幼馴染「ほんとうのはなし」(540)

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キリがいいので次スレにしました。

パンツ最終章です。シリアス注意・・・かもしれない。

ただ歩いていた。


どこに向かうわけでも無く。ただ、歩き続けていた。


気づいたら、街の中心部まで来ていた。


何やら、カップルが多いようだ・・・。そうか、今日はクリスマスイブだったな。


幼馴染と付き合い始めたのも、この日だ。


・・・まぁ、そんな事思い出してもどうにもならないんだが。


―――今更後悔しても、無駄なだけだ。

歩みは止まらない。


どこを目指しているのか分からない。


それでも、俺は歩き続ける。


・・・周りが騒ぎ始めたな、何かイベントでも始まるのだろうか・・・。


けれど、周りを見渡してもそんな様子は見られない。


しかし、視線は俺の方を向いている事だけは分かった。

「おい!なんで道路に出てるんだよ!早く戻ってこい!」「信号赤だよ!」


ははっ、何を見てるんだよ。どうせ笑ってるんだろ。惨めな奴が一人で歩いてるって。


「ははは・・・」


乾いた笑いが出る。もう、どうしようもないくらいに俺は惨めだった。


キィィィィィ!!


「お、おい!あぶねぇぞ!!」「きゃあああああああ!!」


幼馴染・・・。


お前は今の俺を見て、どう思うんだろうか・・・?

―――――――

――――

――



「・・・おかあさん、どっかいっちゃったな」

「どうやって、あそぼうかな・・・」

(ひとりじゃ、なにやってもつまんないな・・・)


「・・・あんた、なにしてるの」

「・・・それってぼくのこと?」

「そうよ・・・あんたいがい、このこうえんにはだれもいないじゃない」

「あ、そっか・・・で、なに?」

「その、わたしといっしょにあそばない?」

「うんっ!!ちょうど、だれかいないかさがしてたところなんだ!!」

「きみのなまえは?」

小幼「わたしは幼馴染。あんたのなまえは?」

小男「ぼくは男!よろしくね!幼馴染!さっそくすなばであそぼうよ!」

小幼「あ、まってよー!」

~~~~


小男「できた・・・」

小男 小幼「「できたーっ!!」」


小男「おしろだ・・・!おしろができたよ!」

小幼「うんっ!ふたりでやれば、はやくできたね!」

小男「幼馴染のおかげ・・・ありがとうっ幼馴染!」

小幼「あ、うん・・・」

小男「・・・?どうしたの?」

「幼馴染ーっ!家に帰るよーっ!」

小幼「・・・ママがむかえにきた」

小男「そっか・・・じゃあ、またあした、あたらしいおしろをつくろう!」

小幼「う、うんっ。またつくろう!」

小男「やくそくだよっ!」

~~~~


小男「よいしょっ、よいしょっ・・・」

「男~~~~!」

小男「あ・・・幼馴染っ!」

小幼「きたよっ。じゃあ、またつくろっか!」

小男「うんっ!」

~~~~


小男「きょうもたのしかったな・・・」

小幼「うん・・・きのうよりも、すごいおしろができた」

小男「じゃあ・・・あしたは、もっともっとすごいおしろをつくろう!」

小幼「でも、あしたはくるのおそくなるかも・・・」

小男「だいじょうぶ!いつまでも幼馴染のことまってるから!」

小幼「・・・わかった。じゃあ、あしたもくる」

小男「やくそくだよ!ほらっ」

小幼「・・・?」

小男「ゆびきりだよ。しらない?」

小幼「ゆ、ゆびきるなんてこわいよ・・・」

小男「ゆびなんてきらないよ。ただおまじないをするだけだよ」

小幼「おまじない・・・?」

小男「そう!ぜったいに幼馴染がすなばにきてくれるっておまじない」

小幼「へぇ・・・じゃあ、しよう。おまじない」

小男「うん・・・ゆびきりげんまん、うそついたらはりせんぼんのーますっ。ゆびきった」

小幼「やぶったらはりせんぼんものまないといけないの?」

小男「そうだよ。だからそのためのおまじないだよ」

小幼「・・・じゃあ、またあしたね!」

小男「うんっ!ばいばいっ!」

~~~~


小男「よいしょ・・・よいしょ・・・」

小男「・・・おそいなぁ、幼馴染」

小男「よし・・・こうなったらすごいおしろを作って幼馴染をビックリさせよう!」

小男「よいしょ・・・よいしょ・・・」

小男「・・・よしっ、あとすこしだ」

小男「・・・まだこない。どうしたんだろう」

小男「もっとすごいおしろつくろうっていったのに・・・」

小男「・・・よいしょ・・・」

男母「・・・男、いつまで公園にいるんだ。早く帰って来い」

小男「・・・やだ」

男母「もう周り暗くなってきて、怖いお化けがきちゃうよ?」

小男「・・・それでも・・・いやだもん」

男母「どうして?お城はもう出来てるじゃん」

小男「やくそくしたんだもん・・・幼馴染の事を待つって」

男母「・・・わかった。ただし、お母さんもここにいるから」

小男「・・・うんっ!」

小男「・・・」

男母「・・・男、もう幼馴染ちゃんは来ないよ。こんなに暗くなったのに来るはずがない」

小男「くるよ・・・幼馴染はぜったいにくる」

男母「・・・」


「・・・うそ・・・」


小男「あ、幼馴染っ!」

小幼「なんでまだいるのっ!あぶないでしょ!」

小男「だいじょうぶだよ・・・それよりみて、きのうよりもすごいおしろ。ぼくがひとりでたてちゃった」

小幼「・・・なんで、かえらなかったの」

小男「だって、やくそくしたから。幼馴染のことまってるって」

小男「じゃないと・・・ぼくがはりせんぼんのまなきゃいけないもん」

小幼「―――」

小幼「・・・ごめんなさい。やくそくまもれなくて」

小男「・・・?なにいってるの幼馴染。幼馴染はやくそくやぶってないよ」

小男「やくそくどおり、こうえんに来てくれたし」

小幼「・・・おとこ・・・おとこぉ・・・」ウルッ

小男「あれ、ごめんっ!なにかわるいことしたかな・・・?」

小幼「ちがうよ・・・うれしい・・・」

小男「え・・・?」

小幼「男がかっこよくて、やさしいから・・・うれしくてないちゃった」

小男「え、えええええええ!!」カァァ



幼父「・・・すみません。こんな時間まで待たせてしまって」

男母「いえいえ全然・・・うちの子がどうしても待ってるって言うんで」

幼父「いいお子さんだ・・・どうかこれからもよろしくお願いします」

男母「いえいえ、こちらこそ・・・」

今回はここまで。

こんかいも落ちないようにがんばります。

~~~~


小男「幼馴染、きいてー!きのう、となりにあたらしいひとがひっこしてきたんだ!」

小幼「それがどうしたの?」

小男「じつは・・・ぼくたちとおなじとしのこがいるみたいなんだ!」

小幼「へぇ・・・それだけ?」

小男「ち、ちがうよ・・・そのこもいっしょにあそべないかな」

小幼「どうだろうね・・・」

小男「だって、こっちにきたばかりでともだちいないとおもうんだ・・・」

~~~~


「・・・」

小男「・・・あれは」

小幼「あのこはじめてみる・・・」

小男「あのこだよ!このまえはなした!」

小幼「・・・いこう」

小男「うんっ!」

小幼「ねぇ、もしかしてひとり?」

「・・・っ。・・・はい」

小幼「じゃあ、わたしたちといっしょにあそばない?」

小男「そのほうがおもしろいよ!」

「・・・ぁ」

「・・・い、いいよ」

小幼「やった!!じゃあ、じこしょうかい。わたしは幼馴染」

小男「ぼくは男。よろしくっ!」

小女「お、女・・・です。よ、よろしくおねがいします・・・」

小幼「ほら、いこう?」

小女「・・・う、うんっ!」

~~~~


男「・・・わー、ここががっこう・・・」

幼「ついにわたしたちもしょうがくせいになるのね」

女「さくら、きれい・・・」キョロキョロ

男「・・・ぼくたちこれからもいっしょだよね」

幼「あたりまえじゃない!」

女「うん・・・」


男母「おーいっ、みんな写真撮るよー」


男母「はい、笑ってー!はい、チーズ!」パシャ

~~~~


男「やったー!おなじクラスだ!」

幼「そうだね!よろしく!男、女」

女「ぁ・・・よ、よろしくね」

男「あ・・・」

「・・・」

男「・・・きみ、かっこいいね」

「は、はぁ?なんだよいきなり」

男「ぼくとともだちになろうよっ!!」

「な、なんだよ!いきなり・・・」

男「ぼくは男!きみのなまえは?」

友「と、友・・・」

男「じゃあ、友、さっそく幼馴染と女のところにいこうっ!」

友「お、おれはねえさんとやくそくが・・・」

男「それはまたあとで!」

~~~~


幼「・・・いぇーい!いちばーん!」

女「はぁ・・・はぁ・・・幼馴染はやいよぉ・・・」

幼「フフン。あしのはやさはじしんあるもん」

友「・・・やっぱすごいなぁ、幼馴染さん」

男「むかしから、うんどうはなんでもできるんだ幼馴染は」

友「なんで、男がじまんしてるんだ・・・」

「友ー」

友「・・・げっ、姉さん」

会長「私との約束を破って・・・どういうつもりかしら?」ゴゴゴゴゴ

男「こ、こ」

(((こわい!!)))

~~~~


男「・・・友、うしろにいるのってだれ?」

「・・・」ジー

男(なんだかにらまれてるなぁ・・・)

友「ああ。こいつは姉さんの妹だよ」

後輩「・・・どうも」ペコリ

男「あ、うん。ぼくは男、よろしくっ」

後輩「・・・お兄ちゃん、わたしこのひとにがてかも」

男(いきなりきらわれた!!)

男「・・・」ズーン

友「あ。おい、男落ち込むな・・・」

~~~~



幼「ねぇ、今日は私の家であそぼーよ」

男「ん、おっけー。女は?」

女「うん。私もいいよ」

幼「よーし、今日こそ男にマ●カで勝つよ!」

男「望む所だ。まぁ、それでも・・・」

男「女には勝てないんだけどな・・・」

女「・・・えっ、私?」

~~~~


男「中学生だああああああああああああああああ!!」


幼「うるさい」バシッ

幼「中学生にもなるのに・・・ほんとバカだわ」

女「あはは・・・」

男「いってぇな!お前後で覚えてろよ!」

幼「フン。どうかしら・・・」


女「そ、そろそろクラス見に行こう・・・?」

男「げっ・・・」


幼「」プークスクス

女「男君だけ違うクラスだね・・・」

男「うるせー!いいし、友いるから!」

男「俺がクラスいない事を後悔させてやるぜ!!」

女「・・・大丈夫かな。もし、離れ離れになったりしないよね・・・」

幼「別に、クラス違くても遊ぶ事とかはできるでしょ」

男「・・・だな」

幼「それに・・・」

幼「私達は、三人で幼馴染なんだから、ね?」

女「・・・うんっ」

男「ああ・・・」

~~~~



女友「・・・え、えぇ!!」

幼「ビ、ビックリした・・・」

女「ど、どうかしたの・・・?」

女友「二人ともめっちゃかわいい!!一緒に演劇やろっ!」

幼「あ、いやぁ・・・部活はまだ考えてないんだ」

女「あはは・・・私もかな」

女友「じゃ、じゃあ!私と友達になりましょ!」

幼「それなら全然いいわよっ」

女「うん。私は女、あなたは?」

女友「私は女友。演劇に恋する乙女よっ!」

幼 女((なんだか強烈な人だ・・・))

~~~~

友「男ー、今日ちょっとあそこ行こうぜ」

男「ああ。いいぞー」

幼「男ーっ」

女「・・・」

男「・・・げっ」

ザワザワザワザワ

幼「一緒に帰ろー」

オサナナジミサンカワイイナー イヤ、オンナサンノホウガ・・・

男「わりー、今日は友と約束したから、また明日な」

幼「ったく・・・それじゃ」

女「じゃあね、男君」

男「おう・・・」


友「お前も罪作りな男だなー」

男「な、なんのことだっ!早く行くぞ!」カァァ

~~~~


―幼馴染の部屋―


女「久し振りだねぇ・・・三人で遊ぶの」

男「そりゃ、中学生だとなー。それぞれあるだろ色々と」

幼「・・・主にあんたが原因でしょうが」

男「あれ、幼馴染。準備とやらは終わったのか?」

幼「ええ。・・・じゃじゃーん!」

女「こ、これは・・・」

男「チーズ・・・ケーキ・・・・?」

幼「うん。初めて作ってみたんだけど・・・まずは、二人に食べてもらいたくて」

男「へぇー幼馴染がお菓子作りねぇ・・・砂とか入れてねぇだろうな」

幼「入れてるわけ無いでしょ・・・」

女「たしかに小さい頃は砂のお城ばっかり作ってたもんね」

幼「そうそう!男ったら、『すごいおしろをつくるんだ』とか言って・・・あの頃が懐かしいわ」

幼「それで今となったら・・・純粋な男はどこにいったのかしら」ハァ・・・

男「今でも純粋ですから、幼馴染さん?」

女「・・・そういえば、男君ちょっと最近いじわるかも。あんまり私達と一緒にいようとしないし」

男「そ、それはだな・・・ええい!とりあえずチーズケーキ食べるぞ!」

幼「流した・・・」 女「流したね・・・」

男「うるせぇ!男子ってのは色々と事情があるんだよ!いただきますっ!」

幼「クスッ・・・めしあがれ」

女「いただきます・・・んっ!」

男「う、うめぇ・・・」 女「おいしい・・・」

男「幼馴染!これめっちゃうめーぞ!」

女「そうだよ!すごい・・・お店のもの食べてるみたい」

幼「ほ、ほんと?よかった・・・」

男「意外と才能、あんだなお前」

幼「・・・意外ってのは必要ないと思うのだけれど」

~~~~


男「うげぇ・・・俺、また一人かよ」


幼「ギャハハハハハハ」

女「幼馴染笑いすぎじゃない?」

幼「だって・・・また、男だけ違うって出来過ぎでしょ」

幼「去年、あんだけ言った割にはあんまりクラス違うからって何も無かったし」

男「・・・俺が後悔してるぐらいだしな」

女「ま、まぁ・・・ということで今年もよろしくね」

男「おう、今年こそはこいつに吠え面かかせてやるぜ」

幼「できるものならねぇ・・・」


「・・・」

~~~~


ギャル「・・・ほんと、気にいらないよねーあいつ」

「そ、そうかな・・・」

ギャル「んだよ、あいつ自分が可愛いからってさー・・・むかつく」


幼「・・・」ギロッ

女「・・・幼馴染?どうかしたの?」

幼「ううん、何もない。ったく男ったらまた逃げて・・・」

女「しょうが無いよ。男君にだって他の友達がいるんだし」

幼「だからって3日連続は無いでしょ。あーイライラするー!」

~~~~


「・・・ねぇ、こんなことして大丈夫かな」

「そうだよ・・・女には幼馴染さんが」

ギャル「あぁ?あいつがどうしたって言うんだよ。あいつもどうせ調子に乗ってるんだろ・・・どうせならあいつのも」

「――そこまでにしときなさい」

ギャル「・・・は」

幼「あんたらねぇ、裏でこそこそとやってて恥ずかしくないわけ?」

ギャル「お、幼馴染!なんでお前が!」

幼「ここ最近、ずっと女の悪口言ってたよね・・・バレてないとでも思った?」

ギャル「う、うるせぇ!あんたに何が分かるって言うんだ!」

幼「分かるわけないじゃない。あんたと私は違うし・・・」

ギャル「お前のその態度も気に入らねぇんだよ・・・」

「ギャルちゃんもうやめよ・・・」

ギャル「あ?ここまで舐められてて引き下がれっていうの?」

幼「・・・一つだけ言っておく」

幼「私の事はいくらバカにされても構わないけれど、私の親友を傷つける人は・・・」

幼「――誰だろうと、許さない」

~~~~


男「はぁ?停学ぅ?」

幼「・・・喧嘩したのよ」

女「幼馴染、大丈夫?幼馴染になにかあったら・・・わたしっ・・・」ウルッ

幼「・・・大丈夫。私はほとんど無傷だし」ナデナデ

男「男みてぇなやつとは思ってたが、まさか喧嘩するとは思わなかったぞ」

幼「・・・あんたもぶち殺されたい?」

男「ごめんなさい」

女「」ウワァァァァン

幼「・・・」ナデナデ

幼(・・・これでいいよね)

~~~~


男「あぁ・・・来年には受験かぁ・・・めんどくせぇ・・・」

女「男君が普段から勉強すれば、そうはならないと思うんだけど・・・」

幼「そうそう。これが日頃の行いってやつよ」

男「二人共余裕そうで・・・」

幼「・・・お、男はどこに行きたいと思ってるの?」

男「理想としては◯☓高だな・・・。近いし、学力もいいし」

男「ただ、今のままだと夢のまた夢だよなぁ・・・」

女「なら、幼馴染。私達で教えてあげようよ。私達も◯☓高いいよねって話だったし」

幼「仕方ないわね・・・。これからは女と私でビシバシと鍛えるからね」

男「・・・お手柔らかに」

~~~~


男「・・・あった!!あったぞ!!」


幼「ほんと!?」

女「よかったぁ・・・」

男「これでまた、三人一緒だな・・・」

幼「もうここまで来ると腐れ縁よね・・・」

女「腐ってはないと思うけどなぁ・・・」

男「よっしゃ!今日はさわぐぜぇ!!行くぞ幼馴染、女っ!」

とりあえずここまで。
夜にまた投下できたらしますねー

~~~~


「えー、なのでこれからは高校生としての自覚を持って――」


男(季節が変わるのは早い)

男(この前まで雪が積もっていたと思えば、もう桜が咲き始めている)

男(人生なんてそんなものだ。気づけば時は過ぎていて、何かが始まる。常に移り変わっていく)

男(・・・そんな中でも変わってほしくないものもあるが・・・。何はさておき、今日から俺達は)

男(高校生として、歩みはじめる)

~~~~


幼「・・・」

男「・・・」

女「・・・遂に全員が違うクラスになったな」

幼「ど、どうしよぉぉ女ぁぁぁ!私、友達できるかなぁ!?」

女「幼馴染なら大丈夫だと思うよ?」

女「私とずっと一緒にいたから気づいてなかったかもしれないけど、結構幼馴染の周りって人が集まるんだよ」

幼「そ、そうだっけ・・・。でも女は・・・」

女「私は大丈夫。女友ちゃんもいるし、まぁ友君もいるから」

幼「・・・そう考えるとあんたは悲惨ね」

男「・・・あんまり言うな。今本気で悩んでるから」

女「困った時には私達の所に来ればいいんじゃないかな・・・?」

男「今の俺の救いは女だけだ・・・」

女「え、えぇ!?」カァァ

幼「はいはい、茶番はここまで。もうすぐ時間よ。初日から遅刻すると男が可愛そうだしぃ?」

男「お前も状況は同じだからな・・・じゃあ、また後でな」

女「うん。またね」

幼「じゃあね~」

~~~~


男(とまぁ・・・あんだけ言ったものの・・・)


男(かなり不安なんだけど!!どうすんの俺っ!!)

ガヤガヤガヤガヤガヤ

男(・・・見た感じ、みんな知り合いなのか?ってぐらいに喋ってるし・・・)

男(見た所、まだ一人なのは・・・俺とあそこで寝てる奴と、馬鹿騒ぎしてる変な奴と・・・)

男(俺の隣で寝てる女だけ。・・・ハードル高すぎだろ・・・)

男(あの一人で馬鹿騒ぎしてる奴には関わりたくないから、必然的にどちらかとなる)

男(席も近いし、隣の人でいいよな・・・。女だろうと関係ない。友達欲しいし)

~~~~


男(とまぁ・・・あんだけ言ったものの・・・)


男(かなり不安なんだけど!!どうすんの俺っ!!)

ガヤガヤガヤガヤガヤ

男(・・・見た感じ、みんな知り合いなのか?ってぐらいに喋ってるし・・・)

男(見た所、まだ一人なのは・・・俺とあそこで寝てる奴と、馬鹿騒ぎしてる変な奴と・・・)

男(隣で寝てる女だけ。・・・ハードル高すぎだろ・・・)

男(あの一人で馬鹿騒ぎしてる奴には関わりたくないから、必然的にどちらかとなる)

男(席も近いし、隣の人でいいよな・・・。女だろうと関係ない。友達欲しいし)

男「・・・あの、ちょっといいすか」

男(もうちょっと、いい言葉浮かばなかったのか俺っ!)

「・・・ん・・・?」

男「何か周りみんな喋ってて・・・えへへ」

男(何でそこで笑うんだ俺・・・絶対引かれた)

男(ってこの人滅茶苦茶綺麗だな・・・ってそんな場合じゃねぇ!)

男(俺の・・・高校生活が崩れていく・・・)

「君は・・・」

男「えっ・・・」

「あれだな、朝入場門で美女二人を侍らせてたモテ男君じゃないか」

男「・・・は、はぁ?」

「あんなに可愛い子達がいるのに私まで侍らせようとするとは・・・欲が強い男だ」

男「侍らせてねぇよ!あれは幼馴染みの二人で・・・」

「随分と幸せ者じゃないか。今までそういう人がいなかった私からしたら羨ましいよ」

「・・・それで幼馴染みの二人とクラスが違く、困った矢先に声をかけたのが私ってわけね?」

男「ま、まあ・・・」

「ちょうど良かった。公立って初めてだから、よく分からなかったんだよねー。友達とかどうすればいいのか」

「だから寝てた訳だけど・・」

男「ということは今までは私立だったのか?」

「そう。ガッチガチのお嬢様学校に閉じ込められてた。窮屈で仕方なかった」

男(容姿はかなり綺麗だけど、お嬢様って感じはしないな)

男「・・・確かに窮屈ってのは嫌だよな。俺も自由な方が好きだ」

「―――」


「・・・君、名前は?」

男「ん?俺は男。お前は?」

「私は黒髪」

黒髪「・・・これからよろしく」

男「ああ。よろしく頼むぜ」




男(ホームルームもつづがなく終わり、危なげなく高校生第一日目は終わりを迎えた)

男「・・・黒髪。お前飯どうするんだ?よかったら、俺達と食うか?」

黒髪「いや、遠慮する。君達の時間を邪魔しちゃ悪いから」

男「そうか。じゃあ、また明日なー」

黒髪「ん、また明日」

~~~~


男(いや、まさか。異性の友達ができるとは・・・。漫画の中だけだと思ってたぜ・・・)

幼「・・・おそい」

女「まさか、男君が一番最後に着くなんてね」

男「その言い方だと、友達できそうにない俺が一番先に来るだろうって感じに聞こえるんだが」

幼「えっ?違うの?」

男「うるせぇよ!俺にだって一人は友達できたわ!」

女「良かったね・・・。とりあえず一人ぼっちは回避だねっ!」ニコッ

男「ああ・・・」

男(満面の笑みで言う女。悪気は無いんだろうけど・・・でも、ちょっとぐさっとぐる)

幼「へぇ・・・友達できたんだ。まー私は、ざっと十人以上はできたかしら」

男「うるせぇな、量より質だ。・・・女はどうだった?」

女「私は女友ちゃんがいるから別に気にする必要ないって」

男「いや、そろそろあの演劇バカから離れても・・・」

女「もうっ、女友ちゃん悪く言うと男君でも怒るよーっ」

幼(・・・女の怒ってる姿かわいい)

~~~~


幼「それでさぁ、サッカ―部のマネージャーとかいいなぁって思ったんだけど・・・どう思う?」

男「別にいいんじゃねーの。お前がどこの部活入ろうと気にしないし」

幼「じゃあ、男と女も入ろうよ!男は昔から結構運動できるから大丈夫だよ!女も一緒にマネージャーやろ!」

男「入るのはパス。サッカー部なんて経験者しかいないような所に俺が入っても無理無理。あと、部活とかめんどくせぇ」

女「私は反対かな・・・。私が入るのも、幼がマネージャーやるのも、両方」

幼「え、なんで?」

女「・・・だって、それじゃあ三人でいられる時間は少なくなっちゃうと思う」

女「それはちょっと嫌かな・・・。ってごめんっ。私がそういう事言うべきじゃないよね・・・」

幼「・・・やっぱ、やめた。マネージャーやるの」

男「選手でもやるのか?」

幼「あんたねぇ・・・。女にこんなこと言われたらできるわけ無いじゃない」

幼「私も浮かれたみたい。ありがと、女」

女「う、うん・・・」

~~~~


「そこのお前!ちょっと聞きたい事があるっ!」

男「・・・は?」

男(入学したての教室で馬鹿騒ぎしていた変態野郎・・・)

男「・・・なんの用だ?」

「どうやってあの黒髪美少女と仲良くなったんだーっ!!あわよくばあの人のスリーサイズを――」

「・・・ちょうどいい所に」


男「あ、先輩。こんちわ」

会長「随分ご無沙汰ね男クン。あなたがここに入ると聞いた時は少し驚いたわ」

男「あはは・・・。そりゃどうも・・・」

会長「友は一緒じゃないかしら?」

男「生憎あいつとはクラスも別々になって・・・あいつに何か用でも?」

会長「ええ。昨日頼んだはずの事ができてなかったみたいでね・・・ちょっと文句でも言おうかなって♪」

男(見える。先輩の背後にドス黒いオーラが・・・)

男「そ、そうですか・・・。友ならあっちの教室にいると思いますよ

会長「そう。ありがとう」

男「いえいえ、お構い無く・・・」

男(・・・相変わらず怖い人だ)


石井「・・・俺、完全無視?」

~~~~



「なぁ、あそこのクラスに幼馴染っていうかなり可愛い子がいるらしいぜ!なんでもハーフだとか・・・」

「それなら、あっちにも清楚でいい感じの子がいるって聞いたぞ・・・名前は確か女さんだとか・・・」

「分かる。あの子めちゃくちゃかわいい。この俺が認める程」「せっかくだから見に行こうぜ!」「行こうぜ行こうぜ!」


男(・・・やっぱあいつらってそれなりに人気あるんだな)

黒髪「もしかして今話題になってるのって、君の幼馴染みの子達じゃないの?」

男「・・・っ。いきなり後ろから声かけんな。ビビるだろ」

黒髪「君は興味津々にあそこの男子達の会話に耳を傾けてたからね。隙だらけだった」

男「だとしてもだ。・・・お前から見てもあいつらってかわいいのか?」

黒髪「近くで見たこと無いからはっきりは言えないけど・・・ただ、周りの人とオーラが違う」

黒髪「この私が言うんだから間違いないね。本当、君って幸せ者だよ」

黒髪「可愛い幼馴染が二人もいて、それでもって超絶可愛い私までも友達だなんて・・・君はいつか男子に殺されるんじゃないかな」

男「・・・気をつけるわ」

黒髪「それはそうと、次の授業宿題出てたけど・・・やった?」

男「・・・あっ」

~~~~


男(また黒髪に世話になっちまった・・・今度なんか礼を返さないとな・・・)


男(・・・二人はやっぱ人気あるんだな。人から言われるて、改めて実感した)

男(まぁ、あくまで幼馴染みの域は出ないわけなんだが・・・。!あれは・・・)


「へぇ・・・。幼馴染さんって結構運動もできるんだ」

幼「うん。昔から運動は得意なの」

「だったら、またサッカー部の事考えてほしいな・・・なんて」

幼「ふふっ。考えておく」

男(・・・なんで衝動的に隠れてしまった俺・・・!)

