男「パンツ見せてください」転校生「バ、バカじゃないの!」(930)

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の続きです。
こんどこそ落ちないようにがんばります

~レストラン~

転校生「おいしいっ! これならいくらでも食べられるわ!」

男「どんだけ食うんだよ・・・太るぞ」

男(お前は人間火力発電所か)

転校生「女の子は太らない生き物だから気にしない!」

男「なにそれこわい」

男(その発言は確実に全世界の何割かの人を敵に回してる気がするが)

転校生「すいません! これください!」

男「まじで底なしだな・・・」

―――――


転校生「ふぅ~お腹一杯。しあわせ~」

男「本当に品がな・・・」

転校生 ギロッ

男「何も言ってません許してください」

転校生「そういえば、あんたの行きたい所言ってなかったわね。そろそろ行く?」

男「それもそうだな。それじゃあ向かうとしようか」

転校生「うん。ところであんたの行きたい場所って?」

男「ブックオ○です」

転校生「・・・」ジトー

男「おいなんだその蔑んだ目は。いいじゃないかせっかく近くまで来たんだから」

転校生「ホント、男女二人で行くところじゃないでしょ・・・まぁ今回は特別についてってあげる」

男「元よりその予定だろ」

―――――



~○ックオフ~

男「さて・・・俺は気になるマンガ探してくるから適当にしてくれ。んじゃ」

転校生(男の行きたい場所っていうから気になってたのに・・・)

転校生(それがよりにもよってブック○フなんて! せっかくの二人きりが台無しじゃない・・・)

転校生(ってこれは違う!今日はただあいつに買い物に付き合ってもらってるだけで他意なんて全くない!)

転校生(・・・仕方ない。私も適当に読もう・・・)

「あれ、もしかして彼女一人?」

転校生「?」

~10分後~

男(うーん。流石に見つからなかったな・・・ 転校生を待たせるわけにいかないしそろそろいこうかな・・・)

「いいじゃん~ 俺達と遊ぼうよ~」

「絶対俺達と一緒の方が楽しいって!」

転校生「あの・・・だからいいですって・・・」

男(!?)

男(なんだあのベタなナンパ。そしてベタな転校生の対応)

「なんでぇ~? 君みたいな子を待たせるヤツなんてロクなやつじゃないだろ」

転校生「そんなこと言わないで!」

「あぁ~?なに生意気なこと言ってんだ?」

「どうせなら無理矢理にでもついてこさせるか」

転校生「や、やめて!」ガクブル

男(・・・)

男(仕方ない、助けるか。あいつ涙目だし)

男(俺の対応もベタだなぁ・・・)

男「すいません。ウチのツレが迷惑かけたみたいで」

転校生「ちょっ、男」

「あ?何だお前」

男「すいません。これから急ぎの用があるので」

男「・・・少し走るぞ」ボソッ

転校生「え、あ、ちょっと!」

「あっ!まて!」

転校生(地味に手、握ってるし・・・)

転校生(・・・)ニコッ

―――――

男「ふぅ・・・大丈夫か?」

転校生「少し・・怖かった」

男「悪かったよ。俺がお前を一人にしたのが間違いだった」

転校生「別になんとも思ってないわ」

転校生「でも・・・ありがと」ボソッ

男「ん?なんか言ったか?」

転校生「」カァァ

転校生「何も言ってないバカ!」

男「おぉ。そりゃ悪かったわ」

転校生「ほんと、バカなんだから・・・」ボソッ




女友「確かに親しすぎるけど・・・多分大丈夫でしょあの二人」

女「だから私は最初からそう言ってるのに・・・」

女友「まぁでも、これからは注意が必要ね・・・ 女はもっと積極的にならなきゃ」

女「無理だよぉ・・・ 絶対緊張しちゃってまともに話せないし、それにまだ・・・」

女友「・・・まずはそこからよね。それは女の気持ちの整理がついてからでいいと思う」

女友「でも、できるだけ早くしたほうがいいのかもね」

女「うん・・・」

―――――


転校生「今日はその、ありがと」

男「おー別に構わんぞ。正直○リキュア見れなかったのが辛いが」

転校生「・・・マジでキモい」ササッ

男「引くなよ。プ○キュア面白いだろうが」

転校生「いやそこはせめて否定しなよ・・・」

転校生「まぁいいわ。それじゃあまた明日」

男「ちょっと待て。一つ聞きたいことがある」

転校生「? 別にいいけど」

男「お前の家ってモデルって言うか、見本とかがあったりするか?」

転校生「いや、ないけど・・・ どうかしたの?」

男「いや、何でもない。それじゃあな」

転校生「うん。また明日」

男(転校生の家に見覚えがあるってことはモデルがあって、俺自身そのモデルを見たことあるのかと思ったが・・・)

男(これは結局違うことだと分かった。ならば、もしかして俺は転校生の家に昔に行ったことがあるのか?)

男(まぁ、こればっかりは考えても仕方ない。勘違いだったら嫌だしな)

【罰】


~昼休み~

黒髪「おっ、いた。ドスケベ風呂覗き未遂野郎」

男「女の子が昼食時にこの様な虚位で卑猥な発言をするのはいかがなものか」

友「事実だからな」

黒髪「事実だからね」

男「・・・それで何? 俺今日は何もしてないけど」

黒髪「露骨に話題逸らした。まぁいいや、今日はこれからしてもらうから。罰を」

黒髪「露骨に話題逸らした。まぁいいや、今日はこれからしてもらうから。罰を」

黒髪「露骨に話題逸らした。まぁいいや、今日はこれから受けてもらうから。罰を」

男「えっ?罰?」

黒髪「うん。罰」

男(罰って言えば、☓☓☓な事や☓☓☓な事が起こるのか!?)

黒髪「・・・その顔はろくな事考えてないよね」

友「十中八九そうだと思う」

男「お前らまるで俺が犯罪をしたみたいな感じで見るなよ!」

黒髪「犯罪しかけたでしょ」

男「あれは犯罪では無い。聖域を目指した俺達のゆめ・・・危ねっ!」シュッ

男「・・・顔めがけて正拳突きするの止めてください」

黒髪「君が少しふざけた事を言うからだよ・・・ とりあえず放課後教室に残っておいて」

男「すいません今日はアンパン○ンを見なければ・・・」

黒髪「教 室 に 残 れ」ギロッ

男「はい」

友(完全に下になってるし男・・・)


~放課後~

黒髪「待たせたね。それじゃ行こうか」

男「行くって・・・どこにだ?」

黒髪「それは―――」

―???―

男「・・・帰ってもいいか」

黒髪「ダメ。君には罰を受けてもらわなきゃいけないから」

男「謹慎って処分受けたじゃねぇか。それ以上に何があるんだ?」

黒髪「君は首謀者の一人として罪を特に重くさせようという会長からの決定なの」

男「げっ!?先輩が言ったのか!?だったら石井もこの場にいるべきなんじゃないか?」

黒髪「・・・そいつはだれだ?(棒)」

男「おい、急に知らないフリするな」

黒髪「だってあいつは思いつきで出しただけで他の話では出すつもりは―――」

男「メタ発言はやめろ!」

黒髪「・・・ゴホン。では改めて、入ってもらおうか」

ガチャ


会長「――――ようこそ、生徒会室へ。男クン」

―生徒会室―


男「・・・で、罰って何ですか?」

会長「簡単よ。今日一日生徒会の仕事を手伝ってもらうだけだから」

男「・・・へ?それだけですか?」

会長「不満かしら?何なら3日でも一週間でも伸ばしてあげるけど?」

男「今日一日精一杯お手伝いいたします」

会長「じゃあ、主に会計の黒髪のサポートをしてもらうからね」

~~~~

黒髪「という事でよろしく」

黒髪「最近色々と忙しくて書類の整理とか終わりそうにないから、それを手伝ってもらう」

男「色々と忙しいって、行事とかは近くでは無いと思うが」

黒髪「プリンの件とか修学旅行の処分とかで忙しかったんだけど」ギロッ

男「すいません」

会長「さすが問題児クン♪」

男「やめてくださいよ先輩」

黒髪「・・・とにかくやるよ」

男「はいはい」

~10分後~

黒髪「・・・」ジー

男「なぁ、やりにくいんだけど。あと働け」

黒髪「サボらないか監視してるの」

男「サボるわけないだろ」

会長「フフフ・・・」ニコニコ

男「・・・サボるわけないだろ」ブルッ

黒髪「でも感心した。意外と真面目にやるんだ」

男「結構こういうの慣れてるんだよ」

会長「男クンには中学の時よく友と妹と一緒に仕事手伝ってもらってたからね」

男「あれは手伝うって言うよりきょうせ―――」会長「何か言った?」ニコニコ

男「何も言ってません」

黒髪「なるほど。だからこんなに手際が良いんだ」

男「よしよし感心しろ」

黒髪「うるさい覗き魔。仕事続けるよ」

男「お前さっきまでやってなかったじゃねぇか」

~20分後~

男「・・・結構終わったな」

黒髪「そうだね。あと半分やれば終わりかな」

男「だったら休憩してもいいか? さすがに俺も疲れてきたぞ・・・」

黒髪「だったらお茶でも淹れるよ」

男「助かる」

~~~

黒髪「はい。紅茶で良かったよね」

男「ん、さんきゅーな」


黒髪「・・・そういえば君ってさ、普段なにしてるの?」

男「寝てゲームして寝て漫画読んで寝てプリキュ〇見て寝てるな」

黒髪「要するに暇人ってことだね・・・」

男「何が暇人だ。充実しまっくて時間無さ過ぎて困ってるぐらいだわ。だからもう帰らせろ」

会長「・・・」ニコニコ

男「」ブル

男「で、なぜそんなことを聞く」

黒髪「んー気になるから?」

男(ブッ!!)

男「・・・おいおい、そんな事を男に言うと勘違いするからやめとけ」

黒髪「別にいいよ?君になら勘違いされても」

男「ブッ!!だからやめろ!」カァァ

黒髪「・・・プッ、やっぱり面白いね君は」クスクス

男「・・・何が言いたい」

黒髪「からかっただけ。君の反応見てて面白いから」

男「はぁ~ そういう冗談は心臓に悪いからやめろよ・・・」 

黒髪「別に冗談じゃないけど」ボソッ

男「? とりあえず休憩はここまでにして仕事に戻ろうぜ」

黒髪「そうしようか」

会長「・・・」ニヤニヤ

コンコン

会長「ん? どうぞ」

後輩「失礼します・・・ってなぜ覗き魔がここにっ!」

男「人の事を見るなり犯罪者呼ばわりするな。ついでに未遂だ。そこんところハッキリしろ」

後輩「それでも変態には変わりないです。この変態覗き魔」

黒髪「変態」 会長「変態クン♪」

男「」イラッ

男「だぁーーーー!! 人の事変態変態言いやがって!そうだよ、俺は変態だ!それがどうした!男はみんな変態だ!」

男「この世に変態でない男はいない!男という生き物は生まれた時からみな変態であり、変態であることを宿命づけられているんだよ!」

会長「そろそろ静かにしないと・・・仕事増やすよ?」

男「すいません。変態は俺だけです」

会長「うん、それでいい」ニコニコ

後輩「変態は無視して・・・お姉ちゃん今日の夕食何にする?」

男「わざわざ聞きに来るのかよ」ボソッ

黒髪「恒例行事」ボソッ

男「へぇ~」

後輩「―――じゃあ、豆腐を使った料理とかでいい?」

会長「うん、それでお願い」

男「・・・意外だな、お前料理できるんだな」

後輩「それは聞き捨てなりませんねぇ変態の男先輩。私の料理の腕はお姉ちゃんも認めるほどですけど?」

男「ふーん。てっきりいつもみたいにヘマやって失敗してそうなイメージあったけど?」

後輩「うるさいですっ!できるって言ったらできるんです!」

男「あー? それなら―――」

ワーワーワーワー


黒髪「・・・これいつもですか?」

会長「そうだよ~うちの妹と男クンは仲良いからねぇ~」

男「仲良くありませんっ!」後輩「仲良くないよっ!」

黒髪「仲良いですね」

会長「でしょ?」

~~~~

後輩「はぁ・・・もう埒が明かないんでもういいです・・・」

男「それもそうだな・・・」

後輩「じゃあお姉ちゃん先に帰るね。それと黒髪さんもお疲れ様です」

会長「うん。気を付けてね」

黒髪「ん。じゃあね」

後輩「・・・後、変態の男先輩」

男「変態を撤回しろ変態を」

後輩「・・・プリンの時の約束覚えてますよね・・・」ボソッ

男「ん?なんて言った?よく聞こえなかったぞ」

後輩「」ブチッ

後輩「この間なんでもするって言いましたよね!それ使ってこれまでの仕返ししてやるから覚悟しといてください!それじゃ!」

バタンッ!

男(・・・ェー)

会長「まったく罪作りな男だねぇ・・・」

男「事情があったんですよ・・・」

黒髪「それズルいなぁ・・・その約束私ともしない?」

男「物騒なことを言うな」


~30分後~


男「これで終わりだな・・・ふぁ~疲れた」

黒髪「お疲れ。もっとかかるけど思ってたけど案外早かったね」

黒髪「どうせなら明日もやってかない?」

会長「というか生徒会入っちゃう?」

男「やらないし、入りません。俺の体が持ちません」

黒髪「残念ね。君がいたら私も嬉しいけど」

男「もうその手には引っかからないからな」

黒髪「チッ・・・」

男「露骨に舌打ちするな。怖ぇよ」

黒髪「・・・とにかく、今日は本当に助かったよ」

黒髪「ありがとう」ニコッ

男「」ドキッ

男(その笑顔はやめろ!)

男「・・・まぁ、会長に言われてやったことだし、その・・・感謝されることでもねぇよ」カァァ

会長(素直じゃないわね・・・)ニヤニヤ

黒髪「・・・まぁ、そうだよね。じゃあ、またね」

男「おう、またな。先輩もお疲れ様です」

会長「うん。またよろしくね~」

男(おい、またってどういうことだよ・・・)

ガチャ


男(勉強以外で机に向かうのは久々だったから本当に疲れたな・・・)

男(先輩のことを手伝ったのは中学の時以来だったか)

男(・・・あの頃は先輩や後輩、そして友には随分助けられたな)

男(それが無かったら俺は腐ったまんまだったのかもな・・・)

~1時間前~

男(今日も学校が終わった)

男(転校生に朝から好きなお菓子についてしつこく聞かれたり、昼に友と昼食をとろうとすると黒髪がいきなり昼食に誘ってくるし)

男(黒髪が脅しをかけてくるので仕方なくついて行ったら後輩に会ったので適当に遊んどいた)

男(そして友と下校。帰り道で偶然会った石井に今日一日の出来事をかいつまんで話してみた。石井は泣きながら走り去っていった)

男(そう考えてみれば俺の学校生活中々に凄かった。つか異性と関わる機会多すぎない?)

男「ただいま帰りましたよっと」ガチャ

シーン

男「あれ、誰もいない・・・?」

男(ん?机の上に置手紙・・・?)ペラッ

『今日は女ちゃん家の両親と出かけます。夜ご飯は女ちゃんに作ってもらうことにしました。仲良くするのよ。母より』

ペラッ

男(なん・・だと・・・?)

男(今日は色々あったから俺は疲れているのかもしれない。もう一度見てみよう)ペラッ

『今日は女ちゃん家の両親と出かけます。夜ご飯は女ちゃんに作ってもらうことにしました。仲良くするのよ。母より』

男(・・・)

男「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

男(おい、ちょっと待てよ何してくれてるんだ家の親は!せめて金だけ置いていくとかできなかったのかよ!)

男(『仲良くするのよ』って絶対今仲良くないの分かって書いてるだろ!ふざけるな!子供の事情を考えろ!)

男(それに一つ屋根の下に高校生の男女が二人きりって過ちが起きても不思議ではないだろ!絶対起こさないけど!)

ピンポーン

男(GYAAAAAAAAAAAAAAAAA!!心の準備ができてねえええええええええええええええええ)

男(ここは平常心になれ俺。いつものクールな俺を演じるんだ。そうだ俺はクールなんだ)

男(いや、いつもの俺は全くクールでも何でも無かった。しにたい)

男(こうなったらヤケだ。どうにでもなれ)ガチャ


女「こ、こんばんは・・・」モジモジ

男「お、おう・・・」

~~~~

男(マジでこの状況辛い)

男(話す事は勿論、会うこともほとんどない俺達が二人きりでいなきゃならんのだ・・・)

男(俺らの間には色々あったし、それで気まずい関係になっているのに関わらず)

男(まぁ、問題はこの状況をいかにうまく掻い潜るかだ)


女(・・・)

女(どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう)

女(今日も一日男君に話しかけられないで終わっちゃうのかなって思ってたけど・・・)

女(まさか男君の家に言って夕食を作ることになるなんて・・・)

女(正直どうしようか迷ったけど、この機会を逃すわけにはいかないよね)

女(それに今の男君の周りには女の子ばっかり集まってきてるし・・・)

女(とにかく!今はがんばって夕食を作ろうっ!)グッ


男(何でガッツポーズしてるんだ)

~~~~

男(とりあえずこの固まった雰囲気を少しでも和らげたいが・・・)

男(やはりこの雰囲気を打破するには会話しかない・・・)

男(しかし、いいのか?俺が女に話しかけても)

男(・・・無理だ。あの頃の亀裂は消えるわけが無い)

男(あの出来事は確実に俺らの間を引き裂いた。そしてそれを引き起こしたのは俺だ)

男(俺が、女を拒絶したのに。)

?『・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・』

男(ッ!)ズキッ

男(ダメだ。その事を思い出すのはやめろ・・・!)ブンブン

女(・・・? どうしたんだろう男君・・・)

男(ここ最近では思い出すことは無かったのにっ・・・)

男(くそっ・・・頭が痛くなってきた)

男(・・・少し、休むか・・・)

男「・・・悪い、ちょっと上で寝てくる・・・作り終わったら、帰っていいからな・・・」

女「えっ?ど、どうしたの・・・大丈夫?」

男「あぁ・・・」



女(・・・あの男君の感じは、あの頃と一緒だ・・・)

女(あの男君を、一人きりにしちゃダメだ・・・)

―――――


幼男「ねぇ、きみってなんでいつもひとりですなばにいるの?」

幼女「・・・わ、わたし・・・おともだちいないから・・・」

幼男「じゃあ、ぼくとあそぼうよ!そっちのほうがおもしろいよ!」

幼女「で、でも・・・」

幼男「ほら、いこう?」スッ

幼女「・・・う、うんっ!」

―――――

男「う、ううん・・・?」

男(懐かしい夢を見たな・・・俺が初めて女と会った日)

男(あの時の俺と言ったら超アウトドア少年でものすごく純粋だった。どこで道を違えたのだろうか)

男(流石に一眠りしたら頭痛は収まったな・・・)

男「ん・・・?」

男(額の上に冷たいタオル・・・?)

女「あっ・・起きた?」

男「」

女「その、お、男君寝てる時凄くうなされて苦しそうだったから・・・迷惑だったかな?」

男(その上目遣いは卑怯だ)

男「め、迷惑じゃねぇよ・・・ありがとな」

女「」カァァ

女「う、うんっ・・・と、ところで夕食はオムライス作ったけど・・・どうする?」

男「あぁ、いただくわ」

~~~~

女「一応温めたけど、少し時間経っちゃったから味は少し落ちちゃうかもしれないけど・・・」

男「構わねぇよ。いただきます・・・」

女「うん・・・」ジー

男「ん・・・うまいなっ!」

男(本当にうまい。冷めたとは言うがオムライスからは確かな温かさが感じられた)

女「ホ、ホント?」

男「おう、ホントにうまいぞ」

女「よ、よかったぁー」ボソッ

~~~~

男「ごちそうさん・・・」

女「ん・・・あ、お皿は洗うからね」

男「いいよ、それぐらい。お、女は夕食作ったりして疲れてるだろ?」

女「ううん、大丈夫。男君の方が体調悪いでしょ?ここは私がやるから」

男「おう・・・頼むわ」

女(やっぱり男君は変わってない。男君は自分を犠牲にして周りの人の為に動いてる)

女(私の時も無茶なことをして、辛い事は自分だけ背負って・・・そうして私の事を助けてくれた)

女(その男君に私は何もしてあげられなかった)

女(今だってそう・・・さっき凄く辛そうだったのに、私の為に動こうとしてくれた)

女(・・・あの時、悪かったのは私だ―――)

―――――

転校生「ったく、男ってば好きなお菓子聞いてもいつも曖昧にして答えてくれないし・・・何作ろう」

転校生「・・・たまには料理本に頼るのもいいかもしれない」

転校生「・・・料理本どこやったっけ?・・・探そう」


ガソコソ


転校生(うーん。中々見つからないわね・・・)

ガサッ

転校生(? この赤い本?というか・・・アルバム?)

転校生(あんまり見覚えがない・・・)

転校生「ちょっと見てみよっ」ペラッ

転校生「わぁー! これって私の小さい時の写真じゃない!」

転校生(そういえば、小さい時はよく写真撮っていたなぁ)

転校生「ん?」

転校生(あるページから男の子とよく写っている写真が多くなってきた)

転校生(さらにそれは全て同じ男の子だ)

転校生「私にもこんな時期があったのね・・・んん??」

転校生(この顔どこかで見覚えがあるわね・・・)

転校生「って、これはまさか・・・―――」


前から思ってたことけど今回でかなりニセコイっぽくなったな

かぶらないようにしてほしいなー

【花火】

男(7月下旬・・・日差しの強い暑い季節だ)

男(暑いという事は人は薄着になりやすい。つまり・・・)

男(薄着の女子が増える!ついに俺達の夏が来た!)

男「・・・暑い」

友「悪いな。エアコン壊れててな・・・」

男(しかし現状は厳しく、友の部屋で男二人勉強しているところである)

男「いやさぁ、俺が宿題写させてくれって言ったんだからこれぐらいは我慢するわ」

男(現在学生の俺達は俗に言う『ぼく○なつやすみ』というやつである。ただし絵日記はつけないし、虫相撲はしない)

友「まぁ、それもそうか。扇風機だけで我慢してくれ」

男(かくいう友は雰囲気が涼しそうだ。つうか爽やか)

男(イケメンスキルはここでも出るのか。滅びてしまえ)

男「・・・ちなみにお前、夏休み予定あんの?」

友「予定らしい予定はないが・・・」

男(こういう所は好感持てる。素敵!)

友「・・・姉さんと夏祭りへ行きたいと思ってるんだ」カァァ

男「あーいいんじゃないいけばいいとおもうよ」(棒)

友「それなんだけどな・・・実はできるだけ後輩も連れて行きたいと思ってるんだ」

男「えーなんで」(棒)

友「実は昔から三人で一緒に言っている夏祭りがあってな。俺個人の理由で後輩を置いていきたくないんだ」

男「なるほどな・・・で、それをどうするんだ?」

友「・・・男、一緒に来てくれないか?」

男「えっ?」

友「だから、男にも一緒に夏祭りに来て欲しいんだ」

男「それってどういう事だよ・・・」

友「夏祭りで姉さんと二人きりになって、俺はそこで・・・」

友「・・・告白しようと思ってる・・・」

男「つまり、後輩のお守りにつけってこと?」

友「その言い方は良く無いだろ・・・まぁ、そういう事だ」

男「・・・仕方ねぇな。ようやくお前も決意したんだ。手伝ってやるよ」

友「ああ。ありがとな。後輩には俺から説明しておくから」

男「それじゃ、宿題に戻りますか」

―――――
~夏祭り当日~


友「今年も凄く賑やかだな・・・」

会長「そうね。楽しみ」

後輩「今年も絶対金魚たくさんとるぞ・・・」

会長「後輩ってばホントに金魚好きよね」

後輩「見てるだけで癒されるんだよね~」

友「あんまりとり過ぎないようにしろよ」

後輩「分かってるってお兄ちゃん」

男「・・・」


男(いづれぇ・・・)

男(友と会長姉妹が三人並び、その後ろに俺がぽつんと一人いるような形で歩いている)

男(友は甚平に身に纏い、和のテイストを用いたイケメンにできあがっている。爆発しろ)

男(会長は花模様の鮮やかな着物に、いつもは結んでない髪を後頭部でお団子を作っている)

男(整った容姿とうまく合い、すごく綺麗だと思う。けどどこかちょっと怖い)

男(そして後輩は青を基調とした着物を着ている。正直お前は気合を入れる必要ないと思うが・・・)

男(こいつもこいつで容姿はかなり良い方だからな・・・こっちは可愛いって感じだが)ジー

後輩「・・・何、見てるんですか男先輩」

男「着物、珍しいと思ってな」

後輩「あー!やっと言いましたね!どうです私の着物姿は!」

男「んーそうだな。可愛いと思うぞ」

後輩「」カァァ

後輩「・・・お、おとこせんぱいが素直にわたしを褒めた・・・」ボソボソ

男「? 友と会長先行ってるぞ」

後輩「あっ!待ってください先輩~!」

~~~~

会長「そういえば友は今年は林檎飴は食べないの?」

友「勿論食べるよ。ただ今年は色んな回りたいから後回しで良いよ」



後輩「・・・二人、いい雰囲気ですね」コソコソ

男「そうだな・・・そろそろ頃合じゃないか?」コソコソ

後輩「そうですね・・・」コソコソ

男(俺と後輩は自然にはぐれたことを装い、友と会長を二人きりにする予定である)

男(友は花火が打ち上がったと同時に告白をするらしい・・・ロマンチックだな・・・)

男「じゃあ行くぞ・・・」コソコソ

後輩「はい・・・」コソコソ

会長「あれ?後輩と男クンは?」

友「・・・どうやらはぐれたようだな。俺が連絡取るよ」

会長「ん、お願い」



友『・・・もしもし』

後輩「どう?うまくいった?」

友『ああ。それじゃあ、前言った所で待ち合わせだから』

後輩「分かってる・・・お兄ちゃん」

友『ん?なんだ?』

後輩「告白、がんばってね」

友『・・・ああ』

後輩「それじゃ、またあとでね」


後輩「うまくいったみたいです」

男「そうか。さて、俺らはどうする?」

後輩「そうですね・・・まずは金魚すくい行きましょう!」

~~~~

男「お前どんだけとるんだよ・・・屋台のおっさん泣きかけてたぞ」

後輩「だから選りすぐりの3匹だけを持ち帰ることにしたんですよ」

男(どこを選りすぐってるのか俺にはさっぱり分からない・・・)

男「お前の用事も終わったし、後は適当にぶらつくか」

後輩「だったら私綿菓子食べたいです!」

男「ガキかよ・・・じゃあ行くぞ」

後輩「ガキとは何ですか!見えて私だってC―――」

後輩(って何言ってるんだ私!?)カァァ

後輩「・・・何でもないです早く行きましょう」

男「? 変なヤツだな」


後輩「あまくておいひぃでふ」

男「食いながら喋るな・・・」

後輩「んっと・・・お金本当にいいんですか?」

男「いいよこんぐらい。男と二人きりでいるなんて嫌だろ? それのせめてのお詫びって事で」

後輩「別に・・・男先輩と一緒なんて嫌じゃないです・・・むしろ・・・」ブツブツ

男「何? 声小さくてよく聞こえないが」

後輩「なんでもないです。次、行きましょう」ニコッ

男「お、おう」

男(こいつも容姿は整ってるから不意にこういう笑顔されるとドキッとするんだよな・・・)

男(って、そういえば俺後輩の連絡先知らねぇじゃねぇか・・・)

男(困ったな・・・もうすぐ花火が上がるから人込みもさっきよりすごい事になってるしな)

男(友に連絡しようにも二人の邪魔はしたくないし)

男(詰んだ・・・)

男(まぁ、とりあえず探すことにするか・・・)


~~~~

男(しばらく探したが見つからんぞ・・・)

男(まったく、どこいったんだよ)

男(ってあれは―――)


>>80
転校生 女 黒髪 後輩 のどれかでお願いします

話飛んでない?

>>75
失礼しました ありがとうございます
>>72>>73の間に↓をお願いします
~~~~

後輩「先輩っ!次たこ焼き食べましょうっ!」

男「ちょっと待て。まだ焼きそば食い終わってないって」

後輩「早くしてくださいよー花火まで時間無いですよ?」

男「分かってるって」

~~~~

男「はぁ・・・」

男(散々後輩に振り回された・・・疲れた・・・)

男(後輩は・・・お好み焼き買いに行ったんだっけ?・・・)

男「ってあれ?」

男(気づいたら後輩いなくなってるし・・・とりあえず連絡取るか)カチッ

後輩

男(どうみても後輩・・・だよなー)

後輩「」キョロキョロ

男(しばらく観察してみるか)

後輩「」ウツムキ

後輩「」ウルウル

男(どうして泣きそうになってるんだよ・・・そろそろ行くか)

男「どこ行ってたんだ。探したぞ」

後輩「えっ・・・」ウルウル

後輩「せ、せんぱーい!」パァァ

男「えっ、何どうしたんすか」

後輩「私このまま一人だったらどうしようって思ったら・・・」

後輩「良かったです・・・先輩に見つけてもらって・・・」

男「お、おう・・・」

男(涙目でしおらしくそんな事言われたら思わず可愛いって思っちまうじゃねーか!)

男「・・・花火もうすぐ始まるぞ。どうする?」

後輩「え、あ、えと・・・いい場所知ってるんで、そこ行きましょう」

~~~~

男「おお!すごいな!見渡しがいい上に周りも騒がしくないな・・・よくこんな場所知ってるな・・・」

後輩「フフン。私の事を見直しましたか」

男(おなたの調子も戻って何よりです)

後輩「まぁ、とっておきはお兄ちゃんとお姉ちゃんに譲るけど・・・」

男「それもそうだろ。今日は友にとって大事な日だ。今日ぐらいは許してやってくれ」

後輩「そうですね・・・お兄ちゃん、うまくいくといいですね・・・」

男「ああ・・・」

<<皆様。お待たせしました。これより花火の打ち上げを行います>>

後輩「あっ、花火始まるみたいですね」

男「そうだな。こんなに近くで見るのは久しぶりだな・・・」

後輩「毎年すごいんですよ・・・楽しんでってくださいね」

男「なんで上から目線なんだよ・・・」

後輩「むぅーっ。こういう時ぐらいいいじゃないですか」

男「・・・ったくなぁ」

ドーンッ!!

男「始まったなぁ・・・」

後輩「ええ・・・」

後輩「・・・先輩」

男「・・・ん?」

後輩「・・・私、先輩と一緒に花火見れて良かったです」

後輩「というより、今日一日先輩とお祭りを回れて楽しかったです・・・」

男「そうか・・・そりゃあよかった」

後輩「ねぇ、先輩・・・」

男「なんだ?」












後輩「また・・・一緒に来ましょうねっ」ニコッ











男「―――」



男(今まで打ち上げられたものよりも一際大きかった花火。)

男(その花火の光に照らされた彼女の笑みはすごく魅力的で、とても眩しくて―――)

男(俺は、彼女のその笑顔を直視できなくて、何も言い出せなかった)

男(この胸の高鳴りが何を示すのかもわからない。だが・・・)

男(俺は、この感覚をずっと忘れないだろう。そう思った―――)









男「パンツ見せてください」後輩「な、何言ってるんですか!」








後輩ルートです。
この後ももう少し続く予定です(多分)

>>59 >>60
・・・多分ザクシャイン・ラブ言ってないんでたぶんセーフです・・・多分

男(夏休みもたいした出来事もそうそう無く・・・)


後輩『また・・・一緒に来ましょうねっ』


男(・・・無かったはず・・・)

男(ともかく!今日から晴れて二学期の始まりである)

男(クラスに着けば、周りの奴らは夏休みの思い出話に花を咲かせているようであり、何となく煩わしかった。リア充断固反対!)

男(勿論浮き足立った連中は、俺の傍にもいない訳が無く)

友「―――じゃあ姉さん、また後で」

会長「ええ、生徒会室で待ってるわ」

友「よう男、二学期早々冴えない顔してるな」

男「テメェのせいだよっ・・・」

友「?」

男(夏祭りの日。友の告白は見事に成功し、見事友と会長は付き合う事となった)

男(つか元々好き合ってた訳だしな。いわば出来レース)

男(その日の帰りはイチャイチャする二人の後ろを俺と後輩が微妙な距離感で追うこととなった)

男(あいつ・・・全く柄にも無いこと言いやがって)

男(って、いかんいかん、最近後輩の事を意識しすぎだぞ・・・)

ドカッ

男「いてぇっ!」

男(後ろから鈍器の様なもので殴られたぞ・・・)

転校生「・・・おはよ」

男「ってお前かよ・・・」

男(朝一鈍器殴打女、転校生の後ろには控えめにニコニコしてる女と今日も台本か何かを読みこむ女友の姿があった)

男(転校生は席に着くと、女と女友と何か話し始めた)

男(ともあれ、クラス自体の変化はそれほど無いだろう。石井の肌が焦げてるぐらい黒くなっているぐらいだろう)

男(おおよそ海まで女性の水着を見に行ったのだろう)

~~~~

男(始業式が終わると、休み時間に入り各々が動き始める)

男(昨日の深夜に最後の夏休みを楽しもうと漫画を読みふけった挙句、睡眠時間4時間という記録を残した俺はとてつもなく眠かった)

男(校長の話を全て寝ていて聞いてなかったまである)

男(とにかくだ。クラスが夏休みの話に気をとられている今。このチャンスを逃す訳にはいかない―――)

男(寝よう)

~~~~

男「ん・・・」

男(随分寝てしまったな・・・ 今はなにやってるんだ?・・・)

男(顔を上げて黒板を見つめてみると―――)

・文化祭実行委員 男

男「・・・んん??」

男(寝ぼけているのか俺。変な文字が俺の目に襲ってきたぞ)

男(もう一度目を擦ってしっかり見てみよう)ゴシゴシ

・文化祭実行委員 男
   \デーン!/

男「って、おいいいいいい!!!」

男(俺が実行委員!?思わずエガちゃん風にツッコんじゃったよ!)

転校生「何よその反応・・・」

男「だって、だってよ、委員会と無縁の俺が、俺の是非を無しに何で実行委員になってるんだよ!」

女「・・・ごめんなさい」

男「・・・えっ?」

女「立候補者が出なくて、適任の人を推薦してもらう事にしたらみんな男君を薦めたから・・・」

転校生「要は寝ているあんたが悪いって事よ」

男「嘘だろ・・・」

男(お前ら。本当に許さないからな。俺を実行委員を押し付けたの98% 女を困らせたの2%)

女「・・・という事で男君、放課後に集まりがあるから、その、よろしくお願いします」ペコ

男「・・・はぁ・・・」

男(こうなったらクラスでの催しを強制的にネコカフェにしてやるッ!・・・)

~~~~

男(SHRが終わり、重い足取りで文化祭実行委員ってやつの集まりへ向かう)

男(どうしてこんな事になったのだろうか。後悔は募るばかりだ)

男(テキトーに話聞いてテキトーに済ますか)

コンコン

男「失礼しまーす」

男(教室に入った途端、複数の人から視線を感じる。お前なんかお呼びじゃねーよ的な視線)

男(その中で一際強い視線を感じるその先には―――)

後輩「・・・」ジトー

男「げっ・・・」

男「げっ・・・」 

後輩「げっ・・・って何ですか」

男「お前何でここにいるんだ」

後輩「文実に決まってるじゃないですか。男先輩こそどうしてここに?」

男「そりゃあ文実に決まってるだろ」

後輩「えっ」

男「えっ って・・・失礼だろお前」

後輩「だって先輩絶対こういうのやらないタイプじゃないですか。どうして文実に?」

男「係り決めの時に寝てたら強制的に決まったんだと。俺だってやりたくはねぇよ」

後輩「はぁ・・・実に先輩らしい理由ですね」

男「お前はどうして文実に立候補したの?」

後輩「そりゃあ、お姉ちゃんと一緒の最初で最後の文化祭だからです」

後輩「お姉ちゃんが生徒会長として参加する行事としてはきっと最後ですから」

男「・・・そうか」

男(やっぱり文実になった誰もがこうやってはっきりと目標を持って参加してるんだよな・・・)

男(不本意とはいえ文実になったんだったら、少しでも全力を尽くすべきだよな)

後輩「あっ先輩、会議始まるみたいですよ・・・」

男「ああ」

~~~~

男(生徒会長である先輩の下会議が始まった)

男(生徒会も文実の一部として動くわけだが、生徒会には生徒会の仕事があるらしくて表立った仕事をすることはないらしい)

男(会議だが、まずは文実の中から代表者を決めることになったが、これは案外早く決まった。立候補者がいたからだ)

男(同じ二年の・・・名前はえーっと・・・忘れたから委員長でいいよ委員長で)

男(問題はその次だ。文実内での役割分担である)

男(装飾やら会計やら雑務やら色々あるみたいなんだが・・・

男(できれば簡単なのがいい。あれだぞ?サボりたいわけじゃないぞ?一生懸命やるぞ?できれば簡単なのがいいだけで・・・)

男(とりあえずどれが一番いいのか考えよう・・・雑務は響きがいいな・・・)

委員長「まずは装飾から決めようと思います。希望者はいますか?」

男(とりあえず装飾は駄目だ。絶対ヤバイ)

後輩「はいっ」

男(後輩・・・自ら死地に赴くとは・・・アーメン)

男(というか結構女子多めっていうか・・・)

委員長「他に希望者はいませんか?」

会長「あら、男クンいるじゃない」

男「」ビクッ

会長「装飾って結構力仕事もあるから大変なのよねぇ・・・」

会長「男手がいるのよ。ね、男君?」

男「そ、それなら別の男の人がいいんじゃないかと・・・」

会長「何言ってるの、男クン結構あるじゃない」

会長「そ・れ・に・・・ウチの妹も知り合いいた方がやりやすいと思うのよね・・・でしょ?」

後輩「わ、わわ私はべっ、別に男先輩いなくたって大丈夫だからっ」

委員長「じゃあ、男さんは装飾で決定で」

男「なんでや!俺まだ何も言って無いやろ!」

委員長「生徒会長の推薦もありますし、見てて煩わしいので」

男「おい待て個人の尊重ってのをだな・・・」

委員長「はい。次は会計ですが―――」

~~~~

~会議終了後~

男「・・・まぁ、仕方ないか」

男(全力でやると決めた以上、やるしかないな・・・)

トントン

男「ん?」

黒髪「やぁ」

男「お前か・・・どうした」

黒髪「サボりの常習犯が文実にいる事にビックリしてさ。更生したの?」

男「だから俺を問題児にしたてあげるやめろよ!」

黒髪「だって私が君を見るときはサボリだったり覗きだったり・・・最低じゃないか」

男「俺の精神削るの止めてくれない?」

黒髪「あははっ。やっぱり君は面白いな・・・」

男「どこがだよ・・・」

黒髪「とりあえず、同じ文化祭実行委員会って名の下で仕事をするんだ。お互い頑張ろう」

男「だな。お前は生徒会の方がメインだけどな」

黒髪「そうだね。いい文化祭にしよう・・・」

男「ああ・・・」

男(そう言った黒髪の顔はどこか悲しそうな顔で、まるで何かを諦めたような・・・)

男(そんな黒髪に俺は相槌を打つことしかできなかった・・・)

~~~~

~放課後~

後輩「せーーんぱーーい!」

男「うおっ・・・ビックリしたな・・・」

後輩「いつまでも先輩来ないんで呼びに来ましたよっ」

男「悪いな。掃除が長引いて」

後輩「てっきり先輩サボるかと思いましたよ・・・」

男「・・・やるよ、ちゃんと」

後輩「せ、せんぱい・・・」

男「な、なんだよ」

後輩「・・・はっ!あ、あれです!先輩が更生したのかと感心して!」

男「だから何で俺は最初から問題児扱いなんだよ・・・」

後輩「と、とりあえず!着いたら装飾係の中で話し合いしましょう!」

男「お、おう」

男(こうして俺の文実での仕事が始まった・・・)

~~~~

後輩「せんぱーい!それとってくださーい!」

男「ちょっと待ってろー!」

男(先日での話し合いの結果、俺と後輩は入場門の作成することになった)

男(強制的に後輩と同じさせられたのは何故だろうか)

男(入場門は割と大きなものを作るらしく、手間もかかりそうだ)

男(しかしこれはこれでやりがいがある・・・)

後輩「せんぱいー?何ぼーっとしてるんですか?」

男「あぁ、悪い今行く!」

後輩「まったく先輩は・・・」

男(っていうか俺後輩のお付きになってるの気のせいですか?)

後輩「ここの所をここに・・・って聞いてます?」

男「おお。悪い、もう一度説明してくれ」

後輩「ですから―――」

~~~~

~数日後~

男(ついにこの日がやってきた・・・)

男(文実での仕事をこなす中、俺はこの時をどれほど待ちわびたものか・・・)

男(文実になったのはまだいい。問題は寝ている俺を文実にでっちあげたということだ)

男(このクラスには思い知ってもらおう。寝ている俺を好き勝手してくれたらどうなるかということを―――」


男「じゃあ、これからクラスの出し物を決めるぞ」ニヤリ

転校生「何ニヤけてるの気持ち悪い」

男「おいそこ、発言を認めて無いぞ」

友「偉そうにしてさらに気持ち悪いな・・・」

男「そこの彼女持ち!お前の発言も認めてないっ!」

友「う、うるせーなっ」カァァ

男(何でそこで赤くなるんだよお前!純粋すぎるだろ!)

男「まずは・・・俺の意見を聞いてもらおうか・・・」

男「そう・・・ねこカフェだっ!!」

男「ていうか俺文実だし俺の権力でもう決定でいいよね?うん、決定!解散!お疲れ皆!」

女友「・・・ちょっと待て」ゴゴゴゴゴ

男「ヒッ」

男(凄いオーラを出しながら女友が近づいてくるから思わず小悪党なおびえ声出ちまった)

女友「まず、学校でねこカフェとかどう考えても不可能でしょ?」

男「そ、それはまだやってみねーとわからねぇだろ・・・」

女友「じゃあ肝心の猫はどこから持ってくるの?買うなんてありえないし、借りるって事も難しいし」

男「それは決まってから考えようと・・・」

女友「何も考えて無いじゃん。あのねぇ、私たちの文化祭は3回しかないの。お前の下らん願望で一回を潰したくないの」

女友「思い出に残るものにしたいし、皆が納得いくものにしたいでしょ?」

男「ぐっ、た、確かに・・・」

女友「ということで我がクラスは―――」



女友「演劇をやりますっ!」



「いいねー!」「よさそうだね」「女友ちゃんいるから心配ないよね」

女友「どうやら反対票はいないようね・・・」

女友「どうよ男、演劇で文句ないよね?」

男「アッハイ」

女友「よぉーしっ!なら気合いいれてやるよ!頑張るぞーっ!」

一同「「「おーっ!」」」

女友「あっ、勿論主役は転校生にやってもらうからね」

転校生「ええっ!?何で私が!?」

女友「だって転校生―――」

男(俺の復讐は潰れた。ていうかさっきのなんなの。台本でもあったのかってレベル)

~~~~

男「―――って事があってな」

後輩「それって全面的に男先輩が悪いじゃないですか・・・」

後輩「第一ネコカフェ許可下りるわけ無いですよ」

男「まぁ・・・そうだよなぁ・・・」

後輩「あと演劇って面白そうですねっ。転校生さんが主役って凄く良いものになりそう・・・」

男「それに脚本とか演出とか演劇部の部長がやるみたいだからな」

後輩「本当ですか!?楽しみだな~」ニコニコ

男「みんなが演劇を頑張る分、俺はこっちを頑張らなきゃな」

後輩「そうですね・・・頑張りましょうっ!」ニコッ

~~~~

会長「やっ。どう、順調?」

男「先輩・・・お疲れ様です」

後輩「順調だけど・・・どうしたの?」

会長「実は・・・生徒会で必要な物で足りないものがあるのよ」

会長「それ、今から買ってきてくれない?」

男「購買にないんですか?」

会長「絶対に無いわね・・・」

後輩「いいよ。生徒会忙しいんでしょ?結構こっちの作業は余裕あるから」

会長「さっすが私の妹ぉ~!」ダキッ

後輩「やっ、お姉ちゃんやめてよぉ!」

男「・・・じゃあ、先、進めてるぞ」

会長「何言ってるの?男クンも一緒に行くんだよ?」

男 後輩 「「えっ?」」

~~~~

男「はぁ・・・何で駅前まで出なきゃならんのだ・・・」

男(とりあえず会長に渡されたメモを眺めてみよう)

男(ここに書いてあるやつは大体購買にもあるような気がするが・・・最後におまけで書いてある紅茶の茶葉が本命だよね?絶対そうだよね?)

