シャル「うっ……ぐすっ……ひっく……」 ポロポロ…(112)


 ――放課後――

 ――is学園・中庭付近――



一夏「」



一夏「お、おい!」

一夏「ど、どうしたんだ? シャル?」

シャル「!」

シャル「い、一夏……!?」

     ゴシゴシゴシ…

シャル「な、何でもないから……!」 ///

     タッ タッ タッ…

一夏「あ!? シャ、シャル!?」


一夏「…………」

一夏(……いったい、何があったんだ?)

一夏(あんな……)

一夏(シャルの泣き顔……初めて見た)

一夏(…………)

一夏(……!)

一夏(もしかして……)

一夏(フランスに強制送還される!?)

一夏(…………)

一夏(い、いや、まさか……特記事項だってあるし……)

一夏(…………)


 ――is学園・職員室――



一夏「千冬姉!」

     ゴスッ

千冬「織斑先生と言えと、何度……」

一夏「いつつ……いや、それよりも」

一夏「ち……織斑先生、シャルの事、何か知らないか?」

千冬「……? 何の事だ?」

一夏「た、例えば……フランス政府から連絡があったとか……」

千冬「そんなもの無い」

一夏「…………」

一夏「そ、そうですか……」


千冬「待て、事情を話せ。 何故、そんな事を聞く?」

一夏「う~ん、それを俺も知りたくて」


―――――――――――


千冬「実に下らないな」

一夏「……そんな言い方無いだろ」

千冬「デュノアの言う通りかもしれんし、恥ずかしい理由かもしれん」

一夏「恥ずかしいって何だよ?」

千冬「知らん」

一夏「あのなぁ……」

     ゴインッ☆


千冬姉「それが教師に対する口の利き方か?」

一夏「ズミバゼンッ……」

千冬「とにかく、しばらく様子を見ておけ」

千冬「数日経っても変化が無いようなら、私に報告しろ」

一夏「わかった……」

     バコンッ☆

一夏「ワガリマジダッ……」

千冬「……ふん」


     テク テク テク…

一夏「ちくしょー……人の頭、ポコポコ殴りやがって……」

一夏「あれじゃあ、一生結婚できないだろうな……ったく」

一夏「……さて、これからどうするかな?」

一夏「…………」

一夏「!」

一夏「そうだ!」

一夏「同室のラウラなら……何か知ってるかも!」

     タッ タッ タッ…


 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



ラウラ「いや、何も知らないな」

一夏「そうか……」

ラウラ「だが、気になる事案ではある」

ラウラ「私もそれとなく、シャルロットに聞いてみよう」

一夏「ああ、すまんが頼む」

一夏「何かわかったら 教えてくれ」

ラウラ「もちろんだ」

     キィ……パタン……

ラウラ(…………)

ラウラ(シャルロットが、泣いていた……?)

ラウラ(…………)

ラウラ(私が知らない内に、何か迷惑をかけたのだろうか?)


 ――夜――

 ――食堂――



     ガヤ ガヤ…

一夏(……結局)

一夏(収穫は無し、か……)

一夏(…………)

一夏(千冬姉の言う通りなら……いいんだけど)

一夏「はあ……」

?「なに、深刻そうな ため息ついてるのよ?」

一夏「ん?」


一夏「鈴か……」

鈴「いきなりご挨拶ね……。 ここいい?」

一夏「ああ、いいぜ」

     ストン(鈴、着席)

鈴「…………」

鈴「で? 何かあったの?」

一夏「んー……。 それが、よくわからん」

鈴「はあ? 何よそれ?」

一夏「実はな……」


―――――――――――


鈴「ふうん……。 シャルロットが……」


一夏「俺が思いつく限りの原因は、あたってみたんだが……」

一夏「全部空振りだった」

鈴「そうなの……」

鈴「まあ、千冬さんの言う通りかもしれないし」

鈴「しばらく様子見ね」

一夏「そうなんだよな……」


シャル「……あ」


一夏「! シャル……」

鈴(……別に普通そうじゃない)


シャル「一夏、こんばんは」

シャル「い、今、食じ……」

     ジワッ……!

一夏「」

鈴「」

シャル「……!」 ポロポロッ

シャル「……うっ……ぐすっ……!」 ポロポロッ

     ダッ……!

一夏「お、おい! シャル!?」

鈴「待って、一夏」

一夏「!? で、でも……!」

鈴「……今は、そっとしておいた方がいいわ」

一夏「…………」


鈴「それよりも……」

鈴「今のシャルロット、明らかにあんたを見て泣き出したわね?」

一夏「……おう」

鈴「ホントに心当たり無いの?」

一夏「ない」

鈴「…………」

一夏「…………」

鈴「……ま、一夏が女の子をわざと傷つける様なマネ、するわけない、か」

一夏「当たり前だ」

鈴「でも、知らず知らずの内に……という事は、ありえるかも」

一夏「…………」


鈴「後……考えられる可能性は……」

鈴「…………」

一夏「何か、思い当たるフシがあるのか?」

鈴「…………んー」

一夏「……?」

鈴「一夏、後であんたの部屋に行ってもいい?」

一夏「え!?」 ///

鈴「ば、ばか! 何、顔を赤くしてんのよ!?」 ///

鈴「ここじゃ話しにくいって意味よ!」 ///

一夏「ああ、そういう事か……」

一夏「いいぜ、鈴」

鈴「じゃ、後でね……」 ガタッ…


 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



     カチャ……パタン……

ラウラ「シャルロット」

ラウラ「!?」

シャル「ううっ……ぐすっ……」 ポロポロ…

     バタ バタ バタッ! ドサッ……(ベッドにイン)

ラウラ「ど、どうした!? シャルロット!?」

シャル「ごめん……ラウラ……ほっといて……」

ラウラ「…………」

ラウラ(シャルロット……どうしたのだ?)


