勇者「僕は弱いよ」(14)
昔から、一人だった。友達なんて、いなかった。ご先祖が勇者だった。それだけで、毎日、修行、修行
正直、うんざりだった。
父「勇者、国王から手紙だ。すぐ王城にこい、とのことだ」
勇者「うん…」
母「今日まで頑張ってきたんだから、大丈夫よ。頑張ってね」
勇者「はい、行って来まーす」
-王城-
王「突然の呼び出し、済まなかったな。勇者。そなたに、頼みたいことがある」
勇者「魔王の復活、ですか。解りました。では、すぐ行きますので」
王「うむ、幸運を祈る。仲間は…」
勇者「結構です。一人が好きなので」
王「う、うむ。そうか」
-平原-
勇者「なんだよ、僕の気も知らないで、魔王を倒して来いだの何だの…」
???「ふむ、それは残念じゃの」
勇者「ホントだよ何で僕が行かなくちゃいけないのさ」
???「一人では心細くないか?」
勇者「むしろ逆、一人になれて、やっと気が楽に……君誰?」
妖狐「わしは妖狐。そち、面白そうじゃ!ついていくぞ!」
勇者「…何でこうなるんだろう」
勇者「とは思ったけど、君すごいね」
妖狐「魔法ならお手の物じゃ」
勇者「それに可愛いし」
妖狐「スタイルも悪くなかろう」
勇者「頼りになるし」
妖狐「ほ、褒めても何も出んぞ」デレデレ
勇者「尻尾も気持ちいい」
妖狐「尻尾に触るでない!」
勇者「そういえば、君って魔物?でも、他の人には見えてないみたい・・・」
妖狐「わしを魔物と一緒にするでない!わしは、妖怪じゃ。人間なら、そちにしか見えぬはずじゃ。勇者」
勇者「何で知ってるのとか言わないからね」
妖狐「むぅ、そういえば、日が暮れてきたのぉ」
勇者「そこに村があるから、宿に泊まろうか」
妖狐「旅に宿はつきものじゃな」
-村の宿-
勇者「すいません。一部屋貸してください」
妖狐「む、一部屋しか借りないとは、勇者お主・・・」デレデレ
勇者「妖怪は普通見えないんだからいいでしょ」
妖狐「まあよいわ」
勇者「料理美味しかったね」
妖狐「うむ、しかし、わしにほぼ全部くれたが良かったのか?」
勇者「いいんだよ、僕は・・・それより、お風呂に入ろう」
妖狐「うむ、1日中歩いたおかげですっかり疲れたわい。(しかしこやつから、やましい心を感じぬ・・・こやつ、一体何が・・・まさか、女性に興味がない!?じゃが、ホモでもなさそうじゃ)
勇者「お風呂気持よかったね」
妖狐「そうじゃな。わしはもう眠い」フワァ~
勇者「そうだね、おやすみ」
妖狐「おやすみじゃ」
-20分後-
妖狐「勇者は寝たようじゃ。それじゃ、妖術でコヤツの記憶を覗くかの・・・こやつはっ!」
-回想-
父「弱いっ!」
勇者「うう・・」
父「やる気があるのか!?」
勇者「あるよ!頑張ってるじゃないか!」
父「まだ腰が入っとらん!」
勇者「うわぁ!」
-回想終了-
妖狐「紺なつらい日々をおくっていたら、女性に興味がなくてもしかたないのう」
-翌朝-
妖狐「勇者、おはようなのじゃ」
勇者「おはよう、妖狐。さ、朝ごはんを食べに行こう」
妖狐「それなんじゃが、勇者、おぬし、もう少し食べたほうが良いではないのか?」
勇者「そうかなぁ?」
妖狐「そうじゃ。(あやつ、このままでも、死にはせんじゃろうが、まともに生きるのも難しくなるかもしれんしのぉ)」
勇者「・・・わかった。そうだよね。食べないと」
妖狐「勇者・・・」
勇者「あはは、どうしたの?心配ならしなくていいよ・・・」
妖狐「(嘘じゃ・・・。すごく辛いはずなのに・・・)そ、そうか・・・」
勇者「・・・」
妖狐「・・・」
勇者「・・・って、なんで静かになるのさ。早く行こうよ」
-食堂-
勇者「はい、妖狐」
妖狐「うむ。(勇者、やっぱりほとんどわしに・・・)」
???「あんた、その狐にほとんどあげてるが、食べなくていいのか」
妖狐「!そち、わしが見えるのか!?」
???「もちろん。とにかく、あんたも食べたほうがいい。ほら」
勇者「あ、ありがとう」
???「例には及ばん。お前たち、2人旅か?」
勇者「そうだけど・・・それがどうかした?」
???「二人だと力不足、俺は仲間がほしい。これ、理にかなってるぜ」
勇者「?つまり?」
???「俺を仲間に入れろ」
勇者「!?ええぇー、ま、いっか。よろしく。僕、勇者っていうんだ」
妖狐「妾は妖狐じゃ」
堕天使「俺は堕天使っていうんだ。そこの妖怪より、力になるぜ」
妖狐「だ、堕天使じゃと!?」
勇者「妖狐、知ってるの?「
妖狐「知ってるも何も、つい先日、神を殺害しようとした、超凶悪天使じゃ!「
堕天使「ひどい言われようじゃねぇか。まあいい。そういうわけだ。今は、実力のおかげで閻魔の側近をやってる。そこに魔王が踏み込もうとして、迷惑なんだよ。それで神の野郎に問い合わせたら、お前のことを聞いて、今に至るわけさ」
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