山田「こ、この度IS学園に転校してきた北野誠一郎君です」(218)

頼む


     シーン……

北野(…………)

北野(ああ……やっぱり、この反応)

北野(覚悟はしてたけど……みんな青ざめてる) ガックシ…


彼の名は北野 誠一郎。
isの適性がある事を除けば、どこにでも居る健全で心優しい
普通の高校生の少年だ。

ただ……彼の顔は、常識をはるかに超えて……


     怖かった……。


山田「え……ええと、き、北野君。 な、何か一言、ありますか?」

北野「!!」


北野(そうだ……と、ともかく、第一印象くらい良くしておかないと……!)

北野(こんな、か弱い女の子ばかりの学校で)

北野(みんなを怯えさせちゃいけない!)

北野「…………」

北野(で、でも何を言えば……!?)

     シーン……

山田「あの……北野……君?」

北野「!!」 ビクンッ!?





北野「きええええええええっ!!」
   (す、すみませんっ!!)




山田「ひいいいいいいっ!?」

鷹月「ひゃあああああああああっ!?」

本音「ぎゃ――!」

シャル「リヴァイブ!」 スウウウウウンッ!

セシリア「ブルーティアーズ!!」 スウウウウウンッ!

ラウラ「シュバルツェア・レーゲン!」 スウウウウウンッ!

一夏「白式!!」 スウウウウウンッ!

箒「紅椿!」 スウウウウウンッ!



北野「きえっ!? きえええええええええええっ!?」
   (えっ!? ちょっと何がおこったの!?)


箒「とにかく黙れ! 北野誠一郎!」 カタカタカタ…

一夏「箒……下がっていろ。 俺が相手する……!」

ラウラ「嫁よ、私に任せろ。 こういう輩の対処には、慣れている」

シャル「一夏だけに任せられないよ。 ボクも手伝う!」

セシリア「わたくしもですわ!」



北野「きえっ!! きえええええ!! きええええええ!!」 身振り手振り
   (いや!! だから違うって!! 僕は敵じゃないよ!!)


一夏「くっ! 聞く耳持たずかよ……!」

箒「気をつけろ、一夏。 あの動き……見た事はないが、流れる様でスキが見えにくい!」

ラウラ「同感だ。 奇声を上げ、こちらの戦意を削ぎたかったのだろうが……」

セシリア「生憎でしたわね」

シャル「専用機持ちが5人も居るクラスだと思わなかった様だね」



北野「きえええええええええええええええええ!!」
   (ひいいいいいいいいいいいいいいいい!!)


千冬「黙れ馬鹿者」 ゴス

北野「」 ドサッ

千冬「お前達もisを待機させろ」

一夏「え!?」

ラウラ「し、しかし!」

千冬「……二度は言わんぞ?」 ズイッ…

一同「……!」

一同「…………」

一同「わかりました……」 スウウウウウンッ…

こんな感じでおk?

>>1だけど


ありがとう!!ありがとう!!

続けて下さい!

>>10
とりあえず即興で少し書いたけど、ちょっと書き溜めさせてね。
ある程度出来たら投下するわ。しばしお待ちを。


 ――昼休み――

 ――食堂――



     シーン……

北野「…………」

北野(やっぱり失敗してしまった……)

北野(しかも) スッ…

女生徒「ヒッ……!」 トトトッ……!

北野(…………)

北野(前の学校と同じ用に、何故かみんな怖がってる……) ハア…


一夏「……ったく、あんな凶悪そうな奴、初めて見たぜ」 ヒソヒソ…

セシリア「……まったくですわ」 ヒソヒソ…

箒「人は見かけによらない、とは言うが……」 ヒソヒソ…

ラウラ「何事にも例外はある」 ヒソヒソ…

シャル「いきなり奇声を上げて、何のつもりなんだろうね……?」 ヒソヒソ…



北野誠一郎は 極度のあがり症で、気持ちが高ぶると本人の言いたい事とは無関係に

奇声を発してしまう、厄介な癖があった……。





北野(…………)

北野(……とにかく、前の学校でも こんな僕にだって友達は出来た)

北野(めげてないで、根気よく挨拶とコミュニケーションをとる)

北野(そうしていればきっと……ここでも友達になってくれる人は必ず居る)

北野(きっと……!)



そう……彼はとても穏やかで、天使の様な温かい心を持っている

気持ちの優しい少年であった……。





北野(よし! そうと決めたら、さっそく行動しないと!)

北野(……でも、まずどうしよう……?)

北野(…………)

北野(! そうだ!)

北野(手始めにクラスのみんなに、僕を理解してもらうんだ!)

北野(……最初は、よく知らない人物だから、どうしたって壁は出来る)

北野(そこでまずは、クラスの代表的な人達と仲良くなって)

北野(それを足がかりに友達を増やしていこう!)


鈴「一夏~?」

一夏「!! 鈴!」

鈴「? どうしたの? 一夏?」

一夏「いいから、こっちに来い!」

鈴「いや、あたしは噂の転校生の事を聞こうと……」

一夏「教えてやるから、静かにしろ……!」

鈴「???」

     ストン…(鈴着席)

鈴「……で? どんな転校生なの?」

一夏「……最悪の奴だ」 ヒソヒソ…

鈴「最悪?」


一夏「いいか? 鈴……」

一夏「顔を向けずに……横目で左を見ろ」 ヒソヒソ…

鈴「……?」 チラ…

鈴「!!?」

一夏「……どうだ?」 ヒソヒソ…

鈴「な、何、あれ……!?」 ガクブル…

一夏「俺の言っている意味がわかったか?」 ヒソヒソ…

鈴「第二の男性is適正者って聞いてたけど……」 ヒソヒソ…

鈴「悪魔でも転校してきたの!?」 ヒソヒソ…

一夏「俺もマジで最初そう思ったよ……」 ヒソヒソ…


セシリア「転校の挨拶の際に いきなり奇声を上げまして……」 ヒソヒソ…

鈴「あ……! あの騒ぎ、あいつの声だったんだ」

シャル「名前は、北野 誠一郎っていうの……」

箒「だが、おおよそ日本人の風貌(ふうぼう)とは思えない」

ラウラ「あの凶悪な目つき……身のこなし、共に油断の出来無い相手だ」

一夏「本当にisの適性があるのか疑わしいが……本当の目的は別にあるのかもしれない」

鈴「本当の目的?」

一夏「例えば、夜な夜な……女の子の部屋に忍び込んで、いやらしい事を……」

シャル「ちょ、ちょっと、一夏! 止めてよ! シャレにならないよ、それ!」

ラウラ「安心しろ、シャルロット。 私が全力で守る!」

鈴「あの顔つきなら……やりかねないわね」


箒「!?」

箒「お、おい! 奴がこっちに来るぞ!」

セシリア「ひぃぃ……!」

     テク テク テク…

北野「や、やあ!」

一夏「…………」

北野「朝は……ごめん」

北野「慣れない環境で戸惑って……つい、あんな風になっちゃったんだ」

一夏「……それで?」

北野「! え、えっとね……」

北野「その……よ、よかったら、僕と……」


北野「友達になって欲しいんだ……!」 ニタァ……






彼の責任ではない。 彼の顔が極端に怖いのも、あがり症なのも全て。

だが……この時は、いくつかの不幸が重なった。

北野誠一郎の顔は、通常時でも相当怖いのだが笑顔はさらに怖い。

そして、一夏達は席に着いて、ちょうど彼を見上げるように見ていた。

それは、恐怖感を最大限に引き上げる絶妙な角度と言えたのだ……!



一夏「う、うわああああああああああああああああっ!!!」

5人「きゃあああああああああああああああああああっ!!!」

     ダダダダダダダッ!!!

北野「…………」

北野「……クスン」


     ドドドドドドドドッ!!

千冬「廊下を走るな! バカ者共が!」

     ゴスッ カン ボコ ゴン ゲン パコン

6人「いたたたた……」

千冬「まったく……どうしたと言うのだ?」

―――――――――――

千冬「…………空いた口がふさがらんな」

一夏「だけど千冬姉!」

     ゴン!

一夏「……織斑先生」

一夏「俺は、見たんだ!」


千冬「何をだ」

一夏「何をって……口じゃ上手く説明できないけど」

一夏「この世にある、すべての恐怖を凝縮した何か、としか!」

千冬「なんだそれは……」

鈴「ほほほ、本当なんです!」 ガタガタガタ…

箒「おおお、思い出すだけでもっ、い、い、嫌な汗がっ!」 ガタガタガタ…

セシリア「わたくし……怖いものなど存在しないと思っておりましたが……」

セシリア「考えを改めましたわ!」 ガタガタガタ…

シャル「……うっうっうっ……グスン」 ガタガタガタ…

ラウラ「本当に……おぞましい、『何か』でした……!」 ガタガタガタ…

千冬「…………」 ハア…


千冬「少し落ち着け、お前達……」

一同「…………」

千冬「いずれ話すつもりだったが……」

千冬「北野は前の学校で非常に優秀な生徒だったのだぞ?」

一同「……………………」

一同「……は?」

千冬「その辺の下調べくらいはしてある」

千冬(まあ私も最初、一夏達と同じ判断をしたのが、北野を調べるキッカケとなったのだが)

一同「…………」

千冬「成績は優秀だし、服装や風紀の乱れも全くなかったし」

千冬「きちんと挨拶もするし、遅刻もしない、模範的な生徒だった」

一同「…………」


一夏「……信じられねぇ」

千冬「まあ……怒らせると怖い一面があるようだ」

セシリア「ど、どの様な事が……?」

千冬「売られたケンカを買うような奴では無い様だが……」

千冬「あまりにしつこく つきまとった奴がいてな」

シャル「……ゴクッ」

千冬「とうとう北野の逆鱗に触れて、奴の頭髪が一斉に逆立ったそうだ」

千冬「まさに『怒髪天を突く』だな……」

ラウラ「そ、それで!? 相手は、どうなったのですか!?」

千冬「ケンカにはならなかったそうだが……戦意喪失の度合いが酷く」

千冬「気合だけで相手を打ちのめした、という伝説を作っている」

一夏(化物じゃねぇかよ……!)


鈴「そ、それで!? ほ、他には!?」

千冬「そうだな。 後は……」


キーン コーン カーン コーン


千冬「……おっと、ここまでだな」

千冬「お前達、早く教室に戻れ」

一同「……は、はい」

     ゾロゾロ…

千冬「…………」

千冬(まあ後は、プライベートな事でもあるし……)

千冬(話さなくてもいいだろう)

     スタ スタ スタ…


 ――午後――

 ――1組教室――



     シーン……

一夏(お、重い……)

箒(いつにも増して……)

セシリア(空気が重いですわ……!)

ラウラ(ぬう……! 気が抜けん!)

シャル(と、とにかく、授業に集中して、忘れよう!)


北野(さすがis学園……世界中から才女が集まってくる学校だ)

北野(僕も負けずに勉強しなくちゃ!)


 ――放課後――

 ――is学園寮・一夏の部屋――



一夏「」

千冬「何を驚いている……こうなる事くらい予測しろ」

北野「……き、今日から、よろしく。 織斑くん」 ニタァ…

一夏(ひ、ひいいいっ……!!)

     パタン……

一夏「…………」

北野「…………」

一夏「…………」

北野「…………」


一夏(……う、動けねえ)

北野(織斑先生と同じ苗字だけど……姉弟なのかな?)

一夏(何でくつろげるはずの自室で、こんなに緊張を強いられているんだ……)

北野(ずいぶんと無口だけど……やっぱり照れているのかな?)

一夏(ど、どうする!? 思い切って何か話しかけてみるか!?)

