女神「どんな願いでも叶えてやろう」男「裏があるんだろ?」(35)

女神「私は女神だ……」

女神「喜ぶがいい」

女神「私は全人類の中から、無作為にお前を選び出した」

女神「選ばれたお前には、恩恵にあずかる権利がある」

女神「どんな願いでも叶えてやろう」

男「……」

男「裏があるんだろ?」

女神「へ?」

女神「裏だと? そんなものはない」

男「い~や、怪しいな」

男「たとえば願いを叶えたら、死後地獄に行くとか、魂取られるとかするんだろ?」

女神「そんなことは断じてない」

男「ホントかぁ~?」

女神「いやしくも神である私が、嘘などつくわけなかろう」

支援

男「いや、そもそもあんたが神だっていう証拠はどこにもないし」

男「もしかして、正体は悪魔とかなんじゃないのか?」

男「悪魔が神になりすましてる、なんてよくある話だ」

女神「悪魔だと……? なんという無礼な男だ」

女神「悪魔にこのような高貴なる光を放てるわけなかろう」パァァ…

男「まぶしいんだけど」

男「まぁいいや……。あんたが女神だっていうのは、とりあえず信じよう」

男「だけど、だからといってちゃんと願いを叶えてくれるとは限らない」

女神「どういう意味だ?」

女神「金でも、名声でも、美女でも──」

女神「どんな願いでもちゃんと叶えてやる」

男「たとえばさ……」

男「お金をいっぱいください、っていったら」

男「でかい金庫の中に閉じ込められたり、全部ニセ札だったり」

男「こことは全然ちがう世界の紙幣、とかが出てきたりすんだろ?」

女神「そんなことあるものか」

男「どうだろ……」

女神「だったら……地位や名声を願ってみたらどうだ」

男「そしたら多分、こういう結末が待ってるはずだ」

男「さして実力もないのに、分不相応な地位や名声を手に入れてしまった俺は」

男「結局、その役目に押し潰されてしまいました、とかってな」

男「分かってるんだよ、そういうパターンだってのは」

女神「願いを叶えた後の面倒まではみきれんが」

女神「そんなに不安であれば、美女でも願ったらどうだ」

男「美女? ご冗談を」

男「どうせ正体は整形女だったり、男だったりするんだろ?」

男「もしくは昔の感覚では美人だったってことで、浮世絵みたいな女が出てくるかもな」

男「あるいはたしかに美しいことは美しいんだけど」

男「すさまじくワガママだったりヤンデレだったり……ってオチが待ってるはずだ」

女神「勝手に待っていることにされても困る」

男「じゃあ……もしかしたらこういうパターンか?」

男「こうやって俺が悩む、あんたが催促する、そしたら焦った俺がこういう」

男「“ちょっと待ってくれ!”」

男「そしたら“待ったぞ、願いは叶えた”って帰っていくってパターンだ」

男「な? そうなんだろ?」

女神「わざわざここまで出向いてきたのだから」

女神「そんなつまらない願いで終わらせるつもりはない。安心しろ」

男「ふ~ん」

女神「それにしても……お前も疑り深い奴だな」

女神「だったら……やめにするか?」

女神「私としては残念だが、どうしても嫌なら強要することもないしな」

男「なるほど! そう来たか!」

女神「へ?」

男「あんたは神々の世界に帰った後──」

男「せっかくノーリスクで願いを叶えてやるチャンスを」

男「自らドブを捨てたバカな人間がいましたって笑うわけだ!」

男「俺は疑り深いせいで最高のチャンスを台無しにした……ってオチなんだろ?」

女神「なんだろ? ──といわれてもな」

女神「なら、さっさと願いをいえ」

男「そうか、だったら!」

男「こうして悩み、疑心暗鬼になってる俺は、いつしか発狂してしまう」

男「発狂したあげく、精神が崩壊して廃人になってしまう!」

男「そして、哀れにも廃人になった俺を眺めながら」

男「人間は愚かなものだ、とあんたは他の神と笑うんだ! きっとそういうオチだ!」

男「分かってんだよ、俺には! アヒャヒャヒャヒャ! ざまあみろ!」

女神「……」

女神「いい加減にしやがれッ!!!」

男「!」ビクッ

女神「せっかく親切で来てやったってのによォ……」

女神「くだらねえことをガタガタ抜かしやがって……」

女神「これ以上ガタガタ抜かすんなら」

女神「ケツの穴に手ェ突っ込んで……奥歯ガタガタいわせっぞ!?」

男「ひっ!」

男「す、すみませんっ……!」

男「なんていうか、日頃からついてなくて、何事も疑ってしまう性格でして……」

