓練したくないだけでしょ!?」


花陽「そういえば、花陽の『クー・ド・飯』はかなりの威力があるんだけど、あの人直撃を受けてもピンピンしてたね」

海未「私の『ラブ・ホノーッカ・シュート』も効かなかったですしね」

にこ「……アンタのは弱いだけよ……」

海未「こ、これから穂乃果のやつみたいに強くなるんです!!」

にこ「なれたらいいわねー」

海未「あの……あまり期待してない目が寂しいんですけど……」

9時間後


UTX国 大統領府ビル前


あんじゅ「……すぅ……すぅ……」

英玲奈「起きろ、着いたぞ」シュタ!

あんじゅ「…………ん?…………ふあぁぁ…………ご苦労様」

英玲奈「大したことないさ」

あんじゅ「……さてと、固定ベルトを取ってと……」カチャカチャ


ツバサ「あんじゅ、英玲奈、おかえりなさい」スタスタ


あんじゅ「ツバサ、ただいま」

英玲奈「ああ、ただいま」


ツバサ「どうだったかしら?」


あんじゅ「……宣戦布告してきたわ」


ツバサ「……そう」


ツバサ「……いつもこんなこと任せてごめんなさい」

あんじゅ「構わないわ、ツバサの方がずっと大変だもの……」

あんじゅ「でも……」

あんじゅ「……これでいいのよね?」

ツバサ「……もちろん」

ツバサ「これで……これでやっとあんなのから解放される……いいのよ、これで」

あんじゅ「……」

ツバサ「さあ、もう中に入りましょ?」

あんじゅ「……ええ」

ツバサ「ほら、英玲奈も」


英玲奈「ああ、分かった」

英玲奈「ツバサ大統領」

1週間後


兵舎 食堂


ガヤガヤ

海未「……何だかモブたちが少なくなりましたね」

にこ「まあね……宣戦布告されたんだから、まずは国民の避難が最優先、そっちに人員が回ってるわ」

雪穂「そういえば、亜里沙も避難誘導の任務に就くって言ってました」

凛「にこ大佐、凛たちは何かしなくていいの?」

にこ「私たちはいつでも動けるように適度に訓練しながら待機ね」

凛「ここでも訓練バカにゃ……」

花陽「つまり花陽たちが、もしものときには戦うってことかぁ」

にこ「……そうね……だから、準備だけは怠らないようにしなさい」

海未「でも、話によると、戦争か降伏かの選択を1か月待つって……」

にこ「一応よ、一方的に言われただけだしね」

雪穂「……でも、あと約3週間……」

雪穂「…………」

雪穂「にこ大佐、急に用事ができたんで外しますね」スクッ タッタッタ

にこ「はぁ!?ちょっと、雪穂、午後の訓練があるんだけど!?」

海未「あ、私も壊れた門の調子を見に行っても……」

にこ「もう直ってたわ、見に行く必要なし」

海未「」

『2つ目の壁』の向こう側 本社 社長室


絵里「・・・・・・決まりましたか?」

真姫「…………」

絵里「以前の貴女ならここまで悩まなかった、かもしれませんね」

真姫「……そうね……でも」

真姫「あの『痛み』を思い出してしまったから……」


真姫「……震えが止まらない……」


絵里「……貴女は……」

絵里「貴女は何のためにこの会社をここまでにしたんですか?」


真姫「……っ」

真姫「……苦しんでる人がいたから……」


絵里「……なら、もうすることは分かってますよね」

真姫「……」

真姫「……ごめんなさい……もう少しだけ考えさせて」

絵里「……分かりました……」クルッ スタスタ


ガチャ キィィ バタン


真姫「…………」

真姫(……どうしたら……)

真姫「……どうしたらいいのよぉ……」ジワッ

真姫「……うぅぅ……」


コンコン


真姫「……ぅぅ……誰よ……」


……ユキホデス
イマ ヨロシイデスカ?