後輩「まさか、先輩と二人で・・・」

男「悪いな。ちょっとの間でも我慢してくれ」

後輩「そんなっ。先輩と二人が嫌だなんて事無いですっ!」

男「お、おおう・・・」

後輩「・・・むしろ良いって言うか・・・なんていうか」ボソボソ

後輩(・・・もうお姉ちゃんのバカ・・・)

男「?? まぁ、立ち止まっていてもしょうがないだろ。早く行くぞ」

後輩「そうですね・・・」

~~~~

男「大体は買い終わったな・・・で、最後はこいつか・・・後輩、この茶葉どこで売ってるか分かるか?」

後輩「分かりますよ。一度お姉ちゃんと行った事がある店なので」

男「じゃあ、案内頼んだっ」

後輩「頼まれましたよ」

男(最近、後輩といること増えたな・・・そうすると、先輩と後輩がの仲の良さが際立って分かる)

男「お前っていつも先輩と家ではあんな感じなのか?」

後輩「モチロンですっ!姉妹の仲は学校中でも一番って自負してますからっ」

後輩「でも、学校では抱きつくとかのスキンシップは恥ずかしいです・・・」

男「まぁ流石にあれはな・・・でも、どうなんだ?最近は先輩は友と一緒にいることが多いんじゃないか?」

後輩「そんな事ないです。お姉ちゃんは私といる時間も大切にしてくれていますから・・・」

後輩「それに、私もお兄ちゃんの事お姉ちゃんと同じくらい好きですから・・・お兄ちゃんとお姉ちゃんには幸せでいてほしいですから。そういう所も一応気利かせてるんですよ?」

男(あれ、これって俺凄く気まずいこと聞いちゃったかな?・・・)

男「あっ・・・ごめんお前が友の事・・・」

後輩「? 何で謝るんですか?」

男「だって、お前友のこと好きだって・・・」

後輩「これだから先輩は・・・」ハァ・・・

男「な、なんだよ」

後輩「先輩の思ってる好きは私の言ってる好きとは違いますから。私の言ってるのは兄弟とかそういう好きって方ですから」

男「・・・ああ」

男(とんでもない勘違いしちまったああああああああ)

男「なんか、その、悪かった・・・」

後輩「まったく先輩ったら・・・仕方ないから許してあげます」

後輩「でもそういう気を利かせてくれる優しい男先輩だから私は―――」

男「ん?」

後輩「って今の無しっ!!わ、忘れてください!!」カァァ

男「いや、よく聞いてなかったから分かんなかったけど・・・」

後輩「それでいいです。先輩は何も聞いてません」

男「ああ。何も聞いて無い」

~~~~

男(さっきの会話以降ずっと黙って俯いてる後輩と歩く事数分)

後輩「着きましたよ先輩」

男「おう・・・何か洋風な雰囲気出てるな」

後輩「輸入食品店?ってモノらしいですよ・・・」

男「そうか・・・ん?」

男(何か見覚えあるなこの店・・・どこかで見たことあるっけ)










?『ここでしか売ってない調味料が丁度いいのっ!』











男「っつ!」ズキッ

後輩「せ、先輩っ!?大丈夫ですか?」

男「あっ、ああ・・・少し頭痛しただけだ・・・」

後輩「ほ、本当に大丈夫ですか・・・?」

男「大丈夫・・・先輩待たせるわけにいかないだろ?早く買おう」

後輩「・・・はい」

男(今のは・・・一体・・・?)

~~~~


男「よし、これで全部買ったな」

後輩「・・・」

男「さっさと戻るか・・・後輩?」

男(さっき俺が頭痛を起こしてから後輩はずっと無口だ。まさか・・・)

男「・・・俺は本当に大丈夫だからな」

後輩「で、でもさっきの男先輩はっ・・・」ウルウル

後輩「中学の時の様に、すごく苦しそうに見えましたから・・・」

男「・・・大丈夫だよ」

男「もう・・・あの時の事は大丈夫、だからな・・・」

後輩「でもっ!」

男「・・・心配してくれてありがとな・・・」ワシャワシャ

後輩「・・・ぁ・・・」

男「ほらっ、しんみりしてないで早く戻るぞ!先輩今頃怒ってるかもしれないぞ!」

後輩「・・・はいっ。戻りましょうか」

♪~~


後輩「ん?誰からだろう・・・」

後輩「ってお姉ちゃんからだ。なになに・・・」

男「なんて?」

後輩「今日は生徒会終わったから学校に戻らなくていいそうです」

男「そうか。じゃあ、荷物俺持ってくから」

後輩「いや、待ってください。お姉ちゃんに直接渡せるという面では私が持ち帰った方がいいです」

男(でもこれだけの荷物を後輩に持たせるのもちょっと苦だな・・・)

男「そうだ、こうしよう。俺はお前を送るついでに荷物を持ってやるってのは?」

後輩「それは・・・先輩、頭痛は大丈夫なんですか?」

男「だから、大丈夫だって!むしろ俺は今のお前の方が心配だよ」

後輩「ぇ?・・・」

男「ということで、荷物持つから!道案内、頼むぞ」

後輩「・・・はい・・・」

少し駆け足で書いたので誤字だったり表現おかしい所あるかもしれない・・・

とりあえず今日はここまでで。

~~~~


男(駅前から歩く事数十分。お互いに何も言わないまま後輩の家へと向かっている)

男(後輩とは中学からの仲だが、意外と後輩の家は見たこと無いって言うか知らないんだよな)

男(友の家の近くらしいけどな・・・ってここら辺じゃないか?)

後輩「・・・先輩。家ここなんでもう大丈夫です」

男「ああ。今渡すよ」サッ

後輩「はい・・・」

男「じゃあ、また明日な」

後輩「はい。また明日です」


後輩「・・・」

男(ここは早く家に帰って休もう。頭痛が起きるのは女の事以外では初めてだったし少し不安だ・・・)

後輩「せんぱーーーーーーいっ!!」

男(そう考えていた時。少し離れた所から後輩の声が聞こえた)

後輩「今度の文化祭っ!絶対に成功させましょうねっ!」

後輩「そしてたくさん楽しい思い出いっぱい作りましょうっ!!」

男(後輩からくれた精一杯の言葉。それを聞いて俺の心は熱くなり)

男「当たり前だっ!!絶対成功させるぞ!!」

男「だからっ!がんばろうなっ!!」

男(柄にも無く大声で、できるだけ俺の気持ちが後輩に伝わるように全力で。)

男(後輩に向かって俺の言葉を伝えた)

後輩「―――」



後輩「――はいっ!!」ニコッ

男(そう言って後輩も俺に全力の笑顔で応えてくれた―――)

会長「・・・あの子も熱いわね~」ニヤニヤ

友「そうだね。まさか後輩がここまで言うとは思わなかったよ・・・」

会長「男クンも男クンで思わせぶりな事言うじゃない。それほど進展したってことかしら」

友「・・・だといいね」




友(男・・・やっとお前もあの時から本当に立ち直れるんだな・・・)

~~~~


後輩「・・・せんぱい」

後輩(私の心は今、すごく満たされている)

後輩(先輩と一緒に入場門を作って、今日は先輩と一緒に買い物も行った)

後輩(一緒にいるとすごく楽しいし、心があたたかくなる)

後輩(・・・先輩もそう思ってくれているのかな・・・)

後輩(プリンの時のあのモヤモヤが何だったのか、ハッキリ分かる。多分・・・私は転校生さんに嫉妬してたんだって)

後輩(――これってやっぱり、そうなんだ)




後輩(私は、男先輩のことが好きなんだ―――)

~~~~


~文化祭一週間前~

男(ここ最近文実で忙しかった俺だが、後輩の提案により今日はクラスの手伝いをすることになった)

男(クラスの方は正直諦めていたがまさか参加できるとは・・・後輩の配慮に感謝だな)

男(でまぁ、クラスに来たわけなんだけど・・・)

女友「何か手伝う? あーいいよ、特にやること無いし」

男(まさかの手伝い拒否。もしやネコカフェの怨がここで返ってきたのか?)

女「・・・男君、文化祭実行委員で疲れてると思うから今日はゆっくり休んでもいいんじゃないかな」

女友「そうよ。ってか、これからちょうど衣装合わせだから見ていきなよ」

男「そうだな・・・じゃあ、そうさせてもらう」

女友「転校生の衣装、随分気合入ってたから楽しみね・・・」

男(転校生の衣裳か・・・気になるな・・・)

「か、かわいーーー!!」「やばい!これやばいって!これならどんな男でもイチコロだよ!」

転校生「そ、そんな事無いって・・・」

男(布で仕切られた空間で転校生と衣装係の奴らの会話が聞こえる)

「それじゃあお披露目だー!」

男「―――」



男(俺はその姿に言葉を失くした)

男(そこに立っていたのは青と白のドレスに包まれた転校生)

男(持ち前の顔立ち、スタイルに加え、かなり完成度の高いドレスは転校生の魅力を引き出すには十分すぎる衣装だった)

転校生「は、恥ずかしいな・・・って、男っ!?」

男「・・・ど、どうも」

転校生「文実あるんじゃなかったの?」

男「今日は休みでクラスに顔を出すってことになってな」

転校生「ふ~ん・・・でさ、ど、どう?・・・」

男「・・・あぁ、すごくいいよ」

転校生「あ、ありがと・・・」

女友「やっぱりすごく可愛いよ転校生!!」

転校生「だから、恥ずかしいからあんまり言わないでよ・・・」

女「でもすごく似合ってる・・・まるで本当のお姫様みたい・・・」

転校生「えへへ・・・」

男「演劇・・・楽しみにしてるから、頑張れよ」

転校生「当たり前じゃない!文化祭では度肝を抜いてやるんだから」

男(転校生にも大分気合が入ってるようだ。これならクラスの方も安心できる)

男(まさか、文化祭がここまで楽しみになってくるとは思いもしなかったな・・・)

男(やっぱりこれは、あいつのお陰なんだろうな・・・)

~~~~


~文化祭四日前~

男(いよいよ文化祭も大詰めだ。祭を控えた学校の雰囲気はどんどん盛り上がっていっている。みんなが文化祭を楽しみにしてるんだよな・・・)

男(その分、俺達も入場門を完成させなければならない。結構出来上がってきてはいるが完成できる保証は無い)

男(だが装飾係の中でも段々と仕事が終わる奴らも出てきて、俺らの入場門の作成を手伝ってくれるのだが・・・)

「ねぇ~後輩ちゃんはさ、どんなスイーツとか好きなの?」

男(一人変なのがいる。見ててすげぇイラつくんすけど。さらにスイーツ(笑)って)

後輩「今は作業中なので後にしましょうよ・・・」

男(後輩も何だか困ってるし、俺も見てて何だかモヤモヤして嫌だしな)

「なぁ、勿体ぶらず教えてくれたっていいじゃん~」

後輩「ですからっ!・・・」

男「まぁまぁ・・・そこら辺にしといて作業に集中してくれ」

後輩「せ、先輩・・・」

「なんだよお前・・・邪魔すんなよ・・・」

男「邪魔してるのはお前だ。作るのを手伝うのはありがたいが、お前がしている事はただ単に後輩の邪魔だろ」

「チッ・・・なんだよ、冷めた。帰るわ」



後輩「あ、ありがとうございます・・・」

男「あんなん素直に邪魔って言っとけばいいだろ」

後輩「私あんまり男の人と話すの得意じゃないんですよ・・・」

男「そうだっけ?また困った事あったら言ってくれよ?」

後輩「はいっ。その時は先輩を思う存分使っちゃいます」

男「使うっておかしくない? まぁいいや。早く続きやるぞ」

後輩「そうですね」

男(・・・後輩があの男と話してる時、どうしてあんなに嫌だったんだ?・・・)

~文化祭二日前~

男「で・・・」

男 後輩「「できたーっ!!」

「やったー!」「大変だったなぁ・・・」

男(やっと入場門が完成した。他の入場門の担当や装飾の他の担当の奴もみんな喜んでる)

男(・・・勿論俺と、後輩も)

後輩「やっとできましたね!先輩!」

男「あぁ!・・・時間かけただけに良いものになったなっ・・・!」

後輩「そうですねっ・・・」

会長「凄いじゃない・・・実際に校門に飾ったらもっとよくなるんじゃない?」

後輩「お姉ちゃんっ・・・」

会長「頑張ったね・・・」ナデナデ

後輩「えへへ・・・」

会長「・・・男クンからご褒美は貰えた?」

男「むしろ俺が先輩から何か貰いたいんですけど・・・」

会長「」キッ

男「」ブルッ

後輩「そ、そんな・・・先輩には手伝ってもらっただけでありがたいのに・・・」

会長「こういう時は年上がご褒美をあげるものなのよね。ね、男クン?」

男「ハイ」

後輩「・・・じゃあ・・・頭撫でてほしいです・・・」

男「えっ?」

会長「大胆ね・・・」ボソッ

会長「・・・いいんじゃないかしら。男クン、ではよろしく♪」

男(撫でるくらいなら・・・何でも無いよな?・・・)

男「いくぞ・・・」サッ

後輩「は、はい・・・」ドキドキ

男(撫でるだけなのに・・・なんでこんなに緊張するんだよ・・・)ドキドキ

後輩「ひゃっ・・・」

男「わ、悪い・・・どこか変なところ触ったか?」

後輩「い、いえっ。大丈夫です・・・」

男「じゃあ続けるぞ・・・」ナデナデ

男(撫でてるだけなのに心が安らぐ・・・それに後輩を撫でるの気持ちいいな・・・)

男「・・・」ナデナデ

後輩「うぅぅ・・・」カァァ

男「・・・」ナデナデ

後輩「せ、せんぱい・・・もういいです・・・」

男「そうか・・・」ヒョイ

後輩「ぁっ・・・」

男(手離した瞬間、そんな声出すなよ!もっと撫でたくなっちゃうだろ!)

男(それにしても俺とした事が時間を忘れて長い時間撫でてしまった・・・)

後輩「は、はずかしい・・・」

男「そ、そうだったな・・・」

後輩「でも、私先輩に撫でてもらうの好きかもしれないです・・・この間の乱暴なのも、今みたいな優しいのも両方・・・」

男「じゃ、じゃあ言ってくれればいつでも撫でてやる」

後輩「その時は是非っ・・・」

会長「あのーさ。お熱い所申し訳ないんだけど・・・」

後輩「あっ・・・そういえばお姉ちゃんいたんだよね」カァァ

会長「いやさ、私だけじゃないけど・・・」

文化祭実行委員会一同「」ニヤニヤ

男「」後輩「」




男「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 後輩「きゃああああああああああああああああああああああああああ!!!」

~~~~


後輩「うぅ・・・死にたぃ・・・」

男「あぁ・・・俺も疲れたわ・・・」

男(恥ずかしいシーンを見られた俺らは入場門の完成を喜ぶのも束の間、早々と帰ることにした)

男(後輩と一緒に帰っているんだけど・・・)

後輩「なんであそこであんな事言っちゃたんだろう・・・」

男(互いに羞恥でもう大変な状態・・・本当はある事を話す為に一緒に帰ってるんだけどなぁ・・・)

~~~~


男「・・・はぁ・・・俺とした事が・・・」

チョンチョン

男「あぁ・・・先輩ですか・・・どうしたんですか」

会長「妙にグッタリしてるね・・・さすがにあれはキツイかしら・・・」

男「キツイも何も先輩が発端ですからね・・・」

会長「そういえばホントはさっき伝えたい事があったのよね」

男「・・・なんですか?」

会長「装飾係は当日は仕事あんまり無いんだって・・・つまり存分に回れるって事♪」

男「――!」

会長「誰か誘って一緒に回ればいいんじゃない? ちなみに友はダメよ」

男「・・・そうですね。そうしましょうか」

会長「さっすが男クンっ♪それとも未来の弟クンかしら?」

男「ちょっ!なんすかそれ!」

会長「フフフ。じゃあまた今度~」

~~~~


男(・・・後輩に一緒に文化祭回ろうって、言おうと思ったんだけどな・・・)

後輩「うぅぅ・・・」

男(ずっとあの調子だし・・・言っちゃっていいものか?)

男(・・・男は度胸。言ってしまえば楽になれる。楽になろうぜ俺・・・)

男「・・・後輩」

後輩「・・・なんですかせんぱい・・・」

男「その、だな・・・あーっと」

男「・・・文化祭、一緒に回らないか?」

後輩「―――」パァァ

後輩「はいっ!こちらこそお願いしますっ!」

男(あ、安心した・・・断られなくて良かった・・・)ホッ・・・

男「・・・本当に楽しみだな」

後輩「私も・・・すごく楽しみです・・・」

ここ二日で大分書けたかな・・・

後輩√はあともう少しで終わる予定ですので少々お持ちください。

その後は違う√を書こうと思ってます。

今日はここまでで。

~文化祭当日~



男「・・・んぁ~」

男(いよいよ文化祭当日だ・・・)

男(色んな人の、色んな思いが詰まった、祭。)

男(それは俺も例外では無く・・・)



男「・・・」


男(この入場門を見るだけで俺の胸は高鳴る・・・)

男(この数週間、後輩やその他のヤツらと作り上げた作品。俺らの文化祭への思いが詰まった作品。)

男「・・・よし」グッ

男(今日は楽しもう―――)

~~~~


会長《それではっ!今年も祭りの始まりだっー!》



「「「「わーーーっ!!」」」



男(生徒会主導のオープニングセレモニーによって、文化祭の始まりが告げられる)

男(文化祭実行委員会は固まったグループになり、鑑賞している)

男(それにしても先輩・・・あんなハイテンションな姿久しぶりに見たな・・・)

後輩「・・・お姉ちゃん、張り切ってる・・・」フフフ

男「何であんなに張り切ってるんだ?」

後輩「今日はお兄ちゃんと文化祭を回るみたいで・・・最近、生徒会の仕事で中々デートとかできてなかったみたいなんで」

男(・・・後輩と回るのを楽しみで昨日ほとんど眠れなかった俺もあんま人のこと言えない)

後輩「・・・私は先輩と文化祭回るの楽しみにしてたんですから」

男「・・・俺もだよ」

~~~~


「2-Bでお化け屋敷やってまーす!!」 「3-Dは三時より体育館にてショーを行います!」

ガヤガヤガヤ

男「・・・賑やかだな。祭りって感じだな」

後輩「そうですね・・・こうやって一緒にいると夏祭りの時の事思い出しますねっ」

男「だな・・・」

男(夏祭りの時の後輩のあの笑顔。・・・あの時から多分俺は―――」

後輩「?? せんぱいー?」

男「おお、悪い。ちょっとぼーっとしてた」

後輩「もうっ、女の子と一緒の時に考え事はダメですよ?」

男「ハハッ・・・覚えとく・・・なぁ、あそこのお化け屋敷行ってみようぜ」

後輩「もしや先輩、私がお化け怖いと思ってます?残念ながら私結構イケる口ですよ?」

男「言ったなっ・・・じゃあ先に悲鳴あげた方が負けってのはどうだ?」

後輩「いいでしょう・・・その勝負受けて立ちましょう・・・ただし、負けた方は勝った方の言うことを聞くという事で」

男「いいぜ・・・その言葉よく覚えてろよ」

後輩「それはこっちのセリフですっ」

~~~~


男「・・・」

後輩「・・・」

男「・・・高校生であれはどうかしてる」

後輩「まさか先輩と私同時に悲鳴を上げるなんて・・・しかもいの一番に・・・」

男(高校生とは思えないクオリティの高さの前に俺らは終始振り回され、終わってみればとてつもない疲労感に襲われている・・・こんなのおかしいよ)

男「それにしてもゾンビが出てきた時の後輩の顔は傑作だったな」ハハハ

後輩「むぅ・・・それなら口裂け女の時の男先輩のビビリ方の方がすごかったですからね!」

男「だったらこんにゃく当たった時のお前だって!」

後輩「プッ・・・」

男「な、なんだよ・・・」

後輩「・・・先輩とこうやって言い合うのも面白いなって・・・」

男「・・・そうだな・・・そろそろ昼メシとしようぜ」

後輩「はいっ」ニコッ

~~~~


後輩「ほういえばしぇんぱいのふらすっていつはらなんでふは?」

男「だから食いながら喋るなって・・・で、なんて?」

後輩「ゴクン・・・先輩のクラスの演劇って何時からなんですか?」

男「うーん・・・あと30分後って感じだな」

後輩「それならもう向かいましょう?体育館の席埋まるかもですよ?」

男「・・・じゃあ行くか」

~~~~


男「すげぇ人だな」

後輩「ほら言った通りです!早く席取りましょう!」

男「いや・・・実はクラスの奴らには特別席的なのがあるらしいんだけど・・・」

後輩「ならそこ行きましょうっ!」

男「ちょっ、待てっ!そこ行ったら!」


石井「おい男・・・これはどういう事だ?・・・」

男「何って・・・あれだよ、文実で一緒に来ただけだよ・・・」

石井「ふーーーーんっ?へぇーーーー?そうなんだーーーー?」

男(ぜってぇ後でめんどくせぇ・・・)

石井「まぁね、分かってたよ・・・お前がいつかこうなるこtグフッ!」

会長「あっれー男クン達もやっぱり見に来てるのね」

男「先輩・・・それと友も・・・」

男(先輩・・・マジで石井をやってくれてありがとう・・・)

会長「友がどうしても見たいって言うから・・・ね?」

友「俺も生徒会の手伝いしててあんまりクラスの手伝いできなかったからさ・・・だから本番だけはちゃんと見ようと思ってたんだ」

男「だよな・・・出来凄いらしいし楽しみだな」



会長「・・・どう?うまくいってる?・・・」コソコソ

後輩「ふぇっ!? べ、別にお姉ちゃんには関係ないでしょ・・・」

会長「もーうっ!私の妹は本当に可愛いなぁぁ!!」ダキッ

後輩「だからお姉ちゃんっー!」


石井「百合百合の匂いがして」ムクッ


「あの姉妹のやりとりが間近で見られるとは・・・」「まじで会長綺麗すぎる」「いやっ、後輩さんの方が俺は好きだな」

「友はまだ許せるけど何で、男が一緒にいるんだよ!!」「何でアイツなんだよ!」「ちくわ大明神」

男(あぁ・・・めんどくせぇ・・・あと、今のマジで誰だよ)



女「・・・男君」

男「ん?・・・って女か。どうした?」

女「後輩ちゃんと来たんだってね・・・」

男「ああ・・・」


女「・・・私、嬉しいよ。男君がもうあの事を引きずっていないって事が分かって・・・」

男「・・・ごめん・・・」

女「しんみりしちゃダメだよっ。せっかくの文化祭なんだから楽しまなきゃ・・・」

男「・・・だよな。楽しまなきゃな・・・」ニコッ

女「そうだよ。男君にはその顔が一番似合うよ・・・じゃあ・・・」

男「おう・・・」

男(そう言った女の瞳には涙を浮かべてたように見えた・・・)

~~~~


転校生「うわっ!すごい人入ってる・・・」

女友「みんな宣伝頑張ってくれたからそのお陰よね・・・」

転校生「うぅぅぅ~緊張してきたぁ・・・」

女友「・・・頑張ろ、転校生」

転校生「うんっ!・・・ぜったいに成功させるわ!」



転校生(・・・始めよう。私の物語を―――)

~~~~



後輩「・・・せんぱい?いつまで座ってるんですか?」

男「・・・んあ?悪い悪い」

後輩「先輩演劇終わってからずっと舞台見たまま固まってて、見てて可笑しかったですよ」

男「そうだったのか・・・」

後輩「・・・変な先輩」

男(転校生の演技は素人目の俺から見ても素晴らしかった。としか言い様がなかった。演劇部で部長を務める女友でさえ霞んで見える程だった)

男(その演技に圧倒されたのかどうか分からない。俺はその場から立てずにいた)

男(そして何より俺の中でこの光景が大切な様な気がして―――)

後輩「せーんぱーい!時間少ないんですから早く他行きますよ!」

男「お、おう・・・」

男(・・・それは多分気のせいだろう・・・忘れよう・・・)

~~~~


<<文化祭は四時半をもって終了しました。生徒は後夜祭を行うのでグラウンドに集合してください>>




男「・・・終わったなぁ」


男(終了時間まで後輩と共に過ごした俺はこの後の後夜祭に備えている。たしかキャンプファイヤーの周りでフォークダンスか何かやるんだっけか・・・)

男(後輩誘うか・・・って後輩どこ行ったんだ?文実の中にはいなそうだが)

<<これより後夜祭を行います。まずは講評を校長先生お願いします>>

~~~~


委員長<<では、これより最優秀賞を発表します>>



男(・・・おかしい)

男(いつまで経っても後輩が文実に姿を出さない・・・何かあったのか?)

男(後輩もここでクラスの方に行くほど馬鹿ではないはず・・・)

男(・・・不安だ。ちょっと探そう)ダッ

~~~~


男(校舎内はっ・・・いない・・・屋上か?)


~~~~


男(屋上でもない・・・体育館裏はまだ行ってないな・・・)


~~~~


男(ここも違うっ・・・他にあるとすれば・・・)


男(!! まだあそこには行ってなかったっ!)


~~~~




―入場門―


男(・・・ここにいたか)

男「こんなとこで何してるんだ。とっくに後夜祭始まってるぞ」

後輩「・・・せんぱい・・・」

男(入場門を見上げながら後輩は泣いていた。まるで祭の終わりを悲しむ様に。)

男「なに泣いてんだ。今日は楽しむんだろ?」

後輩「ぐす・・・だって・・・文化祭終わっちゃうんですよ・・・」

男「あぁ・・・終わっちまうな・・・」

後輩「終わったらもう無いんですよっ!先輩と一緒に何かを作ったり、先輩と一緒に買物に行ったり、先輩と一緒に笑い合うことが」

後輩「先輩との思い出もここで止まっちゃうんだって・・・」

後輩「終わるのは分かってたのに・・・嫌なんです。先輩と一緒にいられなくなることが・・・」



後輩「おかしいですよね私・・・そんな事思うなんて」

男「・・・おかしくなんかない」

後輩「ぇっ・・・」


男(後輩はハッキリ言ってくれたんだ)


男「俺だって、後輩と一緒にいることが無くなっちまうなんて嫌だって思うから」

後輩「せん・・・ぱい・・・?」


男(言うんだ。俺も。)


男「後輩と一緒に入場門作ったり、時には買い物なんかもいったりして、それでっ、後輩と一緒に文化祭回って・・・」

男「どれも、俺の中でとても大切な思い出になった。楽しくて、それでいて心がすごく満たされていく思い出だ」

後輩「はい・・・」

男(正直な気持ちを。)


男「後輩との思い出がここで止まるなんて、嫌だ」


男(もっと後輩と一緒にいたいって。)


男「俺はもっと・・・後輩と一緒にいたい。だからっ」



男(後輩、お前の事が好きだってことを)





男「――これからも俺と一緒にいてくれないか?恋人として」

後輩「―――」



後輩「・・・うそぉ・・・」ウルウル

男「えっ、ちょっと、そんなに嫌だったか?・・・」

後輩「そうじゃ、ないですっ。嬉しくて・・・先輩がそんな事言ってくれるなんて・・・」

後輩「私と一緒の気持ちでいてくれるのがすごく、嬉しくて・・・」



後輩「・・・私も、先輩と恋人として一緒にいたいです」


男「ああ・・・」

~~~♪


男(この音楽は・・・)



男「後輩・・・踊ろう。一緒に。ずっと俺達だけで」サッ

男(そう言い後輩に向かって手を差し出す。後輩はその手を)


後輩「・・・はいっ!」ニコッ


男(花火の時と同じ、あの笑顔で俺の手を握ってくれた)

男(この手が包んでいる温もりを俺は離さないでいよう)


男(ずっと一緒にいられるように。)


男「・・・これからもたくさん思い出作ろうな」


後輩「もちろんです・・・せんぱい?」


男「ん?」




後輩「―――ずっと・・・ずっと一緒ですからねっ!」ニコッ






男「パンツ見せてください」後輩「な、何言ってるんですか!」


            ~終わり~

くぅ~疲れました!

後輩の本編はこれにて終わりです。あとは少し後日談的なので後輩√は終わりとなります!

後私的事情で、しばらく携帯での投稿になるので亀更新になるかもしれません・・・

ともあれ、拙い文章ではありましたがここまでお付き合いありがとうございました!





後輩「ずっといっしょ」




男(文化祭からちょうど一ヶ月。夏の蒸し暑さはなりを潜め、いよいよ秋到来といった感じだ)

男(今日は後輩とデートすることになっている)

男(楽しみすぎて全然寝れなかったし、気合入り過ぎて集合時間より1時間も早く来てしまったまである)

男(今までは後輩の方が早かったが、今日はどうやら俺の方が早いみたいだ。ビックリするだろうな・・・楽しみだ)

~~~~


~40分後~

男(後輩来ないな・・・いつもなら集合時間より結構前にいるんだけどな)

~20分後~

男(おかしい)

男(集合時間にも来ないとは・・・遅れるとしても連絡くると思うんだが・・・)

~20分後~

男(・・・もう僕電話しちゃいます)

後輩「せんぱーい!」

男「・・・!」

後輩「すみません・・・ちょっと準備に時間かかっちゃって・・・」

男「いやいや、俺もさっき来たところだから気にすんな!」

後輩「さっきって・・・先輩も遅刻したんですか?」

男「集合時間には来てたぞ・・・次からは連絡くれよ?事故とかに遭ってるかもしれないって心配するから」

後輩「すみません・・・少しでも早く行くことを意識してて忘れてました・・・」

男「そんなに落ち込むな。楽しむんだろ?」

後輩「・・・ですね。落ち込むのはこれでおしまいっ。先輩、行きましょう?」

男「ああ」

~~~~


男(そういえばさっき後輩、準備に時間がかかったって言ってたよな・・・)

男(準備に時間・・・ということは)

男(やっぱり。いつもと違って細部まで綺麗にしてきてるのが良く分かる)

男「後輩・・・今日さ、いつもよりその、綺麗だな・・・」

後輩「ぇっ・・・そのっ、ありがとうございます・・・」

男「でもなんで今日はそんなに?」

後輩「それは・・・今日は何日ですか?」

男(今日は文化祭からちょうど一ヶ月・・・まさか)

男「文化祭からちょうど一ヶ月・・・俺達が付き合ってから一ヶ月だ」

後輩「その通りっ。記念日忘れてるなんて彼氏失格ですよ?」

男「悪かった・・・それなら俺も気合入れてくるべきだったな」

後輩「そうですよー?でも先輩なんで特別に許しちゃいますっ」

男「それはそれで腑に落ちないぞ」

後輩「いいんですっ。先輩は私が細かい所までオシャレしてるのが分かっただけで大きな進歩ですから」ニコッ

男「そ、そうか・・・」

男(ヤバイっ・・・やっぱり後輩の笑顔は付き合ってから見てもすげぇドキッとするな・・・)

~~~~


男(映画館に着いた俺達は数ある映画の中からどれを見るか迷っているんだが・・・)

男(ヤバイ。○リキュアの劇場版見たい)

後輩「先輩あれどうですか?・・・って聞いてます?」

男「ああ、聞いてるぞ。『江戸の大泥棒 パリへ行く』がいいんだろ?」

後輩「違いますっ!それの隣のやつですよ!」

男(恋愛映画・・・青春にライドする奴か・・・)

男(いや別にいいんだけどさ・・・何というかああいう甘い感じの雰囲気が苦手っていうか耐性がないんだよな・・・)

男(しかし他を見てみてもなぁ・・・ホラー映画が目立つ。怖がった後輩に落ち着いた雰囲気を見せる事によって頼りがいのある男を演出・・・って俺ホラー無理だったわ・・・)

男(仕方ない。青春にライドすることにしよう)

男「いいんじゃないか?それにしよう」

後輩「分かりましたっ」

~~~~


男(何というか、すごかった)

男(世間様ではああいう事されるのが女は憧れるのか?それじゃ、やっぱり後輩にもそうするべきなのか?・・・)

後輩「いやぁ、すごいドキドキしたっていうか、これぞ青春!って感じがしましたね」

男「・・・やっぱり、後輩もああいうのに憧れる、のか?」

後輩「・・・先輩、無理しなくたっていいんですよ」

男「・・・え?」

後輩「私達は私達の付き合い方があるんですから。ゆっくりでもいいから私達の付き合い方、一緒に歩んでいきましょう?」

男「そう、だな。一緒に歩んで行こう・・・」

男(でも、見ちまったんだよな・・・キスのシーンの時)


後輩『・・・ぁ・・・』


男(無意識に唇に手を運んだ後輩を・・・)

男(後輩が俺達の道を示してくれた。なら俺はその道を進むために、覚悟を決めようーーー)

~~~~

男(あの後食事をしたり、買い物をして楽しんだ俺達は辺りも暗くなり時間もちょうどいいということで帰ることになった)

男(現在は俺が後輩を家まで送ると言って二人で後輩の家に向かっている途中だ)

男「やっぱりあの服を買っとけば良かったか?・・・」

後輩「いや、どちらも似合ってましたよっ」

男「金が貯まったら買いに行くか。後輩も行くだろ?」

後輩「それじゃあ私の服選ぶのも手伝ってください」

男「いいぞ。つっても女の服はよく分からないが」

後輩「女の子としては彼氏の好きな格好をしたいものなんですよ?」

男「ったく・・・照れること言いやがって・・・」

後輩「えへへっ・・・だって先輩の世界でたった一人の彼女ですもんっ」ニコッ

男「」カァァ

男(マジで抱きしめたい)

後輩「あっ・・・もう家すぐそこなんで、ここまででいいです」

後輩「今日も楽しかったです・・・また思い出できちゃいました・・・」

男「・・・実は後輩にプレゼントがあるんだ」

後輩「えっ・・・」

男「これ」サッ

後輩「うそ・・・さっきの・・・」

男「ああ。アクセサリー。後輩すごく欲しそうにしてたし、折角の記念日だしな」

男(後輩に隙ができた時に急いでかってきた物だ。正直急ぎで買ったからすごく苦労したな)

後輩「ありがとうございますっ!ずっと大事にしますねっ!」

男「・・・あと、もう一つあるんだが・・・後輩、目瞑ってもらっていいか?」

後輩「・・・はいっ」

男(後輩の顔、改めて見るとやっぱりかわいい・・・それに、唇だって妙に色っぽく見える。緊張が最高潮だ・・・)

男(・・・こんな所でビビってどうする俺・・・約束したんだろ。後輩とずっと一緒だって)

男(覚悟を、覚悟を決めるんだ俺!)

男「好きだ・・・後輩」チュ

後輩「ーーー」カァァ

後輩「わ、わたしも好きです・・・」


男(映画とかに比べたら、下手で不器用なキスかもしれない)

男(だがこのキスは俺達の、俺達だけのやり方なんだ)


男(どんだけ時間がかかったっていい。どれだけ下手だっていい。それが俺達なんだ)



男(俺達が一緒に、歩んでいく道なんだ。)



男「ーーーずっと、一緒だからな」ニコッ

後輩「はい・・・ずっといっしょ、です」



後輩「ずっといっしょ」男「当たり前だろ?」

~終わり~

スマホ慣れないです…

とにかく後輩√はこれで終わりです。

次は個人的な事情で女か黒髪の二択でお願いします。
転校生は最後に書きます…多分
>>218

男(女・・・スルーするか。気まずいし)

男(でもあいつ一人で夏祭り来るわけないよな。まさかあいつも迷子か?)

女「」オロオロ

男(やなりその様だ。夏祭りに一人ってのは危ないしな。後輩も例外ではないが・・・)

女「・・・!」

男(と言ってる間にもナンパされてるし。これってかなり不味い状況だよな)

男(助けるしか道はないか。行くしかない)

男「どこ行ってたんだ。ほら、行くぞ」

女「お、男君っ!?」

男「迷惑かけました。それじゃ失礼します」

「ちょっと待て!」「お前この前も!」

男「・・・手、離すなよ」ギュッ

女「・・・うん」

~~~~


男「なんとか撒いたな・・・大丈夫か?」

女「私は大丈夫・・・ありがとう男君・・・」

男「・・・」

男「ところで何で一人なんだ?一人で来たわけじゃないだろうし」

女「実は女友ちゃんと転校生ちゃんと来たんだけど、はぐれちゃって」

男「それなら好都合だ。俺も友と会長姉妹と来てたんだけどはぐれてな。一緒に探さないか?」

女「う、うん、いいよ。携帯もうまく繋がらなくて困ってた所だから」

男「じゃあ、あっちの通りを行こう」

~~~~


男「こっちも行ったから・・・あっちか?」

女「ねぇ、あれって後輩ちゃんじゃないかな?・・・」

男「って転校生と女友も一緒じゃねぇか・・・こりゃあ手間が省けたな」



後輩「せんぱーいっ」

男「まったく、食い意地張って勝手にどっか行くからはぐれるんだぞ」

後輩「す、すいません」

女「まぁ、後輩ちゃんにも何も無かったんだから、とりあえずよかったよ」

転校生「むしろあんたが勝手にどっか行ってたんじゃないの?」ジトー

男「ちげーわ!お前こそ食ってばっかで女の事忘れてたんじゃないのか?」

転校生「失礼なっ!そんな事ないし!」

女「ふ、二人とも・・・そんなこと言ってる間にも花火始まっちゃうよ?」

女友「場所も埋まっちゃうから早くしないと」

男「わ、悪かったな」

転校生「ご、こめん・・・」

後輩「あ、あのー」

転校生「? どうしたの後輩ちゃん?」

後輩「私、花火見るのにいい場所知ってるのでそこ行きませんか?」

一応、>>219>>73からの続きです…

~~~~


転校生「こんな所があったんだっ!」

後輩「ここのお祭り結構来てるんで
詳しいんですよ私」



女友「女・・・ここは男とあんたで二人きりになるようにするから、頑張りなさいよ」ボソツ

女「えぇっ!?ちょっ、ちょっと女友ちゃん・・・」

男「俺らもあっち行くか・・・」

女友≪こっちに来るな・・・≫

男(こいつっ!直接脳内に!?)

男(仕方ねぇ。ここに座るか・・・)

女「んしょ・・・」

男(なんでお前はナチュラルに俺の隣来るんだよ・・・緊張するから)

男「・・・」

女「・・・」

女(無理無理っ!話しかけるなんてできないよぅ・・・)

女(隣にいるだけで充分幸せなのに・・・)

女(昔だったら隣にいたのが当たり前だったんだけどね・・・そういえば、小さい頃にも男君とお祭り来たっけ・・・)

女「懐かしいね男君・・・」

男「ぇあ!? な、なにがだ?」

女「小さい頃に夏祭り一緒に行って、それで花火見たりしたよね・・・」

男「・・・そうだったな」

男(でも、きっと俺達は昔の関係には戻れない・・・)



女「ーー私は、昔みたいに、小さい頃の様にまた一緒に夏祭りに行けるようになりたい・・・」

男「いま、なんてーー」

女「ううん。何でもないよっ」

男「・・・」


男(女がふと呟いた言葉は聞こえていた)

男(けれど、それが本当なのか、分からなくて、混乱して、何も言えなくなった)

男(俺には女の近くにいれる権利なんてない。俺は、弱くて脆いから)

男(近づけばまた傷つけてしまうのではないのか)

男(そうだ、そうに決まってる。もう俺達は、昔には戻れないんだからーー)






男「パンツください」女「ダ、ダメだよっ」カァァ




~~~~

男(長かった夏休みも終わり、今日から晴れて新学期)

男(夏休みの思い出話に花を咲かせるクラスメイトを横目に見ながら俺はある事を考えていた)

男(夏祭りの時の女のあの言葉は一体なんだったんだろうか)

男(女は俺の事を許してくれるのか?・・・)

友「新学期早々考え事か?・・・忙しいな」

男「うるせぇ脳内お花畑」

友「お花畑か・・・それもいいな」

男「ついにぶっ壊れたか」

男(友は夏祭りの時に晴れて先輩とカップルになった。ノロけまくってる。鬱陶しい)

友「壊れてないわ。・・・困ってる事があるなら言ってくれよ?一人で溜め込んだりしないで、な?」

男「・・・ああ。そん時は頼りにさせてもらうわ」

男(でも今考えてる事は、そう簡単に言えるようなもんじゃない)

男(女は至って変わった様子はないみたいだな・・・)ジー

転校生「なんでさっきから女ちゃん見てるのよ」

男「別に・・・」

転校生「あっ!まさか女ちゃんの事が気になるの?」

男「ちげーよ。そんな簡単なもんじゃない」

転校生「へぇー。簡単なもんじゃないねぇ・・・」ニヤニヤ

男「言っとくが、お前が考えてる様な事じゃねぇからな」

転校生「もしかして照れてるの?」

男「あーはいはい。それでいいよ」

転校生「・・・なーんか変な男」

~~~~


男(始業式を終えた俺達は、来月に迫る文化祭に向け話し合いを行っていた)

女「じゃあ、文化祭実行委員は友君にお願いしたいと思います」

男(早速先輩と付き合ってるのがバレた友はモテない男達の怨念を受けて文化祭実行委員となった。ざまぁみろ)←バラした張本人

女「後は文化祭の出し物だけど・・・みんなまだ考えてないと思うので、後日また意見を聞きたいと思います」

女「なので今日はここまででいいかな?みんな、お疲れ様」

友「なーんでお前は平気でっ!・・・」

男「いいじゃん。つうかこっちからすれば早くくっつけよ!って感じだったしな」

男「俺達からの祝福だと思って受け取ってくれ」

友「まったく・・・文実に多分姉さんいるからいいだろうけど」

~~~~


男(長い休みを明けた学校は、やはり変わりばえしなかった。文化祭の話し合いにも意欲は出ず、ただ聞き流していただけだ)

男「ただいまー」

男(俺はあの頃から変われたのだろうか)

男母「あー、ちょうど良かった。男、女ちゃん家に行ってきてくれない?」

男「・・・は?」

男母「この前ご飯行った時に約束してた物があってそれを取ってきてほしいんだけど」

男「なんで俺がっ・・・母さん行けばいいじゃねぇか」

男母「無理ねーお母さん今、手空いてないから」ポリポリ

男(ソファ寝っ転がりながら煎餅食ってドラマ見てるのが手空いてないと言うのか)

男「ドラマ見てんじゃん・・・」

男母「・・・あ?」ギロッ

男「」

男「イッテクル」

男母「頼んだわよ」ヒラヒラ

~~~~


男(ったく、ウチの母親め!・・・)

男(今日はおばさんに荷物を貰うだけ。荷物を貰うだけ。緊張する必要はない)

ピンポーン

女母「あら、男君久しぶりねぇ」

男「こんにちは。母がおばさんから荷物もらってこいって言われたんで来たんですけど・・・」

女母「そうだったかしら・・・ちょっと探すわね。時間かかるかもしれないから上がって?」

男「い、いえ大丈夫です・・・」

女母「そう言わずにほらほら」

男「ちょっ、おばさんっ」

~~~~


女母「お茶でいいわよね?」

男「は、はい。大丈夫です」

女母「久しぶりだからって堅くなりすぎよ?もっとリラックスしてね」

男「は、はい」

男(幸い女は家にいなかったから良かったものの、いつ帰ってくるかは分からない・・・できれば早く帰りたいんだが・・・)

男(おばさんがブツを探す気配がないっ・・・!)

女母「最近、ウチの子とはどうかしら?」

男(いきなり何言いよっとね)

男「ま、まぁ・・・普通って感じです」

女母「普通ってどんな感じなのかな?」

男「普通の学生の距離感・・・って感じですかね?」

女母「そう、ウチの子には愛想尽きちゃったのね・・・」

男「い、いえっ!そんな事は無いです!ただ・・・」

女母「ただ?」

男「・・・えーと、なんて言うか・・・」

女母「」ニヤニヤ

男「って、何おばさんにやけてるんですかーーー」



女「・・・」カァァ


男「・・・ぇ」

女母「ウフフ。後はお若い二人に任せるわ♪」

女ルートです。

多分女ルートは後輩ルートより長くなるかもしれない…

ともあれ、今日はここまで。おやすみなさい

~~~~


男「・・・」

女「・・・」

女(男君・・・私の事、嫌いではないんだ・・・)

女(さっきの言葉の続き、きっとあの頃の事が関係してるんだよね・・・)

女(・・・私はっ・・・)

男「・・・とりあえず、お茶飲んでいいか?」

女「ど、どうぞっ」

男「ん・・・」

男 女((会話が続かないっ・・・!))

男(とりあえず話題を探すんだ!えーと、今日は文化祭の話し合いしてたからそれで・・・)

女(そういえば男君は文化祭なにがしたいんだろう・・・)

男 女「「あのっ」」

男「・・・先に言っていいぞ」

女「い、いや男君が先でいいよ・・・」

男「お、おう・・・文化祭さ、女は出し物何か考えてるのか?」

女「ううん。まだ考えていないんだ・・・男君は何か考えてる?」

男「そうだな、俺も特には考えてはないんだよなぁ・・・」

女「そ、そうなんだ・・・」

男「ああ・・・」

男(あれ、これまた振り出しに戻ってない?)