男(それに幼馴染が男と歩いてるなんて・・・結構イケメンだし)

男(あと、幼馴染がキャラが違うな。あれはぜってー猫かぶってるな)

男(・・・とりあえず退散するか)

~~~~



女「明日から課外学習だね~」

幼「楽しみっ!旅行みたいなのって中学の修学旅行以来だし・・・」

男「・・・」

幼「あんた、さっきから黙っててどうしたの?不気味よ?」

男「・・・なんにもねーよ。課外学習って言ってもクラス単位で動くから、俺達あんまり関わりないかもしんねーぞ」

女「だよねぇ・・・。でもその分、クラスの人達と仲良くなれるいい機会だと思うよ」

幼「フフン・・・。これで私の友達百人計画もいよいよ現実に近づいてきたわね・・・」

幼「男、あんたはせいぜい一人のお友達と仲良くやるのね」

男「そうさせてもらう」

~~~~


「楽しみだなー!」「わたしもー!」「いい思い出にしよう!」


男「・・・」ポツン

男(・・・わー。なんか俺クラスの中に入り込めて無い感MAX・・・)


黒髪「・・・おはよ。クラスに入り込めない男君」

男「そっちも言えたもんじゃねぇだろ・・・」

黒髪「ん?別に私は男いるし、構わないけど」

男「・・・その発言は色々とまずいと思うが」カァァ

黒髪「あれー?もしかして、照れてる?ウブだなぁ、男は」

男「・・・言っとけ。そろそろ集合だぞ」

幼「あはは・・・。それでね――」

「幼馴染さん。ちょっといいかな」

幼「ん、イケメン君。どうしたの?」

イケメン「いや、バスの席一緒に座らないかって・・・」

幼「えー・・・。バスの席って決まってるんじゃないの?」

イケメン「少しぐらいずらしたってバレないよ」

幼「どうしようかな・・・」

「幼馴染っ。きっとこれはチャンスだよっ」「ここはいくべきだよっ」ヒソヒソ

幼(別にイケメン君の事は何とも思ってないんだけどなぁ・・・)

幼(ここで空気を悪くするのもアレだし、ここは受けておこうかな)

幼「じゃあ・・・いいよ。一緒に座ろ」

女「・・・はぁ」

女友「どうしたの女?何か心配事?」

女「・・・うん」

女友「課外学習での悩み・・・。まさか女、この課外学習で告白を――」

女「ち、ちがうよっ!そのっ・・・私、バス酔いが心配で」

女友「なーんだ。つまんないの。てっきり友君あたりに・・・」

女「そんなわけないよ。友君にはもうお相手がいるから」

女友「えっ、いるんだ・・・」ズーン


友「」ヘクシュンッ

~~~~


「―――というわけでこれで説明を終了する。バスの席はこちらで指示するので勝手に動かないように。以上だ」


男「・・・かなりまずいことになったな」

黒髪「そうかな。ずっと無言でいれば大丈夫だと思うけど」

男「俺はお前ほどメンタル強くねぇんだよ・・・」

黒髪「ふーん。まぁ、とりあえず頑張って」ヒラヒラ

男「薄情者め・・・」

男(・・・入学式の時のあの教室が思い起こされるようなこの状況)

男(まさか、二度目を味わうとは・・・不覚。さて、今回はどのように乗り越えようか)

男(できれば普通の人が・・・いいんだけど)

「あ、男君。よろしく」

男「・・・うす」

男(やべぇ、本当に普通な人来ちゃった・・・)

~~~~



「へぇ・・・そうなんだー。黒髪さん、仲良く話すの男君だけだから、何したんだろうって気になってたんだ」

男「普通に話しかけたら大丈夫だったぞ」

「普通って・・・無理だよ。黒髪さんって近寄りがたい雰囲気あるじゃん」

男「あー確かに。俺もだから最初怖かったんだけどな・・・友達ほしかったから」

「ははっ!なにそれ!面白いなっ!」

男「いやー恥ずかしいな・・・」

男(案外、会話が弾むもんだな。別に俺も会話が苦手ってわけじゃないもん!・・・ごめん今の無しで)

男(それはそうと、黒髪の方はどうなってるか・・・)

黒髪「―――」アハハ

「―――」クスッ

男(普通に会話してやがるッ!!)

「男君もちょっと近寄りがたいと思ってたけど、話してみれば面白いな!」

男「えっ?そう思われてたの俺?」

「だって、男君。顔もそこそこいいし、体つきも良くて・・・。それにクールな雰囲気あるから」

男「マジで!?俺そんなにクールだと思われてたのっ!?」

男(・・・神に感謝)ウルウル


「ごめん・・・。今のでイメージ完全に崩れた」

イケメン「幼馴染さんってお菓子作るの得意なんだ・・・」

幼「う、うん・・・。昔からお母さんに習ってたらその内に」

幼(イケメン君の話、別につまんないってわけじゃないけど・・・男ほど面白くないのよねー)

幼(それに・・・)

イケメン「へぇ・・・。じゃあ、今度食べさせてもらいたいな」

幼「そ、そのうちね・・・」

幼(なんかちょっと、怖いかな)




女「」フラフラ

女友「女ーっ!!しっかりっ!!」


「じゃあ男君、また今度っ!」

男「ああ。また・・・」


男(うしっ!友達二人目ゲットだぜっ!)グッ


女「」フラフラ~

男(ありゃあ、女だな・・・。女って確かバス酔い激しいんだよな。小学生の時からこういう時いっつもそうだし・・・)

男(ちょっと行ってみるか)

女「はわわわわ~」

女友「だ、大丈夫?」

女「だ、だいじょうぶらよ~」

男「・・・こりゃまたひでーな」

女「あ、おろこくん~。ら、らめだよぉ~じぶんのくらすいかなきゃ~」

男「その前に酔いをどうにかしろ・・・」


友「よっ」

男「おうっ。・・・なんかお前の事久し振りに見たのって気のせいか?」

友「・・・そういう事にしといてくれ。お前、クラスの方は順調か?」

男「ふっふっふっ・・・。聞いてくれ。なんとさっき遂に、二人目の友達ができたっ!!」ドドン!

友「・・・えっ」

女「わぁ~」パチパチ 女友「あんたは大人しくしてなさいっ!」

友「・・・まぁ、そう気を落とすなよ。いずれはお前も恵まれた時が来るはずだ」

男「どうしたお前。急に悟って」

友「お前もいずれ分かる。ほれ、クラスごとに集合するみたいだから戻れ」

男「はいよ。またな」

友「ああ」

女「まらね~」ブラブラ 女友「だから無茶しないの!」



幼「・・・」

イケメン「どうしたの幼馴染さん?集合だよ。行こう?」

幼「え、ええ。行きましょう」

今回はここまで。

前々スレのサッカー部と今スレのイケメン君は同一人物って事でお願いします。

~~~~



ワイワイガヤガヤ


男「すげーな、ここの温泉。課外学習だと思って侮ってたら結構綺麗だったよな」パクパク

黒髪「確かに。私の周りの人も驚いてたよ・・・。温泉と私のカラダに」

男「」ブッー!

男「クソッタレ・・・!いきなりそんな事口出してるんじゃねぇよ!」

黒髪「相変わらずだなぁ・・・。君のその素直さが羨ましいよ」

男「そういえばお前、バスの時あんな事言っとおいて隣の席の子と仲良く喋ってたじゃねぇか」

黒髪「当たり前でしょ。バスの中終始無言とか、さすがの私でも死ぬ」

男「・・・お前なぁ・・・!」

幼「あれは・・・」

幼(綺麗な人だなぁ・・・じゃなくてっ!なんで男があんな人と・・・)

女「幼馴染ーっ!」

幼「女・・・」

女「温泉よかったよねぇ・・・私、思わず入りすぎてのぼせちゃったよ」

幼「・・・女、アレ見て」ユビサシ

女「・・・綺麗な人・・・と、お、男君っ!?」

幼「あれってどういうことかしら・・・」

女「せっかくだから行ってみようよ」グイッ

幼「ま、まって、ちょっ、女ぁ!」

黒髪「ふふ・・・。私はそう簡単に本当の事は話さないよ」

男「ただ俺をハメようとしただけだろ・・・」

黒髪「チッ・・・。おや、どうやら幼馴染みさん達のご登場のようだ」

男「は・・・?」


女「こ、こんばんは・・・」

幼「・・・よ」ピッ

男「お前ら何やってるんだ・・・。自分のクラスはどうした」

女「そ、それよりもだよっ!ね、幼馴染!」

幼「あ、うん・・・」

女「どんな魔法を使えば、そんな綺麗な人とお近づきに・・・」

幼「そ、そうよ・・・。男が、そんな事できるわけないじゃないっ」

男「魔法って・・・。ただ普通に話しかけただけだが」

黒髪「ははは・・・」


男「まぁ紹介するには丁度いいな。友達第一号の黒髪」

黒髪「――"友達"の黒髪です。男君とは日頃仲良くやらせていただいています」オジギ

男「なぜ敬語なんだ・・・」

男(そしてその無駄に友達を強調させた言い方な・・・)

女「えーと、女です。一応、男君とは幼馴染みで・・・」オジギ

幼「・・・私は幼馴染。私もこいつとは腐れ縁で幼馴染みやってる」


黒髪「・・・ねぇ、この二人の雰囲気穏やかじゃないんだけど・・・」ヒソヒソ

男「・・・?そうか?」ヒソヒソ

黒髪「君、いつか女性からも刺されるよ」ボソッ

男「まー、とりあえずお前ら。俺に友達が出来たってことが分かったろ?」

幼「にわかには信じがたいけどね・・・」

女「こんなに綺麗な人が友達なんて、逆にこっちが羨ましいよ」

黒髪「いやいや、二人の方が充分綺麗だと思うけど・・・」

幼「え、ほんと!?」

女「そ、そんなことないよっ!」


男(おだてにのりすぎだろ・・・)

黒髪「・・・そろそろ消灯だね。そろそろ戻ろうか」

男「そうだな。じゃあな」

女「うん、じゃあね」

幼「・・・ばいばい」



黒髪「・・・いやぁ、やっぱ人気でるだけあってすごいね二人」

男「うーん、俺は昔からずっと一緒だからよくわかんねぇんだよな」

黒髪「君、やっぱ刺されるべきだと思う」



「・・・チッ」

~~~~



「本日は班ごとで自由行動。予定の時刻には集合場所にいるように!」

ハーイ!

「では、自由行動開始!」

ガヤガヤガヤガヤ


イケメン「じゃあ、いこっか」

「「「はーい」」」

幼「・・・」

イケメン「幼馴染さん?どうかしたのかい?」

幼「ううん。何も」

イケメン「・・・じゃあ、幼馴染さんもほら」テサシダシ

幼「・・・」

幼「・・行きましょう」

イケメン「・・・ああ」

イケメン「おぉ・・・すごいね幼馴染さん・・・」

幼「う、うん・・・」

幼(・・・イケメン君、悪い人ではないと思う。・・・ただ一緒にいて、つまらないし・・・少し怖い)

幼(・・・こんな時、男ならなんて言うかな・・・)


男「」トボトボ


幼(・・・!男っ!)ダッ

イケメン「! 幼馴染さんっ!どこに行くんだっ!」




男「・・・はぁ」


男(班行動だった筈なのに、いつの間にか黒髪はどこかへ消え、他の班員の行方も知らず・・・)

男(順調かと思ったんだがな・・・。どこで間違えたんだ俺)

男「・・・ん?」

男(誰かがこっちに走って・・・ってあの髪は幼馴染っ!?)

幼「はぁ・・・はぁ・・・」


男「こんな時までお前俺の所来なくていいぞ・・・。早く自分の班の所に戻れ」

幼「・・・男は今一人?」

男「ま、まぁ・・・。班員とはぐれて生憎お一人様だ」

幼「・・・ちょうどよかった。私も班員とはぐれて一人なの」

男「は、はぁ?だってお前今、走って・・・」

幼「だから、私と一緒に行こうよ」

男「・・・しょうがねぇな。んじゃ、どこ行くか?」

幼「うーん・・・。まずは、あそこいこっ!」

男「あ、おい!待てっ!」

~~~~



幼「ん~~~~~っ!たのしかったーっ!」


男(散々振り回されたこっちからしたら、疲れたんだけどな・・・)

幼「・・・やっぱりそうだ。男の方がいい」

男「なんのことだ?」

幼「ううん。こっちの話。そうだ。帰ったら、女も誘ってウチで遊びましょ」

男「妙に唐突だな・・・。ま、いいけど」



「・・・」ギリギリ

~~~~



男(皆様、お知らせします。夏休みに突入しました。そして現在私は・・・)


幼馴染「次はわたがし食べましょ!行くわよ女っ!」

女「あっ!そんなに走ったらはぐれちゃうよっ」


男「・・・まずはその手に持ってるあんず飴を全部食えよ」


男(幼馴染みの二人と夏祭りに来ています)

男(幼馴染がひたすら屋台を食い荒らし、それを女が追いかける。毎回起きるこのパターンに高校生にもなると慣れてきた。むしろ余裕さえ感じてる)

男(なので俺がする事といえばはぐれないように後ろから見張ってる・・・いや、見守ってることだろう)

男(父親の様な優しい心でな・・・)


男「お前ら金はあんまり使いすぎるなよー。後で後悔するのはお前らだぞー」


男「・・・」


男「見失ったっ!?」

ギュッ


男「・・・え?」

幼「何してんのよ。よそ見ばっかして」

女「男君しっかりしないとっ」


男「あぁ、悪い悪い」


男(・・・逆に見守られてたよ、俺)


~~~~



女「あ、よかったぁ・・・。今年も空いてるよ」

男「そりゃあ俺が小学生の時に必死こいて探した秘密の場所だからな。そう易易と他のやつにはやらねぇよ」

幼「アンタの物じゃないでしょここは・・・」

男「細けぇことはいいんだよ。使ってねぇなら、使わせてもらうのが一番だからな」

男(・・・ここは俺が小学生の時に見つけた。少しだけ坂を登った所にある小さな小屋)

男(幼馴染がどうしても花火が見たいっていうから、どうせなら誰も知らないような特別な場所を探して・・・ここに辿り着いた)

男(以来、夏祭りの時はここにきて花火を見るのが俺達の恒例となっている。・・・まさか、ここまで続くとは思わなかったが)


幼「ここから見る花火が一番綺麗だよね・・・」

女「うん・・・。この場所で見る花火は他と違って、特によく見えるよ」

男「おうおう、もっと言え。そして俺に感謝しろ」

幼「別にあんたには何とも思ってないけど」

男「はぁ?せっかく俺が見つけてやったのにその言葉は――」

女「しーっ!そろそろ始まるよ」

男「あ、悪い・・・」

女「わぁ・・・。きれい・・・」

幼「えぇ・・・」

男「・・・」

幼「やっぱり、いいな。ここで見る花火は・・・」

女「うん、そうだね・・・」


女「・・・この先ずっと、三人で、この場所で・・・また花火見れたらいいな」

幼「いや、絶対にまた三人で見ましょう。私達が離れることなんて無いんだから」

女「うん・・・」

男「・・・そうだな」

今回はちょっと早いけどここまで。

~~~~



「ということで、我がクラスの催しはコスプレ喫茶ってことでっ!」


ワーワーワーワー!


男「まぁ、妥当だろうな」

黒髪「・・・君は、事の重大さが分かってないようだね」

男「そんな所あったか?喫茶店いいじゃん。いかにも文化祭って感じで」

黒髪「君にはあのコスプレって文字が見えないのか?」

黒髪「この私の事をみんながコスプレさせないとでも思ってるの?」

男「うん。まぁ・・・ご愁傷様」

黒髪「はぁ・・・。文化祭が憂鬱でならないよ」

~~~~



幼「コスプレ喫茶ぁ?」

男「そう。コスプレした店員が接客するだけの喫茶店」

女「へぇ・・・。じゃあ、男君もコスプレするんだ・・・。楽しみだなぁ・・・」

男「いや、俺はしねぇよ。何が何でもそれだけは阻止する」

幼「つまんないの。それじゃあ、文化祭目一杯楽しめないわよ?」

男「いや、自分達の出し物だけじゃないだろ文化祭は・・・」

幼「あっそ・・・。それで、女のクラスは何やるの?」

女「私達のクラスはお化け屋敷」

幼「あれ?そうなんだ。あんなに女友演劇やるって張り切ってたのに」

女「僅差で負けちゃった。あと少しだったんだけどね・・・」

男「部活だけじゃなくてクラスでもやろうとしてたのか」

女「それほど演劇が好きなんだよ、女友」

男「さすがに引くのを通り越して、尊敬の域に達するな・・・」

幼「・・・それで、私のことは聞かないの?」

男「お前なら自分から言い出すかと思って」

幼「ふーん・・・。うちらはただの喫茶店。何のひねりもない」

女「意外だね・・・。幼のクラスって結構賑やかだから、もっとすごいことやると思ったけど」

幼「それがさぁ・・・。クラスの中心人物が今学期入って急に大人しくなって」

幼「みんなその人頼りだったんだけど、本人はどうにも積極的じゃないのよね・・・」

男「そりゃあ・・・どんまい」

幼「慰めの言葉なんていらないわよっ!」

~~~~


「やっぱり黒ちゃんは何着ても綺麗だなぁー!嫉妬しちゃうよ~」

黒髪「な、な・・・こんな恥ずかしい格好させといて何を言うんだっ!」

「しょうがないよ。黒ちゃん綺麗だし、接客係に選ばれちゃったし・・・満場一致で」

黒髪「くそっ・・・入るクラスを間違えた・・・」

男「大変な目に遭ってるな・・・。アイツ」

「これから男君もその大変な目に遭うんだけど」

男「なぁ、何で俺も接客係なの?おかしくない?」

「だって、男君黙ってれば見た目いいし」

男「なんだって俺がこんな目に・・・」

「ええい、年貢の納め時だよ!大人しく着替えろ!」

男「あーへいへい・・・」

男(遂にやってきてしまった文化祭当日。何の不幸かわからないが、俺はコスプレを強いられる接客係に任命されてしまった)

男(大人しく、受付でもやっておきたかったんだけどなぁ・・・。さらにこのコスプレってなんだよ・・・)

男(別にスパイとか嫌いじゃないし、むしろ大好きな部類だけども。スーツって何か慣れねぇな)

男(・・・あそこでメイドの格好させられてる悪友に比べれば、いくらかマシなんだろうけども)


「うわぁ・・・。やっぱり似合う・・・」

男「いや、そんなにジロジロ見られてもな」

「わっ!コレ男君!?」「えっ、マジで・・・?」

男「何も手加えてねぇのになんだよその言い分・・・」

黒髪「くっ・・・ははははっ!!」

男「ようやくそれらしいリアクションが来たと思ったら、お前かよ・・・」

黒髪「だって・・・スーツ似合わない・・・」クスクス

男「さっき似合ってるって言われたばっかだし」

黒髪「君のその姿見れただけでも、この文化祭に成果を見いだせる」クスクス

男「・・・いい加減、笑うのをやめろ」

~~~~


「いらっしゃいませ~!お客様は何名様ですか?」

「かしこまりました。少々お待ち下さい」


「すいませーん、そこのお兄さん」

男「あっ、はい」

「えっと・・・メロンソーダください」

男「かしこまりました。注文は以上でよろしいですか?」

「えっとぉ、お兄さんって・・・今彼女いないんですかぁ?」

男「えっ、えっと・・・」

「良かったらこの後、私とご飯でもどうかしら?」

男「・・・申し訳ありませんが」


「――相変わらずサイテーですね」

男「・・・その声は、もしや」

後輩「久し振りに見たと思えば、女性を口説いて、ほんっとサイテーです」

男「ク、クソガキ・・・」

後輩「それが中学ぶりに会う後輩へのセリフですかっ?」

男「うるせぇよ。ならさっきのお前の言葉も中学ぶりに会う先輩へのセリフじゃねぇだろっ!」

男「あとな、俺は口説いてたんじゃなくて普通に接客をしていただけだ。分かったか」

後輩「どう見てもあの態度は接客とは程遠い様に見えましたけど」

男「んなわけねぇだろ・・・。もう埒が明かないし、他に仕事あるからいくぞ」

後輩「んなぁ!ちょ、ちょっと待って下さいっ」

男「またな~」



後輩「もう・・・。先輩のバカ」

幼「・・・ここが男のクラスね」

女「へー、外見から結構こだわってるんだ」

幼「ウチのクラスと違って羨ましいわ・・・」

女「さて、男君がどんな格好してるのか。楽しみだねぇ・・・」


黒髪「いらっしゃいませ・・・って、あら」

幼馴染 女 「「あっ」」

ザワザワザワザワ


男(・・・やけに外が騒がしくなってきたな)


「やべぇ、大変だ!お、幼馴染さんがウチに来たぞ!それも女さんを連れて!」

「マ、マジかよっ!より一層気合いれてかねぇと!」

「まさかウチのクラスにあの二人が来るとは・・・」


男(あーなるほど、そういうことね。遂に来ちまったか、あいつらが)

男(・・・別に今頃見られても恥ずかしい格好じゃないからいいよな?)

黒髪「男ーっ。お客さん案内してー」

男「はいはいっと・・・」



幼「・・・」

女「え、あ・・・」カァァ


男「いや、ちょっと。動いてもらわないと席に案内できないぞ・・・」

幼「べ、べつに・・・」

男「ん?」

幼「かっこいいだなんて・・・思ってないんだから」

男「それは充分分かってるよ・・・」

女「そんな事ないよっ!男君すっごくかっこいいよ!」

男「そ、そうか・・・!? サ、サンキュー」

幼「・・・やっぱかっこいいかも」

男「結局、お前はどっちなんだよ・・・」

~~~~


女「じゃあ、男君。次は私のクラスに来てね」

幼「ウチのはあんまり自信ないから・・・来ても困る」


男「あぁ。暇を見つけて行くわ。じゃあ、楽しめよ文化祭」


男「・・・ふぅ」

男(とりあえず、あんまり服装の事を突っ込まれなかったのは良かった)


男(・・・それ以外に、心配事はあるんだけども)


「・・・おい、男」

男「な、なんだ・・・?」

「あの二人との関係・・・。洗いざらい喋ってもらおうか」

男「べ、べつに・・・友達だ」

「あんなに親しげに喋る女友達がいてたまるかーっ!!」

~~~~



男「・・・まさか、女がお化け役だとは思わなかったな」

幼「ええ。それもまったく怖くなかったし」

女「酷いよぉー!これでも私精一杯頑張ったのにっ・・・」


男(女のクラスはお化け屋敷ということだったが、なんと女がお化け役をしているとは・・・)

男(もちろん女のお化けは怖いはずがなく、赤面しながら大きな声を上げる女は可愛すぎると話題になっていた)

男(その可愛さ故の影響で男女ともにリピーターが続出したことは、女に伏せておこう・・・)


女「そういえば、何度も同じ人が来たような気がしたけど・・・気のせいかな?」

男「・・・気のせいだな。うん、きっと気のせいだ」

幼「あんたたちのクラスが羨ましいわ。私のクラス、男のクラスほど人気なかったらしいし」

幼「私がいた時はそんな風には思えなかったけど」

男(それはお前がいたからだ)


幼「・・・高校生初の文化祭がこれとはね・・・。少しガッカリ」

女「まだ二年あるし大丈夫だよ。・・・今度こそはみんな同じクラスでできればいいね」

男「んでもって、各個人のダメージが少ない奴をな」

幼「それはあんたのただの願望でしょうが・・・」

幼「・・・そうね。来年こそは三人同じクラスになって、今年なんかより、絶対楽しんでやるっ!」

女「うんっ!その意気だよ幼馴染っ!」

とりあえずここまで。

用事あるんで、夜にまた投下できたらしますね~

~~~~



―幼馴染の家―



男(――今宵はクリスマスイブ)

男(小学生の頃から、毎年幼馴染の家でパーティーを開くことは恒例になっている)

男(そして、今年も例に漏れず俺達三人は幼馴染の家に集まっていた)



幼「フフン・・・。どうよ今年の料理は」ドヤ

女「すごい・・・。これ全部幼馴染が?」

幼「そうよ。材料から作り方まで全てにこだわった自信作よ!」

男「・・・これホントに金払わなくていいのか?」

幼「払うってなら、あんたの小遣いでは払えないような金額を請求するけど?」

男「い、いっ・・・いただきまぁーーーす!!」

女「わわっ・・・。私も、いただきます・・・」

幼「・・・召し上がれ」ニコ

~~~~


男「あーっ、食った食った・・・」

女「ごちそうさまでした・・・。今年も幼馴染の料理はすごくおいしかったよ」

幼「ありがと。そう言ってくれると嬉しい」

男「でも、まさかガサツな幼馴染がここまで料理上手くなるとはな・・・。最初に作ったチーズケーキは酷かったよな」

幼「ぐぅ・・・。でも、今じゃあ、そのチーズケーキなんてあんたの大好物じゃない!」

男「そ、それはそうだが・・・。ま、まあ、あれだ!ここまで来たのは俺の舌のお陰だろ!」

幼「私の努力の成果よ!」

男「っ・・・・・・・・!!」

幼「~~~~~~~~っ!!」

女「ふ、二人共落ち着いて!普通に幼馴染が頑張ったからだと思うよっ!」


幼「・・・はぁ。そうね。こんな程度の事で男と争うなんて・・・」

幼「ごめんね。私が正しいというのに小さな事にこだわって」

女「う、うん」

男「ぐぬぬ・・・」

幼「来年は、もっと驚かしてやるからね。今度は男が何も言えないほどに」

男「あぁ。俺も一年後が楽しみだ」

女「男君の負けが最初から決まっているのは気のせいかな・・・?」

幼「そうだっ!せっかくクリスマスイブなんだから、写真撮りましょ!」

男「何その超理論。クリスマスイブ=写真とか意味わかんねぇぞ」

幼「細かい事は気にしないのっ!いくよ!

女「わわっ・・・」

男「ちょっ・・・引っ張るなっ!」

幼「はい、チーズ!」

パシャ

これは今までのと別ルートってことでおk?

>>137
別ルートってことでおkですが、一応転校生.女ルートと繋がった話になります。

~~~~




男「・・・・・・ふああぁぁ・・・うぉ・・・まぶし」


男(んん~。まだ寝たりない・・・。春休みなんだから、もう一眠りすっか・・・)

男(・・・ちょっと待て。学校っていつからだっけ・・・?)

男「よっと・・・」

男(7日・・・今日はっと・・・)

男「げっ」

男(カレンダーが指していたのは4月7日。そして今の時間からすると・・・)


男「ち、ちこくだぁあぁあああああああああああ!!!」

~~~~




男「・・・・・・・」


男(やべぇ・・・まさか二年生初日から遅刻するとかツイてねぇ!)

男(走っても間に合うかどうかだな・・・。幼馴染か女のどちらか連絡よこしてくれればいいのによ!)


「・・・」

男(・・・あれは幼馴染?なにやってんだこんな所で)ズルッ


男「・・・は?」


男(急激に変わる俺の視界。まず俺に目に映ったのは)


バナナの皮「――やぁ」


男(にゃろおおおお!!道に落ちてるバナナの皮に足を滑らせるってどんな古典的なボケだよおおおおお!!)


男(んで、第二に考えられる状況・・・。それは幼馴染のスカートの長さに関係する)

男(あいつはスカートを短めに履いている・・・つまりだ)

男(俺の視界が転ぶことによって視界が低くなる+幼馴染の短いスカート=)

男「―――・・・しましま、か」

幼「・・・え?」

男(幼馴染のパンツを見ちまったぜっー!ウヒョー!)


男(寝坊した俺、そしてバナナの皮を捨てたクソ野郎、最後に神様に感謝するぜっ!」


男(まぁ・・・そんなウマイ状況が続くはずもなく)

男(バナナで派手に転んだ俺を、赤面している彼女が気づかないわけが無い)


男(つまり、何が言いたいかって・・・?)


幼馴染「この変態ヤロッー!!」


男(さよなら、俺の青春)

~~~~



ザワザワザワザワ


友「よう。随分と遅かったじゃないか」

男「・・・朝にトラブルに巻き込まれてなぁ。通学路にバナナの皮が落ちてるとかあるか?普通」

友「・・・?そのトラブルってのは幼馴染さんに関係あることか?」

男「」ギクッ

男「た、単なる偶然であいつのパンツを拝ませて・・・じゃなくて不意のトラブルで見えてしまった」

友「はぁ・・・。何やってるんだお前・・・。道理で幼馴染さんの機嫌が悪かったわけだ」

男「どういうことだ?」

友「お前ほどじゃないが幼馴染さんも遅刻して来たんだがな・・・」

男(あいつも遅刻したのかよ)

友「すげぇ早歩きしながら来たかと思えば、すげぇ言葉遣い荒いし」

友「その姿は幼馴染さんが高校で築いてきたイメージを崩しかねないほどにな・・・」

男「いつかは猫かぶってるのもばれるんだからいいだろ」

友「俺はいいけど。そのおかげで・・・」

「えっ・・・。幼馴染さんってあんなガサツだっけ・・・」「あれが、幼馴染さん・・・?」


友「ほら、一般の方々が困惑している」

男「それでこんなにざわついてると」

友「そうだ。どうにかして幼馴染さんの様子を治してきてくれ」

男「へいへい・・・。どうせ火に油を注ぐことになるけどな」


男「・・・あっ。そうだ」

友「ん・・・?」

男「今年一年間、同じクラスよろしくな」

友「・・・ああ」

男「おはよう縞パ・・・」

幼「」ギロッ

男「・・・ゴホン。やぁ幼馴染。今年は同じクラスじゃないかっ!やったな!」

女「あ、あの・・・男君・・・」

男「おっ。女も同じクラスかっー!久しぶりじゃないか?三人一緒だなんて」

幼「・・・」プルプル

女「お、男君・・・。それは確かに嬉しいけど、先にやる事があると思う・・・」

男「いやーっ!何だか今年はいい一年になりそうだなっ!よろしくな二人共っ!」ハハハ

幼「」ギリリリリリリ

女「あ、もう・・・」

男「・・・それじゃあ、俺はちょーっとトイレに・・・」

幼「待てゴラ」ガシッッ!!