真姫「……っ!?」

真姫「……」ゴシゴシ

真姫「……ええ、いいわよ」

雪穂「失礼します」


真姫「雪穂ちゃん……いらっしゃい」ニコッ


雪穂「……」


真姫「今日はどうしたの?」


雪穂「……」タッ


真姫「……え?」


雪穂「……」ダキッ


真姫「え…………え…………う゛ええぇぇぇ!!!???///」

真姫「なななな何で急に抱き付いて……!?///」ワタワタ


雪穂「……いいんですよ、無理しなくて」


真姫「……っ!?」


雪穂「……辛いならはっきり言えばいいんです、言えないなら泣いてください、思いっきり」

雪穂「大丈夫ですよ、泣いたって、それは当然のことですから」

真姫「…………っ」ジワッ

真姫「……ぅぅ…………ごめんなさい……私……」

真姫「……何もできなかった……」

雪穂「……はい……」

真姫「戦争にならないようにって……そう思ってたのに……」

真姫「……何も……できなかった……」

雪穂「……そうですか……」

雪穂「……」

雪穂「……実は、私も……何もできなかったんです……」

真姫「……え?」

雪穂「それがとても悔しかったんですけどね……」

雪穂「でも、友達から励まされて……思いました」

雪穂「まだ終わったわけじゃない」

雪穂「私だって、いつか誰かの役に立てるようになるって」

真姫「……」

雪穂「……真姫さんができることは……もう何もないんですか?」

真姫「……私にできること……」

雪穂「私にはできないけど、真姫さんならできるはずです」

雪穂「私なんかが無責任かもしれませんが……」

雪穂「兵士のみんなは何かを守りたいから兵士になったんだって思います」

雪穂「真姫さんだって……みんなを守りたいんですよね」


真姫「……ええ」

真姫「……ええ、もちろん、守りたい……守りたいに決まってるじゃない!!」

真姫「でも、ダメなの!!戦争をするのが一番守れる可能性がある!!それは分かってる!!」

真姫「何もせず、UTXに下ったら色んなものを搾り取られて暮らしなんかできず、みんなが苦しむかもしれないんだから!!それも分かってる!!!」

真姫「けどね、貴女が……」


真姫「雪穂ちゃんが戦場に立つって思うと、途端に決められなくなる!!」


雪穂「…………え…………私?」


真姫「もう貴女は私の中では大切な人なのよ!」

真姫「それなのに貴女は私に貴女を戦場に送り出せって言うの!?」


雪穂「……」

雪穂「……そんなことで迷ってたんですね」


真姫「そんなことじゃないわ!私は貴女のために……!!」


雪穂「『みんな』の中に私を入れればいいじゃないですか」


真姫「………………え?」

雪穂「ふふっ、ほんと抜けてるなぁ……」

雪穂「真姫さんの中だと『みんな』って言うと、漠然としていて、私みたいに深く関わった人よりも軽視しちゃうのかもしれません」

雪穂「もちろん真姫さんが私を大切に想ってくれるのは嬉しいです」

雪穂「でも……」

雪穂「私を基準にしないでください」

雪穂「私は真姫さんから見たら『みんな』と釣り合うのか、それとも……恥ずかしいですが、それ以上なのかもしれません」

雪穂「けど、『みんな』それぞれが想う大切な人がいて」

雪穂「『みんな』その人のことを守りたいって思っているはずです」

雪穂「『みんな』その人を守るためにどうしたらいいのかって考えているはずです」

雪穂「真姫さんが守りたいものは私だけじゃないですよね」

雪穂「それとも、真姫さんが守りたいものは私だけですか?」


真姫「私の……守りたいものは……」


雪穂「あ、ここで私だけと言ったら、ぶん殴りますよ♪」ニコッ


真姫「ぶ、ぶん殴っ……!?」

雪穂「嘘です」

真姫「……はぁ……」ホッ

雪穂「真姫さん、あと一つだけいいですか?」

真姫「は、はい!」

雪穂「『みんな』を守りたい人は真姫さんだけじゃないと思います」

雪穂「真姫さんは一人で抱え込みすぎなんです」

雪穂「一人で責任やら何やら負おうとして、バカですか」

真姫「あ、あの……はい、すみません」

雪穂「まあ、でも、そういう所は嫌いじゃありません」

真姫「ほんと!?///」

雪穂「すぐに自惚れないでください」ニコッ

真姫「ご、ごめんなさい」

雪穂「ふふっ、これも嘘ですよ」

真姫「なっ……!?///」


雪穂「さて、言いたいことは言いました、私は帰りますね」

真姫「え……私の答えは……?」

雪穂「聞きませんよ」

真姫「」ガーン

雪穂「悩んでください、考えてください」

雪穂「悩まなかったら、考えなかったら……私ぶん殴ります」ニコッ

真姫「やっぱりぶん殴るの!?」


雪穂「ええ……でも、悩んだ真姫さんが決めたことなら、私は付いて行きますよ」


真姫「……それが、雪穂ちゃんやみんなを危険にするかもしれないとしても?」


雪穂「ええ、そうです」

雪穂「それに……たぶんお姉ちゃんならみんなを守るために頑張ると思うから、私だって負けられません」


真姫「……」

真姫「……貴女はいつも穂乃果を見ているのね……」ボソッ


雪穂「……ほえ?」


真姫「……ううん、何でもない……」


雪穂「……?」キョトン

3日後


『2つ目の壁』の向こう側 本社会議室


真姫「みんな集まったようね」

絵里「はい、モブ中将やモブ少将たちも背景として揃っています」

モブら「「「「「はっはっは、扱いがひどいな、実はこの前の会談もいたんだが」」」」」


穂乃果「ことりちゃんは出所ってことになるの?」

ことり「ううん、『仮』出所だって、非常事態だから今だけね」

