妹「お兄ちゃん!!強盗だよぉ!!」
強盗「黙れ!刺すぞ!」
兄「刺す?貴様、妹を刺すと言ったな?」ゾゾワァ
強盗「!?いつのまに後ろに!?」
兄「どうやらお仕置きが必要だな…」
強盗「ふ、ふん!そんなモヤシみたいな身体でなにがお仕置きだ」ペッ
兄「…フゥオオオオオ!!」バリバリッ
強盗「!?」
妹「お兄ちゃん!そのシャツは誰が縫うと思ってるのよ!」
兄「すまない」
強盗「そういう問題じゃねーよ!!なんでムキムキマッチョになんの!?」
兄「さあ…お前の罪を数えろ…」ベキボキ
妹「お兄ちゃん、そのセリフアウトかも」
兄「すまない」
強盗「くそっ…」グイ
妹「きゃあっ!」
兄「!」
強盗「へ、へへ…動くなよ?てめぇの妹を傷物したくないならよォ!」
兄「……卑怯な」
強盗「どう考えてもお前の体型が卑怯だけど!?」
妹「うぅ…そういえばわたし…ずっとお兄ちゃんに頼りっぱなしだったよね…」
兄「妹…」
妹「お兄ちゃん…わたし、わたし強くなるから……!!」
兄「やめろ妹!」
妹「フヌゥオオオオオオオオ!!」ビリビリ
強盗「なんでお前までムキムキマッチョになるんだよ!!」
パーポーパーポー
強盗「だから!マッチョが!」
警察「話は署で聞く」
婦警「あなたたちに怪我がなくて良かったわ。恐かったでしょう」
妹「お兄ちゃんがいたから怖くないもん!」
兄「はは、抱きつくな」
婦警「明日、また事情を聞きに行くから今日はゆっくり休みなさい」
兄「はい。ありがとうございました」ペコ
妹「また明日ね、婦警さん!」ヒラヒラ
婦警「ええ、おやすみなさい」ガチャ
婦警(あの細い身体でどう撃退したのかしらね…)
妹「もう、お兄ちゃんったら!」チクチクヌイヌイ
兄「すまない」
妹「ま、まあ…わたしを守ろうとしたから許すけど?」
兄「ありがとう。そう言えば」
妹「ん?」チクチク
兄「ブラは無事なのか」
妹「わたしスポーツブラだから大丈夫」
兄「そうか、すごいなスポーツブラ」
妹「うん」
なにやってんだ俺
母「ふたりとも、大丈夫?」
妹「おかえりんこ」
母「ただいまりりんもんろー」
妹「チッ」
母「舌打ちするなや」
兄「今日は夜勤のはずじゃないか母さん」
母「警察から連絡貰ったから慌てて帰ってきたのよ」
妹「見ての通り無事だよ」
兄「シャツは無事じゃないけどね」
母「ウフフ、お母さん譲りねぇ」
妹「えへへ、あたしお母さんみたいにズボン張り裂けることできないよぉ」
兄「あはは、俺も二メートルの母さんほどでかくないよ」
プルルル ピッ
母「はい。え?侵入者が?」
母「また行かなきゃいけないわ…ちゃんと戸締まりしてね」
妹「はーい」
兄「気をつけて、母さん」
母「行ってくるわ」ガチャ
妹「お兄ちゃん」
兄「ん?」
妹「お母さんって、なんの仕事してるんだろ」
兄「そう言えば教えてくれないな」
妹「今侵入者って言ってたね」
兄「母さんはわりと凄い人なのかもな」
妹「ね。普段はあんなに線が細いのに」
兄「じゃあ、もう寝るか」
妹「うん。明日も学校だもんね……ね、お兄ちゃん」モジモジ
兄「ん?」
妹「あの…い、一緒に寝てくれない?なんか、さっきのあれで…」
兄「添い寝は駄目だ」
妹「あぅ」
兄「覚えてるか。悪夢を見て横にいた俺をとんでもない力で締め付けたこと」
妹「はい…」
兄「危うく、リアルでお腹と背中がくっつくことになりそうだった」
妹「ごめんなさい…」