男「・・・何か御用ですか?」

幼「わたしも、ちょーっとトイレに行きたいから案内してくれるかなー?」ニコニコ

男「トイレの場所ぐらい知ってるだろ」

幼「 案 内 し ろ 」

男「ハイ」

~~~~



男「・・・」

幼「・・・」

男「・・・あれはトラブルだったんだよ。道端にバナナの皮が落ちててだな・・・」

幼「そんなマ○カみたいな事がありえると思う?普通ないでしょ」

男「いや、マジであったんだよ」

幼「信じられないわよその話。私のパ、パンツ見といてそんなこと言われてもね・・・!」

男「・・・悪かったって」

幼「本当に悪いと思ってるのかしら」

男「この通り!!機嫌直してくれよ」

幼「・・・じゃあ、『幻のプリン』買ってきてよ」

幼「手に入れるのが難しい『幻のプリン』を買ってこれるほどの本気の誠意を見せてくれたら、許してあげる・・・」

男「お前の作るプリンの方がうまいけどな・・・」

幼「~~~~~っ!!と、とにかくっ!!私に機嫌直してほしかったら『幻のプリン』を持ってくることっ!!」

男「あー・・・。わかったよ。ところで幼馴染」

幼「ん・・・?」


男「お前トイレ行かなくていいの?」


幼「」ブチッ

幼「あんた呼び出すための口実よバカッー!」バキッ

男「ぶへらっ!!」ヒューン

~~~~



~翌日~


男(大変なことになってしまった・・・)

男(まさか一日に限定十個でしか売られない『幻のプリン』を買ってこいだなんて・・・)

男(何回かプリンをかけた争奪戦に加わったことがあるが・・・まるであれは戦場だ)

男(一回でも手に入れられたことが奇跡だったな・・・。幼馴染の作るプリンの方がうまかったけども)

男(でも嫌だな・・・。あれにもう一回参加するとか・・・・)


男(あっ、いいこと思いついた)

~屋上~



男(そういうことでやってきました屋上に)

男(ただいま、四時限目の真っ最中・・・・つまり、サボった)

男(こうすることで他の奴よりも早くスタートダッシュを決められる・・・。我が才に思わず笑いが出てくる・・・)


男(・・・と思ったら、屋上に先客がいる)


男(綺麗な人だ。身にまとっているオーラが凄い大人っぽいていうかクール)

男(風になびいて揺れる長い髪が凄く印象的に感じる・・・どこかで見たことあるような・・・)



男「・・・げっ、黒髪じゃん」

黒髪「な、なっ・・・。何で君がここに?」

男「いや、それはこっちのセリフなんだけど・・・」

黒髪「私は・・・ちょっと風に当たりたくなって」

男「授業をサボったことのないお前がな・・・。まさか、俺と同じクラスじゃなくて寂しくなったとかか?」

黒髪「・・・そんなわけない。どれだけ自意識過剰なんだ君は」

男「げへへ・・・」

黒髪「君の方は幼馴染み達と同じクラスになったみたいじゃないか。よかったね」

男「・・・それで今問題が発生してる」

黒髪「問題って?」

男「幼馴染と色々トラブルって・・・許して欲しいなら『幻のプリン』を買ってこいって」

男「普通に行ったらほぼ買えないからな・・・。授業サボって誰よりも早くスタートダッシュを決めるってわけよ」

黒髪「・・・ふぅん。確かに君は去年も随分と苦戦してたね」

男「ああ・・・。去年を経験をしてるから思いつくこの作戦・・・。我ながら悪知恵の働く頭が怖くなってきたぜ・・・」

黒髪「・・・そう」

黒髪「・・・まぁ、意味無いんだけどね」ボソッ

黒髪「それじゃ、私はそろそろ戻るよ」

男「まだ四時限目終わるまで時間あるぞ」

黒髪「行かなきゃいけない所があってね・・・。それじゃあ男、また今度」

男「おう、またなー」




黒髪「・・・どうせ、すぐ会うことになるけどね」

~~~~



男(ついにこの時がやってきた)

男(誰よりも先に『幻のプリン』を手に入れられるという優越感。あんなバカみたいに走って手に入れるなんてことはしない)

男(それをやるのは頭が使えない奴がすることだ・・・。見てろ、頭脳プレーで勝つ姿を)

キンコーンカーンコーン

男(行こうじゃないか。約束された勝利の地へ―――)

男「すいません・・・」

ガシッ


男「・・・えっ」


「こんにちは、男クン」


男「あれ?なぜ先輩がここに?」

会長「それは生徒会でのお仕事に決まってるじゃない♪」ニコニコ

男「そ、そうですよねぇ・・・。じゃあ、俺はプリンを・・・」

会長「待ちなさい」

男「・・・どういうことですか先輩」

会長「最近、『幻のプリン』を買うために不正を行う輩がいるらしいのよね・・・」

会長「妨害行為をして『幻のプリン』を手に入れようだなんて公正な立場を守る生徒会としては見過ごせないから、監視しているのよ私達」

会長「それで話に聞けば、今度は授業をサボってまで『幻のプリン』を買おうとした人がいるみたいでねぇ・・・」

男「そ、そうなんですかぁ・・・」

会長「で、男クン」

会長「キミはそんなこと・・・しないよね?」ギロッ


男(ヒ、ヒィッ!!先輩の本気の眼光久しぶりに見た・・・。思わずちびるところだった)

男(しかし、悪いが先輩。ここで負けていられないのだ!俺の勝利は約束されているのだから!)

男(だって、俺のサボリを目撃したのは・・・一人の悪友しかいないのだから)

男「・・・そんなズルイこと俺ができるわけ無いじゃないですか。やだなぁ、先輩」

会長「へぇ・・・。だって、黒髪」

男「えっ」

黒髪「それは嘘です会長。私が屋上を監視している時にきっちり目撃しているので」

会長「ということで残念でした♪」

男「な、なぜお前が・・・!」

黒髪「まさか君がここまで馬鹿だとは・・・。私去年の秋に生徒会に入ったの忘れたの?」

男「・・・そうだっけ?」

黒髪「・・・」ジトー

男「・・・まさか、お前が俺のことを裏切るとは思わなかった」

黒髪「覚えてないの、私の性格を」

黒髪「やっていることには妥協しないタイプなの」

男「いい性格をお持ちで・・・」

会長「ところで男クン。ここに立ち止まっていると、もれなくプリンを求める人の波がなだれ込んでくるけど」

男「そっすね・・・。あっ、そうだ」

会長「ん・・・?」

男「これ買っていっていいですか?」

会長「ご自由に」

男「ありがとうございます・・・。おい、黒髪」

黒髪「・・・?」

男「この借りは絶対に返すからな・・・!」

黒髪「・・・楽しみに待ってるよ」

明けましておめでとうございます。(4日だけども)
今年も拙い文章ではありますが、楽しんでいただけると幸いです。

今回はここまで。
ついに二年生になった・・・。一年生が長かったか・・・。

黒髪の屋上のところは新しい方が正しいのかな

幼「・・・なにこれ」

女「・・・」

男「『幻のプリン』だ」

幼「一日十個限定で出されて十個全て余る、この激辛カレープリンが『幻のプリン』だって?」

男「誰も食べて事のない・・・。つまり誰も味を知らない幻のようなプリンってことだ」

幼「・・・あんた、本当に反省してる?」

男「買いに行く努力はしたんだよ・・・。買えなかっただけで」

幼「だから私は『幻のプリン』を買ってきてって言ったの。・・・はぁ」

男「・・・わかった。明日までにお前の所に必ず『幻のプリン』を持ってきてやる」

男「もし、できなかったら・・・絶交でもなんでもしてもらって構わねぇ」

幼「っ!!・・・。いいわ、その条件受けてあげる」

女「お、幼馴染っ!」

幼「そうね・・・。あんたの誠意を見せてもらおうじゃないの」

男「・・・そうか。じゃあな」

女「なんで幼馴染あんな言われ方したのに、何も言わなかったの!」

幼「・・・仕方ないでしょ。私がいいって言ったんだから」

女「だからって、あの日のことはそこまで根に持つことなの?」

幼「・・・ええ。そうよ」

幼「・・・あいつがどれほど私を思っているか。これでわかると思うから」ボソッ


女「・・・? とりあえず、大変なことになりそうだったら私からも男君に言っておく」

幼「・・・うん」



幼(男・・・あんたは覚えてないかもしれないけど・・・あの日は―――)

~~~~



「・・・やはり男、お前は幼馴染さんの隣は相応しくなかった」


「俺が隣にいるべきなんだ・・・。お前じゃ役不足なんだよ」


「見てろ、男。今に幼馴染さん・・・いや、幼馴染は俺の女になる」


「フフフ・・・。待ってて幼馴染、迎えにいくからね・・・」



「心も身体も・・・すべて俺のモノにしてあげるからねぇ・・・」

~~~~



男「たすけてくれ」

友『はぁ・・・?いきなりなんだ?」

男「・・・幼馴染の機嫌を治すにはどうやら『幻のプリン』が必要みたいでな・・・」

男「それで策を練ってみたものの、生徒会が監視していて何もすることができない。つまり残された方法は正攻法だけ」

男「でも、それで確実に買えるとは限らないし・・・。何かいい案はないか?」

友『姉さん達が監視か、それは何してもきついな。・・・うーん、思いつかないな』

~~~~




男(・・・友は上手く後輩を懐柔できただろうか・・・多分大丈夫だろ)

男(後輩って気取ってるけど、なんだかんだ言ってチョロイしな・・・)

男(例えるなら、前に歩いている女の子が地面に落ちている何かを拾おうとして、その動作の中で俺にパンツを見られてしまうってぐらいにチョロイ)

男(ってか高校生にもなってそのパンツはねぇだろ・・・)


男「・・・後輩だ」

後輩「げっ、なぜ先輩が」

男「俺とお前は同じ高校なんだから当たり前だろ。つか、お前受かってたんだなウチ」

後輩「バカにしないでくださいよ!・・・いつもなら先輩、幼馴染さん達と学校来てたじゃないですか」

後輩「もしかして・・・振られました?」

男「・・・色々トラブルがあってな。つか振られるも何も、そういうのないから」

後輩「あれれ?そうなんですかぁ?」

男「う、うぜぇ・・・」

後輩「フフン。これだから先輩は・・・ところで」

男「あ?」

後輩「」ブルッ

男「この程度でビビるとは。これだから後輩は」

後輩「う、うるさいです!・・・お兄ちゃんが『幻のプリン』を友人に譲るために私とお姉ちゃんに協力してほしいって言ってたんですけど・・・」

後輩「まさか、その友人って先輩じゃないですよね?」ギロッ

男「・・・何言ってるんだ。プリンなんてほしがるわけないだろ」

後輩「・・・そうですか。その言葉を信じるとしましょう」

男(・・・危ない危ない)

後輩「あっ、もうこんな時間・・・先輩に構ってる場合じゃなかった」

後輩「じゃあ先輩、また」

男「・・・一つ言っておくぞ後輩」

後輩「なんですか?」

男「物を拾うときには周りの視線に気を付けることだな。あと、高校生にもなってあの柄はねぇだろ・・・」

後輩「・・・・・・はい?」

後輩「」

後輩「あ、あ・・・」カァァ

後輩「せ、先輩のバカァァァァァァァァ!!」ヒューン


男(なんて、逃げ足だ・・・あいつ)

~~~~


男(友は後輩を懐柔できたようだ。一安心)

男(手筈はこうだ・・・。プリンをもらった後輩が友の所に渡しにくる)

男(友がプリンを受け取ったら、それを俺に渡し・・・そして幼馴染へ)

男(うん、抜け目のない完璧な作戦だ。多分これで幼馴染は機嫌を治してくれるはず・・・)


男(・・・何かが抜けているような気がするが)

友「トイレ行ってくる」

男「おう。できるだけ早く戻ってこいよ」

友「間に合わなかったら、お前が後輩から貰っといてくれ」

男「俺は少し怪しまれる可能性があるんだよ」

友「それはお前の日頃の行いが悪いからだ。じゃ、いってくる」

男「いってら~」ヒラヒラ

後輩「失礼します・・・。おにい・・・じゃなくて友さんはいますか?」

男「あいつなら今トイレいってるぞ・・・」

男(見事なまでの擦れ違い・・・。感服しちゃうよ、お前のタイミングの悪さ)

後輩「そうですか・・・ならまた後で」

男「何の用だ?まさか、朝話してたやつ?」

後輩「はい。昼にお兄ちゃんに渡す予定だったんで」

男「俺が代わりに渡しとこうか?また上級生のクラス来るのもめんどくさいだろ」

後輩「・・・怪しい」

男「は?」

後輩「先輩が優しいなんて・・・何が裏がありそうです」

男「あのなぁ・・・こういう時はめったにない俺の優しさに頼るところだろ」

男(俺の為にも)

後輩「・・・わかりました。じゃあこれ、よろしくお願いします」

男「おう、任せろ」



男「・・・してやったり」

~~~~


―幼馴染の家の前―



男(・・・後はこの『幻のプリン』を幼馴染に渡すだけ)

男(本当にプリン一つで機嫌治すのかよ・・・)


男(・・・あいつが言い出したんだし、多分大丈夫だよな)

ピンポーン


ガチャ・・・

幼「・・・」

男「・・・幼馴染」

幼「・・・」

男「ほら、約束の物だ。これで機嫌治すんだろ?」

幼「・・・」

男「・・・? おい、いらねぇのかよ。お前が持って来いって言ったんじゃねぇか」

幼「・・・それは、本当にあんたが手に入れたものなの?」

男「そりゃあそうだろ。じゃなきゃ限定十個の『幻のプリン』が俺の手元にあるわけないし」

幼「・・・言ったよね。『幻のプリン』を買ってくる程の”本気の誠意”を見せてほしいって」



幼「――私が欲しかったのはそんな物なんかじゃないっ!あんたが必死にプリンを手に入れようとしてくれるだけでよかった!」

幼「なのにあんたはズルして、楽して手に入れた・・・。あんたの私に対する誠意ってそんな物だったの!?」

幼「あんたの私に対する気持ちなんか、その程度だったの!?」


男「おい・・・話が飛躍してないか。今はプリンを買ってくるかこないか、それだけでいいだろ」

幼「黙って!!そんなチッポケな気持ちでこの何年間友達やってきたわけ?信じられないっ!」

男「そんなことあるわけないだろ!何言ってるんだよお前!」

幼「うるさいうるさいうるさいうるさい!!あの日がどんな日かもあんたは覚えてなかったくせにっ!!」

男「は・・・?」

幼「そっか・・・。やっぱり覚えてないんだ」

幼「男のあの日の約束への気持ちは、こんなものだったんだ」


幼「・・・さようなら」


バタンッ・・・



男「・・・」

>>163
これが本当の話って事になるんで、正しいって言えば正しいです。

とりあえずここまで。深夜にまた更新する可能性があるかも・・・?

~~~~
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 



男(あの日以来、幼馴染は俺に口を利かなくなってしまった)

男(きっと、あいつの言う約束だとか言うもんが関係してるんだろう・・・)

男(けど、俺がその約束を覚えてないからなぁ・・・。始業式前後にそんなことした覚えはないし)

男(そもそも俺が約束を破ったとしても、パンツを見た程度であそこまでキレるか・・・?)

男(・・・しゃーない、約束とやらを思い出すしかないか。きっと俺が無意識にしちまったんだろ)




友「おい・・・。最近お前と幼馴染さん、どうしたんだ?まだ機嫌治さないのか?」

男「ちょっと喧嘩したんだよ」

友「喧嘩ならいつもしてるだろ。何が原因であんなに幼馴染さんは怒ってるんだ?」

男「原因は・・・絶賛究明中」

友「はぁ・・・。どうせお前がまた適当なことして怒らせたんだろ」

男「・・・そうなのかもしれない」ボソッ

友「仲直りは早くしとけよ・・・。後で酷い目に遭うぞ」

男「・・・お姉さんとの貴重な経験談をどうもありがとう。善処しますよ」

友「ば、ばかっ!そ、そんななわけないだろっ!!」カァァ

男「高校生になってまでウブだなぁ。友は」

男(・・・酷い目に遭うねぇ)


男(もう、とっくに遭ってるのかもしれないけども)

女「ねぇ、幼馴染まだ男君のこと怒ってるの?」

幼「・・・別に」

女「そんな・・・!だって、最近幼馴染男君と話さないどころか、会おうともしないでしょ!」

女「私達、三人で帰ることもここ何日か・・・。どうしてそんなに男君を避けるの?」

幼「・・・あいつが忘れたからよ」ボソッ

女「わからないよ・・・。多分男君のせいだと思うけど」

女「・・・男君が謝ってきたら、素直にならなきゃダメだよ?」

幼「素直ねぇ・・・」

女「・・・?」



幼「・・・確かに素直だったら、こんなことにならないけどね」ボソッ



~休み時間~



女「男君!」

男「ん、なんだ?」

女「なんだじゃないよ!幼馴染と何があったの?」

男「・・・ちょっと喧嘩した」

女「ちょっとどころじゃ・・・ないよね?」

男「・・・ああ。結構深刻・・・っぽい」

女「深刻どころか・・・今までの中で一番酷いよ、幼馴染の方は」

男「そうだな。今まで一番ゴネてるな」

女「・・・それで、何が原因だったの?」

男「・・・俺が約束を破ったかららしい」

女「そうなら、男君がちゃんと謝らないと・・・」

男「・・・分からないんだよ。幼馴染とした約束が」

女「え・・・?」

男「あいつがあれほどするんだから、大事なことなのはわかってる・・・けど」

男「始業式のあの日に、何かを約束した覚えはねぇんだ・・・」

男「・・・最低なこと言ってるのはわかる。だけど懸命に考えても何も思い出せないんだよ」

女「・・・」

女「・・・その約束が思い出せないと、仲直りはできないわけだよね」

男「ああ・・・」

女「なら、男君がその事を思い出すまで私は待つよ」

女「・・・それでも、思い出せなかったら私が助けるから」

男「女・・・。悪いな。俺と幼馴染の問題に巻き込んじまって」

女「ほんとだよ。仲直りしたら、パフェか何かご馳走してもらおうかなー」

男「げっ・・・」

女「・・・冗談だって。本当に悪いと思うのだったら早く仲直りして」

女「また三人で帰ろう?」

男「・・・おう。当たり前だ。そんだったら幼馴染にパフェでもなんでも作らせてやれるまでにしてやる」

女「いや、喧嘩の原因、男君だと思うけど・・・」

~~~~


―男の部屋―


男「ああああああ!!もうわかんねぇよ!!なんだよ、約束って!!」

男(一週間も経ったが、俺はまだ答えを見つけることはできない・・・)

男(あいつが大事にする約束なんだから、俺が覚えていないってことは無いと思うが・・・)

男(最近の頑なに俺のことを避ける幼馴染の態度にもイライラしてきた・・・)

男(そこまで約束って大事なものか?俺達の仲を裂くほどに)


男(分からねぇ・・・)

―教室―



男「よっす」

友「今日も一人・・・ってことは進展なしか?」

男「・・・まぁ」

友「はぁ・・・。幼馴染さんがああなり始めてもうすぐで二週間だぞ?幼馴染さんがああだと、女さんとかも可哀想だぞ?」

男「それは十分わかってるが・・・。それでも、思い出せないからな・・・」

友「もういっそのこと、約束のことを忘れたって言って謝ってみたら?」

男「・・・それはダメな気がする。余計にあいつの機嫌を崩すだけだと思う」

友「その根拠はどこから出てくるんだ」

男「・・・幼馴染みとしての感」

友「なんだそりゃ・・・そういうのは分かるのに、約束のことはなんで忘れる・・・」

男「・・・すまん」

~~~~



「男君」

男「んあ・・・。お前は・・・イケメン?」

イケメン「覚えていてもらってなによりだ。というより同じクラスじゃないか僕達」

男「そっちは俺達と遠い世界にいるような気がしてな・・・。それで、なんのようだ?」

イケメン「聞けば男君、最近幼馴染さんと喧嘩をしたらしいね」

男「・・・お前には関係ないと思うが」


イケメン「いやいや、実は僕にも幼馴染みがいるんだ」

イケメン「昔、男君と同じような経験をしたんだ・・・。けど、ちゃんと解決したよ」

イケメン「だからその時の経験を活かして、男君の力になれないかなって」

男「俺の方はかなり特殊なケースなんだが、それと当てはまる事案があると?」

イケメン「幼馴染みを怒らせてしまったことに変わりは無いよ」

男「それじゃあ、聞いてやろうじゃないの。そのお前の経験談ってやつを」

イケメン「・・・それじゃあ、聞いてくれるかな」

~~~~


イケメン「・・・というわけだよ。つまり僕が言いたいことはね・・・」


イケメン「一時的に距離を空けるんだ・・・。そうすれば、時間が後は解決してくれるよ」

男「・・・それじゃあ意味が無いような気がするが」

イケメン「大丈夫。僕たちはそれで仲直りできたからね。それに、今は解決策が浮かばないんでしょ?」

男「・・・」

イケメン「・・・まぁ、これはあくまで僕の経験から言えることだ。男君達に当てはまるかはわからない」

イケメン「でも・・・どうしてもって時は、試してみるのもいいかもしれない」

男「・・・そうだな」

イケメン「これで少しは男君の力になれたかな?」

男「ああ。サンキューな」

イケメン「礼を言われるまでもないよ。僕がしたくてしたことだ」

男「・・・なんで、俺達を助けてようとするんだ?」

イケメン「・・・決まってるじゃないか」

イケメン「僕達がクラスメイトだからさ」

男「・・・」

イケメン「それじゃあ、また困ったことがあったらいつでも相談乗るよ」

イケメン「僕たちは・・・”幼馴染”を持つ仲だからね」

男「ああ。ホントにありがとうな」

イケメン「うん、じゃあ・・・」




イケメン「・・・バカな奴め」

イケメン「俺に幼馴染みなんているわけねーだろ」

イケメン「”幼馴染”はもうすぐ俺の所有物になるけどな・・・」ニヤリ

~~~~


~一ヶ月後~


友「・・・なぁ、男」

男「・・・」

友「お前、幼馴染さんとの仲直り諦めたのかよ」

男「・・・諦めてねぇよ」

友「だったらな・・・!なんで、こんなに時間も経ったのにお前らその気配が全く感じられない!」

友「どうしてだよ男!お前らの仲はそんなものじゃないだろ!」

男「・・・」

友「なんとか言えよ・・・!」

男「・・・距離が、時間が解決してくれることだってある」ボソッ

友「そういう場合じゃないだろ・・・!」

男「・・・」

友「・・・お前、校外学習の時の幼馴染さんの状況知ってるのか?」

男「・・・知らねぇよ」

友「前みたいに元気に振る舞ってるけど、ふと暗い顔を見せるんだとよ」

友「明らかにいつもの幼馴染さんじゃないだろ・・・!それに、その幼馴染さんの隣にずっといた男は誰だと思う・・・」

友「・・・イケメンだよ。サッカー部のあいつだよ!」

男「・・・!」

友「お前がいつまでも放ってると、いつの間にか幼馴染さんはお前の所に戻ってこなくなるぞ!それでもいいのか!?」
 
男「・・・それまでの仲だったんじゃねぇか」

友「お前・・・!」

男「幼馴染の話はいいだろ・・・。それよりも・・・」

友「・・・お前なんて知るか・・・!」

男「おい、友っ・・・」


男「・・・くそっ。わからねぇよ・・・」

~~~~


~帰り道~


女「・・・男君」

男「・・・どうした?今日は幼馴染と一緒じゃないのか?」

女「違うよ・・・!」

女「友君から話聞いたよ・・・。男君は、距離や時間で解決しようとしてるって」

男「・・・それが」

女「それがじゃないよっ・・・。本当にそれが男君の答えなの・・・?」

男「今は、こうするしかないんだよ・・・」

女「そんなの間違ってるに決まってる。距離や時間は、何も解決してくれない」

女「それどころか、どんどん悪化していってるよ・・・男君と幼馴染」

男「最初と同じだろ。ただの他人に戻っただけ・・・」

女「なんで、そんなことが言えるの男君・・・!私達は昔からずっと一緒で、ずっと仲良しで、それで、それで・・・」

男「・・・だからって、この先も一緒なんて限らねぇだろ」ボソッ

女「・・・え」

男「そもそもおかしかったんだ。俺達は。小さい頃から一緒だからって、高校生にもなって三人仲良く遊ぶとかな」

男「俺は男子なのに、いつまでも女子と遊んでるなんて・・・。おかしいと思わないか?」

女「・・・そう、おもってたの・・・?」

男「・・・ああ」

女「なんで、なんでよぉ、男君・・・!」ウルウル

女「なんで、そうなるまえに、わたしのことをたよってくれなかったのっ・・・?」

男「・・・!」

女「・・・わたしじゃ、力になれなかったの・・・」

男「そういうわけじゃ・・・!」

女「じゃあ、なんで!・・・男くんはそんな酷いことを言えるようになっちゃったの!?」

男「・・・」

女「なにもいわないんだ・・・」


女「そんな、男君・・・私、嫌いだよ」

男「!」


女「・・・っ!ごめん・・・。またね・・・」


男「・・・っ・・・」



男(どうしてだよ・・・。なんで、友も、女も、幼馴染も・・・なんで全員俺の所からいなくなるんだよ・・・!)

男(距離が、時間が、俺達を元通りにしてくれるんじゃねぇのかよ・・・!)

男(約束ってなんだよっ・・・!)