 ――is学園寮・一夏の部屋――



一夏「来たか、鈴」

鈴「お邪魔しまーす」

一夏「ほい、お茶」 スッ

鈴「ありがと……」 ズズッ…

鈴「ふう……」

一夏「それで? いったい、どんな原因が考えられたんだ?」

鈴「…………」

鈴「……言いにくいんだけどね」

一夏「…………」

鈴「もしかしたら、シャルロットは……」




鈴「いじめられているのかもしれない」



一夏「!?」

鈴「…………」

一夏「…………」

一夏「……バ、バカ言うなよ、鈴」

一夏「昨日まで、俺は普通にシャルと話していたんだぜ?」

一夏「それから仮にその通りだとして……」

一夏「誰がシャルを いじめているんだよ?」

鈴「……あくまで可能性の話だけど」


鈴「あんたと仲良さそうに話してるシャルロットを うっとうしく思っているのが動機なら」

鈴「あたしも含めて、is学園の女子全員、容疑者になれるわ」

一夏「!?」

鈴「一夏、あんたはね、ブランドなの」

鈴「世界唯一の男性is適正者だし、『あの』千冬さんの弟でもある」

鈴「そんなあんたと『特別に仲良く』なりたい女の子は、大勢居るって事」

一夏「…………」

一夏「で、でも、どうしてシャルなんだよ!?」

鈴「……そうね」

鈴「あんたと仲の良い専用機持ちの中で」

鈴「特に雰囲気良さげだし、何より、シャルロットは可愛いし」

鈴「そして一番、大人しそうだから……かな」


一夏「……!」

鈴「もし、あたしやセシリア、箒にラウラをいじめた、としても」

鈴「全員、反撃されるって考えるんじゃない?」

一夏「確かに」

鈴「……即答されると、腹立つわね」

一夏(お前は生身の俺に、isの武器をぶっぱなしたじゃねえか……)

鈴「まあ、これはあたしの推測に過ぎないけど……」

鈴「あんたの顔を見て、あんなに思いつめた表情で泣くシャルロットを見ると……」

鈴「どうしても、そんな事を考えちゃうわ」

一夏「…………」


鈴「とにかく、あたしもそれとなく情報を集めておくわ」

一夏「……ああ、頼む」

鈴「…………」

鈴「……あたしの予想」

鈴「外れてるといいね……」

一夏「同感だな……」

鈴「うん……」

鈴「じゃ、お休み、一夏」

一夏「ああ、お休み、鈴……」

     パタン……

一夏「…………」

一夏(シャル……)

一夏(どうしたんだよ……)


 ――翌日の朝――

 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



ラウラ「……シャルロット」

シャル「ん……おはよう、ラウラ」

ラウラ「大丈夫か?」

シャル「? 何が?」

ラウラ「!? ……何がって、昨夜、お前は……」

シャル「……! あ、ああ……うん! もう大丈夫だから!」

ラウラ「……今日ぐらいは、休んだらどうだ?」

シャル「ホントに大丈夫だって……でも、髪を整えて登校するから」

シャル「先に行っててくれる?」

ラウラ「……わかった」


 ――1組教室――



一夏「おはよう」

セシリア「おはようございます、一夏さん」

箒「うむ、おはよう、一夏」

ラウラ「……おはよう、一夏」

一夏「……どうしたんだ? ラウラ?」

ラウラ「う、うむ。 後で話す」

箒・セシリア(……? 後で?)

一夏(シャルの事……何か、わかったのかな……)

     ガラガラ……


シャル「おはよう、みんな」

セシリア「あら、おはようございます、シャルロットさん」

箒「おはよう」

ラウラ「…おはよう」

一夏「おはよう、シャル」

シャル「うん、おはよ、う、……い、ち……」

     ジワッ……!

シャル「……っ!」

セシリア・箒・ラウラ「……!?」

一夏「…………」


シャル「ご、ごめん! ……やっぱり……今日、休むっ……」

     タッ タッ タッ…

セシリア「…………」

箒「…………」

ラウラ「…………」

一夏「…………」

セシリア「一夏さん……」

一夏「……はい」

箒「何をしたんだ……シャルロットに……」

一夏「こっちが知りたいです……」

箒「嘘をつくな! 今、明らかにお前を見て、泣いていたじゃないか!」

ラウラ「待て、箒」

箒「!? ラウラ……?」


ラウラ「実は昨日、一夏からシャルロットの様子がおかしいから」

ラウラ「それとなく彼女を見ておいてくれと頼まれていたのだ」

箒「……! そうなのか……」

箒「私はてっきり一夏が、シャルロットにハレンチな行為をしたのかと」

一夏「するか! 箒の中で、俺はどれだけ信用が無いんだよ!?」

セシリア「でも……だとしたら、何が原因ですの?」

一夏「それがわからないから、困っているんだよ……」

ラウラ「……私としても皆目、見当がつかない」

ラウラ「一夏の言う通り昨日突然だった」

ラウラ「シャルロットが、ああなったのは……」

セシリア「……あ、先生がいらっしゃいましたわ」

セシリア「また後で話しましょう」

一夏「そうだな……」


 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



シャル(…………)

シャル(……どうしよう)

シャル(絶対、変に思われたよね……)

     ゴソゴソ……

シャル(ラウラの持ってるアニメをこっそり見て)

シャル(泣くほどキャラクターに感情移入してるってバレたら……)

シャル(絶対に笑われる……) ///

シャル(…………)

シャル(せっかくだし、続き見ようかな……?)


シャル(…………)

シャル(……でも)

シャル(ここまで見てて何だけど……)

シャル(たぶん……このキャラ、不幸な目に合うんだろうな……)

シャル(…………)

シャル(…………)

シャル(どうしよう……)

シャル(も、もし……)

シャル(このキャラが、死んじゃったら……)


シャル(…………っ) ブルブルッ

シャル(だ、大丈夫、だよね?)

シャル(こ、こんなに、不幸な目にあってきたんだし)

シャル(ここから、上り調子に、なるよね?)

シャル(…………)

シャル(! そうだよ! 友達のまどかが、きっと何とかするんだ!)

シャル(ここまで魔法少女にならなかったのは)

シャル(その為の伏線!)

シャル(魔法少女は、夢と希望を与える存在なんだから!)

シャル(きっと……きっと!)

シャル(ギリギリの所で)

シャル(さやかを救ってくれる!)

シャル(よし! 続きを見よう!)


 ――昼休み――

 ――屋上――



鈴「――って、あたしは考えたんだけど……」

セシリア「…………」

箒「……いくらなんでも、それは無いだろう?」

ラウラ「……そう思いたいな」

一夏「あのシャルが? って感じだよな……」

セシリア「シャルロットさんは社交的で」

セシリア「どなたとでも分け隔てなく、お付き合いされておりますわ」


箒「それに、一夏の前に現れるのも変だ」

箒「私が、鈴の言う動機でいじめる立場なら……」

箒「一夏に話しかけるな、と言うぞ?」

鈴「そうなのよね……言っといて何だけど」

鈴「あたしもそう思う」

鈴「それから2組の中で、シャルロットの事を特に気にしてる様な娘は」

鈴「居なかったわ」

ラウラ「……ふむ」

ラウラ「だが、いじめを完璧に否定は出来ないな……」

ラウラ「ここは、私がクラリッサに助力を要請して」

ラウラ「24時間体制の警護を……」

一夏「ラウラ……気持ちは分かるけど、それは最終手段だ」

一夏「学園内でそんな事をしたら、千冬姉が鬼の形相になるぞ?」


ラウラ「むう……それは避けたいな」

一夏「まだ、よく解らない事が多い」

一夏「理由が不明だけど……俺が、話しかけると泣き出してしまうから」

一夏「シャルに直接聞くことは、俺には出来無い……」

セシリア「…………」

箒「…………」

鈴「…………」

ラウラ「…………」

一夏「頼めるか? みんな……」


セシリア「ふふ、まあ、ご学友の悩みですからね」

セシリア「相談に乗るのは、当たり前の事ですわ」 ニコ

箒「……正直、モヤモヤして気になる」

箒「頼まれなくてもやるつもりだ」 ニコ

鈴「まあ、乗りかかった船だしね」

鈴「最後まで付き合うわよ」 ニコ

ラウラ「友人の危機だ」

ラウラ「当然、私は救ってみせるぞ」 ニコ

一夏「みんな……ありがとうな」


 ――放課後――

 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



ラウラ「ただいま、シャルロット」

ラウラ「気分はどうだ?」


     ううっ……ぐすっ……ひっく……


ラウラ「……!?」

ラウラ「ど、どうした!? シャルロット!?」

ラウラ(何だか……昨日より酷くなってる!?)


シャル「うっ……っ……ひうっ……」

ラウラ「な、泣いているだけでは、解らない!」

ラウラ「話してくれ、シャルロット!」

ラウラ「何があったんだ!?」

シャル「なんでもっ……ないっ……」

ラウラ「そんな訳あるか!」

ラウラ「こんなに泣いて……どこか痛いのか?」

シャル「ぐすっ……」 フルフル……

ラウラ「ならば、何だと言うのだ!」

ラウラ「はっきり言ってくれ……私は」

ラウラ「お前の力になりたいんだ……!」

シャル「……っ! ………ラウラ」


シャル「…………」

シャル「ごめん……ラウラ」

シャル「これは、ボクの問題だから……」

ラウラ「…………」

シャル「……でも」

ラウラ「……!」

シャル「良かったら、夕御飯……ここに持ってきて欲しい」

シャル「頼んでいい?」

ラウラ「…………」

ラウラ「……わかった」

ラウラ「だが……本当に大丈夫なのか?」


シャル「うん……心配かけてごめん。 大丈夫だから」

ラウラ「……そうか」

ラウラ「メニューは何にする?」

シャル「……軽いもの……サンドイッチなんかいいかな」

ラウラ「よし、了解した」

ラウラ「待っていろ、今もらって来てやる」

シャル「うん……ごめんね、ラウラ」

     キィ……パタン……

シャル(…………)

シャル(……さやかぁ)

シャル(酷いよ……こんなのって……あんまりだよ……!)

シャル(さやかぁ……さやかぁ……!)


 ――食堂――



ラウラ「…………」

ラウラ「! 一夏……!」

一夏「おう、ラウラ」

一夏「ここ、座るか?」

ラウラ「……そうだな、座るとしよう」

一夏「…………」

一夏「シャルの様子は、どうだ?」

ラウラ「う、うむ」

ラウラ「……あまり芳しくない」


一夏「…………」

ラウラ「はっきりと言ってくれないが……」

ラウラ「何でも無いと……自分の問題だと……」

一夏「……そうか」

ラウラ「それから」

一夏「うん?」

ラウラ「食事を部屋に運んでくれと頼まれた」

一夏「うん……」

ラウラ「……もしかしたら」

ラウラ「一夏と」

ラウラ「顔を合わせたくないのかも、しれない……」

一夏「っ!!」


     カチャン……

一夏「…………」

ラウラ「……すまない」

ラウラ「くだらない推測だった……」

一夏「…………」

一夏「……いや」

ラウラ「…………」

ラウラ「……ともかく、これからも観察を続ける」

ラウラ「何かわかったら、すぐに連絡を入れよう……」

一夏「……ああ、頼む」

ラウラ「じゃ……」


一夏「…………」

一夏(シャル……)

一夏(俺……お前に何かしたのかよ……?)

一夏(…………)

一夏(あんな泣き顔……)

一夏(もう見たくねーよ……俺)


 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



ラウラ「…………」

シャル「…………」 モクモク

シャル「……ふう」

ラウラ「もういいのか?」

シャル「あ、うん……また後で食べるね」

ラウラ「そうか……」

ラウラ「…………」

ラウラ「……ん?」


ラウラ「…………」 ガサゴソ……

ラウラ「シャルロット、お前、この辺りのdvdを見たのか?」

シャル「!!!!」 ビクンッ!

シャル「ご、ごめん! ラウラ!」

シャル「勝手に見ちゃって……」 アセアセ……

ラウラ「いや……別に構わないのだが」

ラウラ「この作品は、あまり気が滅入っている時に見るものではない……余計に気が滅入る」

ラウラ「きっと、可愛いパッケージに騙されたのだな」

シャル(……そうだよ。 その通りだったよ……)

シャル「……ラウラは、平気だったの? それ……」

ラウラ「? アニメはアニメだろう? 魔法少女など存在しない」

シャル「ううん、そういう意味じゃ……もう、いいや」

ラウラ「……?」


シャル「シャワーを浴びて 横になるね……」

ラウラ「あ、ああ……」

     キィ……パタン……

ラウラ(…………)

ラウラ(…………)つ(まどマギ)

ラウラ(……どうやら、悪化した原因はこれの様だな)

ラウラ(後は、大元の原因だが……)

ラウラ(それはまだ、皆目見当もつかない)

ラウラ(…………)

あかん……眠い……続き、明日にします……。
終わらせるつもりだったのに……。すみません。


 ――翌日・休日の朝――

 ――is学園寮・談話室――



ラウラ「――というわけで、悪化した原因はわかった」

ラウラ「鬱アニメを見てしまったからだ」

一夏「鬱アニメって……何で、そんなもん見ようと思ったんだよ……」

ラウラ「一見すると、そうとは思わないからだ」 スッ…

     魔法少女 まどか☆マギカ

一夏「……確かに見えないな」

一夏「どんな内容なんだ?」

ラウラ「一人の少女をめぐって様々な鬱が展開する物語でな」

ラウラ「その中心人物が「まどか」という名の少女だ」

―――――――――――

一夏「……うわぁ」


一夏「なんて言うか……話を聞く限りじゃ、救いのない物語だな……」

ラウラ「極端な解釈はされていると思う」

ラウラ「だが、実際『ありそう』な展開でフィクションのはずなのに」

ラウラ「妙なリアリティがあるんだ」

一夏「ふうん……」

一夏「…………」

一夏「なあ……今回のシャルの一件」

一夏「このアニメが原因とは、考えられないか?」

ラウラ「……その可能性は私も考えた」


ラウラ「しかしそれだと、一夏を見て泣く理由が解らない」

一夏「あ……そうか……」

ラウラ「何かあるはずなんだ……他に原因が……」

一夏「…………」

一夏「シャルは、どうしてる?」

ラウラ「今日は普通だった」

ラウラ「前日の有様が、無かったみたいに……」

一夏「…………」

一夏「何なんだよ……ったく」

ラウラ「そう言うな、一夏」

ラウラ「人の悩みなど他人から見れば、下らない様に見える事もある」

ラウラ「むしろ、明るい兆しが見えてきた事を喜ぼう」 ニコ

一夏「…………」

一夏「そうだな」 クスッ


 ――午前中――

 ――is学園・中庭付近――



鈴「シャルロット」

シャル「ん? 鈴? それに箒とセシリア」

鈴「……思ったより元気そうね」

シャル「え……ああ、うん、元気だよ?」

箒「き、昨日は……どうしたのだ?」

セシリア(箒さん……ストレートに聞きすぎですわ……)

シャル「あ、あはは……な、何でも無いから……」


箒「そうなのか? 一夏に、ハレンチな事をされたのでは無いのか?」

シャル「ぶっ!! さ、されてないよ! そんな事!」 ///

セシリア「……では、どうして一夏さんを見て」

セシリア「お泣きに なられたのですか?」

鈴(あんたも大概、ストレートに聞きすぎよ……セシリア)

シャル「え、えっと……」

箒・セシリア・鈴「…………」 ジー……

シャル(ど、どうしよう……!)

シャル(や、やっぱり変に思われてる……!) 汗ダラダラ…


シャル「…………」

シャル「えっと……ね、その……」

箒・セシリア・鈴「…………」

シャル「な、なんか心配かけちゃったけど……」

シャル「本当に何でも無いの」

シャル「強いて言うなら……ちょっと下らない事を考えちゃった……」

シャル「それだけ、なの……」

箒・セシリア・鈴「…………」

シャル「あ、後ね! たぶん、少し時間はかかるだろうけど……」

シャル「ボクの中で区切りはつけてるから、一夏を見て泣く事は無くなると思う」

箒・セシリア・鈴「…………」


シャル「……納得、出来ないかな?」

鈴「…………」

鈴「まあ、正直を言えば、ね」

シャル(ふえ~ん……)

箒「でも……シャルロットがそう言うのなら……納得するしかあるまい」

セシリア「ですけどシャルロットさん?」

セシリア「お力になれるかどうか、わかりませんが……」

セシリア「悩み事があるのなら遠慮なさらずにおっしゃって下さいね?」

箒「そうだぞ? シャルロット……」

箒「みんな心配している」

シャル「う、うん……本当にごめん」


鈴「じゃあ、この話題はおしまい!」

鈴「もうすぐお昼だけど……みんなで食べる?」

箒「そうだな」

箒「天気もいいし……皆で景色のいい屋上で食べたいな」

セシリア「そうですわね♪」

シャル「うん、いいね。 ボクもそうしたい」



シャル(真相知ったら……みんな大笑いするんだろうなぁ……)

シャル(……はあ)


 ――正午――

 ――食堂――



一夏「……詳しい事は解らずじまい、か」

鈴「なんかシャルロット自身は、区切りをつけたって言ってたし」

鈴「それほど心配ないんじゃない?」

一夏「それもそうだな……。 サンキュー、鈴」

鈴「どういたしまして」

鈴「じゃ、あたし、シャルロットと約束してるから……」

一夏「ああ。 よろしく言っといてくれ」

一夏「…………」

一夏(とは言うものの……気になるなぁ)

一夏(…………)

一夏(まどマギ……俺も見てみるかな?)


 ――屋上――



箒「その卵焼き、美味しそうだな……この唐揚げと交換してくれないか?」

鈴「ええ、いいわよ。 はい」

シャル「気持ちのいい天気だね」 クスッ

ラウラ「そうだな。 日光浴は大切だ」

セシリア「……そう言う意味では無いと思いますが」

ラウラ「そうだ、シャルロット」

シャル「ん? なに?」

ラウラ「まどマギはどうだった? 感想を聞きたい」

シャル「ぶっ!?」


シャル(どーして今! ここで! このメンバーの前で!)

シャル(それを聞くの!! ラウラ!!)


セシリア「まどマギ?」

ラウラ「正式名は『魔法少女 まどか☆マギカ』というタイトルのアニメだが」

ラウラ「2011年に放送されてから、世界中でコアなファンを作った」

箒「ほう……世界中で、か」

ラウラ「何しろ……作中で銃器等の近代兵器が使われるのだが」

ラウラ「米兵などが、是非これを使ってくれ!とか、武器をあげるから頑張れ!という内容の」

ラウラ「応援メッセージ画像が、あちこちのサイトでupされている程の人気なのだ」

鈴「……米兵もアニメを見るのね」

ラウラ「そういう偏見はよくないぞ、鈴」

ラウラ「むしろ、米兵も見るほど人気なのだ、と言える」


セシリア「それで、どの様な内容なのですか?」

ラウラ「一言で言うなら、鬱アニメだ」

鈴「はあ!? ちょっとシャルロット! 精神的に不安定な時に何でそんな物見たのよ!?」

ラウラ「落ち着け、鈴。 シャルロットは、パッケージに騙されたのだ」

箒「パッケージ?」

ラウラ「一見すると、明るい内容の変身魔法少女っぽいのだ」

箒「なるほど……そうだったのか」

セシリア「では、今回のシャルロットさんの騒動は、そのアニメが?」

シャル「…………」 ドキッ

ラウラ「いや、気分転換にこれを見て、症状を悪化させたんだと思う」

ラウラ「そうなのだろう? シャルロット?」

シャル「う、うん! そ、そうなんだ! いやーパッケージからは想像も出来なかったよ!」


セシリア「そうなのですか……」

ラウラ「で? どうだった? まどマギは?」

シャル(ひーん……! どうしよう……!)

シャル(……!)

シャル(そうだ!)

シャル「……えっと、せっかくだから、みんなも見てみたらどう?」

鈴「え?」

シャル「ボクが今話すと、ネタバレになっちゃうし……どうかな?」

ラウラ「……確かに一理あるな」

箒「だが……鬱アニメなのだろう?」

セシリア「ちょっと、身構えてしまいますわね……」


ラウラ「だが、予備知識がある分マシだろう。 シャルロットの様になる事はあるまい」

鈴「…………」

セシリア「…………」

箒「…………」

鈴「……じゃ、じゃあ、見てみようかしら?」

箒「モノは試し……と言うしな」

セシリア「少し怖いですけど……」

シャル「うん、ボクもまどマギを語れる仲間が出来るのは、嬉しいよ」

シャル(よ、よし! 何とかごまかせた!)

ラウラ「よし……ではこの食事の後、私の部屋でみんな見るといい」


鈴「な、なんか、妙な流れになったわね……」

箒「まあ、単なるアニメだろう? 鬱、と言っても、たぶん大した事はない」

セシリア「所詮、フィクションですし……気負う必要などありませんわね」

ラウラ「…………」

シャル「…………」

ラウラ「……皆がどんな反応するのか、本気で知りたくなってきた」 ヒソヒソ…

シャル「うん。 ボクもだよ」 ヒソヒソ…

シャル「見終わった後でも、同じ事が言えるかな?」 ヒソヒソ…

ラウラ「楽しみだな」 ヒソヒソ…


 ――is学園寮・ラウラとシャルの部屋――



一夏「お、ラウラ」

一夏「ちょっと頼みたい事が……」

シャル「…………あ」

一夏「」

一夏「わ、わりぃ! シャル!!」 ダッ!

シャル「あ! 待って! 一夏!!」

一夏「……え?」

シャル「…………」 ジッ…

一夏「…………」 ドキドキ


シャル「……うん、もう大丈夫みたい!」

一夏「へ?」

シャル「心配かけてごめん、一夏。 それにみんなも」

シャル「どうやら、完全に区切りがついたみたい」 ニコ

一夏「…………」

一夏「……な……なんだよ……それ……」 ヘナ ヘナ ヘナ…

鈴「まあ良かったじゃない」 クス

箒「肩の荷は降りたな」 フフ

セシリア「これで一安心ですわ」 クスッ

ラウラ「何にしても めでたい事だ、嫁よ」 フフ

ラウラ「それで? 私に頼みたい事とは何だ?」

一夏「いや、大した事じゃないんだが……」



―――――――――――


ラウラ「それならば嫁も一緒に見ればいい」

一夏「え?」

ラウラ「実はちょうど、みんなでまどマギを見よう、という話になってな」

一夏「ああ……そういう事か」

一夏「俺、邪魔なら後でもいいぜ?」

セシリア「そ、そんな! 全然邪魔などではありませんわ!」 ///

箒「むしろ一緒に見てくれ!」 ///

鈴「そ、そうよ! 一緒に見なさいよ!」 ///

一夏「……どうして命令口調なんだよ」


シャル「まあまあ、一夏。 こういうのは大勢で見ても楽しい物だよ」

ラウラ「鬱アニメだがな」

シャル「水を差さないでよ、ラウラ……」

一夏「じゃ、そういう事なら見させてもらうよ、みんな」

セシリア・鈴・箒(よし(ですわ)!)

シャル「それじゃあみんな、どうぞ入って?」

     オジャマシマース



―――――――――――





     カワシタ ヤ、クソク、ワスレ、ナイヨ、メ、ヲトジ、タシカメル~

セシリア「……opから泣き顔で始まってますわね」

鈴「このピンクが主人公?」

シャル「そうだよ。 主人公のまどか」 ニコ

箒「曲調も微妙に鬱ってる様な……」

ラウラ「それは先入観があると思う。 まあ見ていけば解るだろう」



一夏「…………」

一夏(雰囲気的に男の俺が居て、いいのだろうか……)


鈴「わ……いきなり謎の冷血キャラが出てきた」

セシリア「こんなに可愛らしいqべえを殺そうとするなんて……! なんて酷いのでしょう!」

箒「まったくだ!」

シャル「…………」 ウズウズ…

ラウラ「我慢しろ、シャルロット」

シャル「わかってる……ああ、でも、すごくムズムズするっ……!」



一夏(確かにプ○キュアとかじゃ、無い展開だよな)


セシリア「どんな願いも一つだけ叶う……」

箒「確かに悩むな……」

鈴「あたしだったら……」 チラ

一夏「……?」

一夏「何だよ? 鈴?」

鈴「……なんでもないわよ」

ラウラ「ここに居るみんなは、同じ願いを叶えそうだな」

シャル「そうだね……でも、やった後、すごく後悔しそう……」

ラウラ「……ありえそうだから困るな」

一夏「???」


鈴「……中三であれは無いわ」

箒「そうか? 私は、あれくらいあったぞ?」

セシリア「わたくしもですわ」

シャル「ボクも」

ラウラ「……何だ、この謎の敗北感は……!」

鈴「ぐぬぬ……!」



一夏(今笑ったら、俺、絶対、ボコられるな……)


鈴「」

セシリア「」

箒「」

ラウラ「……ついに来たな」

シャル「……始まったね」

セシリア「こ、こここ、こん、こんな……こんな事って!」

箒「せっかく……いい雰囲気になってたのに……」

鈴「く、くくく、首、首がっ……!」

ラウラ「落ち着け、みんな」

シャル「解釈にもよるけど……これでもまだ、軽い方だったりするんだよ……」

鈴・箒・セシリア「はあ!?」



一夏(確か……これを『マミった』とか言うんだよな)


セシリア「……わたくし、何だかこのqべえという存在が、不気味に思えてきました」

鈴「そうね……。 そういえば、あの冷血キャラ……暁美ほむらだっけ?」

鈴「あいつはどうして、qべえを殺そうとしているのかしら?」

箒「まどかとさやかに魔法少女になるな、と言ってる事と何か関係があるのだろうか……?」

シャル(うふふ……みんな、もうすっかり のめり込み始めてる)

ラウラ(このあたりが、この作品の凄い所だな)



一夏(一応、ラウラにあらすじ聞いているんだけど……気になる展開だな)


鈴「さやか……」

セシリア「叶えたのですね、あの人のために……」

箒「これは……幼馴染なら誰でも」 ハ!?

一夏「? 何だ? 箒?」

箒「な、何でも無い!」 ///

一夏「????」

シャル(……まあ、一夏らしいと言えば、そうなんだけど……)

ラウラ(箒と鈴、さやかと同じ幼馴染という立場なのだから、人事ではあるまい……)


鈴「また一人、謎キャラが出てきたわね」

箒「魔法少女なのは間違いないだろうが……」

セシリア「それにしても、qべえの目的は何なのでしょう?」

鈴「魔女と戦わせる事でしょ?」

セシリア「うまく言えませんけど……それだけでは無い気がするのです」

箒「魔女を駆逐するする以外に、何かメリットが……?」

シャル(すごい……この段階で、それに薄々でも気が付けるなんて……!)

ラウラ(こう言っては何だが……意外な人物が鋭い洞察力を見せたな)



一夏(続きが気になるな……)


箒「…………」

鈴「…………」

セシリア「…………」

シャル(……みんな、言葉を失ってる)

シャル(そうだよね……魔法少女が、こんな存在だったなんて知れば……)

ラウラ(衝撃の展開だろうな)



一夏(でもさらに、それを上回る事実が待ってるんだよな……)


箒「さやか……何をしている! そうではないだろう!?」

鈴「せっかく……杏子が手を差しにべてくれたのに……!」

セシリア「どうして……どうして、そんな捉え方をするのですか!?」

シャル(それはボクも思ったよ……)

ラウラ(さやかのやった事は、結局、自分を追い詰めるだけだったからな……)



一夏(責任感の強い娘なんだろうな……)


セシリア「さやかさん……!」

鈴「……なんて事……qべえ……インキュベーターの目的は、そんな事だったなんて!」

箒「許せん! 人類の敵ではないか!」

シャル(みんな、本当にのめり込んでるなぁ……ちょっと嬉しい)

ラウラ(もう最初に言ってた事は忘れているな) クスクス



一夏(……そういやほむらは、どうしてこの事を知ったのだろう?)


鈴「……杏子……あんた……どうしてもっと早く、素直にならなかったのよ……」 グスッ

箒「どうしてだ……どうして……こんな事になった……」 ウルッ

セシリア「こんなの……あんまりですわ……」 グスッ…

シャル(……みんな、感じる事は同じだね)

ラウラ(知り合いがこんな事になったら……誰もが同じ事をするかもしれないしな)



一夏(普通は奇跡が起こってハッピーエンド、が王道だけど……)

一夏(こっちの方が、リアリティあるな……)


箒「ほむら……こんな事をずっと抱え込んでいたのか……」

鈴「マミさんとかが、一気にクズキャラに見える……不思議」

セシリア「冒頭のあの言動や行動が、ようやく理解できましたわ……」

シャル(クズは言いすぎじゃないかな……鈴)

ラウラ(みんな『無かった事』になるのだから、仕方ない事なのだがな……)



一夏(なるほど……こういう事だったのか)


ラウラ「さて」

ラウラ「いよいよ物語もラストスパートに入り、この11話、12話でおしまいだ」

セシリア「ラウラさん、早く続きを見せてください!」

鈴「そうよ! 気になるじゃない」

箒「ここに来て、お預けは止めてくれ……」

ラウラ「わかっている」

ラウラ「だが放送当時、東日本大震災が起こってしまい」

ラウラ「多くの視聴者が、実に一ヶ月以上も」

セシリア・鈴・箒「は・や・く!!」



一夏・シャル(これはラウラが悪い……)


箒「…………」

鈴「…………」

セシリア「…………」

ラウラ「これで終了だ」

シャル「どうだった? みんな?」

シャル「ボクは、ラストには違和感があったけど……、一応納得はしてる」

シャル「ただ……さやかの扱いが酷過ぎて、そこだけは納得できないかな……」

鈴「そうよ! あれは酷過ぎよ!」

鈴「さやかが不幸になった事で、杏子にもそれが飛び火してる!」

セシリア「しかし……それは自業自得ですわ」

セシリア「それを選択したのは杏子さん自身ですし……それよりも」

セシリア「まどかさんの為とはいえ、人格まで凍りつかせてしまった、ほむらさんが可愛そうですわ」


箒「待て。 それこそ自業自得ではないか」

箒「私としては、qべえの存在は許せないが……奴の言ってた事には一理あると思うし」

箒「最終的には、魔法少女になる事でしか生き延びる選択肢がなかった」

箒「巴マミが一番不幸だと思う」

鈴「……不幸を語り合ったら魔法少女全員って事になるし、結論が出そうにないわね」

鈴「でもこれだけは言える。 上条恭介だけは、絶対許せないわ……」

箒「私も同感だし、志筑仁美も許せん」

箒「後から来て美味しい所を持っていった挙句、幸せそうにしていた」

箒「思わず画面を殴りたくなったぞ!」

セシリア(……お二人のソウルジェムが黒くなっておりますわ)


シャル「んー……ボクとしては、ラストでさやかが『これでいいんだ』的な事を言ってたのは」

シャル「おかしくない?って思ったかな?」

鈴「わかるわ。 それ、すっごくわかる」

箒「さやかに力があれば、世界を滅ぼしても納得できないだろうな」

セシリア「そうでしょうか?」

セシリア「彼女は、上条恭介さんの幸せを第一に考えておられたのですから」

セシリア「あれはあれで、よろしいのでは?」

ラウラ「実は私もそう思ってる。 さやか自身で納得したのなら、それでいいのではないか?と」

シャル「それはそうなんだけどね……」

セシリア「わたくしは、ラストの方が納得できませんわ」

セシリア「暁美ほむらさんのしてきた事は、結局、何だったのですか?」

セシリア「いくらまどかさん本人が望んだとは言え……あれで納得する方がどうかしてます!」

シャル「でもそれは、本人から直接言われてる事だし……」


セシリア「わたくしは暁美ほむらの努力に見合う結果ではない、と言いたいのです」

シャル「なるほど……それもわかるね」

鈴「杏子……どうして素直になれなかったのかしら」

箒(……お前がそれを言うか?)

箒「それを言うなら、巴マミもだ」

箒「恥ずかしがらず、素直に自分の心の内を吐露すれば良かったのだ」

箒「そうすれば、あんな結末は回避出来たかもしれないのに」

鈴(……あんたがそれを言いますか?)

シャル・ラウラ・セシリア(どちらも自覚無しですか……)

一夏(キリがないなぁ……わかるけど)

―――――――――――


 ――数日後の放課後――

 ――屋上――



一夏「シャル」

シャル「あ、一夏……」

シャル「話って……何かな?」

一夏「あー……その……な」

シャル(も、もしかして、告白だったりして……!?) ///

一夏「まどマギ談義でウヤムヤになってたけど……」

一夏「シャル、どうして俺を見て泣いてたんだ?」

シャル「ああ……それの事ね」

一夏「言いたくなければ、もう聞かないけど……」

シャル「…………」


シャル「……笑わない?」

一夏「へ?」

シャル「教えてもいいけど、笑ったりしない?」

一夏「お、おう! もちろんだ!」

シャル「じゃあ言うけど……」

一夏「…………」 ゴクッ

シャル「まどマギのさやかに、すごく感情移入したから……なの」 ///

一夏「…………」

一夏「…………は?」

シャル「や、やっぱり、あきれるよね……」 ///


一夏「いや、そんな事はないんだけど……」

一夏「それと俺が、どう結びつくのかがわからなくて」

シャル「…………」

シャル「一夏は……『好き』の反対の言葉って、何かわかる?」

一夏「好きの反対? 『嫌い』じゃないのか?」

シャル「正解は」

シャル「『無関心』だよ」

一夏「無関心……」

シャル「……さやかは、恭介のために願い事をするけど」

シャル「それ以前から恭介の傍にいて、恭介の身の回りの世話をそれとなくやって来てた」

シャル「でも……」

一夏「…………」


シャル「そういう描写が無かっただけかもしれないけど……」

シャル「恭介は、さやかにお礼を言わないんだよね」

一夏「…………」

シャル「もちろん……幼馴染とか、そういう親しい間柄だから、とも取れるんだけど」

シャル「まるでさやかを居ないかの様に扱ってる恭介は……『無関心』そのものだった」

一夏「…………」

シャル「さやかは、色々と固執しちゃって自滅したけど……わからなくはない」

シャル「恭介が、少しでもさやかに何か言葉を掛けてあげてたなら……」

シャル「もっと違ってたのにな、って思う」

一夏「…………」


シャル「でね」

シャル「ボクも考えずには、いられなかったんだ……」

シャル「さやかの気持ちを」

一夏「…………」

シャル「もしも一夏が」

シャル「恭介みたいに、ボクに対して『無関心』だったら……って」

一夏「……!」

シャル「ボクは……」

シャル「…………っ」 ポロッ

シャル「……うっ……ぐすっ……ひっく……」 ポロポロ…

一夏「……シャル」

シャル「ご、ごめん……、一夏。 なんか……また、ぶり返しちゃった……」 グスッ

シャル「もう、大丈夫だから……」 ゴシゴシ


一夏「……そういう事だったのか」

シャル「心配かけてごめん……」

シャル「なんて言うか……こんな事で泣いてたのがバレたら」

シャル「みんなに笑われると思って……」 ///

一夏「ハハ……ま、そりゃそうかもな」

シャル「あっ、酷い! 一夏! 今ちょっと笑ったでしょ!?」 ///

一夏「ごめんごめん。 でも……シャルを笑ったわけじゃないよ」

シャル「え?」

一夏「うーん……そうだな、安心したって意味の笑いかな?」

シャル「安心……?」


一夏「そう。 俺に心当たりは無かったけど……」

一夏「気がつかない内に、シャルを傷つけていたのかな?とか思ってたし」

シャル「……それは……ごめん」

一夏「もういいさ、シャル」

一夏「……それよりも」

シャル「うん?」

一夏「その……さやかって、恭介が好きだったんだよな?」 ///

シャル「うん。 ……あ」 ///

一夏「…………」 ///

一夏「もしかして……シャルは……」 ///

一夏「俺の事を――」 ///

????「ティロ・フィナーレ!!」

一夏・シャル「へ!?」



     ズギュウウウン!!


一夏「」



セシリア「……何をしておりますの? 一夏さん」 ニコ

一夏「そ、そりゃこっちのセリフだよ!!」

一夏「何がティロ・フィナーレだよ!? スターライトmkⅢだろ! それ!?」

一夏「当たったら俺、死んでるよ!?」

セシリア「脱皮すればよろしいのでは?」

一夏「俺は、お菓子の魔女じゃない!!」


ラウラ「と言うか、嫁よ。 私という夫が居ながら」

ラウラ「何をこそこそシャルロットと話していたのだ?」

一夏「え?」

鈴「そうね……あたしも聞きたいわね」 プルプル…

箒「私にとっては、上条恭介ばりに無関心だと思うのだが……気のせいか?」 ピクピク…

一夏「え? え!?」

シャル「……というか、みんな聞いてたの!?」 ///

ラウラ「安心しろシャルロット。 笑ったりはしない」

シャル(うう……知られただけで十分恥ずかしいよぉ……) ///


ラウラ「さて、嫁よ……」 ゴゴゴ……

セシリア「一夏さぁん……」 ゴゴゴ……

鈴「一夏ぁ……」 ゴゴゴ……

箒「一夏……」 ゴゴゴ……

シャル「あ~あ……」



一夏「ひいいいいいっ……! どうしていつも、こうなるんだー!!」 ダッ!!



ラウラ「待てー!!」 ヒュンッ

セシリア「お待ちなさーい!!」 ヒュンッ

鈴「殺すー!!」 ヒュンッ

箒「今日という今日は、許さーん!!」 ヒュンッ

シャル「みんなー、程々にねー!」


シャル「…………」

シャル「一夏……あの後、なんて言おうとしたのかな?」

シャル「……でも」

シャル「少なくとも、無関心じゃない……それがわかっただけでも嬉しい」 ///

シャル「えへへ……」 ///

シャル「…………」

シャル「一夏……ボク……」 ///



シャル「もう、何があっても……くじけないよ?」 ///



     おしまい

というわけで終了です。最初はisメンバーがまどマギ見たら
どんな反応するかな?と思ったのが出発点でした。
立場的に、箒や鈴の方が適役かな?とも思ったんですけど
なんかしっくり来なかったのでこうしました。
読んでくれた人、支援してくれた人、ありがとう!

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