ことり「全部済んだら、また戻るよ」ニコッ

穂乃果「……そっか……」



絵里「それで、私たちを招集したってことは、決断……できたのですか?」


真姫「ええ、決めたわ」

真姫「もう迷わない」


絵里「……」




真姫「戦争をする」



真姫「それだけの力が私たちにはあるし、守りたい人達だっている」

真姫「もちろん兵士たちだって、私の守りたい人達……」

真姫「だから、みんなが無事に生きて帰ってきてほしい」

真姫「……戦争するって言ってるのに、変な話だと思うでしょうけどね……」

真姫「それでも、私は……それを願っている」

真姫「……甘い考えなのは分かってるわ……」

真姫「私なんて兵士としては並以下……ろくに戦えもしない弱いやつ……」

真姫「そんな弱いやつの……小さな願い……」


真姫「……お願いします……」


真姫「一緒にみんなを守ってください」


真姫「みんなと一緒に生き残ってください」


真姫「こんな小さな私に……力を貸してください」


真姫「……これが……」


真姫「私の答えです」



絵里「……」

ことり「……」

穂乃果「……」

モブら「「「「「……」」」」」

絵里「……なら、早速、作戦を練らないといけませんね」

ことり「そうだね、でも、みんなが生き残る作戦っていうと、どういうのがいいかな?」

穂乃果「う~ん……落とし穴!」

絵里「な、なんて可愛らしい発想……」

ことり「じゃあ、穴の底に針を仕掛けておこっか♪」

絵里「一瞬でグロテスクにしないでもらえるかしら」

モブら「「「「「ワイワイ ガヤガヤ」」」」」



真姫「…………」



穂乃果「さあ、真姫大将も一緒に考えましょう」



真姫「……」

真姫「……ええ」

真姫「ええ、一緒に!」

3週間後


UTX国 大統領府ビル 大統領室


あんじゅ「期限ギリギリでやっと返答が来たわ」

英玲奈「ようやくか」

ツバサ「……それで何て?」

あんじゅ「『音ノ木坂国はUTX国に対し徹底抗戦する』だって」

ツバサ「ふふっ、それは良かったわ」


英玲奈「しかし、かなり時間を与えたな」

ツバサ「そうしないと、向こうだって戦う準備ができないでしょ?」

英玲奈「それは、そうだが……『私たち』が対応できないほどの策を練っていたらどうするつもりなんだ?」

ツバサ「そうなったらそうなったで構わないわ」

あんじゅ「……ええ、そのときは私たちが滅びればいいだけ」

英玲奈「……そうか」


ツバサ「とは言っても、私だって簡単に死んであげないけど」

ツバサ「穂乃果さんとはまた会いたいしね」

あんじゅ「……ツバサはほんと、あの子のことが気に入ったのね」

ツバサ「ええ、元気で、可愛くて、優しくて、強い、不思議な子……」

ツバサ「気にならない方がおかしいわ」

あんじゅ「……そうね……」

英玲奈「…………」


ツバサ「あぁ……やっと再会できるかしらね」


ツバサ「ね?……高坂穂乃果さん」

今日はここまでです

また遅くなってしまい、すみません

>>566
ツバサはUTX側ですね


さあ、今回は、やはり雪穂が主役なんじゃないかと思うくらい登場させてしまったり

真姫大将の葛藤などを長々と描いてしまいましたが

次回からようやく戦争へと突入します


それでは、また次回、お楽しみに

せめて生存報告だけでも…

1日後

音ノ木坂国・UTX国 国境中央部(UTX側)


ワイワイ ガヤガヤ イクゾォォォオオオ!! ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ
ウォォォオオオオオオ!!! ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ホロボセェェエエエ!!! ォォォオオオオオオオ!!!



英玲奈「兵士たちがすごい騒ぎようだな」

あんじゅ「それだけ今日を待ち望んでたんでしょ?」

ツバサ「そうね、彼らの望みは『それ』しかないんだから」

英玲奈「……望み、か……」


ツバサ「あんじゅ、そろそろ頼むわね」

あんじゅ「ええ、行ってくるわ」スタスタ

ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


あんじゅ「……すぅー……」

あんじゅ「モブ共、静かにしなさぁぁぁあああああい!!!」


ワイワイ ガヤガy シーーーーーーーーーーーーーーーーン


あんじゅ「さあ!!やっとこのときが来たわ!!」

あんじゅ「音ノ木坂と再び戦うときが!!!」

あんじゅ「前回は最後に苦戦を強いられたことで休戦協定を結ぶはめになった!!」

あんじゅ「けど、私たちはそれで諦めたわけじゃない!!!」

あんじゅ「今日こうして戦いを始められるのは貴方たちの意志の強さによるものよ!!!」

あんじゅ「貴方たちは諦めなかった!!」

あんじゅ「貴方たちは強い!!」

あんじゅ「貴方たちなら必ずやり遂げてみせるわ!!!」



あんじゅ「音ノ木坂に復讐を!!!!」



敵モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「音ノ木坂に復讐を!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」




ウォォォォォォォォオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!


音ノ木坂国・UTX国 国境東部(音ノ木側)