女(またさっきと同じ・・・どうしよう・・・)

女母(そろそろ頃合いかしら・・・)

女母「あったわよ~ごめんねぇ男君」

男(おばさん、ナイスタイミング)

男「あ、はい。ありがとうございます」

女母「ついでに夕飯も家で食べていく?」

男「いえっ、大丈夫です」

女母「そう~残念ね~」

男「では、俺はこれで・・・」

女母「また来てね~」

女(わ、私もなにか言わなきゃっ・・・)

男「女・・・またな」

女「ーーー」

女「うんっ。また、ね・・・」ニコッ

男「」ドキッ

男「あ、ああ・・・」


ガチャ


女(あの言葉一つでこんなに喜んじゃうなんて、本当に私は男君の事がーー)

女母「あなた達は本当に純粋ねぇ」ニヤニヤ

女「お、おかあさんっ!?」カァァ

~~~~


女「ーーでは、これから多数決を取りたいと思います。まずは・・・」

男(あれから何の音沙汰もなく数日が経ち、今は文化祭の出し物を決めている所だ)

男(今出ている案は、主に男子(変態)が推すメイド喫茶と主に女子が推す演劇の二つ)

男(女はどうしても話し合いで決めようとしている。ホント、そういう所は昔から変わらないな・・・)

男(まぁ、変態()と女子が話し合いで決着が着くわけはなく、結局多数決で決まる事になった)

男(ここで大切なのは男子(正常)の票を両陣営はどれほど取れるかという所。俺もそこに含まれる・・・筈)

男(俺は今の所メイド喫茶に入れようと思っている・・・決して他意は無い。女子のメイド姿を見たいとかそういうのじゃないぞ。そういうのじゃないからなっ・・・!)

女「メイド喫茶がいいと思う人は手を挙げてください」

男(さて、俺はクラスメイトのメイド姿を拝むためにーー)

男(そう思って手を挙げようとしたら二人から物凄く視線を感じる)

転校生「」ジトー

男(一人は転校生。物凄く呆れた様な顔で見られている。ヤダっ・・・感じちゃうっ・・・嘘だ。)

女「」カァァ

男(もう一人は女。何故か分からないが顔を真っ赤にして俺を見ている。俺が何をした)

男(とりあえずこの状況で手を挙げるのは分が悪いので大人しく手を下げる事にした。俺の夢はみんな(変態)に託したっ!)

石井「おい男・・・お前はそういう奴だったのか?」

男(あーやばい。変なの出てきた)

男「いいだろ。たまには・・・」

石井「何がたまには・・・だっ!俺はお前が課外学習で見せた熱い気持ちを覚えているぞっ!」

石井「なのにお前は、俺達を裏切るというのか!この薄情者!」

男(セリフはカッコいいが内容の意味が残念すぎて笑えない。それに俺はその熱い気持ちを覚えていない)

男「裏切るもなにも仲間になった覚えがないなぁ・・・」

石井「この野郎っ!どうせ女子に引かれたくないだけだろっ!そんな意思の弱い奴なんか俺はもう知らん!」

男(ぶっちゃけその通りですが、俺は元々お前なんか知らん)

女「じゃ、じゃあ次は演劇がいいと思う人・・・」

~~~~


女友「じゃあ、やる演目だったり配役は後日発表するから楽しみにしといてね~あ、ちなみにメイド喫茶に票入れたヤツは出さないから」

男(結果は演劇の圧勝。正直メイド喫茶に手を挙げていたヤツは過半数を余裕で下回ってた)

男(ということで我がクラスは演劇をやることに。俺は早めに楽な役割に就こう)

女友「・・・ねぇ、女。あんた男の事、ホントに好きよね?」

女「い、いいいきなり何を言い出すのかな女友ちゃんっ!」

女友「真剣に聞いてるの」

女「そっ、それは・・・すき、だよ・・・」カァァ

女友「だけど、ここ最近は進展ないんでしょ?」

女「・・・うん」

女友「・・・それじゃあ、私が背中を押してあげる」

女「・・・?どういうこと?」

女友「まぁ、待ってなさいって」

~~~~



・主役 女 男

・脚本 監督 女友



女「」パクパク

男「」アゼン

女友「さぁーっ!ということでこれでやっていくよ!」

男「・・・って、ちょっとまてええええ!!」

女「」パクパク

女友「なによ、私の配役に文句あるの?」

男「何で俺が主役なんだ」

女友「演劇派で票入れた男子でまともにできそうなのあんたと友君ぐらいしかいないから。友君は文実で忙しいから無理だし」

男(正論すぎる)

男「なら男子がいない演目にすればいいじゃねぇか」

女友「それは配役決める前から決まってたから無理ね。今さら台本とか作り直すのもやだし」

男「・・・じゃあ、何で女が主役に?」

女友「それは・・・女が主役をやりたいって言ったからよ」

女友「だからあんたと女が組むのは仕方がないって事なの。分かった?」




男「・・・でもお前だってあの頃の事は忘れたわけじゃないだろ」

女友(やっぱり、男はまだそれに囚われてるのね・・・女もだけど)

女友「当たり前よ・・・だからこそよ。あんたと女を組ませたのは」

男「・・・どういう意味だ?」

女友「この際だから言っておくけど、あんた達二人はーーー」

男「・・・」

女友「いや、やっぱり言うのは止める」

男「は?・・・俺らがどうしたって言うんだよっ・・・」

女友「・・・とにかく!演劇の練習の時は関係云々で集中乱さない様に!また後の日に詳しい事は言うから」

男「おいっ!待てよ!」

男(なんなんだよっ・・・)

~~~~


女友(ついじれったくなっちゃって言いそうになったけど、私が言っちゃうとダメだ)

女友(私が言っちゃえば楽に解決するかも、しれない。だけどそれじゃあ言葉の重みは軽くなる)

女友(だから、これは女が直接言わないといけないこと)

女「女友ちゃん~」ウルウル

女友「ん?どうしたの?」

女「どうしたのじゃないよぉ~なんで男君と主役なんて無理だって~」ポカポカ

女友(うっ、可愛い・・・)

~~~~


女友(ついじれったくなっちゃって言いそうになったけど、私が言っちゃうとダメだ)

女友(私が言っちゃえば楽に解決するかも、しれない。だけどそれじゃあ言葉の重みは軽くなる)

女友(だから、これは女が直接言わないといけないこと)

女「女友ちゃん~」ウルウル

女友「ん?どうしたの?」

女「どうしたのじゃないよぉ~なんで男君と主役なんて無理だって~」ポカポカ

女友(うっ、可愛い・・・)

女友「私が背中を押してあげるって言ったでしょ?」

女「だからって、私まともに演技できるか分からないよ・・・」

女友(だけど、今の女にはそれを言う事は無理よね・・・)

女友(私が、背中を押さなきゃーー)

女友「・・・一つ言っとくよ、女」

女友「・・・あんたは多分このまま行くと男とは仲直りすらできない」

女「・・・まだ、わからないよ・・・」

女友「そう言ってどれだけ経った?もう3年経とうとしてるんだよ!それだけの期間があったのになんで今まで何もなかったの?」

女「それはっ・・・!」

女友「3年と何もできなかったって言うのに好きだから、すぐに付き合うことなんて今の2人にはできないのよ!」

女「・・・女友ちゃんは何も分かってないんだよっ!」

女「・・・私達の間の事は私達しか分からないに決まってるっ・・・!」

女友「分からないよ・・・」

女友「私は2人の辿ってきた時間の事は全然分からない・・・」

女友「だけど、私だって女の事を大事に思ってるのは一緒」

女友「私はあの時、女に対して何もできなくて、ただ見てるしかできなかった事を今でも後悔してるの・・・」

女友「ただ、男一人に任せてただけで何もできなかった・・・」

女友「私の今からでもできることは、二人の関係を元通り・・・いや、それ以上にする事だけ」

女友「だから、女。その為なら私はできる事なら何でも協力する。自分の地位を使ってでも」



女「・・・女友ちゃん・・・」ポロポロ

女友「酷い事言ってごめん・・・だけど、女。今のあんたには覚悟が必要なのよ」

女「・・・うん」ポロポロ

女友「男と演劇をやっていくのもそうだけど、一番大事なのは過去を清算していく事」

女友「機会はそんなに無いけど、女。あんたにはできるはず・・・」

女「・・・うん、うん・・・」ポロポロ

女友「だからがんばろ?女・・・」ウルウル

女「・・・がんばるよ、私・・・」

女「いつまでも、引きずっちゃダメだよね・・・」

女「ありがとう女友ちゃんっ・・・!」

女友「すぐでもなくてもいいからね。でもそんなに待たせるのはダメだから」

女「うんっ・・・」

次あたりでやっと過去にいけるかな…二重投稿、申し訳ないです。

~~~~


女友「カットー!」

女友「女、今の演技すんごいよかった!」

女「あ、ありがとう」

女友「でも最後のセリフの所はもっとこう・・・」

男(あれから数日。俺らは文化祭に向けて演劇の練習をしている)

男(俺は主役と言っても女に比べたら出番が無いから、練習する所が少ないのは嬉しい)

男(これはほとんど女がメインの演劇だからな。まぁ、一番の驚きは・・・)

女「わかったよ。・・・男君、今のどうだったかな?」

男「えっ、とまぁよかったじゃねぇか・・・?」

女「・・・ならよかった」ホッ

男(女の演技の上手さ、真剣度。そして俺に接触する事が多くなった事)

男(俺の記憶には女が演劇で役をやっているのも見た事無いし、知らない)

男(なぜ女がここまで真剣なのか。俺に関わる事に積極的なのか。俺には・・・)


女友「こっからは男も入ってくるから準備して!」

男「ああ・・・」




男(・・・俺には、分からない)


女「・・・」

~~~~


女友「女、お疲れ」

女「あっ、女友ちゃんありがとう」

女友「男も中々しぶといねー」

女「うん・・・」

女友「あいつもあいつなりに何か思う所があるのか、それとも女に興味がないのか・・・」

女「や、やっぱりそうなのかなぁ・・・」ウルウル

女友「いや、冗談だって!絶対そんな事思ってないって!」

女「・・・本当に?」

女友「本当、本当!」

女友(むしろあれは気にしすぎてるレベルよね)

女友「まだ練習あるから、やってくよ!」

女「うん、今いくよ」

~~~~


女友「よーっし!今日は結構つめてくから覚悟しといてねっー!」

「「はーい」」


男(遂に文化祭まで二週間を切り、いよいよ本番に向け練習にもますます身が入るはずなんだが・・・)

女「あと二週間かぁ・・・早かったね」

男「ん、ああ。そうだな」

女「でも本当の勝負はこれからだよっ。頑張ろうね男君っ」ニコッ

男「お、おう・・・」

男(最近の女の様子が前と全然違うことが気になる。多分ここ3年ぐらいでここまで女と会話しているのはなかった)


男(女はあの頃の事を、俺を、許してくれようとしてるのか・・・?)



男(・・・止めろっ・・・今はそんなことを考えている場合じゃないっ・・・)

~~~~



女友「ーーじゃあ、今日はここまで!みんな遅くまでお疲れさまっー!」

「おつかれさまーっ!」「おつかれー」

男(今日は随分遅くまでやったな・・・さて、帰るか)

女友「ちょっと待て」ガシ

男(いい予感がしない)

男「お家でママが待ってるから早く帰らなきゃダメなんだよ」

女友「それなんだけど、今日私この後部活の方で用事あるから女と帰れないのよね」

男「それが?」

女友「時間も遅いし、あんた家近いから女を送っていって。ていうか送れ」

男「・・・実は今日帰りに寄る所があって」

女友「送ってけ」ミシミシ

男「いたいいたいおくってくおくってく」

女友「よろしい」

~~~~


女「・・・」

男(しばらく、歩いているけどやっぱり会話がない)

男(・・・これが普通の俺達。これが普通なんだ)

女「・・・懐かしいね」

男「・・・えっ」

女「こうやって一緒に帰るのが懐かしいなぁって」

男「・・・」

男「・・・なぁ」

女「・・・なに、男君?」

男「俺の知る限りお前は演劇に熱を入れる人間ではないのに・・・どうしてお前はあんなに頑張ってるんだ?」


男(そう聞くと女は大きく息を吸って、吐き、そして俺の瞳をまっすぐ見て、言った)



女「・・・男君、私は変わりたいって思ってるんだ」

女「今まで過去に囚われて、何もできなくて下を向いていた私を変えたいんだ」

女「過去の事は勿論忘れることなんてできない・・・だけど、新しくやり直せる事はできるから」

男「・・・」

女「私の事を応援してくれる友達だっている・・・私の事を大事に思ってくれる大切な友達」

女「それに私は演劇の物語も気に入ってるんだ・・・」


女「私も変わって、輝きたいと思うから・・・」

女「だから、男君。」



女「あの時悪かったのは私。」



女「本当にっ、本当に・・・ごめんなさいっ・・・

男「・・・何で・・・なんでお前が謝ってるんだよ・・・おかしいだろそんなの・・・」

男「悪いのは、お前の事を傷つけたのは俺だろ・・・」


女「ううん、違う。私は男君のしようとしている事を理解しようとしないで、酷い事を言って男君の事を傷つけた」


男(やめろ)

女「男君は私を助けようとしてくれてたのに・・・」


男(もうそれ以上はやめろ)


男「・・・もう、それ以上言うな、よ・・・」

女「ううん。何度でも言うよ。私の気持ちが伝わるまで」


男(やめろやめろやめろやめろやめろやめろやめろ)


男「やめろっ・・・!」ハァハァ







女『・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・』






男「っ!!」

女「お、男君っ!?」


男「」タッタッタッ



女「・・・おとこ、くん・・・」

~~~~


男「ハァ・・・ハァ・・・」

男(寝よう。何も思い出してはダメだ。)

男(寝たらきっと忘れる。きっとそうだ)


男(朝起きたら大丈夫になってる。おちつけ
、おちつけ)



もう、わすれろ。







【過去】




今日はここまでです…おやすみなさい…

まず訂正

>>53の初めて会ったを初めて遊んだに訂正お願いします…

ー10年前ー


幼女「よいしょ・・・よいしょ・・・」

幼男「・・・」ジー

幼友「おいおとこー!そっちにボールいったぞ!」

幼男「あ、ごめん!」

幼女「できた・・・」

幼男「・・・」ジー

~~~~


幼女「よいしょ・・・」

幼男「・・・」ジー


幼男「ねぇ、きみってなんでいつもひとりですなばにいるの?」

幼女「・・・わ、わたし・・・おともだちいないから・・・」

幼男「じゃあ、ぼくとあそぼうよ!そっちのほうがおもしろいよ!」

幼女「で、でも・・・」

幼男「ほら、いこう?」スッ

幼女「・・・う、うんっ!」

ー4年前ー


男「ついに俺達も中学生かー」

女「この前まで小学生だったのに、なんだか早いね・・・」

男「だなー お前と会ってからもすごくはやかった!」

女「そうだね・・・こうやって私達も大人になっていくのかなぁ・・・」

男「・・・あっ、クラス貼ってあるぞ!」

女「えっ、ま、待って男君!」

男「早く来ないと置いてくぞー!」

~~~~

男「おんなー 一緒に帰るぞー」

女「うんっ。ちょっと待ってて」

男「んー待ってるー」

~~~~


女友「かわいい・・・」

女「・・・え?」

女友「あなたすごくかわいいっ!名前なんて言うの!?」

女「えっ、えええっ。お、女です・・・」

女友「女ねっ!早速なんだけど、私と一緒に演劇やらない?」

女「・・・ごめん、あまり時間無くて部活はできないんだ・・・」

女友「なら私と友達になって!」

女「うんっ。それならいいよ」

女友「ありがとう!よろしくね女!」

女「よろしく・・・女友ちゃん」

~~~~


女友「女、一緒に帰ろ」

女「ごめん。今日はちょっと・・・」

女友「あー男君ね・・・」

女「」カァァ

女友「しょうがないなぁ。じゃあまた今度ね」

女「うん。またね」

男「おんなー」

女「あっ、今行くよー」

~~~~


「おとこー!これからサッカーやるけどお前来るか?」

男「おう、いくいく」

「今日は負けねぇからな!」

男「俺こそ負けねぇよ!」


女「・・・」

~~~~


友「男、今日ちょっと行きたい場所あるからついてきてくれないか?」

男「いいぞー」


女「お、男君」

男「ん?なんだ?」

女「今日、その・・・一緒に帰らない?」

男「ごめん、これから用事あるから」

女「そっか・・・それじゃあ仕方ないね・・・」

男「また今度な!」

女「・・・うんっ」

~~~~


女友「女、今日一緒に帰ろうよ」

女「うん、いいよ」

男「おんなー」

女「・・・!」

男「一緒に帰ろうぜー」

女「ごめんね、今日は女友ちゃんと一緒に帰るから・・・」

男「・・・じゃあ、いいや。またなー」

女「う、うん」








ー3年前ー










「おとこー!お前何組?」

男「俺は2組だ!お前は?」

「一緒だ!今年もよろしく!」

男「おうよ!よろしくなー!」

友「またお前と一緒か・・・もはや腐れ縁だな」

男「本当だよ。マジで不正疑うレベルだな」

友「うるさいわ・・・まぁ、今年もよろしく」

男「ん・・・よろしく」

女友「あー、女とは違うクラスだ・・・」

女「そ、そうだね・・・」

女友「休み時間とか会いに行くからねー!待っててねー!」

女「う、うん」

女(男君は・・・)


女(また違うクラス・・・)

女(こうやって私達、離れ離れになっちゃうのかな・・・)

今日はここまでです…

~~~~


女(どうしよう・・・友達がほとんどいない・・・)

女(私、あんまり話しかけるの得意じゃないしなぁ・・・女友ちゃんの事を待とう)

「あっれー?女さんじゃーん」

女「」ピク

ギャル「今年も同じクラスだぁ~。よろしくねぇ~」

女「う、うんっ。よろしくお願いします・・・」

ギャル「」クスクス

女「・・・?」

~~~~


男「うらぁっ!」

「やべー!やられたー!」



女(いいなぁ男君・・・楽しそう)

女(女友ちゃんまだかなぁ・・・)

ギャル「女さん一人~?」

女「そうだけど・・・」

ギャル「なら私達と一緒にお弁当食べない~?」

「・・・」クスクス

女「・・・ごめんなさい・・・私お友達と約束してるから・・・」

ギャル「そうなのー?じゃあ、仕方ないね」

ギャル「・・・調子乗ってんじゃねーよ」ボソッ

女「・・・?」

女(何だかギャルさん怖いな・・・)

~~~~


女(・・・あれ?おかしいな・・・ちゃんと教科書持ってきたはずなのに・・・)

女(もう一回ちゃんと探してみよう)

ギャル「女さ~ん、どうかしたの~?」

女「・・・!」

女「いや、なんでもないよ・・・」

ギャル「そう~?」


ギャル「もし、困ったことがあったら言ってね?」ニヤリ


女(・・・っ!)

女「う、うん・・・」

女(ギャルさんの今の顔、すごく嫌な感じがした・・・)

~~~~


女(今度は体育着・・・これで何度目だろう・・・)

女(日に日に私の物が隠されてたり、無くなってたりする・・・)

女(これってやっぱり、私イジメられてるんだよね・・・)

女(やだよぉ・・・怖いよぉ・・・)ウルウル

「・・・」クスクス

~~~~


『女は人を平気で騙す最低なヤツ』


女「なにこれ・・・」

「・・・」クスクス

女(もう・・・やだよぉ・・・)ウルウル


「キャハハハハハハ!!」

女「っ・・・」

ギャル「今のお前の顔サイコーに面白いよ!ヤバイ!」

ギャル「お前にホントーにお似合いだよ!キャハハハハ!!」

女「・・・なんで・・・」

ギャル「あ?お前のその態度がムカつくんだよ」

ギャル「下手に顔はいいくせして、そのへりくだったような態度。見ててイラつくんだよ!」

ギャル「いい加減やめてくれないかなぁ、そういうの」

女「・・・わたし、そんなことっ・・・」

ギャル「ほら、またそういうだよ。それがイラつくんだっつうの」

女「・・・うぅ・・・」


「女!!」

女友「女・・・大丈夫!?」

女「・・・おんな、ともちゃん・・・」

女友「あんたら女に何してるのっ!!」

ギャル「何って、そりゃあ・・・ねぇ?」

女友「ふざけてんじゃないよ!」

女「女友ちゃんっ・・・大丈夫だからっ」

女友「どこが大丈夫なのよ・・・」

女「お願い・・・女友ちゃん・・・」

女友「・・・一旦出よう女・・・」

女友「」キッ

ギャル「・・・」クスクス

~~~~

女友「こんな事になってるなんて、何でもっと早く言ってくれなかったの?」

女「それは・・・」

女友「親友が困ってるのに何もしないなんて、そっちの方が私は嫌だよ・・・」

女友「・・・私、あの女達と話つけてくる」

女「・・・っ!、ダメっ」ギュッ

女友「なんで?離してよ・・・」

女「女友ちゃんまで、巻き込みたくないからっ・・・」

女友「でもっ!」

女「お願い・・・これは私の問題」

女「わたしが、自分で解決するから・・・」


女友「・・・あの女が手でも出してきたら、すぐ助けるから」

女「・・・うん。ありがとう女友ちゃん」

女友(女はこんな時でも自分より私の事を・・・)

女友(何かしてあげたいのに、何もできないっ・・・)

女友(何か、何か方法はないの・・・!?)


女友(・・・!! あの人なら・・・!)

~~~~


友「なぁ、男」

男「ん、なんだ?」

友「最近他クラスで女同士のイジメがあったって噂知ってるか?」

男「いや、初めて聞くな」

友「かなりヤバイって話らしい・・・最低な奴もいるもんだ」

男(そういやぁ、女は大丈夫なのか・・・あいつ友達少ないし、あんまり友達作れるタイプじゃねぇし)

男「あぁ。全くだ・・・ちなみにイジメられてるのは誰なんだ?」

友「そこまでは分からない」

男「そうか・・・」

男(女・・・じゃないよな)


「すみません・・・」

男(・・・?)

女友「君って男君・・・だよね」

男(たしかこいつは・・・女の友達)

男「ああ。なんか用?」

女友「実は・・・女の事で相談したい事があって・・・」

男(・・・!)

男「別にいいが・・・友は居ていい話か?」

女友(・・・人数は多い方がいいよね)

女友「大丈夫・・・ちょっとついてきて」

~~~~


女友「話っていうのは・・・」

女友「・・・女がイジメを受けてるって事」

男(・・・っ!!)ギリ

男「・・・おい、女イジメてるのはどこのどいつだよ」

女友「それは・・・女のクラスのギャルって人の集団が・・・」

男「・・・ぶっとばす」グッ

友「待て男っ!」ギュッ

男「離せっ!!そいつの顔ボコボコにしてやらねぇと俺の気が済まねぇ!!」

友「何も考えなしに行くのは危険だ!お前が何かした所でイジメが無くなる訳でも無いだろっ!」

男「こうしてる間にも女は苦しんでるかもしれねぇんだぞ!!なんでお前はそんな冷静でいられるんだよっ!!」

友「俺だって今すぐ何とかしてやりたい!だけど、意味がある事をしないとダメなんだよ・・・俺を信じろ、男っ・・・」

男「・・・」

男「・・・っ・・・分かった」

友「悪い、男・・・」

友「・・・女友さんって言ったっけ、その後の話を教えてくれないか?」

女友「う、うん。今日女のクラスに行ったら黒板に言われもない事が書いてあって・・・」

女友「黒板の前で屈んで泣いている女とそれを囲む様に立っているギャルの集団がいて、その中から女を連れて出たの・・・」

女友「その後女から話を聞いたら前からそういう事があったみたいで、私が何とかしようとするって言うと・・・」

女友「女は私に迷惑をかけたくないから何もしないでって言うから、もうどうしたらいいか分かんなくて・・・」

女友「それで2人に相談を・・・」

友「・・・ちなみにイジメられている原因は?」

女友「それが、何とも言わなくて・・・」

男「・・・お前、それでも女の友達かよ」

女友「・・・えっ」

男「なんでこんな事になる前にどうにかしてやれなかったんだよ」

女友「それは・・・」

友「やめろ男っ!女友さんは何も悪くない!むしろ俺達に女さんの事を知らせてくれたんだぞ」

友「それに、最近女さんと居る事が少なかったのはお前も同じだろっ・・・!」

男「・・・っ!・・・悪かった・・・」

女友「いや・・・君の言う通りだし・・・」

友「しかし、原因が何なのか分からないのなら対処の仕様が無いな・・・」

男「・・・」

友「女友さん、それだけ何とか聞き出せないかな?後の事は俺達が何とかするから」

女友「うん・・・分かった」

友「なら女友さんはできるだけ女さんの近くにいてあげてほしい」

男「・・・」

~~~~


男(原因を聞くまで待ってろ?そんなの遅すぎるに決まっている。イジメる奴らの理由なんて聞くに足りないものだ)

男(そう言ってる間にも女は苦しい思いをしてるんだ・・・一秒も待つ暇なんて無い)

男(ただ殴り倒したって問題は解決しないし、女の立場が無くなる・・・)

男(どうすれば、どうすれば女を助けられるっ・・・!)

男(・・・!分かったぞ・・・)

男(こうすれば、女は・・・)


男(これなら、いける・・・)


男(待ってろ・・・必ず、助け出してやるぞ女っ・・・!)

今日はここまで。

遂にあの時が来ます。

~~~~


ギャル「・・・なによ、これ」

「私のバックが・・・」「嘘っ、これめっちゃ高かったのに・・・」

ギャル「よくも、やってくれたわね・・・」

女(え・・・これってどういう事・・・?)

女(昼休みまで保健室にいて、教室に荷物を取りにきたらギャルさん達の持ち物が荒らされてる・・・)

ギャル「お前、覚悟できてんだろうね・・・」

女「・・・っ!、私じゃない・・・」

ギャル「お前以外に誰がやるの?ねぇ?」

女友「やめなさい!」

ギャル「チッ・・・またお前か・・・」

女友「手出したら許さないって言ったよね・・・」

ギャル「じゃあ、やったのお前かぁ!?」

女友「何の話かは分からないけど、私はあんたらには何もしてない」

ギャル「しらばっくれてんじゃねぇよ!」


「うるせーな」

ギャル「!?・・・誰お前」

男「どう?俺のコーディネートは気に入ってくれた?」

女(・・・おとこ・・・君・・・?)

ギャル「お前がやったのか!ふざけんじゃねぇ!」

男「うるせー 猿みたいな姿してんのに、声まで似せられたらたまんねぇよ」

ギャル「黙れよ!何の為に私達に手出した!?」

男「あぁ?てめぇらが気に食わねぇからに決まってんだろ」

男「自分が偉いと思ってるのか知らねぇがよ、所構わず大声で騒いで目障りなんだよ」

ギャル「この野郎っ・・・!!」

男(いいぞ・・・てめぇらのアホみたいな頭なら下手な煽りでも乗っかってくれる・・・)

男(そのまま女の事は忘れて俺に矛先を向ければいいっ・・・)

男(俺ならどうなったっていい・・・せめて女に被害がいかなければいい・・・)

「・・・そういえばこいつ」コソコソ

ギャル「・・・あぁ、なるほど」

ギャル「お前、女と仲が良いらしいじゃない・・・」

「・・・!」



男(・・・っ、一番懸念していた事を・・・)

ギャル「女を助ける為に体を張るなんてかっこいいねぇ。そんなんしても意味ないけど」

男(ここで引いたら確実に女は助からないっ・・・)

男(むしろ、俺も被害を受けて共倒れだ・・・何か方法は・・・)

男(・・・・・・女を助ける為なら俺はっ・・・!)



男(嫌われたっていいっ・・・!)

男「はぁ?お前ら何言ってるんだ?」

ギャル「・・・は?」

男「なんで俺が女の事を助けなきゃいけねぇんだよ」

女「・・・っ」

男「俺はてめぇらが目障りだから手出してんだよ」

男「・・・むしろ俺、女の事・・・嫌いなんだよ」

女(・・・!!)

男「勝手についてきて鬱陶しいし、頼んでもねぇのに世話焼いてきて・・・」



男「本当に・・・あいつなんか、どうでもいい」

男(・・・思った以上に辛ぇ・・・)

女友「あんたっ!」

男「・・・うるせぇよ・・・」

女友「」

女友(なんなのよ、こいつ・・・なんであんなこと言ってるのにそんなに辛い顔してるのよ・・・)

女「・・・なんで・・・」ウルウル




女「・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・」

タッタッタッ


男「ーーー」


ギャル「・・・こりゃあ、女が関わってるって訳ではなさそうね・・・」

ギャル「それに、あいつよりこっちの方が面白そうだし・・・♪」

男「・・・」

ギャル「まぁ、私達に手を出したんだ。覚悟はできてるんだろ?先輩も呼び出して徹底的にやってやるから」

男「・・・」

~~~~


「んで?こいつボコればいいの?」


ギャル「はい。好き勝手やってください」

「ちょうどいいや。最近ケンカとかしてなくてよぉ」

男「・・・」

「なんだよこいつ・・・不気味なんだけど」

ギャル「まぁ、いいじゃないですか~それじゃあ、お願いします♪」

「んじゃあ、遠慮なくーー」

~~~~


友「男っ!」

男「・・・誰だ・・・」

友「何でお前、こんなボロボロになってるんだよ!」

男「・・・わかんね」

友「何があったんだよっ・・・!」

男「・・・それ、は・・・」


『・・・なんで・・・そんなこと言うの?・・・』


男「っ!・・・ぅぁ・・・」ズキン

友「おい!しっかりしろっ!」

男「・・・あぁ・・・」


友「それで、何があったんだ?」

男「・・・先輩に殴られた」

友「なんでって、まさかっ・・・!」

男「・・・ギャルに手を出した」

友「お前あれ程何もやるなと言ったのに!何でだよ!」

男「・・・俺は価値も何も無い人間だからな」

友「おい、お前どうしたんだよ・・・」

男「・・・」


男(・・・なにやってんだろうなぁ、俺)

今日はここまでです。

回想はどうしても中だるみしてしまいます…

~~~~


男(あれから、女に対するイジメが発覚しギャルのグループは長い停学期間の後、転校する事が決まったらしい)

男(俺もギャル達の物を破損したという事で一週間程度の停学を言い渡された)

男(発覚した原因が俺が派手に暴れたってのが理由なのが不幸中の幸いとでも言うべきなのかもしれない・・・)

男(けど、俺はもう女を傷付けた、クズだ・・・)

男(俺は存在する事に、価値があるのだろうか)

「」ヒソヒソ


男(俺を見る目が冷たい・・・まぁ、当然か・・・)

男(・・・学校に来るのも嫌だな)


女友「それでねー」

女「へえ・・・」


男(女・・・)

男(あいつは、あの後女友や友の尽力のおかげで学校に通うのも問題なくなり、イジメられる以前の生活に戻っている)

男(当たり前だ。女はあいつらに嫌われてただけなんだからな・・・)


女「・・・!」

男(俺の事を見て、目を逸らすか・・・)

女友「」キッ

男(・・・敵視されてんなぁ、俺・・・)

男「・・・」スタスタ


男(もういい。俺達はもう何でもないんだ)


男(幼馴染とか、そういうのでも何でもない・・・)


男(なぜだが、こう思うのはすごく心が痛い・・・)


男(この感覚を、前から知っている様な・・・)

~~~~


友「男・・・」

男「・・・なんだ」

友「その・・・さ、昼休み野球やるからお前もどうかなって・・・」

男(・・・ホントに友はいい奴だ)

男(あの後でも俺に接してきてくれる)

男「・・・お前って本当にいい奴だよな」

友「どうしたんだ男・・・」

男「もう、俺なんか放っておけよ・・・」

友「・・・おとこ?・・・」

友「なぁ、お前本当におかしいよ!」

友「お前はそんな奴じゃないだろ!いつも俺らに前に立って騒いで、笑いあって、それで・・・それでよ・・・」

男「・・・すまねぇ、友。もう前には戻れない・・・」スタスタ

友「どこに行くんだよ・・・」

男「体調悪くなったから保健室にでも行くわ・・・」

友「・・・くそっ」

「なにあいつ・・・」「マジでうぜぇな」

友(男・・・なんでだよっ・・・!)

友(なんで・・・俺に何も言ってくれないんだよっ・・・!)

~~~~


友「ーーそれで、そいつがあんなにも変わっちまうなんて、必ず何かあったはずなんだ」

友「その何かを俺に言ってくれなくてすごくムシャクシャするというか」

友「もう、どうしたらいいか分からないんだよっ・・・!」

会長「なるほどね・・・」

会長「やっと言ってくれたね、友」

友「・・・え?」

会長「まさか、気づかないとでも思った?あなた、ここ最近思い詰めた顔してたから、こっちだって心配したのよ?ね、後輩?」

後輩「そうだよお兄ちゃん。悩みがあるなら言ってくれなきゃこっちだって困るよ」

友「そうだったのか・・・悪かった」

会長「それで、今どんな気持ち?」

友「それは・・・少しホッとしたって言うか」

会長「それよ。その子にもできればそうしてあげたいけど・・・相当参ってるでしょ」

友「そうだね・・・男がへこんでる姿なんて今までで一度も見た事がない」

会長「だから、その子の心をほぐしてあげなきゃね・・・」

友「でも、どうやって?」

会長「・・・私に任せなさい」

~~~~


男「友、無理矢理俺をどこに行かせようとしてるんだ・・・」

友「生徒会室だ」

男「まだ俺には処罰が・・・」

友「そういうのじゃない。お前には戻ってもらう」

男「・・・何を言っているんだお前は」

友「行けば分かる」

男「・・・」

~~~~


友「連れてきたよ、姉さん」

男「・・・」

会長「・・・あなたが例の問題児クンね」

会長(これは思っていたより酷いわね・・・)

後輩(この人抜け殻みたいで、目が死んでてなんだか怖いっ・・・)

男「俺は・・・何の為にここまで連れて来られたんですか」

友「・・・お前には俺の親友である男に戻ってもらう為だ」

男「・・・なんでだ?」

友「あの時以来、お前はまるで人が変わったかの様におかしくなっちまった・・・」

友「それを、見てる俺が辛くないわけないだろっ・・・!」

友「悩んでるのなら俺に何か言って欲しいし、頼ってほしいんだよ!」

男「・・・人に言えるもんじゃねぇんだよ、あの時の事は・・・」

友「でもっ・・・!」

会長「はい、そこまで!お互いに冷静になりましょ、ね?」

友「・・・っ」

男「・・・俺は元から冷静です」

会長「今はそんな事はどうでもいいの。それよりも今のやりとり見てて、ウチの妹が怖がってたんだけど」

後輩「・・・」

友「あっ・・・ごめんな」

男「・・・悪かった、俺のせいで・・・」

男(また、人を傷付けた・・・)

会長「・・・」

後輩「いえっ、そんな事はないですけど・・・」

会長「なので、二人には罰として生徒会の仕事を手伝ってもらうから」

友「ちょっ、姉さんそれはどういう・・・」

会長「私に任せなさいって言ったでしょ」コソコソ

男「・・・別にいいですけど」

会長「ちなみに期間は一週間ね♪」

友「・・・え?」

男「・・・」

~~~~


後輩「・・・」

男「・・・」

男(俺は何をしているんだ・・・)

男(書類を纏めたり、荷物を運んだり・・・)

男(こんな事をしてて何になる・・・)

男(・・・別に他にやるような気が起きないからいいが)

後輩「・・・」ジー

男「・・・なんだ」

後輩「い、いえっ!何もないです!」ピクッ

男「あっそ・・・」

後輩「・・・」ジー

男(なんなんだよ、こいつ・・・)

後輩(・・・お姉ちゃんにこの人の事をよく見て観察しろって言ってたけど・・・)

後輩(この人、すごく辛そうで悲しそう・・・)

男「・・・ちょっと」

後輩「な、なんですか!?」

男「そんなに見られるとやりにくいんだけど」

後輩(バ、バレてたー!?)

後輩「す、すいません・・・」

男「・・・」

後輩「・・・」

後輩「あの・・・」

男「・・・ん」

後輩「・・・どうしても聞きたい事があって」

男「・・・いいけど」

後輩「・・・先輩ってなんでそんなに辛そうなんですか?」

男「・・・え」

後輩「失礼だったらすみません・・・でも先輩の事見てると、すごく私まで辛くなって・・・こんな気持ち初めてなんです・・・」

後輩「そう思うと、なぜか先輩がどうしてそんなに辛そうなのかが気になって」

男「・・・悪いな。俺のせいで」

後輩「いや、先輩のせいじゃないですっ」

男「いや、俺のせいなんだよ・・・」

男「・・・全て、俺のせいだ・・・」

後輩「せんばい・・・?」

会長「・・・」

~~~~


友「・・・」

男「・・・」

友「・・・まだ話す気にはならないのか」

男「だから、人に言うような事じゃない」

友「・・・そうか」

友「俺は、待ってるからな・・・」

男「・・・」


会長「・・・」

今日はここまでです。

~~~~


会長「2人とも一週間お疲れさま~」

男「・・・どうも」

友「でも姉さん、どうしてこんな事を?」

会長「調べてたのよ・・・色々とね」

男「・・・どういうことですか」

会長「男クン・・・君さ」




会長「自分の事をどうでもいいだったり、価値が無い人間だと思ってるでしょ?」

男「っ・・・そんなことは」

会長「いいえ、そう思ってる。自分で言ってるじゃない。それも何度も」



男「・・・それがどうかしたんですか」

会長「・・・君をね、必要としている人はいるのよ」

男「・・・そんなことは」

会長「まず、友。君に何があったって常に君の味方であろうとしている。そんな友を君はどうでもいいと思ってたりしてるの?」

男「・・・っ!そんな事はないっ・・・」

会長「なら、どうして?」

男「・・・俺は大事な人のそばにいると傷つけてしまうからっ・・・」

友「・・・」

会長「でも、その態度が逆に友を傷つけてるとは思わない?」

男「・・・」

会長「それに君を見て心を痛めてるのは友だけじゃない」

男「えっ・・・?」

会長「ウチの妹だって、君の事を心配してたの。君の辛そうな姿を見るのは嫌だって言うの」

会長「接する様になって一週間。それなのに君の事を心配してくれている人だっている」


会長「そして、私だって君を必要としている」

会長「確かに大切な人を守りたい、そう思うが故に失敗するかもしれない」

男「・・・なんで、それを・・・」



会長「言ったでしょ?色々調べたって」

会長「でも、本当の事はあなたからしか聞けない」

会長「だから聞かせてくれない?あの時の本当の事」



会長「ーー君を大切な人だとしている私達に」

男「ーーー」



友「・・・言っただろ。俺は待ってるって」

後輩「そうですよ。困った事は相談するのが一番ですっ」ニコッ



男「・・・なんでみんな俺の事を・・・」ウルウル

友「そりゃあ、お前を大切に思ってるからな」

男「・・・そう言ったって・・・」

後輩「何か私も、先輩の事を放っておけないって感じがして・・・」

男「・・・」

男「・・・ありがとう・・・俺のためにっ・・・」

男「・・・正直、くだらない話かもしれない」

男「それでも、いいなら聞いてほしい・・・」

~~~~



男「ーーー・・・ということですが」

友「やっぱり・・・だから待てって言ったのにっ・・・」

会長「今はそういう事を話す時じゃないのよ、友」

友「・・・ごめん、姉さん」

会長「その話を聞いた限りでは男クンの行動は間違ってたかもしれないけど・・・」

会長「でも男クン、君が悪いって事は無いの」

会長「これはどちらが悪いという問題じゃ無い。男クンと女ちゃん、二人とも悪くなんてない」

会長「ただ、想いがすれ違っただけ」

男「・・・それでも俺に否があったのは確かです」

会長「なぜ?」

男「友が言う通り、最善の方法を待てば良かったのに俺が自分勝手にやった事で誰も望まない結果になってしまった」

男「それに、俺は女を傷つけた自分も嫌なんです。俺がもっと頭があったり力があれば、女を傷つける事は無かったんじゃないかって」

会長「過ぎた事を言ってもしょうがないの。もうその事はーーー」

男「いえ、これが俺のけじめです。」

男「こう思う事で、今回の事を忘れたくない」

男「もう二度と、大切な人を傷つけない為に」


会長「・・・なら、もう大丈夫ね」

会長「もう、君は誰かを傷つけたりしないのね?」

男「はい、二度とそんな事はしません」

友「・・・」

後輩「・・・」

会長「なら、私達が君を手伝ってあげる」

男「えっ・・・?」

会長「君を大切な人を傷つけないような人にしてあげるのよ」

男「でも、これ以上手を借りるのは・・・」

友「もう忘れたのか?俺達を頼るのを」

友「大切な人に頼られるのは、こっちとしても本望なんだ」

男「友・・・」




男(俺は、俺はもうっ・・・)

男(女の、大切な人のあんな顔を見たくないし、させたくないっ・・・!)ウルウル


男「俺のことっ・・・よろしくお願いしますっ・・・!」ポロポロ

~~~~


女(あれからどれだけ経ったのだろう・・・)

女(あの時の事は思い出したくないほど、辛かった。何よりも・・・)

男『本当に・・・あいつなんか、どうでもいい』


女(男君に嫌われてた事が、一番辛い・・・)

女(女友ちゃんには忘れろと言われるけど、忘れられるはずが無いよ・・・)

女(私が初めて好きになって、これまでも好きだった人の事を・・・)


女(でもあの時の男君の顔は・・・)

女(ううん、違う。私に都合がいい訳ないよね・・・)

女(でも、もし・・・男君が私を助ける為にそう言ったなら)

女(私はなんて酷い事を言ってしまったんだろう)

女(それに、原因は私にある。あの時、悪かったのは私なのかもしれない・・・)

女友「おんなー?何ぼーっとしてんの?」

女「あっ、ごめんね。ちょっと考え事・・・」

女友「また、考え事?最近多くない?」

女「あはは・・・気にしないで」

女友「・・・もし男の事なら、考える必要はないからね」

女「・・・うん」

~~~~


男「それで・・・今日から、俺は何をするんですか?」

会長「そうねぇ・・・単純に言えば頭と力を鍛えてもらうってことかしら」

男「は、はぁ・・・」

会長「まぁ、最終目的は決まってるから・・・」

男「最終目的とは?」




会長「・・・君を次期生徒会長にする事よ」



男「・・・えっ?」

会長「あの日、私がなんで君の事を必要と感じたと思う?」

男「それは・・・分からないです」

会長「君の事を調べていくうちにね、私が求める生徒会長像にピッタリハマってきたという感じでね・・・」

会長「それに、君が生徒会長になるという事はみんなが君を必要としてくれたという事にもなって、君にも自信つくでしょ?」

男「な、なるほど・・・でもそれって自分の権力を使える奴を生徒会長に・・・」

会長「そんなこと無いよ?いい?」ニッコリ

男「アッハイ」

友(絶対そうだ・・・)

後輩(お姉ちゃん、それは・・・)

会長「それじゃあ、早速やるわよ。まずは男クンに生徒会の仕事にもっと慣れてもらうから」

男「はいっ」

~~~~


男「」セッセッ



女(・・・男君、変わったな。あの時以来まったく元気が無かったのに、最近はまた前の男君、いやそれとはまた違う気がする・・・)

女友「・・・なんか最近あいつ変わったよね」

女「そ、そうだね・・・」

女友「なんか、前の魂抜けた感じじゃなくて、輝いてるっていうのかな」


女(・・・私はどうなんだろう)

~~~~


会長「あと30秒以内に終わらせてね♪」

男(おいおいまだ、山の様に書類あるぞっ・・・!)

会長「終わらなかったら、さらに量増えるよ?」

男「ク、クソぉぉぉぉぉぉ!!」

~~~~


後輩「先輩、あと10回ですっ!」

男「・・・もうっ、限界・・・」プルプル

後輩「ここで頑張らなきゃ、どうするんですか!?」

男「ちょ、うるさい・・・」プルプル

~~~~


友「ーー男ぉ!俺のペースについてこれないかー?」

男「うるせぇ!なんでお前そんな早いんだよっ!」

友「そりゃあ、毎日走り込んでるからなぁ!」

男「っ!そこで、待ってろぉ!」

友「ははっ!待たねーぞ!」

~~~~


男「男でーす!投票よろしくお願いします!」

後輩「よろしくお願いしまーす」

男「おい、声が小さいぞ」

後輩「手伝ってあげてるだけいいじゃないですか」

男「なんで、お前上から目線なんだよ・・・」

~~~~


~~~~


~~~~


~~~~

~~~~



男「うぉぉぉ・・・緊張してきたぁ・・・」

会長「大丈夫よ。どうせ信任投票なんだから」

男「それでも全校生徒の前っていうのは緊張しますよ・・・」

会長「慣れれば気持ちいいものよ?」

男(この人は生まれた時からカリスマだからな・・・)

会長「・・・そろそろ出番よ」

男「はいっ・・・」



会長「今の君はもうあの時の君とは違う。大切な人を守る事ができる、能力を持っているの」



会長「そして、私が後を継ぐのを認めた人物」



会長「それを、皆の前で証明してきなさい」



男「・・・当たり前です。やってやりますよ」

~~~~


女友「・・・一体どういうつもりなんだろ」

女「・・・」

女(なんでだろう・・・男君は生徒会長とかやりたがらなそうなのに)

女(でも私には関係ないよね・・・嫌われてるから)

会長『ーーー以上の理由から男君を生徒会長に推薦します』


『では、次に生徒会長候補の男君、お願いします』


男『・・・はい』


男『まず、私が生徒会長に立候補した理由はーーー』






男『ーーー・・・以上の理由から、私は生徒会長に立候補します』


男『・・・そして、最後にここで言いたい事があります』

男『私は前に過ちを犯して、道を違えてしまいました』

男『・・・大切な人を傷つけてしまったのです』

男『ですが、そこで道を違えた私を、助けてくれた人がいました』

男『その人達のおかげで私はこの場に立つ事ができています』


男『私を支えてくれたその人達に、この場を借りてお礼を述べたいと思います』


男『・・・本当に・・・ありがとうございましたっ・・・』

男『皆さんのお時間を使ってしまい申し訳ございませんでした。以上で、私の演説を終わります』



女「ーーー」


女友「あいつっ・・・って女?」


女「・・・」ポロポロ


女(やっぱり・・・男君は、私の為に・・・)


女(なのにっ・・・)

女(・・・なのに、私はっ・・・なんて酷いことを言ってしまったんだろう・・・)

女(あの時、悪かったのは私なんだ・・・)


女友「・・・女」

~~~~


後輩「ではっ、男先輩の生徒会長の就任」

「「「おめでとうっ!」」」

男「ハハハ・・・なんだか照れるわ」

友「これもお前の努力の賜物だよ」

後輩「そうですよっ!私は先輩の腕立てを数えてた時の事を思い出しますよ・・・」

男「俺もお前が数え間違いを何度もした事は忘れねぇ・・・」

後輩「そ、そんな事もありましたねぇ~」ピュ~

男「こいつっ・・・」

会長「それにしても、男君の最後の言葉には感動しかけたわね・・・」

男「そこは素直に感動しましょうよ・・・」

コンコン

女友「失礼します・・・」

男「あれ、お前は・・・」

女友「ちょうどよかった。あなたに用があるんだけど」

男「あぁ、場所は移すか?」

女友「そうね・・・」

友(あの時の事か・・・)

会長(・・・)

後輩(えっ?・・・まさか、こここ告白!?)アタフタ

~~~~


男「それで、話って?」

女友「・・・ごめんなさい。私、あなたの事を勘違いしてた」

女友「女の為に自らを犠牲にしてたに、その事を私はあなたが女を傷つけさせたと思って・・・」

男「いいんだ。実際あの事は俺の責任だからな。そう思われても仕方ない」

男「・・・女の事、よろしく」



女友「・・・」

~~~~


男「この後、生徒会か・・・もういいよなぁ」

友「去年のお前はどこにいったんだ・・・そういえば、男はどこ高受けるんだ?」


男「んーやっぱ、家から近くて頭もまぁまぁいい◯×高かな・・・先輩もいるし」

友「やっぱりな。俺もそう思ってたんだ」

男「・・・先輩目当て」

友「う、うるさい!」



女(男君、◯×高受けるんだ・・・)



女(・・・)グッ

~~~~


女(◯×高・・・)

女(私も候補の一つで受けようと思ってたけど
、もう決めよう)

女(あの日からまた大きくなったこの気持ち・・・)



女(男君に謝って、それで、また昔の様になって)

女(それで、伝える・・・窓の向こうにいるあなたに・・・)





女「男君、私はあなたのことが好きですって・・・」

【回顧】


男「ーーー・・・」


男(女と話してた時の俺は、確実に腐ってた時の俺だった)

男(どうして・・・今頃、あの時の俺が出てくるんだよ・・・)

男(俺は変れたんじゃないのか・・・)

『俺は・・・価値の無い人間だ・・・』

男「」ズキッ

男「っ・・・!」

男(やめろっ、思い出すとあの時の俺がっ・・・!)

