双刀と呼ばれた僕と黒姫と呼ばれた彼女 (53)
注意
中二病全開で行きます。
設定が色々パクってます
以上
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ギルドの賞金首リストを見てみる。
今日もイマイチぱっとしないな、そう思っていたら莫大な賞金を掛けられたリストを見つけた。
【〔山賊王〕『懸賞金6700万』ギルドゴルヅ】
ふむ、これは凄い、10年は働かないで暮らせるじゃないか。
早速紙を取って手配しなければ、そう思った矢先。後ろから手が伸び、その手配書を奪い取った。
後ろを振り向けば、僕を一方的に敵視している、【〔零閃〕ビービー・ビジュルアルジュ】だ。
「死ね」
分かり易い敵視ありがとう。
せっかくの手配書を持っていかれてしまった。
「そーとー、どした?」
幼い声、僕は彼女を知っている、いや、知っていると言うより、パートナーの声が。
「いいや、なんでもないさ〔黒姫〕」
〔黒姫〕とは、彼女の二つ名であり、実名なのだ。
僕はギルドメンバーになってから、気がつくと彼女の相棒として騒がれている。
ついでに刀を二刀持っている事から僕は〔双刀〕と呼ばれているらしい。
黒姫「いいのあった?」
僕は首を横に振った。
あの〔山賊王〕以外の手配書は、どれもおいしくないのだ。
例を挙げて手配書を見てみる。
【〔ボールボーイ〕『3億4400万』チェリーフェイス】
【〔僕池面〕『100円』カノウエイゴー】
【〔地獄線性濡卯邊絵〕『5000円』アレハコウ・コウセイノジ・テンデダメダ】
【〔我軌道〕『9億900万』オウオウヂョウ】
【〔伝楽〕『3億300万』ミソ・マンジュー】
【〔天井天下唯我独尊〕『11億2200万』マッシュ】
【〔影武者〕『六億20万』スキンフェイス】
【〔天災〕『5億100万』ミカドミライ】
【〔不死王〕『12億4400万』アーケード】
【〔白王〕『三億2200万』バルバード・リミッシュ】
うん、突っ込みたい気持ちもあるかもしれないが弁解をさせてくれ。
うん、懸賞金と言うのは、その相手の強さに比高して割り当てられる。
1000万くらいなら奇しくも勝てるかもしれないが、億まで行くと僕の手には負えない。
ましてや"力"の無い〔黒姫〕が一緒だと、僕自身の力も全力で出すことすら出来ないのだ。
だから、今手配書の中では一番弱いのは金が少ない、時間とその場所へ足を運ぶのなら結果的に赤字となる。
かといって億越えと相手をすれば間違いなく仏さんの仲間になってしまう。
ならばどうするか、そう、今さっき見つけた〔山賊王〕が一番手ごろだったのだ。
しかし、受付は早いもの勝ち、さっきビービーが手配書を持っていった為、〔山賊王〕の依頼は諦めたほうが良いだろう。
そう思っていた矢先、売り子のデイリが話しかけてきた。
売り子「あ、〔双刀〕くん、丁度良いところに!!あのさ、人探しの依頼なんだけど、頼まれてくれるかな?」
人探しの依頼、軽く言ってくれるが、あまり乗り気はしない。
売り子「ねえ、いいでしょ?君、【周囲のマナ】出来るんでしょ?」
そうは言うが、一日二日の行方不明の人間を見つけても、1万あたりが妥当の金額。
さっきもいったように、その場所へ足を運ぶのなら結果的に赤字となるのだ。
売り子「うーん……残念だな、せっかく報酬金は2000万なのに……」
――――――っ!?今なんと!!
売り子「ん?いや、その行方不明者、なんととある富豪の令嬢さんでね、二週間も前に消息不明、ここまで騒がれなかったのは富豪の主人が秘密にしてくれって言う話だから、競争倍率は10㌫も低いんだ!!」
やる!!やらせていただく!!これなら運賃代も支払ってもおつりがくる!!