雪穂「……………………来た」ジー

雪穂「こちら、矢澤にこ分隊所属・高坂雪穂、司令部に通達します」

雪穂「国境東部より敵兵およそ2000、ポイントの通過を確認」

雪穂「これより帰投します、どうぞ」

フミコ『了解、無事のご帰還を』


雪穂「了解」


雪穂「海未さん、行きますよ」

海未「待ってください!ババ抜きの途中じゃないですか!」

雪穂「いや、そんな場合じゃないし……」

海未「まさかこの勝負、逃げるんですか!?」

雪穂「早く逃げないと敵が来ますし……」

海未「はぁ、雪穂がそこまでの人だったなんて残念です」

雪穂「ええ、海未さんに149戦149勝してるそこまでの人です」

海未「うみゅぅぅぅ……もういいじゃないですかぁぁ、そろそろ私が勝ったってぇぇ……」シクシク

雪穂「あはは、やだなぁ、無理に決まってるじゃないですかぁ、海未さんはそこまでの人なんですから」

海未「」ガーン

雪穂「そ、そんなに落ち込まなくても……」

海未「」

雪穂「……はぁ……もういいですよ、私の負けで……うわー、強いなー、海未さんはー、とうとう私負けちゃいましたー」

海未「その扱い、余計に落ち込むんですが……」

雪穂「めんどくさ、この人……」

海未「あと一回、あと一回でいいですからやりましょう!やらせてください!後生の頼み!どうかお願いします!」orz

雪穂「た、ただのババ抜きで土下座……」

海未「」ウルウル

雪穂「うっ…………はぁ……もう、さっさと終わらせるしかないか……」

雪穂「はいはい、分かりました、分かりましたよ、やってあげますよ」

海未「さすが雪穂!」

海未「では、151戦目、開始です!」

雪穂「あれ?150戦目は?」

海未「うみゅ?雪穂の負けって自分から言ったじゃないですか?」

雪穂「ふふっ、こいつプライドってものがないな」

海未「さあ!やりますよ!」

雪穂「はいはい……」

10分後


雪穂「……」つスッ

海未「……」パァ

雪穂「……」つスッ

海未「……」ハワワワワ

雪穂「……こっちです」つパシッ

海未「ぁぁぁぁぁ……また……また負けるなんて……」

雪穂「ふん、身の程を弁えないからです」

海未「うみゅぅぅ……少しは手加減してくれてもいいじゃないですかぁ……」

雪穂「ババ抜きでどう手加減すればいいんですか」


雪穂「っていうか、敵が進攻してきているっていうのに何してるんですか私たち!?」ハッ

海未「……え……敵?……………………ああ、そういえばそうでしたね、うっかりしてました」テヘ

雪穂「……私何でこの人置いて逃げなかったんだろ……」

海未「それにしても私たちが交代したときにわざわざ来なくてもいいでしょうに、まったく……モブたちが見張りのときに来てくださいよ」

雪穂「いや、別に来なくてもいいですけどね」


雪穂「さあ、話なんかしてないでさっさと帰投しますよ」タッタッタ

海未「あっ、待ってくださいよ、雪穂~」タッタッタ

音ノ木坂国・UTX国 国境中央部(音ノ木側)


フミコ「東部、敵兵2000、ポイント通過したとのことです」

ミカ「西部、敵兵1800、こちらもポイント通過しました」

ヒデコ「中央部、未だ動きは見られません」


真姫「分かったわ」


絵里「東部、西部から同時に進行……」

絵里「中央部からは攻め込んで来ない……」

絵里「誘ってるのかしら?」


真姫「でも、誘ってても私たちには関係がないわ」

絵里「ええ、そうですね、この作戦は……」



絵里「絶対に侵攻しない作戦ですから」


音ノ木坂国・UTX国 国境東部


敵モブ1「おい、全然敵の姿がねえぞ!!」

敵モブ3「ふふふ、あいつら我々に臆して逃げたのではないカネ?」

敵モブ2「ジョーダンじゃないわよーう!!あちしメイクもばっちしキメて来たっていうのにー!!」

敵モブ3「……別に見たくないガネ……」

敵モブ2「んナヌだと、クラぁ!!」

敵モブ3「あ、メイク崩れるガネ」

敵モブ2「あら、やだイケな~~い、あちしったら」

敵モブ1「おい、おめえら!しっかり探しやがれ!」

敵モブ3「そうは言っても、まだ人影一つ………………あったガネ」

敵モブ1「マジか!?どこだ!?」

敵モブ3「11時の方向、いま丘の陰になって見えないが、間違いなくいたんだガネ」

敵モブ2「なら、さっさとイッくわよーーう!!」

敵モブ1「さあ、ド派手にぶちかますぞ!!!野郎どもぉぉぉおおおお!!!」



敵モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「音ノ木坂を滅ぼせぇぇぇえええええ!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


音ノ木坂国・UTX国 国境東部(音ノ木側)


オトノキザカヲ ホロボセェェェエエエエエ!!!!!


雪穂「ひぃぃいいい!!??う、後ろから声が、声がぁぁぁ!!」シュダダダダ

海未「雪穂!あともう少しで安全圏です!!もっと速度を上げられませんか!?」シュダダダダ

雪穂「そうは言ってもぉぉぉおおお!!」


海未「…………分かりました、私に任せてください」


雪穂「ま、任せろって、どうするんです!?」


海未「『ドッキング』です!!」


雪穂「………………は?」

音ノ木坂国・UTX国 国境東部(音ノ木側)


にこ「……アイツら……まだなの……」ソワソワ

凛「ににににこ大佐、すすす少しは、おおお落ち着くにゃー」ブルブル

花陽「……凛ちゃんも震えてるよ」

凛「だ、だってぇ……うぅ……もう!早く帰って来るにゃ~!!」


オトノキザカヲ ホロボセェェェエエエエエ!!!!!


にこ「!?」

凛「敵!?」

花陽「うわぁ、いっぱいいるねぇ」


にこ「……もしアイツらが間に合わなかったら……」


……ァァァァアアアアアア……


にこ「……ん?」


……キャァァァァァアアアアアア……


凛「ひ、悲鳴……?」


キャァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!!


花陽「……雪穂ちゃんの声?」

雪穂「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああ!!!!!」グラグラ

海未「ちょっと騒ぎ過ぎです!!」シュン!!!

雪穂「だって、だって、だって、肩車ってかなり怖いんですよ!!!結構揺れるんですから!!」

海未「だから、もっと太ももを締めて固定してですね……」

雪穂「あ、花陽さんの件があるので、それは結構です」

海未「ぅわぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああん!!!!」

海未「どうせ私は変態ですよぉぉぉぉぉぉおおおおおおおお!!!!」シュン!!!!