男(――俺はその年、初めてずっと一人の夏休みを過ごした)

>>195
男「・・・なんで、俺達を助けてようとするんだ?」☓

男「・・・なんで、俺達を助けようとするんだ?」○

ひとまずここまで・・・。

~~~~



男(孤独な夏休みだった。ずっと一人で、何をするわけでなく、ただ毎日を無為に過ごした)

男(今まで当たり前だった、三人の日々はそこには無い)


男(・・・もう、考えるのはやめた。どんなに考えても答えは見つからない)

男(それまでだったんだ。俺の幼馴染を想う気持ちは)

男(我ながら軽率な男だ・・・。最初の約束は俺からしたというのに。・・・あれ、俺がした約束ってなんだっけ・・・?)

男「・・・やめよう」

男(また、無理な問答を繰り返すだけだ。どうせ、答えは見つからないのだから)


男「・・・今日からか」


男(夏休みは昨日まで。今日からは晴れて学校が始まる)


男「・・・っ」

男(幼馴染、女、友・・・。三人の顔を思い浮かべる。そうすると体が重くなってきた)

男「サボるか・・・?」



~~~~



―屋上―



男「・・・」


男(結局来てしまったものの・・・。教室に入る手前で、震えてしまった)

男(あの時以来、会話が無い親友・・・元親友達にどんな顔をして会えばいい)

男(・・・怖くなった。また、否定的な言葉を言われるのが)


男(だから、俺は屋上に逃げてきた。・・・ここなら、誰にも気づかれず一人でいられる)

男(誰にも気にされずに・・・学校にいることができる)


男(それから、屋上は俺の居場所になった)



~~~~


男(・・・二学期が始まって一週間が経った。一週間もあれば、人は自分の置かれた環境に自然と慣れてくる・・・と思う)


男(夏の暑さはまだ収まる気配は無いが、屋上にいることでもたらされる風は俺の事を楽にさせてくれる・・・)


男(屋上で時間を過ごすのは寝る以外やることがなかった。なので本を持ち出すことにした)

男(最初は漫画に始まり、漫画で時間が潰せないと分かれば、家にあった適当な文庫本を引っ張ってきた)

男(この前までの俺は、小説とかそういうのは苦手な部類だと思っていた。しかし、読んでみれば意外と面白い)

男(本を読んでいれば、その本の中に自分が入り込むことができた。その物語のことだけを考えればいいように)

男(本の中にいれば、俺はそれ以外のことは考えなくていいのだから)

男(しかし、その物語も終わりを告げてしまった)

男「家に置いてあったやつ、読み終わったな・・・。どうするか・・・」

男(そうだ、今度図書室にでも寄ってみるか・・・!)

ガチャ・・・

男(!・・・まさか)

男(そこにいたのは、俺の期待とは反する見知らぬ男女だった。・・・期待、か)


「無事になにやるか決まってよかったねー!」

「うん。今からが楽しみだ・・・」


男(屋上に人が来るのは珍しくない・・・。そりゃあ、開放されてるんだから当たり前だ)

男(前に、プリンを買うためにサボったりもしたよな・・・。ここで)

男(・・・。正直言って、あまり人は来てほしくはないんだがな。特に目の前みたいなカップルとか来ると寒気がして、頭が痛くなる)

男(・・・うざってぇ。ここ数日で屋上・・・いや、学校内が騒がしくなってきたな・・・。それもそうか)

男(去年もだいたいこの時期だったな。出し物決めるのは)

男(去年は気づいたら決まってて・・・。クラスに積極的に参加してなかった俺が悪いんだろうけど)

男(今年こそは・・・って思ってたがな・・・。無理だな)




男(・・・およそ一ヶ月後に行われる文化祭に、俺は何も見いだせなかった)

~~~~


「・・・何してるの、君」


男(その日、俺の一日は意外な人物の来訪によって変化した)

男「黒髪・・・」

黒髪「またプリンを不正して買おうって気なの?同じ手は通用しないよ」

男「・・・っ」

男(その出来事を思い出して、心が痛くなる。発端はそこからだったから)

男「買わねぇよ、そんなもん・・・」

黒髪「じゃあ、何で君は品行方正、容姿端麗、成績優秀な幼馴染が二人もいるのに、不良のような真似事をしてるのかな?」

男「・・・いいだろ、たまには授業サボっても」

黒髪「私も縛り付けられるのは嫌いだからね。君の言う、たまにサボるっていうことにはどちらかと言えば賛成」

黒髪「だけど・・・。いつもサボっている男は・・・どちらかといえば反対かな」

男「・・・!」

黒髪「・・・本当に弱りきってるんだ、男」ボソッ

男「・・・それで、何しに来たんだよ。いつもサボっている男に何か用か?」

黒髪「そうだね・・・。説教ってとこ?」

男「生憎、お前に説教されるようなことはない」

黒髪「あるよ・・・君の大事な幼馴染みのこととかね」

男「!!」

黒髪「君がどうしてこういう状況になっているかとかも、全部知ってる」


男「・・・幼馴染みがどうしたって言うんだ。あいつらもう関係ないんだよ」

黒髪「・・・そうかな?女さん・・・だっけ」

男「女がどうかしたのかよ・・・!」

黒髪「うん。君にちょっと会おうと思って、クラスに行ったら女さんに捕まって――」



~~~~


女「あ・・・黒髪さんっ!」

黒髪「女さん・・・かな?」

女「はいっ・・・。あの、黒髪さんは男君と仲が良かったよね??」

黒髪「ま、まぁ・・・。それがどうかした?」

女「あの、あの・・・」

黒髪「・・・?」

女「男君と、話してない?それとも、黒髪さんも男君と会ってないかな・・・?」

黒髪「ごめん・・・。二学期始まってからは男と会ってない。ちょうど今日男に用があったから来たんだけど・・・」

女「そ、そっか・・・」

黒髪「・・・」

黒髪「男と幼馴染さんの喧嘩はまだ続いているの?」

女「そうだね・・・。男君はまだ思い出さないから」

黒髪「そう・・・」

黒髪「・・・ねぇ、私もってことは・・・」

女「・・・うん。私もずっと男君と会ってないよ」

黒髪「・・・あの話は・・・!」

女「本当だと思う。男君が屋上で授業に出ずにずっとサボりつづけているのは」

黒髪「・・・っ。なら、どうして」

黒髪「どうして男に会いにいかない!?男は大事な幼馴染みで親友の一人じゃないの!?」

女「そうだよ・・・。男君は大事な人の一人で三人の中心」

黒髪「それなら尚更・・・!」

女「・・・待ってるって言ったから」

黒髪「・・・え?」


女「男君に言ったんだ。私は男君が思い出すまで待ってるって」

女「もし、どんなに頑張っても思い出せなくて、助けが必要になったら、その時は私が助けるって」

女「そう言ったのに、男君、いつまでも私の所に来てくれないんだよ・・・」

女「もうそろそろ限界かなぁ・・・、私も」

黒髪「・・・」



~~~~


黒髪「そんな事聞かされたら、もう足止まんなくて」

黒髪「それで、今ここにいると・・・」

男「な、な・・・」

黒髪「・・・女さんは待ってるよ。君のことを」

黒髪「幼馴染さんも君が答えを見つけるのを待ってると思う」

男「そんな・・・そんな、こと・・・!」

黒髪「だから、もう逃げるな・・・!」

黒髪「答えを見つけることから、逃げるなっ!」

男「・・・っ!!」

男「そんな、こと・・・言われても・・・」

男(・・・俺は、女に突き放されたと言うのに、友からは見放されたのに)

男(幼馴染に、拒絶されたのに・・・)

男「わかるわけねぇだろぉ!!」ダッ


バタンッ!!





黒髪「・・・あーあ、逃げられちゃったか」

黒髪「どうして逃がすんだろう・・・。それこそ塩を送るようなものなのに・・・バカだなぁ」


黒髪「・・・今日は、お母さんにたくさん甘えようかな」


~~~~


―公園―



男「はぁ・・・はぁ・・・」

男(・・・黒髪は追ってこないか)


男(・・・俺が逃げているって・・・?じょうだんじゃ・・・)

『答えを見つけることから、逃げるなっ!』

男「冗談じゃない・・・!」

男「俺がいつ逃げたっていうんだ!俺は逃げずに考えぬいた!それでも分からなかった!」

男「だから、時間を置いた、距離を空けた!それがいずれは答えを見つけてくれるはずだからな・・・!」

男「それのどこが逃げてるっていうんだ!俺は、俺なりに考えてる!」

男「それなのにお前らは・・・どうして、今ここにいるんだよ・・・!」

男「俺が何もしないからって、痺れを切らしたのか?」

男「俺が頼らないから、我慢できなくなったのか?」

男「どうして今なんだよ・・・!俺が悩んでる時には何も力になってくれなかったくせにっ!!」

男「どうして・・・」





友「・・・」 女「・・・」





男「――どうして、一度突き放したお前らが、今になって俺の所に来るんだぁ!!」




友「そんなの、お前の事をこれ以上放っておくことはできないからだ・・・!」

女「・・・」

男「口ではそんな事言っても、俺のことを見捨てたのはどこのどいつだ・・・」

友「お前の言ったことが最低だったからに決まってんだろ・・・」

友「お前の、幼馴染さんに対して言った言葉が、最低だったからな・・・!」

男「っ、それがどうした?」

友「お前のやった、時間や距離がお前の頭を冷やしてくれると思ったよ・・・」

友「だけど、今になっても時間や距離は何も解決していないじゃないか!お前と幼馴染さんの仲も、俺や女さんとの仲も!」

友「いい加減目を覚ませよ!時間や距離は何も解決してくれないんだって分かったろ!!」

男「・・・時間が足りてねぇんだよ」

友「お前・・・!!」



女「・・・友君、ここから先は私に任せて」

友「いや、まだ言うことは・・・」

女「今の男君に言わなきゃいけない事と、友君の言いたい事は違う」

女「だから、言う。私が男君に言わなきゃいけないことを」

友「・・・すまない、怒りで目的を見失っていた・・・」

女「・・・それも、友君のいいところだよ」

女「・・・」スタスタ

男「内緒話は終わりか?それで次はどうするんだ?俺の事をまた突き放すのか?」


男「そういえば、女・・・。お前だって、俺の事を待つって言ったんじゃないのか?」

女「・・・」

男「・・・黙ってないでなんとか言えよ」

男「お前らがそういう態度取ってるから俺は・・・!?」

男(俺が必死に女達から逃げようとしてるのに、女は俺を逃さなかった)



女「・・・」ギュッ



男(女が、俺を優しく抱きしめたから)

女「・・・ごめんね」

男「なにしてんだよ・・・!」

女「男君の事、助けてあげられなくて、ごめんね」

男「・・・っ!! いまさら・・・!」

女「男君の事一人にして、ごめんね・・・」

女「男君が、辛い時にそばにいられなくてごめんね」

男「ふざけるな・・・。いまさら、遅いんだよ・・・!」

男「俺が考えてる時に何もしてくれなかったのに」

男「幼馴染に拒絶された時に、何も励ましてくれなかったのに!」

男「なんで、いまなんだよ・・・!」

男「答えから、お前たちから、逃げてると・・・自覚した時に・・・」



男「俺が一番弱ってる時に来るんだよ・・・」



女「・・・そんなの決まってるよ」


女「みんな、想ってるからだよ。男君のことを」

女「・・・待つって言ったのに、ごめんね。こっちから来ちゃって」

女「もう、我慢できなかったんだ・・・」ボソッ

男「・・・そんなこと言われたらよぉ」


男「おれだって、がまんっ、できないだろっ・・・!」

ちょっと訂正・・・
>>166
幼(男・・・あんたは覚えてないかもしれないけど・・・あの日は―――)☓

幼(男・・・あんたは本当に覚えてないの―――)○
セリフの変換をお願いします。整合性がとれないので・・・。

友「共犯者が俺と女さんだけじゃないからだ」

男「・・・ということは」

女「後輩ちゃんがもしもの時の為に学校の外で待機してもらってたんだ」

女「後輩ちゃんがいてくれなかったら、多分男君の事見失ってたと思う」

男「・・・いたんだ、あいつ」


女「・・・そろそろ聞いてもいいかな、男君」

男「なんでも聞いてくれ・・・」

友「ったく、素直になるのが遅いんだよ・・・」

男「うるせぇな・・・」


女「それじゃあ、聞こうかな。男君がなぜ約束を思い出せないのかを」

男「・・・本当に分からなかったんだ」

男「約束をしたって言う数日間を思い返したけれども、約束をしたわけでもないし、ましてや幼馴染には会ってないんだ」

女「じゃあ、休みの前に何か約束をしたってことかな・・・?」

女「これまでは三人で必ずクラスとかも見に行ってたのに、どうして今年だけ幼馴染は・・・」

男「今年だけか・・・」

女「ねぇ、男君。もしかして・・・」

女「その約束は・・・昔のこと、私が二人に出会う前のこと・・・じゃないかな」

男「・・・!」

女「じゃなきゃ・・・」

女「幼馴染は、わざわざ公園の目の前で男君の事を待ったりしないと思うんだ・・・」

男「そうだよな・・・。そうだよ」

男「あいつが、ここで待つなんておかしいもんな・・・」

男(ここはあいつと俺が・・・)

男(――はじめてであったばしょ なのだから)





『やくそくだよ?』

『うん、やくそくっ!』

『じゅうねんごも、ここでまたあって』

『にじゅうねんごも、ここであうんだ』

『ずっと、ずっと、ぼくたちは、このばしょで・・・』




男「・・・あ、あ・・・」

男「どうして、忘れてたんだよ・・・俺は・・・!」

女「・・・思い出した?」

男「ああ・・・。とても大切な約束を忘れてた」

男「バカだよ俺は・・・!周りの人巻き込んで、悲しませて、幼馴染を傷つけた」

男「あの約束も、俺から言い始めたのに・・・!!」

友「・・・じゃあ、今、お前のすべきことはなんだ?」

女「・・・」

男「俺は、俺は・・・」

男「・・・幼馴染のところに、行く!」

友「ああ・・・」

女「・・・うん」

男「二人とも・・・、悪かった」

男「俺から見放してたのに、二人のことを悪く思ってた」

男「なのに、お前らは俺の事を考えててくれた・・・」


男「ありがとう・・・!」


女「私だけじゃないよ、黒髪さんや、後輩ちゃん、色んな人が男君の事を心配してた」

女「だから、その言葉、みんなに言わなきゃダメだよ」ニコッ

男「おう・・・」

友「感謝してくれよ・・・。俺はキレてばっかだったけど」

男「ああ。先輩とお前に似合う良いもんくれてやる」

友「い、いきなり、姉さんの話はやめろっ!」


男「・・・じゃあ、俺、行ってくる」

男「また、三人に戻れるように」

女「・・・うん」



~~~~



―幼馴染の家―



男「・・・っ」


男「やるんだろ、俺っ・・・!」グッ

男「」スゥーハー

男「・・・おし!」

ピンポーン


「・・・これは」

男「・・・親父さん」

幼父「随分と久し振りだね。・・・幼馴染に用かな?」

男「・・・はい。なので、上がってもいいですか?」

幼父「もちろん。・・・さ、次入って」

男「お邪魔します・・・」

幼父「幼馴染なら部屋にいるよ」

男「ありがとうございます・・・。親父さん」

幼父「なにかな?」

男「もしかしたら、強引に幼馴染を外に引っ張りだすかもしれません」

男「どんなに幼馴染が嫌がってても、俺の事止めないでくれますか」

幼父「・・・それがあの子の為になるんだね?」

男「はい。・・・必ず」

幼父「わかった。・・・そもそも私達が君達の事を止めるわけないじゃないか」

男「・・・ありがとうございます」




男「・・・」


男(やっと、来た。幼馴染の所まで)

男(随分と待たせてしまった。俺のせいで、色々な人を迷惑をかけた)

男(そうして、ようやく思い出せた。・・・簡単なことなのに。大事なことなのに・・・なぜ今まで忘れていられたんだ)

男(・・・本当に、迷惑をかけたな。みんな)

男(必ず、今までの俺達に戻るから・・・)グッ



男「・・・幼馴染。いるなら返事をくれ」

男「まぁ、いることは知ってるんだけどな・・・」

男「返事はないか・・・。じゃあ、勝手に喋るからな俺」


男「まず最初に・・・。悪かった」

男「俺、幼馴染との大事な約束、本当に忘れてた」

男「俺が言い出したのに、それを忘れるってどうかしてるよな・・・」

男「・・・だから、今までお前に謝ることができなかった」

男「・・・結局、俺はお前との約束を破ったことになるわけだ。最低だ、俺は・・・」

男「それから、俺は考えたよ。幼馴染との約束が何なのか。幼馴染がそこまで約束に固持することを」

男「でも、いつまで経っても答えは出なかった。そのせいで、変な考えを受け入れる隙を作ってしまった」

男「距離や時間が、俺達を解決する・・・。そう考えてしまったんだ俺は・・・!

男「逃げたんだよ・・・!」

男「・・・親友達にも迷惑をかけた。俺が逃げ続けることでその度合はどんどん酷くなっていった」

男「けれど、あいつらは俺を見捨てなかったよ・・・。俺が答えを見つけるのを待ち続けて、そして、助けてくれた」

男「本当に俺にはもったないぐらいの奴らだ。・・・その人達の助けがあって、今、この扉の前で幼馴染に言葉をかけることができる」

男「だから、俺みたいな最低な野郎に手を貸してくれた人達の為にも、やらなきゃいけない事がある」




ガチャ



幼「・・・っ」



男「・・・こうして、顔を合わせるのは久しぶりだな・・・。幼馴染」

男「・・・全部思い出した。幼馴染との約束」

男「やっと、思い出せたんだ。大事な約束を」

男「俺はもう逃げない。お前と向き合うことを決めた」

幼「っ・・・!」

男「今更、約束を思い出したからってあの日の事を許してもらおうなんて思わない」

男「・・・だから、やらしてもらう。俺の方法で」

ギュッ

幼「な、なにをする気・・・」


男「幼馴染」


男「――俺についてきてくれ」



~~~~


幼「ちょ、ちょっと!離してよぉ!」

男「離さない・・・。離すわけにはいかない」

男「ここで離したら、永遠に俺達は戻る事はできねぇんだ・・・!」

幼「・・・っ!そんなの私が望んでないのに・・・!」

男「それでも、だ」



男(俺は嫌がる幼馴染の手を離さず握ったまま、ある場所へと向かう)

男(幼馴染の抵抗の声は止むことはない・・・。・・・だが、道中で幼馴染もどこへ向かうのか気づいたのだろう)

男(抵抗の声は・・・次第に、ある言葉へと変わっていった)


幼「・・・なんで、いまになってなの」

幼「もう遅いよっ!もう、あの日は終わったんだよ!」

幼「あそこに行っても、何の意味も無いの!!」



男(あの日はもう終わってしまった)

男(あの時の約束は既に無いものになった)

男(もう、そこに行く意味はないんだ・・・幼馴染はそう言っている)


男(だけどな・・・!)

男「俺にはあるんだ!あの場所に行く意味が!あそこじゃなきゃ駄目なんだ!」

男「俺達はそこじゃないと・・・終わらせたものを、また始めることはできねぇんだよっ!!」

幼「・・・っっ!!」



男(そして・・・辿り着いた。俺達の始まりの場所)




―公園―



男「・・・久しぶりだ。二人で公園に来るのは」

幼「あんたが・・・約束を忘れなければ、そんなことはなかったけど」

男「ああ、最低だよ。だから、あの日の約束を語ることなんてのはできない」

幼「あの時、あんたが約束を忘れたって言って、私がどれだけ辛かったと思う・・・!」

幼「私だけ、小さな頃の思い出に浸って、ずっとその事を忘れないでいて・・・」

幼「あんたは、覚えてくれていると思ったのに!それなのにっ・・・」

幼「約束を覚えてくれていなかったっ!男は何も覚えていなかったんだよ!」

男「・・・」

幼「なにそれ・・・。私がバカみたいじゃない・・・!子供の頃の約束に執着して、挙句約束した相手は忘れてる・・・」

男「・・・悪かった」


幼「私が何度、約束の事を言う機会を与えても、男は何も言ってくれなかった!」

幼「男は、真剣に向き合ってくれなかった!それどころか、何も男は思い出さなかった!」

幼「ねぇ・・・、そんなにあの日の約束は男にとって、大事じゃなかったの?」

幼「どうして・・・あの日の、あの時の約束を破るのぉ・・・!」

幼「私達の中で一番大事な約束を、破ることができたのよぉ!!」  


男「・・・」


幼「なにか言ってよ・・・。もう私は大事じゃない・・・?」

男「・・・にきまってるだろ・・・」プルプル

幼「・・・ぇ」



男「大事に決まってるだろっ!!」



男「あの日の約束も、大事に決まってる!! だからなおさら、嫌なんだよ・・・!」

男「約束を忘れていた俺がいること許せない・・・!」

男「約束を軽く見た俺を、約束を思い出そうとしなかった俺を、約束から逃げようとした俺を・・・」

男「許せないんだ、自分自身を・・・!」




男「一番大事な人を裏切った自分がいるのが、ひどく嫌なんだよっ!!」


幼「っ・・・」

男「なのに、なんで今、俺が幼馴染の前にいれるか分かるか」

男「俺が、どんなに最低な野郎でもな・・・、笑ってほしい人がいるから・・・!」

男「大事な人には笑っててほしいんだ・・・!」

幼「・・・」




男「だから、約束してほしい」


男「・・・俺を、ずっと許さないでください」


男「十年後、二十年後・・・何十年経ってもこの日に、この場所で、俺を許さないでくれ・・・!」



男「そうして、あの日の約束をずっと、忘れさせないでほしい・・・!」

幼「・・・そんな約束、ゆるせるわけっ・・・ない、じゃない・・・」ウルウル

男「・・・ぇ」

男(・・・俺はまた間違ってしまったのか・・・?)


幼「そんなことをいう、男を、ゆるさないなんてこと、できるわけない・・・!」

男「・・・でも、俺は約束を忘れたんだぞ!」

幼「だからって、男が苦しむことをわたしがみとめられるわけ、ないでしょ!!」

幼「私だって、あんたのことが大事なのに・・・わたしだって、大事な人には笑ってほしいのよ・・・!」ポロポロ


男「幼馴染・・・」

幼「・・・ばか・・・」ギュッ


幼「ばかっ!ばかっ!男のばかっ!・・・どうして、そんなこともきづけないのよっ!」

幼「ばかぁ・・・。言うのが、気づくのがおそいのよぉ・・・!」

幼「今まで、わたしがどれだけ、辛くて、さびしかったとおもってるのよぉ・・・」

男「・・・ごめんな、本当に最低な野郎で」

幼「ほんとさいてーよ・・・。わたしのことをずっと一人にしてっ・・」

幼「だから、さいてーな男は・・・、わたしがずっと見てないとだめなの・・・」

男「ごめん・・・ごめん・・・!」ポロポロ

幼「わたしのこと、もうわすれない・・・?」

男「わすれねぇよ・・・!わすれるわけねぇ・・・!」

幼「じゃあ、ずっと一緒にいてあげる・・・」

男「・・・ああ。ああ!!」







『止まっていた、幼馴染と俺の時間は、ようやく動き始めることができた』



『しかし、それは幼馴染と俺の時間なだけであって・・・』





女「・・・」


女「・・・私は、間違ってないのに・・・私は親友の為にいいことしたはずなのに・・・」

女「なのにどうして・・・どうして・・・こんなに私は悲しいんだろう・・・?」


女「あの二人の幸せそうな姿を見てるのは、嬉しいはずなのにっ・・・!」


女「どうして、私の涙は止まらないの―――」ポロポロ




『そのとき、三人の時間が動き始めることはなかった』

すいません、また眠れないような展開になりました(笑)

まだまだシリアス(?)な感じで続く予定です。

とりあえず今回はここまで。





……ちなみに投下頻度が少し落ちるかもしれません。

そもそもなんの話だったか忘れてる
転校生が出てくるのは別の話だっけ?
妹いなかったっけ?

>>265
男「パンツから始まる恋だってある」転校生「ねーよ」
男「パンツ見せてください」転校生「バ、バカじゃないの!」
↑2つは転校生が男の幼馴染みじゃない世界(パラレルワールド?)

幼馴染「ほんとうのはなし」
↑これは転校生が男の幼馴染みである世界(本当の世界はここ)

妹はいないんで、別の話ですよ~

状況的には、男が(本当の世界)で事故に遭い、意識だけが別の世界(パラレルワールド)に移ったってイメージです。
それでこのスレは(本当の世界)での記憶を(パラレルワールド)で思い出している場面…てな感じです。

ちょっとごちゃごちゃになりすぎてました…。

~~~~


―教室―


男「――・・・ということで、仲直りできた」


友「ほんっと、長かったな。・・・まー、これこれで万々歳ってことだな」

女「・・・」

友「女さん・・・?」

女「あっ、うん、そうだね・・・。ようやくだね」

男「ごめんな、女、今度マジでパフェ奢るから」

女「パフェ・・・? ・・・あぁ!、そうだったね!じゃ、お願いしようかな~」

男「俺の小遣いが貯まったらな。どうせなら、幼馴染に作らせるか。やっぱ」

女「そ、それは、いいよ・・・」

友「ところで、幼馴染さんは?一緒じゃないのか?」

男「んにゃ、知らんぞ。つか、その言い方だと俺と幼馴染が四六時中一緒だと思ってるな?」

友「それに近いような物だろ。今までそうだったと思うけど」

男「おいおい・・・。そりゃ、頻度は高いけどいっつも一緒にいるわけじゃないしな・・・」

女「あっ、幼馴染・・・!?」

男「ん・・・?」


幼「―――」

イケメン「―――」

友「・・・仲直りしたんだよな」

男「ああ。まだ何かあるのか」

友「だったら、なんで朝からイケメンと教室に来るんだ?」

男「たまたま会ったんじゃないか?それぐらいイケメンぐらいになるとすると思うが」

友「・・・あのなぁ、この際だから言っとくけどな。イケメンって表ではいいやつぶってるけど、裏では相当酷いって噂されてるぞ」

友「女を取っ替え引っ替えしたり、何股してるのか分からないぐらい彼女がいたり・・・。悪評は後がたたないって」

男「・・・マジで?」

男(・・・まさか、あの時の言葉・・・)


『一時的に距離を空けるんだ・・・。そうすれば、時間が後は解決してくれるよ』


男(・・・あいつには気をつけるか)

~~~~



女友「ということで、今日は演劇の配役を決めるよ!ってか、もう決まってるんだけどね!」テヘペロ


「「「・・・」」」

女友「・・・。まずは、演劇の題目からね・・・。ずばり、私達がやる演劇は」

女友「シンデレラよっ!」

女友「シンデレラというのはね――」


男「・・・なぁ、なんで女友が主導で動いてるんだ?」

友「演劇になった場合、女友さんに全権が託されるって条件で他の案と多数決したら・・・ご覧の通り」

男「滅茶苦茶だな・・・」

女友「――というわけよ!いやぁ、いい話よねぇ!! で!」

女友「ということで、今回そのシンデレラ役をしてもらうのはもちろん・・・・」


女友「幼馴染!あんたよっ!というか、あんた以外にシンデレラ役は託せないっ!」


幼「・・・え?わ、わたし?」

女友「そうっ!その生まれ持った美貌。風になびくだけで思わず見とれてしまう金色の髪。言葉を発しただけでで誰しも魅了するその声・・・!」

女友「あんた程シンデレラに適任なのはいないのよっ」

幼「え・・・。それだったら女友ちゃんがやれば」

女友「私はね、演劇部の方でいっぱいっぱいなのよ・・・。端役なら辛うじて参加できるレベルよ」

女友「今ならあんたのパートナー役の王子様の指名権をあげるからさ・・・」ボソッ

幼「~~~っ!!」カァァ

幼「・・・しょ、しょうがないわね」

女友「よ~っし!!じゃあ、シンデレラ役は幼馴染で決定!!じゃあ、次は・・・」

女友「王子様役を幼馴染に指定してもらうよ!!」


「「「うおおおおおおおおおおおおおお!!」」」


石井「滾るッ!!滾るぞォ!!我が魂、ここにて荒れ狂う嵐とならんッ!!」

石井「し、しかし、それでは女さんへの愛はどうなるッ・・・!!くっ・・・、俺はどうすれば・・・!」

男(安心しろ。お前は絶対にないから)

男(それにしても誰選ぶか・・・。演劇とか大変そうだし、俺とかはやめろよ・・・)

イケメン「・・・」

男(・・・あと、イケメンを指名するのも)

女友「じゃあ、幼馴染。指名して」

幼「う、うん・・・じゃあ」


「「「ゴクリ・・・」」」

石井「うおおおおおおおおおお!!俺はどうすればいいんだああああああああああ!!」


幼「・・・お、男」


「くそおおおやっぱりか!!」「○ね男!!」「今ならイケルと思ったのに・・・!」


男(言われもない恨みつらみが・・・)


幼「べ、別に男がいいってわけじゃないんだから・・・。そのっ、慣れてる人の方がやりやすいと思ったから」

男「はいはい。慣れてるからやりやすいからねー」

女友「そんじゃあ、次は脇役たちを決めるよーっ!」



イケメン「・・・」ギリギリ



~数日後~


女友「今日はここまでっ。みんなおつかれさまー」


男「・・・なんかミスってばっかだった」

幼「仕方ないじゃない。まだまだ始まったばっかりよ?」

男「それでもな・・・。もう少し練習したいって感じ」

幼「そうはいっても、もう学校出なきゃいけない時間だし・・・」

男「そうだっ!お前の家で練習すればいいんじゃないか?広いし、打って付けだろ!」

男「それに、女も呼んで。演技を客観的に見てくれる人がいた方がいいと思うし」

幼「男にしてはいい考えね・・・。わかった、女呼んでくるわ」

男「おうっ」

幼「女~」

女「ん?どうしたの幼馴染・・・」

幼「この後、私の家で男と演劇の練習するんだけど、来ない?」

女「え?私、衣装係だけど」

幼「誰か一人、外から見てくれる人がいた方がいいと思うの」

幼「・・・後、最近三人でいられる時間が少ないと思うし・・・。だから、どうかな?」

女「・・・っ」

女「・・・ご、ごめん。今日は用事があるから」

幼「そっか・・・。また今度ね」

女「うん・・・」

