まだ、題名がない青い春の物語 Ⅱ (47)

【あらすじ (Wikiより)】
彼女が欲しい草食系男子は、高校に入学して数日後の帰りにゲリラ豪雨に遭遇し、傘がなくて困っていた女の子に手持ちの傘を貸してあげた。 その子こそ学校のマドンナ、東福寺涼であった。
翌日になって、彼女は傘を主人公に返し、そしてお礼にと手作りクッキーまで手渡してきた。
それ以来、何かと親しくしてくる東福寺さん。 しかし彼女には親衛隊が存在し、仲良くなるのは危険だと判断した主人公は、あれこれと策を講じて疎遠になろうとするが…。

【まえがき】
DAT落ちしていたので、一応完結させておきたかったので
スレを立てました。恐ろしくスローペースになりそうですが頑張ります。
ハチャメチャな地の文ですが、どうか堪えて御覧くださいです……。

【前スレWiki】
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【前スレ】
まだ、題名がない青い春の物語 - SSまとめ速報
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近づいてくるクリスマス。世間の話題はクリスマスやその後に控えるお正月の話題。
そんな話題に付いて行くのが疲れてしまった世代が増えており
年々そういったイベントを卒なくこなせるのはリア充と呼ばれる連中だけになってきたと言われる。
せいぜい正月の連休をゆっくり過ごせるから好き……や、お年玉が貰えるから好きと目を輝かせる子どもたちぐらいだろう
純粋に正月を楽しめる人たちは。
現実に、仕事努めの会社員は僅かな休みを家族サービスに捧げ、僅かなボーナスも正月の出費に消える。
初詣や、お互いの実家帰りのために車を走らせ、クタクタの体もそのままに連休も明け、地獄の出勤を控えているのである。
こんな夢も希望も無い年末年始、必死に堪えている全国のお父さんに尊敬するよ本当に。

さて、こんなお話……学生がすることでは無いのだが、一応ね。年末近いと言うことだし
その前のクリスマスライブというものをぶっ壊しに行くことになっている訳だが。

クリスマスライブの準備も着々と進んでいる。
地元の楽器屋でレンタル器材の申し込みを行ったり、バンドスタジオで演奏のリハーサルをしたり
なんだか、バンドマンらしい行動をしている自分にやや酔っている気がした。
無理もない話である。人前で楽器を弾き、人前で歌う行為なんてナルシスト入ってなければ絶対に出来ないだろうに。
音楽を誰に聞き届けたいと聞かれたバンドマンの大半は「ファンに」「家族に」「世界に」とか言ってしまうが
実際は、目の前の可愛い子ちゃんなのである。キレイ事を言っていても、いざステージに立てばそうなってしまうのが人間の性である。
俺もそうだろう。誰に魅せたいかって……? そりゃあ、まあ……。

………

クリスマス前日だ。
俺は朝支度を済ませ、外へと出た。
今日はやけに寒い。そして風が強く顔面全てをマフラーで覆いたいぐらい厳しい冬を魅せつけられている。
この寒さは嫌いではない。正直暑すぎる夏よりかは救いがある。
夏は全裸になっても暑いものは暑くどうすることも出来ない。
冬は対照的に宇宙服のような防寒を決め込めば、とりあえず外を歩けるし死ぬことも無いだろう。
そう考えれば夏よりかは大丈夫なのだ。きっと大丈夫。

外は朝であるが、空は青くなく曇っている。光が差し込まない為薄暗い。
風も強く、水たまりは凍り付いて濁っている。
平野地域である為、雪は滅多に振らない。雪が降ると少し得した気分になるのは俺だけであろうか?
東北地方とか、日本海側の人たちが聞いたら「ないない」と言われるだろうが、
太平洋側の人たちは割りと賛同してくれるのではないだろうか。

……

学校につき、終業式の前日ということもあり、授業は2時限だけで終わる。
その後は配布物をもらうだけで終わりだ。あとは翌日の終業式及び、クリスマスライブイベントだ。

結構俺はそのことで頭が一杯だった。気が緩んでいた……といえばいいだろうか?




まさかと思う人に俺はその心を酷く抉られた。



「関目くん……」

三階の廊下、もうすぐ教室の手前にて
俺は尋常じゃないぐらい暗い顔をした彼女を見た。

「どうした?」
俺は、様子のおかしい彼女に話しかけた。

「今まで……ごめんなさい……関目くん……そして、その……もう……ばい…ばい……」
恐ろしく震えた声で彼女は話した。

「バイバイ?」
……。

「そう……わ、私は関目くんが嫌いになって……その」

「……そっか」


俺は、正直傷つきたくないという思いを青春にささげていた。
東福寺さんを突き放していたのもそうだ。彼女を傷つけたくないと思っていたのもあるし
いずれ、目が覚めて「さようなら」と言われることを尋常じゃなく恐れていたのもある。
だが、どんなに彼女を突き放しても、彼女は好意を寄せてくれた。
それは狂気に感じるぐらいにだ。そんな彼女の心に俺は慣れてしまっていた矢先だ。


「……関目くん。……さようなら……していいかな?」

彼女は俺に何か助けを求めるような顔つきで話しかけている。
この彼女に対する答えで俺の青春は変わりそうな気がした。

だが、俺はその答えを




「そうだね。俺もごめん東福寺さん」




……受け入れてしまった。

詰まるところ、お互いに別れを切った瞬間であった。
俺と彼女との青い話はここで終わる筈だ。もう取り戻す必要は無いのだ。

『彼女は、俺を嫌いになったのだから』

俺は酷く冷静な振りをした。
A組は牧野さん経由で、この話を知っているみたいだ。

それも踏まえ俺のクラスにもその波紋は広がっていた。

「おい、関目。東福寺さんと別れたのか?」

「いや、初めから付き合ってないし」

「いや、明らかてか……カプコン出てただろう?」

「だから何……東福寺さんはそもそも俺と合うような人じゃないだろ」

「いやいや……あのな……関目……」

クラスの連中もずいぶんとこういう話は好きみたいだな。
俺もこういう状況の奴がいたら、直接聞きはしないだろうが、こぼれた情報を逃したくは無いと思うんだろうな。

クリスマスライブなんて呑気なことを考える余裕は無さそうだ。
そもそもこのライブは自己満足な話だった。聞き届ける人が少なからずいた。
悔しい話だが、東福寺さんだ。この気持ちは何だったんだろうか。
だが、届ける必要も無くなったから、俺はライブに出る必要は無くなったのだ。

ライブ、出ない。

俺はバンドメンバーにメッセージを送り、前日リハを参加せず下校しようとした時
「バカ糞関目!!!!!」
と叫び千林が俺を追いかけてきた。

「お前がいなくなったら、バンド成立しないだろうが!」

「いや……」

「お前あれだろ、東福寺さんと別れたから、やる気喪失して…」

「東福寺さんとは付き合っていない」

「それはどうだっていいんだよ! お前がライブに出ないとか言っているのは東福寺さん絡みだろ!」

「……だからなんだよ」

「お前、自分を自分で隠しているだろうがな、お前は東福寺さんが大好きなんだろ?」

「いや、俺は……東福寺さんは好きじゃない……」

「大嘘付き! お前、一生あんな可愛い女の子に出会えるチャンスをそんなしょーもないプライドで……」

「俺は……そういう感情は」

「出た厨二病! もっと自分に素直になれ! 今落ち込んでいるのも東福寺さんに嫌いと言われたことだろ!? それでウジウジしてライブに出ないとか叫んでさ! かっこわりーぜ! それでもロッカーかよ」


「……あの子は俺には向いていないのがわかったんだろ」
俺は気が変わりそうな思いをこらえ、必死に否定していた。




「すず、関目くんのこと多分世界で一番好きだろうけどね」
後ろから声が聞こえた。

現れたのは牧野さん。牧野さんは目の隈を下げている様子だった。
「すずが関目くんを嫌いと言った理由、知りたい?」

「……」

「関目、プライド捨てろ」

「……知りたい」

「……親が関目くんをダメって言ったから。以上」

「……そっか」

「すずの本心じゃないの。あなたも薄々気がついているでしょ?」

「で、その話を聞いたところで俺は何をしたらいいんだ? 追っかけろってか? 親を説得しろってか?」

「さぁね。そこで何をするかは、関目くん貴方が答えを出すの」

親。
どういった話で東福寺さんはこういった流れになったのか分からない。
家で、関目くんと付き合いたいとか言ったのか、それとも結婚するとか馬鹿げたことを言ったのか
それとも、親がとても厳しくて、仲良くしている男の子がいると知った途端暴走したのか。

まぁ親からしてみれば、こんな情けない男お断りしたいだろう。

勉強も運動も魅力も半端。経済力もない学生。おまけに暗そう。

むしろ逆に考えれば親がしっかりしているから、彼女は悪い道には進まないのだろうかね。
俺としてはこれでよかったんじゃないかと……思いたいが……思いたいが。

「ね、関目くん。本当の本当のこと話して。すず……えっと、東福寺さんのこと…好き?」
牧野さんは俺の両肩を持ち、目を見つめ話しかけた。

「えっと……」

「本当のこと言ったら、チューしてあげてもいいよ?」

「いや、その……」

「チューは冗談。だって関目くんはすずのものだからね」

「……」

「さて、話を戻す。好き? 嫌い?」

「……」

俺は終わらせた選択肢をまた取り戻してしまった。
というか、簡単に青い春の物語は終わらないみたいだ。

俺は、目を閉じ……心の奥底に繋がれた邪魔な鎖を取っ払い言った。

「好き」

と。

【続く】

とりあえず以上です。
完結をさせたいと思いスレ立てました。エタっては今まで完結させたこと無い
己の弱さをまたしても晒すことになりそうだったためです
自己満足ですが、どうぞ最後までよろしくお願いします。。。

突然ですが、宣伝です!




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なんと!つまらないと今話題のこのSSスレが…

とうとう宣伝用のスレになってしまったぁ!





文句があればこのスレまで

P「俺が…タイムスリップ?」
P「俺が…タイムスリップ?」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1367720550/)

来年こそ本気出す

いましばらくお待ちください

朝が来る。クリスマスイブ当日だ。
彼女の家の前で叫んだ、あの言葉は届いているのであろうか?
気にしてばかりの男だ。だが、気にならない男なんていないだろう。
人間の本性がそうさせているのだ。知らん振りなんて絶対に出来やしない。
戦国時代の武将も戦果を上げれば、その評判を聞きたくしょうがなかっただろう。
初めて地球を見た、宇宙飛行士はどんなセリフを言おうか迷っていたことだろう。

俺もまさにそれだ。
ライブを行った、次の日は周りの女子の視線が気になって仕方が無いのだ。
ギャップに惚れてないだろうか? とか、次のバレンタインは期待出来るんじゃないかとかそんな甘いことを考える事は日常じゃないかというレベルだ。

俺は彼女とのつながりはリセットされた。
彼女の今の心情は分かりはしない。もしかすると母親か父親に俺のことを嫌いになるように様々なことを言われているが故にアンチ関目になっているかもしれない。

胃が痛い。どんなことになってしまうのか、どんな運命が待ち受けているのだろうか。
俺は散々彼女を傷つけてしまった代償が今まさに起きているのだろうか。

だが、ここで立ち止まり考えを変えることがいつまでも答えが出ない原因なんだ。
甘い考えは捨て去らないといけない。その時だけの平穏はいずれ嵐へと繋がる。
少々手荒だが、俺は彼女を振り向かさないといけない。

学校の終業式が始まった。相変わらず、教頭は全員揃うまで何分かかったとか言い出す。
頭の悪い学生の集まりを黙らすなんて、自動小銃を向けるぐらいしないと黙らんだろう。
そうすれば、雑談から悲鳴に変わりそうだがといったくだらないツッコミはいらない。

普段ならこの長い話は眠くなってしまう所だろう。
だが、俺は昨日から高まっているアドレナリンのせいでちっとも眠くならない。
というより、校長の長話なんて耳に入っちゃいない。

放課後行われるライブのこと、東福寺とのこと。
心臓は恐ろしいほどビートしている。これがバスドラムなら、ノリはメタルレベルだ。

早く終われと思いつつも、この先起きることに恐れながら、校長の話を聞いているふりをしている。


長い長いお話は終わり、通信簿を頂いた……通信簿じゃないな通知表だ。
相変わらず、バランスは悪い。今後進学を考えるのであればこのままだと厳しい物になりそうだと焦りを抱く瞬間でもある。だが、それは3時間後には忘れ去るから困る。
この世の成績の良い学生は、恐らく3分に一回は頭のなかに、通知表の数字が流れているのではないだろうか? このままだと駄目だぞと脅しを入れないと
なかなか人間は自主的にペンを持とうとは思わないだろう。
「今、ゲームしてて大丈夫なのか? お前が次するべきものは宿題だろう……」と。
ドスの効いた脅しが無いと人間は勉強なんて出来ないんじゃないのか?
もしくは、家にドラえもんでもいるのだろう。そうでもなければ、継続してオールAなんて取れやしない。

教室のエアコンはすごく快適だが、これも暫くお別れだ
これからは家のエアコンを節電という言葉を盾に使えず毛布を齧って生活する日常が始まる。
俺が電気代を払っている訳じゃないのが余計にたちが悪い。だからこそ電気は大切にしないといけないと母親にお叱りの言葉をぶつけられる。
まったく、地球さん。お願いだから冬はもう少しあたたかく、夏は涼しくしてほしいものだ。
ムキにならなくてもいいんですよ。冬は人を殺すほど凍えさせる必要はあるんですかねぇ。

さて、要望書をどこに提出してもどうにもならないことはわかっている。

そんなことより、俺はこの後のライブ……だ。

そして、彼女とクリスマスを過ごせるのかどうかということだ。

実はというところ携帯を買い替えてから
携帯を使ってのやりとりを行っていないのだ。様々な人とだ。

今やネット社会と言われている。どんなことでもネットが重視されている
ネット依存は様々な媒体に影響を受けている。時代の変化はネットが正に象徴している。
だが、ネットというのは様々な物語を複雑にしている。
例えば、意中の人と話をしたいと思って切ない気持ちになっていたとしても
携帯、スマホでもいい。取り出して連絡が出来る。
そこに電波があれば、料金をきちんと払っていれば間違いなく連絡が出来る。


その連絡は気軽すぎる。電報でもらう数文字の喜び
筆で綴られる文字、ボールペンで書かれたラブレター
全て同じ文字であっても、その頻度でその価値は薄れる。

東福寺は、携帯を操作するのが苦手だ。
今どきの女子高生としてはあるまじきものだ。
「わたし携帯苦手」だといいながら、ものすごいスピードで文字を入れ、SNSに投稿する人で溢れかえっているこの社会で
未だにパカパカケータイで、メールはポチポチ。

恐らく親の方針であるのが大きいとは思うが、学生までとなると、他の人達と同じ土俵でありたいという欲求があるはずだが、携帯にまでその思いは無かったということだ。

だからこそ、俺は普段から東福寺には携帯でろくに連絡なんて取っていない。
何か約束を取り付けるときもいつも面と向かっている。そして何かを告げるときも直接だ。


もちろん俺は東福寺以外は普通に携帯で連絡を取る。
昨日の千林とのやりとりもきちんと埋め合わせしている。
ちゃんとライブに出ることも話がついている。

流石に、千林の青春をぶっ壊すまでの畜生ではない。


「関目、お前今度飯おごれよ そうだな牛丼大盛りで」
「そこは卵だけで」

さて、俺達は放送室へ向かった。すでに段取りを決めているライブの宣伝放送を流すのだ。
機材搬入設置はすでに朝に完了してる。機材はリースだ。俺はマーシャル厨だからリース金額が1000円高くても男気を見せた。


本当は俺ではなく千林が放送を入れる予定であったが、俺が放送すると言った。
来てほしい客を確実に呼び込むためだ。

「えーこの後、視聴覚室にてクリスマスライブを決行致します。来れる方は来てください。あと、東福寺も」

マイクを切り、チャイムを鳴らした。

「おいいい!? 関目? カンペ? てか、東福寺さん!?」

俺の明らかに別人のような行動に驚きつつ、カンペ内容とぜんぜん違う短絡的な放送内容に相当混乱している。

学校はざわついているのかな? てか東福寺は来るのだろうか
怖い。

だが、やらなきゃいけない。もう戻らないと決めているじゃないか。
関目よ。

続きます。少しづつでも続けます。
需要が無くなれば、もう書くのはやめます
そうでもなければ頑張ります

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