雪穂「きゃっっっ!!!??いきなり速くならないでくださいよ!!揺れが、揺れがぁぁぁああああ!!!」グラグラ グラグラ

にこ「……アイツら何してんの……」

花陽「あ、あれは……」プルプル

花陽「『ドッキング』です!!」キラキラ

にこ「いや、そんなキラキラした目をされても……というか、アレただの肩車よね」

凛「あれが噂に聞く『ドッキング』かぁ」キラキラ

にこ「アンタら頭おかしいの?」

凛「かよちん、にこ大佐、凛たちも『ドッキンgにこ「しないわ、絶対に」

凛「」



にこ「っと、そんなことより!」

にこ「みんな!!!準備はいい!?」



モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おおおおおおおおお!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


にこ「さあ、行くわよ!!」


にこ「超大型射出機『クワガタ』、全機射出体勢!!仰角設定80度!!!」


にこ「アイツらが安全圏に入ったらぶっ放すわよ!!」



モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」ググググググググググ……


海未「うわぁぁぁぁああああああああああん!!!!」シュン!!!!!


雪穂「園田海未!!!!高坂雪穂!!!!」




雪穂「帰投しましたぁぁぁぁああああああああ!!!!!」









にこ「撃てぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええ!!!!!!!!」










モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「おりゃぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」バシュュュュュュッッッッッッッ!!!!!!!!!!




ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー…………


敵モブ1「……おい、いま何か上に発射されなかったか……?」

敵モブ3「……されたガネ……」


ドッ……


敵モブ2「ン?何かしら?……何か落ちて…………缶?」ヒョイ

ガツン!!!!

敵モブ2「あがっ!?……じょ…ジョー……ダンじゃ……ないわよーう……」バタッ

敵モブ1「おい、モブ2!!!??」


ドッ……ドドドッッ……


グアァァアア!!! ガツン!!! ゴツン!!! アグッ!!!??


敵モブ3「は?」チラッ

敵モブ1「へ?」チラッ


ヒューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!!!


ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド
ドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!



敵モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ぐあぁぁぁぁぁぁあああああああああああ!!!!!!??????」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


音ノ木坂国・UTX国 国境中央部(音ノ木側)


フミコ「東部より連絡、作戦成功、こちらの死傷者ゼロ」

ミカ「西部も作戦成功、味方死傷者ゼロ、敵一時撤退しました」


真姫「……はぁ……よかったぁ」

絵里「とりあえず成功はしましたけど、中々苦しい作戦ですね」

真姫「ええ……缶にも限りがあるし、それに扱いも難しい……」

真姫「改良を加えた形状記憶合金は10℃前後で元の形に戻るようにしたから、発射までは小さく球状に丸めて冷蔵保存、発射時には素早く取り出して形が戻る前に射出しないといけない」

絵里「戻る前なら空気抵抗を受けずに撃てますからね」

真姫「ええ、そして、高高度に打ち上げられた玉は、落ちて来る頃には空中で缶の状態に戻っている」

絵里「高高度から落下する金属の塊……当たった衝撃は相当ですね」

真姫「ええ、それでも缶だから空気抵抗を受けて衝撃は和らぐわ」

真姫「敵兵もヘルメットをしてるだろうし、頭に当たっても気絶くらいかしら?おそらく敵兵にあまり死者は出てないはずよ」

真姫「それに、あの缶を投げられる人なんて向こうにいないはずだし攻撃に使われることもない、それにあれを防壁代わりに積むことも形状的に難しいわ」

絵里「……はぁ……まったく貴女は、敵兵の心配まで……」

真姫「……ん、どうしたの?」

絵里「いえ、何でもありません」

音ノ木坂国・UTX国 国境東部(音ノ木側)


にこ「次弾、準備急いで!!!!!」

モブら「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「了解!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


海未「……ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」

雪穂「あぁぁ……怖かったぁぁ……」

凛「お疲れ様、よく間に合ったね」

雪穂「ええ、私も驚いてます、あれで間に合うなんて……」

花陽「けど、まさか変態さんが『ドッキング』できる人だったなんて……少し、見直しました」つスッ

海未「……花陽……ふふっ、大したことありませんよ」つギュッ

雪穂「…………意味不明です」

海未「さてと、モブたちを手伝わ……あれ?」グラッ バタリ


雪穂「海未さん!?大丈夫ですか!?」


海未「ちょっと足に力が入らなくて……」

凛「たぶん無理しすぎたんだにゃ~」

雪穂「海未さん……」

凛「海未ちゃんはここで休んでて、あとは凛たちが頑張るから」スタスタ

花陽「はぁ……仕方がないですね、花陽が変態さんの分まで働いてあげます」スタスタ

海未「ええ……すみません……」

雪穂「あ、あの……海未さん……その……」

海未「……うみゅ?」


雪穂「あ、ありがとうございました///」


海未「……雪穂が私にお礼を言うなんて、珍しいですね」

雪穂「そうですか?いつも海未さんの行いが悪いだけです」

海未「ひどい言われようですね……」

雪穂「とにかく、助かりました、それだけです」


海未「いえ……雪穂が無事で私も嬉しいです」ニコッ


雪穂「……そっか……」

雪穂「……ありがとう……海未お姉ちゃん……」ボソッ


海未「……うみゅ?何か言いました?」

雪穂「ふふっ、何でもありませんよ~だ♪」スタスタ

海未「…………うみゅみゅ?」

今回はここまでです

まずは、2か月も更新しなかったことをお詫び申し上げます


農業という仕事に就いてから忙しく、ストーリーを考える時間がほとんどなくなってしまったのが理由です

仕事をしながら一度はこのssを断念することも考えましたが、

楽しみにしている方がいる、読んでくれている方がいる……そう思い、なんとか少しずつでも書き進めています


次回については、読者の皆様には申し訳ないですが、また長らくお待ちいただくことになるかと思います

それでは、また次回


>>620
すみません、これからは生存報告していきます

音ノ木坂国 市街地


ワイワイ ガヤガヤ ワイワイ ガヤガヤ


亜里沙「は~い、押さないでくださ~い、先に子どもやお年寄りから疎開地まで送りま~す」

門番1「いや、レディーが先じゃないかな、亜里沙ちゃん」

門番2「こいつ無視していいからな」

亜里沙「はい、そのつもりです、特に興味もないので」ニコッ

門番1「はうっ……な、なんて心に突き刺さる言葉なんだ……だが、そんな照れ隠しもおれは好きだぜ」

亜里沙「……あっ、あそこに綺麗なレディーが」

門番1「今行きまぁぁぁあああす!!」ビュン!!