北野(そうだよね……いきなり知らない人間と同室になるんだもの)

北野(緊張するよね……)


一夏・北野「あ、あの……」

一夏・北野「!!」 ビクッ!

一夏・北野「…………」


一夏「え、えと、そちらからどうぞ」

北野「あ……うん」

北野「ええと、織斑くんは織斑先生と同じ苗字だけど……姉弟なのかな?」

一夏(いきなり俺の身辺調査!?)

一夏(だが千冬姉なら……さすがに遅れは取らないだろう。 正直に答えておくか)

一夏「ああ、そうなんだ」

北野「やっぱり。 でも……そうなると、ちょっとややこしいね」

一夏(不本意だが……ここは奴を油断させる意味を込めて)

一夏(あえてフレンドリーに行ってみるか……!)

一夏「そ、それなら、俺の事は『一夏』と呼んでくれて、いいよ」

北野「!!」

北野「い、いいの!?」

一夏「もちろん!」


北野(良かった……食堂では、何故か逃げられてしまったから)

北野(どうしようもなく嫌われたのかと思っちゃった……!) ホッ…

北野(この学校での唯一の男子生徒だし……本当に良かった)


北野「ありがとう、一夏くん!」 ニタァ…

一夏「ひっ……! い、いや、どうって事ないですよ……」

北野「僕の事も好きに呼んでくれていいよ?」

一夏「そ、そう? じゃ、じゃあ……北野……で、いいかな?」

北野「うん!」

     ハハハ……

一夏(うげぇ……虫唾が走るぜ……)


北野「えと……空いてるベッドはどっちかな?」

一夏「ああ……そっちの、窓際の方のベッド」

北野「ありがとう」

     スタ スタ スタ…

一夏「…………」

一夏(……俺の……安住の地は)

一夏(ベッドの上だけになってしまった……) シクシク…

というところで、今日は終了です。短くてすみません……。
後、エンジェル伝説の登場人物で 小磯良子(こいそ りょうこ) 白滝幾奶(しらたき いくの)の
一人称(私とかあたしとか)を知っている方、教えてください。
出来れば幾奶の”奶”の字の出し方、別の読み方なんかもお願いします。
今はウィキのコピペで無理やり出してます……。
それでは、また後日。

白滝は忘れたが良子の一人称は“私”

良子でるのかな?


 ――翌日の早朝――

 ――is学園・中庭付近――



     タッ タッ タッ…

北野「……ふう」

北野「それにしても広い学校だな……」

北野「でも、知らない所を散策しながらのジョギングは、本当に楽しいや♪」

北野「これだけは、歳をとっても止められない気がする」

     タッ タッ タッ…

北野「えーっと、これが第三アリーナ……こっちが教室棟……」

北野「あれは……ああ、is格納庫か……」


北野「…………」

北野「そういえば、突然だったな」

北野「碧空(へきくう)高校(前の学校)に調子の悪くなったisが不時着して」

北野「たまたま僕が触ってしまったら、起動してしまうなんて……」

北野「本来、女性にしか扱えないisなのに……」

北野(…………)

北野(……本当は、みんなと離れたくなかったな)

北野(男性のis適正者が貴重なのはわかるけど……ほとんど有無を言わせずだったし……)

北野(…………) グスッ…

北野(……!)

北野(いけない いけない……! こんな所、みんなには見せられないや) グイッ

北野「さあ、もう一回りしたら、寮に戻ろう!」

     タッ タッ タッ…


 ――is学園寮・北野と一夏の部屋――



     キィ……パタン

一夏「……ん?」

北野「あ……ごめん、起こしちゃった?」

一夏「! ……北野。 こんな朝早く、何を?」

北野「うん。 散策ついでに軽くジョギングを」

一夏「そうなのか……」

北野「じゃあ、ちょっとシャワーを浴びてくるね」

一夏「ああ……」

     パタン…

一夏「…………」

一夏(以外に健康に気を使う奴なのか……?)


 ――朝――

 ――1組教室――



ラウラ「それは本当か!? 嫁よ!?」

一夏「ああ。 本人がそう言ってたからな」

ラウラ「一夏……それはおそらく『偵察』だ」

一夏「偵察?」

ラウラ「そうだ」

ラウラ「戦いにおいて地形の情報は極めて重要だ」

ラウラ「何故なら、逃走経路や進入路など、戦局次第での有益な判断材料となる」

一夏「…………おい、それって」


ラウラ「……うむ、考えたくはないが」

ラウラ「破壊工作や戦闘に備えての情報収集の可能性がある」

一夏「……いくらなんでも考えすぎじゃ」

ラウラ「私もそう思いたいが……」

ラウラ「教官の情報収集すら完璧にクリーニング出来る様な奴なのだ……」

ラウラ「用心に越した事はない」

一夏「…………」

ラウラ「む……奴が来た」

ラウラ「ともかく気をつけておけ、一夏」

一夏「あ、ああ……」


北野「やあ、一夏くん」

一夏「お、おう」

北野「そうだ、良かったらでいいんだけど……」

北野「isの基礎理論で解らない所があって、教えて欲しいんだ」

北野「構わないかな?」

一夏「あ、ああ。 俺でいいのなら」

北野「良かった……」 ホッ…

北野「ええと、ここなんだけど……」

一夏「どれどれ……ああ、これは……」



ラウラ「…………」





 ――午前中――

 ――1組2組・合同実習授業――



一夏「……北野も専用機持ちなのか」

北野「あ、うん」

北野「日本政府が用意してくれた、特別製らしいんだ」

一夏「へえ……なんて名前?」

北野「大剣(おおつるぎ)だって」

北野「練習用is打鉄(うちがね)の発展型isの一つだとか……」

一夏「大剣(おおつるぎ)か……ちょっと言いにくいな」

北野「うん。 だから僕は『クレイモア』って呼んでるけどね」 クスッ

一夏「そっちの方がかっこいいな」


※注  北野の専用機について。

    打鉄(うちがね)の発展型is、と、ありますが、簪の打鉄弐式とは

    別系統の進化を遂げたisだと思ってください。

     外見は、旧ザクの様な丸みを帯びたショルダーが特徴的で

    銀色を主にしたカラーリングです。

     『クレイモア』を知っている人は、『組織』が用意する鎧の

    男バージョンみたいなのを想像していただければわかりやすいかと……。

     武装は、その名の通り、直剣の大剣クレイモアと、鈴の衝撃砲に似た

    『空間振動波』の二つのみです。 原理は二つとも同じですが

    鈴が弾丸として射出するのに対して、『面』で衝撃波を出す攻撃を行います。

    ただ、破壊力はあまり無く、至近距離で直撃を食らって、ようやくダメージがある程度です。


千冬「それでは、模擬戦を行ってもらう」

千冬「北野……早く慣れる意味でも、まずは貴様にやってもらおう」

北野「! は、はい……」

北野(模擬戦……戦うのは嫌だなぁ……)

千冬「それでは相手だが……」

ラウラ「教か……織斑先生!」

ラウラ「自分にやらせてください」

千冬「ボーデヴィッヒか……まあいいだろう」

千冬「それでは、北野、ボーデヴィッヒ、前へ」


北野「…………」 ズイッ

ラウラ「…………」 ズイッ

北野(うう……こ、怖いなぁ。 なんか、睨まれてるし……)

ラウラ(お前の実力……どの程度か、測らせてもらう!)

千冬「始め!」


ラウラ(先手必勝!)

ラウラ「キャノン砲!」 ドォンッ!!


北野「ひえっ!?」 ヒョイ!



セシリア「!?」

箒「大して動きもせずに……回避した!?」


ラウラ「ちっ……!」

ラウラ(ならば、ワイヤーブレードだ!) ヒュヒュヒュッ!


北野「うひぇ!!」 回避!回避!回避!


一夏「全部……避けた、だと!?」

シャル「待って! まだ!」


     シュルルル ガシッ!


北野「!!」


ラウラ「フッ……さすがに避け切れまい!」

ラウラ「とどめだ!!」 ドォンッ!!




     ガギィンッ!!



千冬「……!」

鈴「うそ……! 大剣(クレイモア)で弾いた!?」

千冬(信じられん……並外れた動体視力を持っていたとしても)

千冬(タイミングと角度を寸分の狂いもなく、当てなければならん……!)

千冬(まさに”神業”だ……!)


ラウラ「……ば、ばかな!?」

ラウラ(ならば……停止結界で動きを止め、直接攻撃を仕掛けるのみ!)

ラウラ「はああああああああっ!」 ギュンッ!


セシリア「ラウラさん、aicを使うつもりですわね……」

シャル「確かに……あれを知らない北野くんには、成す術が無いはず」

箒「勝負あったか……」


北野(ひいっ!? な、なんか向かってくる!?)

北野(どどどどど、どうしよう!?)

ラウラ「もらったぁっ!! 停止結」

北野「きえええええええええええええええええええっ!!」 ←テンパった

ラウラ「!?」 ビクンッ!


     ボフンッ……!!


ラウラ「!! しまった!!」



ラウラ(だが、いったい奴は何をしたんだ!?)

ラウラ(一瞬にして砂煙に包まれてしまった……!)


一夏「あ……!」

鈴「いつの間にか、ラウラの後ろに!?」

セシリア「しかも……大剣(クレイモア)を突きつけられてますわ……」

シャル「……信じられない」

箒「あのラウラが……、一方的に負けるなんて……」


北野「…………」

ラウラ「」

ラウラ(なんて……事だ……。 この私が……!)


千冬「よし、そこまでだ!」


北野「ふう……」

北野(良かった……女の子に武器を使わずに済んで……) ホッ…

ラウラ「…………」 ズーン……


千冬(あの一瞬……北野は奇声を張り上げ、ボーデヴィッヒをひるませた上で)

千冬(おそらく、空間振動波を地面に放った……)

千冬(結果、立ち上った砂煙が目くらましになり、その隙にボーデヴィッヒの背後へと回る……)

千冬(恐るべき戦闘センスだ……!)




 ――この結果は――

 ――北野を、より恐怖の対象として認識させるには――





 ――十分すぎる程だった――








 ――昼休み――

 ――食堂――



     シーン…

北野「…………」

北野(……食堂に来るのは止めた方がいいかも) クスン…

北野(友達になれたかな、と思った一夏くんにも、たぶん避けられてるし……)

北野(…………)

北野(明日から、お弁当を作ってこよう……うん)

北野(…………)


 ――屋上――



ラウラ「……すまない、みんな」

一夏「いや、謝らなくてもいいから」

ラウラ「しかし、私はあいつの実力を測るどころか、逆に……」

シャル「気にしないでよ、ラウラ。 いくつか解った事もあるんだし」

セシリア「そうですわ、ラウラさん」

箒「最後のあれは、おそらく、鈴の甲龍に搭載されている空間圧砲と同じ原理と見た」

鈴「あたしもそう思うわ。 でも龍砲と違って、『面』で発射されてるわね」

ラウラ「……なる程。 そういう事だったのか」


セシリア「それから、北野 誠一郎 自身の身体能力も恐ろしいですわ」

鈴「まずは動体視力ね」

鈴「ラウラの攻撃をことごとく、しかも最小限の動きで回避していたわ」

シャル「しかも砲弾を盾じゃなく、剣で弾いてた……」

箒「一つ間違えば自分に直撃するか、当たった瞬間に起爆するというのに……」

一夏「この中の誰もそんな真似できない……神業だ」

ラウラ「恐ろしい……教官に匹敵する実力かもしれん。 しかも……」



ラウラ「奴にとって、今日が初のisでの戦闘だというのに……」



一同「…………」


ラウラ「……ともかくだ、今は少しでも情報が欲しい」

ラウラ「そういう意味では、一夏が奴と同室なのは好都合だ」

鈴「頼りにしてるわよ、一夏!」

シャル「ごめんね、一夏……嫌な事押し付けて……」

セシリア「わたくし達も出来る限りサポートしますわ、一夏さん」

箒「手伝える事があれば、遠慮なく言ってくれ、一夏」

一夏「任せてくれ、みんな」

一夏「必ず、何か掴んでみせる!」


 ――夜――

 ――男子・大浴場――



一夏「さ、入ろうぜ! 北野!」

北野「う、うん……」


北野(ど……どういう事だろう?)