売り子「運賃代も富豪持ちだよ?」
決 定 ! !
【マナ】と言うものがある。
それは自然的能力、基 妖術、呪術の一種で、それを習得すると、ある程度の能力向上が出来る。
僕の場合は、【周囲のマナ】と言う、人間に宿る微量なマナを感じ取ると言う能力だ。
言い忘れていたが人には微かにマナが流れていて、マナ事態の存在を知ると、大幅にマナが放出していつでも使えるようになるのだ。
まあ、あとは【周囲のマナ】以外にも、僕には奥の手があるが、それはまた別の機会に話そう。
黒姫「ねー、そーとー。おそとのけしききれいでしてー」
黒姫がそう言っているが、僕はその景色を見る暇が無い。
何故ならば、汽車酔い、と言う呪いにかかっているからだ。
やべぇ、めっちゃ吐きそう………。
眠ったら気はまぎれるか、そう思っていたら、左頬に、暖かい感触が。
黒姫「はくー?」
どうやら僕を心配してくれているようだ。
細い指先が僕の目元を摩る。
大丈夫、とそう言うと、黒姫は嬉しそうに目を細めた。
駄目だ、吐く
駅前は軽く騒がれていた。
なぜなら、駅到着と共に、盛大に嘔吐物を吐いた人間が居るからだ。
そう、僕だ。
僕はどうやら乗り物に弱いらしい。
黒姫が僕の背中を摩って大丈夫か聞いてくる。
黒姫、気持ちはありがたいけど、痛いよ、心が。
「大丈夫ですか?」
声をかける人が一人。
メイド服でぶっきらぼうの女性、一目見ただけで依頼主の召使だとわかった。
と
何でこんなの書いたんだろう……
今日はここまでで、明日くらいから中2病全開だと思う。
始まるよ
歩いて数十分程、大豪邸のお屋敷に到着した。
黒姫「わたしのいえー」
違うよ黒姫、君の家はこの前売り払ったばっかりでしょ?
召使「どうぞ、旦那様がお待ちしております」
巨大な門が開かれて、僕らを歓迎するかのように屋敷に突入した。
屋敷の中は想像した通りの作りで、豪勢、と言う言葉が似合うお屋敷だった。
「おぉ、おぉ!!来ましたか!!!」
玄関ホール・二階から黒服の老紳士が両手を広げて降りてくる。
あぁ、あれが今回の依頼主か。
老紳士「えぇ、私エニュルール・ガズァッグ、と申します」
そう言ってエニョルール氏は深々とお辞儀をした。
僕も軽くお辞儀をして、本題に入ってもらう事にした。
話は二週間前に遡る。
召使が朝の七時に起こしに来た所、令嬢・ミシェル・ガズァックの姿が見つからない、との事だ。
屋敷内、町全体、秘密裏に寄る捜索を依頼をしたが進展は無し。
困ったエニュルール氏は友人であり商売仲間のデイリに秘密ながらの依頼を出した、との事だ。
老紳士「貴方ならば、見つけられるとのお話が聞けたのですが……」
えぇ、確かに見つけることは出来ますよ。
ですが、少々条件がありまして……
老紳士「条件、とは?」
対象の身に着けていた物、衣類などの微量に張り付いてあるマナを察知する事で『視空』が対象の現在地を知らせてくれます。
………ですから真に申し上げにくいのですが……
老紳士「何でしょうか?」
ご令嬢の使用済みパンツ、基ブラジャーなどの物を用意してくれませんかね?洗ったのじゃなく本当に使用済みのd
黒姫「だめ、はんざいなの」
五技、と言うものがある。
それは使用するマナの本来の形を体現するものである。
マナは生命力から作られる、故に生命力を削る、譲渡される事で、爆発的能力を発揮する。
そして五つの型に分類される特化された能力。
攻撃力上昇『撃覇』
防御力上昇『無鎧』
俊敏力上昇『肢閃』
範囲内捜索『視空』
特殊一科目『真拿』
当然、マナが使用不可になれば、自分自身の生命力も零となり、死に至る。