亜里沙「いませんね」

門番2「……はぁ……」

亜里沙「まったく……私には雪穂がいるんだから」


亜里沙(……それにしても、何で私が前線に立ってないのかな)

亜里沙(私は『少佐』だっていうのに……)

亜里沙(強いんだから、こんなところで避難誘導とか絶対おかしいよ)

亜里沙(真姫大将めぇ……どうして、こんな任務を私にぃ……)ワナワナ

亜里沙(……だけど、今はそんなことより……)


亜里沙「……雪穂、大丈夫かな……」

亜里沙「……」


亜里沙(私が雪穂と出会ったのは3年前……)

亜里沙(私はとても……イライラしていた……)

亜里沙(『イライラ』の原因は『あいつ』……それと、『あの子』だ)

亜里沙(『あいつ』がいると思うだけで、私の心は何かが叫ぶような音でうるさくなる)

亜里沙(そんな状況で、『あの子』が現れた)

亜里沙(何かにつけて『あの子』は私を『あいつ』に近づけさせようとする)

亜里沙(4年前に初めて『あの子』に会ったときもそんな感じだ)

4年前


兵舎 食堂


絵里「ちょっと、穂乃果~、どこまで行くのよ、席ならもっと近いとこが空いてるじゃない」

穂乃果「いいの、こっちがいいんだ~」トテトテ

絵里「もう…………え?」ピタ


穂乃果「こんにちは、ここ座ってもいい?」


亜里沙「…………高坂穂乃果…………と、また『貴女』ですか……」


絵里「……っ」


穂乃果「ほえ?穂乃果のこと知ってるの?」

亜里沙「……別に……知らない」プイッ

穂乃果「そっか、穂乃果、座るね」ガタッ

亜里沙「はぁ!?了承した覚えは……!!」

絵里「……あ、あの……ひ、久しぶりね、亜里沙」

亜里沙「…………軍曹です、ちゃんと階級を付けて頂けますか、『絵里大佐』」

絵里「……ごめんなさい……」シュン

亜里沙「……ふん」プイッ


穂乃果「……」ジー

亜里沙「……何かな?」

穂乃果「怒ってるの?」

亜里沙「……怒ってない」


穂乃果「じゃあ、笑って」


亜里沙「……はい?何で笑わなきゃいけないのかな?」

穂乃果「何で?……え~っとね……穂乃果が嬉しいから」

亜里沙「だから、何で貴女のために……」

穂乃果「それと、『姉様』が嬉しいから」

絵里「っ!?」

亜里沙「……」

穂乃果「あとは……」


穂乃果「亜里沙ちゃんが辛そうだから」


亜里沙「………………意味分からない」

亜里沙「……それでは、私は食べ終わりましたので失礼します、『絵里大佐』、子守大変ですね」スタスタ

絵里「……え、ええ……」

穂乃果「ぶー、子守って、穂乃果、そんなに子どもじゃないよぉ!」

絵里「…………」

穂乃果「…………」グッ

穂乃果「そうだよね、『姉様』、穂乃果は子どもじゃないよね?」

絵里「……え……あー……違うの?」

穂乃果「もう!穂乃果だって、『れでぃー』として扱われたんだから、大人だよ!」

絵里「……それ、あの門番限定で、よね?」

穂乃果「……ひゅー……ひゅー……」

絵里「あ、ごまかしたわね~、っていうか、口笛吹けてないわよ」

ジャア、ネエサマ フイテミテヨ
エッ!? ワタシ!?
……フンフンフーン
……ネエサマ、ソレ ハナウタ……
ジツハ フケナイワ! キリッ
ソンナ キリットシタカオ サレテモ……


亜里沙「……」ジッ

亜里沙「……っ」クルッ スタスタ


亜里沙(私はとても……イライラしていた……)


亜里沙(『あの子』が来てからというもの、騒がしい)

亜里沙(周りがうるさくなくても、私には騒がしく思えた)


亜里沙(心がとても騒めいて……私をイラつかせる……)


亜里沙(『あいつ』が少将に昇進して、『あの子』と一緒に本社に移った)

亜里沙(ようやく静かになる、そう思った)


亜里沙(……だけど、相変わらず心はうるさいままだった)


亜里沙(私はとても……とても……イライラしていた……)

亜里沙(ある日、私は会社から飛び出してみた)

亜里沙(ただの息抜き……訓練そっちのけで街中を走り回った)

亜里沙(兵士の格好をした人が街を走っているだけで、何事かと道行く人が好奇の目で見てきた)

亜里沙(そんなの気にせず、走った)


亜里沙(走って)


亜里沙(走って)


亜里沙(走っていたら………………捕まった)