北野(何故か、お昼が終わってから一夏くんが凄く優しい……)

北野(嬉しいけど……ちょっと戸惑うなぁ……) ///


一夏(よし……かなり強引だったけど)

一夏(フレンドリーに接して、奴の警戒を解けた……たぶん)

一夏(まずは、裸の付き合いをして、情報をそれとなく聞き出すぞ!)


     ガラ ガラ……

一夏「ふ~、やっぱりいいな、この広々感!」

北野「でも、ちょっと贅沢すぎて気が引けちゃうね……」

一夏「はは、言えてるな」

一夏「さて、汗を流しますか!」

     ゴシ ゴシ ゴシ……

一夏「…………」 チラ チラ

北野「…………」

一夏「…………」 チラ チラ

北野「…………」 ///


北野「あ、あの、一夏くん」 ///

一夏「ん? 何だ?」

北野「気のせいなら謝るけど……さっきから僕の事、チラチラ見てない?」 ///

一夏「ああ、悪い。 筋骨隆々ってワケじゃないけど」

一夏「しまった、いい体してるなって思って」

北野「そ、そうかな……?」 ///


一夏(いや、実際かなり鍛えてる感じだ……)

一夏(そういや、ジョギングしてたって、今朝言ってたけど)

一夏(その成果、か……?)


     ザブン……

一夏「ふ~……」 ///

北野「んふ~……」 ///

一夏「…………」

北野「…………」

一夏「……ん?」

一夏「北野……」

北野「え? 何かな?」

一夏「よく見たら……北野の体、結構傷跡があるな……」

北野「あ……」


一夏「交通事故とか?」

北野「……ううん」

北野「僕は中学校まで、小さな街の中でずっと過ごしてきたんだけど……」

北野「街を出て、高校に入ってから」

北野「何故か、みんな僕を見て怯えるんだ……」

一夏(…………はい?)

北野「中には、悪魔め! とか言って、僕に殴りかかる人もいた……」

北野「そんな時に、ついた傷跡じゃないかな……?」

一夏(え~……?)

北野(……ホントは、良子ちゃん達に付けられた傷の方が多いかもしれないけど)

北野(内緒にしておこう……うん)


 ――is学園寮・北野と一夏の部屋――



一夏「あー、さっぱりした♪」

北野「そうだね♪」

北野「冷えたドリンクがあるけど……いるかな?」

一夏「おっ、助かる。 もらうよ」

     グビ グビ グビ……

一夏・北野「ぷはー!」

一夏「ありがとう、これ凄く美味いな」

北野「あ、うん。 友達に……えっと、前の学校のね?」

北野「作り方を教えてもらったんだ……」


北野「あ、写真あるけど……見る?」

一夏「友達のか? ああ、見る見る」

     スッ……

北野「ほら……このおさげの女の子。 この娘に教えてもらったんだ」

一夏「へえ……」

一夏(北野を中心にして……両隣は女の子……しかも両方共可愛いな)

一夏(だけどそれ以外は……明らかに不良の皆さんだな)

一夏(おまけに一人は金髪に染めてる? ……気合入ってるな)

一夏「結構可愛い娘だな。 もしかして彼女?」

北野「ふひぇ!?」 ///

北野「あ、いや……まあ……でも…………そうなりたいかな、とは思ってる」 ///

一夏「へえ~隅に置けないな♪」


北野「ちゃ、茶化さないでよ、一夏くん」 ///

一夏「ハハハ……」

北野「フフフ……」

北野「…………」

北野「みんな、どうしてるかな……」

一夏「…………」

北野「さ、そろそろ寝ないと……明日に響くからね」

一夏「ん? まだ早くないか?」

北野「い、いいんだ。 僕は先に休ませてもらうよ?」 グスッ…

一夏「! あ、ああ……」

北野「お休みなさい、一夏くん」

一夏「…………」

という所で終了です。
後、>>39さん、お礼が遅れてすみませんです。
自宅で漫画探したんですけど見つからなくて……ありがとうございました。

多分、幾乃も『私』だと思うので、そう使います。
最後に、『いくの』は『幾乃』にしときます……どうやっても普通に漢字が出ない……。

もう少し後ですが、二人共登場する予定です。

wikipediaからコピペして辞書登録すればいいじゃん

>>70
それも試したんだけど、ここ(深夜vip)に貼ると『幾奶』になっちゃうんだわ。
何故か奶の字がぶっとい線になっちゃう……。これ目立ってしょうがないんだ。

isはクレイモアか。…北野君を顔面覚醒者と言いたいのか?あ?

>>74
き、気のせいですよ。や、やだなぁ……。


 ――翌日の早朝――

 ――is学園寮・北野と一夏の部屋――



     ムクリ……

北野(さて……そろそろ起きないと)

北野(一夏くんを起こさない様に……と) ソロ ソロ…

北野(着替えて、洗面所に行って、髪を整えないと……)

北野(……我ながら、この凄まじい寝癖は治らないかなぁ……と思う) ハア…

北野(以前は、うっかりポマードを切らした事があったけど) スッ スッ

北野(ここは女の子ばかりの学校だし、身だしなみには気を配らないといけない)

北野(うん、ちゃんと買い置きは確保してる)

北野(3個以下になったら買い足しに行かなきゃ……)


 ――is学園・中庭付近――



北野「う~ん……」 セノビー

北野「やっぱり朝の空気は、気持ちいいな♪」

??「確かにそうだな」

北野「!?」

一夏「おはよう、北野」 ニコ

北野「一夏くん……ごめん、起こしちゃった?」

一夏「いや……せっかくだし、どんなトレーニングをしているのか見せてもらおうと思って」

北野「トレーニング? ……いや、僕は散策ついでにジョギングを」

一夏「それでもいいよ。 付き合わせてくれ」

北野「……わかった」


北野「ええと、一夏くんは普段、日課で走っていたりするの?」

一夏「いや」

北野「そう……じゃ、まずは体操から始めよう。 準備運動は大切だから」

     オイッチニ、サンシ……

北野「特に手首、足首は念入りに伸ばしてね」

一夏「おう」

     オイッチニ、サンシ……

北野「よし……こんなもんかな」

一夏「じゃあ、そろそろ行くか?」

北野「そうだね。 行こうか」

北野「でも今日は、歩く事にしよう」


一夏「どうしてだ?」

北野「こう言っちゃ何だけど……普段走っていない人が」

北野「急激にジョギングするのは良くないんだ……」

北野「だから、今日は歩き」

一夏(……警戒されてる?)

一夏「そうか……なんか気を使わせたかな?」

北野「ううん、構わないよ。 僕も時々サボったりする事があるから」

北野「気分次第で、歩きにしたりする事もあるんだ」

一夏「そうなのか」


     テク テク テク…

一夏「ふう……」

北野「どうだい? ただ『歩く』のも、結構運動になるだろう?」

一夏「うん……やっぱり、普段から鍛えておかないと」

一夏「体には負担になるんだな……」

一夏「でも、気持ちはいいな」 クス

北野「ふふ……それが大事な事なんだよ」

一夏「え?」

北野「なんて言うか……体を動かして『楽しい』って思う事」

北野「それが心にも、体にとっても、いい事だと思うんだ」

一夏「なるほど。 わかる気がする」


一夏「……ん?」

北野「どうしたの?」

一夏「いや、あれ……」

北野「……誰か居るね?」

一夏「同じクラスの布仏 本音さん。 俺達は、のほほんさん、なんて呼んでるけど」

北野「へえ……」

一夏「ちょっと声をかけてみよう……おーい! のほほんさーん!」

本音「わひゃ!? あわわ……」

     タッ タッ タッ

一夏「……逃げてった」

北野「……何をしていたんだろう?」


一夏「ただの草原だけど……何か探していた様な」

北野「……うん?」

北野「これは……?」つ(携帯電話)

一夏「ああ……それを探していたのか」

北野「でも逃げなくてもいいのに……」

一夏「後で返しておこう」

北野「…………」

北野「……そうだ!」

北野「一夏くん、ちょっと手伝って欲しんだけど……」

一夏「うん?」


―――――――――――




 ――朝――

 ――1組教室――



一夏「のほほんさん、おはよう」

本音「あ、おりむーだ~。 おはよ~」

一夏「これ……のほほんさんの……だろ?」 スッ…

本音「! あ~……あたしのケータイ」

本音「探してたんだ~、ありがとー、おりむー」 ニコ

一夏「いや……ホント言うと、見つけたのは北野なんだ」

本音「えっ!?」

一夏「でも……北野は、自分が渡すと きっと怖がらせてしまうから」

一夏「俺から渡してくれって……」

本音「…………」


一夏「ハハ……まあ口止めされてたんだけど……だから内緒な?」

本音「うん……」

一夏「それから、もう一つ、プレゼントがある」

本音「プレゼント~?」

一夏「それもアイデアは北野。 ケータイに挟んであるから」

一夏「じゃ……」

本音「うん」

本音「…………」 パカ(携帯オープン)

本音「あ!」

本音「四葉の~クローバーだ~♪」


 ――昼休み――

 ――is学園・中庭付近――



本音「…………」 キョロキョロ

本音「……あ!」

     トテ トテ トテ

本音「見つけた~」

一夏「あれ? のほほんさん? どうしたの?」

本音「えっとね~、きたのんに、お礼が言いたくて~」

一夏「北野に?」

北野「え……? きたのんって、僕の事なの?」


本音「ケータイとクローバー、ありがと~」 ニコ

北野「えっ!? いや、あの……」 アセアセ…

北野「い、一夏くん……」

一夏「悪い。 でも秘密にしとく事もないだろうと思って」 ニコ

本音「そうだよ~」

北野「で、でも……怖いでしょ? 僕は……」

本音「まあね~」

一夏「の、のほほんさん……」

本音「でも~、優しい人だってのは、わかったから~」 ニコ

一夏・北野「……!」

本音「一緒にお昼、していい~?」

一夏・北野「も、もちろん!」


     アハハ……

一夏「ところで、どうしてあんな場所で携帯を落としたの?」

本音「ううん、ホントはね~、四葉のクローバーを探してたの~」

本音「本日の占いで、今日のラッキーあいてむなんだ~」

一夏「は? どうして……っていうか、それなら逃げる必要ないんじゃない?」

本音「そうなんだけど~……なんか恥ずかしくなって思わず逃げちゃった~」 テへへ

北野「あ……じゃあ、もしかしたら携帯はその時に?」

本音「当たりー。 寮に戻って~着替えた時に気がついたんだけど~……」

本音「後で探しに行くつもりだったんだ~」

北野「そうだったの……それは悪い事しちゃったね」

本音「別にいいんだよ~、ていうか~声かけたのおりむーだし~」

一夏「す、すまん……」 ///


ラウラ「…………」

ラウラ「…………」 ピッピッ……ピッ…

ラウラ「…………」 プルルルルル……プルルルルル……

ラウラ「…………」 ガチャ

ラウラ「……私だ」

ラウラ「うむ……今、一夏達の様子を見ている」

ラウラ「その事について……可及的速やかに話し合いたい事案が出来た」

ラウラ「…………うむ」

ラウラ「非常に信じがたいのだが……」



ラウラ「一夏が……北野に懐柔されたかもしれない」





 ――放課後――

 ――is学園・どこかの個室――



セシリア「改めて確認しますが……事実なんですの?」

ラウラ「確証は持てないが……今度、本人に確かめてみるつもりだ」

鈴「……信じたくないわ」

ラウラ「まだある。 同じクラスの布仏も、奴の手に落ちている」

箒「……こう言っては失礼だが、あまり警戒心の無さそうな奴だからな」

ラウラ「ところで……シャルロットは?」

鈴「電話がかかってきて、遅れて来るって」

ラウラ「そうか……」


 ――屋上――



北野「ふう……今日は、久しぶりに充実した一日だった」

北野「これも一夏くんとのほほんさんのおかげだ……」

北野「僕も、彼らの助けになれるよう、努力をしないと……頑張らなきゃ!」

北野「……ん?」

北野(誰か来た)