~~~~



男「・・・今日も駄目だったか」

幼「うん。女もちょっと忙しいみたい・・・」

男「でも、これで何回目だ?さすがに一回ぐらいは来てもいいんじゃないか・・・」

男「俺と幼馴染と女で、いることも最近全然ないし」

幼「仕方ないよ。きっと、女にも事情があるんだと思う」

男「んー・・・、せっかく一緒のクラスなったのに、これじゃあ去年と同じじゃないか」

男「三人で、文化祭を楽しもうって言ったのに・・・」

幼「また今度、誘ってみるから・・・」

男「だな。さて、今日も練習するか。今日は――」



女「・・・」

~~~~



男「おーい、女ーっ」

女「・・・っ、なにかな男君?」

男「この後、幼馴染とあそこの喫茶店行くんだけど・・・女も来ないか?」

男「ほら、仲直りのお礼としてパフェ奢ってやるから。あそこのパフェ女も好きだったろ?」

女「・・・できれば二人きりがいいな・・・」ボソッ

男「ん?いまなんて・・・」

女「~~~!! わ、わすれて男君!!今、言ったこと忘れて!!」

男「そもそも何言ってるか、聞こえなかったんだが」

女「ほ、ほんとっ?」

男「ああ・・・」

女「じゃ、じゃあ、なんでもないよ・・・。それで、喫茶店なんだけど・・・」

女「ごめんなさい。この後どうしてもやらなきゃいけない仕事があるから・・・」

男「そっか・・・。悪いな無理に呼び出しちまって」

女「全然そんなことないよ・・・全然」

男「そう言ってもらったら助かる。じゃあ、また今度いこうな」

女「う、うん・・・」






女「・・・はぁ」

女友「女ーっ、早く帰ろ?」

女「あっ、うん」

女友「早く帰ってやることあるんでしょ?」

女「ないよ・・・やることなんて」


女「何もやることなんてない・・・」


女友「? とにかく行こっ」

今回はここまで。

女ルートと幼馴染ルート欲しいです…
心が痛くてたまらない






男(・・・その後も女は俺達の誘いに一度も乗ることは無く、ついに文化祭を迎えた)





~~~~



男「先輩の叫び声すごかったな・・・。俺あんな声聞いたこと無いぞ」

幼「そうね。・・・それほど先輩も楽しみなのかな、文化祭」

男「だろうな・・・。何やら友と色々やるみたいだからな」

幼「そっか・・・」



男「・・・ついに迎えちまったな。文化祭」

幼「ええ・・・」

男「・・・んで、女を誘うことは一度もできなかったな」

幼「・・・」

男「さてと、本番まで時間があるって言っても油断は禁物だ。練習しようぜ」

幼「・・・きっと、女は我慢してるんだ」

幼「私達の練習の邪魔をしないように。だから、誘いに乗らなかったんだよ。だから、今日の演劇期待してると思う」

幼「・・・女に向けて、今まで一番の演技をしなきゃね」

男「だな・・・。よしっ。じゃあ、第二幕のあそこから――」


~~~~



女友「・・・ねぇ、女」

女「・・・」

女友「幼馴染と男と一緒に回ろうって言わなくてよかったの?」

女「あの二人は演劇の主役なんだよ?きっと今でも練習してる」

女「だから私が邪魔しちゃいけないんだよ・・・」

女「二人の邪魔をしちゃ・・・ね」ボソッ


女友「・・・女」

女「・・・女友ちゃんはクラスだけじゃなくて演劇部もあるんだから、私といたら駄目じゃないの?」

女友「そしたらあんたは・・・」

女「私はちょっと・・・風でも当たりに行こうかな」


女「・・・あなたが孤独を感じてたあの場所で」

~~~~



~本番直前~


女友「――じゃあ、いくよー!せーの、」


「「「えい、えい、おーっ!」」」




男「・・・緊張してるか?」

幼「してないと思う?」

男「まぁ・・・そりゃ、本番なんだからしないわけないな」

幼「でも、今ので少しはマシになったかも」

男「たまには俺も気が効くだろ?」

幼「いっつもそうしてもらいたいけど・・・」




男「・・・いよいよだな」

幼「うん・・・」

男「度肝抜いてやろうぜ。見に来ている人全員の心を掴むほどに」

幼「それと・・・女のためにも、ね」

男「ああ」


幼「行きましょう。私達の物語を、始めるの」

幼「誰が見ても、輝いてる私達の物語を――」

男「おう・・・!」


<<次は2年○組による演劇です。演目は―――>>


女「・・・」ジー















                               <<シンデレラ>>


















男(――幼馴染の演技は圧巻だった)


男(冒頭では、惨めでも希望を捨てない一人の少女を繊細に演じて観客の興味を集め・・・)

男(中盤においては、魔法にかけられて本当のお姫様のように見違えた姿に誰もが目を奪われ・・・)

男(終盤にさしかかる今に至るまで、完璧・・・いや、それ以上の演技を幼馴染を見せていた)

男(だから今、俺が彼女の演技を貶めるような演技を見せるわけにはいけない)

男(そう、この演技は幼馴染、そして女に捧げるもの)


男<<・・・あの日から、あなたに会いたくて仕方がなかった>>

男<<・・・この先、どんな事があろうと、必ずあなたを幸せにすると誓います。だから>>


男(この手がまた、三人を繋いでくれると信じて――)


男<<―――・・・私と、手をつないでくれますか?>>


幼<<はい・・・。喜んで・・・>>

男(女はそう言い俺の手を取って・・・そして、台本にない台詞を続けた)


幼<<きっと、あなたが私を幸せにしてくれると信じています・・・>>


幼<<だから今日という日を絶対に忘れません・・・>>



男(そう言った幼馴染に俺は思わず見とれてしまい、そして実感した)


男<<・・・私も決して忘れはしません>>


男<<あなたと繋いだこの手を――>>


男(・・・俺は幼馴染が好きなのだと。)



ワァァァァァァァ!! パチパチパチパチ!!








「・・・やっぱりそうなんだね、男君」


「あなたは、幼馴染を選ぶんだ」

~~~~



男(演劇は見事に成功を・・・いや、予想を大きく上回る大成功を見せた)

男(全ては女友の監督、脚本・・・そして、幼馴染の演技がよかったからだ)

男(その大成功を収めた、主役というと・・・)




「幼馴染ちゃーん!!こっち来て―っ!」「駄目!先に私の方が!!」「見とれる・・・」


幼「え、えぇと・・・」


男(劇の反響で、多くの人間に囲まれ身動きがとれない状態だった)

男(無理もない。それだけ幼馴染の演技が評価されたって事だろう・・・。これなら、女も喜んでくれるに違いない)

男(俺の方には誰も寄り付かないけど・・・。かえってそれが好都合だ。女の所に行こう)



男「・・・女友、女がどこにいるか知らないか?」

女友「女なら・・・、さっき教室を出て階段を上がってくのは見たけど、どこに向かったかはわからないや」

男「サンキュー。それだけで十分だ」

女友「・・・女、最近不安定だから、できれば元気づけてほしいかも・・・」

女友「ちゃんと、後夜祭に連れて来て」

男「・・・任せとけ」




―屋上―


男「やっぱりここか・・・」

女「・・・」



男(後夜祭を控えてるっていうのに、上に行くってことは辿り着く場所はここしかない)

男(・・・俺が一人の時間を過ごしたこの場所しかない)

男「・・・劇はどうだった?」

女「・・・すごくよかったよ。思わず、幼馴染に見惚れちゃった。終わった時には拍手が止まらなかったよ・・・」

男「期待通りの物見せれたか?」

女「うん・・・。二人はやっぱりすごいよ。男君と幼馴染なら何でもできちゃうもんね」

男「おいおい・・・女も入れて三人、だろ?」

女「三人・・・」ボソッ

男「・・・? とにかく、もうすぐで後夜祭が――」


女「男君、私のお願い聞いてくれるかな」

男「ああ、なんだ?」

女「――後夜祭、ここで私と踊って欲しい・・・二人きりで」

男「おいおい・・・校庭でみんな待ってるぞ。もちろん、幼馴染も」

女「それでも、私はここで男君と二人きりで踊りたいっ・・・」

女「これが、最後だから・・・」ボソッ

男「・・・しょうがねぇな。んんっ!」





男「・・・私と踊ってくれますか、お姫様」


女「はい・・・喜んで・・・」


男(流れ始めた音楽にあわせ、二人ともおぼつかない動作だが満足に踊ってるはずだ)

男(だって、一緒に踊っている女が・・・)

女「・・・」ニコッ

男(笑顔で俺の事を見つめてくれているのだから・・・)


『きっと、これで俺達の時間はまた動き始める・・・。そう思っていた』

「・・・女」


『しかし、運命というのは残酷だ。いつまでも俺達の時間を止めたままにする』


「その顔、まるで・・・男に好きだって言ってるみたいじゃない・・・」


『俺達の、三人の時間は・・・』


幼「・・・そっか。だから女は・・・」

幼「・・・っっ!!」


『まだ、動き出せない』

今回はここまで。

>>282
このルートは前スレの女ルート→転校生ルートの続きなので
女ルートは・・・ということです。

~~~~



男(・・・文化祭から一ヶ月が経った。あの日が俺達をまた一つにしてくれると思っていたのに・・・)



男(女は後夜祭の後から、俺に関わらなくなった・・・。明確に避けられている)

男(バラバラだった二人と一人はあの日に三人に戻ることは無かった。それどころか幼馴染でさえも・・・俺から遠ざかろうとしている)

男(何でかって? それは・・・)


幼「あはは・・・。そうなんだ」

イケメン「うん。そしたら僕は――」


男(・・・幼馴染はあれからイケメンとの接触が多くなり、逆に俺とは関わる機会が少なくなっていた)

友「・・・まさか、また喧嘩したのか?」

男「・・・何もしてねぇよ」

友「だってこの状況、夏休み前と一緒じゃ・・・」

男「本当に何もしてねぇんだって。むしろ何か起こってる方が・・・」

友「・・・男?」


男(いつも一緒だったはずの三人は、いつのまにか二人と一人になり)

男(三人に戻れるはずだったのに、戻ることはできなくて・・・)


男(いつしか俺達は一人になっていた)



~~~~


友「本当に何もないんだな?この前みたいに、お前が忘れてるなんてことも?」

男「ああ。何か起きるどころか、何も無くて・・・。俺が聞きたいぐらいだ」

友「そこまで言うんだったらそうなんだろうな・・・。しかし、幼馴染さんがイケメンと仲良くなるなんておかしいと思うけど」

男「どういうことだ?」

友「去年の課外学習・・・イケメンは幼馴染さんに逃げられたらしい」

男「は?」

友「詳しくは知らないけど、イケメンと同じグループだった幼馴染さんは、イケメンのアプローチを受けてたみたいでな」

友「それも周りの人間から見ても露骨な程に」

友「そしたら、イケメンに嫌気が差したのか最終日の自由行動の時に幼馴染さん、グループから逃げ出したんだと」

男「・・・っ!」

男(それじゃあ、あの時幼馴染が俺の所に来たのは・・・!)

友「・・・お前のその顔を見るに、まぁそういうことだ」

友「だから尚更おかしいんだ。幼馴染さんがお前から離れて、イケメンの方に行くことが」

男「・・・ますます分からなくなってきた」

友「なんだったら女さんに聞いてみたらどうだ? ・・・って、そういえば」

男「・・・あれから、全く無いな」

友「・・・そうか」


友「・・・どうしてもって時は手を貸すから、その時は言ってくれ」

男「おう・・・」



~数日後~


男(日にちを置いて、二人に何かあるかと思ったら・・・、何もなかった。本当に)

男(何が原因なんだ?文化祭の時、俺がまた知らぬ間に間違いをしてしまったのか・・・?)

男(・・・とりあえず、このままだと何も始まらない。俺の方から動いてみよう)

男(幼馴染は・・・)

イケメン「―――」

幼「―――」


男(イケメンと楽しく談笑中・・・。ならば、女の方に行くか)



男「・・よう、最近ご無沙汰だな」

女「・・・男君」

女「幼馴染のところ行ってきなよ。私と話しても・・・」

男「その幼馴染が俺よりイケメンの所に行っててな・・・。なにかわからないか?」

女「・・・やっぱり、そうなんだ」ボソッ

男「えと、女なら何か知らないか?」

男「俺さ、最近幼馴染と女と話してないし・・・、女なら幼馴染に何か聞いてないかと思って」


女「・・・ごめん、なにも聞いてないよ」

男「そっか・・・。ところで女――」

女「ごめん、ちょっと後にしてもらっていいかな」

男「・・・」

女「・・・ごめんなさい」



男「・・・何もしてねぇんだけどな」



~~~~


男(・・・女が無理なら、幼馴染に聞くしかない)

男(イケメンがいないと確実に言えるのは部活をしている放課後・・・。つまり下校の時だ)

男(早めに教室を出て、校門で幼馴染を待ち伏せして・・・。こうすれば幼馴染も逃げられないはずだ)

男(・・・頼むから、イケメンを待つなんて事しないでくれよ)


幼「・・・」

男(・・・来た! 女は・・・一緒じゃないか)

男「・・・」

幼「・・・! なんで男が・・・?」

男「偶然だな。ちょっと忘れ物をしたから取ってきたんだ。今はその帰りだ」

幼「そんなはずは・・・。だって、私が教室で待ってて・・・!」

幼「・・・っ。じゃ、じゃあ」

男「どうせなら、一緒に帰らないか?」

幼「・・・はぁ。仕方ないか」ボソッ

幼「ええ・・・。わかったわ」



~~~~



男「なんか文化祭がついこの前みたいに感じるよな」

幼「・・・そうね」

男「演劇・・・演技とかやったことなかったから、練習とか苦労したけど、今思えばいい経験だったな」

幼「うん・・・」

男「演劇の後の周りの反応も凄かったよな・・・。幼馴染なんか次から次に人が来てたじゃねぇか。俺なんかさっぱりだったぜ・・・」

幼「・・・でも、女と一緒にいたじゃない」

男「ああ。演劇の感想聞きたくてな!女も、お前の演技がすげぇって言ってたぞ」

男「・・・あの時はなんとか、三人に戻れるような気がしてたんだがな・・・」

幼「・・・」


男「・・・無神経な事聞くかもしれないが、俺はまた間違えたのか?」

幼「・・・男は、何も間違えてない」

男「じゃあ、なんでお前はまた俺から離れてこうとするんだ。このままだと女どころか、三人全員がバラバラになるじゃねぇか・・・!」

男「俺達が三人になるための場所を作ってないと、女はいつまでたってもこのままだぞ・・・」

幼「だったら・・・今は女の所に行くべきよ」

男「は?・・・だって、文化祭の前は」

幼「女の所に行かなきゃダメじゃない・・・私なんかに構ってないで・・・!」

男「おい、どういうことだよ・・・!」

幼「・・・用事思い出したから、ちょっと先に帰る。・・・さよなら」

男「お、おいっ!待てよ!聞きたいことはまだっ・・・!」


男「・・・俺が、何をしたって言うんだ・・・!」




―屋上―



男「・・・」


男(二人に聞けば、何かこの状況を打開する糸口が見えると思ったが・・・かえって、分からなくなってきた)

男(どうして、俺達は三人に戻れない・・・? どこかに原因があるはずなんだ)

男(それはもしかしたら、俺だけで考えると見えない物かもしれない。だから手を借りることした)

男(前は、一人で考えても答えが出てこなかったからな・・・)

男(前は一人でいるためにここに来たが・・・今は、三人に戻るためにここにいる)

男(あの時とは、風も違う・・・。そうか、もうすぐで12月だもんな・・・)

男(孤独を紛らわせてくれた暖かい風はもう感じられない。今は、ただ冷たいだけの風が俺に思い出させる・・・)

男(三人で過ごしたあのクリスマスを・・・)


ガチャ・・・

黒髪「・・・おや」

男「・・・来ると思ってたぞ」

黒髪「君はまた授業をサボって・・・。またプリンを買おうとしてるの?それともまた喧嘩でもしたのかい?」

男「どれにも当てはまらねぇんだ、これが」

黒髪「・・・また、訳ありのようだね」

男「そうだな・・・。今日は、お前に聞いてみようと」

男「・・・三人を知らなかった人だからこそ分かることもあると思ってな」

黒髪「・・・仕方ないね。いいよ、聞いたげる」




~~~~



男「―――・・・と、仲直りした後の経過はこんな感じだったんだが・・・」

黒髪「・・・確かに君は何もしてないね。・・・ただ、何かあったのは二人のほうだと思うけど」

男「そこらへんを詳しく聞きたいんだが」

黒髪「うんとね・・・。二人に話しかけた時に女さんも幼馴染さんも、どちらも相手の事を気にかけているんだよ」

黒髪「自分じゃなくて、あっちの方に行ってって感じで・・・。ここまでは分かるよね?」

男「ああ・・・。確かに幼馴染も女もそんなことを・・・」


黒髪「つまり問題は・・・三人だから、なんだ」

黒髪「三人だったから・・・また三人に戻れないってこと」

男「つまり・・・どういうことだ?」

黒髪「これ以上は言えないね・・・。答えを与えるのは違うし・・・何より二人に悪いから」

黒髪「これは私が言うべきことじゃないんだ」

男「そうか・・・。ありがとう。答えに近づけるような気がする」

黒髪「だったらよかったよ。それじゃあ、私はこれから君の様な不良学生を取り締まらなきゃいけないから」

男「おう、またな」

黒髪「うん、また今度」


男(三人だから、三人に戻れない・・・か)



―昼休み―


友「・・・男、こういう時に非常に申し訳ないんだけど」

男「なんだ?そんなにかしこまって・・・」

友「放課後、姉さんが手伝ってほしいって」

男「友だけじゃ足りないってわけね・・・。わかった、断ったら先輩に後で何されるかわからないからな」

友「・・・悪い」

男「どうせ、帰ったって何もすることないんだ。気にするな」



―放課後―



会長「ごめんね、男クン・・・。急にお願いしちゃって」

男「いえ、他の役員がいないんじゃあ仕方ないですよ・・・、だって俺以外にも友や・・・」

後輩「・・・何ですか、その目は」

男「・・・後輩だって呼び出すほどなんですから」

会長「それほど急な事だったのよ。それじゃあ、早速はじめましょうか」


後輩「ちょっとー!この流れ、私が仕事できないみたいじゃないー!」

友「・・・どんまい」



~~~~


会長「・・・あっ。大事な物取りに行くの忘れてたわ・・・」

男(め、めずらしい・・・)

会長「ちょっと、友ついてきてくれるかしら?」

友「・・・了解」

会長「後輩と男クンはこのまま仕事続けてもらっていいかしら?」

男「わかりました」

後輩「任せて!お姉ちゃんが帰ってくる前に終わらせておく」

会長「ふふ・・・。楽しみにしてるわ。友、行くわよ」

友「はいはい・・・。よろしくな」

男「おう・・・」



男「・・・」

後輩「・・・」


後輩「・・・ちょっと、なにか話してくださいよ」

男「別にいいだろ・・・。仕事しろよ」

後輩「だって、このまま二人きりで黙りって・・・先輩といい雰囲気にでもなったら嫌じゃないですか」

男「あのなぁ・・・!」

後輩「じょ、冗談ですって・・・。さ、仕事仕事」

男「まったく・・・」

男「・・・」

後輩「・・・」チラッ

男「・・・」

後輩「・・・」チラチラ

男「・・・集中しろよ、お前は」

後輩「な、なにいってるんですか!集中してますよ!見て下さいよ、さっきまであんなに山積みだった書類が・・・」

男「・・・これ、ホッチキスつけるの逆だぞ」

後輩「え・・・?そんなはずは・・・。あああああああああ!!」

男「だからあれほど・・・。手伝ってやるから手貸せ」

後輩「す、すいません・・・」

男「・・・」

後輩「・・・」ジー

男「・・・なんだよ、顔に何かついてるか?」

後輩「いや、なにも・・・」


後輩「・・・あの、せんぱい」

男「・・・ん?」

後輩「最近、先輩が悩んでるって聞いたんですけど・・・」

男「・・・お前には関係ない話だ」

後輩「あー、またそうやって私を除け者にするー!」

男「実際、本当に関係ないんだから仕方ないだろ・・・」

後輩「そうですか・・・」



男「・・・なぁ、後輩」

後輩「・・・なんですか?」

男「仲がいい友達と、仲直りしたくても、仲が良かったから仲直りできないって・・・どういうことだと思う?」

後輩「・・・むずかしい話ですね」

男「俺が悩んでるのはそんなとこだ」

後輩「・・・なるほど」

後輩「・・・きっと、それは近すぎたからですよ」

男「・・・」

後輩「近すぎたから見える物がある・・・。そして、近すぎたから見えない物があるんです」

後輩「せんぱいは、きっとその見えない物が原因なんだと思います・・・」

男「その、見えない物を見るために、分かるためには何をすればいいんだ?」

後輩「相手をしっかり見て、考えなきゃダメですよ」

後輩「その人の事を想えば・・・案外、何でもわかっちゃうもんですよ」

男(近すぎたから見えない物・・・。俺はそれを今まで見ようとしてこなかったのか・・・)

男(俺達が三人だったから、近すぎたから見えない物があった。それが原因で今は・・・)

男「・・・まさか、お前に教えられるとはな」

後輩「フフン。私もしっかりと考えられるんですよ?」

男「ありがとな。ちょっと楽になった」ニコ

後輩「あ、は、はい・・・」カァァ

男「さて、早くこの束を直すぞ。じゃないと、先輩をがっかりさせちまうぞ」

後輩「そうですねっ。やりましょうっ!」


バタン!

友「はぁ・・・はぁ・・・」

男「どうした、友。そんなに急いで」

友「・・・さっき、屋上に向かう幼馴染さんと女さんを見た」

男「・・・っ!ごめん、ちょっと俺行ってくる!」

友「ああ、姉さんには言っておく・・・」

男「任せた!あと、後輩」

後輩「ふぇっ!?な、なんですか・・・」

男「ミスしてもそんなに落ち込むなよ!お前は別にできないわけじゃないんだから!」

後輩「は、はいっ」

男「じゃあな!」タッタッタッ


友「・・・何をやらかしたんだ」

後輩「ホッチキスの位置間違えちゃった・・・。あと・・・」

後輩「・・・気づくのが遅かったなって」

今回はここまで。

ルートを増やせば増やすほど、不幸な人は増えるんやな・・・って思ってみたり。

~~~~



男「はぁ・・・はぁ・・・」


男(この扉の先に二人がいる・・・。扉を開ければ、答えが見つかるかもしれない)

男「・・・っ!」

男(・・・でも、俺が今の二人に割り込んでもいいのだろうか・・・?)

女「・・・久し振りだね幼馴染」

幼「うん・・・本当に久しぶり」


男「・・・!」

男(・・・しばらくは二人の声を聞くことにしよう)




幼「9月以来ね・・・、こうして面と向き合って話するのって」

女「・・・うん」

幼「男から聞いたよ、演劇の感想。直接言ってくれればいいのに・・・」

幼「女が戻ってくること、待ってたんだから・・・」

女「・・・ごめん、幼馴染。今日はそんな話をするためにここに来たわけじゃないの」

幼「久しぶりに話すんだからこれぐらい・・・」

女「私達が二人、そして三人に戻るために・・・幼馴染を呼んだんだよ」

幼「・・・」


女「私には、幼馴染がしている事が理解できない・・・」

女「約束を思い出せたあの日、文化祭を通して・・・男君と近くなったのに・・・」

女「どうして、幼馴染は男君と二人になることを避けているの?・・・知ってるんだよ、幼馴染の気持ちは」

幼「っ・・・」

女「幼馴染のその気持ちに気づいてないわけないでしょ?多分、幼馴染が気づく前からわかってたよ、私」

女「もう、正直になりなよ。男君もそれを望んでるはず・・・」

幼「・・・言わないでよ・・・!」

女「え・・・?」

幼「勝手なこと、言わないでよ!!」


幼「私がどういう気持ちで、男から離れてるかわからないの・・・!」

女「幼馴染、それは・・・」

幼「女、あんただって男の事が好きなんでしょ!」

女「っ!み、みてたの・・・」

幼「後夜祭の時、屋上で男と女が二人で踊ってるのを見た・・・!」

幼「あの時の女の顔を見たら、そんなの諦めないといけないって思うじゃない!」

幼「あんな幸せそうな女から男を奪おうなんて・・・私にはできない」


女「・・・あれは、男君は幼馴染を一番想ってると感じたから」

女「最後に甘えようとしたの、男君に・・・!」

幼「・・・」

女「見てたんだ、男君と幼馴染が仲直りする所を・・・」

幼「な、なんで」

女「三人に戻る為に私もその場にいて、二人を見守ろうと思った。けど、あれが始まりだったんだよ・・・!」

女「知ってる?幼馴染が公園に来る前に、私と友君で男君を説得した・・・同じ場所で」

女「男君は混乱してた・・・。だから、こういう時は優しさが大事だと思って・・・私は男君を抱きしめた」

幼「っ・・・」

女「男君はただ立っているだけで・・・、私が一方的に抱きついてただけ」

女「あの時、気持ちが通っていたのは私だけだったんだよ・・・!」

女「でも、幼馴染は違った。幼馴染と男君は仲直りをした瞬間、二人とも抱き合ってた」

女「男君と幼馴染は気持ちが通い合ってたんだ・・・」

幼「・・・」

女「・・・分かったんだよ。やっぱり男君の一番は幼馴染なんだって・・・」

女「涙が止まらなかった・・・!二人が仲直りして嬉しいはずなのに、また三人に戻れたはずなのに・・・」

女「二人といるから辛いから、二人から逃げた・・・。二人の近くにいたら、私はどんどん嫌な子になっていく」

女「そんな自分に耐えられなかった・・・!三人を壊したのは私なんだよ・・・!」

女「・・・私に男君といれる資格なんてない。だから、もう無理するのはやめてよ幼馴染・・・」



幼「・・・なによそれ・・・」

幼「私がしてたことは無駄だったの?私が男を必死に遠ざけようとしてるのも、女に気を利かせてたのも・・・」

幼「なんでよ・・・!なんで、女みたいな子が嫌な思いしなきゃならないの!」

幼「私に気を使うのやめてよ・・・!」

女「幼馴染が男君の一番なんだよ!男君は幼馴染が一番好きなの!」

女「だから、幼馴染が男君と一つにならなきゃダメなの!」

幼「やめてよ・・・!」

女「幼馴染も男君のことが好きなんでしょ・・・」

幼「・・・」

幼「ずっと・・・ずっと好きだった・・・でもっ・・・!」

幼「同じぐらい大事な人を傷つけてまで、そんなことはしたくないっ!」

女「・・・幼馴染」

幼「~~~っ!ごめん・・・!」タッタッタッ

バタンッ!

幼「えっ・・・」

男「・・・」

幼「・・・っ!」タッタッタッ

女「・・・いたんだね、男君」

男「・・・ああ」

女「ごめん、私失敗しちゃった・・・。せっかく三人に戻れると思ったのに・・・」

女「ごめん・・・ね」

男「・・・」


男(女が俺に背を向け、階段を下り始める・・・。俺はその姿を見て、冷たい床に腰を下ろした)


男(・・・俺は屋上から去っていく二人の背中を追おうとはしなかった。・・・できなかった)

男(・・・二人は近すぎたから見えてしまった。だから二人は戻れない)

男(俺は、近すぎたから見えなかった・・・。見ようとしてこなかった)


男(今、目の前で起きたことを現実として考えたくない・・・。だって、そうだろう・・・?)

男(俺は幼馴染が好きだ・・・。だが、その事実は幼馴染と同じぐらい大切な女の事を傷つけてしまう)

男(もし、俺が選んでしまったら二人とも傷ついてしまうんだ・・・。どちらを選んだとしても)

男(けれど、選ばなければ俺達は永遠に三人に戻れない・・・)

男「クソっ・・・!」

男(開けっ放しの屋上の扉から、冷たい風が入り込んでくる。その風はもう孤独を紛らわせてくれない)

男(ただ淡々と、俺の孤独を嘲笑うかのように容赦なく吹き付ける)

男(・・・もうすぐで、冬。12月だ・・・)

男(三人で過ごしたクリスマスは・・・もう遠い過去)



男「おれは、おれは・・・どうすればいいんだよぉ!」



男(一人の叫びは、誰かに届くことは無く。無情にも校舎に響くだけだった――)

キリがいいんで今回はここまで。

三角関係(?)って難しい…

分岐の分岐ルート欲しいなぁ
シュタゲのまゆりがビンタする所と無理しなくていいよ的なのを


~~~~



男(屋上での出来事以来・・・俺は幼馴染と女、二人のどちらにも近づく事ができなかった)

男(二人の本当の気持ちを、知ってしまったからには。見えなかった物が見えてしまったからには・・・簡単に近づくことはできなかった)

男(どうすることもできずに・・・選ぶ事ができなかった。二人が傷つく未来を考えたくなかった)


男(ああ・・・。そうなんだ・・・俺は逃げてるんだ)

幼馴染「―――」

イケメン「―――」


女「・・・」

女友「―――」


男「・・・」


男(結局、全員が三人になることから逃げている・・・。だから、いつまでも戻ることはない)


男(季節は冬。月は12月。今日で学校は終わる。そして明日は・・・)


男(クリスマス・イブだ)

~~~~




友「二学期も終わったなぁ・・・。今思えば今年も短かったな」

男「ああ・・・。いろんな事があった」

友「そういえば、明日は毎年恒例のパーティーは・・・」

男「・・・まだ誘いは受けてない」

友「・・・そうか」

男「どうせお前は先輩とデートすんだろ。羨ましいったらありゃしねぇ」

友「あ、ああ。ショッピングモールを回ろうって話になってる」

男「その周りの奴らが気の毒だよ・・・」

友「なんのこと?」

男(こいつ分かってないのか・・・。先輩とお前ほどの美男美女カップルがいたら周りが負い目を感じるだろ・・・)

男「まぁ、楽しんでこいよ。せっかくのクリスマスだしな」

友「・・・お前もな」

男「・・・ああ。じゃあな」

友「・・・男」

男「ん?」

友「今年のことは今年中に精算すべきだと、俺は思う。だから、年明けたら・・・」

友「また、元気な三人が見られる事を楽しみにしてる」

男「・・・わかった」

友「それだけ。じゃあ、またな」

男「おう・・・」


男(・・・悪いな、友。・・・その問題は今年中どころか、ずっと解決できないと思う・・・)

男(この先、俺は二人のどちらかを選ぶ事はできないと思うから)

~~~~~



三人を壊してしまったのは・・・私だ。


三人でいられたあの時間、空間を、私が壊してしまった。


私は三人でいることを望んだ。


けれど、その望みも叶うはずがなかった。・・・壊した人間が元に戻すことはできなかったから。


三人でいられなくなった私は・・・空っぽだ。


・・・あの空間が私の居場所で、私が自分でいられた所。なのに、私は・・・っ!

・・・去年の今頃だったら、幼馴染と話しながら準備してたな。


もう・・・来ないのかな。三人で過ごすクリスマスは。


「っ・・・!」


一瞬。また望んでしまった。あの暖かい空間を・・・。

壊した人間にそんな権利はないのに。

「私が悪いのに、そんなこと思っちゃいけないのにっ・・・」

「・・・嫌だ・・・もう三人でいられないなんて、そんなの嫌だよぉ!!!」


そんなことを考えてしまう自分が恥ずかしくて、消えてしまいたい。


~♪


・・・携帯の着信に気づいたのは、そんなときだった。

「・・・っ!」


画面に出ていた幼馴染の名前を見て、急いで携帯を手にとった。

~~~~



女『そんなの絶対ダメっ!!そんなことしても誰も幸せになれないっ!』

「・・・でも、仕方ないじゃない。何をしても、私達は傷つけ合う」

「なら、一番傷が浅い方法がいいでしょ・・・?」

女『幼馴染はどうなるの!?男君を忘れられないまま、他の人となんて・・・!』

女『残酷すぎるよ・・・!そんな方法なんかで、幸せになるはずがない・・・』

「大事な人達が幸せになるには、これが一番いいの・・・」

「・・・これが、いちばん・・・」

女『今すぐ、そんなことはやめないと!」

「・・・ごめん、女」

女『え、あ・・・幼馴染っ!』

ピッ

「・・・」


親友・・・の声がしなくなった携帯を見つめる。

私の考えに、彼女は最後まで反対しつづけた。彼女と彼が幸せになるにはそれが必要なことなのに。

彼女は自分が幸せになることを拒み続けた。・・・女はつくづくいい子すぎるんだよ。

女がそういう子だから、私は男を諦めることができるし、女と男の幸せを願うことができる・・・。


例えそれが、十年来の恋の気持ちを忘れることになろうとも。


「いいんだよ、これで・・・」


そうやって、自分に強く言い聞かせなきゃ・・・明日を迎える前に壊れてしまう。

きっと、男への気持ちを抑えられなくなる。

それだけは何としても防がなきゃいけない。・・・だって明日は



私が男以外の人と結ばれる日になるはずだから。

>>341
シュタゲはアニメしか見てなくて、内容も深くは覚えていないんでご期待に添えるかはわからないです…


すいません、随分と遅れてしまいました。

これからはまた少しずつ書いていきます。完結への道も見えてきたので…

といったところで今回はここまで。





男(・・・起きたのは昼過ぎだった)


男(何を考えるまでもなく、本を読む。対して先が気になるわけでもないのに、ページを次々とめくってく)

男(そうしていれば、時間も自ずと過ぎていく・・・。何も考えずに時間が進んでいってくれる)

男(今までのこの日は、どんなことをしていたかなんて思い出さずに済む)

男(・・・楽だった。何も考えず、何もしない時間は)

男(何かに苦しみ、答えを探す日々は、暗く、そして辛かった)

男(嫌な思いをしてまで理想を追い求めるより、現実を見て逃げるほうが楽なんだ)

男(・・・理想を求めるのはもうやめだ。苦しむのはもうやめだ)

男(俺は二人を選ばず、三人を諦める・・・なんて最低なヤツなんだろうか)

男(仕方ないじゃないか。幼馴染と女が揉め始めたのは、結局俺の存在なんだろう)

男(二人が俺を忘れれば・・・きっと、二人はまた元に戻れる)

男(だから、俺は二人から、三人になることから逃げ続ける。それが一番楽で、一番三人が幸せになれる方法なのだから)


prrrrr


男「・・・ん?」


男(・・・ふと鳴り始めた携帯電話。画面を見てみれば相手は・・・)


男「女・・・!?」


男(・・・出なくてもいいだろ)

男「・・・」

男(・・・おい、なにしてるんだよ。ボタンを押すだけだろ。早く切れよ。その電話を)

男(逃げるって決めたんじゃないのかよ。それが一番幸せな方法なのに・・・!)

男(なんでだよ、なんで俺はそのボタンが押せないんだよ・・・!)


男「くそっ・・・!」ピッ




『・・・もしもし、男君?』



男「・・・ああ」

女『よかったぁ・・・。出てくれなかったら直接男君の部屋行こうと思ったよ・・・』

男「ははは・・・」

女『・・・部屋にいるよね、男君』

男「お、おう。まさか、今から来るのか?悪いけど――」

女『ううん、そんなことはしないよ。ただ・・・』


女『窓を開けてほしい』


男「・・・それぐらいなら」

ガララ

女「久し振りだね。窓越しでこうやって話すのは」

男「・・・最近、久しぶりな事が多くて何がなんだが分からなくなってきたよ俺は・・・」

女「そうだよね・・・。本当に久しぶりな事が多くて・・・」

女「うぅ・・・やっぱり外は寒いねぇ・・・」

男「だな・・・」

女「本当だったら、今頃幼馴染の家でパーティーやってたはずなのにね・・・」

男「・・・」


女「・・・幼馴染、今どこにいると思う?」

男「そんなの・・・俺が知るわけないだろ」

女「・・・だよね。男君に言うわけない・・・か」

男「それで窓を開けてまで、話したいことってなんだ?」

女「・・・私達のことだよ」

男「そのことなら、答えはない。何もしないことが一番なんだよ」

男「お前らが俺を・・・俺から離れていれば、幼馴染と女はまた元通りになれる」

男「俺はもういいんだ、三人に戻ることなんて。俺がいるから、二人を壊してしまった」

男「だったらその責任は取らなきゃいけない。現実を見なきゃ、いけない・・・」

男「だから、今すぐこんな事やめて戻るんだ・・・」

女「・・・本当に何もしないことが正しいのかな」

男「・・・ああ」

女「私はそうだとは思わない。今、男君が何もしなければ三人は勿論、幼馴染と私も元には戻れない」

女「幼馴染は・・・何もせずにはいられなかったんだよ」

男「幼馴染が何をしたんだよ・・・」


女「幼馴染は・・・イケメン君と出かけるって。勿論二人きりで」

男「―――!」

女「幼馴染は自分から男君を諦めて、男君と私の二人が幸せになることを選んだ」

女「二人の内の一人が退けば、男君は選ばずに済む・・・自分が犠牲になることにしたんだ、幼馴染は」

女「だから、幼馴染は男君への気持ちを消す為にイケメン君を選ぶことにしたって」

女「・・・きっと、幼馴染はイケメン君と付き合うつもりなんだと思う」

男「・・・あいつが今頃、どうしようと俺には関係な――」


女「――そんなわけないっ!」


男「っ!」

女「男君は幼馴染の事が好きなんでしょ?私よりもずっと一緒だった幼馴染のことが!」

女「それなのに、私の事を気にして何もしないで・・・そうしてるから幼馴染はこんな無茶な方法に出た」

女「男君がいつまでも選ばないから、幼馴染はあなたの傍から離れていくんだよっ!」

男「・・・選べるわけ無いだろ・・・!二人とも大事なのに・・・」

男「誰かを傷つけてまで幸せになろうなんて思わねぇよ・・・!」

女「男君が何も選ばないほうが、私は傷つくよ・・・」

女「きっと、幼馴染だってそう。男君への気持ちに苦しめながら、他の人と付き合っていかなきゃいけない」

女「そんなの酷いよ・・・。私達を見捨てて、一人逃げるなんて。私は認められない」

男「・・・他に方法がないんだ。今、できることではこれが精一杯だ・・・」

女「あるよ。私達、三人にとって一番の方法が」

男「・・・」

女「今、男君が幼馴染か私を選べばいい。それだけだよ」

男「だとしても、幼馴染は・・・」

女「大丈夫、私は幼馴染の居場所も知ってる。昨日幼馴染から電話で言ってきたから」

女「普通、言ってこないはずだよ。関係ない相手にデートの場所なんて」

女「幼馴染は諦めきれてないんだよ。だから、今決めないと間に合わなくなっちゃう」

女「だから、決めてほしい。幼馴染と、私。どちらかを選ぶかを」

女「じゃないと、もう三人に戻れなくなる・・・」

男(・・・俺は、なんてことをしてきたんだろうか)

男(二人を傷つけまいと、してきたつもりなのに。気づけば幼馴染は苦しんで、女には過酷な役目をやらせてしまっている)

男(逃げていたのは俺だけだった。二人はずっとお互いをを思い続け、もがき続けていた)

男(見えすぎた故の過ち。それは見えなかった者故の過ちでもある)

男(二人の事を、本当に思っていれば。二人の気持ちをちゃんと見ていれば。逃げていなければ・・・!)

男(俺は選択を避けて、一人だけ逃げた。二人の気持ちから逃げ続けた・・・!)

男(答えを出さない一人の男のせいで、二人を傷つけて・・・)

男(女に無理させてまで、気づくなんて・・・なにやってんだよ俺は!)

男「・・・逃げていた。俺は選ぶことから」

男「誰かを選ぶことで、誰かを傷つける事に恐れていた。二人のどちらにも傷ついてほしくなかった」

男「二人を傷つけずに、二人が幸せになるなんてできるはずがなかった。俺が逃げていた先は、幻想だった」

男「叶うはずのない幻想に向かって、ただ逃げていただけだ・・・!」

男「俺個人の気持ちで一人が犠牲になるなんて、そんなの考えたくもなかった・・・!」

女「・・・しょうがないよ。二人が同じ人を好きになってしまったら、どちらかが犠牲にならなきゃいけない」

男「・・・ああ」

男「このままだと傷付くのは・・・三人、全員だ」

男「・・・だから、決めた。誰を選ぶか」

女「・・・うん」


男(俺が今からすることは一人を犠牲にして、二人を傷つける。・・・それでも、そうしなければ)

男(俺達・・・三人は前に、理想に進んでは行けない)

男(女が自分を犠牲にして道を示してくれたなら、裏切るわけにはいけない)

男(それが、女の気持ちに応えられるのであれば、俺は・・・)



男「俺は・・・幼馴染を選ぶ」



男(女が示した幼馴染への道を進むしか無い)

「・・・ごめん・・・」

女「・・・だいじょうぶだよ、ずっと前からこうなるのは分かってた」

女「前からわかってたから・・・」

男「・・・っ」

女「・・・幼馴染はショッピングモールに行くって言ってた」

女「今なら、まだ間に合うから早く行って・・・」

男「・・・あ、ああ」


男(だが、こんな酷い状態の女を放っておいたら・・・)


女「だいじょうぶだから、私は・・・だから行って」

女「行かないと・・・私、男君の事嫌いになっちゃうから」

男「・・・っ!!」

女「だいじょうぶだから、私は・・・だから行って」

女「行かないと・・・私、男君の事嫌いになっちゃうから」

男「・・・っ!!」

男「・・・わかった、行ってくる。幼馴染の所に」

男「必ず、幼馴染と戻ってくる」

女「うん・・・絶対だよ? 幼馴染の事、離しちゃ駄目だからね」ニコッ

男「ああ・・・!」




女「もう、いないよね・・・」


女「振られちゃったな、わたし。自分からそう仕向けたんだけど」

女「それでも、やっぱりつらいなぁ・・・」ウルウル

女「だいじょうぶ、だったよね。男君の前では泣かずにいれた」

女「だから、もう、がまんしなくてもいいよね」・・・」ポロポロ


女「うっ、うぅ・・・」

女「ああぁ・・・うああああああああああ」

~~~~



タッタッタッ

男「ハァ・・・ハァ・・・」


男(もう周りは暗くなってやがる・・・。今まで、俺はなんて無駄な時間を過ごしてきたんだ)

男(女をあそこまで追い込んで、俺は・・・!)

男(こうなったら絶対に幼馴染を見つける・・・。二度と離れないように)


男(もう二度と誰も傷つけないためにもっ・・・!)

~~~~




イケメン「・・・今日は楽しかったね。幼馴染」

幼「・・・ええ」

イケメン「・・・今日、デート誘った意味・・・わかってるよね?」

幼「・・・うん」

イケメン「じゃあ・・・言うよ」

イケメン「幼馴染・・・僕は君を初めて見た時、目を奪われてしまった。・・・いわゆる一目惚れ」

イケメン「それからと幼馴染と関わっていく内に、その気持ちはどんどん大きくなっていったよ」

イケメン「幼馴染の魅力的な表情、可愛らしい仕草、何よりもその心にね」

イケメン「・・・一目見た時から、あなたの事が好きだ。僕と付き合ってくれないか?」


幼「・・・はい、こちらこそ。よろこんで・・・」

イケメン「・・・」ニヤリ


イケメン「・・・じゃあ、幼馴染。記念に残ることでもしよっか」

幼「ぇ・・・記念に残ることって・・・?」

イケメン「それはもちろん・・・」


イケメン「キスに決まってるじゃないか」


幼「っ!!」

イケメン「だってそうだろう?僕達は恋人なんだから」

イケメン「・・・これもあの男を忘れる為の大事なことだよ」ボソッ

幼(・・・男を、忘れるために・・・)

イケメン「じゃあ、目を閉じて・・・」

幼(男と、女の幸せの為に・・・私は・・・)

幼「・・・」バチ

イケメン「よし、いい子だ・・・。じゃあ・・・」


『ずっと、いっしょにいよう』



幼「・・・!!」


バンッ!!


イケメン「・・・え」

幼「・・・ごめんなさい。私はあなたとはいられない。だからさっきの話も無かったことにして」

イケメン「幼馴染・・・?それは一体どういうことだ?」

幼「~~~~っ!!」タッタッタッ

イケメン「ちょっ、ま、待てっ!」ガシッ

幼「はなしてっ!!」

イケメン「離すも何も、君はさっきから何を言ってるんだ!僕達は恋人だろう・・・?」

イケメン「まさか、あいつの事を思い出したのか・・・?」

イケメン「君の事を放っておいて、何もしないあの男の事を!」


幼「・・・できない」

イケメン「は?」


幼「あんたとは・・・約束なんてできない」パシッ





イケメン「・・・お、おい・・・」


イケメン「くそっ、あともう一息だっていうのに・・・!」

イケメン「クソが、クソがぁ!」


~~~~


男(・・・どれぐらいの時間、探しただろうか)

男(ショッピングモールをいくら探しても幼馴染は見つからず、周辺の施設とかを回ってみても見つけられなかった)

男(クリスマス・イブでこんなに混み合ってるんだ。もしかしたらどこかで見逃したのかもしれない・・・)

男(けれど、時計の針は八時を指している・・・まさか、二人は)

男(・・・よそう、そんな考えは。もしかしたらもう家に帰ってるかもしれない。電話を・・・)

男(・・・急いで出たから携帯を忘れていたのか!。財布も持ってないから公衆電話も無理だ・・・)

男(どうするべきか・・・。ここは幼馴染を信じよう。あいつは初日から過ちを犯す人間では無いはずだ)

男(きっと、家にいるはず・・・)


~~~~



男(幼馴染の家に向かい走る。少しでも幼馴染を見つけられるように)

男(今ならまだ幼馴染を取り返せる。そう信じて、俺は走る)


男(そして、見つけた。その場所には不似合いな、綺麗な金色の髪を)

男(しかし、その姿は見慣れていた。何度もこの場所で彼女と会い、何度も遊び、何度も喧嘩をした)

男(この場所は・・・俺達の約束の場所)


男「・・・またここ、か」

幼「・・・ぁ」


男「一人、なんだな」

幼「・・・なんで、知ってるの」

男「女から聞いた。幼馴染が今日、デートをするって」

幼「あ・・」

幼「お、女は・・・?」

男「多分、待ってると思う。俺が戻るのを」

幼「じゃ、じゃあ・・・女と男は・・・」



男「俺は、女を振った」


幼「・・・ぇ」

男「女が逃げている俺を、正しい道に戻してくれた。数ヶ月前の時と同じように」

男「女は、自分を犠牲にして俺にやるべき事を教えてくれた」

幼「うそ・・・」

幼「やだ、そんなの駄目だって・・・」

幼「私じゃないんだよ・・・。男が好きなのは、私じゃなくて―――」


男「俺はお前が一番好きだ」


幼「――っ!」


男「俺が一番好きなのは幼馴染、お前なんだ。約束をしたあの日から」

男「昔から何をするにも一緒で、離れたことなんて殆ど無かった」

男「・・・だから、近すぎたから見えなかった。幼馴染への正直な気持ち」

男「約束を思い出して、それでようやく気づけた」

男「けれど、見えてしまった。二人の気持ちが」

男「俺がいつまでも見てこなかったから。俺が答えを出さないままでいたから」

男「一人を傷つけないように、一人が傷つかないように・・・そんな幻想に逃げ続けた」

男「女を追い込んでしまった。幼馴染のことを気にしてやれなかった」


男「そんな最低な俺が・・・唯一やらなきゃいけないこと。それは選ぶ事」

男「このままだと、三人全員が酷く傷つけ合う結果にしかならないと思う」

男「・・・二人の内から一人を選ぶしか、無かった。だから俺は、お前を選んだ」

男「俺が一番好きで、俺の親友が一番好きな、幼馴染。俺にはお前しか選べないんだ・・・!」

幼「・・・ぁ・・・あ・・・」ウルウル

男「・・・だから、言わせてもらう」


男「幼馴染、お前のことが好きだ。俺と付き合ってくれ」


幼「・・・わたしは・・・」


幼「・・・あんたを諦めようとした」

幼「何回も忘れようとして、あんたから遠ざかったり、他の男の人と話してみたり・・・」

幼「あんたじゃない、他の人と・・・キスをしようとした」

男「・・・!」

幼「けど、ダメだった。あんたは私の中から出ていってくれなかった」

幼「それどころか、いっつもあんたは私の中に出てきて・・・忘れさせようとしてくれなかった」

幼「あんたが、男のことが好きだって気持ちを忘れるなんて、できなかったの・・・!」

幼「女に、譲ることができないの私は・・・!」

男「・・・」

幼「そんな私を、女は許してくれるかな・・・?」ポロポロ

男「・・・ああ」

幼「弱い私を、女は認めてくれるのかな・・・?」

男「当たり前だろ。だって女は俺達の一番の親友なんだから」

幼「うん・・・うん・・・」


幼「ごめん、女・・・。私はもうがまんできない」

幼「・・・わたしも・・・わたしも男のことがすきっ!だいすきっ!」 

幼「おさえきれないよ、この思いは・・・、すきってきもちがとまらない」

幼「ずっと、ずっと、伝えたかった・・・!約束したあの日から、ずっと」

幼「わたしも、あんたの事が一番好きっ!」


男「・・・ああ!」


(その日の空は数年ぶりに・・・クリスマス・イブに雪をもたらした)


(まるで、二人を祝福するかのように。そして、一人の傷を塞いでいくように)


~~~~



男「ということで・・・幼馴染と俺は、付き合うことになった」

幼「・・・」

女「うん、おめでとう・・・」ニコ

幼「・・・ぁ」

女「やっぱり私は幼馴染には敵わないよ・・・。交わしてきた想いや、過ごしてきた日々が全然違うもの」

女「なのに、私・・・バカだなぁって。でも後悔はしてないよ」

男「・・・」


女「だって、私の一番好きな二人が恋人になったんだもん・・・。これ以上に嬉しいことなんてないよ」

幼「女・・・ごめん・・・」ポロポロ

女「ここは謝るところじゃないでしょ?」

幼「ごめん、ごめん・・・」

女「もう・・・別に男君と幼馴染が付き合って二人になったからって、悪いことなんてないよ」

女「三人が変わることなんて無いんだから・・・だって」


女「私達は三人で幼馴染、でしょ?」


幼「うん・・・!」

男「・・・そうだな」


女「だから、もう謝らないで。かえって嫌味だと思っちゃうよ?」

幼「ちがうよぉ・・・」

男「・・・」クスッ


男(三人の時間は、ぎこちないながらも少しずつ動き始めた)

男(・・・一人一人が傷ついて、それでももがき続けて、理想に辿り着いた)

男(俺達が求めた理想は、間違っているのかもしれない)

男(けれど、これが三人が求めた理想だとするなら・・・俺はこの時を進んでいこうと思う)


男(それを、三人が選択したのだから)

>>366
「・・・ごめん・・・」→男「・・・ごめん・・・」

ハーレムルート・・・優しい世界だ(遠い目)

これで大きな山場は越えました。残るは後一つか・・・二つぐらい。完結に向けて更新頑張ります。

ということで今回はここまでです。

~~~~



男(・・・あのクリスマス・イブから、どれくらい経っただろうか)

男(先輩の卒業を見届け、そして春休みを迎えて。・・・いつのまにか俺達は三年生になっていた)

男(最終学年・・・ということは否が応でも決めなければいけないことがある。そう、進路だ)

男(自分の将来を決める選択・・・。俺は具体的に何を目指しているのか、分からなかった)

男(将来、何をしたいかなんて何もなかった。ただ・・・)

男(このまま幼馴染や女・・・。彼女と、大切な友人と過ごせてればいいと、ぼんやり考えていた)


男(・・・そう考えていたのは、俺だけだったのかもしれない)



女「二人とも、進路調査はどうした?」

男「出したぞ」

幼「私はまだ・・・」

女「そっか。男君はどんな風に書いた?」

男「俺は普通に大学進学って感じ。まだどことかは決めてないが」

女「私もそんな感じかな。幼馴染はなんでまだ出してないの?」

幼「・・・ちょっと、迷ってて」

男「この時期で将来を決めるなんて難しいからな・・・。しかたねーよ」

女「だねぇ。やっぱり大事な将来だもんね」

幼「・・・」



~数日後~



男 女「「・・・海外?」」


幼「うん・・・」

男 女「」ポカーン

男「・・・えっと、ちょっと整理させてくれ」

女「そ、そうだよね・・・ちょっと、私も混乱してる」

幼「・・・分かった」


幼「まず私は、パティシエを目指そうと思ってる」

幼「男や女にいつも食べてもらって、笑顔になってくれるのが嬉しくて・・・。そういう人をたくさん増やしたいって」

幼「目指すからには妥協したくない。だから少しでも上の環境で勉強したいの」

幼「それで、丁度ママの友達にパティシエの人がいて・・・その人は結構有名なパティシエで」

幼「その人の下で、本気で勉強したいと思った・・・」


男「・・・それで、その人のお店がある海外に行くってか」

幼「・・・ええ」


女「私は・・・いいと思う」

女「幼馴染の夢がそれなら、私達に反対する理由なんかないよ」

女「幼馴染が本気になったらどんなことだってできるんだから・・・」

幼「ありがとう。そう言われたら、なんでもできちゃいそう」クスッ

男「・・・それってどれくらいかかるんだ?」

幼「私の努力次第だけど・・・二年以上は普通だって」

男「・・・! そうか・・・」

男「・・・俺は、よくわからない」

幼「・・・そう、よね」


~男の部屋~


ボフッ


男「・・・はぁ」


男(海外に・・・それも二年も・・・)

男(せっかく二人になって、三人に戻れたのに・・・その選択って有りかよ・・・)

男(そんなことしたら、また離れ離れになっちまう・・・)


男(・・・けれど、幼馴染の夢を応援したい気持ちもある)


男(料理をしている時の幼馴染はいつも楽しそうで、本当に料理が好きなのが分かる)

男(やるからには本気で・・・。その想いもわかっている・・・)

男(けれど、ここで幼馴染と離れたくない。その気持ちが応援したい気持ちを邪魔する・・・)

男(幼馴染と離れたくないって気持ちは、俺の弱さだ。離れた時に何があるかわからない)

男(・・・俺の弱さが、幼馴染の夢をダメにするのか・・・?)


男(・・・そんなのは、駄目だ。俺が弱くてどうする。あいつを支えてやれなくてどうする)

男(幼馴染だって悩んで、迷った末に出した決断を俺が支えてやれなくてどうする)

男(・・・決めたよ。幼馴染、俺はお前の夢を応援する)


prrrr


男「ん?、はい、もしもし・・・」

女『もしもし?ごめんね、こんな遅くに・・・』

男「遅くってまだ22時過ぎたばっかだろ?気にするな」

女『そうだったね、あはは・・・」

男「それで、こんな時間にどうした?」

女『えっと・・・男君は今日の幼馴染の話聞いて、本当はどう思ってるのかなって』

男「ああ、そのことか・・・」

男「ちょうど、さっきまで考えてた。俺はどうするべきか」

男「聞いた時は・・・正直、信じられないと思った。幼馴染が遠くにいってしまう、それも長い時間」

男「・・・俺は、嫌だった。幼馴染のその選択は」

女『うん・・・』

男「けど考えてみたらさ・・・俺が、俺の個人の理由で幼馴染の夢を邪魔したら駄目だなって」

男「あいつも迷ったと思うんだ。俺達と長い間離れる事を」

男「けれど、幼馴染がこの選択をしたって事は俺達の事を信頼してくれているんだと思う」

男「離れていても繋がっている・・・。そう思ったんだと」

男「だから、俺も幼馴染の夢、応援することに決めた」

女「そっか・・・」

女「・・・男君は、強いね」ボソッ

男「・・・ん?いまなにか・・・」

女「・・・なんでもないよ。それじゃあ、私達は幼馴染が心残りがないようにこれからサポートしていかなくちゃね」

男「ああ。あいつの夢のためだ。俺達が三人でいれる残り少ない時間を大事に過ごさなきゃな」

女「そうだね。・・・あと、もう一ついいかな」

男「ん?、幼馴染のことで何かあったか?」

女「ううん、私のことだよ・・・。お願い、があるんだ」

男「おう。なんだ?」

女「・・・A大学だけは受けないで欲しい」

男「え・・・?何を言ってるんだ?」

女「とにかく、A大学に進学しようとはしないでほしい・・・」


男「な、なんでA大学に俺が進学したら駄目なんだ」

女「・・・」

男「何か理由があるなら言ってくれ。俺に問題があるなら・・・」

女「――お願い」

男「・・・あ、ああ。とりあえずは・・・」

女「・・・ごめん。私が弱いから・・・」ボソッ

女「じゃあ、また明日」ブツッ

男「あ、おい・・・!」


男「なんだったんだ一体・・・?」

~~~~





男「・・・おはよ」

幼「あ、男・・おはよう」

男「わざわざ、俺ん家の方まで迎えにこなくていいって言ってるだろ・・・」

幼「いいの。・・・だって彼氏を迎えに行くのって彼女の特権じゃない・・・」

男「・・・お、おう。そうだな・・・」

幼「まったく、あんまり恥ずかしいこと言わせないでよ・・・」

男「いや、幼馴染がここまで健気な行動を取るとは・・・少し意外だったからな」

幼「なによ、私が健気な女の子じゃないと言いたいわけ?」

男「そういうわけじゃねぇよ。・・・なんか、そういうのもたまにはいいなと」

幼「・・・フン」



男「・・・幼馴染、俺決めたよ」

幼「ん・・・?」

男「俺は、お前の夢を応援する」

男「そのためにお前のこと精一杯サポートする。勿論、俺も受験があるからできる限りだけどな」

幼「男・・・。ありがとうっ」ダキッ

男「え、ちょっ!朝から抱きつくなって!」

幼「だって、嬉しくて・・・」

男「・・・そうだよな。お前も相当悩んだはずだ」

男「俺達の下を離れていく決断をすることはとても勇気がいることだ。だが・・・」

男「それでも、叶えたい夢なんだろ?」

幼「うんっ・・・」

男「なら、応援するしかないんだ結局・・・」

幼「・・・ありがとう」



女「・・・朝からお熱いねぇ、二人とも~」

幼「ぇ、ぁあああああああああ」カァァ

男「あっ・・・」

女「いいよいいよ、二人は恋人なんだからそういうことしてても当たり前だよ」

男「・・・なんか、すまん」

女「じゃあ・・・私も抱きついてもらおうかな?」

幼「え・・・?」

女「幼馴染にっ!。男君だけ幼馴染に抱きついてもらえるなんてズルいよー」

男「・・・そっちかよ」

幼「女ならいつでも抱きついてあげるわよ」フフン

女「あはは・・・。それじゃあお願いしようかな?」

幼「喜んでっ!」ギュゥ

女「あっ、ちょっ、くすぐったいよぉ・・・」

男(・・・なんて光景だ)

女「・・・そういえば最近女友が、演劇部にすごい一年生がいるって言って・・・」

幼「私も耳にタコができるほど聞いたわ・・・」

女「あはは・・・。やっぱり」


男(・・・こんな風に三人でいられるのもあと少し・・・か)


男「・・・早く行こうぜ。また遅刻して何か言われるのは嫌だからな」



男(少しでもこの時間を大事にしよう)


男(俺達が苦難を乗り越えて手に入れたこの時間を一秒でも無駄にしない)


幼「――」


女「――」


男「・・・」

男(・・・三人でいられる幸せな残り少ない時間を、しっかりと噛み締めていこう)








男(・・・そして、俺達は遂に卒業を迎えた)







ガヤガヤガヤガヤ


女友「幼馴染ぃ・・・!これから会えないなんていやだぁ・・・!」ウワーン

幼「数年会えないだけでしょ・・・。それぐらいで文句言わないの」

女友「幼馴染ぃぃ・・・」ウワーン

女「これは・・・酷いね」ハハハ・・・

「幼馴染さーん!」「ちょっとー!」




男「・・・」

友「・・・大人気だな。幼馴染さんは最後まで」


男「ああ。俺があいつの彼女だって信じられないぐらいにな・・・」

友「・・・それにしも、幼馴染さん。明日にはもうフランスに行くってな」

男「・・・」

友「・・・後悔はしてないのか?」

男「してるわけないだろ。俺はあいつの夢を応援することを決めたんだ」

男「なら、俺もあいつに相応しい男になれるようにってな」

友「・・・ほんっと、お前は強くなったよ。だから、お前と進む先が違っても安心できるな」


男「・・・色々と世話になったよ、友には」

友「やめろよ。そんな湿っぽいのは好きじゃないんだ」

男「・・・そういえば、お前先輩の卒業するときも号泣してたよな・・・」

友「やめろっ!」


男「・・・まぁ、とりあえず。卒業おめでとう」

友「・・・ああ。おめでとう」

「おにいちゃーんっ!」


友「後輩・・・、それに黒髪さん」

男「・・・生徒会長コンビか」

黒髪「やぁやぁ。どうも元生徒会長です」

後輩「ふふん、現生徒会長ですっ!」

男「・・・やっぱり、お前が生徒会長ってのは腑に落ちないな」

後輩「選挙を勝ち抜いた結果ですよっ。いい加減認めてくださいよ」

男「あー。うん、認める。お前生徒会長。似合ってる」

後輩「なんでそんな適当なんですかー!」

男「うるせぇ、答辞の時泣いてた癖によ」

後輩「あ、あれはっ!・・・」


黒髪「はいはい、そこまでー。私の可愛い後輩泣かせると、逆に君を泣かせちゃうよ?」

男「うげぇ・・・」

黒髪「あれ、そんなに嫌だ?やっぱり、学園一の美少女を彼女にすると色々と変わっちゃうんだ・・・」

男「変わってねーし、幼馴染は関係ないだろ」

黒髪「なんか、返しがつまんなくなったよーな・・・。まぁ、いいや」

黒髪「進路先も違うんだし、悪友に別れの挨拶でもしようかと」

男「ああ。お前と過ごした日々は忘れない。・・・多分」

黒髪「私も忘れないよ・・・多分」

男「・・・くっ」

「「はははははははは!!」」



後輩「・・・黒髪さんがあんなに笑うなんて、珍しい」

友「黒髪さんは男といる時はいつもああじゃないか」

後輩「そうだけど・・・」


黒髪「じゃあ、男。また会おう」

男「おう。元気でな」



友「・・・そろそろ俺達も行くか」

後輩「・・・だね」

友「・・・男、俺達もそろそろ」

男「ん?ああ。先輩と約束があるんだっけ?」

友「ああ。姉さんが張り切って、パーティーやるって言って待ってるんだ」

男「そっか・・・。ということも後輩も?」

後輩「はい」

男「・・・分かった。じゃあ、また近い内に遊びにでもいこうぜ」

友「ああ。いつでも連絡くれよ」

後輩「・・・私には何かないんですか」


男「えー・・・。まぁ、生徒会長がんばれ?」

後輩「もーっ!先輩は最後までっ!!」

男「冗談だ。・・・これからはずっと、素直でいろよ?」

後輩「え・・・あ、あありがとうございます」

男「あとドジをやらかすのも程々にな」

後輩「・・・いっつもそうやって」ボソッ

男「・・・?」


友「それじゃあ、行くな」

後輩「いつでも学校来てくれていいですからね?」

男「おう・・・じゃあな」



男(・・・振り返ってみれば、色々なことがあった)

男(色んな友人ができて、普通では経験できないような事をしたり・・・大事な人達との絆が深まった)

男(・・・本当に、濃くて、長くて、とても忘れられない三年間だった)


男(俺達はこの三年間でもっと強くなった。だから、大丈夫だ)


幼「おとこーっ!!」

女「ちょっと、幼馴染、早いよ・・・」


男(少しの間離れることになっても、俺達はきっと・・・)


男「・・・待ちくたびれたぞ。ほら、わざわざクラスの打ち上げ出ないで、俺達だけで打ち上げするんだろ?」

男「なら・・・早く行こうぜ」

幼「ええ・・・」

女「うん・・・」


男(この先も、そのずっと先も。一緒にいられるはずだ)


~空港~


女「・・・もうこんな、時間」

男「ああ・・・」

幼「・・・そろそろ行かないとね」

男「・・・なんか、いざこの場に来ると・・・嫌に緊張してきた」

幼「あんたが何かをするわけじゃないでしょ・・・」

男「そりゃ、そうなんだが・・・なんだかな」

女「あははは・・・」

<<パリ行きの便にご搭乗なさるお客様は――>>


男「・・・きちまったな」

女「・・・うん」

幼「そんな身構えないでよ。年に何回かは戻ってくるつもりだから」

男「・・・そうだな、待ってる」


男「・・・頑張れよ。お前の夢が叶うように、全力でやってこい」

男「何かあったら、いつでも連絡してくれ。お前の支えになるから」

幼「大丈夫・・・男だけじゃない、女やパパ、ママ・・・みんな応援してくれてる」

幼「・・・すぐ帰ってこれるように頑張る。早く、男に会えるように」 

幼「みんなに、早く会えるように。私頑張ってくる・・・」

男「ああ・・・」

女「・・・」


幼「・・・じゃあ、行ってくるね!」


男(幼馴染はそう言うと、俺達に背を向けて歩き出した)

男(女と俺は、その背中が見えなくなるまで、ずっとその背中を見守り続けた)



男(頑張れ、幼馴染っ・・・!!)

ちょっと展開早いけど、それはまぁ・・・許してください(笑)


今回はここまで。

いちご100%を思い出した。

~~~~~



「ねぇねぇ、君ってイタリアンとか興味無い?」

「あんまり好きじゃないかなぁ」

「そう言わずにさぁ、俺いい店知ってるんだって。今度一緒に行かない?」

「それはまた今度ねー」

「えぇ、もう――ちゃんはわがままだなー」

「・・・だからそれはいいですって」



「そんなことよりも・・・男君!」


男「・・・え、俺?」


「そうそう、男君って――君と同じ大学なの?」

男「まぁ、そうだけど・・・」

「じゃあ、私達の大学と結構近いよねー」

男「そ、そうだな・・・」

「あー、遠慮してるー。せっかくの合コンなんだからもっと楽しくやってこーよ!」

「そうだぞー男ー!」

男「・・・ああ」

「もうっ、せっかくの顔が台無しだよ?」

男「ははは・・・」

「せっかくだから、男君に質問しちゃおうよ!」

男「え・・・?」

「いいねーっ!」

「俺達は・・・?」

「君達は後!」

「そんな・・・」

「じゃあ、まずは・・・好きな女の子のタイプとかはー?」

男「・・・」

「おいっ、ここで答えねーとしらけちまうだろ」ボソボソ

男「・・・悪い」

男「・・・元気で明るい人・・・とか」

「それってもしかして私のことー?」

男「いや、ちょっと違うっていうか・・・」

「えー、なんだぁー」

男「・・・」

「じゃあ好きな料理とかは?」

男「・・・洋菓子」

「意外ー!結構お菓子とか食べるんだー?」


男「いや、そんなには食べない・・・」

「え、じゃあ何で好きなの・・・?」

男「・・・それは」

「男、ちょっとこい」ボソッ

男「え?」

「ごめん、ちょっと男体調悪いみたいだからトイレ行ってくるわ」

「えー」

「行くぞ」

男「・・・ああ」



「おい、男。今日はお前が頼みの綱なんだぞ!」

男「・・・わかってるって」

「お前がテンション低かったら、周りのテンションも低くなって俺達のチャンスまでなくなるんだぞ」

「お前にはあいつがいるからな」

男「だから、そういう仲じゃないって・・・!」

「とにかく。お前はテンション下げるような真似、しないでくれよ」

男「・・・ああ」



「あー、おかえりー!心配したよー?」

男「・・・悪い。もう大丈夫だ」

「じゃあ、さっきの質問の続きしよっかー?」

男(・・・まだ、続けるのかよ)

「じゃあ・・・、好きな人とかいる?」

「キャー!聞いちゃったよ」

男「・・・好きな人か・・・」


男(・・・幼馴染が、夢の為にフランスに発ってから二年は過ぎた)

男(三人はそれぞれの進路に進み、また友人や後輩とも離れてた生活を送っていた)

男(俺は大学三年生になった。幼馴染との交際は・・・まだ続いている)


男「・・・いる」


男(・・・しかし、それは本当にそうなのか?。最近は連絡さえ取れていないって言うのに・・・)

男(連絡が取れたとしても必要最低限のことばかりで、それ以外は何もない)

男(・・・これが、恋人なのだろうか)


男「・・・ずっと前から好きな人がいる」


男(・・・俺達の関係は本当に続いているのだろうか?)


男「どこにいようとも、なにをしてようとも、その人のことが好きだ」


男(――あの日から、幼馴染は日本に一度も帰ってきていない)

~~~~




男「・・・」


男(昨日のあれは、少し暴走しちまったな・・・)

男(幼馴染の事を思うと・・・どうにも)

男「・・・はぁ」

「おはようございます」

男「・・・茶髪」

男(年が2つ下で、今年の春にめでたく入学した一年生の後輩が俺の事を今日も呆れたような目で見てくる)


男(・・・俺はあるサークルに入っている。が、まともに活動はしてなかった。茶髪とはそのサークル内で知り合った)

男(たまにはサークルに来いと言われ、久々に参加したのが新歓の飲み会であり、こいつもそこに参加していた)

男(高校が同じという事で変に親近感持たれたのか、サークル外でも関わってくるようになり、気づいたら大学内での時間を茶髪と過ごすようになっていた)

茶髪「今日もため息ですか。いい加減やめてほしいんですけど」

男「・・・昨日飲み過ぎて気分が悪いだけだ」

茶髪「そういえばA先輩に連れかれたんでしたっけ?お疲れ様です」

男「ほんとだよ・・・。おかげで今日は3時間しか寝てねぇ・・・」


茶髪「男さん、今日バイトでしたよね?例のカフェで」

男「ああ・・・。この調子じゃ、今日バイト中にぶっ倒れるかもしれない」

茶髪「もう前みたいに私呼び出したりしないでくださいよー。色々と大変だったんですから」

男「あん時の礼はたっぷりとしてやったろ・・・」

茶髪「それはそうですけどー。・・・そういえば男さんってカフェなんかでバイトしてるんですか?」

茶髪「カフェってよりも、ラーメン屋とかで働いてそうな気がするんですけど」

男「・・・理由がどうであれ、お前には関係ないだろ」


男「それとラーメン屋って、俺を何だと思ってやがる」

茶髪「だって、外見はクールそうに見えても、内面滅茶苦茶男くさいし、口調悪いじゃないですか?」

男「ぐっ・・・それは確かにそうだが・・・」

茶髪「それでカフェって似合わないですよねぇ?どう考えても」

茶髪「だから、それには深い理由があるのかなぁ・・・って」

男「大した事じゃないっつーの。ただそこで働きたかっただけ。以上」

茶髪「ちぇ、つまんないー」


男(・・・大学に入り、今までの友人と違う道を歩むようになってから、親しい友人は作ってこなかった)

男(あくまで、体裁を保つ程度の付き合いだった。しかし、こいつは違う)

男(茶髪といると、変に気持ちが楽になる感じがする・・・。だからいつの間にかこいつには、入り込まれていた)

男(・・・そして、茶髪は俺と同じ境遇でもあった)


茶髪「そーいえば、絶賛遠距離恋愛中の彼女さんからは連絡きました?」

男「いんや。・・・お前の方は」

茶髪「・・・私もさっぱり」

男「・・・そうか」

茶髪「もー、こんなしょんぼりしてる時に男さんにしかこの事を相談できないなんて、ほんと嫌だなぁ・・・」

男「・・・あのなぁ」


男(茶髪も遠距離恋愛をしている身であり、茶髪の相手も幼馴染と、なんともウマ過ぎなぐらい同じ境遇なのだ)

男(・・・茶髪の方は、国内なだけまだいいが・・・。あっちも最近連絡が来ない状況らしい)


茶髪「こんなんで、本当に恋人とかなんですかねー?」

男「・・・っ」

茶髪「ハハハ・・・。男さん?」

男「いや、なんでもない・・・」

茶髪「ま、このことはまた男さんのバイト終わった後にでも話しましょうよ」

男「俺がぶっ倒れなかったらな」

茶髪「大丈夫ですよー。私がおまじないかけますから」

男「・・・なおさら心配になってきたわ」


茶髪「私のおまじない効きますよ?」

茶髪「なんせ、三年前のあのクリスマス・イブの雪は私が降らせたと言ってもいいぐらいですからねぇ」

男「・・・」

茶髪「私が雪降れって念じたら・・・」

男「・・・あ、あぁ。そ、それで?」

茶髪「・・・さっきから話し聞いてなかったですよねー?」

男「・・・悪い」

茶髪「こんな時に遠い相手の事を思うなんてやめときましょーよ。どうせ暗い気持ちにしかならないし」

男「・・・そうだな」


茶髪「・・・今年のクリスマス・イブは、雪降りますかね?」

男「・・・さぁ、な」


男(季節は冬。12月になったこともあり、吹き付ける風が寒さを一層感じさせる)

男(・・・この風邪の寒さが三年前のあの景色を思い出させる)

男(一人で感じるこの風は・・・やはり辛い)


男(俺達が結ばれた日・・・もう少しでクリスマス・イブだ)


茶髪「・・・今年のクリスマスは一緒にいれないのかな・・・」ボソッ

男「・・・」


男(俺達は・・・似た者同士だった)

~~~~



茶髪「・・・ただいま」


「・・・帰ったか」


茶髪「・・・兄さん」

「あいつの調子はどうだった?妨害の成果は出てるか?」

茶髪「はい・・・。もうそろそろ限界だと思います」

「そうか。クックックックッ・・・」


「もうすぐで、もうすぐにあいつに復讐できる・・・!」

「待ってろ!お前にも地獄を見せてやる!」

茶髪「・・・」

「おい、例の作戦をやるぞ」

茶髪「・・・!」

「あいつを・・・、完膚なきまでに叩き潰すんだ」

茶髪「・・・はい」

>>421
名前しか知りませんでしたけど、調べてみるとこれは結構似てるような・・・(笑)


新キャラまた出ました。すいません。なんともボキャブラリーの無い名前・・・。

今回はここまで。

~~~~



男「・・・」カチッ

男(今日も幼馴染からの連絡は無しか・・・)

男「・・・大学行くか」


~♪


男「・・・!」

男(もしかして・・・と、思って携帯の画面を見る。すると、メッセージの送り主は・・・)


男「・・・茶髪か」

『すいません。今日は休みます・・・』

男(珍しいな。体調はあまり崩さないイメージだがな・・・)

男(昨日も相当寒かったから、それにやられたんだろう)

『ここん所寒かったから、風邪とかか?』

『・・・そんなところです』

『だったら、ちゃんと体冷まさないようにして、しっかり寝ろよ。あんまり酷いようだったら家族に頼れ』

男(・・・こんなもんでいいか)

『はい、ありがとうございます・・・』

男(しっかし、風邪引いた所でここまでテンションが違うとは。病気にはとことん弱いんだな)


~~~~


男(・・・茶髪が大学にいないって、なんだか久しぶりだな)

男(今年に入ってから、何かにつけてあいつとは一緒にいたような気がするからな・・・)

「おー男じゃん」

男「あ・・・こないだは悪かったな」

「いいっていいって。男に脈なしとわかった途端、急に態度悪くなったしよ、あいつら。そんな女はこっちからごめんだ」

男「それでも・・・あれはちょっと臭すぎたかなって」

「まぁ・・・酔ってたから仕方ないっしょ!」

男「・・・そうだな、酔ってたから仕方ないよな」


「あの話ってまさか本当なわけないよな?」

男「・・・ああ」

「だよなー。男に限ってそういうことは無さそうだもんな」

男「あはは・・・」

「そういえば茶髪はいねぇけど、どうした?」

男「あいつは、今日は体調不良で休みだって」

「へー。男と茶髪ってほぼ一緒にいるから、今日みたいにどちらかが一人の姿見るのは珍しいよな」

「・・・本当にあいつとは付き合ってないのか?」

男「ああ。あいつとは一切そういうのないって言ってるだろ」


「・・・じゃあ、あいつのこと狙ってみようかな」

男「・・・え?」

「だって、あいつ性格はああだけどよ、外見なんて大学の中でもトップクラスじゃねぇか」

「そんでもってサークル一緒とかって・・・これは脈ありっしょ!」

男「・・・あいつはやめとけ」

「は?なんでだよ、俺じゃ無理ってか?」

男「多分無理だ・・・。あいつは諦めた方がいい」

「はーん、やっぱりお前ら付き合ってるだろ」

男「だから、それはないって・・・」

「まぁ、いいや。たまにはサークル来いよ。彼女も連れてさ」

男「だからっ・・・!」

「じゃあな・・・」

男(あいつと俺が、カップルに見えるだって・・・? ふざけた事言いやがって)

男(俺が愛してる人間はただ一人だけ。・・・幼馴染だけだ)

男(ましてや、あいつにも相手がいる。お互いそういうのはごめんだ)

男(あいつと付き合うなんて、考えられるわけがないだろ)



~自宅~


男(・・・復習はこれぐらいでいいか)


男「今日も風が寒そうだな・・・」


男(・・・窓の向こうのお隣さんの部屋を見るが、その部屋に明かりが灯ることはない)

男(女は入学すると共に、大学の近くへ引っ越し、一人暮らしを始めた。・・・まるで俺から逃げていくように)

男(大学も違うし、家も今では、近くない。連絡を取ることもなく、前にあったのは一年前に成人式で会ったぐらいで)

男(個人での関わりは、無くなっていた)

男(もう、この窓越しに彼女と会話することも二度とないのだろう)


男「・・・茶髪、大丈夫だろうか」


カチッ

『体調はよくなったか?』

男「・・・なんで、あいつの心配してんだろ」

男(本当は、連絡を取らなくちゃいけない相手がいるはずなのに)


~♪


『・・・あんまり良くなりそうにないです』

『なら、明日にでも病院に行った方がいい。少しでも悪化したら駄目だろうし』

『・・・多分、病院にいっても良くならないと思います』


男(・・・どういうことだ?それ程に重い何かに罹ったのか?」


『風邪、なんかじゃないんですよ。本当は』

『・・・電話かけてもいいですか?』

男(・・・? 何考えてるんだ?・・・まぁ、いいか)

『構わないぞ』

prrrr


男「もしもし?聞こえるか?」

茶髪『・・・はい』

男「いきなり電話かけたいなんてどうしたんだ?」

茶髪『・・・』

男「おい、黙ってたら何もわからな――」


茶髪『別れました』


男「・・・え?」


男「別れたって・・・なんのことだよ」

茶髪『彼氏と別れました。・・・いや、彼氏だった人と』

男「・・・」

茶髪『・・・私、一方的に捨てられました・・・』

男「・・・そう、なのか」

茶髪『ふつうなら、関係ない人に言うべきじゃないと思うんです・・・』

男「関係ないだなんて、そんなことないだろ。俺達は相談しあって、互いの関係を良くしようとしてたじゃないか」

茶髪『・・・そう、ですね』

茶髪『・・・話聞いてもらっても、いいですか・・・?』

男「ああ・・・」


茶髪『・・・昨日、突然電話が来ました。半年ほど連絡が取れなかった彼氏から』

茶髪『その名前が画面に表示された時は、複雑でしたけど・・・やっぱり嬉しかったです』

茶髪『けど、電話に出て聞こえたのは、彼の声とは思えないほど冷たい声で・・・』

茶髪『それで、言われました』

茶髪『・・・お前は、俺の夢に邪魔だ・・・って』

男「・・・!」

茶髪『私の存在が頭に何度も浮かんで、その度鬱陶しかったって・・・』

茶髪『集中できなくなって、何度も失敗して・・・』


茶髪『・・・近くにいないお前が、俺の邪魔をするな、と』

茶髪『それを聞いたら、・・・もう、なにもきこえなくて・・・』

茶髪『じゃあな、って声しかきこえなくて・・・うっ、うぅ・・・』

茶髪『ぅああああああああああ・・・』


男(電話越しに聞こえる彼女の声は、悲痛そのもので、俺の心にも深く痛みを残していく)

男(・・・それ程に茶髪の気持ちは伝わってきた。・・・同じ環境でいる俺だからこそだと思う)

男(俺達も、同じ環境・・・なんだ。・・・だから、ふと考えてしまった)


男(俺の存在も、幼馴染の夢を邪魔してるんじゃないかって)



~大学~



茶髪「・・・男さん」


男「茶髪か。・・・もう大丈夫なのか?」

茶髪「・・・ちょっと、無理してます。けど、もうすぐで大学も休み入りますし・・・」

男「・・そうか」

茶髪「ごめんなさい。私のせいで心配かけさせてしまって・・・」

茶髪「・・・がんばって、立ち直りますから」


男「別に迷惑なんてしてないし、むしろ茶髪に世話になってばかりだったからな。これぐらいは別にどうってことはない・・・」

茶髪「・・・ありがとうございます。なんか、変ですよね、この前までは私が男さんのこと励ましてたのに今では・・・」

男「そんなことない。俺だって・・・悩んでばっかだからな」

茶髪「・・・え」

男「俺達も、そうなのか・・・って。・・・あ、いや、何でもない。忘れてくれ」

茶髪「・・・はい」


男(・・・あれから、俺は迷っていた)

男(俺も、茶髪と同じように、幼馴染の夢を邪魔してる・・・そう思えてきたから)

男(・・・幼馴染と、別れるという選択をすることに)



~~~~



男(・・・悩みは、晴れることはなかった)

男(・・・本当に俺達はこのままでいいのか。このままでい続けるのは俺の我侭なんじゃないか?)

男(俺が幼馴染と恋人でいたいからこの関係を続けてるのであって、幼馴染はホントは俺の存在を・・・)

男(・・・駄目だろ。俺達は、そう簡単な関係じゃないはずだ。俺達の今があるのは・・・親友達の手助け、犠牲があったからだ)

男(その人達の想いを無駄にするわけにはいかない・・・。しかし、望まない環境にいることを幼馴染は良しとするのだろうか)

男(・・・駄目だ、答えが出ない・・・)

男(窓の向こうに居たはずの、もう一人の幼馴染みに今すぐにでもこの悩みを打ち明けたい。しかし、彼女はもうそこにいない)


男(・・・いや、電話すればいいじゃないか。なんでそんな簡単なことに気づかなかったんだ俺は)

男(長い期間連絡を取っていないからって、別に関係ないだろ。俺達は親友なのだから)

男(・・・そういえば、俺の着信経歴、茶髪ばっかだな。というより、高校時代の友人からの着信がほぼ無い)

男(それほど、連絡取ってないんだな、俺)

男(・・・まぁ、いい。今は女に電話をかけて、俺はどうするべきなのかを聞こう)

男(俺達二人を一番知っている女なら、きっと最善の答えを見つけてくれるはずだから)



男(・・・そう思っていた。そう、信じていた。なのに・・・)


男(女は、俺の助けを求める手を取ろうとしてくれなかった)


~~~~




男(・・・俺は、きっと、迷惑なのだろう)


男(俺の存在・・・離れた所にいる俺が、幼馴染の負担になっているに違いない)

男(実際、俺達は半年も連絡を取っていない。幼馴染からの連絡を待ち続けたが・・・一度も、来なかった)

男(茶髪と被るようなこの状況が尚更、俺にその事実を突きつけてくる。・・・多分幼馴染もそうなんだろう)

男(幼馴染も、遠く離れた場所にいる俺を負担だと思っているのだろう・・・。けど、幼馴染はきっと言い出せないんだ)

男(俺達の関係を終わらせる、その言葉を彼女が言う事はできない。・・・だから俺から言い出すべきなのかもしれない)

男(・・・このままでいても、幼馴染が幸せになることなんてないのだから)



~~~~


茶髪「・・・以上、です」

「・・・そうか。どうだ、その後の男の態度は?」

茶髪「・・・幼馴染との関係を断つことを悩んでいます」

「そうか、そうか・・・。ははははははは・・・!」

「もうすぐで、あいつは地獄に落ちる。わざわざあいつの携帯をアドレスや電話番号、連絡先を変えた甲斐があった

「あいつの周りはお節介な奴が多いからな。手を出されると困る・・・」

茶髪「・・・」

「・・・まぁ、いい。もうすぐで男は堕ちる。そしたら、お前の親父の事は秘密にしといてやる」

茶髪「・・・っ!」

「そういう顔をするな。僕達は血が繋がってないとしても、兄妹だろう?」

「兄妹なら仲良くしてこうじゃないか・・・」

茶髪「・・・はい、兄さん」

「・・・楽しみだ。あいつが苦しみを味わう時がな・・・!」

今回はここまで。

「もうすぐで、あいつは地獄に落ちる。わざわざあいつの携帯をアドレスや電話番号、連絡先を変えた甲斐があった

「もうすぐで、あいつは地獄に落ちる。わざわざあいつの連絡先を変えた甲斐があった」

男「・・・結局、ここか」


男(この場所で出会ってから、おかしな事をして笑い合ったり、時には喧嘩した・・・そして、たくさん泣かせてしまった)

男(・・・今日もまた、彼女の事を泣かせてしまうかもしれない。これまでよりも、もっとひどく)


男(だが、この決断が彼女の将来を輝かしく、そして幸福に満ちたものになるのならば。俺はもう迷わない・・・後悔しない)


男(俺が捨てられることで、幼馴染が幸せになれるのなら・・・俺の気持ちなんてどうでもいい)

スタスタ


男(思えば、この公園の公衆電話を使うのは初めてだな。・・・最初で最後の役目がこんな事になってしまって悪いとは思うが)

男(全ては俺の弱さのせいだ。携帯だと時間に限りが無い。・・・きっとその時間に俺の決意は負けてしまう)

男(公衆電話なら・・・限りある時間が俺の決意を後押ししてくれる)


男(ゆっくりと紙幣を入れて、番号を打ち込む・・・。三年間、忘れることの無かった幼馴染の電話番号を)

男(受話器から聞こえる、無機質な音に耳を集中させて、幼馴染の声が聞こえるのを待つ)



幼『はい・・・もしもし・・?』


男「・・・っ!」


幼『もしもし・・・?』

男「・・・ひ、久しぶりだな」

幼『えっ・・・お、男・・・?』

男「ああ。そうだよ、幼馴染」

幼『あ、ああ・・・。よ、よかった・・・』

幼『男と連絡取れなくなったから、何かあったのかと思ったのだけれど・・・』

男「・・・そうか」


幼『でも、なんで今日はいつもと違う所から電話をかけてきたの?』

男「・・・話がある。とても大切な話が」

幼『あ、うん・・・』

男「・・・」



男(幼馴染との今までの記憶が頭の中を走馬灯の様に駆け巡る。まるで、俺の言葉を遮らんとするばかりに)

男(・・・立ち止まっている場合じゃない。ここで俺が折れてしまえば幼馴染の幸せは・・・)


幼『どうしたの?・・・まさか、本当に何か――』



男「別れよう」


幼『・・・え』


男「・・・このままだと、俺は・・・駄目になってしまう。幼馴染の事を邪魔してしまうかもしれない」

男「なら、その前に・・・終わりにしよう。俺達」

幼『え、あ・・・ど、どういうこと・・・?何か悪い冗談・・・よね』

男「・・・冗談なんかじゃない」

幼『な、なんで・・・・』

幼『ねぇ、なんで?なんでそんな事言うのよぉ・・・』


男「・・・俺の存在が幼馴染を苦しめている」

幼『そんなことないっ!!男がいるから私は・・・っ!』

男「・・・ごめん」

幼『嘘だって言ってよ・・・ねぇ・・・』


男「もう、終わりにしよう」


男「離れた距離が・・・俺達を駄目にした」


男「俺達は近すぎたんだ。互いに隣にいて当たり前の存在だったから・・・離れると脆いんだな」


男「・・・なぁ、幼馴染」




男「俺達が幼馴染みじゃなかったら、どうなってたんだろうな」


幼『そんなの、分かるわけ無いっ・・・!そんな事、考えたくもないっ・・・!』

男「・・・」

男「俺達は、きっと近すぎた。それがダメだったんだ・・・」

幼『ちがう、ちがうよぉ・・・』


男「・・・幼馴染、ごめん。そして・・・」


男「幸せに、なってくれ」


プツッ


男(・・・ちょうどその時、時間に制限がきた)

男(・・・これで、終わったんだな・・・。今まで続いてきた幼馴染との時間は)


男「・・・くっ」ウルウル


男(公衆電話の透明な壁に背中を預けて、そこに座り込んだ・・・。まるで、あの日の屋上の様に)

男(無力で弱い自分を認識したあの日の様に)


男「・・・」


男(幼馴染の夢のために、俺は・・・どうなったっていい)

男(流れ出る涙を止めようともせず・・・ただ、上を向いた)


男(・・・もう、考えるのは止そう)



男(あの頃には・・・戻れない。後悔なんて・・・もう、しない)

今回はここまで。

~~~~



男(・・・どれだけ時間が経っただろうか)

男(携帯の音は電源が切れたのか、もう聞こえなくなった)

男(ほとんど使ってない携帯だ。今更何を思おうが、無意味だ)

男(何を言われようが、どんなことをされようとも、今の俺には何にも響くはずがない)


男(今まで、ずっとずっと大切にしてきたものを失った俺には・・・もう何も・・・)

コンコン



男「・・・」


ガチャ・・・


「・・・男、さん」

男「・・・茶髪か」

茶髪「・・・はい」

男「帰ってくれ。今は誰かを相手にしている余裕なんてない」

茶髪「・・・」

男「頼むから、一人にさせてくれよ・・・」

茶髪「・・・別れたんですか」

男「・・・」

茶髪「やっぱり、そうなんですね・・・」

茶髪「・・・」


茶髪「ごめん、なさい・・・」


男「・・・何でお前が謝るんだ」

茶髪「わたしの、私のせいなんですっ・・・」

男「茶髪、お前は関係ないんだ。お前の言ったことがこういう結果に繋がったわけじゃない」

男「これは、俺が自分で決めたことだからな」


茶髪「ちがいますっ!」

茶髪「私があなたのことをここまで追い込む様に・・・仕組んでたんです」

茶髪「私と、にいさんが・・・」

男「・・・」

茶髪「男さんも知っていると思います・・・。私の義理の兄である男の人の名を」

茶髪「私の兄はサッカー部でした。学校生活の中でも中心的な人だったとも聞いています」

茶髪「そして・・・男さんに幼馴染さんのことで相当な恨みを持っていることも・・・」

男「・・・イケメンのことか」

茶髪「・・・はい」


茶髪「男さんと同じ大学に入る所から、兄さんの計画は始まりました・・・」

茶髪「私は兄さんの指示通りに動く事を強要されて、色々な事をしてしまったんです」

茶髪「男さんの携帯のアドレスや連絡先、幼馴染さんなどを着信拒否にして連絡を着かないように画策しました」

茶髪「そして、男さんと同じ境遇であることを強調して接近するという手も取りました」

茶髪「・・・勿論、私にはそんな相手なんて初めからいません」

男「つまり、前にお前が言った別れ話というのも・・・」

茶髪「はい・・・。男さんと幼馴染さんを離す為に作った嘘です・・・」


男「・・・そう、か」

男「ははは・・・。俺はある一人にいいように操られてたって訳か・・・」

男「・・・ほんっとバカみてぇだな」

茶髪「・・・ごめんなさい」

男「・・・一つ聞かせてくれ」

茶髪「はい・・・」

男「お前はどうして、イケメンの指示通りに動いた」

茶髪「・・・兄さんに弱みを握られていました」

茶髪「父の不倫現場です。・・・おそらく、これが母に知られたら家族が崩壊する程の物です」

茶髪「家族の仲を壊したくなかったんです・・・。なのにっ、私はその代わりに男さんと幼馴染さんをっ・・・!」ポロポロ

男「・・・もういい。・・・それ程に大事にしてたものなんだろ」

茶髪「ですが、それで男さんはっ・・・!」

男「いいんだ。・・・誰かに邪魔されたぐらいで気持ちが崩れるなんて、その程度の物でしかなかった」

男「そんなんじゃ、幼馴染の事を幸せにすることなんてできないだろ・・・」

茶髪「・・・ごめんなさい、ごめんなさい・・・」

男「これでお前も気が晴れたろ。もう帰れ」

茶髪「いえ、このままでは帰れません・・・。せめて、男さんの気が晴れるまでは・・・」

男「・・・頼むから帰ってくれ」

男「もうこれ以上、今の惨めな姿を見せるのは嫌なんだ・・・」

茶髪「・・・」


茶髪「・・・ごめん、なさい・・・」






男「・・・帰ったか」


男「・・・俺の気が晴れるまでねぇ・・・」

男「なぁ、どうやったら今の俺の気持ちが晴れるんだ・・・?」


男「・・・誰か、教えてくれよ」


男「俺はこの先、どうしていけばいいんだよぉ・・・!!」



~~~~


男「・・・」


男(親の制止をふりきってまで、外に出ていた)

男(どこを目指すことも無く、何かを得る為でも無く・・・ただ無意味な行動でしか無い)

男(女の家や、公園・・・大事な記憶が詰まった場所を通り過ぎる)

男(俺は何を求めているんだろうか・・・)


男「・・・あ」


男(・・・上を向くと、空からは白い粒が降ってくるのが分かった)

男「雪、か」

男(お前はなかなかどうして、こういう時に・・・)

男(俺を嘲笑う為に降っているのか?それとも、俺の心を晴らすためにか?)


男(・・・もう、何もわからない)


~~~~


女「・・・こんな時間にすみません」


男母「女ちゃん・・・。久しぶりね」

女「はい、お久しぶりです。・・・あの、男君は」

男母「・・・あいつは家を飛び出していったよ」

女「・・・え?」

男母「憔悴しきってる息子止められないなんて、母親失格だ」

女「・・・私、探してきます!」

男母「お願い・・・こんな時に、頼りになるのは幼馴染ちゃんか女ちゃんだけだから」

男母「ウチのバカ息子を助けてやってくれ」

女「・・・はいっ」


女(・・・男君っ!!)


~~~~

幼「・・・」


幼(・・・男がどうして、別れようなんて言い出したかなんてわからない・・・)

幼(距離に負けたなんて、近すぎたなんて、絶対にそんなことはない・・・!)

幼(今年になって、男と連絡が取れなくなってからだ。男がこんな事を言い出したのは。・・・男に何かがあったはず)


幼(私は諦められない。この気持ちを諦めることなんてできるわけがない)


幼(だから、私は帰ってきた。故郷に・・・)


幼「男・・・!!」


幼(・・・今、行くから)

男(ただ歩いていた)


男(どこに向かうわけでも無く。ただ、歩き続けていた)


男(気づいたら、街の中心部まで来ていた)


男(何やら、カップルが多いようだ・・・。そうか、今日はクリスマスイブだったな)


男(幼馴染と付き合い始めたのも、この日だ)


男(・・・まぁ、そんな事思い出してもどうにもならないんだが)


男(―――今更後悔しても、無駄なだけだ)

男(歩みは止まらない)


男(どこを目指しているのか分からない)


男(それでも、俺は歩き続ける)


男(・・・周りが騒ぎ始めたな、何かイベントでも始まるのだろうか・・・)


男(けれど、周りを見渡してもそんな様子は見られない)


男(しかし、視線は俺の方を向いている事だけは分かった)

「おい!なんで道路に出てるんだよ!早く戻ってこい!」「信号赤だよ!」


男(ははっ、何を見てるんだよ。どうせ笑ってるんだろ。惨めな奴が一人で歩いてるって)


「ははは・・・」


男(乾いた笑いが出る。もう、どうしようもないくらいに俺は惨めだった)


キィィィィィ!!


「お、おい!あぶねぇぞ!!」「きゃあああああああ!!」


男(幼馴染・・・)


男(お前は今の俺を見て、どう思うんだろうか・・・?)

男(・・・ふと、その時。俺の目に見覚えのある姿が見えた)

男(あれは・・・間違いない)


男「おさななじ――――」



―――――――


幼「―――」


幼「あ、あ、ああ・・・・・」




幼「いやああああああああああああああっ!!!!」




――

――――

―――――――

今回はここまで。





男「・・・」


転校生「あ・・・」


男(目を開けると、あの記憶の中の・・・幼馴染と同じ顔立ちをした少女が俺を見つめていた)


男(・・・ここでは、転校生であって幼馴染みでは無い彼女がそこにいた)


男「・・・俺は、いったい・・・」

転校生「私のアルバムを見てる途中に、急にふらついてそのまま倒れたの・・・。貧血か何かだと思うけど・・・」

男「・・・」

転校生「・・・男?」

男「・・・本当の話を、させてくれ」


転校生「え・・・?」

男「俺がいるべき場所・・・本当の記憶の話をさせてくれ」

転校生「ちょ、ちょっと。さっきのアルバム見てるから混乱してるのはわかるけど・・・」

転校生「・・・ほんとうのはなし?」

男「ああ。むしろ、さっきの写真を見て思い出した・・・。俺の本来の記憶を」

男「・・・今から話すことは、信じられない事なのかもしれないし、もしかしたら俺の単なる妄想なのかもしれない」

男「だが、その記憶の中の事を一つ一つ、俺は繊細に覚えている」

男「・・・俺はこの記憶が本物なのだと断言できる」

転校生「・・・うん」



男「だから、聞いてほしい。俺の本当の記憶を」


男「俺達が過ごしてきた、本当の世界を」


転校生「・・・分かった。男の本当の記憶・・・私に話して」

男「・・・ありがとう」



男「・・・俺達は俺と幼馴染と、女。いつも三人で一緒だった―――」



~~~~




男「―――・・・最後は、おそらく車に轢かれたのだと思う。・・・幼馴染の事を見てから、それ以外の事は見えなかった」

男「・・・後悔しか無かった。どうして、俺は幼馴染の言葉を聞いてやれなかったんだろうと」


男「どうして、幼馴染を信じる事ができなかったんだろうと・・・!」


転校生「・・・」



男「そして、気づいたら俺は・・・俺達が幼馴染みじゃ無くなったこの世界に来ていた」

男「本当の記憶を失って、俺はこの世界で何も知らずに生きてきた」

男「・・・けど、俺の本当の記憶を教えてくれた一人の人物がいた。・・・女だ」

男「女は、自分の幸せを選ばずに、俺と幼馴染の本当の記憶を思い出させてくれるヒントをくれ・・・そして、転校生と結ばれるこの世界へと繋げてくれた」


男「・・・そして、全てを思い出した今。俺は・・・」


男「・・・また、本当の世界に戻りたいと思ってしまう・・・!」


男「俺は、女や友・・・大切な人達を裏切った。だから、尚更戻らなければならない・・・!」


男「そして・・・許されるならば、俺は・・・―――」



男「―――もう一度、幼馴染に会いたい・・・!」


男「俺は・・・俺は・・・!」



転校生「・・・」


転校生「・・・大丈夫だよ。必ずまた会える」

男「・・・幼馴染は許してくれるだろうか・・・?」

転校生「・・・当然よ。私の事は私が一番わかってるんだから」

転校生「一度、間違いを起こしたからって、私が男を見捨てるわけがないじゃない・・・」



転校生「・・・世界で一番、愛している人の事を見捨てるなんてことをするはずがない」


男「―――」


転校生「それはどんな世界の私でも同じ。例え私達が幼馴染でも、そうでなくても関係ない」

転校生「近すぎた事が悪いなんてことはない・・・。むしろ、幼馴染みとしての私だったからこそ、男はこの世界の私よりも好きなんだよ。幼馴染みとしての私を」

転校生「そうじゃなきゃ・・・本当の世界に帰りたいなんて思うことできないでしょ・・・?」

男「そうだ・・・!俺は一番、幼馴染のことを・・・!」



転校生「・・・なら、早く彼女の所に戻ってあげなきゃ」

転校生「きっと・・・この世界は長い夢だったのよ」

転校生「男が創りだした・・・幼馴染への愛を思い出すための長い、長い夢」

男「・・・!」

男(・・・転校生がそう言った瞬間、視界がどんどん光に包まれていくような・・・幻想的な景色になっていく)

男(今にも夢が、終わってしまうかの様に)


転校生「ほら、周りがどんどん光に消えていく・・・」

男「・・・ああ」

転校生「そろそろ・・・目覚めるんだと思う。本当の世界にまた戻れるんだよ」


男「・・・ありがとう、転校生」

男「転校生のおかげでまた、俺は幼馴染の前に戻れる」

男「お前のことも・・・絶対に忘れない」

転校生「うん・・・。私もあんたの事、絶対に忘れてやらないんだから」

男「転校生・・・」

転校生「・・・それじゃあ、私からも最後に一言」



転校生「私は、どんな世界でも、どんな私でも、・・・男を愛してる」


転校生「―――幸せにしてね。私のことを」ニコッ


男「ああ。必ず・・・」


転校生「・・・ありがとう、男」




転校生「・・・また、会おうね」



男(―――転校生のその言葉を最後に・・・その夢は終わりを告げた)

今回はここまで。




――――――――――

――――――――

―――――

―――

――











「・・・おとこ・・・?男・・・!」


男「・・・」


男(夢から覚めた俺に見えてきたのは・・・白い天井に、体に繋がれた管)


男(そして・・・俺が最も愛している人の顔)


幼「おとこぉ、おとこぉ・・・!」ポロポロ

男「おさな、なじみ・・・」

幼「しんぱい、したんだからぁ・・・」

男「・・・ごめ、ん」

幼「よかったぁ・・・よかったよぉ・・・」


男「・・・」


男(あんなに身勝手で、酷いことを幼馴染にしたはずなのに・・・それでも幼馴染は・・・)


男(・・・なら、俺のやることも一つだ)


男「・・・長い夢を、見ていた」

男「何度も高校生活を繰り返した・・・長い長い、夢だった」


男「夢の中では俺達は幼馴染みじゃなかった・・・。俺達の小さな頃なんて無かった事になっていたんだ・・・」

男「近すぎる事がない世界だった・・・」

男「けれど、その夢の世界でも幼馴染は俺の事を愛し・・・そして、支えてくれた」

幼「・・・」ポロポロ

男「・・・俺は、決めた。どんな困難がきても、二度と手放さない。未来に何が待っていても、俺達で乗り越える」


男「・・・どんな世界でも、どんな幼馴染でも・・・俺は、幼馴染の事を幸せにするって」


男「・・・幼馴染のガサツで暴力的な所、だけど趣味は可愛らしい所とか、結構強がりだけど・・本当は弱虫な所」


男「あとは、些細な事で照れたり・・・誰よりも努力出来る所も・・・幼馴染の全部、全てが好きだ」


男「・・・許してもらえるなら・・・もう一度、俺と・・・!」




男「―――俺と、付き合ってくれ・・・!」

幼「・・・そんなのことわれるはずがない」

幼「私だって、どんな男でも愛し続けるってきめたんだから・・・」


男「―――」


幼「・・・私も、あんたが好きっ・・・。私だってもう二度と男のこと手放したりなんかしない・・・!」

幼「この先も、ずっと一緒にいるんだから・・・」


男「幼馴染・・・!」ウルウル



男(長い夢の中での出来事は、弱かった俺を強くさせてくれた・・・)


男(夢の世界があったからこそ・・・俺は、また幼馴染の元に戻ってくることができた)


男(俺は一生忘れない。あの夢の中での出来事を・・・。そして・・・)


男(幼馴染の事を、一生愛し続けよう・・・)


――――――




男「・・・俺がまた、こんな服を着る時がくるなんてな・・・」


男(文化祭の時のことを思い出すな・・・。あの時はスパイだったか・・・)


男「懐かしいな・・・。もう十年も前の事なのか・・・」



「せんぱーい!」

男「・・・後輩、それに先輩と友も・・・」


会長「ややっ、男クンの晴れ姿を見に来たよ」

友「・・・」ウルウル

後輩「どうしたのお兄ちゃん・・・」

友「だって、だってぇ・・・」

友「男のこんな姿が見られるとおもうと、うれしくてぇぇ」ポロポロ

男「大げさだな・・・。お前」

友「親友としてお前のこういう場に立ち会えるなんて・・・こんなにうれしいことはない・・・!」

会長「あー、こういう時の友は面倒なのよねぇ・・・」

会長「とりあえずまた後でね、男君。次はまともな状態の友を連れてくるわ♪」

男「任せましたよ・・・それと、先輩」

会長「・・・ん?」

男「先輩達もこちら側に来ることを楽しみにしてますよ・・・」

会長「そうね・・・。近いうちにね?」

友「うぅ・・・男ぉ・・・」



男「・・・で、お前はまだ何かあるのか?」


後輩「・・・なんとなく、お礼を言っておきたくて」

男「何のだ?」

後輩「・・・いや、これはなんでもないです。私の勘違い、なのかもしれないんで」

後輩「その、なんていうか。楽しかったです。先輩と過ごした日々は・・・」

男「・・・そうか」

後輩「とにかく、ありがとうございました」


男「・・・こちらこそ、ありがとうな」

後輩「・・・ふぇ?」

男「大事な事を気づかせてくれたからな」

後輩「そう・・・ですか」


後輩「それじゃあ、先輩。また後で・・・」

男「おう。後でな」


男(――後輩・・・共にあることの大切さを俺に教えてくれた・・・)

男(改めて、例を言おう。ありがとう、後輩)

「プッ・・・」



男「・・・その笑い声はもしや」

黒髪「文化祭の時まんまじゃないか・・・!あの時はスパイだったのに、今は・・・」クスクス

男「あんまり笑うなよ。俺だってちょっと、恥ずかしいんだからよ・・・」

黒髪「でもまぁ・・・あの時よりかは似合ってるかな」

男「そ、そうか・・・。そ、そういえば、お前は今、親の会社を継いでるんだよな?」

黒髪「そうだよ。こちとら世界中を飛び回るビジネスウーマンよ」

男「だったら・・・その、パートナーとかは見つかんねぇのか?」


黒髪「な、なにを・・・!私が行き遅れるとでも?」

男「いや、そういうことじゃねぇよ・・・!」

黒髪「・・・」

黒髪「・・・あんな夢見せられたら、もう誰も好きになんかなれるわけないでしょ」ボソッ

男「ん?今なにか・・・」

黒髪「なんにもない。・・・じゃ、私は戻るから」

男「分かった。また後で話そう・・・」

黒髪「うん。・・・あと、最後に」



黒髪「私を、助けてくれてありがとう」


男「―――え?」


黒髪「フフッ。またね」



男(・・・まさか、な)


男(――黒髪。お前には未来に希望を持つ事を教えてくれた)

男(お前のおかげで俺はまた一歩、未来に向かって歩き出せる。ありがとな、悪友)




女「・・・男君、いる?」

男「おう、いるぞ」

女「うわぁ・・・やっぱり似合ってるね・・・」

男「お、おう・・・ありがとう」

女「全く、羨ましいよ。幼馴染の事が」

男「・・・最近隠さなくなったよな。そのこと」

女「だって、もうバレてるんだし。その、幼馴染とも色々話して・・・そういう事にしたからね」


男「そ、そうなのか・・・。幼馴染の所にはもう行ったか?」

女「もちろん。誰よりも先に見てきた。・・・きっと、男君。また幼馴染に惚れちゃうと思う」

女「なんせ、私と幼馴染で選んだんだから」

男「ほう・・・それは楽しみだな。期待しておく」

女「うん。期待しておいてね」

女「・・・時間までもうそろそろかな。男君、私は行くね」

男「・・・ちょっと、待ってくれ」


女「ん、なにかな?」

男「・・・今まで、ありがとう。きっと俺も幼馴染も女がいなければ・・・きっとここまで来ることはできなかった」

男「今の俺達が居るのは、女のおかげだ。これからも幼馴染みとして、よろしく頼む」

女「・・・それは私も同じだよ男君」

女「幼馴染や男君がいたからこそ、今の私がいる。私達、三人だからこそ、なんだよ?」

女「・・・だから、私もありがとう。男君がいてくれたおかげで私は幸せだったよ」


女「今の男君なら・・・どんなことがあっても、乗り越えていける。絶対に」

男「・・・ああ。本当に、ありがとう。女」

女「・・・うん。それじゃあ、またあとで・・・」

男「おう・・・」


男(――女。俺達の幼馴染みで、俺達の親友。女がいたから、今の俺達がいる)

男(女には本当に感謝してもしきれない・・・)


男(・・・女がどんな困難があっても、乗り越えていける強さを教えてくれたから、ここまで来ることができた)

男(本当に、本当にありがとう、女)



男「・・・そろそろ、だな」


男(・・・行こう。俺が、俺達が決めた未来へと・・・)


男(この扉の先には・・・きっと輝かしい未来が待っている・・・)



<<それでは、新郎の入場です――>>


ギィィ・・・


男「・・・」


パチパチパチパチパチ


男(・・・祭壇までの道、色々な事を思い出す)

男(俺達が出会った時のこと。小学生、中学生とバカやってきた時のこと。高校、大学で、辛い時を過ごして時のこと)


男(そして・・・あの夢の中でのことを・・・)


男(・・・真っ直ぐな道では無かった。けれど、そんな道を歩んできたからこそ、今の俺がいる)

男(幼馴染の事を、幸せにできる俺がいる)


<<次に、新婦の入場です――>>


ギィィ・・・



男「―――」


幼「・・・」


男(一歩ずつ近づいてくる幼馴染に、俺はまた・・・見惚れていた)


男(俺が幼馴染を好きだと自覚したあの時の様に・・・)



「・・・それでは、新郎。誓いの言葉を」


男「・・・はい」



男「・・・今、幼馴染と一緒にいれる事がとても・・・嬉しい」

男「これから先、楽しいこと、悲しいこと、辛いこと・・・色んな時間を共に過ごしていこう・・・」

幼「うん・・・」




男「―――・・・それじゃあ、”やくそく”しよう」


男「・・・俺達は、まだ小さくて何もわからない」

小男『・・・ぼくたちは、まだちいさくてなにもわからない』


男「だけど、一つだけ分かる事がある・・・」

小男『だけど、一つだけわかることがある・・・』


男「それは、幼馴染の事が大切だということ」

小男『それは、幼馴染のことがたいせつだということ』


男「だから・・・約束だ」

小男『だから・・・やくそく』


男「どんなことがあっても」

小男『どんなことがあっても』


男「この先も」

小男『このさきも』


男「・・・ずっと一緒にいよう」

小男『・・・ずっといっしょにいよう』


幼「うんっ・・・」


幼「約束だよ?」

小幼『やくそくだよ?』


男「ああ・・・約束だ」

小男『うん、やくそくっ!』




男「・・・なぁ、幼馴染」

幼「・・・ん」


男「パンツから始まる恋だって・・・あると思うか?」


幼「・・・あるわけないでしょ」


幼「・・・でも、パンツがキッカケでまた始まる恋もあるかも、ね・・・」

男「・・・だな」



(はじめよう、俺達の恋を―――)











男「パンツからまた始まる恋だってある」幼馴染「あった」





           ~Fin~











完結です。
約二年も続いていました。ほぼ私の亀更新のせいです。
誤字脱字も多いですが、許してください・・・。

あんまり長く書くとあれなので、こっから先はチラ裏のごとくどっかに書き殴っときます。

では最後に。
今までこのSSを読んでくださった方々、本当にありがとうございました。
誤字も多く、ストーリーも滅茶苦茶な拙いSSでしたが見てくださった方々の少しの暇つぶしになったら幸いです。


それでは、これにて本当に完結。ありがとうございました。

イケメンに鉄拳制裁は?

>>536
実はもう最初の方で鉄拳制裁してるんですよね(笑)
(夢の世界のサッカー部と本当の世界のイケメンが同一人物なので)

それに、イケメンにとっては男と幼馴染が幸せにしているこの風景を見ていることが、一番の屈辱なんじゃないかなとも思います。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2016年01月17日 (日) 23:42:41   ID: AzXYRlsi

面白い!
毎日更新楽しみにしてます!

2 :  SS好きの774さん   2016年02月11日 (木) 16:57:16   ID: YLKo-jRD

頼むから幼馴染みエンドにしてくれー

3 :  SS好きの774さん   2016年03月11日 (金) 23:12:21   ID: 4j8XBKxI

続きは?

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