亜里沙(それも飛びつくように背中から抱き付かれて、捕まってしまった)


亜里沙(急なことに対処できず、そのまま一緒に盛大に転んだ)

亜里沙(どのくらいそのまま倒れていただろう)

亜里沙(私も、背中の『それ』も、どちらも動けないほどに疲れていて一言も喋らない)

亜里沙(ただ荒い息遣いだけが耳元で聴こえている)

亜里沙(……うるさい……とは思わなかった)


亜里沙(……安心する……)


亜里沙(……まるで、熱を出したとき、寝ている傍に『誰か』がいてくれるような……)


亜里沙(……『誰か』に頭を撫でられるように、吐息が髪を撫でていく……)


亜里沙(……やがて背中の『それ』は強く大きな声で、こう言い放った……)



雪穂「わ、私と!友達になってください!!」



亜里沙(……騒がしい声が……静かに耳に入ってきた……)


亜里沙(私はそのお願いに、こう答えた)


亜里沙「……あなた、迷子?お家は分かる?」


亜里沙(いま思えば、あのセリフにこの切り返しはどうかと思う)

亜里沙(折角の雪穂からのプロポーズのような申し出を台無しにしたんだから)

亜里沙(もし時間が戻るなら、『いいよ、結婚しよう』くらい言えるのに……そこに悔いが残っている)

亜里沙(こんな私の言葉に、雪穂は……)


雪穂「私、そんなに子どもじゃないよぉ!」


亜里沙(どこかで似たセリフを聞いた気がする……でも、思い出さないようにした)


亜里沙「じゃあ……」


亜里沙(……あぁ……あの時の切り替えしも悔いが残っている)


亜里沙「食べ物がほしいの?」


亜里沙(身なりを見て、何も考えずに声を出した……)

亜里沙(……相手の気持ちも考えずに……)

亜里沙(……でも、彼女はそんなの気にしないようだった、まるで些細なことのように)



雪穂「ううん、友達になりたいの!!」



亜里沙(……強い……)


亜里沙(……私なんかより、ずっと強い……)

亜里沙(私はここでようやく、及第点ほどの、切り替えしができた……気がする)


亜里沙「……は……ひゃい、わ、私でよければ……」


亜里沙(……いや、落第かもしれない……)

亜里沙(でも、それで『私たち』は始まった)

亜里沙(暇を見つけては、会社を抜け出し雪穂に会いに行く)

亜里沙(会って、話して……笑う……)

亜里沙(その度に、静かになる)

亜里沙(あの騒めきが完全になくなることはなかったけど……)

亜里沙(それでも、雪穂の声が、すっと届くほどに、心は落ち着いていた)


亜里沙(そんなあるとき、雪穂からこんな問いかけがあった……)



雪穂「亜里沙には姉妹はいるの?」



亜里沙(また……騒がしくなった……)


亜里沙(……うるさい……)

亜里沙「…………いないよ」ニコッ


雪穂「あ~、今嘘ついたでしょ~、もう亜里沙のことお見通しなんだからね」


亜里沙(……うるさい……)


雪穂「で、実際はいるんでしょ?どっち?妹?それとも……」

雪穂「お姉ちゃん?」


亜里沙(……うるさい……うるさい……)


雪穂「私が思うに亜里沙は~…………うん!お姉ちゃんがいるでしょ!」


亜里沙(……うるさい……うるさい……うるさい……)


雪穂「亜里沙って、お姉さんぶってるけど、時々ものすごく甘えてくるんだもん、あれは妹肌だね、うんうん」


亜里沙「…………さい…………」ボソッ


雪穂「え?」



亜里沙「うるさぁぁぁぁああああああい!!!!」



雪穂「!?」ビクッ

亜里沙「…………はぁ…………はぁ…………はっ!?」


雪穂「……あ……あの……亜里……ご、ごめんなさい……」


亜里沙「……っ!!」ダッ


雪穂「亜里沙っ!!??」



亜里沙(……走った……)


亜里沙(……走って……)


亜里沙(……走って……)


亜里沙(……走っていたら……転んだ……)


亜里沙(……自分の足に見事に引っかかり……盛大に転んだ……)


亜里沙(……そのまま一人で……倒れていた……)


亜里沙(……背中が軽い……)


亜里沙(背中に手を伸ばしてみても……何もない……)


亜里沙(誰も……いない……)



亜里沙(そのことに、私はとてもイライラして……)


亜里沙(心はとても……)


亜里沙(……騒がしかった……)


亜里沙(……もう会えない……)


亜里沙(そう思いながらも会社から脱け出してみた矢先のこと)

亜里沙(今度はお腹からぶつかるように抱き付かれ……盛大に転んだ)

亜里沙(初め何が起こったのか分からなかった)


亜里沙(でも、目の前に手を伸ばすと『何か』があった……)


亜里沙(誰かが……いた)



亜里沙「……雪穂?」


雪穂「うぅ……ごめ゛んなざい……ありざぁぁ……ごめ゛ん……」


亜里沙「雪穂……ううん、雪穂は悪k雪穂「なんて、言うとでも思ったの?」ニコッ


亜里沙「……へ?」


雪穂「バカァァアア!!」ドスッ!!