男「私、願いを決めました! お、お金をいただければと……」

女神「ちょいと脅しつけたら、急にしおらしくなりやがって……」

女神「どうせ裏があるんだろォ!?」

男「へ!?」

女神「たとえばここで100万円出してやったら」

女神「ドルのがよかったなぁ~、ユーロにしとけばよかったなぁ~」

女神「ジンバブエドルだったら笑い話にできたのになぁ~」

女神「女神ちゃん気ィきかないなぁ~ってオチなんだろォ!?」

男「い、いや……そんなこといいませんって!」

女神「あ!?」

男「ひっ! じゃ、じゃあ……地位や名声をください」

女神「金の次は、名声だァ……?」

男「は、はいっ!」

女神「おめぇ……翼をくださいって知ってっか?」

男「し、知ってます!」

女神「あの歌にあんだろ……富とか名誉なんざいらねぇってよ」

女神「だいたい名声なんてもんは、てめぇの力でゲットするもんだろがよ」

女神「なんもしてねぇのにノーベル賞とかアカデミー賞とかもらっても困んだろ!?」

女神「なぁ、間違ってるか? この理屈、間違ってるか?」

男「ま、間違ってません!」

男「じゃあ……翼をください……」

女神「ハァ~!?」

女神「たとえ話で歌の話をしただけだっつうに、翼が欲しいて……」

女神「翼なんか手に入れてどうすんだ? 太陽でも目指すんか? おォ?」

女神「で、翼が溶けて死ぬんか? 死ぬんかァァァ!!?」

女神「おめぇどこのイカロスだよ!?」

男「や、やっぱり今のなし! 今のなしで!」

男「じゃあ……美女を! 美女! 美女にします!」

女神「おいおいおいおい、待て待て待て待て」

女神「目の前に世界一、いや宇宙一の美女がいんのに、なぁ~んで美女願う?」

女神「え、なに? 遠回しな侮辱? 私をディスってるわけ?」

女神「神ディスっちゃう? ん? お? あ?」

男「いえ……すみません。本当に至らなくてすみません……!」

課長バカ一代思い出した

男「あの……じゃあもう何もいらないです! お帰り下さい!」

女神「あちゃ~……そうくるか~!」パシッ

女神「ちょっと行き詰まると、す~ぐ逃げる! 無難や妥協に走る!」

女神「下へ下へと流れていくんだよなぁ~、これがあれか? ゆとりってやつか?」

女神「ってかさァ……」

女神「こっちゃ人間界まで出向いてるんだからさァ……手ぶらじゃ帰れねぇのよ」

女神「ガキの使いじゃねンだよ!!!」

男「は、はいっ!」

女神「疑り深いわ、すぐしおれるわ、冒険しないわ……」

女神「ホントダメダメだな、お前」

男「よ、よくいわれます……」

女神「こりゃあ……誰かが支えてやらなきゃあな……」チラッ

女神「誰かがなぁ~」チラッチラッ

女神「こうなったら私と結婚しちまうか! なァ!?」

男「えええ!?」

女神「イヤか!? 不満かァ!!?」

男「イヤっていうか……俺、結婚できるようなお金ないし……」

女神「んなもん、私がポポポポーンってなもんよ」

女神「よし、決まり!」パンッ

女神「そうと決まれば、初夜るぞ!」ガバッ

男「ま、まだ心の準備が……!」

女神「笑わせやがる、下半身は準備万端じゃねぇかよ」クスクス

男「あ、あ、あ……」ビクンビクン

……

…………

………………

教会にて──



ワイワイ…… ガヤガヤ……

「まさか、アイツがあんな美人の嫁さんもらうなんてなぁ」

「世の中分からないもんだな、ホント」

「一般の人らしいけど、女優かモデルみたいだよな」

神父「……死が二人を分かつまで、互いを愛することを誓いますか?」

女神「私は不老不死だし、夫が死んでも神界で一緒になるだけだがな」

神父「へ?」

男「いやいやいや、なんでもないんです!」

男「ちょっとちょっと、神だってのはナイショだっていっただろ?」ボソッ

女神「すまんすまん」

男「せーのっ」

男&女神「誓います!!!」





おわり

ありがとうございました

アグレッシブな女神だったな乙

逆転ぶりにワロタ

すき

ツンデレとヤンデレ(ヤンキーデレ)の女神様とか
俺の所に来ないかな

想像してたのと大分違ってワロタ

これは…良いスレ

いいハッピーエンドだった

神様が人間と結婚したがるとか結構怖いものがあるよね

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久しぶりにこのジャンルで良作を見た気がする。

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