兄「だが、寝るまでそばにいるぐらいならしてやろう」
妹「ほんとに!」パァ
兄「ああ。俺に二言はない」
妹「ありがとう!早く来てよ、お兄ちゃん!」グイグイ
兄「こらこら引っ張るな。腕が千切れる」
妹「お兄ちゃんも力出せばいいのに」
兄「妹の手を粉砕したくはないからな」
妹「うふふっ、優しいお兄ちゃん大好き!」
兄「ははは」
妹「」モゾモゾ
兄「電気消すぞ」パチンパチン
妹「ね、お兄ちゃん。なんか武勇伝話してよ」
兄「またか。面白いものかどうかはなはだ疑問なんだが」
妹「そんなことないもん。中等部までお兄ちゃんの噂が流れてくるよ」
兄「女子は噂好きだな」
妹「そんなことより、なんか話して!」
兄「分かった分かった。じゃあ、バイクと戦った話を」
妹「もはや人間じゃないんだね」
―――
兄「委員会が長引いてしまった」スタスタ
キャー!ヒッタクリー!
兄「む」
引ったくり犯「ヒャッハー!かばんは戴いたぜー!」
引ったくり犯2「追いかけられるもんなら追いかけてみろよババア!」
兄(ふむ、こちらへ近づいてくるな)
引ったくり犯「オラオラどけどけぇ!!」
引ったくり犯2「ひいちまうぞー!!」
兄「……」
引ったくり犯2「どk」
兄「フゥオオオオオ!!」ビリビリ
グシャッ
―――
兄「――バイクは廃車に、犯人は軽いむち打ちを起こして――」
妹「すやすや」
兄「寝たのか。話が長かったようだ」
兄「おやすみ……おっと」
兄「そういえば妹も電気紐を電気鎖に変えたんだな」
兄「成長したな、妹」
翌朝
妹友「オハヨー!」
妹「おはよう、妹友」
妹友「あれ?今日はお兄さんいないんだ」
妹「うん、委員会あるから先に行っちゃったよ」
妹友「なんだ……がっかり」
妹「お兄ちゃん好きだね」
妹友「ギャップ萌えっていうの?普段は普通なのに非常時は劇画タッチになるのがキュンとくる」
妹「普段のお兄ちゃんも十分カッコいいよ」
妹友「当たり前だよ!二面性っていうかさー」
妹「!」ハッ
変質者「ゲヘヘヘ」ザッ
妹友「キャア!?」
妹「最近話題のソーセージおじさんだ!」
変質者「おじちゃんのソーセージが見たいか?おじちゃんのソーセージが見たいか?」
妹友「に、逃げよう!ヤバイってこの人!」
妹「問題ないよ」ミキメキ
妹友「妹、顔が――!」
変質者「ヒッ!」
妹「ひき肉にしてカレーにぶちこんでやろうか……」ドドド
変質者「お、お巡りさーん!」
妹友「おめーがお巡りさんに捕まる側だバーカ!」
妹「ふぅ」
妹友「あのごめん、劇画タッチから普段に早く戻ったらどうかな」
妹「変かな?」
妹友「影の濃い顔とセーラー服着た華奢な身体が一致してない」
妹「あー、これは頭髪検査に引っかかるかなぁ」カガミ
妹友「どういう理由で引っかかるの…」
妹「ちょっと待ってて」ゴキメキ
妹友「うわぁ、まさか骨格変えてんのそれ」
妹「うーん、位置を戻している感じかな」
妹友「なるほど分からん」
妹「さ、行こう」
妹友「ビフォーアフターが激しすぎて匠もびっくりだわ」
妹「やっと学校ついた」
妹友「うん」
妹「ジャージに着替えないと」
妹友「あんたもいちいちジャージ着るなんて大変だね」
妹「ふとした弾みで制服破れちゃうからさ…新調するのも面倒で」
妹友「掃除の時間に机持ち上げた瞬間とかね…」
妹「そのぶんジャージはある程度伸びるからいいけど」
妹友「もうそのジャージ伸びきってるよね。ダボダボだよね」