亜里沙「ぶほぁっっ!?」

亜里沙「な……何で……殴っ……」

雪穂「手だよ!手で殴ったよ!!見れば分かるでしょ!!」

亜里沙「しゅ、手段じゃなくて……り、理由を……」

雪穂「ほえ?ああ、理由ね、理由は……」

雪穂「亜里沙にムカついたから」

亜里沙「最近の子は怖いなー」

雪穂「もう、そんなおやじ臭いこと言ってないで、亜里沙も何か言いたいことあったら私に言ってよ!」

亜里沙「え……言いたいこと?」

雪穂「そうだよ、何かあるでしょ」

亜里沙「ぼ、ボディーへの一撃最高だったよ?」

雪穂「もう一発必要かな?」

亜里沙「け、結構です」


雪穂「そうじゃなくて……亜里沙は私にムカついてないの!?」

亜里沙「私が……雪穂に?」キョトン

雪穂「だって、あんまり触れられたくないことだったんでしょ!?」

雪穂「それなのに、私がずけずけと聞いて、それが嫌だったんじゃないの!?」

亜里沙「あ、あー、そういうこと……」

亜里沙「あれはただうるさかったから『うるさい』って言っただけで……」

雪穂「……騒音発してごめんなさい……」ズーン

亜里沙「ち、違うよ!雪穂の声は透き通っていて綺麗だよ!!よく聴こえるもん!!」

雪穂「……別にいいよ……お世辞なんて……」


亜里沙「だーかーらー、うるさかったのは雪穂じゃなくて、何というか……私の頭の中でのことなの!!」


雪穂「……頭?」

亜里沙「うん、ずっとうるさいんだぁ……何でだろ……たぶん『あいつ』のせいだろうけど」

雪穂「『あいつ』って?」

亜里沙「…………………………同じ人のお腹の中から、私より先に生まれた女の人……」

雪穂「何でそんな回りくどい言い方……それって、つまり『お姉c亜里沙「違うよ」ニコッ

雪穂「……」

雪穂「それで、その人と、亜里沙の言う『うるさい』ってやつとはどう関係するの?」

亜里沙「……知らない……『あいつ』がそこにいるだけで騒がしく感じるの……」


雪穂「……亜里沙はその人のことが嫌いなの?」


亜里沙「嫌いだよ、大っ嫌い」


雪穂「……そうなんだ……」


雪穂「……なら、どんなところが亜里沙は嫌いなの?」


亜里沙「……え…………どんな……?」



亜里沙(……あのとき、結局何も思い浮かべられなくて……しばらく無言のままだった)



亜里沙(だけど、心はやっぱり……うるさいままだった……)


現在


亜里沙「……うるさい……」ボソッ

門番2「何だ、どうかしたのか?」

亜里沙「ううん、何でもないですよ」ニコッ

門番2「?」



亜里沙(……今も心はうるさくて、それが私をイラつかせる……)

亜里沙(……早く……)

亜里沙(早く雪穂に会いたい……)

亜里沙(そうしたら、この騒がしさも少しは落ち着くのに……)


亜里沙(……あぁ……)

亜里沙(私はとても……)



亜里沙(……イライラしている……)


今回はここまでです

「おいおい、全然話が進んでないじゃないか」と、感じる方もいるかと思います

>>1もそう思います

ですが、亜里沙の心情の一端をどこかで書きたいと思っていたので、急遽こんなところで入れました

さあ、亜里沙の『イライラ』の理由は果たして何なんでしょうね


次は、来週か再来週に更新する予定です

それでは、また次回、お楽しみに

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月25日 (日) 14:47:16   ID: Cd1pTwrB

パイセンがいいキャラしてる

2 :  SS好きのスナイパー   2015年02月02日 (月) 07:33:27   ID: hEw_Kca5

続き楽しみにしてます。頑張って下さい!


3 :  SS好きの774さん   2015年02月07日 (土) 21:31:24   ID: Puv6K2rj

ゆっくりでいいから完結させて欲しいです!神作な予感!

4 :  SS好きの774さん   2015年02月08日 (日) 10:01:29   ID: r99c2L_v

頑張って下さい!更新楽しみにしてます!

5 :  SS好きの774さん   2015年02月12日 (木) 19:04:11   ID: AD-30qQQ

頑張ってください いろいろな漫画の
技があってとても面白いです

6 :  SS好きのキチガイ   2015年02月13日 (金) 16:42:21   ID: 6CRTnYqP

面白くなってきたじゃないの!
いつまででも待てますので頑張って完走して下さい!

7 :  SS好きの774さん   2015年02月20日 (金) 14:29:46   ID: l5CFmb1R

追いついた。更新待ってます!

8 :  SS好きの774さん   2015年02月22日 (日) 18:09:15   ID: FlP2Ate3

いい作品!なんだけど・・・この話読んでると絵里と穂乃果に腹が立ってくるなぁ。なにも言わず突き放す穂乃果、自分勝手な絵里。モヤモヤします。これからいい感じに仕上げてください!お願いします!

9 :  SS好きのスナイパー   2015年02月25日 (水) 14:11:10   ID: KtrqY_ad

門番1さんいい人すぎるヽ(・∀・)ノ
それに面白い、もう小説化してもいいと思うくらいストーリーが出来てる、期待してます頑張って下さい

10 :  SS好きの774さん   2015年03月10日 (火) 13:03:58   ID: wl6e4lZt

おおおお、戦争始まるんか
こういう弱クロス作品?ってキャラ不足になってもワンピキャラ出せばいいから足りるのか
参考になる

11 :  SS好きの774さん   2015年05月23日 (土) 16:40:00   ID: HHziqU3Q

いいですね

12 :  SS好きの774さん   2015年10月04日 (日) 21:52:40   ID: tz4tZyRd

更新頑張ってください!

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