ちょい休憩。
即興で書いたから判らない事があったら聞いて
その内で、僕が特化した五技は範囲内捜索能力の『視空』。
『視空』は範囲型と特定型の二分類あり、僕はどちらかと言えば特定型に分類される。
範囲型はマナが特定した範囲内のマナを感知して、建物の周辺や人の数を知ることが出来る。
特定型は微量なマナで特定の人間を把握する、言うなればストーカーが持つべき能力だ。
しかし特定型は自分が見た景色、と言う条件がついている為、地図や写真などの空間を把握しなければならない。
僕の場合は後者。
故に後で周囲一帯の地図を用意してもらわなければ。
召使「どうぞ、使用済みのパンツです」
メイドさんが差し出してきた白のパンツ。
指に伝わるシルクの布は、使い古された女性の感触がいまだに残っている。
目を凝らしてマナの微量の残りを観測する。
決してこの部分は女性器が擦れていた場所か、と考えてはいない。
僕は微かに残る匂いとマナを一気に吸い込み、彼女の情報を全て情報化、吸収する。
僕はメイドさんに地図を出すように言った。
目を凝らし、彼女がいる現在地をマナで特定する。
――――――――見つけた。
しかし、ここは………
いや、考えても仕方がない、今は見つけることが優先だ。
居間でチョコクッキーを貪る黒姫を呼んで、地図を持ちながら彼女の場所へと急いだ。
僕が向かった先は腐敗した空き家。
その中に入ると彼女は居た。
その隣に、鎧を着込んだ男も含めて。
「………よぉ、連れ戻しにくると、思ってたぜ」
男は言った。
やはりそうか、僕はため息をしながら、現在の状況を理解する。
つまる所、彼女は誘拐されていた。
しかし、ただの誘拐ではない。【彼女を探せるほどのマナを扱う人間を見つけたかったが為の誘拐なのだ】
富豪の娘となると大掛かりで探すことになるだろう。しかしそれが世間的にバレてはいろんな意味でまずくなる。
ならば秘密裏に行えばいい、しかし、そうなるとどうしても少人数に抑えてしまう、が、捜索系に長けた人間を使えば良いではない、という結論になる。
結果、僕が引っかかった。
正確に言えばマナを使う人間を見つけたかったのだろう。
これから起こることに、巻き困らせるために。
「紹介しよぉか、俺の名前はギルドゴルヅ」
僕は彼を知っている。何故なら今朝見たばかりの顔だから。
「一般的じゃあ、【山賊王】って呼ばれてるわ」
彼は―――――賞金首の男だった。
訂正
×ならば秘密裏に行えばいい、しかし、そうなるとどうしても少人数に抑えてしまう、が、捜索系に長けた人間を使えば良いではない、という結論になる。
○
ならば秘密裏に行えばいい、しかし、そうなるとどうしても少人数に抑えてしまう、が、捜索系に長けた人間を使えば良いではないか、とそう言う結論になるだろう。
山賊王「さあって、第一関門合格おめでとう、賞金はこの女だ、そして急に始まる第二関門の内容は」
―――――直後、目の前に山賊王が現れる。
糞!!『肢閃』か!!
5メートル程の距離をコンマの速さで詰めるなんて、僕の『肢閃』よりも早いんじゃないのか!?
山賊王「『撃覇』」
ッ『無鎧』!!
乾いた音が古びた空き家に響く、とっさに『無鎧』でガードをしたが、相手の『撃覇』の方が一倍上回っているようだ。
痛みを堪えながら腰に巻く刀を抜いた。
『双刀夫婦・母樂』で相手の喉に突き刺した。
しかし、渾身の突きは敵の『無鎧』に封じられる。
山賊王「いい突きだ、んじゃあ俺も――――」
周囲に散らばるマナが山賊王の指先に集まる。
―――――嘘だろ……『貫羅』を使えるのか!?
山賊王「『撃覇・応用技貫通系・貫羅』」
マナが金色に光だし、刹那の如く僕の心臓に向かって放たれた――――ッ
応用技(おうようぎ)、と言うものがある。
捜索能力『視空』の時に話した様に、他の五技にも応用技がある。
例えば『撃覇』、周囲に浮かぶマナ、または自身のマナを攻撃する部位に貯めることで攻撃力が大幅に上昇する能力。
これを応用して、指先に貯めれば『貫羅』という貫通力に特化した能力となる。
手の甲、または拳の場合は通常の『撃覇』、打撃に特化した能力。
手刀の形であれば『斬揮』という斬撃に特化した能力に進化する。
これ以外にも他に応用技はあるが、今の所はここまでにしておこう。
今日はここまで、やっと山賊王出せた。
明日辺りで黒姫覚醒させたいな。
適当に書いてみたけど分からない所あれば言ってね。
眠いから間違えてるかもしれないし。
間一髪、と言うべきか、『双刀夫婦・父逆』にて山賊王の攻撃を凌いだ。
山賊王「やるねぇ!!んじゃあこいつはどうよ!!」
山賊王が七歩程離れる。
デウスエクスマキナ・
山賊王「『我が愛すべき神よ―――――――」
流れが、変わった。
例えるならば、旋風に対しての台風、水に対しての大海原。
『無鎧』を持ってしてでも、防ぎようの無い一撃必殺の刃。
右手に添える真空の凶器、それが最強にして最凶の破壊衝動の塊だと気がつく。
避けなければ、足元にマナを貯めて『肢閃』を繰り広げようと――――
ブラッドバンデッド
山賊王「―――――お前の全てを奪いたい』」
直後、黒姫がくしゃみをした。
黒姫「うみゅ……」
鼻を啜りながら黒姫は広がる誇りを払う。
山賊王「………チッ、削がれたな」
そう言って、空き家に放置された椅子に座る。
山賊王「まあいい、第二関門突破だ、合格おめでとう」
興の無い拍手をしながら欠伸をした。
これがついさっきまで、命のやり取りをした男なのか?
僕は疑問に思っている事を口にする。
―――――何故こんな事を?
質問はシンプル故に色々と複数の意味を持ち合わせている。
それは【何故攫ったのか】【何故試験のような真似を?】【何故?】【何故?】
僕に対しての答え、相手は実にシンプルにこう答えた。
山賊王「待っていたから」
待っていた?僕を?
山賊王「あぁそうさ、この山賊王がちまちまと、わざわざこんなセコイ真似をしてまでもお前らのような奴らを待っていたのさ」
山賊王「俺一人じゃ何も出来ない、何かを持たなければ戦えないのさ」
山賊王「悪人が武器を持たず、正義の味方には挑みはしない、必ず必殺を持ち合わせる」
必殺、それが僕たちか?
山賊王「馬鹿、んなわけねえだろ」
えぇ!?じゃあなんでその話をしたの?
山賊王「必殺ってのは俺の武器よ、文字通り必ず殺せる最悪の凶器をな」
……僕は山賊王を見た、彼は武者のような格好をしているが、どれも防具で、必殺と呼べる武器を見当たらない。
山賊王「奪われたんだよ、山賊王の、代々伝わる武器をな」
黒姫「おんぶー」
どうやら話が長くなったようで、黒姫が駄々を捏ね始めた。
僕は『双刀夫婦・母樂』と『双刀夫婦・父逆』を鞘に閉まった。
山賊王「……よぉく見たら、伝説の六刀の一品じゃねえか、何処で手に入れた?」
山賊王は僕の刀に興味があるらしい、山賊王の名だけに、宝物には目が無いのか。
―――――この刀は、我が父と母から頂いたものだ。
山賊王「伝説の六刀、それを持つ親、成程面白い、お前の親も盗賊か」
山賊はニヤリとして言った。
――――あぁ、そうだよ、僕は否定もせずそう言った。
伝説の六刀とは、『鍛冶師』天鍔による幻の刀の種類銘だ。
天鍔の金槌の一振りはマナの塊、それにより作られた一刀は、異能を超えた神器となっている。
その中の伝説の刀『双刀夫婦』は、本来は何処ぞの家の守り刀として飾られていたが、僕の母と父が、それを盗み出してしまった。
僕の家は、山賊王の言うとおり、先祖代々盗賊を仕事としている。
しかし、僕の親は盗む直前、その家の人間に見つかり、父は捕まり殺された。
運良く逃げ出した母も、僕を連れて夜間列車に乗り込ませ、『双刀夫婦』を僕に預け、その場に留まった。
11歳の頃の話、多分その時から乗り物酔いが発現したんだと思う。
母の行方は知らない、死んだのかつかまったのか、はたまた追っ手を殺し生き延びたのか、僕には分からない。
ただし一つだけ分かるのは、母と父は僕を愛し、そして最悪の盗賊だったのだと。
話が逸れた、僕は黒姫を抱きながら話を戻す
山賊王「おう、俺が盗まれた凶器ってのはな、その『伝説の六刀』の一振りなんだよ」
なんだって?
山賊王「『悪刀災厄・莫螺』、伝説の六刀の中で一番の凶器で一番の狂喜を持つ刀」
山賊王「そしてなぁ…・・・その刀を盗んだのが、その娘の親父さんだ」
顎で指すのは、今伸びている少女、ミシェルの親父さん、
つまりは、僕の依頼主エニュルール・ガズァックさん、だと言うのか?
すいません西ミスってました……
少し休憩とります
話を整えると、山賊王はこの町に身を潜めていた所、ミシェルの父ガズァックさんが、刀を奪った、と言う事だ。
にわか信じられない話だが、富豪が宝物を欲しがる、と言うのはよくある事だ。
僕は黒姫を背に、小一時間ほど掛けて豪邸に戻った、無論、山賊王も一緒だ。
老紳士「おぉ、我が娘!!帰ってきましたか!!………あぁ、やはり、貴方ですか」
開口一番、ガズァックさんが山賊王を睨んだ。
山賊王「おう糞爺、俺の刀、返しに来てやったぜ」
老紳士「抜かせ小僧、刀の振り方も分からぬ青二才に、我が宝刀を易々渡せるものか」
我が宝刀?と言う事は…………
老紳士「えぇ、元々『悪刀災厄・莫螺』は我が家宝なのです、しかしこの卑しき山賊が奪っていったのですよ」
そう言って山賊王を睨む、成程、やはり悪いのは山賊王、と言う事になるのか。
山賊王「馬鹿言うんじゃねぇ、それは元々、『俺の家』の物だ、『俺の親父』の物だ、返せよ、返してもらうよ」
……どう言う意味だ?
山賊王「俺の親父の名前は『天鍔』、伝説の六刀を作った男だ」
―――なんと、驚愕の事実、しかし、山賊が刀に興味を持ち、尚且つそこまで詳しかったのはそれで納得が行く。
しかし、山賊王の名前はギルドゴルヅなのだが、
山賊王「そりゃあな、賊はわざわざ本名は晒さねえよ、三流は名を轟かせたがる、二流は名を隠す、一流は名前すら知られない、ってな」
ほう、ならば山賊王、君は二流、と言ったところか。
山賊王「そう言うこった」
老紳士「……それで、たとえ思えの父がこの刀の創造主だとして、何故この刀を欲しがる?」
山賊王「決まってんだろ?【親父の失敗作】をこれ以上他人に持たせたくないのさ」
………何を言っているんだ、こいつ
山賊王「親父はなぁ………本来は家庭用品専門の鍛冶師なのさ」
山賊王「切れ味の良い包丁、食材が引っ付かないフライパン、そんなモンを作るのが親父の仕事だったんだよ」
山賊王「だけどなぁ………お前らが、お前ら金持ちが、平和の反骨者が!!金と権力で無理やり親父に【兵器】を作らせた!!」
山賊王「たかが一人の鍛冶師に、そこまでする必要はなかった……なのに、お前らは親父の能力を利用した!!」
ソードオブクリエイト
山賊王「『奇跡の一振り』、それが親父の特別一科目の能力」
山賊王「金槌にマナを貯め、理想の刀を作り上げる能力、それを利用したんだよ、お前らは!!」
山賊王「一振りに寿命は削られ、最後の一刀を作った時には、既に息絶えていた!!マナはゼロになると、死ぬと知っていた筈なのに!!」
山賊王「私利私欲の為に親父は死んだ、親父は最後の言葉も何もなくあの世に向かったんだ!!」
山賊王「だから、だからせめて俺はその刀を回収して、親父の墓においてやる事にした」
山賊王「何よりも幸せを願った親父の意思を、何よりも平和を望んだ親父の魂を、これ以上踏みにじる訳にはいかない」
山賊王「刀を返してもらうぞ、糞爺!!」
老紳士「だから、それが何だと言うのだ?」
老紳士「私利私欲?平和の反骨者?ハッ、当たり前だ、そうだ、そうだよ」
老紳士「私は私利私欲のために金を使い権力を使う、だからどうした?自分の能力を使わないでどうする?」
老紳士「使えるものは使う、そうでなければ大切なものを守る所か掴む事さえ出来ない」
老紳士「私はそれを学んだ、だから私はこの刀を作らせたのだ」
老紳士「生憎私は【マナ】と言うものの使い方は分からない、だからこの刀が必要なのだ」
老紳士「守れるものは守る。それが私の目標だ」
………さっきから守る守ると申しているが、貴方は何を守っているんだ?
老紳士「金だ、権力だ、夢だ希望だ理想だ現実だ、娘でさえもそうだ、そうだ、そうだそうだ、私が守っているのは、大切な、愛すべき恋すべき娘だ」
…………。
僕はここで一つの疑問を思い浮かべた。
大切な娘、とこの老紳士は言った。
ならば、何故彼は秘密裏で娘を捜索していたのか?
大事な、大切な娘ならば、自分の身分を、名誉を関係なく全力で捜索するはずだ、と。
あぁ、確かに彼は金も権力も大切な一部と言った。
しかし考えてくれ、【湧き水のように出てくる金といくらでも立て直せる名誉と名前】、【この世で一人しか居ないただ一人の娘】
考えれば貴方はどちらをとるか?僕は勿論後者だ。
人それぞれの意見があるから何とも言えないが、多分老紳士も後者を選ぶのだろう。
ならば何故秘密裏に捜索していたのか、僕はある一つの結論に至る。
それは――――
令嬢・ミシェル・ガズァックは、富豪・ハニュルール・ガズァックの本当の娘では無い。
僕の特化すべき『視空』は、ある程度ならば血液、DNAを見抜くくらいは出来る。
そもそも『視空』の本来の使い方は、対象の健康、怪我が無いかをチェックするためのソナー能力なのだ。
初めてハニュルール氏と出会った時からおかしいと思っていた、彼特有の匂いに僕は何故か懐かしさを感じていたから。
召使に使用済みのパンツを渡されたとき、血縁上特有の匂い、基臭さがまったく違ったのだ。
そこで見方を変えてみて欲しい、老紳士が【大事な娘を探して欲しい】と言う内容ではなく【拉致した娘の代わりを探して欲しい】だったのならば。
【行方不明の娘】ではなく【逃走した代用品を】見つけ出してくれ、と言う内容だったら。
老紳士が秘密裏で探してくれ、と言う話も納得出来るのではないか?
拉致をした、と言うのは僕の推測だ、しかし、もし大沙汰になり、警察が動き出したら、拉致をした、と言う事がバレてしまう、そう考えたら。
決してありえない話ではないのではないのか?
今日はここまで、結局黒姫覚醒まで届かず。
また明日、いや今日かな?おやすみなさい
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