妹「まだ頑張れるよ!」
妹友「もう休ませてやれよ!」
高等部
友「ああああああ兄ーーー!!」バタン
兄「どうした」
友「やばいって!マジやばいんだって!」
兄「まあ、やばさは通じたが」
友「ああもう分かってくれよ!」
兄「俺は超人じゃないからな…」
学級委員「あらあら兄に友。朝から賑やかかしら」
友「あっ!百人話してきたら一人に返答できる学級委員!」
兄「普通じゃないのかそれ」
学級委員「いたって普通かしら」
友「学級委員なら分かってくれるよな!やばいんだ!」
学級委員「えっ!?他校の不良リーダーが兄を呼べって校門で騒いでいるですって!?」
兄「通じた」
学級委員「数分前に聞いたばかりだから当てはめただけかしら」
友「でも合ってる!」
兄「しかしとんでもない時間ロスだったな」
学級委員「かしら」
校門
ザワザワ
不良「オラァ!兄はどこだ!!」
生徒「どうする…この学校のヤンキーことごとく倒されたぞ…」
生徒b「授業サボってシガレットチョコくわえてる連中だぜ、弱いに決まってんじゃん」
生徒c「おっ!兄が来たぞ!」
兄「……」ズンズン
学級委員「なんで柔道部じゃないのに柔道着着ているのかしら?」
友「本気出すと破いちゃうから制服じゃやばいんだよ」
学級委員「なるほどかしら」
兄「貴様か、俺を呼んだのは…」ゴゴゴゴ…
不良「ああん?誰だよ?」
兄「貴様にご指名された兄だ」
友「そんなキャバクラみたいな言い方しなくても」
不良「ヒャッハッハ!てめぇが兄!?なめてんのかッッ!」
兄「何がだ。俺はなめてなぞいないが」
不良「てめえみたいなモヤシっ子がウチの子分やったってか!?」
友「何をしたんだ、兄」
兄「……ああ。女の子が絡まれていたから助けた」
友「ベタだな」
兄「その時イライラしていたから全員の肩の関節外してしまったんだったか…」
友「容赦ないのな!」
兄「すぐ戻るようにはしておいたんだが」
友「そういう問題かしら」
学級委員「真似しないでくれないからし」
友「え?」
不良「はっ、まあいい!オトシマエはキチンとつけて貰うぞ!」
友(負けフラグじゃないかこれ)
不良「うりゃああああ!!」ブンッ
兄「っ」ズサササ
生徒「兄が腕をクロスにしてパンチを受け止めたッ!!」
生徒b「そして勢いで後ろに下がった!地面がちょっと抉れてる!」
生徒c「すごい脚力ですねぇ」
友「解説乙」
兄「これっぽっちか」
不良「何?」
兄「貴様はこんな弱いパンチで満足しているのか」
不良「弱いだと!?」
兄「俺の母親のパンチのほうがまだ重い……」
学級委員「お母さまも強いのかしら?」
友「以前あいつの両親が喧嘩して廃ビルを一晩で平地にした」
学級委員「……」
友「鉄骨が、さ…粘土みたいに曲がってた…」
学級委員「かしら…」
不良「これならどうだ!!」ババババ
生徒「おおっと!連続パンチが!」
生徒b「しかし兄、その全てを弾いています!」
生徒c「激しい攻防ですねぇ」
兄「次はこちらから行くぞ―――」
兄「ハァァァァァァ!!」グワッ
友「マッチョ化キター」
学級委員「な…どこからこんな筋肉が…」
友「普段は抑えてるんだよ」
学級委員「抑えてるの!?筋肉を!?」
友「世の中には深く考えてはいけないものがあるんだぜ?」
学級委員「わ、分かったかしら…」
不良「な、な、な……」
兄「怖じけついたか」