シャル「……ですから、その件はもう……!」

シャル「お話する事なんてありません!」


北野「…………」

北野(どうやら、僕には気がついてないみたいだ……)


シャル「……デュノア社の将来?」

シャル「…………」

シャル「もう……ボクには関係のない事です」

シャル「ですので、今度転校してきた男性is適正者についても、協力できません」

シャル「…………」

シャル「!?」

シャル「……あなたは……! こんな時に……母の名前を出して……」

シャル「恥ずかしくないんですか!?」



北野「…………」


シャル「では切ります……もう二度と、かけて来ないで……!」

     ブッ…… ツー ツー

シャル「…………」

シャル「……はあ」

シャル「…………」

シャル「……死んじゃおうかな」 ボソ……



北野「!!!!」

北野「きえっ!! きえええええええええっ!!」
   (だめ!! そんなの絶対だめだよ!! )


シャル「ひえっ!?」 ビクンッ!!


シャル「き、北野、くん……!?」 ヒクッ…

     ドドドドドドドッ!!

北野「なにきええええええええええええっ! しんじゃらっちゃちゃきえええええええ!!」
   (何があったのかわからないけど! 死んじゃだめええええええええええ!!)


シャル「ひぃやああああああああああああああああああああああああああああっ!?!??」

     ダダダダダダダッ!!


北野(!? どうして逃げるの……はっ!?) ピタッ…

北野(…………)

北野(つい……無我夢中で……またやってしまった……!) ガックシ……



―――――――――――


シャル「はあっはあっはあっ……」

シャル「ふぅ――……」

シャル「…………」

シャル「いったい……何なの? もう……」

シャル「…………」

シャル「……!!」 ハッ!?

シャル(も、もしかして……)

シャル(聞かれた!?)

シャル(…………)

―――――――――――――――――――――――――――――――――
一夏「例えば、夜な夜な……女の子の部屋に忍び込んで、いやらしい事を……」
―――――――――――――――――――――――――――――――――

シャル「……ヒッ!!」 ガクブル……


シャル(……ど、どうしよう!?)

シャル(一夏は、親身になってくれたけど……北野くんは……)

シャル(脅しの材料に使うかも……!)

シャル「…………」

シャル「…………」

シャル「どう……しよう」

シャル「…………」 グスッ…


 ――夜――

 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



     ガチャ……パタン

シャル「……ただいま」

ラウラ「シャルロット?」

ラウラ「どうした? 何故、集合場所に来なかった?」

シャル「あ」

シャル「……ごめん。 すっかり忘れてた」

ラウラ「…………」

ラウラ「……何かあったのか?」

シャル「…………」


     コン コン

一夏「シャルー? 居るか?」

ラウラ・シャル「! 一夏!」

一夏「ちょっと話があるんだけど……入っていいか?」

シャル「……いいよ」

ラウラ「…………」

     ガチャ……

一夏「あ……ラウラも居るのか」

ラウラ「私が居ると不都合なのか?」

一夏「そういうわけじゃ……いや、あるか」

一夏「シャルにとって、プライベートな事だし……」


ラウラ「…………」

シャル「…………」

ラウラ「わかった。 私は席を外そう」

一夏「すまないな、ラウラ」

ラウラ「…………」

     テク テク テク… パタン

シャル「……で?」

シャル「ボクに話って?」

一夏「うーん……どこから話そうかな」

シャル「……?」

一夏「まず……北野の事は心配しなくていい」

シャル「!?」


シャル「どうして、それを……」

一夏「簡単だよ。 北野に聞いたから」

シャル「え……?」

一夏「信じてもらえないかもしれないけど……北野からシャルの事を相談されたんだ」

一夏「シャルの力になってやってくれって」

シャル「……!」

一夏「北野の話でデュノア社絡みの事なのは、すぐわかった」

一夏「……凄く心配してた。 あいつ……」

シャル「…………」


一夏「後、脅かしちゃってごめんって」

一夏「何でも焦ってしまうと、自分でもよくわからない奇声を上げてしまうんだって」

シャル「…………」

一夏「不思議か? 俺がこんな事言うの?」

シャル「……うん」

一夏「なんて言うか……あいつ中身は暖かい奴なんだよ」

一夏「顔が、もの凄く怖いだけで」 クス

シャル「…………」

一夏「北野に友達の写真、見せてもらった」

一夏「よっぽど仲が良かったみたいでな……懐かしそうだった」

一夏「ちょっと涙ぐんでたよ……」

シャル「…………」


シャル「……本当に信頼できる人なの?」

一夏「千冬姉も言ってたじゃないか」

一夏「前の学校で、模範的な生徒だったって」

一夏「顔が怖いだけなんだよ、北野は」

シャル「…………」

シャル「……ぷ」

シャル「あははは……!」

シャル「一夏、それ、フォローになってない気がするよ」

一夏「ま、まあな……でも事実だし。 だけど……」

シャル「でも?」

一夏「シャルが笑ったのを知ったら、きっと喜んでくれるよ」

     アハハ……


ラウラ(…………)

ラウラ(…………)

ラウラ(一夏め……)

ラウラ(まんまと北野に懐柔されたか……!)

ラウラ(……まずい)

ラウラ(これは非常にまずい……!)

ラウラ(何とかして奴の化けの皮を剥がさねば!)



―――――――――――




今日はここまでです。
読んでくれてる人、ありがとうございます。
それでは、また後日に。

白瀧幾乃さんの一人称は"私"で合ってるお
平山郁子や竹久優二は出てくるの?

楽しみだぉ(`・(エ)・´)

>>109
情報、サンクスです。


 ――翌日の早朝――

 ――is学園・中庭付近――



北野「」

本音「おはよ~きたのん」

シャル「あ、おはよう、北野くん」

北野「え!? あ、うん。 おはよう!」

北野(どういう事なの? 一夏くん?) ヒソヒソ…

一夏(いや……朝の散策が楽しいって話したら、二人も参加したいって……) ヒソヒソ…

一夏(邪魔だったか?) ヒソヒソ…

北野(い、いや、そんな事は……ちょっと驚いただけ) ヒソヒソ…


北野「そ、それじゃあ……二人共、ジョギングとかは日課にしてる?」

本音「ううん」

シャル「ボクもあんまり……」

北野「そう。 じゃあ昨日の一夏くんと同じコースだね」

本音「おおー! おりむーの通ったみちー!」

シャル「け、結構ハードなのかな?」

一夏「うんにゃ。 むしろ楽しい」 ニコ

シャル「そうなの?」

北野「じゃあ、まず準備運動から始めるね? 手首足首は、特に入念に伸ばして」

本音「ほーい」


―――――――――――




シャル「ふう……」

一夏「どうだ? ただ『歩く』だけでも結構、運動になるだろう?」

シャル「うん! ……つくづく運動不足だったんだな、って思う」

一夏「それについては、俺も人の事言えない……」

シャル「ふふっ、でも楽しいね。 こうやってお話しながら歩くのって」 ///

一夏「ああ、同感だな」

一夏「北野が言うには、『楽しい』って思う事も大事なんだってさ」

シャル「へえ~」

シャル(ボクは一夏と一緒なのが嬉しいな……) ///


北野「のほほんさん、大丈夫?」

本音「うん、全然へいき~」

本音「きたのんは~毎日走ってるんだよね~?」

北野「ううん。 雨の日とかはサボってる」 クス

本音「そうなんだ~」

北野「傘をさすのは面倒だし、雨で濡れて風邪でもひいたら本末転倒だしね」

本音「おおー。 なるほど~」

北野「ふふふ……」 ニタァ…

本音(……でもぉ、やっぱりお顔は怖い~。 だけど~そのギャップが楽しい~♪)

     アハハ……


セシリア「…………」 ヒョコ

箒「…………」 ヒョコ

ラウラ「…………」 ヒョコ

鈴「…………」 ヒョコ

セシリア「何ですの……? あの楽しそうな、お散歩は……」 イライラ…

箒「シャルロット……ちゃっかり一夏と並んで歩いて……うらやましい……」 悶々…

ラウラ「おい。 みんな、当初の目的を……」

鈴「シャルロットぉ……」 ワナワナ……

ラウラ「落ち着け、鈴」

ラウラ「これも恐らく北野の懐柔策の一環なのだ」


鈴「……けど、ラウラ」

箒「どう見ても……」

セシリア「楽しそうですわよ?」

ラウラ「懐柔策に落ちたのだから、当然の結果だ」

ラウラ「私が見せたかったのは、これ程までに短期間、かつ完璧に人心掌握をしてしまう」

ラウラ「北野の恐ろしさを知って欲しかった」

ラウラ「それだけだ」

鈴「…………」

箒「…………」

セシリア「…………」

ラウラ「さ、もう十分だろう? 戻るぞ」


―――――――――――




 ――数日後――

 ――1組・2組合同実習授業――



千冬「今日は、専用機持ちと、それ以外の者とで短時間の模擬戦を行い」

千冬「それぞれの練度を上げてもらう」

千冬「有利不利もまた鍛錬になる」

千冬「打鉄(うちがね)だからと言って最初から諦めず、工夫を凝らして戦う様に」

     ガヤ ガヤ…

北野「…………」 ポツーン

北野(うわぁ……。 一夏くんの人気はすごいなぁ……)

北野(…………)

北野(うん、いい動きだ……でも若干むらがあるな)


本音「きたのん~」

北野「あ、のほほんさん」

本音「相手、お願いしてもいい~?」

北野「え? 僕でいいの?」

本音「うん!」

北野「わかったよ、のほほんさん」

     トア~  キンッ! カァン!

鷹月「わ……布仏さん、勇気ある」

鷹月「…………」

鷹月「…………」

鷹月(なんだか、楽しそうね……?)


     ガキンッ!!

本音「わあっ!!」

北野「あっ、ご、ごめん。 のほほんさん」

本音「いーよー……ていうか~きたのんは、強いね~」 ニコ

北野「ううん……僕なんて、まだまだだよ」

本音「それにしても~あたしの攻撃、全然当たんなかった……」

北野「ああ、それはね、のほほんさんは、攻撃が正直すぎるんだ」

本音「そうかな~?」

北野「うん。 スジは悪くないと思うよ? もっとフェイントを入れたらいいんじゃないかと思う」

北野「例えば……」

本音「ふんふん」


鷹月「…………」

鷹月(なんだか、結構親切に話してる?)

鷹月(…………)


本音「おー! なるほど~! 確かに~避けにくいね~!」

北野「でしょ?」 フフフ


鷹月(…………)

鷹月(織斑くんは、とうぶん順番待ちだし)

鷹月(ひとつ……試してみるかな……)


鷹月「……あの、北野君」

北野「! あ、はい。 何かな?」


鷹月「私も、相手してもらえる……かな?」

北野「う、うん。 僕でいいのなら」

鷹月「よろしくね、北野君。 私は鷹月」

北野「こちらこそよろしく、鷹月さん。 北野です」

     ハアッ! ギィンッ! カキンッ!

千冬(…………)

千冬(ふむ)

千冬(どうやら、皆もだいぶ北野に慣れてきたようだな)


鷹月「くうー……やっぱり強いなぁ」

北野「そんな事無いよ」

北野「鷹月さんは、相手の出方を見極めようとする癖がある」

北野「だから、ほんの少し反応速度が遅くなってしまうんだ」

鷹月「えっ……」


北野「でも、悪い事じゃない」

北野「もっと経験を積めば、相手の行動予測を早め、弱点を見極めるのも容易くなると思う」

鷹月「そ、そうかな?」

北野「実際、僕の攻撃に探りを入れて、僕の防御の弱点を突いてきたじゃない」

北野「あれは焦ったよ」

鷹月「えへへ……」 ///

鷹月「よ、よーし、なんだかやる気が出てきた!」

鷹月「北野くん、もう一戦、いい?」

本音「む~、ちょっと待って~たかのん」

本音「次はあたし~!」


     アハハ……

ラウラ(ぬう……奴め、さらに懐柔者を増やすつもりか……!)

モブ美「ボーデヴィッヒさん? 次、いい?」

ラウラ「! あ、ああ」

ラウラ(くっ……! 今は授業に集中しなければ!)


一夏(お……北野、誰かの相手してるな) クス

シャル(ちょっと心配だったけど……打ち解け始めてるね。 良かった) フフッ


セシリア(……どう見ても、普通に授業を受けておりますわね)

箒(ここ数日、観察を続けてきたが……早寝、早起きの規則正しい生活)

鈴(顔以外は、非の打ち所のない健康優良児ね……)


セシリア(……それにしても問題なのは)

箒(……最近、特に感じるのは)

鈴(……どーしても、気になるのは)


一夏「シャル、すまないんだけど……」

シャル「うん、なぁに? 一夏?」



セシリア・箒・鈴(シャルロット(さん)と一夏(さん)の距離が、すっごく近い(ですわ)!!)



箒(正直……もう北野の事は、どうでもいい)

セシリア(というか、一夏さんに構ってもらえるなら、北野さんと仲良くなってもいいですわ……)

鈴(どーしてこう、いつもいつもシャルロットは、美味しい所を持っていくの……!?)


 ――昼休み――

 ――食堂――



一夏「へえ……俺にも勉強になるな、それ」

本音「うん! すっごく頭に~入るんだぁ~」

シャル「接近戦でのセオリーじゃ無いと思うんだけど?」

北野「それはそうなんだけど……長所を伸ばして短所を補えるんじゃないかな、と思って」

シャル「確かに、試合はケース・バイ・ケースだしね。 それもありかな?」

鷹月「あの~……」

北野「はい?」

鷹月「ここ……いいかな?」


本音「たかのん、うぇるかむ~」

一夏「どうぞ」

シャル「あ、じゃ、ちょっと詰めるね?」

鷹月「ありがとう、みんな」 ニコ

鷹月「ところで、北野君」

北野「え? う、うん?」

鷹月「さっきの授業、とっても為になった」

鷹月「良かったら……またレクチャーしてくれるかな?」

北野「えっ!? あ、うん……僕でいいのなら……」 ///

一夏・シャル(フフフ、良かった……)

本音「むー……」

本音(らいばる~出現~!!)


     アハハハ……

セシリア・箒・鈴「…………」

箒「……もう限界だ」

鈴「……気が合うわね。 あたしもよ」

セシリア「……わたくしもですわ」

     ガタタッ…

ラウラ「む? みんなどうした?」

箒「ラウラ……すまないが、もう付き合えない」

ラウラ「!?」

鈴「北野を信じるワケじゃないけど、それ以上に一夏と話がしたいの……」

ラウラ「ま、まて、みんな」

セシリア「こそこそと見ていないで……北野さんを見極めてみます。 ラウラさん」

ラウラ「…………」

     ゾロ ゾロ…


ラウラ(くっ……)

ラウラ(怪しさは十分なのに……決定的な証拠が全く出てこない……!)

ラウラ(心苦しいが……)

ラウラ(奴の尻尾を必ず捕まえて、皆に示す!)

ラウラ(その時までの辛抱だ!)

ラウラ(ラウラ・ボーデヴィッヒ……!)

ラウラ(今は……)

ラウラ(今は耐えるのだ!)


―――――――――――




 ――放課後――

 ――図書室――



北野「ええと……絶対防御?」

本音「そう~。 これがあるから~操縦者は、大丈夫なんだ~」

北野(すごい技術だなぁ……)

鷹月「で、isのコアが、ほとんどの制御系・バックアップを……」

北野「ふむふむ……」


一夏「……というわけでさ、間近で過ごしてみるとわかるんだけど……」

一夏「ホントにいい奴なんだよ」

セシリア「……そ、そうでしたの」

箒「……酷い事を言う様だが、まだ疑ってしまうな」

鈴「……外見で判断しちゃいけないとわかってても……程があるわよ」


シャル「ま、まあ……その辺は否定しないけど、ホントに優しい人なんだ」

シャル「朝のジョギング、いつもボク達の事を気遣ってくれるし」

一夏「身だしなみも相当気をつけてるぜ?」

一夏「北野本人が言うには、毎日相当酷い寝癖がつくらしいんだけど」

一夏「そんなの見た事も無いだろ?」

セシリア「……かえって怖くしている気もしますが、いつもオールバックで整えていますわね」

箒「ちなみに、どんな感じの寝癖なのだ?」

一夏「いや、俺も見た事が無い。 北野は『怖がらせると、いけないから』の一点張りだし……」

鈴「……食堂で見た、恐怖の笑顔以上があるって事?」 ゾゾ…

一夏「……か、考えたくないが、そうなのかもな……」


 ――夜――

 ――is学園寮・北野と一夏の部屋――



北野「やあ、一夏くん。 先にシャワーありがとう」

一夏「いや、別に礼を言われる事じゃないし」

一夏「それよりも、ちょっと困った事になった」

北野「え?」

一夏「朝のジョギングだけど……また何人か、やりたいって……」

北野「そうなの……。 あ、いや、僕は別に迷惑じゃないよ?」

一夏「そう言ってくれるのは、ありがたいけど」

一夏「さすがに5人以上で、ぞろぞろと歩くのは……北野も自分のペースで走りたいだろうし」


北野「ふふ、いいんだよ。 前にも言ったけど、僕自身も楽しんでやってるから」

北野「ジョギングが散歩になったって、一向に構わないよ」

一夏「……お前ってホントにいい奴だな」 クス

北野「えっ!? そ、そんな……」 ///

一夏「わかった。 せっかくだし、その行為に甘えておくよ」

一夏「でも、迷惑だな、と思う事があったら、遠慮なく言ってくれ」

北野「うん!」 ニタァ…

一夏「は、話は、それだけだから」

一夏(やっぱし、この笑顔は怖い……)

北野「じゃあ、そろそろ僕は休ませてもらうね?」

一夏「ああ、また明日な」

北野「うん。 お休み、一夏くん」


北野「…………」

北野(良子ちゃん……)

北野(君の言う通りだったよ)

北野(最初はギクシャクするけど、きっと僕を理解してくれる人が出てくる――)

北野(本当に、その通りになった……)

北野(こんなに嬉しい事は無いよ)

北野(…………)

北野(…………でも)

北野(ひとつだけ、わがままを言うのなら……)

北野(良子ちゃんに会いたい……)

北野(碧空(へきくう)のみんなに、会いたい……)

北野(…………)

北野(…………)zzz


 ――某・高速道路上・夜行バス内――



     ブロロロロロ……

??「…………」

??「北野くん、元気にしてるかな……」

??「大丈夫だろう、小磯良子」

??「ちょっとやそっとで、あいつはへこたれない」

良子「うん……そうなんだけど。 幾乃は心配じゃないの?」

幾乃「……お前とは、違う心配ならしている」

良子「違う心配?」

幾乃「愛人の私としては、2号、3号が出来ているのではないかと」

良子「ぶっ!!」 ///


良子「そ、そんなわけ無いじゃない! あの北野くんよ!?」 ///

幾乃「問題は北野が『is学園』という、ほぼ、女だらけの全寮制学校に居る、という事だ」

良子「…………」

幾乃「蓼喰う虫も好きずき、という、ことわざもある」

幾乃「ある程度は、覚悟をしておいた方がいいと思うのだが……」

良子「ま、まさか……北野くんに限って……そんな」

良子「…………」

良子(……だ、大丈夫よね? 北野くん……)

良子(…………)

良子(あ――もう! こんな事なら、事前に連絡入れておけば良かった!) ジタバタ

幾乃(……小磯良子は、何を悶絶しているのだ?)

     ブロロロロロ……


 ――is学園・シンボルタワー頂上――



ラウラ「…………」

ラウラ(おのれ……北野誠一郎……!)

ラウラ(貴様のせいで、私は孤立無援になった)

ラウラ(だが……)

ラウラ(必ずお前の尻尾を掴み、陰謀を阻止し)

ラウラ(is学園を守ってみせる!)

ラウラ(必ず……!)

という所で、本日の投下は終了です。
あと、小磯良子と白滝幾乃は>>2の記憶とウィキだけがたよりなので
少々違和感があるかもしれません……。あしからずです。


 ――翌日・休日の早朝――

 ――is学園・中庭付近――



北野「おはよう、鷹月さん、のほほんさん」

鷹月「おはよう、北野くん」

本音「きたのん、おはよう~」 ニコ

北野「じゃあ、そっちは任せていいかな? 一夏くん」

一夏「ああ、いいぜ」

一夏「まずは体操だ。 手首足首を念入りに伸ばす様にな」

セシリア「わかりましたわ、一夏さん」

鈴「…………」

シャル「……どうしたの? 鈴?」

鈴「な、何でも無いわ……」

鈴(朝……超弱いのよねー……) ネム…


鈴「……そういえば、箒は?」

シャル「箒は、剣道部の部活で朝練があるからパスだって」

シャル(相当参加したかったみたいだけどね……)

鈴「ふ~ん……」

一夏「ほらほら、鈴。 ちゃんと手首足首、伸ばして」

鈴「わ、わかってるわよ……」

セシリア「いち、にい、さん、し……」 グッ グッ

―――――――――――

一夏「ようし、そろそろ行くか」

鈴「うん!」 ←すっかり目が覚めた

セシリア「ふう、これだけでも結構な運動ですわね……」

鈴(そりゃそんな重たいもん、ぶら下げていたらね……)


     テク テク テク

セシリア「うーん……」 ノビー

鈴「ふう……」

一夏「どうだ?」

セシリア「朝の空気が、爽やかで……とても気持ちがいいですわ♪」

鈴「いつも見ている風景なのに、時間が違うってだけで新鮮に見えるわね♪」

シャル「ふふっ、気持ちいいでしょ?」

シャル「後ね……ここだけの話、ボクのウエストも少し減ったんだよ?」 ヒソヒソ

セシリア・鈴「!!!」

セシリア「そ、それを聞いただけでも、やる価値がありますわね……!」 ヒソヒソ

鈴「そして、一夏のおまけ付き……どんだけうらやましい事してたのよ……!」 ヒソヒソ


シャル「エへへ♪」

一夏「そういや、シャル」

シャル「ん? なぁに? 一夏」

一夏「ラウラは、どんな様子なんだ?」

シャル「あー……うん。 まだ、北野くんを悪の手先だと思ってる……」

一夏「……そうか」

一夏「今度は、俺からも誘ってみるよ」

シャル「うん。 お願いするね?」

セシリア(くっ……! 会話に入って行けませんわ……!)

鈴(シャルロット~!!)


一夏「そういや、セシリアと鈴、最近話す機会が少なかったけど」

一夏「どんな様子だったんだ?」

セシリア・鈴「!!!」 ///


セシリア「ええと、わ、わたくしは……」 ///

一夏「うんうん」


鈴「一夏、あたしはね……」 ///

一夏「ははっ! それはケッサクだな!」


セシリア・鈴「♪♪♪」 ///



シャル(ふふ……二人共、可愛いなぁ……)

シャル(でも、負けないけどね♪) クス


     テク テク テク

北野「どうかな? 鷹月さん?」

鷹月「うん! 空気は美味しいし、結構運動になるし、楽しい♪」

北野「それは何より」 クス

北野「のほほんさんは、だいぶ慣れたかい?」

本音「早起きも~辛くなくなったよ~きたのん♪」

北野「そう。 それは良かった」 クス

鷹月「北野くんは、前の学校でも朝、走ってたの?」

北野「うん。 でも気分で歩いたりもしてたよ? 楽しむ事が目的だったし」

本音「あと、雨天中止~」

鷹月「アハハ、確かに雨の日は楽しくないね」


鷹月「じゃあ、雨の日は何をしてるの?」

北野「部屋の中でストレッチして、読書かな?」

本音「おお~勉強家~」

鷹月「真面目ねー」

北野「のほほんさんと鷹月さんは?」

鷹月「雨の日? う~ん、予習とか復習とか?」

本音「あたしは~ネットしながら~げーむしてる~」

鷹月「あ、私もネットはしてるかな?」

北野「インターネットかぁ……僕はそういうの疎いんだ。 テレビもあまり見ないし」

鷹月「へえ? 今時珍しいね?」

本音「じゃあ~あたしが教えてあげる~」

北野「え? でも僕、pc持ってないし……」


鷹月「学園寮、備え付けのなら部屋にあるでしょ?」

北野「ああ、あれってネットにも繋がってるのか……」

本音「でもぉ~学園のふぃるたーにかかっているから~」

本音「えっちぃのは、見れないんだよ~」

北野「み、見ないよ……」 ///

鷹月(ウフフ、顔真っ赤にして、意外と可愛いわね)

本音「きたのん、顔まっか~」 くすくす

北野「か、からかわないで……」 ///

鷹月「♪」

本音「♪」


―――――――――――




 ――午前中――

 ――is学園・校門付近――



幾乃「着いたな」

良子「ふう……遠かったね」

幾乃「では行くか」 スタ スタ スタ

良子「!? ちょ、ちょっと待って、幾乃!」


守衛「! こらこら、君達! 許可なく入っちゃいかん!」


良子「ほら……怒られた」

幾乃「…………」


守衛「まず、身分証の提示と、目的」

守衛「それから学園に居る、誰かに会いに来たのなら、その人を呼び出しますので」

良子「あ……そうなんですか」

幾乃「…………」

良子「残念。 いきなり行って、北野くんをサプライズさせようと思ったけど……」

良子「諦めよう、幾乃……」

幾乃「……ふむ」

幾乃「守衛さん、ひとつ相談があるのだが」

守衛「相談?」

幾乃「身体検査を受けるから、ここは見逃してくれないか?」

守衛・良子「はあ!?」


幾乃「どうだ? ピチピチの15才、乙女の体を合法的にさわれるが?」

良子「あ、あんた、何言ってるのよ!?」 ///

良子「そんな事、通るわけg」 ///

守衛「……そ、そういう事なら」 ///デヘヘ…

良子「」

良子(ま、まさかの乗り気!?) ///

幾乃「うむ。 物分りが良くて助かるな」

幾乃「では、さっさと済ませてくれ」 スッ…

守衛「そ、それじゃあ……」 ///グフフ…

良子(ちょちょちょ、ちょっと……!!) ///


     バキッ!!




守衛「」 チーン…

良子「」

幾乃「……ふう」 パンパンッ(手を払っている)

幾乃「どうした? 小磯良子?」

良子「あ、あ、あ、あんた、何やったのか、わかってるの!?」

幾乃「正当防衛だ。 セクハラを受けそうになった」

良子「幾乃が誘惑したんじゃない!!」

幾乃「人聞きの悪い事を言うな。 だが、これで我々の目的は達成できる」

良子「だ、だからって……」

守衛「」 チーン…

良子「…………」

良子(ごめんなさい……守衛さん。 後でいっぱい謝ります……!!)

幾乃「行くぞ、小磯良子」

良子「わ、わかったわ……」

     タッ タッ タッ…


幾乃「ふう……」

良子「はあ……」

幾乃「うーむ……やはりこの碧空(へきくう)の制服は目立つな」

良子「当然でしょ……」

良子「というか、どうして私までこんな事に……」 シクシク

幾乃「む……ちょうどいい体格の女が近づいてきた」

良子「……ちょうどいい?」

良子「って、幾乃、まさか!?」

     ブオッ!!

幾乃「!!」

箒「!!?」


箒「何をする!?」

幾乃(あの不意打ちの初撃を回避された……どうやら出来る女の様だな)

良子(竹刀を持ってる……武道の心得があるんだわ)

箒「……見ない顔に、見ない制服。 何者だ、お前達?」

幾乃「……フッ!!」

     ブオッ!

箒「くっ……!」

箒(見た事もない徒手武術だが……相当の使い手!!)

箒(だが……!)

     バッ! シュバッ!

幾乃「!!」 回避!

良子「やる……! あの娘も、かなり剣術を使えるわ!」


箒「はあっ!!」

     ブンッ! ヒュンッ!!

幾乃「くっ……!!」

幾乃(どうやら、厄介な相手を獲物にしてしまったようだな……!)

幾乃「だが……!」 ダッ!

箒「!?」

箒(どういう事だ!? 腹をがら空きにして向かってくる!!)

箒「胴!!」

     バシィッ!!

幾乃「かはっ!」

良子「幾乃!!」


箒「あっけない幕切れ……!?」

幾乃「……ふっ!」 ヒュゴッ!

     ドスンッ!!

箒「がはっ!?」

     ドサッ……

箒「」

幾乃「ふう……」

良子「大丈夫!? 幾乃!」

幾乃「もちろんだ」

幾乃「竹刀は痛いが……致命的なダメージには、なりにくいからな」

良子「この娘は、道場の試合しか経験してないんでしょうね……」

幾乃「さ、服をいただくぞ」

良子「ほ……ホントにやるの?」


     シュル シュル……

幾乃「…………」

良子「…………」

     シュル シュル……

幾乃「大きいな……」

良子「何食べたら、こんなふうになれるんだろう……」

幾乃「機会があれば、ぜひ聞きたい所だな」

良子「……多分無いでしょうね」

幾乃「さて……サイズ的に小磯良子の方があってるな」

良子「……私かー……」

     シュル シュル……


幾乃「ふむ。 なかなか似合うな」

良子「予想してたけど、胸、すっごく余る……」 シクシク…

良子「おまけにこの制服、どうしてこんなにスカートの丈が短いの……」 ///

幾乃「階段で下から覗いたら見えそうだな」

良子「聞きたくなーい!」 ///

幾乃「さて、死体……じゃなくて、気絶したこの女をどこかに隠さねば……」

良子「さらっと恐ろしい事言わないで……」 シクシク…

幾乃「む? ちょうどいい具合に掃除用具入れがあるな」

幾乃「あそこに入れておこう」

良子「ごめんなさい……ホントにごめんなさい。 後でたくさん謝ります……」 シクシク…


―――――――――――




 ――is学園・中庭付近――



一夏「ふう……! 今日は休日だから、いつもより長く歩いちゃったな」

シャル「二人共、大丈夫?」

鈴「だ、大丈夫よ!」

セシリア「そ、その通りですわ!」

鈴・セシリア(正直……少し辛い(ですわ)……)

一夏「じゃあ、最後に軽く体操しておしまいな」

シャル「あ、一夏。 ボク、スポーツドリンク持って来ようか?」

一夏「ああ、そうだな。 頼めるか? シャル?」

シャル「うん! じゃあ、ちょっと待っててね」

     タッ タッ タッ…


 ――is学園寮・ロビー付近――



幾乃「む……またもちょうどいい具合に、女がひとり近づいてきた」

良子「……またやるの?」

幾乃「今度は良子も手伝ってくれ」

良子「え……今度は私が!?」

幾乃「違う」

幾乃「引き止めるだけでいい。 後は私がやる」

良子「わ、わかったわ……」

良子(どんどん深みにハマっていく……) シクシク…

     タッ タッ タッ…

良子「あのー、すみません」


シャル「ん? ボクに何か用?」

良子(わ……外国の女の子だ……)

良子「え、えと、先生が……」

シャル「先生? 織斑先生の事?」

良子「は、はい。 その先生が――」

     ヒュッ   ガスッ!

     ドサッ…

シャル「」

幾乃「今度は簡単だったな」

良子「うん……いいなぁ。 ジャージだ」

幾乃「それでは脱がすとするか」


     シュル シュル……

幾乃「…………」

良子「…………」

     シュル シュル……

良子「……この娘も、大きいね」

幾乃「外国産は大きいものだ」

良子「そういうものかなぁ……」

幾乃「そういう事にしておかないと、悲しくなるぞ」

良子「さっきの娘は日本人ぽかったし、もう十分悲しいよ……」 シクシク…

幾乃「さて、着替えるか」

     シュル シュル……

幾乃「……少々汗ばんでいるな」

良子「贅沢言わないの……もうこうなったら、早く北野くんに会って、さっさと帰ろう」


 ――is学園・中庭付近――



一夏「…………」

セシリア「…………」

鈴「…………」

一夏「遅いな?」

セシリア「そうですわね……?」

鈴「お手洗い……にしてもかかりすぎだわ」

一夏「…………」

一夏「しょうがない。 こっちから迎えに行くか」

セシリア「そうですわね」

鈴「どうしたのかしら? シャルロット……」


 ――職員室――



山田「織斑先生!」

千冬「? どうかしましたか? 山田先生」

山田「それが……校門の守衛さんが、のされたようです」

千冬「?」

千冬「誰にやられたんだ?」

山田「信じられませんけど……高校生くらいの女の子二人だと言ってます」

千冬「……は?」

山田「ひとりは黒髪のおさげで、もう一人は茶髪のおかっぱ頭だと……」

千冬「…………」

千冬「ともかく、現場に向かおう」


 ――廊下――



一夏「あ、千冬姉!」

千冬「織斑先生と……まあいい」

千冬「それよりもお前達、今、妙な事が起こってる」

千冬「自室で待機を……」

一夏「!? 妙な事!? いや、千冬姉」

一夏「実は、シャルが居なくなったんだ」

千冬「何……!? 姿が見えなくなってどれくらいだ?」

一夏「30~40分くらいだと思う」

一夏「関係ないといいんだが……今、探してるところだ」

千冬「…………」


千冬「山田先生……これはもしかしたら憂慮すべき事態かもしれない」

山田「! わかりました。 レベルcの警戒態勢を敷きます!」

千冬「うむ、頼みます」

千冬「一夏、お前達、専用機持ちにも手伝ってもらう」

千冬「まず、行方不明者の捜索に当たってくれ」

千冬「万一に備えて、isの起動も許可する」

一夏「わかった!」

一夏「……ところで、何に備えるんだ?」

千冬「黒髪のおさげと茶髪のおかっぱ頭をした、女子高生だ」

一夏「…………」

一夏「……はい?」


 ――is学園・中庭付近――



     ガヤガヤ…

北野「……?」

北野「何だか騒がしいね?」

本音「ど~したのかな~……」

鷹月「あ! 織斑くん!」

一夏「お! 北野達か!」

北野「何かあったのかい?」

一夏「それが……俺にもよくわからん」

一夏「シャルが居なくなったんで探してたら、今、千冬姉に」

一夏「黒髪のおさげと茶髪のおかっぱ頭をした、女子高生に気をつけろって言われたんだ」


北野「…………」

北野(……あれ? 今、思い切り、聞き覚えのある特徴を聞いた様な……)

     タッ タッ タッ

鈴「一夏ー!」

一夏「鈴! どうした? シャルを見つけたのか?」

鈴「それが、シャルロットを探してたら、箒を見つけたのよ!」

一夏「……は?」

鈴「なんか、よくわからないけど……」

鈴「当身を食らわされて、掃除用具箱に押し込められたみたい」

一夏「はあ!? 箒は剣道の有段者だぞ!?」

鈴「あたしは事実を言ってるだけよ!」

一夏「……つー事は、相当腕の立つ女子高生が箒をkoしたって事か……?」


北野「…………」

北野(……まさか)

北野(まさか、まさか、まさか)

北野(ま  さ  か) ダラダラ……

本音「きたのん?」

北野「!」 ビクッ!

本音「どうしたの~?」

北野「な、なんでもないよ、うん」

一夏「ともかく、女子高生にしろ何にしろ、危険人物が紛れ込んでいるのは間違いない」

一夏「俺はこのまま、シャルを探す。 北野は二人を部屋まで送ってやってくれ」

北野「う、うん。 わかった!」


本音「おー……何だか緊張感~」

鷹月「へ、変質者、かな?」

北野「…………」

北野「と、とにかく、二人とも、部屋まで送るから」

本音「きたのん、頼りにしてるから~」

鷹月「お願いね、北野くん!」

北野「うん! 任せて!」

北野「…………」



―――――――――――





 ――is学園寮・女子トイレ個室――



校内放送「全学園生徒へ緊急連絡」

校内放送「現在、不審人物が学園内に侵入した恐れがあります」

校内放送「全学園生徒は、速やかに自室に戻り、待機してください」

校内放送「繰り返します……」


幾乃「……動きにくくなったな」

良子「元はといえば、幾乃のせいでしょ!?」

良子「どうするのよ!? 北野くんに会いに来ただけなのに……」

良子「リアルメタ○ギアする事になるなんてー!」 ウルウル…


幾乃「落ち着け、小磯良子」

幾乃「幸い我々の顔は、まだ知られていない」

幾乃「だが、私の髪型は簡単に変えられん……現状で動けるのはお前だけだ」

良子「…………は?」

幾乃「まず、北野の部屋を探し当て、北野に助力を仰ぐのだ」

良子「いやいやいや! もう投降しようよ!?」

幾乃「だがそれだと、北野に会えないまま追い出される可能性が高い」

良子「…………!」

幾乃「それでもいいのか?」

良子「だ、誰のせいで……」

幾乃「…………」 ジッ

良子「…………」

良子「……わかった」


 ――is学園・特別対策室――



千冬「……よくわからないな」

山田「え? 何が、ですか?」

千冬「犯人の目的だ」

千冬「先ほど見つかった篠ノ之は、服を奪われていたが、isは無事だった」

千冬「どの国も欲しがるであろう、第四世代のisだ」

山田「……男性適性者の身柄を確保する事では?」

千冬「それもだが、いきなり守衛を叩きのめす理屈がわからん」

千冬「私ならニセの身分証なり証明書なりを用意して」

千冬「侵入は穏便に済ませてから行動を起こす」

山田「……確かに妙ですね」


千冬「ともかく、服の事といい 守衛の事といい」

千冬「行き当たりばったりに行動している様にしか思えん」

山田「そういえば、目撃情報が女子高生というのも変ですね……」

千冬「外見はなんとでも出来るが……目的がわからないと対処しにくいな」

山田「学園の重要施設は、すでに防御体制を敷いてますが……」

千冬「ふむ……」

千冬「ともかく、陽動の可能性もある」

千冬「うかつには動けないな……」

山田「歯がゆいですね……」


 ――is学園寮・廊下――



     タッ タッ タッ

良子(とりあえず髪型を変えて……怪しまれては、いない様だけど)

良子(自室待機の指示が出てるから、ほとんど人に会わない……)

良子(どうやって北野くんの部屋を探せばいいの……?) クスン…

???「おい」

良子「ひいっ!?」 ビクン!

ラウラ「お前、そこで何をしている?」

ラウラ「待機指示が出ているのだ。 早く自室に戻れ」

良子「ご、ごめんなさい……」


良子(あれ……? 眼帯して、キツい顔立ちだけど、小さくて可愛い娘ね)

良子(それに綺麗な銀髪……この娘も外国人だわ)


良子「……あ」

良子「あの、北野くんの部屋ってどこですか?」

ラウラ「……? 北野に何の用だ?」

良子「そ、それが……先生に北野くんに直接言うよう、頼まれた事があるの」

良子「でも私、クラスが違うし、部屋の場所を知らなくて……」

ラウラ「…………」

ラウラ「1025号室だ」

良子「え!?」

ラウラ「1025号室が、北野の部屋だ。 もう一人の男性適性者と同室になってる」

良子「1025号室ね! ありがとう!」


     タッ タッ タッ

ラウラ「…………」

―――――――――――

良子「1021……1022……1023……」

良子「あった!」

     コン コン

良子「北野くん……北野くん……!」

北野「はーい?」

     ガチャ……

良子「」

北野「」


北野「良子ちゃん!?」

良子「き……北野……くん」 ジワッ……

良子「よ、良かった……やっと……やっと、会えたよう……」 ポロポロ……

北野「!? ……と、とにかく、中へ!」

良子「うん……」

     パタン……

ラウラ「…………」

ラウラ「…………」 ニヤリ…

ラウラ「……ついに」

ラウラ「ついに、掴んだぞ! 奴の尻尾を!!」

ラウラ「ふふふ……!! シュバルツェア・レーゲン!!」 スウウウウウンッ!!


 ――北野と一夏の部屋――



良子「……というわけなの」

北野「」

良子「…………」

良子「……ごめんね、北野くん。 こんな事になって……」

北野「あー……うん。 でも……幾乃ちゃんらしいや」

良子「そうだけど……明らかにやりすぎだよ」

北野「……その辺も否定しないよ」 ハハハ……

北野「とにかく、幾乃ちゃんを迎えに行かないと」


良子「それなんだけど……もう、事情を話して謝った方がいいんじゃないかな?」

北野「……確かにそうだね」

北野「まあそうだとしても、三人一緒に謝りに行けばいいじゃない」

北野「幾乃ちゃんにも会いたいしね」 ニタァ…

良子「北野くん……」



     ドゴオッ!!



良子「きゃあっ!!」

北野「!! 良子ちゃん!! クレイモア!!」 スウウウウンッ!!


ラウラ「ククク……北野 誠一郎……」

ラウラ「侵入者をかくまって、何をしている?」


北野「!! ボ、ボーデヴィッヒさん……!」

北野「ちょっと待って! 話を聞い」

ラウラ「問答無用!!」

     ゴウッ!!

北野「うわぁっ!!」

良子「北野くん!!」



     ドガアアアアアアアアアアアアンッ!!





―――――――――――

一夏「うおっ!? 何だ!? 今の音!?」

鈴「寮棟の方から聞こえたわ!」

セシリア「行ってみましょう!」

―――――――――――

千冬「何事だ!?」

山田「寮棟で爆発があった模様です!」

千冬「くっ……! 最寄りの教師部隊、2チームを急行!」

千冬「まず、生徒の避難を優先するんだ!」

山田「わかりました!」

―――――――――――

幾乃「……何だ? 今の爆発音……」

幾乃「うーむ……どうしたものか」

―――――――――――


 ――is学園・中庭付近――



北野「話を聞いて!」

ラウラ「だまれ! さっさとその侵入者を渡せ!」



     ヒュオッ! ガァンッ!!



北野(くっ……! 良子ちゃんを抱えたままじゃ、思うように動けない……!)

良子「キャアアッ!!」

北野(ど、どうしたら!?)


良子「き、北野くん! もういい! もういいよ!」

北野「!!」

良子「早くあの娘に、私を引き渡して!」

良子「悪いのは100%こっちなんだから!」

北野「う、うん……」

北野「ボーデヴィッヒさん! 降参する! 降参するから、攻撃をやめて!」



     シュルルル ガシッ!



良子「あうっ!!」

北野「!!!!!」

ラウラ「……ふん。 少々拍子抜けだが……いいだろう」

ラウラ「貴様もisを解除し、投降の意思を示せ」

北野「…………っ」 ギリッ…





     北野誠一郎は、ひとつ忘れている事があった。




良子「だ、大丈夫、だか、ら……!」

一夏「! ラウラ!?」

ラウラ「一夏……。 見ろ、この侵入者を」

ラウラ「やはり、北野誠一郎はis学園に仇なす者だったのだ!」

一夏「え……」

ラウラ「こいつの身柄を拘束しておいてくれ」 スッ

一夏「あ、ああ……」

一夏(……あれ? この娘、どこかで……?)





     こころの動揺を抑えようとシャワーを浴び、突然の来客(良子)で

     慌てて雑にポマードを塗った事を。




ラウラ「さあ……」

     ……ビン!

ラウラ「さっさとisを待機状態に――」

     ビン! ビン!

ラウラ「し……ろ……?」

     ビン!ビン!ビン!

     ビビビビビッ!! ビビンッ!!




     ド  ン  ッ !!



ラウラ「」

一夏「」

鈴「」

セシリア「」

良子「」


北野「……クレイモア、待機状態へ」 スウウウウウンッ……

北野「これでいいかい?」

北野「ボーデヴィッヒさん……」 ギラァ……!

ラウラ「ひっ……!!」




     怒髪天を突く

     まさにぴったりの言葉だった。



ラウラ「ち、近づくな……!」 ガクブル……



     しかも、極度の緊張感は血圧を上げ、北野の全身の古傷と血管を浮かび上がらせ

     目は、凄まじいまでに血走り……さらに、プルプルと小刻みに体を震わせていた。



一夏(は……わわわ……) ガクブル……

セシリア(う、動けない、ですわ……) ガクブル……

鈴(う、動いたら、殺られるっ……!!) ガクブル……




     実際は北野の精神状態の方が、よっぽど恐怖を感じているのだが……。

     それに気付く者は、誰も居なかった。 あの、小磯良子でさえも……!



良子(き、北野、くん……だめ……! 怒っちゃ……怒りに身を任せちゃ、だめ!!)






     どう見ても、北野誠一郎は、極限にまで怒っている様にしか見えなかった……!!








ラウラ(ど、どうしてだ!? 奴は、無防備に立っているだけじゃないか!?)

ラウラ(わ、私は、isを展開して、有利な状況のはずなのに……!)

ラウラ(何故、奴は、私を恐れない!? 何故、そんな目で私を見る事が出来る!?)



     ラウラの心理状態もまた、肉食獣に追い詰められたウサギの様なモノだった。

     それ故に――



良子「北野くん!!」 ガスッ!!

一夏「うがっ!?」

ラウラ「!!?」




ラウラ「う、うわああああああああああああああああああああああ!!」 ジャキン!!



     反射的に北野に駆け寄る、小磯良子に照準をあわせ――



北野「!!!!!!!!!!」



     キャノン砲を発砲した。



良子「あ――」



     ドォォォォンッ!!!








北野「―――――――――――!」



     ドガァァァァァァンッ!!!



一夏「うわあっ!!」

鈴「きゃあ!!」

セシリア「ひぃっ!!」



ラウラ「あ……あ……」

ラウラ「わ……私は……なんて事を……!」

ラウラ「」




     爆炎の中に……何か居る。

     答えは解っている。 北野誠一郎だろう。

     何があったのか――

     そんな事は不明でも、そうだと直感できた。



一夏「き、北野……?」

セシリア「!? 北野さんのis……どことなく変化していませんこと?」

鈴「まさか……!?」


北野「…………」

     ピピピ……

     大剣(おおつるぎ) セカンドシフト

     高 速 風 切

良子「き、北野くん、ありがとう……」

北野「ううん……良子ちゃんが無事で良かった……」

良子「北野くん……」 ///

北野「さて……」 スッ…

良子「! 北野くん! もういいんだよ!」

北野「大丈夫。 攻撃するわけじゃないから」

     ヒュン

ラウラ「ひっ!!」

北野「ボーデヴィッヒさん……」

ラウラ「うわあああああああっ!!」 ヒュン!




     北野の顔は、幾分か穏やかになったが、髪の毛は逆だったままで

     さながら黒髪のスーパー○イヤ人と言える形相だった。



ラウラ「はあ、はあ、はあ……」

北野「ボーデヴィッヒさん」

ラウラ「!!?!?!?」

北野「話を……」

ラウラ「うわああああああっ!!」 ヒュン!



     その顔が、移動した後でも常に後ろにあるのだ。

     ラウラが、どれほど高速で逃げようとも、回避運動しようとも

     背後霊の様について回る北野。 恐怖以外の何物でも無かった……。





一夏「……すげぇ」

セシリア「どうやって、あんな機動を……!?」

鈴「解らないけど……それ以上に……」



一夏・セシリア・鈴(あの顔が後ろについて回る恐怖は、体験したくない(ですわ)……)



ラウラ「ひいいいいいいいっ!!」 ヒュン!

北野「ボーデヴィッヒさん」

ラウラ「ぎゃあああああああっ!!」 ヒュン!

北野「ボーデヴィッヒさん」

ラウラ「やだあああああああっ!!」 ヒュン!

北野「ボーデヴィッヒさん」


千冬「いつまでやっている、馬鹿者共」

     ゴン☆ ガン☆

ラウラ「き、教官……」

北野「織斑先生……」

千冬「isを待機状態にしろ」

ラウラ「は、はい……」 スウウウウウンッ……

北野「わかりました……」 スウウウウウンッ……

千冬「それから北野……髪を整えてこい」

千冬「その状態は、さすがに直視しづらい」

北野「……え」 わしや わしゃ

北野「」






北野「きえええええええええええええええええええええええっ!!!」
   (やっちゃったああああああああああああああああああっ!!!)




     ゴインッ☆





千冬「静かにせんか、馬鹿者」






―――――――――――


―――――――――――

良子「ホンッッッッ……トに、すみませんでした!!」

幾乃「でした」

千冬「…………」

千冬「……北野を驚かそうと突然会いに来たが」

千冬「守衛に邪魔されて……はあ……」

幾乃「女教師、小磯良子は悪くないのだ。 すべての原因は私にある」

幾乃「罪は全部、私がかぶろう」

千冬「そうはいかん。 これだけの騒ぎを起こして、はい、そうですか、では済まされん」

幾乃「そこをなんとか」

千冬「ダメだ」

幾乃「…………」

良子「…………」


千冬「……と、言いたい所だが」

幾乃「!」

良子「え?」

千冬「お前達は未成年だし……無実の北野にまで被害が及ぶ可能性がある」

千冬「学園寮の部屋を壊したのはボーデヴィッヒだし、北野は本当の意味でとばっちりを受ける」

幾乃「…………」

良子「…………」

千冬「幸い怪我人も出なかったし」

千冬「部屋の修理費は、ボーデヴィッヒ(ドイツ政府)が負担する事で折り合いがついた」

千冬「今回に限り、is学園内で偶発的に起きた『事故』として処理する」


良子「……!」

幾乃「感謝する、女教師」

千冬「ただし!」

良子「…………」

幾乃「…………」

千冬「守衛には非があるので要らないが……」

千冬「問答無用で叩きのめした二人には、必ず謝罪しろ」

千冬「案内は北野にしてもらえ……わかったな?」

良子「はい……」

幾乃「わかった、女教師」

千冬(他校の生徒だから言葉使いは大目に見てやるか……)

千冬「よし、行っていいぞ。 夕方までの滞在は許可する」


     ガラガラ……

北野「あ! 良子ちゃん! 幾乃ちゃん!」

良子「北野くん!」

幾乃「北野」

北野「お、織斑先生は、なんて!?」

良子「うん……とりあえず、お咎めは無しだけど……倒した二人には謝るようにって……」

幾乃「その二人の面会は、北野に案内してもらえと」

北野「そっか……どうなる事かと思ったけど……安心した」

北野「じゃあ、さっそく案内するね?」

良子「うん!」

幾乃「頼む」


良子「本当にごめんなさい!」 ペコリ

幾乃「悪かった。 謝罪する」 ペコ

良子「あんたは、もっと頭を下げなさい!!」 ぐいっ

幾乃「何をする小磯良子、あうっ……」

箒「…………」

シャル「…………」

北野「本当にごめん……僕からも謝るよ」 ペコリ

箒「……北野」

シャル「……北野くん」


箒「まあ……謝罪する、というなら、受け入れよう」

シャル「ちょっと、痛かったけどね……」

良子「ホントにごめんなさい!!」 ペコペコ

箒「もういい」 ニコ

シャル「うん、もういいから」 クス

幾乃「ほら、小磯良子、もういいと言っているぞ?」

良子「だから、あんたは、もっと謝りなさいって!!」 ぐいっ

幾乃「あうっ……」

箒(なんと言うか……)

シャル(ラウラみたいな娘なんだね……)



―――――――――――


 ――is学園寮・談話室――



北野「じゃあ、改めて紹介するね?」

北野「小磯良子ちゃんと 白滝幾乃ちゃん」

北野「二人は、ボクが以前居た碧空(へきくう)高校の友達なんだ」

良子「小磯良子です……今回は、本当にすみませんでした……」

幾乃「白滝幾乃だ。 よろしく」

一同「よろしくー」



ラウラ「北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い……」 ガクブル


セシリア「一時はどうなる事かと思いましたが、丸く収まって良かったですわ」

一夏「そうだな」 クス

鈴「それにしても隅に置けないじゃない」

シャル「北野くん、こんなに可愛いガールフレンドが二人も居たんだね」 ニコ

北野「う、うん」 ///

一夏「写真で見た事があったけど、実物の方がずっと可愛いな」

箒「一夏……」

一夏「か、感想を言っただけだ!」

幾乃「そういえば……聞いておきたい事がある」

箒「? 私にか?」

幾乃「その豊かな乳房は、どうやって得たのだ?」

箒「ぶふぉ!?」 ///

良子「い、幾乃!!」 ///


幾乃「小磯良子も疑問に思ってたじゃないか」

良子「男の子が居る今! 聞く事じゃないでしょ!?」 ///

良子「ご、ごめんなさい! えと……篠ノ之さん!!」 ///

良子「幾乃、ちょっとズレている所があって……!」 ///

箒「い、いや……大変だな、良子も……」 ///

シャル「ホントにね……」

鈴(それはともかく、秘訣があるのなら あたしも聞きたかった……)

一夏「で? 北野の本命はどっちなんだ?」 ヒソヒソ…

北野「え!?」 ///

一夏「やっぱり、良子ちゃんか?」 ヒソヒソ…

北野「い、いや、あの……」 ///アセアセ


     トテ トテ トテ

本音「きたのん~」 ギュ(腕組み)

北野「!? の、のほほんさん!?」

良子「」

幾乃「…………」

本音「お昼~一緒に食べよう~?」 ニコ!

良子「き、きき、北野、くん。 こ、こちらは?」 アワアワ

幾乃(恐れていた事が現実化したか……)

北野「え、えと……クラスメイトの布仏本音さん。 のほほんさんって、呼んでるけど……」

本音「よろしく~」

良子「よ、よろしく……小磯良子です」

幾乃「白滝幾乃だ」


鷹月「北野くん、そろそろお昼だけど一緒に……?」

良子「」

幾乃「……ほう」

北野「た、鷹月さん……」

幾乃「いや……驚いたぞ、北野」

幾乃「どちらかと言えば、奥手だと思っていた貴様が」

幾乃「私以外に二人も愛人を作っていたとは……」 フムフム

鷹月「」

一同「」

本音「愛人~?」


鷹月「……えと、どういう事、かな? 北野くん」 ゴゴゴ……

良子「うん……私も聞きたい」 ゴゴゴ……

北野「え? ええ!?」

本音「おお~……たかのんが、怖い~」

幾乃「愛人2号、余裕だな」

箒(なんだ、この……カオスな状況)

シャル(当事者じゃない修羅場って……ちょっとワクワクするなぁ)

セシリア(良子さん、ファイト! ですわ!)

鈴(面白~い♪)

一夏(……あいつも大変だな)



ラウラ「北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い……」 ガクブル


北野「え、えと、あの、その……ごめん!」 ダッ!!


鷹月「あっ! 逃げた! 待ってよ! 北野くん!」 ダッ!

良子「待ちなさい! 北野くん!」 ダッ!

本音「きたのん~、お昼~」 ダッ!

幾乃「待つんだ、良子に愛人2号3号」 ダッ!

     ドドドドドド……

一夏「……頑張れよ、北野……」

鈴「そういえばさ、一夏」

一夏「ん?」

鈴「あんた、今夜から、どこに泊まるの?」

一夏「あ……そういや、どうなるんだろ?」


鈴「決まってないのなら……あたしの部屋に来る?」 ///

箒・セシリア・シャル「!!!」

一夏「いや、そういうのは千冬姉が決めt」

セシリア「一夏さん! 是非、わたくしの部屋に!!」 ///

シャル「ううん、ボクの部屋に!」 ///

箒「間違いを起こさないためにも、ここは武術の心得のある私の部屋だろう!」 ///

鈴「ちょっと、後出ししないでよ! 一夏を最初に誘ったのはあたしなんだから!」 ///

一夏「いや、だから千冬姉g」

セシリア「わたくしですわ!」 ///

シャル「ボクの部屋!」 ///

箒「私だ!」 ///

鈴「あたしの部屋よ!」 ///


一夏「…………」

     ダッ!!

鈴「あ! 逃げた!」 ダッ!

箒「ええい! 一言、私の部屋にいきたい、と言えばいいだろう!! 一夏!」 ダッ!

セシリア「わたくしの部屋ですわ!」 ダッ!

シャル「ボクの部屋だよね!? 一夏!!」 ダッ!

ラウラ「北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い北野怖い……」 ガクブル




北野・一夏「わああああああああああああああっ!!」




     おしまい

という事で終わりです。なんか無理やり感否めませんけど
>>2の実力の限界です……。
後、竹久とかも出したかったんですけど、>>2の記憶があやふやだったのと
isの空気にマッチしにくかったので断念しました……。

でも自分もエンジェル伝説好きですので、書いてて楽しかったです!
最後に読んでくれた人、支援してくれた人、投下を待っててくれた人
ありがとうございました!

おもしろかったすよー
今更だけど幾乃はたしか誠一郎って呼んでた。

>>214
あちゃ……書いててなんか違和感が多少あったから、そんな気はしてた……。
やっぱ原作本見てないと色々忘れてるな……。
今だに行方不明です、エンジェル伝説。どこにやったんだか……。

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom