朝倉「……」(親指サイズ)
朝倉(失敗した……)ずーん
キョン「……朝倉?」
朝倉「キョン君!」
キョン「ホントに朝倉か!?まるで一寸法師……!?」
グサッ!
朝倉「やった!しっかり刺さった!これでキョン君は死んで涼宮ハルヒは……!」
キョン「いてて、画鋲が刺さったのか?ん?これナイフか?」
朝倉「……」
キョンの家
キョン妹「キョンくんおかえりー」
キョン「ただいま」
「モガガ…」
キョン妹「キョンくんなにか言った?」
キョン「最近腹話術にハマっててな、その練習だ」
キョン妹「キョンくんへんなのー」パタパタ
キョン「……」
キョンの部屋
キョン「……よし」
むんずっ
朝倉「もががーっ!」ジタバタ
朝倉「ンーッ!」ジタバタ
キョン「暴れるなって今テープ剥がしてやるから……ほら取れたぞ」
朝倉「ぷはーっ!何て事するのよ!?」
キョン「しょうがないだろ、自由に動けるようにしてたらまたさっきみたいにチクリと刺されるし」
キョン「胸ポケットに入れるにはそのチクリでさえも怖いだろ、心臓に近いんだから」
朝倉「だからってテープでぐるぐる巻きにしなくてもいいじゃない!」
キョン「悪かったって」
朝倉「それで、私をあなたの部屋に連れてきて何をしようって言うの?」
キョン「何もしないさ、ただあのままあそこにいたら危ないだろ?」
朝倉「ふ、そうね、私はあなたを殺して涼宮ハルヒの……」
キョン「いやお前の命が」
シャミセン「みゃー」
朝倉「!!!?」
朝倉「猫ぐらい私のナイフで……!」チャキンッ
キョン「やめとけ」ヒョイッ
朝倉「何するのキョン君!離してよ!」ブンブン
キョン「シャミセンを刺激するな、って、いてて、やめろ切れて痛いって」
キョン「シャミセン、悪いが妹と遊んでやっててくれないか」
シャミセン「みゃー」トコトコ
朝倉「……」ドキドキ
キョン「あのままあそこにいたら野良猫やらカラスやらで危なかっただろ?」
朝倉「別に低知能な有機生命体ごときで私が……」
キョン「シャミセーン、餌だぞー」
朝倉「いやあああああああ!!!」
キョン「やっぱ怖いんじゃないか」
朝倉「キョ、キョン君の馬鹿!」
キョン「で、何だってお前はそんな一寸法師になっちまったんだ?」
朝倉「今の私はバックアップを元に再構築された存在なんだけど何故このように縮小されているのかは私も分からないの」
キョン「パソコンって時々わけ分からん動作起こすしな」
朝倉「それとは少し違うんだけど……まあ細かい事はいいわ、それで、何の目的で私をここに連れてきたの?」
朝倉「私が縮小している事を良い事に殺す?」
キョン「お前はまだ俺を殺す気なのか?」
朝倉「当然、それが確実に情報変動を観測できる方法だもの」
キョン「……」
朝倉「……」
朝倉「あなたの立場から考えたら今すぐ私を破壊するのが最も安全な行動だけど」
キョン「……」
朝倉「……」
キョン「そうだなぁ……」スッ
朝倉「!!!」ビクッ
朝倉「……」
朝倉「?」
ひょいっ
朝倉「きゃっ!?」
朝倉(ああ、このまんま壁に叩きつけられるか踏み潰されるかして私は破壊されるのね)
朝倉(でもただでは破壊されるもんか、キョン君に少しでも痛い思いを……)
スッ
朝倉「え?」
キョン「悪いが少しの間そこにいてくれ」
朝倉「私を破壊しないの?」
キョン「気乗りがしない」
朝倉「分からないなぁ……有機生命体の考える事は……」
キョン「俺もだ」
朝倉「ところでここは一体何?土があるけど」
キョン「カブトムシのいた水槽だ」
朝倉「いやあああああああん!!!」
朝倉「私を油断させておいて!やっぱり破壊するんじゃない!それも虫によって!」
キョン「落ち着け、今はもういない、冬だぞ?」
朝倉「そ、そう……」
キョン「……」ポチポチ
朝倉「どこにかけるつもり?」
キョン「長門だ」
朝倉「!!!」
キョン「今から来てもらってお前の事を……ああやっぱりか」
朝倉「くっ!くっ!」ゴトゴト
キョン「ここから逃げ出そうとすると思ったよ、だからその水槽に入ってもらった」
朝倉「蓋が開かない!ロックされている!」ゴトゴト
キョン「カブトムシが逃げ出さないようにそうなってんだよ」
朝倉「くっ!」ゴトゴト
キョン「そう暴れるなよ、長門ならお前を元の大きさに戻せるかもしれないだろ」
朝倉「長門さんが私が復活した事を知ったら確実に私を破壊しにかかるわよ!」
キョン「確かにな、でも俺には長門に連絡する以外の行動が思いつかん」
朝倉「キョン君のおうちで二人仲良く暮らすっていう手もあるんじゃない?」
キョン「……」
朝倉「ね?ね?」キラキラ
キョン「却下だ、もしもし長門か?」
朝倉「ちくしょー!!!」ゴトゴト
キョン「もしもし?……あれ?妙だな、アンテナが1本だ」
キョン「いつもはちゃんと繋がるのに……部屋の外なら大丈夫かな?」スタスタ
朝倉「……」
ばたんっ
朝倉「……むふふ」ニヤリ
朝倉(この小ささでもそのぐらいの情報操作はできる、侮ったわねキョン君)
朝倉(さて、この隙にここから脱出を……)ゴトゴト
朝倉「むむむ……駄目ね……何かこじ開ける道具が無いと……あら?あそこによさげな棒が」
朝倉「よいしょっ」ズボッ
朝倉「……」
朝倉「カブトムシのツノー!!!?」がびーん
朝倉「な、何でそんなものがここに!?……はっ!」
もわんもわん
キョン『カブトムシのいた水槽だ』
もわんもわん
朝倉(今私が持っているツノはかつてここに住んでいた有機生命体の……)
朝倉(このツノが墓標を意味しているとすれば、この敷き詰められた土の中には……)
朝倉「……」
朝倉「いやああああああ!!!」ゴトゴト
キョン「じゃあ待ってるぞ長門」ピッ
キョン(すぐ来てくれるみたいだ、良かった……ん?)
『~~~~!』
キョン(このかすかに聞こえる声は朝倉か?)
ガチャッ
キョン「おい、あんまり騒ぐと妹に……」
朝倉「出して―!出してキョンくーん!」ガンガン
キョン「手に何持って……ああ、次郎か、そういやそこに埋まっていたんだったな、忘れてた」
朝倉「出してー!こわいー!こわい出してー!」ガンガン
キョン「それは駄目だ、お前逃げるだろ、絶対」
朝倉「テープでぐるぐる巻きにしてもいいからここからは出してー!」ガンガン
キョン「そんなに怖かったか、すまなかったな」ヒョイッ
朝倉「ていっ!」プスッ
キョン「いてっ!」
朝倉(よし!今のうちに……って!?)ヒュルルル…
朝倉「へぶしっ!」ビタンッ!
キョン「おいおい大丈夫か?床に激突したけど」ムンズッ
朝倉「平気、情報操作で体を頑丈にしたから……って、どこ触ってるのよ!?」
キョン「仕方ないだろ、両腕を封じてなきゃまた刺すだろお前は」
朝倉「苦しい!離して!」ジタバタ
キョン「何か入れておけるものは……お、これでいいか」
朝倉「……」
キョン「よし」
朝倉(金魚鉢ーーー!!!?)がびーん
キョン「じゃ、俺は指を消毒してくるから大人しくしててくれよ」
朝倉(屈辱だわ……こんな……こんな……)ワナワナ
ばたんっ
朝倉「……」
朝倉(今のうちに……)ツルッ
朝倉「……」
朝倉「……」ツルツルッ
朝倉(滑って登れーなーいー!)がびーん
朝倉「(ジャンプすれば!)とうっ!」ダッ
びたーんっ!
朝倉「……」ツツー…
朝倉「こんな所からも脱出できないなんて!でも負けない!」
朝倉「絶対ここから脱出してキョン君を……」
ガチャッ
朝倉(あら、早く帰ってきちゃった)
シャミセン「みゃー」
朝倉「!!!?」
朝倉(ど、どうやって猫がドアノブを押して!?)
シャミセン「みゃー」
朝倉(いけない動いちゃ!ここは人形の振りをして……)ピタッ
シャミセン「……」
朝倉「……」
シャミセン「……」
シャミセン「みゃー」ゴソゴソ
朝倉「いやああああああ!!!」
シャミセン「みゃー」ゴソゴソ
朝倉「いやああああ!!!やめてええええ!!!」
シャミセン「みゃー」
朝倉(大丈夫!金魚鉢の隅の方を逃げ回れば捕らえられはしない!)
ゴトンッ
朝倉「金魚鉢ごと倒されたああああああ!!!」
シャミセン「みゃー」
ぱくっ
朝倉「いやああああああ!!!」
朝倉「やめてえええ!!!食べないでええええ!!!」
朝倉「美味しくない!!!栄養価そんなに高くないからああああ!!!」
シャミセン「みゃ」ポイッ
朝倉「ひぐっ!」ドタッ
朝倉(え?食べないの?)
シャミセン「……」
朝倉(猫ちゃん……ひょっとして私を助け……)
シャミセン「みゃー」ゲシゲシ
朝倉「おもちゃにされてるぅー!!!」
シャミセン「みゃー」ゲシゲシ
朝倉「あぅぅ……」
朝倉(もう……駄目……)
朝倉(きっと罰があたったのね……キョン君を殺そうとした罰が……)
ひょいっ
朝倉(……え)
キョン「朝倉!大丈夫か朝倉!?」
朝倉(キョン……くん……?)
シャミセン「みゃー」
キョン「シャミセン!これは餌じゃない!あっちいけ!」
朝倉(私を助けてくれるの……?キョン君……)ドキッ
キョン「ひどい怪我だぞ!?大丈夫か!?」
朝倉「平気よ、この程度の損傷なら今の私でも情報操作で修復できるから」
キョン「そうか、それは良かった」
朝倉「でも時間がかかるから……その間……」
キョン「ああ、シャミセンが近寄らないか見張っててやるよ」
朝倉「……ありがとうキョン君」
キョン「まあすぐ長門が来るらしいし、長門によって殺されちまうかもしれんけどな」
朝倉「ねえキョン君?何で私を助けてくれたの?」
キョン「何でって……」
朝倉「あなたにとってはあのまま猫になぶり殺しにさせといた方が良かったでしょ?」
キョン「最期が猫って嫌だろ」
朝倉「そう、私にはキョン君のその考え方分からないな」
キョン「早く怪我治せ、見てて辛いから」
数日後
みくる「お邪魔しまぁーす、わぁ、ここがキョン君のお部屋ですかぁ」
古泉「綺麗に整頓されていますね」
キョン「まったく、何で急に俺の部屋に来るって話になったんだ」
長門「……」
ハルヒ「……」ジロジロ
キョン「何も面白いものは無いぞ」
ハルヒ「どうかしら、この引き出しなんか怪し……」ガラッ
キョン「おい、勝手に開けるなよ」
ハルヒ「……」
キョン「涼宮?どうした?」
ハルヒ「……ねえキョン?これ何?」
キョン「何って……」
朝倉「……」
キョン(朝倉!?それもフィギュアサイズ!?)
ハルヒ「こ、これって……これって……」ワナワナ
みくる「ひぇっ、朝倉さんにそっくりですねぇ」
古泉「細部までこうも再現されているとは驚きです」
ハルヒ「どういう事よ!?こんなのが市販されているはずないじゃない!ま、まさかキョンあんたが……」
キョン「え?」
ハルヒ「あんたが自作したわけ!?」
みくる「ひぇぇ!」
キョン「ちょ……」
キョン「な、長門!ちょっと廊下で話しがあるんだ!」グイッ
ハルヒ「待ちなさいよ!」
みくる「髪の毛までサラサラですぅ」チョンチョン
キョン「ど、どういうわけだよ?」
長門「朝倉涼子の情報構成をフィギュアとして再変換した」
キョン「何だってそんな?」
長門「朝倉涼子をフィギュアにして涼宮ハルヒの出方を見る」
キョン「はぁ?」
「きゃあああああ!!!」
キョン「!!?」
キョン「一体何を騒いで……」
ハルヒ「……」ワナワナ
キョン「おい?」
ハルヒ「何よこれ……何よこれ……」
ハルヒ「どうして下着の中まで精密に再現されているのよ!!?」
キョン「!!?」
ハルヒ「こんなもの作って一体何考えて生きてんのよ!?」
古泉「良い仕事しますねぇ」
みくる「キョンくん……気持ちわりゅい……」
キョン(ノオオオオオオオ!!!)
おわり
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