男(あの時の俺はもうっ、忘れるんだっ・・・!)

~~~~


「えー男は体調不良で休みっと・・・それじゃあーー」


転校生「男が体調悪いって、珍しいわね。バカだから風邪とかひかなそうだけど」

女友「確かに・・・これじゃあ、男が入る所の練習できないね。まぁ、一日ぐらい仕方ないか」

女「・・・」

女(もしかしたら・・・いや、私が原因だ)

女(私があんな事を言ったからだ・・・男君、やっぱり苦しそうにしてたから・・・)


女(これは私の責任。だから私が何とかしなきゃ)

女「あの、女友ちゃんーーー」

~~~~


男(結局、今日は学校を休んだ)

男(不安定な状態をみんなに見せれば、心配かけさせたり迷惑になるかもしれない)

男(あの時の俺は、二度と見せてはいけない)

男「しっかし、やる事が漫画読む事か寝るしか無いってのもなぁ・・・」

男(嗚呼、なんと哀しき高校生活。オラも放課後遊びほうけたり、彼女作ったりして青春したいぞ・・・)

ピンポーン

男「・・・ん?」

男(こんな時に誰だ?)

男(まぁ、宅急便とかだろ。母さんに任せよ)


男(・・・? 母さんがノック?)

男「・・・ん、いいよー」

ガチャ……

女「・・・お、おじゃまします・・・」




男「・・・え?」

いきなりミスってた・・・

>>394の冒頭に コンコン をお願いします

男「・・・なんでお前が」

女「その、昨日の帰りに男君が苦しそうにしてたから、きっと今日休んだのは私のせいだから・・・」

女「何と言えば・・・お見舞い?・・・かな」

男「・・・別にお前は関係ない。心配するな」

女「それでもっ」

男「俺のせいなんだ。だから、お前は関係ない・・・」

女「・・・」

男「悪い・・・」

男「・・・そういえば、今日は演劇の練習はどうしたんだ?」

女「女友ちゃんに言ってお休みにしてもらったんだ」

男「悪いな・・・気利かせちまって」

女「そんな事ないよっ。ほら、最近練習ばかりだからたまには休みも必要かなぁ・・・って」

男「・・・ありがとな」

女「うん・・・」

男(女は、変わろうとしている)


男(あの日から途切れた俺達の関係を)


男(俺は、どうしたいんだ?)


男(俺達が幼馴染だった時の様な関係を望むか?それではまたあの時の様にならないか?)


男(それならいっそ、これまでの様に曖昧な関係を続けるか?)



男(あるいは―――)



男(・・・俺にはその答えをまだ迷っている・・・こんな中途半端な気持ちでは女に失礼だ)

男「・・・一ついいか?」

女「ん?なに?」


男「・・・しばらく待ってほしいんだ」


男「俺が女に対する事の答えを出すまで、待ってほしい」


男「あんまり時間はかけない様にする。だから」


女「・・・分かった。私は男君の答えを待つ」

女「でも、男君」

男「・・・?」

女「演劇の練習は、そういうのを一切気にしないでやらなきゃダメだからね?」

男「・・・わかってるよ」

女「それじゃあ、私そろそろ帰るね」

男「おう、今日は色々と悪いな」

女「ううん。別に気にしてないよ」

男「・・・ああ」

女「また明日、ね」


バタン




男(・・・俺は、今度こそ間違わずに正しい答えを出すことができるだろうか。)


男(俺の・・・俺達の、本当の答えを)

~文化祭当日~

男(今日は、文化祭当日)

男(あれから女は俺に対して過度に接することなく、だが前のように他所他所しくもなく)

男(あくまで自然に。そういう風に接してくれた)

男(そのお陰もあってか、俺も余計に気を使うことなく演劇の練習に集中する事ができた)


男(そう、演劇の練習には集中できた・・・)


男(俺は、未だに答えを見つけることが出来ていない・・・)


男(・・・今はこの事を考えてもいても仕方ない。気にしすぎて演劇で失敗でもしてしまったら大変だからな)


男(今日は、演劇に集中しよう・・・)

~~~~


~本番3時間前~


男(生徒会主導の下、盛大に文化祭の開催が宣言され俺達の祭の幕は上がった)


男(先輩のバイオレンスな叫びは、俺は一生忘れない)


男(まぁ、そういう事で俺達のクラスは演劇なわけなので今は本番まで準備中といった所)


男(そして俺と女は主役ということなので)


男「―――・・・私と、手をつないでくれますか?」


女「・・・はい、よろこんで」

男(開演時間ギリギリまで練習する事になった。今のはラストのシーンの所だな)


男(この演劇を締めくくる大事なシーンだ。意地でもここの完成度は高くしたい)


男「・・・どうだ?」

女友「うーん、もっと手を差し出す動作をもっと・・・」



男(セリフに集中しすぎてどうも動きが悪くなってるかのかもしれない。もっとしっかりしないと・・・)


友「・・・」

~本番二時間前~


男「ふぅ・・・」


男(練習をすること早一時間。休憩を貰ったので屋上に来て周りを見渡す)

男(本当に賑やかだ。祭を楽しむ奴らを見ながら飲み物を啜るのも悪くない・・・)



友「よっ、休憩か王子様」

男「やめんか、その呼び方は」

友「いやぁ、お前の王子様って似合わなくて・・・つい、いじりたくなるんだよ」

男「うっせ・・・」

友「それでどうだ?本番は」

男「まぁ、よくも悪くもって感じだな」

友「そうか・・・それじゃあ、俺から一つアドバイスだ」

男「・・・は? 別にお前、演劇をやってわけじゃねぇし」

友「まぁ、聞けって・・・男。率直に言うが、お前は今悩み事があるな?」

男「・・・別にお前には関係ないし」

友「ツレナイことを言うなよ。俺らは昔からの親友だろ?」

男「それがどうしたって言うんだ」



友「お前はな、考え過ぎなんだ。もっと物事を簡単に、単純に考えればいい」

友「自分の気持ちに素直になればいい」


男「・・・」

友「俺からのアドバイスは、それだけだよ」

男「・・・いつから気づいてた?」

友「そうだな・・・お前が久しぶりに学校休んだ次の日ぐらいか?」

男「マジかよ・・・どんだけ俺の事好きなんだよ・・・」

友「違うわ!お前のあんな辛気臭い顔見たら普通に分かったんだよ!」

友「それにな、中途半端な演技見せて姉さんガッカリさせないようにだな・・・」

男「・・・ありがとな、少し楽になった」

友「そうか・・・それは良かった」

友「それじゃあ、俺は戻るからな・・・頑張れよ」

男「おう・・・」


男(よもや、友にバレていようとは・・・)


男(・・・でも、少し答えは見えた様な気がする)


男(俺の気持ちに素直になる、か・・・)

~本番1時間前~



転校生「あ~緊張してきたなぁ・・・」

女友「まだ1時間前だし、あんたは端役でしょ・・・」

転校生「それでも緊張はするわよぉ・・・」


男(本番まで一時間。演技の最終チェックも終わり、遂に本番を待つのみとなった)


男(友のアドバイスのお陰か体の軽くなった俺は微妙だった箇所も難なく演じる事ができる様になった。後は本番だけだ)

転校生「あんたは緊張しないの?」

男「してるな。これ以上なく」

転校生「その割には落ち着いてる気がするけど・・・」

男「これが俺の緊張のスタンダードだ」

転校生「ふぅん、まぁいいわ。一つ言っとくけど、失敗なんかして女ちゃんをガッカリさせちゃダメよ?」

男「・・・そうだが・・・何故お前が?」

転校生「・・・女ちゃん、この日の為にもの凄く練習してたの知ってるからよ・・・学校以外でも一人で練習してたの」

男「・・・」

転校生「女ちゃんの努力があんたのミスなんかで台無しになったら嫌だし、さ」

転校生「まぁ、だから頑張りましょ?」

男「・・・あたりめぇだ」

~本番15分前~


女友「さぁ・・・もうすぐよ・・・」

女「そうだね・・・」


女友「大丈夫?いけそう?」

女「うん、バッチリだよっ。いつもより良い演技できそう」

女友「その意気よ、女。絶対に成功させるわよ!」

女「うんっ・・・!」

~本番5分前~


女友「いよいよ、私達の出番よ!今日まで練習してきた私達の演技の全てを、この瞬間に出しきるよ!せーの、」


「「「えい、えい、おーっ!!!」」」



男(・・・いよいよ、本番)


男(必ずいい演技を見せよう。俺に期待してくれる人たちの為に、そして・・・女の為にも)


女「・・・男くん」

男「ん?なんだ?」

女「ちょっと、話聞いてくれる?」

男「あぁ、いいぞ」

女「今でも人前で演技するのは恥ずかしいし・・・だけどね」


女「私の、輝いてる所を見てもらいたい。だから頑張れるんだ」


女「前にね、ある人が変わったのを見てからそう思うようになってたの」


女「その人に変わった私を見てほしいって・・・日に日にその思いは強くなって」


女「その思いで私は、この舞台に上がることができる。だから、男くんっ」







女「私のこと、ちゃんと・・・・見ててね」

男「―――」



男「・・・あぁ、わかったよ。お前の事ちゃんと見てる」



男(やっと、分かった俺の素直な気持ち)


男(余計な事は何も考えなくていい)


男(ずっと昔からそうだったのに、何今頃気づいてんだよ俺・・・)


男(公園で遊んだ日々だって、一緒に学校に通った日々も、)


男(女を傷つけたあの日も。きっと俺はこの気持ちを持ってたから、無茶したんだよな・・・)


男(だけど俺はもう間違えない・・・この気持ちを裏切らないためにも)





<<次は2年○組による演劇です。演目は―――>>














                               <<シンデレラ>>












随分久し振りな気がします・・・

携帯で書いてた所の―の部分がーになってたりしてるのがなんとも恥ずかしいです。


ともあれ今夜はここまでです。

<<これは数百年も前の話です。ある国に一人の少女がいました。名をシンデレラと言い、容姿は美しく心優しい少女です。しかし彼女は―――>>




男(遂に、始まった。俺達の演劇『シンデレラ』)

男(この演目は女友が選んだというが、なんとも良いチョイスをしたと思える)


女<<よいしょ、よいしょ・・・」>>

<<シンデレラは召使のようにこき使われていました。それでも彼女はいつも一生懸命に自分の仕事をこなしました>>


男(まるで女が演じる為に出来たかのようにピッタリと役がハマっている)



転校生<<ここがまだ汚いじゃない!ほら、やり直し!>>


男(最初はこの役を嫌がってた転校生もいざ演じてみれば、しっくりきてるんだよな・・・)

~~~~


女<<本当に私にドレスを?>>


女友<<あぁ、お前にピッタリなドレスを今から用意してやる>>


男(物語も中盤。今はシンデレラが魔女に魔法をかけてもらい、舞踏会へ行くという場面だ)


男(女友さん・・・あんたその声どっから出してるんですか・・・ダミ声どころじゃないよ)

男(・・・もうすぐ、俺の出番だな・・・)

男(いざ出番が近づくと緊張がヤバイな・・・セリフは全部覚えたし、動きも大丈夫)


男(女に対する気持ちだって、もうハッキリした)


「男君~もうすぐだよー」ボソボソ


男「あぁ、今行く」




男(見せよう、俺の演技を――)

~~~~



男(舞踏会の場面を終え、物語もいよいよ終盤に差し掛かる)


男(俺に残ってるのは最後のシーンのみだ)


男(正直、女の演技はこれまででもダントツに良い)


男(・・・誰から見ても今の女は輝いている。そう確信できる)


男(俺は、女の努力に応えられる演技ができているだろうか)


男(精一杯やってるが、多分まだダメだと思う)


男(最後のシーン、正直少ししかセリフが無いんだよな・・・)


男(・・・そこに全力をかけよう)

女<<その靴・・・私にも履かせてください>>


転校生<<なによ偉そうに!あんたに合うわけ無いじゃない!>>


<<王子からの命令ではこの国の全ての女性に履いてもらうという事なので・・・>>


転校生<<ふん、まぁいいわ。どうせ無駄だからね>>


<<・・・!! こ、これは・・・>>


<<い、今すぐ王子に伝えねば!さぁ、あなたもついてきてください!>>


女<<は、はいっ>>




転校生<<・・・嘘でしょ>>

~~~~



<<王子・・・連れてまいりました>>


男<<ご苦労だったな・・・下がっていいぞ。後で褒美はやろう>>

<<はっ>>


男<<・・・あなたは、シンデレラと言ったか>>


女<<はい、そうです。王子様>>


男<<舞踏会で共に踊った事は覚えているかい?>>


女<<勿論です・・・王子様>>


男(目の前にいる女は、それこそ本当のお姫様みたいに綺麗で)

男(そばにいるからずっと気づかなかったのかもしれない。だけど、離れた事でようやく分かることができた)


男(・・・俺のセリフは一つだけだ。最後の最後まで練習したあの言葉)


男(この時の為に練習してきた。だからそれを見せるんだ。女に応えられるようにっ・・・!)


男<<・・・あの日から、あなたに会いたくて仕方がなかった>>


男<<・・・この先、どんな事があろうと、必ずあなたを幸せにすると誓います。だから>>



男<<―――・・・私と、手をつないでくれますか?>>



女<<―――>>



女<<・・・はいっ・・・喜んで・・・>>




男(涙声に言った女の姿はきっと、いや絶対。この日の誰よりも輝いていた―――)

女ルートはもうすぐ・・・のはず。

女ルートの後日談は書かない予定です・・・
あと二人書く予定(多分)なので一応空きを作っておきたいです。

ともあれ今日はここまでです。

次スレっていう選択肢もあるんだぜ?

~~~~




男(本番も終わり、いよいよ今年の文化祭も後夜祭を残すのみに)


男(劇は大成功。文化祭前の予想を大きく上回る出来だった)


男(反響もその分大きかった。本番後の俺達が廊下を歩いている時、女に劇の感想を述べる熱狂的なファン?みたいな子もいたぐらいだ)


男(ただし、女と・・・転校生だけ。転校生についてはなぜ人気が出たのかは知らん)


男(俺には王子様と擦り寄ってくるヤツはいなかった。ちょっと悲しい)

友「おつかれっ」


男「おっ、友か。どうだった?先輩との学校デートは」


友「おまっ!そういう事はあんまり言うなよ・・・」


男「あまりにも上機嫌だったから・・・いじり倒してやろうかと」


友「はいはい・・・時間は短かったけど新鮮で楽しかったよ」


男(楽しがってたお前の陰では先輩と友が交際している事をマジマジと見せつけられて絶望に打ちひしがれた男女がいた事を俺は忘れない)

友「ところで、お前はどうだったんだよ?」


男「どうって・・・なんだよ」


友「決まってんだろ。女さんとの関係」


男「・・・なんでお前が」


友「実は俺も女友さんと相談してて、今回の劇も俺と女友さんで考えたんだ」


友「この文化祭を機に、二人の関係が元通りなるようにってな」


友「まぁ・・・劇でのお前と女さん見てたらもう大丈夫そうだなって思ったよ」


友「それに・・・お前は多分本当の気持ちを分かったはず」

男「・・・とも・・・わかってたのか・・・?」


友「俺ら何年親友やってると思うんだっ。そんぐらい俺にだって分かるよ」


男「ほんと・・・友には頭上がらねないわ・・・」


友「ようやく、だな」


友「ほら、もうすぐ後夜祭始まるから。この後にいい催しが企画されてるんだ」


友「キャンプファイヤーの周りで踊るとかなんとか。だから」



友「いってこい・・・シンデレラの下に・・・」

男「ぷっ・・・お前そのセリフ恥ずかしくねぇのか・・・」クスクス


友「い、言うな!マジ恥ずかしかったわ・・・」


男「ははっ・・・なぁ、友」


友「ん?なんだ?」



男「本当に・・・ありがとなっ・・・」



友「あぁ・・・」



男「じゃあ、行ってくる。舞踏会」

友「お前そのセリフ恥ずかしくないのかよ・・・」


男「お、お前に合わせただけだよバカ野郎!」


友「うるせ。早くいってこい」


男「・・・おう」




男(本当に・・・友には感謝してもしきれない・・・)

待ってたよ

>>430
そうですね・・・ただでさえ長いのにさらに長くすると・・・と考えていましたが、やろうと思います。

>>437
待たせてしまって申し訳ないです・・・ペースもっと挙げれるよう頑張ります。

>>438
書いてくれたらいいんだリアルを大切にしてください

>>439
お心遣い感謝します・・・

~~~~


男(女の居場所はすぐ分かった)


男(女友、転校生など色々な男女に囲まれて会話を楽しんでいる)


男(その光景はまるで舞踏会で注目を浴びたシンデレラのようだ)


男(・・・綺麗に、輝いている・・・彼女は)


男(つまり、連れ出すのはちょっと億劫になる・・・)


男(あれだけの友達やその他の人々に囲まれる女を見てるとそういう気分になる)


男(・・・昔は人に囲まれる様なヤツじゃなくて、むしろ真逆だったのにな・・・)

男(って、やめだやめ。感傷的になってる場合じゃない)


男(・・・後で呼び出すぐらいなら今でもできる・・・よな?)


転校生「あっ、王子様の登場よ」ニヤニヤ


男(迷ってる間に転校生が俺を見つけニヤけている。王子様いじりが微妙にウザい)

男「どうも、お姉さん・・・靴が合わなくてさぞ悔しかった事で」

男(なので俺も転校生の劇中の役を用いてイジることにした)

転校生「ハッ、何を言い出すのかしら。私は別に悔しくなくてよ?」

男(転校生も乗っかってきたらしくまるでまた劇が始まったかのように演技し始める)

男「じゃあ、あの時の嘘って言葉は何だったのか・・・王子気になる」

男(言い返そうと必死に出した言葉が『王子気になる』って俺のボキャブラリーの無さ・・・)


「お、なんだなんだー?」「もしかして劇の続きー?」


男(・・・ギャラリーが増えてきている。あんたら見せモンじゃないのよ。王子怒っちゃうよ?)

女友「何してんのあんたら・・・」


男(そうしていると見兼ねた女友がやってきた。正直GOODタイミングです)


女「ぷっ・・・ふふっ・・・」


男「何で吹き出してるんだ・・・」


女「いやぁ、男くんと転校生ちゃんのやり取りが面白くて・・・」クスクス


女友「まったく女も・・・それで男はなんの用?」


男「それなんだが・・・ちょっと、女に用があったんだが・・・後にするわ」


女友「いやいやそれなら、どうぞ連れてって!いや、むしろ連れてけ」


女「お、おんなともちゃん・・・?」


女友「ほら、魔法がかかっている間に・・・ね?」


女「そ、それってどういう」


女友「ほら行った行った」



女「わっ、わわ」


男「・・・じゃあ、行くか」


女「う、うん・・・」

~~~~



男(二人きりになれる所を探していたら、これから後夜祭という事を思い出した)

男(それは校舎には誰もいなくなるという事を指していて―――)


男「ということで屋上にやってきました」

女「だね・・・」


男「・・・」

女「・・・」


男「・・・そのなんつーか、こう改まると変、だよな」

女「そうだね・・・さっきまではシンデレラと王子様だったのにね」

男「まったくおかしな話だよな・・・俺が王子様だなんて・・・」

女「ううん、そんなことないよ。そのっ・・・」

女「うぅ・・・これはちょっと恥ずかしいかも・・・」

男「なにがだ?」

女「・・・手をつないでくれますかってセリフの時・・・すごく嬉しかった・・・」


女「劇のセリフなのに嬉しいと思っちゃったんだ・・・」


女「本当に嬉しくて泣いちゃった・・・ごめんね」


男「・・・俺も嬉しいよ」


女「・・・えっ、えぇ!?」


男「俺もな、嬉しいんだよ」

男「ここまで誰よりも演劇の練習をしてきて」


男「演技は誰よりも輝いていて」


男「・・・俺の為に自分を変えようとした女の子がいてな・・・」


男「その女の子の努力に応えられるような演技をしようと思ったんだ」


男「・・・応えれたんだな・・・よかった」


女「・・・うん、応えられてるよ・・・ちゃんと・・・」

男「・・・女、俺の答え。俺の気持ち、分かった」


女「・・・うん」


男「―――俺は、女と一緒にいる」


男「昔と比べたら、俺も女も変わったかもしれないから昔の様にとはいかないかもしれないけど・・・」


男「・・・だけど、大丈夫だと分かったから。たとえ、これから先あの時と同じことがあったって」


男「今の俺達なら・・・乗り越えられる」


男「・・・これが俺の出した答え」

女「そっか・・・そうだね・・・」


女「今の私達なら・・・乗り越えていけるよね」ニコ

男「・・・あぁ。絶対」

女「・・・これから先も・・・あの、よろしくお願いします」

男「・・・こちらこそ・・・よろしくお願いします・・・」


男 女 「「ぷっ・・・」」


女「や、やっぱり・・・こう改まったのは可笑しいね・・・」クスクス

男「・・・だな」クスクス

<<これより後夜祭を行います。まずは講評を校長先生お願いします>>


男「やべっ・・・後夜祭始まっちまった」

女「は、はやく戻らなきゃ・・・」


男「・・・最後に一ついいか?」

女「ん・・・」

男「後夜祭で、キャンプファイヤーを囲んでどうやら踊るらしい・・・オクラホマ・・・なんとか」


男「その時は・・・私と踊ってくれますか、お姫様」


女「・・・そのセリフ恥ずかしくない?」クスクス

男「そのパターンには慣れたんだよ・・・」

女「んん・・・こういう時はこう言うのが正しいかな」




女「―――喜んでお受けします、王子様っ」ニコッ

あとすこし・・・女ルートはあとすこしです(のはず)

後日談・・・的なのは書こうと思います・・・また長くなってしまいしますが・・・


数々の誤字脱字等申し訳ないです。 今晩はここまで。

~~~~


男(文化祭から一週間)

男(新しく、そして変わった俺と女)


女「おはようっ。男くん」

男「おう。そんじゃ行くか」


男(俺達の関係はあるべき姿になったはずなのになぁ・・・)


女「ん?男くん、ぼーっとしてどうかしたの?」

男「あ、いや何でもないわ」

女「・・・? そう?」


男(・・・何かが物足りない。それはきっと―――)

~~~~


石井「恋だな」


男「・・・は?」


石井「いやさぁ、女さんあの劇の前後からすんごく魅力的になったと思わない?」

石井「これってやっぱり恋してるよね?女さん。絶対そうだわ」

石井「勿論俺にいいいいいいいいてええええええええええ」メリメリ

男「はいはい魅力的」

石井「ゆるしてえええええええおうじいいいいいいいいい」メリメリ

男「はいはい王子王子」


男(・・・確かに魅力的になったよなぁ・・・)



女「い、いま男君がみ、魅力的って・・・」ボソボソ

女友「はいはい王子王子」

~~~~


男「女ー帰ろうぜー」

女「あっ、今日はちょっと用事があるから先に帰っててくれるかな」

男「おう、じゃあ明日の朝もいつもの時間な」

女「うん・・・また明日」



男(・・・なんだか最近女が付き合い悪いような・・・)

~校門~


転校生「おっ・・・振られた王子様じゃないですか」

男「べっ、別に振られるも何もねーし。つーかなんだよお前」

転校生「実は私も女ちゃんと女友に振られちゃってね・・・私、今暇なんだよねー」

男「あっそ・・・じゃあな」

転校生「おいちょっとまてゴラ」ガシッ

男「・・・なんだよ」

転校生「私暇なんだけどなー?どこかに都合のいいパシリいないかなー?」

男「あー分かったよ。付き合う付き合う」

~~~~


男「そーいやーお前のパシリだった事忘れてたな」

転校生「そうよ。それで今は王子様だなんてホントに呆れるわ」

男「どんだけお前は王子様ネタにハマってるんだよ」

転校生「それはそうとさ・・・実は女ちゃんの事で話しておきたい事があって・・・」

男「え? 女の事で?」

転校生「うん。今日、なんで女があんたの誘い断ったか分かる?」

男「それは・・・用事だからだろ」

転校生「その用事が何か分かる?」

男「・・・女の事なんだから俺には関係ないだろ」

転校生「いんや、あんたに一番関係ある事よ」

男「どういうことだよ・・・」



転校生「女ちゃんは今・・・告白されてる」

男「・・・は?」

男「告白ってあれか?恋の?」

転校生「そうよ、それ以外何かある?」

男「そ、そりゃあそうだが・・・そ、それがどうした」

転校生「んーとね・・・とりあえずあんたに伝えたい事はね・・・」

転校生「女ちゃんはモテるの、分かる?」

男「べ、べつにしらねーし。余計なお節介だわ・・・」

転校生「あのね、私もよくわからないけどあんたら二人を見てると応援したくなるのよ」

男「ちょ、おま・・・俺らはただの幼馴染であって・・・」

転校生「・・・そうだと思うけど、なぜか無性にこの事言いたくなって」

転校生「アハハ・・・今の私ちょっと変かも」

男「ま、まぁ・・・一つのアドバイスとして受け取っておいてやるよ」

~~~~


男「焦るに決まってんだろうがああああああああああああああああああ!!」

男母「うるせぇ!!」バンッ!

男「はい、すみません」

男母「ったく・・・」


男(・・・実際あんな事言われると焦るだろ・・・)

男(つまりもたもたしてると他のヤツに盗られるってことだろ・・・そしたら・・・)

男「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!」

バンッ!!

男母「・・・覚悟はできてるんだろうな」

男「ホントにすいません。このとおりです」ドゲザ

男母「次は許さねぇぞ・・・」

男「ハイ」


男(・・・とにかく、早く伝えないと俺は・・・)


男「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああ!!」

バンッ!!

男母「」ギロッ

~~~~


女友「女さぁ・・・いつになったら男と付き合うの?」

女「えっ、ええええええええ!?」

女友「こんな感じのやり取り前もしたような・・・まぁいいや。それで?今どんな感じなの?」

女「それは―――」

女「―――・・・って感じかな」

女友「それもう実質付き合ってるんじゃね?」

女「つ、つきあってるなんてそそそんなことないよ」

女友「あーはいはい。でもそれは男もきっと女の事を・・・」

女「女友ちゃん、それ以上は言っちゃダメ」

女友「・・・そうだね。こっから先はあんたら二人だけの問題だもんね」

女「うん・・・」

~~~~


女(・・・女友ちゃんは男くんが私の事好きだと思ってるみたいだけど・・・)

女(実際にそうかは分からない・・・でも、男君がもし、もしもそう思ってるんだったら・・・)


女(私は・・・男くんと付き合いたいな・・・)


「いてええええええええええええええええええええええええ!!」


女「・・・?」

男「―っ!!―――!」

女(男くん・・・お母さんに怒られてる・・・)

女(なのに・・・なんだかおかしいな)クスクス

女(あっ・・・男くんがこっちに気づいた)


男「―っ!―――!」


女(なにか言ってるけど聞こえないよ・・・)クスクス


女(窓・・・開けようかな・・・)


ガラガラ


女「ねぇ、男くん――」

~~~~


女「―――」


男母「女ちゃんが何か言ってるわよ・・・反応したら?」


男「なら母さんは早く出て行ってくれ・・・ごめん明日甘いもの買ってくるからその手降ろして」


男「ったく・・・荒いんだよ・・・って女が何か言ってるんだったな」

ガラガラ

男「どした・・・」

女「男くんと男くんのお母さんのやりとり見てて面白くて・・・懐かしいね」

男「そういえばそうだな・・・あいつ未だに力強いから殴られると痛ぇんだよな」

女「ふふっ・・・昔はよくそれで泣きそうになってたよね」

男「それは忘れろ」

女「忘れられないよ・・・大事な記憶の一つだからね」

男「・・・そういえばさ、女今日・・・告白されたんだろ?」

女「・・・そうだよ」

男「その、さ・・・どうしたんだよ」

女「どうしたって?」

男「う、受けたのかこ、告白」

女「断ったよ。相手には悪いと思うけど・・・」

男「そ、そうか・・・」

男「・・・」

女「・・・」

男「そ、それじゃあ・・・」


女「まって」


男「おんな・・・?」




女「私・・・男くんの事が好き」

女「昔からずっと・・・男くんが好きだった」


女「何があっても、その気持ちは変わらなかった」


女「だから・・・」


男「女、その先は言わないでくれ」


女「えっ・・・」


男「こういうのってさ・・・男の方から言わないとカッコつかないからな」


女「・・・うん」

男「公園で見た時にさ、衝動的に助けたくなって・・・それで、女を誘った」


男「それからはさ、一緒に遊んだりしてすげぇ楽しかったし・・・何より心が満たされてたし、女の笑顔が嬉しかった」


男「あの時はどうにかして女を助けたかった・・・結局空回りして俺達はバラバラになったけど」


男「あの時があったから。こうして俺達は変わることができて・・・」


男「俺は・・・本当の気持ちに気づくことができた」




男「―――・・・一目見た時からあなたの事が好きでした。俺と付き合ってください」



女「・・・はいっ」ウルッ

男(俺と女が付き合うまで色んな事があった)


男(ときには、ボロボロになって立ち上がるのさえ無理だった時だってあった)


男(でもその事があったから俺は人として強くなれたし・・・)


男(何よりも大事なモノに気づく事ができた)


男(この先なにがあっても・・・必ず女の事を幸せにしよう)


男(この愛しい人の笑顔を・・・ずっと見ていたいから)



男「・・・必ず・・・幸せにするからな」



女「うん・・・幸せにしてね?」

~~~~



「なぁ、おんな」


「ん?なぁにおとこくん」



「これからはずっとおれが、おまえのことをしあわせにするから・・・」



「だから、いっしょについてきてくれ!」



「うんっ!ぜったいにしあわせにしてねっ!」









男「パンツください」女「ダ、ダメだよっ」カァァ


        ~終わり~

長かった・・・女ルート終了です。

この後は後日談・・・というかCパート的感じでやって女は終了です

というか言ったそばから誤字る俺ェ・・・



最後の所は一応部屋の窓から的な感じで、前の板ではそういう描写あったんですがこの板では何も書いてなかったので一応補足。

ともあれ本日はここまで。ここまでお付き合いしてくれた方には感謝です。







女「どんなことがあっても」






女「・・・ねぇ、男君」


男「なんだ?」


男(女と付き合って3ヶ月が経った。という事で今日も街でデート)

男(今日も見たい映画も見れたし、クリスマスに向けて、プレゼントを下見する事ができた)

男(何より・・・女とこうして二人でいられる事が何よりも嬉しい)


女「今日、楽しかった?」


男「当たり前だろ。まさか、今日の俺つまらなかったか?」


女「そんな事ないよ!男君といて退屈だった時なんて一度も無いよ」


男「そうだよな・・・」


男(これが俺達が変わった事で手に入れた日々なんだ)


女「・・・」


女「男君。今から行きたい所があるんだけど、いいかな?」


男「ん、いいぞ」

~~~~



男「おぉ~懐かしいな、ここ」


女「・・・懐かしいよね・・・本当に懐かしい」


男「なんせ俺と女が初めて会ったのがこの公園だもんな・・・」


女「・・・」


男「・・・おんな?」


女「・・・私達が初めて会った時って男君と私以外の他に誰がいた?」


男「そ、そりゃあ・・・たしか友がいたかもしんねぇが・・・どうしたんだいきなり?」

女「そっか・・・やっぱりそうなんだね」ボソッ




女「・・・わたし、思い出したんだ。本当の事」


男「・・・は?」


女「私は魔法にかかってるんだ。だからこうして今も幸せな夢を見れると思う」


女「だけど・・・それももう今日でお終い。夢からは早く醒めなきゃ」


男「おい、女。お前はさっきから何を言って・・・」


男(・・・!? 視界が変にグラついてきた・・・?)

女「男君、必ずこれだけは覚えていて欲しい」


女「どんな事があっても大切な人との思い出を忘れては駄目・・・絶対に」


女「距離なんか関係無いんだよ。近すぎたから悪かった事なんて一つもない」



女「だから、思い出して」



男「おっ、おい!女、それ以上は!」

男(今度は耳までおかしくなってきた・・・!?)


女「私達のもう一人の―――」


女「そして、男君・・・あなたの大切な人の事を・・・」


女「あなたの恋人で私の一番の友達―――との日々を」










女「最後に・・・本当に好きでした、ありがとう。男君」ニコッ



男「―――」




男(そして俺の視界は、暗闇に包まれた―――)

お久しぶりです・・・
忙しかったので更新ができなかったです。申し訳無いです。

そして保守していただいと人達にも感謝です。
これからはぼちぼちと書いていこうと思います。

次回からは黒髪です。

つまりどういうことだってばよ

>>73から

男(黒髪・・・だよな。だがあの雰囲気は俺の知ってる黒髪とは違うような・・・)

男(着ている着物が周りより際立って綺麗だとか、髪形が普段のストレートでは無いからかもしれない・・・だがいつもとなんとなく、なんだけどなんか違うんだよな)

男(ともかく、黒髪が後輩の事を見たかもしれない。聞いてみよう)


男「よう。別人だと思って声かけようか迷ったぜ」


黒髪「・・・何で、君がここに・・・」


男「実は色々あって会長姉妹様と友と来てたんだけどな、後輩とはぐれて今探してるんだ。後輩の事見なかったか?」


黒髪「・・・見てないね」


男「そうか・・・なら探すの手伝ってくれないか?」

黒髪「・・・ごめん。私この後用事あるから手伝えないんだ。手伝いたいのは山々なんだけど」


男「それなら仕方ないな。悪いな、時間使っちまって」


黒髪「ううん、それなら気にしないで。・・・君と話せて気が楽になった。ありがとう」


男「礼を言われる様な事じゃねぇよ。じゃ、また今度な!」


黒髪「・・・うん」


男(後輩を探さなきゃいけないんだがな・・・)

男(いくら俺でも分かるし、気になるぞ黒髪・・・)

男(最初のお前の顔はひどく辛そうで、普段の俺をからかうお前と全然違うじゃねぇか・・・)


男(お前は一体どうしたっていうんだ・・・)

~~~~




男(・・・やっぱりおかしい。いつもの黒髪はあんな顔をするやつじゃないのに・・・なんか引っかかる)


後輩「・・・男先輩、花火見てます?」

男「あー、見てなかった。折角とっておきの場所に連れてきてくれたのにな」

後輩「ホント、困る先輩ですね・・・」

男「悪いな・・・」


男(空に打ち上がる花火は見ている人達の気持ちをきっと晴らしていくんだろう)



男(だが、俺の心は花火を見ても曇ったままだった)



男(俺は・・・どうしたいんだ・・・?)












男「パンツください」黒髪「・・・」ジトー









ついに欲するようになったかw

~~~~



男(夏休みが終わった。心機一転、新学期・・・と言いたいところだが)




黒髪『―――』



男(やっぱり、あの時の黒髪の表情が忘れられない・・・)


転校生「あんた辛気臭い顔してんわねぇ・・・」


男「んあ・・・なんだ転校生か・・・」

転校生「何その反応、ちょっと気持ち悪いんデスケド」

男「うっせ。さっさと席つけ」

転校生「・・・なーんか張り合いないわねー」


男(・・・俺はどうしたいんだ。黒髪を・・・)

~~~~



友「やっぱり校長の長い話は眠くなるのが常識っていうか・・・男?」


男「ん・・・そうだな。ていうかお前は先輩の方に夢中だったんじゃ?」

友「そ、そんな訳ないだろっ!今日も綺麗だとか、今朝話してたデートの話とか全然考えてないし!」

男「へーそうなのかー」


男(友は夏祭り時の告白に成功し、先輩と付き合う事になった。めでたい事だ)


男(しかしだ。付き合ってからの友のノロケが正直ウザい。いちいちデートの報告とかいらないから。爆ぜろ)

友「そういや男・・・最近、どうした?時々ぼーっとしてるけど」

男「いや、大丈夫。大したこと無いからな。それにお前のノロケ話がそうしてるんだよ」

友「は、はぁ!?ノ、ノロケてねぇし!」

男「へー」


男(・・・今朝の始業式でも俺は意味もなく黒髪の姿を探していた)

男(俺は黒髪の姿を見つけることはできた。そりゃあ生徒会だから時間はかからなかった)



男(―――しかし、それで気づいてしまった。俺は黒髪について何も知らない事に)

男(ただ知っているのは生徒会に所属しているだとか、その程度・・・それだけなんだ)

男(だから、知らないままでいるのが無性に嫌だと思った)

男(それで気づく事ができた。俺が望んでいる事)


男(俺は・・・黒髪にあんな顔でいてほしくない)


男(俺が助けてもらえたみたいに、黒髪を助けたい)


男(例え、黒髪に起きている事がどんなに小さい事だったり、俺に関係無い事かもしれない)


男(だけど・・・ここで黒髪を助けないと後悔する・・・そんな気がした)



男(だから、俺は―――)

~~~~




男「やります・・・実行委員」



「お、おう。じゃあ、文化祭実行委員は男で」


転校生「・・・どういう心変りよ」ヒソヒソ

男「別に・・・俺は自分のやりたい事をやるだけだ」ヒソヒソ

転校生「変なやつ・・・」ボソッ



男(―――黒髪へ手を差し伸ばす)

黒髪ルートに入りましたーそしてスレも半分を切りました・・・
>>489,490
ふくせn・・・ゲフンゲフン。なんでもありません。
>>495
タイトルミスッて男君が強欲になってました。しかも女の時からでした。すいません。
どちらも 男「パンツ見せてください」 って事でお願いします。
ともあれ今日はここまでで。

あとすいません>>500
差し伸ばす ×
差し伸べる ⚪︎

~~~~


~放課後~


男(と、考えてはみたものの具体的に何をするかとかは決めてねぇんだよなぁ・・・)


男(しかし、今一番生徒会に近づけるのは文化祭実行委員に違いない)


男(そしてこの後行われる文化祭実行委員の会議の場でできるだけ生徒会に近い地位を手に入れる事も大事だろう)


男(そうしたら後は・・・何をすればいいんだ?と、とにかく黒髪の事を知ろう。はじめはそれからだ)

黒髪「・・・君は何をぼーっとしてるんだ」

男「うぉ!い、いきなり出てくんな!」

黒髪「ん?私が来て都合が悪い事でもあるのかい?」


男(絶賛お前の事を考え中だったわけで、その張本人が目の前に現れれば驚くに決まってんだろう)

男(とは言えない・・・)


男「別に何にもねぇよ・・・」

黒髪「ちょっとそういう風に言われると気になるね・・・」グイッ

男(やめろやめろちかいちかい)

男「だからなんともねぇって!」

黒髪「そう頑なに言われるとこっちも認めざる得ないよ・・・それで君がどうしてここに?」

男「・・・文化祭実行委員だから」

黒髪「・・・」

男「おい、その不思議な物を見るような目で俺を見るな」

黒髪「君も遂に更生したんだね・・・私も嬉しいよ」ウルウル

男「・・・何で俺、元から悪者な訳?」

黒髪「だって君は私の目の前では悪さしかしないからそう捉えられても仕方がないさ」

男「それはたまたまであってだな・・・」

黒髪「まぁ、この文化祭で君の真面目な姿が見れることを願うよ・・・じゃあ」

男「ああ・・・」


男(そう言った黒髪の顔は、夏祭りの時の様な悲しい顔で・・・)

男(・・・?)

男(・・・この不思議な感覚はなんだ?俺は前にもこんな感じに会話して・・・)

男(あまり黒髪の事をを見なくなった・・・ような・・・)

男(おかしい。そんな事あるはずが・・・)


黒髪『そうだね。いい文化祭にしよう・・・』


男(!?・・・この記憶は一体・・・?)

男(・・・このまま黒髪を行かせてはダメだ!何か、なんでもいい!行動を起こせ・・・!)

男「お、おい!」

黒髪「? どうしたんだい?」

男「せっかく文化祭を一緒に作り上げていくんだから、こう・・・」

男「なんていうか・・・そうやって悲しい顔しないで・・・」

男「そうっ!楽しい文化祭・・・みんなが笑えるような文化祭、作ろうな!」


黒髪「―――」

黒髪「・・・君は卑怯だな・・・」ボソッ


男「え?今なんて」

黒髪「君はやっぱり面白いって言ったんだよ。みんなが笑える文化祭・・・いいねそういうの」

男「そうだろ。俺も悪者なりに頑張ってみるから」

黒髪「・・・うん。頑張ろう」ニコッ


男「・・・」カァァ

男(黒髪の見せた笑顔は多分が俺が見た中で一番の笑顔・・・だ)

男(・・・やっぱり悲しい顔より笑った顔のほうが似合うじゃねぇか)

~~~~


会長「それではこれより文化祭実行委員会を始めます。まず・・・」



男(会長の進行により、文化祭実行委員会略して文実が始まった)

男(まずは、文実の長たる文化祭実行委員長を決めることとなる)

男(立候補をとった所、ある一人の手が上がった)

男(メガネをかけた彼は大人びていて、デキる大人な雰囲気を匂わせる風貌だ)


「今回、委員長を務める事になった―――です。みなさん、よろしくお願いします」


男(名前は・・・何か覚えづらかったから委員長でいいよ。はい決定)


委員長「それでは役割分担を決めていこうと思います。皆さんにやってもらいたいのは――」

男(委員長君が色々と役割を言っていく・・・多分ほとんど大差ないだろうけど、できるだけ生徒会に接点がある役割に就きたい)

委員長「そして雑務ですが、これについては明確な仕事は特に決まっていません。人手の足りない所や生徒会への手助けが主となると思います」


男(・・・これだ)


男(明確に仕事が決まってないって事は何だか楽に思えるし、何より生徒会にへの手助けにが主って所が今の俺にピッタリ)


男(これこそ一石二鳥、WIN-WIN・・・はちょっと違うか。とりあえず俺に得しか無い役割である事は確実だ)


男(これしかない・・・)

~~~~


男(会議が終わり、いよいよ各役割ごとに仕事が始まる)

男(俺はというと見事に雑務の席を勝ち取ったため、絶賛仕事をお探し中である)

男(雑務立候補の際に挙手した時にいたのに気付かなかった後輩が、俺に向けて侮蔑の目で俺を見ていた。雑務の何が悪い)

男(何より怖いのは意味深に微笑んでいた先輩だ・・・ただ純粋に怖い)

男(黒髪は・・・終始浮かばない顔だった・・・)


会長「さぁ~て、男クン。雑務に立候補したという事はどういう事か分かるよね?」ニコニコ

男「あ、先輩。ども・・・」

会長「・・・生徒会で思う存分使っちゃうから」ニッコリ

男「・・・ハイ」

男(あの微笑みはこれか・・・しかし、俺から生徒会に行く手間が省けた。その点では先輩に感謝だな・・・)

~~~~


会長「みんな~!人員確保してきたよー!」

「「「おぉ~」」」

男(半ば強制的に生徒会に連れて来られた俺)

男(おい、歓声あげるんじゃない。見世物じゃないぞ)

男(俺を物珍しく眺める面々の中におかしな奴を一人見つけた)

黒髪「・・・」

男(言わずもがな黒髪だ。だからその不思議なものを見るような目で俺を見るなって)

男「・・・俺になにか付いてたり、憑いてたりしてんのか」

黒髪「い、いや、君が生徒会に来るなんて思ってなかったから・・・」

男「そうか・・・」

会長「」ニヤニヤ

会長「これからはじゃんじゃん男クン使っていくからね!ね、黒髪?」

黒髪「え、あ、はい!」

男(・・・そこに俺の意志はあるのだろうか)


男(ともはかくして。こうして俺の文化祭実行委員としての日々が始まった・・・完)


男(・・・って、終わらせてどうする。この文実での日々で黒髪を知り、黒髪に笑顔を・・・)


男(そしたら俺は・・・?その先は・・・?)

男(・・・深い事は考えないようにしよう。今すべきことをしていこう)


男(そうすれば・・・先も見えてくる)

本日はここまで。長さ的には後輩と同じ位か、少し長いぐらいを予定してます。

~~~~


男「うーっす」

会長「おーおー来たねー」

男「ども・・・」

会長「じゃあ、早速働いてもらおうかな?」

男「何かブラックな企業の上司みたいなセリフっすね・・・」

会長「それは生徒会がブラックな企業だと言いたいのかしら?」

男「そんなことないっす!・・・それで何をすればいいんですか」

男(できれば、黒髪の近くに行きたいんもんだが・・・)チラッ

会長「・・・」

会長「じゃあ、今日は黒髪の手伝いをしてくれる?」

男「! わ、わかりました・・・」

会長「じゃあ、お願いねー」

男(まさか、ドンピシャでその役割が来るとは・・・運良すぎだろ俺・・・)

男「という事で、やってきました」

黒髪「・・・」

男「いや、だから。会長にお前の手伝いしろって言われてだな・・・」

黒髪「あ、あぁ・・・分かってるよ」

男「・・・なら、そんなに呆然とする必要ないだろう」

黒髪「・・・それもそうだね」

男「それで生徒会は何をするんだ?」

黒髪「文化祭のオープニングの企画、運営ってところ。とりあえずはこの書類に目を通して」

男「あいよ」

男「・・・」ペラペラ


男「なるほどな・・・」

黒髪「・・・内容、理解してる?」

男「おう。ちょっとこういうの見る機会があったからな」

黒髪「ほんとかな・・・」

~~~~


会長「はーい、今日はここまで! 皆お疲れ様ー!」

黒髪「もうそんなに時間が・・・」

男「案外集中してやると早く終わるもんだな」

黒髪「・・・そうだね。それじゃあ、今日はありがとう」

男「特別に何かしたわけじゃないし、気にすんな」

黒髪「・・・それでも、助かったよ」

男(・・・できればまだ居たかった気もするけどな)

男(ってそうだ。一緒に帰ろうって誘えばいいじゃないか!)


男「その、まぁ・・・時間も時間だし・・・お、送ってくか?」

黒髪「!」 

黒髪「・・・ごめん、遠慮しとくよ・・・今日は迎えがいるから」

男「そ、そうか・・・また明日な」

黒髪「うん・・・」



黒髪「・・・」

男「は、はぁ・・・」

男(なんかあんまいい所なかったばかりか、最後には断られてるし・・・)

男(前途多難だな・・・いや、まだ始まったばかりだ。こんなんで落ちこんでる場合じゃない)



男(もっと近づいていくんだ。あいつの心に)

~~~~



男(あれから一週間が経った・・・)

男(その一週間というと黒髪の所にずっといれたわけではなく、他の仕事をすることもあった)

男(肝心な黒髪のところにいったって、今までと平行線。何も変わらなかった)

男(だから大した進歩があるとは思わないんだなぁ・・・)ズーン

男(なんで今日は黒髪の所行けたらいいんだけど)


男「うーっす」

会長「あら。今日は随分遅かったじゃない」

男「あれ、そうでしたっけ?」

会長「いつもは開始時間10分前には来てるのに・・・今日はギリギリって所かしら」

男「そうですか・・・」

男(あぁ・・・俺、前は張り切って結構早く来てたんだっけか)

会長「じゃあ、今日も黒髪の手伝い行ってくれるかな?」

男「・・・はい」

~~~~


黒髪「・・・明日、か」


男「おいーっす」

黒髪「なっ!」

男「? どーかしたか?」

黒髪「な、なんでもないよ・・・それより今日も?」

男「そ。今日もお前の手伝い。つってもちょっと久しぶりな気もするけどな」

黒髪「そうだね・・・」

黒髪「・・・」

黒髪「・・・それじゃあ始めようか」

~~~~

男「・・・」


男(作業中、チラチラと黒髪の様子を伺っていたが・・・)

男(その様子は心ここにあらずといった感じで、黒髪の気持ちは作業に向いていなくて)

男(黒髪は普段しないようなミスを何度かしていた。彼女をそこまで動かす何かが、どこかにあるんだ)

男(だけど俺はその何かが分からない・・・無性に悔しく、そして虚しさを感じる)

男(・・・って駄目だろ。何をへこんでる場合か。少しでも前に出るって決めたんだろ)

男(もう伸ばし始めた手を引っ込めるなんてことはしない。)

男「・・・ちょっといいか」

黒髪「・・・どうした?分からない所でも出てきた?」

男「そういう事じゃない。お前のことなんだけど」

黒髪「・・・私がどうかしたかな」

男「いつものお前らしくないって思って。もっとお前はなんて言うか、シャキっとしてないと」

黒髪「・・・フフッ」

男「え、今俺何かおかしいことでも言ったか?」

黒髪「いや、いつもふにゃふにゃの様な君にそんな事を注意されたと思うて笑えてきてね」

男「誰がふにゃふにゃだ。いつもシャキシャキ新鮮なのが俺だろ」

黒髪「新鮮ならそこまで根性腐って無いよ」フフッ

男「うっせ・・・とにかく」

男「お前のらしくない姿を見るのは嫌なんだ。だから、困った事があったら何でも言ってくれ」

男「その、出来る範囲の事ならしてやる・・・たぶん」

黒髪「・・・たぶんって、どういうこと?」

男「それは・・・お前って結構無茶なこと振りそうだし」

黒髪「保険って訳・・・確かにそういうことは少しは考えたけど」

男「やめろよ・・・やめろよ・・・」

黒髪「・・・」

黒髪「ホントに無茶なことじゃなければいいんだよね?」

男「俺が出来る範囲ならな」

黒髪「それじゃあさ・・・」



黒髪「・・・私とデート、してよ」


男「・・・え」

~~~~



黒髪「さーて、どこに行こうか」

男(突然の出来事に頭が正常に働かない)

男(まず、この一週間大した成果も出ないどころか黒髪の顔も曇るばかりで。それでいい方向に持ってくにはどうすればと考えて)

男(結局はここ最近思ったことをはっきり言って、俺が手助けもしてやると言った訳なんだけど・・・)

男(それが何故デートに繋がったのだろうか)

黒髪「っておーい。聞いてるかい?」

男「・・・ちょっと復習をだな」

黒髪「? とにかくどこに行くか決めようよ」

男「お前が行きたい場所に行ければいいと思うが」

黒髪「こういう時は男性がプランを建てるものでしょ?それに私、繁華街とかで遊んだ事ないからよく分からないからさ」

男「そうか・・・」


黒髪「だから、エスコートよろしく」

男「・・・任せろ」

~~~~



男(デートにゲーセンを選ぶとか・・・なんと悲しき俺の頭・・・)


黒髪「・・・ここがゲームセンター・・・」

男「・・・まさか、ゲームセンター初めてか?」

黒髪「うん。そうだけど」

男「意外だな。結構好きそうな感じするけどな・・・」

黒髪「こう見えて真面目に育てられてきてるからね」

男「そうか・・・何かやりたいのあるか?」

黒髪「あれ、やってみたいな」

男「格ゲーか・・・よっしゃ、久々にやるか」

~~~~


\YOU WIN!/

男「・・・どうだ、俺の実力は」

黒髪「正直初心者の私に勝ちにきてるのは少々おかしいと思うけれど」

男(だってお前初心者なのに、ほんの数秒で操作マスターして俺の実力では本気を出さざるをえないんだよ!)

黒髪「・・・悔しいからもう一回」

男「おう、何度だってやってやるよ」

~~~~


\YOU WIN!/

男(危ねぇ・・・後ほんの少しで負けるところだった・・・)

黒髪「んんーっ!あともう少しだったのに・・・!」

黒髪「悔しいっ。もう一回やろう!」

男「ははっ・・・何度でも来い・・・」

~~~~


\YOU LOSE!/

黒髪「・・・」グッ

男(・・・ついに負けてしまったよ・・・ちょっとは強いと思ったんだけど、まさか三回目にして負けるとは・・・)

黒髪「・・・どうする、もう一回する?」ニヤッ

男「いや、何かもうお前に勝てる気しない・・・」

男(むしろこのままだと俺が惨めな目に遭うかもしれない・・・)

男「ということで次は何するか?」

黒髪「それじゃあ、あれをやろう」

~~~~


男(格ゲーをやり終えた俺達はそれから、音ゲーやエアホッケーなど色々なゲームをした)

男(その時の黒髪の顔はまるでさっきまでの曇った顔が嘘のように、とても楽しそうに、晴れた笑顔をしていた)

男(なんだ。案外簡単なことだったんだな)

黒髪「・・・あれってまさかプリクラ?」

男「そうだけど・・・」

黒髪「撮ろうよ。一度は撮ってみたかったんだ」

男「プリクラはな・・・普通、女同士仲いい奴らで撮るもんだけどな」

黒髪「大丈夫だよ。だって今日はデートだし」グイッ

男「って言ってもな・・・おい、引っ張るな!」

~~~~


黒髪「へぇー中はこんな風になってるんだ」

男(・・・結局来てしまった)

黒髪「んーと、こうして、これはこうっと」

\ポーズヲトッテネ!/

黒髪「ポーズか・・・ここは恋人っぽく」ダキッ

男「えっ、ちょ!」

男(いきなり腕に抱きつくのはまずいって!)

パシャ!

~~~~


黒髪「ハハハ・・・この時の君の顔凄いね・・・」

男「言わないでくれ・・・」

男(こっちは女子と二人きりでプリクラ撮るなんて初めてなんだよ!)

黒髪「おっ、落書きなんてのが出来るんだ」

男「あんまり顔に落書きとかするなよ」

黒髪「・・・分かってる」

男「・・・ホントにか?」


黒髪「・・・」ニヤリ

~~~~


男「案の定顔に落書きしてるじゃねーか!」

黒髪「いやぁ、君のその顔には落書きせずにはいられなかったよ」

男「まったく・・・」

男(他の所も見渡す・・・すると、最初に撮った所に書いてあったのは)


男(『初デート記念』・・・)

男(黒髪がただそう言ってるだけなんだけどな・・・それでも嬉しい)

男(そして俺が抱いたもう一つの感情。この感情はきっと―――)

~~~~


黒髪「もうこんな時間、か・・・」

男「そうだな・・・今日は結構遊び尽くしたな」

黒髪「これが普通のデートなんだよね・・・」

男「どうだろうな。でも高校生ぽいって言ったらそうかもしれないな」

黒髪「そっか・・・楽しかった」

男「そう思ってくれて何よりだ」

黒髪「・・・さっき撮ったプリクラ」

男「それがどうした」


黒髪「・・・大事にするから・・・」

男「お、おう・・・俺も大事にする」

黒髪「それじゃあ、今日はここでお別れしよう」

男「・・・送っていこうか?」

黒髪「ううん、大丈夫。結構私の家、ここから近いから」

男「そっか。それじゃあ、気をつけて帰れよ」

黒髪「分かってる。じゃあまた」

男「またな」

男(・・・そう言って黒髪は俺に背を向け歩き出す)

男(今まで俺の中で渦巻いてた感情は綺麗さっぱり無くなっていた)

男(俺だってやれることはあったんだ。黒髪を笑顔にできる方法が)

男(これからもこうして、黒髪に俺がしてやれる事があったら進んでやろう)

男(彼女の気持ちがそれで晴れていくなら。俺は何だってやってやる)


男(今日抱いた感情を忘れずに、これからも――――)












(しかし、この後に待っていたのはあまりにも酷く、辛いことだった―――)











~~~~


~翌日~

男(今日も今日とて生徒会のお手伝いをしにきているわけだが・・・)

男「・・・そういえば会長」

会長「ん?どうかした?」

男「・・・黒髪、今日休みですか?」

会長「・・・そうみたいね」

男(黒髪が生徒会室に来ていない。昨日はあんなにはしゃいでいたのに)

男(多分体調不良とかだろう・・・)

~~~~

~翌日~


男(今日も来ていないか・・・)

男「はぁ・・・」

会長「あからさまな溜息ね・・・そんなに仕事が嫌かしら」

男「あ、いや。そういうんじゃないんですけど・・・」

会長「だったら仕事に真面目に取り組む!いい?」

男「・・・はい」

会長「・・・」











男(・・・そういう日々を過ごして一週間が経った)









~~~~


男(・・・いくらなんでもおかしい)

男(あの日から一週間以上が経っている・・・体調不良にしては長すぎる)

男(大変な事になってなければいいが・・・)


男「・・・こんちは」

会長「なーんか今日は一層元気がないね」

男「そうすか?」

会長「うん。ここ最近はずっと元気無いけど、今日は特に酷いかしら」

男(外に出てたんだな・・・あんまり気使わせないようにしないと)

男「すいません。仕事はちゃんとやるんで」

会長「しっかり頼むわね」

男「はい・・・」

会長「・・・」

会長「ごめん男クン・・・でも、これはあの子との約束だから」ボソッ

男(今日もやるかー・・・)

黒髪「・・・」

男(―――って黒髪っ!?)

男「・・・久し振りだな」

黒髪「・・・うん」

男「一週間も休んで、どうしたんだ?」

黒髪「・・・君には関係ない」

男「ちょっ・・・流石にそれはねーだろ」

黒髪「・・・」

黒髪「君に話す理由がどこにあるの?私が言いたくないからいいでしょ」

黒髪「それに君には君の仕事があるでしょ。今はそれをすべきなんじゃないかな」

男(なんだよそれっ・・・一週間心配した俺が馬鹿みたいじゃねぇか)

男「・・・そうか。それじゃあ俺は自分の仕事をしてくる」


黒髪「・・・」ギュッ

~~~~


~自室~

男「・・・ったく」

男(黒髪のあの態度はなんなんだよ・・・この前ゲーセン行った時との変わり様は一体)

男(この距離を置かれてる感じは・・・納得いかねぇ・・・)

男(ゲーセン行った時に俺が何かしたのか・・・?いや、何もしてないはず)

男「・・・分からない・・・」

男(あんなんだったら俺が黒髪のことを・・・)

男(・・・諦めるにはまだ早い。もし黒髪にハッキリと拒絶された時には・・・諦めよう)

~翌日~


男(文化祭まで後一週間)

男(生徒会での準備も予定通り進み、残す仕事はあと僅かになった)

男(文化祭実行委員としては順調・・・なんだがなぁ・・・)

転校生「しけた面してんわねぇ・・・気持ち悪い」

男「・・・なんだよ」

転校生「あんたの最近の腑抜けた顔見てるとこっちまで気抜けちゃうわ」

男「うっせ。なんならお前の顔見てるほうが気抜けるね」

転校生「・・・私の様な美少女の顔を見て、そんなことが良く言えたもんね」

男(たしかにお前が美少女なのは間違いないけどさ)

男「・・・それ自分で言ってて恥ずかしくない?」

転校生「う、うるさいっと!と、とにかく!」

転校生「あと一週間で文化祭なんだから、そんな風にいたら楽しむもんも楽しめないわよ」

男(・・・こいつも自分なりに気使ってくれてるんだな)

男「・・・そっか、そうだよな」

男(俺がこんなんじゃ、進むものも進まないよな・・・)

男「ありがとな。なんか色々と元気出てきた」

転校生「れ、礼なんて要らないわよ」

男「・・・文化祭楽しめるといいな」

転校生「・・・そうね」

~~~~


男(さぁーて、残り少ない仕事を片すとしますか)

男(黒髪はいるけど、どうするか・・・)

男(・・・どうせ迷うなら行ったほうがいいよな)

男「・・・よう」

黒髪「・・・」チラッ

男(・・・昨日より酷くなってない?)

男「そっちの担当の方は目処ついたか?」

黒髪「・・・まぁ」

男「・・・そうか」

男(なにこのやっとの事で会話が出来ているレベルは・・・)

「やぁ」


黒髪「・・・!」

「黒髪さん、仕事は進んでいるかな?」

男(こいつは・・・委員長? さらに黒髪の事を下の名前で呼んでいるだと・・・?)

黒髪「・・・はい。文化祭前には終わりそうです」

委員長「それはよかった・・・そこの君は?」

男(・・・これって俺のことだよな?)

男「雑務で生徒会の仕事を手伝ってる所だ」

委員長「そっか。君は黒髪さんの仕事を手伝ってくれたのか。感謝するよ」

男「え、あ、はい・・・」

委員長「それと黒髪さん、話があるからちょっと来てくれないかな?」

黒髪「・・・分かりました」


男(・・・今、何が起きたんだ?)

男(委員長がいきなり現れたと思えば黒髪の事を親しげに呼び、しまいには黒髪を連れていった)

男(・・・何が何だかさっぱりだ。それと妙な違和感も感じた・・・これは一体・・・?)

~~~~


委員長「ごめんね。急に呼び出して」

黒髪「・・・学校ではあまり話しけないでほしいと言ったはずです」

委員長「仕方ないよ。少し急ぎの用なんだ」

委員長「急遽夜に僕の親と黒髪さんの親で食事会をする事になったらしいんだ」

委員長「それで食事会は僕の家の車で行く手筈になっているから、それを伝えにね」

黒髪「分かりました。それだけですか?」

委員長「それとそうだな。そろそろ敬語はやめてくれないかな?」

黒髪「・・・嫌です。私とあなたはそういう関係ですから。これからもずっと」

委員長「つれないなぁ。まぁ、いいよ。ゆくゆくは止めざるをえないよ」

委員長「決まっているんだから・・・僕達が夫婦になることはね・・・」ボソッ

黒髪「・・・」

委員長「それじゃあ、また後で迎えに行くよ」


黒髪「・・・」ギュゥゥゥ

~自室~


男(昨日突如現れた委員長・・・あいつが妙に臭う)

男(黒髪への親しげな態度・・・そして黒髪の態度・・・)

男(違和感しか感じねぇ・・・そもそも委員長って何者なんだ?)

男(ちょいと友あたりに聞いてみるか・・・)


友『・・・どうした?』

男『ちょっと聞きたい事あるんだけど。お前って文化祭実行委員長の事分かるか?』

友『あぁ、あの複雑な漢字の人か。というかその人、結構有名だぞ』

男『そうなのか?俺は実行委員で初めて知ったが』

友『ああ。どっかの社長の息子らしくてな。顔も良いし家も良いしで、一時期話題になってた事もあったと思うけど』

男『そっか・・・それ以外には何か分かるか?』

友『うーん、それ以外には何もわからないな』

男『そっか、サンキュ』

友『・・・なにやらまた何かやってるようだな。そんなに変なことするなよ』

男『大丈夫だ。安心してお前は先輩と寝てろ。じゃあな』

友『おっ、おい!いきなりなにを―――』ピッ

男「まったくお熱いことで・・・」


男(得られる情報はほぼ無しか・・・)

男(・・・委員長に話しかけられ時の顔は夏祭りの時にみたあの顔だった)

男(あいつが関係しているのかもしれない・・・けど、それが分かった所でどうすればいいんだ?)

男(・・・難しいな・・・こりゃあ)

~翌日~


黒髪「―――という事なので・・・」

会長「・・・分かったわ。上手くやっておくね」

黒髪「すみません・・・私個人の理由で仕事を途中放棄するような事を・・・」

会長「大丈夫よ。そういうのを任せられるのがいるからね」

黒髪「ありがとうございます・・・それでは失礼します」

会長「・・・黒髪」

黒髪「・・・っ、はい」


会長「あなたの居場所はここにあるから」

会長「辛くなった時はいつでも来ていいからね?」


黒髪「・・・はいっ。ありがとうございます・・・!」

会長「じゃあ、またね・・・」


ガチャ

男(・・・なんか今日も進展ないような・・・)

黒髪「・・・っ!」ダッ

男「よう・・・って、おい!」

男(目が合った瞬間に避けるって何事だよ!)

黒髪「・・・こないで」

男「っ!なんなんだよ最近ずっと避け続けて!」

黒髪「君は関係ないっ・・・いいから、私に近づかないでよっ!」

男「じゃあ、なんで避けるんだよ!」

黒髪「・・・君といると駄目になるから・・・」ボソッ

男「・・・は?」

黒髪「・・・もう、話かけないで」


男(そう言った黒髪の事を俺は追う事ができなかった)

男(黒髪は今にも壊れそうな表情なのに・・・何もしてやれることがないと思ってしまった)

男(俺は・・・今まで、いったい・・・)




男(そして、黒髪は文化祭にさえ姿を現さなかった―――)

~~~~


~屋上~

男(・・・文化祭は二日間の日程を終え、後夜祭へと差し掛かっている)

男(文化祭の結果は大成功・・・生徒会のオープニングも好評だった)

男(けれど俺はこの文化祭を楽しむことなんて出来なかった)

男(あいつと約束したのにな・・・みんなが笑える文化祭・・・か)

男(キャンプファイヤーの周りで手を繋ぎ楽しんで踊っている・・・)

男(そうだよな、みんなは楽しむ事が出来てるんだよな・・・)


男(・・・なぁ、黒髪・・・お前は今、何をしているんだ・・・?)



「・・・ここにいたのね」

男「・・・先輩」

会長「まったく文化祭実行委員がこんな所でしょげてるのよ」

男「・・・すいません。なんか楽しめる気分になくて・・・」

会長「・・・黒髪の事?」

男「っ・・・!そ、それは・・・」

会長「知ってるよ。君が前から黒髪を気にしてた事は」

男「・・・流石先輩ですね。敵わないですよ」

会長「それで、何があったの?」

男「・・・黒髪の事を夏祭りの時に見て」

男「その時にしてたあいつのいつもと違う辛そうな顔が頭から離れなくて・・・」

男「なんとなく嫌だなって思ったんですよ。黒髪のそんな顔を見るの」

男「だからできるだけ、俺がしてやれる範囲でいいからあいつの事を助けようって決めたんです」

会長「・・・」

男「ちょっと上手くいったりしたこともあって順調だなって思ってたんです・・・そしたらある日を境に俺を避ける様になって」

男「そうして、どうすればいいか分からないうちにどんどん黒髪の存在は遠くなっていって」

男「今じゃこんなことに・・・」

会長「・・・そっか」

男「・・・約束したんですよ。黒髪と」

男「みんなが笑える文化祭にしようって、なのに黒髪は来なくて」

男「みんなが笑えるようにって言ったのは俺なのに、俺が笑ってないって・・・虚しくなりますよ」

男「それでも・・・諦められないんですよ。あいつの事を」

会長「・・・男クン。実は黒髪の事には理由があるの」

男「そんなのは分かってます・・・だけど、諦めたくないんです」

会長「・・・今、君が手を伸ばそうとしている事は、私達の手の負えない事」

会長「その事を聞いたら、絶望してしまうかもしれない」

会長「それでも・・・聞きたい?」

男「はい」


会長「そう。男クンの覚悟は揺るがないか・・・」ボソッ

会長「じゃあ、手短に話すわね」


会長「・・・黒髪の家は裕福な家で、父親が企業の社長なの」

会長「その企業は昔から黒髪の家の長が社長を務めてきた所で、その役目は自然と黒髪にも回って来ることになっている」

会長「それで、黒髪の父親は黒髪に有力な企業の社長の息子を黒髪と結婚させようと考えたのよ」

会長「いわゆる、政略結婚ってやつね」

会長「そして、二年になった黒髪の事を黒髪の父親は色々な場所に連れ出すようになった」

会長「企業の管理職が集まるパーティーや、その土地の有力者が集まるイベントなどにね」


男「それじゃあ・・・夏休みの時の黒髪も」

会長「多分、そうね」

会長「そして黒髪の父親は遂に気になる人を見つけ、話し合いの結果その人とお見合いすることが決まった」

会長「・・・そうしてやってきたお見合いの日。相手は、委員長君だった」

男「・・・それで、あいつが」

会長「黒髪の父親は委員長の事を気に入ったらしくてね。それは委員長君の方も同じみたいで」

会長「結局、黒髪と委員長君は高校卒業後結婚する事が決まったのよ」

会長「・・・これが黒髪に起きていた事」

男「・・・」

会長「それに、黒髪は結婚に向けて色々な事をすることになって」

会長「放課後には時間が必要らしくて生徒会には出られなくなるし、時には学校を休む事もあるみたい・・・」

男「・・・」

会長「本当はね、黒髪から口止めされてたの。男クンにはこの事は話さないでくれって」

男「・・・え?」

会長「きっと、君には悲しい思いをしてほしくなかったんじゃないかな」


会長「・・・黒髪はもう私達じゃどうしようもできないのよ」

男「・・・」

男「・・・黒髪は自由を望んでいました」


黒髪『いつでも自分の意志に従って自由に生きたいの、私』


男「だけどあいつは今まで締め付けられた生活を強いられ続けて」

男「そしてこれからもずっとそういう生活を続けていくことになる・・・」

男「今、黒髪を助けなければ・・・あいつはいつ自由を手に入れられるんですか」

会長「・・・」

男「このままだとあいつは永遠に鳥籠の中で生活していくんだ!」

男「そんなのっ!そんな事、黒髪が望んでるわけないっ!」

男「・・・俺は諦めません」

男「必ず、黒髪を助けだします」

会長「それは不可能に近いのに、それでもやるって言うのね」

男「俺の考えは変りません」

会長「そう・・・」

男「・・・先輩、今日はありがとうございました。やれる事は全部やってみようと思います。それじゃあ・・・」

会長「男クン」

男「っ、はい」


会長「もし私にもできる事があったら遠慮なく言って」

会長「私も、黒髪には自由でいてほしいから」


男「・・・はいっ」

会長「黒髪の事は頼んだわ」ニコ


男「・・・任せて下さいっ!」

男(黒髪を取り巻く物は俺が思っていたより大きなものだ)


男(そこから黒髪を開放させるのは不可能に近いだろう)


男(だけど、俺は誰かが無理だと言っても絶対に諦めない)


男(黒髪が望んでいるものがあるから。そして、知ってしまったから。俺が黒髪に抱いている感情を)


男(あいつには笑っていてほしいから・・・だから―――)


男「―――やるんだ・・・俺が」

本日はここまで。
近日中に黒髪書き終えられるよう頑張ります・・・

~~~~


私は不自由だ。

小さい頃から私に自由はなかった。

ほんの少し希望が見えたりもしたけど・・・それも消えてなくなった。


・・・私はきっとこれからも、ずっとこのままなんだ。


私の夢は、叶わない―――

~~~~


「着いたぞ・・・早く降りろ」

黒髪「・・・うん」

黒髪父「まだ委員長君とは仲良くやれないか?」

黒髪「・・・ごめんなさい」

黒髪父「まぁ、いい。委員長君も大変良い子だ。その内良い方にいくだろう」

黒髪「・・・」

黒髪(・・・そういえば、今日は文化祭だよね)

黒髪(生徒会のオープニング上手く行ったかな・・・)

黒髪(クラスの方も成功するといいけど・・・)


男『そうっ!楽しい文化祭・・・みんなが笑えるような文化祭、作ろうな!』


黒髪(・・・文化祭、行きたかったな)

黒髪(みんなが笑えるような文化祭・・・)

黒髪(男・・・君の目指すものを見たかった・・・)


黒髪(その中に私も・・・いたかった)

~~~~



男(文化祭も終わり、いよいよ2学期も残すもあと少し・・・)

男(クラスは文化祭時の雰囲気を残し、少々浮かれてるように見える)

男(俺はといえばほぼ文化祭実行委員の仕事を黙々とやってて、クラスにはほとんど参加していないからこの雰囲気に疎外感さえ感じられる)

男(・・・黒髪も今頃こんな感じに思ってるんだろうか)

男(というか、そもそも学校に来てることさえも怪しい。てか、あいつのクラスってどこだ?)


男(・・・・こういう時にあいつ自信の事を知らないというのは本当にもどかしい・・・)

男(昼休みにでも先輩のとこ行って、クラスとか聞いておこう・・・)

男「なぁ、友」

友「なんだ?」

男「昼さ、先輩と一緒に食べてる?」

友「そ、そりゃあそうだが」

男(こんなんでも動揺するとか、ウブすぎるだろうお前)

男「・・・俺も入れてくれ」

~~~~


~生徒会室~

男「ということで食事会です~パチパチ」

友「・・・はぁ」

会長「珍しい事もあるのね。今日はこんなオマケがついてくるなんて」

男「オマケ言わないでくださいよ・・・それに俺だけじゃないですよ」クイクイ

後輩「・・・ふぁれがおまけでふか」モグモグ

男(お前は食いながら喋るな)

男「・・・普段あれもいるんですか?」

会長「妹には今日は手伝いをしてもらう予定で、どうせなら一緒に昼も済ませちゃおうって」

男「手伝いとは?」

会長「そろそろ私も引退の時期だからね・・・少しでも荷物を整理しおうと思ってね」

男「・・・どうりで」

男(確かにある一角に集中してある紅茶セット一色については後輩の手助けが必要だろう)

会長「だから今日は、友と男クンにも期待してるからね♪」

友「え、それは 男「いや、実は先輩には用があって・・・」

会長「・・・何?」

男「・・・黒髪のことでちょっと聞きたい事が」

会長「そうね・・・この後でいいかしら」

~~~~


男(・・・結局手伝わされた。無駄に多い紅茶セットはホント何なんだ・・・)


会長「何が聞きたい?・・・と言っても私が答えられることもそう多くないけど」

男「まず・・・黒髪って学校にはこれからも来れるんですか?」

会長「来れるみたいよ。でも、休む事の方が多いかもしれないけど」

男「そうですか・・・じゃあ、黒髪ってどこのクラスか分かりますか?生徒会でしか接点無かったんで」

会長「確か・・・2-Eだったと思うわ」

男「・・・分かりました」

会長「・・・それと」

会長「関係ないかもしれないけど、次の生徒会長に委員長君が立候補したわ」

男「あいつが・・・」

会長「正直あまり好きになれないから、どっかの誰かがまたやってくれないかなぁ・・・って」

男「やめてください。俺じゃ役不足ですよ」

会長「そんなことはないと思うけど・・・仕方ないわね」

会長「また困った時はいつでも来て」

男「はい、その時はまたお願いします。それでは・・・」


会長「・・・成長したわね。あの子も」ボソッ

~自室~



男(・・・黒髪が学校に来ていない可能性が高い。それならあいつが学校にいる時の接触を増やさなければならない)

男(実際に放課後に黒髪のクラスを覗いたら、いなかったしな・・・)

男(黒髪との接触で何かを見いだせたりしないもんかな・・・それに俺は黒髪自身から何も聞いていないからな・・・)

男(あいつの本心を聞いた上でなければ、俺が行動するなんて以ての外だ。もしかしたらあいつは助けを求めないかもしれない)


男(そう思うと少し怖くなってくる・・・拒絶されるのが、怖い)


男(―――でも、俺が一歩踏み出さなければ、何も始まらない)

~~~~


~朝~


黒髪(・・・3日ぶりの学校。以前は学校だけが私の楽しみだったのに・・・)

黒髪(今では・・・来るのが辛い・・・裏切ってしまった人たちへの気持ちで胸が締め付けられる)

黒髪(でも、もう決めたでしょ。もう何も望まないって)

黒髪(望んだものは、いとも簡単に奪い去られていくんだ。・・・お母さんと同じように)

黒髪(だから、何も望まない。その方が楽になれる)

黒髪(・・・夢があった日々も。自由だったあの時間も。私を包んでくれたあの優しい空間も)

黒髪(私に希望をくれたあの人も)

黒髪(全て・・・無かったことにしよう)

黒髪(それが私の決めた道―――)



「―――よう」


黒髪「―――・・・え?」


男「―――よう」


黒髪「―――・・・え?」


男「随分と探したぜ・・・ゲーセン帰りのあの時から予想して駅の方から来るんじゃねぇかって思ってたんだ」

男「んまぁ、これで早起きした成果があったって訳だ」

男(・・・黒髪は俺の姿を見ると、まるで信じられないといったような顔をした)

男(普通あんだけキツく言われたら近寄んないよな・・・ドMかストーカーぐらいだな。こんなことできんの)

男(しかし言っておく。俺はドMでもないし、ストーカーでも・・・俺がしてるの多分ストーカーだ)

黒髪「・・・っ!」

男「ちょっ、無視するなって」

黒髪「・・・話しかけないでって言ったはず」

男「いや、それよりも聞いてくれよ。こないだの文化祭で友と会長が―――」

黒髪「さよなら」

男「校内デートして・・・っておいおいおいおい」

黒髪「・・・ついてこないで」

男「いやいや、どうせ目指すところは一緒だろ?お前も俺も制服着てるわけだし」

黒髪「それでも君といる必要はない」

男「正論・・・けど、ここまで来たんだ。せっかくだから話だけ・・・」

黒髪「聞かない。それじゃ・・・」


男「・・・ったく。また行くからな!」


男(今は、この方法しかないよな・・・)

男(どんなに無視し続けられても、黒髪が心を開いてくれるまで俺はやり続けるぞ・・・)

~~~~

~廊下~

男「お、移動教室か。つっても廊下で会うなんて偶然だな。うん偶然」

黒髪「・・・」

男「ちょい待て!さらっと無視するのやめろ!俺が可哀想な子みたいだろ!」

~~~~


~教室~

男「昼食はパンか。実に女子高生らしいな。だが、胸の成長にはな・・・」

ネーアノヒトダレー? イッテルコトハキモチワルイー オ、オトコキュン・・・

黒髪「・・・」スッ

男「鶏肉や牛乳などを採ることも大事でな・・・って話はまだ終わってねーぞ」

黒髪「君は私と話をするつもりはない」

男「いや、聞けって。お前の最大の武器である胸の強化方針をだな」

黒髪「」ギロッ

男「スイマセンカエリマス」

~~~~


~廊下~

男「ぐへへ・・・また会いましたね」

黒髪「・・・どいて」

男「どかねぇぞ。俺を無視するのやめたらどいてやる」

黒髪「早く、急いでるの」

男「えぇ・・・あ、分かったトイレいくんだな―――」 シュン!

男「っ・・・!・・・み、見事なせいけん・・・づ・・・き・・・」バタッ

黒髪「・・・」

~~~~


「またねー」「また来る時は言ってね」

黒髪「うん・・・また」

男「だなー。そうしないと俺がまた朝徘徊する羽目になるからな・・・」

黒髪「・・・は?」

男「いや、そうじゃね?お前いつ学校来るかわかんないし」

黒髪「・・・」

男「本格的に俺のことを犯罪者みたいな目で見るのやめませんかね」

黒髪「やってることは犯罪者と一緒」

男「それは分かってんだけどよ・・・こうでもしないと―――」

ガシッ

男「えっ?」

「黒ちゃん、この変質者は捕まえておくから早く行って!」「この変態!」

黒髪「・・・ありがとう」

男「え、嘘、ちょっと待って」

男「女の子二人に捕まるってシチュが魅力的すぎてここから逃げ出せねぇ!」

黒髪「・・・それじゃ」


男「黒髪ーーーっ!!」

黒髪「・・・?」


男「俺は諦めねーぞっ!お前の本心を聞くまではなぁ!」


黒髪「―――っ!」


男「だから、いつでも俺の所に来いっ!俺はお前の望みを諦めねぇ!」

男「俺は、お前を絶対助けてやるっ!」

ウルサイコノヘンタイ! グヘッ!


黒髪「・・・なんなの」

~~~~


~数日後~

友「・・・なぁ男よ」

男「・・・んぁ?」

友「最近・・・ウチの学校にストーカーが出るらしいな」

友「ある女子生徒が、制服を着た変態の塊に追い回されてるらしいぞ・・・」

男「ウチの学校にもそんな物騒な輩が・・・ホント嫌な世の中だぜ・・・」

転校生 友 女友「「「・・・」」」ジトー

男「どうしたお前ら。そんな目で見られたら照れるじゃねぇか」

女友「・・・変質者」ボソッ

男「」グサッ

友「・・・変質者」ボソッ

男「」グサグサッ

転校生「・・・犯罪者」ボソッ

男「」グサグサグサッ

後輩「・・・」ヒョイ

後輩「・・・覗き魔」ボソッ

男「」ウルッ

女「や、やめてあげようよ・・・男君にもきっと理由が」

女友「やってること犯罪者一緒なのよ?そんなの擁護する必要がないよ」

女「そ、そっか・・・」

女(こ、ここは私が男君を正しい道に戻さなきゃ・・・)

女「お、男君?」

男「」クルリ

女「そ、その・・・そういう変質者紛いなことは・・・やめよう?」ウワメ

男「」

男「チクショォォォォ!!俺だって好きでこういうことやってんじゃねぇよォォォォ!!」

男「そうだバカはお前らだ!、バーカ!バーカバーカ!」ダッタッタッ



女「・・・私、間違った事言ったかな・・・?」ウルッ

転校生「いや、女ちゃん悪く無いからね!?」


男(・・・まずい。連日の黒髪への強制的な接触が普通にストーカー犯として見られてきている)

男(こんなんじゃ黒髪へ近づいていくのが遠のいていく・・・色々と考えなければ)

ポンポン

男「・・・ん?」

石井「・・・グッ」キラキラ

男「」イラッ

石井「お前の道・・・ハッキリときかs―――」男「うるせぇ」メリッ

石井「えぇぇぇえええええええええええ!!!」ヒューン


男(・・・石井の顔思い切り殴ったお陰で多少スッキリした。・・・今日はいるといいが)

~~~~


男「そうか・・・今日は来てないか・・・」

「っていうか、君なんなの?黒ちゃんのこと好きなの?」

男「好きっていうか何ていうか・・・よくわかんないだよな」

男(でも・・・あの時感じたのはきっと・・)

「じゃあ何で黒ちゃんストーカーしてんのよ」

男「・・・あいつを助けたいから」

「・・・?助けるって何を?」

男「・・・それは」

「―――こんにちは」

「あっ、委員長君!」

委員長「やぁ。今日もいい笑顔だ。君は・・・」

男「前にも会ったことが・・・「この人ですよ!黒ちゃんのストーカーしてるの!」

委員長「・・・へぇ、君が」ジロッ

男「・・・」

委員長「自分の愛情を他人に晒していくのは良いことだ。しかし、相手がそれを嫌がっているなら」

委員長「それはただの愚の骨頂だ。今すぐにやめた方がいい」ギロッ

男「・・・」

委員長「・・・僕にはとやかくいう権利はないけどね。ところで黒髪さんは?」

「今日は来ていませんよー」

委員長「それは残念だね・・・それじゃ僕は行くからまた今度」ニコッ

「は、はい!またきてください」キュン

男「・・・」

~~~~


黒髪(・・・最近、男の様子がおかしい)

黒髪(学校にいる時どこに行くのにもついてきて、私に話しかけてくる)

黒髪(・・・彼はきっと知っている・・・私の今の状況を)

黒髪(彼だけには知ってもらいたくなかったんだけどな・・・)


男『俺は、お前を絶対助けてやるっ!』


黒髪(・・・正直、君に甘えてしまいたい)

黒髪(今背負ってるものを全部投げ出して、今すぐ君のところにいきたい)

黒髪(でもそれだけは駄目・・・その後どうなるかは分かってるから)

黒髪(悲しむのは私だけなら構わない。けれどそれに男を巻き込ませるのは・・・駄目)

黒髪(・・・しっかりしなきゃ。もう決めたことなんだから)















男(―――ある日、それは突然とやってきた)









~~~~


男「やっぱりさ、朝はご飯に限る。そうは思わないか?」

黒髪「・・・」

男「昨日、朝パン食って学校行ったんだけどよ・・・その日の体育では力が出なかったな」

男「けど今日朝にご飯食ったらさ、力が湧いてくる感じしてきてな」

男「やっぱそれってそういうことだよな?あと、おはよう」

黒髪「・・・。・・・おはよ」

男「・・・!」

男(この何十日間で初めて黒髪が挨拶してくれた・・・!)

男「今ハッキリ分かった。やっぱご飯の力って偉大だな・・・」

黒髪「・・・」



「―――」ギロリ

~~~~


「黒ちゃーん、お昼食べよー」

黒髪「あ、うん。ちょっと待って」

「・・・黒髪さん」

黒髪「・・・何の用ですか」

委員長「話があるんだ・・・来てくれないかな?」

黒髪「私には約束が・・・」

「いいよ黒ちゃんー委員長君の所行ってきなー」

委員長「だって。それじゃあ、来てくれるよね?」

黒髪「・・・はい」

~~~~


男「おいーっす、黒髪いる?」

「あ、出たなストーカー!」

男「物騒な呼び方すんなよ・・・ただでさえ学校で噂になってんのに」

「自業自得でしょ・・・」

男「うっ・・・自覚してるからそこんところ指摘しないで! ・・・それで黒髪はどこに?」

「黒ちゃんなら、委員長君とどこかに行ったけど」

男(あいつか・・・前の時にちょっと不穏な感じがしたんだよな・・・)

男「ちょっと探してみるか」

「えっ・・・さすがにそれはないでしょ」

男「余計な事はしねーよ。じゃな!」

~~~~



黒髪「・・・こんな人気の無い所に呼び出して、何のつもりですか」

委員長「勿論、話をする為だよ。僕達のこれからについてね」

黒髪「そんなもの、今する必要はありません」

委員長「―――そんなもの?」ギロッ

黒髪「・・・そうです」

委員長「これから僕の妻になるのに、何だその発言はっ!」

黒髪「っ!」

委員長「僕が何度我慢してきていると思うんだっ!君のいつまでも直さない反抗的な態度!口調!」

委員長「思えば見合いのときからそうだった・・・君は僕と一度も目を合わさなかった!」

委員長「黒髪さん・・・君のその美貌に免じて今までは我慢してきたけどね・・・もう無理だ」

委員長「それにあの男だ。何で纏わりついてくるあのクズを・・・黒髪さん、君はどうして拒否しないんだぁい?」

委員長「君がそんな態度をとってるからいつまでたってもついて来るんだよ?わかるかな?」

黒髪「お、男はクズなんかじゃ!」

委員長「うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!!!」

委員長「もう限界だよ・・・君にはやるべき事があるね・・・」


黒髪「・・・何をする気・・・」

委員長「・・・決まってるじゃないか」















委員長「―――君 を い ま か ら 僕 の モ ノ に す る ん だ よ」ニタァ・・・











黒髪「え・・・?」


委員長「そうだなぁ!まずは夫婦になるんだからキスぐらいは経験しとかないとねぇ!!」

黒髪「ちょ、なにを考えてるの!」

委員長「ねぇ、僕はキスがはじめてなんだぁ・・・少しキツぅぅくなるかもしれないけど、我慢してくれるよね?」ガシッ!

黒髪「は、離せ・・・!」

委員長「そうだよ・・・僕の妻になるんだからそうしてくれるよねぇ!!」

黒髪「や、やめ」ブルブル


委員長「ほらぁ・・・目をつぶって・・・君は僕のものだって証明してあげるからねぇ」ジュルリ

黒髪「ゃ・・・だ、だれか・・・」

黒髪「た、たすけてっ・・・」

委員長「助けを呼んだ所で誰も来ないよ・・・」ガチャ・・・

委員長「・・・は?」


バシッ!


委員長「・・・な、な・・ぜ・・・」

バタッ!



黒髪「―――」

~~~~


男(よく黒髪の事を呼び出すもんだな・・・)

男(あんまり学校外での接触は少ないってことか・・・もしや同棲とかもしているかもしれないって考えてたが)

男(とりあえずあいつの事探すか・・・あの二人が何を話してるのかも少し気になるし)

男(そういう個人的な話をしにいく所といえば・・・体育館裏とかか?)


男(・・・とりあえずそっちの方行くか)

~~~~


男(・・・こんなことしてるって、やってることホントストーカーだな)

男(清純な思いでこんなことをしているわけであって・・・汚い気持ちはほんの少しあるぐらい)

男(本当ですから。そうじゃないとストーカーなんて続けられませんよ・・・)

「―――っ!――――!」

男「・・・」

男(なんだか男の怒鳴り声が聞こえてくるが・・・この方向は部室棟の方・・・?)

男(真っ昼間から喧嘩とか止してくれ・・・)


男「・・・まさか」


男(・・・不安だ。とりあえず行くだけ行ってみるか)


「お、男はクズなんかじゃ!」


男(っ!この声は黒髪!?)

男「くそっ!面倒なことになってるなよ・・・!」

男(どこからだ!?声が聞こえてくるのは)

男(・・・!あっちのほうか!)

男(ってここは・・・サッカー部の旧部室じゃねぇか)


黒髪「た、たすけてっ・・・」

男(!?・・・黒髪が危ない!)ガチャ・・・

男(っ! 捕まえてるあいつをとりあえずどかす!)

委員長「・・・は?」

バシッ!


委員長「・・・な、な・・ぜ・・・」

バタッ!

黒髪「―――」




男「・・・なんか、デジャヴを感じるな」


黒髪「な、なんで・・・?」

男「・・・それは後だ。今は逃げるぞ」ギュッ

黒髪「ぁ・・・う、うん」

~~~~


~中庭~


男「はぁ・・・ここまで来れば大丈夫だろ」

黒髪「そ、そのっ・・・」

男「大丈夫か?どこか怪我とかは?」

黒髪「う、ううん。平気・・・」

男「そうか・・・」

男「・・・しっかし、このまま学校にいてもいつアイツが何をしてくるのか分からねぇな・・・」

男「黒髪、今日は早く帰ったほうがいいかもしれないな」

黒髪「・・・」

男「・・・どうした?やっぱりどこか悪いのか?」

黒髪「・・・私には帰る場所がない」

男「そ、それはどういう・・・」

男(! そうか・・・自分の家に帰っても委員長と父親が繋がってるから何があるか分からない。そう簡単に帰れるわけないな・・・)

男(・・・これは困ったな。どうすればいい・・・?)


黒髪「・・・」

黒髪「だ、だから・・・」

男「・・・?」



黒髪「―――・・・君の家に行かせてほしい・・・」ウワメ


男「―――」

男(黒髪のその言葉に、思わず息を呑んだ)

デジャヴな今回はここまで。
委員長くん倒れた所がわかりにくいかもしれないので補足。
男がドアを開ける→中には黒髪を押さえつけた委員長が→男、とっさに委員長の頭を殴る→委員長、脳震盪により意識が朦朧に→二人は逃げる

自分の稚拙な文章力で表現がわかりにくくなってて申し訳ないです。

~~~~



男(・・・家に帰ってる道中、黒髪は何も喋らなかった)

男(当たり前か。いきなり男に襲われるなんて、女からしたら俺らが想像するより遥かに怖いはず)

男(さっきそんな経験したばっかで今そう口を開けるわけない)

男(・・・まぁ、そんなこんなで家についたわけだが)


男「着いたぞ」

黒髪「うん・・・」

男(・・・思ってみれば、この状況をあまり母さんに見られるのは気が引けるな・・・)

男(昼に帰宅。それに黒髪を連れての帰宅・・・良い予感がしない)

男(・・・なんとかなるか)

黒髪「・・・どうかした?」

男「ああ、何でもない。んじゃ入るか」ガチャ

男「ただいま」

男(俺の声に反応したのか、リビングのほうから足音が聞こえる・・・)

男母「なに学校サボってんだ・・・は?」

黒髪「あ・・・お、お邪魔します・・・」ペコリ

男母「・・・これはどういう事か説明してもらおうか」ゴゴゴゴゴ

男「oh...」

~~~~


男母「それで、ウチに連れてきたと・・・」フーン

男「まったく過ちを犯したわけではないからな・・・」

男母「・・・嘘ついてたらどうなるかわかってんだろうね」

男「うそじゃ「男君は悪くありませんっ!」

黒髪「男君は本当に私を助けてくれました・・・それに、わがままを言ったのも私です」

黒髪「だからっ、男君の事を信じてください・・・」

男「・・・」

男母「・・・大丈夫よ。さっきから言ってる事は冗談だから」

黒髪「え・・・」

男母「男をちょっとからかいかっただけよ。だから黒髪ちゃんは気にしなくていいよ」

黒髪「す、すみません。私はなんて早とちりを」カァァ

男母「うーん、黒髪ちゃん可愛いわねー!遠慮無く我が家にいなさい!むしろ推奨!」ワシャワシャ

黒髪「そ、それは・・・」カァァ


男「・・・なにやってんだ」

~~~~


男(母さんと黒髪が会話する姿を見て、今は母さんに任せるのがいいだろうと判断し、俺は部屋に向かった)

男(・・・リビングを離れる時の黒髪のあの感じ・・・やばいな)


男『・・・俺、部屋戻ってるわ』

黒髪『・・・ぁ』

男「どうした?」

黒髪『・・・あとで君の所に行くから』ニコ

男『お、おう・・・』カァァ

男(カワイイだろうが!なんだよ!あの俺がリビングを離れる時の寂しそうな顔からの優しさあふれる微笑みはっ!)

男(おかげで部屋戻った後、悶てしまった・・・いかんいかん、今はそういう時じゃないだろうに)

コンコン

男「ん、いいぞ」

ガチャ


黒髪「・・・これが君の部屋」キョロキョロ

男「何か気になるのか?」

黒髪「異性の部屋に入ったのは君が初めてだから・・・緊張してる」

男「そんな身構える必要もないだろ・・・」

黒髪「それだけじゃないんだけどな・・・」ボソッ

男「?・・・ところで母さんとあの後はどうだった?」

黒髪「色んな話をさせてもらったよ・・・君の話もね」

男(一体何を喋ったんだウチの母親)

男「・・・碌な事しねーからな、母さんは」

黒髪「そんな事ない。素敵のお母さんだよ・・・」

男(・・・そう言い黒髪を目を伏せ、何かを想っている)

男(きっと、母親に対して強く想うものがあるんだろうな・・・)

黒髪(すると黒髪は、決意したかのような顔で俺の事を見た)


黒髪「・・・ありがとう」

男「さっきのはたまたまだ。ストーカーの賜物とでも言うか」

黒髪「あの事だけじゃない・・・今まで君がしてくれたこと全部のお礼」


黒髪「―――本当に、ありがとう」


男「俺が勝手に始めた事だからな。礼を言われる事はしてない」

黒髪「それでも、私は君のおかげで自分の望むものを少しでも手にとることができた」

黒髪「夢を見させてくれた君にすごく感謝してる・・・」

男「・・・」

黒髪「君を嫌がってて避けてたわけじゃない・・・私の問題に君を巻き込ませたくなかった」

黒髪「君が私の事を助けようとしてくれて、色々としてくれているのも分かってる」

黒髪「けれど、この先で起こることは私達の手では到底解決できない・・・そんなの知ってて、君に頼るなんてできなかった」

黒髪「だから君を避け続けた・・・それももう意味はないけどね」

黒髪「それに、私は君に一度だけ頼ってしまった」

黒髪「最後にもう一度、夢を見たいと思ってしまった」

黒髪「それが・・私の決意を揺るがしてしまった原因」

黒髪「・・・すべて、私の弱い心が生み出した結果でしかないんだ・・・ごめん」

>>637
黒髪(すると黒髪は、決意したかのような顔で俺の事を見た)☓
男(すると黒髪は、決意したかのような顔で俺の事を見た)○
申し訳ないです。

黒髪「―――でも今日で、それも終わりにするから」


男「・・・」


黒髪「私は君を頼ったりしない。これからは自分の道を受け入れて生きていく」

黒髪「これ以上、誰にも迷惑をかけられないから・・・」


黒髪「・・・結局は私のわがままでしかなかったんだ」

黒髪「いつかこうなる事は分かってたのに・・・それなのに、私が望んでしまったから」

黒髪「ほしかったものは全て奪われるのは、分かってるのに・・・」



黒髪「・・・ありがとう。君は、私に希望をくれた人だった」


黒髪「ずっと、君のことは忘れないから・・・」


黒髪「・・・さようなら、私の大切な人」



ガチャッ

男「―――そんなの」


男「・・・そんなのって、卑怯だろ」


黒髪「っ・・・」

男「何でも自分で背負って、俺たちには何もさせてくれないで最後にそんなこと言うなんて・・・そんなの意地でも、お前のこと諦められねぇよ」

男「何で、俺達じゃ無理だって決めつける。何で俺達に頼るのは迷惑だって考えるんだ」

黒髪「それはっ・・・実際に今まで君達には「迷惑なんて思ってない」

男「迷惑だなんて思ったこと・・・一度だって無い」

男「それにな。黒髪が俺達を頼ってくれないのは、こっちにとって一番辛いことなんだよ・・・」

男「・・・夏祭りにお前を見た時からだ」

男「時折見せるお前の辛そうな顔を見るのがずっと・・・嫌だった。だから、お前の事を助けるって決めた」


男「かつて、どん底にいた俺を助けてくれた人達がいた・・・もう二度と見ることの出来ないと思ってた景色を見せてくれたんだ」

男「すごく心が満たされていった・・・その人達のおかげで今の俺はいる」

男「それから俺は思ったんだ・・・次は俺が大切な人を助けられるようになるって」



男「・・・その時は、今なんだ」


男「―――俺に、助けさせてくれ。お前の事」

黒髪「・・・そんなの君の方が卑怯じゃない・・・」ウルッ


黒髪「そんなこといわれたら・・・っ、もう、がまん、できない・・・」グズッ

男「・・・」

黒髪「わたしは、望んでいい、の・・?」

男「全部、叶えてやる」

黒髪「なにも、失わなくていいの・・・?」

男「ああ。もうお前には何も失わせない」

黒髪「そっか・・・いいんだ・・・もうむりしなくて・・・」


黒髪「・・・じゃあ、お願いする・・・」




黒髪「―――男・・・私のことを、たすけてっ・・・」

やっと話が動き出します・・・なんだかんだ言って長くなりました・・・

あと、今頃言うのもなんですが保守や支援してくださってる方々ありがとうございます。
これからも拙い作品ですが、お付き合いしてくれれば幸いです。

それでは今回はここまで。

これからも拙い作品ですが、お付き合いしてくれれば幸いです☓
これからも拙い作品ですが、お付き合いしていただければ幸いです○

―――ずっと暗い道を進んできた。


物心ついた時からは私は色んなことを強制されてきた。

勉学は勿論、言動、仕草・・・何もかもが自分で築いたものがなかった。

私はいつしか、自由な生活を望む様になっていった。

そういう我慢した日々を過ごしても、私が頑張ってこれたのは夢があったから。

キッカケは小さい時に見た結婚式。

ウエディングドレスを身に纏った新婦は笑顔に満ち溢れていて、とても幸せそうだった。

だから私は憧れた。私も恋がしたい。そして、いつか私も幸せな新婦になりたい、と。

だから努力が必要だと考えた。そうすると自然と何事にも集中できた。

それに結果が出ると、両親が私の事を褒めてくれる。

その事が嬉しくて、私はさらに頑張ろうと思えた。

しかし、私にも現実が見え始めた。

中学生の時、夜中に誰かの声で目が醒めた私はその声がする方向へと足を運んだ。

・・・そこではお父さんとお母さんが言い争いをしていた。

怖さでその場を動く事が出来ず、ずっとそこで立ち止まっていると突然私の名前が出てくる。

その時分かった。二人は私の話をしてるんだって。

だから気になって耳を澄ませてみると、お父さんが何を言ってるのが分かった。

お父さんは会社の発展の為に私の人生を犠牲にさせるんだと。

お母さんはその意見に頑なに反対していた。

父親がそんな事を考えていたんだと思うと、自然と涙が零れた。

お父さんが今まで褒めてくれてたのは何だったの?

私の事は道具としてとしか見てなかったの?

私が夢に向かっていって頑張っていたのは、すべて無駄だったの?


―――私は、自分の人生に絶望した。

だけど、私の不幸はそれだけに留まらなかった。

高校受験のを控えた私に来たのは、母の入院を告げるものだった。

重い病気で、あと生きられるのはもって1年だと。

いつも私に本当の愛情をくれていたお母さん。あの時だって私の事を思って反対してくれたのに。

そんなお母さんが、もうすぐいなくなってしまう。

今まで何を言われても我慢してきた。けれどもう限界だった。

私はお母さんに今まで言えなかった本心を全部吐き出した。


『ごめんね・・・あなたの気持ちを汲んであげられなくて』

私の話を聞いた後、お母さんは優しく抱いて、そう言ってくれた。

涙が止まらなかった。

後日、ある報せが入った。

高校は父親に言われた女子校を受験する予定が、突如私の行きたい高校に受験して良いという事に。

私の話を聞いたお母さんが、お父さんを説得したんだと・・・お母さんには感謝してもしきれない

閉ざされた日々に、光が見え始めた。

そして、高校は近くの公立高校に入学することに。

小学校から私立の女子校で過ごしてきた私にとって、高校での日々は新鮮だった。

学校にいる間は自由を感じることができ、会長やクラスメート・・・様々な出会いもあり毎日が充実していた。

けど、幸せはいつまでも続かなかった。

私の元に一本の電話が入る。

『お母さんが、非常に危ない状態です』

私は気づいたら走りだしていた。

やだよ。まだお母さんと話したいこといっぱいあるのに。ねぇ、なんで?


どうして、私からすべて奪っていくの・・・?


病院に着いた時、既にお母さんはの息は止まっていた。

私は、お母さんに向かって泣き続けた。


その場に、お父さんの姿は無かった。


・・・お母さんが亡くなった。


その時が来ることは覚悟していたけど、それでも私にとってあまりにも残酷な事実だった。

お母さんが亡くなってからのお父さんの行動は、今までよりエスカレートしていく。

私は、お父さんに連れられて色々な所に行くようになった。

それは企業の上に立つ人物や、土地の有力者が集まる場所。

私は本格的に道具として扱われるようになる。

自由が遠のいていくのを感じ、気持ちがどんどん沈んでいった。

それでも学校にいる間は心配をかけないようにと自分を律してきた。

―――そんな時に出会ったのが彼だった。


学食で販売されている『幻のプリン』というものがあって、一日限定十個という少ない数で売られていた。

限定商品で、味も良いので生徒が何とかして買おうとして、それはその内、規則を破るような行為へ発展していく。

それで生徒会でその問題を防ぐために、授業を休んでまで監視をした。

そして、ある日たまたま屋上で休んでいる時にそれは起こった。

『・・・また、私は連れられるのか』

週末にあるパーティーに連れられる事を昨日話され、またあの気持ちの悪い空間へ行くことになることに憂鬱を感じていた。

ガチャッ・・・

・・・誰かが来たようだ。チラッと扉の方を見る。

そこにいたのはある男子生徒だった。彼の顔には見覚えがあった。何度か、会長や後輩と話している所を見ていたから。

会長の知り合い・・・興味が湧いた私は彼に話しかけることにした。

『ねぇ、君もしかしてサボり?』

すると彼は、あからさまに驚いた様子で私の事を見てきた。そんなに驚くことかな・・・


事情を聞くと彼は『幻のプリン』を買う為に授業をサボっているのだと・・・あからさまな違反者だ。

今すぐにでも取り締まらなければいけないけど、その時の私はどうにかしていた。きっとそれだけ彼に興味を惹かれていたんだ。

『ハハハ。ところで君はどうして授業をサボっているんだ?』

生徒会としての活動がバレるわけにいかない。適当な嘘をつけばいい。なのに私が言葉にしたのは―――


『そうね・・・嫌いなの、縛り付けられるの』

『いつでも自分の意志に従って自由に生きたいの、私』

今まで、我慢していた自分の本心だった。

それから私は、初対面の彼に色々な事を話した。そのお陰で私の気持ちは大分軽くなっていった。


その後、彼への興味はどんどん湧いてきて、仲良くなりたいと感じるようになってきた。

他人にそんな事を思うのは初めての経験だったな。

時には、最低であったりもするけど・・・彼は私に色んな事を感じさせてくれる。

きっとその頃には、興味だけの存在では無かったんだろうと思う。

けど、そんな幸せを私から奪わないわけがなかった。


その日もある集まりに出ていた。いつもと同じ挨拶をするだけで、終わるのだと思っていた。

しかし、それは一人の男の出現によって大きく変わる。

『・・・黒髪さん?』

聞き覚えの無い声。聞こえた方へ顔を向けるとそこには私と同じ年齢ぐらいの男の人がいた。

『黒髪さんだよね?僕は――。君と同じ学校だ』

私は困惑した。まさか、こんな場所に学校と関係ある人物がいることに。

『は、はあ・・・あなたはどうしてここに?』

『僕も会社の跡取りだからね。たまにこういうのにも参加するんだけど、まさか黒髪さんがいるとはね』

『・・・私も驚きました』

こんなやり取りを近くで見ていたお父さんは、委員長に興味が湧いたようで、そこから二人は色々な話をしていた。

お父さんは委員長を気に入ったようで、その後度々食事会が催された。

委員長からは色々な話をされたが、それは全て私の興味を惹くようなものではなかった。むしろ委員長のその態度に私は恐怖さえ感じていた。


そして、遂にその時はやってくる。



『黒髪・・・お前は委員長君とお見合いをしてもらう」

『・・・え?』

『いや、もう結婚が決まったと見てもいいだろう』

『そ、そんなの!私はまだ高校卒業してないし、やりたいこともまだっ・・・!』

『なに、今すぐというわけではない。結婚は卒業してからだ。』

『委員長君は非常に優秀だ。彼ならば我が社を任せられる・・・』

『そんな・・・』

私が望んで全てを諦める事になった。もう、涙さえ出なかった。

その頃はもう、学校でも明るい姿を振る舞う気力もなくなっていた。

そんな私に彼は優しく声をかけてくれた。

『お前のらしくない姿を見るのは嫌なんだ』

『だから、困った事があったら何でも言ってくれ』

男のその言葉に、私は頼りたくなった。だから、決めた。


最後に、もう一度夢を見ようと。

生まれてから一度も行ったことの無かった、ゲームセンターに行き彼と色々な事をした。

その時間は過ぎるのがとても早く感じ、お見合いの事を忘れさせてぐらい楽しく、幸せだった。

最後にプリクラを撮ることにした。彼との時間を形にして残したくて。

だから、抱きついてたり、普段しないような事をした。心臓はとても緊張していたけれど、それさえも心地よかった。

その夢のような時間も終わりが来る。


彼に別れを告げ、帰る道中、ある事を思っていた。

きっとこのままでは彼を巻き込んで、迷惑をかけてしまう。

だから、もう私と男は関わらないほうが良いと。



その日、私は男を避けることを決意した。

次の日に行われたお見合いは、特に変わったこともなく終わった。

だけれど、お見合いをした後決まり事が設けられた。

私は、高校卒業までに社長夫人に相応しい作法や知識を身につけるために、高校を休んで家庭でそれらを学ぶこと。

学校までも、私から奪われていく・・・さらに文化祭当日に委員長の家での催しに出ることになり、文化祭を欠席することが決まった。

彼と約束さえ、私には許されなかった。


しばらく家の都合で、休んだ後、お見合いをしたあとでは初めての学校。

その時も彼は私に歩み寄ってくれた。けど決めたから。君を巻き込むことはしないって。

・・・彼を拒絶した時は酷く心が痛かった。

そして後日、会長に私が学校を休みがちになり、生徒会に出席するのが困難になるため、辞職することを伝えた。

生徒会で様々な事を教えてくれた会長。会長の事を裏切ってしまうことに心が病んだ。

それでも会長は私に優しい言葉をかけてくれた。

会長には感謝しても、しきれない・・・


文化祭を終え、私は久し振りの学校へと足を運ぶ。

久し振りの通学のなのに、行くのが辛い。

・・・それを払拭するために、自分の意志をもう一度思い返す。

そしたら、いきなり男が現れた。

・・・彼は私の事を諦めようとしなかった。

だからきっと、それは起きたんだ。

委員長に襲われて、怖くて何もできなくて。もう終わりだと思ったのに。

君は現れて、私のことを助けてくれた。


どんなに避け続けても。たとえ、君と結んだ約束を破ろうとも。君は私に手を差し伸べてくれた。



お母さん・・・私は望んでいいよね?男と進んでいく道を。

彼ならきっと・・・いや、絶対進んでいけるはず。私が望んだ未来を。明るい道を。

だからお母さんは空の上から私達を見守っていてほしいな。

ねぇ、男。

たとえこの先に何が待っていたとしても、君なら絶対乗り越えられる。

何が待っていても、もう何も怖くない。

だから、約束する。君が差し伸べてくれた手を話さずにいるって。二度と離れたりなんてしない。



・・・ここまで言わせたんだから、責任は取ってもらわないとね。



―――私を、この暗い道から必ず助けだしてくれるよね?

思ったより話が進まなかった・・・

という事で今回はここまで。次回は、いよいよ直接対決かな?

チュンチュン


男「―――・・・」


男(あー、朝か・・・)

男(・・・昨日黒髪の話を聞いて、泣き疲れて眠ったのか分からないけど、寝息を立てていた黒髪を母さんが用意した布団まで動かして・・・)

男(そっから・・・俺もベット入ってすぐに寝ちまったのか)

男(時間は、7時・・・ちょうどいいな)


男「・・・準備でもするか」

男(着替えを済ませてリビングに出ると、そこには見られない姿が)


黒髪「あ・・・おはよう」


男「・・・えっ。ああ。おはよう」

男(エプロン姿で朝食の用意する黒髪・・・さらに今は髪を束ねて、ポニーテールにしている)

男(これってポイント高くない?俺的にはポイントが限界を突き抜け、絶賛大気圏外まで上昇中です)

男母「なーに見惚れてるの。ほらほら、早く食べる」

男「み、見惚れてなんかねーしっ!」

黒髪「・・・見惚れてないの?」

男「い、いや、ないっていうのないというか、どちらかと言えばあると言うか・・・」ゴニョゴニョ

黒髪「・・・そっか」ニコ

男「」


男(いやいやいやいや!何者!?お前そんな奴だったか!?)


男母「・・・しょーもない奴ね」

男母「・・・とりあえず食べるよ。今日は黒髪ちゃんが手伝ってくれたからね」

男(確かに。このテーブルの上に並ぶおかずを見ればいつもと違うよな・・・)

男(いつもなら白米とのりの佃煮だけとかザラにあるからな・・・そう思うと心にこみ上げてくるものが・・・)

黒髪「君の舌に合うかどうかは分からないけど・・・」

男母「何言ってるの!黒髪ちゃんすごく料理上手じゃん!それに綺麗だし、礼儀もしっかりしてる・・・ホント、嫁にほしいぐらいよね」

黒髪「そ、それはっ、ま、まだ・・・」カァァ

男母「ん?まだ・・・?」

男「やめろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

~~~~

男「そんじゃ、今日は家にいてくれ。あと母さんは余計な事刷り込むなよ」

黒髪「うん。たくさん君の話聞いとく」

男母「私もそれに乗る」

男「・・・はぁ。もういいわ。行ってくる」

黒髪「・・・いってらっしゃい」



男母「・・・新婚の頃ってこんな感じだったわね」

黒髪「し、新婚・・・!?」

~~~~


男(朝からの度重なる出来事に頭を痛める・・・だいたい母さんのせいだけど)

男(それと黒髪もそうだ。あいつ俺が朝飯食ってる途中ずっと俺のこと見つめて。目が合うと)

黒髪『・・・おいしい?』

男(とか言ってきてっ!!もう、ね!!今すぐにでも抱きしめt・・・ゲフンゲフン)

男(それはともかく。黒髪には先日の委員長(変態)の件で家にいてもらった)

男(それに・・・今の状況であいつを家に帰してもいい方向には転ばないからな)

男(俺が考えるのはただ一つ・・・黒髪の父親にどう対抗するのか。並大抵なことではどうにもならない)

男(この間の委員長の事を出したとしても・・・俺らの武器として通用するかどうかは分からない。デメリットになりうる可能性だってある・・・)

男(黒髪の父親を説き伏せる方法・・・か)

~~~~


~昼休み~


「あっ、ストーカー君じゃん」

男「お前は・・・黒髪の友人Aか」

友人A「そんな名前つけないでよー!私にもれっきとした名前があるよ!」

男「・・・そんで友人A。お前は俺に何の用だ」

友人A「続けるなよぉ・・・!今日は珍しく教室来ないなぁって思って」

男「・・・スト―カーはやめたからな」

友人A「えーっ!そんなんじゃ委員長君に負けちゃうよ?」

男「ストーカーやってて勝つって、飛んだ変態野郎だな」

友人A「それに委員長君、生徒会長にも立候補してるし・・・君、勝てる要素ゼロだよ」

男「だったら、俺が生徒会長になれば・・・んん!?」

友人A「えっ。急にどうしたの」

男「・・・そうか。それだわ。その手があるわ」

友人A「・・・怖い。ストーカーやってただけ合って思考がおかしいよこの人」

男「サンキュー!これで道が開ける気がするぜ!」タッタッ

友人A「ちょ、どこ行くの!?」

男「ちょいと相談にな!じゃあな!」

~生徒会室~


ガチャッ! バンッ!

友「騒がしいな・・・」

会長「・・・静かに入れないの、キミは」

男「・・・早急な用事で来ました」

会長「ふ~ん?私の友との食事を邪魔する程の用事なの?」

友「ちょっ・・・」

男「・・・黒髪の事です。あと、先輩にとっても良い方に転ぶかもしれません」

会長「・・・あの子の為なら、仕方ないわね。聞いてあげようかな」

男「そうですね・・・まずは・・・」





男「―――生徒会長の立候補ってまだ間に合いますか?」

~~~~


男「ただいまー」

タッタッタッ・・・

黒髪「おかえり、荷物持つよ」

男「いや、そこまでやんなくてもいいだろ・・・」

黒髪「でもさっき、おばさんがそうやった方がいいって・・・」

男(もうマジでウチの母親は何を考えてるんだよ)

男「それ冗談だからな・・・あとで、俺の部屋に来てくれ」

黒髪「元からそのつもりだったけど」

男「オゥフ・・・とりあえず大事な相談すっから」

黒髪「分かった・・・ご飯用意出来てるから、準備終わったら来て」

男「あいよ・・・」

~~~~


黒髪「それで・・・話って何かな」

男「お前の親父を出し抜く方法・・・一つ、考えがある。だが、それにはある条件が必要になる」

男「それで質問だ。どうして黒髪の父親は委員長の事を気に入っているんだ?」

黒髪「それは・・・お父さんがよく口にしていたのは『優秀』という言葉」

黒髪「だからきっと、お父さんは優秀な跡継ぎを求めているのだと思う。お父さんは会社を存続させる為に執着してる様にも見えるから」

黒髪「それ以外は・・・あんまり思い浮かばないかな。ごめん、私があの人の事をもっと気にしていれば・・・」

男「いや、大丈夫だ。賭けに出るのに十分な要素は全てクリアしたからな」

黒髪「賭け・・・何をする気?」

男「そうだな。今から説明する―――」

男「―――ってわけなんだが・・・もし、これで俺らが負ければ黒髪にはまたあの世界に・・・」

黒髪「ううん、そんなの気にしてない。男は必ず勝つって分かってるから」


黒髪「約束してくれたからね、私の望みを全部叶えてくれるって」

男「」


男「・・・あんま照れる様な事を言うなよ」

黒髪「本当にそう思ってるんだ。君のその作戦、一か八かやってみる価値あると思う」

男「そうか。・・・本当にいいんだな?」


黒髪「―――構わないよ。私は男を信じるから」

男「それじゃあ、詳しい段取りを話し合うぞ・・・」

~~~~


―数日後―



男「・・・いざ、その場に行くとなると緊張してきたな」

黒髪「・・・不安?」

男「どうだろうな・・・武者震いだと思いたいがな」

黒髪「私は不安じゃないな」

男「なんでだ?」

黒髪「君と一緒なら何も怖くない・・・君となら、何だってできる自信さえあるよ」

男「・・・そうだな。俺もお前となら何も怖くない」

男「この先待っている、お前の父親に対しても・・・」

黒髪「・・・期待するよ」

男(少しの可能性に賭けるという形になってしまった。さらに賭けの材料にあいつの望みを用いるなど、普通なら許されることではない)

男(しかし、それ程のリスクを背負わなければ黒髪の父親を賭けの場に引きずり降ろすことは出来ない。だから、黒髪には無理を承知でこの作戦に乗ってもらった)



男(・・・黒髪は俺を信じてくれる。なら、俺は・・・)





男(―――その期待に応えるしかねぇだろ)

今日はここまで。
結局直接対決は、次回の更新で・・・

黒髪「・・・ただいま帰りました」


黒髪父「・・・やっと帰ってきたと思ったら、何やら一人、客がいるようだな」

男(この男・・・黒髪が数日間行方を暗ましていたというのに、今の黒髪を見てなんとも思わないのか表情が変わることがない・・・)

男「初めまして。娘さんと同じ学校に通わせていただいている男と申します。今日はお話をさせていただきたく、訪問した次第です」

黒髪父「ほう?高校生風情が私に意見とはな」

男「失礼は存じ上げております。ですが、これはお父様にとっても、娘さんにとっても有益なお話となるはずです」

黒髪父「有益とな・・・。いいだろう。私も忙しい身であるから時間はあまり取れないだろうがな」

男「ありがとうございます。それでは、娘さんの婚約者の委員長さんについてですが・・・」

男「先日、彼が学校において娘さんを襲ったという事をご存知でしょうか?」


黒髪父「・・・」ピクッ

黒髪父「・・・それがどうしたと言うんだ。そもそも君達が本当の事を言っているとは限らん」

黒髪「本当だよ。あの人にも聞けばいいと思う」

黒髪父「別にそれで会社に影響が出るわけではあるまい・・・むしろ男ならそういう事があって当たり前だと思うがな」

男(娘が襲われたというのに、出すのは会社のことばかり・・・酷い親だ。しかし、これで俺にも可能性がある事になる・・・)

黒髪父「話はそれだけか?こんな程度で有益な話だとは笑わせてくれる・・・」

男「いえ、今までのはただの小話に過ぎません。私はお父様にある提案をしたいと考えているのです」


黒髪父「・・・提案?」

男「はい。お父様は会社の発展を第一に考えていらっしゃいますね?」

黒髪父「勿論だ。昔より代々継いできたこの会社をさらに良い物にするようにな」

男「その為に委員長さんと娘さんのご結婚を決定されたとお話を聞きました・・・しかし」

男「不安ではないでしょうか?先程申し上げた委員長さんの行動は」

男「この先委員長さんが会社を継いだ時にこの様な問題を起こしたとなると・・・後はお分かりでしょう」

黒髪父「フン・・・それで委員長君と黒髪の結婚をやめろとでも言うのか?」

男「それは違います。私が提案したいのはそのような事ではありません」

黒髪父「・・・?」


男「・・・賭けをしませんか」

~~~~


男「俺と委員長のどちらかを選ばせるんだ。お前の親父に」

黒髪「選ばせるとは、どうやって?」

男「この時期に生徒会長の選挙があるのは知ってるな?」

黒髪「勿論・・・生徒会なのに知らないはずがない」

男「だよな。その生徒会長の選挙に・・・俺も出る」

黒髪「・・・それが上手く行くと思っているの?」

男「思わねぇとこんな事言わないからな。なんせ、俺元生徒会長だし」

黒髪「・・・」ジトー

男「あのな、こんな時に嘘ついたりしねぇからな。中学ん時に先輩の後を継いだんだよ」

黒髪「どうりで、会長と面識があったの・・・」

男「そういう事だ。しかし、それには条件があるけどな・・・」

黒髪「いったい何をする気?」

男「俺が勝った時と委員長が勝った時のそれぞれに付加価値を付ける」

男「俺が勝った時には、お前の自由を・・・もし、委員長が勝ったとしたら・・・」

男「・・・黒髪、お前の自由は無くなる」

黒髪「それで、さっきから堅い顔してたの」

男「・・・悪い。俺が考えうる物の中で、一番納得できる物はこうだと思う・・・」

男「他にあれば言ってくれ。もしも、この賭けをしたくないのであれば他の事を考える・・・」

黒髪「・・・それで大丈夫。だって、男が負けるなんて事、無いと思う」

黒髪「君ならあの人の事を優に超える事ができる。そう信じれることができるから」

男「・・・本当に悪い」

黒髪「君がそんなにへこんでても仕方ないよ。やると決めたんなら前を向かなきゃ」

男「・・・ああ。その通りだな。お前の自由は俺に懸かってるんだからな」

黒髪「うん・・・。ところでお父さんはどうして、君とあの人をまず天秤にかける所から疑問を持つかもしれないけど」

男「・・・それについては後に話すつもりだから」

黒髪「・・・ちょっと不安になってきたな」

~~~~


男「私と、委員長さん。どちらかが優秀な人材であるかという賭けです」

黒髪父「そもそも君と委員長君を比べるのが分からないがな」

男「それについては・・・まず、条件を説明させてください」

黒髪父「・・・聞こう」

男「ありがとうございます。まず、私が優秀であるとした場合、娘さんと委員長さんの結婚を破棄していただきます。そして・・・」

男「―――私が、この会社の跡継ぎとして採用してもらうことを認めていただいきたいと思います」

黒髪「・・・っ!」

黒髪父「君みたいな子供が・・・それで委員長君の方が優秀だと分かった場合、どうするつもりかね?」

男「それについては・・・娘さんの今後、一切の行動の自由を制限していただいて構いません。この事は娘さんにも了解を得ています」

男「―――私が、この会社の跡継ぎとして採用してもらうことを認めていただいきたいと思います」☓

男「―――私が、この会社の跡継ぎとして採用してもらうことを認めていただきたいと思います」○

黒髪父「・・・して、その優劣をどう判断する?」

男「近くに私達の学校では生徒会長を選出する為の選挙が行われます・・・その場において、生徒会長に選出された方が勝者となります」

男「立候補をしているのは委員長さんと私の二人だけですのでその他が選出されるようなことはありません」

男「全校生徒に上に立つ者の素質を問うという事です」

黒髪父「それだけでは、能力の優劣を決められるという事にならないと思うが?」

男「そういうわけでもありません。たかが高校生の支持を得られない様では、この先会社の上に立つ者として人望が集められないという事と同じです」

男「座学においては数年の学習において習得が可能だと考えています。お父様が考えているのは、即戦力よりも優秀な跡取りの存在だと思いますので」

男「・・・どうでしょうか」

黒髪父「・・・いいだろう。その賭けに乗ってやろう」

黒髪父「もっとも、君が委員長君に勝てないと判断してのことだがな」

黒髪父「黒髪のハッキリしない態度にも悩まされていたからな・・・これで丸く収まるというわけだ」

男「分かりました・・・感謝します」

男「・・・今日はこの様な話の場を設けていただきありがとうございます。それでは私はこれで失礼します・・・」

黒髪父「・・・次が会うのが楽しみだ」

男「・・・私もです」

~~~~



男(・・・とりあえずは上手くいった。これからは、あいつに勝って生徒会長になるだけだ)

男(委員長がこの話を聞いてどんな手を打ってくるか・・・もしくは黒髪の親父がなにかするか)

男(可能性はないとはいえない・・・ん?)

黒髪「はぁ・・・はぁ・・・・どういうつもりなの?」

男「・・・何のことだ」

黒髪「君の提示した条件・・・それじゃあ、君の自由が奪われることに・・・」

男「どうせ学生卒業したら就職するんだ。どこに行こうが変りはしねぇよ」

黒髪「関係ないっ・・・私の自由と引き換えにそんな事は・・・!」

男「それでも、俺はお前に自由を手にして欲しい。俺も覚悟したんだ。・・・認めてくれ」

黒髪「・・・私はその方法には賛成出来ない」

黒髪「だから、違う方法を決めた」



黒髪「―――・・・私と結婚してほしい」


男「・・・は?」

黒髪「だ、だからっ!私と結婚して、その上で会社を継ぐかを決めてっ!!」

男「それじゃあ、お前の気持ちは」

黒髪「・・・これは私の紛れも無い本心。私の望み」

黒髪「望みは全部叶えてくれるって、約束したよね?」

男「・・・それが親父さんに通ったらいい、と思う」

黒髪「・・・ハッキリ言ってくれないとな」

男「あぁ!分かったよ!それが通ったなら、お前と結婚してやるよっ!」

黒髪「フフッ・・・約束だからね?」

男「おう。二言はねぇよ」

黒髪「じゃあ、私は今の内にウェディングドレスを選んでようかな」

男「・・・気持ち早すぎんだろ」

黒髪「冗談。それじゃあ、君のお嫁さんなれるよう私も頑張るから」

男「そうだな、俺もお前のお婿さんになれるように頑張るよ」

黒髪「うん・・・じゃあ、また今度」

男「ああ。また今度な」


男(・・・なんか色々すっ飛ばしてしまった気がするんだが・・・)

男(こうなったら、なおさら負けられないな・・・黒髪にあんだけ言わたんだから、責任は取らなきゃな)

男(さーて、帰ったら選挙に向けて、色々考えよう・・・)

敬語の使い方とか表現とかが酷い・・・

という事で今回はここまで。

男(こうなったら、なおさら負けられないな・・・黒髪にあんだけ言わたんだから、責任は取らなきゃな)☓

男(こうなったら、なおさら負けられないな・・・黒髪にあんだけ言われたんだから、責任は取らなきゃな)○

~~~~


~生徒会室~


男「―――・・・というわけです。それで先輩にはお願いが・・・」

会長「協力をしてほしいってことかな?」

男「・・・その通りです。受験を控え、忙しい身ではあるとは分かっています。なので、少し助言をくれるだけでいいので・・・」

会長「バカなことを言わないの。大事な後輩のピンチだと言うのに力を貸さない先輩なんていないわ」

男「それじゃあ・・・」

会長「あなた達のサポ―トは全力でさせてもらうわ。それに生徒会長を任せるなら男クンじゃないと・・・ね?」

会長「それに、サポートは勿論二人にもやってもらうからね」

後輩「今回は腕立てしないんですか?」

男「逆にする必要ねぇだろうが」

後輩「ちぇ・・・男先輩と私の絆を培ったあの時間はもう戻ってこないんですね・・・」グスッ

男「アホは放っておいて・・・友、またお前の力を借りる事になるわ」 アホッテナンデスカー!!

友「お前はお前で、またバカみたいな事してるみたいだからな・・・仕方ないから、助けてやる」

男「おう・・・今まで以上に酷使してやるからなっ」

友「それは勘弁したいな・・・」

~~~~


転校生「あ、あんたが生徒会長・・・?遂に来てしまうのね・・・この世界の終わりが」

男「俺が生徒会長になることで何が変わるんだよ」

転校生「学校内で犯罪が蔓延り・・・やがて無法地帯と化した学園はまるで世紀末のような形相を・・・」

男「大丈夫だ。お前だけは誰も狙わねぇようにするから」

転校生「はぇ・・・つまんない反応。そんでもって何であんたみたいなヤツが生徒会長に立候補するのよ」

男「・・・やりたいことを見つけただけだ」

転校生「パシリが生徒会長を目指すとはね・・・」

転校生「まぁ、困ったことがあったら言いなさい。私はあんたのご主人様なんだから」

男「ご主人様ってのは腑に落ちないが、困った時には頼ることにするわ」

女「・・・きっと男くん、また誰かを助けようとしてるんだね」ボソッ

女友「ん?今なにか言った?」

女「ううん、何も言ってないよ」

女友「そう?女って虚言癖あるからね・・・」

女「そんなことないよっ!?」ガーン

女友「どうだか・・・」

女(男くんの瞳の先に映っているのは、きっと私ではない他の誰か・・・)

女(そう考えると心が締め付けられるけど、それでも私は男くんの望みが叶うように応援してるから)

女(・・・がんばってね、男くん)















~選挙 当日~












男(ここまでやれる事はやってきた。先輩のアドバイス、黒髪のサポートに大分助けられてやってきたが・・・。それ以外にも友や後輩はもちろん、転校生、クラスのみんなまでもが俺の事を手伝ってくれた)

男(そのお陰といってはなんだが、大分俺の方へ引き寄せることができたと思う。もともと委員長は知名度もあるし、文化祭実行委員長という肩書も持っている)

男(その牙城を崩すために考えたのは、地道に小さなことからやっていくこと。そう、委員長が決してやらないことだ)

男(その点、委員長は元からの知名度や交友関係の広さで支持を増やしていく方針だったな・・・あまり芳しくないようだったが)

男(しかし、勝負を決めるのは間違いなく今日の演説。ここでしくれば今までの努力は全て水泡に帰す)

男(黒髪は勿論の事、俺は色んな人の想いを背負ってこの場にいる。なら俺がすることは一つ。最善を尽くす)

委員長「やぁ・・・久し振りだね」

男「・・・よう」

委員長「色々としてくれたみたいでこちらも苦労したよ・・・それでも勝つのは僕だけどねぇ・・・」ニヤリ

男(本性を表してからはホントこいつ嫌なヤツにしか見えねぇな・・・)

委員長「黒髪さんは渡さないよ・・・今、この場で僕のモノと証明してみせる」

委員長「君には敗者になってもらう」

男「どうだかねぇ・・・まぁ、俺が言える事は一つだ」

男「黒髪はお前の物ではない。ましてや誰かの所有物なんかじゃない。あいつの人生はあいつ自身の物だ」

男「俺は黒髪に自由を手に入れさせてやる。だから、負けねぇよ」

委員長「・・・終わった後の君の顔が楽しみだ」

男「・・・」

会長「・・・どう?調子は」

男「これ以上にないくらいハイって感じです」

会長「そんな事言えるぐらいだから、大丈夫そうね」ニコッ

男「ええ。今までありがとうございました、先輩」

会長「・・・まだ始まってすらいないんだけれど?」

男「いや、これだけは前に言っておきたかったんです」

会長「そう言うんだったら、きちっと勝ってもらわないとね?」

黒髪「・・・」

会長「ほら、愛しの彼女が待っているわよっ。私よりも黒髪の方へ行ってあげなさい!」

男「・・・はいっ!」

黒髪「ぁ・・・」

男「不安そうな顔してどうしたって言うんだ。そんな顔されたら俺まで不安になるわ」


黒髪「・・・お祖母ちゃんから聞いてきたんだ・・・お父さんとお母さんの話を」

黒髪「その話を聞いて・・・また一つ、望みが増えた。お父さんを助けるの」

黒髪「お父さんも自由にさせてあげなきゃ・・・」


男「・・・だったら、俺は絶対に勝たなきゃならねぇな」

黒髪「うん・・・絶対」

男「・・・よしっ!それじゃあ行ってくる」


黒髪「・・・信じてる」

男「・・・任せろ。お前の望みは俺が叶えてやる」

また夜ぐらいに投下します~

いよいよ700を切ったので、次スレはほぼ確定ですね・・・

~~~~


男(いよいよ演説が始まった・・・先に委員長、次に俺という順番)

男(委員長の演説は特に変わったことが無く、当り障りのない印象だ)

男(しかし、さっきの委員長の不気味な感じ・・このざわつく感じは何だ?)

男(あいつは・・・何かを仕掛けてくる?)


委員長「・・・最後に、みなさんに一つ伝えておきたい事があります」

委員長「この選挙は・・・ある一人の女性をめぐって行われている物でもあります」

委員長「生徒会長になった方が・・・彼女を手に入れられる」

男「・・・!」

ザワザワザワザワ・・・・・・


委員長「私はその女性と既に婚約が約束されています・・・ですがもう片方の彼が諦められないようで・・・」

男(そう言い、委員長は俺の方へ顔を向ける・・・)

男(まさか、こんな手を打ってくるとは思いもしなかった・・・相変わらずいけ好かねぇ野郎だ・・・)

委員長「ですが、私は負けません。こんな方法で彼女を手に入れようなど言語道断。許されるはずがありません」

委員長「彼女の事は私が守ります・・・必ず」

委員長「以上で私の演説を終わりさせて頂きます。ご静聴どうもありがとう」


パチパチパチパチパチパチパチ イイゾー!

男(・・・次は俺の番か)


委員長「どうだ・・・手も足もでまい」ニタァ・・・

男「・・・」

委員長「君が勝つ事は不可能なんだよ・・・」

男「・・・弱いな」

委員長「・・・は?」

男「・・・俺は勝つ。お前は吠え面かいて見とけ。選ばれるのはどっちかってな」


委員長「・・・」

<<それでは、男君。お願いします>>

男「・・・はい」


男「みなさん、初めまして―――」


男(これまで考えてきた。何故俺がここまで黒髪の事を助けたいと思うのか)


男(夏祭りのあの日・・・その時にあいつと出会ってなかったら、きっとこの感情は生まれなかっただろう)

男(黒髪は俺よりもずっと大人びていて、遠い存在の様に思ってた・・・だが、そんな事は無かった)

男(彼女は我慢していた。なりたい自分を、親の望む理想の娘になっていくことで)

男(けれど黒髪は周りと同じ、一人の女だった)


男「―――・・・これが私の生徒会長として考えるプランです」


男(今まで、色んな表情を見せてくれた。俺の冗談に笑ってくれたり、辛い時は泣いて頼ってきたり)


男「・・・まぁ、堅苦しいのはここまで。俺も最後に言わせてもらいます」

ザワザワザワザワ・・・

男(そんな黒髪を見てきた今だからこそ分かるんだ。黒髪を助けたいって何で思えたのかを)

男「さっき、委員長君が言ったことは事実です・・・これはある女性を賭けた選挙です」

男「彼女は・・・自由を望んでいました。だから俺は決めました。彼女を助ける事を」

男「今まで縛り付けられきた彼女に、自由な世界を見せてやりたい・・・」


男(理由は至って単純だった・・・今頃になって確信するなんて、時間がかかったもんだ)

男「彼女を助けたい理由・・・それはただ一つです」

男(ここまで来た・・・男なら腹括って、言ってやろうじゃないか)

男「俺は・・・」

男(誰にも負けない、愛の叫びを―――)


男「―――彼女の事が好きだ!!この気持ちは誰にも負けない!!」


男「もう二度と彼女の悲しい顔は見たくないし、このまま不自由な身でいさせたくないっ!」

男「だから、みんなに協力してほしい!彼女・・・そして、俺の為にも!」


男「・・・これで、俺の演説は終わります。どうか俺に一票をお願いしますっ!」

ウワァァァァァァァ!! イイゾォォォォ!! オウエンスルゾ!!

男「―――」ギュッ


「わたしもっ!」

男「・・・え」


黒髪「私も、君の事が好きっ!!」

ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!! アツイゾー!! モウケッコンシロバカヤロー!!



委員長「・・・なぜだ・・・僕の方が上待っているはずなのに・・・」

会長「・・・思いの差よ」

会長「どれだけ相手の事を思っているか・・・それがこうして形として出たと思う」

委員長「そんなっ!僕の気持ちがあの野郎に劣っているとでもっ!」

委員長「せっかく婚約まで取り付けたのにっ・・・!なぜだっ・・・!」

会長「・・・君も気持ちの方向がズレてなければよかったのにね」タッタッタッ・・・


委員長「ク・・・クソオオオオオ!!」

~~~~


今日の君は、世界中の誰よりもカッコよかった。

真面目に演説する姿は勿論、全校生徒の前で私への愛を叫んでくれた君の姿を私は一生忘れないだろう。

君の気持ちを聞いたら、私も我慢できずに思わず叫んでしまっていた・・・前の私だったらありえない。

こうしてくれたのは男・・・君がいけないんだからね?

君はいつでも優しくしてくれて、辛い時に励ましてくれる・・・そして、私に手を差し伸べてくれた。

そんな君だから、好きになったのかな。だからね・・・

<<投票結果を発表します・・・>>

<<次期会長は・・・男君です>>


その事を聞いたら、思わず君の元へ走っていた。

この喜びを君と分かち合いたい。自由になれるって決まったから・・・


黒髪「―――男っ!!」ダキッ

男「・・・黒髪っ!!」ギュウウ


黒髪(―――今はこの幸せを、しっかりと感じよう・・・)

まず最初に訂正
>>665 話さず→離さず
大事な場面でのミスでした・・・

まぁ、そんなこんなで黒髪も終わりに近づいてきました。完結に向けて頑張ります…
という事で今回はここまで。夜も夜で、遅くなって申し訳ないです。

~~~~




男「・・・失礼します」

黒髪「・・・」


黒髪父「・・・なんの用だ?」

男「先日のお話し合いの事で伺わさせてもらいました」


男「・・・結果はもう、ご存知ですね」


黒髪父「・・・」

男「私達は賭けに勝ちました。ですので・・・約束は守っていただきます」


黒髪父「・・・認めない」


男「・・・え」

黒髪父「賭けなど最初からしていない。そして私が守る条件などない」

黒髪父「それに高校生如きの戯言に私が付き合うとでも思ったか?馬鹿馬鹿しい!」

黒髪父「自由など元から無い!人は生まれ持ってして不自由だ!」

黒髪父「それで何が自由にするだ・・・」

男「・・・それは「待って」


黒髪「・・・私がケジメをつける」

男「・・・」

黒髪「今まで男には沢山助けてもらった。だから、今度は私が君を助ける」

男「・・・分かった」

黒髪「ん・・・」

黒髪父「茶番は終わったか?それで、また何かあるのか」


黒髪「・・・全部聞いてきた。お祖母ちゃんから、お父さんとお母さんの事」

黒髪父「・・・!!」

黒髪「お父さんがここまで不自由にこだわって、そしてお母さんを最後まで愛せなかったのか。全部分かった」

黒髪父「そ、それがどうしたと言うんだ・・・」

黒髪「お父さんも小さい頃から不自由を強いられてきて辛かった。けど次第にその環境にも慣れていって、不自由が普通なんだと思うようになっていった。そうでしょ?」

黒髪父「・・・」

黒髪「その不自由で縛り付けられた生活も、家の為、企業の為と思っている矢先に出会ったのがお母さん・・・」

黒髪「見合いで結婚したとは言え、お父さんとお母さんの仲は良かったんだってね・・・」

黒髪「だけど次第にお母さんの事が怖くなっていったんだよね」

黒髪父「・・・そんな訳ないだろう」

黒髪「そんな事無い。お母さんの性格が怖くなっていったんだよ」

黒髪「お母さんはいくら不自由な生活を強いられていても、いつも明るく振舞っていた」

黒髪「その姿を見ていて、縛り付けられて辛かった不自由な自分を否定されたような気持ちになったんだと思う・・・」

黒髪「だから、お母さんを遠ざけた。そうしていれば自分が楽になれるから」

黒髪父「・・・」

黒髪「けれど、私が成長していくに連れて、また怖さを感じるようになってきた。・・・私がお母さんに似てきたから」

黒髪「だから、私にも不自由を強いた。自分の過去を否定されない為に。自分のしている事を否定されない為に」

黒髪「・・・自分のやってきた事を、否定されるのはとても辛い事だと思う。だからこそ、お母さんは歩み寄ったんだと思う」

黒髪「きっと、お父さんが不自由に縛り付けられているのを分かっていたから」

黒髪父「う、うるさいっ!私は、わたしはっ!」


黒髪「―――もう、縛られなくていいんだよ。もう過去を振り返らなくていい。」


黒髪「これから、やり直していけばいい。そうすれば・・・お母さんも喜んでくれる―――」

~~~~


男「・・・よっ」

黒髪「ん、おはよう」

男「前までの無視が懐かしいと思えるほどに爽やかな挨拶だな・・・」

黒髪「・・・それはもう忘れて。私もあれは結構こたえたから」

男「効いてくれてて何よりだ」


黒髪「・・・昨日、お父さんとお母さんのお墓参り行ってきた」

男「・・・そうか」

黒髪「・・・お母さんに謝ってた。今までしてきたこと。最期を看取れなかったこと」

男「・・・あれから、親父さんは大分変わったのか?」

黒髪「そうだね・・・私にすごく優しくなった。こっちが恥ずかしくなるぐらいに」

男「良かったな。親父さんもまた、助けることができて」

黒髪「男・・・君がいてくれたからだよ」

黒髪「君が私の事を助けてくれたから、お父さんもまた助けることが出来た」

黒髪「・・・本当に感謝してる。ありがとう」ニコッ

男「やめろよ・・・学校行く途中に言われてもだな・・・」カァァ

黒髪「言ったでしょ?私も君と同じ性格をしてるって。思った事を口にせずにはいられないから」

黒髪「どこでも構わず、愛の言葉を囁いてあげる・・・」

男「・・・そんな事されたら俺の理性がもれなく崩壊するから!」

黒髪「君は私の婚約者じゃない。それでもって私は全校生徒の前で告白された女子生徒でもあるんだし・・・そのぐらいの事はやって当然よね?」

男「・・・絶賛俺の黒歴史になってるから忘れてくれよ・・・」

黒髪「ううん。絶対に忘れないっ。一言一句全部記憶しとく。えぇと確か・・・」

男「や、やめてくれっー!」


男(何の変哲もない、平凡な日常)

男(好きな人が隣で笑ってくれる・・・それだけで充分だ)

男(彼女を暗い道から救いだすことができたのだから)

男(この先も、ずっと歩んでいこう。二人でこの日々を)

男(彼女が望んだ明るい道を)

黒髪「ねぇ・・・」

男「ん?」

黒髪「・・・キスしよっか」

男「・・・はぁぁぁ!?」

黒髪「いいじゃない。結婚を誓い合った仲だし」

男「ちょっ、そ、それはまだはやいっ!」


男(・・・少し過激な彼女との日々を)









男「パンツ見せてください」黒髪「・・・」ジトー



        ~終わり~

時間を空けて申し訳なかったです。これにて黒髪ルートは終わりです。
黒髪のおまけを挟んで、次からはいよいよ最後となる転校生ルートです。

きっと、次スレ行くと思います・・・

何はともあれ、ここまでお読みいただいてくれた方々には感謝を。そして、どうかこれからもお付き合いしていただければと思います。









黒髪「このさきも」







黒髪「・・・生徒会長様、ご報告が」



男「何を改まって・・・また石井が何か起こしたのか?」

黒髪「・・・?」

男「だから、石井の存在を忘れるなよ・・・」

黒髪「とりあえず、生徒会への意見を募る為に目安箱を設置したのは覚えてる?」

男「ああ、覚えてるぞ。それがどうかしたのか?」

黒髪「一般生徒からの多くの便りが集まってるんだけど・・・コレ見て」

男「ん」


『ぱんつくれ』


男「・・・なにこれ」

黒髪「あ、間違えた。こっちだ」


『このイチャイチャバカップル生徒会め!結婚して爆発しろ!!』

『生徒会長と副会長の仲が良すぎて、こっちまで照れてきます!なんとかしてください!』

『黒髪さんのパンツください』



男「・・・」←会長

黒髪「・・・それで結婚はいつにするかな?」←副会長

男「だから何で結婚の話をしたがる!最近お前のプレッシャー強すぎて嫌になるよ!」

男「さりげなく子供は3人ぐらいはほしいとか呟いたり、身内の新婚の話をしてきたりな!」

男「一番驚いたのは朝登校してきた時に、俺の机の上にゼク○ィ置いてあった時だよ!」

男「俺達まだ高校生!行き遅れたわけじゃないし、そんな手段を使うな!」

黒髪「チッ」

男「・・・いや、でもいつかは貰ってやるっていうかなんていうか・・・」ボソッ

黒髪「ん~?今なんて言ったか聞こえないな~?」

男「だからいつかは結婚してやるって!」

黒髪「流石私の認めた男・・・式場への連絡は任せて」

男「だから早ぇよ!」



後輩「・・・イチャイチャするのもいい加減にしてくださいっ!!」←書記

~~~~


黒髪「・・・後輩に追い出されちゃったね」

男「別に今日は仕事あんま無かったし、いいっちゃいいけどな」

男「それに・・・時間も結構あるし、久々街にでも行くか?」

黒髪「いいね。そうしよう」

男「んじゃあ・・・ショッピングモールの方でも回るか」

黒髪「いや・・・他に行きたいところがある」

~~~~


ガヤガヤガヤガ゙ャ

男「・・・そんでゲーセンに来たと」

黒髪「ここは私達が初めてデートした場所だからね。雰囲気はとにかくここは私の思い出の場所に違いないから」

男「あの時もうちょっと考えた方がよかったかもな・・・悪い」

黒髪「私は君がいればどこでも構わないよ。ほら、格闘ゲームやろっ」

男「お、おう・・・」

\YOU LOSE!!/

男「・・・初っ端から負けるだと」

男(さらに俺の知らないようなコンボまで使ってきた・・・)

黒髪「実はあの後、結構気になって何回かやりにきたんだ」

男(俺は眠れる獅子を呼び起こしてしまったのかもしれない・・・)

黒髪「これはもう満足かな。次はどうしようか?」

男「つってもこの前結構やったからな・・・UFOキャッチャーでもやるか」

黒髪「これがUFOキャッチャー・・・簡単に取れそう」

男「それがそうもいかねぇんだ。ほれ試しにやってやるよ。どれがいい?」

黒髪「このぬいぐるみがいいな」

男「くまのぬいぐるみ・・・意外だな」

黒髪「女の子はみんな可愛い物には弱いの」

男「へいへい・・・じゃあ、見てろ」

男「3クレ使っても取れないだと・・・?」

黒髪「・・・次、やらせてもらっていい?」

男「いいぞ。まぁ、初めてだから難しいと思うけどな」

黒髪「・・・」キリッ

ウィーン

男「・・・えっ」

黒髪「取れたよ」

男「・・・つくづくお前の才能が怖いよ俺は」

黒髪「だね。君との子は優秀な子になりそう」


男「・・・次行こう」

男「まぁ、結局はここに行き着くわけだな」

黒髪「今回はどんなの撮ろっか」

男「普通に撮ろうぜ普通に」

黒髪「えー。ケチだな」

男「清廉潔白のお付き合いを望んでいるので」

黒髪「しょうがないな・・・」

ポーズヲトッテネ!

男「さてと・・・」

ハイ、チーズ

黒髪「隙あり」

男「え

~~~~


男「・・・まさか、頬にキスされるとはな」

黒髪「君もまだまだ甘いね」

男「そういう問題じゃなくてな・・・まぁ、いいか」

黒髪「いずれは、した・・・」

男「頼むから外でその発言はやめてくれ!」

黒髪「むぅ・・・今日はこのぐらいにしといてあげる」

男「まだこれ以上があるのかよ・・・」

黒髪「ふふっ」ニコッ

男(俺と彼女の道はまだ始まったばかり)

男(前途多難(?)になりそうな気もするが・・・あまり気にしないでおこう)

黒髪「これも、大事にしなきゃね」

男「・・・だな」

男(この先も様々な困難が待っているかもしれない。しかし)

男(乗り越えられる。二人なら)



『この先も、二人の道を』








黒髪「このさきも」男「二人の道を」


~終わり~







また時間が空いてしまった・・・これにて黒髪は完結!

今回はここまで。次からはいよいよ転校生ルートです。

『もう、終わりにしよう』


『離れた距離が・・・俺達を駄目にした』


『俺達は近すぎたんだ。互いに隣にいて当たり前の存在だったから・・・離れると脆いんだな」


『・・・なぁ、―――』




『俺達が幼馴染じゃなかったら、どうなってたんだろうな』









男「パンツ見せてください」転校生「バ、バカじゃないの!」








~~~~


ppppppppppp



男「ったく・・・起きてるよっと!」

ピッ

男(・・・今日は確か、えーと、何日だったか)

男(ん?9月1日?あれ、二学期は遠に過ぎたはず・・・)

男(文化祭とかも終わって、それで・・・)


男(・・・寝ぼけてるな。さっさと起きるか)

~~~~


男「ふわぁ・・・」


男(まだ寝足りない気がするし、体が何だか重いな。俺、何時に寝たっけ・・・)

男(駄目だ。思い出せねぇ・・・さっきから気持ち悪い感覚がするのは気のせいか?)

男(普通な事が思い出せなかったりするしな・・・相当夜更かししたのか)

男(・・・そういえば、あそこは転校生のパンツを見た場所だったな。懐かしい)

男(縞パンを見れたのは嬉しいが・・・それが今も俺をパシリとして苦しめているのも事実だよな)

男(・・・最近、あいつはその事を忘れてそうだけどな)

転校生「・・・どこをずっと見つめてんのよ」

男(・・・なんでお前いんの!?)

男「いやぁ、懐かしいなぁと思いまして」

転校生「そうねぇ・・・あそこは確かに懐かしい場所ね」

男「あの場所で俺はお前のパ――「その事は思い出さなくていい!」バシッ


転校生「全く・・・いつまでも覚えてるんじゃないわよ・・・」

男「朝から痛ぇよ・・・まだパしか言ってねぇだろう」

転校生「あんたが何を言いたいかは分かるから。あれは私にとってこの一年で最悪だったと言ってもいいぐらいの瞬間だったし」

男「そこまで言う?」

転校生「って、やば!あんたがいらない事を思い出してるから学校に遅れちゃうじゃない!」

男「それって俺のせいかよ・・・まぁ、急ぐぞ。二学期早々遅刻とか嫌だからな」

~~~~


男「ギリセーフ!」

転校生「はぁ・・・何とか間に合ったわね・・・」

ザワザワザワザワ

男「・・・ん?」

石井「・・・二学期早々、二人揃って遅刻ギリギリとはまぁ仲の良いことだな・・・」

男「たまたまだ」

石井「お前言いたいことはこの石井わかぁっている!そうだよな・・・夏休み最終日まで彼女とずっといたい気持ちはわかる!!」

転校生「・・・ちょっと待って。石井君何か勘違いを」

石井「シャラァップ!!いい。誤魔化さなくていいぞ。お前らの関係はもう割れているからなぁ・・・」

石井「俺が言いたいことはなぁ・・・」



石井「学校でまでイチャイチャするな、糞カップルめ!!爆発しろ!!」

ワー!ワー!

「え、転校生さんと男君って付き合ってるの!?」「くそー!!なんでお前が!!」「ちくわ大明神」


女「えっ・・・」ドヨーン

女友「大丈夫。女が思ってるような事は起きてないと思うから」


男「・・・あのなぁ。マジでたまたま途中で会っただけだからな!」

転校生「そうそう。誰がこんな変態なんかと・・・」

男「変態なのは拒めない」

石井「ほんとなのか?」

男「だからそうだって言ってんだろ」

石井「どうにも信じられない・・・」

ザワザワザワザワ

男(めんどくせぇー!偶然会って、一緒に学校来ることはあ・・・いや、そうそうないけども)

男(それにしても、これだけでカップル認定とかどうなってんだよウチのクラスは!)

男(何かいい案は・・・)


転校生「ねぇ、どうすんのよ・・・」ヒソヒソ

男「ちょっと待て。今考えてる」ヒソヒソ

男(・・・いい案考えついたが・・・うん、友ごめん。あとでお菓子買ってあげるから許して)


男「あーっ!そういえば、この夏休みから友は生徒会長と付き合い始めたらしいぞー!」


「「「マジで!?」」」


石井「な、なんだとーっ!? 友、お前には聞きたいことがある!!」

友「ちょっ、待て。おい、男ぉ!!」

ザワザワザワザワ

男(よかった。このクラス単純でホントによかった)


「あの・・・HR始めたいのですが・・・」

~~~~


男(結局クラスメイトの矛先は友へと向けられ、俺達は救われた。そして文化祭実行委員もあいつになった)

男(ありがとう友・・・お前の事は忘れない)


転校生「はぁ・・・とんだ災難だったわ」

女友「何かとみんな敏感だからねーまぁ、石井に乗っかちゃうのもどうかと思うけど」

転校生「ホントよ・・・あぁ、友くんには悪いことしちゃったかもね・・・」

女「あはは・・・」

女友「そういえば転校生って、男本当に付き合ってないの?」

女「っ!」ビクッ

転校生「ないない・・・今日は偶然会っただけだから」

女「・・・」ホッ・・・

転校生「?女ちゃんどうかした?」

女「い、いやいやいや!な、何もないよ?」

転校生「そう?・・・そういえばさ―――」



友「・・・おい、男」

男「・・・なんでございましょうか、友さん」

友「覚えておけよ・・・」

男「・・・何のことかさっぱり」

~~~~


~数日後~

友「―――という事で今出ている案はまず、演劇」

女友「」ウンウン

友「もう一つは・・・喫茶店だけど、他に意見は無い?」

石井「断固メイド喫茶を所望する!!」

「そーだそーだ!!」「元帥バンザーイ!!」

転校生「どーしてウチのクラスはこうも馬鹿な男子が多いのか・・・」ハァー

男「そりゃあ、男子は必ず一度はメイド喫茶に憧れるモンだからな」

男「やっぱ、クラスの可愛い格好してるとことか・・・いいじゃん」

転校生「・・・」ジトー

男「何その目。女子からしたら、そんなに嫌なのか?」

転校生「だって、知らない人から変な目で見られるとか嫌じゃない。特に石井君とかはちょっと・・・」

男(・・・R.I.P石井)

転校生「べ、別に好きな人とかだったらいいかもしれないけどね・・・」ボソッ

転校生「別に好きな人とかだったらいいかもしれないけどね・・・」ボソッ

男「・・・やっぱお前、たまに乙女チックな所あるよな」

転校生「その発言はいつも私が乙女じゃないと言いたいのかしら?」

男「え?乙女自覚してたの?・・・冗談はよしてくれよ」

転校生「・・・パンツ」ボソッ

男「」ビクッ

転校生「転校生さんは、非常に可愛らしく乙女のような方です。りぴーとあふとみー?」

男「テンコウセイサンハヒジョウニカワイラシクオトメノヨウナカタデス」

転校生「はいよくできました」

男「・・・一種の脅迫だぞ」

転校生「自業自得じゃない」


友「―――多数決の結果、演劇ということで。はい、今日はここまでで」


男 転校生 「「・・・え?」」


男(いつの間にか、終わってた・・・)

~~~~

「連絡事項は以上。はい、さようなら」


転校生「・・・ねぇ、男」

男「んあ?どうした?」

転校生「この後、買い物に付き合ってくれない?」

男「なんで俺が・・・」

転校生「・・・お菓子作りでたまには男子の意見を聞こうと思って」

男「そんなら石井っていうとっておきの人材がいるけどな」

転校生「・・・パシリの事、忘れてないよね?」

男「・・・ついていきます。転校生様」

転校生「フン。最初からそう言っておけばいいの」



女友「・・・ほう。男と転校生がねぇ・・・」

~~~~


男「そういえば、お前ってお菓子作るの好きだったけか。確かにあん時のプリンは美味かったからな」

転校生「そ、そう・・・」カァァ

男(何でこいつは顔を赤く・・・あ、もしかしてサッカー部のあれを思い出したのか)

男「・・・あ、悪い。あの事を思い出させちまったか」

転校生「その事じゃなくて・・・き、きにしないで!」

男「・・・? ああ」

男(・・・へんなやつ)

~~~~


転校生「・・・ここよ」


男(転校生が示す先には洋風な店。まぁ、いたって普通の店のはず・・・)

男(・・・なのに、この奇妙な感覚はなんだ・・・?)

男(俺はここに初めて来たはずなのに・・・)


転校生「・・・なにボーッとしてるの。早く行くわよ」

男「・・・っ、ああ。今行く」

転校生「うーん。やっぱ男子ってケーキとかって甘い方がいいの?」

男「人それぞれじゃないか?俺はどっちかっていうと甘くない方がいいけど」

転校生「・・・フーン。そうなんだ・・・」

男「ていうか、何で男子の意見を聞くんだよ。誰かにプレゼントするとかか?」

転校生「ま、まぁそんな感じね・・・あっ、あったあった」

男「ん・・・?」

転校生「これよ。この調味料が中々売ってなくて・・・近くだと置いてるのここぐらいなのよ」

男「・・・へぇ」


男(・・・転校生がそう言うんだから珍しい物なんだし、ましてや俺がその存在を知るはずがない)

男(なのに。なのに・・・俺は、それを知っている・・・?)


男(・・・単なる偶然だ。どこかで見かけたんだろう)

~~~~



転校生「ふぅ・・・色々と買えたわね・・・」

男「・・・」

転校生「・・・つまんなかった?」

男「いやいやいや!そんな事はねーよ。色々と知ることできたし」

転校生「そっか・・・」ボソッ

転校生「今日はありがと。無理言って付き合ってもらって」

男「・・・お前が素直にそんな事言うと少し怖いぞ」

転校生「うっさい・・・それじゃあ、また明日」

男「ああ。じゃあな」

男(・・・悪い転校生。お前には少し悪いことしちまった・・・)


男(・・・あぁ、駄目だ。誰であっても、心配させる様な素振り見せないようにしないと)

男(これはホント昔から変わらねぇな・・・もう、単純に考えよう)


男(今まで起こった違和感は、全て俺の勘違い。気のせいだ)


男(この事を考えるのは、もうやめだ)


~~~~


ガヤガヤガヤガヤ

友「これから演劇の配役決めるから静かにしてくれー」

「やっぱ主役は転校生かなー?」

転校生「いやいや、私は・・・まだ何やるかも決まってないし」

女「脚本は女友ちゃんがやるの?」

女友「ま、まぁ?頼まれたらやらない事もないけど?それはみんなの次第ね」フフン

女「絶対やりたがってるよね・・・」

石井「メイドォ・・・メイドォ・・・」


男「・・・」

男(演劇ねぇ・・・俺が舞台に立つとかありえねぇし、ましてや俺がそれをやりたいわけでもない)

男(道具とか作ってればいいんだけど)

男「・・・」


転校生「・・・」

~~~~


女友「じゃ、じゃあ。私が監督兼脚本になったから、話ができるまで出演者はまだ決めないでおくからね」

ハーイ

友「そういう事で今日は解散で。お疲れ様」


友「・・・女友さん、ちょっと相談があるんだ」ヒソヒソ

女友「何?どうかしたの?」ヒソヒソ

友「実は・・・―――」

女友「・・・ふむふむ。実は私の中でもいい案があって・・・」

ヒソヒソ

友「・・・それじゃあ、それでよろしく頼むよ」

女友「うん、任せて」

今回はここまで。
また次も同じような時間に投下しますー

~~~~


女友「それじゃあ、発表といくよー!私たちがやるのはこれだっー!」バンッ!


『美女と野獣』

オォー!


女友「よし、これから配役を決めてくよ!!まずは、主役の一人、ベルは・・・」

シーン・・・

女友「――転校生!!やっぱあんたしかいない!」

転校生「・・・へ?わたし?」

女友「そうよ!やはり、この学校でトップクラス、そして学習能力の高いあんたなら絶対的なヒロインになれるはず!いや、なれるっ!!」

女(あ・・・始まっちゃったよ女友ちゃんの演劇談義・・・一度始まっちゃうと早々止まらないんだよね・・・)

女友「――って訳で、転校生がピッタリなの!どう、引き受けてくれる?」

転校生「え、と・・・う、うん」

女友「よっしゃー!のってきたぁ!そんじゃ、次は野獣の方だけれども」

オレヤリテー! テンコウセイサンがヤルナラ・・・ 

女友「静かに!もう私の中で、役は決まってるのよ!」


男(このクラスで野獣といえるのは・・・せいぜい石井ぐらいなんじゃないか)

男(ほら、獣なみに性欲強いし)


女友「野獣はズバリ・・・男っ!あんたにやってもらう!」


「「「・・・・・え?」」」

男「・・・えっ」

転校生「・・・え」

「「「「「えええええええええええええ!?」」」」」

男「ちょっ!何で俺が演劇の主役なんかに!演劇とかやったことねーぞ!」

女友「大丈夫大丈夫。そういうのはやる気と熱意でどうにかなるから」

男(それどっちもほぼ同じ意味!)

女友「結構、男って体格もいいし、なんとなく獣っぽい雰囲気でてるし丁度いいじゃん」

男「前半はまだしも後半が褒められてる気がしないんだが」

女友「まーまーまー。私の中で一番当てはまるのは男だからねー」

女友「実際脚本も書き始めてるし・・・あ、そうだ。転校生はどう思う?」

転校生「べ、別に私は誰でもいいけれど・・・ま、まぁ、男がいいんじゃないかしら」

女友「とか言ってるし。もう諦めて獣になるのよ。ていうか決定ね」

男「えぇぇぇええええ!?な、なんでだぁー!!」

~~~~


女友「さっ、台本もできたし今日から早速演技の練習に入っていくからね」

ハーイ

女友「転校生と男はこっちきなさい。私がみっちりと指導するから」

転校生「あはは・・・お手柔らかに・・・」

男(どうして俺が主役になるかねぇ・・・どうしても何か裏があるとしか思えないんだが)

友「・・・」ジー

男「・・・友?」

男(あいつ遠目からこっちみて何してやがる。文実での仕事はどうしたんだ?)

友「・・・フッ」ニヤ

男「・・・は?」

男(意味深にあいつはニヤケて口パクで何かを伝えようとしている・・・なになに・・・)

友(コ・レ・ガ・シ・カ・エ・シ・ダ)

男「・・・てめぇかぁぁぁぁぁぁ!!」

友「」ヒュン

男(ちくしょう・・・追いかけようと思ったらすぐいなくなりやがって・・・)


転校生「・・・どこ行くの男。練習始まるわよ」

男「・・・なんでもねぇ。さっさと始めようぜ」

~~~~


~数日後~


転校生「―――お父さんを返して!」

男「なら、お前はここで・・・えーと、なんだっけ」

女友「なんでそこでセリフ忘れんだ!!やり直し!!」

男「・・・かれこれ1時間はやってんぞ・・・ちょっと休憩入れないか?」

女友「あれ、そうだったっけ?じゃあ、少し休憩!」

転校生「女友も中々スパルタよね・・・」

男「それほど本気って事だろ。時間忘れるほどに集中してんだしな」

転校生「そうね・・・あと、あんたはあんたでセリフを覚えなさいよ」

男「結構キツイんだよ・・・何でお前はこうもスラスラと覚える事ができるんだよ」

転校生「そりゃあ、練習してるからに決まってるじゃない」

男「ま、そうだよな・・・日にちはあるって言っても、余裕があるわけじゃないしな」

男「練習するにも相手がいれば、結構やりやすいんだろうけど・・・」


転校生「・・・あ、あのさっ!」

男「ん?どうした」

転校生「よ、よよよかったら、私の家でれ、練習するとかは!?」


男「・・・は?」

~~~~


男「・・・」ポケー

転校生「・・・何突っ伏してるのよ。早く行くわよ」

男「・・・何時見てもお前の家って圧倒されるなって思って」

男(そしてどうしてこうなったんだが・・・)

転校生「それもそうだけど・・・ただいまー」

「おぉ、お帰り」

男(・・・この無駄にダンディなおじ様は何者)

転校生「ただいま、パパ」

転父「おや、珍しいね。転校生が友達を連れてくるなんて」

転校生「クラスメイトの男っていうの。今日は演劇の練習をするから、連れてきたわけ」

男「こ、こんにちは」

転父「そんなに堅くならなくてもいいよ。いつも娘と良くしてもらってありがとう。これからもどうかよろしく頼むよ」

男「は、はい・・・」

転校生「ちょっ、パパ!」

転父「ごめんごめん。それじゃあ、練習頑張って」

転校生「うんっ」

男「良い親父さんだな・・・」

転校生「まぁね。パパは何でもできるすごい人なんだからっ」

男「ウチの親父なんて、母さんの尻に敷かれて悲壮な感じしかないのに、お前ん家は親父さんが元気そうでいいじゃねぇか」

転校生「あんたの家の事は知らないけど・・・それもそうね」

男「・・・」


男(・・・そう言った転校生の顔は、ほんの一瞬だけ暗くなったように見えた)

~転校生の部屋~


男(ここが転校生の部屋・・・ベットが異様に出かかったり、家具が一々高そうで、お嬢様って感じが溢れんばかりに出てるな)

男(その雰囲気をぶち壊すかのように、ぬいぐるみが沢山置いてある。まぁ、こいつも女の子ってことか)


転校生「そんなに部屋の仲じろじろ見ても何も出てこないわよ・・・あっ、もしかして女子の部屋入ったのは初めてとか?」

男「んまぁ・・・そんな感じ」

転校生「そ、そう・・・わ、私が初めて、ね・・・」ボソッ

男「何か言ったか?」

転校生「い、いやっ、何でも無い!さっ、練習練習!」

~~~~


女友「みんな、おつかれーっ!一旦休憩ね!」

ハーイ

男(文化祭まで残すのは一週間ちょっと。文化祭に向けてラストスパートと言いたい所だけれども・・・)

会長 後輩 黒髪 友 「「「「・・・」」」」


男(ハーイ、質問。いつから俺は動物園の檻の中の動物みたく見つめられる様になったのでしょうか)

男(・・・今、この間できた衣装を着てるからなんだろうけど・・・俺、獣だしな)

男「・・・どういうことだ、友」

会長「男クンの野獣ってどんな感じなのか気になって・・・ね?」

黒髪「へぇ・・・コレ、すんごいモッサモッサなんだね」

男「おい、さ、触るなっ」

後輩「・・・私はついてきただけですからっ」

友「・・・俺は止めたからな」


男「・・・はぁ」

会長「せっかく応援に来てあげたのに、その溜息はどうなのかしら・・・?」

男「・・・げっ」

転校生「まったく・・・練習終わってないのに騒いじゃって」

女「あはは・・・たまにはいいんじゃないかな」

転校生「あいつの場合たまにじゃないわよ・・・いつもあんな風に騒いでばかりじゃない」

女「・・・きっとそれは男君が周りにそれだけ人を集めるような魅力があるからだと思うな」

転校生「そうなのかねぇ・・・」


女「・・・」ジー

チョットセンパイヤメテクダサイ! フフ・・・ワタシノコワサヲオモイダサセテアゲル・・・


転校生「・・・」

~~~~


~転校生の部屋~


転校生「・・・今日はここまででいいかしら」

男「ああ・・・ほとんどはできたからな」

転校生「最初はどうなるかと思ったけど・・・残る問題は最後の体育館での通し練習だけね」

男「前はミスちまったからな・・・どうにか挽回できればいいけどな」

転校生「それはそうと・・・ちょっと待ってて」

男「ん?ああ・・・」

バタン

男(これまで何回かやってきた転校生の家でやる自主練習も今日で最後か・・・)

男(あいつのおかしな発想から始まったが・・・そのお陰で自分一人でやる数倍に台本を頭に入れることが出来た)

男(今度、あいつに何か礼でもしとくか・・・)

コンコン

男「ん・・・?」

転父「失礼するよ」ガチャ

男「あ・・・おじゃましてます」

転父「知ってるよ。さっき転校生が昨日、一生懸命作ってたケーキをとりにいってたからね・・・」


男(・・・あいつ)

男「それはあまり言うべきではないと思いますよ・・・」

転父「ハハハ・・・そうだったかな? とりあえず、ここまで娘に付き合ってくれてどうもありがとう」

男「い、いえ!お世話になったのは自分の方ですし・・・それに、お礼を言うのは、普通は自分ですよ」

転父「じゃあ、その気持ちを素直に受け取っておこうかな・・・」

転父「・・・久しぶりなんだ。転校生がここまで何かに入れ込んだのは」

転父「あの娘は昔から何をやってもすぐに一番になってしまうから、それだけ飽きも早かったんだ」

男「・・・そんな感じします。学校でも何かしら目立ちますからね」

転父「そうだろう・・・だから今回の演劇は必ず成功してほしい」

転父「一つのことを仲間と成し遂げるというのはとても素晴らしい事だ。それを転校生にも感じてもらいたい」

転父「あの娘の努力が実ってほしい」

男「・・・」

転父「・・・男君。転校生に何かあっても君が全力でサポートしてあげてほしい」

男「・・・え?」

転父「転校生はまっすぐな子であると同時に不安定でもある。その時には君が転校生を助けてくれると信じている」

転父「君になら任せられる・・・そんな気がする」

転父「少し厚かましいお願いだけど・・・了承してもらえるかな」

男(・・・転校生は親父さんにここまで言わせるほど、努力してきたんだな・・・)


男「・・・勿論です。お約束します、転校生のサポートは任せて下さい」

男「そして・・・必ず、演劇を成功させます。お父さんは安心して待っててください」

転父「うん。それだけ言ってくれるなら、もう不安はないよ。それじゃあ、演劇楽しみにしてるよ」

男「はいっ。ありがとうございます・・・」

ガチャ・・・

男(ホントつくづく良い親父さんだな・・・ウチの親父にも見習ってもらいたい)

男(・・・俺がここまで親父さんに信用されるのも不思議なんだがな)

転校生「ごめん、ちょっと色々としたら時間かかっちゃった」

男「・・・色々となにしてたんだ」

転校生「そのっ・・・えーと、ここまで練習してくれたあれとか・・・」ゴニョゴニョ

男「よく聞こえないぞ」

転校生「あーっ!もう!お礼よ!お礼!!ありがたく受け取りなさいっ!!」

男「お、おう・・・おぉ、チーズケーキか」

転校生「ほら、前言ってたじゃない甘くないほうがいいって。だからチーズケーキぐらいが丁度いいかなって」

男「・・・わざわざ前の事覚えてたのかよ」

転校生「っ・・・!たまたまよっ!」

男「そうですか・・・んじゃ、いただきます」

転校生「ん・・・」チラチラ

男「・・・うめぇ。うまいな!」

転校生「ほ、ほんと・・・?」パァァ

男「ああ!俺が一番好きな味だ。これお前がレシピ作ったのか?」

転校生「そ、そりゃあね・・・まぁ、参考にしたものもあるけど」ソワソワ

男「?・・・それにしても、うまいな・・・今度、また作ってくれ」

転校生「・・・し、仕方がないわね。でも、今は演劇に集中する時でしょ?」

男「そうだったな・・・それだったら、文化祭の後とかか?」

転校生「そうね。これ以上にいいヤツ作ってやるわよっ」フフン

男「おう、期待してんぞ」

~~~~


男「今日も色々とありがとな」

転校生「別に・・・当たり前の事をしたまで」

男「素直じゃねーな、お前」

転校生「う、うるさいっ!早く帰んなさいよっ!」

男「そこまで言うことねーだろうが・・・じゃあ、またな」

転校生「・・・ん」ヒラヒラ


男(・・・ほんと素っ気ねーやつ)

男(それにしてもチーズケーキ美味かったな・・・今まで食べた中でも一番と言っても過言ではないな)

男(まさか、ここまでチーズケーキで興奮するなんて・・・よっぽど美味かったのか)

~~~~

男「・・・じゃあ、またな」

転校生「・・・ん」ヒラヒラ

バタン

転校生「・・・やったっー!!」

転校生(あいつめっちゃ喜んでくれたし、また家に来てくれるって・・・!)

転校生(これもあの赤い本に挟まってたレシピのおかげね・・・お母さんか誰かが作ってたのかな・・・?)

転父「うれしそうだね転校生」

転校生「パ、パパ!ケーキすごくおいしかったって!」

転父「よかったじゃないか・・・その態度を彼の前で出せればいいのに」

転校生「そ、それは・・・ガンバリマス」

転父「うん、その意気だ」


転父「その気持ちを忘れないように・・・ね」


転校生「うんっ!」ニコッ

~~~~

~数日後~


転校生「・・・」

女「・・・転校生ちゃん、どうしたの?」

転校生「え・・・いやいや、なにもないよ?急にどうしちゃったの」

女「転校生ちゃん、いつもはお弁当3段なのに今日は1段だけだし・・・」

転校生「あっ・・・今日は、たまたま・・・ね」


男「・・・だって。これって事件じゃん」

友「いやいや、女の子のお弁当少ない事で心配する方がおかしくないか?」

男「ふむ・・・これは何かあるかもな」

~~~~


女友「さーて!今日は本番最後の舞台練習っ!心の準備はできてるかーっ!」

「「「おー!!」」」

女友「よっしゃ、野郎共準備をはじめな!」

「「「ラジャッ!」」」


男「いつもに増して気合入ってんなー」

転校生「それはそうよ。本番前の総仕上げなんだからね」

男「っしゃー!今日はノーミスで行くぜ」

prrrrrr

転校生「」ビクッ

転校生「ご、ごめん電話出てくる・・・」

男「ああ。早く戻ってこいよー」

~~~~


女友「照明、大道具準備OKね。男ー転校生ー!準備できてるー?」

男「転校生が電話出たきり、戻ってこないんだが・・・」

女友「えっ・・・!?次も控えてるから、時間もそんなないんだけど」

男「だよな・・・ちょっと探してくる」

~~~~


男(外に出ると携帯を手にしたまま、一人項垂れる転校生の姿があった)

男「・・・おい、通し稽古始まるぞ」

転校生「・・・」

男「おい、聞いてるのか?早く行くぞ」

転校生「・・・ぃゃ」

男「・・・転校生?」

転校生「・・・パパが・・・死んじゃう・・・」

男(・・・!?)

男「おい、転校生どうしたんだ!親父さんがどうしたんだ!」

転校生「・・・朝から調子が悪くて・・・心配だったんだけど・・・そしたら」

転校生「きゅうにっ・・・急に、倒れたって・・・」

男「っ!だったら、お前こんなことしてる場合じゃないだろ!今すぐにだって親父さんの所にっ!」

転校生「でも・・・き、きょうは・・・ぶたいでできるさいごのれんしゅう・・・」

転校生「おとこがミスしないようにわたしがいなきゃ・・・」

男(・・・転校生の震える言葉を聞いて、今の転校生が正気じゃないことが分かる)

男(けれど、俺がどうにかするには荷が重すぎる・・・)


『・・・男君。転校生に何かあっても君が全力でサポートしてあげてほしい』


男「・・・!!」

男(俺は親父さんと約束したじゃねぇか・・・!何を弱音吐いてやがる・・・!)

男(何があっても、俺は転校生をっ・・・!)

男「・・・少し待ってろ」

転校生「・・・ぁ」


男「女友っ!!」

女友「転校生は?」

男「悪いっ!今日の通し稽古は俺と転校生抜きで出来るか?」

女友「そんな無茶な!主役二人揃わないと劇になるわけが無いでしょ!」

男「・・・転校生の親父さんが危ない状態らしいんだ」

男「今すぐにでも俺はあいつを親父さんの所まで行かせなきゃいけない。だけど今のあいつの精神状態じゃ無理だ」

男「だから、俺がついていく・・・」

女友「そんな・・・。分かった。この場は私に任せて。だから転校生の事は任せるよ」

男「・・・恩に着る」

男「・・・転校生」

転校生「・・・」

男「行くぞ」

転校生「・・・ぇ」

男「親父さんの所に行くぞ」

転校生「・・・そんなことしたら!げきができないっ!」

男「女友になら許可は貰ってきた。・・・親父さんの一大事だ。早く行くぞ」

転校生「いやっ!!パパが、パパが死ぬところなんてみたくないっ!!」

男「親父さんの事が大事なんだろっ!大事ならなおさら、行かなきゃダメだろ!」

男「じゃないと、後悔することになるぞ!」

転校生「ぁ・・・」

男「親父さんは今でも、必死に生きようとして戦ってるんだ!お前の為に、家族の為に!」

男「なのにお前がここで立ち尽くしてどうする!傍にいてやらないでどうするんだ!」

転校生「・・・」

転校生「・・・手にぎって」

男「ああ」ギュッ

転校生「・・・パパ、今苦しんでるのに、私がこんな姿でいるなんて駄目だ・・・」

転校生「・・・」

転校生「おとこ・・・わたし、いく。だから、だからっ。手はなさないでっ・・・」

男「・・・分かった。じゃあ、行くぞ」

最近書き溜めしている内に寝落ちしてしまう事が多い・・・。なので今回は結構投下しました。

と、今回はここまで。書き溜め頑張ろう・・・

~~~~


転校生「・・・」ウツムキ


男「・・・」


男(病院に着いた俺達は、親父さんがすぐに手術する事になったのが分かり、急いで手術室へと向かった)

男(親父さんは今、手術が始まったばかりであるらしく・・・ただ無事を祈るしかない)

男(絶望に打ちひしがれている彼女に、俺がしてやれるのは手を握ってやる・・・それだけしかできなかった)


男(何も出来ない・・・自分の無力を痛感した)

~~~~


男(しばらくすると、転校生の身内と見られる金色の髪を持った女性が現れた)

男(・・・容姿から見て、転校生の姉といった所だろうか)


「・・・あなたは?」

男「転校生さんのクラスメイトの男と言います。転校生さんの付き添いでここに」

「あなたがここまで・・・ありがとう。・・・この子一人じゃ、きっとここまで来ることは出来なかったわ」

男「いえ・・・俺はただ付き添っただけです・・・」

「それでも感謝するわ。・・・時間も遅いし、あなたの親御さんもきっと心配していると思う。だから今日はもう大丈夫よ」

男(俺はその言葉を聞いて、思わず手術室の方を見た)

男(転校生はこの人に任せても大丈夫かもしれない・・・けれど親父さんと約束したのはそういうことじゃない)

男(きっと俺しかできない何かを・・・親父さんが感じたから、約束をした)

男(だから、俺はここを離れる事はしない。親父さん自身の事も、心配だというのもあるしな・・・)


男「・・・ここに居させてください。俺は、まだここを離れることはできません」

男「親父さんには色々と良くしてもらいました・・・だから、親父さんの手術の成功を近くで祈りたいんです」


「・・・」

「そこまで言うのなら・・・仕方ないわ。・・・少しだけ転校生と話をさせてくれない?」

男「はい・・・」

~~~~



男(・・・どれだけ待っただろうか。いつもより時間が経つのが遅いような気がする)

男(待っている三人の間には、言葉が交わされる事は無い・・・)

男(言葉を発してしまえば、この空間が歪んでしまう・・・そこまで苦しく、辛い空間)


男(・・・だから分かる・・・この二人がどれほど、親父さんの事を想っているかが)

男(―――手術室の赤い明かりが消えた)

ギィィ

転校生「・・・ぁ」

「・・・あの人は、どうなりましたか」

転校生「パパは・・・パパは大丈夫なの?」


「・・・手術は成功しました・・・意識もじきに戻るでしょう」

「ですが・・・お父様のお体は麻痺が多少残っており、そのまま動かなる可能性が高いです」

「・・・そうですか」

転校生「・・・うそ・・・」


男(大声で泣く転校生の姿は見てると、とても心が張り裂けそうになった)

男(何か声をかけてやれればいいのに・・・だけど、俺には言葉何も浮かばない)

男(何も・・・できない・・・それが、無性に悔しい)

~~~~


―本番まで、あと3日―


男(ひとまずは、親父さんの無事を確認できた。目覚めるのももうすぐだそうだ)

男(転校生は緊張の糸が途切れたのか、眠りに着いた)

男(俺はというと、お姉さんに大丈夫と言われ、これ以上俺がいてもなにもできないのは分かっていた)

男(俺は・・・家に帰る事を選んだ)


男(・・・未熟だった。転校生のあの姿を見ていても、何もできなかった)

男(見ているだけで・・・それ以外に彼女に俺は何かしてやれたのだろうか・・・)


男(親父さんとの約束は・・・何も果たせていなかった)

~~~~



女「―――男君っ!」

男「・・・女か」

女「転校生ちゃんのお父さんは大丈夫なの!?」

男「ああ。ただ・・・体の麻痺が残るらしい」

女「・・・そっか」


女友「・・・転校生は大丈夫そう?」

男「・・・」フルフル

女友「じゃあ、演劇については中止を考えなきゃ・・・」

男(―――・・・それは違う)


男(転校生は、この演劇に向けて努力をしてきた。それを無駄にするのは駄目だ)

男(親父さんが成功を祈っていた)

男(転校生が主役として立つ、この舞台を)

男「・・・それは待って欲しい」

女友「転校生がそんな状態なのはあんたが一番・・・」

男「分かってる・・・だけど、やらなきゃ駄目なんだよ・・・」

男「主役は転校生じゃなきゃ、俺はこの演劇が成功だとは言えない」

男「・・・必ず、あいつをここに連れてくる、いつものあいつを」

男「だから、お前達もいつもの雰囲気で、普段通りの劇の準備をして、転校生の事を待っていて欲しい」

女友「分かった・・・あんたに賭けるわ」

女「そうだね。いつもの私達で迎えてあげなきゃ・・・」

「・・・そうだよな」「こんな所で諦めれないよね!」

男「―――」


男「・・・ありがとう。・・・絶対に、演劇は成功させんぞっ!!」


「「「おーっ!!」」」

~~~~



「転校生、起きて」

転校生「・・・ぁ」

「・・・パパの意識が戻ったわ」

転校生「ほんとっ!?」

「ええ。少し話す事もできるけど」

転校生「行こうよママ・・・一緒に」

転母「・・・そうね」

転父「・・・転校生」

転校生「―――パパっ!!」

転父「・・・ごめん、心配をかけてしまって」

転校生「パパぁ・・・パパぁ・・・」ボロボロ

転母「・・・」ウルッ


転父「もう大丈夫だからね・・・」

転校生「でもパパっ・・・」

転父「命に比べれば足なんて動かなくてもいいよ・・・転校生、それにママにまた会える事ができたんだから」

転父「・・・それで転校生。学校どうしたんだい?」

転校生「そんなの・・・パパが心配で」

転父「・・・駄目だよ転校生。それじゃあ演劇はどうするんだ」

転校生「・・・えっ」

転父「あれだけ頑張って男君と練習していたのに、その努力を無駄にしていいのかい?」

転父「それに、クラスみんなの努力を潰してしまう事になるんだ」

転校生「そ、それは・・・」


転父「今すぐ、行きなさい。みんなの元に」

転校生「・・・私だってパパが心配で、ここにいたのに・・・なのにっ!」

転校生「そんなこと言うなんて・・・ひどいよっ!」ダッ


転母「転校生っ!」

転父「大丈夫だよママ・・・」

転母「今の転校生を一人にしたらっ!」

転父「一人にならないよ・・・見えたんだ彼の姿が」

転父「彼なら分かってるはずだ。この後すべきことが何か」


転父「任せたよ・・・男君」

~~~~


男(親父さんの病室は確かここ・・・」


「―――ひどいよっ!!」

男「・・・!」

バンッ

転校生「」タッタッタッ

男「あ・・・おい!転校生っ!」

男(あいつ、どうしたんだよっ!)

~~~~


男「はぁ・・・はぁ・・・」

男(クソ・・・あいつ無駄に逃げ足早くて見失っちまった・・・)

男(どこだ・・・あいつが行きそうな場所は・・・)

『・・・こういう時に、あいつが行く場所はいつもあそこだ』

『俺達が、出会った場所』

男(・・・!?なんだこの記憶は・・・!)

男(っ・・・この際なんでも良い!そこに向かうぞ!)

~公園~



転校生「・・・」


男「・・・探したぞ」

転校生「・・・」

男「いきなり病室から出て行って・・・何があった」

転校生「・・・パパの意識が戻った」

男「親父さんの意識が!?そりゃあ良かったじゃねぇか。なのにどうしたんだよ」

転校生「パパが・・・今すぐ学校に行けって」

転校生「演劇が、できなくなるって言って」

男「・・・それは「わたしはっ!!」

転校生「私は!パパがずっと心配でパパのことしか考えられなかった!」

転校生「手術が終わるまで、成功することをずっと祈ってた!」

転校生「意識が戻ったって聞いて、すごく嬉しかった!」

転校生「なのに・・・なのにっ!パパは私の事なんて気にしないで、学校行けって言った」

転校生「どれだけパパを心配したのかも知らないで・・・そんなのって、ひどいよぉ・・・」

男「・・・」

転校生「そう思うでしょ・・・ねぇ・・・なにか言ってよ男ぉ・・・」


男「・・・ってる」

転校生「・・・ぇ」

男「―――お前のその考えは、間違ってる」


男「親父さんが言ってた。転校生の劇は絶対に成功してほしいって」

男「転校生の努力している姿をずっと見てきたんだ親父さんは・・・」

男「だから、自分が重荷なるのが嫌だと思ったんだろう。だから転校生にそう言ったんだ」

転校生「でもっ・・・死にそうになったんだよっ!そんな事言えるはずないっ・・・」

男「それほどお前を大事に思ってるんだよ・・・」


男「それほどに、お前の努力を実ってほしいと思ってるからそう言ってくれるんだろう!」

転校生「・・・!」


転校生「でもっ・・・私こんなんだよ・・・?」

転校生「パパがまたいつ倒れるかも分からない・・・そんな状態でまともにできるわけなんて・・・」

男「・・・」

男「・・・俺がお前を支えてやる」


男「お前がいくら挫けそうになっても、助ける」

男「辛くなったら、励ましてやる」

男「泣きそうになったら、笑わせてやる」

男「傍にいてほしい時には・・・ずっと傍にいる・・・だからっ」


男「―――俺を頼れ!!俺がお前を支えてやるからっ!!」

男「俺を・・・俺を信じろっ!!」


転校生「―――」

転校生「・・・ばか・・・」

男「えっ」

転校生「ほんと・・・あんたってバカよ・・・」

転校生「でもバカだから・・・ここまで私に・・・」

男(・・・さすがにバカ言い過ぎじゃ)

転校生「・・・男」

男「ん」

転校生「それだけ言ったんだから、私の事、しっかりと支えなさいよ」


転校生「――じゃないと・・・ゆるさないからっ」ニコッ


男「ああ・・・分かってるよ」

ご都合主義の怒涛のシリアス展開もここまでかな・・・(?)

今回はここまで。文化祭まであと少し。

―本番まで、あと2日―


転校生「――みんな、ごめん!」

転校生「私のせいで最後の通し稽古が万全の状態で出来なくて・・・」

女友「あんたは何も悪くないよ。不幸が重なっただけだし」

女「・・・お父さんは大丈夫なの?」

転校生「何とかね・・・。大丈夫、演劇には支障はないから」

転校生「・・・全力でやるから」

女友「今日の放課後だけど、二人共ほとんどは出来てるって聞いてるから一度通しでやるからね」

男「任せてくれ。多分・・・できる」

女友「その多分って言葉を消すまでミッチリやるから」

男「ヒェ・・・」

~~~~


女友「――はい、OK!」

男「ふぅ・・・」

転校生「・・・それで、監督。評価は?」

女友「概ねオッケーね。この何日間でホント成長したよね~。転校生も男も」

男「自主トレの効果が出てんだろうな」

転校生「ちょっ・・・それは」

女友「・・・まっ、問題はそれを照明とか大道具とかで合わせてできるかどうかってことなんだけど・・・」

転校生「・・・ごめん」

女友「転校生は悪くないよ・・・ただ、どっかの獣がねぇ・・・」

男「・・・すいません。前回もミスしてしまって」

女友「素直でよろしい。う~ん、どうしようか」

転校生「・・・」

男「・・・なぁ、それってやるのはいつでもいいか?」

女友「それはみんなの都合次第だけれど・・・」

男「――俺にいい考えがある」

~~~~


―本番まで、あと1日―


<――・・・こうして、二人は幸せに暮らしたそうです>


女友「・・・ハイ、カット!!」

女友「おつかれさまっー!みんな良かったよー!これで、明日は完璧ね」


男「よかった・・・ミス一個も無くて」

転校生「ほら、やればできるじゃない。まっ、私が付いていたお陰ね」

男「それは言えてるかもな・・・」

転校生「まさかあんたがこんな考えをするとはね・・・」

転校生「・・・夜に学校に忍び込んで体育館を使うなんて」

男「ちょい、心配だったけど・・・先生結局許してくれたしな」

転校生「・・・なんだかんだ生徒には甘いのね」クスッ


女友「みんなーっ!集まってー!」

男「行くか・・・」

転校生「うんっ」

女友「ついに明日は本番よ・・・今までみんなよく頑張ってくれた」

女友「私達ならきっと最高の作品にできるはず・・・いや、できる」

女友「・・・明日は見てくれた人、全員に感動を与えようっ!」

「「「おーっ!!」」」

女友「よしっ。それじゃあ、主役の二人からひとことっ!」

男「えっ・・・先、転校生頼む」ボソッ

転校生「・・・しょうがないわね」

男「・・・えと・・・まぁ、頑張りましょう?」

女友「それだけかよ・・・まぁ、いいわ。じゃあ、今日は解散っ!早く寝ること!」

ハーイ

転校生「・・・遂に、明日ね」

男「・・・ああ」

転校生「・・・絶対に成功させましょ」

男「あたりめぇだ・・・親父さんに、きちんと顔向けできるようにな」

転校生「・・・うん」







―文化祭当日―






―文化祭当日―


男(・・・遂に来た。この日が)


男(演劇には色んな人の思いが詰まっている。クラスメイト。転校生の努力。・・・そして親父さんの願い)

男(親父さんが、転校生に伝えたかった事を今日、形に)

男(あいつに、努力の先にあるものを見せてやるんだ)

男(絶対に最高のものにしてみせる。その為に今日までやってきた・・・)


男(――今日は、忘れられない日になる)

会長<<みなさん、こんにちは・・・となど堅苦しい挨拶はここまで>>


会長<<今年もっ!遂にこの時が来たわっ!!>>

会長<<締め付けれた気持ちを、解き放つのは今っ!!>>

会長<<祭の・・・始まりだっー!!>>


ワー!ワー!ワー!ワー!

~~~~


~本番二時間前~


男(・・・本番まであと二時間。役者陣はギリギリまで、演劇の練習を行う)

男(まぁ、結構時間経ったから今は休憩なんだけども)

男「そういえば・・・演劇どうやって親父さんに見せるんだ?」

転校生「ママがビデオに撮ってくれるって言ってたわ」

男「なるほどな・・・そういえば、こないだ居た人って姉か?」

転校生「何言ってるの・・・あの人がママよ」

男「・・・えっ?あの人、お前と少ししか違わないように見えたぞ」

転校生「それ私が老けてるっていいたいのかしら・・?」

男「いや、母親にしては見た目若すぎだろ・・・」

転校生「それは私のママだもん・・・あれ、友君が呼んでるけど」

友「」クイクイ

男「マジだ・・・ちょっと行ってくるな」

転校生「はいはい・・・休憩時間の内に戻って来なさいよ」

~~~~


友「こうして二人で話すのも久し振りじゃないか?」

男「互いに忙しかったからな。仕方ないだろ」

友「互いにね・・・そういえば」

友「転校生さんの事・・・どういう魔法を使ってここまで引き戻したんだ?」

男「魔法って・・・別に大した事してねぇよ」

友「相当酷い状態だったらしいじゃないか・・・お前が、きっと彼女に魔法かけたんじゃないかと思ってな」

男「・・・ただ、俺の考えを言っただけだ」

友「ほう・・・なるほどな」

友「・・・お前、転校生さんの事好きなのか?」

男「は、はぁ!?そんなわけ・・・」

友「だって、ここまで転校生さんにご執心なわけだ。おのずとそうはならないか?」

男「それは自然な流れでそうなっただけで・・・そもそも原因を作ったのはお前だ」

友「マジか。俺が恋のキューピットに」

男「だから違う・・・お前の復讐のせいでな・・・」

友「いいじゃないか・・・そろそろ自分の本心を確かめてみても」

友「人を好きになるのは悪いことじゃないぞ」

男「・・・うるせーよ、バカップル」

友「うっ・・・それには反論できない」

男(・・・確かに俺は、転校生に執心だったのかもしれない)

男(それは、親父さんに頼まれたから・・・?本当にそうなのか・・・?)


男(・・・俺の本心、か)

~本番一時間前~


男「・・・」


男(・・・俺が転校生が好きか・・・)

男(・・・どうなんだろうな)


女「・・・あのっ、男君」

男「うぉっ!ど、どうした・・・」

女「みんなに今飲み物配ってるから、これ男君の分」

男「そうか。ありがとな」

女「う、うん・・・」カァァ

女「・・・ありがとね」

男「・・・え」

女「男君がいなかったら、転校生ちゃんも戻ってこなくて演劇も中止になってたと思う」

女「今日を迎えられたのは、男君のおかげだから・・・だから、そのお礼・・・かな」

男「そんな、礼言われるほどじゃないと思うけどな」

女「・・・やっぱ、すごいよ男君は」

男「・・・」

女「がんばってね、主役」

男「・・・おう。そっちも、がんばれよ」

女「・・・うん。頑張るよ」ニコッ

~本番5分前~


女友「いよいよ、私達の出番よ!今日まで練習してきた私達の演技の全てを、この瞬間に出しきるよ!せーの、」


「「「えい、えい、おーっ!!!」」」



転校生「・・・いよいよね」

男「だな・・・」

転校生「長かった・・・すごく。ここに来るまで」

転校生「色んな事があって・・・挫けそうになったけど、あんたが私を助けてくれた」

転校生「・・・あんたが私を支えてくれた」

男「言ったからな。俺を頼れってな」

転校生「うん。だから、今日も明日もこの先も・・・男に頼るからっ」

男「・・・そこまで言われたら、しっかりしないとな」

男「見せてやる・・・努力の先にあるモノってやつをな」

転校生「・・・たのしみ」


<<次は2年○組による演劇です。演目は―――>>



転校生「――・・・はじめましょう、私達の物語を」

男「ああ。やってやろうぜ・・・」













             <<美女と野獣>>












今回はここまで。

『遠い昔のある国。誰も近寄らないような森の奥に、周りの雰囲気と一風変わった城がありました』

『そこには、王子様が住んでいるのです』

『王子様はとても傲慢で、自分勝手でいつも周りの人を困らせていました』

『そういう行動を取る内に王子様は人々から嫌われるようになり、国を追われ森の奥でひっそりと住むことになりました』

『しかし、王子様は反省していなかったのです。決して自分は悪くない。周りの人間が自分を理解していない。そう思っていました』

『王子様は、いつも一人だったのです』

『そんな王子様の城にに一人の老婆が訪れます。老婆は、酷い見た目でいかにも人が近づかないような容姿をしていました』

「一晩だけ、お城に泊めていただきませんか。代わりにこの一輪のバラをさしあげましょう」

『老婆はそう言い、王子様に泊まることをお願いします。しかし、王子は』

男「ダメだ。お前の様な者を城に入れるわけにはいかない」

「そこを何とか。このままだと、森で野垂れ死んでしまいます」

男「だから・・・断っているだろ!」

『王子様は頑なに断り続けました。その時でした』

『いきなり老婆の周りに煙が立ち込め、煙の中から一人の美しい女性が現れました』

『老婆の本当の姿は魔女だったのです』

「お前は、本当に醜い男だ。魔法にかけて外見も醜くしてやろう!」

『そう言い魔女は、王子様に向かって杖を向け魔法の呪文を唱えます』

男「な、なんだっ!」

『魔法にかけられた王子様は、何とも醜い獣の姿になってしまいました』

「お前が元に戻る方法はただ一つ・・・本当の愛を見つけ出す事だ」

男「ふざけるなっ!俺を早く戻せっ!」

「本当の愛を知ることでお前は人間に戻る事ができる・・・時間は、この一輪のバラが散るまでだ」

「見つける事が出来なければ、お前はその姿のまま・・・この世界から消える」

「それまでに、見つけるのだな。本当の愛を」

『そう言い魔女は、城に一輪のバラ。そしてどんな事でも映してしまう魔法の鏡を置いて消えてしまいました』

『果たして、王子様は本当の愛を見つけ出し人間の姿に戻ることができるのでしょうか・・・』

転校生「パパ。いってらっしゃい」

「ああ。いってくるよ」

『彼女はベル。3人兄妹の家庭の末っ子として生まれ、すくすくと育った今では誰もが振り返る美貌を持ち、街で一番の容姿と言われていました』

『ある時、彼女は部屋に新しく飾る美しいバラが欲しいと思い父親に相談した所、父親が森へ取ってきてくれるといってくれたのです』

『そしてちょうど今、父親を見送る所だったのです

『ベルは父親の帰りを楽しみに待ちました。けれども、父親は帰ってきません』

『心配に思った彼女は服を着替え、森に向かいました』

『茂みのある道を進んでいくと、そこにはお城があったのです』

転校生「きっと、ここの人が何か知っているのかもしれない・・・すみませーん!」

男「・・・なんだ、お前は」

転校生「ある男性を探しているのですが・・・何かご存知ないですか?」

男「ちょうどさっき、俺の庭のバラを勝手に摘もうとした輩がいたな・・・」

『ベルは驚きました。きっとそれは父親に違いないと思ったからです』

『そして、その予想は無残にも当たることになってしまうのです』

「・・・ベル、早く逃げなさい・・・」

転校生「パ、パパっ!」

男「・・・あいつは、バラを摘んだ罪で俺の城に閉じ込めることにした。あいつに用があるのか?」

転校生「そうですっ!今すぐパパを解放してくださいっ!」

男「できない相談だな。あいつはそれほどの罪を犯したんだ」

転校生「・・・それなら、パパの代わりに私をこの城に閉じ込めて!」

「な、なにを言うんだベルっ!」

男「面白い事を言う小娘だ・・・いいだろう。その提案を飲んでやろう」


~~~~


『お城に閉じ込められたベル。食事は与えられますが、獣と化した王子様の粗暴な振る舞いに嫌気がさしてきてしまいます』

男「女、あれを持って来い!」

転校生「・・・はい」

男「返事が聞こえないぞ!もっと大きな声で言え!」

~~~~

男「紅茶はも作れないのかお前は!使えない女だ・・・」

転校生「・・・ごめんなさい」

~~~~

『王子様の酷い扱いに疲れ果てたベルは・・・』


転校生「・・・もう、嫌。こんな所飛び出してやるっ!」

『お城から逃げ出してしまったのです。しかし、時はちょうど夜。森には危険な動物がうろついていく危険な時間帯でした』

男「おいっ!出てこい女っ!」

男「どこにいる!早く出てこい!」

男「まさか・・・あの女、こんな時間に逃げおって!」

『王子様はその事を勿論知っています。今、彼女が森に出れば危険な目に遭う事は分かっていました』

『王子様は、ベルを助けに城を出ました』

『その時ベルは、まさに危険な獣に襲われている最中だったのです』

転校生「う、うそっ・・・こんな所になんで」

「グルルルルッ・・・」

転校生「だ、だれかたすけてっ!」

「グルァ!」

『獣がベルに襲いかかろうとしたその瞬間。ベルの前に何かが現れたのです』

男「うっ・・・!女・・・勝手に逃げおって」

転校生「・・・え」


『そこにいたのは、王子様でした』

「グルルル・・・」

男「今すぐ逃げるぞっ!乗っかれ!」

転校生「で、でもっ・・・あなたのその傷は」

男「・・・大丈夫だ。ほら、早くしろ!」

転校生「う、うんっ」

『身を挺して、自分の事を守ってくれた王子様。ベルはその行動を見て、彼への評価を改めました』

『彼は決して悪い人なんかではないのだと』

~~~~

『それからのベルは彼への粗暴な態度にも、めげず優しく接していきました』

転校生「野獣・・・お菓子を作ったけどいるかしら?」

男「なっ、勝手に調理場を使うなといったはずだっ!」

転校生「ふふっ・・・食べてみて」

男「・・・い、いらない」
~~~~

転校生「お部屋掃除してみたの。どうかしら?」

男「勝手に部屋のものを変えるとは何をしてるんだお前は!」

転校生「だって埃被っていたから・・・いいでしょう?」

男「・・・ま、まぁ今回は許してやる」

『王子様もそのベルの行動に考えが変わっていき、やがて王子様はベルの事を認める様になりました』

『二人の仲は良くなっていき、やがて互いに恋を意識するようになるのです』


『しかし、その時は長く続きませんでした』

転校生「・・・ねぇ、パパの様子を見てもいいかしら」

男「あぁ・・・あの男か。いいぞ、今鏡に映してやろう」

転校生「えっ・・・何でパパがベットで寝込んでるの・・・」

『鏡に映された姿はなんとも無残でした。ベルの父親は病床に伏していたのです』

転校生「そんなっ・・・どうしよう」

『彼女は、今すぐに父親の元へ向かおうと思いました。しかし、目の前にいる王子様のことが気になってしまうのです』

男「・・・今すぐに向かうべきだ。お父さんの元に」

転校生「・・・いいの?」

男「・・・」

『この時王子様は悩みました。ここで彼女を手放したら二度と戻ってこないのではないかと』

『バラが散るのもあと少し・・・王子様は誰にも看取られることなくこの世を去ることになるのです』

『しかし、王子様は決めました。彼女の事を信じて送り出そうと。きっと戻ってきてくれる。・・・例え自分がいなくなってしまってもいいと』

男「・・・いけっ!早く!」

転校生「う、うん・・・!私、行くよ!」

『こうしてベルは、王子様の元を去ったのです』



転校生「パパ・・・大丈夫?」

「ベル・・・あの獣は解放してくれたのか?」

転校生「パパが病気だから、ここに来ることを許してくれたの。私がしっかりと看病するからね」

「・・・ありがとう」


『こうしてベルは父親の病気の看病に専念することに。・・・一方王子様は』

男「ク、クソッ・・・あ、頭がっ・・・!」

『バラが散ろうとしている今、王子様は魔女の呪いに苦しめられていました』

男「結局・・・戻ってこなかったかっ・・・まぁ・・・いい」

男「これが、俺の最期・・・か」


『こうして、王子様の意識は途絶えてしまいました』

『そして・・・数日たったある日。いつもの様に父親の看病を終え、寝床についたベルはある夢を見るのです』

『それは、城で倒れている王子様の姿でした』

転校生「・・・もしかしたら」

『彼女は彼の元へ急ぎました。もしかしたら夢が現実になってしまうのかもしれないと思って』

『そして城の中で倒れこむ王子様の姿を見つけるのです』

転校生「起きてっ!起きて・・・起きてよぉ・・・」

男「・・・んん・・・」

転校生「ぁ・・・だ、大丈夫?」

男「・・・おまえはだれ・・・だ」

転校生「――え」

転校生「・・・私のことが分からないの?ねぇ、覚えてるでしょ・・・?」

転校生「一緒に御飯食べて、お城の中を掃除したり・・・たまには森を散歩もした」

転校生「その記憶を、あなたは覚えていないって言うの・・・!?」

男「・・・もう、頭がいたいんだ・・・楽にしてくれ・・・」

転校生「ダメっ!この先もずっとあなたと一緒にいたいっ!」

男「・・・ご、め・・・ん」

転校生「ねぇ、嘘でしょ・・・目を覚まして・・・お願いっ」

転校生「また、元気なあなたに戻ってよぉ!」


転校生「――私は、あなたの事が好きなのっ!」ホロリ

『・・・転校生の涙が王子様に落ちたその時、奇跡が起きたのです』

『王子様の獣の姿がみるみる内に変わっていき、一人の男の姿に戻っていくのです』

『そして、完全に人間に戻った今、彼は目を覚ましました』

男「――・・・ここは」

転校生「・・・あ、ああ・・・」

男「・・・何をしているんだ女。そんなに泣いて」

転校生「よ、よかったっ・・・あなたが目を覚ましてくれて」

男「そうか、俺はあの時倒れて・・・って人間に戻ってるじゃないか!」

男「・・・教えてくれたのだな、お前が本当の愛を」

転校生「ええ・・・私はあなたが好き」

男「俺も・・・お前が好きだ。ベル」


『王子様は本当に愛を知ることができ、人間の姿に戻ることが出来ました・・・』

『そして、二人は結ばれることとなり、周りに祝福されながら幸せに暮らしたと言う・・・』


ワァァァァァァァァァァァ!! パチパチパチパチパチパチ!!

今回はここまで。

乙~
本物の話は知らないけど全く同じなのかな

>>880
寄せる所は寄せてって感じなので、同じではないですよ~

~~~~


―屋上―


<<文化祭は現在の時刻を終了しました。生徒のみなさんは後夜祭を行いますので――>>



男(・・・終わったな。文化祭)


男(始まる前まではどうなるかと思ったが、やはり転校生は凄かった。今まで一番の演技をしていたといってもいい位に)

男(そして俺は・・・あいつの演技に圧倒されていた。正直、俺の演技が釣り合っていたかと言えば微妙かもしれない)

男(・・・まぁ、結果的に劇は大成功。終わった後の観客の拍手、歓声がそれを物語っていた)

男(それで転校生はいろんな人に引っ張られてわ、連れ戻され、また引っ張られって・・・って感じで急がしそうにしてた)

男(俺はといえば・・・屋上で黄昏てる。後夜祭に出るってよりも、一人で劇の余韻を感じていたいと思ったから)


男(そうしていれば、何かを思い出させてくれる気がして)


男(劇の途中に、一つの光景が頭をよぎった。転校生によく似た誰かが、転校生と違う衣装で、あの舞台に立っていた・・・)

男(その光景はきっと大事なことだ・・・じゃないと・・・)


男(こんな複雑な気持ちには、ならない筈だ)



「・・・こんな所にいたのね」

男「・・・転校生か」

転校生「劇終わって、いつの間にかいなくなったと思ったら・・・まったくあんたは」

男「悪いな・・・ちょっと考えたい事があってな」

転校生「もう考え事してる余裕なんてないわよ。後夜祭始まるから急がないと」

男「俺のことは放っておいてくれ・・・しばらくここにいる」

転校生「・・・何言ってるのよ」

男「だから、俺のことは――」

転校生「このバカ・・・」コツン

男「って・・・何だよいきなり」

転校生「行くよ」ギュッ

男「・・・どういうことだ」

転校生「ここまで、私が来た意味分からない?話に聞けば後夜祭では、音楽に合わせてみんなで踊るらしいじゃない」

男「それがどうしたって言うんだ」

転校生「時には二人きりになって手を繋いで・・・ここまで言えば分かるでしょ」

男「だから意味わかんねぇって・・・」

転校生「だから!!私はあんたと・・・」


転校生「――あんたと、踊りたいと思ったのよっ!」


男「―――」

転校生「だから、あんたのこと探し回ったって言うのに・・・連れてこうとしたら断るし・・・」

男「――お前って本当にバカだな」クスッ

転校生「えっ、ちょ、いきなり何言い出すのよ」

男「そんなに、俺と踊りたいか」

転校生「ま、まぁ・・・こ、これまでのお礼として・・・」

男「・・・ま、いいか。踊ってやるよ。ただしここでな」

転校生「は、はぁ?みんなの所戻りましょうよ、せっかくの後夜祭なんだし・・・」

男「ここにいたって音楽は聞こえる。それにここなら、二人きりだ」

男「俺達二人だけの空間、それもいいと思わないか?」

転校生「ちょっ・・・べ、べつにいいけど・・・」カァァ

男「ったく・・・お前は素直じゃねぇな」

転校生「ぅるさい・・・そ、そう言うあんたは、しっかりと私をエスコートしてくれるんでしょうねぇ?」

男「任せろ、経験は無い」

転校生「なら、私に合わせることね」

男「・・・はいよ」

~♪


転校生「・・・手出して」

男「・・・おう」ギュッ


男「・・・なぁ、転校生」

転校生「・・・なに?」

男「どうだった・・・努力の先にあるモノは」

転校生「そうね・・・すごく楽しくて、心が満たされていった・・・そんな感じ、かな」

男「・・・そうか」ニコ


男(・・・嫌な気持ちはどこかに忘れていた。・・・転校生が忘れさせてくれた)

男(・・・お前とこうやって踊っている時間は充実していて、転校生以外のことはなにも考えられない)


男(それほどに、転校生は俺の中で大きくなっていたんだと実感した―――)

~~~~


~病室~


男「・・・こんにちは」

転父「おぉ、男君。よく来たね」

男「文化祭に向けて集中していたので・・・伺えなくて申し訳なかったです」

転父「いや、いいんだ。それが私の願いでもあったからね・・・」

転父「それと見たよ、君達の演劇。とても素晴らしかった」

男「あ、ありがとうございます・・・ただ、主に良かったのは転校生の方ですけど・・・」

転父「何を言うんだ男君。君もとても良かったよ・・・演劇だけでなく、よく娘を助けてくれた」

転父「感謝するよ・・・ありがとう」

男「そ、そんなっ!俺の演技は転校生に比べたらあんまりですし、それに少し声をかけたぐらいで・・・」

転父「・・・転校生があの後、私に謝ってきたんだ。その時にたくさん聞いたよ。君のしてくれた事を」

転父「君が転校生を立ち直らせてくれたのも、全部ね」

男「そうだったんですか・・・」

転父「・・・ところで、男君。ウチの娘はどう思っているんだい?」

男「それってどういう意味でですか?」

転父「モチロン、異性として恋愛対象に入るかどうかだよ」

男「・・・ちょ、親父さん、それはあんまり話すべきことじゃないかと!」

転父「・・・転校生は駄目ということかい?」

男「そ、そういうことではなくて・・・そ、そうだ!あいつは、仲のいい友人です!」

転父「・・・そうかい」ニコ

男「じゃ、じゃあ、今日はここらへんで失礼します」

転父「うん。また来ておくれ」

男「はい、それでは・・・」

転父「・・・男君」

男「はい・・・?」


転父「・・・決して、後悔するような選択をしないでほしい」


男「・・・えっ」

転父「・・・ただの年寄りの独り言だよ。あまり気にしないで」

男「は、はい・・・」

~~~~


男「・・・パーティー?」

男(季節は流れ12月。寒さも厳しくなってきて、ようやく冬本番かという時)

男(転校生がいきなり、パーティーをするとか言い始めやがった)

転校生「毎年、クリスマスにやってるんだけど・・・せっかくパパも退院したし、そのお祝いも含めてって事で」

男「それって家族の時間を壊したりしないか?」

転校生「そんな事ないわよ。毎年たくさんパパとママの友達来るし」

男(そういえば転校生の家って、結構な金持ちだったか・・・)

男「・・・ならいいか。行く、そのパーティー」

転校生「ホント!?・・・女ちゃんとかも呼ぼうっと」

男「・・・何か俺で試したみたいじゃねぇか?」

転校生「仕方ないじゃない・・・友達誘うの初めてで・・・あんたなら、大丈夫な気がして」

男(それって、信用されてるって理解でいいんだよな・・・?)

転校生「あと、あんたには手伝ってほしい事があるし・・・」ボソッ

転校生「じゃあ、女ちゃん所に行ってくるっ」

男「お、おう」

転校生「女ちゃーん!クリスマスパーティー来ないっ?」

「「「!!」」」

女「あの、転校生ちゃんちょっと声大きいよ・・・」

「そのクリスマスパーティー、この俺も参加させてもらおう!」

男「そ、その声はっ・・・!」

石井「そう、俺この石井がッ!クリスマスパーティーに参加するゥ!!」ババーン!!

石井「・・・いいよね?」ボソッ

「なら俺も!!」「私もいきたーい!!」「いいねー!!」


男(なにやら大変な事になったぞ・・・?)

~~~~


―帰り道―


転校生「・・・なんでこんな事になったのかしら」

男「お前が大声で叫ぶからだろ」

男(・・・結局、クリスマスパーティーにクラスメイトのほとんどが参加ということに)

男「人は多いほうが賑やかでいいんじゃないか?」

転校生「元から人多くて賑やかなのよ・・・」

男「まぁ、どうこう言っても仕方ない・・・どうせ後少しでクリスマスだしな」

男「それに・・・俺をこうして帰りに誘ったって事はなにかあるんだろ?」

転校生「・・・また、お菓子づくり手伝ってくれないかなって」

男「またって・・・前も手伝った覚えは無いんだが」

転校生「荷物持ってくれたりしたじゃない。あと今回は味見とかもしてほしい・・・かなって」

男「いや、お前の料理は美味いから味見とかいらないと思うが・・・」

転校生「と、とにかく!明日ウチに来て!」

男「明日って、クリスマスイブだけど・・・予定ないのか?」

転校生「そういうあんただって無いでしょ」

男「言うなよ・・・悲しくなるじゃねぇか」

転校生「だから私が誘ってあげてるんじゃない。感謝しなさいっ」フン

男「・・・自分の事、棚にあげてないか?」

~~~~


ピンポーン

男「・・・」

ガチャ

転校生「さ、入って入って」

男「おう」

男「おじゃまします・・・」

転校生「それじゃ、ついてきて」


転校生「・・・」

男(・・・何で自分の家なのにこんなに服に洒落たモン着てるんだよ)

転校生「・・・ん?どうかした?」

男「いや、何も無い・・・それで、俺は今から何を?」

転校生「まずは・・・ちょっと色々仕込みしてから買い物行こうかなーって」

男「了解・・・じゃあ、お前の指示に従うぞ」

転校生「とりあえずこんな所でいいかな・・・」


男「・・・意外と大変なんだな、洋菓子作るのって」

転校生「まぁね。私が凝り過ぎってこともあるけど」

男「だろうな・・・俺、料理でこんなに苦労するのは初めてだわ」

転校生「慣れれば簡単な物よ・・・そろそろ行こっか買い物」

~~~~


男「うげぇ・・・なんだこの人混みは」

転校生「今日はクリスマスイブよ?逆に今日賑わってないショッピングモールってあると思う?」

男「そのイブにパシられる俺はどうなんだか・・・」

転校生「今日しか暇なかったんだから仕方ないじゃない」

男「だよなぁ・・・それじゃ、早く終わらせて帰ろうぜ」

転校生「・・・そうね」

ザワザワザワザワ

男「・・・」

男(・・・イブとだけあって人が多くて、ここにいるのが嫌になるがそれ以上に・・・)

転校生「・・・」

男(周りの奴らが転校生のこと、ジロジロ見るんだよな。・・・確かに綺麗だしな)

男(転校生が見られるって事は俺も自然に見られるわけで・・・男女が二人でクリスマスイブに買い物・・・)

男(・・・要はカップルみたいに見られてるんだろうな。そう思うと無駄に緊張してきたぜ・・・)

男(その効果って言うのか分からねぇけど、転校生がまた一段と魅力的に見えるし・・・転校生をより意識してしまう)

男(・・・ってそんな事考えてる場合じゃねぇだろ)ブンブン

転校生「・・・どしたの、突然頭振り出して」

男「なにもない・・・なにもないんだ」

転校生「・・・?」

~~~~


転校生「んーーーーーっ!これで終わりね・・・」

男「意外と早く済んだし、荷物も少ないな」

転校生「本当に無いものだけを買いにきただけだからね。・・・それと、さ」

男「ん・・・?」

転校生「時間もあるし・・・ちょっと寄り道しましょ。せっかくここまで来たんだから」

男「・・・そうするか。どこに行くか?」

転校生「まずは・・・あのお店に行きたいな」

転校生「かわいいーっ!!見て、このくまさんの目!すごく可愛くない!?」

男「・・・普通にダメなおっさんみたいな顔にしか見えないんだけど」

転校生「それがいいんじゃないっ!あぁ~コレクションの一つに加えたいぐらいだわ・・・」

男「そういえばお前の部屋ってぬいぐるみ結構置いてあるよな・・・初めて行った時はビックリした」

転校生「なにそれ、私に可愛い趣味は似合わないって言うの?」プンスカ

男「違うって。意外とそういう趣味あって、その・・・お前もちゃんと女子やってるんだなーって」

転校生「違わないじゃないっ!」

~~~~



男「・・・結構回れたな。まだ、他に行きたい店はあるか?」

転校生「うーんと、特にはないけれど・・・」

グゥゥゥ~

転校生「―――」カァァ

男「・・・なら、ちょっと腹満たしに行くか。お前の腹はそれを望んでるみたいだしな」

転校生「鳴ってないっ!お腹なんか鳴らしてないんだからっ!」カァァ

男「はいはい・・・我慢すると、また恥ずかしい思いするぞ」

転校生「お、お腹なんか減ってないし・・・」

男「・・・本当か?」ジロリ

転校生「ほ、ほんとうよ・・・」

男「・・・」ジロジロ

転校生「・・・あぁー!減ってます!お腹減ってるから行きましょ!そ、それと・・・」

男「なんだ?」

転校生「・・・あ、あんまり見られるの、恥ずかしい・・・から・・・」カァァ

男「―――・・・あぁ、悪いな。そんなつもりは無かったんだが」

転校生「まったく・・・バカ」

~~~~


―カフェ―


男「ふぅ・・・さて、何食べようか」

転校生「う~~~~~~~~~ん・・・」

男「どんだけ唸るんだお前は・・・」

転校生「よし、決めたっ!男は?」

男「俺もいいぞ」

転校生「すみませーんっ!」


「ただいまお伺いします」

転校生「これと、これと・・・あとこれくださいっ!」

男(やっぱ食べ過ぎだろお前・・・)

男「えっと、これと・・・コーヒーを一つ」

「かしこまりました・・・」

「それと、お客様。本日クリスマスイブという事でカップルの方々には特別に写真撮影のサービスを行っておりますが、いかがなさいますか?」

転校生「か、かっぷる・・・」プシュゥゥゥ

男「あ、いや、俺達カップルじゃ・・・「お願いしますっ!」

転校生「お、おねがいします・・・」

男「どういうつもりだ・・・」

転校生「ど、どうせなら記念に撮ってもらったっていいじゃない。ほらっ」

男「・・・仕方ねぇな」


「撮りますよ・・・はい、チーズ」

~~~~


―帰り道―


男(長かった一日が終わろうとしている。本当に今日は長く・・・充実した一日だった)

男(・・・隣で歩いてる転校生のお陰なんだろうな。感謝しないとな)


男「・・・ありがとな。今日一日楽しかった」

転校生「と、突然どうしたのよっ。ま、まぁ・・・私も楽しかったけど?」

男「いや、何か礼は言っといたほうがいいと思って・・・変だったか」

転校生「普通はそうだけど・・・あんたにしては変かも」クスッ

男「うるせ。俺も例ぐらいは言えるわ」

転校生「そうだったけ?・・・あの公園って」

男「あの時、お前が逃げた公園だな」

転校生「それはいいからっ・・・ねぇ、寄ってかない?」

男「・・・そうだな」

―公園―


転校生「よいしょっと。ほら、あんたも座りなさいよ」

男「ああ。・・・懐かしい感じだな。お前がここに逃げてきたのっておよそ一ヶ月ちょっと前ぐらいだったか?」

転校生「そうだと思うわ・・・そういえば何で私ここに来たんだっけな」

転校生「気づいたらここにいたって感じで・・・何も覚えてないのよね」

転校生「・・・ねぇ、どうして男は私を見つけることができたの?」

男「・・・なんていうか、お前がここにいる様な気がしてな・・・俺も気づいたらここにいたんだよ」

転校生「なにそれ・・・じゃあ、私達がここに来たのは運命だって言うの?」

男「かもな。じゃないと他に理由が見つからない・・・と思う」

転校生「そっか・・・運命か」


転校生「・・・あの日、男が私の事を見つけてくれなかったら・・・きっと、今頃こんなに幸せになれなかった」

男「・・・」

転校生「男が私を見つけて、そして支えてくれた・・・だから演劇も成功した。みんなで一つの物を作り上げるのがこんなにも素晴らしいんだって学ぶことができた」

転校生「みんなを笑顔にすることができるんだって、分かった」


転校生「――ありがとう、男」ニコッ


男「―――」


男(その笑顔は俺がずっと求めていたもので・・・)


男(―――・・・一番の宝物だった物)

転校生「・・・あっ、雪・・・」



男(雪の中で舞う彼女は・・・とても綺麗で、見惚れるには充分すぎるほどで)


男(何よりも・・・こんなに近くにいる彼女を愛おしいと思った)


転校生「綺麗・・・ホワイトクリスマスよ」

男「・・・なぁ、転校生」


転校生「ん・・・?なぁに・・・?」


男「俺、お前の事が好きだ」

転校生「うん・・・・って、えっ?」


男「お前のガサツで暴力的な所、だけど趣味は可愛らしい所とか、結構強がりだけど・・本当は弱虫な所」

男「あとは、些細な事で照れたり・・・誰よりも努力出来る所も・・・お前の全部、全てが好きだ」


男「―――俺と、付き合ってくれ」


転校生「・・・うそっ・・・」ウルッ

転校生「・・・うんっ、私もあんたが好きっ・・・男のことが・・・好き」

男「・・・そうか。なら」

転校生「うん、うんっ・・・これからは、彼女として・・・よろしく・・・」

男「ああ。こちらこそ彼氏としてよろしくな」

転校生「うんっ。うれしい・・・」

男(出会いは最悪だったし・・・その経過もあまりいいものだとは言えなかった)


男(けどその中で彼女の良さを見つけることができて・・・そして彼女にのめり込んでいった)


男(きっと、俺達が付き合うの運命だったのだと、俺は思う)


男「・・・きっと、こうなるのも運命だったのかもな」

転校生「・・・そうかも、だから」


転校生「――これから先も一緒に、近くにいることが運命なんだからねっ」


男「・・・ああ。分かってる」

~~~~



男「さて、いよいよパーティーのはじまりだな」

転校生「・・・どうする皆に付き合ってるってこと言う?」

男「別にいいんじゃないか?その内分かることだろうし・・・」

転校生「そっか。うぅ、なんか緊張してきたな」

男「何を緊張するんだよ・・・」

転校生「だって、彼氏彼女として人前に出るの初めてだし・・・どうしたらいいか分からない」

男「そんなの、いつもの感じでいいだろ。それが俺達・・・なんだからな」

転校生「・・・そうだよね。うんっ。よし、行きましょ!」

男「ああ。行こうぜ」


男「・・・転校生」

転校生「なに、男?」


男「今日も、これからも、目一杯楽しんでいこうぜ」

転校生「当たり前じゃないっ。私たちはまだ、始まったばかりなんだから」

男「・・・おうっ」











男「パンツ見せてください」転校生「バ、バカじゃないの!」


           ~終わり~

今回にて"転校生"ルートは終わりです。あとはオマケと・・・ってな感じです。

何はともあれ、ここまでありがとうございました。完結まであともう少しです。
なのでそこまでまだまだお付き合いしてくださったら幸いです。


遅い時間に投稿してはいけない(戒め)










転校生「やくそく」










男(転校生と付き合ってから早3ヶ月。時間を増すごとに俺らの仲は深まっていって)

男(それはまるで昔からずっと一緒にいたかのような・・・そんな事まで感じていた)

男(そんでもって転校生の家と家族のぐるみの付き合いにまで発展していって・・・今日も転校生の家に来ていた所だった)


男「やっぱうまいな。お前の作るモンは」モグモグ

転校生「フフン。可愛くて、料理ができる彼女とかほんとスペック高いよねー私」

男「たまにポンコツなこともあるけどな・・・」

転校生「う、うるさいわよっ・・・!そ、そういえば」

男「なんだよわざとらしく・・・」

転校生「結構前にさ、部屋掃除してたら気になるもの見つけて」

男「気になるもの・・・って?」

転校生「ちょっと待って・・・あった」

男「ん?ただのアルバムだな・・・これがどうかしたのか?」

転校生「一番最後のページ見て」

男「最後ねぇ・・・え」

転校生「これ小さいころの写真だと思うんだけど・・・この子、男に似てない?」

男「・・・ど、どういうことだ」

転校生「それが私にも分からなくて・・・」


男「―――ッ!!」グラッ


転校生「ちょ、男、大丈夫?」


男「あ、ああ・・・。・・・ッ!!」

『わたしは――。あんたのなまえは?』


『うんっ、やくそく。ずっといっしょにいる!』


『お、女・・・です。よ、よろしくおねがいします・・・』


『私達は、三人で幼馴染なんだから、ね?』


『行きましょう。私達の物語を、始めるの』


『男君は・・・私の憧れだから・・・』


『ずっと・・・ずっと好きだった・・・でもっ・・・!』


『行かないと・・・私、男君の事嫌いになっちゃうから』


『私達は三人で幼馴染、でしょ?』


『大丈夫・・・男だけじゃない、女やパパ、ママ・・・みんな応援してくれてる』


『・・・すぐ帰ってこれるように頑張る。早く、男に会えるように』


『ねぇ、なんで?なんでそんな事言うのよぉ・・・』


『そんなの、分かるわけ無いっ・・・!そんな事、考えたくもないっ・・・!』


『俺達は、きっと近すぎた。それがダメだったんだ・・・』



『あの頃には・・・戻れない。後悔なんて・・・もう、しない』

『どんな事があっても大切な人との思い出を忘れては駄目・・・絶対に』


『距離なんか関係無いんだよ。近すぎたから悪かった事なんて一つもない』



『だから、思い出して』



『私達のもう一人の幼馴染』


『そして、男君・・・あなたの大切な人の事を・・・』














          『あなたの恋人で私の一番の友達、幼馴染との日々を』






























                   男(そして俺は、全てを思い出す――――)





                       





                        to be continued...

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