不良「あの、身長伸びてません?」
兄「気のせいだ」
不良「ペンタッチも変わってません?」
兄「気のせいだ」
不良「えっとですね、そのぉ、なんといいますか」
兄「なんだ。ハッキリと言え」ゴゴゴゴ…
不良「すいやっせんっしたーーーー!!」ドゲザ
生徒「おおっ、ジャンピング土下座が出た!」
生徒b「ガタガタ震えているぞ!小便やお祈りは済んだのか!?」
生徒c「下手にでましたねぇ」
兄「もう二度と……人を困らせないと誓うか」
不良「誓います!」
兄「ならば貴様の被害を食らったあいつらに謝れ」
不良「はい!分かりました!」
兄「シガレットチョコと酢昆布をやれば許してくれるだろう」
不良「アドバイスありがとうございやす!」
学級委員「すごい…兄くん、まるで雰囲気が違うかしら」
友「まあ体型もやばいぐらい変わってるんだけどな」
兄「一件落着か」
友「お疲れ」
兄「戻ろう、もうすぐ鐘がなる」スタスタ
友「やばいやばい」スタスタ
男子「兄さん…」キュン
体育教師♂「兄…」キュン
不良「アニキ…」キュン
学級委員「なにかしら、この薔薇園空間」
一口メモ
兄の筋肉は時に老若男女問わずメロメロにさせちゃうよ!
多分続く
中等部
教師「バドミントンすっぞー」
妹「タブリスだって」
妹友「ダブルスね。なにその使徒みたいなの」
体育会系「妹ォ!」
妹「わっ」
体育会系「バドミントンは俺様の得意な競技…!」
妹「はぁ」
妹友「へー」
体育会系「今までの雪辱、晴らしてやる!!」
妹友「妹ー、行ったよー」
妹「はーい」パコン
体育会系「聞いてよ!!!!」
妹「今まで体育会系くんと何かしたっけ?」
生徒「バスケ、持久走、、三歩当て、テニス……全てに負けたんだよ!!」
妹友「まああれはテニスというよりかテニヌだったからね」
妹「穴が空いた地面直すの大変だったよね」
妹友「まったくよ」
体育会系「今日こそギャフンと言わせてやる!!!!」
妹「ギャフン」
体育会系「そういうんじゃなくて!!!」
妹友「ウッゼーこいつ」
妹「ダブルス?」
体育会系「違う!!!シングルだ!!!」
妹友「うるせぇ!叫ぶな!!!」
体育会系(シングル!!!)
妹友「こいつ直接…いや、無駄な芸当入れるな!」
教師「お前らダブルスでやれよ」
妹「一度だけシングルでやらせてください、先生」
妹友「いいの?」
妹「来るもの拒まず、去るもの追わず―――これが、わたしの家の家訓だよ」
妹友「へ、へぇー」
体育会系「先生!!しゃっす!!」
教師「やれやれ…じゃあ、熱い要望にお答えして先生が審判だ」
妹友「点数係りは私で」
妹「覚悟はいい?」ヒュンッヒュンッ
体育会系「お前のほうがな!!!!」
教師「それじゃ…始めッ!サーブは体育会系!」
体育会系「そぉぉぉぉぉい!!」パコン
妹「そこだっ!!」キュッ
バッコン
妹友「……」
教師「……」
妹「……」
体育会系「……」
妹友「羽、どこいった?」
妹「か、壁に突き刺さってる…かな」
教師「えー……体育会系に一点」
体育会系「先生!!!もう負けたってことでいいです!!!」
妹「まだ勝負は始まったばかりだよ?」
体育会系「死ぬわ!!!羽が突き刺さって死ぬわ!!!!」
妹「今のはちょっと力みすぎちゃっただけで」
妹友「ちょっと、なのか」
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません